WO2020105409A1 - インクジェットプリンタ及び印刷物の製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタ及び印刷物の製造方法

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WO2020105409A1
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大西 勝
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株式会社ミマキエンジニアリング
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • B41J11/002Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating
    • B41J11/0021Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using irradiation
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet

Definitions

  • Patent Document 1 immediately after applying a water-based ink containing an infrared absorbing agent to the medium, the water-based ink is dried by infrared rays emitted from a halogen lamp to quickly fix the water-based ink on the medium. This prevents bleeding and fading.
  • heating with a halogen lamp heats not only the ink but also the media, so the media may be deformed by heat, discolored, or scorched, causing deterioration of the media.
  • an object of the present invention to provide an inkjet printer and a method for producing a printed material, which can suitably print on a medium using a water-containing ink.
  • the inkjet printer is A print head for applying a water-containing ink for inkjet to an application target; An infrared irradiation unit for irradiating the water-containing ink applied to the application target with infrared rays having a wavelength in the range of 2.5 to 3.2 ⁇ m to evaporate at least a part of the water in the water-containing ink. , Equipped with.
  • the water-containing ink applied to the medium can be selectively and rapidly dried without causing deterioration of the medium. As a result, it is possible to suppress bleeding and fading of printing.
  • the application target is a medium
  • the moisture-containing ink on the medium is dried by the irradiation of the infrared rays until the moisture-containing ink is fixed on the medium.
  • the moisture-containing ink on the medium is dried by the irradiation of the infrared rays until the moisture-containing ink is fixed on the medium.
  • the transport mechanism 10 is optional as long as it can transport media, and may be a belt conveyor, or a table on which the media is placed and the table horizontally (for example, along the main scanning direction and the sub scanning direction). It may be provided with a drive mechanism for driving so as to move.
  • the belt conveyor type or table type conveying mechanism 10 is suitable for conveying articles such as sewn products such as shirts and products such as coasters as media.
  • the pre-heater 70, the print heater 71, and the after-heater 72 may be omitted in the second embodiment and the modifications described above.
  • the printing layer P when the printing process is performed in the multi-pass type, light may be emitted from both of the two infrared ray emitting units 60 at all times during the printing process of the first pass and thereafter.
  • the printing layer P does not exist below the infrared irradiation unit 60 located in the front in the moving direction, but in the case of the multi-pass type, the printing layer P exists below the infrared irradiation unit 60 located in the front in the moving direction. Since the printing layer P exists, the infrared irradiation by the infrared irradiation unit 60 can further strengthen the drying of the printing layer P.
  • the water-containing ink is applied to the medium.
  • the water-containing ink is applied to any application target, and then the application target is applied. It is also possible to irradiate the moisture-containing ink applied to the substrate with infrared rays to evaporate at least a part of the moisture. Also in this case, the bleeding of the water-containing ink on the application target is suppressed.
  • the entire image represented by the image data is printed on the medium M.

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Abstract

水分含有インク用いてメディアに好適に印刷する。 インクジェットプリンタは、インクジェット用の水分含有インクを塗布対象に塗布するプリントヘッドと、塗布対象に塗布された水分含有インクに2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を照射する赤外線照射部と、を備える。

Description

インクジェットプリンタ及び印刷物の製造方法
 本発明は、インクジェットプリンタ及び印刷物の製造方法に関する。
 近年、インクジェット印刷において、環境負荷の低減などのために、水性インクなどの水を多く含むインク(以下、水分含有インク)の需要が高まっている。しかし、水分含有インクを用いたインクジェット印刷では、水分含有インクがメディア上で濡れ広がったりメディアに吸収されるために印刷に滲みが生じやすく、また、水分含有インクがメディアに吸収されメディア表面に残存し目に映る水分含有インクの量が減るために印刷した色が望む色よりも薄くなる(薄色化)といった問題があった。
 特許文献1は、赤外線吸収剤を含む水性インクをメディアに塗布した直後に、この水性インクをハロゲンランプから照射された赤外線により乾燥させることで、水性インクをメディアに迅速に定着させる。これにより、滲みや薄色化は防がれる。
特開2013-189596号公報
 しかし、ハロゲンランプによる加熱では、インクのみならずメディアも加熱されるため、メディアが熱で変形したり、変色したり、焦げ付いたりするなどのメディアの劣化が生じてしまうおそれがある。
 また、ハロゲンランプによる加熱温度を下げ、乾燥に時間を掛ければ、メディアの劣化を防げるかもしれないものの、印刷速度が低化する。
 以上を鑑み、本発明は、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できるインクジェットプリンタ及び印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
 本発明の第1の観点に係るインクジェットプリンタは、
 インクジェット用の水分含有インクを塗布対象に塗布するプリントヘッドと、
 2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を前記塗布対象に塗布された前記水分含有インクに照射して、前記水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させる赤外線照射部と、
 を備える。
 以上の構成によれば、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できる。特に、メディアの劣化を引き起こさずに、メディアに塗布された水分含有インクを選択的且つ高速に乾燥させることができる。これにより、印刷の滲みや薄色化を抑制できる。
 前記赤外線照射部は、0.3J/cm~3J/cmの積算エネルギーで、2.5~3.2μmの波長域の光を前記水分含有インクに照射し、前記水分含有インク中の水分を20質量%以上蒸発させる、
 ことが好ましい。
 以上の構成によれば、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できる。特に、メディアの劣化を引き起こさずに、メディアに塗布された水分含有インクを選択的且つ高速に乾燥させることができる。これにより、印刷の滲みや薄色化を抑制できる。
 前記赤外線照射部は、LED又はレーザーダイオードを含む、
 ことが好ましい。
 以上の構成によれば、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できる。特に、メディアの劣化を引き起こさずに、メディアに塗布された水分含有インクを選択的且つ高速に乾燥させることができる。これにより、印刷の滲みや薄色化を抑制できる。
 前記プリントヘッドとともに前記赤外線照射部を前記塗布対象に対して相対的に移動させる移動装置をさらに備える、
 ことが好ましい。
 以上の構成によれば、上述の構成と同様に、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できる。特に、印刷の滲みや薄色化をより一層抑制できる。
 本発明の第2の観点に係る印刷物の製造方法は、
 インクジェット用の水分含有インクをインクジェット方式で塗布対象に塗布する塗布工程と、
 前記塗布対象に塗布された前記水分含有インクに2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を照射して、前記水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させる赤外線照射工程と、
 を備える。
 以上の構成によれば、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できる。特に、メディアの劣化を引き起こさずに、メディアに塗布された水分含有インクを選択的且つ高速に乾燥させることができる。これにより、印刷の滲みや薄色化を抑制できる。
 前記塗布対象はメディアであり、
 前記赤外線照射工程で、前記水分含有インクが前記メディアに定着するまで、前記赤外線の照射により、前記メディア上の前記水分含有インクを乾燥させる、
 ことが好ましい。
 以上の構成によれば、上述の構成と同様に、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できる。特に、プリントヒーターやアフターヒーターなどの追加の加熱器による乾燥工程が不要又は短時間で済むので、印刷物の製造を効率的に行うことができる。
 前記塗布対象はメディアであり、
 前記赤外線照射工程の後に、前記水分含有インクが前記メディアに定着するまで、加熱器により、前記メディア上の前記水分含有インクを加熱する加熱工程をさらに備える、
 ことが好ましい。
 以上の構成によれば、上述の構成と同様に、水分含有インクを用いてメディアに好適に印刷できる。特に、メディアへの水分含有インクの定着を強固にできる。
 本発明によれば、水分含有インク用いてメディアに好適に印刷できる。
第1の実施形態に係る印刷物の製造方法の流れ図。 第2の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図。 第2の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略側面図。 第2の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略上面図。 第2の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略背面図。 変形例7に係るインクジェットプリンタの概略側面図。 変形例7に係るインクジェットプリンタの概略上面図。 変形例8に係るインクジェットプリンタの概略側面図。
(第1の実施形態)
 本発明の第1の実施形態に係る印刷物の製造方法について説明する。本製造方法では、図1に示すように、塗布工程S1及び乾燥工程S2を主に行う。
(塗布工程S1)
 塗布工程S1では、インクジェットプリンタでメディア上にインクを吐出することで、メディアにインク組成物を塗布する。
(メディア)
 印刷対象であるメディアは、任意であり、布帛や多孔性メディアなどインクが浸透するメディア(以下、浸透性メディアと呼ぶ)でもよいし、プラスチックフィルムなどのインクが浸透しないメディア(以下、非浸透性メディアと呼ぶ)でもよい。メディアの材料としては、例えば、樹脂材料(ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル、ナイロン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等)、紙、ガラス、金属材料(鉄、アルミニウム、ステンレス等)等が挙げられる。また、メディアの形状は、平面状に限らず、三次元インクジェットプリンタで印刷できる形状であれば任意の三次元形状でもよい。
 メディアは、乾燥工程S2での赤外線の照射自体により、メディアの劣化、例えば、変形、変色、焦げ付きなどが生じないものが好ましい。例えば、2.5~3.2μmの波長の光の吸収性が劣化を招かない程度に低いメディアが特に好ましい。例えば、2.5~3.2μmの波長の光の透過率が30%以上、好ましくは、70%以上のメディアが特に好ましい。なお、一般的な印刷材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどは、通常、2.5~3.2μmの波長域で顕著な吸収を示さない。
(インクジェットプリンタ)
 塗布工程S1では、後述のインクを吐出できるプリントヘッドを有し、上述のメディアに適合しているのであれば、任意のインクジェットプリンタを用いることができる。特に、塗布工程S1及び乾燥工程S2を連続して効率的に行えるため、後述する本発明の第2の実施形態に係るインクジェットプリンタ100を用いることが好ましい。
(インクジェット印刷用インク)
 塗布工程S1で用いるインクは、水を、例えば、30質量%以上、好ましくは、50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含む、任意の水分含有インクである。
 水分含有インクとしては、これらに限定されるわけではないが、(1)メディア上に塗布されたインク中の大部分の水分の蒸発によりメディア上に塗膜が形成されるインク、(2)メディア上に塗布されたインク中の水分の一部の蒸発によりメディア上での濡れ広がりが抑制されるインク、(3)メディア上に塗布されたインク中の水分の一部の蒸発によりメディアへの浸透が抑制されるインクなどが挙げられる。
 こうした水分含有インクとしては、これらに限定されるわけではないが、水性顔料インク、水性染料インク、ラテックスインク、ゲルジェットインク、水性UVインク、顔料を内包するなどした樹脂粒子が分散されているインクなどが挙げられる。
 水分含有インクは、溶媒又は分散媒として、水溶性溶媒をさらに含んでもよい。こうした水溶性溶媒は、赤外線照射時に水とともに蒸発するように、沸点が60℃~100℃であることが好ましい。こうした水溶性溶媒としては、エタノールなどが挙げられる。
 塗布工程S1では、1色以上の水分含有インクを用いてメディアに画像を印刷する。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の水分含有インクのセットを用いてもよい。しかし、これらの色に加えて又は代えて、レッド、グリーン、ブルー、ホワイト、パール、メタリック、セラミック、蛍光、燐光などの特色の水分含有インクを用いてもよい。
(乾燥工程S2)
 乾燥工程S2では、塗布工程S1で水分含有インクが塗布されたメディアに、赤外線照射装置により2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を照射することで、メディア上に塗布された水分含有インク中の水分の少なくとも一部(例えば、乾燥前の水分含有インクの質量に基づいて、20質量%以上、好ましくは、50質量%以上、より好ましくは70質量%以上)を蒸発させる。これにより、メディア上に水分含有インクを定着させる、又は、少なくとも、浸透性及び非浸透性メディア上での水分含有インクの滲み並びに浸透性メディアへの水分含有インクの浸透を抑制する。
(光照射装置)
 乾燥工程S2では、2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を照射することができる任意の光照射装置を用いることができる。こうした光照射装置としては、例えば、これらに限定されるわけではないが、LED(Light Emitting Device)(例えば、LED29(株式会社プロリンクス製)など)やレーザーダイオードなどが挙げられる。特に、エネルギー効率の観点から、光照射装置としてLEDを用いることが好ましい。
 光照射装置から照射される光が2.5~3.2μmの波長域以外の成分を有する場合、こうした成分はメディアや印刷装置などの望ましくない加熱を引き起こさぬことが好ましい。例えば、光照射装置から照射される光のうち2.5~3.2μmの波長域以外の成分の照射強度は、100W/cm、50W/cm、又は10W/cm未満であることが好ましい。また、光照射装置から照射される光は、メディア並びに/又は当該光及びその反射光が照射され得る装置の部分(例えば、印刷装置のノズルなど)の吸収波長域にピークを有しない、特に、当該吸収波長域の成分を実質的に含まないことが好ましい。
 また、光照射装置から照射される光のうち2.5~3.2μmの波長域以外の成分の照射強度は、光照射装置から照射される光のうち2.5~3.2μmの波長域の成分の照射強度未満であることが好ましい。こうした光は、仮にメディアが2.5~3.2μmの波長域以外の波長域全ての光を吸収する場合でも、水分含有インクをメディアよりも加熱する、即ち、水分含有インクが選択的に加熱されるといえる。
 光照射装置から照射される光は、2.5~3.2μmの波長域内にピークを有するものでもよい。例えば、光照射装置から照射される光は、2.5~3.2μmの波長域内の一点でピークを示してもよいし、この波長域の一部又は全部を含むようなピークのプラトー(ピーク範囲)を示してもよい。光照射装置から照射される光は、単一のピークのみを示すことが好ましい。光照射装置から照射される光が複数のピークを示す場合、2.5~3.2μmの波長域外のピークに代表される波長成分(例えば、ピーク波長の照射強度の1/2の照射強度を示す2つの波長内の成分)の照射強度は、2.5~3.2μmの波長域内のピークに代表される波長成分の照射強度よりも低いことが好ましい。
(赤外線照射条件)
 乾燥工程S2での赤外線照射は、インクの滲みや浸透が進行しすぎないように、塗布工程S1でメディアに水分含有インクが塗布されたすぐ後に行う。例えば、乾燥工程S2での赤外線照射は、塗布後0.1~1.0秒以内に開始されることが好ましい。
 また、乾燥工程S2の赤外線照射による水分含有インク中の水分の少なくとも一部の蒸発は、インクの滲みや浸透が進行しすぎないように、短時間で完了させる。例えば、乾燥工程S2の赤外線照射による水分含有インク中の水分の少なくとも一部の蒸発は、1~10秒以内に完了させることが好ましい。
 乾燥工程S2でインクに照射される光(特に、2.5~3.2μmの波長域の成分)の積算エネルギーは、所望の乾燥結果(メディア上に水分含有インクが定着する、メディア上での水分含有インクの滲みが抑制される、浸透性メディアへの水分含有インクの浸透が抑制されるなど)が得られるのであれば任意であり、0.3J/cm~5J/cmであるとよい。特に、乾燥工程S2でインクに照射される光のうち2.5~3.2μmの波長域の成分が、当該成分単独で、水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させるに足る積算エネルギーを有することが好ましい。
 乾燥工程S2でインクに照射される光(特に、2.5~3.2μmの波長域の成分)の照射強度は、上述の積算エネルギーと所望の乾燥時間とに応じて設定される。例えば、積算エネルギーが0.3J/cmで乾燥時間が1秒の場合、照射強度は0.3W/cmであることが好ましい。また、例えば、積算エネルギーが3J/cmで乾燥時間が0.1秒の場合、照射強度は30W/cmであることが好ましい。
(その他の工程)
 乾燥工程S2で、浸透性及び非浸透性メディア上での水分含有インクの滲み並びに浸透性メディアへの水分含有インクの浸透が抑制されるものの、メディア上に水分含有インクが定着しない程度に、メディア上の水分含有インク中の水分を蒸発させる場合、乾燥工程S2の後に、水分含有インクをメディアに定着させるために、電熱ヒーター、温風ヒーター、赤外線ヒーターなどの任意の加熱器により、メディア上の水分含有インクをさらに乾燥させる追加の乾燥工程である加熱工程を行うことが好ましい。これにより、メディアへの水分含有インクの定着を強固にできる。
 また、こうした追加の乾燥工程を、乾燥工程S2で、メディアに水分含有インクが定着する程度に、メディア上の水分含有インク中の水分を蒸発させる場合に行ってもよい。これにより、メディアへの水分含有インクの定着をより一層強固にできる。
 また、水分含有インクの種類に応じて、その印刷に必要な従来の工程を適宜行ってもよい。例えば、水分含有インクとして、水性UVインクを用いる場合、紫外線照射工程をさらに備えることが好ましい。
(第1の実施形態の効果)
 水分含有インクは、水の濡れ性及び浸透性が高いために、メディア上で濡れ広がりやすく、また、布帛や多孔性メディアなどの浸透性メディアに浸透しやすい。このため、従来、水分含有インクを用いてメディアに印刷を行うと、印刷の滲みや薄色化が生ずるおそれがあった。
 また、印刷の滲みや薄色化を解消するために、水分含有インクを印刷したメディアを、キセノンランプなどの加熱器で高速に乾燥させることも考えられるが、この場合、インクのみならずメディアも加熱されるため、メディアが熱で変形したり、変色したり、焦げ付いたりするなどのメディアの劣化が生じてしまう。
 さらに、メディアの劣化を解消するために、水分含有インクに赤外線吸収剤を配合し、当該インクを印刷したメディアに、赤外線LEDやキセノンフラッシュライトにより赤外線を照射することで、インクを選択的且つ高速に乾燥させることも考えられるが、この場合、多くの赤外線吸収剤が有色なため、インクのくすみが生じてしまうおそれがあった。
 一方、第1の実施形態に係る製造方法によれば、特別な赤外線吸収剤を配合することなく、水分含有インク中の水分を特定波長の赤外線により選択的且つ迅速に加熱できるので、メディアの劣化やインクのくすみを引き起こさずに、印刷の滲みや薄色化を抑制できる。
 また、赤外線を吸収しやすくするために赤外線吸収剤を有色インクに添加すると、有色インクの色がくすんでしまう(黒色化する)が、本製造方法に用いる水分含有インクには、こうした赤外線吸収剤を添加する必要がない。このため、本製造方法では、精彩な色合いのインク、特に、精彩な色合いの特色のインクを用いて従来よりも高精彩な画像の印刷を行うことができる。
(第2の実施形態)
 第2の実施形態に係るインクジェットプリンタ100について、図2~5を参照しつつ、説明する。インクジェットプリンタ100は、布帛ロールからなるメディアMに上述の水分含有インクを用いて画像を印刷する。
(インクジェットプリンタ100の構成)
 インクジェットプリンタ100は、図2に示すように、搬送機構10、インクタンク20、インク供給機構30、プリントヘッド40、駆動機構50、赤外線照射部60、プリヒーター70、プリントヒーター71、アフターヒーター72、及び制御部80を備える。
 搬送機構10は、本発明の移動装置の一形態であり、メディアMを、前後方向に沿って搬送する。搬送機構10は、図3に示すように、メディアMをロールから繰り出す繰り出しローラーと、繰り出されたメディアMの皺を広げ、このメディアMをプリントヘッド40のノズル面に対して正対させるように保持するプラテン(プリプラテン73、プリントプラテン74、及びアフタープラテン75)、及び水分含有インクが塗布されたメディアMをロール状に巻き取る巻き取りローラーとから構成される。搬送機構10は、メディアの搬送角度を変更する搬送ローラーを搬送経路に応じて適宜含んでもよい。
 インクタンク20は、各色の水分含有インクを貯蔵するインクカートリッジ又はインクボトルであり、インクジェットプリンタ100に取り付けられる。
 インク供給機構30は、インクタンク20内の水分含有インクを対応するプリントヘッド40に供給する機構である。インク供給機構30は、水分含有インクを貯留するサブタンクと、インクタンク20内の水分含有インクをサブタンクに供給する供給管と、サブタンクに貯留した水分含有インクをプリントヘッド40を介して循環させる循環路を形成する循環管と、循環路での水分含有インクの循環を制御する弁と、この弁を駆動する駆動装置と、を備える。
 プリントヘッド40は、インク供給機構30から供給される水分含有インクをオンデマンド型のインクジェット方式で吐出し、メディアMに塗布する。図中では、プリントヘッド40から吐出される水分含有インクを破線で示す。プリントヘッド40は、インク供給機構30の循環路を循環するインクを貯留する貯留室と、貯留室に貯留されている水分含有インクを押し出す圧電素子又はヒーターと、押し出された水分含有インクを吐出するノズルと、を複数組備える。プリントヘッド40でのノズルの配置は任意であり、例えば、直線状に一列に配置されてもよい。印刷する各色毎に1つのプリントヘッド40を設けてもよいし、複数色の水分含有インクを1つのプリントヘッド40から吐出してもよい。
 駆動機構50は、本発明の移動装置の一形態であり、プリントヘッド40をメディアMの搬送方向(副走査方向)に直交する方向(主走査方向)に移動させる。駆動機構50は、図3~4に示すように、プリントヘッド40を搭載するキャリッジ51と、キャリッジ51を主走査方向に移動可能に支持するガイドレール52と、ガイドレール52の各端部に一組配置される、キャリッジ51の牽引索及び牽引索を巻き取る巻き取り機構とを備える。
 赤外線照射部60は、メディアMに塗布された水分含有インクに、2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を照射するためのものであり、光照射装置を含む。図中では、赤外線照射部60から照射される光の輪郭を矢印で示す。赤外線照射部60は、キャリッジ51の移動方向(本実施形態では、即ち、主走査方向)におけるプリントヘッド40の前後(図4、5では左右)に1つずつ、キャリッジ51上に搭載されている。
 こうした光照射装置としては、例えば、これらに限定されるわけではないが、LED(Light Emitting Device)(例えば、LED29(株式会社プロリンクス社製)など)やレーザーダイオードなどが挙げられる。
 光照射装置は、それ自体が、2.5~3.2μmの波長域に発光波長のピークを持つ赤外線を照射するものでもよいし、また、波長変換機構により2.5~3.2μmの波長域にピークを有する光に変換され得る光を照射するものでもよい。
 波長変換機構としては、例えば、これらに限定されるわけではないが、波長変換素子、波長変換フィルムなどが挙げられる。
 光照射装置から照射される光が2.5~3.2μmの波長域以外の成分を有する場合、この成分はメディアMやインクジェットプリンタ100の部材(例えば、プリントヘッド40のノズルの先端など)の望ましくない加熱を引き起こさぬよう、光照射装置に2.5~3.2μmの波長域以外の成分の少なくとも一部を抑制又はカットするフィルタを設けてもよい。
 こうしたフィルタとしては、例えば、これらに限定されるわけではないが、赤外線バンドパスフィルタなどが挙げられる。
 赤外線照射部60の移動方向に垂直な方向においてプリントヘッド40が印刷可能な最大の印刷長さの設定値(本実施形態では、即ち、副走査方向におけるプリントヘッド40のノズル配列の長さ)をプリントヘッド40の印刷幅Wとするとき、赤外線照射部60は、光照射装置から照射された光がメディアM上に作る被照射面の形状を、プリントヘッド40の印刷幅W及び/又はインクの乾燥に必要な光照射時間に適合させる光照射調節機構を備えてもよい。
 こうした光照射調節機構として、例えば、これらに限定されるわけではないが、ビームエキスパンダー、シリンドリカルレンズなどが挙げられる。
 赤外線照射部60の移動方向に垂直な方向(本実施形態では副走査方向)における赤外線照射部60による被照射面の長さAは、プリントヘッド40の印刷幅W以上であればよく、エネルギー効率の観点から、プリントヘッド40の印刷幅Wと実質的に同じ長さであることが好ましい。
 赤外線照射部60の移動方向(本実施形態では主走査方向)における赤外線照射部60による被照射面の長さBは、インクの乾燥に必要な光照射時間が確保されるように調節される。被照射面の長さBは、プリントヘッド40の移動速度vとインクの乾燥に必要な光照射時間tとに基づいて定められる。例えば、プリントヘッド40が等速移動する場合、即ち、vが一定である場合、Bはt・v以上であればよい。
 さらに、光照射装置がキャリッジ51に複数個搭載できる程度に小型でその指向性も高い場合、例えば、光照射装置として2.5~3.2μmの波長域に発光波長のピークを持つ赤外線を照射する複数個の赤外線LEDを用いる場合、光照射調節機構なしでも複数の光照射装置の配向及び/又は配列のみにより被照射面の形状を上述のように調節できる。
 さらに、赤外線照射部60から照射されメディアMで反射された光(特に、紫外線反射成分)が、プリントヘッド40のノズル面に付着しているインクやノズル内に残留しているインクを加熱乾燥することを防ぐために、赤外線照射部60は、光照射調節機構により、並びに/又は、光照射装置の配向及び/若しくは配列により、反射光がプリントヘッド40のノズル面に向かない照射角度で光を照射するように調節されることが好ましい。このため、特に、光照射装置として、指向性の高い光源、例えば、LEDを用いることが好ましい。
 さらに、赤外線照射部60は、被照射面での光量が均一となるようにメディアMに光を照射することが好ましい。これにより、メディアM上に塗布された水分含有インクを均一に乾燥させることができる。例えば、光照射装置として同一波長の赤外線を照射する複数個の赤外線LEDを用いる場合、各赤外線LEDを同じ光量で発光させ、且つ、個別の赤外線LEDによる被照射面同士の重複がない又は全ての被照射面が同様に重複するように赤外線LEDの配向を調節すれば、被照射面での光量を均一にできる。また、例えば、光照射装置としてレーザーダイオードを用いる場合、ビームエキスパンダーなどの光照射調節機構により被照射面全体に光を均一に集光すれば、被照射面での光量を均一にできる。
 赤外線照射部60は、後述するように、滲みや薄色化がほとんど生じないように、メディアM上に塗布された水分含有インク中の水分の少なくとも一部(例えば、20質量%以上、好ましくは、50質量%以上)を、短時間(例えば、1秒未満、好ましくは、0.1秒未満で)で、蒸発させる。このため、赤外線照射部60、ひいては、光照射装置は、10W/cm以上の照射強度で光を照射できることが好ましい。特に、赤外線照射部60、ひいては、光照射装置は、水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させるに足る積算エネルギー(例えば、0.3J/cm~3.0J/cm)で、光、特に、2.5~3.2μmの波長域の光を照射することが好ましい。
 プリヒーター70、プリントヒーター71、及びアフターヒーター72は、それぞれ、インクの塗布前、塗布中、及び塗布後に、メディアMを加熱するための電熱ヒーターであり、それぞれ、プリプラテン73、プリントプラテン74、及びアフタープラテン75に取り付けられている。
 プリヒーター70によれば、例えば、メディアMの温度を予め所定の温度とすることができるので、赤外線照射部60による乾燥での乾燥条件を一定とすることができる。プリヒーター70の加熱温度は、周囲温度に近いことが好ましく、例えば、25℃~45℃の範囲の温度、特に、35℃程度であることが好ましい。
 また、プリントヒーター71によれば、赤外線照射部60による加熱に加えて、プリントヒーター71によりメディアMに塗布された水分含有インクをさらに加熱することで、水分含有インクの滲みをより一層抑えることができる。プリントヒーター71の加熱温度は、30℃~60℃の範囲の温度、好ましくは、35℃~50℃の範囲の温度であることが好ましい。
 さらに、アフターヒーター72によれば、例えば、メディアM上に塗布された水分含有インクを完全に乾燥させることで、メディアMへの水分含有インクの定着をより一層確実なものにできる。アフターヒーター72の加熱温度は、40℃~150℃の範囲の温度、好ましくは、60℃~100℃の範囲の温度であることが好ましい。
 制御部80は、図2に示すように、搬送機構10(例えば、繰り出しローラー及び巻き取りローラー)と、インク供給機構30(例えば、前述の駆動装置)と、プリントヘッド40(例えば、前述の圧電素子又はヒーター)と、駆動機構50(例えば、前述の巻き取り機構)と、赤外線照射部60と、プリヒーター70と、プリントヒーター71と、アフターヒーター72とを制御し、メディアMに水分含有インクを塗布し、乾燥させる印刷処理を行う。
 こうした処理を行うため、制御部80は、プログラム、各種データを記憶する記憶装置(ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、記憶装置に記憶されたプログラムを実行し、各種データを用いることで前記印刷処理を実行するプロセッサ(CPU(Central Processing Unit)等)と、当該プロセッサのメインメモリと、各種インターフェースと、を含んで構成される。制御部80は、例えば、パーソナルコンピュータであってもよい。
(印刷処理)
 印刷処理は、外部のホストコンピュータ等から画像データが供給されたことを契機として開始される。前記画像データは、各画素毎の水分含有インクの吐出の有無のデータを含んでいる。
 制御部80は、まず、搬送機構10を制御してメディアMを印刷開始位置まで移動させる。
 次に、制御部80は、駆動機構50を制御し、プリントヘッド40及び2つの赤外線照射部60が搭載されたキャリッジ51をメディアMに対して相対的に主走査方向に沿って右から左に移動させる(図5参照)。
 この移動中、制御部80は、プリントヘッド40が備えるノズルが水分含有インクを吐出する画素の位置(画像データにより指定される)に到達したタイミングで、当該プリントヘッド40を制御し当該ノズルから水分含有インクを吐出させる。こうして、メディアM上に水分含有インクによる印刷層Pが形成される。なお、図5中では簡略化のために印刷層Pを連続した膜として示しているが、印刷層Pは、全体的に一様な水分含有インクからなる連続膜でもよいし、互いに部分的に繋がった又は完全に離間した複数のドットからなる集合体でもよい。
 また、この移動中、制御部80は、キャリッジ51の右側に搭載されている赤外線照射部60を制御し、点灯させ、メディアM上の印刷層Pに向けて赤外線を照射させる。こうして、印刷層P及び浸透層I内の水分含有インク中の水分の少なくとも一部が蒸発される。なお、エネルギー効率の観点から、この移動中、制御部80は、キャリッジ51の左側に搭載されている赤外線照射部60を制御し、消灯させることが好ましい。
 その後、制御部80は、搬送機構10を制御してメディアMを副走査方向に印刷幅分だけ送る。
 その後、制御部80は、プリントヘッド40を主走査方向に沿って相対的に左から右に移動させる。この移動中、制御部80は、プリントヘッド40を上と同様に制御して、次の印刷層Pを形成する。一方、この移動中、制御部80は、キャリッジ51の右側に搭載されている赤外線照射部60の代わりに、キャリッジ51の左側に搭載されている赤外線照射部60を制御し、点灯させ、次の印刷層Pに向けて赤外線を照射させて、この印刷層P及び浸透層I内の水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させる。なお、エネルギー効率の観点から、この移動中、制御部80は、キャリッジ51の右側に搭載されている赤外線照射部60を制御し、消灯させることが好ましい。
 以上を繰り返し、画像データに示される画像全体がメディアMに印刷される。
 なお、制御部80は、以上の印刷過程で、プリヒーター70、プリントヒーター71、及びアフターヒーター72を、それぞれ、所定の温度に制御し、印刷層Pの乾燥を促進させてもよい。印刷層P内の水分は赤外線照射部60により少なくとも部分的に蒸発するため、これらのヒーターの加熱温度は従来より低い温度に設定できる。一般的に、単位電力当たりの発熱量は、LEDやレーザーダイオードなどの光照射装置のほうが、電熱ヒーターなどの他の加熱器よりも優れているので、こうした温度設定は、消費電力の節約となる。
 特に、メディアMに塗布された水分含有インクがメディアMにしっかりと乾燥固着するように、制御部80は、アフターヒーター72を制御し、印刷層P及び浸透層Iを所定の温度で加熱させてもよい。
(第2の実施形態の効果)
 布帛からなるメディアMは、微細な網目状構造を有している。このため、印刷層P中の水分含有インクは、図5に示すように、塗布直後では、メディアM上に局在するものの、時間経過に伴い、毛細管現象によりメディアMの網目状構造内に浸透していく。こうしてメディアMの網目状構造内に浸透した部分を浸透層Iとすると、印刷層P内の水分含有インクの量が浸透層I内の水分含有インクの量だけ減少するので、印刷層Pの色が所望の仕上がりよりも薄くなるおそれがある。また、印刷層Pがドットを含む場合、各ドットの境界が、当該ドット内の水分含有インクのメディアMへの浸透に伴って、滲んでしまうおそれがある。
 一方、インクジェットプリンタ100では、印刷層Pは、その形成直後に、赤外線照射部60により少なくとも部分的に乾燥されるため、乾燥しない場合と比べて、メディアMへの浸透量が抑制される。このため、薄色化や滲みの程度が抑制される。
 また、赤外線を吸収しやすくするために赤外線吸収剤を有色インクに添加すると、有色インクの色がくすんでしまう(黒色化する)が、インクジェットプリンタ100で印刷に用いる水分含有インクには、こうした赤外線吸収剤を添加する必要がない。このため、インクジェットプリンタ100では、精彩な色合いのインク、特に、精彩な色合いの特色のインクを用いて従来よりも高精彩な画像の印刷を行うことができる。
(変形例1)
 第2の実施形態では、メディアMとして布帛ロールを用いたが、メディアMの形状や材料は任意である。例えば、メディアMとして、塩化ビニルシートなどの非浸透性メディアを用いてもよい。この場合も、非浸透性メディアに塗布した水分含有インクがこのメディア上で濡れ広がり滲みを呈する前に、水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させて、水分含有インクの濡れ性を低下させることで、印刷物の滲みを抑制できる。
(変形例2)
 第2の実施形態及び上述の変形例において、インクジェットプリンタ100は、メディアに応じて、従来技術に従い、適宜構成できる。
 例えば、搬送機構10は、メディアを搬送できるのであれば、任意であり、ベルトコンベアでもよいし、メディアが置かれるテーブルとこのテーブルを水平に(例えば、主走査方向及び副走査方向に沿って)移動するように駆動する駆動機構とを備えるものでもよい。ベルトコンベア式やテーブル式の搬送機構10は、メディアとしてシャツなどの縫製品やコースターなどの製品といった物品を搬送するのに適している。
 また、インクジェットプリンタ100は、三次元プリンタとして構成されてもよい。この構成は、メディアとしてコップやワインボトルなどの立体的な製品に印刷するのに適している。
(変形例3)
 第2の実施形態及び上述の変形例において、プリントヘッド40自体の構成は任意である。
 例えば、第2の実施形態では、プリントヘッド40として、オンデマンド型のインクジェット方式を採用しているが、コンティニュアス型のインクジェット方式を採用してもよい。
 また、例えば、第2の実施形態では、1つのプリントヘッド40に複数のノズルを設けているが、1つのノズルのみを設けてもよい。また、第2の実施形態では、1つのプリントヘッド40は1つの色に対応しているが、1つのプリントヘッド40に複数色の色用のノズルを設けてもよい。
(変形例4)
 第2の実施形態及び上述の変形例において、プリヒーター70、プリントヒーター71、及びアフターヒーター72は任意の加熱器でよく、温風ヒーターなどの非接触式の加熱器でもよい。非接触式の加熱器なら、プリヒーター70、プリントヒーター71、及びアフターヒーター72は、プリプラテン73、プリントプラテン74、及びアフタープラテン75に取り付けられていなくてもよい。
 また、第2の実施形態及び上述の変形例において、プリヒーター70、プリントヒーター71、及びアフターヒーター72を省略してもよい。
(変形例5)
 第2の実施形態及び上述の変形例において、プリントヘッド40及び赤外線照射部60は、同一のキャリッジ51上に設けられているが、プリントヘッド40による水分含有インクの吐出に続いて赤外線照射部60によるメディアMに塗布された水分含有インクへの赤外線の照射が生じるのであれば、プリントヘッド40及び赤外線照射部60の配置は任意である。
 例えば、プリントヘッド40の相対的な移動に伴い、プリントヘッド40の後を追うように、赤外線照射部60が相対的に移動するように構成されていればよい。例えば、後述する変形例6のように、プリントヘッド40及び赤外線照射部60がこの順番でメディアMの搬送方向(前方から後方)に沿って配置されていてもよい。
(変形例6)
 第2の実施形態及び上述の変形例では、シングルパス式で印刷処理を行うが、マルチパス式に印刷処理を行ってもよい。
 第2の実施形態において、印刷処理をマルチパス式に行う場合、1パス目以降の印刷処理中は常時、2つの赤外線照射部60の両方から光を照射することとしてもよい。シングルパス式の場合、移動方向前方にある赤外線照射部60の下には印刷層Pは存在しないが、マルチパス式の場合、移動方向前方にある赤外線照射部60の下には1パス目以降は印刷層Pが存在するので、この赤外線照射部60による赤外線の照射により印刷層Pの乾燥をより一層強固にできる。
(変形例7)
 第2の実施形態及び上述の変形例では、プリントヘッド40がシリアルプリンタ式に構成されているが、プリントヘッド40はラインプリンタ式に構成されてもよい。この場合も、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
 こうしたラインプリンタの一例として、図6及び7に、インクジェットプリンタ200を示す。インクジェットプリンタ200において、プリントヘッド40、駆動機構50、及び赤外線照射部60を除く構成は、インクジェットプリンタ100と同様なので、これらの構成の説明は省略する。
 インクジェットプリンタ200において、プリントヘッド40及び赤外線照射部60は、副走査方向に沿って、この順番で、且つ、印刷面であるプリントプラテン74に対して一定の距離となるよう、筐体などを介して固定式に配置されている。従って、駆動機構50は省略される。なお、図6及び7では、赤外線照射部60を1つのみ示しているが、副走査方向に沿ってプリントヘッド40の後方に配置されるのであれば、赤外線照射部60を複数設けてもよい。
 プリントヘッド40及び赤外線照射部60は、主走査方向に沿って、好ましくは、主走査方向でのメディアMの長さと同程度の長さで、より好ましくは、それ以上の長さで延在している。
 プリントヘッド40では、主走査方向に沿って、複数のノズルが配置されている。このとき、プリントヘッド40の印刷幅Wは、図7に示すように、主走査方向におけるプリントヘッド40のノズル配列の長さとなる。
 赤外線照射部60では、図7に示すように、赤外線照射部60の相対的な移動方向に垂直な方向における赤外線照射部60による被照射面の長さAは、主走査方向の被照射面(図7中では点描部分)の長さ、赤外線照射部60の相対的な移動方向における赤外線照射部60による被照射面の長さBは、副走査方向の被照射面の長さとなる。
 インクジェットプリンタ200の印刷処理では、印刷が開始されると、制御部80は、まず、搬送機構10を制御してメディアMを印刷開始位置まで移動させる。
 次に、制御部80は、搬送機構10を制御し、メディアMを副走査方向に沿って前方から後方に送る、即ち、プリントヘッド40及び赤外線照射部60をメディアMに対して相対的に副走査方向に沿って後方から前方に移動させる(図6及び7参照)。
 この移動中、制御部80は、プリントヘッド40が備えるノズルが水分含有インクを吐出する画素の位置(画像データにより指定される)に到達したタイミングで、当該プリントヘッド40を制御し当該ノズルから水分含有インクを吐出させる。こうして、メディアM上に水分含有インクによる印刷層Pが形成される。
 また、この移動中、制御部80は、赤外線照射部60を制御し、点灯させ、メディアM上の印刷層Pに向けて赤外線を照射させる。こうして、印刷層P及び浸透層I内の水分含有インク中の水分の少なくとも一部が蒸発される。
 以上により、画像データに示される画像全体がメディアMに印刷される。
(変形例8)
 第1の実施形態、第2の実施形態、及び上述の変形例において、水分含有インクはメディアに塗布されるが、この代わりに、任意の塗布対象に水分含有インクを塗布し、その後、塗布対象に塗布された水分含有インクに赤外線を照射してその水分の少なくとも一部を蒸発させることとしてもよい。この場合も、塗布対象上での水分含有インクの滲みが抑制される。
 特に、第2の実施形態及び上述の変形例では、プリントヘッド40によりメディアMに直接に水分含有インクを塗布するが、この代わりに、プリントヘッド40により転写ベルトにまず水分含有インクを塗布し、この転写ベルト上の水分含有インクに赤外線を照射してその水分の少なくとも一部を蒸発させた後に、転写ベルトからメディアMに水分含有インクを転写することとしてもよい。この場合も、転写ベルト上での水分含有インクの滲みが抑制されるので、結果として、転写ベルトからメディアに転写された水分含有インクの滲みも抑制される。このように、変形例8によっても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
 こうした転写型プリンタの一例として、図8に、インクジェットプリンタ300を示す。インクジェットプリンタ300において、プリントヘッド40、赤外線照射部60、及び転写部90を除く構成は、インクジェットプリンタ200と同様なので、これらの構成の説明は省略する。
 インクジェットプリンタ300における、プリントヘッド40及び赤外線照射部60の構成は、その配置が前後逆になっている点を除いて、インクジェットプリンタ200における、プリントヘッド40及び赤外線照射部60の構成と同様である。インクジェットプリンタ300において、赤外線照射部60及びプリントヘッド40は、副走査方向に沿って、この順番で、且つ、後述する転写ベルト91の一部に対して一定の距離となるよう、筐体などを介して固定式に配置されている。
 転写部90は、転写ベルト91、駆動ローラー92、及び押圧ローラー93を含む。
 転写ベルト91は、搬送機構10によるメディアMの移動と同期するように複数の駆動ローラー92により駆動される無限ループベルトである。転写ベルト91は、その一部がプリントヘッド40及び赤外線照射部60と対面し、別の一部がメディアMに接するように配置されている。
 転写ベルト91は、柔軟性ベルト(例えば、ゴムベルト)からなる支持層と、プリントヘッド40及び赤外線照射部60と対面する側の支持層の面に添付されている疎水性の剥離層とを含む。
 押圧ローラー93は、転写ベルト91とメディアMとの接点で、転写ベルト91を裏面からメディアMに押圧し、転写ベルト91上に塗布されている水分含有インクをメディアMに転写する。
 インクジェットプリンタ300の印刷処理では、印刷が開始されると、制御部80は、まず、搬送機構10を制御してメディアMを印刷開始位置まで移動させる。
 次に、制御部80は、搬送機構10を制御し、メディアMを副走査方向に沿って前方から後方に送り、これとともに、駆動ローラー92を制御し、転写ベルト91をメディアMの移動に同期して駆動させる。この結果、プリントヘッド40及び赤外線照射部60は、メディアMに対して相対的に副走査方向に沿って後方から前方に移動する(図8参照)。
 この移動中、制御部80は、プリントヘッド40が備えるノズルが水分含有インクを吐出する画素の位置(画像データにより指定される)に到達したタイミングで、当該プリントヘッド40を制御し当該ノズルから水分含有インクを吐出させる。こうして、転写ベルト91上に水分含有インクによる印刷層Pが形成される。
 また、この移動中、制御部80は、赤外線照射部60を制御し、点灯させ、転写ベルト91上の印刷層Pに向けて赤外線を照射させる。こうして、印刷層P内の水分含有インク中の水分の少なくとも一部が蒸発される。
 さらに、制御部80は、押圧ローラー93を制御して、転写ベルト91上の印刷層PがメディアMに差し掛かったところで、転写ベルト91を裏面からメディアMに向けて押圧し、転写ベルト91上の印刷層PをメディアMに転写する。
 以上により、画像データに示される画像全体がメディアMに印刷される。

 

Claims (7)

  1.  インクジェット用の水分含有インクを塗布対象に塗布するプリントヘッドと、
     2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を前記塗布対象に塗布された前記水分含有インクに照射して、前記水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させる赤外線照射部と、
     を備える、
     インクジェットプリンタ。
  2.  前記赤外線照射部は、0.3J/cm~3J/cmの積算エネルギーで、2.5~3.2μmの波長域の光を前記水分含有インクに照射し、前記水分含有インク中の水分を20質量%以上蒸発させる、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  3.  前記赤外線照射部は、LED又はレーザーダイオードを含む、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  4.  前記プリントヘッドとともに前記赤外線照射部を前記塗布対象に対して相対的に移動させる移動装置をさらに備える、
     請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
  5.  インクジェット用の水分含有インクをインクジェット方式で塗布対象に塗布する塗布工程と、
     前記塗布対象に塗布された前記水分含有インクに2.5~3.2μmの範囲内の波長を有する赤外線を照射して、前記水分含有インク中の水分の少なくとも一部を蒸発させる赤外線照射工程と、
     を備える、印刷物の製造方法。
  6.  前記塗布対象はメディアであり、
     前記赤外線照射工程で、前記水分含有インクが前記メディアに定着するまで、前記赤外線の照射により、前記メディア上の前記水分含有インクを乾燥させる、
     請求項5に記載の印刷物の製造方法。
  7.  前記塗布対象はメディアであり、
     前記赤外線照射工程の後に、前記水分含有インクが前記メディアに定着するまで、加熱器により、前記メディア上の前記水分含有インクを加熱する加熱工程をさらに備える、
     請求項5又は6に記載の印刷物の製造方法。

     
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