WO2021199900A1 - 消臭方法及び消臭装置 - Google Patents

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真梨子 木村
大橋 和彰
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Definitions

  • the content of the metal atom M introduced into the siloxane bond of the silica pore wall is preferably 0.01 to 10% by mass, more preferably 0.1 to 5%. Mass%.
  • the content of the metal atom M is 0.01% by mass or more, sufficient adsorption performance can be exhibited.
  • mesoporous silica in which the metal atom M is introduced into the siloxane bond of the silica pore wall can be easily synthesized.
  • the silica pore wall it is preferable to introduce an aluminum atom in addition to the metal atom M into the siloxane bond of the silica pore wall. That is, it is preferable to replace a part of the Si atom in the siloxane bond forming the silica skeleton with the metal atom M and the other part of the Si atom with the Al atom. By doing so, hydrolysis of the silica skeleton composed of siloxane bonds is suppressed, and the pore structure is less likely to collapse. As a result, the hydrothermal durability of mesoporous silica is enhanced.
  • the mesoporous silica used in this embodiment is usually white or light blue, but when the metal atom M introduced into the siloxane bond of the silica pore wall is Cu, the odorous substance is generated by the above mechanism. Shows a color reaction when chemically adsorbed. For example, when the adsorbed odorous substance is ammonia, the color changes to a bluish color, and when the adsorbed odorous substance is hydrogen sulfide, the color changes to brown. By such a color reaction, the state of adsorption of odorous substances can be confirmed by the change in color tone. On the other hand, when coexisting with an active species and breaking the chemical bond with the odorous substance to release the odorous substance, the progress of the regeneration process is visually confirmed by the change in color tone that returns to the original white or light blue. You can also do it.
  • the micelles in the solution were recovered as a precursor, dried at 50 ° C. for 24 hours, and then the precursor was calcined at 570 ° C. for 5 hours to remove organic components, thereby removing mesoporous silica (execution number "B-301"). ”) was prepared.
  • Example 9 Hydroxyl radical treatment The same procedure as in Example 2 was carried out except that the odor was changed to ammonia. The results are shown in Tables 4 and 5.

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Abstract

繰り返し消臭性能を発現させることができる消臭方法及び消臭装置であって、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子が導入されたメソポーラスシリカを担持し、臭気物質と化学的に結合する化学吸着によって消臭性能を発現する吸着部2と、活性種を生成する活性種生成部3とを備え、活性種生成部3から生成された活性種と共存させることにより、臭気物質との化学結合を切断して、臭気物質を離脱させることによって繰り返し消臭性能を発現する。

Description

消臭方法及び消臭装置
 本発明は、繰り返し消臭性能を発現させることができる消臭方法及び消臭装置に関する。
 従来、活性炭などの吸着剤が、臭気物質を除去するために広く利用されているが、活性炭に臭気物質を吸着させる場合、活性炭の吸着能力には限界があるため、吸着量が飽和する破過点に近づくにつれて臭気物質の吸着効率は著しく低下し、消臭性能が失われていってしまう。
 また,活性炭は,吸着した臭気物質を放出し易く、その吸着量が破過点に達すると、吸着した臭気物質が放出されて悪臭を発することもあるため、吸着量が破過点に達する前に、新しい活性炭と取り替える必要がある。
 また、活性炭などの吸着剤は、水洗いすることで消臭性能を一部回復させることができるが、十分な消臭性能を発現させることはできないため、交換が必要となる。
 このような不具合に鑑みて、例えば、特許文献1では、活性炭の交換作業を容易に行うための工夫が提案されている。
特開2008-285217号公報
 ところで、孔径2~50nmのメソスケールの細孔が、高い規則性を以て形成されたメソポーラスシリカが知られており、近年、その吸着剤としての用途が注目されている。
 本発明者らは、かかるメソポーラスシリカの吸着機構に着目して、繰り返し消臭性能を発現させることができる消臭方法及び消臭装置を提供するべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
 本発明に係る消臭方法は、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子が導入されたメソポーラスシリカを吸着剤として用いて、前記金属原子が臭気物質に結合する化学吸着によって消臭性能を発現させ、活性種と共存させることにより、前記金属原子と前記臭気物質との化学結合を切断して、前記金属原子から前記臭気物質を離脱させることによって、繰り返し消臭性能を発現させる方法としてある。
 また、本発明に係る消臭装置は、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子が導入されたメソポーラスシリカを担持し、前記金属原子が臭気物質に結合する化学吸着によって消臭性能を発現する吸着部と、活性種を生成する活性種生成部とを備え、前記活性種生成部から生成された活性種と共存させることにより、前記金属原子と前記臭気物質との化学結合を切断して、前記金属原子から前記臭気物質を離脱又は分解させることによって繰り返し消臭性能を発現する構成としてある。
 本発明によれば、繰り返し消臭性能を発現させることができる消臭方法及び消臭装置が提供される。
本発明の実施形態に係る消臭装置の一例を示す説明図である。
 以下、本発明の実施形態について説明する。
[消臭方法]
 まず、本実施形態に係る消臭方法について説明する。
 本実施形態に係る消臭方法では、孔径2~50nmのメソスケールの細孔が、高い規則性を以て形成されたメソポーラスシリカであって、シリカ骨格を形成するシロキサン結合(-Si-O-)中のSi原子の一部を金属原子Mに置き換えることによって、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカが吸着剤として用いられる。
 シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入する金属原子Mとしては、Cu、Mn、Fe、Co及びZnからなる群から選択される少なくとも一種であるのが好ましく、特にCuが好ましい。これらの金属原子Mをシリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入することで、繰り返し消臭性能を発現させることを可能にしているが、これについては後述する。
 本実施形態で用いるメソポーラスシリカの比表面積は、500m/g以上であるのが好ましく、より好ましくは800~2000m/gであり、特に好ましくは800~1600m/gである。当該メソポーラスシリカの比表面積が500m/g以上であれば、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入された金属原子Mと臭気物質との接触面積が十分に確保され、高い吸着率を得ることができる。一方、比表面積が2000m/g以下であれば、細孔構造を維持するための強度も確保できる。
 本実施形態で用いるメソポーラスシリカにおいて、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入される金属原子Mの含有率は、0.01~10質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1~5質量%である。金属原子Mの含有量が0.01質量%以上であれば、十分な吸着性能を発揮することができる。一方、10質量%以下であれば、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカを容易に合成することができる。
 また、本実施形態にあっては、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に、金属原子Mの他にアルミニウム原子を導入するのが好ましい。すなわち、シリカ骨格を形成するシロキサン結合中のSi原子の一部を金属原子Mに置き換えるとともに、他の一部のSi原子をAl原子に置き換えるのが好ましい。このようにすることで、シロキサン結合からなるシリカ骨格の加水分解が抑制され、細孔構造が崩壊し難くなる。その結果、メソポーラスシリカの水熱耐久性が高められる。
 シリカ細孔壁のシロキサン結合中にアルミニウム原子を導入する場合、アルミニウム原子の含有率は、0.01~10質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1~5質量%である。アルミニウム原子の含有量が0.01質量%以上であれば、シリカ骨格の加水分解が抑制され、保管に際し、経時的な比表面積の低下を抑制することができる。一方、10質量%以下であれば、比表面積500m/g以上の高い比表面積を実現できる。
 本実施形態において、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカは、例えば、次のようにして作製することができる。
 まず、界面活性剤と金属塩MXとを溶媒に添加して、界面活性剤溶液を調製する。界面活性剤溶液は、好ましくは、室温以上200℃以下で、30分以上10時間以下、攪拌される。これにより、界面活性剤がミセルを形成する。
 そして、ミセルが形成された界面活性剤溶液に、シリカ源を添加する。
 溶媒としては、例えば、水を用いることができる。水以外にエタノール、トルエンなどの有機溶媒を含んでいてもよい。
 界面活性剤の添加量は、好ましくは50~400mmol/L、より好ましくは50~150mmol/Lである。
 また、界面活性剤が形成するミセルは、ミセル表面にシリカ源を静電気的に集積させる分子鋳型として機能する。このことに鑑みると、シリカ源1モルに対して、0.01~5.0モルの界面活性剤を添加するのが好ましく、より好ましくは0.05~1.0モルである。
 界面活性剤としては、特に限定されない。陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤を用いてもよいが、陰イオン性又は両性の界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキルアンモニウム塩である。アルキルアンモニウム塩は、炭素数が8以上のものであるのが好ましく、工業的な入手の容易さを鑑みると、炭素数が12から18のものがより好ましい。アルキルアンモニウム塩としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 金属塩MXは、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入する金属原子Mの供給源として添加される。金属塩MXとしては、例えば、Cu原子を導入する場合には、塩化銅、硝酸銅、硫酸銅などの水溶性の銅塩、Mn原子を導入する場合には、塩化マンガンなどの水溶性のマンガン塩、Fe原子を導入する場合には、塩化鉄などの水溶性の鉄塩を、Co原子を導入する場合には、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルトなどの水溶性のコバルト塩を、Zn原子を導入する場合には、塩化亜鉛などの水溶性の亜鉛塩を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの金属塩MXの添加量は、シリカ源1モルに対して、0.01~5.0モルであるのが好ましく、より好ましくは0.05~1.0モルである。
 シリカ源は、シリカの原料となるものであれば特に限定されない。好ましくはアルコキシシランである。Si原子上の有機官能基は加水分解によって失われるため、合成物の構造に影響を与えないが、有機官能基が嵩高いと加水分解速度が遅くなり、合成時間が長くかかってしまう。このことに鑑みると、シリカ源としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、ケイ酸ナトリウムなどが挙げられるが、より好ましくはテトラエトキシシランである。これらのシリカ源は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 なお、シリカ源としてケイ酸ナトリウムを単独で又は併用して用いる場合、界面活性剤溶液について、200℃以下で20~2時間、加熱還流する操作をする。
 シリカ源の添加量は、好ましくは0.2~1.8mol/Lであり、より好ましくは0.2~0.9mol/Lである。溶媒が水を含む場合、水1モルに対して、0.001~0.05モルのシリカ源を添加するのが好ましい。
 次に、ミセル表面に集積されたシリカ源を縮合させる。詳細には、シリカ源が縮合するまで、溶液のpHを増加又は減少させる。
 例えば、縮合触媒として塩基性水溶液を添加し、攪拌することにより、シリカ源を縮合させることができる。攪拌は、例えば、1時間以上行う。塩基性水溶液の添加により、ミセルの表面に集積したシリカ源が脱水縮合し、シリカの壁を形成する。
 塩基水溶液の添加により、シリカ源の脱水縮合反応が加速する。その結果、縮合部分の表面張力が上昇して、シリカの壁が球状となり、さらに球体が幾重にも接合した形態となって、スピノーダル分解(相分離)が引き起こされる。そして、化学架橋によってこれらの構造が凍結される。
 塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどの水溶液が挙げられる。塩基性水溶液は、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である。これらの塩基性水溶液は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基性水溶液は、添加直後に好ましくはpHが8~14となるように、より好ましくは9~11となるように添加される。
 なお、シリカ源は、pHが低い状態においても縮合する性質を有している。したがって、塩基性水溶液ではなく、酸性水溶液を添加することによっても、シリカ源を縮合させることができる。
 次いで、溶液中のミセルを前駆体として回収する。詳細には、シリカ源を縮合させるとミセルが沈殿し、この沈殿物を濾過することにより、ミセルを前駆体として回収する。ミセルの濾過は、例えば、吸引濾過で行い、濾液のpHが7となるまで水で繰り返し洗浄する。このようにして回収した前駆体を十分に乾燥させる。そして、乾燥した前駆体を焼成し、前駆体中に含まれる有機成分を除去する。すなわち、ミセルを構成していた界面活性剤を除去する。これにより、細孔を有するメソポーラスシリカが形成される。
 なお、焼成は、界面活性剤の分解温度以上で行い、好ましくは、400~600℃で焼成する。
 以上のようにすることで、添加された金属塩MXに由来する金属原子Mが、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入されたメソポーラスシリカを作製することができる。
 なお、上記の方法では、界面活性剤とともに金属塩MXを添加してミセルを形成した例について説明したが、金属塩MXは、前駆体を焼成する前であれば、どの段階で溶液中に添加されてもよい。溶液中において、集積したシリカ源と金属塩MXとが混合されていれば、金属塩MXに由来する金属原子Mがシリカ源に取り込まれ、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカを作製することができる。
 また、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に、金属原子Mの他にアルミニウムを導入する場合には、前駆体を焼成する前のいずれかの段階で、金属塩MXに加えて塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩を添加すればよい。アルミニウム塩の添加量は、シリカ源1モルに対して0.001~0.5モルであるのが好ましく、より好ましくは0.01~0.1モルである。
 本実施形態にあっては、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素系の臭気物質や、硫化水素、メチルメルカプタンなどの硫黄系の臭気物質が、メソポーラスシリカの細孔にトラップされると、これらの臭気物質の窒素原子上又は硫黄原子上の非共有電子対が、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入された金属原子Mに配位し、配位結合などの化学結合による化学吸着によって消臭機能を発現する。
 このようにして、臭気物質が化学吸着されたメソポーラスシリカにおいて、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入された金属原子Mと臭気物質との化学結合は、例えば、ヒドロキシラジカル(・OH)、スーパーオキサイド(O )、一酸化窒素ラジカル(NO・)、酸素ラジカル等のラジカル、これらのラジカルの少なくとも一種を含むマイナスに帯電している帯電微粒子水、又はオゾン(O)などの活性種と共存させることによって切断することができる。これにより、臭気物質が化学吸着されたメソポーラスシリカを、破過点に達してから又は破過点に達する前に活性種と共存させることにより、臭気物質との化学結合を切断して、当該金属原子Mから臭気物質を離脱させることによって再生処理が施され、繰り返し消臭性能を発現させることが可能となる。
 このような本実施形態の適用例として、例えば、一般家庭において、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカを壁紙などの建材の表面に担持させ、空気中に含まれる臭気物質を化学吸着することによって消臭性能を発現させるとともに、前述した活性種を生成する機能を備えた空気清浄機を用いて活性種と共存させることにより、繰り返し消臭性能を発現させるという用途が挙げられる。
 なお、近年、自動車にあっても、前述した活性種を利用した空気清浄機能を装備するものが知られているが、そのような装備を備えた自動車の車室内において、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカを内装材の表面に担持させ、上記と同様にして本実施形態を適用できるのは、いうまでもない。
 また、前述した活性種によって、臭気物質を分解できることは知られているが、室内に拡散した臭気物質に活性種が接触する頻度は低く、臭気物質を除去するには相当の時間を要するため、その消臭性能は速効性に乏しい。
 これに対して、本実施形態にあっては、臭気物質がメソポーラスシリカの細孔にトラップされ、化学吸着されるまでに要する時間が短く、速効性に優れた消臭性能を繰り返し発現することができる。そして、再生処理に際しては、共存させる活性種の濃度などの諸条件を適宜調整することによって、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入された金属原子Mと臭気物質との化学結合を切断するとともに、臭気物質を分解することもできる。
 シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子が導入されたメソポーラスシリカを消臭剤として用いる場合に、表面に結合した臭気物質がオゾンにより効率よく再生される機構については以下のように考えられる。オゾンが本剤に接触すると、本剤の金属原子がオゾン分解触媒としてはたらき、本剤表面の極近傍で活性酸素を発生させる。この活性酸素が、直ちに本剤表面に結合している臭気物質と反応して結合を切断または分解させることで、本剤表面を初期状態に戻すことができる。つまり、活性酸素の寿命は1/10000秒と短いことが知られているが、本剤では、オゾンから発生する活性酸素が本剤表面に存在する物質の極めて近傍で発生することから、効率的に本剤の再生が行われていると考えられる。このような理由から、本剤は0.01ppm~0.05ppmといった、人体に対して安全とされる低濃度のオゾンによる再生処理でも、十分にくりかえし消臭性能を回復させることができると考えられる。
 また、高濃度のオゾンは、人体への影響が無視できないため、一般家庭における生活環境下、オフィス、工場等における作業環境下でのオゾンの使用には制限がある。そのような制限を考慮すると、例えば、空調フィルターにシリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカを担持させ、かかる空調フィルターを定期的に取り外してオゾンと共存させる再生処理を施すことによって、繰り返し消臭性能を発現させるように本実施形態を適用することもできる。
 また、本実施形態で用いるメソポーラスシリカは、通常、白色又は薄水色であるが、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に導入された金属原子MがCuである場合には、上記機構によって臭気物質が化学吸着される際に、呈色反応を示す。例えば、吸着される臭気物質がアンモニアである場合、青みを増した色に変化し、吸着される臭気物質が硫化水素である場合、褐色に変化する。このような呈色反応によって、臭気物質の吸着の状態を色調変化で確認することができる。
 一方、活性種と共存させて、臭気物質との化学結合を切断して、臭気物質を離脱させる際には、元の白色又は薄水色に戻る色調の変化で、再生処理の進行を目視で確認することもできる。
 本実施形態に係る消臭剤は、これに限らないが、主に住宅や車内など閉空間で使用可能である。消臭剤を含む製品としては、例えば、壁、床、カーテン、布団カバー、シーツ、枕、フィルターなどが挙げられる。各種製品に配合、コーティング、スプレー噴霧などで各種製品を得ることができる。金属原子Mは、用途に応じて、適宜、選択すればよい。呈色反応を示す金属を選択した場合は、目視にて消臭容量が確認できるために、色の変化に応じて活性種の出力や濃度を調整の判断を容易に行うことができる。消臭剤の呈色反応の程度は、センサーや画像にて測定することで場所の特定が容易なうえ、変色した部分のみ、又は、対象領域のみに対して選択的に活性種を共存することで、必要最小限の量にて、最適な空間を維持することが可能である。
[消臭装置]
 次に、本実施形態に係る消臭装置について説明する。
 図1は、本実施形態に係る消臭装置の一例を示す説明図である。
 本実施形態に係る消臭装置1は、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカを担持し、当該金属原子Mが臭気物質と化学的に結合する化学吸着によって消臭性能を発現する消臭部2と、ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイド、一酸化窒素ラジカル、酸素ラジカル等のラジカル、これらのラジカルの少なくとも一種を含むマイナスに帯電している帯電微粒子水、又はオゾンなどの活性種を生成する活性種生成部3とを備えている。
 消臭部2は、前述したようにして作製され、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子Mが導入されたメソポーラスシリカが、例えば、圧力損失の少ない通気性に優れたフィルター部材Fなどに担持され、臭気物質を含む空気がフィルター部材Fを通過する際に、メソポーラスシリカの細孔にトラップされた臭気物質が、化学吸着されるように構成することができる。
 活性種生成部3は、放電によって前述した活性種を生成するように構成されていれば、特に限定されない。前述した活性種を生成し得る既知の装置を利用してもよい。
 また、消臭部2が担持するメソポーラスシリカが、金属原子Mが臭気物質に結合する化学吸着により呈色反応を示す場合には、消臭部2は、この呈色反応を測定する色変化測定部を備えることができる。そして、活性種生成部3が、色変化測定部の測定結果に応じて、活性種生成部3から生成された活性種を、変色した部分のみ、又は、対象領域のみに対して選択的に共存させるように消臭装置1を構成することができる。
 図1には、空気を送通する上流側配管4と下流側配管5との間に消臭部2が配設され、上流側配管4に、切り換え弁Vを介して活性種生成部3が接続され、下流側配管5に、切り換え弁Vを介して排気管6が接続された一例を示している。切り換え弁Vは、図中、矢印1Aで示す流路と、矢印1Bで示す流路とに切り替え可能に構成され、切り換え弁Vは、図中、矢印2Aで示す流路と、矢印2Bで示す流路とに切り替え可能に構成される。
 このような一例において、通常運転時には、切り換え弁Vを矢印1Aで示す流路に切り換えるとともに、切り換え弁Vを矢印2Aで示す流路に切り換えることで、上流側配管4から送られてきた空気が消臭部2を通過する際に、空気中に含まれる臭気物質が前述したようにして除去され、これによって消臭された空気が下流側配管5に送られるようにすることができる。
 そして、臭気物質が化学吸着されたメソポーラスシリカを活性種と共存させて、再生処理を施すに際しては、切り換え弁Vを矢印1Bで示す流路に切り換えるとともに、切り換え弁Vを矢印2Bで示す流路に切り換えることで、消臭部2への空気の送通を停止するとともに、活性種生成部3で生成された活性種が消臭部2に送通され、その後、排気管6から排出されるようにすることができる。
 このような一例は、高濃度のオゾンを用いて、効率よく再生処理を施す場合に、特に好適であるが、本実施形態に係る消臭装置の具体的な態様は、これに限定されない。特に図示しないが、消臭部2と活性種生成部3とを同一の筐体内に備えるように構成することもでき、臭気物質が化学吸着されたメソポーラスシリカを、活性種生成部3から生成された活性種と共存させることにより、その金属原子Mと臭気物質との化学結合を切断して、金属原子Mから臭気物質を離脱させることによって繰り返し消臭性能を発現することができれば、種々の態様で実施することができる。
 以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
(比表面積測定)
 マイクロメリティックス社製フローソーブII2300形を使用し、1点法で液体窒素温度にて、比表面積を測定した。
(分光測色)
 スガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター(SM-4)を用いてL*値、a*値、b*値を測定した。明度はL*値、彩度は√(a*+b*)で算出した。明度は数値が大きいほど白色であることを示す。彩度は数字が小さいほど無彩色であることを示す。
(メソポーラスシリカ中の金属量測定)
 試料約50mgを精確に量りとり、4mlの塩酸で溶解した後に、水溶液中の銅及びアルミニウム濃度をThermo Scientific社製のICP-OESにて測定した。塩酸で処理することにより、メソポーラスシリカに含まれる銅及びアルミニウムは、シリカの骨格内に取り込まれている成分の全て塩酸に溶解するものと考えられる。そこで、測定結果に基づき、メソポーラスシリカ中に存在する銅の全含有量及びアルミニウムの全含有量を、それぞれ「銅含有量」及び「アルミニウム含有量」として算出した。
(硫化水素の吸着試験及び消臭容量の算出)
 直径10mmのテフロン(登録商標)チューブ内部に各消臭剤40mgを担持させたシリカウールを充填して消臭剤サンプルチューブを作成した。パーミエーターを使用して14ppmの濃度の硫化水素を連続的に発生させ、パーミエーターの硫化水素ガス発生口に作製した消臭剤サンプルチューブを転結して試験を開始した。消臭剤サンプルチューブ出口から排出されるガスを3分後に500ml採取して、検知管にて硫化水素濃度を計測した。この計測は硫化水素濃度が7ppm未満になった時点で試験終了とした、7ppm未満になるまでの試験時間と硫化水素量を用いて、消臭剤1gあたりの消臭容量mg/gを算出した。
(アンモニアの吸着試験及び消臭容量の算出)
 直径10mmのテフロン(登録商標)チューブ内部に各消臭剤40mgを担持させたシリカウールを充填して消臭剤サンプルチューブを作成した。パーミエーターを使用して90ppmの濃度のアンモニアを連続的に発生させ、パーミエーターのアンモニアガス発生口に作製した消臭剤サンプルチューブを転結して試験を開始した。消臭剤サンプルチューブ出口から排出されるガスを3分後に500ml採取して、検知管にて硫化水素濃度を計測した。この計測はアンモニア濃度が50ppm以上になった時点で試験終了とした、50ppm以上になるまでの試験時間とアンモニア量を用いて、消臭剤1gあたりの消臭容量mg/gを算出した。
(硫化水素での破過処理)
 パーミエーターを使用して12ppmの濃度の硫化水素を連続的に発生させ、各消臭剤を0.5g~1g充填したナスフラスコに流量1L/分で硫化水素を48時間以上吹き付けて破過させた。この処理を「硫化水素破過処理」とした。硫化水素破過処理の程度は、硫化水素吸着試験にて、破過直後の消臭剤の消臭容量が破過前の消臭剤の消臭容量に対して80%以上減少していることを確認した。足りない場合は、上記破過処理をもう一度実施することとした。
(アンモニアでの破過処理)
 パーミエーターを使用して90ppmの濃度のアンモニアを連続的に発生させ、各消臭剤を0.5g~1g充填したナスフラスコに流量1L/分でアンモニアを48時間以上吹き付けて破過させた。この処理を「アンモニア破過処理」とした。アンモニア破過処理の程度は、アンモニア吸着試験にて、破過直後の消臭剤の消臭容量が破過前の消臭剤の消臭容量に対して80%以上減少していることを確認した。足りない場合は、上記破過処理をもう一度実施することとした。
(オゾンによる処理及び処理後の消臭容量)
 未処理、硫化水素破過処理後、及びアンモニア破過処理後の各消臭剤をプレシャーレに広げて、オゾン発生装置(岩崎電気株式会社製:OC-250615-D-A)を用いて、166ppmのオゾンと各消臭剤を60分間共存させて、オゾンによる処理を実施した。処理後の各消臭剤を硫化水素の吸着試験を実施し、「オゾンによる処理後の消臭容量」を得た。
(ヒドロキシラジカルによる処理及び処理後の消臭容量)
 未処理、硫化水素破過処理後、及びアンモニア破過処理後の各消臭剤を不織布製の小袋に収容し、各消臭剤を含む小袋とヒドロキシラジカル発生装置(パナソニック株式会社製:MS-DM10-M)から発生したヒドロキシラジカルとを共存させて、ヒドロキシラジカルによる処理を実施した。処理後の各消臭剤を硫化水素の吸着試験を実施し、「ヒドロキシラジカルによる処理後の消臭容量」を得た。
 アンモニア破過処理後の消臭剤をプレシャーレに広げて、オゾン発生装置(マクセル株式会社製:MXAPARS51)を用いて、45Lゴミ箱の中で0.05ppmのオゾンと消臭剤を10日共存させて、オゾンによる処理を実施した。処理後の各消臭剤を硫化水素の吸着試験を実施し、「低濃度オゾンによる処理後の消臭容量」を得た。
(製造例1)
 溶媒としての水に、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、銅塩として塩化銅、アルミニウム塩として塩化アルミニウムを加え、100℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ミセルが形成された溶液に、シリカ源としてテトラエトキシシランを加え、均一になるまで攪拌した。次に、添加直後のpHが9となるように、縮合触媒として水酸化ナトリウムを加え、室温で20時間攪拌した。各化合物の添加量は、テトラエトキシシラン1モルに対して、それぞれ以下の量とした。
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:0.225モル
・塩化銅:0.0204モル
・塩化アルミニウム:0.0482モル
・水:125モル
・水酸化ナトリウム:0.195モル
 次いで、溶液中のミセルを前駆体として回収し、50℃で24時間乾燥した後、前駆体を570℃で5時間焼成して有機成分を除去することによって、メソポーラスシリカ(実施番号「TB-2」)を作製した。メソポーラスシリカの比表面積測定、分光測色、金属含有量の結果を表1に示した。
(製造例2)
 溶媒としての水に、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、アルミニウム塩として塩化アルミニウムを加え、100℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ミセルが形成された溶液に、シリカ源としてテトラエトキシシランを加え、均一になるまで攪拌した。次に、添加直後のpHが9となるように、縮合触媒として水酸化ナトリウムを加え、室温で20時間攪拌した。各化合物の添加量は、テトラエトキシシラン1モルに対して、それぞれ以下の量とした。
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:0.225モル
・塩化アルミニウム:0.0482モル
・水:125モル
・水酸化ナトリウム:0.195モル
 次いで、溶液中のミセルを前駆体として回収し、50℃で24時間乾燥した後、前駆体を570℃で5時間焼成して有機成分を除去することによって、メソポーラスシリカ(実施番号「TCB-1」)を作製した。
(製造例3)
 溶媒としての水に、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、マンガン塩として塩化マンガン、アルミニウム塩として塩化アルミニウムを加え、100℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ミセルが形成された溶液に、シリカ源としてテトラエトキシシランを加え、均一になるまで攪拌した。次に、添加直後のpHが9となるように、縮合触媒として水酸化ナトリウムを加え、室温で20時間攪拌した。各化合物の添加量は、テトラエトキシシラン1モルに対して、それぞれ以下の量とした。
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:0.225モル
・塩化マンガン:0.0102モル
・塩化アルミニウム:0.0241モル
・水:125モル
・水酸化ナトリウム:0.195モル
 次いで、溶液中のミセルを前駆体として回収し、50℃で24時間乾燥した後、前駆体を570℃で5時間焼成して有機成分を除去することによって、メソポーラスシリカ(実施番号「CB-16」)を作製した。
(製造例4)
 溶媒としての水に、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、コバルト塩として塩化コバルト、アルミニウム塩として塩化アルミニウムを加え、100℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ミセルが形成された溶液に、シリカ源としてテトラエトキシシランを加え、均一になるまで攪拌した。次に、添加直後のpHが9となるように、縮合触媒として水酸化ナトリウムを加え、室温で20時間攪拌した。各化合物の添加量は、テトラエトキシシラン1モルに対して、それぞれ以下の量とした。
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:0.225モル
・塩化コバルト:0.0242モル
・塩化アルミニウム:0.0528モル
・水:125モル
・水酸化ナトリウム:0.195モル
 次いで、溶液中のミセルを前駆体として回収し、50℃で24時間乾燥した後、前駆体を570℃で5時間焼成して有機成分を除去することによって、メソポーラスシリカ(実施番号「B-301」)を作製した。
(製造例5)
 溶媒としての水に、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、鉄塩として塩化鉄(III)、アルミニウム塩として塩化アルミニウムを加え、100℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ミセルが形成された溶液に、シリカ源としてテトラエトキシシランを加え、均一になるまで攪拌した。次に、添加直後のpHが9となるように、縮合触媒として水酸化ナトリウムを加え、室温で20時間攪拌した。各化合物の添加量は、テトラエトキシシラン1モルに対して、それぞれ以下の量とした。
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:0.225モル
・塩化鉄:0.0110モル
・塩化アルミニウム:0.0240モル
・水:125モル
・水酸化ナトリウム:0.195モル
 次いで、溶液中のミセルを前駆体として回収し、50℃で24時間乾燥した後、前駆体を570℃で5時間焼成して有機成分を除去することによって、メソポーラスシリカ(実施番号「CB-06」)を作製した。
(実施例1)オゾン処理
 製造例1で得たメソポーラスシリカ「TB-2」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施し、吸着試験にて破過処理の程度を確認した。更に、オゾン処理を行った後、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、破過処理後及びオゾン処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(実施例2)ヒドロキシラジカル処理
 製造例1で得たメソポーラスシリカ「TB-2」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施し、吸着試験にて破過処理の程度を確認した。更に、ヒドロキシラジカル処理を行った後、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、破過処理後及びヒドロキシラジカル処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(実施例3)2回繰り返し処理
 製造例1で得たメソポーラスシリカ「TB-2」を用いて、硫化水素での破過処理とオゾン処理の処理を2回繰り返して実施した。2回繰り返し処理後に硫化水素での吸着試験を行い、「2回繰り返し再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示す。
 また、破過処理後及び2回繰り返し再生処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(実施例4)低濃度オゾン処理
 製造例1で得たメソポーラスシリカ「TB-2」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施し、吸着試験にて破過処理の程度を確認した。更に、低濃度オゾン処理を行った後、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、破過処理後及び低濃度オゾン処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(実施例5)マンガンドープメソポーラスシリカのオゾン処理
 製造例2で得たメソポーラスシリカ「CB-16」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施し、吸着試験にて破過処理の程度を確認した。更に、オゾン処理を行った後、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、破過処理後及びオゾン処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(実施例6)コバルトドープメソポーラスシリカのオゾン処理
 製造例3で得たメソポーラスシリカ「B-301」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施し、吸着試験にて破過処理の程度を確認した。更に、オゾン処理を行った後、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、破過処理後及びオゾン処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(実施例7)鉄ドープメソポーラスシリカのオゾン処理
 製造例4で得たメソポーラスシリカ「CB-16」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施し、吸着試験にて破過処理の程度を確認した。更に、オゾン処理を行った後、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、破過処理後及びオゾン処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(参考例1)破過処理なしでオゾン処理
 製造例1で得たメソポーラスシリカ「TB-2」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施せずに、オゾン処理を行った後、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、オゾン処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(比較例1)水洗い処理
 製造例1で得たメソポーラスシリカ「TB-2」を用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「初期の消臭容量」を得た。次に、硫化水素での破化処理を実施し、吸着試験にて破過処理の程度を確認した。更に、破過処理後のメソポーラスシリカを0.1重量%になるように水で調整し、マグネチックスターラーにて300rpm2時間攪拌して水洗い処理を実施し、吸引ろ過にてメソポーラスシリカを回収し、65℃2時間乾燥を行った。水洗い処理後のメソポーラスシリカを用いて、硫化水素での吸着試験を実施し、「再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表2に示した。
 また、破過処理後及びオゾン処理後の分光測色を行い、呈色変化を確認した。結果を表3に示した。
(実施例8)オゾン処理
 臭気をアンモニアに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表4と表5に示した。
(実施例9)ヒドロキシラジカル処理
 臭気をアンモニアに変更した以外は、実施例2と同様に実施した。結果を表4と表5に示した。
(実施例10)2回繰り返し処理
 製造例1で得たメソポーラスシリカ「TB-2」を用いて、アンモニアでの破過処理とオゾン処理の処理を2回繰り返して実施した。2回繰り返し処理後にアンモニアでの吸着試験を行い、「2回繰り返し再生処理後の消臭容量」を得た。結果を表4と表5に示した。
(実施例11)低濃度オゾン処理
 臭気をアンモニアに変更した以外は、実施例4と同様に実施した。結果を表4と表5に示した。
(実施例12)アルミニウムドープメソポーラスシリカのオゾン処理
 製造例2で得たメソポーラスシリカ「TCB-1」を用いた以外は、実施例8と同様に実施した。結果を表4と表5に示した。
(参考例2)破過処理なしでオゾン処理
 臭気をアンモニアに変更した以外は、参考例1と同様に実施した。結果を表4と表5に示した。
(比較例2)水洗い処理
 臭気をアンモニアに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。結果を表4と表5に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表2及び表3から明らかなように、シリカ細孔壁のシロキサン結合中に、金属原子として銅を導入したメソポーラスシリカからなる消臭剤は、硫化水素と銅との化学吸着が飽和状態、いわゆる破過点まで達した後、オゾンによる処理又はヒドロキラジカルによる処理を実施することで、初期の消臭容量まで回復及び再生させることが可能となった。比較例1の従来の水洗いによる処理と比較して、回復性能は大幅に向上した。
 本発明により、化学吸着による消臭速度を得ると同時に化学吸着の課題であった消臭寿命に対して、消臭剤とオゾンによる処理などでの活性種と共存させることにより、繰り返し消臭性能を発現させることを見出した。
 また、前記消臭剤は、硫化水素と化学吸着することで薄水色から褐色に呈色した。その後、オゾンによる処理またはヒドロキシラジカルによる処理を実施することで、褐色から薄水色又は薄緑色に呈色変化した。本発明では消臭の破過点までの到達と再生処理の進行を消臭剤の呈色変化により目視で確認できることを見出した。
 表4及び表5から明らかなように、アンモニアに対しても同様に消臭剤とオゾンによる処理などの活性種と共存させることにより、繰り返し消臭性能を発現させること、消臭の破過点までの到達と再生処理の進行を消臭剤の呈色変化により目視で確認することもできることを見出した。また、呈色反応を示す金属原子と示さない金属原子があることから必要に応じて適宜選択することが可能である。
 以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。

Claims (7)

  1.  シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子が導入されたメソポーラスシリカを吸着剤として用いて、
     前記金属原子が臭気物質に結合する化学吸着によって消臭性能を発現させ、
     活性種と共存させることにより、前記金属原子と前記臭気物質との化学結合を切断して、前記金属原子から前記臭気物質を離脱させることによって、繰り返し消臭性能を発現させることを特徴とする消臭方法。
  2.  活性種と共存させることにより、前記金属原子と前記臭気物質との化学結合を切断するとともに、前記臭気物質を分解する請求項1に記載の消臭方法。
  3.  前記活性種が、ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイド、一酸化窒素ラジカル、酸素ラジカル又はオゾンである請求項1又は2に記載の消臭方法。
  4.  ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイド、一酸化窒素ラジカル、酸素ラジカルからなる群から選択される少なくとも一種のラジカルを含むマイナスに帯電している帯電微粒子水と共存させることにより、前記金属原子と前記臭気物質との化学結合を切断するとともに、前記臭気物質を離脱又は分解する請求項1~3のいずれか一項に記載の消臭方法。
  5.  前記金属原子が銅、マンガン、鉄、及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~4のいずれか一項に記載の消臭方法。
  6.  シリカ細孔壁のシロキサン結合中に金属原子が導入されたメソポーラスシリカを担持し、前記金属原子が臭気物質に結合する化学吸着によって消臭性能を発現する消臭部と、
     活性種を生成する活性種生成部と
    を備え、
     前記活性種生成部から生成された活性種と共存させることにより、前記金属原子と前記臭気物質との化学結合を切断して、前記金属原子から前記臭気物質を離脱又は分解させることによって繰り返し消臭性能を発現することを特徴とする消臭装置。
  7.  前記メソポーラスシリカが、前記金属原子が前記臭気物質に結合する化学吸着により呈色反応を示し、
     前記消臭部が、該呈色反応を測定する色変化測定部を備え、
     前記活性種生成部が、前記色変化測定部の測定結果に応じて、前記活性種生成部から生成された活性種を選択的に共存させることを特徴とする請求項6に記載の消臭装置。
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