WO2022080223A1 - 触覚センサ - Google Patents

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Abstract

センサ素子の空間分解能および感度の低下を抑制でき、防水性および防塵性を有する触覚センサを提供する。 触覚センサ(AA)は、センサ素子(1)と、センサ素子(1)を収容するケーシング(2)とを有する。センサ素子(1)は、基部(10)と、接触端を有する接触子(20A)と、接触子(20A)を基部に対して変位可能に支持する支持体と、接触子(20A)の基部(10)に対する変位を検出する変位検出器とを有する。ケーシング(2)は、センサ素子(1)のうち少なくとも接触端を覆う柔軟性を有するフィルムを有する。接触端はフィルム(60)の内面に固定されている。

Description

触覚センサ
 本発明は、触覚センサに関する。さらに詳しくは、本発明は、人間が感じる触覚の定量化を目的とした触覚センサに関する。
 人間の指先は100μm程度の微細な凹凸と100μN程度の微小な力を認識できるといわれている。このような高空間分解能、高感度の触覚を有することから、人間は触れた物の質感・風合いを知覚できる。医療分野では、この触覚を用いて、医師が直接指で触れることで患部の状態を診断する触診が行なわれている。しかし、触診は内視鏡手術やロボット手術ではできない。そこで、内視鏡などに触覚センサを取り付け、体内の触覚情報を医師に提示することが求められている。
 人間の触覚を工学的に模した触覚センサとして種々のものが開発されている。例えば、特許文献1には微小な接触子を有する触覚センサが開示されている。触覚センサを測定対象物に押し当てながら摺動させ、接触子の変位を検出することで、測定対象物表面の微細な凹凸および微小領域の摩擦力を検知できる。
国際公開第2015/133113号 特開2011-85435号
 しかし、特許文献1の触覚センサは微細な機械構造が露出している。このような触覚センサを体内の臓器に接触させると、血液が機械構造の隙間に入り込んで固まり、機械構造の動きが阻害される。臓器以外の対象物を測定する場合も同様である。測定対象物の表面に付着した粉塵が隙間に入り込むと、機械構造の動きが阻害される。また、測定対象物の表面に付着した液体により検出回路が短絡することもある。そのため、実用に耐えうる触覚センサとするには、触覚センサを液体や粉塵から保護する必要がある。
 特許文献2には、樹脂ブロックの内部にセンサ素子を埋め込んだ触覚センサが開示されている。このような構成とすれば、センサ素子を液体や粉塵から保護できる。しかし、樹脂ブロックの内部にセンサ素子を埋め込んだ構成では、測定対象物から受ける力が樹脂ブロックで分散されることから、触覚センサの空間分解能も感度も低くなる。そのため、触診に代わる触覚情報を得るという目的には不向きである。
 本発明は上記事情に鑑み、センサ素子の空間分解能および感度の低下を抑制でき、防水性および防塵性を有する触覚センサを提供することを目的とする。
 第1発明の触覚センサは、センサ素子と、前記センサ素子を収容するケーシングと、を備え、前記センサ素子は、基部と、接触端を有する接触子と、前記接触子を前記基部に対して変位可能に支持する支持体と、前記接触子の前記基部に対する変位を検出する変位検出器と、を備え、前記ケーシングは、前記センサ素子のうち少なくとも前記接触端を覆う柔軟性を有するフィルムを備え、前記接触端は前記フィルムの内面に固定されていることを特徴とする。
 第2発明の触覚センサは、第1発明において、前記フィルムは内面に粘着層を有しており、該粘着層により前記接触端が前記フィルムに接着されていることを特徴とする。
 第3発明の触覚センサは、第1または第2発明において、前記接触端はスパイクを有しており、該スパイクが前記フィルムに食い込んでいることを特徴とする。
 第4発明の触覚センサは、第1~第3発明のいずれかにおいて、前記ケーシングは、開口部を有するケーシング本体をさらに備え、前記開口部は前記フィルムにより閉塞されており、前記接触端は前記開口部に配置されており、前記基部は前記ケーシング本体に対して固定されていることを特徴とする。
 第5発明の触覚センサは、第4発明において、前記ケーシング本体は、前記開口部を有し、該開口部が位置する貼付面に前記フィルムが貼り付けられるフレームと、前記フィルムのうち前記開口部に対応する部分以外の部分を覆う外装体と、を備えることを特徴とする。
 第6発明の触覚センサは、第5発明において、前記開口部は掃引方向の端部が半楕円形または半円形であることを特徴とする。
 第7発明の触覚センサは、第5または第6発明において、前記フレームは掃引方向の端部に傾斜面を有することを特徴とする。
 第1発明によれば、センサ素子がケーシングに収容されているので、液体および粉塵がセンサ素子に侵入しない。そのため、触覚センサは防水性および防塵性を有する。また、接触端がフィルムの内面に固定されているので、測定対象物と直接接触するフィルムの動きに追従して接触子が動く。そのため、センサ素子の空間分解能および感度の低下を抑制できる。
 第2発明によれば、接触端がフィルムに接着されているので、フィルムが測定対象物から受ける力が接触子に伝達されやすい。
 第3発明によれば、スパイクにより接触端がフィルムに固定されているので、フィルムが測定対象物から受ける力が接触子に伝達されやすい。
 第4発明によれば、ケーシング本体にフィルムを設けた構成であるので、フィルムの固定が容易である。
 第5発明によれば、外装体によりフィルムの一部が覆われるため、フィルムが測定対象物と接触する面積が小さくなる。そのため、フィルムが測定対象物と擦れて破れることを抑制できる。
 第6発明によれば、開口部の端部が半楕円形または半円形であるので、掃引時にフィルムに生じる応力集中を緩和でき、フィルムの破れを抑制できる。
 第7発明によれば、フレームの端部が傾斜しているので、掃引時に触覚センサが前傾しても、フィルムの一部に強い力がかかりにくく、フィルムの破れを抑制できる。
第1実施形態に係るセンサ素子の平面図である。 図(A)は支持体の横梁に歪がない場合の第1、第2歪検出素子の説明図である。図(B)は支持体の横梁に歪がある場合の第1、第2歪検出素子の説明図である。 歪検出回路の回路図である。 図(A)は支持体の縦梁に歪がない場合の第3、第4歪検出素子の説明図である。図(B)は支持体の縦梁に歪がある場合の第3、第4歪検出素子の説明図である。 センサ素子を単独で用いた場合の触覚測定方法の説明図である。 センサ素子から得られる各種信号を例示するグラフである。 第1実施形態に係る触覚センサの縦断面である。 センサ素子、フレームおよびフィルムの分解図である。 センサ素子、フレームおよび外装体の分解図である。 触覚センサの斜視図である。 接触子先端部の拡大図である。 図(A)は粘着フィルムを接触子に接着した場合の拡大図である。図(B)は接触端のスパイクをフィルムに食い込ませた場合の拡大図である。 図(A)は一形態の開口部の拡大図である。図(B)は他の形態の開口部の拡大図である。 触覚センサによる触覚測定方法の説明図である。 触覚センサが前傾した場合の説明図である。 第2実施形態に係るセンサ素子の斜視図である。 第2実施形態に係る触覚センサによる触覚測定方法の説明図である。 図(A)はz軸方向の変位に対する反力を示すグラフである。図(B)はx軸方向の変位に対する反力を示すグラフである。 約250μmピッチの粗さ標準片を測定した結果を示すグラフである。 32μmピッチの粗さ標準片を測定した結果を示すグラフである。 図(A)は空気中でz軸方向の感度を測定したグラフである。図(B)は水中でz軸方向の感度を測定したグラフである。 空気中、水中、グリセリン中で測定したガラス板の摩擦係数を示すグラフである。 模擬臓器の触覚を測定した結果を示すグラフである。
 つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
(センサ素子)
 本発明の第1実施形態に係る触覚センサはセンサ素子を有する。センサ素子の構成は特に限定されないが、例えば以下の構成とすることができる。
 図1に示すように、センサ素子1は半導体基板を半導体マイクロマシニング技術により加工して形成したものである。半導体基板を所定のパターンでエッチングして不要部分を除去することでセンサ素子1の機械構造が形成されている。したがって、センサ素子1は全体として平板状である。センサ素子1の全体的な寸法は特に限定されないが、例えば1~20mm四方である。
 センサ素子1はその一側面を測定対象物からの力を受けるセンシング面としている。本実施形態では、センサ素子1の側面のうち図1における上側の側面をセンシング面としている。
 センサ素子1は略矩形の基部10を有する。基部10の中央部分には空間部11が形成されている。また、基部10のセンシング面側の縁部12には中央に間隙13が形成されている。空間部11は間隙13を介して基部10の外部と連通している。
 縁部12の側面のうちセンシング面の一部を構成する側面を基準面14と称する。基準面14は間隙13により2つに分割されている。なお、一方の基準面14は他方の基準面14を延長した面内に配置されている。
 以下、基準面14を基準としてx軸、y軸、z軸を定義する。x軸およびy軸は基準面14と平行な軸である。y軸はx軸に対して垂直である。x軸はセンサ素子1の幅方向に沿っており、y軸はセンサ素子1の厚さ方向に沿っている。z軸は基準面14に対して垂直な軸である。x-z平面は平板状のセンサ素子1が有する表裏の主面と平行である。x軸に沿った方向をx軸方向、y軸に沿った方向をy軸方向、z軸に沿った方向をz軸方向と称する。
 基部10の間隙13には複数の接触子20A~20Fが配置されている。接触子20A~20Fの数は特に限定されないが、本実施形態のセンサ素子1は6つの接触子20A~20Fを有する。なお、接触子20A~20Fの数を1つとしてもよい。
 各接触子20A~20Fは棒状の部材であり、その中心軸がz軸に沿って配置されている。また、複数の接触子20A~20Fはx軸に沿って並んで配置されている。接触子20A~20Fは2つの基準面14、14(縁部12、12)の間に並んで配置されている。
 接触子20A~20Fの先端部を基準面14から外方に突出させることが好ましい。各接触子20A~20Fの先端部を接触端21と称する。接触端21の側面はセンシング面の一部を構成する。接触端21の形状は特に限定されないが、半円形または扇形とすればよい。
 全ての接触子20A~20Fの接触端21は、通常、同一形状、同一寸法に設計される。また、通常、接触子20A~20Fはx軸に沿って等間隔で並べられる。隣り合う接触子20A、20Bの間隔(中心間距離)は、特に限定されないが、300~700μmが好ましく、例えば500μmである。これは、人間の指紋を構成する稜線の間隔と同程度である。このようにすれば、センサ素子1は人間の触覚に近い検知ができると考えられる。
 人間の触覚に近い検知を実現するという観点からは、接触端21は指紋を構成する隆線の断面と同様の形状、寸法を有することが好ましい。具体的には、接触端21を半円形とし、その直径を100~500μmとすることが好ましい。
 接触子20A~20Fの間には隙間が設けられている。したがって、各接触子20A~20Fの幅寸法は隣り合う接触子20A、20Bの間隔よりも小さい。各接触子20A~20Fの幅寸法は、例えば200~600μmである。接触子20A~20Fの間に隙間が設けられていることから、接触子20A~20Fは独立して変位できる。
 基部10の空間部11には複数の支持体30A~30Fが配置されている。支持体30A~30Fは複数の接触子20A~20Fのそれぞれを基部10に対して支持する。支持体30A~30Fの数は接触子20A~20Fの数と等しい。本実施形態のセンサ素子1は6つの支持体30A~30Fを有する。各接触子20A~20Fはそれに対応する支持体30A~30Fにより支持されている。
 例えば、第1接触子20Aと基部10とは第1支持体30Aを介して接続されている。支持体30Aは一または複数の横梁31と、一または複数の縦梁32と、接続部33とからなる。横梁31は接触子20Aと接続部33との間に架け渡されている。縦梁32は接続部33と基部10との間に架け渡されている。なお、接触子20Aと接続部33との間に縦梁32を架け渡し、接続部33と基部10との間に横梁31を架け渡してもよい。
 横梁31は弾性を有しており、板ばねと同様の性質を有する。また、横梁31はx軸に沿って配置されている。したがって、横梁31は接触子20Aのz軸方向の変位を許容する。縦梁32は弾性を有しており、板ばねと同様の性質を有する。また、縦梁32はz軸に沿って配置されている。したがって、縦梁32は接触子20Aのx軸方向の変位を許容する。すなわち、接触子20Aは基準面14に対してx軸方向およびz軸方向に変位可能に支持されている。
 支持体30Aを構成する横梁31および縦梁32の本数および寸法(長さ、幅)は特に限定されない。支持体30Aとして必要な弾性が得られるように、横梁31および縦梁32の本数および寸法を設定すればよい。
 他の支持体30B~30Fは第1支持体30Aと同様の構成である。他の接触子20B~20Fも基準面14に対してx軸方向およびz軸方向に変位可能に支持されている。なお、支持体30A~30Fは、所望の弾性を得られればよく、梁以外の部材で構成してもよい。
 センサ素子1のセンシング面に法線力(z軸方向の力)が作用すると、接触子20A~20Fがz軸方向に変位する。また、センサ素子1のセンシング面に接線力(x軸方向の力)が作用すると、接触子20A~20Fがx軸方向に変位する。このような接触子20A~20Fの変位を検出するために、複数の変位検出器40A~40Fが設けられている。
 変位検出器40A~40Fの数は接触子20A~20Fの数と等しい。本実施形態のセンサ素子1は6つの変位検出器40A~40Fを有する。変位検出器40A~40Fにより接触子20A~20Fのそれぞれの基準面14に対する変位を独立して検出できる。各変位検出器40A~40Fはそれに対応する支持体30A~30Fに設けられている。
 例えば、第1変位検出器40Aは第1支持体30Aに設けられている。第1変位検出器40Aにより第1接触子20Aの基準面14に対する変位を検出できる。変位検出器40Aは、接触子20Aのz軸方向の変位を検出する縦変位検出器41と、接触子20Aのx軸方向の変位を検出する横変位検出器42とからなる。
 図2(A)に示すように、縦変位検出器41は横梁31の歪を検出する第1、第2歪検出素子43、44からなる。第1、第2歪検出素子43、44としてピエゾ抵抗素子を用いることができる。ピエゾ抵抗素子は不純物拡散、イオン注入などの集積回路製造工程、金属配線形成技術などによって半導体基板の表面に形成できる。
 支持体30Aを構成する複数の横梁31のうち一の横梁31の表面には第1歪検出素子43が形成されている。また、他の一の横梁31の表面には第2歪検出素子44が形成されている。第1、第2歪検出素子43、44は、それぞれ階段状に形成されており、横梁31の一端から中央までは一方の側部に沿い、中央から他端までは他方の側部に沿う形状を有している。また、一方の横梁31に形成された第1歪検出素子43と、他方の横梁31に形成された第2歪検出素子44とは、それぞれ線対称となる形状を有する。
 図2(B)に示すように、接触子20Aがz軸方向に変位すると、横梁31に歪が生じる。この際、第1、第2歪検出素子43、44が正のピエゾ抵抗係数を示す材料であれば、第1歪検出素子43は引張応力により抵抗が大きくなり、第2歪検出素子44は圧縮応力により抵抗が小さくなる。接触子20Aの変位方向が逆になると、第1歪検出素子43は圧縮応力により抵抗が小さくなり、第2歪検出素子44は引張応力により抵抗が大きくなる。
 図3に示すように、センサ素子1の表面には横梁31の歪を検出する歪検出回路(図1および図2においては図示せず)が形成されている。歪検出回路は、第1、第2歪検出素子43、44を直列に接続して両端に電圧Vddをかけ、第1歪検出素子43と第2歪検出素子44との間の電圧Voutを読み取る回路である。電圧Voutは第1、第2歪検出素子43、44の差動により変化する。電圧Voutを読み取ることで横梁31の歪量を検出できる。これにより、縦変位検出器41で接触子20Aの基準面14に対するz軸方向の変位を検出できる。
 図4(A)に示すように、横変位検出器42は縦梁32の歪を検出する第3、第4歪検出素子45、46からなる。第3、第4歪検出素子45、46としてピエゾ抵抗素子を用いることができる。
 支持体30Aを構成する複数の縦梁32のうち一の縦梁32の表面には第3歪検出素子45が形成されている。また、他の一の縦梁32の表面には第4歪検出素子46が形成されている。第3、第4歪検出素子45、46は対称な階段状に形成されている。
 図4(B)に示すように、接触子20Aがx軸方向に変位すると、縦梁32に歪が生じる。この際、第3、第4歪検出素子45、46が正のピエゾ抵抗係数を示す材料であれば、第3歪検出素子45は引張応力により抵抗が大きくなり、第4歪検出素子46は圧縮応力により抵抗が小さくなる。接触子20Aの変位方向が逆になると、第3歪検出素子45は圧縮応力により抵抗が小さくなり、第4歪検出素子46は引張応力により抵抗が大きくなる。
 センサ素子1の表面には縦梁32の歪を検出する歪検出回路(図1および図4においては図示せず)が形成されている。その回路は図3に示す回路において、第1歪検出素子43を第3歪検出素子45に、第2歪検出素子44を第4歪検出素子46に置き換えたものである。歪検出回路で縦梁32の歪を検出する。これにより、横変位検出器42で接触子20Aの基準面14に対するx軸方向の変位を検出できる。
 他の変位検出器40B~40Fは第1変位検出器40Aと同様の構成である。なお、第1~第4歪検出素子43~46はピエゾ抵抗素子に限定されない。例えば、接触子20A~20Fの変位により接触子20A~20Fと基部10との距離が変化することを利用して、変位検出器40A~40Fを接触子20A~20Fと基部10との間の静電容量を検出する構成としてもよい。
 センサ素子1は、例えば、以下の手順でSOI基板を加工することにより製造できる。ここで、SOI基板は、支持基板(シリコン)、酸化膜層(二酸化ケイ素)、活性層(シリコン)の3層構造を有しており、その厚みは例えば300μmである。
 まず、基板を洗浄し、酸化処理を行ない、表面酸化膜を形成する。つぎに、表面酸化膜を加工して回路部となる拡散層パターンを形成し、リン拡散を行なう。つぎに、リンのイオン注入および熱アニールによりピエゾ抵抗素子を形成する。つぎに、基板の裏面にクロム薄膜をスパッタリングし、可動構造部(接触子20A~20Fおよび支持体30A~30F)をリリースするパターンにクロム薄膜を加工する。つぎに、表面酸化膜を除去し、ICP-RIEでエッチングして可動構造部を形成する。形成した可動構造部の周辺にレジストを充填して保護した後に、裏面をICP-RIEでエッチングする。最後に、中間酸化膜とレジストを除去して可動構造部をリリースする。
 なお、センサ素子1の製造方法は半導体マイクロマシニング技術に限定されない。例えば、センサ素子1の全体または一部を3次元プリンタによる造形技術により形成してもよい。
 つぎに、センサ素子1を単独で用いた場合の触覚測定方法を説明する。
 センサ素子1を用いて測定を行なう際には、センサ素子1のセンシング面を測定対象物に押し当てながら掃引する。そうすると、接触子20A~20Fがx軸方向およびz軸方向に変位する。その変位に基づき測定対象物の表面形状、摩擦力などを測定できる。以下、その原理を説明する。
 図5に単一の接触子20の動きを示す。センサ素子1のセンシング面を測定対象物Oに押し当てると、基準面14は測定対象物Oの表面の凹凸のピークを結んだ平面に配置される。そして、接触子20はセンサ素子1の押し当て力の反力により押し込まれ、z軸方向に変位する。
 センサ素子1のセンシング面を測定対象物Oに押し当てたまま、測定対象物Oの表面に沿って掃引する。なお、掃引はx軸方向に行なわれる。したがって、x軸方向を掃引方向ともいう。センサ素子1を掃引すると、接触子20は測定対象物Oの表面の凹凸に沿ってz軸方向に変位する。また、接触子20は接触端21と測定対象物Oとの間に働く摩擦力によりx軸方向に変位する。
 図6に上記操作によりセンサ素子1から得られる各種信号の例を示す。
 (1)のグラフは横軸が時間、縦軸が縦変位検出器41により検出された接触子20のz軸方向の変位である。センサ素子1を測定対象物Oの表面に沿って一定の速度で掃引した場合には、横軸は測定対象物Oの表面の位置座標と同義である。接触子20のz軸方向の変位は測定対象物Oの表面の凹凸量を意味する。したがって、(1)のグラフは測定対象物Oの表面の表面形状(空間波形)を再現したものである。
 (2)のグラフは横軸が時間、縦軸が横変位検出器42により検出された接触子20のx軸方向の変位である。接触子20のx軸方向の変位は接触端21と測定対象物Oとの間に働く摩擦力を意味する。ここで、接触端21の測定対象物Oとの接触面積は小さいので、接触子20のx軸方向の変位は微小領域の摩擦力を意味する。
 接触子20のx軸方向およびz軸方向の変位から測定対象物Oの表面の微小領域の動摩擦係数μを求めることができる。横梁31の弾性率は既知であるため、接触子20のz軸方向の変位から接触子20にかかる垂直荷重fzを算出できる。また、縦梁32の弾性率は既知であるため、接触子20のx軸方向の変位から接触子20にかかる摩擦力fxを算出できる。下記の式(1)に従い、垂直荷重fzおよび摩擦力fxから測定対象物Oの表面の微小領域の動摩擦係数μを算出できる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 以上のように、接触子20のx軸方向およびz軸方向の変位を検出することで、測定対象物Oの表面の微細な特性、すなわち微細な凹凸および微小領域の摩擦力を検知できる。
 本実施形態のセンサ素子1は複数の接触子20A~20Fを有し、接触子20A~20Fそれぞれの変位を検知できる。そのため、センサ素子1を用いて上記操作を行なえば、複数地点の測定を同時に行なうことができる。これにより、測定対象物Oの表面の特性を高い空間分解能で多点検出できる。
(ケーシング)
 図1に示すように、センサ素子1は微細な機械構造が露出している。そのため、図5に示すように、センシング面を測定対象物Oに直接接触させてセンサ素子1を掃引すると、測定対象物Oの表面に付着している液体や粉塵が機械構造の隙間に入り込む。そうすると、機械構造の動きが阻害され、測定精度が低くなる。
 そこで、図7に示すように、本実施形態の触覚センサAAはセンサ素子1を収容するケーシング2を有する。センサ素子1がケーシング2に収容されているので、液体および粉塵がセンサ素子1に侵入しない。すなわち、触覚センサAAは防水性および防塵性を有する。
 ケーシング2はフレーム51と外装体52とからなるケーシング本体50を有する。ケーシング本体50には開口部53が形成されている。開口部53はフィルム60により閉塞されている。センサ素子1はセンシング面が開口部53に配置され、フィルム60と密着している。触覚センサAAにより触覚を測定する際には、フィルム60が測定対象物Oと直接接触し、センサ素子1のセンシング面はフィルム60を介して間接的に測定対象物Oと接触する(図14参照)。したがって、センサ素子1はフィルム60により液体および粉塵から保護される。
 図8に示すように、フレーム51は略板状の部材である。フレーム51の表面(一方の主面)は中央部分が外方に突出した四角錐台形となっている。この四角錐台形の面を貼付面54と称する。フレーム51の内部には貼付面54(表面)から裏面に通じるスリット55が形成されている。スリット55は貼付面54の中央部、すなわち最も突出した部分において開口している。この貼付面54に位置する開口が開口部53である。スリット55および開口部53は横長であり、x軸方向の寸法がセンサ素子1の幅寸法よりも若干長い。また、スリット55および開口部53のy軸方向の寸法はセンサ素子1の厚さよりも若干長い。
 フレーム51の貼付面54にはフィルム60が貼り付けられる。そのため、開口部53はフィルム60により閉塞される。なお、フィルム60は開口部53を閉塞すればよく、貼付面54の全体に貼り付けられる必要はない。
 センサ素子1はフレーム51の裏面からスリット55に挿入される。スリット55に挿入されセンサ素子1はセンシング面がフィルム60に達する。
 図9に示すように、フレーム51およびセンサ素子1は外装体52の内部に挿入される。外装体52は内部空間を有する略直方体の部材である。外装体52の一面には内部と外部とを連通する窓56が形成されている。窓56は開口部53よりも一回り大きい開口である。
 図10に示すように、フレーム51と外装体52とを組み合わせると、外方に突出した貼付面54の中央部が窓56内に配置される。すなわち、開口部53の全体が窓56内に配置される。また、フィルム60は開口部53とその周囲に対応する部分が窓56から露出し、それ以外の部分が外装体52に覆われる。
 図7に示すように、フレーム51は外装体52に対して固定される。フレーム51と外装体52との固定方法は特に限定されないが、外装体52に設けた突起にフレーム51を係止してもよいし、ボルト、ナットなどの締結具で締結してもよい。
 また、センサ素子1の基部10はケーシング本体50に対して固定される。基部10はケーシング本体50に対して動かないように固定されていればよく、ケーシング本体50に直接固定されてもよいし、他の部材を介して間接的に固定されてもよい。固定方法は特に限定されない。なお、センサ素子1の可動構造部(接触子20A~20Fおよび支持体30A~30F)はケーシング本体50に対して動くことができる。
 センサ素子1の接触子20A~20Fの接触端21は開口部53と同一平面内に配置してもよいが、開口部53から外方に突出させた方が好ましい。このようにすると、図11に示すように、フィルム60が接触子20A~20Fの先端部に押されて、接触端21の形状に沿って部分的に伸びる。これにより、フィルム60の外面に接触端21の形状が現われる。なお、フィルム60は基準面14にも密着することが好ましい。
 フィルム60は柔軟性を有するフィルムであればよい。フィルム60としてポリウレタン、ラテックスなどの樹脂フィルムを用いることができる。品質の安定性および耐久性の観点から、絆創膏や医療用手袋などの素材として用いられる医療用フィルムがフィルム60として好適に用いられる。
 触覚を測定する際には、フィルム60は接触子20A~20Fと測定対象物Oとの間に介在する(図14参照)。測定対象物から受ける力を分散、減衰させることなく接触子20A~20Fに伝えるためには、フィルム60は薄い方が好ましい。一方、フィルム60は測定対象物と擦れても破れない程度の耐久性が必要である。すなわち、フィルム60はある程度の耐久性を有する限り薄い方が好ましい。例えば、8μm厚の医療用フィルム(ポリウレタンフィルム)であれば、十分に薄く、また十分な耐久性を有する。
 フィルム60の厚さは接触端21の直径より十分薄いことが好ましい。具体的には、フィルム60の厚さは接触端21の直径以下が好ましく、直径の1/2以下がより好ましく、直径の1/3以下がさらに好ましい。例えば、接触端21の直径が500μmであれば、フィルム60の厚さは500μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましく、170μm以下がさらに好ましい。そうすれば、測定対象物から受ける力があまり分散、減衰せず、センサ素子1の性能(空間分解能および感度)を維持できる。
 各接触子20A~20Fの接触端21はフィルム60の内面に固定されている。フィルム60の外面には測定対象物との間に摩擦力が作用する。この摩擦力に抗して接触端21がフィルム60に対してずれないように固定されている。接触端21とフィルム60との固定方法は特に限定されないが、例えば以下の方法を採用できる。
 図12(A)に示すように、フィルム60として基層61と粘着層62とを有する層構造のもの、すなわち粘着フィルムを用いればよい。フィルム60は粘着層62を内面として設けられる。粘着層62により接触端21がフィルム60に接着される。なお、フィルム60として粘着フィルムを用いれば、フレーム51への貼り付けも容易である。
 図12(B)に示すように、接触端21にスパイク22を設け、スパイク22をフィルム60に食い込ませてもよい。スパイク22の数は特に限定されず、1つでもよいし、複数でもよい。スパイク22によるフィルム60の破れを抑制するため、スパイク22の長さはフィルム60の厚さの半分以下にすることが好ましい。また、接触端21にスパイク22を設けるとともに、フィルム60として粘着フィルムを用いてもよい。
 このように、接触端21をフィルム60に接着することにより、あるいはスパイク22で接触端21をフィルム60に固定することにより、接触端21がフィルム60に対してずれなくなる。そのため、フィルム60が測定対象物から受ける力が接触子20A~20Fに伝達されやすい。
 本実施形態のセンサ素子1は横長のセンシング面を有する。そのため、図13(A)に示すように、開口部53はセンサ素子1の幅方向(x軸方向)に長い長方形とすればよい。触覚を測定する際には、フィルム60が掃引方向(x軸方向)に測定対象物と擦れる。そのため、開口部53の掃引方向の端部においてフィルム60にシワが生じやすい。このシワが原因となってフィルム60が破れる可能性がある。
 そこで、図13(B)に示すように、開口部53は掃引方向の端部を半楕円形または半円形とすることが好ましい。そうすれば、掃引時にフィルム60に生じる応力集中を緩和でき、フィルム60の破れを抑制できる。
 なお、ケーシング2は上記構成に限定されない。ケーシング本体50はフレーム51および外装体52の2つの部材からなる構成でなくてもよい。ケーシング本体50を1つの部材としてもよいし、3つ以上の部材からなる構成としてもよい。要するに、開口部53を有するケーシング本体50にフィルム60を設け、フィルム60で開口部53を閉塞すればよい。そうすれば、フィルム60の固定が容易である。
 また、センサ素子1を内視鏡、ロボットアームなどの装置に組み込んでもよい。この場合、センサ素子1が組み込まれる装置のケーシングをケーシング本体50あるいは外装体52として用いてもよい。すなわち、装置のケーシングに開口部53を形成し、開口部53をフィルム60で閉塞すればよい。
 さらに、ケーシング2はケーシング本体50を有さなくてもよい。センサ素子1の機械構造の隙間への液体や粉塵の侵入を防止し得る態様で、少なくともセンシング面あるいは接触端21を覆うようにフィルム60が設けられていればよい。例えば、センサ素子1の全体をフィルム60で包んだ構成としてもよい。
(触覚測定方法)
 つぎに、触覚センサAAを用いた触覚測定方法を説明する。
 触覚測定における触覚センサAAの操作は、基本的にはセンサ素子1を単独で用いた場合と同じである。すなわち、図14に示すように、触覚センサAAを測定対象物Oに押し当てながら掃引する。ここで、センサ素子1のセンシング面がフィルム60を介して測定対象物Oに接触するようにする。
 フィルム60は外装体52により一部が覆われるため、その分だけフィルム60が測定対象物Oと接触する面積が小さくなる。すなわち、フィルム60は開口部53とその周囲に対応する部分のみが測定対象物Oと接触する。また、測定対象物Oは外装体52にも接触するため、触覚センサAAの押し当て力はフィルム60のみに作用するのではなく、外装体52にも分散される。そのため、フィルム60が測定対象物Oと擦れて破れることを抑制できる。
 触覚センサAAを測定対象物Oに押し当てながら掃引すると、接触子20A~20Fがx軸方向およびz軸方向に変位する。その変位に基づき測定対象物Oの表面形状、摩擦力などを測定できる。その原理はセンサ素子1を単独で用いた場合と同じである。
 センサ素子1を単独で用いた場合と比較すると、触覚センサAAは接触子20A~20Fがフィルム60を介して測定対象物Oと間接的に接触するという点で異なる。ここで、接触子20A~20Fがフィルム60に固定されていないと、特に接線力を受けた場合には、フィルム60が横にずれるだけで接触子20A~20Fが変位しない。しかし、本実施形態では、接触端21がフィルム60の内面に固定されているので、測定対象物Oと直接接触するフィルム60の動きに追従して接触子20A~20Fが動く。そのため、センサ素子1の空間分解能および感度の低下を抑制できる。
 触覚センサAAを測定対象物Oに押し当てながら掃引すると、図15に示すように、触覚センサAAが掃引方向に前傾することがある。この場合、フレーム51の貼付面54が開口部53と面一の平面であると、フレーム51の掃引方向の端部が測定対象物Oに食い込む。そうすると、フィルム60のうちフレーム51の掃引方向の端部に対応する部分が強く擦れて、破れる恐れがある。
 この点、本実施形態のフレーム51は貼付面54が四角錐台形となっている。すなわち、フレーム51の掃引方向の端部が傾斜面となっている。この傾斜面は開口部53から掃引方向に離れるに従い測定対象物Oから離れるような傾斜となっている。そのため、掃引時に触覚センサAAが前傾しても、フィルム60の一部に強い力がかかりにくく、フィルム60の破れを抑制できる。
 以上のように、触覚センサAAはセンサ素子1が有する高い空間分解能および感度と、防水性および防塵性を両立できる。そのため、医療、看護、美容健康分野など、汗や血液などが付着する可能性のある環境でも触覚を測定できる。また、粉塵や液滴などが付着する可能性のある工業分野でも触覚を測定できる。
〔第2実施形態〕
 センサ素子の構成は前記実施形態に限定されない。例えば、図16に示す構成のセンサ素子3を用いてもよい。
 センサ素子3は、主に、基部10、接触子20およびダイヤフラム30を有する。基部10は円柱状の空間部を有している。その空間部の下側開口部はダイヤフラム30で閉塞されている。ダイヤフラム30の中央には円柱状の接触子20が立設している。すなわち、基部10が有する円柱状の空間部の中央に接触子20が設けられている。また、ダイヤフラム30は接触子20を基部10に対して支持する支持体である。
 センサ素子3はその上面を測定対象物からの力を受けるセンシング面としている。したがって、基部10の上面が基準面14であり、接触子20の上面が接触端21である。
 基部10と接触子20との間には接触子20が揺動可能な隙間が設けられている。ダイヤフラム30は接触子20が外力によりx軸方向、y軸方向に傾いたり、z軸方向に変位したりすることにより歪む。このようなダイヤフラム30の変形を検出するために、ダイヤフラム30には変位検出器が形成されている。
 図17に示すように、本実施形態の触覚センサBBはセンサ素子3がケーシング4に収容されている。ケーシング4は開口部53を有するケーシング本体50と、開口部53を閉塞するフィルム60とからなる。センサ素子3はセンシング面がフィルム60の内面に密着している。基部10はケーシング本体50に対して固定されており、接触端21はフィルム60の内面に固定されている。
 触覚センサBBにより触覚を測定する際には、触覚センサBBを測定対象物Oに押し当てながら掃引する。ここで、センサ素子3のセンシング面がフィルム60を介して測定対象物Oに接触するようにする。
 触覚センサBBを測定対象物Oに押し当てながら掃引すると、接触子20がx軸方向、y軸方向およびz軸方向に変位する。その変位に基づき測定対象物Oの表面形状、摩擦力などを測定できる。
 つぎに、実施例を説明する。
 第1実施形態の触覚センサAAと同様の構成の触覚センサを制作した。センサ素子は半導体基板を加工して形成した。また、ケーシング本体は3次元プリンタで制作した。フィルムとして厚さ8μmの医療用ポリウレタンフィルム(日東電工株式会社製薄型フィルムドレッシング、優肌パーミロールLite)を用いた。
 フィルム有りの場合と無しの場合のそれぞれで、接触子のz軸方向およびx軸方向のばね定数を測定した。測定にはnNレンジの力分解能を有するマイクロメカニカルテスター(Femtotools社製 FT-MTA03)を用いた。計測プローブをセンサ素子の接触子先端、またはフィルムで覆われた接触子先端に当て、センサ素子のz軸方向に微小な変位を連続的に与えた場合の荷重変化(接触子の支持体からの反力の変化)を精密に計測することで、z軸方向のバネ定数を求めた。同様に、計測プローブによってセンサ素子のx軸方向に微小な変位を連続的に与えて荷重変化を計測することで、x軸方向のバネ定数を求めた。その結果を、図18(A)および図18(B)に示す。図18(A)のグラフの横軸は接触子のz軸方向の変位、縦軸は接触子の反力である。図18(B)のグラフの横軸は接触子のx軸方向の変位、縦軸は接触子の反力である。
 z軸方向のばね定数は、フィルム無し場合は49.2N/mであり、フィルム有りの場合は59.6N/mであった。x軸方向のばね定数は、フィルム無しの場合は205.6N/mであり、フィルム有りの場合は212.1N/mであった。このように、フィルムを設けることにより、z軸方向のばね定数は21.1%、x軸方向のばね定数は3.2%増加する。これは、接触子と密着したフィルムが弾性を有するためである。
 接触子のばね定数が増加すると、入力に対する接触子の変位が小さくなる。これは、フィルムを設けるとセンサ素子の感度が一定の割合で低下することを意味する。しかし、図18(A)および図18(B)のグラフから、フィルムを設けても応答の線形性は十分に維持できることが確認できる。
 つぎに、粗さ標準片を用いて触覚の測定を行なった。用いた粗さ標準片は三角形の凹凸が所定のピッチで連続する表面形状である。凹凸を横切る方向に触覚センサを掃引して測定信号を得た。
 図19に、約250μmピッチの粗さ標準片を測定した場合を示す。凹凸量の信号はフィルムの有無による影響が確認されなかった。一方、摩擦力の信号はフィルム無しの場合に比べて、フィルム有りの場合の方が、波形が滑らかになっている。これは、フィルムによって、粗さ標準片の凹凸に対する接触子の接触が緩衝されているためと考えられる。
 図20に、32μmピッチの粗さ標準片を測定した場合を示す。フィルム無しの場合に比べて、フィルム有りの場合は、凹凸量の振幅が低下していることが確認される。しかし、凹凸の認識は可能である。したがって、フィルムを設けたとしても50μm以下の空間分解能を維持できることが確認された。
 以上のように、フィルムを設けることによりセンサ素子の機械的特性が変化するといえる。しかし、硬い接触子の端部よりも、柔軟性を有するフィルムの方が、人間の皮膚に近い。したがって、フィルムを設けた方が、人間の触覚に近い条件で触覚を測定できているとも考えられる。
 つぎに、空気中および水中での触覚センサの感度を測定した。図21(A)は空気中で測定対象物から受けるz軸方向の力に対する感度を測定したグラフである。図21(B)は水中で測定対象物から受けるz軸方向の力に対する感度を測定したグラフである。図21(A)および図21(B)のグラフの横軸は接触子のz軸方向の変位であり、縦軸は縦変位検出器で測定された抵抗値の変化率である。各グラフの傾きから感度を求めた。
 空気中の感度は739ppm/μm、水中での感度は735ppm/μmであった。これより、空気中でも水中でも感度に変化がないことが確認された。また、水中での測定でも、センサ素子に水の侵入はなく、検出回路の短絡などは生じなかった。
 つぎに、空気中、水中、グリセリン中で、表面が平らなガラス板の表面を触覚センサで掃引して摩擦係数を求めた。その結果を図22に示す。図22より、グリセリン中での摩擦係数が他の場合よりも低いことが分かる。これはグリセリンの潤滑剤としての作用によるものである。このように、液中における摩擦力も正確に測定できることが確認された。
 つぎに、手術訓練などに使用される模擬臓器の表面を触覚センサで測定した。使用した模擬臓器は70%以上の水分を含んでおり、表面には微細な凹凸が存在している。また、模擬臓器の一部に周りの組織よりも硬い模擬血管が埋め込まれている。模擬血管を横切る方向に触覚センサを掃引し、触覚を測定した。
 その結果を図23に示す。触覚センサにより模擬臓器表面の微細な凹凸と摩擦力を高い分解能で検出できることが確認された。また、凹凸および摩擦力の波形から、模擬臓器に埋め込まれた模擬血管の位置を識別できる。これより、触覚センサにより湿った測定対象物の触覚を測定可能であり、医療用途にも適用可能であることが確認された。
 AA、BB   触覚センサ
 1、3     センサ素子
 2、4     ケーシング
 10      基部
 20A~20F 接触子
 21      接触端
 30A~30F 支持体
 40A~40F 変位検出器
 50      ケーシング本体
 51      フレーム
 52      外装体
 53      開口部
 54      貼付面
 60      フィルム

Claims (7)

  1.  センサ素子と、
    前記センサ素子を収容するケーシングと、を備え、
    前記センサ素子は、
    基部と、
    接触端を有する接触子と、
    前記接触子を前記基部に対して変位可能に支持する支持体と、
    前記接触子の前記基部に対する変位を検出する変位検出器と、を備え、
    前記ケーシングは、前記センサ素子のうち少なくとも前記接触端を覆う柔軟性を有するフィルムを備え、
    前記接触端は前記フィルムの内面に固定されている
    ことを特徴とする触覚センサ。
  2.  前記フィルムは内面に粘着層を有しており、該粘着層により前記接触端が前記フィルムに接着されている
    ことを特徴とする請求項1記載の触覚センサ。
  3.  前記接触端はスパイクを有しており、該スパイクが前記フィルムに食い込んでいる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の触覚センサ。
  4.  前記ケーシングは、開口部を有するケーシング本体をさらに備え、
    前記開口部は前記フィルムにより閉塞されており、
    前記接触端は前記開口部に配置されており、
    前記基部は前記ケーシング本体に対して固定されている
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の触覚センサ。
  5.  前記ケーシング本体は、
    前記開口部を有し、該開口部が位置する貼付面に前記フィルムが貼り付けられるフレームと、
    前記フィルムのうち前記開口部に対応する部分以外の部分を覆う外装体と、を備える
    ことを特徴とする請求項4記載の触覚センサ。
  6.  前記開口部は掃引方向の端部が半楕円形または半円形である
    ことを特徴とする請求項5記載の触覚センサ。
  7.  前記フレームは掃引方向の端部に傾斜面を有する
    ことを特徴とする請求項5または6記載の触覚センサ。
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