WO2023054435A1

WO2023054435A1 - 歯の状態予測システム、及び歯の状態予測方法

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Publication number: WO2023054435A1
Application number: PCT/JP2022/036085
Authority: WO
Inventors: 尚子三木
Original assignee: 株式会社sunoow
Priority date: 2021-09-30
Filing date: 2022-09-28
Publication date: 2023-04-06
Also published as: JPWO2023054435A1

Abstract

本発明の課題は、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データが、偏りが少なくかつ十分なデータ数を有しつつ、随時更新される歯科医療支援システム及び歯科医療支援方法を提供することである。　歯科医療支援システムのサーバは、外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データと、歯科医療機関の情報端末から送信される、当該歯科医療機関の各受診者の歯科情報と、を統合した、人間の全歯の状態を総合する状態値と年齢の関係を示す対照表を作成し、更新する更新処理部と、各受診者の歯科情報と、対照表とに基づいて、各受診者の歯の劣化の状態を年齢で表した口内年齢を導出するシミュレーション部と、を備える。

Description

歯の状態予測システム、及び歯の状態予測方法

　本発明は、将来における歯の状態を予測するための歯の状態予測システム、及び歯の状態予測方法に関する。

　人間の歯の状態は、むし歯（う歯，う蝕）や歯周病によって劣化する。歯科治療を行うことによって歯の劣化の進行を止めることはできるが、一度劣化した歯は基本的に元に戻ることがない。このような歯の個々の劣化の程度を総合し、歯全体の状態（劣化の進行）を、歯の年齢（以下「口内年齢」ということがある。）として表すことができる。前記口内年齢は、年齢を重ねることに連れた、所定の集団（例えば、日本国内在住者）における平均的な歯全体の劣化の進行度合に基づいて、実年齢とは別に決定される。

　特許文献１には、患者の各歯に付与された点数を合計することによって、患者の歯の年齢を算出するシステムが開示されている。特許文献１に記載されたシステムでは、実施者が患者の各歯を見て評価し、歯の状態に応じて、無傷の０点から既失の１０．７点までの点数を各歯に付与する。インターネット上の歯の年齢ファイルに患者から採取したデータが入力され、患者の歯の年齢がサーバによって算出される。算出された歯の年齢は、歯の年齢データベースに格納される。平均的傾向シミュレーション部は、歯の年齢データベースに基づき日本人の平均的悪化傾向グラフを生成する。個別シミュレーション部は、特定の患者の歯の年齢を開始点として、前記平均的悪化傾向グラフに基づいて、将来の歯の年齢の変化をシミュレーションする。

　しかしながら、特許文献１に開示されたシステムでは、実施者ごとに点数のばらつきが発生するため、算出される歯の年齢の精度が低いという問題があった。特許文献２には、前記問題を解決するための歯状態判定システムが開示されている。歯状態判定システムＳは、歯状態判定装置１と、情報端末２とを含む。歯状態判定装置１は、所定の集団（例えば日本）における人間の歯の状態を表す状態値と人間の年齢との間の関係を予め記憶している。状態値は、例えば後述するＤＭＦ（Ｄｅｃａｙｅｄ，　Ｍｉｓｓｉｎｇ，　Ｆｉｌｌｅｄ）歯数、喪失歯数及びクラウン数を含む。状態値と年齢との間の関係は、例えば状態値及び年齢の統計データから生成された近似式である。そして歯状態判定装置１は、判定対象のユーザの歯の状態値を取得し、予め記憶している統計データから生成された近似式に当てはめることによって、ユーザの歯の年齢を算出する。すなわち、歯状態判定システムＳは、統計データを用いて生成された近似式と、ユーザの歯の状態を客観的に表す状態値とに基づいて、集団におけるユーザの歯の年齢を数値化する。そのため、歯状態判定システムＳは、算出されるユーザの歯の年齢のばらつきを抑制し、高い精度で出力できる。

　また、特許文献１に開示されたシステムは、前記データベースが実際の受診者のデータを蓄積して構築するもので、母集団によって偏りがでるおそれがある。また、実際に、個人で患者データを集めようとすると、ある程度の母数にするには最低でも１０年以上の年月が必要となる。特許文献３には、前記問題を解決するための、簡易に、かつ、より客観的に歯の状態を知ることができる歯の寿命診断支援システムが開示されている。前記歯の寿命診断支援システムは、歯科診療所、歯科の病院等に設けられた利用者の情報端末との間で、通信回線を介して情報の送受信を可能とする、歯の寿命診断支援サーバを備える。前記歯の寿命診断支援サーバは、前記情報端末に対して入力画面を表示する入力画面生成手段と、前記情報端末に対して評価画面を表示する評価画面生成手段と、を有し、前記入力画面には、複数段階に区分された悪化レベルに対応する受診者の歯の本数を入力する本数入力欄が含まれ、前記評価画面には、前記本数入力欄に入力された本数に基づいて予め定められた計算式により算出される歯の寿命進行レベルを表示する寿命進行レベル表示欄と、前記受診者の歯の寿命進行レベルに基づいて求められる歯の年齢を表示する歯の年齢表示欄とが含まれ、厚生労働省の「歯科疾患実態調査」の統計データから求めた年齢と歯の寿命進行レベルの平均値との関係が予め記憶されており、前記年齢と寿命進行レベルの平均値の関係に前記受診者の歯の寿命進行レベルを当てはめて、前記歯の年齢は算出される。また、前記評価画面には、歯を長く残すための目標設定の支援のために、歯の寿命進行レベルの１０年後の増加点数が表示される。

　しかしながら、特許文献３に開示されたシステムは、年齢と歯の寿命進行レベルの平均値との関係を求めるために、５年に１回実施されている厚生労働省の「歯科疾患実態調査」の統計データの内、５歳刻みの年齢による、健全歯の数、詰め物の数、クラウンの数、抜けた歯（喪失歯）の数、むし歯、及び根面板の平均数を使用する。すなわち、特許文献３に開示されたシステムにおける統計データの母集団の更新は、５年に１回である。特許文献２において、「所定の集団（例えば日本）における人間の歯の状態を表す状態値と人間の年齢との間の関係」として、厚生労働省の「歯科疾患実態調査」の統計データを使用する場合も、同様である。

　また、特許文献１及び３に開示されたシステムは、将来の歯全体の状況を予測するものの、各歯の状況を予測するものではない。

特許第３６２０５８５号公報特許第６５８５８０９号公報特許第６８８８８６６号公報

　本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データが、偏りが少なくかつ十分なデータ数を有しつつ、随時更新される歯科医療支援システム及び歯科医療支援方法を提供することである。

　本発明の歯科医療支援システムは、サーバと、前記サーバに通信回線を介して情報を送受信可能に接続された少なくとも１つの歯科医療機関の情報端末と、を備え、前記サーバは、外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データに、前記歯科医療機関の情報端末から随時送信される、当該歯科医療機関の各受診者の歯科情報を随時統合し、統合した統計データに基づいて、人間の歯全体の状態を総合する状態値と年齢の関係を示す対照表を作成する更新処理部と、前記各受診者の前記歯科情報と、前記対照表とに基づいて、前記各受診者の歯の状態を年齢で表す口内年齢を導出するシミュレーション部と、を備え、前記歯科医療機関の情報端末は、当該歯科医療機関の各受診者の歯科情報の入力を受け付けるための入力手段と、前記サーバから送信された前記口内年齢を表示する表示手段と、を備える。

　本発明にかかる歯科医療支援システムによれば、十分なデータ数を有し、データの偏りが少ない、外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データを基にした、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データは、前記外部機関による前記統計データの新たな公開を待つことなく、歯科医療機関の各受診者の歯科情報によって随時更新できる。すなわち、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データは、偏りが少なくかつ十分なデータ数を有しつつ、随時更新できる。

　本発明の歯科医療支援システムでは、前記サーバが備える前記シミュレーション部は、前記所定の集団の所定年齢における各歯の劣化可能性の指標を形成する。前記サーバが備える前記更新処理部は、前記外部機関が公開している前記所定の集団における人間の各歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データに、前記歯科医療機関の情報端末から随時送信される、当該歯科医療機関の各受診者の各歯の状態についての情報を統合して、各歯の劣化可能性の指標の年齢別データを形成し、前記サーバが備える前記シミュレーションは、前記各歯の劣化可能性の指標の年齢別データから、前記所定年齢における各歯の劣化可能性の指標を抽出する。このように構成することによって、所定年齢における人間の各歯の状況をシミュレーションすることができる。

　前記所定年齢は、前記各受診者の現在の実年齢及び／又は前記実年齢に所定年数を加算した年齢であって、前記歯科医療機関の情報端末が備える前記表示手段は、前記サーバから送信され、当該情報端末が受信した前記所定年齢における各歯の劣化可能性の指標に基づいて形成された、前記各受診者の前記所定年齢における各歯の状態を示す口内画像を表示する。このように構成することによって、前記各受診者の現在の実年齢における平均的な各歯の状態や、前記各受診者の将来の時点での各歯の状態を、口内画像として、解り易く歯科医療機関員や受診者に提供できる。

　本発明の歯科医療支援システムでは、前記各受診者の前記歯科情報は、前記各受診者の歯肉／歯周の状況、生活習慣、及び健康状態から選択される少なくとも１つに関する詳細情報をさらに含み、前記劣化可能性の指標は、前記詳細情報に応じて設定された係数で補正される。このように構成することによって、受診者の将来の時点での各歯の状態を、より正確にシミュレーションすることができる。

　本発明の歯科医療支援システムでは、前記対照表は、前記所定の集団内の、特定の属性を有する部分集団についての前記統計データに、前記各受診者の内の、前記特定の属性を有する受診者の前記歯科情報を随時統合して、統合した統計データに基づいて作成される。このように構成することによって、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データを、前記各受診者にカスタマイズすることができる。

　本発明の歯科医療支援システムでは、前記各受診者の前記歯科情報は、前記各受診者の各歯の状態を含み、前記歯科医療機関の情報端末が備える前記表示手段は、前記入力手段によって入力された前記各受診者の各歯の状態を示す口内画像を表示する。このように構成することによって、前記各受診者の各歯の状態を口内画像として、解かり易く、歯科医療機関員や受診者に提供できる。

　本発明の歯科医療支援システムでは、前記更新処理部は、前記歯科医療機関の各受診者の歯科情報を新たに統合する場合、当該新たな統合前の統合した統計データに対する、新たに統合する前記歯科情報の有意の差の有無を評価し、有意の差がないと評価したときに当該新たな統合を行い、有意の差があると評価したときは当該新たな統合を行わない。このように構成することによって、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データは、偏りを増大させる更新を回避できる。

　本発明の歯科医療支援方法は、外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データに、少なくとも１つの歯科医療機関から随時提供される、当該歯科医療機関の各受診者の歯科情報を随時統合し、統合した統計データに基づいて、人間の歯全体の状態を総合する状態値と年齢の関係を示す対照表を作成することと、前記各受診者の前記歯科情報と、前記対照表とに基づいて、前記各受診者の歯の状態を年齢で表す口内年齢を導出することと、を含む。このように構成することによって、十分なデータ数を有し、データの偏りが少ない、外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データを基にした、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データは、前記外部機関による前記統計データの新たな公開を待つことなく、歯科医療機関の各受診者の歯科情報によって随時更新できる。すなわち、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データは、偏りが少なくかつ十分なデータ数を有しつつ、随時更新できる。

　前記所定の集団の所定年齢における各歯の劣化可能性の指標を形成することと、
　前記所定の年齢における各歯の劣化可能性の指標に基づいて、前記各受診者の前記所定年齢における各歯の状態を示す口内画像を形成することと、をさらに含み、前記所定年齢は、前記各受診者の現在の実年齢及び／又は前記実年齢に所定年数を加算した年齢である。

　本発明にかかる歯科医療支援システムでは、受診者の口内年齢を算出するための、人間の歯の状態を表す状態値と年齢に係る統計データは、偏りが少なくかつ十分なデータ数を有しつつ、随時更新できる。

本発明の一実施形態の歯科医療支援システムのシステム構成図である。本発明の一実施形態の歯科医療支援サーバのブロック図である。歯科医療機関端末に表示される入力画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、「サービスの利用開始」の画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、受診者の歯の現状及び口内年齢を示す画面の一例を示す図である。本発明の一実施形態の歯科医療支援サーバにおいて口内年齢を決定する工程を示すフローチャートである。歯科医療機関端末に表示される、受診者の歯の現状と、同世代平均の歯の状況と、を比較できる画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、受診者の歯の１０年後の状況のシミュレーション結果を示す画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、受診者の歯の現状と、歯の１０年後の状況のシミュレーション結果と、を比較できる画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、受診者の歯の２０年後の状況のシミュレーション結果を示す画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、受診者の歯の現状と、歯の２０年後の状況のシミュレーション結果と、を比較できる画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、受診者の年齢－喪失歯数の予測グラフと、スウェーデンにおける年齢－喪失歯数のグラフと、を比較できる画面の一例を示す図である。歯科医療機関端末に表示される、治療提案を示す画面の一例を示す図である。本発明の一実施形態の歯科医療支援システムのシステム構成図である。

　図１は、本発明の一実施形態の歯科医療支援システムのシステム構成図である。歯科医療支援システムは、歯科医療支援サーバ１と、少なくとも１つの歯科医療機関端末２と、を備える。歯科医療支援システムは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。歯科医療支援サーバ１、歯科医療機関端末２、及び前記その他のサーバ等の機器は、インターネット及び／又はイントラネット等の通信ネットワーク４を介して、相互に情報を送受信可能に接続されている。

　歯科医療支援サーバ１は、歯科医療機関端末２からの要求に応じて受診者の口内の現況評価（口内年齢）、将来の状況の予測、及び治療・予防の提案等の情報を提供する装置で、ＣＰＵ等のプロセッサと、ＲＡＭ等の主記憶装置、ＨＤＤやＳＳＤ，ＤＶＤ等の補助記憶装置、有線あるいは無線の通信装置、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置を含むコンピュータとして構成される。コンピュータとして構成された歯科医療支援サーバ１にインストールされているプログラムが、当該コンピュータに以下で説明する機能を実現させる。サーバは、１台のコンピュータから構成される必要はなく、複数台のコンピュータが連携して以下で説明する機能が実現されてもよい。

　歯科医療支援サーバ１は、入力部１１と、出力部１２と、データベース部１３と、演算処理部１４と、を備える。入力部１１は、前記入力装置によって歯科医療支援サーバ１に直接入力される情報を受け付ける。また、入力部１１は、通信ネットワーク４を介して歯科医療機関端末２から入力される情報を受け付ける。そして、入力部１１は、受け付けた情報をデータベース部１３及び演算処理部１４に入力する。出力部１２は、歯科医療機関端末２に対して、演算処理部１４が形成した演算結果を表示するための情報を配信する。演算処理部１４は、入力部１１から入力された情報と、データベース部１３に格納された情報とを用いて、受診者の口内の現況評価（口内年齢）、将来の状況の予測、及び治療・予防の提案等の情報を形成する。また、演算処理部１４は、入力部１１から入力された情報を用いて、データベース部１３に格納された情報を更新するための処理を行う。

　歯科医療機関端末２も、ＣＰＵ等のプロセッサと、ＲＡＭ等の主記憶装置、ＨＤＤやＳＳＤ、ＤＶＤ等の補助記憶装置、有線あるいは無線の通信装置、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置を含むコンピュータとして構成される。据え置き型のコンピュータに限らず、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末などを用いることもできる。

　コンピュータとして構成された歯科医療機関端末２にインストールされている、専用のアプリ（プログラム）が、当該コンピュータに以下で説明する機能を少なくとも実現させる。前記アプリは、情報・データの入力を受け付ける機能を、歯科医療機関端末２に実行させる。したがって、歯科医療機関端末２は、情報・データの入力を受け付ける入力手段を備える。また、前記アプリは、前記入力手段により入力された前記情報・データ、歯科医療支援サーバ１から送信されてきたシミュレーション部４３の演算結果等、及び／又は当該情報・データ、もしくは当該演算結果等に対してさらに演算処理をして形成された結果等を、所定の様式で出力するための機能を歯科医療機関端末２に実行させる。したがって、歯科医療機関端末２は、入力された前記情報・データ、及び／又は前記演算結果等を、文字又は画像として、前記表示装置に表示する表示手段を備える。

　図２に示す歯科医療支援サーバ１のブロック図を用いて、歯科医療支援サーバ１のデータベース部１３及び演算処理部１４の構成を詳細に説明する。データベース部１３は、会員データベース３１（ＤＢ３１）と、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）と、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）と、統合データベース３４（ＤＢ３４）と、を有する。演算処理部１４は、会員登録部４１と、更新処理部４２と、シミュレーション部４３と、を有する。

（データベース部）
　まず、データベース部１３について説明する。会員データベース３１（ＤＢ３１）は、歯科医療支援システムの利用会員である歯科医療機関及び受診者の会員情報を有する。パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）は、外部機関が公開している所定の集団についての歯科衛生に係る統計データを有する。前記所定の集団は、歯科医療機関端末２を有する歯科医療機関を受診する受診者が属する集団である。また、前記統計データは、前記所定の集団から任意抽出された所定数の母集団から取得された統計データである。例えば、前記所定の集団は、日本国内の在住者である。プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）は、各受診者の歯科衛生に係るデータを有する。統合データベース３４（ＤＢ３４）は、シミュレーション部４３が受診者の口内の現況評価（口内年齢）、将来の状況の予測、及び治療・予防の提案等の情報を形成する際に用いるデータ及び演算用パラメータ等を有する。

＜会員データベース＞
　会員データベース３１（ＤＢ３１）が有する歯科医療機関の会員情報は、歯科医療機関の名称、歯科医療機関ＩＤ、ログインパスワード、並びに当該歯科医療機関で受診者登録された受診者の氏名及び受診者ＩＤを含む。前記歯科医療機関の会員情報は、代表者氏名、所在地、並びに連絡先情報（電子メールアドレス及び電話番号等）をさらに含むことができる。また、前記歯科医療機関の会員情報は、歯科医療支援サーバ１にアクセスできる歯科医師等の歯科医療機関員の情報を追加情報として含むことができる。前記歯科医療機関員情報は、歯科医療機関員の氏名、歯科医療機関員ＩＤ、及びログインパスワードを含む。前記歯科医療機関員情報は、連絡先情報（電子メールアドレス及び電話番号等）、並びにアクセス権をさらに含むことができる。

＜パブリックデータベース＞
　パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有する歯科衛生に係るデータは、詳細には、外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との間の関係に関する統計データである。また、前記統計データは、具体的には、５年ごとに実施され、公開されている厚生労働省の「歯科疾患実態調査」の調査結果である。前記統計データは、最新の「歯科疾患実態調査」の調査結果を少なくとも有する。前記統計データは、調査結果自体でもよいし、演算処理部１４の処理が効率的に行えるように前記調査結果を予め加工したデータでもよい。パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）には、歯科医療支援システムの運用前の段階で、所定の母集団の統計データが予め格納されている。また、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）は、前記所定の集団とは異なる集団、例えば、歯科医学先進国のスウェーデン等の他国における歯科衛生に係るデータを有することができる。

＜プライベートデータベース＞
　プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）が有する各受診者の歯科衛生に係るデータは、各受診者の識別情報及び歯科情報、並びに前記両情報を登録した歯科医療機関ＩＤ及び更新登録日時を含む。前記識別情報は、例えば、氏名、受診者ＩＤ、性別、住所、受診時の年齢、及び生年月日等を含む。前記歯科情報は、詳細には、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有する前記統計データに対応する「歯の状態情報」（各歯の状態、及び後述のＤＭＦ歯数等の全歯の状態を総合する状態値）を少なくとも含む。「歯の状態情報」は、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有する前記統計データの前記状態値に直接対応する状態値のみでもよいが、各むし歯、各治療済み歯、及び各喪失歯に関する詳細情報を含むことが望ましい。プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）が有する各受診者の歯科衛生に係るデータにアクセスできる歯科医療機関端末２は、各受診者が受診した歯科医療機関の歯科医療機関端末２のみとすることができる。ところで、受診者が転院等で受診する歯科医療機関を変更することが想定される。受診者が受診する複数の歯科医療機関間で当該受診者の前記データを共有できることは、多くの利点がある。したがって、情報セキュリティに係る所定の手続きを経ることによって、第１の歯科医療機関の医療機関端末２によってプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録された受診者の前記データに、第２の歯科医療機関の歯科医療機関端末２がリードオンリーでアクセスできるようにすることが望ましい。前記所定の手続きは、例えば、オンライン又はオフラインでの受診者による閲覧承諾である。前記所定の手続きの一具体例は、後述の変形例１で説明する。

　図３は、歯科医療機関の歯科医師が受診者の前記「歯の状態情報」を入力するために、歯科医療機関端末２に表示されるＤＭＦ入力画面である。前記アプリ起動後に歯科医療機関端末２の画面に表示されるメニュー画面（不図示）で「歯科情報入力」が選択されると、受診者ＩＤ（新規受診者登録の際に発行される。詳細は後述する。）を入力する画面（不図示）が表示される。受診者ＩＤが入力されると、歯科医療機関端末２に保存されている受診者の氏名、受診者ＩＤ、性別、住所、及び生年月日等の受診者の識別情報を含む、「歯科情報入力」の画面（不図示）が表示される。当該画面において「ＤＭＦ入力」ボタンが指定（クリック）されると、前記ＤＭＦ入力画面が歯科医療機関端末２に表示される。当該受診者の前記「歯の状態情報」が過去に登録されている場合、前記ＤＭＦ入力画面への遷移時にプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）から登録されている「歯の状態情報」が取得され、確認及び修正・更新可能に当該画面に表示される。前記ＤＭＦ入力画面の下部の「シミュレーションを行う」が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、受診者の口内の現況評価（口内年齢の決定）をするためのシミュレーション画面に遷移する。前記シミュレーション画面への遷移と同時に、前記「歯の状態情報」等の前記歯科情報が、指定された受診者ＩＤとともに歯科医療機関端末２から歯科医療支援サーバ１に送信される。歯科医療支援サーバ１の更新処理部４２は、入力部１１を介して受信した前記「歯の状態情報」等の歯科情報を、受診者ＩＤで特定される受診者のデータとして、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に書き込む（登録／格納する）。

　前記ＤＭＦ入力画面は、１～８の数字と、当該各数字に対応させ、各数字の左側に順次並べて配置した小さな矩形枠及び大きな矩形枠を含み、破線で分離された４つの表示領域を前記入力画面を含む。各領域が含む歯の画像が示すように、前記４つの領域は、画面上方から下方に、それぞれ、口内の上顎右側部分、下顎右側部分、上顎左上部分、及び下顎左側部分に対応する。各領域内の前記１～８の数字は、口内の前記各部分の１番～８番の歯に対応する。歯科医師は、受診者の各歯の状態を観察し、各歯がむし歯（う歯）、治療済み歯、及び喪失歯のいずれかに該当するかを診断する。各歯がむし歯、治療済み歯、及び喪失歯のいずれかに該当する場合、歯科医師は、むし歯、治療済み歯、喪失歯にそれぞれ対応するＤ、Ｆ、及びＭを小さな矩形枠の選択肢から選択して入力できる。小さな矩形枠の選択肢からＤ、Ｆ、及びＭが小さな矩形枠に入力されると、Ｄ、Ｆ、及びＭのそれぞれに対応する詳細情報が大きな矩形枠の選択肢となる。歯科医師は、大きな矩形枠の選択肢から詳細情報を選択して入力できる。また、各領域が含む歯の画像のうち、Ｄ、Ｆ、又はＭが入力された歯に対応する歯の表示がむし歯、治療済み歯、又は喪失歯に対応する表示に変更される。Ｄ、Ｆ、及びＭが小さな矩形枠に入力されることなく、後の番号の歯又は画面下の領域の歯の入力が行われた場合、或いは「シミュレーションを行う」のリンク付き表示が指定（クリック）された場合は、未入力の歯の状態は、健全歯とされる（歯の画像の表示は変更されない。）。また、健全歯とされた歯の大きな枠に表示されていた「ＤＭＦを選択してください」の表示が削除される（当該歯の状態は入力済みとなる。）。また、「前に戻る」のリンク付き表示が指定（クリック）された場合は、それまでに入力された各歯の状態が記憶され、前記「歯科情報入力」の画面に戻る。

　各歯の状態の入力を終え、前記ＤＭＦ入力画面（図３を参照。）で「シミュレーションを行う」のリンク付き表示が指示（クリック）されると、歯科医療機関端末２では、前記ＤＭＦ入力画面において入力された各歯の状態（むし歯（Ｄ）、治療済み歯（Ｆ）、及び喪失歯（Ｍ））に基づいて、指定された受診者の全歯の状態を総合する状態値として、ＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及び喪失歯数が算出される。ＤＭＦ歯数は、一人当たりのむし歯数、治療済み歯数、及び喪失歯数の合計値である。また、ＤＦ値は、一人当たりのむし歯数及び治療済み歯数の合計値である。このとき、当該受診者のむし歯（Ｄ）総数、及び治療済み歯（Ｆ）総数も算出されてもよい。次いで、「歯の状態情報」（前記各歯の状態及び前記ＤＭＦ歯数等の状態値）並びにその他の歯科情報は、歯科医療機関端末２から歯科医療支援サーバ１に送信される。

　各むし歯（「Ｄ」が選択された歯）に関する詳細情報として、例えば、う蝕の段階、神経の状態、及びう蝕が１回目か２回目などを明示する情報を含むことができる。各むし歯に関するこれらの詳細情報は、将来における治療・予防や、歯の状態の進行に係わる。各治療済み歯（「Ｆ」が選択された歯）の詳細情報として、保険適用及び自費治療のいずれかであるかや、インレー及びクラウンのいずれかであるか、再治療の要否などを明示する情報を含むことができる。各治療済みの歯に関するこれらの詳細情報は、治療済み歯の耐久性に係わる。各喪失歯（「Ｍ」が選択された歯）に関する詳細情報として、例えば、対処前喪失歯、対処済み喪失歯、及びむし歯によらない喪失歯のいずれであるかや、対処がインプラント、入れ歯、及びブリッジのいずれであるかなどを明示する情報を含むことができる。各喪失歯に関するこれらの詳細情報は、喪失歯に隣接又は対向する歯の将来における状態の進行に係わる。したがって、個々の歯の将来予測（後述の１０年後及び２０年後のシミュレーション）は、例示したような詳細情報を考慮した演算処理（各歯の評価値に係数を乗ずるなど）をすることが望ましい。前記詳細情報を考慮した演算処理によって、歯の将来予測の正確さの向上が図れる。

　前記「歯科情報入力」の画面において「その他の歯科情報の入力」ボタンが指定（クリック）されると、前記「歯の状態情報」以外の歯科情報を入力する「その他歯科情報」の画面が歯科医療機関端末２に表示される。「その他歯科情報」の画面で「前に戻る」のリンク付き表示が指定（クリック）された場合は、それまでに入力されたその他歯科情報が記憶され、前記「歯科情報入力」の画面に戻る。

　各受診者の歯科衛生に係る前記データは、前記その他の歯科情報（「歯の状態情報」以外の歯科情報）として、受診者の歯肉／歯周の状況、生活習慣、及び健康状態に関する詳細情報を含むことができる。その場合、前記ＤＭＦ入力画面における前記各数字に対応させた入力枠及び／又は入力領域を増加させてもよい。歯肉／歯周の状況に関する詳細情報は、歯周ポケットの深さ、出血状況、及び歯石の沈着から選択される少なくとも１つと、歯の位置とを対応付けたものとすることができる。歯肉／歯周の状況に関するこれらの詳細情報は、歯の将来における喪失に係わる。受診者に対する問診で得られる受診者の生活習慣に関する詳細情報は、喫煙状況、食事習慣（回数と時間等）、及び歯磨き習慣（回数と時間、フロスの使用等）から選択される少なくとも１つを含むことができる。生活習慣に関するこれらの詳細情報は、将来における治療・予防や、歯の状態の進行に係わる。受診者の健康状態に関する詳細情報は、受診者に対する問診で得られる既往症やメタボリックシンドロームの該当性等、唾液検査の結果、及び血液検査から選択される少なくとも１つを含むことができる。健康状態に関するこれらの詳細情報は、将来における治療・予防や、歯の状態の進行に係わり得る。したがって、個々の歯の将来予測（後述の１０年後及び２０年後のシミュレーション）は、例示したような詳細情報を考慮した演算処理（各歯の評価値に係数を乗ずるなど）をすることが望ましい。前記詳細情報を考慮した演算処理によって、歯の将来予測の正確さの向上が図れる。

　プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）は、さらに各受診者のレントゲン写真や口腔内写真のイメージデータ、並びに前記識別情報及び歯科情報以外のカルテ情報を有していてもよい。このようにすることによって、受診者のカルテ情報の電子データがプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に格納される。例えば、歯科医療機関端末２の前記アプリが、歯科医療機関端末２に、カルテ情報の入力を受け付け、受け付けた前記カルテ情報を歯科医療支援サーバ１に送信させるようにしてもよい。したがって、歯科医療機関は、受診者のカルテ情報の電子データ、又は当該電子データのバックアップデータを歯科医療支援サーバ１にて管理することができる。また、第２の歯科医療機関の歯科医療機関端末２が、第１の歯科医療機関の医療機関端末２によってプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録された受診者の前記カルテ情報にアクセスできるようにしてもよい。このようにすることによって、受診者ＩＤを有する受診者は、受診する歯科医療機関を変更等した場合に、同様のレントゲン写真の撮影を改めて受けたり、過去の状況の説明を行ったりすることを避けることができる。このようにする場合、歯科医療支援サーバ１は、情報セキュリティに係る手続きを実行する機能を備えることが望ましい。情報セキュリティに係る手続きの一具体例は、後述の変形例１で説明する。

＜統合データベース＞
　統合データベース３４（ＤＢ３４）は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）が有する前記データの内、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有するデータに対応するものと、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有するデータと、を統合させた統合データを有する。前記統合データの形成は、更新処理部４１によって実行される。また、統合データベース３４（ＤＢ３４）は、シミュレーション部４３が受診者の口内の現況評価（口内年齢）、将来の状況の予測、及び治療・予防の提案等の情報を形成するために用いる対照表（前記統合データ自体、又は前記統合データから派生させたデータ）を有することができる。また、統合データベース３４（ＤＢ３４）は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納されている前記対照表の索引表を有することができる。前記索引表は、前記対照表の識別番号、作成日時、更新日時、これの基となった統計データの母集団の属性情報、これを用いた前記現況評価等の適用条件、及びこれを用いた前記現況評価等に必要な受診者のデータなどを含む。また、統合データベース３４（ＤＢ３４）は、シミュレーション部４３が将来の状況の予測、及び治療・予防の提案等の情報を形成する際に用いる描画用テンプレート、及び／又は描画用パラメータを有することができる。すなわち、統合データベース３４（ＤＢ３４）は、シミュレーション部４３の記憶部として機能し得る。歯科医療支援システムの運用前の段階では、パブリックデータベース３２に予め格納されている所定の母集団の統計データと同一の統計データ、又はパブリックデータベースに予め格納されている統計データから派生させた統計データが、演算処理部１４の更新処理部４２によって、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納される。歯科医療支援システムの運用前の段階で統合データベース３４に格納される統計データは、例えば、厚生労働省が５年ごとに実施している「歯科疾患実態調査」の単年度の調査結果における１歳ごとのＤＭＦ歯数及びＤＦ歯数とすることができる。この場合、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）は、厚生労働省が５年ごとに実施している「歯科疾患実態調査」の単年度の調査結果が格納されている。

　統合データベース３４に予め格納されている統計データを厚生労働省が５年ごとに実施している「歯科疾患実態調査」の調査結果から派生させたデータとする場合の具体例は、更新処理部４２の説明において後述する。

（演算処理部）
　次に、演算処理部１４について説明する。会員登録部４１は、会員データベース３１（ＤＢ３１）が有する会員情報の管理と、会員情報に基づく歯科医療支援サーバ１へのログインの管理を行う。更新処理部４２は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）及び統合データベース３４（ＤＢ３４）が有するデータの更新処理を行う。シミュレーション部４３は、統合データベース３４（ＤＢ３４）のデータを用いて、受診者の口内の現況評価（口内年齢の決定）、将来の状況の予測、及び治療・予防の提案等の情報を形成する。

＜会員登録部＞
　会員登録部４１が行う会員情報の管理は、新規会員の登録、並びに登録済み会員の会員情報の更新及び削除である。歯科医療機関の新規会員の登録は、現に歯科医療機関であることを要件とする。受診者の新規会員の登録は、登録済み会員の歯科医療機関にて受診者であることが登録されていることを要件とする。

　歯科医療機関端末２でアプリが起動され、「サービスの利用開始」が選択されると、電子メールアドレス入力枠を有する「サービスの利用開始」の画面（図４を参照。）が歯科医療機関端末２に表示される。前記電子メールアドレス入力枠に電子メールアドレスが入力され、「サービスの利用開始」の画面内の「新規登録ＵＲＬを発行する」が指定（クリック）されると、会員登録部４１は、前記電子メールアドレス宛に新規登録ＵＲＬを含む電子メールを送信する。歯科医療機関員は、前記歯科医療機関端末２で前記電子メールを受信することができる。前記電子メールに含まれる新規登録ＵＲＬが指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２にインストールされているウェブブラウザが起動し、前記ウェブブラウザは、前記新規登録ＵＲＬにアクセスする。会員登録部４１は、新規に発行した歯科医療機関ＩＤと、新規会員登録フォームとを含む画面を前記歯科医療機関端末２の前記ウェブブラウザに表示するための処理を行う。前記ウェブブラウザに表示される新規会員登録フォームは、歯科医療機関の名称、代表者氏名、ログインパスワード、所在地、並びに連絡先情報（電子メールアドレス及び電話番号等）などの会員情報を入力する枠を備える。当該画面内の「歯科医療機関員の情報の追加」を指定（クリック）されると、会員登録部４１は、歯科医療機関員の情報を追加登録するためのフォームを、前記歯科医療機関端末２の画面に追加表示するための処理を行う。新規会員登録フォームに当該会員情報が入力され、「会員登録確定」が指定（クリック）されると、当該会員情報が前記歯科医療機関端末２から歯科医療支援サーバ１に送信される。会員登録部４１は、入力部１１を介して受信した前記会員情報を、新規登録する歯科医療機関の会員情報として、会員データベース３１（ＤＢ３１）に格納する。前記会員情報を会員データベース３１（ＤＢ３１）に格納すると、会員登録部４１は、登録完了を示す信号を歯科医療機関端末２に送信する。登録完了を示す信号を受信した歯科医療機関端末２では、新規に発行された歯科医療機関ＩＤと、新規会員登録フォームにて入力された前記会員情報とが保存される。歯科医療機関端末２の前記アプリは、前記アプリ起動直後の画面にログイン画面（不図示）を設定する。

　歯科医療機関端末２で前記アプリが起動されると、会員ＩＤ及びログインパスワードを入力するログイン画面が表示される。歯科医療機関ＩＤと、歯科医療機関のログインパスワードとが入力されると、歯科医療機関ＩＤと、歯科医療機関のログインパスワードとが歯科医療機関端末２から歯科医療支援サーバ１に送信される。歯科医療支援サーバ１の会員登録部４１は、前記歯科医療機関ＩＤ及び歯科医療機関のログインパスワードを会員データベース３１（ＤＢ３１）に照会する。歯科医療機関ＩＤ及び歯科医療機関のログインパスワードに誤りがなければ、会員登録部４１は、前記歯科医療機関のアクセス権でのログインが受け付ける。また、歯科医療機関員ＩＤと、歯科医療機関員のログインパスワードとが前記ログイン画面入力された場合も、同様のログイン処理が行われる。ただし、会員登録部４１は、歯科医療機関員ＩＤに設定されたアクセス権でのログインを受け付ける。ログイン後に表示されるメニュー画面（不図示）において「受診者情報登録」が選択されると、歯科医療機関端末２には「受診者登録画面」が表示される。「受診者登録画面」において、受診者ＩＤを入力せず、新規受診者の氏名、性別、住所、及び生年月日等の情報が入力されると、当該新規受診者の前記情報が歯科医療支援サーバ１に送信される。入力部１１を介して前記新規受診者の前記情報を受信した会員登録部４１は、新規受診者に対する受診者ＩＤを発行する。そして、会員登録部４１は、新規受診者の氏名、受診者ＩＤ、性別、住所、及び生年月日等を、受診者の識別情報として、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に格納する。また、会員登録部４１は、前記新規受診者の前記情報を送信した歯科医療機関端末２に、前記新規受診者の受診者ＩＤを送信する。受診者ＩＤを受診した歯科医療機関端末２では、「受診者登録画面」において新規受診者の前記情報と、前記新規受診者の受診者ＩＤとが、受診者の識別情報として、歯科医療機関端末２に保存される。なお、「受診者登録画面」において受診者ＩＤが入力されると、登録済みの受診者の識別情報が「受診者登録画面」に表示され、前記識別情報の更新又は削除の処理を行うことができる。

　会員データベース３１（ＤＢ３１）が有する歯科医療機関の前記会員情報は、歯科医療機関が歯科医療機関端末２から上記の要領でログインすることによって、更新及び削除することができる。歯科医療機関端末２から前記会員情報の更新又は削除の入力処理が行われた場合、会員登録部４１は、歯科医療機関端末２からの入力処理に即して、会員データベース３１（ＤＢ３１）に格納されている前記会員情報の更新又は削除の処理を行う。そのとき、会員登録部４１は、前記会員情報の更新又は削除の履歴も記録する。

＜更新処理部＞
　更新処理部４２は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）及び統合データベース３４（ＤＢ３４）が有するデータの更新処理を行う。

　歯科医療機関が歯科医療機関端末２を介して新たな受診者の前記識別情報及び前記歯科情報の入力処理を行うと、更新処理部４２はプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）を更新する。すなわち、更新処理部４２は、入力された前記識別情報及び前記歯科情報と、前記両情報を入力した歯科医療機関ＩＤ及び更新日時と、をプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に追加する。また、歯科医療機関が歯科医療機関端末２を介して登録済みの受診者の前記歯科情報を変更する入力処理を行うと、入力された変更内容に基づいて、更新処理部４２はプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）を更新する。すなわち、更新処理部４２は、入力された前記歯科情報の変更内容と、前記変更内容を入力した歯科医療機関ＩＤ及び更新日時と、をプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に追加する。このとき、更新処理部４２は、変更前の前記歯科情報を旧情報として残すことによって、変更履歴を記録する。

　更新処理部４２は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）を更新したときは、統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新の要否を判断する。更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新が必要であると判断したときは、統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新を行う。更新処理部４２が行う統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新は、歯科医療支援システムの運用前の段階で、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に予め格納されている所定の母集団の統計データに基づいて、当初の統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納される統計データを形成することを含む。すなわち、更新処理部４２は、歯科医療支援システムの運用前の段階で統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納される統計データを形成する。更新処理部４２が歯科医療支援システムの運用後に統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新する場合、歯科医療支援システムの運用前の段階で統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納された統計データがどのように形成されたかに応じた演算処理によって、更新処理部４２は統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新する。例えば、更新処理部４２は、男女別等の調査対象者及び受診者の属性別処理や、元データに対する補正処理を行っているかに応じた演算処理を、追加、置換、もしくは削除されるデータに対して行ったうえで、統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新する。

　歯科医療支援システムの運用前の段階で統合データベース３４（ＤＢ３４）に予め格納される統計データが厚生労働省が平成２３年度と平成２８年度に実施した「歯科疾患実態調査」の調査結果から派生させた１歳ごとのＤＭＦ歯数及びＤＦ歯数である場合について、以下に具体的に説明する。統合データベース３４に格納される統計データは、更新処理部４２によって形成され、統合データベース３４に登録される。ＤＭＦ歯数は、一人当たりのむし歯数、治療済み歯数、及び喪失歯数の合計値である。また、ＤＦ値は、一人当たりのむし歯数及び治療済み歯数の合計値である。

　厚生労働省が平成２３年度と平成２８年度に実施した「歯科疾患実態調査」の調査結果が歯科衛生に係るデータとしてパブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に予め格納されている。前記調査結果は、各年齢ごとの調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数のデータを含んでいる。更新処理部４２は、前記２年度分の調査結果における同一年齢の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数をそれぞれ合算することで、各年齢の２年度分の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数を算出する。さらに、更新処理部４２は、各年齢の２年度分のＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数を、各年齢の２年度分の調査対象者の総数で除算することにより、各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値を算出する。前記調査結果は、各年齢の調査対象者の喪失歯総数及び健全歯総数を含むので、更新処理部４２は、喪失歯数及び健全歯数についても、ＤＭＦ歯数及びＤＦ歯数と同様の算出を行うことができる。更新処理部４２は、算出して得た各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等の平均値データを各年齢に対応させて、すなわち対照表の形態で統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納する。また、更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）が有する前記索引表に当該対照表についての情報を登録する。

　更新処理部４２は、各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等の平均値データを男女別に算出し、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納することもできる。前記２年度分の調査結果は、５歳ごとを年齢階級とした各年齢階級ごとの男女別の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、ＤＦ歯総数、喪失歯総数、及び健全歯総数のデータをも含んでいる。各年齢の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数における各男女比は、各年齢階級の男女比と同じとみなすことで、各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等の平均値データを男女別に算出することが可能である。更新処理部４２は、前記２年度分の調査結果における同一年齢の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数をそれぞれ合算することで、各年齢の２年度分の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数を算出する。また、更新処理部４２は、各年齢階級ごとの男女別の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数のデータから、各年齢階級の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数における各男女比を算出する。そして、更新処理部４２は、各年齢の２年度分の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数に、それぞれ、各年齢階級の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数における各男女比を乗ずることにより、各年齢の２年度分の調査対象者の総数、ＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数を男女別に算出する。さらに、更新処理部４２は、算出した男女別の各年齢の２年度分のＤＭＦ歯総数、及びＤＦ歯総数を、算出した男女別の各年齢の２年度分の調査対象者の総数で除算することにより、各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値を男女別に算出する。更新処理部４２は、喪失歯数及び健全歯数についても、ＤＭＦ歯数及びＤＦ歯数と同様の算出を行うことができる。更新処理部４２は、算出した男女別の各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等の平均値データを各年齢に対応させて、すなわち男女別の対照表の形態で統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納する。また、更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）が有する前記索引表に当該対照表についての情報を登録する。更新処理部４２は、前記男女別の対照表を、前記男女別でない対照表に代えて、又は前記男女別でない対照表に加えて統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納することができる。

　更新処理部４２は、上記各年齢における、又は男女別の各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均等のデータを算出する際に、歯科衛生に係る経験則、又は歯科医療支援システムを監修する又は利用する歯科医師の経験に基づく補正を、前記調査結果が含むＤＭＦ歯総数及びＤＦ歯総数に対して行うこともできる。例えば、３０歳未満の歯の喪失は稀であるので、更新処理部４２は、３０歳未満の喪失歯をＤＦ歯とみなし、喪失歯総数をＤＦ総数に加算する補正を行う。前記補正において、更新処理部４２は、１以上の所定の係数を喪失歯総数に乗じた値をＤＦ総数に加算するとともに、ＤＦ歯総数を補正することもできる。また、３０歳以上でも喪失歯数は個人差が大きく、喪失歯総数が調査対象者に依拠するので、更新処理部４２は、前記年齢階級又は複数の年齢における喪失歯総数の平均値を各年齢の喪失歯総数とするとともに、ＤＦ歯総数を補正することができる。更新処理部４２は、補正したＤＦ総数及びＤＦ歯総数に基づいて、前記各年齢における、又は前記男女別の各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等の平均値データを算出する。更新処理部４２は、補正したＤＦ総数及びＤＦ歯総数に基づいて算出した、前記各年齢における、又は前記男女別の各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均等のデータを各年齢に対応させて、すなわち対照表の形態で統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納する。更新処理部４２は、補正したＤＦ総数及びＤＦ歯総数に基づく前記対照表を、補正前のＤＦ総数及びＤＦ歯総数に基づく前記対照表に代えて、又は補正前のＤＦ総数及びＤＦ歯総数に基づく前記対照表に加えて統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納することができる。また、更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）が有する前記索引表に当該対照表についての情報を登録する。

　プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）を更新した場合、更新処理部４２は、例えば、以下のようにして、統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新することができる。プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）が有する各受診者の受診時の年齢、又は「歯の状態情報」の内、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有する前記統計データの前記状態値に直接対応する状態値が更新された場合、更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）が含む年齢－状態値データに対する、更新された前記年齢－状態値データの有意の差の有無を評価する。前記有意の差の有無は、棄却検定によって評価することができる。棄却検定の有意水準は予め設定される。更新処理部４２は、例えば、棄却検定の有意水準を０．１とした、Ｓｍｉｒｎｏｖ－Ｇｒｕｂｂｓの棄却検定によって、統合データベース３４（ＤＢ３４）が含む年齢－状態値のデータに対する、更新された年齢－状態値が有意の差の有無を評価することができる。更新処理部４２は、有意の差がないと評価した場合、統合データベース３４（ＤＢ３４）が含む年齢－状態値のデータに、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）において更新された年齢－状態値データを組み入れる更新を行う。例えば、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納されている年齢－状態値データが、ＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等の平均値データを各年齢に対応させた対照表の形態のデータである場合、更新処理部４２は、まず、更新前の平均値データに更新前の調査対象者及び受診者の総数を乗じて、更新前の母集団における年齢ごとのＤＭＦ歯総数及びＤＦ歯総数等を算出する。次に、更新処理部４２は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）において更新された年齢－状態値データを組み入れた新たな母集団における年齢ごとの調査対象者及び受診者の総数、ＤＭＦ歯総数、ＤＦ歯総数、ＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等を算出する。そして、更新処理部４２は、算出したＤＭＦ歯数の平均値、及びＤＦ歯数の平均値等の平均値データを各年齢に対応させ、対照表の形態で統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納する。また、更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）が有する前記索引表に記載された当該対照表についての情報も更新する。

　更新処理部４２は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）から統合データベース３４（ＤＢ３４）に組み入れた各年齢－状態値データについて、所定のタイミングで有意の差の有無を再評価してもよい。有意の差の有無を再評価する前記タイミングは、例えば、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）の更新により統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新したときや、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）から統合データベース３４（ＤＢ３４）に組み入れた各年齢－状態値データが所定量蓄積されたときである。

＜シミュレーション部＞
　シミュレーション部４３は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に記憶されたデータ、パラメータ、及びテンプレートを用いて、受診者の口内の現況評価（口内年齢）、将来の状況の予測、及び治療・予防の提案等の情報を形成する。

　歯科医療機関端末２のＤＭＦ入力画面（図３を参照。）で「シミュレーションを行う」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、受診者の口内の現況評価（口内年齢）するためのシミュレーション画面（図５を参照。）に遷移する。

　歯科医療機関端末２の画面がシミュレーション画面（図５を参照。）に遷移すると、指定された受診者の受診者ＩＤ、及び「歯の状態情報」（前記各歯の状態及び前記ＤＭＦ歯数等の状態値）等の歯科情報が、歯科医療機関端末２から歯科医療支援サーバ１に送信される。歯科医療支援サーバ１の入力部１１が指定された受診者の受診者ＩＤ及び前記歯科情報を受信すると、更新処理部４２及びシミュレーション部４３は、口内の現況評価（口内年齢）の処理を開始する。更新処理部４２は、入力部１１を介して受信した前記歯科情報を、受診者ＩＤで特定される受診者のデータとして、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に書き込む（登録／格納する）。更新処理部４２による指定された受診者の前記歯科状態の書き込みが終了すると、シミュレーション部４３は、前記対照表を用いて、指定された受診者の状態値に対応する前記口内年齢を決定する処理を実行する。シミュレーション部４３は、例えば、図６のフローチャートのＳ３１～４３に沿って、前記口内年齢を決定する。

　シミュレーション部４３は、まず前記口内年齢を決定する処理に用いる対照表を以下のようにして選択する。統合データベース３４（ＤＢ３４）は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納されている１又は複数の前記対照表の索引表を有する。前記索引表は、前記対照表の識別番号、作成日時、更新日時、これの基となった「統計データの母集団の属性情報」、これを用いた「前記口内年齢の決定の適用条件」、及びこれを用いた前記口内年齢の決定に必要な受診者のデータなどを含む。一方、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）が有する受診者の前記識別情報及び歯科情報は、受診者の性別、受診時の年齢、「歯の状態情報」、歯肉／歯周の状況、生活習慣、及び健康状態に関する詳細情報を含む。そこで、シミュレーション部４３は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）が有する、指定された受診者の前記識別情報及び歯科情報を読み出す（Ｓ３１）。シミュレーション部４３は、読み出した当該受診者の前記データと、前記索引表が含む「統計データの前記母集団の属性情報」、「前記口内年齢の決定の適用条件」、「前記口内年齢の決定に必要な受診者のデータ」とを照合する（Ｓ３２）。そして、シミュレーション部４３は、照合結果に基づいて、１又は複数の前記対照表について、指定された受診者の前記口内年齢の決定に利用できるか否かを判断する（Ｓ３３）。統合データベース３４（ＤＢ３４）は、すべての受診者の前記口内年齢の決定に利用できる汎用の前記対照表を少なくとも１つ有するものとする。シミュレーション部４３は、利用できると判断した前記対照表の前記識別番号を記憶する（Ｓ３４）。シミュレーション部４３は、すべての前記対照表について利用の可否の判断したか判断する（Ｓ３５）。利用の可否の判断をしていない前記対照表が残っている場合（Ｓ３５－Ｎｏ）、シミュレーション部４３はＳ３２に戻る。すべての前記対照表について利用の可否を判断を終了したら（Ｓ３５－Ｙｅｓ）、シミュレーション部４３は、記憶された前記対照表の前記識別番号が２以上であるか否かを判断する（Ｓ３６）。記憶された前記対照表の前記識別番号が１つである場合（Ｓ３６－１のみ）、シミュレーション部４３は、唯一の前記対照表を、前記口内年齢を決定する処理に用いる対照表に決定し、その識別番号を記憶する（Ｓ３８）。記憶された前記対照表の前記識別番号が２以上である場合（Ｓ３６－２以上）、シミュレーション部４３は、期待される正確さに基づいて、利用できる前記対照表に順位付けを行う（Ｓ３７）。シミュレーション部４３は、前記対照表に付与された順位に基づいて、前記口内年齢を決定する処理に用いる対照表を決定し、その識別番号を記憶する（Ｓ３８）。

　前記照合は、照合結果として、「期待される正確さ」を求めるようにすることができる。期待される正確さは、例えば、指定された受診者の性別及び年齢等の属性と、「統計データの前記母集団の属性情報」との一致度とすることができる。また、期待される正確さは、例えば、「前記口内年齢の決定の適用条件」に設定される、各年齢階級の統計データのバラツキに応じた値とすることができる。すべての受診者の前記口内年齢の決定に利用できる汎用の前記対照表は、指定された受診者の属性に依らず、「期待される正確さ」が所定値以上のものが望ましい。前記Ｓ３７の順位付けは、前記「期待される正確さ」に基づいて行うことができる。

　次に、シミュレーション部４３は、前記Ｓ３８で決定した前記対照表を用いて、以下のようにして、指定された受診者の前記口内年齢を決定する。シミュレーション部４３は、決定した前記対照表の識別番号をキーにして、統合データベース３４（ＤＢ３４）から決定した前記対照表を読み出す（Ｓ４１）。次いで、シミュレーション部４３は、読み出した対照表中の状態値で指定された受診者の状態値に最も近いものを検索する（Ｓ４２）。そして、シミュレーション部４３は、検索された状態値に対応する年齢を、当該受診者の前記口内年齢に決定する（Ｓ４３）。

　シミュレーション部４３は、受診者の状態値に対応する前記口内年齢を、複数の前記対照表から別々に求めることもできる。この場合、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録された受診者の属性情報を参照し、複数の前記対照表から別々に算出された口内年齢を基に、当該受診者の前記口内年齢を決定する。例えば、受診者が女性であれば、女性のＤＭＦ歯数と年齢の関係を示す対照表と、女性のＤＦ歯数と年齢の関係を示す対照表とを用いて、シミュレーション部４３は前記口内年齢を求める。そして、シミュレーション部４３は、２つの対照表から求めた２つの前記口内年齢の単純平均又は加重平均により、当該受診者の前記口内年齢を決定する（Ｓ４３）。加重平均を用いる場合、受診者の年齢階級（例えば、１階級は５歳）、並びに同じ年齢階級の平均的／典型的状況に対する当該受診者の喪失歯数やプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録された受診者の食生活、唾液検査の結果に基づいて、シミュレーション部４３は、２つの対照表から求めた２つの前記口内年齢に重み付けを行う。

　次に、シミュレーション部４３は、Ｓ４３で決定した、指定された受診者の前記口内年齢を、当該受診者の前記歯科情報の１つとしてプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に書き込む（新規追加又は更新する。）。また、シミュレーション部４３は、Ｓ４３で決定した、指定された受診者の前記口内年齢を、出力部１２を介して、当該受診者の前記識別情報及び前記歯科情報を登録した歯科医療機関端末２に送信する。また、シミュレーション部４３は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納された各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値から、指定された受診者の実年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を抽出し、当該受診者の前記歯科情報の１つとしてプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に書き込む。シミュレーション部４３は、指定された受診者の実年齢における前記ＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を、出力部１２を介して、指定された受診者の前記識別情報及び前記歯科情報を登録した歯科医療機関端末２に送信する。

　歯科医療機関端末２の画面は、受診者の口内の現況評価（口内年齢）するためのシミュレーション画面（図５を参照。）にすでに遷移している。また、歯科医療機関端末２のＤＭＦ入力画面（図３を参照。）で「シミュレーションを行う」のリンク付き表示が指示（クリック）された段階で、歯科医療機関端末２では、前記ＤＭＦ入力画面において入力された各歯の状態（むし歯（Ｄ）、治療済み歯（Ｆ）、及び喪失歯（Ｍ））に基づいて、指定された受診者のＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及び喪失歯数が算出されている。算出された前記ＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及び喪失歯数は、前記シミュレーション画面の第１表示領域に表示される。また、前記ＤＭＦ入力画面において入力された各歯の状態（むし歯（Ｄ）、治療済み歯（Ｆ）、及び喪失歯（Ｍ））を歯の位置に対応させて示す口内現況画像がシミュレーション画面の第２表示領域に表示される。

　歯科医療機関端末２が指定された受診者の前記口内年齢を歯科医療支援サーバ１から受信すると、前記第２表示領域内の前記口内現況画像の中央部に当該受診者の前記口内年齢が表示される。図５に示した具体例の前記口内年齢は、３８歳である。また、歯科医療機関端末２が指定された受診者の実年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を歯科医療支援サーバ１から受信すると、当該ＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値が、前記シミュレーション画面の第１表示領域に、それぞれ、指定された受診者の前記ＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及び喪失歯数の並べて表示される。図５に示した具体例の前記ＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及び喪失歯数は、それぞれ、１０本、８本、及び２本である。

　シミュレーション画面の「次へ進む」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「同世代の状況と比較」の画面（図７を参照。）に遷移する。

　ここで、統合データベース３４（ＤＢ３４）は、各歯の劣化可能性の指標、具体的には、各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率の年齢別データを有する。前記各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率は、各年齢の段階で、各歯がむし歯、治療済み歯、及び喪失歯になっている可能性、すなわち各歯の劣化可能性を示す指標である。年齢別の各歯の劣化可能性の指標としての、各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率の年齢別データは、例えば、厚生労働省の「歯科疾患実態調査」の調査結果が含む、各年齢の調査対象者における各歯のむし歯総数、治療済み歯総数、及び喪失歯総数を示す統計データ（パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に格納されている。）と、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）が有する各受診者の各歯の「歯の状態情報」とを統合し、加工することによって、形成することができる。各歯の年齢別ではデータの母集団が少なくなる。そこで、各年齢のむし歯率等は、当該年齢とその前後２歳の５歳分の平均値とすることが望ましい。当該データの形成は、更新処理部４２により行われ、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納される。

　歯科医療機関端末２の画面が「同世代の状況と比較」の画面に遷移すると、指定された受診者の実年齢における前記劣化可能性の指標を請求する信号が歯科医療支援サーバ１に送信される。入力部１１を介して前記指標を請求する前記信号を受信したシミュレーション部４３は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納されている年齢別の各歯の劣化可能性の指標として、むし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率の年齢別データから、指定された受診者の実年齢における各歯の劣化可能性の指標としての、各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率のデータを抽出する。シミュレーション部４３は、抽出した前記データを、出力部１２を介して、指定された受診者の前記識別情報及び前記歯科情報を登録した歯科医療機関端末２に送信する。

　抽出された前記データを受信した歯科医療機関端末２では、指定された受診者の実年齢におけるＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値に基づき、同世代の状況のシミュレーションが行われる。例えば、喪失歯数の平均値が１以上であれば、喪失歯率の高い歯から順に、喪失歯数が前記喪失歯数の平均値に達するまで、喪失歯に設定される。次いで、むし歯率及び治療済み歯率の高い方が、喪失歯に設定されなかった歯の判定値とされる。喪失歯に設定されなかった歯が、判定値の高い歯から順に、ＤＭＦ歯数が前記ＤＭＦ歯数の平均値に達するまで、判定値に対応するむし歯又は治療済み歯に設定される。

　表１及び２は、前記アプリがインストールされた歯科医療機関端末２による同世代の状況のシミュレーションの具体例である。指定された受診者の実年齢は３４歳である。表１は各歯の治療済み歯率を示す。表２は各歯のむし歯率を示す。表１及び２において「右側」、「左側」、「上顎」、及び「下顎」は、口内を四分割した領域を示す。１～８の数字は、各領域における各歯の番号を示す。

　歯科医療機関端末２が受信した３４歳（同世代）における前記ＤＭＦ歯数の平均値、前記ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値は、それぞれ、９．２本、８．８本、及び０．４本である。同世代におけるＤＦ歯数及び喪失歯は、前記平均値を四捨五入して、それぞれ９本及び０本とされる。上顎左側８番以外は、治療済み歯率がむし歯率を上回っている。したがって、治療済み歯率が高い方から９本が治療済み歯に設定される。表１において、治療済み歯に設定された９本の歯の番号は、点線で囲んで示した。

　図７に示す「同世代の状況と比較」の画面は、「同年齢平均」の口内画像を表示する第１表示領域（右側の領域）と、受診者（図７では「あなた」）の口内現況画像を表示する第２表示領域（左側の領域）と、を含む。前記シミュレーション画面の前記第２表示領域に表示されていた口内現況画像をサイズ調整した画像が形成される。また、むし歯、治療済み歯、又は喪失歯に設定された各歯を、各歯の位置に対応させた「同年齢平均」の口内画像が形成される。そして、前記「同世代の状況と比較」の画面の第１及び第２表示領域に、それぞれ、前記受診者（「あなた」）及び「同年齢平均」の口内現況画像が表示される。

　歯科医師等の歯科医療機関員は、歯科医療機関端末２に「同世代の状況と比較」の画面を表示して、指定された受診者に対して提示することによって、当該受診者の口内現況が同世代の口内状況と比較して良いか悪いかを明示することができる。

　「同世代の状況と比較」の画面の「閉じる」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「同世代の状況と比較」画面からシミュレーション画面に戻る。シミュレーション画面において「次へ進む」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「１０年後のシミュレーション」の画面（図８を参照。）に遷移する。

　歯科医療機関端末２の画面が「１０年後のシミュレーション」の画面に遷移すると、指定された受診者の、前記Ｓ４３で決定された前記口内年齢に１０歳を加算した年齢（１０年後の口内年齢）におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を請求する信号が、歯科医療機関端末２から歯科医療支援サーバ１に送信される。また、指定された受診者の前記１０年後の口内年齢における各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率のデータを請求する信号が、歯科医療機関端末２から歯科医療支援サーバ１に送信される。歯科医療機関端末２から送信された、前記１０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値等を請求する信号を入力部１１を介して受信したシミュレーション部４３は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納された各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値から、指定された受診者の１０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を抽出する。そして、シミュレーション部４３は、抽出した、前記１０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値等を、出力部１２を介して、指定された受診者の前記識別情報及び前記歯科情報を登録した歯科医療機関端末２に送信する。また、歯科医療機関端末２から送信された、前記１０年後の口内年齢における各歯のむし歯率等を請求する信号を入力部１１を介して受信したシミュレーション部４３は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納されている各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率の年齢別データから、前記１０年後の口内年齢における前記各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率を抽出する。そして、シミュレーション部４３は、抽出した、前記１０年後の口内年齢における前記各歯のむし歯率等を、出力部１２を介して、指定された受診者の前記識別情報及び前記歯科情報を登録した歯科医療機関端末２に送信する。

　前記１０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値等及び前記各歯のむし歯率等を受信した歯科医療機関端末２では、指定された受診者の１０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値に基づき、「１０年後のシミュレーション」が行われる。例えば、まず、「指定された受診者の現況」の治療済み歯及び喪失歯はそのまま治療済み歯及び喪失歯に、むし歯は原則治療済み歯にそれぞれ設定される。ただし、むし歯が上顎及び下顎の左右両側の８番（いわゆる、親知らず歯）の場合、むし歯は喪失歯に設定される。これらの設定は、今般の受診ですべてのむし歯に対して何らかの処置を受けると想定されるからによる。喪失歯数の平均値がすでに喪失歯に設定した歯数に１を加算した数以上であれば、治療済み歯に設定した歯及び健常歯が、喪失歯率の高い歯から順に、喪失歯数が前記喪失歯数の平均値に達するまで、喪失歯に設定される。次いで、むし歯率及び治療済み歯率の高い方が、喪失歯及び治療済み歯のいずれにも設定されていない歯の判定値とされる。喪失歯及び治療済み歯のいずれにも設定されていない歯が、判定値の高い歯から順に、ＤＭＦ歯数が前記ＤＭＦ歯数の平均値に達するまで、判定値に対応するむし歯又は治療済み歯に設定される。

　表３～５は、前記アプリがインストールされている歯科医療機関端末２による「１０年後のシミュレーション」の具体例である。表３は各歯の治療済み歯率を示す。表４は各歯のむし歯率を示す。表５は各歯の喪失歯率を示す。表３～５において「右側」、「左側」、「上顎」、及び「下顎」は、口内を四分割した領域を示す。１～８の数字は、各領域における各歯の番号を示す。

　指定された受診者の１０年後の口内年齢は、経過年数を単純に加算すると、４８歳である。シミュレーション部４３が抽出した４８歳におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値は、それぞれ１５．０、１３．６、及び１．４である。「指定された受診者の現況」において、上顎及び下顎の左右両側の８番（いわゆる、親知らず歯）はすべて喪失歯又はむし歯であるので、上顎及び下顎の左右両側の８番はすべて喪失歯に設定される。上顎右側６番及び７番、左上顎７番、並びに右下顎６番及び７番は、「指定された受診者の現況」において治療済み歯であるので、右上顎６番及び７番、上顎左側７番、並びに下顎右側６番及び７番は治療済み歯に設定される。「指定された受診者の現況」においてむし歯である上顎右側１番は治療済み歯に設定される。喪失歯に設定された歯が喪失歯数の平均値１．４を上回っているので、喪失歯の設定はこれ以上行われない。以上により喪失歯又は治療済み歯に設定した歯が１０本になる。４８歳におけるＤＭＦ歯数の平均値が１５．０であるので、５本分がむし歯又は治療済み歯に設定される。喪失歯又は治療済み歯が設定されていないすべての歯は、治療済み歯率がむし歯率を上回っている。したがって、喪失歯又は治療済み歯が設定されていないすべての歯は、治療済み歯率が高い方から５本分が治療済み歯に設定される。表３において、治療済み歯に設定された１１本の歯の番号は、点線で囲んで示した。表５において、喪失歯に設定された４本の歯の番号は、点線で囲んで示した。

　歯科医療機関端末２では、上記のようにして設定された各歯の状態（むし歯、治療済み歯、及び喪失歯）に基づいて、指定された受診者の１０年後のＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及び喪失歯数の増加数が算出され、当該各増加数が前記「１０年後のシミュレーション」の画面の第１表示領域に表示される。前記「１０年後のシミュレーション」の具体例では、ＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及びは喪失歯数は、それぞれ５本、５本、及び２本増加すると算出される。また、歯科医療機関端末２では、設定された各歯の状態（むし歯、治療済み歯、及び喪失歯）を歯の位置に対応させて示す口内画像が形成される。そして、形成された前記口内画像が、前記「１０年後のシミュレーション」の画面の第２表示領域に表示される。

　前記「１０年後のシミュレーション」の画面の「次へ進む」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「現時点と１０年後シミュレーションの比較」の画面（図９を参照。）に遷移する。

　図９に示す「現時点と１０年後シミュレーションの比較」の画面は、「１０年後」の口内画像を表示する第１表示領域（右側の領域）と、「現時点」の口内画像を表示する第２表示領域（左側の領域）と、を含む。歯科医療機関端末２では、前記シミュレーション画面の前記第２表示領域に表示されていた口内現況画像をサイズ調整した画像が形成される。また、歯科医療機関端末２では、「１０年後のシミュレーション」の画面の前記第２表示領域に表示されていた口内現況画像をサイズ調整した画像が形成される。そして、前記「現時点と１０年後シミュレーションの比較」の画面の第１及び第２表示領域に、形成された前記「１０年後」及び「現時点」の口内画像がそれぞれ表示される。

　歯科医師等の歯科医療機関員は、歯科医療機関端末２に「現時点と１０年後シミュレーションの比較」の画面を表示して、指定された受診者に対して提示することによって、現況から平均的な維持、治療を受けた場合の１０年後を明示することができる。

　「現時点と１０年後シミュレーションの比較」の画面の「閉じる」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「現時点と１０年後シミュレーションの比較」の画面から「１０年後のシミュレーション」の画面に戻る。「１０年後のシミュレーション」の画面において「次へ進む」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「２０年後のシミュレーション」の画面（図１０を参照。）に遷移する。

　「２０年後のシミュレーション」におけるシミュレーション部４３及び歯科医療機関端末２の処理は、それぞれ、「１０年後のシミュレーション」におけるシミュレーション部４３の処理及び歯科医療機関端末２の処理と同様であるので、処理の詳細説明は割愛する。

　表６～８は、前記アプリがインストールされている歯科医療機関端末２での「２０年後のシミュレーション」の具体例である。表６は各歯の治療済み歯率を示す。表７は各歯のむし歯率を示す。表８は各歯の喪失歯率を示す。表６～８において「右側」、「左側」、「上顎」、及び「下顎」は、口内を四分割した領域を示す。１～８の数字は、各領域における各歯の番号を示す。

　指定された受診者の２０年後の口内年齢は、経過年数を単純に加算すると、５８歳である。シミュレーション部４３が抽出した５８歳におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値は、それぞれ１７．２、１３．２、及び４．０である。「指定された受診者の現況」において、上顎及び下顎の左右両側の８番（いわゆる、親知らず歯）はすべて喪失歯又はむし歯であるので、前記アプリは上顎及び下顎の左右両側の８番をすべて喪失歯に設定される。上顎右側６番及び７番、上顎左側７番、並びに下顎右側６番及び７番は、「指定された受診者の現況」において治療済み歯であるので、上顎右側６番及び７番、上顎左側７番、並びに下顎右側６番及び７番は治療済み歯に設定される。「指定された受診者の現況」においてむし歯である上顎右側１番は治療済み歯に設定される。喪失歯に設定された歯が喪失歯数の平均値４．０に達しているので、喪失歯の設定はこれ以上行われない。以上により喪失歯又は治療済み歯に設定した歯が１０本になる。５８歳におけるＤＭＦ歯数の平均値が１７．２であるので、四捨五入して７本分がむし歯又は治療済み歯に設定される。喪失歯又は治療済み歯が設定されていないすべての歯は、治療済み歯率がむし歯率を上回っている。したがって、喪失歯又は治療済み歯が設定されていない歯は、治療済み歯率が高い方から２本が治療済み歯に設定される。表６において、治療済み歯に設定された１３本の歯の番号は、点線で囲んで示した。表８において、喪失歯に設定された４本の歯の番号は、点線で囲んで示した。

　歯科医療機関端末２では、設定された各歯の状態（むし歯、治療済み歯、及び喪失歯）に基づいて、指定された受診者の２０年後のＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及び喪失歯数の増加数が算出され、当該各増加数が前記「２０年後のシミュレーション」の画面の第１表示領域に表示される。「２０年後のシミュレーション」の具体例では、ＤＭＦ歯数、ＤＦ歯数、及びは喪失歯数は、それぞれ７本、７本、及び２本増加すると試算される。また、設定された各歯の状態（むし歯、治療済み歯、及び喪失歯）を歯の位置に対応させて示す口内画像が形成される。そして、前記「２０年後のシミュレーション」の画面の第２表示領域に前記口内画像が表示される。

　前記「２０年後のシミュレーション」の画面の「次へ進む」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「現時点と２０年後シミュレーションの比較」の画面（図１１）に遷移する。「現時点と２０年後シミュレーションの比較」の画面での前記アプリの処理は、「現時点と１０年後シミュレーションの比較」の画面での前記アプリの処理と同様である。「現時点と２０年後シミュレーションの比較」の画面の「閉じる」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「現時点と２０年後シミュレーションの比較」の画面から「２０年後のシミュレーション」の画面に戻る。「２０年後のシミュレーション」の画面において「次へ進む」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「シミュレーショングラフ」の画面（図１２を参照。）に遷移する。「シミュレーショングラフ」の画面には、例えば、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有する前記所定の集団とは異なる集団（具体的には、歯科医学先進国のスウェーデン）における歯科衛生に係るデータと、指定された受診者の前記シミュレーション結果との比較が表示される。

　歯科医療機関端末２では、「２０年後のシミュレーション」の画面から「シミュレーショングラフ」の画面に遷移すると、指定された受診者のＳ４３で決定した前記口内年齢に３０歳を加算した年齢（３０年後の口内年齢）におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を請求する信号が歯科医療支援サーバ１に送信される。歯科医療機関端末２から送信された、前記３０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値等を請求する信号を入力部１１を介して受信したシミュレーション部４３は、統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納された各年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値から、指定された受診者の３０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を抽出する。そして、シミュレーション部４３は、抽出した指定された受診者の３０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値を、出力部１２を介して、指定された受診者の前記識別情報及び前記歯科情報を登録した歯科医療機関端末２に送信する。また、シミュレーション部４３は、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に格納されたスウェーデンにおける年齢と、ＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、又は喪失歯数の平均値との関係を示すデータ又は関係式を取得する。そして、シミュレーション部４３は、取得したスウェーデンにおける前記データ又は関係式を前記歯科医療機関端末２に送信する。

　抽出された前記データを受信した歯科医療機関端末２では、当該受診者の現況、並びに１０年後、２０年後、及び３０年後の口内年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、又は喪失歯数の平均値と、実年齢との関係をプロットしたグラフが形成される。このとき、スウェーデンにおける前記データ又は関係式も、前記グラフとともにプロットされる。そして、前記グラフ等が前記「シミュレーショングラフ」の画面に表示される。

　図１２は、前記指定された受診者についての「シミュレーショングラフ」の具体例を示している。前記指定された受診者は、日本在住者を母集団としたときは平均より４歳高い口内年齢であった。しかしながら、歯科医学先進国のスウェーデンの平均と比較すると、前記指定された受診者の口内年齢はかなり高い。このことを「シミュレーショングラフ」は前記指定された受診者に認識させる。

　前記「シミュレーショングラフ」の画面の「治療提案」のリンク付き表示が指定（クリック）されると、歯科医療機関端末２の画面は、「治療提案」の画面（図１３を参照。）に遷移する。「治療提案」の画面は、「処置が必要とされた歯」に対する治療方法を提示する第１表示領域と、将来におけるむし歯及び喪失歯の発生の予防方法を提示する第２表示領域とを有する。「処置が必要とされた歯」は、前記ＤＭＦ入力画面（図３を参照。）において、むし歯に対応する「Ｄ」が入力された歯、治療済み歯に対応する「Ｆ」が入力された歯のうち、「要再治療」が詳細に入力された歯、及び喪失歯に対応する「Ｍ」が入力された歯のうち、「対処前喪失歯」が詳細に入力された歯を含む。

　前記「シミュレーショングラフ」の画面から前記「治療提案」の画面に遷移すると、「処置が必要とされた歯」に対する治療方法、及び将来におけるむし歯及び喪失歯の発生の予防方法に関する情報の提供を請求する信号が、受診者ＩＤとともに歯科医療支援サーバ１に送信される。

　歯科医療機関端末２から送信された前記治療方法及び予防方法を請求する信号を入力部１１を介して受信したシミュレーション部４３は、前記治療方法及び予防方法に関する情報を統合データベース３４（ＤＢ３４）から抽出する。ここで、前記ＤＭＦ入力画面で入力された指定された受診者の各歯の状態情報は、受診者ＩＤで特定される受診者のデータとして、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）にすでに格納されている。また、統合データベース３４（ＤＢ３４）は、むし歯の位置及びう蝕の段階に対応した治療をしたときの治療後のイメージと、前記「治療提案」の画面に描画するための描画用テンプレート及び／又は描画用パラメータを、治療方法別に有している。また、統合データベース３４（ＤＢ３４）は、受診者の口内状況（例えば、ＤＭＦ歯数）に応じた予防方法のイメージと、前記「治療提案」の画面に描画するための描画用テンプレート及び／又は描画用パラメータを、予防方法別に有している。したがって、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）及び統合データベース３４（ＤＢ３４）を参照することによって、シミュレーション部４３は、指定された受診者のすべての「処置が必要とされた歯」に対するすべての治療方法の前記描画用テンプレート及び／又は描画用パラメータを抽出することができる。また、シミュレーション部４３は、受診者の口内状況に応じたすべての予防方法の前記描画用テンプレート及び／又は描画用パラメータを抽出することができる。シミュレーション部４３は、抽出したすべての治療方法及び予防方法の前記描画用テンプレート等を、出力部１２を介して、指定された受診者の前記識別情報及び前記歯科情報を登録した歯科医療機関端末２に送信する。

　抽出されたすべての治療方法及び予防方法の前記描画用テンプレート等を受信した歯科医療機関端末２では、各治療方法の前記描画用テンプレート等を用いて、処置が必要とされた歯に対する治療方法が前記第１表示領域に表示される。また、各予防方法の前記描画用テンプレート等を用いて、将来におけるむし歯及び喪失歯の発生の予防方法が前記第２表示領域に表示される。

　歯科医療機関端末２の前記アプリは、前記第１表示領域に表示された治療方法、及び前記第２表示領域に表示された予防方法を編集するための機能を有することができる。前記編集機能を用いて、歯科医師は、適当でない等の歯科医師が判断した治療方法及び予防方法を前記第１表示領域及び第２表示領域から削除することができる。

　「治療提案」の画面は、「表示切替」ボタンを有する。「処置が必要とされた歯」が複数ある場合、「表示切替」ボタンが指定（クリック）されると、表示中の歯と異なる歯の治療方法が順次表示される。
（変形例１）

　図１４は、図１に示した本発明の歯科医療支援システムの変形例のシステム構成図である。歯科医療支援システムは、さらに受診者端末３を備える。歯科医療支援サーバ１、歯科医療機関端末２、受診者端末３、及び前記その他のサーバ、受診者端末等の機器は、インターネット及び／又はイントラネット等の通信ネットワーク４を介して、相互に情報を送受信可能に接続されている。

　歯科医療支援サーバ１は、受診者端末３からの要求に応じて受診者の口内の現況評価（口内年齢）等の情報を提供することができる。

　受診者端末３も、ＣＰＵ等のプロセッサと、ＲＡＭ等の主記憶装置、ＨＤＤやＳＳＤ、ＤＶＤ等の補助記憶装置、有線あるいは無線の通信装置、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置を含むコンピュータとして構成される。据え置き型のコンピュータに限らず、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末などを用いることもできる。

　コンピュータとして構成された受診者端末３にインストールされている専用のアプリ（プログラム）が、当該コンピュータに以下で説明する機能を実現させる。例えば、前記アプリは、受診者の氏名、会員ＩＤ等の受診者特定情報の入力を受け付ける機能を、受診者端末３に実行させる。また、前記アプリは、前記アプリは、歯科医療支援サーバ１から送信されてきたシミュレーション４３の演算結果を、所定の様式で出力するための機能を、受診者端末３に実行させる。

　変形例１では、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に新たな受診者が登録された際に発行される受診者ＩＤは、紙媒体及び電子メール等で歯科医療機関員から受診者に提供される。また、会員データベース３１（ＤＢ３１）は、受診者会員情報として、受診者の氏名、受診者ＩＤ、及びログインパスワードを含むことができる。前記受診者会員情報は、連絡先情報（電子メールアドレス及び電話番号等）、並びに受診している歯科医療機関の名称、歯科医療機関ＩＤをさらに含むことができる。

　前記受診者ＩＤの提供を受けた受診者が、受診者端末３で前記アプリを起動し、「サービスの利用開始」を選択すると、前記受診者ＩＤ及び電子メールアドレスの入力枠を有する「サービスの利用開始」の画面が受診者端末３に表示される。前記受診者ＩＤ及び電子メールアドレスが各入力枠に入力され、「新規登録ＵＲＬを発行する」がクリックされると、会員登録部４１は、前記電子メールアドレス宛に新規登録ＵＲＬを含む電子メール送信する。受診者は、受診者端末３で前記電子メールを受信することができる。前記電子メールに含まれる新規登録ＵＲＬがクリックされると、会員登録部４１は、新規会員登録フォームを含む画面を受診者端末３に表示するための処理を行う。新規会員登録フォームは、氏名、受診者ＩＤ、ログインパスワード、連絡先情報（電子メールアドレス及び電話番号等）、並びに受診している歯科医療機関を入力する枠を備える。新規会員登録のフォームに当該会員情報が入力され、「会員登録確定」が指定（クリック）されると、当該会員情報が受診者端末３から歯科医療支援サーバ１に送信される。歯科医療支援サーバ１の入力部１１は、新規登録する受診者の前記会員情報を受け付け（受信し）、受け付けた当該会員情報を会員登録部４１に入力する。会員登録部４１は、新規会員登録フォームに入力された当該受診者の受診している歯科医療機関、並びに氏名及び受診者ＩＤと、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に当該受診者の前記識別情報を登録した歯科医療機関、並びに当該識別情報が含む当該受診者の氏名及び受診者ＩＤとを照会する。照会結果が一致したと判断した場合、会員登録部４１は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）から前記識別情報を登録した歯科医療機関ＩＤを取得する。会員登録部４１は、入力された前記会員情報及び歯科医療機関ＩＤを、新規登録する受診者の会員情報として、会員データベース３１（ＤＢ３１）に格納する。前記会員情報を会員データベース３１（ＤＢ３１）に格納すると、会員登録部４１は、登録完了を示す信号を受診者端末３に送信する。登録完了を示す信号を受信した受診者端末３の前記アプリは、前記アプリ起動直後の画面にログイン画面（不図示）を設定する。

　受診者端末３で前記アプリが起動されると、会員ＩＤ及びログインパスワードを入力するログイン画面が表示される。受診者ＩＤと、ログインパスワードとが入力されると、受診者ＩＤと、ログインパスワードとが受診者端末３から歯科医療支援サーバ１に送信される。その後の歯科医療支援サーバ１でのログイン処理は、歯科医療機関ＩＤでのログイン処理と同様である。ただし、会員登録部４１は、受診者のアクセス権でのログインを受け付ける。

　会員データベース３１（ＤＢ３１）が有する受診者の前記会員情報は、受診者が受診者端末３から上記の要領でログインし、前記メニュー画面から「会員情報」を選択することによって、更新及び削除することができる。受診者端末３から前記会員情報の更新又は削除の入力処理が行われた場合、会員登録部４１は、受診者端末３からの入力処理に即して、会員データベース３１（ＤＢ３１）に格納されている前記会員情報の更新又は削除の処理を行う。そのとき、会員登録部４１は、前記会員情報の更新又は削除の履歴も記録する。

　変形例１の第１の特徴は、受診者端末３に対しても受診者の口内の現況評価（口内年齢）等の情報が提供されることにある。ただし、受診者端末３は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に情報を登録できない。ログイン処理後、メニューから「口内の現況評価（口内年齢）」が選択されると、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録されている当該受診者の前記口内年齢等を請求する信号が受診者端末３から歯科医療支援サーバ１に送信される。歯科医療機関端末２において前記受診者の口内の現況評価（口内年齢）を行った段階で、受診者の口内年齢、「歯の状態情報」、並びに当該受診者の実年齢におけるＤＭＦ歯数の平均値、ＤＦ歯数の平均値、及び喪失歯数の平均値は、当該受診者の前記歯科情報の１つとしてプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録されている。したがって、歯科医療支援サーバ１の入力部１１が前記受診者端末３から前記信号を受信すると、シミュレーション部４３は、プライベートデータベース３３（ＤＢ３３）から当該受診者の前記口内年齢等を取得する。シミュレーション部４３は、出力部１２を介して、取得した当該受診者の前記口内年齢等を前記受診者端末３に送信する。前記口内年齢等を受診した受診者端末３では、「口内の現況評価（口内年齢）」の画面が表示される。受診者端末３に表示される「口内の現況評価（口内年齢）」の画面は、歯科医療機関端末２に表示される、受診者の口内の現況評価（口内年齢）するためのシミュレーション画面（図４を参照。）と同様の画面である。

　変形例の第２の特徴は、第２の歯科医療機関の歯科医療機関端末２が、第１の歯科医療機関の医療機関端末２によってプライベートデータベース３３に登録された受診者の前記歯科衛生に係るデータ及び／又はカルテ情報にアクセスできるようにする、情報セキュリティに係る手続きにある。情報セキュリティに係る前記手続きは、例えば、次のとおりである。
（１）第２の歯科医療機関は、受診者端末３の専用アプリを起動し、歯科医療支援サーバ１が提供するサービスの会員証を表示するよう、受診者ＩＤを有する受診者に要請する
（２）第２の歯科医療機関は、前記会員証に掲示されるワンタイムコードを、第２の歯科医療機関の歯科医療機関端末２で読み取る
（３）第２の歯科医療機関の歯科医療機関端末２は、前記ワンタイムコードを歯科医療支援サーバ１に送信する
（４）前記ワンタイムコードを受信した歯科医療支援サーバ１は、第２の歯科医療機関の歯科医療機関端末２に、前記受診者の前記歯科衛生に係るデータ及び／又はカルテ情報へのリードオンリーのアクセスを所定時間許可する

　前記手続きを経ることによって、第２の歯科医療機関の歯科医師等は、第１の歯科医療機関がプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録した受診者の前記歯科衛生に係るデータ及び／又はカルテ情報を閲覧することができる。したがって、受診者ＩＤを有する受診者が受診する複数の歯科医療機関間で当該受診者の前記データを共有できる。受診者ＩＤを有する受診者が受診する歯科医療機関を変更等した場合に、同様のレントゲン写真の撮影を改めて受けたり、過去の状況の説明を行ったりすることを避けることができる。また、第１の歯科医療機関が登録した当該受診者の前記歯科衛生に係るデータ及び／又はカルテ情報に第２の歯科医療機関の歯科医師等が、受診者の意思に反してアクセスすることは、回避できる。なお、第２の歯科医療機関がプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録した同一受診者の前記歯科衛生に係るデータ及び／又はカルテ情報は、第１の歯科医療機関が登録した当該受診者の情報とは独立して格納される。第１の歯科医療機関の歯科医師等が、第２の歯科医療機関がプライベートデータベース３３（ＤＢ３３）に登録した当該受診者の前記カルテ情報にリードオンリーでアクセスする場合も、前記手続きが必要である。

（変形例２）
　更新処理部４２は、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）が有するデータの更新処理を行うようにすることができる。外部機関が前記統計データの新たなバージョンのものを公開した場合、更新処理部４２は、新たなバージョンの前記統計データを、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に追加する。厚生労働省の「歯科疾患実態調査」は５年ごとに実施されるので、前記統計データが当該「歯科疾患実態調査」の調査結果である場合、更新処理部４２は、５年ごとに新たな調査結果をパブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に追加する。

　更新処理部４２は、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）を更新したときは、統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新の要否を判断する。更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新が必要であると判断したときは、統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新を行う。パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）の更新に伴う統合データベース３４（ＤＢ３４）の更新の場合も、歯科医療支援システムの運用前の段階で統合データベース３４（ＤＢ３４）に予め格納されている統計データがどのように形成されたかに応じた演算処理によって、更新処理部４２は統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新する。例えば、更新処理部４２は、男女別等の調査対象者及び受診者の属性別処理や、元データに対する補正処理を行っているかに応じた演算処理を、追加、置換、もしくは削除されるデータに対して行ったうえで、統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新する。

　パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）を更新した場合、更新処理部４２は、例えば、以下のように統合データベース３４（ＤＢ３４）を更新することができる。パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に新たに格納された新たなバージョンの前記統計データの分布と、パブリックデータベース３２（ＤＢ３２）に格納されていた前バージョンの前記統計データの分布とに、有意の差があるか否かを、更新処理部４２は評価する。有意の差の有無は、例えば、両バージョンの前記統計データの分布の重心及び／又は広がりの差異が所定の閾値の範囲内であるか否かで評価できる。前記両統計データの分布に有意の差がないとき、更新処理部４２は、前バージョンのすべての前記統計データに、新バージョンのすべての前記統計データを追加する。すなわち、更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）が含む前記統計データを、新旧バージョンの前記統計データを統合させたものとする。一方、前記両統計データの分布に有意の差があるときは、更新処理部４２は、統合データベース３４（ＤＢ３４）が含む前バージョンのすべての前記統計データを、新バージョンのすべての前記統計データに差し替える。

　歯科衛生に係る環境、国民の意識の変化の結果として、異なるバージョンの前記統計データの分布の重心及び／又は広がりに差異が生ずる。したがって、統合データベース３４（ＤＢ３４）が前バージョンより所定期間古いバージョンの前記統計データを含む場合、更新処理部４２は、新バージョンのすべての前記統計データを追加するときに、所定期間古いバージョンの前記統計データ、例えば、前々バージョンの前記統計データを削除するようにしてもよい。また、更新処理部４２は、新バージョンのすべての前記統計データを追加するときに、前バージョンデータの内、新バージョンの前記統計データの重心からの統計的距離が所定量離れたデータを削除してもよい。前記統計的距離、例えば、マハラノビス距離の算出は、既知の方法により行うことができる。また、更新処理部４２は、新旧バージョンを統合させた前記統計データの分布の重心からの各データの統計的距離を評価するようにしてもよい。そして、更新処理部４２は、新旧バージョンのいずれに属するかに係わらず、前記距離が所定距離よりも大きなデータを削除するようにしてもよい。新バージョンのすべての前記統計データを追加するときに、以上の削除処理のいずれか１つを更新処理部４２が行うことによって、統合データベース３４（ＤＢ３４）が含む前記統計データの母集団は、新しいバージョンの統計的性質を有しつつも、多くのデータ数を含むものとすることができる。したがって、統合データベース３４（ＤＢ３４）が含む前記統計データの信頼性が向上する。

（変形例３）
　シミュレーション部４３は、受診者の口内の現況評価（口内年齢）を行うために、人間の歯の状態を表す状態値と人間の年齢との間の関係を示す計算式を統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納された対照表に基づいて形成してもよい。受診者の口内の現況評価（口内年齢）を行う際に、シミュレーション部４３は、前記対照表に代えて前記計算式を用いることができる。また、シミュレーション部４３は、前記対照表及び前記計算式の両方で前記口内年齢を算出し、両方で算出した前記口内年齢の単純平均又は加重平均を採用するようにすることもできる。

　例えば、シミュレーション部４３は、前記対照表のデータから最小二乗法により一次関数、二次関数等の高次関数、対数関数、又は指数関数等の回帰式を作成する。次いで、シミュレーション部４３は、前記回帰式に基づいて、前記状態値から前記口内年齢を算出する前記計算式を形成する。前記計算式は、１つ計算式に限らず、一連の演算処理（例えば、スクリプトで表現された演算処理）であり得る。前記計算式は、全年齢に対して単一のものであっても、年齢範囲又は年齢階級ごとに別々のものであってもよい。

　歯の状態を表す同一又は異なる状態値についての複数の対照表が統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納されているときは、それぞれの対照表について前記計算式を形成することができる。シミュレーション部４３は、対照表に基づいて形成した前記計算式のタイプ、係数、及び適用される年齢の範囲など、前記状態値から前記計算式を用いて前記口内年齢を算出するための情報を対照表に対応付けて統合データベース３４（ＤＢ３４）に格納することができる。前記索引表は、前記計算式の識別番号、作成日時、更新日時、この基となった対照表の統計データの母集団の属性情報、これを用いた前記現況評価等の適用条件、及びこれを用いた前記現況評価等に必要な受診者のデータなどを含む。統合データベース３４（ＤＢ３４）のデータの更新が行われるたびに、統合データベース３４（ＤＢ３４）において更新されたデータ量が所定量に達するたびに、又は所定の期間ごとに、シミュレーション部３４は、前記計算式の形成を行う。

　上述の「１０年後のシミュレーション」、「２０年後のシミュレーション」、及び「シミュレーショングラフ」の具体例では、１０年後、２０年後、及び３０年後の口内年齢を、現在の口内年齢に、それぞれ経過年数を単純に加算したものとして、各歯の将来が予測された。しかしながら、前記１０年後、２０年後、及び３０年後の口内年齢は、所定係数を経過年数に乗じたものを、現在の口内年齢に加算したものとすることができる。例えば、前記係数は、現時点での実年齢に対する口内年齢の比率とすることができる。、すなわち、実年齢が３４歳で、口内年齢が３８歳である場合、前記係数は、３８／３４（＝１．１）とすることができる。また、各受診者の歯科衛生に係るデータが、受診者の歯肉／歯周の状況、生活習慣、及び健康状態に関する詳細情報を含む場合、前記詳細情報に応じたポイントを設定しておく。そして、前記係数は、ポイント総数に応じた値とすることができる。

　また、上述の「１０年後のシミュレーション」及び「２０年後のシミュレーション」の具体例では、現在の口内年齢に、それぞれ経過年数を単純に加算した１０年後及び２０年後の年齢における各歯の劣化可能性の指標（むし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率）により、各歯の将来が予測された。しかしながら、各受診者の歯科衛生に係るデータが、受診者の歯肉／歯周の状況、生活習慣、及び健康状態に関する詳細情報を含む場合、前記詳細情報に応じた係数を設定しておく。そして、前記係数によって各歯の前記指標を補正するようにしてもよい。

　また、上述の「１０年後のシミュレーション」及び「２０年後のシミュレーション」の具体例では、１０年後及び２０年後の口内年齢における各歯の劣化可能性の指標として、各歯のむし歯率、治療済み歯率、及び喪失歯率のみにより、各歯の将来が予測された。しかしながら、未処置歯のむし歯、クラウン（冠）装着されている歯、部分義歯の針金がかかる歯（鈎歯）、及び歯周疾患が進行している歯は、喪失歯に到るリスクが高いことが知られている。したがって、各受診者の歯科衛生に係るデータを用いて、喪失歯に到るリスクを評価し、リスクに応じた係数を、各歯の喪失歯率に乗ずる補正をすることもできる。前記リスクに応じた係数は、蓄積される受診者の歯科衛生に係るデータに基づいて修正することができる。

　以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲、および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。

Claims

　サーバと、前記サーバに通信回線を介して情報を送受信可能に接続された少なくとも１つの歯科医療機関の情報端末と、を備え、
　前記サーバは、
　外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データに、前記歯科医療機関の情報端末から随時送信される、当該歯科医療機関の各受診者の歯科情報を随時統合し、統合した統計データに基づいて、人間の歯全体の状態を総合する状態値と年齢の関係を示す対照表を作成する更新処理部と、
　前記各受診者の前記歯科情報と、前記対照表とに基づいて、前記各受診者の歯の状態を年齢で表す口内年齢を導出するシミュレーション部と、を備え、
　前記歯科医療機関の情報端末は、
　当該歯科医療機関の各受診者の歯科情報の入力を受け付けるための入力手段と、
　前記サーバから送信された前記口内年齢を表示する表示手段と、を備える
ことを特徴とする歯科医療支援システム。
　前記サーバが備える前記シミュレーション部は、前記所定の集団の所定年齢における各歯の劣化可能性の指標を形成することを特徴とする請求項１に記載の歯科医療支援システム。
　前記サーバが備える前記更新処理部は、
　前記外部機関が公開している前記所定の集団における人間の各歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データに、前記歯科医療機関の情報端末から随時送信される、当該歯科医療機関の各受診者の各歯の状態についての情報を随時統合し、統合した統計データに基づいて、各歯の劣化可能性の指標の年齢別データを形成し、
　前記サーバが備える前記シミュレーション部は、前記各歯の劣化可能性の指標の年齢別データから、前記所定年齢における各歯の劣化可能性の指標を抽出する、
ことを特徴とする請求項２に記載の歯科医療支援システム。
　前記所定年齢は、前記各受診者の現在の実年齢及び／又は前記実年齢に所定年数を加算した年齢であって、
　前記歯科医療機関の情報端末が備える前記表示手段は、前記サーバから送信され、当該情報端末が受信した前記所定年齢における各歯の劣化可能性の指標に基づいて形成された、前記各受診者の前記所定年齢における各歯の状態を示す口内画像を表示することを特徴とする請求項２又は３に記載の歯科医療支援システム。
　前記各受診者の前記歯科情報は、前記各受診者の歯肉／歯周の状況、生活習慣、及び健康状態から選択される少なくとも１つに関する詳細情報をさらに含み、
　前記劣化可能性の指標は、前記詳細情報に応じて設定された係数で補正されることを特徴とする請求項２～４のいずれか１項に記載の歯科医療支援システム。
　前記対照表は、前記所定の集団内の、特定の属性を有する部分集団についての前記統計データに、前記各受診者の内の、前記特定の属性を有する受診者の前記歯科情報を随時統合し、統合した統計データに基づいて作成されることを特徴とする請求項１～５のいずれか１項に記載の歯科医療支援システム。
　前記各受診者の前記歯科情報は、前記各受診者の各歯の状態を含み、
　前記歯科医療機関の情報端末が備える前記表示手段は、前記入力手段によって入力された前記各受診者の各歯の状態を示す口内画像を表示する
ことを特徴とする請求項１～６のいずれか１項に記載の歯科医療支援システム。
　前記サーバが備える前記更新処理部は、前記歯科医療機関の各受診者の歯科情報を新たに統合する場合、
　当該新たな統合前の統合した統計データに対する、新たに統合する前記歯科情報の有意の差の有無を評価し、
　有意の差がないと評価したときに当該新たな統合を行い、
　有意の差があると評価したときは当該新たな統合を行わないことを特徴とする請求項１～７のいずれか１項に記載の歯科医療支援システム。
　外部機関が公開している所定の集団における人間の歯の状態と人間の年齢との関係に関する統計データに、少なくとも１つの歯科医療機関から随時提供される、当該歯科医療機関の各受診者の歯科情報を随時統合し、統合した統計データに基づいて、人間の歯全体の状態を総合する状態値と年齢の関係を示す対照表を作成することと、
　前記各受診者の前記歯科情報と、前記対照表とに基づいて、前記各受診者の歯の状態を年齢で表す口内年齢を導出することと、
　を含む、
ことを特徴とする歯科医療支援方法。
　前記所定の集団の所定年齢における各歯の劣化可能性の指標を形成することと、
　前記所定年齢における各歯の劣化可能性の指標に基づいて、前記各受診者の前記所定年齢における各歯の状態を示す口内画像を形成することと、
　をさらに含み、
　前記所定年齢は、前記各受診者の現在の実年齢及び／又は前記実年齢に所定年数を加算した年齢であることを特徴とする請求項９に記載の歯科医療支援方法。