WO2021193975A1 - 加熱食品およびその製造方法 - Google Patents

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次郎 北村
村田 浩昭
司 志田
禎子 小林
未来 阪本
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    • A23L7/10Cereal-derived products

Abstract

本開示は、加熱食品の製造方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む加熱食品の製造方法に関する。この製造方法によれば、加熱調理により生じる香ばしい風味が向上した加熱食品を製造することができる。

Description

加熱食品およびその製造方法 関連出願の参照
 本特許出願は、先に出願された日本国における特許出願である特願2020-58937号(出願日:2020年3月27日)に基づく優先権の主張を伴うものである。かかる先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
 本開示は、加熱食品およびその製造方法に関する。
 従来、ドラム状容器または筒状容器の中で食品を撹拌および加熱して機械的に調理する装置が知られている(例えば、特許文献1)。これらの装置はいずれも、加熱したドラム状容器または筒状容器内に食品を投入し、容器を回転させて食品を巻き上げることにより撹拌および加熱するものである。このような装置の中には、加熱調理により生じる香ばしい風味の向上を目的とするものもあり、その目的を一定程度達成しているものも存在する。
 しかしながら、今日の食品の品質に対する志向性の高まりに伴って、さらなる改善が求められているというのが実情である。特に、フライパンや中華鍋等の一般的な調理器具を用いた加熱調理により作られた加熱食品と比較して、従来の装置により製造された加熱食品では、その香ばしい風味の点で改善の余地があると言える。
特開2014-108146号公報
 本開示は、従来のドラム状容器または筒状容器による機械的な加熱食品の製造方法よりも、加熱調理により生じる香ばしい風味が向上した加熱食品の製造方法を提供する。
 本発明者らは、食品を加熱部と接触させて行う加熱調理において、従来の装置においては、ドラム状容器または筒状容器の中で食品と容器内表面との接触面積が小さく、接触時間が短いことから、加熱調理が十分に行われず、その結果、加熱調理により生じる香ばしい風味の向上の点で改善の余地があると考え、鋭意研究を行った。そして、本発明者らは、筒状容器内で食品の一部または全部において重力と同じまたは重力を超える遠心力を発生させて、加熱された筒状容器の内表面に食品を略均一に長時間接触させて加熱することにより、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させ得ることを見出した。本開示は、このような知見に基づくものである。
 一つの態様によれば、加熱食品を製造する方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む方法が提供される。
 別の態様によれば、食品の香ばしさを向上させる方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む方法が提供される。
 さらに別の態様によれば、加熱食品の付着を抑制する方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む方法が提供される。
 本開示によれば、筒状容器内で一部または全部の食品において重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、筒状容器の内表面に食品を略均一に長時間接触させて加熱することにより、加熱食品において、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させることができる。また、本開示によれば、加熱食品において、加熱調理により生じる香ばしい風味の向上に加え、該加熱食品の付着を抑制することもできる。
図1は、本開示の製造方法により製造した加熱食品(炒飯)、既存の製造方法により製造した加熱食品(炒飯)、および中華鍋で手作りで調理した加熱食品(炒飯)におけるメチルピラジンの含有量を示すグラフである。 図2は、本開示の製造方法により製造した加熱食品(炒飯)、既存の製造方法により製造した加熱食品(炒飯)、および中華鍋で手作りで調理した加熱食品(炒飯)の、クリープメータにより測定した圧力(抵抗値)を示すグラフである。
発明の具体的説明
 本明細書において「加熱食品」とは、食材を加熱する工程を含む調理によって得られる食品を意味する。具体的には、米飯食品、麺食品、惣菜等の直接喫食する形態の食品のみならず、畜肉類の加工物、魚介類の加工物、野菜類の加工物、果物類の加工物、豆類の加工物、種実類の加工物、きのこ類の加工物、穀類の加工物等の、他の食品や調味料等を製造するための中間加工品も包含する。なお、「加熱調理」とは、例えば、食材を加熱部(加熱面)に接触させて行う調理方法が挙げられる。また、加熱調理における油の使用の有無は特に限定されない。加熱調理としては、特に限定されないが、例えば、煎る、炒める、焼く等の調理が挙げられる。
 米飯食品としては、例えば、炒飯、ピラフ、ドライカレー、チキンライス、バターライス、ビビンパ、ジャンバラヤ、ナシゴレン等が挙げられる。
 麺食品としては、例えば、焼そば、焼うどん、焼ビーフン、焼ラーメン等が挙げられる。
 惣菜としては、例えば、野菜炒め、肉炒め、肉野菜炒め、八宝菜、回鍋肉、青椒肉絲、干焼蝦仁等が挙げられる。
加熱食品の製造方法
 本開示の製造方法の一つの実施態様によれば、加熱食品の製造方法は、筒状容器内で少なくとも一部の食品において重力と同じまたは重力を超える遠心力(第1の遠心力)を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱する第1の加熱調理工程を含むことを一つの特徴とする。なお、本明細書において、単に「食品」とは、本開示の製造方法により製造される加熱食品の原材料となる食品であってもよく、原材料を一定程度調理した、加熱食品の中間物である食品であってもよい。
(第1の加熱調理工程)
 第1の加熱調理工程では、筒状容器内に配置された食品の少なくとも一部に重力以上の第1遠心力を発生させ、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて(すなわち、遠心力により押し付けて)前記食品の加熱調理を行う。
 本開示の製造方法において、筒状容器内の食品において発生する「遠心力」は、下記式により表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
[式中、Fは食品において発生する遠心力、mは食品の質量、rは筒状容器の半径、ωは筒状容器の回転角速度をそれぞれ表す。]
 食品が複数の質量を有する物の集合体(例えば、米飯等)である場合には、上記式における食品の質量mは、該集合体を構成する食品の平均質量とする。また、食品が複数の種類である場合、食品の種類ごとの平均質量とする。
 筒状容器内の食品に遠心力を発生させる方法としては、本開示の効果が奏される限り特に制限されず、例えば、筒状容器を回転させて食品を回転させる方法、筒状容器内に設けられた回転翼を回転させて食品を回転させる方法等が挙げられる。好ましい実施態様によれば、筒状容器を回転させて食品を回転させることにより、該食品に遠心力を発生させる。
 第1の加熱調理工程において、筒状容器内の食品において発生する遠心力(第1の遠心力)の大きさは、少なくとも一部の食品において重力と同じであるか重力を超えるものであり、好ましくは全部の食品において重力と同じであるか重力を超えるものである。食品において発生する遠心力をこのような大きさにすることにより、筒状容器の内表面の全体に食品が広がり、その結果、筒状容器の内表面全体に少なくとも一部の食品を略均一に接触させることができる。「筒状容器の内表面全体に少なくとも一部の食品が略均一に接触する」とは、筒状容器の全周の内表面が食品により、面積を基準として好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、より一層好ましくは90%以上覆われている(遠心力により食品が筒状容器の内表面に押し付けられている)状態を意味する。筒状容器の内表面全体に少なくとも一部の食品を略均一に接触させることにより、加熱食品において、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させることができる。さらに、加熱調理により生じる香ばしい風味の向上に加え、加熱食品の付着を抑制することもできる。なお、「加熱食品の付着」とは、加熱食品を構成する食材同士が付着(接着)することを意味する。本開示の製造方法によれば、加熱食品の付着を抑制することができるため、例えば、デンプン、タンパク質、油分、水分等の粘着性の物質を多く含む加熱食品(例えば、米飯食品等)であっても、その構成食材同士が付着(接着)することを抑制できる。例えば、炒飯等の米飯食品においては、米飯食品を構成する米飯の粒同士の付着を抑制することにより、該米飯食品のパラパラとした食感を向上させることができる。
 筒状容器を回転させて筒状容器内の食品に遠心力を発生させる場合、食品において発生する遠心力の大きさは、例えば、筒状容器の半径、回転速度を変えることにより調節することができる。具体的には、筒状容器の半径が大きいほど、また筒状容器の回転速度が大きいほど食品において発生する遠心力が大きくなり、その結果、多くの食品を筒状容器の内表面に接触させて加熱調理することができる。また、食品と筒状容器の内表面との接触時間は、例えば、筒状容器の回転時間を変えることにより調節することができる。具体的には、筒状容器の回転時間が長いほど食品と筒状容器内表面との接触時間が長くなり、その結果、長時間にわたり食品を加熱調理することができる。
 筒状容器内に設けられた回転翼を回転させて食品に遠心力を発生させる場合、食品において発生する遠心力の大きさは、例えば、回転翼の回転半径(回転軸から回転翼の先端までの長さ)、回転速度を変えることにより調節することができる。具体的には、回転翼の回転半径が大きいほど、また回転速度が大きいほど食品において発生する遠心力が大きくなり、その結果、多くの食品を筒状容器の内表面に接触させて加熱調理することができる。また、食品と筒状容器の内表面との接触時間は、例えば、回転翼の回転時間を変えることにより調節することができる。具体的には、回転翼の回転時間が長いほど食品と筒状容器内表面との接触時間が長くなり、その結果、長時間にわたり食品を加熱調理することができる。
 第1の加熱調理工程においては、加熱食品の製造の効率性、製造される加熱食品の損傷(ダメージ)、装置の準備コスト等の観点から、筒状容器の回転速度を変えることにより、食品において発生する遠心力の大きさを変えることが好ましい。
 第1の加熱調理工程において、筒状容器としては、中空の筒状に形成されている容器であって、筒軸方向の一方または両方の端部が開口している容器が用いられる。筒状容器の一方の端部が開口している場合、該開口部から加熱食品の原材料となる食品が投入され、該開口部から加熱調理後の加熱食品が排出される。また、筒状容器の両方の端部が開口している場合、好ましくは、一方の端部の開口部(投入口)から加熱食品の原材料となる食品が投入され、他方の端部の開口部(排出口)から加熱調理後の加熱食品が排出される。筒状容器の断面の形状(筒軸方向に対して直角方向に筒状容器を切断した場合の断面形状)としては、本開示の効果が奏される限り特に制限されず、例えば、多角筒状、略円筒状、円筒状等であり、好ましくは略円筒状、円筒状であり、特に好ましくは円筒状である。また、筒状容器の断面の形状および大きさ(半径)は、筒状容器の全体にわたり一様であってもよく、一様でなくてもよい。また、筒状容器は、その内表面に、食品の回転や内表面への接触を補助する凹凸、突起等を備えていてもよい。
 本開示の製造方法の一つの実施態様によれば、筒状容器が、駆動装置によって筒軸を中心として回転可能なように、該筒状容器を支持する支持部材(例えば、支持台等)によって支持される。
 本開示の製造方法の別の実施態様によれば、筒状容器を支持する支持部材に筒状容器が支持され、筒状容器内に設けられた回転翼が、駆動装置によって筒軸を中心として回転可能なように支持される。回転翼は、筒状容器を支持する支持部材と同一の支持部材または異なる支持部材によって支持されてもよく、筒状容器によって支持されてもよい。
 筒状容器は、その筒軸方向が水平方向に対して平行であってもよく、または筒軸方向が鉛直方向に傾斜するように傾いていてもよい。筒状容器の傾斜角度を調節することにより、筒状容器内の加熱食品を開口部方向に送り、開口部から筒状容器の外側に排出することができる。筒状容器の両方の端部が開口している場合、好ましくは、筒状容器の一方の端部の開口部(投入口)が他方の端部の開口部(排出口)よりも上方に位置するように、前記筒軸方向が水平方向に対して鉛直方向に傾斜するように前記筒状容器が傾いている。このように、投入口が排出口よりも上方に位置するように筒状容器が傾いていることにより、投入口から投入された食品は、筒状容器内での加熱調理を経ながら筒状容器の傾斜によって排出口側に送られ、排出口から筒状容器の外側に排出されるため、加熱食品を連続的に製造することが可能となる。
 筒状容器の材料としては、本開示の効果が奏される限り特に制限されず、熱伝導性に優れた金属材料、例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、銅系材料、アルミ系材料等が挙げられる。また、筒状容器は、食品の平均的な加熱を行い、局部的な焦げ付きを防止するために、十分な厚さを有することが好ましい。筒状容器の厚さとしては、好ましくは2mm~30mm、より好ましくは5mm~15mmである。また、筒状容器の内表面は、該筒状容器を構成する材料の地肌のままでもよく、または表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、フッ素樹脂コーティング、フッ素樹脂含浸処理、金属粉末の溶射処理等が挙げられる。
 第1の加熱調理工程において、回転翼の形状、大きさ、材料としては、ドラム状容器または筒状容器を用いた加熱調理装置において用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。なお、回転翼とは、回転軸(回転中心)と該回転軸を中心に回転する少なくとも1つの翼とを一体的に有する部材を意味する。翼は、筒状容器の筒軸方向の一部または全部にわたるように配置される。回転翼は、好ましくはその回転軸の軸方向と筒状容器の筒軸方向とが平行になるように配置され、より好ましくはその回転軸と筒軸とが一致するように配置される。回転軸が回転することにより、該回転軸を中心に回転翼が回転し、回転方向に食品を移動させる(角速度を生じさせる)ことにより、食品に遠心力が発生する。
 第1の加熱調理工程における筒状容器の加熱温度は、例えば、150~300℃、200~300℃、230~300℃等である。
 第1の加熱調理工程における筒状容器または回転翼の回転時間は、例えば、3~20秒、5~15秒等である。
 第1の加熱調理工程において、上述した筒状容器の形状、大きさ(半径)、回転速度、回転時間、加熱温度、加熱時間、回転翼の形状、大きさ(回転半径)、回転速度、回転時間は、製造される加熱食品の種類、量、状態等によって適宜選択することができる。
 本開示の製造方法の一つの実施態様によれば、第1の加熱調理工程において、製造される加熱食品の種類によって、筒状容器に油脂が投入されてもよい。油脂の種類、投入時期、投入方法等は、製造される加熱食品の種類、量、状態等によって適宜選択することができる。
 油脂の種類としては、液体油脂であっても固形油脂であってもよく、例えば、サラダ油、キャノーラ油、ベニバナ油、コーン油、コメ油、ナタネ油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油や、それらを原料としたショートニング、バター、ラード等が挙げられる。これらの油脂は一種を単独で用いてもよいが、複数種を組み合わせて用いてもよい。
 油脂の投入時期としては、例えば、第1の加熱調理工程前に予め筒状容器に油脂を投入する、第1の加熱調理工程中に筒状容器に油脂を投入する等が挙げられる。
 油脂の投入方法としては、筒状容器に液体油脂を噴霧して付着させる方法、筒状容器に液体油脂および/または固体油脂を分散させる方法等が挙げられる。また、筒状容器の筒軸方向が水平方向に対して鉛直方向に傾斜するように筒状容器が傾いている場合には、筒状容器の上流側から液体油脂および/固体油脂を投入してもよい。例えば、筒状容器の両方の端部が開口しており、一方の端部の開口部(投入口)が他方の端部の開口部(排出口)よりも上方に位置するように傾いている場合には、筒状容器の投入口に近い側(すなわち、上流側)から液体油脂および/固体油脂を投入してもよい。
(加熱工程)
 本開示の製造方法は、第1の加熱調理工程の前に予め筒状容器を加熱する加熱工程を含んでもよい。筒状容器の加熱は、筒状容器が回転している状態で行われてもよく、または筒状容器が停止している状態で行われてもよい。
 加熱工程における筒状容器の加熱は、筒状容器そのものが発熱することにより行われてもよく、または筒状容器を外部から加熱する加熱部により行われてもよい。加熱温度は、製造される加熱食品の種類、量、状態等によって適宜選択することができるが、例えば、150~300℃、200~300℃、230~300℃等である。
 本開示の製造方法一つの実施態様によれば、加熱工程において、製造される加熱食品の種類によって、筒状容器に油脂が投入されてもよい。油脂の種類、投入時期、投入方法等は、製造される加熱食品の種類、量、状態等によって適宜選択することができる。
 油脂の種類としては、上述した第1の加熱調理工程において説明したものと同じものを使用することができる。
 油脂の投入時期としては、例えば、加熱工程前に予め筒状容器に油脂を投入する、加熱工程中に筒状容器に油脂を投入する等が挙げられる。
 油脂の投入方法としては、上述した第1の加熱調理工程において説明したものと同じ方法を使用することができる。
(投入工程)
 本開示の製造方法においては、予め内部に食品が配置された筒状容器を準備して第1の加熱調理工程を行ってもよいが、第1の加熱調理工程の前に筒状容器に、その開口部(投入口)から食品を投入する投入工程を含んでもよい。食品の投入は、筒状容器が回転している状態で行われてもよく、または筒状容器が停止している状態で行われてもよい。また、食品の投入は、連続的に行われてもよく、または断続的に行われてもよい。
 複数の食品が投入される場合、該複数の食品は同時に投入されてもよく、またはそれぞれが別々に投入されてもよい。
 筒状容器に投入される食品の量は、食品の種類、大きさ、状態等によって適宜選択することができる。製造される加熱食品において、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させるという観点から、筒状容器に投入される食品の量は、第1の加熱調理工程において筒状容器を回転させた場合に、加熱された筒状容器の内表面に食品の全部が略均一に接触するような量に設定することが好ましい。
 一つの実施態様によれば、製造される加熱食品の種類によって、筒状容器に油脂が投入されてもよい。油脂の種類、投入時期等は、製造される加熱食品の種類、量、状態等によって適宜選択することができる。
 油脂の種類としては、上述した第1の加熱調理工程において説明したものと同じものを使用することができる。
 油脂の投入時期としては、例えば、筒状容器に食品を投入する前に油脂を投入する、筒状容器に食品を投入するのと同時に油脂を投入する、筒状容器に食品を投入した後に油脂を投入する等が挙げられる。
 油脂の投入方法としては、例えば、食品と共に油脂を筒状容器に投入する方法、投入された後の食品に油脂を付着させる方法等が挙げられる。食品と共に油脂を筒状容器に投入する方法としては、食品と油脂とを別体として投入する方法、予め食品に油脂を付着させておき、食品と油脂とを一体として投入する方法等が挙げられる。投入された後の食品に油脂を付着させる方法としては、例えば、食品に液体油脂を噴霧して付着させる方法等が挙げられる。また、筒状容器が、投入口が排出口よりも上方に位置するように傾いている場合には、食品が投入された後に、食品よりも投入口に近い側(すなわち、上流側)に液体油脂および/または固体油脂を投入してもよい。
 第1の加熱調理工程により食品を加熱調理して加熱食品を得ることにより、加熱食品において、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させることができる。したがって、本開示の一つの態様によれば、筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、加熱食品の香ばしさを向上させる方法が提供される。
 また、第1の加熱調理工程により食品を加熱調理して加熱食品を得ることにより、加熱食品の付着を抑制することができる。したがって、本開示の別の態様によれば、筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、加熱食品の付着を抑制する方法が提供される。特に、炒飯等の米飯食品においては、その付着を抑制することにより、該米飯食品のパラパラとした食感を向上させることができることから、第1の加熱調理工程を含む、米飯を含む加熱食品のパラパラ感を向上させる方法も本態様に包含される。
(第2の加熱調理工程)
 本開示の製造方法は、筒状容器内の食品の少なくとも一部に第1の遠心力よりも小さい遠心力(第2の遠心力)を発生させ、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて前記食品の加熱調理を行う第2の加熱調理工程を含んでいてもよい。
 第2の加熱調理工程において筒状容器内の食品に遠心力を発生させる方法、および遠心力の大きさを調節する方法は、上述した第1の加熱調理工程において説明したものと同じ方法を使用することができる。
 第2の加熱調理工程における筒状容器の加熱温度、回転時間、加熱時間等は、製造される加熱食品の種類、量、状態等によって適宜選択することができ、例えば、上述した第1の加熱調理工程において説明したのと同じとすることができる。
 第2の加熱調理工程において、筒状容器内の食品において発生する第2の遠心力は、第1の加熱調理工程における第1の遠心力よりも小さいものである。第2の遠心力の大きさは、第1の遠心力よりも小さいものであれば特に限定されず、重力と同じであってもよく、重力より大きくてもよく、重力より小さくてもよい。食品において発生する遠心力をこのような大きさにした場合、第2の加熱調理工程において発生する第2の遠心力が重力よりも小さい食品については、遠心力により筒状容器の内表面に押し付けられることがない。したがって、そのような食品については、該食品が粘着力や摩擦力等の力を有さない限り、理論上、筒状容器の回転に伴って一定程度の高さまで持ち上げられた後に重力に従って落下することとなる。すなわち、遠心力により筒状容器の内表面に押し付けられない食品は、筒状容器が回転することにより筒状容器内で順次巻き上げられ、落下することとなる。その結果、筒状容器が連続的に回転することにより、遠心力により筒状容器の内表面に押し付けられない食品は撹拌され、遠心力により筒状容器の内表面に押し付けられる食品は加熱調理されることとなる。そして、第2の遠心力は第1の遠心力よりも小さいものであるため、第2の加熱調理工程においては、第1の加熱調理工程と比較して、遠心力により筒状容器の内表面に押し付けられて加熱調理される食品が少なく、遠心力により筒状容器の内表面に押し付けられずに撹拌される食品が多いと言える。特に、すべての食品において発生する第2の遠心力が重力よりも小さい場合には、理論上、すべての食品が遠心力により筒状容器の内表面に押し付けられずに撹拌されることとなる。なお、第2の加熱調理工程においては、筒状容器の全周の内表面が食品により、面積を基準として好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下、より一層好ましくは70%以下覆われている状態を意味する。
 第2の加熱調理工程における第2の遠心力は、第1の加熱調理工程における第1の遠心力よりも小さいことから、第1の加熱調理工程と比較して筒状容器の内表面に接触する食品の量が少なく、撹拌される食品の量が多い。したがって、製造される加熱食品の種類、量、状態等に応じて第1の加熱調理工程と第2の加熱調理工程とを適宜組み合わせることにより、所望の加熱食品を得ることができる。
 本開示の製造方法の好ましい実施態様によれば、上述した第1の加熱調理工程と第2の加熱調理工程とが交互に繰り返し行われる。以下、第1の加熱調理工程と第2の加熱調理工程とが交互に行われる実施態様について詳細に説明する。
 上述の第1の加熱調理工程における説明の通り、第1の加熱調理工程においては、筒状容器内で少なくとも一部の食品において重力と同じまたは重力を超える遠心力(第1の遠心力)を発生させることにより、筒状容器の内表面の全体に食品が広がり、その結果、筒状容器の内表面全体に少なくとも一部の食品を略均一に接触させることができる。この工程により、筒状容器の内表面に接触する食品に対する加熱調理が進行する。第1の加熱調理工程では、筒状容器の内表面全体に少なくとも一部の食品を略均一に接触させることができ、食品において発生する遠心力をより大きくすることにより、筒状容器の内表面全体に全部の食品を略均一に接触させることができる。また、筒状容器の内表面に食品が接触する時間を適宜調整することにより、製造される食品において適切な加熱調理の時間を設定することができるため、筒状容器の内表面に接触する食品を長時間加熱調理することが可能となる。その結果、加熱食品において、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させることができる。さらに、加熱調理により生じる香ばしい風味の向上に加え、加熱食品の付着を抑制することもできる。
 次いで、第1の加熱調理工程に続いて、第2の加熱調理工程を行う。上述の第2の加熱調理工程における説明の通り、第2の加熱調理工程においては、筒状容器内の食品の少なくとも一部に第1の遠心力よりも小さい第2の遠心力を発生させることにより、第1の加熱調理工程において筒状容器の内表面全体に略均一に接触していた食品の少なくとも一部が重力に従って落下し、さらに、筒状容器の回転により食品の巻き上げと落下とが繰り返される。この工程により、筒状容器の内表面に接触する食品については加熱調理が進行し、筒状容器の内表面に接触しない食品については撹拌が進行する。第2の加熱調理工程において筒状容器内の食品を十分に撹拌することにより、次いで行われる第1の加熱調理工程における加熱調理を略均一に行うことが可能となる。その結果、加熱食品の全体にわたり、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させることができる。さらに、加熱調理により生じる香ばしい風味の向上に加え、加熱食品の全体の付着を抑制することもできる。加熱食品の付着を抑制することができるため、デンプン、タンパク質、油分、水分等の粘着性の物質を多く含む加熱食品(例えば、米飯食品等)において、その構成食材同士が付着(接着)することを抑制できる。例えば、炒飯等の米飯食品においては、米飯食品を構成する米飯の粒同士の付着を抑制することにより、該米飯食品のパラパラとした食感を向上させることができる。
 次いで、第2の加熱調理工程に続いて第1の加熱調理工程を再度行うことにより、第2の加熱調理工程において撹拌された食品に対する加熱調理が再び進行する。
 このように、第1の加熱調理工程における食品の長時間加熱調理と、第2の加熱調理工程における食品の十分な撹拌とを交互に繰り返すことにより、加熱食品の全体にわたり、加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させることができる。さらに、加熱食品の付着を抑制することもできるため、加熱食品が米飯食品である場合には、そのパラパラとした食感を向上させることができる。第1および第2の加熱調理工程の繰り返しの回数は、所望の香ばしい風味や食材同士の付着の抑制の程度、食材の種類や量によって異なる好ましい加熱時間等に応じて適宜決定される。
 本開示の製造方法は、上記の工程に加えて、冷蔵工程、冷凍工程、炊飯工程、蒸米工程、加熱工程等をさらに含んでいてもよい。
 冷蔵工程とは、上記の工程により製造された加熱食品を冷蔵する工程である。加熱食品を冷蔵する方法としては、公知の方法を用いることができ、加熱食品の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、1~10℃の冷蔵庫で保管することにより、加熱食品を冷蔵食品の形態とすることができる。
 冷凍工程とは、上記の工程により製造された加熱食品を冷凍する工程である。加熱食品を冷凍する方法としては、公知の方法を用いることができ、加熱食品の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、-20℃以下で急速に冷凍することにより、加熱食品を冷凍食品の形態とすることができる。さらに、得られた冷凍食品は、-15℃以下、好ましくは-18℃以下で保存される。
加熱食品
 本開示の製造方法により製造される加熱食品は、加熱調理により生じる香ばしい風味が向上した加熱食品である。また、製造される加熱食品が米飯食品の場合には、加熱調理により生じる香ばしい風味の向上に加え、パラパラ感が向上した米飯食品である。
 本開示の加熱食品における「加熱調理により生じる香ばしい風味」は、加熱調理により生じる香味成分として知られているメチルピラジンの含有量を指標として評価することができる。
 加熱食品におけるメチルピラジンの含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)により測定することができる。
 GC-MSによるメチルピラジンの含有量測定は、具体的には、次のように行うことができる。まず、加熱食品225gを500mlビーカーに秤量する。次いで、ビーカーをセパラブルフラスコ内に静置して、セパラブルフラスコのふたを閉め、捕集剤(Tenax TA)入りガラスチューブを接続する。接続されたガラスチューブの他端を減圧ポンプに接続して3分間吸引する。Tenax TAにより捕集された化合物をGC-MSを用いて分析する。GC-MSの条件は以下のように設定される。
GC-MS分析条件
 GC:Agilent6890(アジレント・テクノロジー株式会社製)
 MS:Agilent5973(アジレント・テクノロジー株式会社製)
 カラム:DB-WAX 長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm(アジレント・テクノロジー株式会社製)
 昇温条件:40℃ 3分 → (6℃/分) → 228℃ 28分
 吸着剤:Tenax (ゲステル株式会社製)
 本開示の加熱食品が米飯食品である場合の「パラパラ感」は、クリープメータを用いて以下の方法により測定することができる。
 蓋付きの平坦な容器に米飯食品に含まれる米だけを40g採る。次いで、容器の蓋を閉めて容器に採った米に押し付けて米を平らにする。容器の蓋を取り、クリープメータのプランジャーで平らな米に挿入し、5mm/秒の速度で2mm引き上げる。プランジャーを引き上げる際の圧力(抵抗値)を測定する。プランジャー引き上げ時の圧力(抵抗値)が低いほど、米飯食品のパラパラ感が高いものとする。
 本開示の製造方法により製造される加熱食品は、常温食品の形態で提供することもできるが、上述したような冷蔵工程、冷凍工程を経て、冷蔵食品、冷凍食品等の形態で提供することもできる。また、インスタント食品、レトルト食品等の形態で提供することもできる。本開示の製造方法により製造される加熱食品の提供の具体例としては、常温食品、冷蔵食品または冷凍食品の形態の炒飯、ピラフ、ドライカレー、チキンライス、バターライス、ビビンパ、ジャンバラヤ、ナシゴレン、焼そば、焼うどん、焼ビーフン、野菜炒め、肉炒め、肉野菜炒め、八宝菜、回鍋肉、青椒肉絲、干焼蝦仁等が挙げられる。これらのうち、特に好ましくは、冷凍食品の形態の炒飯、ピラフ、ドライカレー、チキンライス、バターライス、ビビンパ、ジャンバラヤ、ナシゴレンである。
 冷蔵または冷凍食品の形態の加熱食品は、例えば、電子レンジ、フライパン、熱湯での湯せん等の各種加熱処理を施すことにより喫食することができる。
 本開示の一つの態様によれば、以下の発明が提供される。
[1]加熱食品を製造する方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、方法。
[2](b)前記食品の少なくとも一部において前記第1の遠心力よりも小さい第2の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第2の加熱料理工程をさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]前記食品の少なくとも一部において発生する第2の遠心力が重力よりも小さい、[2]に記載の方法。
[4]前記工程(a)と前記工程(b)とを交互に複数回繰り返して行う、[2]または[3]に記載の方法。
[5]前記筒状容器の筒軸方向が水平方向に対して平行であるか、または鉛直方向に傾斜するように傾いている、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記筒状容器の形状が略円筒状または円筒状である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]食品の香ばしさを向上させる方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、方法。
[8]加熱食品の付着を抑制する方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、方法。
実施例1:加熱食品の製造
 以下の手順に従って、本開示の製造方法による加熱食品(試験区1)を製造した。
 半径20cmの鉄製の両端が開口した略円筒状の筒状容器を筒軸方向がほぼ水平となるように設置し、筒状容器を250℃に加熱した(加熱工程)。加熱された筒状容器の一方の開口部(投入口)から食品(油5質量%、卵15質量%および炊飯米80質量%)を投入した(投入工程)。筒状容器を90rpmで筒軸方向を中心に8秒間回転させて、遠心力により食品が筒状容器の内表面の全体に食品を広げ、筒状容器の内表面全体に食品を略均一に接触させた(第1の加熱調理工程)。なお、第1の加熱調理工程においては、筒状容器の内表面の面積の約95%が食品により覆われていた。次いで、筒状容器を50rpmで筒軸方向を中心に5秒間回転させて、筒状容器の内表面全体に略均一に接触していた食品を落下させ、筒状容器の回転により巻き上げと落下を繰り返した(第2の加熱調理工程)。第1の加熱調理工程と第2の加熱調理工程とを交互に5回ずつ行った。筒状容器を停止させ、筒状容器内の加熱食品を筒状容器の他方の開口部(排出口)から排出した。排出された加熱食品を-20℃で凍結保存した後、レンジで解凍して試験区1の加熱食品(炒飯)とした。
 以下の手順に従って、既存の製造方法による加熱食品(試験区2)を製造した。
 半径20cmの鉄製の両端が開口した略円筒状の筒状容器を筒軸方向がほぼ水平となるように設置し、筒状容器を250℃に加熱した。加熱された筒状容器の一方の開口部(投入口)から食品(油5質量%、卵15質量%および炊飯米80質量%)を投入した。筒状容器を5rpmで筒軸方向を中心に60秒間回転させて、食品を撹拌および加熱調理した。なお、筒状容器の回転時、筒状容器の内表面の面積の約17%が食品により覆われていた。次いで、筒状容器を停止させ、筒状容器内の加熱食品を筒状容器の他方の開口部(排出口)から排出した。排出された加熱食品を-20℃で凍結保存した後、レンジで解凍して試験区2の加熱食品(炒飯)とした。
実施例2:加熱食品の官能評価試験
 試験区1および2の加熱食品(炒飯)を官能評価試験に供した。官能評価試験では、各試験区の加熱食品について、加熱調理により生じる香ばしい風味、およびパラパラ感の評価項目を、よく訓練され、加熱食品の評価に熟練したパネル8名によりそれぞれ5段階で評価した。なお、各評価項目について、中華鍋で手作りで調理した炒飯の評価をそれぞれ5とし、8名の評価の平均を各試験区の評価とした。各試験区の官能評価試験の結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1に示す結果から、本開示の製造方法により製造した試験区1の炒飯は、既存の製造方法により製造した試験区2の炒飯と比較して加熱調理により生じる香ばしい風味、およびパラパラ感のいずれも向上していることが分かった。さらに、試験区1の炒飯は、中華鍋で手作りで調理した炒飯と同程度の加熱調理により生じる香ばしい風味、およびパラパラ感を有していることが分かった。
実施例3:加熱食品の香味成分量の測定
 試験区1および2の加熱食品(炒飯)について、加熱調理により生じる香ばしい風味を生じさせる香味成分(メチルピラジン)の含有量を、以下の手順に従って測定した。
 試験区1および2の炒飯225gを500mlビーカーに秤量した。次いで、ビーカーをセパラブルフラスコ内に静置して、セパラブルフラスコのふたを閉め、捕集剤(Tenax TA)入りガラスチューブを接続した。接続されたガラスチューブの他端を減圧ポンプに接続して3分間吸引した。Tenax TAにより捕集された化合物をGC-MSを用いて分析した。GC-MSの条件は以下のように設定した。
GC-MS分析条件
 GC:Agilent6890(アジレント・テクノロジー株式会社製)
 MS:Agilent5973(アジレント・テクノロジー株式会社製)
 カラム:DB-WAX 長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm(アジレント・テクノロジー株式会社製)
 昇温条件:40℃ 3分 → (6℃/分) → 228℃ 28分
 吸着剤:Tenax (ゲステル株式会社製)
 試験区1および2の炒飯におけるメチルピラジンの含有量を図1に示す。なお、メチルピラジンの含有量は、GC-MSにおいて、対応するイオンの存在量(強度)として示された。図1に示す結果から、本開示の製造方法により製造した試験区1の炒飯は、既存の製造方法により製造した試験区2の炒飯と比較してメチルピラジンの含有量が著しく高いことが分かった。すなわち、本開示の製造方法は、既存の製造方法と比較して、加熱食品における加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させ得ることが分かった。さらに、試験区1の加熱は、中華鍋で手作りで調理した炒飯と同程度の加熱調理により生じる香ばしい風味を有していることが分かった。
実施例4:加熱食品の付着性の測定
 試験区1および2の加熱食品(炒飯)について、その付着性を、以下の手順に従って測定した。
 試験区1および2の炒飯について、それぞれ米だけを40g蓋付きの平坦な容器に採った。次いで、容器の蓋を閉めて容器に採った米に押し付けて米を平らにした。容器の蓋を取り、クリープメータ(RE2-33005C(XZ)、株式会社山電製)のプランジャーで平らな米に挿入し、2mm引き上げ、そこを起点に横に30mmの距離を1mm/秒の速度で平行運動させたときのプランジャーにかかる圧力(抵抗値)を測定した。
 試験区1および2の炒飯の圧力(抵抗値)を図2に示す。図2に示す結果から、本開示の製造方法により製造した試験区1の炒飯は、既存の製造方法により製造した試験区2の炒飯と比較して圧力(抵抗値)が低く、より低い付着性(より高いパラパラ感)を有していることが分かった。すなわち、本開示の製造方法は、既存の製造方法と比較して、加熱食品における抑制し得ることが分かった。さらに、試験区1の炒飯は、中華鍋で手作りで調理した炒飯と比較しても圧力(抵抗値)が低く、より低い付着性(より高いパラパラ感)を有していることが分かった。
 本開示によれば、既存の方法と比較して、加熱食品における加熱調理により生じる香ばしい風味を向上させることができる。また、加熱食品が米飯食品の場合には、そのパラパラ感も向上させることができる。

Claims (8)

  1.  加熱食品を製造する方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、方法。
  2.  (b)前記食品の少なくとも一部において前記第1の遠心力よりも小さい第2の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第2の加熱料理工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3.  前記食品の少なくとも一部において発生する第2の遠心力が重力よりも小さい、請求項2に記載の方法。
  4.  前記工程(a)と前記工程(b)とを交互に複数回繰り返して行う、請求項2または3に記載の方法。
  5.  前記筒状容器の筒軸方向が水平方向に対して平行であるか、または鉛直方向に傾斜するように傾いている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6.  前記筒状容器の形状が略円筒状または円筒状である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7.  加熱食品の香ばしさを向上させる方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、方法。
  8.  加熱食品の付着を抑制する方法であって、(a)筒状容器内で少なくとも一部の食品に重力と同じまたは重力を超える第1の遠心力を発生させて、前記筒状容器の内表面に前記食品の少なくとも一部を接触させて加熱調理する第1の加熱調理工程を含む、方法。
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