WO2021024807A1 - 空間提案システム、及び、空間提案方法 - Google Patents

Abstract

空間提案システム（１００）は、設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得する第一取得部（２２）と、空間設計データに基づいて、設計上の空間における環境情報の空間分布を算出する算出部（２３）と、算出された空間分布に基づいて、設計上の空間内の環境が、実空間の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する判定部（２４）とを備える。

Description

空間提案システム、及び、空間提案方法

　本発明は、空間提案システム、及び、空間提案方法に関する。

　従来、住宅などの建築物の評価に関する技術が提案されている。特許文献１には、住宅設備等を診断して得た測定データを予め定めた基準により解析して複数の段階に分類し、その分類した内容を所定の様式に整理して出力する住宅解析診断システムが開示されている。

特開２００２－３１７５６０号公報

　本発明は、所定の基準に適合する空間の設計を支援することができる、空間提案システム、及び、空間提案方法を提供する。

　本発明の一態様に係る空間提案システムは、設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得する第一取得部と、前記空間設計データに基づいて、前記設計上の空間における環境情報の空間分布を算出する算出部と、算出された前記空間分布に基づいて、前記設計上の空間内の環境が、実空間の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する判定部とを備える。

　本発明の一態様に係る空間提案方法は、設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得し、前記空間設計データに基づいて、前記設計上の空間における環境情報の空間分布を算出し、算出された前記空間分布に基づいて、前記設計上の空間内の環境が、実空間の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する。

　本発明の一態様に係る空間提案システム及び空間提案方法は、所定の基準に適合する空間の設計を支援することができる。

図１は、実施の形態１に係る空間提案システムの機能構成を示すブロック図である。 図２は、実施の形態１に係る空間提案システムの動作のフローチャートである。 図３は、設計上の空間内の環境が、ＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすことを示す表示画面の一例を示す図である。 図４は、空調機器の配置変更案の表示画面の一例を示す図である。 図５は、設計変更のアドバイスの表示画面の一例を示す図である。 図６は、実施の形態２に係る空間提案システムの機能構成を示すブロック図である。 図７は、実施の形態２に係る空間提案システムの動作のフローチャートである。 図８は、制御パラメータの表示画面の一例を示す図である。

　以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。

　なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。

　（実施の形態１）
　［構成］
　まず、実施の形態１に係る空間提案システムの構成について説明する。図１は、実施の形態１に係る空間提案システムの機能構成を示すブロック図である。

　実施の形態１に係る空間提案システム１００は、設計上の空間が、ＷＥＬＬ　Ｂｕｉｌｄｉｎｇ　Ｓｔａｎｄａｒｄ（登録商標。以下、ＷＥＬＬ認証と記載される。）の評価項目の判定基準を満たすか否かを判定するシステムである。ＷＥＬＬ認証は、空間の設計に際し、温度、湿度、空気質などの物理的な環境に人間の健康という視点をさらに加えて、よりよい住環境の構築を目指す認証プログラムである。ＷＥＬＬ認証の評価項目には、例えば、空気に関する項目、光に関する項目、または、快適性に関する項目などが含まれる。空間提案システム１００は、データベース１０と、サーバ装置２０と、情報端末３０とを備える。サーバ装置２０は、空間設計データ生成部２１と、第一取得部２２と、算出部２３と、判定部２４と、提示部２５とを備える。これらの構成要素のそれぞれは、サーバ装置２０が備えるマイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。

　［動作］
　次に、空間提案システム１００の動作について説明する。図２は、空間提案システム１００の動作のフローチャートである。

　空間設計データ生成部２１は、データベース１０によって提供されるＢＩＭ（Ｂｕｉｌｄｉｎｇ　Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ　Ｍｏｄｅｌｉｎｇ）データ１１及び設備データ１２に基づいて設計上の空間の状態を示す空間設計データを生成する（Ｓ１１）。データベース１０は、例えば、サーバ装置２０以外の他のサーバ装置によって備えられるが、サーバ装置２０によって備えられてもよい。

　ＢＩＭデータ１１には、空間を構成する建築物の形状および寸法（つまり、間取り）を示すデータであり、具体的には、３次元ＣＡＤ（Ｃｏｍｐｕｔｅｒ　Ａｉｄｅｄ　Ｄｅｓｉｇｎ）データなどである。ＢＩＭデータ１１には、建築物を構成する部材（材料）に関するデータなど建築物に関連する複数種類のデータが統合されている。また、ＢＩＭデータ１１は、建築物の内部あるいは外部の環境について、様々な条件に応じたシミュレーションを可能にするデータを含む場合もある。

　設備データ１２は、空間に配置される設備の仕様などを示すデータである。設備の仕様とは、設備の型番、形状及び大きさ、最大出力、電源仕様などである。ここでの設備は、空間の環境を調整する設備を意味する。設備は、具体的には、空間内の温度及び湿度を調整する空調機器、空間内の気流を調整する換気機器、空間内の粒子状物質の濃度を調整する空気清浄機、または、空間内の明るさ（光環境）を調整する照明機器などである。

　空間設計データ生成部２１は、例えば、ＢＩＭデータ１１によって定まる建築物に、設備データ１２が示す設備を配置することにより、設計上の空間の３次元モデルを空間設計データとして生成する。空間設計データ生成部２１は、例えば、情報端末３０が備えるユーザインタフェース装置などを介した設計者の操作に基づいて、空間設計データを生成する。

　次に、第一取得部２２は、空間設計データを取得する（Ｓ１２）。なお、空間設計データがサーバ装置２０内で生成されることは必須ではなく、第一取得部２２は、サーバ装置２０以外の他のサーバ装置などから空間設計データを直接取得してもよい。

　次に、算出部２３は、第一取得部２２によって取得された空間設計データに基づいて、設計上の空間における環境情報の第一空間分布（つまり、３次元分布）を算出する（Ｓ１３）。算出部２３は、既存の解析アルゴリズムを用いて空間分布を算出することができる。空間分布の算出に使用される解析アルゴリズムについては特に限定されない。

　算出部２３は、例えば、設計上の空間内のＰＭＶ（Ｐｒｅｄｉｃｔｅｄ　Ｍｅａｎ　Ｖｏｔｅ）の空間分布を算出する。ＰＭＶは、空間の快適性を示す指標であり、空間の環境を示す環境情報である。ＰＭＶは、温度、放射温度、湿度、及び、気流（風速）などを用いて算出することができる指標である。なお、ＰＭＶを算出する際に、在室者の着衣量、及び、作業量が必要となるが、在室者の着衣量の値、及び、作業量の値としては、例えば、標準的な値が使用されてもよいし、限度値が使用されてもよい。

　なお、算出部２３は、ＰＭＶ以外の環境情報の空間分布を算出してもよい。その他の環境情報としては、温度、湿度、気流（風速）、ＣＯ_２濃度、粒子状物質（ＰＭ２．５またはＰＭ１０など）の濃度、及び、ＶＯＣ（Ｖｏｌａｔｉｌｅ　Ｏｒｇａｎｉｃ　Ｃｏｍｐｏｕｎｄｓ）濃度などが例示される。つまり、算出部２３は、これらの環境情報の空間分布を算出してもよい。

　また、空間分布の算出に際しては、空間外（つまり、屋外）の環境情報の初期値、空間内（つまり、室内）の環境情報の初期値、及び、設備の制御パラメータ（設備のどのような動作状態か）などが解析条件として与えられる。解析条件は、例えば、情報端末３０が備えるユーザインタフェース装置などを介した設計者の操作によって与えられる。ここでの空間分布は、空調機器などの設備が動作している状態を想定した空間分布であるが、設備が動作していない状態を想定した空間分布であってもよい。

　次に、判定部２４は、算出部２３によって算出された空間分布に基づいて、設計上の空間内の環境が、ＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすか否かを判定する（Ｓ１４）。ＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準は、言い換えれば、実空間の環境認証に使用される判定基準である。例えば、ＷＥＬＬ認証の評価項目「快適性」では、空間内の９５％以上の領域で、ＰＭＶの値が±０．５の範囲内であることが１つの判定基準となる。そこで、判定部２４は、算出部２３によって算出されたＰＭＶの空間分布がこの判定基準を満たすか否かを判定する。

　判定部２４によって設計上の空間内の環境がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすと判定されると（Ｓ１４でＹｅｓ）、提示部２５はその旨を提示する（Ｓ１５）。提示部２５は、具体的には、設計上の空間内の環境がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすことを示す情報を出力する。出力された判定結果情報は、例えば、インターネットなどの広域通信ネットワークを介して情報端末３０に送信され、情報端末３０は、判定結果を表示画面に表示する。図３は、設計上の空間内の環境が、ＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすことを示す表示画面の一例を示す図である。

　一方、判定部２４によって設計上の空間内の環境がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たさないと判定されると（Ｓ１４でＮｏ）、算出部２３及び判定部２４は、あらかじめ定められた設計変更の許容範囲内で、設計上の空間の最適化を行う（Ｓ１６）。最適化において、算出部２３及び判定部２４は、設計上のパラメータ変更を行い、変更後の設計上の空間における環境情報の空間分布の算出と、算出された空間分布が判定基準を満たすか否かの判定とを繰り返すことにより、設計の最適化を試みる。設計上のパラメータは、例えば、空調機器の配置であり、算出部２３及び判定部２４は、例えば、空調機器の配置の最適化を行う。なお、設計上のパラメータは特に限定されない。また、このような最適化の方法は一例であり、最適化においては既存のどのようなアルゴリズムが用いられてもよい。

　その後、判定部２４は、最適化された設計上の空間内の環境がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすか否かを判定する（Ｓ１７）。判定部２４によって最適化された設計上の空間内の環境がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすと判定すると（Ｓ１７でＹｅｓ）、提示部２５は、設計の最適解を提示する（Ｓ１８）。提示部２５は、具体的には、空調機器の最適な配置を示す第一提示情報を出力する。出力された第一提示情報は、例えば、広域通信ネットワークを介して情報端末３０に送信され、情報端末３０は、第一提示情報に基づいて、空調機器の配置変更案を表示画面に表示する。図４は、空調機器の配置変更案の表示画面の一例を示す図である。このように、提示部２５は、例えば、設計変更の最適解を、空間設計データの修正案として提示する。

　一方、判定部２４によって最適化された設計上の空間内の環境がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たさないと判定すると（Ｓ１７でＮｏ）、提示部２５は、設計変更の指針を提示する（Ｓ１９）。言い換えれば、提示部２５は、あらかじめ定められた許容範囲内の変更では判定基準を満たすことができないことを提示する。

　提示部２５は、具体的には、現行の空調機器の別の空調機器への入れ替え、または、空調機器の追加などが必要であることを示す第二提示情報を出力する。出力された第二提示情報は、例えば、広域通信ネットワークを介して情報端末３０に送信され、情報端末３０は、第二提示情報に基づいて、空調機器の入れ替え等の案（アドバイス）を表示画面に表示する。図５は、設計変更のアドバイスの表示画面の一例を示す図である。このように、提示部２５は、例えば、設計変更の指針を、空間設計データの修正案として提示する。

　［効果等］
　以上説明したように、空間提案システム１００は、設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得する第一取得部２２と、空間設計データに基づいて、設計上の空間における環境情報の空間分布を算出する算出部２３と、算出された空間分布に基づいて、設計上の空間内の環境が、実空間の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する判定部２４とを備える。

　このような空間提案システム１００は、所定の基準（例えば、環境認証に使用される判定基準などの実空間に対して定められる基準）に適合する空間の設計を支援することができる。

　また、例えば、空間提案システム１００は、さらに、判定部２４によって設計上の空間内の環境が判定基準を満たさないと判定された場合に空間設計データの修正案を提示する提示部２５を備える。

　このような空間提案システム１００は、空間設計データの修正案を提示することで、所定の基準に適合する空間の設計を支援することができる。

　また、例えば、空間設計データには、設計上の空間に配置される、環境を調整するための設備に関する設備データが含まれる。提示部２５は、設計上の空間における設備の配置変更を、空間設計データの修正案として提示する。

　このような空間提案システム１００は、設備の配置変更を提示することで、環境認証に適合する空間の設計を支援することができる。

　また、例えば、空間設計データには、設計上の空間に配置される、環境を調整するための設備に関する設備データが含まれる。提示部２５は、設計上の空間における設備の他の設備への入れ替え、または、設計上の空間における設備の追加を、空間設計データの修正案として提示する。

　このような空間提案システム１００は、設備への入れ替え、または、設備の追加を提示することで、環境認証に適合する空間の設計を支援することができる。

　また、空間提案システム１００などのコンピュータが実行する空間提案方法は、設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得し、空間設計データに基づいて、設計上の空間における環境情報の空間分布を算出し、算出された空間分布に基づいて、設計上の空間内の環境が、実空間の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する。

　このような空間提案方法は、所定の基準に適合する空間の設計を支援することができる。

　（実施の形態２）
　［構成］
　次に、実施の形態２に係る空間提案システムの構成について説明する。図６は、実施の形態２に係る空間提案システムの機能構成を示すブロック図である。

　実施の形態２に係る空間提案システム１００ａは、ＷＥＬＬ認証の判定基準を満たすと判定された設計上の空間の空間設計データである適合空間設計データに基づいて、実際に構築（建築）された建築物内の空間（以下、実空間４０と記載される）における、設備の制御方法を提案するシステムである。空間提案システム１００ａは、データベース１０と、サーバ装置２０ａと、情報端末３０と、原因分析データベース５０とを備える。

　サーバ装置２０ａは、空間設計データ生成部２１と、第一取得部２２と、算出部２３と、判定部２４と、第二取得部２６と、出力部２７とを備える。これらの構成要素のそれぞれは、サーバ装置２０ａが備えるマイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。

　また、図６では、実空間４０に設置された、複数のセンサ４１、空調機器４２、及び、制御装置４３も図示されている。空間提案システム１００ａは、これらの構成要素をさらに備えてもよい。

　センサ４１には、ガス濃度をセンシング可能な半導体ガスセンサ、温度センサ、湿度センサ、気流センサ、照度センサ、人感センサ、マイクロフォン、及び、カメラなどが含まれる。ガス濃度は、具体的には、ＣＯ_２濃度、粒子状物質の濃度、または、ＶＯＣ濃度などである。センサ４１は、例えば、実空間４０に複数設置されるが、少なくとも１つ設置されればよい。複数のセンサ４１は、実空間４０内の互いに異なる位置に設置される。センサ４１には、実空間４０に滞在する人の生体情報をセンシングする生体センサが含まれてもよい。

　空調機器４２は、実空間４０に設置された、実空間４０における環境を調整するための設備の一例である。実施の形態２では、空調機器４２の制御パラメータが提案される例について説明されるが、実空間４０における環境を調整するための設備は、空調機器４２に限定されない。実空間４０における環境を調整するための設備のその他の例としては、換気機器、空気清浄機、または、照明機器などが例示される。

　制御装置４３は、実空間４０に設置された設備を制御する装置である。また、制御装置４３は、センサ４１の計測値をサーバ装置２０ａに送信するゲートウェイ装置としても機能する。制御装置４３は、例えば、エネルギーマネジメント機能を有するＥＭＳ（Ｅｎｅｒｇｙ　Ｍａｎａｇｅｍｅｎｔ　Ｓｙｓｔｅｍ）コントローラである。制御装置４３は、ＥＭＳコントローラに限定されず、エネルギーマネジメント機能を有しない他のコントローラ、または、ゲートウェイ装置であってもよい。

　［動作］
　次に、空間提案システム１００ａの動作について説明する。図７は、空間提案システム１００ａの動作のフローチャートである。

　上述のように、実空間４０は、判定部２４によって判定基準を満たすと判定された設計上の空間の空間設計データである適合空間設計データに基づいて構築された空間である。第二取得部２６は、このような実空間４０における、環境情報の実測値を取得する（Ｓ２１）。第二取得部２６は、具体的には、複数のセンサ４１それぞれの計測値を、制御装置４３を介して取得する。また、第二取得部２６は、実空間４０における空調機器４２の動作状態（設定温度、風量など）も取得する。

　第二取得部２６は、サーバ装置２０ａまたは外部装置によって算出されたＰＭＶの実測値（つまり、実測された温度、湿度、及び、気流などに基づいて算出されたＰＭＶ）を直接取得してもよく、以下ではステップＳ２１ではＰＭＶの実測値が取得されたものとして説明が行われる。

　次に、算出部２３は、実空間４０を構築するときの基礎となった適合空間設計データに基づいて、設計上（つまり、シミュレーション上）の環境情報（具体的には、ＰＭＶ）の空間分布を算出する（Ｓ２２）。この空間分布は、現在の実空間４０の実際の状態（設備の動作状態など）に可能な限り解析条件を合わせて算出される。

　次に、出力部２７は、ステップＳ２１において取得されたＰＭＶの実測値とステップＳ２２において算出されたＰＭＶの空間分布とを比較し、ステップＳ２１において取得されたＰＭＶの実測値と、これに対応する設計上のＰＭＶの値（以下、ＰＭＶの設計値とも記載される）との差の原因分析を行う（Ｓ２３）。出力部２７は、具体的には、実空間４０においてＰＭＶが実測された位置（座標）を特定し、ＰＭＶの空間分布内の上記特定した位置におけるＰＭＶの値をＰＭＶの設計値として原因分析を行う。

　この原因分析は、例えば、あらかじめ構築された原因分析データベース５０を参照することにより行われる。原因分析データベース５０によって提供される原因分析用データ５１においては、ＰＭＶの実測値とＰＭＶの設計値との差と、このような差が生じるときの原因とが対応付けられている。このような原因分析データベース５０は、経験的または実験的にあらかじめ作成される。また、原因分析データベース５０は、データの蓄積によってアップデートされる。そして、出力部２７は、原因の分析結果に基づいて、ＰＭＶの実測値を設計値に近づけるための空調機器４２の制御パラメータ（設定温度、風量、または、風向きなど）を生成する（Ｓ２４）。なお、原因分析データベース５０が使用されることは必須ではない。

　算出部２３は、生成した制御パラメータを用いてＰＭＶの空間分布を再計算し（Ｓ２５）、判定部２４は、再計算後のＰＭＶの空間分布がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすか否かを判定する（Ｓ２６）。つまり、判定部２４は、ステップＳ２５において生成された制御パラメータが、設計上の空間がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすように構成されているか（シミュレーション上ＯＫかどうか）を確認する。このように空間提案システム１００ａは、単に実空間４０の特定の位置における環境情報の実測値が判定基準を満たすか否かを判定するのではなく、設計上の空間の環境情報の分布（つまり、空間の全体）が判定基準を満たすか否かを判定する。

　判定部２４によって再計算後の第一空間分布がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たさないと判定されると（Ｓ２６でＮｏ）、出力部２７は、この制御パラメータを示す制御情報は出力せず、再度、別の制御パラメータを生成しなおす（Ｓ２４）。

　一方、判定部２４によって再計算後のＰＭＶの空間分布がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすと判定されると（Ｓ２６でＹｅｓ）、出力部２７は、この制御パラメータを示す制御情報を出力する（Ｓ２７）。出力された制御情報は、例えば、広域通信ネットワークを介して情報端末３０に送信され、情報端末３０は、制御情報に基づいて、制御パラメータを表示画面に表示する。図８は、制御パラメータの表示画面の一例を示す図である。

　また、出力された制御情報は、例えば、広域通信ネットワークを介して制御装置４３にも送信され、制御装置４３は、受信した制御情報が示す制御パラメータを用いて空調機器４２を制御する（Ｓ２８）。この後、ステップＳ２１～ステップＳ２８の処理が繰り返されることにより、ＰＭＶの実測値は設計値に近づいていく。

　［効果等］
　以上説明したように、空間提案システム１００ａは、設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得する第一取得部２２と、空間設計データ（空間設計データには、設計上の空間に配置される環境を調整するための設備に関する設備データが含まれる）に基づいて、設計上の空間における環境情報の第一空間分布を算出する算出部２３と、算出された第一空間分布に基づいて、設計上の空間内の環境が、実空間４０の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する判定部２４と、判定部２４によって判定基準を満たすと判定された設計上の空間の空間設計データである適合空間設計データに基づいて構築された実空間４０における、環境情報の実測値を取得する第二取得部２６と、取得された環境情報の実測値を、適合空間設計データに基づいて算出された空間分布によって定まる設計値に近づけるための、実空間４０に配置される設備の制御方法を示す制御情報を出力する出力部２７とを備える。

　このような空間提案システム１００ａは、実空間４０を環境認証に使用される判定基準を満たす空間に近づけるための設備の制御方法（例えば、制御パラメータ）を提案することができる。

　また、例えば、出力部２７は、制御情報を、実空間４０に配置される設備を制御する制御装置４３に出力する。

　このような空間提案システム１００ａは、実空間４０を環境認証に使用される判定基準を満たす空間に近づけるための設備の制御を実行することができる。

　また、例えば、出力部２７は、取得された環境情報の実測値と設計値との差に基づいて制御情報を生成し、生成した制御情報を用いて再計算された空間分布が判定基準を満たすと判定された場合に、制御情報を出力する。

　このような空間提案システム１００ａは、設計上、実空間４０を環境認証に使用される判定基準を満たす空間にすることができることが確認できた制御方法を提案することができる。

　（その他の実施の形態）
　以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。

　例えば、上記実施の形態では、設計上の空間内の環境がＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準を満たすか否かが判定されたが、判定基準は、ＷＥＬＬ認証の評価項目の判定基準に限定されない。例えば、判定基準は、空間を人の自律神経を整えることができる環境に近づけるための基準、または、空間を人が集中力を向上することができる環境に近づけるための基準など、人の生体情報に基づく基準であってもよい。本明細書中における環境には、人の生体情報に基づいて定まる環境が含まれる。

　また、上記実施の形態では、空間提案システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置によって実現されてもよい。空間提案システムが複数の装置によって実現される場合、各システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。

　また、例えば、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。

　また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。

　また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、ＣＰＵまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。

　また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路（または集積回路）でもよい。これらの回路は、全体として１つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。

　また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なＣＤ－ＲＯＭなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。

　例えば、本発明は、上記実施の形態に係るサーバ装置またはこれに相当する空間提案システムとして実現されてもよい。また、本発明は、空間提案システムなどのコンピュータが実行する空間提案方法として実現されてもよいし、このような空間提案方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。

　その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。

　２２　第一取得部
　２３　算出部
　２４　判定部
　２５　提示部
　２６　第二取得部
　２７　出力部
　４０　実空間
　４２　空調機器（設備）
　４３　制御装置
　１００、１００ａ　空間提案システム

Claims (9)

1. 　設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得する第一取得部と、
   　前記空間設計データに基づいて、前記設計上の空間における環境情報の空間分布を算出する算出部と、
   　算出された前記空間分布に基づいて、前記設計上の空間内の環境が、実空間の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する判定部とを備える
   　空間提案システム。
2. 　さらに、前記判定部によって前記設計上の空間内の環境が前記判定基準を満たさないと判定された場合に前記空間設計データの修正案を提示する提示部を備える
   　請求項１に記載の空間提案システム。
3. 　前記空間設計データには、前記設計上の空間に配置される、環境を調整するための設備に関する設備データが含まれ、
   　前記提示部は、前記設計上の空間における前記設備の配置変更を、前記空間設計データの修正案として提示する
   　請求項２に記載の空間提案システム。
4. 　前記空間設計データには、前記設計上の空間に配置される、環境を調整するための設備に関する設備データが含まれ、
   　前記提示部は、前記設計上の空間における設備の他の設備への入れ替え、または、前記設計上の空間における設備の追加を、前記空間設計データの修正案として提示する
   　請求項２に記載の空間提案システム。
5. 　前記空間設計データには、前記設計上の空間に配置される、環境を調整するための設備に関する設備データが含まれ、
   　前記空間提案システムは、さらに、
   　前記判定部によって前記判定基準を満たすと判定された前記設計上の空間の前記空間設計データである適合空間設計データに基づいて構築された実空間における、環境情報の実測値を取得する第二取得部と、
   　取得された環境情報の実測値を、前記適合空間設計データに基づいて算出された前記空間分布によって定まる設計値に近づけるための、前記実空間に配置される前記設備の制御方法を示す制御情報を出力する出力部とを備える
   　請求項１に記載の空間提案システム。
6. 　前記出力部は、前記制御情報を、前記実空間に配置される前記設備を制御する制御装置に出力する
   　請求項５に記載の空間提案システム。
7. 　前記出力部は、
   　取得された環境情報の実測値と前記設計値との差に基づいて前記制御情報を生成し、
   　生成した前記制御情報を用いて再計算された前記空間分布が前記判定基準を満たすと判定された場合に、前記制御情報を出力する
   　請求項５または６に記載の空間提案システム。
8. 　設計上の空間の状態を示す空間設計データを取得し、
   　前記空間設計データに基づいて、前記設計上の空間における環境情報の空間分布を算出し、
   　算出された前記空間分布に基づいて、前記設計上の空間内の環境が、実空間の環境認証に使用される判定基準を満たすか否かを判定する
   　空間提案方法。
9. 　請求項８に記載の空間提案方法のコンピュータに実行させるためのプログラム。

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