WO2021157389A1

WO2021157389A1 - 電子機器

Info

Publication number: WO2021157389A1
Application number: PCT/JP2021/002262
Authority: WO
Inventors: 征志中田
Original assignee: ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
Priority date: 2020-02-03
Filing date: 2021-01-22
Publication date: 2021-08-12
Also published as: US20240155242A1; CN115004675A; US20230103098A1; US11917298B2

Abstract

［課題］コンパクトな筐体で広い画角の撮影を実現する電子機器を提供する。［解決手段］本開示による電子機器は、変形可能に構成された表示部(2)と、前記表示部(2)の表示面と反対側に配置され、前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている少なくともひとつの第１撮像部(3)とを備える。前記表示部(2)は、折りたたみ可能であってもよい。また、前記表示部(2)の少なくとも一部は、折り曲げ可能であってもよい。さらに、前記第１撮像部(3)は、前記表示部(2)の形状に応じて、撮影に使う光学系が切り替え可能であってもよい。

Description

電子機器

　本開示は、電子機器に関する。

　スマートフォン、タブレット、ゲーム機、ＰＣ（Personal Computer）などの電子機器の筐体内には、カメラが実装されていることが一般的である。今日、電子機器に実装されたカメラの用途は、ビデオ通話または自撮り（selfie）に限らず、風景、ポートレート、高速度の被写体の撮影などにも広がりを見せている。このため、近年、電子機器に実装されるカメラの性能向上に対する要求は、ますます高まっている。

特表２０１９－５０６６５１号公報特開２０１９－８２０２号公報

　カメラの性能要件のひとつに、撮影が可能な画角（Angle of View）の大きさがある。視野角の広いカメラを使うと、迫力のある画像の撮影、または大きいサイズの被写体全体を収めた画像の撮影が可能となる。このため、電子機器に実装されるカメラの視野角の拡大に対する潜在的なニーズは大きい。

　ただし、画角の拡大のために、魚眼レンズ付きのカメラを実装すると、電子機器に突出部が形成されたり、電子機器の筐体が大型になったりする課題があった。また、電子機器の筐体内に画角の大きいカメラを実装すると、撮影画像に隣接部品が写り込むおそれがある。

　そこで、本開示は、コンパクトな筐体で広い画角の撮影を実現する電子機器を提供する。

　本開示の一態様による電子機器は、変形可能に構成された表示部と、前記表示部の表示面と反対側に配置され、前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている少なくともひとつの第１撮像部とを備えていてもよい。

　前記表示部は、折りたたみ可能であってもよい。

　前記表示部は、第１領域と、第２領域と、第３領域とを含み、前記表示部の前記第１領域と前記第２領域との間、ならびに前記表示部の前記第２領域と前記第３領域との間は、山折り可能であってもよい。

　前記第１撮像部は、前記第２領域における前記表示面の反対側に配置されていてもよい。

　前記表示部の前記第１領域における前記表示面の反対側と、前記第３領域における前記表示面の反対側に、それぞれ前記第１撮像部が配置されていてもよい。

　前記表示部の少なくとも一部は、折り曲げ可能であってもよい。

　前記第１撮像部は、前記表示部の折り曲げ時に形成される凸曲面の内周側に相当する位置に配置されてもよい。

　前記表示部が折り曲げられると前記第１撮像部より光の入射方向側にある少なくとも一部の部材が前記第１撮像部の画角外に移動するように構成されていてもよい。

　前記表示部と反対側の面に配置された第２撮像部をさらに備えていてもよい。

　前記第１撮像部は、前記表示部の形状に応じて、撮影に使う光学系が切り替え可能であってもよい。

　前記第１撮像部の撮影画像に基づく第１画像を前記表示部に出力するように構成された処理回路をさらに備えていてもよい。

　前記処理回路は、前記第１画像の各部分が表示される表示部の位置および範囲を、前記撮影画像内の画角に応じて決定するように構成されていてもよい。

　前記表示部は、タッチパネルを含み、前記処理回路は、前記撮影画像に含まれる少なくともいずれかの被写体を検出するように構成されていてもよい。

　前記処理回路は、前記表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、前記領域を含む、前記第１撮像部の一部の画角をクロップした第２画像を前記表示部の少なくともいずれかの部分に出力するように構成されていてもよい。

　前記処理回路は、前記表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、前記領域を含む、前記第１撮像部の一部の画角をクロップした第１映像の録画を開始するように構成されていてもよい。

　前記処理回路は、前記第１映像の録画と並行して、前記第１映像よりも画角の大きい第２映像の録画を行うように構成されていてもよい。

　本開示の一態様による電子機器は、変形可能に構成された表示部と、前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成された撮像部を備え、前記撮像部は、前記表示部が第１形状にある場合、第１画角で撮像し、前記表示部が第２形状にある場合、前記第１画角より広い第２画角で撮像するように構成されていてもよい。

　前記第１形状は、展開状態であり、前記第２形状は、折りたたみ状態であってもよい。

　本開示の一態様による電子機器は、変形可能に構成された表示部と、それぞれが前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている第３撮像部および第４撮像部を備え、前記第３撮像部は第３画角で撮像するように構成され、前記第４撮像部は第４画角で撮像するように構成され、前記表示部が第１形状にある場合、前記第３画角と前記第４画角が互いに一部重なり、前記表示部が第２形状にある場合、前記第３画角と前記第４画角が互いに重ならないようになっていてもよい。

　前記表示部が第２形状にある場合、前記第３撮像部で得られる画像と、前記第４撮像部で得られる画像とを合成するように構成された処理回路をさらに備えていてもよい。

隣接部品による撮影画角の狭小化の例を示した図である。撮影画像における有効画角の範囲の例を示した図である。本開示による電子機器の展開状態の例を示した斜視図である。本開示による電子機器の折りたたみ状態の例を示した斜視図である。本開示による電子機器の展開状態の例を示した断面図である。本開示による電子機器の折りたたみ状態の例を示した断面図である。本開示による電子機器の模式的な断面図である。本開示による撮像部の断面構造の例を示した図である。本開示による電子機器の内部構成の例を示したブロック図である。変形例１による電子機器の折り曲げ前の状態の例を示した斜視図である。変形例１による電子機器の折り曲げ状態の例を示した斜視図である。変形例１による電子機器および治具の構造の例を示した断面図である。変形例１による電子機器の模式的な断面図である。電子機器の折り曲げ状態に応じて使用する光学系を切り替え可能なカメラモジュールの例を示した断面図である。電子機器の折り曲げ状態に応じて使用する光学系を切り替え可能なカメラモジュールの例を示した断面図である。折り曲げ可能な電子機器とカメラモジュールの例を示した断面図である。折り曲げ可能な電子機器とカメラモジュールの例を示した断面図である。変形例２による電子機器の展開状態の例を示した斜視図である。変形例２による電子機器の折りたたみ状態の例を示した断面図である。変形例３による電子機器が撮影可能な画角の例を示した図である。本開示による電子機器において表示される画像の例を示した図である。本開示による電子機器における被写体の選択操作の例を示した図である。選択した被写体の画面表示および撮影動作の例を示した図である。変形例４による電子機器の例を示した断面図である。本開示による電子機器をカプセル内視鏡に適用した場合の平面図。本開示による電子機器をデジタル一眼レフカメラに適用した場合の背面図。電子機器をＨＭＤに適用した例を示す図。現状のＨＭＤを示す図。

　以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

　スマートフォン、タブレット、ゲーム機、ＰＣ（Personal Computer）、ディスプレイ装置などの電子機器では、ビデオ通話または自撮り（selfie）ができるよう、電子機器の表示部の額縁（ベゼル）に、カメラ（フロントカメラ）が実装されることがある。ただし、画面サイズを拡大したり、より高い解像度の画像を表示したりするために、ベゼル幅を狭くした電子機器やベゼルレスな電子機器が提供されている。このため、カメラをベゼルではなく、表示パネルを正面視したときに表示パネルの背後となる位置に実装することが提案されている。この場合、カメラは、表示パネルを透過した光によって撮影を行う。このようなカメラは、Under Displayカメラともよばれる。

　図１の断面図は、表示パネル４Ａを通過した光によって撮影を行う撮像部８を有する電子機器３００の例を示している。電子機器３００では、上側から下側に向かって表示パネル４Ａ、支持部材７８、トランジスタ層７７、配線層７６が積み重ねられている。なお、以下の説明では、図中のｚ軸正方向を上、図中のｚ軸負方向を下とよぶものとする。表示パネル４Ａは、保護層７によって保護されていてもよい。保護層７は、例えば、ガラス材料によって形成されている。ただし、可視光を透過可能なのであれば、保護層７としてその他の材料が使われていてもよい。

　図１に示したように、表示パネル４Ａの下側には、トランジスタ層７７および配線層７６が未形成の部分がある。表示パネル４Ａの下側のトランジスタ層７７および配線層７６が未形成の部分には、カメラモジュール３が実装されている。カメラモジュール３内には、上側から下側に向かって、魚眼レンズ８０、レンズ７５、レンズ７４、撮像部８が配置されている。魚眼レンズ８０と、レンズ７５と、レンズ７４とは、表示パネル４Ａを透過した光を撮像部８上で集光する、ひとつの光学系を形成している。撮像部８は、光電変換によって撮像を行う構成要素である。撮像部８は、例えば、ＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）センサ、ＣＣＤ（Charge Coupled Device）センサ、有機光電変換膜、またはこれらの組み合わせを含むことができる。

　魚眼レンズ８０を備えているため、カメラモジュール３自体は、図１の画角Ｖ１での撮影を行うことができる。ただし、画角Ｖ１内には、カメラモジュール３に隣接するトランジスタ層７７および配線層７６の一部が含まれてしまっている。このため、電子機器３００に実装されたカメラモジュール３が実際に撮影を行うことができる画角は、画角Ｖ１より狭い画角Ｖ２である。図１の画角Ｖ２のように、撮像部（カメラモジュール）が実際に撮影を行うことができる画角を、有効画角とよぶものとする。

　図２の画像７２は、撮像部８によって撮影される画像における画角Ｖ１と画角Ｖ２の関係の例を示している。画角Ｖ１と画角Ｖ２との間の領域７３には、カメラモジュール３に隣接するトランジスタ層７７および配線層７６が写り込んでいる可能性がある。したがって、撮像部８の後段に接続される回路で、画像７２の領域７３の内側の部分を破棄してもよい。撮像部８で撮影された画像のうち、有効画角以外の部分を破棄する処理は、有効画角のクロップ（cropping:トリミングともいう。）処理に相当する。この場合、画像７２のうち、領域７３の内側の部分が撮影画像として、電子機器３００のユーザに提供される。

　図２の例のように、画像のクロップが行われてしまうと、ユーザは、カメラモジュール３（光学系および撮像部８）の性能に関わらず、限られた画角の撮影画像しか得られない。また、撮影画像に含まれる画素数が減少することが避けられない。そこで、本開示では、表示パネルとしてフレキシブルディスプレイを使い、コンパクトな筐体で広い画角の撮影を実現する電子機器について説明する。すなわち、本開示による電子機器は、画像の表示機能と、画像の撮影機能とを備える。

　図３および図４は、本開示による電子機器の例を示した斜視図である。図３は、電子機器１の展開状態における形状の例を示している。電子機器１の上面（第１面）には、表示部２が実装されている。表示部２は、フレキシブルディスプレイを含んでいる。フレキシブルディスプレイとして、例えば、ポリイミドと、ＯＬＥＤ（Organic Light Emitting Diode）を組み合わせたものを使うことができる。ただし、フレキシブルディスプレイで使われる材料および方式を限定するものではない。例えば、ポリイミドの代わりに、柔軟性を有するガラスシートなど、その他の折り曲げ可能な材料を使ってもよい。また、ＯＬＥＤの代わりに、液晶またはマイクロＬＥＤアレイなどその他の方式のディスプレイを使ってもよい。

　表示部２は、第１領域２１と、第２領域２２と、第３領域２３とに分けられる。図３の第１領域２１、第２領域２２、および第３領域２３は、いずれも平面視略矩形状となっている。ただし、本開示による電子機器の表示部および表示部の領域の形状を限定するものではない。電子機器１は、図３の上方から視て表示部２の第１領域２１と、表示部２の第２領域２２との間で山折りが形成されるように折りたたみ可能である。同様に、電子機器１は、折りたたみ状態において、図３の上方から視て表示部２の第２領域２２と、表示部２の第３領域２３との間で山折りが形成されるように折りたたみ可能である。すなわち、電子機器１は、書物の表紙または長財布にように折りたたみ可能に構成されている。

　図４は、電子機器１の折りたたみ状態における形状の例を示している。図４を参照すると、電子機器１は、表示部２の表示面が筐体の外側を向くように折りたたまれている。すなわち、図４では、表示部２が外折りになっている。製本された書物を例に使い、比喩的に説明すると、電子機器１は、折りたたみ時に、表紙、背表紙、および裏表紙に相当する領域に表示部２の表示面が配置されるようになっている。すなわち、図４では、電子機器１の上側の第１面（表紙に相当）に表示部２の第３領域２３が配置され、電子機器１の第１面とは反対側の第２面（裏表紙に相当）に表示部２の第１領域２１が配置され、第１面および第２面に垂直な電子機器１の第３面（背表紙に相当）に第２領域２２が配置されている。

　すなわち、本開示による電子機器では、表示部の折りたたみ時に、表示部の第１領域と表示部の第２領域は、反対の方向を向いていてもよい。

　また、表示部２の第２領域２２を正面視したときに背後となる位置に、カメラモジュール３が実装されている。すなわち、カメラモジュール３（第１撮像部）は、第２領域２２における表示面の反対側に配置されている。このため、電子機器１のカメラモジュール３は、表示部２の第２領域２２を透過した光によって撮影を行う。図４の例の場合、カメラモジュール３は、第３面の方向を含む画角の撮影を行うことができる。

　電子機器１は、形状を固定するロック機構（図示せず）を備えていてもよい。ロック機構を使うことにより、電子機器１を展開状態または折りたたみ状態に固定することができる。この場合、ロック機構の詳細な構成については、特に問わない。ロック機構を使うことにより、ユーザが意図していないタイミングで、電子機器１の形状が変化することを防ぐことができる。

　このように、本開示による電子機器の表示部は、第１領域と、第２領域と、第３領域とを含んでいてもよい。表示部の第１領域と第２領域との間、ならびに表示部の第２領域と第３領域との間は、山折り可能であってもよい。

　ここでは、展開状態と折りたたみ状態のいずれの状態においても略平板形状となる電子機器を例として説明した。ただし、ここで示した電子機器の形状は、例にしかすぎない。したがって、本開示による電子機器の展開状態または折りたたみ状態の少なくともいずれかにおける形状は、これとは異なっていてもよい。

　図５は、図３の電子機器１を線分ＡＡで切断したときの断面図を示している。一方、図６は、図５の断面図を折りたたみ状態にしたものを示している。図５および図６は、いずれも電子機器１のカメラモジュール３が実装されている部分を拡大して示している。カメラモジュール３は、支持部材１５の上に実装されている。支持部材１５は、例えば、図１のトランジスタ層７７または配線層７６の少なくともいずれかを含んでいてもよい。カメラモジュール３の上側には、表示パネル４が配置されている。表示パネル４は、上述のフレキシブルディスプレイに相当する。一方、表示パネル４の下側のカメラモジュール３が配置されていない部分には、支持部材１６が配置されている。表示パネル４は、保護層７によって保護されている。保護層７として、例えば、ポリイミドまたは柔軟性を有するガラスシートなど、光を透過し、折り曲げ可能である材料を使うことができる。保護層７および表示パネル４は、上述の表示部２に相当する。

　支持部材１５として、例えば、プラスチックフィルム、ポリイミド、またはＰＥＴを含むフレキシブル基板を使うことができる。支持部材１６として、プラスチックフィルム、ポリイミド、またはＰＥＴを含む材料を使うことができる。少なくとも支持部材１５および１６の折りたたみ機構１０の上方の部分を、伸縮性および柔軟性を有する材料で形成することができる。ただし、支持部材１５および１６として使われる材料の種類を限定するものではない。

　支持部材１５のカメラモジュール３が配置されている側の反対側には、折りたたみ機構１０が設けられている。折りたたみ機構１０は、上述の表示部２の第１領域２１と、表示部２の第２領域２２との間における山折り状の変形、ならびに上述の表示部２の第２領域２２と、表示部２の第３領域２３との間における山折り状の変形、ならびにこれらの変形より元の形状への復元を実現にする。図５および図６の折りたたみ機構１０は、電子機器１の筐体内に設けられた空間１１に複数の歯車１２を組み合わせることによって実現されている。複数の歯車１２は、例えば、樹脂または金属によって形成されている。ただし、複数の歯車１２の材料を限定するものではない。

　歯車１２の上側には、センサ１４が配置されている。センサ１４は、電子機器１の少なくともいずれかの部位における変形を検出することが可能なセンサである。例えば、図５および図６の例の場合、センサ１４は、折りたたみ機構１０による折りたたみの有無を検出する。センサ１４として、例えば、ひずみゲージを使うことができる。ただし、センサ１４として、その他の種類のセンサを使ってもよい。センサ１４は、電子機器１（表示部２）の変形を検出可能な位置に実装されていればよい。したがって、センサ１４は、図５および図６の例とは異なる位置に配置されていてもよい。

　なお、センサ１４および、支持部材１５が歯車１２によって損傷することを防ぐために、歯車１２の上方に保護部材を配置してもよい。この場合、歯車１２より硬度の高い材料を使って保護部材を形成することができる。ただし、保護部材の材料を限定するものではない。また、電子機器１の保護層７および表示パネル４の反対側には、板状部材１３が配置されている。板状部材１３は、電子機器１のその他の構成要素を支持し、筐体の略板状の構造を維持する。

　なお、図５および図６に示した折りたたみ機構１０は、一例にしかすぎない。したがって、本開示による電子機器は、これとは異なる構造の折りたたみ機構を備えていてもよい。例えば、ヒンジなどの回動可能な部品を使って折りたたみ機構を実現してもよい。

　表示パネル４のうち、少なくともカメラモジュール３の上側にある部分およびその近傍の部分は、カメラモジュール３における撮影に使われる波長帯域の電磁波に対する透過性を有するものとする。例えば、カメラモジュール３内の撮像部８が可視光によって撮影を行う場合、表示パネル４の上述の部分は、可視光帯域に対する透過性を有する。また、カメラモジュール３内の撮像部８が赤外線によって撮影を行う場合、表示パネル４の上述の部分は、赤外線帯域に対する透過性を有する。

　電子機器１の折りたたみ状態に相当する図６を参照すると、カメラモジュール３の上方およびその左右の領域には、いずれも光に対する透過性を有する部材（表示パネル４および保護層７）が配置されている。したがって、図１の電子機器３００のように、カメラモジュール３（撮像部８）で撮影可能な画角が隣接部材の写り込みによって狭くなることがない。したがって、折りたたみ状態の電子機器１を使うと、より広い画角による撮影を行うことが可能となる。ユーザは、図６の状態で電子機器１をｚ軸について回転させながら撮影を行ってもよい。このような電子機器１の撮影モードを広角撮影モードとよぶものとする。広角撮影モードを使うと、ユーザは、ｚ軸について１８０度～３６０度の広角の画像を撮影することができる。なお、広角撮影モードの利用時における電子機器１の回転動作は、ユーザが手動で行ってもよいし、モータなどの回転機械（図示せず）によって行ってもよい。

　図５および図６の例では、表示パネル４および保護層７（表示部２）の変形に関わらず、カメラモジュール３の形状は、ほとんど変化していない。したがって、本開示による電子機器では、表示部の変形に関わらず、本来の形状を維持するカメラモジュール（撮像部）を実装することが可能である。これにより、顕著な伸縮性および柔軟性を有さない、一般的なカメラモジュール（撮像部）を使うことができる。

　なお、カメラモジュール３にかかる応力を抑制するため、カメラモジュール３の底部を板状の構造物で支持してもよい。また、カメラモジュール３の上面以外を支持する構造物を設けてもよい。例えば、金属によってこれらの構造物を形成することができるが、構造物の材料については、問わない。カメラモジュール３にかかる応力を抑制する構造物を設けることにより、電子機器１の変形中におけるカメラモジュール３の破損を防ぐことができる。

　本開示による電子機器は、変形可能に構成された表示部と、表示部を透過して入射した光を撮像するように構成された撮像部とを備えていてもよい。この場合、撮像部は、表示部が第１形状にある場合、第１画角で撮像し、表示部が第２形状にある場合、第１画角より広い第２画角で撮像するように構成されていてもよい。例えば、第１形状は、展開状態であり、第２形状は、折りたたみ状態である。ただし、第１形状または第２形状の少なくともいずれかは、これとは異なる状態であってもよい。例えば、第１形状は、折り曲げられていない状態、第２形状は、折り曲げ状態であってもよい。

　図７は、電子機器１の表示部２およびカメラモジュール３を含む部分の断面図である。以下では、図７を参照しながら、電子機器１の構成の例を説明する。

　図７の電子機器１は、表示部２と、カメラモジュール３（撮像部）とを備えている。カメラモジュール３は、表示部２の表示面とは反対側に実装されている。すなわち、図７の表示部２を上方から視ると、表示部２の後方にカメラモジュール３が配置される。このため、電子機器１のカメラモジュール３は、表示部２を透過した光によって撮影を行う。

　図７に示したように、表示部２として、表示パネル４、円偏光板５、タッチパネル６、および保護層７を順に積層した構造物を使うことができる。表示パネル４は、例えば、電気的な方式で画像を表示し、柔軟性および伸縮性を有する板状の構造物（フレキシブルディスプレイ）である。表示パネル４は、例えば、ＯＬＥＤ（Organic Light Emitting Device）、液晶パネル、またはマイクロＬＥＤである。ただし、表示パネル４の方式については、問わない。

　一般に、ＯＬＥＤ、液晶などの表示パネル４は、複数の層を有する。例えば、一部の表示パネル４は、カラーフィルタ層など、光の透過率を低下させる部材を含む。そこで、図１に示したように、カメラモジュール３の位置に合わせ、表示パネル４内の光の透過を妨げる部材内に貫通孔を設けてもよい。貫通孔内を通った光は、該当する部材を透過せずに、カメラモジュール３に入射することができる。これにより、カメラモジュール３で撮影される画像の画質低下を抑えることができる。

　円偏光板５は、例えば、グレアの低減または視認性の改善などの目的で実装される。タッチパネル６は、タッチセンサが組み込まれた板状の構造物である。タッチセンサの例として、静電容量型のタッチセンサまたは抵抗膜型のタッチセンサが挙げられる。ただし、どのような種類のタッチセンサを使ってもよい。なお、本開示による電子機器では、タッチパネルの機能が統合された表示パネルを使ってもよい。保護層７は、表示パネル４を外部から保護するために設けられている。

　なお、表示部２は、指紋センサ６Ａを備えていてもよい。指紋センサ６Ａとして、例えば、光学式の指紋センサまたは超音波式の指紋センサを使うことができる。ただし、指紋センサの方式については、問わない。例えば、指紋センサ６Ａを、表示部２の少なくともいずれかの層に実装してもよい。また、指紋センサ６Ａをカメラモジュール３内に実装してもよい。

　カメラモジュール３は、例えば、撮像部８と、光学系９とを含む。光学系９は、表示部２と、撮像部８との間に配置される。光学系９は、表示部２を透過した光を撮像部８に集光させる。光学系９は、複数のレンズを備えていてもよい。広い画角を得るために、光学系９は、魚眼レンズを含むものであってもよい。

　図８は、撮像部の詳細な断面構造の例を示している。上述と同様、ｚ軸正方向を「上」、ｚ軸負方向を「下」とよぶものとする。図７の撮像部８では、基板１１１内に複数の光電変換部１０８ａが形成されている。光電変換部１０８ａの例としては、フォトダイオードを含むＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）センサまたはＣＣＤ（Charge Coupled Device）センサが挙げられる。また、光電変換部１０８ａとして、有機光電変換膜など、その他の種類のセンサを使ってもよい。

　そして、基板１１１の面１１１ａ側（上側）には、層間絶縁膜１１３が形成されている。層間絶縁膜１１３の内部には、複数の配線層１１２が配置されている。光電変換部１０８ａと配線層１１２との間に、コンタクトまたは貫通電極（図示せず）の少なくともいずれかが設けられていてもよい。同様に、配線層１１２間にも、コンタクトまたは貫通電極の少なくともいずれかが設けられていてもよい。

　一方、基板１１１の第２面１１１ｂ側（下側）には、平坦化層１１４が形成されている。平坦化層１１４の上には、下地絶縁層１１６が形成されている。また、平坦化層１１４上の一部に、遮光層１１５が形成されていてもよい。遮光層１１５は、画素の境界または境界近傍に配置されている。遮光層１１５の少なくとも一部の面は、下地絶縁層１１６に接していてもよい。また、下地絶縁層１１６の上には、絶縁層１１７が形成されている。絶縁層１１７の内部に、偏光素子を形成してもよい。偏光素子の例としては、ライン・アンド・スペース構造のワイヤグリッド偏光素子が挙げられる。ただし、偏光素子の構造および配列方向ついては、特に限定しない。

　複数の偏光素子１０８ｂが含まれる絶縁層１１７の上には、保護層１１８および１１９が形成されている。さらに、保護層１１９の上には、平坦化層１２０が形成されている。平坦化層１２０の上には、カラーフィルタ層１２１が配置される。カラーフィルタ層１２１は、下方に配置された光電変換部が所定の波長帯域の光を検出できるよう、一部の波長帯域の光を選択的に透過させる。

　そして、カラーフィルタ層１２１の上には、オンチップレンズ１２２が配置されている。図８の断面構造では、複数の偏光素子１０８ｂの上にオンチップレンズ１２２を配置している。ただし、オンチップレンズ１２２の上に複数の偏光素子１０８ｂを配置してもよい。このように、図８の断面構造における各層の積層順序が変更されていてもよい。

　撮像部８では、画素ごとに、個別の光電変換部１０８ａを形成することができる。それぞれの光電変換部１０８ａは、表示部２を介して入射した光を光電変換し、いずれかの色信号を出力する。すなわち、撮像部８は、光電変換をし、色信号を出力する複数の画素の集合であるといえる。色信号の例としては、赤色、緑色、および青色の色信号が挙げられる。ただし、撮像部８の画素が出力する色信号は、光の三原色以外の色であってもよい。例えば、撮像部８の画素は、光の三原色の補色である、シアン、マゼンダ、イエローのうち、少なくともいずれかの色信号を出力してもよい。さらに、撮像部８の画素は、上述の各色の中間色に相当する色信号を出力してもよいし、白色の色信号を出力してもよい。

　図９は本開示による電子機器の内部構成を示すブロック図である。図９の電子機器は、表示部２と、光学系９と、撮像部８と、センサ１４と、Ａ／Ｄ変換器３１と、クランプ部３２と、カラー出力部３３と、欠陥補正部３４と、リニアマトリックス部３５と、ガンマ補正部３６と、輝度クロマ信号生成部３７と、出力部３８と、記憶部４１と、フラッシュ４２とを備えている。例えば、処理回路２００上に、Ａ／Ｄ変換器３１、クランプ部３２、カラー出力部３３、欠陥補正部３４、リニアマトリックス部３５、ガンマ補正部３６、輝度クロマ信号生成部３７、および出力部３８を実装することができる。

　例えば、光学系９は、１以上のレンズ９ａと、ＩＲ（Infrared Ray）カットフィルタ９ｂとを含む。ただし、ＩＲカットフィルタ９ｂを省略してもよい。撮像部８は、上述のように、光電変換をし、色信号を出力する複数の画素を有する。センサ１４は、電子機器１の形状の変化（変形）を検出することが可能なセンサである。センサ１４は、電子機器１の少なくともいずれかの部位における形状の変化の検出が可能であればよい。例えば、センサ１４は、電子機器１が展開状態（図３および図５の状態）にあるのか、あるいは、電子機器１が折りたたみ状態（図４および図６の状態）にあるのかを判定するように構成されている。ただし、センサ１４が検出対象とする変形の種類は、これとは異なっていてもよい。

　例えば、処理回路２００は、センサ１４によって電子機器１の形状が展開状態より折りたたみ状態に変化したことが検出されたときに、撮像部８をオン（イネーブル）にしてもよい。また、処理回路２００は、センサ１４によって電子機器１の形状が展開状態より折りたたみ状態に変化したことが検出されたときに、撮像部８による画像の撮影動作を開始してもよい。画像の撮影動作を含む撮像部８の制御は、撮像部８または処理回路２００のハードウェアによって行われてもよいし、処理回路２００上で動作するソフトウェアによって行われてもよい。また、画像の撮影動作を含む撮像部８の制御は、前者と後者の組み合わせによって実現されていてもよい。

　それぞれの画素から出力された色信号は、Ａ／Ｄ変換器３１に入力される。Ａ／Ｄ変換器３１は、複数の画素の色信号に基づいてデジタル化したデジタル画素データを生成する。

　クランプ部３２は、黒のレベルを規定する処理を実行する。例えば、クランプ部３２は、デジタル画素データから黒レベルデータを減算する。クランプ部３２から出力されたデータは、カラー出力部３３に入力される。カラー出力部３３は、例えば、デジタル画素データをそれぞれの色情報に分類する。欠陥補正部３４は、例えば、ノイズ成分の除去、信号レベルなどの補正処理を行う。ノイズ成分の例としては、フレア成分または回折光成分が挙げられる。例えば、欠陥補正部３４は、偏光画素について、周囲にある非偏光画素のデジタル画素データを用いて、データを補間することができる。ただし、欠陥補正部３４が実行する補正処理の内容については、限定しない。

　リニアマトリックス部３５は、色情報（例えば、ＲＧＢ）に対する行列演算を行う。これにより、画像の色再現性を高めることが可能となる。リニアマトリックス部３５は、カラーマトリックス部ともよばれる。例えば、シアン画素、イエロー画素またはマゼンタ画素の少なくともいずれかを含む撮像部を使用した場合を想定する。この場合、リニアマトリックス部３５には、シアン、イエローまたはマゼンタの少なくともいずれかの色情報が入力される。リニアマトリックス部３５は、行列演算を行い、シアン、イエローまたはマゼンタの少なくともいずれかの色情報をＲＧＢ（Red/Green/Blue）形式の色情報に変換することができる。

　ガンマ補正部３６は、リニアマトリックス部３５から出力された色情報のガンマ補正を行う。例えば、ガンマ補正部３６は、表示部２の表示特性に応じたガンマ補正を行うことによって、表示部２における撮影画像の視認性を改善する。輝度クロマ信号生成部３７は、ガンマ補正部３６の出力データに基づき、輝度クロマ信号を生成する。輝度クロマ信号は、表示部２での表示に使われる信号である。出力部３８は、画像のデータを表示部２などに転送する。

　センサ１４からの出力信号に応じて、撮影画像に対して行う画像処理の内容を変更してもよい。例えば、電子機器１が折りたたみ状態であるときに撮影された画像に対して、電子機器１が展開状態であるときに撮影された画像と比べて異なる内容の輝度補正を行ってもよい。撮像部８の上方にある表示部２の変形状態に応じて、光の入射角が変化する可能性がある。また、撮像部８への入射光量が変化する可能性もある。特に、撮像部８への斜入射特性が変化する場合には、像高ごとに異なる輝度補正（シェーディング補正）を行ってもよい。

　処理回路２００は、撮影画像より有効画角に相当する領域をクロップする処理（上述の図２）を実行してもよい。この場合、センサ１４からの出力信号に応じて、実行する処理の内容を変更してもよい。例えば、電子機器１が展開状態であるときに、撮像部８による画像の撮影を行うと隣接部品の写り込みが発生する可能性が場合、処理回路２００は、撮影画像より有効画角に相当する領域をクロップし、撮影画像のうち、隣接部品が写り込んだ領域を破棄してもよい。また、電子機器１が折りたたみ状態であるときに、撮像部８による画像の撮影を行うと隣接部品の写り込みが起こらない場合、処理回路２００は、撮影画像の一部をクロップする処理をスキップしてもよい。

　また、処理回路２００は、折りたたみ状態にある電子機器１を任意の軸について回転させながら撮影が行われたときに、ひとつの画像を生成する広角撮影モードの機能を実行してもよい。上述では、電子機器１の回転軸がｚ軸である場合を例に説明したが、回転軸の方向を限定するものではない。広角撮影モードの機能は、ハードウェア回路によって実装されてもよいし、処理回路２００上で実行されるプログラムによって実装されてもよい。また、広角撮影モードの機能は、これらの組み合わせによって実装されていてもよい。

　なお、処理回路２００は、画像の撮影処理に限らず、映像の録画処理を実行してもよい。図９の欠陥補正部３４、リニアマトリックス部３５、ガンマ補正部３６、または輝度クロマ信号生成部３７の少なくとも一部の信号処理を、撮像部８を含む撮像センサ内のロジック回路で実行してもよい。また、これらの信号処理の少なくとも一部を電子機器１内の信号処理回路に実行させてもよい。また、処理回路２００は、露光調整処理、エッジ強調処理など、その他の種類の処理を行ってもよい。

　記憶部４１は、撮像部８で撮影された画像のデータ、撮像部８で撮影された映像のデータ、またはプログラムを保存可能なメモリまたはストレージである。メモリの例としては、ＳＲＡＭ、ＤＲＡＭなどの揮発性メモリ、ＮＡＮＤフラッシュメモリ、ＮＯＲフラッシュメモリなどの不揮発性が挙げられる。ストレージの例としては、ハードディスクまたはＳＳＤが挙げられる。ただし、記憶部４１として使われるメモリまたはストレージの種類については、問わない。例えば、リニアマトリックス部３５は、記憶部４１に保存した複数の画像を使い、画像の合成または補正を行うことができる。ただし、リニアマトリックス部３５以外の構成要素が画像の合成または補正を行ってもよい。

　フラッシュ４２は、撮像部８における撮像動作に連動して被写体に光を照射する光源である。フラッシュ４２として、例えば、白色ＬＥＤを使うことができる。ただし、フラッシュ４２として使われる光源の種類については、問わない。記憶部４１、フラッシュ４２は、任意の構成要素である。したがって、これらの構成要素の少なくともいずれかが省略されていてもよい。

　例えば、本開示による電子機器は、例えば、変形可能に構成された表示部と、表示部の表示面と反対側に配置され、表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている少なくともひとつの第１撮像部とを備えている。ここで、上述のカメラモジュール３は、第１撮像部の一例である。

　上述では、折りたたみ可能な表示部を備える（折りたたみ型の）電子機器の例を説明した。ただし、本開示による電子機器は、これとは異なる態様で変形可能に構成されていてもよい。以下の変形例１で示すように、本開示による電子機器は、凸曲面状に変形可能に構成されていてもよい。

　図１０および図１１の斜視図は、いずれも変形例１による電子機器の例を示している。図１０および図１１に示したように、電子機器１Ａは、上述の電子機器１と同様、表示部２と、カメラモジュール３と、センサ１４とを備える。表示部２は、電子機器１Ａの任意の面（図１０の例では、上面）に配置されている。表示部２は、電子機器１の表示部２と同様、フレキシブルＯＬＥＤなどのフレキシブルディスプレイを含んでいる。また、表示部２は、例えば、ポリイミドまたはガラスシートによって形成された保護層を含んでいてもよい。このように、本開示による電子機器において、表示部の少なくとも一部は、折り曲げ可能であってもよい。

　また、カメラモジュール３は、表示部２を正面視したときに、表示部２の背後となる位置に配置されている。したがって、カメラモジュール３は、表示部２を透過した光によって撮影を行う。図１１に示したように、電子機器１Ａは、断面が逆Ｕ字状（上に凸）になるように折り曲げが可能である。すなわち、表示部は本開示による電子機器において、凸曲面状に折り曲げ可能であってもよい。センサ１４は、電子機器１Ａの筐体内に実装されており、電子機器１Ａの変形を検出する。センサ１４は、例えば、ひずみゲージである。ただし、センサ１４は、その他の種類のセンサであってもよい。センサ１４は、電子機器１Ａが折り曲げられていない状態（図１０の状態）にあるのか、あるいは、電子機器１Ａが折り曲げ状態（図１１の状態）にあるのかを判定可能に構成されている。

　本開示による電気機器の第１撮像部（例えば、カメラモジュール）は、表示部の折り曲げ時に形成される凸曲面の内周側に相当する位置に配置されていてもよい。電子機器１Ａを図１０の状態から図１１の状態（折り曲げ状態）にすることにより、カメラモジュール３（撮像部８）が撮影可能な画角を拡大することができる。ただし、図１１の折り曲げ状態にある電子機器１Ａの構造によっては、図１０の状態への復元力が発生する可能性がある。この場合、ユーザは、電子機器１Ａを図１１の状態に維持するため、手指で電子機器１Ａの両端を内側に抑えつけなくてはならない。ユーザが継続的に拡大された画角で撮影を行いたい場合、これは電子機器１Ａの使用上の制約となりうる。

　そこで、図１２の例のように、電子機器１Ａを治具１７にマウント（装着）して使用してもよい。電子機器１Ａが内部に実装された２次電池によって動作する装置である場合、治具１７は、バッテリー充電器（バッテリー充電機能付きのスタンド）であってもよい。また、治具１７は、電気機器としての機能を有しない構造物であってもよい。治具１７を使うことにより、上述の復元力に関わらず、電子機器１Ａを折り曲げ状態に維持することができる。これにより、ユーザは、治具１７にマウントされた電子機器１Ａを静止状態において撮影を行ったり、治具１７にマウントされた電子機器１Ａを持ち運びながら、所望のシーンの撮影を行ったりすることが可能になる。なお、図１２に示された治具１７の形状は、一例にしかすぎない。したがって、図１２の例とは異なる形状の治具が使われてもよい。図１２のような治具を使うことにより、電子機器１Ａを使って三脚のような安定性がある環境で撮影が可能となる。

　電子機器１Ａのカメラモジュール３の上方またはその近傍には、写り込みによってカメラモジュール３（撮像部８）の画角を狭めたり、所望の波長帯域の光の透過率を低下させたりする部材が配置されている可能性がある。前者の部材の例としては、図１のトランジスタ層７７および配線層７６が挙げられる。また、後者の部材の例としては、円偏光フィルムが挙げられる。そこで、カメラモジュール３（撮像部８）で撮影される画像の画角を広げたり、カメラモジュール３（撮像部８）で撮影される画像の画質を改善したりするために、図１２の例のように、電子機器１Ａが折り曲げ状態になったときに、カメラモジュール３（撮像部８）より光の入射方向側にある少なくとも一部の部材が、カメラモジュール３（撮像部８）の画角外に移動するようにしてもよい。例えば、カメラモジュール３の上方にある部材が円偏光フィルム１８である場合、図１２の例のように、円偏光フィルム１８のカメラモジュール３の上方にある部分に切れ込みを形成し、電子機器１Ａが折り曲げ状態になったときに、円偏光フィルム１８が分離するようにしてもよい。すなわち、本開示による電子機器では、表示部が折り曲げられると第１撮像部（例えば、カメラモジュール）より光の入射方向側にある少なくとも一部の部材が第１撮像部の画角外に移動するように構成されていてもよい。

　電子機器１Ａは、広角撮影モードに対応していてもよい。ユーザは、広角撮影モードの利用時、図１１または図１２の状態で電子機器１Ａをｚ軸について回転させながら撮影を行うことができる。これにより、ユーザは、ｚ軸について１８０度～３６０度の広角の画像を得ることが可能となる。

　カメラモジュール３が表示部２を通過した光によって撮影を行う場合、図１３の例に示したように、表示部２内の光の透過率が比較的低い部材に貫通孔を設け、カメラモジュール３で撮影される画像の画質を改善することができる。

　図１３は、電子機器１Ａの表示部２とカメラモジュール３とを含む部分の模式的な断面図である。図１３の電子機器１内の表示部２は、カメラモジュール３と厚さ方向に重なる部分に複数の貫通孔２ａを有する。これら貫通孔２ａは、表示部２内のタッチセンサ、円偏光板５、表示パネル４などの透過率が低い複数層に設けられている。貫通孔２ａの径サイズは、上側から下側に向かって大きくなっている。すなわち、貫通孔２ａは、テーパ形状となっている。このように、表示部は、第１撮像部と厚さ方向に重なる部分に複数のテーパ状の貫通孔を有していてもよい。

　複数の貫通孔２ａは、テーパ形状であるため、図１３の表示部２が上方向に凸になるように変形した場合（例えば、図１１および図１２の変形）であっても、貫通孔２ａの底部が閉塞することはない。このため、図１３に示した構成を採用することにより、電子機器１Ａが折り曲げ状態にあるときに撮影される画像の画質を改善することができる。

　図１４および図１５の断面図は、電子機器の折り曲げ状態に応じて使用する光学系を切り替え可能なカメラモジュールの例を示している。

　カメラモジュール３Ａは、撮像部８と、台２５と、第１レンズ系２６と、第２レンズ系２７と、摺動機構２４と、ワイヤ１９とを備える。台２５は、撮像部８が検出対象とする波長帯域の電磁波（例えば、可視光）を透過可能な材料で形成された板状の構造物である。台２５の上側には、第１レンズ系２６および第２レンズ系２７が載置されている。第１レンズ系２６および第２レンズ系２７は、台２５の上に固定されていてもよい。

　第１レンズ系２６は、電子機器１Ａが折り曲げられていない状態（図１０の状態）であるときに使われるレンズ系である。一方、第２レンズ系２７は、電子機器１Ａが折り曲げ状態（図１１の状態）にあるときに使われるレンズ系である。第１レンズ系２６および第２レンズ系２７は、入射光を撮像部８で集光させるように構成されている。

　台２５は、下方に設けられた摺動機構２４によって、水平方向（ｘ軸）方向に移動可能である。図１４および図１５の摺動機構２４は、複数のローラーによって形成されている。ただし、これとは異なる構造／方式の摺動機構を使ってもよい。台２５は、ワイヤ１９を介して電子機器１Ａの筐体のフレームに連結されている。電子機器１Ａが折り曲げられていない状態（図１０の状態）では、ワイヤ１９が弛緩しているため、台２５は、右側（ｘ軸正方向側）にあり、撮像部８の上方には、第１レンズ系２６が配置されている（図１４）。一方、電子機器１Ａが折り曲げられた状態（図１１の状態）では、カメラモジュール３Ａと、固定されている電子機器１Ａの筐体のフレームにおけるワイヤ１９の固定点との間の距離が長くなる。このとき、ワイヤ１９が電子機器１Ａの筐体のフレームによって引っ張られるため、台２５は、左側（ｘ軸負方向側）に移動し、撮像部８の上方には、第２レンズ系２７が配置される（図１５）。

　ワイヤ１９として、例えば、金属製のワイヤ、ナイロンライン、フロロカーボンライン、ＰＥラインを使うことができる。ただし、ワイヤ１９の材質を限定するものではない。また、ワイヤ１９として、線状の材料の代わりに、テープ状の材料、チェインなどを使ってもよい。

　図１４および図１５に示した構成のカメラモジュールを使うことにより、電子機器（表示部）を変形させたときと、電子機器（表示部）を変形させていないときで異なるレンズ系を使って画像の撮影を行うことができる。このように、本開示による電子機器の第１撮像部は、表示部の形状に応じて、撮影に使う光学系が切り替え可能に構成されていてもよい。なお、図１４および図１５に示した構成とは異なる構成を使い、電子機器（表示部）の形状に応じて、撮像部における撮影に使う光学系を切り替えられるようにしてもよい。ただし、本開示による電子機器は、必ず電子機器（表示部）の形状に応じて、撮像部における撮影に使う光学系を切り替えられるように構成されていなくてもよい。

　上述の図５および図６では、表示部の変形に関わらず、本来の形状を維持する（顕著な伸縮性および柔軟性を有さない）、カメラモジュール（撮像部）を電子機器に実装した例について説明した。ただし、以下で説明するように、表示部の変形に応じた形状の変化が可能なカメラモジュール（撮像部）を使ってもよい。

　図１６は、折り曲げ可能なカメラモジュールの例を示した断面図である。図１６に示したカメラモジュール３Ｂは、複数の撮像部８ａを備える。複数の撮像部８ａは、支持部材６６の上に実装されている。支持部材６６のうち、少なくとも撮像部８ａ間にある連結部６７は、伸縮性および柔軟性を有する材料によって形成されている。支持部材６６は、図示されていない配線層またはトランジスタ層の少なくともいずれかを含んでいてもよい。複数の撮像部８ａは、配線層またはトランジスタ層の少なくともいずれかを介して、後段の処理回路２００に接続される。

　また、それぞれの撮像部８ａの上方には、レンズ６４が実装される。レンズ６４は、例えば、支持部６５によって、撮像部８ａの上方に支持される。レンズ６４は、入射光を対応する撮像部８ａに集光させる。なお、撮像部８ａの上方に、レンズ６４に代わって、複数のレンズを含む光学系を実装してもよい。カメラモジュール３Ｂは、電子機器の筐体に、板状部材１５ａを介して固定されている。板状部材１５ａは、電子機器（表示部２）の変形に応じて変形可能な材料（伸縮性および柔軟性を有する材料）によって形成されている。

　図１７は、電子機器（表示部２）を折り曲げ状態にしたときにおけるカメラモジュール３Ｂの形状を示している。図１７に示されているように、電子機器（表示部２）の変形に合わせ、支持部材６６の連結部６７が伸び、それぞれの撮像部８ａが異なる方向を向いている。処理回路２００においてそれぞれの撮像部８ａで撮影された画像を合成することによって、ひとつの撮像部で撮影を行ったときと比べて画角の広い画像を得ることができる。このように、本開示による電子機器では、複数の撮像部で撮影された第１画像を合成することによって、第１画像より画角の大きい第２画像を生成してもよい。本開示による電子機器は、伸縮性および柔軟性を有する連結部によって連結された複数の第１撮像部を備えていてもよい。

　図３～図６に示した電子機器１では、カメラモジュール３が表示部２の第２領域２２の反対側に配置されていた。ただし、本開示による電子機器では、カメラモジュール（撮像部）がこれとは異なる領域に配置されていてもよい。

　図１８の斜視図は、変形例２による電子機器の展開状態の例を示している。また、図１９の断面図は、変形例２による電子機器の折りたたみ状態の例を示している。図１８および図１９に示した電子機器１Ｂは、上述の電子機器１と同様、折りたたみ型の電子機器である。ただし、電子機器１Ｂは、カメラモジュールの数と配置が電子機器１と異なっている。電子機器１Ｂでは、表示部２の第１領域２１の反対側にカメラモジュール３Ａが配置されている。また、電子機器１Ｂでは、表示部２の第３領域２３の反対側にカメラモジュール３Ｂが配置されている。すなわち、カメラモジュール３Ａは、表示部２の第１領域２１を通過した光によって撮影を行う。また、カメラモジュール３Ｂは、表示部２の第３領域２３を通過した光によって撮影を行う。

　このように、本開示による電子機器では、第１領域における表示面の反対側と、第３領域における表示面の反対側に、それぞれ第１撮像部（例えば、カメラモジュール）が配置されていてもよい。

　図１９に示したように、電子機器１Ｂを折りたたみ状態にすると、カメラモジュール３Ａと、カメラモジュール３Ｂが互いに反対方向を向く。カメラモジュール３Ａで撮影した画像と、カメラモジュール３Ｂで撮影した画像は、後段の処理回路２００でひとつの画像に合成することが可能である。これにより、ひとつのカメラモジュールを使ったときと比べて画角の広い画像を得ることができる。

　また、電子機器１Ｂは、広角撮影モードに対応していてもよい。ユーザは、広角撮影モードの利用時に、図１９の状態で電子機器１Ｂをｚ軸について回転させながら撮影を行う。これにより、ユーザは、ｚ軸について１８０度～３６０度の広角の画像を撮影することができる。

　このように、本開示による電子機器は、変形可能に構成された表示部と、それぞれが表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている第３撮像部および第４撮像部を備えていてもよい。例えば、上述のカメラモジュール３Ａおよび３Ｂが、第３撮像部および第４撮像部に相当する。ここで、第３撮像部は第３画角で撮像するように構成されている。また、第４撮像部は第４画角で撮像するように構成されている。表示部が第１形状にある場合、第３画角と第４画角は、互いに一部重なってもよい。また、表示部が第２形状にある場合、第３画角と第４画角が互いに重ならなくなっていてもよい。
　電子機器。

　また、本開示による電子機器は、表示部が第２形状にある場合、第３撮像部で得られる画像と、第４撮像部で得られる画像とを合成するように構成された処理回路をさらに備えていてもよい。

　なお、図１８および図１９では、表示部を透過した光によって撮影を行う、複数のカメラモジュールを備えた折りたたみ型の電子機器を説明した。ただし、電子機器は、これとは異なる態様で変形するものであってもよい。例えば、折り曲げ型の電子機器に、表示部を透過した光によって撮影を行う、複数のカメラモジュールを実装してもよい。

　図２０は、変形例３による電子機器で撮影可能な画角の例を示した図である。図２０の電子機器１Ｃは、上述の電子機器１Ａと同様、凸曲面状に折り曲げ可能に構成されている。電子機器１Ｃは、表示部２の表示面の反対側の異なる位置に配置されたカメラモジュール３Ａと、カメラモジュール３Ｂとを備える。図２０のように、電子機器１Ｃを折り曲げ状態にすると、カメラモジュール３Ａと、カメラモジュール３Ｂは、それぞれ異なる方向を向く。カメラモジュール３Ａで撮影された画像と、カメラモジュール３Ｂで撮影された画像は、後段の処理回路２００でひとつに合成することが可能である。このため、電子機器１Ｃを使うと、ひとつのカメラモジュールを使うときと比べ、広い画角の画像を撮影することが可能である。

　図２１は、本開示による電子機器において表示される画像の例を示している。図２１の電子機器１は、折りたたみ状態となっている。そして、電子機器１が表示部２の第２領域２２が上方向を向くように、平面上に設置されている。

　処理回路２００の出力部３８は、電子機器１の表示部２の各領域に表示されるコンテンツを決定することができる。ここで、コンテンツの例としては、画像、グラフィック、テキスト、動画またはこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、処理回路２００の出力部３８は、カメラモジュール３（撮像部８）で画像が撮影されている場合、当該画像または当該画像に基づいて生成されたコンテンツを表示部２に表示することができる。撮影画像に基づいて生成されたコンテンツは、例えば、当該画像の形状、サイズ、色彩、または明るさの少なくともいずれかを補正した画像であってもよいし、複数の画像を組み合わせたものであってもよいし、当該画像に基づいて生成されたグラフィックまたは動画であってもよい。すなわち、本開示による電子機器は、第１撮像部の撮影画像に基づく第１画像を表示部に出力するように構成された処理回路をさらに備えていてもよい。

　また、処理回路２００の出力部３８は、カメラモジュール３（撮像部８）で画像が撮影されている場合、画像の各部分が表示される表示部２の位置および範囲を、画像内の画角に応じて決定することができる。すなわち、この例における処理回路は、第１画像の各部分が表示される表示部の位置および範囲を、撮影画像内の画角に応じて決定するように構成されている。例えば、図２１の例では、電子機器１の表示部２の第１領域２１と対向する位置に被写体２８（例では、子ウサギの形状をした物体）が配置されている。また、電子機器１の表示部２の第３領域２３と対向する位置に被写体２９（例では、子ペンギンの形状をした物体）が配置されている。

　この場合、処理回路２００の出力部３８は、カメラモジュール３（撮像部８）で撮影された画像のうち、被写体２９が写っている部分を表示部２の第３領域２３に表示することができる。同様に、処理回路２００の出力部３８は、カメラモジュール３（撮像部８）で撮影された画像のうち、被写体２８が写っている部分を表示部２の第１領域２１に表示することができる。上述のように、処理回路２００の出力部３８は、画像の該当する部分の形状、サイズ、色彩、明るさを補正し、表示部２の領域への表示を行ってもよい。また、処理回路２００は、表示部２の少なくともいずれかの領域に被写体を表示する際に、当該被写体の一部が画角外にあったり、像が不鮮明であったりする場合には、被写体の少なくとも一部を補完してもよい。また、処理回路２００は、画像中において被写体の一部の欠落が発生した場合、被写体を拡大して表示し、欠落部分およびその近傍が表示部２に表示されないようにしてもよい。

　図２１に示した処理を行うことにより、電子機器１の表示部２には、周囲の光景または物体が鮮明かつ見やすい状態で表示される。このため、ユーザは、電子機器１を写し鏡のように利用することができる。なお、電子機器１は、時間の経過に応じて表示部２の各領域に表示される被写体または、画像に対して行われる処理の内容を変更してもよい。これにより、電子機器１をｚ軸について回転させながら、または電子機器１を移動させながら撮影を行っている場合、電子機器１の表示部２の各領域に表示されるコンテンツをリアルタイムに更新することができる。

　なお、図２１に示した処理を行うことをできるのは、折りたたみ型の電子機器１に限らない。例えば、折り曲げ型の電子機器１Ａ（図１１および図１２）が図２１の処理を実行してもよい。

　図２２は、本開示による電子機器における被写体の選択操作の例を示している。図２２の電子機器１も折りたたみ状態となっており、電子機器１が表示部２の第２領域２２が上方向を向くように、平面上に設置されている。図２２の電子機器１の表示部２の第３領域２３には、カメラモジュール３（撮像部８）が撮影した画像のうち、一部の画角が表示されている。具体的には、カメラモジュール３（撮像部８）が撮影可能な画角のうち、表示部２の第３領域２３と対向する範囲を含む部分が、表示部２の第３領域２３に表示されている。

　図２２の表示部２の第３領域２３には、カメラモジュール３（撮像部８）の被写体である、ドア、床、壁、および子どもの顔が表示されている。このように、電子機器１は、広い画角内にある複数の被写体を表示部２に表示することが可能である。本開示による電子機器は、撮像部で撮影された複数の被写体のうち、少なくともいずれかの被写体に対し、選択的な動作を行ってもよい。例えば、処理回路２００は、画像認識を行い、撮影画像または録画映像における被写体の検出を行うように構成されていてもよい。このとき、撮影画像または録画映像における被写体の検出は、顔認識であってもよい。一般に、カメラモジュール３（撮像部８）の撮影可能な画角が広くなるほど、検出可能な被写体の数は増加する。

　本開示による電子機器の表示部は、タッチパネルを含んでいてもよい。また、処理回路は、撮像部による撮影画像に含まれる少なくともいずれかの被写体を検出するように構成されていてもよい。

　例えば、図２２の状態で、電子機器１は、カメラモジュール３（撮像部８）を使って第１映像の録画を行っているものとする。このとき、電子機器１が録画する第１映像は、正距円筒図法による１８０度～３６０度の画角の映像であってもよい。ただし、第１映像の種類および画角を限定するものではない。図２２では、ユーザが表示部２に表示された複数の被写体のうち、子どもの顔が表示されている領域をタップしている。このとき、処理回路２００は、ユーザが録画対象の被写体として子どもの顔を選択したことを検出する。そして、処理回路２００は、子どもの顔のある領域７０を含む、カメラモジュール３（撮像部８）の一部の画角をクロップした第２映像の録画を開始する（録画被写体の選択）。映像の録画の代わりに、複数の画像の連続撮影（連写）が行われる場合の処理も、上述と同様である。

　このように、電子機器１は、並行してふたつの映像の録画を行ってもよい。なお、電子機器１が第１映像の録画を行っていないタイミングで、第２映像の録画を開始してもよい。また、処理回路２００は、ユーザによって選択された被写体を追跡して録画するように構成されていてもよい。この場合、図２３に示したように、電子機器１は、被写体の位置している相対的な方向の変化にしたがい、時間の経過とともに異なる方向にある画角の撮影または録画を行ってもよい。これにより、例えば、遊びながら移動する子どもの撮影または録画を行うことが可能になる。さらに、各種の移動体または動物の追跡的な撮影または録画も可能となる。一般に、カメラモジュール３（撮像部８）の撮影可能な画角が広いほど、被写体の追跡ができる期間も長くなる。

　このように、本開示による電子機器の処理回路は、表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、当該領域を含む、第１撮像部の一部の画角をクロップした第１映像の録画を開始するように構成されていてもよい。また、処理回路は、第１映像の録画と並行して、第１映像よりも画角の大きい第２映像の録画を行うように構成されていてもよい。

　上述では、カメラモジュール３（撮像部８）の画角内にある特定の被写体を選択的に撮影する動作の例について説明した。ただし、本開示による電子機器は、カメラモジュール３（撮像部８）の画角内にある特定の被写体を選択的に表示部に表示してもよい。

　例えば、図２２の例のように、ユーザが表示部２に表示された複数の被写体のうち、子どもの顔が表示されている領域をタップした場合、処理回路２００は、ユーザが表示対象の被写体として子どもの顔を選択したことを検出する。そして、処理回路２００は、子どもの顔のある領域７０を含む、カメラモジュール３（撮像部８）の一部の画角をクロップした画像を表示部２の少なくともいずれかの部分に表示する（表示被写体の選択）。ユーザは、電子機器１が、カメラモジュール３（撮像部８）を使って第１映像の録画を行っているタイミングで、上述の表示被写体の選択操作を行ってもよい。これにより、電子機器１が広角の第１映像を録画している期間に、カメラモジュール３（撮像部８）の一部の画角をクロップした画像を表示部２の少なくともいずれかの部分に表示させることができる。

　このように、本開示による電子機器の処理回路は、表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、当該領域を含む、第１撮像部の一部の画角をクロップした第２画像を表示部の少なくともいずれかの部分に出力するように構成されていてもよい。

　図２３に示したように、表示被写体の選択操作が行われる場合にも、電子機器１は、被写体の位置している相対的な方向の変化にしたがい、時間の経過とともに異なる方向にある画角の撮影を行い、撮影画像を表示部２の少なくともいずれかの領域に表示させることができる。これにより、例えば、遊びながら移動する子どもの様子を継続的に表示部２に表示することが可能になる。さらに、各種の移動体または動物を追跡的に撮影した画像を表示部２に表示することができる。こうして、ユーザは、表示部２に表示された被写体の様子を継続的に観察／鑑賞することができる。例えば、図２３に示したように、ユーザは、被写体である子どもの表情の変化を楽しむことができる。

　なお、本開示による電子機器は、上述の録画被写体の選択処理と、表示被写体の選択処理とを並列的に実行してもよい。この場合、電子機器１は、被写体の位置している相対的な方向の変化にしたがい、時間の経過とともに異なる方向にある画角の録画を行い、さらに、リアルタイムで録画した映像を表示部２の少なくとも一部の領域に表示する。

　図２２および図２３の例では、折りたたみ型の電子機器１を使って録画被写体の選択が行われる場合と、表示被写体の選択が行われる場合について説明した。ただし、折りたたみ型以外のタイプの電子機器が使われてもよい。例えば、折り曲げ形の電子機器１Ａ（図１１および図１２）を使って、録画被写体の選択または表示被写体の選択の少なくともいずれかを行ってもよい。

　図２４は、変形例４による電子機器の例を示した断面図である。図２４の電子機器１Ｄは、図１０～図１３に示した電子機器１Ａの表示部２と反対側の面にカメラモジュール７９を実装したものに相当する。カメラモジュール７９内の撮像部は、例えば、上述の処理回路２００に接続されている。カメラモジュール７９は、表示部２と反対側の面にあるため、リアカメラともよばれる。このように、本開示による電子機器は、表示部と反対側の面に配置された第２撮像部をさらに備えていてもよい。

　電子機器１Ａのカメラモジュール７９を使うことにより、カメラモジュール３による撮影が困難である、表示部２の表示面と反対方向にある被写体の撮影を行うことが可能となる。処理回路２００は、カメラモジュール７９を使って撮影された画像を使って、カメラモジュール３で撮影された画像の欠損部分または画質の低下部分を補完してもよい。また、処理回路２００は、カメラモジュール７９を使って撮影された画像と、カメラモジュール３で撮影された画像とを合成し、ひとつの画像を生成してもよい。

　上述のように、本開示による電子機器を使うと、コンパクトな筐体で広い画角の撮影を実現することが可能となる。これにより、高価で専門的な機材を使うことなしに、迫力のある画像の撮影、または大きいサイズの被写体全体を収めた画像の撮影が可能となり、市場のニーズに応えることができる。また、本開示による電子機器では、筐体を大型化させたり、筐体に突出部を形成させたりすることなしに、魚眼レンズ付きのカメラまたは広角レンズ付きのカメラを実装することが可能である。

　また、本開示による電子機器では、撮像部が表示部の表示面の反対側に実装されているため、ベゼルの幅を狭くしたり、ベゼルレス化を行ったりすることができる。このため、電子機器で大画面の表示部を利用することが可能となり、ユーザは、高解像度の迫力ある画像を楽しむことができる。本開示による電子機器では、表示部の変形に伴って、撮像部で撮影可能な画角を拡大することが可能である。このため、撮像部が筐体内部に実装されていても、表示部および／または筐体の変形に伴って隣接部品が移動するため、撮影時における隣接部品の写り込みを防ぐことができる。

　また、本開示による電子機器では、広い画角を利用して同時に複数の被写体の撮影を行ったり、特定の被写体の画像を表示部に写しだしたりすることが可能である。このように、本開示による電子機器を使うと、ユーザに多様な体験を提供することが可能になる。

　上述の構成を備えた電子機器の具体的な候補としては、種々のものが考えられる。例えば、図２５は本開示による電子機器をカプセル内視鏡５０に適用した場合の平面図である。図２５のカプセル内視鏡５０は、例えば両端面が半球状で中央部が円筒状の筐体５１内に、体腔内の画像を撮影するためのカメラ（超小型カメラ）５２、カメラ５２により撮影された画像データを記録するためのメモリ５３、および、カプセル内視鏡５０が被験者の体外に排出された後に、記録された画像データを、アンテナ５４を介して外部へ送信するための無線送信機５５を備えている。

　また、筐体５１内には、ＣＰＵ（Central　Processing　Unit）５６およびコイル（磁力・電流変換コイル）５７が設けられている。ＣＰＵ５６は、カメラ５２による撮影、およびメモリ５３へのデータ蓄積動作を制御するとともに、メモリ５３から無線送信機５５による筐体５１外のデータ受信装置（図示せず）へのデータ送信を制御する。コイル５７は、カメラ５２、メモリ５３、無線送信機５５、アンテナ５４および後述する光源５２ｂへの電力供給を行う。

　さらに、筐体５１には、カプセル内視鏡５０をデータ受信装置にセットした際に、これを検知するための磁気（リード）スイッチ５８が設けられている。ＣＰＵ５６は、このリードスイッチ５８がデータ受信装置へのセットを検知し、データの送信が可能になった時点で、コイル５７からの無線送信機５５への電力供給を行う。

　カメラ５２は、例えば体腔内の画像を撮影するための対物光学系９を含む撮像素子５２ａ、体腔内を照明する複数の光源５２ｂを有している。具体的には、カメラ５２は、光源５２ｂとして、例えばLED（Light　Emitting　Diode）を備えたCMOS（Complementary　Metal　Oxide　Semiconductor）センサやCCD（Charge　Coupled　Device）などによって構成される。

　本開示による電子機器における表示部２は、図２５の光源５２ｂのような発光体を含む概念である。図２５のカプセル内視鏡５０では、例えば２個の光源５２ｂを有するが、これらの光源５２ｂを、複数の光源部を有する表示パネル４や、複数のＬＥＤを有するＬＥＤモジュールで構成可能である。この場合、表示パネル４やＬＥＤモジュールの下方にカメラ５２の撮像部８を配置することで、カメラ５２のレイアウト配置に関する制約が少なくなり、より小型のカプセル内視鏡５０を実現できる。

　また、図２６は本開示による電子機器をデジタル一眼レフカメラ６０に適用した場合の背面図である。デジタル一眼レフカメラ６０やコンパクトカメラは、レンズとは反対側の背面に、プレビュー画面を表示する表示部２を備えている。この表示部２の表示面とは反対側にカメラモジュール３を配置して、撮影者の顔画像を表示部２の表示画面１ａに表示できるようにしてもよい。本開示による電子機器では、表示部２と重なる領域にカメラモジュール３を配置できるため、カメラモジュール３を表示部２の額縁部分に設けなくて済み、表示部２のサイズを可能な限り大型化することができる。

　図２７は本開示による電子機器をヘッドマウントディスプレイ（以下、ＨＭＤ）６１に適用した例を示す平面図である。図２７のＨＭＤ６１は、ＶＲ（Virtual Reality）、ＡＲ（Augmented Reality）、ＭＲ（Mixed Reality）、又はＳＲ（Substituional Reality）等に利用されるものである。現状のＨＭＤは、図２８に示すように、外表面にカメラ６２を搭載しており、ＨＭＤの装着者は、周囲の画像を視認することができる一方で、周囲の人間には、ＨＭＤの装着者の目や顔の表情がわからないという問題がある。

　そこで、図２７では、ＨＭＤ６１の外表面に表示部２の表示面を設けるとともに、表示部２の表示面の反対側にカメラモジュール３を設ける。これにより、カメラモジュール３で撮影した装着者の顔の表情を表示部２の表示面に表示させることができ、装着者の周囲の人間が装着者の顔の表情や目の動きをリアルタイムに把握することができる。

　図２７の場合、表示部２の裏面側にカメラモジュール３を設けるため、カメラモジュール３の設置場所についての制約がなくなり、ＨＭＤ６１のデザインの自由度を高めることができる。また、カメラを最適な位置に配置できるため、表示面に表示される装着者の目線が合わない等の不具合を防止できる。

　このように、本開示による電子機器を種々の用途に用いることが可能であり、機器の利用価値を高めることができる。

　なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
（１）
　変形可能に構成された表示部と、
　前記表示部の表示面と反対側に配置され、前記表示部を透過して入射した光を光電変換するように構成されている少なくともひとつの第１撮像部と、
　を備える電子機器。
（２）
　前記表示部は、折りたたみ可能である、
　（１）に記載の電子機器。
（３）
　前記表示部は、第１領域と、第２領域と、第３領域とを含み、
　前記表示部の前記第１領域と前記第２領域との間、ならびに前記表示部の前記第２領域と前記第３領域との間は、山折り可能である、
　（２）に記載の電子機器。
（４）
　前記第１撮像部は、前記第２領域における前記表示面の反対側に配置されている、
　（３）に記載の電子機器。
（５）
　前記表示部の前記第１領域における前記表示面の反対側と、前記第３領域における前記表示面の反対側に、それぞれ前記第１撮像部が配置されている、
　（３）に記載の電子機器。
（６）
　前記表示部の少なくとも一部は、折り曲げ可能である、
　（１）に記載の電子機器。
（７）
　前記第１撮像部は、前記表示部の折り曲げ時に形成される凸曲面の内周側に相当する位置に配置される、
　（６）に記載の電子機器。
（８）
　前記表示部が折り曲げられると前記第１撮像部より光の入射方向側にある少なくとも一部の部材が前記第１撮像部の画角外に移動するように構成されている、
　（６）または（７）に記載の電子機器。
（９）
　前記表示部と反対側の面に配置された第２撮像部をさらに備える、
　（１）ないし（８）のいずれか一項に記載の電子機器。
（１０）
　前記第１撮像部は、前記表示部の形状に応じて、撮影に使う光学系が切り替え可能である、
　（１）ないし（９）のいずれか一項に記載の電子機器。
（１１）
　前記第１撮像部の撮影画像に基づく第１画像を前記表示部に出力するように構成された処理回路をさらに備える、
　（１）ないし（１０）のいずれか一項に記載の電子機器。
（１２）
　前記処理回路は、前記第１画像の各部分が表示される表示部の位置および範囲を、前記撮影画像内の画角に応じて決定するように構成されている、
　（１１）に記載の電子機器。
（１３）
　前記表示部は、タッチパネルを含み、
　前記処理回路は、前記撮影画像に含まれる少なくともいずれかの被写体を検出するように構成されている、
　（１１）または（１２）に記載の電子機器。
（１４）
　前記処理回路は、前記表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、前記領域を含む、前記第１撮像部の一部の画角をクロップした第２画像を前記表示部の少なくともいずれかの部分に出力するように構成されている、
　（１３）に記載の電子機器。
（１５）
　前記処理回路は、前記表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、前記領域を含む、前記第１撮像部の一部の画角をクロップした第１映像の録画を開始するように構成されている、
　（１３）に記載の電子機器。
（１６）
　前記処理回路は、前記第１映像の録画と並行して、前記第１映像よりも画角の大きい第２映像の録画を行うように構成されている、
　（１５）に記載の電子機器。
（１７）
　変形可能に構成された表示部と、
　前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成された撮像部を備え、
　前記撮像部は、前記表示部が第１形状にある場合、第１画角で撮像し、前記表示部が第２形状にある場合、前記第１画角より広い第２画角で撮像するように構成されている、
　電子機器。
（１８）
　前記第１形状は、展開状態であり、前記第２形状は、折りたたみ状態である、
　（１７）に記載の電子機器。
（１９）
　変形可能に構成された表示部と、
　それぞれが前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている第３撮像部および第４撮像部を備え、
　前記第３撮像部は第３画角で撮像するように構成され、
　前記第４撮像部は第４画角で撮像するように構成され、
　前記表示部が第１形状にある場合、前記第３画角と前記第４画角が互いに一部重なり、
　前記表示部が第２形状にある場合、前記第３画角と前記第４画角が互いに重ならない、
　電子機器。
（２０）
　前記表示部が第２形状にある場合、前記第３撮像部で得られる画像と、前記第４撮像部で得られる画像とを合成するように構成された処理回路をさらに備える、
　（１９）に記載の電子機器。
（２１）
　前記表示部の折りたたみ時に、前記表示部の前記第１領域と前記表示部の前記第２領域は、反対の方向を向く、
　（３）ないし（５）のいずれか一項に記載の電子機器。
（２２）
　前記表示部は、凸曲面状に折り曲げ可能である、
　（６）に記載の電子機器。
（２３）
　前記表示部は、前記第１撮像部と厚さ方向に重なる部分に複数のテーパ状の貫通孔を有する、
　（１）ないし（１６）のいずれか一項に記載の電子機器。
（２４）
　伸縮性および柔軟性を有する連結部によって連結された複数の前記第１撮像部を備えている、
　（１）ないし（１６）のいずれか一項に記載の電子機器。

　本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。

　１、１Ａ、１Ｂ　電子機器
　２　表示部
　３、３Ａ、３Ｂ、７９　カメラモジュール
　４　表示パネル
　７　保護層
　８　撮像部
　１０　折りたたみ機構
　１４　センサ
　１７　治具
　２１　第１領域
　２２　第２領域
　２３　第３領域
　４１　記憶部
　２００　処理回路

Claims

　変形可能に構成された表示部と、
　前記表示部の表示面と反対側に配置され、前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている少なくともひとつの第１撮像部と、
　を備える電子機器。
　前記表示部は、折りたたみ可能である、
　請求項１に記載の電子機器。
　前記表示部は、第１領域と、第２領域と、第３領域とを含み、
　前記表示部の前記第１領域と前記第２領域との間、ならびに前記表示部の前記第２領域と前記第３領域との間は、山折り可能である、
　請求項２に記載の電子機器。
　前記第１撮像部は、前記第２領域における前記表示面の反対側に配置されている、
　請求項３に記載の電子機器。
　前記表示部の前記第１領域における前記表示面の反対側と、前記第３領域における前記表示面の反対側に、それぞれ前記第１撮像部が配置されている、
　請求項３に記載の電子機器。
　前記表示部の少なくとも一部は、折り曲げ可能である、
　請求項１に記載の電子機器。
　前記第１撮像部は、前記表示部の折り曲げ時に形成される凸曲面の内周側に相当する位置に配置される、
　請求項６に記載の電子機器。
　前記表示部が折り曲げられると前記第１撮像部より光の入射方向側にある少なくとも一部の部材が前記第１撮像部の画角外に移動するように構成されている、
　請求項６に記載の電子機器。
　前記表示部と反対側の面に配置された第２撮像部をさらに備える、
　請求項１に記載の電子機器。
　前記第１撮像部は、前記表示部の形状に応じて、撮影に使う光学系が切り替え可能である、
　請求項１に記載の電子機器。
　前記第１撮像部の撮影画像に基づく第１画像を前記表示部に出力するように構成された処理回路をさらに備える、
　請求項１に記載の電子機器。
　前記処理回路は、前記第１画像の各部分が表示される表示部の位置および範囲を、前記撮影画像内の画角に応じて決定するように構成されている、
　請求項１１に記載の電子機器。
　前記表示部は、タッチパネルを含み、
　前記処理回路は、前記撮影画像に含まれる少なくともいずれかの被写体を検出するように構成されている、
　請求項１１に記載の電子機器。
　前記処理回路は、前記表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、前記領域を含む、前記第１撮像部の一部の画角をクロップした第２画像を前記表示部の少なくともいずれかの部分に出力するように構成されている、
　請求項１３に記載の電子機器。
　前記処理回路は、前記表示部で被写体が表示されている領域がタッチされたことを検出し、前記領域を含む、前記第１撮像部の一部の画角をクロップした第１映像の録画を開始するように構成されている、
　請求項１３に記載の電子機器。
　前記処理回路は、前記第１映像の録画と並行して、前記第１映像よりも画角の大きい第２映像の録画を行うように構成されている、
　請求項１５に記載の電子機器。
　変形可能に構成された表示部と、
　前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成された撮像部を備え、
　前記撮像部は、前記表示部が第１形状にある場合、第１画角で撮像し、前記表示部が第２形状にある場合、前記第１画角より広い第２画角で撮像するように構成されている、
　電子機器。
　前記第１形状は、展開状態であり、前記第２形状は、折りたたみ状態である、
　請求項１７に記載の電子機器。
　変形可能に構成された表示部と、
　それぞれが前記表示部を透過して入射した光を撮像するように構成されている第３撮像部および第４撮像部を備え、
　前記第３撮像部は第３画角で撮像するように構成され、
　前記第４撮像部は第４画角で撮像するように構成され、
　前記表示部が第１形状にある場合、前記第３画角と前記第４画角が互いに一部重なり、
　前記表示部が第２形状にある場合、前記第３画角と前記第４画角が互いに重ならない、
　電子機器。
　前記表示部が第２形状にある場合、前記第３撮像部で得られる画像と、前記第４撮像部で得られる画像とを合成するように構成された処理回路をさらに備える、
　請求項１９に記載の電子機器。