WO2021199694A1 - ニッケル含有粒子、それを含む導電性組成物及びニッケル含有粒子の製造方法 - Google Patents

ニッケル含有粒子、それを含む導電性組成物及びニッケル含有粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明のニッケル含有粒子は、Niを含むコア粒子と、該粒子の表面に位置し且つSi、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を含む被覆層とを有する。ニッケル含有粒子は、25℃から1000℃まで昇温速度10℃/minで昇温したときの窒素/水素混合雰囲気下での熱機械的分析において、400℃における収縮率が3.0%以下であり、かつ、800℃における収縮率が15.0%以下である。ニッケル含有粒子は、大気雰囲気下での熱重量分析において、25℃における質量に対して0.5%質量増加したときの温度が250℃以上350℃以下である。

Description

ニッケル含有粒子、それを含む導電性組成物及びニッケル含有粒子の製造方法
 本発明は、ニッケル含有粒子、それを含む導電性組成物及びニッケル含有粒子の製造方法に関する。
 電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、一般的に、Cuを含む外部電極と、ニッケルを含む内部電極と、セラミック等の誘電体層とを備えており、内部電極と誘電体層とが交互に積層されて形成されている。
 内部電極の形成に用いられる材料として、例えば特許文献1には、TiまたはSiのうち少なくとも1種を、少なくともその表面に0.02~1重量%含有する積層セラミックコンデンサの内部電極ペースト用ニッケル粉が開示されている。このニッケル粉は、Ti又はSiの表面コートを湿式法によって行うことも同文献に記載されている。
特開2000-178601号公報
 ところで近年、電子機器の小型化や高性能化に対応するため、電極層の薄膜化が求められている。しかし、ニッケルを含む電極層と誘電体層との積層体を同時に焼成する場合、各層の原料の熱収縮挙動の違いにより、電極層の途切れが生じることがある。特許文献1に記載のニッケル粉は、上述の問題点を十分に解決できるものではない。
 したがって、本発明は、焼結時に収縮しづらいニッケル含有粒子及び該粒子を含む導電性組成物に関する。
 本発明は、Niを含むコア粒子と、該粒子の表面に位置し且つSi、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を含む被覆層とを有し、
 25℃から800℃まで昇温速度10℃/minで昇温したときの窒素99体積%及び水素1体積%の混合雰囲気下での熱機械的分析において、400℃における収縮率が3.0%以下であり、且つ800℃における収縮率が15.0%以下であり、
 大気雰囲気下での熱重量分析において、25℃における質量に対して0.5%質量増加したときの温度が、250℃以上350℃以下である、ニッケル含有粒子を提供するものである。
 更に本発明は、Ni母粉と、Si、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を含む母粉とをチャンバー内に発生させたプラズマフレームに供給して、前記各母粉をガス化させ、ガス化した前記各母粉を冷却してニッケル含有粒子を生成させる工程を有し、
 前記プラズマフレームはフレーム幅に対するフレーム長さの比が3以上の層流状態にあり、且つ
 前記チャンバー内に冷却用ガスを供給して、ガス化した前記各母粉を冷却する、ニッケル含有粒子の製造方法を提供するものである。
図1は、本発明のニッケル含有粒子を製造するDCプラズマ装置の一例を示す模式図である。
 以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のニッケル含有粒子(以下、これを「Ni粒子」ともいう。)は、ニッケル(Ni)を含むコア粒子と、コア粒子の表面に位置する被覆層とを有する。被覆層は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)及びスズ(Sn)のうち少なくとも一種の元素を含む。被覆層に含まれ得るSi、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種は、元素単体若しくは酸化物、又はこれらの混合物として存在する。
 上述のとおり、コア粒子はニッケルを含む。コア粒子は、ニッケルのみから実質的に形成され且つ不可避不純物を除き他の元素を含まないものであるか、又はニッケル及びニッケル以外の元素を含んで構成されている。
 後者の場合、ニッケル以外の元素としては、例えば被覆層に由来するSi、Al、Zr及びSnといった、ニッケルと合金や金属間化合物を形成し得る元素が挙げられる。コア粒子にニッケル以外の元素を含む場合であっても、コア粒子は導電性を有していることが好ましい。
 Ni粒子に対するSi、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素の含有割合は、Ni粒子に対する質量割合で表して、好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下である。このような割合となっていることによって、Ni粒子どうしの凝集が更に低減され、且つNi粒子の焼結時における過度な収縮が更に低減されたNi粒子を得ることができる。なお、Ni粒子にSi、Al、Zr及びSnの元素のうち2種以上含む場合は、上述した含有割合は、これらの合計値とする。
 Ni粒子に対するSi、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素の含有割合は、例えばICP分析装置を用いて測定することができる。このような粒子は、例えば後述する製造方法によって得ることができる。
 コア粒子の表面に位置する被覆層は、上述のとおり、Si、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を含む単一の層からなる。単一とは、被覆層をその厚み方向に観察したときに、被覆層中に境界が観察されないことをいう。
 被覆層は、Si、Al、Zr及びSnのうち一種以上から実質的に形成され且つ不可避不純物を除き他の元素を含まない単体として構成されているか、又はSi、Al、Zr及びSnのうち一種以上の元素と、該元素以外の元素とを含む化合物として構成されている。化合物からなる被覆層としては、例えば、SiO及びSiO等のSi酸化物、Al等のAl酸化物、ZrOやZrO等のZr酸化物及びSnO等のSn酸化物が挙げられる。Ni粒子の製造効率を高める観点から、被覆層は好ましくはSi酸化物を含む。
 被覆層は、Ni粒子の最外層をなすものであり、被覆層の外面、並びにコア粒子表面と被覆層との間は、それぞれ独立して、他の層が存在していてもよく、他の層が存在していなくてもよい。また、被覆層とコア粒子との境界は明瞭であってもよく、不明瞭な部分があってもよい。
 被覆層の被覆態様は、コア粒子の表面全体を満遍なく連続して被覆していてもよく、あるいは、コア粒子の表面の一部のみを被覆していてもよい。前者の場合、Ni粒子は、コア粒子の表面全域が被覆層によって完全に被覆されて、コア粒子の表面が露出していない状態になっている。後者の場合、Ni粒子は、その表面がコア粒子である部位と、被覆層とからなる部位とから構成される。被覆層がコア粒子の表面の一部のみを被覆している場合、被覆層は連続した皮膜を形成していてもよく、海島状に不連続な皮膜を形成してもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。
 コア粒子の表面全体を満遍なく連続して被覆しているか否かは、例えば後述する熱重量測定のほか、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、X線光電子分光法、オージェ電子分光法、赤外吸収スペクトル法及びラマン分光法等の方法で判別することができる。
 Ni粒子どうしの分散性を高める観点から、被覆層は、コア粒子の表面の一部のみを被覆したものであることが好ましい。コア粒子の表面の一部のみを被覆する場合、被覆率としてはコア粒子に対して10%以上95%以下であることが好ましく、30%以上95%以下であることがより好ましい。
 Ni粒子における被覆率は、例えば、粒子の断面を対象とした元素マッピングによって測定できる。詳細には、Ni粒子の断面を、エネルギー分散型X線分析装置を備えた走査型透過電子顕微鏡(以下「STEM-EDS」という。)のマッピングによる元素分析より取得した画像データから、コア粒子の外周長さと、被覆層の被覆長さとをそれぞれ画像データから10点ずつ抽出し、算術平均する。さらに、同様に画像データを9点取得し、画像データ10点から得られたコア粒子の外周長さと、被覆層の被覆長さの算術平均値をさらに算術平均することで、粒子の3次元物と捉え、被覆層の被覆率を算出する。
 Ni粒子の被覆率は、上述のようにして求めた被覆層の被覆長さをコア粒子の外周長さで除した値の百分率とする。
 コア粒子の外周長さは、画像解析ソフトウェア(Media Cybernetics社製 Image-Pro)の測定コマンド中にある「最適円ツール(点数12点)」を用いて周囲長・輪郭多角形から求める。被覆層が被覆する長さも、同ソフトの測定コマンド中にある「曲線ツール」を用いて長さから求める。
 STEM-EDSとして、エネルギー分散型X線分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社 NORAN System 7によって制御された 日本電子製 JED-2300T ドライSD100GV検出器)を備えた走査型透過電子顕微鏡(日本電子製 JEM-ARM200F)を用いる。測定条件はSTEMの加速電圧が200keV、EDS検出器としてシリコンドリフト検出器を用い、EDSの検出面積を100mm×2本、EDSの取り込み立体角を2.1srとする。
 本発明のNi粒子は、熱機械的分析による測定(TMA測定)において、その特定温度における収縮率が特定の値の範囲となっていることが好ましい。このような収縮率を有していることによって、Ni粒子を用いてMLCCの内部電極や熱電変換素子の電極、基板の配線等を形成するにあたり、Ni粒子どうしを焼結する際に過度な収縮が低減されるので、電極や配線構造のクラックが生じにくくなり、電極の途切れが少なく導電信頼性が向上したコンデンサ等の電子部品を製造することができる。
 詳細には、Ni粒子をTMA測定に供したときに、400℃における収縮率が、好ましくは3.0%以下、より好ましくは0.01%以上3.0%以下、更に好ましくは0.05%以上2.0%である。これに加えて、800℃における収縮率が、好ましくは15.0%以下、より好ましくは1.5%以上15.0%以下、更に好ましくは3.0%以上13.0%以下である。
 TMA測定条件は、例えば、熱機械分析装置として日立ハイテクサイエンス社製のTMA/SS6300を用い、測定対象のNi粒子0.5gを内径3.8mmφの専用金具に入れ、1.0kNの荷重を付与したサンプルを得る。このサンプルを熱機械分析装置に装着し、荷重49mN、窒素99体積%及び水素1体積%の混合雰囲気下にて、25℃から800℃まで昇温速度10℃/minで昇温する。熱膨張率(%)を25℃から経時的にモニターし、400℃及び800℃における負の膨張率の各絶対値をそれぞれ、本発明における当該温度の収縮率とする。
 本発明のNi粒子は、大気雰囲気下での熱重量分析による測定(TG測定)において、測定対象の粒子の25℃における質量に対して0.5%質量増加するときの温度が、好ましくは250℃以上350℃以下、より好ましくは280℃以上320℃以下、特に好ましくは280℃以上310℃以下である。このような温度範囲となっていることによって、凝集が低減されたNi粒子を得ることができる。また、このような粒子を用いて、薄層化した電極を形成しやすくすることができる。
 上述の熱重量測定は、例えば、熱重量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG-DTA/6300)を用いて、大気雰囲気下、25℃から昇温速度10℃/minにて、Ni粒子試料15mgを加熱してその質量変化を経時的に測定して、行うことができる。
 大気雰囲気下での熱重量分析を行う場合、その質量増加は大気中の酸素によるサンプルの構成元素の酸化によって生じうる。つまり、大気雰囲気下での熱重量分析においてサンプルの質量が所定の割合まで増加したときの温度は、酸化開始温度と同義である。
 被覆層がコア粒子の表面全体に満遍なく形成されたNi粒子と、被覆層がコア粒子の表面の一部のみに形成されたNi粒子とについて酸化開始温度を比較すると、前者の粒子ではコア粒子が外面に露出していないので、酸化される元素が無いか又はその割合が少ないため、酸化開始温度は高くなる。これに対して、後者の粒子では、表面に露出したコア粒子の構成元素が酸化されやすいので、同一温度における質量増加の度合は前者の粒子と比較して大きく、酸化開始温度は前者の粒子の場合よりも低温に観察される。
 上述のTG測定において、25℃における質量に対して0.5%質量増加するときの温度が上述した範囲に観察されることは、本発明のNi粒子における被覆層がコア粒子の表面の一部のみに形成されていることを意味する。このような被覆層を形成するためには、例えば、後述する製造方法によって好適に製造することができる。
 以上の構成を有するNi粒子は、TMA測定における収縮率が所定の値となっていることによって、Ni粒子を焼結させて電極などの配線構造を形成する際に、Ni粒子の過度な収縮を低減して、セラミック等の他の構成部材との熱収縮挙動の差を低減することができ、その結果、クラックや途切れ等が低減された電極を効率的に製造することができる。これに加えて、Ni粒子は、TG測定において、所定の温度範囲において質量増加が生じることによって、Ni粒子の焼結時における過度な収縮を低減しながらも、粒子どうしの高い分散性を保ちつつ、焼結時においてコア粒子どうしの溶融性を高めることができる。その結果、緻密な構造を有し、薄層且つ平滑性の高い電極を製造することができる。
 特に、被覆層がコア粒子表面の一部のみに形成されていることによって、コア粒子の熱収縮が過度にならないように適切に制御することができるので、Ni粒子を焼結に供したときに、焼結時における過度な収縮が抑制され、クラックや途切れが生じづらい電極を形成することができる。また、Ni粒子の製造時において被覆層を形成するにあたり、被覆層どうしの結合が少なくなるので、凝集が少ないNi粒子を得られる点で有利である。被覆層がコア粒子表面に適切な被覆割合で形成されていることで、熱収縮の抑制と、粒子の凝集の抑制との適切なバランスを図ることができる。
 Ni粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50が、好ましくは0.1μm以上0.8μm以下、更に好ましくは0.1μm以上0.6μm以下である。このD50は、一般的には一次粒子が凝集した二次粒子の粒径を示すところ、D50がこのような粒径となっていることによって、Ni粒子は二次粒子の割合が少なく、電子機器の小型化や高性能化を実現可能な薄い導電膜を形成しやすくすることができる。このような粒子は、例えば後述する製造方法によって得ることができる。
 本明細書において一次粒子とは、外見上の幾何学的形態から判断して、粒子としての最小単位と認められる物体のことである。二次粒子は、一次粒子が2個以上凝集したものから構成されており、見かけ上一個に粒子として振る舞っているものである。
 Ni粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積10容量%における体積累積粒径D10が、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下、更に好ましくは0.1μm以上0.4μm以下である。
 また、Ni粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積90容量%における体積累積粒径D90が、好ましくは0.6μm以上1.2μm以下、更に好ましくは0.6μm以上1.0μm以下である。
 上述したD10、D50及びD90は、例えば以下の方法で測定することができる。すなわち、0.1gの測定試料と水50mLとを混合し、超音波ホモジナイザ(日本精機製作所製、US-300T)で1分間分散させる。その後、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置、例えばマイクロトラックベル社製MT3300 EXIIを用いて粒度分布を測定する。
 Ni粒子におけるBET比表面積は、好ましくは5m/g以上20m/g以下、更に好ましくは6m/g以上15m/g以下である。BET比表面積の大きさと、粒子径の小ささとは概ね相関しているので、BET比表面積が大きいほど、粒子径の小さな一次粒子が多いことの指標となる。したがって、BET比表面積がこのような範囲にあることによって、Ni粒子の粒子径を十分に小さくして、電子機器の小型化や高性能化を実現可能な薄い導電膜を形成しやすくすることができる点で有利である。
 BET比表面積は、吸着ガスである窒素を30容量%、キャリアガスであるヘリウムを70容量%含有する窒素-ヘリウム混合ガスと、BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製、HM model-1210)とを用いて、JIS R 1626「ファインセラミックス粉体の気体吸着 BET法による比表面積の測定方法」の「6.2流動法」の「(3.5)一点法」に従って測定することができる。
 Ni粒子は、これに面積3.14cm当たり20kNの荷重を付与したときの圧粉密度が、好ましくは4.0g/cm以上7.0g/cm以下、更に好ましくは4.5g/cm以上6.5g/cm以下である。このような密度となっていることによって、Ni粒子の充填性を高め、緻密な構造を有し、クラック等の途切れが少ない電極を容易に形成することができる。
 圧粉密度の測定は、例えば圧粉抵抗測定システム(三菱化学アナリテック社製 PD-51)を用い、測定対象のNi粒子(サンプル)5gをプローブシリンダ(φ2cm、面積3.14cm相当)へ投入し、プローブユニットをPD-51へセットする。油圧ジャッキによって20kNの荷重をかけたときのサンプルの高さ(cm)を測定し、体積(cm)を算出する。測定に用いたサンプルの質量(g)を、荷重付与時における体積(cm)で除することによって、圧粉密度を求めることができる。
 このような圧粉密度を満たすNi粒子は、例えば後述する製造方法において、冷却用ガスを導入し、且つ該ガスの導入量を制御することにより好適に製造することができる。
 Ni粒子を構成するコア粒子は、その結晶子サイズが、好ましくは20nm以上80nm以下、更に好ましくは25nm以上60nm以下である。このように結晶子サイズの大きい粒子とすることで、粒界の少ないコア粒子となるので、熱収縮抵抗性と溶融性とがバランスよく両立したものとなる。
 コア粒子がこの範囲の結晶子サイズを有しているNi粒子は、例えば後述する製造方法において、冷却用ガスを導入し、且つ該ガスの導入量を制御することにより好適に製造することができる。
 結晶子サイズは、例えば、測定範囲内で最も強度の高い結晶面におけるX線回折ピークのピーク幅(半値幅)から下記のシェラーの式により算出することができる。
 例えば、Ni粒子のコア粒子が金属Niである場合、スキャン軸を2θ/θとし、スキャン範囲を20~80deg、ステップ幅を0.01deg、スキャン速度を20deg/min、X線ターゲットを銅とし、入射側光学結晶としてヨハンソン型湾曲結晶を用いて単色化し、1次元検出器で測定する。スキャン速度は、スキャン範囲の最大ピークが10000カウントを超えるように選択する。他ピークと重ならないニッケルの<200>面の反射ピークの半値全幅を対象として、以下に示すシェラーの式及び定数から結晶子サイズ(nm)を算出する。
 結晶子サイズの算出には、株式会社リガク製のPDXL2を用い、標準物質としてNIST660aを用いることができる。X線回折測定装置としては、例えば、リガク社製のSmartLabを用いることができる。
 シェラーの式:D=Kλ/βcosθ
 D:結晶子サイズ(単位:nm)
 K:シェラー定数(0.94)
 λ:X線の波長(単位:Kα1 1.54056Å)
 β:半値全幅(単位:rad)
 θ:回折角(単位:rad)
 Ni粒子の形状に特に制限はなく、例えば球状、鱗片状、多面体状など種々の形状を採用することができる。同様に、Ni粒子を構成するコア粒子の形状に特に制限はなく、例えば球状、鱗片状、多面体状など種々の形状を採用することができる。
 Ni粒子の凝集を抑制し、且つ焼結したときの緻密性を高める観点から、Ni粒子の形状及びコア粒子の形状は、それぞれ独立して球状であることが好ましい。ここでいう球状とは、以下の方法で測定した円形度係数に基づき、好ましくは0.85以上、更に好ましくは0.90以上となるものをいう。円形度係数は、Ni粒子の走査型電子顕微鏡像から、粒子どうしが重なり合っていないものを無作為に200個選び出し、粒子の二次元投影像の面積をSとし、周囲長をLとしたときに、粒子の円形度係数を4πS/Lの式から算出し、各粒子の円形度係数の算術平均値を上述した円形度係数とする。粒子の二次元投影像が真円である場合は粒子の円形度係数は1となるので、円形度係数の上限値は好ましくは1以下であり、円形度係数の数値が高いほど、粒子が真球に近い形状であるといえる。
 次に、Ni粒子の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、ニッケル含有母粉(以下、これを「Ni母粉」ともいう。)と、Si、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を含む母粉(以下、これを「第2母粉」ともいう。)とを直流熱プラズマ法(以下、これを「DCプラズマ法」ともいう。)に付して、これらの母粉からNi粒子を生成させるものである。
 詳細には、本製造方法は、Ni母粉と第2母粉とをチャンバー内に発生させたプラズマフレームに供給して、これら母粉をガス化させ、ガス化した各母粉を冷却して、Ni粒子を生成させる工程を有する。Ni合金を含むNi粒子を製造する場合には、目的とするNi粒子の合金組成と同じとなるような比率でNi母粉と合金成分の母粉とを供給するか、又は目的とするNi粒子と同じ合金組成を有するNi含有合金の母粉を供給すればよい。
 第2母粉としては、Si、Al、Zr及びSnのうち一種以上から実質的に形成され且つ不可避不純物を除き他の元素を含まない単体として構成された母粉を用いるか、又はSi、Al、Zr及びSnのうち一種以上の元素と、該元素以外の元素とを含む化合物として構成された母粉を用いることができる。化合物からなる母粉を用いる場合、例えば、SiO及びSiO等のSi酸化物、Al等のAl酸化物、並びにZrOやZrO等のZr酸化物を用いることができる。
 以下の説明では、Ni母粉、合金成分の母粉及びNi含有合金の母粉、並びに第2母粉を総称して、単に「母粉」ともいう。
 本製造方法に好適に用いられるDCプラズマ装置を図1に示す。同図に示すように、DCプラズマ装置1は、粉末供給装置2、チャンバー3、DCプラズマトーチ4、回収ポット5、粉末供給ノズル6、ガス供給装置7及び圧力調整装置8を備えている。この装置においては、母粉は、粉末供給装置2から粉末供給ノズル6を通してDCプラズマトーチ4内部を通過する。DCプラズマトーチ4には、プラズマガスがガス供給装置7から供給されプラズマフレームが発生する。また、DCプラズマトーチ4で発生させたプラズマフレーム内で母粉がガス化されてチャンバー3に放出された後、ガス化された母粉が冷却され、Ni粒子の集合体である微粉末となって回収ポット5内に蓄積回収される。チャンバー3の内部は、圧力調整装置8によって粉末供給ノズル6よりも相対的に陰圧が保持されるように制御されており、母粉のDCプラズマトーチ4への供給を容易にするとともに、プラズマフレームを安定して発生する構造をとっている。なお図1に示す装置は、DCプラズマ装置の一例であって、本発明のNi粒子の製造はこの装置に限定されるものではない。
 プラズマフレーム内で母粉に十分なエネルギーを供給して、サブミクロンオーダーの微粒子を首尾よく形成する観点から、プラズマフレームが層流状態で太く長くなるように調整することが好ましい。プラズマフレームが層流状態であるか否かは、プラズマフレームを、フレーム幅が最も太く観察される側面から観察したときに、フレーム幅に対するフレーム長さの縦横比(以下、フレームアスペクト比)が3以上であるか否かによって判断することができる。具体的には、フレームアスペクト比が3以上であれば層流状態と判断することができ、3未満であれば乱流状態と判断することができる。
 プラズマフレームが層流状態で太く長くなるようにするためには、プラズマ出力とプラズマガス流量を調整することが有利である。詳細には、DCプラズマ装置のプラズマ出力は、好ましくは2kW以上100kW以下、更に好ましくは2kW以上40kW以下である。プラズマガスのガス流量に関しては、好ましくは0.1L/min以上25L/min以下、更に好ましくは0.5L/min以上21L/min以下である。プラズマガスとしては、水素ガス等の還元ガスや、窒素ガス及びアルゴンガス等の不活性ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いることができる。混合ガスを用いる場合、ガス流量は、各ガス流量の合計値とする。
 プラズマフレーム内で十分な熱エネルギーを母粉に供給し、サブミクロンオーダーの微粒子を首尾よく形成する観点に加えて、粗粒の母粉を残存しにくくする観点から、母粉の供給量に対するプラズマ出力の比は、好ましくは0.01kW・min/g以上20kW・min/g以下であり、更に好ましくは0.05kW・min/g以上15kW・min/g以下である。
 また、プラズマフレームを層流状態に安定的に保ちつつ、母粉のガス化に必要な流速を確実に得る観点から、上述の範囲のプラズマ出力及びガス流量を保ちつつ、プラズマ出力に対するプラズマガス流量の比(単位:L/(min・kW))を、好ましくは0.50以上2.00以下、より好ましくは0.70以上1.80以下、更に好ましくは0.75以上1.60以下に設定する。
 上述した構造を有するDCプラズマ装置を用いてNi粒子を製造する場合、チャンバー3は、その内部が水素ガス等を含む還元ガス雰囲気であるか、又は窒素ガス及びアルゴンガス等を含む不活性ガス雰囲気であることが好ましい。このような構成とすることによって、母粉のガス化から冷却されるまでの時間が短縮されるので、Ni粒子の粒成長、被覆層の形成及び粒子どうしの凝集を抑制して、生成されるNi粒子の凝集が少なく、Ni粒子の微粒子化を達成できる。
 母粉のガス化から冷却までの時間を一層短縮して、生成されるNi粒子の微粒子化と、Ni粒子の凝集の低減とが両立したNi粒子を効率よく製造する観点から、チャンバー3の内部に冷却用ガスを供給して、ガス化した各母粉を冷却することが好ましい。冷却用ガスの供給は、例えばチャンバー3の側壁部に接続された冷却用ガス供給部(図示せず)によって行うことができる。冷却用ガスとしては、例えば水素ガス等の還元ガスや、窒素ガス及びアルゴンガス等の不活性ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いることができる。冷却用ガスは、チャンバー3内部の圧力が陰圧となっていることを条件として、例えば0℃以上30℃以下の温度の冷却用ガスを、チャンバー3内部におけるプラズマフレームの先端近傍であり且つプラズマフレームの形成に干渉しない周囲に、1L/min以上400L/min以下供給することができる。
 図1に示すDCプラズマ装置1を用いて、Ni粒子を製造する場合には、上述のとおり、母粉として、Ni母粉と、第2母粉とを混合したものを用いればよい。母粉のプラズマ噴射性とコストの観点から、母粉の粒径D50は、Ni母粉及び第2母粉のいずれにおいても、好ましくは3.0μm以上50μm以下、更に好ましくは5.0μm以上30μm以下である。母粉のD50の測定は、上述したNi粒子のD50の測定と同様の方法で行うことができる。
 母粉の形状に特に制限はなく、例えば樹枝状、棒状、鱗片状、キュービック状、球状などが挙げられる。プラズマトーチへの供給効率を安定化させる観点から、球状の母粉を用いることが好ましい。
 得られる金属粒子の製造効率の観点から、母粉の供給量は、Ni母粉と、第2母粉との合計量で表して5g/min以上200g/min以下であることが好ましく、5g/min以上100g/min以下であることが更に好ましい。
 また、第1母粉と第2母粉との割合に関しては、得られるNi粒子に形成される被覆層を上述した質量割合としやすくする観点から、Ni母粉と第2母粉との合計質量に対する第2母粉の割合が、好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下となるように混合する。
 また、上述したTMA測定及びTG測定の挙動を両立して満たすNi粒子を効率よく得る観点から、Ni母粉と第2母粉とはそれらの沸点が特定の関係にあることが好ましい。詳細には、Ni母粉としてその沸点が第2母粉の沸点よりも高いものを用いることが有利である。このような温度関係を有するNi母粉及び第2母粉からなる混合母粉を用いることで、粒子の生成過程において、まず、蒸発気化したNi母粉が冷却されて、核形成、凝集及び凝縮が起こり、ニッケルを含むコア粒子が形成される。次いで、蒸発気化した第2母粉の冷却による核形成、凝集及び凝縮がコア粒子の表面で起こり、被覆層が形成される。このようにして、Ni粒子を効率よく得ることができる。このように形成された被覆層はコア粒子の表面の一部を被覆しているので、得られるNi粒子は、熱収縮抵抗性とコア粒子の溶融性とがバランスよく発現したものとなる。またこのように形成されたNi粒子は、コア粒子が形成される過程にて被覆層も同時に且つ徐々に形成されやすくなっていることに起因して、被覆層とコア粒子との境界が不明瞭な部分が多くなっているものも含まれる。当該部分においては、第2母粉を構成する元素の濃度がNi粒子の中心から表面に向かって、段階的に又は連続的に増加している。
 このようにして得られたNi粒子は、該粒子の集合体である微粉末となって回収ポット5内に蓄積回収される。回収されたNi粒子は、そのまま用いてもよく、コンタミネーションとして存在する粗大凝集粒子の除去を行うために分級や解砕してもよい。分級や解砕は、適切な分級装置や解砕装置を用いて、目的とする粒度が中心となるように、粗粉や微粉を分離するようにすればよい。回収されたNi粒子は、典型的には大気下に晒されるので、第2母粉においてSi等の単体を用いた場合であっても、生成物であるNi粒子の被覆層は、酸化物を含み得る。
 上述した方法の他に、Ni粒子は、例えばコア粒子をアトマイズ法やRFプラズマ法によって形成した後、コア粒子の表面に湿式で被覆層を形成することができる。このような方法であれば、被覆層とコア粒子との境界が明瞭なNi粒子を得やすくなる。しかし、被覆層を湿式で形成する場合には、コア粒子が凝集しやすく、その結果、得られるNi粒子の充填性を高めることが困難となる。特に、RFプラズマ法で得られたコア粒子は粒径が小さ過ぎ、凝集の度合が顕著となる。
 これらの方法に対して、上述のDCプラズマ法を用いた製造方法では、凝集等の不具合は生じにくいので、粒子どうしの分散性が高く、且つ熱収縮抵抗性を適度に有するNi粒子を生産性高く得ることができる。なお、DCプラズマ法において用いられるNi母粉等の母粉は、アトマイズ法やRFプラズマ法によって得られる粒子を用いることは妨げられない。
 また、被覆層をコア粒子の表面に湿式にて形成する場合、被覆層はコア粒子の表面全体を満遍なく連続して形成されやすくなるので、複数のコア粒子が凝集した状態で被覆層が形成されやすくなる。特に、粒径が小さいコア粒子を用いた場合に、この凝集は顕著となる。その結果、得られるNi粒子は、被覆層の形成に起因して焼結時における収縮が低減されたものとなるが、凝集径が大きくなり、薄層化が要求される電極の形成において、電極の表面粗さや厚みの意図しない増大などの不都合が生じ得る。これに加えて、湿式にて被覆層を形成したNi粒子は、反応液由来の炭素などの不純物が含まれやすいので、当該方法で得られたNi粒子を焼結に供すと、二酸化炭素などの不純物由来のガスが発生して電極や配線構造においてボイドが発生しやすくなり、導電抵抗の向上等の不具合の原因となり得る。
 本発明のNi粒子は、導電性組成物に配合される金属フィラーとして好適に用いられる。導電性組成物としては、例えば導電ペーストや導電インクなどが挙げられる。これらの導電性組成物は、金属フィラーとしてのNi粒子を含み、好ましくはバインダ樹脂及び溶媒成分を更に含むものである。バインダ樹脂としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びセルロース樹脂等のうち一種以上が挙げられる。溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素のうち一種以上が挙げられる。
 本発明の効果が奏される限りにおいて、Ni粒子を製造した後に、必要に応じて、分散剤を更に添加してもよい。つまり、Ni粒子は分散剤を更に含んでいてもよい。分散剤としては、例えば炭素数6以上18以下である飽和又は不飽和脂肪酸あるいは脂肪族アミンなどが挙げられる。
 導電性組成物は、例えばこれを所定の手段によって塗布することで、プリント配線基板の配線回路を形成することができる。またプリント配線基板中のビア充填用材料や、プリント配線基板に電子デバイスを表面実装するときの接着剤として用いることもできる。更に、チップ部品の電極形成に用いることもできる。
 本発明のNi粒子は、粒子どうしの凝集が少なく、且つ熱収縮抵抗性を有するものであるので、小型化や高性能化が要求される積層セラミックコンデンサ(MLCC)等の小型電子部品の内部電極等の形成に好適に用いることができる。詳細には、Ni粒子を含む導電性組成物をセラミック基板上に塗布等により層状又は薄膜状に配置して、導電性組成物とセラミック基板とを有するMLCCの内部電極形成用の導電性材料としたりすることができる。またこの導電性材料を用いて電子部品を形成することができる、電子部品としては、例えば導電性材料を交互に積層し、圧着した状態で焼成して一体化させて、MLCCを形成することができる。あるいは、導電性材料を交互に積層して焼成するなどして、積層型の熱電変換素子用の電極を形成することができる。
 Ni粒子は、MLCCの製造にあたり高温で焼成された場合であっても、その熱収縮の度合が少なく、セラミック基板との熱収縮挙動の違いが少なくなるので、形成される内部電極層のクラックや途切れが生じにくくなる。その結果、内部電極の形成不良に起因する不具合が少ないMLCCを生産性高く製造することができる。また、積層型の熱電変換素子の電極を生産高く製造することができる。
 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
 図1に示すDCプラズマ装置1を用いて、Niからなるコア粒子と、Siを含む被覆層とから構成されるNi粒子を製造した。
 Ni母粉としてアトマイズNi粉(D50:6.5μm、球状)を用いた。第2母粉としてアトマイズSi粉(D50:10μm、球状)を用いた。
 全母粉の使用量に対する第2母粉の質量割合を1.0質量%とし、両母粉を混合して得られた混合母粉を装置1に供給した。混合母粉の供給量を15g/minに設定し、粉末供給ノズル6を通じてDCプラズマトーチ4に混合母粉を供給した。プラズマガスとしては、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いた。窒素ガスの流量は4.5L/minに設定し、アルゴンガスの流量は15L/minに設定した。また、プラズマ出力は30kWに設定した。生成したプラズマフレームについて、フレーム幅が最も太く観察される側面から該プラズマフレームを写真撮影し、画像を二値化してフレーム幅に対するフレーム長さの比であるフレームアスペクト比を測定した。その結果、フレームアスペクト比は4であり、プラズマフレームは層流であることが確認された。
 チャンバー3内部の圧力は大気圧よりも陰圧とした。また、製造時において、冷却用ガスとして25℃の窒素ガスを140L/minの流量で供給した。
 次いで、DCプラズマ装置1を用いて生成した粒子を、粒子濃度が30質量%となるように2-プロパノールを添加した後、分散剤としてラウリン酸をNi粒子に対して3質量%添加してスラリーを調製した。このスラリーをNanomizer markII(湿式解砕装置、吉田機械興業株式会社製 品名:NM2-2000AR)で解砕した。解砕条件は、75MPa、10パスとした。解砕後のスラリーを、目開き3μmのフィルター(TCP-3)でろ過した後、ろ液の上澄みを除去し、残った固形分を真空乾燥機(ADVANTEC製)で40℃にて乾燥した。その後、目開き150μmの篩で解砕し、本実施例におけるNi粒子とした。
 本実施例のNi粒子は、その外表面に被覆層が存在していることを透過型電子顕微鏡によって確認した。Ni粒子は、Si、Al、Zr及びSnの元素のうちSiのみを含有しており、Ni粒子中のSiの含有割合は0.89質量%であった。
〔実施例2〕
 全母粉の使用量に対する第2母粉の質量割合を2.5質量%とした以外は、実施例1と同様にしてNi粒子を得た。Ni粒子は、Si、Al、Zr及びSnの元素のうちSiのみを含有しており、Ni粒子中のSiの含有量は2.53質量%であった。
〔実施例3〕
 第2母粉としてSiO粉(D50:5.0μm、鱗片状)を用いた以外は、実施例1と同様に、Niからなるコア粒子と、SiOを含む被覆層とから構成されるNi粒子を製造した。本実施例のNi粒子は、その外表面に被覆層が存在していることを透過型電子顕微鏡によって確認した。Ni粒子は、Si、Al、Zr及びSnの元素のうちSiのみを含有しており、Ni粒子中のSiの含有量は1.09質量%であった。
〔実施例4〕
 第2母粉としてSiO粉(D50:5.0μm、鱗片状)を用い、全母粉の使用量に対する第2母粉の質量割合を2.5質量%とした以外は、実施例1と同様に、Niからなるコア粒子と、SiOを含む被覆層とから構成されるNi粒子を製造した。本実施例のNi粒子は、その外表面に被覆層が存在していることを透過型電子顕微鏡によって確認した。Ni粒子は、Si、Al、Zr及びSnの元素のうちSiのみを含有しており、Ni粒子中のSiの含有量は2.54質量%であった。
〔実施例5〕
 第2母粉としてSiO粉(D50:3.0μm、鱗片状)を用いた以外は、実施例1と同様に、Niからなるコア粒子と、SiOを含む被覆層とから構成されるNi粒子を製造した。本実施例のNi粒子は、その外表面に被覆層が存在していることを透過型電子顕微鏡によって確認した。Ni粒子は、Si、Al、Zr及びSnの元素のうちSiのみを含有しており、Ni粒子中のSiの含有量は1.07質量%であった。
〔実施例6〕
 第2母粉としてSn粉(D50:14.4μm、球状)を用い、全母粉の使用量に対する第2母粉の質量割合を5.0質量%とした以外は、実施例1と同様に、Niからなるコア粒子と、Snを含む被覆層とから構成されるNi粒子を製造した。本実施例のNi粒子は、その外表面に被覆層が存在していることを透過型電子顕微鏡によって確認した。Ni粒子は、Si、Al、Zr及びSnの元素のうちSnのみを含有しており、Ni粒子中のSnの含有量は4.7質量%であった。
〔比較例1〕
 上述したNi母粉のみを用いた以外は、実施例1と同様にNi粒子を製造した。つまり、本比較例のNi粒子は、被覆層を有していない。
 〔粒子物性の評価〕
 実施例及び比較例のNi粒子について、D10、D50及びD90、BET比表面積、コア粒子の結晶子サイズ、圧粉密度、TMA、並びにTGを、上述の方法に従ってそれぞれ測定した。Ni粒子中のSi、Al、Zr及びSnの含有量の測定は、ICP分析で測定した。結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示すように、実施例のNi粒子は、比較例のものと比較して、400℃及び800℃における収縮率が顕著に低く、熱収縮抵抗性が高いことが判る。これに加えて、実施例のNi粒子は、比較例と同等以下のD50を有し、比較例よりも粒度分布が小さい粒径を有する粒子であり、且つ圧粉密度が高いので、凝集が低減され、粒子の充填性が高いことも判る。
 本発明によれば、焼結時に収縮しづらいニッケル含有粒子及び該粒子を含む導電性組成物が提供される。

Claims (10)

  1.  Niを含むコア粒子と、該粒子の表面に位置し且つSi、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を含む被覆層とを有し、
     25℃から800℃まで昇温速度10℃/minで昇温したときの窒素99体積%及び水素1体積%の混合雰囲気下での熱機械的分析において、400℃における収縮率が3.0%以下であり、且つ800℃における収縮率が15.0%以下であり、
     大気雰囲気下での熱重量分析において、25℃における質量に対して0.5%質量増加したときの温度が、250℃以上350℃以下である、ニッケル含有粒子。
  2.  Si、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を0.5質量%以上5.0質量%以下有する、請求項1に記載のニッケル含有粒子。
  3.  レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50が0.1μm以上0.8μm以下である、請求項1又は2に記載のニッケル含有粒子。
  4.  BET比表面積が5m/g以上20m/g以下である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のニッケル含有粒子。
  5.  圧粉密度が4.0g/cm以上7.0g/cm以下である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のニッケル含有粒子。
  6.  前記コア粒子の結晶子サイズが20nm以上80nm以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のニッケル含有粒子。
  7.  請求項1ないし6のいずれか一項に記載のニッケル含有粒子を含む導電性組成物。
  8.  請求項7に記載の導電性組成物がセラミック基板上に配置されてなる、積層セラミックコンデンサ用電極を形成するために用いられる導電性材料。
  9.  請求項8に記載の導電性材料を用いてなる電子部品。
  10.  Ni母粉と、Si、Al、Zr及びSnのうち少なくとも一種の元素を含む母粉とをチャンバー内に発生させたプラズマフレームに供給して、前記各母粉をガス化させ、ガス化した前記各母粉を冷却してニッケル含有粒子を生成させる工程を有し、
     前記プラズマフレームはフレーム幅に対するフレーム長さの比が3以上の層流状態にあり、且つ
     前記チャンバー内に冷却用ガスを供給して、ガス化した前記各母粉を冷却する、ニッケル含有粒子の製造方法。
     
     
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