JP2009198475A - 弾性体特性を利用した3次元触覚センサ及び3次元触覚センシング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡単な構成で、接触面を触れた力の大きさと方向を精度良く3次元的に検出できるようにする。
【解決手段】弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、前期裏面上の所定の間隔を開けた模様をカメラで撮影することにより、または、弾性体内部に針金状の歪みセンサを配置し、弾性体の初期状態と力が押された現在状態との差分から、弾性体の歪みを算出し、作用点及び接点によって分離される前期弾性体の歪みの比及び和と差に基づいて、前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度を算出し、押された力の水平分力と垂直分力、及び押された力の大きさを算出する。
【選択図】図8
【解決手段】弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、前期裏面上の所定の間隔を開けた模様をカメラで撮影することにより、または、弾性体内部に針金状の歪みセンサを配置し、弾性体の初期状態と力が押された現在状態との差分から、弾性体の歪みを算出し、作用点及び接点によって分離される前期弾性体の歪みの比及び和と差に基づいて、前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度を算出し、押された力の水平分力と垂直分力、及び押された力の大きさを算出する。
【選択図】図8
Description
本発明は、例えば手指や何らかの物体で触れられた際の、その触れられた力の大きさや力が働く方向などを検出する3次元触覚センサ、及びそのセンサに適用される3次元触覚センシング方法に関する。
従来、接触面に触れられた力の大きさと、その力が作用する方向を3次元的に正確に検出するためには、非常に構成が複雑で頑強な触覚センサが必要であった。柔らかいセンサとして弾性体を使ったものがあり、これを使った従来の3次元触覚センサとしては、例えば特許文献1及び2に記載のものが知られている。この2つの文献に記載された技術は、いずれも光学的に検出する3次元触覚センサである。
特許文献1に記載のものは、ある程度の厚みを有する透明弾性体内に、複数の色の色マーカーを、色ごとに空間的に層を形成させた状態で配置させる。そして、透明弾性体内の色マーカーの各層の状態を、カメラで撮影する構成としたものである。透明弾性体の表面に力が加わった場合には、カメラで撮影される画像から色マーカーの各層の配列状態の変化を判定して、そのときに加わった力についての判定を行うものである。
特許文献1に記載のものは、ある程度の厚みを有する透明弾性体内に、複数の色の色マーカーを、色ごとに空間的に層を形成させた状態で配置させる。そして、透明弾性体内の色マーカーの各層の状態を、カメラで撮影する構成としたものである。透明弾性体の表面に力が加わった場合には、カメラで撮影される画像から色マーカーの各層の配列状態の変化を判定して、そのときに加わった力についての判定を行うものである。
特許文献2に記載のものは、弾性体の表面(裏面)に格子状又はハニカム状に模様を描き、弾性体に力が加わった際の弾性体表面の模様の変化をカメラで撮影して、その模様の変化から弾性体表面の変形量を判定して、そのときに加わった力についての判定を行うものである。
WO02−18893号公報 特開2005−257343号公報
特許文献1に記載の手法は、透明弾性体の内部に複数の層で色マーカーを配置するために、透明弾性体そのものを、ある程度厚くする必要がある。弾性体の厚さが厚いということは、弾性体の表面に加わる圧力に比べて、弾性体の内部の形状変化に乏しく、取得できる情報のダイナミックレンジや分解能が少なくなってしまう。それゆえ、現実的には接触面に対して垂直方向の力の大きさや位置は求めることができても、力の入射角度及び、前期弾性体に対する水平分力と垂直分力を求めることができなかった。
本発明は、これらの点に鑑みて、比較的簡単な構成で、精度良く3次元的に接触面を触れた力を検出できるようにすることを目的とする。
本発明の3次元触覚センサは、表面側から押された場合に、押された力と押された方向を検出する3次元触覚センサに適用される。
本発明の3次元触覚センサの構成としては、
弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、作用点及び接点によって分離される前期弾性体の歪みの比及び和と差に基づいて、前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度を算出することを特徴とする。
本発明の3次元触覚センサの構成としては、
弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、作用点及び接点によって分離される前期弾性体の歪みの比及び和と差に基づいて、前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度を算出することを特徴とする。
また本発明の3次元触覚センシング方法は、表面側から押された場合に、押された力と押された方向を検出する3次元触覚センシング方法に適用される。
本発明の3次元触覚センシング方法の処理としては、
弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、その裏面上に所定の間隔を開けた模様をカメラで撮影することにより、または、弾性体内部に針金状の歪みセンサを配置し、弾性体の初期状態と力が押された現在状態との差分から、弾性体の歪みを算出し、力の作用点及び接触点から放射線上に全方向の歪みの和を検出し、力の作用点及び接触点を中心とした線分となる2対の線分上の和が最大となる対、及び2対の線分の比が最大となる対、または2対の線分の差が最大となる対を検出し、前期2対の線分のうち歪みの和が大きい線分を前期弾性体の水平分力のベクトルとし、弾性体と水平分力が成す角度を算出し、
前期2対の線分の比に基づいて、弾性体と垂直分力が成す角度を算出し、
弾性体全体の歪みの操作に基づいて、押された力の大きさを算出し、
弾性体と水平分力が成す角度と、弾性体と垂直分力が成す角度と、押された力の大きさに基づいて水平分力の大きさと垂直分力の大きさを算出することを特徴とする。
本発明の3次元触覚センシング方法の処理としては、
弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、その裏面上に所定の間隔を開けた模様をカメラで撮影することにより、または、弾性体内部に針金状の歪みセンサを配置し、弾性体の初期状態と力が押された現在状態との差分から、弾性体の歪みを算出し、力の作用点及び接触点から放射線上に全方向の歪みの和を検出し、力の作用点及び接触点を中心とした線分となる2対の線分上の和が最大となる対、及び2対の線分の比が最大となる対、または2対の線分の差が最大となる対を検出し、前期2対の線分のうち歪みの和が大きい線分を前期弾性体の水平分力のベクトルとし、弾性体と水平分力が成す角度を算出し、
前期2対の線分の比に基づいて、弾性体と垂直分力が成す角度を算出し、
弾性体全体の歪みの操作に基づいて、押された力の大きさを算出し、
弾性体と水平分力が成す角度と、弾性体と垂直分力が成す角度と、押された力の大きさに基づいて水平分力の大きさと垂直分力の大きさを算出することを特徴とする。
本発明によると、弾性変形可能な弾性体が表面側から押された場合、その押されて弾性体が裏面側に窪むことで、その窪んだ形状に対応して弾性体裏面上に所定の間隔を開けた模様、または弾性体内部に針金状の歪みセンサを配置し、弾性体裏面上の初期状態との形状変化を検出し、それを弾性体の歪みとし、力の作用点及び接触点で分離される歪みの和と差及び比に基づいて、その形状や押された力と押された方向を算出する。
従って、弾性体とその弾性体の裏面の模様、または弾性体内部の針金状の歪みセンサによる簡単な構成で、かつ装置の大きさに左右されない、広いダイナミックレンジと高分解能とを生み出すことができる3次元触覚センサが構成できる効果を有する。
従って、弾性体とその弾性体の裏面の模様、または弾性体内部の針金状の歪みセンサによる簡単な構成で、かつ装置の大きさに左右されない、広いダイナミックレンジと高分解能とを生み出すことができる3次元触覚センサが構成できる効果を有する。
以下、本発明の一実施の形態の例を、添付図面を参照して説明する。
本実施の形態においては、弾性体を配置して、その弾性体を触れた場合に、その弾性体を触れた力についての検出を行う3次元触覚センサとして構成したものである。
本実施の形態においては、弾性体を配置して、その弾性体を触れた場合に、その弾性体を触れた力についての検出を行う3次元触覚センサとして構成したものである。
図1は、本実施の形態の3次元触覚センサの全体構成例を示した図である。
3次元触覚センサ10は、合成樹脂などで形成された円筒形の筐体11内に構成させてある。筐体11の上面には、弾性体12が配置してある。弾性体12は、筐体11の上面に取付けられた保持枠13で縁部を保持させる構成としてあり、保持枠13の孔13a内で弾性体12の表面が露出している。なお、以下の説明で弾性体の表面と述べた場合には、弾性体の外側に露出した面を示し、裏面と述べた場合には、筐体11の内側を向いた弾性体の面を示す。
3次元触覚センサ10は、合成樹脂などで形成された円筒形の筐体11内に構成させてある。筐体11の上面には、弾性体12が配置してある。弾性体12は、筐体11の上面に取付けられた保持枠13で縁部を保持させる構成としてあり、保持枠13の孔13a内で弾性体12の表面が露出している。なお、以下の説明で弾性体の表面と述べた場合には、弾性体の外側に露出した面を示し、裏面と述べた場合には、筐体11の内側を向いた弾性体の面を示す。
弾性体12は、表面側から押すことで、弾性体そのものが弾性変形して、筐体11内に窪むことができるような材質の薄膜の樹脂シートを使用してある。例えば、超軟質ウレタン樹脂による薄膜(例えば厚さ5mm)の樹脂シートを使用する。本実施の形態の装置を製作した際には、エクシールコーポレーション社製の硬度0の超軟質ウレタン樹脂を使用した。この超軟質ウレタン樹脂は、乳児の肌や腹部の皮膚程度の硬さであり、微小な力に対しても大きな変形を示す。弾性体12は、光を通さない樹脂であることが好ましい。
なお、弾性体12として、厚さ0.1mm以下の手術用ゴム手袋やゴム風船などに使用されているものと同様のラテックスや樹脂シートを使用してもよい。
なお、弾性体12として、厚さ0.1mm以下の手術用ゴム手袋やゴム風船などに使用されているものと同様のラテックスや樹脂シートを使用してもよい。
弾性体12は、例えば図1に示すように、操作棒1の先端部1aで押して変形させたり、或いは手指2の先端部2aで押して変形させるものである。
このような弾性体12が上面に保持された筐体11内に、弾性体12の裏面の弾性変形を検出する機構を構成させてある。弾性変形を検出するための具体的な機構については、図2と以降の説明で後述する。
そして、筐体11の底面部にカメラ部30が配置してあり、そのカメラ部30で弾性体12の裏面を撮影する。撮影された画像は、演算処理装置40に供給して、演算処理装置40での画像解析から、弾性体12に表面から加わる力の大きさと、力の3次元的な方向を判定する。弾性体12の表面に、外部から力が加わっている位置についても、検出することができる。
このような弾性体12が上面に保持された筐体11内に、弾性体12の裏面の弾性変形を検出する機構を構成させてある。弾性変形を検出するための具体的な機構については、図2と以降の説明で後述する。
そして、筐体11の底面部にカメラ部30が配置してあり、そのカメラ部30で弾性体12の裏面を撮影する。撮影された画像は、演算処理装置40に供給して、演算処理装置40での画像解析から、弾性体12に表面から加わる力の大きさと、力の3次元的な方向を判定する。弾性体12の表面に、外部から力が加わっている位置についても、検出することができる。
演算処理装置40で判定された接触位置、力の大きさ、力の向きについては、例えば表示装置50の画面中に、数値として表示させ、或いは、図形で表示させる。或いは、演算処理装置40で判定された接触位置、力の大きさ、力の向きの各情報を出力させて、その情報を受け取った機器の操作などを行うようにしてもよい。
なお、以下の説明では、図1に示すように弾性体12の面方向(水平方向)に沿った直交する2つの方向をx方向とy方向とし、このx方向及びy方向と直交する垂直方向をz方向とする。また、x方向とy方向に加わる力を水平分力F(x,y)とし、z方向に加わる力を垂直分力Fz、水平分力と弾性体とが成す角度をθ(x,y)、垂直分力と弾性体とが成す角度をθzとし、力の大きさを外力F、接触点及び作用点を(x0,y0)とする。
次に、図2及び図3を参照して、3次元触覚センサ10の筐体11内の構成例について説明する。
図2は、筐体11内を縦断面で示した図で、図3は、弾性体の裏面に描画された均一模様と格子模様の例である。
図2は、筐体11内を縦断面で示した図で、図3は、弾性体の裏面に描画された均一模様と格子模様の例である。
そして図2に示すように、筐体11の底面上の中心に、カメラ部30を配置する。カメラ部30のレンズ部31は下側から見える弾性体12全体を撮影するように配置する。従って、カメラ部30と弾性体12との距離は、カメラ部30に装着されたレンズ部31の焦点距離などに依存する。3次元触覚センサ10を小型化するためには、出来るだけ焦点距離の短い広角のレンズを備えて、弾性体12からカメラ部30までの距離を短くすることが好ましい。カメラ部30での撮影は、一定のフレームレートで周期的に行う。例えば毎秒30フレームなどで撮影を行う。検出精度を上げるために、より高速のフレームレートで撮影できるカメラ部を使用してもよい。
次に、このように配置した弾性体12の裏面側の状態の例を、図4及び図5を参照して説明する。また、図4及び図5では、歪みが大きいほど色が濃く示される。
まず、弾性体に力が垂直方向のみに加わっているとき,つまりF(x,y)=0でθ(x,y)=π状態を想定すると、この場合には、弾性体は作用点(x0,y0)に向かって引っ張られる。この様子を図5に示す。しかし、水平分力F(x,y)が加わったとき、つまりF(x,y)>0でθ<πの状態の場合、弾性体はFzによって垂直方向に引っ張られると同時に,F(x,y)により水平方向に押し出される.また,F(x,y)と逆方向の弾性体はFzによって垂直方向に引っ張られると同時に,F(x,y)により水平方向に引っ張られる.この様子を図4に示す。よって,F(x,y)の向き周辺の弾性体は,歪み領域が狭く,歪みが大きくなり,F(x,y)と逆方向の弾性体は,歪み領域が広く,歪みが小さくなる.以上の性質を利用し、水平分力と弾性体とが成す角度をθ(x,y)及び垂直分力と弾性体とが成す角度θzを算出する。
まず、弾性体に力が垂直方向のみに加わっているとき,つまりF(x,y)=0でθ(x,y)=π状態を想定すると、この場合には、弾性体は作用点(x0,y0)に向かって引っ張られる。この様子を図5に示す。しかし、水平分力F(x,y)が加わったとき、つまりF(x,y)>0でθ<πの状態の場合、弾性体はFzによって垂直方向に引っ張られると同時に,F(x,y)により水平方向に押し出される.また,F(x,y)と逆方向の弾性体はFzによって垂直方向に引っ張られると同時に,F(x,y)により水平方向に引っ張られる.この様子を図4に示す。よって,F(x,y)の向き周辺の弾性体は,歪み領域が狭く,歪みが大きくなり,F(x,y)と逆方向の弾性体は,歪み領域が広く,歪みが小さくなる.以上の性質を利用し、水平分力と弾性体とが成す角度をθ(x,y)及び垂直分力と弾性体とが成す角度θzを算出する。
次に,弾性体の張力による歪み領域の大きさの変動の例を図6及び図7を参照して説明する.また、図6及び図7では、歪みが大きいほど色が濃く示される。
張力が大きいときは,水平方向の力成分F(x,y)による歪み領域の幅の違いが顕著に現れるが,張力が小さいときは,作用点と張力の引き合いが少ないため歪み領域の幅の違いが現れにくい.
しかしながら,F(x,y)方向の弾性体はFzの歪みがFx,yにより増大する.つまり,F(x,y)方向の弾性体の歪みが大きくなり,逆方向の弾性体の歪みが小さくなる性質は変動しない.したがって,外力Fの成分を求める際には,F(x,y)方向の歪み領域が狭く歪みが大きくなり,逆方向の歪み領域が広く歪みが小さくなる性質を生かしながら,弾性体の張力により歪み領域の大きさが変動することを考慮する.
張力が大きいときは,水平方向の力成分F(x,y)による歪み領域の幅の違いが顕著に現れるが,張力が小さいときは,作用点と張力の引き合いが少ないため歪み領域の幅の違いが現れにくい.
しかしながら,F(x,y)方向の弾性体はFzの歪みがFx,yにより増大する.つまり,F(x,y)方向の弾性体の歪みが大きくなり,逆方向の弾性体の歪みが小さくなる性質は変動しない.したがって,外力Fの成分を求める際には,F(x,y)方向の歪み領域が狭く歪みが大きくなり,逆方向の歪み領域が広く歪みが小さくなる性質を生かしながら,弾性体の張力により歪み領域の大きさが変動することを考慮する.
次に、水平分力F(x,y)の進行方向と水平分力と弾性体とが成す角度をθ(x,y)の算出処理を図8と図9を参照して説明する。また、図8では、歪みが大きいほど色が濃く示される。
作用点(x0,y0)と円の外周の任意の2点(x1,y1)と(x2,y2)を通る線分上の歪みの和が最大となる線分、もしくは(x1,y1)と作用点(x0,y0)が成す線分と、(x2,y2)と作用点(x0,y0)が成す線分の差が最大となる2点(x1,y1)と(x2,y2)の線分を外力xとy成分の線分方向とする。
作用点(x0,y0)から(x1,y1)の成分をl1,作用点(x0,y0)から(x2,y2)の成分をl2としたとき,それぞれの歪みの密度をL1,L2とする.Nを歪みの大きさとしたとき、L1,L2は、それぞれ次式のように求められる。
F(x,y)方向の弾性体は,歪み領域が狭く歪みが大きくなり,逆方向の弾性体は,歪み領域が広く歪みが小さくなる.つまり,F(x,y)方向の弾性体は歪みの密度が大きく,逆方向の弾性体は密度が小さくなる。以上の弾性体の特性により、
L1<L2のとき,進行方向はL1、
L1>L2のとき,進行方向はL2、
L1=L2のとき,θ=π,F(x,y)=0、
と算出する。また、進行方向によってθ(x,y)を検出する様子を図9に示す。
作用点(x0,y0)と円の外周の任意の2点(x1,y1)と(x2,y2)を通る線分上の歪みの和が最大となる線分、もしくは(x1,y1)と作用点(x0,y0)が成す線分と、(x2,y2)と作用点(x0,y0)が成す線分の差が最大となる2点(x1,y1)と(x2,y2)の線分を外力xとy成分の線分方向とする。
作用点(x0,y0)から(x1,y1)の成分をl1,作用点(x0,y0)から(x2,y2)の成分をl2としたとき,それぞれの歪みの密度をL1,L2とする.Nを歪みの大きさとしたとき、L1,L2は、それぞれ次式のように求められる。
L1<L2のとき,進行方向はL1、
L1>L2のとき,進行方向はL2、
L1=L2のとき,θ=π,F(x,y)=0、
と算出する。また、進行方向によってθ(x,y)を検出する様子を図9に示す。
次に、垂直分力と弾性体とが成す角度θzの算出処理を図8を参照して説明する。また、図8では、歪みが大きいほど色が濃く示される。L1とL2の差が増えることから,θzはL1とL2の比の値に比例する.張力が大きくなるにつれて歪み領域が広がり,全体の歪みの密度が小さくなることも考慮する.
kを定数,tensionを張力としたとき、次式によりF(x,y)の方向がl1のときのθzを算出する.
kを定数,tensionを張力としたとき、次式によりF(x,y)の方向がl1のときのθzを算出する.
次に、水平分力F(x,y)と垂直分力Fzの算出処理を説明する。水平分力の進行方向がl1であるとき、θ(x,y)とθz及び外力Fを三角比用いて、次式で水平分力F(x,y)と垂直分力Fzをそれぞれ算出する。
次に、演算処理装置40内で画像情報から力情報を取得するまでの処理例を、図10のフローチャートを参照して説明する。
まず、カメラ部30を初期化する(ステップS11)。また、本実施の形態の3次元触覚センサとは別に、既存の6軸力隔センサを用意して初期化し、その6軸力隔センサで弾性体12を表面から押すようして、そのセンサが出力する値を参照する。この6軸力隔センサは、基準となる出力値を得るために使用し、演算処理装置40内に必要なデータが記憶されれば、以後は必要としない。
まず、カメラ部30を初期化する(ステップS11)。また、本実施の形態の3次元触覚センサとは別に、既存の6軸力隔センサを用意して初期化し、その6軸力隔センサで弾性体12を表面から押すようして、そのセンサが出力する値を参照する。この6軸力隔センサは、基準となる出力値を得るために使用し、演算処理装置40内に必要なデータが記憶されれば、以後は必要としない。
本実施の形態による3次元触覚センサは、例えば携帯電話端末に内蔵されているような超小型のカメラを用いることで装置を小型化でき、例えばロボットハンドの指先にも装着することが可能となる。ロボットハンドの指先に装着することで、ロボットハンドの指先に加わる力の大きさや向きを知ることが可能となるため、ロボットハンドによる適切な物体把持が可能となる。
また、コンピュータ装置やゲーム機器などが必要とする情報入力用ポインティングデバイスにも適用可能である。従来のタッチパッドやジョイスティック等の情報入力用ポインティングデバイスでは、パッドに触れている位置か、あるいはスティックの傾きのみが検出可能であった。これに対して本実施の形態による3次元触覚センサの場合には、例えば図12に示すように、操作棒1で弾性体12を押して操作するようにしたことで、押す際の位置,方向,大きさが3次元触覚センサ10で検出可能となり、より多くの情報が利用可能な情報入力用ポインティングデバイスが実現できるようになる。
図12の例では、操作棒を用意した例であるが、手指で直接弾性体12を押して、その押す位置、方向、力の強さで操作するようにしてもよい。
図12の例では、操作棒を用意した例であるが、手指で直接弾性体12を押して、その押す位置、方向、力の強さで操作するようにしてもよい。
さらに別の画像情報から力情報を得る処理として、前記算出処理で算出した歪みから、前記弾性体が押された力と押された方向を算出する処理は、重回帰分析により前記弾性体が変形した際の重みづけを行ってもよい。この場合、目的変数は弾性体を押している物体の「接触位置」「力の大きさ」「弾性体と水平分力が成す角度」「弾性体と垂直分力が成す角度」である。
また、図1に示した構成例では、演算処理装置40や表示装置50として、触覚センサ用の専用のものを用意する構成として説明したが、これらの装置の代りにパーソナルコンピュータ装置などの汎用の情報処理装置を用意して、その情報処理装置に図8のフローチャートなどの処理を実行するソフトウェアを実装させて、同様の力の情報の算出処理(変換処理)や、表示処理を行うようにしてもよい。
1…操作棒、1a…先端部、2…手指、2a…先端部、11…筐体、12…弾性体、12a…縁部、13a…孔、14a…孔、15…スペーサ、15a…孔、30…カメラ部、31…レンズ部、40…演算処理装置、50…表示装置、101…底面、102…接触点、103…仮想の棒
Claims (14)
- 表面側から押された場合に、押された力と押された方向を検出する3次元触覚センサであって、
弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、前期裏面上の所定の間隔を開けた模様をカメラで撮影することにより、または、弾性体内部に針金状の歪みセンサを配置し、弾性体の初期状態と力が押された現在状態との差分から、弾性体の歪みを算出し、作用点及び接点によって分離される前期弾性体の歪みの比及び和と差に基づいて、
前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度を算出することを特徴とする
3次元触覚センサ。 - 請求項1記載の3次元触覚センサにおいて、
弾性体に力が作用していない初期状態と、力が作用している現在の状態との差分に基づいて前期弾性体の歪みを算出することを特徴とする
3次元触覚センサ。 - 請求項1記載の3次元触覚センサにおいて、
前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度に基づいて、押された力の水平分力と垂直分力、及び押された力の大きさを算出することを特徴とする
3次元触覚センサ。 - 請求項1〜3のいずれか1項記載の3次元触覚センサにおいて、
前記算出処理で判別した前記弾性体の変形状態から、前記弾性体が押された力と押された方向を算出する処理は、前記弾性体が変形した際の検出位置と、押された力及び押された方向との対応表を用意し、前記対応表を利用して算出する処理を行うことを特徴とする3次元触覚センサ。 - 請求項1〜4のいずれか1項記載の3次元触覚センサにおいて、
前記算出処理で算出した歪みから、前記弾性体が押された力と押された方向を算出する処理は、重回帰分析により前記弾性体が変形した際の重みづけ処理を行うことを特徴とする3次元触覚センサ。 - 請求項1〜5のいずれか1項記載の3次元触覚センサにおいて、
前記弾性体の表面に所定の部材及び表面上に模様を配置し、それをカメラで撮影し、前記部材を介して前記弾性体が押された力を算出することを特徴とする3次元触覚センサ。 - 表面側から押された場合に、押された力と押された方向を検出する3次元触覚センシング方法であって、
弾性変形可能で、表面側から押されることで裏面側に窪むことが可能に保持された弾性体と、前期裏面上の所定の間隔を開けた模様をカメラで撮影することにより、または、弾性体内部に針金状の歪みセンサを配置し、弾性体の初期状態と力が押された現在状態との差分から、弾性体の歪みを算出し、作用点及び接点によって分離される前期弾性体の歪みの比及び和と差に基づいて、
前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度を算出することを特徴とする
3次元触覚センシング方法。 - 請求項7記載の3次元触覚センシング方法において、
弾性体に力が作用していない初期状態と、力が作用している現在の状態との差分に基づいて前期弾性体の歪みを算出することを特徴とする
3次元触覚センシング方法。 - 請求項7又は8記載の3次元触覚センシング方法において、
前期弾性体と、押された力の水平分力と垂直分力が成す角度に基づいて、押された力の水平分力と垂直分力、及び押された力の大きさを算出することを特徴とする
3次元触覚センシング方法。 - 請求項7〜9のいずれか1項記載の3次元触覚センシング方法において、
前記算出処理部で判別した前記弾性体の変形状態から、前記弾性体が押された力と押された方向を算出する処理は、前記弾性体が変形した際の検出位置と、押された力及び押された方向との対応表を用意し、前記対応表を利用して算出する処理を行うことを特徴とする3次元触覚センシング方法。 - 請求項7〜10のいずれか1項記載の3次元触覚センシング方法において、
前記算出処理で算出した歪みから、前記弾性体が押された力と押された方向を算出する処理は、前期対応表を線形もしくは非線形近似により前記弾性体が変形した際の重みづけ処理を行うことを特徴とする3次元触覚センシング方法。 - 請求項7〜10のいずれか1項記載の3次元触覚センサにおいて、
前記算出処理部で判別した前記弾性体の変形状態から、前記弾性体が押された力と押された方向を算出する処理は、前記弾性体が変形した際の検出位置と、押された力及び押された方向との対応表を用意し、前記対応表を利用して算出する処理を行うことを特徴とする3次元触覚センシング方法。 - 請求項7〜10のいずれか1項記載の3次元触覚センサにおいて、
前記算出処理で算出した歪みから、前記弾性体が押された力と押された方向を算出する処理は、重回帰分析により前記弾性体が変形した際の重みづけ処理を行うことを特徴とする3次元触覚センシング方法。 - 請求項7〜13のいずれか1項記載の3次元触覚センシング方法において、
前記弾性体の表面に所定の部材及び表面上に模様を配置し、それをカメラで撮影し、前記部材を介して前記弾性体が押された力を算出することを特徴とする3次元触覚センシング方法。
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