WO2023038064A1 - 光電変換素子、撮像素子、光センサ、化合物 - Google Patents

光電変換素子、撮像素子、光センサ、化合物 Download PDF

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寛記 杉浦
和平 金子
聖人 榊原
康智 米久田
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Definitions

  • a 1 above represents a group represented by formula (2), X 1 and X 4 above represent a sulfur atom, and X 2 and X 3 above represent a nitrogen atom, or [1] to [5, wherein A 1 above represents a group represented by formula (3), X 1 and X 3 above represent a sulfur atom, and X 2 and X 4 above represent a nitrogen atom; ]
  • the photoelectric conversion element according to any one of . [7] the group represented by the above formula (2) is a group represented by the formula (2′) described later,
  • the substituent which the above-described aryl group and heteroaryl group may have is selected from the substituents S described above.
  • the number of substituents may be 1 or more (eg, 1 to 4). * represents a binding position.
  • Fullerenes may be used singly or in combination of two or more.
  • the photoelectric conversion film is substantially composed only of the specific compound, the n-type semiconductor material, and the p-type semiconductor material.
  • the fact that the photoelectric conversion film is substantially composed only of the specific compound, the n-type semiconductor material, and the p-type semiconductor material means that the total content of the specific compound, the n-type semiconductor material, and the p-type semiconductor material is equal to the total content of the photoelectric conversion film. It means 95 to 100% by mass relative to the total mass.
  • Examples of methods for manufacturing the charge blocking film include dry film formation methods and wet film formation methods.
  • Dry film-forming methods include, for example, a vapor deposition method and a sputtering method.
  • the vapor deposition method may be a physical vapor deposition (PVD) method or a chemical vapor deposition (CVD) method, and a physical vapor deposition method such as a vacuum vapor deposition method is preferable.
  • Wet film formation methods include, for example, an inkjet method, a spray method, a nozzle printing method, a spin coating method, a dip coating method, a casting method, a die coating method, a roll coating method, a bar coating method and a gravure coating method, and high-precision patterning. From this point of view, the inkjet method is preferable.
  • the invention also relates to compounds.
  • the compound of the present invention has the same definition as the above specific compound, and the same preferred embodiment.
  • Relative ratio of dark current (highest dark current value among 10 devices)/(lowest dark current value among 10 devices) (Evaluation criteria) "AA”: relative ratio of dark current is less than 1.75 "A”: relative ratio of dark current is 1.75 or more and less than 2.0 "B”: relative ratio of dark current is 2.0 or more; Less than 5 “C”: The relative ratio of dark current is 2.5 or more and less than 3.0 "D”: The relative ratio of dark current is 3.0 or more and less than 3.5 "E”: The relative ratio of dark current is 3.5 or more

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Abstract

本発明の課題は、暗電流のばらつきを抑えて安定的に製造できる光電変換素子を提供することである。また、本発明の他の課題は、撮像素子、光センサ、及び化合物を提供することである。 本発明の光電変換素子は、導電性膜、光電変換膜、及び透明導電性膜をこの順で積層してなる光電変換素子であって、上記光電変換膜が、式(1)で表される化合物を少なくとも含む。

Description

光電変換素子、撮像素子、光センサ、化合物
 本発明は、光電変換素子、撮像素子、光センサ、及び化合物に関する。
 近年、光電変換膜を有する素子(例えば、撮像素子)の開発が進んでいる。
 例えば、特許文献1では、光電変換素子に適用される材料として、以下に示す化合物が開示されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000010
国際公開2014/026244号明細書
 近年、撮像素子及び光センサ等の性能向上の要求に伴い、これらに使用される光電変換素子に求められる諸特性の更なる向上が求められている。
 本発明者らは、特許文献1に開示されている化合物を用いた光電変換素子を複数作製して検討したところ、光電変換素子毎に暗電流の値が大きく異なる(換言すると、暗電流の値にばらつきが生じる)場合があることを明らかとした。すなわち、暗電流のばらつきを抑えて安定的に製造できる光電変換素子を検討する余地があることを明らかとした。
 そこで、本発明は、暗電流のばらつきを抑えて安定的に製造できる光電変換素子を提供することを課題とする。また、本発明は、撮像素子、光センサ、及び化合物の提供も課題とする。
 本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、所定の構造を有する化合物を光電変換膜に用いれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
 〔1〕 導電性膜、光電変換膜、及び透明導電性膜をこの順で積層してなる光電変換素子であって、上記光電変換膜が、後述する式(1)で表される化合物を少なくとも含む、光電変換素子。
 〔2〕 上記式(1)で表される化合物が、上記nが0を表す化合物であるか、又は、上記n、上記n、及び上記nがいずれも1を表す化合物である、〔1〕に記載の光電変換素子。
 〔3〕 上記X及び上記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表し、且つ、上記X及び上記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表す、〔1〕又は〔2〕に記載の光電変換素子。
 〔4〕 上記Ar及び上記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2の少なくとも1種を満たす、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 〔5〕 上記Ar及び上記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2’の少なくとも1種を満たす、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2’:置換基として、ハロゲン原子及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 〔6〕 上記Aが式(2)で表される基を表し、且つ、上記X及び上記Xが硫黄原子を表し、上記X及び上記Xが窒素原子を表すか、又は、
 上記Aが式(3)で表される基を表し、且つ、上記X及び上記Xが硫黄原子を表し、上記X及び上記Xが窒素原子を表す、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔7〕 上記式(2)で表される基が、後述する式(2’)で表される基であり、
 上記式(3)で表される基が、後述する式(3’)で表される基である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔8〕 上記式(2)で表される基が、後述する式(2’’)で表される基であり、
 上記式(3)で表される基が、後述する式(3’’)で表される基である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔9〕 上記Aが、上記式(3)で表される基を表す、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔10〕 上記Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す、〔9〕に記載の光電変換素子。
 〔11〕 上記式(1)で表される化合物の分子量が400~900である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔12〕 上記光電変換膜が、更にn型半導体を含む、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔13〕 上記n型半導体が、フラーレン及びその誘導体からなる群より選択されるフラーレン類を含む、〔12〕に記載の光電変換素子。
 〔14〕 上記光電変換膜が、更にp型半導体を含む、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔15〕 上記光電変換膜が、更に色素を含む、〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔16〕 上記導電性膜と上記透明導電性膜の間に、上記光電変換膜の他に1種以上の中間層を有する、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の光電変換素子。
 〔17〕 〔1〕~〔16〕のいずれかに記載の光電変換素子を有する、撮像素子。
 〔18〕 〔1〕~〔16〕のいずれかに記載の光電変換素子を有する、光センサ。
 〔19〕 後述する式(1)で表される化合物。
 〔20〕 上記式(1)で表される化合物が、上記nが0を表す化合物であるか、又は、上記n、上記n、及び上記nがいずれも1を表す化合物である、〔19〕に記載の化合物。
 〔21〕 上記X及び上記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表し、且つ、上記X及び上記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表す、〔19〕又は〔20〕に記載の化合物。
 〔22〕 上記Ar及び上記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2の少なくとも1種を満たす、〔19〕~〔21〕のいずれかに記載の化合物。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 〔23〕 上記Ar及び上記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2’の少なくとも1種を満たす、〔19〕~〔22〕のいずれかに記載の化合物。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2’:置換基として、ハロゲン原子及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 〔24〕 上記Aが式(2)で表される基を表し、且つ、上記X及び上記Xが硫黄原子を表し、上記X及び上記Xが窒素原子を表すか、又は、
 上記Aが式(3)で表される基を表し、且つ、上記X及び上記Xが硫黄原子を表し、上記X及び上記Xが窒素原子を表す、〔19〕~〔23〕のいずれかに記載の化合物。
 〔25〕 上記式(2)で表される基が、後述する式(2’)で表される基であり、
 上記式(3)で表される基が、後述する式(3’)で表される基である、〔19〕~〔24〕のいずれかに記載の化合物。
 〔26〕 上記式(2)で表される基が、後述する式(2’’)で表される基であり、
 上記式(3)で表される基が、後述する式(3’’)で表される基である、〔19〕~〔25〕のいずれかに記載の化合物。
 〔27〕 上記Aが、上記式(3)で表される基を表す、〔19〕~〔24〕のいずれかに記載の化合物。
 〔28〕 上記Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す、〔27〕に記載の化合物。
 〔29〕 上記式(1)で表される化合物の分子量が400~900である、〔19〕~〔28〕のいずれかに記載の化合物。
 本発明によれば、暗電流のばらつきを抑えて安定的に製造できる光電変換素子を提供することができる。また、本発明によれば、撮像素子、光センサ、及び化合物も提供できる。
光電変換素子の一構成例を示す断面模式図である。 光電変換素子の一構成例を示す断面模式図である。
 以下に、本発明の光電変換素子の好適実施形態について説明する。
 本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
 本明細書において、特定の符号で表示された置換基及び連結基等(以下、「置換基等」ともいう。)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。この点は、置換基等の数の規定についても同様である。
 本明細書において、水素原子は、軽水素原子(通常の水素原子)及び重水素原子(例えば、二重水素原子等)であってもよい。
 本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
 本明細書において、芳香環は、特段の断りがない限り、単環及び多環(例えば、2~6環等)のいずれであってもよい。単環の芳香環は、環構造として、1環の芳香環構造のみを有する芳香環である。多環(例えば、2~6環等)の芳香環は、環構造として複数(例えば、2~6等である)の芳香環構造が縮環している芳香環である。
 上記芳香環の環員原子の数は、5~15が好ましい。
 上記芳香環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよい。
 上記芳香環が芳香族複素環の場合、環員原子として有するヘテロ原子の数は、例えば、1~10である。上記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子及びホウ素原子が挙げられる。
 上記芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、及び、フェナントレン環が挙げられる。
 上記芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環(1,2,3-トリアジン環、1,2,4-トリアジン環、1,3,5-トリアジン環等)及びテトラジン環(1,2,4,5-テトラジン環等)、キノキサリン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾピロール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトピロール環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトイミダゾール環、ナフトオキサゾール環、3H-ピロリジン環、ピロロイミダゾール環(5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール環等)、イミダゾオキサゾール環(イミダゾ[2,1-b]オキサゾール環等)、チエノチアゾール環(チエノ[2,3-d]チアゾール環等)、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾジチオフェン環(ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン環等)、チエノチオフェン環(チエノ[3,2-b]チオフェン環等)、チアゾロチアゾール環(チアゾロ[5,4-d]チアゾール環等)、ナフトジチオフェン環(ナフト[2,3-b:6,7-b’]ジチオフェン環、ナフト[2,1-b:6,5-b’]ジチオフェン環、ナフト[1,2-b:5,6-b’]ジチオフェン環、1,8-ジチアジシクロペンタ[b,g]ナフタレン環等)、ベンゾチエノベンゾチオフェン環、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン環及び3,4,7,8-テトラチアジシクロペンタ[a,e]ペンタレン環が挙げられる。
 本明細書において、芳香環基という場合、例えば、上記芳香環から水素原子を1個以上(例えば、1~5等)除いてなる基が挙げられる。
 本明細書でアリール基という場合、例えば、上記芳香環のうちの芳香族炭化水素環に該当する環から水素原子を1個取り除いてなる基が挙げられる。
 本明細書でヘテロアリール基という場合、例えば、上記芳香環のうちの芳香族複素環に該当する環から水素原子を1個除いてなる基が挙げられる。
 本明細書でアリーレン基という場合、例えば、上記芳香環のうちの芳香族炭化水素環に該当する環から水素原子を2個除いてなる基が挙げられる。
 本明細書でヘテロアリーレン基という場合、例えば、上記芳香環のうちの芳香族複素環に該当する環から水素原子を2個除いてなる基が挙げられる。
 なお、式(1)で表される化合物中の、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基において、特に断りのない限り、アリール基及びヘテロアリール基としては、なかでも、単環及び2環~4環の多環が好ましく、単環及び2環がより好ましく、単環が更に好ましい。
 また、式(1)で表される化合物以外の化合物(具体的には、例えば、後述する、色素、p型半導体、及びn型半導体が挙げられる。)中の置換基を有してもよい芳香環において、芳香環が有してもよい置換基の種類は、特段の断りがない限り、例えば、後述する置換基Wが挙げられる。また、上記芳香環が置換基を有する場合の置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 また、式(1)で表される化合物以外の化合物(具体的には、例えば、後述する、色素、p型半導体、及びn型半導体が挙げられる。)中の、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよいヘテロアリール基において、これらの基が有してもよい置換基の種類は、特段の断りがない限り、例えば、後述する置換基Wが挙げられる。置換基を有してもよいこれらの基が置換基を有する場合の置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 また、本明細書において、式(1)で表される化合物について、「炭素数3以下の炭化水素基」と表す場合、炭素数3以下の炭化水素基としては、炭素数1~3のアルキル基、炭素数2又は3のアルケニル基、及び炭素数2又は3のアルキニル基が挙げられる。炭素数3以下の炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ビニル基、及びエチニル基等が挙げられる。「炭素数3以下の炭化水素基」は、更に置換基を有さないのが好ましい。
 また、本明細書において、式(1)で表される化合物は、置換基として、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、リン酸基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ヒドロキシ基、チオール基、アシルアミノ基、カルバモイル基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH))、及び/又は、1級アミノ基を有さないことも好ましい。
 本明細書において、式(1)で表される化合物以外の化合物(具体的には、例えば、後述する、色素、p型半導体、及びn型半導体が挙げられる。)において「置換基」と表すとき、「置換基」は、特段の断りがない限り、後述する置換基Wで例示される基が挙げられる。
(置換基W)
 本明細書における置換基Wについて記載する。
 置換基Wは、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等)、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、及び、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基及びビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基(ヘテロ環基といってもよい。)、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、2級又は3級のアミノ基(アニリノ基を含む。)、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、ウレイド基、ボロン酸基及び1級アミノ基が挙げられる。また、上述の各基は、可能な場合、更に置換基(例えば、上述の各基のうちの1以上の基)を有してもよい。例えば、置換基を有してもよいアルキル基も、置換基Wの一形態として含まれる。
 また、置換基Wが炭素原子を有する場合、置換基Wが有する炭素数は、例えば、1~20である。
 置換基Wが有する水素原子以外の原子の数は、例えば、1~30である。
 また、本明細書において、特段の断りがない限り、アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。
 アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。
 アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基及びシクロペンチル基が挙げられる。
 また、アルキル基は、例えば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基及びトリシクロアルキル基であってもよく、これらの環状構造を部分構造として有してもよい。
 置換基を有してもよいアルキル基において、アルキル基が有してもよい置換基は特に制限されず、例えば、置換基Wが挙げられ、アリール基(好ましくは炭素数6~18、より好ましくは炭素数6)、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数5~18、より好ましくは炭素数5~6)又はハロゲン原子(好ましくはフッ素原子又は塩素原子)が好ましい。
 本明細書において、特段の断りがない限り、アルコキシ基におけるアルキル基部分は上記アルキル基が好ましい。アルキルチオ基におけるアルキル基部分は上記アルキル基が好ましい。
 置換基を有してもよいアルコキシ基において、アルコキシ基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。置換基を有してもよいアルキルチオ基において、アルキルチオ基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
 本明細書において、特段の断りがない限り、アルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。上記アルケニル基の炭素数は、2~20が好ましい。置換基を有してもよいアルケニル基において、アルケニル基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
 本明細書において、特段の断りがない限り、アルキニル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。上記アルキニル基の炭素数は、2~20が好ましい。置換基を有してもよいアルキニル基において、アルキニル基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
 本明細書において、特段の断りがない限り、置換基を有してもよいシリル基としては、例えば、-Si(RS1)(RS2)(RS3)で表される基が挙げられる。RS1、RS2及びRS3は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表すことが好ましい。
 本明細書において、化学構造を示す一つの式(一般式)中に、基の種類、又は、数を示す同一の記号が複数存在する場合、特段の断りがない限り、それらの複数存在する同一の記号同士の内容はそれぞれ独立であり、同一の記号同士の内容は同一でもよいし異なっていてもよい。
 本明細書において、化学構造を示す一つの式(一般式)中に、同種の基(アルキル基等)が複数存在する場合、特段の断りがない限り、それらの複数存在する同種の基同士の具体的な内容はそれぞれ独立であり、同種の基同士の具体的な内容は同一でもよいし異なっていてもよい。
 本明細書において表記される2価の基(例えば、-CO-O-)の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる一般式で表される化合物中の、Yが-CO-O-である場合、上記化合物は「X-O-CO-Z」であってもよく「X-CO-O-Z」であってもよい。
 本明細書において、幾何異性体(シス-トランス異性体)を有し得る化合物に関して、上記化合物を表す一般式又は構造式が、便宜上、シス体及びトランス体のいずれか一方の形態でのみ記載される場合がある。このような場合であっても、特段の記載がない限り、上記化合物の形態がシス体及びトランス体のいずれか一方に限定されることはなく、上記化合物は、シス体及びトランス体のいずれの形態であってもよい。
[光電変換素子]
 本発明の光電変換素子は、導電性膜、光電変換膜、及び、透明導電性膜をこの順で有する光電変換素子であって、光電変換膜が、後述する式(1)で表される化合物(以下、「特定化合物」とも言う)を含む。
 本発明の光電変換素子がこのような構成をとることで上記課題を解決できるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
 すなわち、特定化合物は、主に、式(1)中の中央部に位置する3環からなる多環構造とその両端に配置されるn個のAr及びn個のArとから形成される母核を有している点、並びに、特定化合物が有していてもよい置換基種が所定種に限定されている点により、結晶性が比較的高い構造であると推測され、このため、特定化合物を使用して形成される光電変換膜は、暗電流のばらつきが抑制され安定した製造が可能となると考えている。
 更に、特定化合物は、上述の結晶性の高い構造に起因して電荷輸送性を担うことも可能である。その結果、例えば、光電変換膜が特定化合物を場合(特に、光電変換膜がn型半導体、p型半導体、及び特定化合物を含む場合)、上記光電変換膜を備えた光電変換素子は、光電変換効率及び光電変換効率の電界強度依存抑制性にもより優れると推測している。
 以下、暗電流のばらつきがより抑制されること、光電変換効率がより優れること、及び/又は、光電変換効率の電界強度依存抑制性がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」ともいう。
 図1に、本発明の光電変換素子の一実施形態の断面模式図を示す。
 図1に示す光電変換素子10aは、下部電極として機能する導電性膜(以下、「下部電極」ともいう。)11と、電子ブロッキング膜16Aと、後述する特定化合物を含む光電変換膜12と、上部電極として機能する透明導電性膜(以下、「上部電極」ともいう。)15と、がこの順に積層された構成を有する。
 図2に別の光電変換素子の構成例を示す。図2に示す光電変換素子10bは、下部電極11上に、電子ブロッキング膜16Aと、光電変換膜12と、正孔ブロッキング膜16Bと、上部電極15とがこの順に積層された構成を有する。なお、図1中及び図2中の電子ブロッキング膜16A、光電変換膜12及び正孔ブロッキング膜16Bの積層順は、用途及び特性に応じて、適宜変更してもよい。
 光電変換素子10a(又は10b)では、上部電極15を介して光電変換膜12に光が入射されることが好ましい。
 また、光電変換素子10a(又は10b)を使用する場合には、電圧を印加できる。この場合、下部電極11と上部電極15とが一対の電極を成して、この一対の電極間に、電圧を印加することが好ましい。
 上記電圧としては、1.0×10-5~1.0×10V/cmが好ましく、性能及び消費電力の点から、1.0×10-4~1.0×10V/cmがより好ましく、1.0×10-3~5.0×10V/cmが更に好ましい。
 なお、電圧印加方法については、図1及び図2において、電子ブロッキング膜16A側が陰極となり、光電変換膜12側が陽極となるように印加することが好ましい。光電変換素子10a(又は10b)を光センサとして使用した場合、また、撮像素子に組み込んだ場合も、同様の方法により電圧を印加できる。
 後段で、詳述するように、光電変換素子10a(又は10b)は撮像素子用途に好適に適用できる。
 以下に、本発明の光電変換素子を構成する各層の形態について詳述する。
〔光電変換膜〕
 光電変換膜は、特定化合物を含む膜である。
 以下、特定化合物について詳述する。
<式(1)で表される化合物(特定化合物)>
 特定化合物は、式(1)で表される化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はハロゲン原子を表す。
 R及びRとしては、本発明の効果がより優れる点で、水素原子を表すのが好ましい。
 X及びXのうち、一方は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は-NRa1-を表し、他方は、-CRa2=又は窒素原子を表す。
 本発明の効果がより優れる点で、なかでも、X及びXのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表すのが好ましく、X及びXのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は窒素原子を表すのがより好ましい。
 X及びXのうち、一方は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は-NRa1-を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表す。
 本発明の効果がより優れる点で、なかでも、X及びXのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表すのが好ましく、X及びXのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は窒素原子を表すのがより好ましい。
 X~Xの組み合わせの好適態様としては、例えば、以下の態様が挙げられる。
 (1)X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが-CRa2=を表す。
 (2)X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す。
 (3)X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが-CRa2=を表す。
 (4)X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す。
 Ra1は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
 上述のアリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、以下に示す置換基Sから選ばれる。また、アリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
(置換基S)
 炭素数3以下の炭化水素基;ハロゲン原子;シアノ基;トリフルオロメチル基
 Ra1としては、本発明の効果がより優れる点で、水素原子が好ましい。
 Ra2は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
 上述のアリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、アリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 Ra2としては、本発明の効果がより優れる点で、水素原子が好ましい。
 Aは、下記式(2)で表される基又は下記式(3)で表される基を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 式(2)中、X及びXは、各々独立に、-CRa3=又は窒素原子を表す。
 X及びXとしては、本発明の効果がより優れる点で、いずれも-CRa3=であることが好ましい。
 Ra3は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を表す。なお、式(2)中に2つのRa3が存在する場合、2つのRa3は、各々同一であっても異なっていてもよい。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、アリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 *は、結合位置を表す。
 式(3)中、Rは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、-SiRZ10Z11-、又は-GeRZ12Z13-を表す。
 Rとしては、本発明の効果がより優れる点で、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表すのが好ましい。
 RZ8~RZ13は、各々独立に、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
 上述のアリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、アリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 *は、結合位置を表す。
 式(2)又は式(3)で表される基中の*は、既述のとおり結合位置を表し、この結合位置において、Aに隣接する2つの5員環と結合して3環からなる多環構造を構成する。この3環からなる多環構造の具体的としては、例えば、以下の構造が一例として挙げられる。なお、以下に挙げる構造は、いずれも、X及びXのうちの一方が硫黄原子を表し、他方が-CRa2=又は窒素原子を表し、且つ、X及びXのうちの一方が硫黄原子を表し、他方が-CRa2=又は窒素原子を表す場合に相当する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 特定化合物の母核の好適な一態様として、Aが式(3)で表される基を表す態様が挙げられる。
 また、特定化合物の母核の好適な一態様として、Aが式(3)で表される基を表し、且つ、Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す態様も挙げられる。
 また、特定化合物の母核の好適な一態様として、母核中の上述の3環からなる多環構造が窒素原子を含む態様が挙げられる。母核中の3環からなる多環構造が窒素原子を含む好適態様としては、例えば、以下の態様が挙げられる。
(1)Aが式(2)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す(上記式(A1-1)が該当)。
(2)Aが式(3)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す(上記式(A1-6)が該当)。
 上記(1)の態様の場合、X及びXが-CRa3=を表すのも好ましい。
 また、特定化合物の母核の好適な一態様として、上記式(2)で表される基が、下記式(2’)で表される基(より好ましくは、下記式(2’’)で表される基)である態様が挙げられる。
 また、特定化合物の母核の好適な一態様として、上記式(3)で表される基が、下記式(3’)で表される基(より好ましくは、下記式(3’’)で表される基)である態様が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 式(2’)中、A及びAは、各々独立に、置換基を有していてもよい単環のアリール基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。但し、上記置換基は、既述の置換基Sから選ばれる基である。また、上述の単環のアリール基又は単環のヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。なお、ここで指す置換基とは、式(2’)中に明示されるR以外に有し得る置換基を意図する。
 Rは、ハロゲン原子又は炭素数3以下の炭化水素基を表す。なお、Aにおいて、式中に明示されるフェニレン基との結合位置及びRで表される置換基との結合位置は、炭素原子が配置されており、2つの上記炭素原子は隣接して存在している。また、Aにおいて、式中に明示されるフェニレン基との結合位置及びRで表される置換基との結合位置は、炭素原子が配置されており、2つの上記炭素原子は隣接して存在している。
 なお、式(2’)中の2つのRは、各々同一であっても異なっていてもよい。
 *は、結合位置を表す。
 式(3’)中、A及びAは、各々独立に、置換基を有していてもよい単環のアリール基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。但し、上記置換基は、既述の置換基Sから選ばれる基である。また、上述の単環のアリール基又は単環のヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 Zは、炭素原子、珪素原子、又はゲルマニウム原子を表す。Zとしては、炭素原子又は珪素原子であるのが好ましい。
 *は、結合位置を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 式(2’’)中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数3以下の炭化水素基を表す。なお、式(2’’)中の4つのRは、各々同一であっても異なっていてもよい。
 *は、結合位置を表す。
 式(3’’)中、Zは、炭素原子、珪素原子、又はゲルマニウム原子を表す。Zとしては、なかでも、炭素原子又は珪素原子であるのが好ましい。
 *は、結合位置を表す。
 nが0又は1であり、且つ、nが1の場合、Arは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表し、nが0又は1であり、且つ、nが0の場合、Arは、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。なお、nが0を表す場合には、後段部にて示すように、式(1)中の-(Ar)n-で表される部位は存在せず、例えば、nが1の場合においては、母核中の3環の多環構造と、式(1)中に明示される、Rが置換した炭素原子とが直接結合する。
 また、nが2であり、且つ、nが1の場合、2つのArは、各々独立に、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表し、nが2であり、且つ、nが0の場合、2つのArのうちの端部のArは、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表し、他方のArは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表す。
 Arで表される上述の単環若しくは2環のアリーレン基、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基、アリール基、及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述の単環若しくは2環のアリーレン基、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基、アリール基、及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 Arは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表す。
 Arで表される上述の単環若しくは2環のアリーレン基、及び、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述の単環若しくは2環のアリーレン基、及び、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 なお、nが0を表す場合には、式(1)中の-(Ar)n-で表される部位は存在せず、母核中の3環の多環構造と、式(1)中に明示される、Rが置換する炭素原子とが直接結合する。
 なお、nが2の場合、2つのArは、各々同一であっても異なっていてもよい。
 Ar及びArのうち少なくとも一方は、特定化合物のイオン化ポテンシャルがより適切になって本発明の効果がより優れる点で、以下の条件X1及びX2の少なくとも1種を満たすのが好ましく、以下の条件X1及びX2’の少なくとも1種を満たすのがより好ましい。
 条件X1:環構造内に-N=を含む(換言すると、環構造内に環員原子構造として-N=を含む)。
 条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 条件X2’:置換基として、ハロゲン原子及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 Y及びYは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、=NRZ1、又はCRZ2Z3を表す。Y及びYとしては、本発明の効果がより優れる点で、なかでも、酸素原子であるのが好ましい。
 RZ1は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
 RZ1で表されるアリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 RZ2及びRZ3は、各々独立に、シアノ基、-COZ4、-C(=O)RZ5、-S(=O)RZ6、又は-S(=O)Z7を表す。
 RZ4~RZ7は、各々独立に、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
 RZ4~RZ7で表されるアリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 Aは、少なくとも2つの炭素原子を含む環構造を表す。なお、2つの炭素原子とは、式(1)中のYが結合する炭素原子と、Yが結合する炭素原子に隣接する炭素原子とを意図し、いずれの炭素原子もAを構成する原子である。
 Aの炭素数としては、3~30が好ましく、3~20がより好ましく、3~15が更に好ましい。なお、上記炭素数は、上述の、環構造中に含まれる2個の炭素原子を含む数である。
 Aは、ヘテロ原子を有していてもよく、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子が挙げられ、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
 Aは、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表すのが好ましい。アリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 A中のヘテロ原子の数としては、0~10が好ましく、0~5がより好ましく、0~2が更に好ましい。なお、上記ヘテロ原子の数は、式(1)中のYで表される基が含むヘテロ原子、及び、Aが有し得る置換基中に含まれるヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子)の数を含まない数である。
 Aは、芳香族性を示してもよく、示さなくてもよい。
 Aは、単環構造でもよく、縮環構造でもよいが、5員環、6員環、又は、5員環及び6員環の少なくともいずれかを含む縮合環であるのが好ましい。上記縮合環を形成する環の数としては、2~4が好ましく、2~3がより好ましい。
 Aで表される環としては、なかでも、下記式(AX1)で表される基を有しているのが好ましい。なお、*は、式(1)中に明示されるYが結合する炭素原子との結合位置を表し、*は、式(1)中に明示されるYが結合する炭素原子に隣接する炭素原子との結合位置を表す。
-L-V-W-*     (AX1)
 式(AX1)中、Lは、単結合又は-NR-を表す。
 Rは、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
 上述のアリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、アリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 Vは、-CRV1=CRV2-、-CS-、-CO-、-CS-NRV3-、-CO-NRV4-、-NRV5-、又は-N=を表し、なかでも、-CO-NRV4、-NRV5-、又は-CRV1=CRV2-が好ましい。
 RV1~RV5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。アリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 また、Vが-CRV1=CRV2-を表す場合、RV1とRV2とは互いに連結して環を形成するのが好ましく、RV1とRV2とは互いに連結してベンゼン環を形成するのがより好ましい。
 Wは、単結合、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-CS-、-C[=N(CN)]-、-C[=C(CN)]-、=CCN-、=CCF-、又は、-C(CN)=CRW1-を表し、なかでも、=CCN-、=CCF-、-C[=C(CN)]-、又は-CO-が好ましい。
 RW1は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。アリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 なお、上記、L、V、及びWの組み合わせとしては、-L-V-W-と式(1)中に明示される上述の2個の炭素原子とが結合して形成される環が、5員環又は6員環となる組み合わせが好ましい。ただし、上述の通り上記5員環又は6員環は、更に異なる環(好ましくはベンゼン環)と縮環して、縮環構造を形成していてもよい。
 式(AX1)で表される基としては、例えば、式(AX2)で表される基、*1-NR-CS-NRV5-CO-*2、*1-NR-CO-NRV5-CO-*2、*1-NR-CO-C(CN)=CRW1-*2、*1-NR-CS-S-*2、*1-NR-CO-S-*2、*1-NR-NRV5-CO-*2、*1-NR-N=CCN-*2、及び、*1-NR-N=CCF-*2等が挙げられる。なお、上記R、RV5、及びRW1は既述のとおりである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
 式(AX2)中、RV7~RV10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。アリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 RV7~RV10としては、なかでも、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子が好ましく、水素原子、塩素原子、又はフッ素原子がより好ましい。
 RV7とRV8とは互いに連結して環を形成していてもよく、RV8とRV9とは互いに連結して環を形成していてもよく、RV9とRV10とは互いに連結して環を形成していてもよい。RV7とRV8、RV8とRV9、及びRV9とRV10とが、それぞれ互いに連結して形成する環はベンゼン環が好ましい。なかでも、RV8とRV9とが互いに連結して環を形成するのが好ましく、RV8とRV9とが互いに連結して形成される環はベンゼン環が好ましい。なお、RV8とRV9とが互いに連結して形成される環には、更に置換基が置換していてもよい。置換基としては、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。アリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、既述の置換基Sから選ばれる。また、上述のアリール基及びヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は1以上(例えば、1~4等)であればよい。
 式(AX3)中の*、*、及びWは、上述した式(AX1)中の*、*、Wと同義であり、好適態様も同じである。
 Aは、少なくとも2つの炭素原子を含む環構造を表す。なお、2つの炭素原子とは、式(1)中のYが結合する炭素原子と、Yが結合する炭素原子に隣接する炭素原子とを意図し、いずれの炭素原子もAを構成する原子である。Aで表される環としては、Aで表される環と同義であり、好適態様も同じである。なお、Aで表される環についても、Aで表される環と同様に、上述の式(AX1)で表される基等を有しているのが好ましい。この場合、*は、式(1)中に明示されるYが結合する炭素原子との結合位置を表し、*は、式(1)中に明示されるYが結合する炭素原子に隣接する炭素原子との結合位置を表す。
 このようなA及びAで表される環としては、通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましい。
 n及びnは、各々独立に、0~2の整数を表す。但し、nとnの合計は1以上である。
 nは、0又は1を表す。
 nが0のとき、nとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
 nが1のとき、nとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
 なお、例えば、式(1)中のn及びnがいずれも0である場合、式(1)で表される化合物は、以下の構造で表される(なお、以下の構造中、nは、1又は2を表す)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
 また、例えば、式(1)中のnが2である場合、式(1)で表される化合物は、以下の構造で表される(なお、以下の構造中、nは、0又は1を表し、nは、0~2の整数を表す)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
 式(1)において、nとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
 特定化合物としては、nが0を表す化合物であるか、又は、n、n、及びnがいずれも1を表す化合物であることが好ましい。特定化合物は、nが0を表す化合物である場合には、下記式(1A)で表される化合物に相当し、n、n、及びnがいずれも1を表す化合物である場合には、下記式(1B)で表される化合物に相当する。
 式(1A)中、R、X、X、X、X、Ar、Ar、Y、A、A、n、及びnは、式(1)中のR、X、X、X、X、Ar、Ar、Y、A、A、n、及びnと同義であり好適態様も同じである。
 式(1B)中、R、R、X、X、X、X、Ar、Ar、Y、Y、A、A、及びAは、式(1)中のR、R、X、X、X、X、Ar、Ar、Y、Y、A、A、及びAと同義であり好適態様も同じである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
 以下において特定化合物の具体例を示すが、本発明における特定化合物はこれに制限されない。
《式(1A)で表される化合物の具体例》
 以下、式(1A)で表される化合物に該当する特定化合物の具体例を示す。
 以下においては、特定化合物を構造部位1(酸性核)と構造部位2(母核)の2つの構造に分けて示す。より具体的には、特定化合物は、以下に例示される≪構造部位1群≫から選択される任意の1種の構造部位1と≪構造部位2群≫から選択される任意の1種の構造部位2とを、構造部位1及び構造部位2の各構造部位中に示される結合位置(*)で結合させた化合物に該当する。例えば、≪構造部位1群≫の左上端部と≪構造部位2群≫の左上端部とを各々選択した場合、特定化合物は以下に示す構造に該当する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
≪構造部位1群≫
 以下に、構造部位1群を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000022
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000023
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000024
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000025
≪構造部位2群≫
 以下に、構造部位2群を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
《式(1B)で表される化合物の具体例》
 以下、式(1B)で表される化合物に該当する特定化合物の具体例を示す。
 以下においては、特定化合物を構造部位1(酸性核)と構造部位3(母核)とに分けて示す。より具体的には、特定化合物は、上段部において例示された≪構造部位1群≫から選択される任意の2種の構造部位1と、≪構造部位3群≫から選択される任意の1種の構造部位3とを、構造部位1及び構造部位3の各構造部位中に示される結合位置(*)で結合させた化合物に該当する。換言すると、特定化合物は、構造部位3中に示される2つの結合位置(*)が、各々、上段部において例示された≪構造部位1群≫から選択される2種の任意の構造部位1の結合位置(*)と各々結合する。特定化合物において、2つの構造部位1は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000034
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
 特定化合物の分子量は、400以上が好ましく、600以上がより好ましい。上限は、1200以下が好ましく、1000以下がより好ましく、900以下が更に好ましい。
 分子量が1200以下であれば、蒸着温度が高くならず、化合物の分解が起こりにくい。分子量が400以上であれば、蒸着膜のガラス転移点が低くならず、光電変換素子の耐熱性が向上する。
 特定化合物は、撮像素子、光センサ、又は、光電池に用いる光電変換膜の材料として特に有用である。また、特定化合物は、着色材料、液晶材料、有機半導体材料、電荷輸送材料、医薬材料、及び、蛍光診断薬材料としても使用できる。
 特定化合物の極大吸収波長は、例えば、300~700nmの範囲にあることが好ましく、400~600nmの範囲にあることがより好ましい。
 なお、上記極大吸収波長は、特定化合物の吸収スペクトルを吸光度が0.5~1になる程度の濃度に調整して溶液状態(溶剤:クロロホルム)で測定した値である。ただし、特定化合物がクロロホルムに溶解しない場合は、特定化合物を蒸着し、膜状態にした特定化合物を用いて測定した値を特定化合物の極大吸収波長とする。
 光電変換膜の極大吸収波長は、例えば、300~700nmの範囲にあることが好ましく、400~700nmの範囲にあることがより好ましい。
 特定化合物は、色素、p型半導体材料(正孔の輸送性に優れる材料)、及び、n型半導体材料(電子の輸送性に優れる材料)としても使用できる。
 特定化合物をp型半導体材料として使用する場合、その特定化合物のイオン化ポテンシャルは、5.0~6.0eVが好ましい。
 また、特定化合物をn型半導体材料として使用する場合、その特定化合物の電子親和力は、3.0~4.5eVが好ましい。
 本明細書において、電子親和力の値としてGaussian‘09(ソフトウェア、Gaussian社製)を用いてB3LYP/6-31G(d)の計算により求められるLUMOの値の反数の値(マイナス1を掛けた値)を用いる。
 光電変換素子の応答性の点から、光電変換膜中の特定化合物の含有量(=特定化合物の単層換算での膜厚/光電変換膜の膜厚×100)は、15~85体積%が好ましい。
 光電変換素子が特定化合物を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
<n型半導体材料>
 光電変換膜は、特定化合物以外に、n型半導体材料を含むことが好ましい。
 n型半導体材料は、アクセプター性有機半導体材料(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。
 更に詳しくは、n型半導体材料は、上述の特定化合物と接触させて用いた場合に、特定化合物よりも電子親和力の大きい有機化合物が好ましい。
 また、n型半導体材料は、後述の色素と接触させて用いた場合に、色素よりも電子親和力の大きい有機化合物であることが好ましい。
 n型半導体材料の電子親和力は、3.0~5.0eVが好ましい。
 n型半導体材料は、例えば、フラーレン及びその誘導体からなる群から選択されるフラーレン類、縮合芳香族炭素環化合物(例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体及びフルオランテン誘導体等);窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1種以上を有する5~7員環のヘテロ環化合物(例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール及びチアゾール等);ポリアリーレン化合物;フルオレン化合物;シクロペンタジエン化合物;シリル化合物;1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物;1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物イミド誘導体、オキサジアゾール誘導体;アントラキノジメタン誘導体;ジフェニルキノン誘導体;バソクプロイン、バソフェナントロリン及びこれらの誘導体;トリアゾール化合物;ジスチリルアリーレン誘導体;含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体;シロール化合物;並びに、特開2006-100767号公報の段落[0056]~[0057]に記載の化合物が挙げられる。
 n型半導体材料は、フラーレン及びその誘導体からなる群から選択されるフラーレン類を含むことが好ましい。
 フラーレンは、例えば、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレンC540及びミックスドフラーレンが挙げられる。
 フラーレン誘導体は、例えば、上記フラーレンに置換基が付加した化合物が挙げられる。置換基としては、アルキル基、アリール基、又は複素環基が好ましい。フラーレン誘導体としては、特開2007-123707号公報に記載の化合物が好ましい。
 光電変換膜がn型半導体材料を含む場合、光電変換膜中のn型半導体材料の含有量(=n型半導体材料の単層換算での膜厚/光電変換膜の膜厚×100)は、15~75体積%が好ましく、20~60体積%がより好ましく、25~50体積%が更に好ましい。
 n型半導体材料は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
 また、n型半導体材料がフラーレン類を含む場合、n型半導体材料の合計の含有量に対する、フラーレン類の含有量(=(フラーレン類の単層換算での膜厚/単層換算した各n型半導体材料の膜厚の合計)×100)は、50~100体積%が好ましく、80~100体積%がより好ましい。
 フラーレン類は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
 n型半導体材料の分子量は、200~1200が好ましく、200~1000がより好ましい。
<p型半導体材料>
 光電変換膜は、特定化合物以外に、p型半導体材料を含むことも好ましい。
 p型半導体材料は、ドナー性有機半導体材料(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。具体的には、p型半導体材料とは、光電変換膜中の特定化合よりも正孔輸送性に優れる有機化合物が好ましく、特定化合物及び後述する色素のいずれよりも正孔輸送性に優れる有機化合物がより好ましい。
 本明細書において、化合物の正孔輸送性(正孔キャリア移動度)は、例えば、Time-of-Flight法(例えば、飛程時間法及びTOF法等)又は電界効果トランジスタ素子を用いて評価できる。
 p型半導体材料の正孔キャリア移動度は、10-4cm/V・s以上が好ましく、10-3cm/V・s以上がより好ましく、10-2cm/V・s以上が更に好ましい。上限は、光照射していない状態で微量の電流が流れることを抑制する点から、10cm/V・s以下が好ましい。
 また、p型半導体材料は、光電変換膜中の特定化合物よりもイオン化ポテンシャルが小さいことも好ましく、特定化合物及び後述する色素のいずれよりもイオン化ポテンシャルが小さいことがより好ましい。
 p型半導体材料は、例えば、トリアリールアミン化合物(例えば、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TPD)、4,4’-ビス[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル(α-NPD)、特開2011-228614号公報の段落[0128]~[0148]に記載の化合物、特開2011-176259号公報の段落[0052]~[0063]に記載の化合物、特開2011-225544号公報の段落[0119]~[0158]に記載の化合物、特開2015-153910号公報の[0044]~[0051]に記載の化合物及び特開2012-094660号公報の段落[0086]~[0090]に記載の化合物等)、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物(例えば、チエノチオフェン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ベンゾジチオフェン誘導体、ジチエノチオフェン誘導体、[1]ベンゾチエノ[3,2-b]チオフェン(BTBT)誘導体、チエノ[3,2-f:4,5-f’]ビス[1]ベンゾチオフェン(TBBT)誘導体、特開2018-14474号の段落[0031]~[0036]に記載の化合物、WO2016-194630号の段落[0043]~[0045]に記載の化合物、WO2017-159684号の段落[0025]~[0037]、[0099]~[0109]に記載の化合物、特開2017-076766号公報の段落[0029]~[0034]に記載の化合物、WO2018-207722の段落[0015]~[0025]に記載の化合物、特開2019-54228の段落[0045]~[0053]に記載の化合物、WO2019-058995の段落[0045]~[0055]に記載の化合物、WO2019-081416の段落[0063]~[0089]に記載の化合物、特開2019-80052の段落[0033]~[0036]に記載の化合物、WO2019-054125の段落[0044]~[0054]に記載の化合物及びWO2019-093188の段落[0041]~[0046]に記載の化合物等)、シアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体及びフルオランテン誘導体等)、ポルフィリン化合物、フタロシアニン化合物、トリアゾール化合物、オキサジアゾール化合物、イミダゾール化合物、ポリアリールアルカン化合物、ピラゾロン化合物、アミノ置換カルコン化合物、オキサゾール化合物、フルオレノン化合物、シラザン化合物、並びに、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体が挙げられる。
 また、p型半導体材料は、式(p1)~式(p6)のいずれかで表される化合物も好ましく、式(p1)で表される化合物がより好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000036
 式(p1)~式(p6)中、2つ存在するRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
 上記置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、(ヘテロ)アリールチオ基、アルキルアミノ基、(ヘテロ)アリールアミノ基及び(ヘテロ)アリール基が挙げられる。上記置換基は、更に置換基を有していてもよい。具体的には、(ヘテロ)アリール基は、更に置換基を有してもよいアリールアリール基(ビアリール基)が挙げられる。なお、上記ビアリール基を構成する2つのアリール基の少なくとも一方が、ヘテロアリール基であってもよい。
 「(ヘテロ)アリール基」は、アリール基及びヘテロアリール基の両方を含む概念である。具体的には、「(ヘテロ)アリールチオ基」である場合、アリールチオ基及びヘテロアリールチオ基のいずれであってもよい。
 また、Rとしては、国際公開第2019-081416号に記載の式(IX)におけるRで表される基も好ましい。
 X及びYは、それぞれ独立に、-CR -、硫黄原子(-S-)、酸素原子(-O-)、-NR-又は-SiR -を表す。
 Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくはメチル基又はトリフルオロメチル基)、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。2以上存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
 Arは、芳香環基を表す。Arとしては、ベンゼン環基が好ましい。
 上記芳香環基は、単環及び多環(例えば、2環、3環及び4環等)のいずれであってもよい。
 光電変換膜がp型半導体材料を含む場合、光電変換膜中のp型半導体材料の含有量(=p型半導体材料の単層換算での膜厚/光電変換膜の膜厚×100)は、15~75体積%が好ましく、20~60体積%がより好ましく、25~50体積%が更に好ましい。
 p型半導体材料は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
<色素>
 光電変換膜は、特定化合物以外に、色素を含んでいてもよい。
 上記色素としては、有機色素が好ましい。
 上記色素は、例えば、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、ロダシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、キノキサリン色素、ジフェニルアミン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ジオキサン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素、金属錯体色素、特開2014-082483号公報の段落[0083]~[0089]に記載の化合物、特開2009-167348号公報の段落[0029]~[0033]に記載の化合物、特開2012-077064号公報の段落[0197]~[0227]に記載の化合物、WO2018-105269号公報の段落[0035]~[0038]に記載の化合物、WO2018-186389号公報の段落[0041]~[0043]に記載の化合物、WO2018-186397号公報の段落[0059]~[0062]に記載の化合物、WO2019-009249号公報の段落[0078]~[0083]に記載の化合物、WO2019-049946号公報の段落[0054]~[0056]に記載の化合物、WO2019-054327号公報の段落[0059]~[0063]に記載の化合物、WO2019-098161号公報の段落[0086]~[0087]に記載の化合物及びWO2020-013246号公報の段落[0085]~[0114]に記載の化合物が挙げられる。
 光電変換膜中の色素の含有量(=色素の単層換算での膜厚/光電変換膜の膜厚×100)は、1~85体積%が好ましく、5~60体積%がより好ましく、10~40体積%が更に好ましい。
 光電変換膜中における、特定化合物と色素との合計の含有量に対する、色素の含有量(=(色素の単層換算での膜厚/(特定化合物の単層換算での膜厚+色素の単層換算での膜厚)×100))は、1~75体積%が好ましく、5~65体積%がより好ましく、10~60体積%が更に好ましい。
 色素は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
 色素の極大吸収波長は、例えば、400~700nmの範囲にあることが好ましく、400~650nmの範囲にあることがより好ましい。
 なお、上記極大吸収波長は、色素の吸収スペクトルを吸光度が0.5~1になる程度の濃度に調整して溶液状態(溶剤:クロロホルム)で測定した値である。ただし、色素がクロロホルムに溶解しない場合は、色素を蒸着し、膜状態にした色素を用いて測定した値を色素の極大吸収波長とする。
 光電変換膜は、実質的に、特定化合物とn型半導体材料とp型半導体材料のみから構成されることも好ましい。光電変換膜が実質的に、特定化合物とn型半導体材料とp型半導体材料のみから構成されるとは、特定化合物とn型半導体材料とp型半導体材料の合計含有量が、光電変換膜の全質量に対して、95~100質量%であることを意味する。
 光電変換膜は、実質的に、特定化合物と色素とn型半導体材料とp型半導体材料のみから構成されることも好ましい。光電変換膜が実質的に、特定化合物と色素とn型半導体材料とp型半導体材料とのみから構成されるとは、特定化合物とn型半導体材料とp型半導体材料と色素の合計含有量が、光電変換膜の全質量に対して、95~100質量%であることを意味する。
 また、光電変換膜がn型半導体材料及び/又はp型半導体材料を含む場合、光電変換膜は、特定化合物とn型半導体材料及び/又はp型半導体材料とが混合された状態で形成される混合層であることが好ましい。
 光電変換膜が色素とn型半導体材料及び/又はp型半導体材料とを含む場合、光電変換膜は、特定化合物と色素とn型半導体材料及び/又はp型半導体材料とが混合された状態で形成される混合層であることが好ましい。
 混合層は、単一の層の中において、2種以上の材料が混合されている層である。
 特定化合物を含む光電変換膜は非発光性膜であり、有機電界発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)とは異なる性質を有する。非発光性膜とは、発光量子効率が1%以下の膜を意味し、発光量子効率は0.5%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましい。
<成膜方法>
 光電変換膜の成膜方法としては、例えば、乾式成膜法により成膜する方法が挙げられる。
 乾式成膜法は、例えば、蒸着法(例えば、真空蒸着法等)、スパッタ法、イオンプレーティング法及びMBE(Molecular Beam Epitaxy)法等の物理気相成長法、並びに、プラズマ重合等のCVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられ、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法により光電変換膜を成膜する場合、真空度及び蒸着温度等の製造条件は、常法に従って設定できる。
 光電変換膜の厚みは、10~1000nmが好ましく、50~800nmがより好ましく、50~500nmが更に好ましく、50~400nmが特に好ましい。
〔電極(導電性膜)〕
 電極(上部電極(透明導電性膜)15と下部電極(導電性膜)11)は、導電性材料から構成される。導電性材料は、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
 上部電極15から光が入射されるため、上部電極15は、検知したい光に対して透明であることが好ましい。上部電極15を構成する材料としては、例えば、アンチモン又はフッ素等をドープした酸化錫(ATO:Antimony Tin Oxide、又は、FTO:Fluorine doped Tin Oxide)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)及び酸化亜鉛インジウム(IZO:Indium zinc oxide)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム及びニッケル等の金属薄膜;これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;ポリアニリン、ポリチオフェン及びポリピロール等の有機導電性材料;並びに、グラフェン及びカーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられ、高導電性及び透明性の点から、導電性金属酸化物が好ましい。
 通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加する一方で、本実施形態にかかる光電変換素子を組み込んだ固体撮像素子では、シート抵抗は、例えば、100~10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。また、上部電極(透明導電性膜)15は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換膜での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、好ましい。薄膜化に伴う、リーク電流の抑制、薄膜の抵抗値の増大及び透過率の増加を考慮すると、上部電極15の膜厚は、5~100nmが好ましく、5~20nmがより好ましい。
 下部電極11は、用途に応じて、透明性を持たせる場合と、逆に透明性を持たせず光を反射させる場合とがある。下部電極11を構成する材料は、例えば、アンチモン又はフッ素等をドープした酸化錫(ATO又はFTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)及び酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン及びアルミ等の金属、並びに、これらの金属の酸化物又は窒化物等の導電性化合物(例えば、窒化チタン(TiN)等);これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;ポリアニリン、ポリチオフェン及び、ポリピロール等の有機導電性材料;並びに、グラフェン及びカーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。
 電極を形成する方法は、電極材料に応じて適宜選択できる。具体的には、印刷方式及びコーティング方式等の湿式方式;真空蒸着法、スパッタ法及びイオンプレーティング法等の物理的方式;並びに、CVD及びプラズマCVD法等の化学的方式が挙げられる。
 電極の材料がITOの場合、電子ビーム法、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(例えば、ゾル-ゲル法等)及び酸化インジウムスズの分散物の塗布等の方法が挙げられる。
〔電荷ブロッキング膜:電子ブロッキング膜、正孔ブロッキング膜〕
 本発明の光電変換素子は、導電性膜と透明導電性膜との間に、光電変換膜の他に1種以上の中間層を有していることも好ましい。
 上記中間層としては、例えば、電荷ブロッキング膜が挙げられる。光電変換素子が上記膜を有することにより、得られる光電変換素子の特性(例えば、光電変換効率及び応答性等)がより優れる。電荷ブロッキング膜としては、例えば、電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜が挙げられる。以下に、それぞれの膜について詳述する。
<電子ブロッキング膜>
 電子ブロッキング膜は、ドナー性有機半導体材料(化合物)である。
 また、ドナー性有機半導体材料としては、上記p型有機半導体も使用できる。p型有機半導体は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
 また、電子ブロッキング膜において使用されるp型有機半導体としては、例えば、n型半導体材料よりもイオン化ポテンシャルが小さい化合物が挙げられ、この条件を満たせば、上記色素も使用できる。
 また、電子ブロッキング膜としては、高分子材料も使用できる。
 高分子材料としては、例えば、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン及びジアセチレン等の重合体、並びに、その誘導体が挙げられる。
 電子ブロッキング膜は、複数膜で構成してもよい。
 電子ブロッキング膜は、無機材料で構成されていてもよい。一般的に、無機材料は有機材料よりも誘電率が大きいため、無機材料を電子ブロッキング膜に用いた場合に、光電変換膜に電圧が多くかかるようになり、光電変換効率が高くなる。電子ブロッキング膜となりうる無機材料としては、例えば、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化クロム銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ガリウム銅、酸化ストロンチウム銅、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化インジウム銅、酸化インジウム銀及び酸化イリジウムが挙げられる。
<正孔ブロッキング膜>
 正孔ブロッキング膜は、アクセプター性有機半導体材料(化合物)である。
 アクセプター性有機半導体材料としては、上記n型半導体材料も使用できる。
 電荷ブロッキング膜の製造方法としては、例えば、乾式成膜法及び湿式成膜法が挙げられる。
 乾式成膜法としては、例えば、蒸着法及びスパッタ法が挙げられる。蒸着法は、物理蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)法及び化学蒸着(CVD)法のいずれでもよく、真空蒸着法等の物理蒸着法が好ましい。湿式成膜法は、例えば、インクジェット法、スプレー法、ノズルプリント法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法及びグラビアコート法が挙げられ、高精度パターニングの点から、インクジェット法が好ましい。
 電荷ブロッキング膜(電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜)の厚みは、それぞれ、3~200nmが好ましく、5~100nmがより好ましく、5~30nmが更に好ましい。
〔基板〕
 光電変換素子は、更に基板を有してもよい。
 上記基板としては、例えば、半導体基板、ガラス基板及びプラスチック基板が挙げられる。
 なお、光電変換素子において、基板の位置は特に制限されず、通常、基板上に導電性膜、光電変換膜及び透明導電性膜をこの順で積層する。
〔封止層〕
 光電変換素子は、更に封止層を有していてもよい。
 光電変換材料は、水分子等の劣化因子の存在で顕著にその性能が劣化してしまうことがある。そこで、水分子を浸透させない緻密な金属酸化物、金属窒化物若しくは金属窒化酸化物等のセラミクス、又は、ダイヤモンド状炭素(DLC:Diamond-like Carbon)等の封止層で光電変換膜全体を被覆して封止することで、上記劣化を防止できる。
 封止層は、特開2011-082508号公報の段落[0210]~[0215]に記載に従って、材料の選択及び製造を行ってもよい。
[撮像素子、光センサ]
 光電変換素子の用途として、例えば、撮像素子が挙げられる。
 撮像素子とは、画像の光情報を電気信号に変換する素子であり、通常、複数の光電変換素子が同一平面上でマトリクス状に配置されており、各々の光電変換素子(画素)において光信号を電気信号に変換し、その電気信号を画素ごとに逐次撮像素子外に出力できるものをいう。そのために、画素1つ当たり、1つ以上の光電変換素子及び1つ以上のトランジスタから構成される。
 撮像素子は、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像素子、電子内視鏡、並びに、携帯電話機等の撮像モジュール等に搭載される。
 本発明の光電変換素子は、本発明の光電変換素子を有する光センサに用いることも好ましい。
 光センサは、上記光電変換素子単独で用いてもよいし、上記光電変換素子を直線状に配したラインセンサ、又は、平面状に配した2次元センサとして用いてもよい。
[化合物]
 本発明は、化合物にも関する。
 本発明の化合物は、上記特定化合物と同義であり、好適態様も同じである。
 以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[化合物(評価化合物)]
〔化合物(1-1)の合成方法〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
<化合物1-1の合成>
 ガラス製反応容器に化合物(1-1-1)5mmol、化合物(1-1-2)6.5mmol、テトラヒドロフラン(THF)25mL、及びピペリジン2.5mLをとり、窒素雰囲気下70℃で3時間反応させた。次いで、化合物(1-1-2)6.5mmolを追加し、70℃で更に3時間反応後、反応液にメタノールを加え、固体を濾取した。得られた固体をTHF及びトルエンで洗浄した後、昇華精製することにより、化合物(1-1)を3.6mmol得た。
 化合物(1-1):LDI-MS 428.1(M)。
 上述の合成方法を参照にその他の特定化合物も合成した。
 以下に、試験に使用した特定化合物と比較用化合物を示す。
 以下において、化合物(1-1)~(1-39)、化合物(2-1)、化合物(2-2)、化合物(3-1)、化合物(3-2)、化合物(4-1)、化合物(4-2)、化合物(5-1)~(5-7)、化合物(6-1)~(6-7)、化合物(7-1)、化合物(7-2)、化合物(8-1)~(8-3)、化合物(9-1)、化合物(9-2)、化合物(10-1)~(10-10)、化合物(11-1)、及び化合物(12-1)~(12-5)が特定化合物である。
 以下、特定化合物と比較用化合物とを総称して、評価化合物ともいう。
 評価化合物を、後述する光電変換素子の作製に用いた。
(特定化合物)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000038
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000039
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000041
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000042
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000044
(比較化合物)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000045
[色素]
 下記に示す色素を、評価に用いる色素として、後述する光電変換素子の作製に用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000046
[p型半導体]
 下記に示すp型半導体を、評価に用いるp型半導体として、後述する光電変換素子の作製に用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000047
[n型半導体]
 フラーレンC60(C60)を、評価に用いるn型半導体として、後述する光電変換素子の作製に用いた。
[評価]
〔光電変換素子(A)の作製〕
 評価化合物(特定化合物又は比較用化合物)を用いて図2の形態の光電変換素子を作製した。ここで、光電変換素子は、下部電極11、電子ブロッキング膜16A、光電変換膜12、正孔ブロッキング膜16B、及び上部電極15からなる。
 具体的には、ガラス基板上に、アモルファス性ITOをスパッタ法により成膜して、下部電極11(厚み:30nm)を形成し、更に下部電極11上に下記の化合物(B-1)を真空加熱蒸着法により成膜して、電子ブロッキング膜16A(厚み:30nm)を形成した。更に、電子ブロッキング膜16A上に、表1に示す各材料(評価化合物、n型半導体(フラーレン(C60))、及び、p型半導体)を表1に記載の成分比(体積比)となるように蒸着して、バルクヘテロ構造を有する光電変換膜12を形成した。さらに光電変換膜12上に下記の化合物(B-2)を蒸着して正孔ブロッキング膜16B(厚み:10nm)を形成した。正孔ブロッキング膜16B上に、アモルファス性ITOをスパッタ法により成膜して、上部電極15(透明導電性膜)(厚み:10nm)を形成した。上部電極15上に、真空蒸着法により封止層としてSiO膜を形成した後、その上にALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法により酸化アルミニウム(Al)層を形成し、光電変換素子を作製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000048
〔光電変換素子(A)の評価〕
<暗電流の評価>
 各実施例及び比較例について上記方法にて各々10個の素子を作製し、得られた各光電変換素子について、以下の方法で暗電流を測定した。具体的には、各光電変換素子の下部電極及び上部電極に2.5×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加して、暗所での電流値(暗電流)を測定した。そして、下記式に基づいて暗電流の相対比を算出して、後述する評価基準に基づいて評価を実施した。
 暗電流の相対比=(10個の素子中最も高い暗電流の値)/(10個の素子中最も低い暗電流の値)
(評価基準)
 「AA」:暗電流の相対比が1.75未満
 「A」:暗電流の相対比が1.75以上、2.0未満
 「B」:暗電流の相対比が2.0以上、2.5未満
 「C」:暗電流の相対比が2.5以上、3.0未満
 「D」:暗電流の相対比が3.0以上、3.5未満
 「E」:暗電流の相対比が3.5以上
<量子効率の評価>
 得られた各光電変換素子に2.0×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加した。その後、上部電極(透明導電性膜)側から光を照射して460nmの波長における光電変換効率(外部量子効率)を評価し、下記式(S1)より光電変換効率の相対比を算出して、後述する評価基準に基づいて評価を実施した。
 式(S1)=(各実施例又は比較例の素子の460nmの波長における光電変換効率)/(実施例1-1の素子の460nmの波長における光電変換効率)
(評価基準)
 「AA」:光電変換効率の相対比が1.5以上
 「A」:光電変換効率の相対比が1.4以上、1.5未満
 「B」:光電変換効率の相対比が1.2以上、1.4未満
 「C」:光電変換効率の相対比が1.0以上、1.2未満
 「D」:光電変換効率の相対比が0.8以上、1.0未満
 「E」:光電変換効率の相対比が0.8未満
<量子効率の電界強度依存性の評価>
 得られた各光電変換素子に1.5×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加した。その後、上部電極(透明導電性膜)側から光を照射して460nmの波長における光電変換効率(外部量子効率)を評価した。さらに、各光電変換素子に2.0×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加した。その後、上部電極(透明導電性膜)側から光を照射して460nmの波長における光電変換効率(外部量子効率)を評価した。
 次いで、下記式より光電変換効率比を算出して、後述する評価基準に基づいて評価を実施した。
 光電変換効率比=(1.5×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加したときの各実施例又は比較例の素子の460nmの波長における光電変換効率)/(2.0×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加したときの各実施例又は比較例の素子の460nmの波長における光電変換効率)
(評価基準)
 「AA」:光電変換効率比が0.90以上
 「A」:光電変換効率比が0.85以上0.90未満
 「B」:光電変換効率比が0.80以上0.85未満
 「C」:光電変換効率比が0.70以上0.80未満
 「D」:光電変換効率比が0.60以上0.70未満
 「E」:光電変換効率比が0.60未満
 結果を表1に示す。
 表1中の備考欄における「Ar及びArの種類」において、「P」は、Ar及びArのうち少なくとも一方が、下記条件X1及び下記条件X2の少なくとも1種を満たす場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合(換言すると、Ar及びArのいずれもが、下記条件X1及び下記条件X2をいずれも満たさない場合)を表す。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 また、「P」欄に示される「*」は、Ar及びArのうち少なくとも一方が、置換基として、シアノ基を有する場合を表す。
 表1中の備考欄における「Aの種類(1)」において、「P」は、Aが、式(3)で表される基を表し、且つ、Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合を表す。
 表1中の備考欄における「Aの種類(2)」において、「P」は、Aが、式(2’)で表される基及び式(3’)で表される基のいずれかで表される基に該当する場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合を表す。
 表1中の備考欄における「X~Xの種類」において、「P」は、Aが式(2)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合、又は、Aが式(3)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000049
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000050
 表1に示される結果から、実施例の光電変換素子は、暗電流のばらつきが抑制されていることが明らかである。また、実施例の光電変換素子は、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性にも優れることが明らかである。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Ar及びArのうち少なくとも一方が、下記条件X1及び下記条件X2の少なくとも1種を満たす場合(好ましくは、Ar及びArのうち少なくとも一方が、下記条件X1及び下記条件X2’の少なくとも1種を満たす場合)、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 条件X2’:置換基として、ハロゲン原子、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Aが、式(3)で表される基を表す場合において、Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Aが、式(2’)で表される基及び式(3’)を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された。なかでも、Aが、式(2’’)で表される基及び式(3’’)を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果が更に一層優れることが確認された(評価化合物10-8を使用した実施例1-81、評価化合物10-9を使用した実施例1-82、及び評価化合物10-10を使用した実施例1-83と、価化合物10-2を使用した実施例1-69との対比参照)。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Aが式(2)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合、又は、Aが式(3)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された(例えば、評価化合物5-1を使用した実施例1-47と、評価化合物5-7を使用した実施例1-53との対比;評価化合物1-6を使用した実施例1-7と、評価化合物12-2を使用した実施例1-77との対比;評価化合物6-3を使用した実施例1-56と、評価化合物12-4を使用した実施例1-79との対比等参照)。
〔光電変換素子(B)の作製〕
 表2に示す各材料(評価化合物、n型半導体(フラーレン(C60))、p型半導体、及び、色素)を表2に記載の成分比(体積比)となるように蒸着して、バルクヘテロ構造を有する光電変換膜12を形成した以外は、上述の〔光電変換素子(A)の作製〕と同様の手順により光電変換素子を作製した。
〔光電変換素子(B)の評価〕
<暗電流の評価>
 各実施例及び比較例について上記方法にて各々10個の素子を作製し、得られた各光電変換素子について、以下の方法で暗電流を測定した。具体的には、各光電変換素子の下部電極及び上部電極に2.5×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加して、暗所での電流値(暗電流)を測定した。そして、下記式に基づいて暗電流の相対比を算出して、後述する評価基準に基づいて評価を実施した。
 暗電流の相対比=(10個の素子中最も高い暗電流の値)/(10個の素子中最も低い暗電流の値)
(評価基準)
 「AA」:暗電流の相対比が1.75未満
 「A」:暗電流の相対比が1.75以上、2.0未満
 「B」:暗電流の相対比が2.0以上、2.5未満
 「C」:暗電流の相対比が2.5以上、3.0未満
 「D」:暗電流の相対比が3.0以上、3.5未満
 「E」:暗電流の相対比が3.5以上
<量子効率の評価>
 得られた各光電変換素子に2.0×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加した。その後、上部電極(透明導電性膜)側から光を照射して450nm~650nmの波長領域における光電変換効率(外部量子効率)を評価し、下記式(S2)より光電変換効率の積分値の相対比を算出して、後述する評価基準に基づいて評価を実施した。
 式(S2)=(各実施例又は比較例の素子の450nm~650nmの波長領域における光電変換効率の積分値)/(実施例2-1の素子の450nm~650nmの波長領域における光電変換効率の積分値)
(評価基準)
 「AA」:光電変換効率の相対比が1.5以上
 「A」:光電変換効率の相対比が1.4以上、1.5未満
 「B」:光電変換効率の相対比が1.2以上、1.4未満
 「C」:光電変換効率の相対比が1.0以上、1.2未満
 「D」:光電変換効率の相対比が0.8以上、1.0未満
 「E」:光電変換効率の相対比が0.8未満
<量子効率の電界強度依存性の評価>
 得られた各光電変換素子に1.5×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加した。その後、上部電極(透明導電性膜)側から光を照射して450nm~650nmの波長領域における光電変換効率(外部量子効率)の積分値を評価した。さらに、各光電変換素子に2.0×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加した。その後、上部電極(透明導電性膜)側から光を照射して450nm~650nmの波長領域における光電変換効率(外部量子効率)の積分値を評価した。次いで、下記式(S3)より光電変換効率の積分値の相対比を算出して、後述する評価基準に基づいて評価を実施した。
 式(S3)=(1.5×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加したときの各実施例又は比較例の素子の450nm~650nmの波長領域における光電変換効率の積分値)/(2.0×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加したときの各実施例又は比較例の素子の450nm~650nmの波長領域における光電変換効率の積分値)
(評価基準)
 「AA」:光電変換効率比が0.90以上
 「A」:光電変換効率比が0.85以上0.90未満
 「B」:光電変換効率比が0.80以上0.85未満
 「C」:光電変換効率比が0.70以上0.80未満
 「D」:光電変換効率比が0.60以上0.70未満
 「E」:光電変換効率比が0.60未満
 結果を表2に示す。
 表2中の備考欄における「Ar及びArの種類」において、「P」は、Ar及びArのうち少なくとも一方が、下記条件X及び下記条件X1の少なくとも1種を満たす場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合(換言すると、Ar及びArのいずれもが、下記条件X及び下記条件X2をいずれも満たさない場合)を表す。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 また、「P」欄に示される「*」は、Ar及びArのうち少なくとも一方が、置換基として、シアノ基を有する場合を表す。
 表2中の備考欄における「Aの種類(1)」において、「P」は、Aが、式(3)で表される基を表し、且つ、Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合を表す。
 表2中の備考欄における「Aの種類(2)」において、「P」は、Aが、式(2’)で表される基及び式(3’)で表される基のいずれかで表される基に該当する場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合を表す。
 表2中の備考欄における「X~Xの種類」において、「P」は、Aが式(2)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合、又は、Aが式(3)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合を表し、「N」は、上記「P」の場合に該当しない場合を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000051
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000052
 表2に示される結果から、実施例の光電変換素子は、暗電流のばらつきが抑制されていることが明らかである。また、実施例の光電変換素子は、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性にも優れることが明らかである。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Ar及びArのうち少なくとも一方が、下記条件X1及び下記条件X2の少なくとも1種を満たす場合(好ましくは、Ar及びArのうち少なくとも一方が、下記条件X1及び下記条件X2’の少なくとも1種を満たす場合)、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された。
 条件X1:環構造内に-N=を含む。
 条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 条件X2’:置換基として、ハロゲン原子、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Aが、式(3)で表される基を表す場合において、Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Aが、式(2’)で表される基及び式(3’)を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された。なかでも、Aが、式(2’’)で表される基及び式(3’’)を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果が更に一層優れることが確認された(評価化合物10-8を使用した実施例2-82、評価化合物10-9を使用した実施例2-83、及び評価化合物10-10を使用した実施例2-84と、価化合物10-2を使用した実施例2-70との対比参照)。
 また、各実施例の対比から、特定化合物において、Aが式(2)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合、又は、Aが式(3)で表される基を表し、且つ、X及びXが硫黄原子を表し、X及びXが窒素原子を表す場合、暗電流のばらつき、光電変換効率、及び、光電変換効率の電界強度依存性の少なくともいずれかの効果がより一層優れることが確認された(例えば、評価化合物5-1を使用した実施例2-48と、評価化合物5-7を使用した実施例2-54との対比;評価化合物1-6を使用した実施例2-8と、評価化合物12-2を使用した実施例2-78との対比;評価化合物6-3を使用した実施例2-57と、評価化合物12-4を使用した実施例2-80との対比等参照)。
 10a、10b  光電変換素子
 11  導電性膜(下部電極)
 12  光電変換膜
 15  透明導電性膜(上部電極)
 16A  電子ブロッキング膜
 16B  正孔ブロッキング膜

Claims (29)

  1.  導電性膜、光電変換膜、及び透明導電性膜をこの順で積層してなる光電変換素子であって、前記光電変換膜が、式(1)で表される化合物を少なくとも含む、光電変換素子。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
     式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はハロゲン原子を表す。
     X及びXのうち、一方は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は-NRa1-を表し、他方は、-CRa2=又は窒素原子を表す。X及びXのうち、一方は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は-NRa1-を表し、他方は、-CRa2=又は窒素原子を表す。Ra1は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。Ra2は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
     nが0又は1であり、且つ、nが1の場合、Arは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表し、nが0又は1であり、且つ、nが0の場合、Arは、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。また、nが2であり、且つ、nが1の場合、2つのArは、各々独立に、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表し、nが2であり、且つ、nが0の場合、2つのArのうちの端部のArは、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表し、他方のArは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表す。
     Arは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表す。なお、nが2の場合、2つのArは、各々同一であっても異なっていてもよい。
     Y及びYは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、=NRZ1、又はCRZ2Z3を表す。RZ1は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。RZ2及びRZ3は、各々独立に、シアノ基、-COZ4、-C(=O)RZ5、-S(=O)RZ6、又は-S(=O)Z7を表す。RZ4~RZ7は、各々独立に、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
     A及びAは、各々独立に、少なくとも2つの炭素原子を含む環構造を表す。
     n及びnは、各々独立に、0~2の整数を表す。但し、nとnの合計は1以上である。
     nは、0又は1を表す。
     Aは、式(2)で表される基又は式(3)で表される基を表す。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
     式(2)中、X及びXは、各々独立に、-CRa3=又は窒素原子を表す。Ra3は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を表す。なお、式(2)中に2つのRa3が存在する場合、2つのRa3は、各々同一であっても異なっていてもよい。*は、結合位置を表す。
     式(3)中、Rは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、-SiRZ10Z11-、又は-GeRZ12Z13-を表す。RZ8~RZ13は、各々独立に、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。*は、結合位置を表す。
     但し、前記式(1)で表される化合物において、前記置換基は、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基である。
  2.  前記式(1)で表される化合物が、前記nが0を表す化合物であるか、又は、前記n、前記n、及び前記nがいずれも1を表す化合物である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3.  前記X及び前記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表し、且つ、前記X及び前記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表す、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4.  前記Ar及び前記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2の少なくとも1種を満たす、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
     条件X1:環構造内に-N=を含む。
     条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
  5.  前記Ar及び前記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2’の少なくとも1種を満たす、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
     条件X1:環構造内に-N=を含む。
     条件X2’:置換基として、ハロゲン原子及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
  6.  前記Aが式(2)で表される基を表し、且つ、前記X及び前記Xが硫黄原子を表し、前記X及び前記Xが窒素原子を表すか、又は、
     前記Aが式(3)で表される基を表し、且つ、前記X及び前記Xが硫黄原子を表し、前記X及び前記Xが窒素原子を表す、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  7.  前記式(2)で表される基が、下記式(2’)で表される基であり、
     前記式(3)で表される基が、下記式(3’)で表される基である、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
     式(2’)中、A及びAは、各々独立に、置換基を有していてもよい単環のアリール基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。但し、前記置換基は、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基である。
     Rは、ハロゲン原子又は炭素数3以下の炭化水素基を表す。なお、式(2’)中の2つのRは、各々同一であっても異なっていてもよい。*は、結合位置を表す。
     式(3’)中、A及びAは、各々独立に、置換基を有していてもよい単環のアリール基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。但し、前記置換基は、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基である。
     Zは、炭素原子、珪素原子、又はゲルマニウム原子を表す。*は、結合位置を表す。
  8.  前記式(2)で表される基が、下記式(2’’)で表される基であり、
     前記式(3)で表される基が、下記式(3’’)で表される基である、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
     式(2’’)中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数3以下の炭化水素基を表す。なお、式(2’’)中の4つのRは、各々同一であっても異なっていてもよい。*は、結合位置を表す。
     式(3’’)中、Zは、炭素原子、珪素原子、又はゲルマニウム原子を表す。*は、結合位置を表す。
  9.  前記Aが、前記式(3)で表される基を表す、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  10.  前記Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す、請求項9に記載の光電変換素子。
  11.  前記式(1)で表される化合物の分子量が400~900である、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  12.  前記光電変換膜が、更にn型半導体を含む、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  13.  前記n型半導体が、フラーレン及びその誘導体からなる群より選択されるフラーレン類を含む、請求項12に記載の光電変換素子。
  14.  前記光電変換膜が、更にp型半導体を含む、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  15.  前記光電変換膜が、更に色素を含む、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  16.  前記導電性膜と前記透明導電性膜の間に、前記光電変換膜の他に1種以上の中間層を有する、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  17.  請求項1又は2に記載の光電変換素子を有する、撮像素子。
  18.  請求項1又は2に記載の光電変換素子を有する、光センサ。
  19.  式(1)で表される化合物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
     式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はハロゲン原子を表す。
     X及びXのうち、一方は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は-NRa1-を表し、他方は、-CRa2=又は窒素原子を表す。X及びXのうち、一方は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は-NRa1-を表し、他方は、-CRa2=又は窒素原子を表す。Ra1は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。Ra2は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
     nが0又は1であり、且つ、nが1の場合、Arは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表し、nが0又は1であり、且つ、nが0の場合、Arは、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。また、nが2であり、且つ、nが1の場合、2つのArは、各々独立に、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表し、nが2であり、且つ、nが0の場合、2つのArのうちの端部のArは、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表し、他方のArは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表す。
     Arは、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のアリーレン基、又は、置換基を有していてもよい、単環若しくは2環のヘテロアリーレン基を表す。なお、nが2の場合、2つのArは、各々同一であっても異なっていてもよい。
     Y及びYは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、=NRZ1、又はCRZ2Z3を表す。RZ1は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。RZ2及びRZ3は、各々独立に、シアノ基、-COZ4、-C(=O)RZ5、-S(=O)RZ6、又は-S(=O)Z7を表す。RZ4~RZ7は、各々独立に、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
     A及びAは、各々独立に、少なくとも2つの炭素原子を含む環構造を表す。
     n及びnは、各々独立に、0~2の整数を表す。但し、nとnの合計は1以上である。
     nは、0又は1を表す。
     Aは、式(2)で表される基又は式(3)で表される基を表す。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
     式(2)中、X及びXは、各々独立に、-CRa3=又は窒素原子を表す。Ra3は、水素原子、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を表す。なお、式(2)中に2つのRa3が存在する場合、2つのRa3は、各々同一であっても異なっていてもよい。*は、結合位置を表す。
     式(3)中、Rは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、-SiRZ10Z11-、又は-GeRZ12Z13-を表す。RZ8~RZ13は、各々独立に、炭素数3以下の炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。*は、結合位置を表す。
     但し、前記式(1)で表される化合物において、前記置換基は、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基である。
  20.  前記式(1)で表される化合物が、前記nが0を表す化合物であるか、又は、前記n、前記n、及び前記nがいずれも1を表す化合物である、請求項19に記載の化合物。
  21.  前記X及び前記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表し、且つ、前記X及び前記Xのうち、一方は硫黄原子を表し、他方は-CRa2=又は窒素原子を表す、請求項19又は20に記載の化合物。
  22.  前記Ar及び前記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2の少なくとも1種を満たす、請求項19又は20に記載の化合物。
     条件X1:環構造内に-N=を含む。
     条件X2:置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
  23.  前記Ar及び前記Arの少なくとも一方が、以下の条件X1及びX2’の少なくとも1種を満たす、請求項19又は20に記載の化合物。
     条件X1:環構造内に-N=を含む。
     条件X2’:置換基として、ハロゲン原子及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基を有する。
  24.  前記Aが式(2)で表される基を表し、且つ、前記X及び前記Xが硫黄原子を表し、前記X及び前記Xが窒素原子を表すか、又は、
     前記Aが式(3)で表される基を表し、且つ、前記X及び前記Xが硫黄原子を表し、前記X及び前記Xが窒素原子を表す、請求項19又は20に記載の化合物。
  25.  前記式(2)で表される基が、下記式(2’)で表される基であり、
     前記式(3)で表される基が、下記式(3’)で表される基である、請求項19又は20に記載の化合物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
     式(2’)中、A及びAは、各々独立に、置換基を有していてもよい単環のアリール基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。但し、前記置換基は、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基である。
     Rは、ハロゲン原子又は炭素数3以下の炭化水素基を表す。なお、式(2’)中の2つのRは、各々同一であっても異なっていてもよい。*は、結合位置を表す。
     式(3’)中、A及びAは、各々独立に、置換基を有していてもよい単環のアリール基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。但し、前記置換基は、炭素数3以下の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基である。
     Zは、炭素原子、珪素原子、又はゲルマニウム原子を表す。*は、結合位置を表す。
  26.  前記式(2)で表される基が、下記式(2’’)で表される基であり、
     前記式(3)で表される基が、下記式(3’’)で表される基である、請求項19又は20に記載の化合物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
     式(2’’)中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数3以下の炭化水素基を表す。なお、式(2’’)中の4つのRは、各々同一であっても異なっていてもよい。*は、結合位置を表す。
     式(3’’)中、Zは、炭素原子、珪素原子、又はゲルマニウム原子を表す。*は、結合位置を表す。
  27.  前記Aが、前記式(3)で表される基を表す、請求項19又は20に記載の化合物。
  28.  前記Rが、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、-CRZ8Z9-、又は-SiRZ10Z11-を表す、請求項27に記載の化合物。
  29.  前記式(1)で表される化合物の分子量が400~900である、請求項19又は20に記載の化合物。
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