WO2022230457A1

WO2022230457A1 - 電動弁

Info

Publication number: WO2022230457A1
Application number: PCT/JP2022/013210
Authority: WO
Inventors: 祐太安本; 優太保坂; 文太成川
Original assignee: 株式会社不二工機
Priority date: 2021-04-30
Filing date: 2022-03-22
Publication date: 2022-11-03

Abstract

電動弁は、モータと、モータにより生ずる回転運動を、弁体の軸線方向運動に変換する動力伝達機構と、動力伝達機構の少なくとも一部とモータを収容するハウジングと、ハウジング内に設けられ、ネットワークで接続された制御装置との通信を処理すると共にモータを制御する制御基板と、を有し、パターンが形成されていない非パターン領域が、制御基板の外縁から、ピン（他部品）との干渉を避けるための切欠き（干渉回避部）まで連続して設けられている。

Description

電動弁

　本開示は、電動弁に関する。

　国際公開第２０２０／２０３００７号には、弁体を変位させるステータ部材及びロータ部材からなるモータと、該モータを収容するハウジングとを有する電動弁が開示されている。ハウジングのカバー部材には、モータを駆動する駆動回路を備えた制御基板が保持されている。ハウジングの筒状部材には、外部電源と接続可能なコネクタ部（外部コネクタ）が設けられている。コネクタ部の内部に配置された端子は、フレキシブル基板を介して制御基板に接続されている。

　ところで、車載ネットワークのコストダウンを図るための通信規格の一例として、ＬＩＮ（Ｌｏｃａｌ　Ｉｎｔｅｒｃｏｎｎｅｃｔ　Ｎｅｔｗｏｒｋ）が策定されている。車載用空調機に用いられる電動弁にも、ＬＩＮ通信機能が搭載されるようになっている。そのような電動弁は、ＬＩＮ通信を処理するための制御基板を有し、コネクタを介し、電源線、アース線及び通信線を共有している。そして、この電動弁は、制御基板に搭載されたＩＣ等のマイクロコンピュータでＬＩＮ通信を処理し、電動弁内部におけるモータの通電を制御することで、弁の開閉を制御するようになっている。

　制御基板の位置決め及び固定の方法として、パターンを貫く固定用穴を制御基板に設け、該固定用穴にピン又はねじを通すことが行われている。ピンを用いる場合、固定用穴にピンを挿通し、該ピンのうち固定用穴から突出した先端部を溶融変形させることで、制御基板を固定する。

　しかしながら、このように何らかの固定穴がパターンを貫く形状の場合、固定用穴の周囲に沿って電流が流れる可能性があり、時に磁場が発生しノイズの受発信のアンテナの作用が生じる。これは、基板表面のパターンだけでなく、多層基板におけるすべての層のパターンにおいて同様である。アンテナがあることで、他製品が発信したノイズを本製品が拾い、本製品が誤動作又は故障する可能性があり、また本製品がノイズを発信する可能性も考えられる。アンテナの作用が生じる原因を減らすことは、信頼性向上へ繋がる。
　一方、制御基板の全面にアースのパターンを配置すると、マイクロコンピュータの処理による発熱を抑制する効果が得られるので、制御基板の小型化はアースのパターン面積の大幅な減少を伴い、製品内部の温度上昇に繋がるため望ましくない。したがって、制御基板の大きさは、現状と同等であることが望ましい。

　本開示は、通信機能を有する電動弁において、ノイズ性能を向上させることを目的とする。

　第１の態様に係る電動弁は、モータと、前記モータにより生ずる回転運動を、弁体の軸線方向運動に変換する動力伝達機構と、前記動力伝達機構の少なくとも一部と前記モータを収容するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記モータへの電力供給と外部との通信を可能にする外部コネクタと、前記ハウジング内に設けられ、通信を処理すると共に前記モータを制御する制御基板と、を有し、パターンが形成されていない非パターン領域が、前記制御基板の外縁から、他部品との干渉を避けるための干渉回避部まで連続して設けられている。

　この電動弁では、パターンが形成されていない非パターン領域が、制御基板の外縁から干渉回避部まで連続して設けられているので、パターンが干渉回避部の全周を囲まずに途切れている。したがって、干渉回避部の周囲を電流が流れることによる磁場の発生が抑制され、該干渉回避部においてアンテナの作用が生じることが抑制される。

　第２の態様は、第１の態様に係る電動弁において、前記非パターン領域として、前記制御基板自体に切欠きが設けられている。

　この電動弁では、非パターン領域として、制御基板自体に切欠きが設けられているので、他部品に対する干渉回避部の周囲を電流が流れることによる磁場の発生が抑制され、該干渉回避部においてアンテナの作用が生じることが抑制される。

　第３の態様は、第２の態様に係る電動弁において、前記他部品が、前記制御基板の角部に対応して設けられた固定及び位置決め用のピンであり、前記切欠きが、前記ピンの位置に対応して前記制御基板の角部に設けられている。

　この電動弁では、他部品が、制御基板の角部に対応して設けられた固定及び位置決め用のピンであり、切欠きがピンの位置に対応して制御基板の角部に設けられている。したがって、ピンが外縁より内側で制御基板に貫通する構成と比較して非パターン領域が少なくなり、パターン面積が確保される。

　第４の態様は、第１の態様又は第２の態様に係る電動弁において、前記他部品が、前記動力伝達機構である。

　この電動弁では、他部品が動力伝達機構であるので、動力伝達機構に対する干渉回避部の周囲を電流が流れることによる磁場の発生が抑制され、該干渉回避部においてアンテナの作用が生じることが抑制される。

　本開示によれば、通信機能を有する電動弁において、ノイズ性能を向上させることができる。

本実施形態に係る電動弁を示す断面図である。本実施形態に係る電動弁において、ハウジングのカバー部材を取り外して制御基板を露出させた状態を示す平面図である。（Ａ）非パターン領域の第１例を示す拡大平面図である。（Ｂ）図３（Ａ）における３Ｂ－３Ｂ矢視断面図である。（Ａ）非パターン領域の第２例を示す拡大平面図である。（Ｂ）図４（Ａ）における４Ｂ－４Ｂ矢視断面図である。（Ａ）非パターン領域の第３例を示す拡大平面図である。（Ｂ）図５（Ａ）における５Ｂ－５Ｂ矢視断面図である。（Ａ）非パターン領域の第４例を示す拡大平面図である。（Ｂ）図６（Ａ）における６Ｂ－６Ｂ矢視の断面図である。（Ａ）非パターン領域の第５例を示す拡大平面図である。（Ｂ）図７（Ａ）における７Ｂ－７Ｂ矢視の断面図である。

　以下、本開示を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。

　図１、図２において、本実施形態に係る電動弁１０は、モータ１２と、動力伝達機構１４と、ハウジング１６と、外部コネクタ１８と、制御基板２０を有している。なお、図１では、動力伝達機構１４の軸線方向（モータの軸線方向）を上下方向とし、後述するハウジング１６の蓋体２４が上側に位置している。便宜上、この配置を基準として各部材の位置関係を説明する。

　モータ１２は、例えばステッピングモータである。モータ１２の給電部１２Ａには、モータ側端子１２Ｂが例えば４箇所設けられている。モータ側端子１２Ｂは、例えばプレスフィット端子であり、制御基板２０に設けられたスルーホール３２に圧入されている。モータ１２の構造は公知であるので、他の説明は省略する。

　動力伝達機構１４は、モータ１２により生ずる回転運動を、弁体（図示せず）の軸線方向運動に変換する機構である。動力伝達機構１４の構造は公知であるので、他の説明は省略する。なお、符号１４が指し示しているのは動力伝達機構の少なくとも一部を収容するキャンであり、キャンは動力伝達機構１４には含まれない。

　ハウジング１６は、動力伝達機構１４の少なくとも一部とモータ１２を収容する部材であり、例えば筒状部２２と、筒状部２２の上端を閉塞するための蓋体２４とを有している。ハウジング１６は、モータ１２及び動力伝達機構１４に加えて、制御基板２０等も収容している。ハウジング１６のうち、動力伝達機構１４の接する部分には、例えばＯリング２６が配置されている。

　動力伝達機構１４には、ハウジング１６の下側に隣接して取付けブラケット２８が設けられている。取付けブラケット２８の更に下側には、電動弁１０により開閉される流路を有する下側ベース部材を取付け可能とされている。電動弁１０により駆動される弁体は、この下側ベース部材内に配置される。

　外部コネクタ１８は、ハウジング１６に設けられ、モータ１２への電力供給と外部とのＬＩＮ通信を可能にする。ＬＩＮは、車載ネットワークの一例である。外部コネクタ１８は、ネットワーク４８を介して制御装置５０に接続され、外部コネクタ１８を介して制御基板１２に電力が供給される。図１において、外部コネクタ１８は、ハウジング１６から水平方向に延在している。外部コネクタ１８の内部に配置された端子１８Ａは、ハウジング１６の内部で上方に延びる外部コネクタ側端子１８Ｂと電気的に導通している。外部コネクタ側端子１８Ｂは、例えばプレスフィット端子であり、例えば４箇所設けられ、制御基板２０に設けられたスルーホール３８に圧入されている。

　制御基板２０は、ハウジング１６内に設けられ、ネットワーク４８で接続された制御装置５０との通信、例えばＬＩＮ通信を処理すると共に、モータ１２を制御するマイクロコンピュータ（ＩＣ等の電子部品３４）が搭載されている。制御基板２０のうち、外部コネクタ側端子１８Ｂとの接続位置（スルーホール３８）とモータ側端子１２Ｂとの接続位置（スルーホール３２）は、モータ１２の軸線Ｌを基準として互いに反対側に配置されている。図示の例では、制御基板２０と外部コネクタ側端子１８Ｂとの接続位置がモータ１２の軸線Ｌの右側に配置され、制御基板２０とモータ側端子１２Ｂとの接続位置がモータ１２の軸線Ｌの左側に配置されている。

　制御基板２０は、第１基板部４１と、第２基板部４２と、フレックス配線部４３と、を有している。第１基板部４１は、モータ１２の軸線Ｌと交差する方向に配置され、外部コネクタ側端子１８Ｂに接続されている。第２基板部４２は、モータ１２の軸線Ｌに沿う方向に配置され、モータ側端子１２Ｂに接続されている。フレックス配線部４３は、例えば制御基板２０の一部を第１基板部４１及び第２基板部４２よりも薄く加工したものであり、可撓性を有している。第１基板部４１と第２基板部４２とは、フレックス配線部４３により結合されて一体化されている。図３に示されるように、組付け前の制御基板２０は、フレックス配線部４３が折り曲げられていないため、全体的に略平板状となっている。

　図２に示されるように、第１基板部４１の角部には、固定及び位置決め用の切欠き４１Ａが形成されている。ハウジング１６には、制御基板２０の角部に対応して、固定及び位置決め用の４箇所のピン３０が設けられている。ピン３０の位置に切欠き４１Ａを合わせて第１基板部４１を取り付けることで、第１基板部４１が固定及び位置決めされる。ピン３０を例えば溶融変形させることで、第１基板部４１がピン３０から外れないようにしてもよい。切欠き４１Ａは、後述する干渉回避部及び非パターン領域の一例であり、その双方を兼ねている。

　図３から図７において、制御基板２０の第１基板部４１には、パターン４４が形成されていない非パターン領域４６が、第１基板部４１の外縁４１Ｂから、他部品との干渉を避けるための干渉回避部まで連続して設けられている。パターン４４は、例えばアースとして用いられ、非パターン領域４６を除く第１基板部４１の大部分に設けられている。図３から図５における他部品は、固定及び位置決め用のピン（図示せず）である。図６、図７における他部品は、動力伝達機構１４である。

　図３（Ａ）、図３（Ｂ）には、非パターン領域４６の第１例が示されている。この例では、第１基板部４１に、干渉回避部の一例としての貫通孔４１Ｃが形成されている。この貫通孔４１Ｃは、他部品の一例としてのピンが挿通される部位であり、該ピンとの干渉を回避している。第１基板部４１の外縁４１Ｂから貫通孔４１Ｃまでは、基板自体は存在するが、パターン４４は形成されていない。この領域が、連続した非パターン領域４６となっている。貫通孔４１Ｃに沿ったパターン４４の端縁は、円弧状に形成されている。なお、図３（Ｂ）並びに後述する図４（Ｂ）、図５（Ｂ）、図６（Ｂ）及び図７（Ｂ）において、符号４８はソルダーレジストを示している。

　図４（Ａ）、図４（Ｂ）には、非パターン領域４６の第２例が示されている。この例では、貫通孔４１Ｃに沿ったパターン４４の端縁が直線状に形成されているが、他の構成は第１例と同様である。

　図５（Ａ）、図５（Ｂ）には、非パターン領域４６の第３例が示されている。この例では、第１基板部４１に、干渉回避部及び非パターン領域４６としての切欠き４１Ｄが形成されている。この切欠き４１Ｄは、固定及び位置決め用のピンが挿通される部位であり、該ピンとの干渉を回避している。また、切欠き４１Ｄの部分には基板自体が存在しないためパターン４４も存在しない。このように、切欠き４１Ｄは、干渉回避部と非パターン領域４６を兼ねている。このうち、ピンが挿通される部分が干渉回避部に相当し、外縁４１Ｂからピンに相当する位置までの領域が非パターン領域４６である。

　図６（Ａ）、図６（Ｂ）には、非パターン領域４６の第４例が示されている。この例では、制御基板５１に、干渉回避部の一例としての貫通孔５１Ａが形成されている。貫通孔５１Ａは、他部品の一例としての動力伝達機構１４が挿入される部位であり、該動力伝達機構１４との干渉を回避している。制御基板５１の外縁５１Ｂから貫通孔５１Ａまでは、基板自体は存在するが、パターン４４は形成されていない。この領域が、連続した非パターン領域４６となっている。

　図７（Ａ）、図７（Ｂ）には、非パターン領域４６の第５例が示されている。この例では、制御基板５１に、干渉回避部及び非パターン領域４６としての切欠き５１Ｃが形成されている。この切欠き５１Ｃは、動力伝達機構１４が挿入される部位であり、該動力伝達機構１４との干渉を回避している。また、切欠き５１Ｃの部分には基板自体が存在しないためパターン４４も存在しない。このように、切欠き５１Ｃは、干渉回避部と非パターン領域４６を兼ねている。このうち、動力伝達機構１４が挿通される部分が干渉回避部に相当し、外縁５１Ｂから動力伝達機構１４に相当する位置までの領域が非パターン領域４６である。

　制御基板２０における層間導通用のスルーホール及び半田付け用のスルーホールを除き、制御基板２０には、固定及び位置決め用の穴が形成されていなくてもよい。

（作用）
　本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図１において、本実施形態に係る電動弁１０は、ＬＩＮ通信機能を有しており、制御基板２０がＬＩＮ通信を処理すると共に、モータ１２を制御する。

　また、図３、図４に示されるように、制御基板２０の第１基板部４１において、パターン４４が形成されていない非パターン領域４６が、第１基板部４１の外縁４１Ｂから、他物品に対する干渉回避部としての貫通孔４１Ｃ（図３、図４）までそれぞれ連続して設けられているので、パターン４４が干渉回避部の全周を囲まずに途切れている。したがって、干渉回避部の周囲を電流が流れることによる磁場の発生が抑制され、該干渉回避部においてアンテナの作用が生じることが抑制される。

　図２に示される例では、非パターン領域として、制御基板自体に干渉回避部としての切欠き４１Ａが設けられているので、切欠き４１Ａの周囲を電流が流れることによる磁場の発生が抑制され、該干渉回避部においてアンテナの作用が生じることが抑制される。
　図５に示される例でも、切欠き４１Ｄ（図５）によってピンの周囲を電流が流れることによる磁場の発生が抑制され、該干渉回避部においてアンテナの作用が生じることが抑制される。

　特に、図２に示される例では、他部品が、第１基板部４１の角部に対応して設けられた固定及び位置決め用のピン３０であり、切欠き４１Ａがピン３０の位置に対応して第１基板部４１の角部に設けられている。したがって、ピン３０が外縁４１Ｂより内側で第１基板部４１に貫通する構成（図３から図５参照）と比較して非パターン領域４６が少なくなり、パターン４４面積が確保される。このため、パターン４４がアースである場合でも、該パターン４４による発熱抑制効果が確保される。

　図６、図７に示される例では、他部品が動力伝達機構１４であるので、動力伝達機構１４に対する干渉回避部、具体的には、貫通孔５１Ａ（図６）、切欠き５１Ｃ（図７）の周囲を電流が流れることによる磁場の発生が抑制され、該干渉回避部においてアンテナの作用が生じることが抑制される。

　このように、本実施形態によれば、通信機能を有する電動弁１０において、ノイズ性能を向上させることができる。

［他の実施形態］
　以上、本開示の実施形態の一例について説明したが、本開示の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。

　上記実施形態では、制御基板２０が、第１基板部４１、第２基板部４２及びフレックス配線部４３を有するものとしたが、制御基板２０の構成はこれに限られない。また、車載ネットワークの一例としてＬＩＮを挙げたが、車載ネットワークはこれに限られず、ＣＡＮ等であってもよい。

　外部コネクタ側端子１８Ｂとモータ側端子１２Ｂがプレスフィット端子であるものとしたが、プレスフィット端子を用いず、半田付けにより接続する構成であってもよい。

　干渉回避部の対象となる他物品として、ピン３０や動力伝達機構１４を挙げたが、他物品はこれらに限られず、例えば角度センサ搭載用の補助部品等、電動弁１０のハウジング１６内に搭載される各種物品が含まれる。

　２０２１年４月３０日に出願された日本国特許出願２０２１－７７６５８号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
　本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims

　モータと、
　前記モータにより生ずる回転運動を、弁体の軸線方向運動に変換する動力伝達機構と、
　前記動力伝達機構の少なくとも一部と前記モータを収容するハウジングと、
　前記ハウジング内に設けられ、ネットワークで接続された制御装置との通信を処理すると共に前記モータを制御する制御基板と、を有し、
　パターンが形成されていない非パターン領域が、前記制御基板の外縁から、他部品との干渉を避けるための干渉回避部まで連続して設けられている電動弁。
　前記非パターン領域として、前記制御基板自体に切欠きが設けられている請求項１に記載の電動弁。
　前記他部品は、前記制御基板の角部に対応して設けられた固定及び位置決め用のピンであり、
　前記切欠きは、前記ピンの位置に対応して前記制御基板の角部に設けられている請求項２に記載の電動弁。
　前記他部品は、前記動力伝達機構である請求項１又は請求項２に記載の電動弁。