WO2020095405A1 - 生体分子分析用基板、生体分子分析用フローセル、及び生体分子解析方法 - Google Patents

生体分子分析用基板、生体分子分析用フローセル、及び生体分子解析方法 Download PDF

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Abstract

生体分子分析のスループット向上を図るため、位置合わせが可能かつ、高密度なスポットパターンを配置した基板、これを用いたフローセル、これを用いた解析方法を提供する。これを実現するため、本開示では、基板の表面に、生体分子が付着するスポットのパターンを備え、基板の表面の領域には第一の光学特性を有する第一の領域と第二の光学特性を有する第二の領域を備えた生体分子分析用基板を用いる(図18)。

Description

生体分子分析用基板、生体分子分析用フローセル、及び生体分子解析方法
 本開示は、生体分子分析用基板、生体分子分析用フローセル、及び生体分子解析方法に係り、例えば、生体関連物質を計測するための核酸分析用のスポットパターン基板の構成に関する。
 近年、核酸分析用装置においては、ガラス基板もしくはシリコン基板等を用いたフローセルに分析対象となるDNA断片を数多く担持して、これら数多くのDNA断片の塩基配列をパラレルに決定する方法が提案されている。この方法では、多数のDNA断片を担持したフローセル基板上の分析領域に、塩基に対応する蛍光色素付き基質を導入し、当該フローセルに励起光を照射して個々のDNA断片から発せられる蛍光を検出して塩基を特定する。
 また、多種類で大量のDNA断片を解析するため、通常、上記分析領域は複数の検出視野に分けられ、一回照射するごとに検出視野を変えて全ての検出視野で分析を行った後、ポリメラーゼ伸長反応を用いて新たな蛍光色素付き基質を導入し、上述と同様な操作で各検出視野を分析する。これを繰り返すことで効率よく塩基配列を決定することができる(特許文献1参照)。
 このような分析に用いられる基板が、特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1では、サンプルDNAが結合するスポットが基板上に格子配置されている。基板にはシリコンウェハが用いられ、スポットはフォトリソグラフィ技術とエッチング技術により作製される。シリコンウェハ上に疎水性のHMDS(Hexamethyldisilazane)層を形成した後、ポジ型フォトレジストを塗布する。フォトリソグラフィによりフォトレジストの所定の位置に開口部を設けた後、酸素プラズマによるエッチングにより開口部底のHMDSを除去する。その後、ウェハをアミノシラン気相中に保持し、開口部底にアミノシランを導入する。ウェハ上に保護膜としてレジストを塗布した後、ダイシング加工して基板を切り出す。切り出された基板上のレジストを有機溶剤による超音波洗浄で除去した後、ポリウレタン製接着材を介してカバーガラスを貼りつけ核酸分析用のフローセルを作製する。開口部底の膜(ここではアミノシランのスポット状の膜)のみを残し、その他をパターンマスク(ここではフォトレジスト)ごと除去するこのような方法はリフトオフと呼ばれる。HMDSよりも親水性が高くかつDNA固定可能なアミノシランをDNAボール固定スポットに用い、その他の領域にはDNAの吸着を防ぐ疎水性のHMDSを用いることで、DNAボール含む溶液を基板上に導入したときDNAボールは自然にスポット上のみに固定化される。
 特許文献2では、スライドガラス上にアミノシランをコーティングし、2価性の架橋試薬1,4-diphenylen-diisothiocyanateで活性化した後、カスタムスポッティング装置を用いて、5'末端がアミノ化されたDNAオリゴマーを格子状に配置している。この後、DNAオリゴマーとDNAサンプルをハイブリダイズさせてDNAサンプルを格子状に固定している。以上のように、フローセルの分析領域に、DNA断片試料を固定化するためのスポットが配置された基板の形成技術が開発され、実用化されている。
 上記のような核酸分析では、基板上に配置されたスポット上に固定されたDNAサンプルから発せられる蛍光を撮像し、画像処理によって塩基を特定する。このためには蛍光画像内の個々のスポットを正確に同定する必要がある。一般的に、同一の検出視野を撮像した蛍光画像同士であっても、視野を変えるための駆動装置の制御精度の限界によって、フローセル基板上の撮像位置がずれる。このため、あるスポットは、個々の蛍光画像内において異なる座標位置で撮像される。よって個々のスポットを正確に同定するためには、個々のスポットのフローセル基板上の座標位置を正確に求める必要がある。
 このような目的のために、基板上の位置を決めるための基準マーカを基板上に配置しておく方法が考えられるが、基板の変形やレンズ歪が発生する可能性がある。基板の変形やレンズ歪を補正するためには基準マーカを高密度に配置しておく必要があり、かつそれらの形態は位置を決定するために一意である必要がある。ただし、座標位置の精度を向上させるためにマーカの大きさや配置数を増やすほど、本来分析に使用するスポットを配置することができる領域が狭くなり、配置できるスポット数が低下するという課題がある。
 また、特許文献3には、スポットパターンそのものに位置情報を示すコードを持たせるという技術が開示されている。個々のスポットの位置を本来の一定間隔ピッチの格子配列から微妙にずれた位置に配置し、微妙にピッチの狭い配置や微妙にピッチの広い配置を様々な場所に備えることにより一意性を持たせ、これを認識することによりスポットの座標位置を決定する技術である。位置情報を示すコードを持たせたパターンの各々のスポットを、そのまま分析に用いることができるため、分析に使用するスポットの数が低下することもない。
 しかし、核酸分析においては、全てのスポットパターンにDNAサンプルが必ずしも固定されるとは限らず、また、塩基の種類と蛍光観察用光学フィルタの組み合わせにより、全ての蛍光画像にDNAサンプルのスポットの蛍光が撮像されるとは限らない。撮像された蛍光スポットが有する位置情報を示すコードは、欠落した不完全なものとなるため、特許文献3で開示されたコードパターン技術を、上記の核酸分析の基板に適用することは困難である。
 上記のような、画像内の位置情報を示す基準マーカや、コードパターンを検出するのではなく、基準画像との画像相関マッチングによって撮像画像の個々のスポットの位置を検出する方法がある。ここで基準画像とは、その画像上のスポットの座標としてその位置情報が既知であり、スポットの設計情報から生成される画像である。もしくは、個々の検出視野で複数枚撮像された画像のうちのどれか一つの画像を基準画像として、他の画像のスポットを、基準画像上のスポットと対応づけしても良い。
 しかしスポットパターンが格子状である場合、マッチングのために切り出される画像は、どの位置の画像も同じパターンにみえてしまうため、このパターンのスポットの位置情報のみでは画像相関による位置検出は困難である。そこで、位置合わせを可能とするようなスポットパターンの技術が提案されている。例えば、特許文献4には、格子パターンに対し疑似ランダムにスポットを欠損させたパターンにより、画像相関による位置合わせをする技術が開示されている。また、特許文献5には、スポットパターンをブロックに分割し、隣接するブロック同士が異なる回転角度をもつようにすることで画像相関による位置合わせを可能とする技術が開示されている。
米国特許出願公開第2009/0270273号明細書 米国特許出願公開第2009/0018024号明細書 米国特許第6663008号明細書 米国特許第8774494号明細書 米国特許第9566560号明細書
 しかしながら、特許文献3に示されるコードパターンを用いる場合と同様に、特許文献4で示される疑似ランダムな欠損パターンを用いる場合においても、全てのスポットパターンに必ずしもDNAサンプルが固定化されるとは限らない。このため、特許文献4で示される位置合わせ対象画像のパターンでは、それらと類似したランダムパターンが周囲に出現して、これらを誤認しやすく、そのために位置合わせの精度が落ちるという課題がある。欠損パターンを十分に認識できるようにスポット欠損数をさらに増加させ、欠損パターンの特徴を強調することもできるが、分析に使用できるスポットの数を低下させることになる。
 また特許文献5に開示されるスポットパターンでは、様々な角度の同一パターンが画像内に出現する。このため、例えば、全てのスポットパターンに必ずしもDNAサンプルが固定されるとは限らないような核酸分析に当該特許文献5に開示の技術を適用する場合には、位置合わせを行う2つの画像間の角度差を欠落した不完全なパターンから検出しなければならず、この際に検出精度が落ちるという課題がある。
 本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、例え一部のスポットパターンにはDNAサンプルが固定化されなくても位置あわせの精度が低下することなく、かつ分析に有効に使用できるスポットの数を低下させることもなく、かつ画像相関に基づく位置合わせを可能とする生体分子分析用基板(例えば、高密度スポットアレイパターン核酸分析用基板)を提供する。
 上記課題を解決するために、本開示による生体分子分析用基板は、
 基板と、
 基板の表面に形成された、生体分子が付着するスポットのパターンと、
 基板の表面に設けられた領域と、を備え、
 当該領域は、第一の光学特性を有する第一の領域と、第一の光学特性とは異なる第二の光学特性を有する第二の領域と、を含んでいる。
 また、本開示による生体分析用フローセルは、
 上記本開示による生体分子分析用基板と、
 中抜きシートと、
 生体分子分析用基板とは異なる第二の基板と、を備え、
 生体分子分析用基板と、中抜きシートと、第二の基板とを貼り合わせることにより構成されている。
 さらに、本開示による生体分子解析方法は、
 制御装置を含む生体分子分析装置によって生体分子を解析する生体分子解析方法であって、
 制御装置が、生体分子分析装置に載置された上記本開示による生体分子分析用基板の解析開始指示を受け取ることと、
 制御装置が、光源を制御して生体分子分析用基板に対して光を照射することと、
 制御装置が、生体分子分析用基板からの発光を撮像して得られる発光画像を取得することと、
 制御装置が、発光画像の一つ以上の位置から切り出した一つ以上の対象画像と基準画像の一つ以上の位置から切り出した一つ以上のテンプレート画像との間で位置合わせ処理を行うことと、を含んでいる。
 本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される請求の範囲の様態により達成され実現される。
 本開示によれば、位置の同定が可能なスポットを高密度に配置した基板により、核酸分析のスループットを向上させることが可能となる。
各実施例に係る、核酸分析装置の概略構成例を示す図である。 各実施例に係る、DNAの塩基配列の解読のための処理工程を示す図である。 各実施例に係る、フローセル上の検出視野の概念を説明するための図である。 各実施例に係る、個々の検出視野における4種類の蛍光画像の輝点の概念を示す図である。 各実施例に係る、塩基配列の決定の概念を示す図である。 各実施例に係る、サイクル間の位置ずれの概念を示す図である。 各実施例に係る、画像内で複数箇所の位置ずれ量を計測する概念を示す図である。 各実施例に係る、本開示の実施形態による生体分析用フローセル構成の一例を説明するための図である。 各実施例に係る、生体分子分析用基板の一例を説明するための図である。 各実施例に係る、格子パターンによるスポット配置の概念を説明するための図である。 実施例1に係る、表面に下地層が設けられていない基板を用いてスポットの位置合わせを行った例(1サイクル目)を示す図である。 実施例1に係る、表面に下地層が設けられていない基板を用いてスポットの位置合わせを行った例(2乃至4サイクル目)を示す図である。 実施例1に係る、表面に下地層が設けられていない基板を用いてスポットの位置合わせを行った例(1乃至4サイクル目の位置合わせの結果)を示す図である。 実施例1に係る、表面に下地層が設けられていない基板を用いてスポットの位置合わせを行った例(位置合わせの結果を元の発光画像と照合)を示す図である。 実施例1に係る、膜厚の異なる2つの領域を有する基板の製造フローを示す図である。 実施例1に係る、膜厚の異なる2つの領域を有する基板を上面からみたレイアウトを示す図である。 実施例1に係る、フィルタキューブの波長特性の調整と、励起波長、観測波長の関係性の概念を説明する図である。 実施例1に係る、膜厚の異なる2つの領域を有する基板を、波長特性が調整されたフィルタキューブで撮像した結果を説明する図である。 実施例2に係る、4種の蛍光体:FAM、Cy3、TxR、Cy5の励起波長と蛍光波長を示す図である。 実施例2に係る、短波長域、中域、長波長域における、膜厚に対する反射干渉光強度の変化の様子を説明する図である。 実施例2に係る、屈折率の異なる2つの領域を有する基板の製造フローを示す図である。 実施例2に係る、光学特性の異なる2つの領域を有する2種類の基板(下地層を有する領域と下地層の無い領域を有する基板、ならびに、下地層に屈折率の異なる2つの領域を有する基板)を、波長特性が調整されたフィルタキューブで撮像した結果を説明する図である。 実施例2に係る、膜厚の異なる2つの領域を有する基板を、2次元センサの感度のレンジを変えて撮像した結果(FAMに対応するフィルタキューブを用いて撮像された例)を説明する図である。
 以下、添付図面を参照して本開示の実施形態および実施例について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った具体的な実施例と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。すなわち、本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
 以下説明する種々の実施例では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。また、各種の実施例による生体分子分析用基板(核酸分析用基板)は、DNA断片を測定・解析対象としているが、DNAの他、RNAやたんぱく質等を対象としても良く、生体関連物質の全般に適用可能である。
 以下、本開示の種々の実施例を図面に従い順次説明するが、まず複数の実施例に共通する核酸分析装置(核酸解析装置ともいう)の概略構成、DNAの塩基配列の解読処理、生体分子分析用フローセル(核酸分析用フローセル)の構成、生体分子分析用基板(核酸分析用基板)の構成等について説明する。
 <核酸分析装置の構成例>
 図1は、各実施例に係る生体分子分析用基板(核酸分析用基板)を用いる核酸分析装置の概略構成例を示す。核酸分析装置100は、フローセル109と、送液系と、搬送系と、温調系と、光学系と、コンピュータ119と、を有する。フローセル109は、後述する各実施例の生体分子分析用基板を備えている。
 送液系は、フローセル109に試薬を供給する手段を提供する。送液系は、複数の試薬容器113を収容する試薬保管ユニット114と、試薬容器113へアクセスするノズル111と、上記試薬をフローセル109へ導入する配管112と、DNA断片と反応した試薬等の廃液を廃棄する廃液容器116と、廃液を廃液容器116へ導入する配管115と、を備えている。
 搬送系は、後述するフローセル109の分析領域120を所定の位置に移動させるものである。搬送系は、フローセル109が置かれたステージ117と、同ステージを駆動する駆動用モータ(図示しない)と、を備える。ステージ117は、同一平面内において直交するX軸およびY軸の各方向に移動可能である。なお、ステージ117は、ステージ駆動用モータとは別の駆動用モータにより、XY平面に直交するZ軸方向への移動も可能である。
 温調系は、DNA断片の反応温度を調整するものである。温調系は、ステージ117上に設置され、分析対象であるDNA断片と試薬の反応を促進させるための温調プレート118を備えている。温調プレート118は、例えば、ペルチェ素子などにより実現される。
 光学系は、後述するフローセル109の分析領域120に励起光を照射し、DNA断片から発せられる蛍光を検出する手段を提供する。光学系は、光源107と、コンデンサレンズ110と、励起フィルタ104と、ダイクロイックミラー105と、バンドパスフィルタ103と、対物レンズ108と、結像レンズ102と、2次元センサ101と、によって構成される。励起フィルタ104と、ダイクロイックミラー105と、バンドパスフィルタ(吸収フィルタとも称する)103は、フィルタキューブ106内に設置されている。バンドパスフィルタ103と励起フィルタ104とダイクロイックミラー105と、の光学設計によって特定の波長帯域の光を透過(あるいは反射)させる波長特性が決まる。フィルタキューブ106は、分析対象であるDNA断片の塩基種類に対応して、波長特性の異なるものに変更して用いることができ、一方、後述するように、フローセル109の分析領域120に備えられている光学特性の異なる二種の領域を撮像して位置を確認するために、これに適した波長特性のものに変更することも可能である。
 ここで、光学系における励起光の照射の流れを説明する。光源107から発せられる励起光は、コンデンサレンズ110で集光され、フィルタキューブ106に入射する。入射した励起光は、励起フィルタ104により特定の波長帯域のみが透過する。励起光とは、DNA断片の塩基種類を解析するために導入される基質に付加された蛍光色素を励起するための光であるが、後述するように、分析領域120に備えられた光学特性の異なる二種の領域を確認するための照明光として、この励起光を利用することも可能である。励起フィルタ104を透過した光は、ダイクロイックミラー105で反射され、対物レンズ108によって、フローセル109の基板上の分析領域120に照射される。
 次に、光学系における蛍光検出の流れを説明する。励起光によって、フローセル109の基板上の分析領域120に固定されたDNA断片に取り込まれた4種の蛍光体のうち、特定の波長帯域に対応する蛍光体が励起される。励起された蛍光体から発せられる蛍光は、ダイクロイックミラー105を透過し、バンドパスフィルタ103により特定の波長帯域のみが透過され、結像レンズ102によって、2次元センサ101上に蛍光スポットとして結像する。なお、スポット上に固定化されたDNA断片だけでなく、後述するように、分析領域120に備えられた光学特性の異なる二種の領域が発する光(蛍光ではなく干渉光または反射光)を撮像しこれらの領域を確認する場合にも、上記の同じ2次元センサ101を用いることができる。
 なお、本実施形態では、特定の波長帯域によって所望の蛍光体が効率よく励起されるように設計されており、この蛍光体の種類との対応によって4種類の塩基をそれぞれ識別できるものとする。また、この4種類の蛍光体を順次検出でき、かつ分析領域120に備えられた光学特性の異なる二種の領域も確認することができるように、照射光と検出光との波長帯域に応じてフィルタキューブ106が複数用意されているものとする。また、フィルタキューブ106を交換するのではなく、例えば、励起フィルタ104やバンドパスフィルタ103をそれぞれ独立に変更できる機構を備えた光学系も設計・製作可能であるが、何れの機構を採用しても本開示の基本的な思想に影響を及ぼすことはない。4種類の蛍光体を検出するための個々のフィルタキューブ106内の励起フィルタ104とダイクロイックミラー105と、バンドパスフィルタ103とは、それぞれの蛍光体を高感度で検出できるように波長帯域が設計されているものとする。
 コンピュータ119は、通常のコンピュータと同様、プロセッサ(CPU等)と、記憶デバイス(ROMやRAM等の各種メモリ)と、入力装置(キーボード、マウス、タッチパネル、機械スイッチ、マイク等)と、出力装置(プリンタ、ディスプレイ、スピーカ等)と、を備える。当該コンピュータ119は、上述の送液系、搬送系、温調系、及び光学系の制御を行う他、光学系の2次元センサ101で検出された光より生成された画像を解析し、個々のDNA断片の塩基識別を行う制御処理部として機能する。ただし、上述の送液系、搬送系、温調系、及び光学系の制御や、画像解析、塩基識別は、必ずしも1つのコンピュータ119で制御されなくてもよく、処理負荷の分散や、処理時間軽減などの目的で、複数のコンピュータによって行われてもよい。
 <DNA塩基配列の解読方法>
 図2から4を参照してDNAの塩基配列の解読方法について説明する。なお、後述するように、DNA断片が増幅(複製)されて密集した分析対象物(DNA断片の増幅産物)が、フローセル109の基板上の分析領域120に予め高密度にアレイ配置されているものとする。DNA断片の増幅には、一例としては特許文献2で示される環状DNAテンプレートを増幅する方法などの既存技術を用いてよい。
 図2は、DNAの塩基配列の解読のための処理工程を示す図である。解読のための全体のラン(S21)は、サイクル処理(S22)をM回繰り返すことで行われる。Mは求めたい塩基配列の長さであり、予め決められている。個々のサイクル処理は、k(k=1~M)番目の塩基を特定するための処理であり、以下に述べるケミストリ処理(S23)と、イメージング処理(S24)とに分けられる。
(A)ケミストリ処理:塩基を伸長するための処理
 ケミストリ処理では、以下の手順(i)及び(ii)が行われる。
(i)先頭サイクル以外のサイクルであれば、直前サイクルの蛍光標識ヌクレオチド(後述)の蛍光標識をDNA断片から切断除去し、洗浄する。この切断除去のための試薬は、配管112を介してフローセル109の基板上の分析領域120に導入される。洗浄後の廃液は、配管115を介して廃液容器116へ排出される。
(ii)蛍光標識ヌクレオチドを含む試薬が、配管112を介してフローセル109の基板上に流される。温調プレート118によりフローセルの温度を調整することにより、DNAポリメラーゼによる伸張反応が生じ、反応スポット上のDNA断片に相補的な蛍光標識ヌクレオチドが取り込まれる。
 ここで、蛍光標識ヌクレオチドとは、4種類のヌクレオチド(dCTP、dATP、dGTP、dTTP)が、それぞれ4種類の蛍光体、例えば、FAM(Fluorescein Amidite)、Cy3、TxR(Texas Red)、Cy5により標識されたものである。上記4種類の蛍光体の少なくとも1種以上に上記と異なる蛍光体を用いても、それは、蛍光体の選択ならびに波長帯域設計上の事項であり、本開示の基本的な思想に影響を及ぼすことはない。上記4種類の蛍光体を用いる場合、それぞれの蛍光標識ヌクレオチドは、FAM-dCTP、Cy3-dATP、TxR-dGTP、Cy5-dTTPと記される。これらのヌクレオチドは、DNA断片に相補的に取り込まれるため、実際のDNA断片の塩基がAであればdTTPが、塩基CであればdGTPが、塩基GにはdCTPが、塩基TであればdATPがそれぞれ取り込まれる。すなわち、蛍光体FAMは塩基Gに、Cy3は塩基Tに、TxRは塩基Cに、Cy5は塩基Aにそれぞれ対応する。なお、各蛍光標識ヌクレオチドがDNA断片に取り込まれた直後に、さらに次の塩基にも連続して取り込まれ、伸張が2ステップ以上進んでしまうことがないように、3'末端がブロックされた形態となっており、上記手順(i)に記載したように蛍光標識をDNA断片から切断除去する際に、このブロックが解除されるようになっている。
(B)イメージング処理:蛍光画像を生成する処理
 イメージング処理(S24)は、以下に説明する検出視野毎のイメージング処理(S25)をN回繰り返すことで行われる。ここでNは検出視野の数である。
 図3は、検出視野の概念を説明するための図である。検出視野121は、分析領域120の全体をN個に分けたときの個々の領域に相当する。検出視野121の大きさは、1回の蛍光検出により2次元センサ101で検出できる領域の大きさであり、光学系の設計により定められる。イメージング処理では、基本的には、個々の検出視野121に対して4種類の蛍光体に対応した画像が生成される。
(B-1)検出視野毎のイメージング処理
 検出視野イメージング処理(S25)では、以下の手順(i)から(iv)が行われる。
(i)蛍光検出を行う検出視野121の位置にステージ117を移動する(S26)。
(ii)フィルタキューブ106を、まず、蛍光体(FAM)に対応したセットに切り替える(S27)。
(iii)励起光を照射し、このとき検出視野121より発せられる光を2次元センサ101で検出することにより、FAMに対応した画像を生成する。
(iv)他の種類の蛍光体(Cy3、TxR、Cy5)に対しても、順次、手順(ii)及び(iii)を実行する。
 以上の処理を実行することにより、検出視野毎に、4種類の蛍光体(FAM、Cy3、TxR、Cy5)に対応した画像が生成される。これらの画像には、個々のスポットにアレイ状に固定されたDNA断片(の増幅産物)の塩基種類に応じた蛍光体の信号が輝点として現れる。すなわち、FAMに対応した画像で検出されるスポットは塩基A、Cy3に対応した画像で検出されるスポットは塩基C、TxRに対応した画像で検出されるスポットは塩基T、Cy5に対応した画像で検出されるスポットは塩基G、と判定される。
 なお、後述するように、この4種類の画像には、個々のスポットに固定されたDNA断片の塩基種類に応じた蛍光体の輝点の信号だけでなく、検出視野の正確な位置を確認するためのマーカ図形も併せて撮像された画像が生成される場合もある。また一方、後述するように、場合によっては、フィルタキューブ106を上記4種類の蛍光体に対応したものとは異なる透過特性を有するものに切り替え、スポットの下地膜のマーカ図形の画像を別途生成し、これを利用して検出視野の正確な位置を確認することもできる。
 図4は、個々の検出視野における4種類の蛍光画像のスポットの概念を示す図である。図4(a)に示すように、例えば、あるサイクルにおけるある検出視野(所定の検出視野)においてP1からP8の8つの位置にスポットがあり、それぞれの塩基がA、G、C、T、A、C、T、Gであるとする。このとき、4種類の蛍光体(FAM、Cy3、TxR、Cy5)に対応する画像には、図4(b)から図4(d)に示されるように、P1からP8の位置において、対応する塩基種類に応じた蛍光スポットが検出される。P1からP8の位置は、4つの蛍光画像で同一である。ただし、光学系の設計(機械的設計や光学的設計)によっては、波長毎に(あるいはフィルタキューブ毎に)光路のずれが生じることもあり、厳密には同一ではない可能性がある。このため、必要に応じて後述する位置合わせ処理を行うことにより4種類の蛍光画像のスポット位置を同一にすることができる。ただし、それぞれの蛍光体に対応するフィルタの波長特性が互いに重なり合うクロストークが存在している場合には、ある塩基種類のスポットが二つ以上の蛍光画像で観測される。このときの塩基種類は、4種類の蛍光画像の信号強度の比によって識別することができる。また、それぞれの蛍光体に対応する、励起波長、蛍光波長、ならびにフィルタ特性の設計によって、励起光の一部を、例えばスポットの下地膜に備えられたマーカ図形を確認するための照明光として、図1に示した2次元センサ101に入射させることもできる。その場合には、バックグラウンドオフセットとして扱うことができ、これを差し引いたスポットの信号強度によって対象とする塩基であるかどうかを識別することができる。
 以上によって、検出視野121内の個々のスポットに対応した塩基種別が判定される。
(C)サイクル処理の繰り返し
 以上のサイクル処理を、所望の塩基配列の長さMの数だけ繰り返すことで、個々のスポットに対して、長さMの塩基配列を決定することができる。
 図5は、この塩基配列の決定の概念を示す図である。図5に示すように、個々のスポット(塩基配列ACGTATACGT...を持つDNA断片)において、あるサイクル(#N)のケミストリ処理によって一塩基分伸張させると、例えばCy3-dATPが取り込まれる。この蛍光標識ヌクレオチドは、イメージング処理において、Cy3に対応した画像上の蛍光スポットとして検出される。同様に、サイクル(#N+1)ではCy5に対応した画像上の蛍光スポットとして検出される。サイクル(#N+2)ではTxRに対応した画像上の蛍光スポットとして検出される。サイクル(#N+3)ではFAMの蛍光画像上のスポットとして検出される。以上のサイクル#Nから、サイクル#N+3までのサイクル処理によって、このスポットにおける塩基配列はTACGと決定される。
 <スポットの位置合わせ>
 前述のように、分析対象物であるDNA断片は、フローセル109の基板上にアレイ配置されたスポットに固定された状態で撮像され、各サイクルの4つの画像上に輝点として観測される。このとき、核酸分析装置100は、各サイクルで同一の検出視野を繰り返し撮像している。ただし、各サイクルでは、ステージ117を移動させて検出視野を変えて撮像している。このため、同一の検出視野に対して、異なるサイクルの間では、ステージの移動に伴う位置ずれが生じる。この位置ずれは、ステージ117の制御誤差に起因するものである。
 図6は、このサイクル間の位置ずれの概念を示す図である。図6は、ある検出視野に対して、(a)のNサイクル目と(b)の(N+1)サイクル目とで、ステージ制御誤差により撮像位置がずれている様子を示している。このとき、Nサイクル目の画像上におけるDNA断片位置(P1~P8)は、(N+1)サイクル目の画像上では異なる位置(P1'~P8')として検出される。ただし、これらの輝点はそれぞれ全て同じDNA断片からのものである。従って、個々のスポットの塩基配列を正しく決定するためには、各々の画像のスポット間の位置ずれを補正する必要がある。
 このような位置ずれを補正するためには、共通の基準画像に対して、各画像の位置合わせを行う必要がある。ここで、基準画像とは、スポットの位置座標系に用いる共通の画像である。例えば、スポットの位置やこれらに対応付けられた何らかのマーカ図形の位置などが設計情報として既知であれば、この設計情報より基準画像を作成してもよい。一例としては、スポット位置(x,y)を中心としスポットサイズに応じて予め定義された分散の2次元ガウス分布に従う輝度の画像と、同様の境界ぼけを定義したマーカ図形との組み合わせ画像を作成すればよい。あるいは、撮像された実画像のいずれかを元にして基準画像を作成してもよい。一例としては、先頭サイクルの個々の検出視野の画像を基準画像とし、2サイクル目以降のそれぞれの検出視野の画像をこの基準画像に位置合わせしてもよい。
 画像間の位置合わせには、既知のマッチング技術を適用できる。一例として、基準画像の一部を切り出した画像をテンプレート画像t(x,y)として、入力画像の一部を切り出した対象画像f(x,y)との相互相関関数m(u,v)を求め、これの最大値を与えるS_1=(u,v)を位置ずれ量とすることができる。ここでt(x,y)の一例としては、基準画像の中心における256画素×256画素の画像が挙げられる。同様にf(x,y)の一例としては、入力画像の中心における256画素×256画素の画像が挙げられる。位置ずれ量の計算には、相互相関関数の代わりに、明るさの違いを考慮した正規化相互相関を用いてもよいし、位相に限定された相関を用いても良い。なお、画像間の角度のずれ量を検出する場合には、画像を極座標変換することで、角度方向を水平方向に変換した画像に対して、上記の相互相関や位相限定相関を同様に適用できる。
 また、この位置ずれ量は、画像の歪の度合いに応じて複数点求めてもよい。図7は、後述の各実施例に係る、画像内で複数箇所の位置ずれ量を計測する概念を示す図である。例えば、画像に歪がなく、全画素に対して同一の位置ずれ、即ちステージによる一様なずれのみを仮定できる場合には、図7(a)の左図に示す位置ずれ量S_1(u,v)を適用することができる。
 一方、例えば、画像に歪があり、位置ずれ量が画像内の位置によって異なる場合(フローセル109や光学系のいずれかの部品等が何らかの理由によって変形している等の理由により、位置ずれが一様でない場合など)には、図7(a)右図に示すように、位置ずれ量を求める画像内のn個の複数点を定めておき、この複数点における位置ずれ量S_1、S_2、・・・S_nを求めて適用することができる。各点における位置ずれ量の計算には、基準画像、入力画像における各点の位置を中心とした画像を切り出し、それぞれをテンプレート画像、対象画像とし、上述のように相関が最大となる位置ずれ量を計算すればよい。そして、得られたn個の位置ずれ量を基に、例えばアフィン変換や多項式変換の係数を最小二乗法で求めることで任意画素位置の位置ずれ量を定式化することができる(図7(b)参照)。
 <フローセル及び生体分子分析用基板(核酸分析用基板)>
(A)核酸分析用フローセル(生体分子分析用フローセル)
 図8は、本開示の実施形態による生体分析用フローセル109の構成例を示す図である。フローセル109は、例えば、核酸分析用基板801、中央部がくり抜かれた中抜き部803を持つ中抜きシート802、およびカバーガラス804を貼り合わせることにより実現することができる。フローセル109の流路は、中抜き部803と核酸分析用基板801とカバーガラス804で囲まれた中空部によって形成される。また、注入口807と排出口808が液の出入口となる。なお、同図では、核酸分析用基板801の穴が注入口807、排出口808となっているが、別の形態では、カバーガラス804に設けた穴を注入口、及び排出口としても良い。また、さらなる別の形態として、中抜きシート802の側面に開けられた穴を注入口、及び排出口としても良い。
(B)核酸分析用基板(生体分子分析用基板)
 核酸分析用基板801には、分析領域805内にDNA断片を固定されるためのスポット806が形成されている。基板上のスポットの形成には、特許文献1や特許文献2で示される既知の技術を用いてもよい。また、一例として、図9に示すように、スポット以外の領域にブロッキング層(膜)903を備えることで、スポットに対するDNAサンプルの固定割合を高めてもよい。図9では基板901上にスポット902が形成され、このスポット902上にアミノ基を含むコーティング膜(層)904が形成されて、スポット902がない領域上にブロッキング層903がコーティングされている。この基板にDNAサンプルを含む溶液を接触させることで、スポット上にDNAサンプルを高い固定率で固定することができる。
 基板901に用いられる材料としては、特に制限なく、例えば、シリコン、ガラス、石英、サファイア、フェライトやアルミナ他各種セラミック、ダイヤモンドなどの無機材料、またはアルミニウム、SUS、チタン、鉄などの金属材料、またフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、透明ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂 ポリアミド、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、などの樹脂材料及びこれらの混合材料やガラス繊維や炭素繊維強化無機材料を用いることができる。これらの材料のなかで、DNAサンプルを蛍光で分析する場合や、分析中に温度の上げ下げが行われる場合などは、自家蛍光が低く、熱膨張係数が小さく、且つ分析溶液に対する耐性が高いシリコン、ガラス、石英、SUS、チタンなどを用いることができる。
 スポット902は、特許文献2に示されるようなスポッティング、あるいは特許文献1に示されるようなリストオフなどの既知の技術を用いて形成することができる。用いられる材料としては、基板上に共有結合などの化学結合を介して形成できるようなものが良い。このような材料としては、例えば、基板表面に酸化膜を持つシリコン、ガラス、石英、サファイア、フェライトやアルミナ他セラミック、などの無機材料を用いることができる。また、アルミニウム、SUS、チタン、鉄などの金属材料を用いる場合には、シランカップリング材を用いることができる。また、シランカップリング材のなかでも、共有結合を介してアミノ基を含むコーティング膜を形成できるような反応性が高い官能基を持つものが良く、この様な官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基を分子内に持つエトキシシランやメトキシシランなどが挙げられる。
 一つのスポット902に複数種類のDNAサンプルが固定されると、複数種類のDNAサンプルからの蛍光色素が検出されるため、正しく塩基を識別できなくなる。一方、スポット902のサイズが小さいと溶液中のDNAサンプルとの接触確率が低下し、スポットへのDNAサンプルの固定率が低下して、データ数が低下する。結果として、塩基配列決定のスループットが低下することになる。従って、スポット902の直径は、DNAサンプル一種(DNA複製産物一個)のみが高い確率で固定できるような、DNAサンプルの半分よりも大きいようなサイズが良い。この様なサイズは、増幅されるDNA断片のサイズや増幅数に依存する。一般に、DNA断片としては、そのサイズが50nm未満を用いることが多いが、特許文献1や特許文献2に示されるようなDNA増幅産物のサンプルは、そのサイズが50nm以上と大きい。このようなDNAサンプルを用いる場合には、スポット902のサイズとしては、直径50nm以上1000nm未満程度とすることができる。
 スポットの中心と中心の間の距離であるピッチは、少なくとも用いるDNAサンプルのサイズよりも若干大きい方が良い。ピッチがDNAサンプルのサイズよりも小さいと複数のスポットにまたがって固定されてしまうため、先の塩基識別が困難となる問題が生じる。一方、ピッチが大きすぎると固定されるDNAサンプルの密度が下がってしまい、一度に分析できるDNAサンプルの個数が減ってしまう。従って、ピッチはスポットサイズと同様に50nm以上1000nm未満とすることができる。
 ブロッキング層903は、DNAサンプルの基板901への吸着を防ぎ、且つDNAサンプルの基板へのアクセシビリティを高めてスポットへのDNAサンプル固定率を高められるものが良い。この様な材料としては、既知の例としては、末端がポリエチレングリコールやカルボン酸で処理されたシランカップリング材などが挙げられる。
 アミノ基を含むコーティング膜904は、DNAサンプル固定時にDNAサンプルとスポット上の官能基との接触率を高めるとともに、分析中にDNAサンプルがはがれないようにするため、表面のアミノ基密度が高い材料を用いることができる。この様なコーティング膜を形成する方法としては、スポット上に導入された官能基と一分子内に複数のアミノ基を持つポリアミン類を反応させる方法がのぞましい。この様なポリアミンとしては、スペルミジン、プトレシン、スペルミンなどが挙げられるが、分子内に存在するアミノ基が多い点で樹状高分子が特に好ましい。この様な樹状高分子としてはポリアミドアミンデンドリマーなどが挙げられる。ポリアミドアミンデンドリマーはアルキルジアミンのコアと三級アミンの分岐構造からなる。コアと分子としては、エチレンジアミン、1,12-ジアミドデカン、1,4-ジアミノブタン、シスタミン、1,6-ジアミノヘキサンなどがある。樹状分子は、コア分子を取り巻く世代を増やすことで分子内の官能基を指数関数的に増やすことができる。本開示の例では、第一世代以降の樹状分子を用いることで、コーティング表面のアミノ基密度を大きく増やすことができる。
 これらのポリアミン類は、スポット上の官能基と共有結合を形成している方が、スポットとコーティング膜の界面でのはがれを防止できる。この様なスポットを形成する材料としては、分子内にアミノ基と反応可能な官能基を持つ材料を用いることができ、例えば、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソチオシアヌレート基、イソシアネート基、イソシアヌレート基などを持つシランカップリング材、アルケン類、アルキン類などが挙げられる。また、スポット表面に反応性官能基を導入した後、多価性の架橋試薬を用いて、スポット上にアミン反応性の官能基を導入しても良い。この様な、アミン反応性の官能基としては、例えば、イソチオシアヌレート基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、スルフォニルクロライド基、アルデヒド基、カルボジイミド基、アクリルアジド基、ルオロベンゼン基、カルボネート基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イミドエステル基、エポキシ基、フルオロフェニルエステル基、酸無水物などが挙げられる。
 <生体分子分析用(核酸分析用)パターン配置ならびに画像位置合わせ用マーカ配置>
 前述のように、生体分子分析用基板(核酸分析用基板)上のスポットは、その数が多いほど塩基配列を決定できるDNA断片数が増すため、分析のための計測スループットが向上する。しかし個々のスポットの塩基種類を識別するためには、スポットのサイズやスポット間の最小ピッチに制約がある。高密度にスポットを配置するパターンとしては、図10(a)に示す正方格子パターン1001や図10(b)に示す六方格子パターン1002などが挙げられる。しかしこれらの格子パターンは周期的であるため、スポットパターンに一意性がない。すなわち図10(c)に示すように、スポットパターンのある位置の領域を切り出したスポットパターン画像1003と、別の位置の領域のスポットパターン画像1004とが設計上は全く同一であり、また、実際に取得した画像に何らかの欠損や固定位置のずれなどの特徴があったとしても酷似したものになる。このようにスポットパターンに一意性がない場合、前述の画像位置合わせにおいて、ある位置のスポットパターン画像を別の位置のスポットパターン画像と誤検出してしまう可能性があるため、正確に位置ずれ量を算出することができない。
 一方、スポットを何らかのルールに従って削除し、これにより一意性を持たせる、言い換えると、削除した部分をマーカとして用いることにより位置を認識しようとする場合、削除するパターンが擬似ランダム状であれ、あるいは何らかの意味のある図形や記号であれ、何れにせよ、一意性、認識性を増すためにスポット削除数を増すほど、分析に使用できるスポットの数が減少することになり、計測のスループットが低下する。
 以下、画像相関に基づく位置合わせを可能とし、位置合わせの性能がスポットパターンに固定されるDNAサンプルの固定率によらず幅広く対応でき、かつ、位置の認識のために分析に利用できるスポットの数を減少させることもないような生体分子分析用基板(核酸分析用基板)の実施例1から3について説明する。
 実施例1は、表面に下地層が設けられた基板の表面に、生体分子が付着するスポットのパターンが形成され、基板の表面の領域が第一の光学特性を有する第一の領域と第一の光学特性とは異なる第二の光学特性を有する第二の領域からなる構成の生体分子分析用基板、及びそれを用いた解析方法に関する。本実施例による生体分子分析用基板では、生体分子が付着するスポットのパターンが形成されている基板の表面の下地層は、第一の膜厚の第一の領域と第二の膜厚の第二の領域によって構成される。
 また、実施例1では、表面に下地層が設けられた基板の表面に、生体分子が付着するスポットのパターンが形成され、下地層が第一の膜厚の第一の領域と第二の膜厚の第二の領域を含む生体分子分析用基板に対して光を照射する工程と、基板からの発光を撮像した発光画像の一つ以上の位置から切り出した一つ以上の対象画像と基準画像から切り出した一つ以上のテンプレート画像との間で位置合わせ処理を行う工程と、を含む解析方法についても説明する。
 <比較例の基板について>
 まず、比較の対象として、図11に、表面に下地層が設けられていない基板の表面に生体分子が付着するスポットのパターン(一例として、正方格子配列)が形成された基板を用いて位置合わせを行った例を示す。ここでは、比較的ピッチ間隔の広い、ピッチ=1000ナノメートルのパターンを用いて試行することとし、また、核酸分析装置100のフィルタキューブ106には、前述の蛍光体:FAM、Cy3、TxR、Cy5、に対応するために標準的に設計された4種を設置し、フィルタキューブの変更による光路のずれが無いようにするために、試行の直前にその設置状態を調整した。光路ずれの調整は、例えば、FAM、Cy3、TxR、Cy5用のどのフィルタキューブも透過できる蛍光波長帯域の広い蛍光体(上記4種蛍光体の混合物でも良い)を含有する材料で視野内に調整用パターンを設けた調整用基板を用い、4種のフィルタキューブのいずれにおいても調整用パターンが視野内の正しい位置に観察されるようにする、等の方法で行うことができる。このとき、視野を変えるためのステージ117は停止したままとした。
 図11(a)は、DNAサンプルの含有数が十分に多い溶液を用いてスポット上へのDNAサンプルの固定を行った例を示し、図11(b)は、DNAサンプルの含有数をあえて少なくした希薄な溶液を用いてスポット上への固定を行った例を示している。
 図11(a)の、上側の4つの画像は、FAM、Cy3、TxR、Cy5のそれぞれに対応したフィルタキューブを用いて撮像された発光画像の中心の領域から切り出した対象画像の例を示している。下側の画像は、上側の4つの画像の合成画像であり、DNAサンプルが固定されている位置を示している。但し、合成処理を行う際に画像を確認したところ、上側の4つの画像のうち、Cy5に対応する画像だけが1000ナノメートルだけ右方向にずれていた。これは、FAM→Cy3→TxR→Cy5とフィルタキューブを一通り変更したことにより、初期調整時に対しわずかに光軸がずれたことによるものと考えられる。しかしながら、図11(a)は、DNAサンプルの固定数が十分に多い状態で撮像したものであったため、ずれていることが明確に認識でき、Cy5に対応する画像だけを1000ナノメートル左方向にずらすことで正しい画像に合成できた。こうして、図11(a)の下図に示す発光画像を2サイクル目以降のテンプレート画像とすることにした。
 また、図11(b)の、上側の4つの画像もまた、同様にFAM、Cy3、TxR、Cy5のそれぞれに対応したフィルタキューブを用いて撮像したものである。DNAサンプルの固定数をあえて少なくした条件で撮像された発光画像の中心の領域から切り出した対象画像であり、下側の画像は、上側の4つの画像の合成画像である。但し、図11(b)では、DNAサンプルの固定量が少なく、蛍光の輝点が少ないため、4つの画像のどれかにずれている画像があっても見分けがつかない。従って、合成画像が本当に正しい画像であるのかどうか確証が無い。しかしながら、本実施例との比較のため、一旦、図11(b)の下図に示す発光画像も、2サイクル目以降のテンプレート画像とすることにし、2サイクル目以降の画像の確認を進めることにした。2サイクル目以降の画像を得るにあたっては、核酸分析装置100のステージ117を一通り他の視野に移動させ、再び同一の視野に戻っては次のサイクルの画像を撮像する操作を繰り返し行った。
 図12(a)から(c)は、2サイクル目から4サイクル目の合成画像例を示す図である。各々左側には、前述のDNAサンプルの固定数が多い条件、各々右側には、前述のDNAサンプルの固定数が少ない条件の画像を示している。但し、3サイクル目の左側の図の合成処理を行う際、図11(a)の場合と同様に、Cy5に対応する画像のずれが確認された。Cy5に対応する画像が1000ナノメートルだけ、今度は左側にずれていた。このため、3サイクル目の左側の図においては、Cy5に対応する画像を右側に1000ナノメートルだけずらすことにより合成画像を作成した。
 図12(a)から(c)は、それぞれ左側のDNAサンプルの固定数が多い条件の3枚の画像、ならびに、それぞれ右側のDNAサンプルの固定数が少ない条件の3枚の画像を示している。これらの画像について、図11(a)及び(b)をそれぞれテンプレート画像として、画像相関マッチングによる位置合わせを試行した。図13は、画像相関マッチングによる位置合わせ処理によって得られた結果を示している。DNAサンプルの固定数が多い条件の3枚の画像を用いた結果を図13の左側に、DNAサンプルの固定数が少ない条件の3枚の画像を用いた結果を図13の右側に示してある。
 この画像相関マッチングの結果が正しい結果であるかどうかを確認するために、対象画像を切り出した元画像である発光画像のデータから、対象画像の周辺部を含めたもう少し広い領域の画像(図14)を作成し、照合した。その結果、DNAサンプルの固定数が多い条件(左側)では、2サイクル目と4サイクル目の画像が、よく似た別の位置の画像と誤認されていることが判明した(画像相関マッチングで位置合わせされた場所を図中に実線で示した)。一方、DNAサンプルの固定数が少ない条件(右側)では、あたかも正しく位置合わせができているかのように解釈できた。但し、DNAサンプルの固定数が少ない条件(右側)では、上に述べたように、そもそもテンプレート画像自体が本当に正しいかどうかの確証が無いため、1サイクル目から4サイクル目の4枚の画像において、いずれかのフィルタキューブを用いて撮像した画像が全て同方向にずれ、4つの合成画像がたまたま一致している可能性もある。つまり、もう何サイクルか位置合わせを続けると、DNAサンプルが固定されていないはずと認識されている位置に輝点が現れるなどの矛盾が生じる可能性がある。
 以上、本開示の実施例の比較の対象として、表面に下地層が設けられていない基板の表面に、生体分子が付着するスポットのパターン(正方格子配列)が形成された基板を用いて位置合わせを試行したところ、種々の課題が確認された。例えば、4種の蛍光体からの発光画像を合成する場合に、フィルタキューブを変更して撮像するため、その機械的設計や光学的設計によっては4種の蛍光体からの発光画像の位置にずれが生じる場合がある。しかしながら、このようなずれが生じても、DNAサンプルの固定数が多い場合には、輝点の数が多いため、4種の輝点の配置のつじつま合わせを行えば、正しい合成画像を作成することが出来る場合もある。一方、DNAサンプルの固定数が少なくなるほど、輝点が存在しない場所が多くなり、取得した4つの発光画像データから正しい合成画像を作成することが困難になる。たとえ正しい合成画面が得られたとしても、核酸分析装置100のステージ117を移動させながら様々な視野を撮像していく必要があるため、1サイクル目で一通りの視野を撮像したあと、次のサイクルで再び同一視野に戻った際、ステージ117の制御精度の限界により、必ずしも同じ位置に戻るとは限らず、位置がずれることがある。このようなずれが生じても、DNAサンプルの固定数が少ない場合には輝点の配列に若干の一意性があるため、画像相関マッチングによる位置合わせが可能な場合もある。しかし、DNAサンプルの固定数が多くなると一意性の低い、規則的な格子配列に近づいていき、画像相関マッチングによる位置合わせは困難になる。
 なお、ピッチが比較的大きめな1000ナノメートルであっても、例えばDNAサンプルの固定数が少ない場合に4種の輝点の対象画像の合成が正しいかどうか確証が得られなかったことから考えても、配列されたDNAサンプルの輝点だけを頼りにしたこのような方法では、さらにピッチを狭くすればさらに位置合わせが難しくなることは言うまでもない。また、特許文献4や特許文献5のように故意にスポットを欠損させるあるいは配置角度を変えるなどして一意性を持たせても、上に述べた例と同様の理由により、DNAサンプルの固定数が少なくなるほど位置合わせが難しくなることが容易に推測される。
 なお、ここでは、表面に下地層が設けられていない基板の表面にスポットのパターンが形成された基板を用いて位置合わせを試行し、その問題点を述べたが、たとえ表面に下地層があっても、第一の領域と第二の領域に区分されていなければ、つまり位置を確認するための何らかのマーカとならないならば、単に下地層のある基板を用いてもここに述べた問題点は変わらない。
 <実施例1の基板について>
 比較の対象として以上に述べた例に対して、実施例1において用いられる基板は、表面に第一の膜厚を有する第一の領域と第二の膜厚を有する第二の領域を備えており、その表面にスポットのパターンが形成された基板である。これを用いることにより、上に述べた課題の全てを解決できることを以下に説明する。例えば、フィルタキューブの変更や視野変更のためのステージ移動を繰り返し行ってずれが生じても、下地膜のパターンを認識すれば位置合わせが可能であり、また、何らかの分析応用の都合(例えば検体が少量しか存在しない等)により極端にDNAサンプル固定数が少なくても下地膜を認識すれば同様に位置合わせを行うことができる。即ち、DNAサンプルの固定数が多くても少なくても幅広く適用できる方法である。
 図15(a)及び(b)は、実施例1で用いる基板の製造プロセスの2つの例を示す図である。図15(a)では、まず基板上に下地膜を形成し、次に第一の領域あるいは第二の領域のいずれかにマスクを作製する。例えば、シリコン基板上に、下地膜としてシリコン酸化膜を形成し、フォトリソグラフィにより2つの領域のいずれかにレジストマスクを作製することができる。その後、マスクが開口した領域を所望の膜厚になるまでエッチングし、最後にレジストマスクを除去することにより、膜厚の異なる2つの領域(第一及び第二の領域)を形成することができる。
 図15(b)では、まず基板上の第一の領域あるいは第二の領域のいずれかにマスクを作製する。例えば、シリコン基板上にフォトリソグラフィにより2つの領域のいずれかにレジストマスクを作製することができる。その後、マスクが開口した領域を所望の深さになるところまでエッチングし、マスクを除去することで、高さの異なる2つの領域(すなわち、段差で区分された領域)を形成する。その後、例えば、スピン塗布型シリコン酸化膜(CVD:Chemical Vapor Depositionを用いても良い)を形成し、最後に平坦化するための研磨(例えば、CMP:Chemical Mechanical Polishing)を実施することにより、膜厚の異なる2つの領域を形成することができる。仕上がりの断面形態として、図15(a)では、表面に2つの領域の膜厚差に相当する段差が存在する。一方、図15(b)では表面に段差は存在しない。ただし、いずれの例も2つの領域の膜厚が異なることに変わりはない。核酸分析装置100に用いる光学系の設計(焦点深度等)や基板の表面平坦度等にもよるが、この2つの領域上に設けたスポットパターンに固定したDNAサンプルを撮像するにあたって、例えば、図15(a)の製造プロセスにおいて作製した基板の仕上がり段差が100ナノメートル程度であっても何の問題もない。
 なお、図15(a)及び(b)の表面に膜厚の異なる2つの領域を形成した基板に対し、その表面上にDNAサンプルが付着するためのスポットのパターンを形成する方法(ならびにスポット以外の部分にDNAサンプルが付着しないようにするためのブロッキング層を形成する方法)については、前述(<フローセル及び生体分子分析用基板(核酸分析用基板)>(B)生体分子分析用基板(核酸分析用基板)の節(段落[0054]から[0061])にて説明)の通りである。
 図16は、実施例1において用いた、膜厚の異なる2つの領域のレイアウト(上面よりみた様子)を示す図である。例えば、このように、膜厚の異なる正方形の領域が交互に現れるようなレイアウトを用いることができる。
 以上に述べた、スポットの下地膜に膜厚の異なる2つの領域を有する基板を用いて位置合わせを実施した結果を、以下に説明する。スポットの配列としては、前述の、図11から図15に示した例(比較の対象として示した例)と同様に、比較的ピッチ間隔の広い、ピッチ=1000ナノメートルのパターンの基板を用いた。なお、ここでは、核酸分析装置100のフィルタキューブ106には、1)前述の、蛍光体:FAM、Cy3、TxR、Cy5、に対応するために標準的に設計された4種、2)これらのそれぞれ4種よりも、励起光の長波長側の遮断波長が長波長側になるように変更し、かつ、観察する基板からの発光の短波長側の遮断波長が短波長側になるように変更した4種、3)さらにこれらの2)よりも、励起光の長波長側の遮断波長がさらに長波長側になるように変更し、かつ、観察基板からの発光の短波長側の遮断波長がさらに短波長側になるように変更した4種、の4種×3セットを実験のために準備して、発光画像を取得した。なお、このような波長透過特性の変更・調整は誘電体多層薄膜技術など薄膜光学で知られる既知の一般的な製法により実現される。
 ここで、図17を用いて、上記1)2)3)のように調整した波長特性における、励起波長帯、観測波長帯の関係性の概念を説明しておく。これらの調整は4種の蛍光体に対応するフィルタキューブについてそれぞれ行われたが、ここでは概念を説明するため、1種の蛍光体に対する調整の様子を図示する。例えば、白色光源を用いるならば、励起フィルタ104の透過率(ならびにダイクロイックミラー105の反射率)によって励起波長帯が決まり、ダイクロイックミラー105の透過率とバンドパスフィルタ103の透過率によって観測波長帯が決まる。これらの光学素子の波長特性を合わせたものを図17の縦軸では単純に透過率と表記した。縦軸図17(a)に示すように、一般に、フォトンのエネルギーの高い短波長の光を用いて蛍光体を励起し、蛍光体から発せられるそれよりもフォトンのエネルギーの低い長波長の光を観測する場合、励起光と観測光を明確に区別するために、励起波長の長波長側を遮断し、また、観測波長の短波長側を遮断して、蛍光のみを観測できるようにフィルタ特性を設計する。この状態が上記1)に相当する。一方、本実施例においては、励起光の一部を、DNAサンプルを付着させるためのスポットの下地膜の光学特性の異なる2つの領域に対する照明光として利用するために、図17(b)に示すように、これよりもやや長波長側まで、光源の含む励起光を透過させるように変更し、また、観測光(スポット上のDNAサンプルからの蛍光を含む基板からの発光)をやや短波長側まで透過させるように変更した。この状態が上記2)に相当する。また、さらに照明光を明るくした場合についても試行するために、図17(b)よりもさらに長波長側の成分を含む励起光とさらに短波長側までの成分を含む観測光となるように図17(c)のフィルタを準備した。この状態が上記3)に相当する。なお、これらの多種類のフィルタキューブを用いる場合においても、当然のことながら、実験では、フィルタキューブの変更による光路のずれをできるだけ少なくするために、フィルタキューブの設置状態をきちんと調整してから実験を行った。
 上記1)2)3)のフィルタキューブ106を用いて基板からの発光を観測した結果の一例として、4種類の蛍光体のうちFAMに対応するために設計したフィルタキューブ106を用いて基板からの発光を観測した結果を、図18(a)から(c)に示す。
 図18(a)では、基板からの発光を観測するための2次元センサにはスポット上のDNAサンプルからの蛍光のみが観測されている。照明光としてスポットの下地膜を照らした励起光は遮断されているため、下地膜に設けた光学特性の異なる2つの領域(この例では正方形が交互に並べられたレイアウト)は撮像されていない。
 一方、図18(b)では、フィルタキューブ106の透過特性を変更したため、励起光の一部がフィルタキューブ106を透過しており、蛍光スポットと同時に蛍光スポットより低い強度でうっすらとした正方形が交互に並べられた様子が撮像されている。図18(b)において、撮像画像からFAMに対応した塩基(すなわちG)と判定されたスポットの位置と下地に形成された正方形との位置関係を明確に決定することができる。ここに用いた正方形が交互に並べられたレイアウトでは、前述した様々な要因による位置ずれ量が正方形の一辺よりも十分に小さければ、最も近い正方形に重なるように位置ずれを修正するだけで、即座に正しい位置への位置合わせが完了する。
 図18(c)には、さらに透過特性を変更して、観測光側にさらに多くの照明光が入射した場合に得られた発光画像を示す。2つの領域のうち、特に一方の領域が明るくなり過ぎて、スポットを判別しづらくなっている様子がわかる。
 以上の実験を、準備した4種×3セットのフィルタキューブについて順次行い、4種の蛍光体(すなわち4種の塩基)についての蛍光スポットの画像と、位置合わせに用いるための2つの領域の下地膜からの発光の像が同時に撮像された画像を、4種の蛍光体に対応するそれぞれの波長特性2)のフィルタキューブを用いることにより取得することができた。本手法により、4種蛍光体からの蛍光スポット画像の位置合わせができるので、4種蛍光スポット像の合成画像を正しく作成することができ、これを基準画像として、以降の分析サイクルのデータとの正確な位置合わせをすることが可能となった。背景に下地層の正方形がうっすらと観察された領域の蛍光スポットの光強度は背景領域からの発光強度分のオフセットを含んでいるため、このオフセットを差し引いた強度を蛍光スポットの光強度として解析を行うことが可能である。
 なお、上記例で示した正方形が交互に並べられた図形パターンは、この基板を作成する際の設計情報そのものである。このため、基準画像として設計情報そのものを用いることも勿論可能である。しかし、基板の製造プロセスにおいては、正方形パターンの形成工程とDNAサンプルを付着させるためのスポットの形成工程間で製造プロセス上の合わせずれ(このレベルの製造プロセスにおいて広く使用されている装置の実力は、悪く見積もっても±50ナノメートル程度)が存在する。ただし、このような合わせずれがあったとしても、正しく合成した実画像、すなわち、より実物に近い画像を基準画像に用いることで、正確に位置合わせを行うことが可能である。また、極端な例を言えば、何かの製造トラブルで、下地層の正方形パターンの配列に対し、その表面上に形成するスポットパターンが大きくずれてしまった基板(例えば、基板がある角度だけ回転してしまい、スポットの配列と正方形の辺が平行でなくなってしまった基板)であっても、実際の基板の発光画像から切り出した基準画像を用いれば、正確な位置合わせが可能であることは容易に理解できる。言い換えると、本開示の位置合わせ方法では、下地の2つの領域のレイアウトデザインは正方形である必要も無く、どのような図形であっても合わせることさえできればそれで良い。さらに、実施例1では、単純な正方形パターンの例を示したが、例えば、種々の要因によるずれ量がこの例で示した正方形の一辺よりもはるかに大きい場合においても(例えば、極端な例では、隣の視野までまるまるずれてしまうような場合)、近隣の領域に、大きさあるいは形状が異なる図形を配した特徴的なレイアウトを採用して、隣の視野までずれたことを認識できるようにすれば良いことは言うまでもない。
 また、ここでは、4種の塩基の蛍光を観測しながら視野を変え1サイクルの分析が終了したら元の視野に戻るという動作において、ステージの制御限界で位置ずれが起こると説明した。ただし、この説明は、本アプリケーションにおいて想定された限定的な例示に過ぎず、例えば、非常に大きな温度差のある反応制御を繰り返し行う他の生体分子分析応用において、温度が低いときと温度が高いときに分析装置部材の熱膨張収縮の影響により観察対象の位置が大きくずれてしまうような系においても、本開示の技術はまったく同様に適用できるものである。
 実施例2は、基板の表面に生体分子が付着するスポットのパターンが形成され、第一の光学特性を有する第一の領域と第一の光学特性とは異なる第二の光学特性を有する第二の領域とを含む生体分子分析用基板、及びそれを用いた解析方法に関する。特に、実施例2による生体分子分析用基板では、生体分子が付着するスポットのパターンが形成されている基板の表面の第一の領域には第一の膜厚を有する下地層が設けられているが、第二の領域には下地層が無い。また、加えて、実施例2では、基板の表面に生体分子が付着するスポットのパターンが形成され、第一の屈折率を有する第一の材料が用いられた第一の領域と第二の屈折率を有する第二の材料が用いられた第二の領域とを含む生体分子分析用基板、及びそれを用いた解析方法についても述べる。さらに、実施例2では、実施例1で説明したような膜厚の異なる2つの領域のうち、いずれか一方には下地層がない(すなわち膜厚がゼロである)場合について説明し、加えて、実施例1に説明した膜厚の異なる2つの領域の代わりに、屈折率の異なる材料からなる2つの領域を用いた場合においても、同様に本開示の効果が得られることを説明する。
 また、実施例2では、生体分子が付着するスポットのパターンが形成された表面の領域に、上記の2つ(一方の膜厚がゼロの場合、ならびに、屈折率の異なる材料を用いた場合)の光学特性が異なる領域が形成された基板に対して光を照射する工程と、当該基板からの発光を撮像した発光画像の一つ以上の位置から切り出した一つ以上の対象画像と基準画像から切り出した一つ以上のテンプレート画像との間で位置合わせ処理を行う工程とを含む解析方法についても説明する。
 これらを理解するために、まず、2つの領域のいずれか一方には下地層が無い場合も含めて、下地層の膜厚を変えると下地層からの発光強度(反射干渉光強度)がどのように変化するか、ならびに、膜厚ではなく、下地層の屈折率を変えると下地層からの発光強度がどのように変化するかを、図19ならびに図20を用いて説明する。
 図19は、一般的な蛍光体として知られている、4種の蛍光体:FAM、Cy3、TxR、Cy5の励起波長と蛍光波長を示す。実際には、このそれぞれの波長を中心波長として拡がりをもった特性となっている。縦軸は全て1で表示してあり、蛍光体の発光効率などの意味は特に無い。このように、ここで例示した4種の蛍光体は400ナノメートル台後半の励起波長(450nmより大きく500nm未満の波長)から、600ナノメートル台後半の蛍光波長(650nmより大きく700nm未満の波長)までの範囲の波長領域を使用するものである。
 前にも述べたように、本分析においては、必ずしも、FAM、Cy3、TxR、Cy5だけに限定して用いる必要は無く、蛍光標識ヌクレオチドさえ作製すれば、可視光域を中心とした幅広い範囲で様々な蛍光体を選択することが可能である。実際には、波長が短すぎる紫外域や波長が長すぎる赤外域では光学部品の作製に広く用いる光学ガラスでの透過率が低下することや、2次元センサの感度が特に良い波長域で蛍光を4種類とも取得したいことなど、つまり、設計上の種々な都合、からの一つの選択肢にすぎない。そこで、これら4種類の蛍光体の特性波長を含む十分に幅広い波長域において、下地層の膜厚や屈折率を変化させた際、下地層からの発光がどのように変化するかを俯瞰するため、図20に、短波長域、中域、長波長域における、膜厚に対する反射干渉光強度の変化の様子を示す。図20(a)は、下地層に波長300ナノメートルの光を照射したときの干渉光強度の膜厚依存性を、図20(b)は波長500ナノメートルの光を照射したときの膜厚依存性を、(c)には波長700ナノメートルの光を照射したときの膜厚依存性を示す。また、図20(a)、(b)、および(c)のそれぞれにおいては、下地層の材料の例(屈折率が小さめの例と大きめの例)として、シリコン酸化膜(屈折率1.46程度)、シリコン膜(屈折率3.88程度)を用いた場合の反射干渉光の強度が示されている(屈折率は、製法、膜質により若干異なるため、「程度」との表現を用いた)。なお、これらは、下地層の下にあるベースの基板の表面で光は全反射し、かつ、下地層内部での光の損失はゼロであるものとして図示している。なお、実際は、光の一部はベースの基板を透過して一部が損失する基板材料の組み合わせもあり、また、下地層内部での損失が大きい材質もあり、ベースの基板との界面での反射率や下地層の損失係数に従って、膜が厚くなれば反射してくる光の強度が減少するような減衰曲線関数を光強度値に乗じたものとなる。しかしながら、せいぜい200~300ナノメートルほどまでの膜厚であれば、桁違いの大きな損失は無く、十分な強度を持った反射干渉光を得ることは可能であるため、ここでは、これらによる減衰特性は無視して光の明暗だけをわかりやすく図示した。
 例えば、0~100ナノメートルまで下地層の膜厚を変えた場合、図20(a)の波長300ナノメートルを用いた場合には、下地層がシリコン酸化膜の場合に約1周期(明→暗→明)、シリコンの場合に約2.5周期(明→暗→明→暗→明→暗)の干渉光の明暗が得られることが示されている。また、最も長波長の図20(c)の波長700ナノメートルを用いた場合においても、シリコン酸化膜で約0.4周期(明→ほぼ暗)、シリコンで約1.1周期の干渉光の明暗が得られることが示されている。
 つまり、実施例1で述べた、2つの領域に異なる膜厚を用いる例も含めて、膜厚差100ナノメートルの範囲内で下地層の膜厚を適宜選択すれば、1つの領域は比較的明るく、もう1つの領域は比較的暗い像を撮像できることになる。下地層からの干渉光は位置あわせのための指標となる最低限の明るさを有すればそれで十分であり、マーカとなる下地層(下地膜)の2つの領域のコントラストを最大にするために最も明るい膜厚と最も暗い膜厚を選択する必要はない。
 また、実施例1の延長として本実施例2で説明する、2つの領域のうち、いずれか一方には下地層が無い場合においても、下地層の膜厚がゼロのとき得られる反射光はベースの基板の反射率そのものであり、明となる。もう一方の領域の膜厚としては膜厚100ナノメートル以下の範囲で、適当な暗さとなる膜厚を選択すればそれで良いことになる。この場合も上の説明と同様、必ずしも最も暗くなる膜厚を選択する必要は無く、下地膜が無い領域と区別ができればそれで良い。
 また、2つの領域に屈折率の異なる材質を用いる場合についても、同様に理解することができる。例えば、屈折率の異なる2つの材料を用いた2つの領域のそれぞれの膜厚を同じにするならば、100ナノメートル以下のある膜厚で2つの材料(ここで例示した材料ではシリコン酸化膜とシリコン)のうち一方が比較的明るく、一方が比較的暗くなるような膜厚を選べばよい。色素の選択などの都合によっては、2つの領域に屈折率の異なる材質を用い、かつ、2つの領域の膜厚も異なる構成を選択しても良い。
 以上に述べた、蛍光体の選択(すなわち、用いる励起波長と蛍光波長の選択)、2つの領域の下地層の(ゼロも含む)膜厚の選択、2つの領域の屈折率(材料)の選択、ならびに、これら位置合わせマーカとなる領域を蛍光スポットよりも暗い適度な明るさで照明・撮像するためのフィルタキューブの波長特性の選択が、設計上の自由度となる。設計方針の例を挙げると、例えば、膜厚が異なる2つの領域あるいは屈折率が異なる二つの領域のコントラストがやや不明確であれば、膜厚差や材料を変更した上、フィルタキューブの透過特性を変更・調整して(例えば、上述したフィルタキューブの特性2)を3)の方向に多少近づけて)照明光を若干明るくしても良い。また、例えば、下地層(下地膜)が無い場合に、蛍光スポットに対して下地膜からの反射光が強すぎるならば、フィルタキューブの透過特性を変更・調整して(例えば、上に述べたフィルタキューブの波長特性2)を1)の方向に多少近づけて)照明光を暗くすればよい。屈折率の異なる材料として、ここでは、シリコン酸化膜とシリコンの具体例を示した。しかし、例えば、半導体プロセスでもよく使われる一般的な材料では、2つの領域の一方にシリコン窒化膜(屈折率1.8-1.9程度:製法、膜質により異なる)を用いることもできる。勿論、これらの組み合わせ限定するものではなく、所望の光を透過できる幅広い材料選択が可能である。
 なお、実施例2で説明した、2つの領域のうち一方の領域に下地層を設け、もう一方の領域には下地層を設けない基板の製造プロセスは、実施例1において説明した図15(a)のプロセスにおいて、単に一方の領域の下地層が無くなるまでエッチングする、あるいは図15(b)のフローにおいて、単に一方の下地層が無くなるまで研磨をすることにより実現することができる。
 また、2つの領域に屈折率の異なる材料を用いた基板も、類似の製造プロセスを用いれば容易に製造可能である。図21(a)は2つの領域に異なる材料の下地層を用い2つの材料の膜厚が等しい基板の製造プロセスを、図21(b)は2つの領域の下地層の材質が異なりかつ膜厚も異なる基板の製造プロセスを示している。図21(a)の製造プロセスは、第一の材料を成膜した後、2つの領域のうち一方にマスクを形成してマスクが開口した領域の下地層が無くなるまでエッチングし、マスクを除去した後、第二の材料を成膜し、これを研磨して膜厚が等しい第一の下地層と第二の下地層を形成することを含む。また、図21(b)の製造プロセスは、第一の材料を成膜した後、2つの領域のうち一方にマスクを形成してマスクが開口した領域の下地層が無くなり更にベースの基板を所望の深さまで掘り込むようにエッチングし、マスクを除去した後、第二の材料を成膜し、これを研磨して第二の材料の膜厚が厚くなるように下地層を形成することを含む。
 これらの製造方法により作製した基板を用いて、図22に示すように、蛍光スポットを認識できかつ下地層の2つの領域により位置合わせを行うことが可能な(図18(2)に示したものと同様の)発光画像を得ることができた。図22(a)は、2つの領域のうち一方に下地層が無い基板を用い、光学系ならびに基板の光学特性を適宜調整して得られた発光画像を示している。一方、図22(b)は、2つの領域に屈折率の異なる材質を備えた基板を用い、光学系ならびに基板の光学特性を適宜調整して得られた発光画像を示している。実施例1と同様に、背景に下地層の正方形がうっすらと観察された領域の蛍光スポットの光強度から背景領域の発光強度分のオフセットを差し引いた強度を蛍光スポットの光強度とすることで解析を行うことが可能である。
 なお、実施例1および実施例2で用いられる基板は、図15および図21に示した製造プロセスで作製するものに限定されるわけではなく、如何なる製法であれ、光学特性の異なる2つの領域を作製して、これを位置合わせに用いるのであれば、本開示の範疇に含まれるものである。
 また、類似した他の形態の一例を挙げると、図15(a)の製造プロセスによって作製した基板上に、さらに第二の材料を成膜し、これを研磨すれば、2つの領域のうち少なくとも一方には2種の材料が積層した領域を形成できる。さらに別の一例を上げると、図21(b)の研磨工程において2つの領域のうち一方の領域の第二の材料が無くなるまで研磨せずに、第一の材料上に第二の材料が残っている段階で研磨を止めれば、一方の領域を2種の材料が積層した領域とすることもできる。しかし、たとえ積層材料が2層以上であっても、光学特性の異なる第一の領域と第二の領域により明暗のコントラストを得て、これを位置合わせに用いるのであれば、本開示の範疇に含まれることは言うまでも無い。また、第三の材料あるいはそれ以上の材料を積層する、あるいは、第三の領域あるいはそれ以上の領域を設けることで、生体分子分析応用における光を用いた分析に用いる目的で、用途に応じてこれらの領域の何らかの光学特性を改善しても、これを位置合わせに用いるのであれば、本開示の基本的思想と多層薄膜技術などの既知の薄膜光学で知られる技術の組み合わせに過ぎず、本開示の範疇を出ることは無い。例えば、4つの蛍光体(実際は蛍光体により励起光に対する蛍光効率が高いものも低いものもある)の観察のうち一つのものについてコントラストを得にくかったとすれば、これに対してコントラストが得やすくなるように、第3の膜厚の領域を備える、第3の材料を用いる、あるいは、2層以上に積層した下地層を用いる、等々がこれにあたる。
 実施例3は、表面に下地層が設けられた基板の表面に、生体分子が付着するスポットのパターンが形成され、基板の表面の領域が第一の光学特性を有する第一の領域と第一の光学特性とは異なる第二の光学特性を有する第二の領域からなる構成の生体分子分析用基板、及びそれを用いた解析方法の別の実施例に関する。実施例3による生体分子分析用基板は、生体分子が付着するスポットのパターンが形成されている基板の表面の第一の領域に第一の膜厚を有する下地層を備え、一方、第二の領域には第二の膜厚を有する下地層を備えている。本実施例では、フィルタキューブとして、例えば、蛍光スポットを観察・撮像する二次元センサに励起光が入射しないように(励起光を遮断するように)設計したものを用いている。また、例えば、スポットの蛍光波長で撮像した際にも下地層の2つの領域が確認できるよう、ノイズレベルが低くダイナミックレンジの広い2次元センサを用いて、位置合わせを行っている。
 また、実施例3は、上記の基板に対し、上記のフィルタキューブを用いて、光を照射する工程と、上記のフィルタキューブを用い、上記の2次元センサを用いて、当該基板からの発光を撮像した発光画像の一つ以上の位置から切り出した一つ以上の対象画像と基準画像から切り出した一つ以上のテンプレート画像との間で位置合わせ処理を行う解析方法の実施例である。具体的には、スポットに付着した生体分子の標識である蛍光体からの蛍光の染み出し光(横方向への拡がり)によって上記2つの領域の境界が認識できることを利用して、同様に本開示の効果が得られることを説明する。
 実施例3において使用した基板は、実施例1の図15(a)に製法によって作製した、膜厚が異なる2つの領域を含む基板である。また、実施例3において使用したフィルタキューブは、実施例1の図17(a)の特性(実施例1における波長特性1)に相当する)を有するものである。また、実施例3において、例えば、二次元センサに高感度強冷却方式センサを用い、微弱信号を低ノイズで撮像できるようにした。そして、強い照明光を用いずに鮮明な発光画像が得られるため、下地層の光学特性の違いを判別するための撮像画像を高感度レンジで取得し、これを併用して、蛍光スポットの位置合わせを行った。
 実施例3では、基板上のスポットへのDNAサンプルの固定条件として、実施例1の図11(a)ならびに図11(b)において位置合わせを試行したときと同じ、DNAサンプルの含有数が十分に多い溶液を用いてスポット上にDNAサンプルを固定する条件、ならびに、DNAサンプルの含有数をあえて少なくした希薄な溶液を用いてスポット上にDNAサンプルを固定する条件を用いた。
 図23は、得られた発光画像の例として、4つの蛍光体のうち、FAMに対応するフィルタキューブを用いて撮像された発光画像を示す図である。図23(a)は、DNAサンプルの固定数が多い条件によって得られた結果であって、下地層に備えられた2つの領域の境界が判別可能な発光画像を撮像した結果と、スポット上に固定されたDNAサンプルからの蛍光の輝点が分離して判別可能な発光画像を撮像した結果を示している。図23(a)の左図と右図はそれぞれ二次元センサの感度のレンジを変えて撮像した画像に相当する。また、図23(b)は、DNAサンプルの固定数が少ない条件によって得られた結果であって、図23(a)と同様に、下地層に備えられた2つの領域の境界が判別可能な発光画像を撮像した結果と、スポット上に固定されたDNAサンプルからの蛍光の輝点が分離して判別可能な発光画像を撮像した結果を示す。但し、図23(a)及び(b)それぞれの左側の、2つの領域の境界が判別可能な発光画像では、図23(b)のDNAサンプルの固定数が少ない条件の場合には、境界のコントラストが判別しづらかった。そのため、図23(b)の左側の画像を取得する際には、図23(a)よりもより高感度なレンジに変更して撮像した。一方、図23(a)及び(b)のそれぞれの右側の発光画像は両者同じ感度で撮像したものである。なお、図23(a)及び(b)のそれぞれにおいて、右図と左図を撮像する間は、光学系のフィルタキューブならびに搬送系のステージは一切動かしていない。
 図23(a)および(b)に示されるように、同一画像内に、分離した蛍光スポットと位置合わせに用いるための下地層に設けた光学特性の異なる2つの領域が撮像されたものとはなっていない。しかしながら、位置あわせの観点において活用できる重要なポイントは、二次元センサの感度のレンジを変更しても撮像される位置は不変であることが分かる。すなわち、右図と左図は同一位置とみなして重ね合わせて良く、これを4種蛍光体に対応した発光画像の合成や複数サイクルの発光画像の位置合わせに用いて良い。
 以上のように、2つの領域に厚さの異なる下地層を備えた基板を用いて、2つの異なる感度レンジで撮像した画像の併用により、位置合わせを行うことができることがわかった。実施例3で用いる下地層の膜厚には、前述したように、必ずしも下地層からの干渉光が最大になる膜厚と下地層からの干渉光が最小となる膜厚を用いなくてもよく、2つの領域の境界が確認できれば十分である。但し、実施例3では、下地層からの干渉光が比較的低いため、干渉光の明暗の差がある程度大きいような2種類の膜厚を選択するようにしてもよい。また、撮像する感度のレンジは適宜調整する必要があるが、実施例3の方法は、2つの領域に屈折率の異なる材料を用いた基板においても同様に適用できるものである。なお、実施例3において、厚さの異なる2つの領域の境界を判別するために用いた蛍光体から蛍光の染み出し(横方向への拡がり)が、物理現象として、蛍光標識されたDNAサンプルが発する蛍光が下地膜表面あるいは下地膜とベースの基板の界面において、例えばエバネセント光のように染み出したものである可能性がある。また、この染み出しが、DNAサンプルがある立体的構造(例えば、環状DNAテンプレート増幅法により作製したDNA増幅産物であれば、近似的に球形構造)を有し、この立体構造を有するDNAサンプルから等方的に発せられた蛍光が表面、界面、下地層内部で散乱、もしくは、ベースの基板で反射され、染み出したように観察されるものである可能性もある。しかし、どちら現象によるものなのかを厳密に切り分けて解釈することは難しい。この点、蛍光スポットの輝点の近傍に染み出した光により光学特性の異なる2つの領域の境界が判断できさえすれば、位置合わせをするという実施例3の適用に関しては十分である。蛍光スポットの輝点の近傍に染み出した光は輝点から遠ざかるに従って暗くなるため、輝点が密である方が好都合である。
 従って、実施例3で述べた方法は、輝点と輝点のピッチが狭くなるほど、また、スポットに固定されたDNAサンプルの固定率が高いほど、すなわち高スループット解析を目的としてできるだけ高密度にDNAサンプルを固定した基板であるほど、有利に利用できる方法であると言える。なお、実施例1から3を通して、DNAサンプルを固定するスポットのアレイ配列として正方配列の例を用いて本開示の思想、概念を説明したが、さらにデータ密度を増すためにスポットのアレイ配列を六方配列としても、本開示は同様に適用できるものである。このとき、六方配列に合わせて、基板上に設ける2つの領域が(正方形や長方形ではなく)三角形や六角形等であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
 <まとめ>
 以上、解析対象の生体分子として核酸のひとつであるDNAを例に挙げ、これを基板上にアレイ配列し、同時並列に計測する解析応用において、配列したそれぞれのDNAに対して正確に位置合わせをした計測を行うための基板、フローセル、解析方法の例について説明した。
 上述の核酸分析用基板、フローセル、ならびに、核酸分析装置を用いれば、種々の核酸反応を検出でき、DNAシーケンス等の核酸の高スループットな分析を行うことができる。ただし、本開示は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例があり得るものである。上記した実施例は本開示のより良い理解のために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものや、ここに説明した例に限定されるものではない。例えば、上述した、基板の表面の領域に備えられた2つの領域を観察するための光学系において、フィルタキューブの特性は、4種類の蛍光体を撮像するために用いられるものに対して、波長特性を変更・調整する例を示した。しかし、例えば、基板の表面の領域に備えられた2つの領域によって描かれる図形の大きさや形状を各視野によって異なる形態とし、当該図形のみを明確に観察できる波長特性のフィルタキューブを別途搭載して、例えば、所望の視野に大きくジャンプして移動する疎調整機能を、装置に付加する等の使用方法においても本開示は有効に用いることができる。
 また、上述した各構成や機能は、コンピュータ(コンピュータ上のプログラム)によりこれらを制御する形態としているが、これらの一部または全部を集積回路で設計する等により、コンピュータ以外のハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、処理部の全部または一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの集積回路によって実現しても良い。
100 核酸分析装置
101 2次元センサ
102 結像レンズ
103 バンドパスフィルタ
104 励起フィルタ
105 ダイクロイックミラー
106 フィルタキューブ
107 光源
108 対物レンズ
109 フローセル
110 コンデンサレンズ
111 ノズル
112、115 配管
113 試薬容器
114 試薬保管ユニット
116 廃液容器
117 ステージ
118 温調プレート
119 コンピュータ
120 分析領域
121 検出視野
801 核酸分析用基板
802 中抜きシート
803 中抜き部
804 カバーガラス
805 分析領域
806、902 スポット
807 注入口
808 排出口
901 基板
903 ブロッキング層
904 コーティング膜
1001 正方格子パターン
1002 六方格子パターン
1003、1004 スポットパターン画像

Claims (14)

  1.  基板と、
     前記基板の表面に形成された、生体分子が付着するスポットのパターンと、
     前記基板の表面に設けられた領域と、を備え、
     前記領域は、第一の光学特性を有する第一の領域と、第一の光学特性とは異なる第二の光学特性を有する第二の領域と、を含む、生体分子分析用基板。
  2.  請求項1において、
     前記基板は表面に下地層を備えた基板であり、
     前記第一の領域と前記第二の領域は、前記下地層を備えた領域であり、
     前記第一の領域の前記下地層の膜厚と前記第二の領域の前記下地層の膜厚とは異なる、生体分子分析用基板。
  3.  請求項1において、
     前記基板は、表面に下地層を備えた基板であり、
     前記第一の領域と前記第二の領域は、前記下地層を備えた領域であり、
     前記第一の領域の前記下地層を構成する材料の屈折率と前記第二の領域の前記下地層を構成する材料の屈折率とは異なる、生体分子分析用基板。
  4.  請求項1において、
     前記基板は、表面の一部に下地層を備えた基板であり、
     前記第一の領域および前記第二の領域のいずれか一方のみが、前記下地層を備えている、生体分子分析用基板。
  5.  請求項1において、
     前記第一の領域と前記第二の領域とは、前記基板の表面と垂直な方向から見た場合に、ほぼ同一形状をなし、前記基板の表面上で交互に形成されている、生体分子分析用基板。
  6.  請求項1において、
     少なくとも前記生体分子分析用基板を用いる生体分子分析装置の所定の検出視野に隣接した検出視野において、前記第一の領域と前記第二の領域の形状または大きさの少なくとも一方が異なる、生体分子分析用基板。
  7.  請求項1において、
     前記基板は、その表面に前記スポットが形成されない領域を含み、
     前記スポットが形成されない領域に、前記生体分子の付着を防止するブロッキング層が設けられている、生体分子分析用基板。
  8.  請求項1において、
     前記スポットの直径、及び前記スポットのピッチが50~1000ナノメートルである、
    生体分子分析用基板。
  9.  請求項1に記載の生体分子分析用基板と、
     中抜きシートと、
     前記生体分子分析用基板とは異なる第二の基板と、を備え、
     前記生体分子分析用基板と、中抜きシートと、前記第二の基板とを貼り合わせることにより構成された、生体分子分析用フローセル。
  10.  制御装置を含む生体分子分析装置によって生体分子を解析する生体分子解析方法であって、
     前記制御装置が、前記生体分子分析装置に載置された請求項1に記載の生体分子分析用基板の解析開始指示を受け取ることと、
     前記制御装置が、光源を制御して前記生体分子分析用基板に対して光を照射することと、
     前記制御装置が、前記生体分子分析用基板からの発光を撮像して得られる発光画像を取得することと、
     前記制御装置が、前記発光画像の一つ以上の位置から切り出した一つ以上の対象画像と基準画像の一つ以上の位置から切り出した一つ以上のテンプレート画像との間で位置合わせ処理を行うことと、
    を含む、生体分子解析方法。
  11.  請求項10において、
     前記基準画像は、前記スポットと、前記第一の領域と、前記第二の領域とによって構成されるパターンの形状と位置の情報に基づいて生成される、生体分子解析方法。
  12.  請求項10において、
     前記基準画像は、複数の前記発光画像のうちのいずれかである、生体分子解析方法。
  13.  請求項10において、
     前記テンプレート画像および前記対象画像はそれぞれ、前記第一の領域からの発光を撮像して得られた第一の画像と前記第二の領域からの発光を撮像して得られた第二の画像の少なくとも一部を含む、生体分子解析方法。
  14.  請求項10において、
     少なくとも前記生体分子分析用基板を用いる生体分子分析装置の所定の検出視野に隣接した検出視野において、前記第一の領域と前記第二の領域の形状または大きさの少なくとも一方が異なる、生体分子解析方法。
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