WO2020080072A1 - 光電変換素子およびイメージセンサ - Google Patents

光電変換素子およびイメージセンサ Download PDF

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Abstract

本開示の一態様に係る光電変換素子(10)は、透明導電性材料を含む第1電極(51)と、第2電極(52)と、前記第1電極(51)と前記第2電極(52)との間に位置し、光電変換機能を有する積層体(50)と、を備える。前記積層体(50)は、第1層(61)と、前記第1層(61)と前記第2電極(52)との間に位置する第2層(62)とを含む。前記第1層(61)は、360nm以上の第1波長帯域の光を吸収し、かつ、前記第1波長帯域より長い波長を含む第2波長帯域の光を透過し、前記第2層(62)は、前記第2波長帯域の光を吸収する。前記積層体(50)は、前記第1波長帯域において実質的に光電変換の感度を有さず、前記第2波長帯域において光電変換の感度を有する。

Description

光電変換素子およびイメージセンサ
 本願は光電変換素子およびイメージセンサに関する。
 自動車等の自動運転技術、屋外の監視技術等において、高性能なイメージセンサを備えた撮像装置が求められている。例えば、自動車等に用いられる撮像装置は、可視光と赤外光とで画像を撮影することが求められる場合がある。特許文献1は、可視光帯域および赤外光帯域において選択的に光を透過する光学フィルタによるダブルバンドパスフィルタを備えた撮像装置を開示している。
特開2017-118284号公報
 本開示は、フィルタ機能を備えた光電変換素子およびイメージセンサを提供する。
 本開示の一態様に係る光電変換素子は、透明導電性材料を含む第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、光電変換機能を有する積層体と、を備える。前記積層体は、第1層と、前記第1層と前記第2電極との間に位置する第2層とを含む。前記第1層は、360nm以上の第1波長帯域の光を吸収し、かつ、前記第1波長帯域より長い波長を含む第2波長帯域の光を透過し、前記第2層は、前記第2波長帯域の光を吸収する。前記積層体は、前記第1波長帯域において実質的に光電変換の感度を有さず、前記第2波長帯域において光電変換の感度を有する。
 本開示によれば、フィルタによらず、特定の波長帯域において感度が低い光電変換素子およびイメージセンサが実現され得る。
図1は、本開示の一態様に係る撮像装置の回路構成示す模式図である。 図2は、本開示の一態様に係る撮像装置中の画素の構造を示す模式な断面図である。 図3は、本開示の一態様に係る光電変換素子の断面を示す模式図である。 図4は、第1から第3波長帯域を説明する模式図である。 図5は、本開示の一態様に係る光電変換素子における光の吸収を説明する模式図である。 図6は、半導体型カーボンナノチューブの吸収スペクトルの一例を示す模式図である。 図7は、本開示の一態様に係る光電変換素子の積層体における各層の吸収スペクトルを示す模式図である。 図8は、本開示の一態様に係る光電変換素子の外部量子効率の波長特性を示す模式図である。 図9は、第3層に使用可能な材料の吸収係数の波長特性を示す図である。 図10は、第1層に使用可能な材料の吸収係数の波長特性を示す図である。 図11は、第2層に使用可能な材料の吸収係数の波長特性を示す図である。 図12は、第3層の吸収率の波長特性を示す図である。 図13は、第1層の吸収率の波長特性を示す図である。 図14は、第2層の吸収率の波長特性を示す図である。 図15は、積層体に第1電極側から光を入射させた場合における第3層の吸収率の波長特性を示す図である。 図16は、積層体に第1電極側から光を入射させた場合における第1層の吸収率の波長特性を示す図である。 図17は、積層体に第1電極側から光を入射させた場合における第2層の吸収率の波長特性を示す図である。 図18は、光電変換素子の外部量子効率の波長特性を示す図である。 図19は、本開示の一態様に係る光電変換素子の他の例の断面を示す模式図である。 図20は、図19に示す光電変換素子の外部量子効率の波長特性を示す模式図である。
 一般に、異なる波長領域帯域において光を透過させるダブルバンドパスフィルタを光学フィルタだけで実現することは難しい。透過波長帯域が異なる2つのバンドパスフィルタを積層しても、一方のバンドパスフィルタの透過波長帯域は、他方のバンドパスフィルタの阻止帯域に位置するからである。
 ダブルバンドパスフィルタを実現するためには、例えば、2つの透過波長帯域うち、波長の短い方の透過波長帯域の下端と、波長の長い方の透過帯域の上端とを下端および上端とする広い透過波長帯域を有するバンドパスフィルタと、波長の短い方の透過波長帯域の上端と、波長の長い方の透過帯域の下端との間において透過率が低いバンドストップフィルタ(ノッチフィルタ)とを組み合わせる。このようなバンドストップフィルタを吸収フィルタで実現することは難しいため、一般に、バンドストップフィルタには、誘電体多層膜によって構成される干渉フィルタが用いられる。しかし、干渉フィルタは、分光透過率特性に入射角度依存性がある。このため、例えば、撮像装置が広角で画像を取得する場合には、良好な画像を取得することが困難になる。
 本願発明者は、吸収フィルタ、干渉フィルタ等を用いずに選択的な波長帯域で感度を有する光電変換素子およびイメージセンサを想到した。本開示の波長変換素子およびイメージセンサの概要は以下の通りである。
[項目1]
 本開示の項目1に係る光電変換素子は、透明導電性材料を含む第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、光電変換機能を有する積層体と、を備える。前記積層体は、第1層と、前記第1層と前記第2電極との間に位置する第2層とを含む。前記第1層は、360nm以上の第1波長帯域の光を吸収し、かつ、前記第1波長帯域より長い波長を含む第2波長帯域の光を透過し、前記第2層は、前記第2波長帯域の光を吸収する。前記積層体は、前記第1波長帯域において実質的に光電変換の感度を有さず、前記第2波長帯域において光電変換の感度を有する。
[項目2]
 項目1に係る光電変換素子において、前記積層体は、前記第1電極と前記第1層との間に位置する第3層をさらに含み、前記第3層は、前記第1波長帯域より短い波長を含む第3波長帯域の光を吸収し、前記第1波長帯域の光および前記第2波長帯域の光を透過し、前記積層体は、前記第3波長帯域において光電変換の感度を有していてもよい。
[項目3]
 項目1または2に係る光電変換素子において、前記第1層は電荷輸送性を有していてもよい。
[項目4]
 項目2に係る光電変換素子において、前記第3層は電荷輸送性を有していてもよい。
[項目5]
 項目1に係る光電変換素子において、前記第1波長帯域における、前記第1層および前記第2層を含む前記積層体に含まれるすべての層の各々の外部量子効率の総和は、前記第2波長帯域における、前記すべての層の各々の外部量子効率の総和よりも小さくてもよい。
[項目6]
 項目2に係る光電変換素子において、前記第1波長帯域における、前記第1層、前記第2層および前記第3層を含む前記積層体に含まれるすべての層の各々の外部量子効率の総和は、前記第2波長帯域における、前記すべての層の各々の外部量子効率の総和よりも小さく、かつ前記第3波長帯域における、前記すべての層の各々の外部量子効率の総和よりも小さくてもよい。
[項目7]
 項目1に係る光電変換素子において、前記第1層は、錫フタロシアニンおよびC60を含み、前記第2層は、鉛フタロシアニンおよびC60を含んでいてもよい。
[項目8]
 項目2に係る光電変換素子において、前記第1層は、錫フタロシアニンおよびC60を含み、前記第2層は、鉛フタロシアニンおよびC60を含み、前記第3層は、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)およびフェニルC61酪酸メチルエステルを含んでいてもよい。
[項目9]
 本開示の項目9に係るイメージセンサは、複数の光電変換素子を備える。前記複数の光電変換素子の各々は、項目1から8のいずれかに係る光電変換素子である。前記複数の光電変換素子の前記第1電極は互いに接続されている。前記複数の光電変換素子の前記積層体は互いに接続されている。前記複数の光電変換素子の前記第2電極は互いに分離されている。前記複数の光電変換素子は1次元または2次元に配置されている。
 以下、図面を参照しながら、本開示の光電変換素子およびイメージセンサの実施形態を説明する。
 1.イメージセンサを含む撮像装置の概要
 まず、本開示のイメージセンサが用いられる撮像装置を概括的に説明する。図1は撮像装置500の回路構成を模式的に示している。撮像装置500は、複数の画素14を含むイメージセンサ101と周辺回路とを備えている。
 複数の画素14は、半導体基板に2次元、すなわち行方向および列方向に配列されて、画素領域を形成している。イメージセンサ101はラインセンサであってもよい。その場合、複数の画素14は、1次元に配列されていてもよい。本願明細書では、行方向および列方向とは、行および列がそれぞれ伸びる方向をいう。つまり、垂直方向が列方向であり、水平方向が行方向である。
 各画素14は、光電変換素子10と、増幅トランジスタ11と、リセットトランジスタ12と、行選択トランジスタであるアドレストランジスタ13とを含む。光電変換素子10は、透明電極である第1電極51と、画素電極である第2電極52と、第1電極51および第2電極に挟まれており、光電変換機能を有する積層体50とを含む。イメージセンサ101は、第1電極51に所定の電圧を印加するための電圧制御要素を備えていてもよい。電圧制御要素は、例えば、電圧制御回路、定電圧源などの電圧発生回路、接地線等の電圧基準線などである。電圧制御要素が印加する電圧を制御電圧と呼ぶ。例えば、電圧制御要素として電圧制御回路60を備えていてもよい。電圧制御回路60は、一定の制御電圧を発生させてもよいし、値の異なる複数の制御電圧を発生させてもよい。電圧制御回路60は、例えば、2以上の異なる値の制御電圧を発生させてもよいし、所定の範囲で連続的に変化する制御電圧を発生させてもよい。電圧制御回路60は、撮像装置500を操作する操作者の指令、撮像装置500が備える他の制御部等の指令に基づき、発生させる制御電圧の値を決定し、決定した値の制御電圧を生成する。電圧制御回路60は、周辺回路の一部として、感光領域外に設けられる。つまり、電圧制御回路60はイメージセンサ101に備えられていてもよい。
 例えば、電圧制御回路60は2以上の異なる制御電圧を発生し、第1電極51に制御電圧を印加することによって、積層体50の分光感度特性が変化してもよい。この分光感度特性の変化には、検出すべき光に対して積層体50の感度がゼロとなる分光感度特性が含まれる。これにより、例えば、撮像装置500において、画素14が行ごとに検出信号の読み出しを行う間、第1電極51に積層体50の感度がゼロとなる制御電圧を電圧制御回路60から印加することによって、検出信号の読み出し時に入射する光の影響をほぼゼロにすることができる。よって、実質的に行ごとに検出信号を読み出しても、グローバルシャッタ―動作を実現することができる。
 本実施形態では、図1に示すように、行方向に配列された画素14の第1電極51に、対向電極信号線16を介して制御電圧を印加することによって、第2電極52と第1電極51との間の電圧を変化させ、光電変換素子10における分光感度特性を切り替える。あるいは、撮像中に所定のタイミングで光に対する感度がゼロとなる分光感度特性が得られるように制御電圧を印加することによって電子シャッタ動作を実現する。しかし、第2電極52に制御電圧を印加してもよい。光を光電変換素子10に照射し、第2電極52に電子を信号電荷として蓄積するためには、第1電極51に対して第2電極52は相対的に高い電位に設定される。このとき、第2電極52から第1電極51に向かって電流が流れる。また、光を光電変換素子10に照射し、第2電極52に正孔を信号電荷として蓄積するためには、第1電極51に対して第2電極52は相対的に低い電位に設定される。このとき、第1電極51から第2電極52からに向かって電流が流れる。
 第2電極52は、増幅トランジスタ11のゲート電極に接続され、第2電極52によって集められた信号電荷は、第2電極52と増幅トランジスタ11のゲート電極との間に位置する電荷蓄積ノード24に蓄積される。本実施形態では信号電荷は、正孔であるが、信号電荷は電子であってもよい。
 電荷蓄積ノード24に蓄積された信号電荷は、信号電荷の量に応じた電圧として増幅トランジスタ11のゲート電極に印加される。増幅トランジスタ11は信号検出回路を構成しており、ゲート電極に印加された電圧を増幅する。アドレストランジスタ13は、信号電圧として、増幅された電圧を選択的に読み出す。リセットトランジスタ12は、そのソース/ドレイン電極が、第2電極52に接続されており、電荷蓄積ノード24に蓄積された信号電荷をリセットする。換言すると、リセットトランジスタ12は、増幅トランジスタ11のゲート電極および第2電極52の電位をリセットする。
 複数の画素14において上述した動作を選択的に行うため、撮像装置500は、電源配線21と、垂直信号線17と、アドレス信号線26とリセット信号線27を含み、これらの線が画素14にそれぞれ接続されている。具体的には、電源配線21は、増幅トランジスタ11のソース/ドレイン電極に接続され、垂直信号線17は、アドレストランジスタ13のソース/ドレイン電極に接続される。アドレス信号線26はアドレストランジスタ13のゲート電極に接続される。またリセット信号線27は、リセットトランジスタ12のゲート電極に接続される。
 周辺回路は、垂直走査回路15と、水平信号読出し回路20と、複数のカラム信号処理回路19と、複数の負荷回路18と、複数の差動増幅器22とを含む。垂直走査回路15は行走査回路とも称される。水平信号読出し回路20は列走査回路とも称される。カラム信号処理回路19は行信号蓄積回路とも称される。差動増幅器22はフィードバックアンプとも称される。
 垂直走査回路15は、アドレス信号線26およびリセット信号線27に接続されており、各行に配置された複数の画素14を行単位で選択し、信号電圧の読出しおよび第2電極52の電位のリセットを行う。ソースフォロア電源である電源配線21は、各画素14に所定の電源電圧を供給する。水平信号読出し回路20は、複数のカラム信号処理回路19に電気的に接続されている。カラム信号処理回路19は、各列に対応した垂直信号線17を介して、各列に配置された画素14に電気的に接続されている。負荷回路18は、各垂直信号線17に電気的に接続されている。負荷回路18と増幅トランジスタ11とは、ソースフォロア回路を形成する。
 複数の差動増幅器22は、各列に対応して設けられている。差動増幅器22の負側の入力端子は、対応した垂直信号線17に接続されている。また、差動増幅器22の出力端子は、各列に対応したフィードバック線23を介して画素14に接続されている。
 垂直走査回路15は、アドレス信号線26によって、アドレストランジスタ13のオンおよびオフを制御する行選択信号をアドレストランジスタ13のゲート電極に印加する。これにより、読出し対象の行が走査され、選択される。選択された行の画素14から垂直信号線17に信号電圧が読み出される。また、垂直走査回路15は、リセット信号線27を介して、リセットトランジスタ12のオンおよびオフを制御するリセット信号をリセットトランジスタ12のゲート電極に印加する。これにより、リセット動作の対象となる画素14の行が選択される。垂直信号線17は、垂直走査回路15によって選択された画素14から読み出された信号電圧をカラム信号処理回路19へ伝達する。
 カラム信号処理回路19は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)などを行う。
 水平信号読出し回路20は、複数のカラム信号処理回路19から水平共通信号線(不図示)に信号を順次読み出す。
 差動増幅器22は、フィードバック線23を介してリセットトランジスタ12のドレイン電極に接続されている。従って、差動増幅器22は、アドレストランジスタ13とリセットトランジスタ12とが導通状態にあるときに、アドレストランジスタ13の出力値を負端子に受ける。増幅トランジスタ11のゲート電位が所定のフィードバック電圧となるように、差動増幅器22はフィードバック動作を行う。このとき、差動増幅器22の出力電圧値は、0Vまたは0V近傍の正電圧である。フィードバック電圧とは、差動増幅器22の出力電圧を意味する。
 図2は、撮像装置500中の画素14のデバイス構造の断面を模式的に示している。画素14は、半導体基板31と、電荷検出回路25と、光電変換素子10とを含む。半導体基板31は、例えば、p型シリコン基板である。電荷検出回路25は、第2電極52によって捕捉された信号電荷を検出し、信号電圧を出力する。電荷検出回路25は、増幅トランジスタ11と、リセットトランジスタ12と、アドレストランジスタ13とを含み、半導体基板31に形成されている。
 増幅トランジスタ11は、半導体基板31内に形成され、それぞれドレイン電極およびソース電極として機能するn型不純物領域41Cおよび41Dと、半導体基板31上に位置するゲート絶縁層38Bとゲート絶縁層38B上に位置するゲート電極39Bとを含む。
 リセットトランジスタ12は、半導体基板31内に形成され、それぞれドレイン電極およびソース電極として機能するn型不純物領域41Bおよび41Aと、半導体基板31上に位置するゲート絶縁層38Aとゲート絶縁層38A上に位置するゲート電極39Aとを含む。
 アドレストランジスタ13は、半導体基板31内に形成され、それぞれドレイン電極およびソース電極として機能するn型不純物領域41Dおよび41Eと、半導体基板31上に位置するゲート絶縁層38Cとゲート絶縁層38C上に位置するゲート電極39Cとを含む。n型不純物領域41Dは、増幅トランジスタ11とアドレストランジスタ13と共用されており、これにより、増幅トランジスタ11とアドレストランジスタ13とが直列に接続される。
 半導体基板31において、隣接する画素14との間および増幅トランジスタ11とリセットトランジスタ12との間には素子分離領域42が設けられている。素子分離領域42によって隣接する画素14間の電気的な分離が行われる。また、電荷蓄積ノードで蓄積される信号電荷のリークが抑制される。
 半導体基板31の表面には層間絶縁層43A、43Bおよび43Cが積層されている。層間絶縁層43A中には、リセットトランジスタ12のn型不純物領域41Bと接続されたコンタクトプラグ45A、増幅トランジスタ11のゲート電極39Bと接続されたコンタクトプラグ45B、およびコンタクトプラグ45Aとコンタクトプラグ45Bとを接続する配線46Aが埋設されている。これにより、リセットトランジスタ12のドレイン電極であるn型不純物領域41Bが増幅トランジスタ11のゲート電極39Bと電気的に接続されている。配線46Aは、層間絶縁層43A内に配置されたコンタクトプラグ47A、層間絶縁層43B内に配置された配線46Bおよびコンタクトプラグ47B、並びに層間絶縁層43C内に配置された配線46Cおよびコンタクトプラグ47Cを介して、第2電極52と接続されている。
 光電変換素子10は、層間絶縁層43C上に設けられている。光電変換素子10は、第1電極51と、積層体50と、第1電極51より半導体基板31側に位置する第2電極52とを含む。積層体50は第1電極51と第2電極52によって挟まれている。積層体50の構造は以下において詳細に説明する。第2電極52は、層間絶縁層43C上に設けられている。第1電極51は、検出すべき光に対して透明であり導電性を有する半導体から構成される。例えば、第1電極51は、導電性を有する透明材料から構成される。具体的には、第1電極51は、酸化インジウム錫(ITO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、数層グラフェン(FLG)などによって構成される。他の透明導電性半導体を用いてもよい。第2電極52は、アルミニウム、銅等の金属、窒化チタン、不純物がドープされ導電性が付与されたポリシリコン等によって形成される。
 図2に示すように、画素14は、光電変換素子10の第1電極51上にカラーフィルタ53を有していてもよい。また、画素14は、カラーフィルタ53上にマイクロレンズ54を更に有していてもよい。カラーフィルタ53は、例えば、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)のフィルタであり、画素14ごとに異なる透過波長帯域を有する。赤外領域の光を検出する画素14には、カラーフィルタ53を設けなくてもよい。カラーフィルタ53は、後述するように積層体50に組み込まれた波長フィルタの機能とは異なる。
 本実施形態では、各画素14の積層体50および第1電極51はそれぞれ隣接する画素14の積層体50および第1電極51と接続されており、一体的な積層体50および第1電極51を構成している。ただし、積層体50は画素14ごとに分離していてもよい。また、第1電極51も2次元に配置された画素14の行または列ごとに一体的に接続されていてもよい。これに対し、各画素14の第2電極52は隣接する画素14の第2電極52とは接続されておらず、分離されている。
 なお、イメージセンサ101は、光電変換による電荷を検出せず、光検出機能膜の容量変化を検出してもよい。このようなタイプのイメージセンサおよび撮像装置は、例えば、国際公開WO2017/081847号に開示されている。つまり、積層体50は、入射する光の強度に応じた正孔電子対を生成してもよいし、入射する光の強度に応じて容量が変化してもよい。生成した電荷あるいは容量の変化を検出することによって積層体50に入射した光を検出することが可能である。
 2.光電変換素子10の構造
 光電変換素子10の構造を詳細に説明する。光電変換素子10の積層体50は複数層を含む。各層の光電変換機能に関する用語を本願明細書では、以下のように定義する。
 ・光の吸収率:ある層に入射した光子に対して、その層において吸収される光子数の割合。その層を構成している材料の光学定数を用いて光学シミュレーションを行うことによって、光の吸収率の推定値を求めることができる。
 ・光を吸収する割合:光電変換素子10に照射された光子に対して各層で吸収される光子の割合。各層を構成している材料の光学定数を用いて光学シミュレーションを行うことによって、光を吸収する割合の推定値を求めることができる。
 ・内部量子効率:ある層が吸収した光子数に対して発生した電子または正孔が第2電極に捕集される数の割合
 ・外部量子効率:イメージセンサに照射した光子数に対して、ある層が光子の一部を吸収することにより発生した電子または正孔が第2電極に捕集される数の割合
 図3は、光電変換素子10の断面を模式的に示している。光電変換素子10は、前述したように、第1電極51と、第2電極52と、積層体50とを含む。積層体50は、光電変換機能を有し、第1電極51と第2電極52との間に位置する。
 積層体50は本実施形態では、第1層61と、第2層62と、第3層63とを含む。第1層61は、第1電極51と第2電極52との間に位置する。第2電極62は第1層61と第2電極52との間に位置する。また、第3層は、第1電極51と第1層61との間に位置する。つまり、第1電極51側から順に第3層63、第1層61および第2層62が配置されている。
 第1電極51および第2電極52は、積層体50を挟んでおり、以下において詳述するように、光電変換によって生成する電子または正孔の一方が移動し得るように、積層体50と電気的に接続されている。積層体50は、このほか、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、保護層等、光電変換素子10の特性を改善するための層および構造を含んでいてもよい。
 イメージセンサ101は、光電変換素子10を複数含み、複数の光電変換素子10の第1電極51および積層体50はそれぞれ互いに接続されている。これに対し、第2電極52は互いに接続されず独立しており、1次元または2次元に配置されている。
 第1層61、第2層62および第3層63は互いに異なる材料によって構成されているか、または、互いに異なるナノ構造を有する。あるいは、第1層61、第2層62および第3層63は同一の材料またはナノ構造体を異なる割合で含んでいる。これによって、第1層61、第2層62および第3層63は互いに異なる光電変換特性を有する。
 具体的は、図4に示すように、積層体50において、第1層61、第2層62および第3層63は、それぞれ主として第1波長帯域71、第2波長帯域72および第3波長帯域73の光を吸収するように構成されている。第1波長帯域71、第2波長帯域72および第3波長帯域73は、第1層61、第2層62および第3層63の各々の吸収特性を示しているのではなく、積層体50において各層に主として吸収される波長帯域を表している。具体的には、第1波長帯域71の光は、第2層62および第3層63よりも第1層61において最も吸収される。同様に、第2波長帯域72の光は、第1層61および第3層63よりも第2層62において最も吸収される。第3波長帯域73の光は、第1層61および第2層62よりも第3層63において最も吸収される。
 また、第1層61は、第2波長帯域の光を透過し、第3層63は、第1波長帯域71および第2波長帯域72の光を透過する。第1層61は、第3波長帯域73の光を透過してもよいし、吸収してもよい。第2層62は、第1波長帯域71の光および第3波長帯域73の光を透過してもよいし、吸収してもよい。
 第2波長帯域72は、第1波長帯域71の上端71u以上の波長の帯域であり、第3波長帯域73は、第1波長帯域71の下端71d以下の波長の帯域である。第1波長帯域71は、可視光波長帯域の下端である360nm以上の波長の帯域である。第1波長帯域71は可視光波長帯域もしくは赤外波長帯域に含まれる。第3波長帯域73は、可視光波長帯域であってもよいし、可視光波長帯域よりも短い紫外光波長帯域であってもよい。本実施形態では、第3波長帯域73も可視光波長帯域である。また、第2波長帯域72は、可視光波長帯域もしくは赤外光波長帯域である。
 第1波長帯域71の上端71uは第2波長帯域72の下端72dでもあり、第1波長帯域71の下端71dは、第3波長帯域73の上端73uでもある。したがって、以下の関係が成り立つ。
(第3波長帯域73の任意の波長)≦(第1波長帯域71の下端71d)    (1)
(第1波長帯域71の下端71d)≦(第1波長帯域71の任意の波長)≦(第1波長帯域71の上端71u)    (2)
(第1波長帯域71の上端71u)≦(第2波長帯域72の任意の波長)    (3)
 第3波長帯域73の下端73dと第2波長帯域72の上端72uは、それぞれ、光電変換素子10が所望の感度を有する最短波長と最長波長である。所望の感度は、撮影ないしは測定を行う目的、組み合わされる光学系等の性能、撮影ないしは測定を行う被写体、照明等の状況により変わりうる。
 以下において詳細に説明するように、第1層61、第2層62および第3層63が上述した光電変換特性を有し、かつ、積層体50内において上述した順番で配置されることにより、積層体50は、第1電極51側から入射する光に対して、第1波長帯域71において実質的に感度を有さず、第2波長帯域72および第3波長帯域73において感度を有する光電変換特性を備える。つまり積層体50において、第1波長帯域71における、第1層51、第2層52および第3層53を含む積層体50に含まれるすべての層の各々の外部量子効率の総和は、第2波長帯域72における、積層体50に含まれるすべての層の各々の外部量子効率の総和、および、第3波長帯域73における、積層体50に含まれるすべての層の各々の外部量子効率の総和よりも小さい。
 より具体的には、光電変換素子10において、第2層62は、第2波長帯域72において、有意に高い外部量子効率を有する。同様に、第3層63は、第3波長帯域73において、有意に高い外部量子効率を有する。ここで外部量子効率が有意に高いとは、光電変換素子10がその波長帯域において、所望の光検出感度を達成し得る程度に外部量子効率が高いことをいう。所望の感度は、光電変換素子10に求められる性能、組み合わされる光学系等の性能、撮影ないしは測定を行う被写体、照明等の状況により変わりうる。有意に高い外部量子効率の一例は10%以上である。
 また、第1波長帯域71において、第1層61の外部量子効率の平均値は、第2層62の外部量子効率の平均値および第3層63の外部量子効率の平均値よりも低い。第1波長帯域71において、第1層61、第2層62および第3層63の外部量子効率は、いずれも有意に低くてもよい。ここで外部量子効率が有意に低いとは、光電変換素子10がその波長帯域において、所望の光検出感度以下となる程度に外部量子効率が低いことをいう。所望の感度は、光電変換素子10に求められる性能、組み合わされる光学系等の性能、撮影ないしは測定を行う被写体、照明等の状況により変わりうる。有意に低い外部量子効率の一例は1%以下である。また、有意に低い外部量子効率は、例えば、有意に高い外部量子効率の1/2以下である。
 下記に示すように、第n層(n=1、2、3)の外部量子効率は、第n層が光子を吸収する割合と、第n層の内部量子効率との積で表される。光電変換素子10の外部量子効率は、3つの層の外部量子効率の和で示される。
 (第n層の外部量子効率)=(第n層が光子を吸収する割合)×(第n層の内部量子効率)    (4)
 式(4)から分かるように、第n層における外部量子効率が小さくなるためには、第n層が光子を吸収する割合が小さくてもよいし、第n層の内部量子効率が低くてもよい。本開示の光電変換素子10では、式(4)を利用して、3つの材料の3つの層を適切な順番で積層することによって、上記外部量子効率を実現する。
 具体的には、光電変換素子10において、光が入射する側、つまり第1電極51側から順に第3層63、第1層61および第2層62を配置する。第3層63では、第3波長帯域における光子を吸収する割合を大きくし、内部量子効率を高める。これにより、入射する光のうち、第3波長帯域の成分を第3層63で吸収し、後方に位置する第1層61および第2層62へ第3波長帯域の成分の光が到達しないようにするとともに、第3層63で第3波長帯域の成分の光を検出する。
 第1層61では、第1波長帯域における光子を吸収する割合を大きくし、内部量子効率を低くする。これにより、入射する光のうち、第1波長帯域の成分を第1層61で吸収し、後方に位置する第2層62へ第1波長帯域の成分の光が到達しないようにする。第1波長帯域の光は、検出しない波長成分であるから、内部量子効率を低くすることによって、第1波長帯域71における外部量子効率を小さくすることができる。これにより、第2層62には、入射する光から第3波長帯域73および第1波長帯域71の成分が除去された光が到達する。
 このように本実施形態では、光電変換特性の異なる材料からなる層を積層することによって、入射側に位置する層をフィルタとして用いるとともに、内部量子効率を制御することよって、検出感度を調整し、上述した光電変換特性を実現する。
 なお、上述した光電変換特性を実現するため、第1電極51は、少なくとも第2波長帯域72および第3波長帯域73において有意な透過率を有する。第1電極51は、これら波長帯域以外において透過率が低く、実質的に透過率が0であっても良い。第2波長帯域72および第3波長帯域73において有意な透過率を有するとは、第1電極51が、第2波長帯域72および第3波長帯域73において、光電変換素子10が光の検出に必要な外部量子効率を実現できる程度に光を透過させる透過率を持つことを意味する。第1電極51は、第2波長帯域72および第3波長帯域73において光電変換によって生成した正孔および電子のうち、いずれか一方を捕集する。第2電極52は、正孔および電子のうち、他方を捕集する。
 3.積層体50の設計
 次に、上述した光電変換特性を有する積層体50の設計方法を具体的に説明する。
(1)吸収率
 光電変換素子10に入射したある波長帯域の光のうち、第3層63に到達する割合をTとする。この時、上述した定義による、この波長帯域における各層の吸収率および光を吸収する割合を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 各層における反射を無視すれば、光を吸収する割合は以下のように示される。
B3=T×A3                    (5)
B1=T×(1-A3)×A1             (6)
B2=T×(1-A3)×(1-A1)×A2      (7)
 第3層63が主として第3波長帯域73の光を吸収する要件は、B3>B1かつB3>B2である。
 ここで、式(6)、(7)に示すように、B1、B2には、(1-A3)の項が含まれる。これは、第1層61および第2層62は、光電変換素子10の光入射方向を基準として、第3層63よりも後方に位置し、第1層61および第2層62には、第3層63で吸収されなかった光のみが到達することを意味する。
 このため、図5に示すように、第3層63が第3波長帯域73の光83に対し高い吸収率を持てば、第1層61および第2層62に第3波長帯域73の光83が到達する割合が低くなり、たとえ第1層61および第2層62の第3波長帯域73の光83に対する吸収率が高くとも、第3層63が主として第3波長帯域73の光83を吸収するようにできる。
 たとえば、第3層63の第3波長帯域73における吸収率が50%以上であれば、光電変換素子10に入射した第3波長帯域73の光83は、第1層61にも第2層62にも50%以上到達することはない。よって、第1層61および第2層62の吸収率とは無関係に、第3層63が主として第3波長帯域73の光83を吸収する。つまり、第3波長帯域73の光83に対する第1層61および第2層62の吸収率は、第3波長帯域73の光83に対する第3層63の吸収率と同じ、または、高くてもよい。
 第3層63の第3波長帯域73の光83に対する吸収率は50%以下でもよい。この場合、第1層61および第2層62の取りうる吸収率は所定の値以下であってもよい。例えば第3層63の吸収率が30%であれば、第1層61には最大で70%の光が到達することになる。この時、第1層61の吸収率が42%以下であれば、第1層61が光を吸収する割合は30%以下となる。第1層61の吸収率が第3層63の吸収率より高くても、光電変換素子10に入射する光を吸収する割合は、第3層63の方が高くなることが分かる。第1層61および第2層62の吸収率が第1層61より小さい場合も、明らかに第3層63が主として第3波長帯域73の光83を吸収する。
 第1層61が主として第1波長帯域71の光81を吸収する要件は、B1>B3かつB1>B2である。
 ここで、式(6)に示すように、B1には、(1-A3)の項が含まれることに再び着目すれば、第1波長帯域71の光81に対する第3層63の吸収率は、50%以下でなければならないことがわかる。また、第3層63の第1波長帯域71の光81に対する吸収率が低いほど、B1は大きくなり、第1層61の第1波長帯域71の光81に対する吸収率が高いほど、B1は大きくなることがわかる。
 第2層62は第1層61の後方に位置するため、第2層62には第1層61で吸収されなかった光のみが到達する。そのため上述したのと同様の理由から、第1層61の吸収率が高ければ、第2層62の吸収率によらず上記要件が成立する。
 第2層62が主として第2波長帯域72の光82を吸収する要件は、B2>B3かつB2>B1である。第3層63および第1層61に対する要件と同様、第1層61の第2波長帯域72の光82に対する吸収率が低いほど、B2が大きくなる。第1層61の第2波長帯域72の光82に対する吸収率は、例えば50%以下であってもよい。また、第2層62の第2波長帯域72の光82に対する吸収率が高いほど、B2が大きくなる。
 これらのことから、第3層63は第3波長帯域73で高い吸収率を示す一方、第1波長帯域71および第2波長帯域72で低い吸収率を示すこと、第1層61は第1波長帯域71で高い吸収率を示す一方、第2波長帯域72で低い吸収率を示すこと、第2層62は第2波長帯域72で高い吸収率を示すことが望ましいことが分かる。
 (2)各層の吸収特性
 次に、各層の吸収特性を実現する方法を説明する。一般に、有機半導体材料および無機半導体性材料は、それぞれ吸収端とよばれる波長を持ち、その波長以下の光に対し高い吸収率を示し、その波長以上の光に対し低い吸収率を示すことが知られている。そのため、第3層63が、第1波長帯域71の下端71dに近い吸収端を持つ半導体性材料を含み、第1層61が第1波長帯域71の上端71uに近い吸収端を持つ半導体性材料を含み、第2層62が、第2波長帯域72の上端72uに近い吸収端を持つ半導体性材料を含むことにより、積層体50は、上述の分光光電変換特性を得ることができる。
 たとえば、P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン)ポリマー)の吸収端は、約650ナノメートルである。銅フタロシアニンの吸収端は約800ナノメートルであり、PCPDTBT(ポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ [2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)])の吸収端は、約900ナノメートルであり、錫フタロシアニンの吸収端は約1000ナノメートルである。C60の吸収端は約550ナノメートル、PCBMの吸収端は約500ナノメートル、TCNQの吸収端は約400ナノメートルである。
 これらの材料のうち、半導体型カーボンナノチューブは特異な特性を持つ。半導体型カーボンナノチューブの吸収スペクトルは、図6に示すように特定の共鳴波長の前後半値幅数十ナノメートルにおいて高い吸収係数を示し、その他の波長における吸収係数が小さい。また、第1共鳴波長の裾よりも長い波長においては、吸収係数がほぼ0である。つまり第1共鳴波長の長波長側の裾が吸収端である。
 この各共鳴波長は、各半導体型カーボンナノチューブが持つカイラリティとよばれる値により異なる。たとえば、(6,5)カイラリティのものであれば第1共鳴波長が約990ナノメートル、第2共鳴波長が約550ナノメートル、(7,5)カイラリティのものであれば第2は約1050ナノメートル、第2共鳴波長が約650ナノメートルであり、(9,8)カイラリティのものであれば第1共鳴波長は約1450ナノメートル、第2共鳴波長が約810ナノメートルである。半導体型カーボンナノチューブは、一般に入手が容易なカイラリティだけでも数十以上の種類がある。
 例えば、単一のカイラリティの半導体型カーボンナノチューブを用いて第1層61を構成すれば、第1波長帯域71の幅を数十ナノメートルとすることが容易に可能である。
 また、第1層61および第2層62、第3層63は、単一の吸光性分子材料から構成する必要はない。吸収スペクトルが異なる複数の吸光性分子材料から構成することで、単一の吸光性分子材料で構成した場合よりも広い波長帯域の光を吸収させることができる。
 なお、各材料の吸収端は、結晶状態かアモルファス状態か、どのように会合しているか、他の材料とどのように混合しているかなどにより、数十ナノメートルから100ナノメートル程度変化する。そのため、各層の吸収特性を所望のものとするため、各層の結晶状態または会合状態、他の材料との混合状態を異ならせてもよい。
 また、量子ドット等のナノ構造体は、その大きさにより吸収端が変化することが知られている。一般に、より大きなコアを持つ量子ドットは、より長い吸収端を持つ。たとえば、硫化鉛(PbS)をコアとして持つ量子ドットの場合、コア径が2.2ナノメートルのものは900ナノメートル程度に吸収端を持ち、コア径が3.2ナノメートルのものは1300ナノメートル程度に吸収端を持つ。各層の吸収特性を所望のものとするため、各層で含まれるナノ構造体の大きさを変えても良い。半導体コアの材料としては、他にセレン化鉛、テルル化カドミウム、セレン化カドミウム、インジウムリンなどがあるが、吸収端波長がコア径に依存するのはいずれも同じである。
 (3)量子効率
 積層体50の各層の外部量子効率は、式(4)で示すように、その層が光子を吸収する割合と、その層の内部量子効率との積で表される。光電変換素子10が検出する可視、近紫外および近赤外の波長領域においては、内部量子効率は通常あまり波長依存性を示さない。このため、ある波長帯域において、ある層の外部量子効率を有意に高いものとするには、その層がその波長帯域において光子を吸収する割合が高く、かつ、その層の内部量子効率を高くすれば良い。また、ある波長帯域において、ある層の外部量子効率を低いものとするには、その層の内部量子効率を低くすればよい。本開示の光電変換素子10において、第3層63と第2層62の内部量子効率を高く、第1層61の内部量子効率を低くすればよい。例えば、第3層63および第2層62の内部量子効率は30%以上であってもよく、50%以上であってもよい。第1層61の内部量子効率は1%以下であってもよく、0.1%以下であってもよい。
 積層体50の各層における光電変換は以下の過程を経る。
 [STEP1] 励起子生成
 吸光性分子ないしは吸光性結晶が光子を一つ吸収し、分子ないしは結晶内部に励起子が発生する。
 [STEP2] 電荷分離
 励起子が、負電荷である電子および正電荷である正孔に分離する。
 [STEP3] 電荷輸送
 電子および正孔が、それぞれ移動し、それぞれ別の電極に捕集される。
 STEP2およびSTEP3には、競合する過程が存在する。例えば、励起子が正孔および電子に分離せず、再結合することで消滅する過程、移動中の正孔および電子が衝突し消滅する過程などが存在する。これら競合する過程が少ないほど内部量子効率は高まり、逆に競合する過程が多いほど内部量子効率は低くなる。
 例えば、吸光性分子が有機分子または半導体型カーボンナノチューブの場合、光子の吸収および励起子の生成確率は高い。しかし、それ単体では電荷分離はほとんど行われず、生成した励起子は再結合により消滅する。この場合、吸収率は高いが、内部量子効率はほぼ0となる。
 これに対して、吸光分子単体ではなく、ある種の吸光性分子の近傍に、正孔または電子を受け取る電荷受容性分子を配置すると、正孔電子対の分離確率を高めることができることが知られている。つまり、内部量子効率を高めることができる。
 このように高い内部量子効率を示す吸光性分子と電荷受容性分子の組は、ドナー分子およびアクセプター分子と呼ばれる。ドナー分子として機能する、あるいは高い内部量子効率が得られやすい吸光性分子は、一般に励起状態において分子の外周部に多くの電子が存在する、励起状態の寿命が長いなどの特徴を持つ。たとえば、ドナー分子として機能することが知られているのは、P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン)ポリマー)、PCPDTBT(ポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ [2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)])等の半導体ポリマー、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン等の有機半導体、および半導体型カーボンナノチューブであり、これらドナー分子に対してアクセプター分子として機能することが知られているのは、C60、PCBM、KLOC-6(SolenneBV社製)等のフラーレン類、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等である。なお一般に、吸光性分子のLUMO準位よりも深いLUMO準位を持つ分子、あるいは吸光性分子のHOMO準位よりも浅いHOMO準位を持つ分子はその吸光性分子のアクセプター分子として機能しやすいことが知られている。
 第3層63および第2層62をこれらドナー分子として機能する、あるいは高い内部量子効率が得られやすい吸光性分子と、アクセプター分子として機能する材料とから構成してもよい。
 一方、吸光性分子であっても、励起状態において分子の中心部に多くの電子が存在する、あるいは励起寿命の短い特徴をもつものは、内部量子効率が低くなる傾向にある。たとえば、ドナー分子と基本骨格が同じであるが、分子端部に長いアルキル基等を持つ分子等は内部量子効率が低い蛍光にある。このため、第1層61に、第3層63および第2層62のドナー分子と基本子骨格が同じであるが、分子端部に長いアルキル基等をもつ分子を含ませてもよい。
 また、ドナー分子とアクセプター分子の混合比率も内部量子効率に影響を与える。一般に、ドナー分子とアクセプター分子が1:10から10:1の範囲の場合において、内部量子効率は高くなる傾向にある。そのため、内部量子効率を高めたい第3層63および第2層62において、ドナー分子とアクセプター分子の混合比率を1:10から10:1の範囲内とし、内部量子効率を低めたい第1層61において混合比率をこの範囲外としてもよい。また、第3層63および第2層62と、第1層61におけるドナー分子とアクセプター分子の比率がいずれも1:10から10:1の範囲内であるが、それぞれの層、または、第1層61のみ比率を変えてもよい。
 吸光性材料が無機材料からなる量子ドットの場合は、電荷分離に必ずしもアクセプター分子を必要とはしない。つまり単体で高い内部量子効率を示しうる。そのため、第3層63および第2層62は量子ドットのみから構成しうる。電荷輸送または物理的特性改善のために、別の分子も含んでも良い。
 一方、量子ドットが高い吸光度を示すものであっても、量子ドットの周囲を絶縁性の材料もしくは官能基で被覆することにより、量子ドット内部で発生した正孔および電子は外部に移動することができず、量子ドット内で消滅させることができる。つまり、特定の層に含まれる量子ドットの周囲を絶縁性の材料もしくは官能基で被覆することにより、その層の内部量子効率を下げることができる。このため、第1層61に絶縁性の材料もしくは官能基で被覆した量子ドットを含ませてもよい。
 第1層61の内部量子効率を低くすることは、第1層61における正孔および電子の再結合確率を高めることによってもよい。たとえば、第1層61に金属ないしは金属性カーボンナノチューブが含まれている場合、正孔および電子の再結合確率が高まり、内部量子効率が低くなる。あるいは半導体性材料であってもバンドギャップがせまくアクセプター分子により電荷分離が機能しにくい材料などでは、正電荷と負電荷の再結合確率を高めることができる。また、結晶欠陥の多い半導体性カーボンナノチューブの混合によっても正電荷と負電荷の再結合確率を高めることができる。
 (4)輸送特性
 第3層63および第2層62が高い内部量子効率を示すために、STEP3の電荷輸送が高い効率で行われるようにする。高い内部量子効率を示すために、第3層63および第2層62で発生した正孔および電子は、それぞれ一方が第1電極51で捕集され、他方が第2電極52で捕集されるようにする。このため、第1層61、第2層62および第3層63は電荷輸送性を有している。
 たとえば第2電極52が正孔を捕集する場合、第3層63で発生した正孔は第1層61および第2層62内を移動する。またその場合、第1電極51が電子を捕集するので、第2層62で発生した電子は、第1層61および第3層63内を移動する。つまり第1層61内では、正孔および電子が移動できるようにする。第1電極51および第2電極が捕集する電荷の極性が逆の場合でも同様である。
 このため、第1層61は、正孔および電子の両方を輸送可能な特性を持っていてもよい。第1層61の吸光性分子が電荷輸送を行ってもよいし、第1層61は、吸光性分子の他に、電荷移動のための分子を含んでも良い。正孔および電子の輸送はともに同一の分子で行われても良いし、またそれぞれ別の分子で行われてもよい。
 電荷移動のための分子は、吸光性分子との組み合わせにおいて、ドナー分子とアクセプター分子として機能しなくてもよい。そのため、例えば負電荷の輸送には、吸光性分子のLUMO準位よりも浅いLUMO準位をもった分子などを用いてもよい。たとえば、SIMEF(シリルメチルフラーレン)は負電荷輸送特性を持つが、一般的なアクセプター分子であるC60よりも0.3eVほど浅いLUMO準位を持つため、吸光性分子に対してアクセプター分子として機能しにくい。
 (5)設計例
 図7を参照しながら上記要件を満たす積層体50の設計例を示す。図7は、積層体50の各層の吸収スペクトルを示す。第3層63の吸収率スペクトル93は、第3波長帯域73、第1波長帯域71および第2波長帯域72において、それぞれ、93%、5%、0%の吸収率を持つ。第1層61の吸収率スペクトル91は、第3波長帯域73、第1波長帯域71および第2波長帯域72において、それぞれ58%、95%、5%の吸収率を持つ。第2層62の吸収率スペクトル92は、第3波長帯域73、第1波長帯域71および第2波長帯域72において、それぞれ、19%、97%、95%の吸収率を持つ。
 第3層63は、第3波長帯域73、第1波長帯域71および第2波長帯域72において、60%の内部量子効率を持つ。第1層61は、第3波長帯域73、第1波長帯域71および第2波長帯域72において、0.1%の内部量子効率を持つ。第2層62は、第3波長帯域73、第1波長帯域71および第2波長帯域72において、60%の内部量子効率を持つ。
 この時、光電変換素子10に入射したある波長帯域の光のうち、第3層63に到達する割合を100%とすれば、各層における光を吸収する割合は表2に示す通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 つまり、第3層63が主として第3波長帯域73の光を吸収し、第1層61が主として第1波長帯域71の光を吸収し、第2層62が主として第2波長帯域72の光を吸収する。それぞれの層の外部量子効率は、表3に示す通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 各層の外部量子効率を足し合わせた値が光電変換素子10の外部量子効率となる。表4に値を示し、図8に外部量子効率の分光特性を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 図8に示すように、このように設計された積層体50を備える光電変換素子10は、第3波長帯域73および第2波長帯域72において、有意に高い外部量子効率を持ち、第1波長帯域71において、高い外部量子効率の1/2以下である有意に低い外部量子効率を持つ。
 第1波長帯域71は、第3波長帯域73と第2波長帯域72とに挟まれており、この光電変換素子10は、従来の光電変換素子にストップフィルタ(ノッチフィルタ)を使用したものと同様の特性を持つ。しかし、この光電変換素子の分光光電変換特性は、干渉フィルタを用いずに得られるため、光電変換素子への入射角度に依存しない。
 このように、本開示の光電変換素子10によれば、吸収率が高く内部量子効率の低い第1層61を第2層62よりも前方、つまり、入射面側に配置することによって、第2層62が感度を有する波長帯域の一部を制限し、変換素子10が、第2層62が有する波長帯域よりも狭い第2波長帯域に感度を有するようにすることができる。また、第3層63を第1層61よりも入射面側に配置することによって、変換素子10が、第3波長帯域に感度を有するようにすることができる。その結果、光電変換素子10は、第3波長帯域73と第2波長帯域72とに挟まれた第1波長帯域71において、実質的な感度を有しない分光光電変換特性を備えることができる。この第1波長帯域71を、上述した理由から第2層62が感度を有する、吸収率が大きい波長帯域よりも狭くすることが可能である。
 4.実施例
 積層体50のより具体的な構成例を示す。図9から図11は、それぞれ第3層63、第1層61および第2層62に使用可能な材料の吸収係数の波長特性を示す。吸収係数は厚さで規格化している。図9は、P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン))およびPCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル)の混合材料(以下、材料系Aという)の膜の規格化した吸収係数を示す。P3HTは約650ナノメートルに吸収端を持つ光吸収材料であり、PCBMはそれよりも吸収端が短波長である。そのため、P3HTとPCBMの混合膜の吸収端は、P3HTの吸収端となる。PCBMはP3HT中の励起子から電子を受け取る機能を持つ。ここで例示した混合膜の混合比は1:10から10:1の範囲内である。そのため、この混合膜は高い内部量子効率を持つ。P3HTは正孔を輸送することができ、PCBMは電子を輸送することができる。
 図10は、錫フタロシアニンおよびC60の混合材料(以下、材料系Bという)の膜の規格化した吸収係数を示す。錫フタロシアニンは、約800ナノメートルに吸収端を持つ光吸収材料である。C60はそれよりも短い約500ナノメートルに吸収端をもつ。そのため、この混合膜の吸収端は約800ナノメートルである。C60は錫フタロシアニン中の励起子から負電荷を受け取る機能を持つ。しかし、ここで例示した混合膜の混合比は、錫フタロシアニン10に対して、C60は1以下である。そのため、ここで例示した混合膜はあまり高い内部量子効率を示さない。錫フタロシアニンは、正孔を輸送することができ、C60は電子を輸送することができる。
 図11は、鉛フタロシアニンおよびC60の混合材料(以下、材料系Cという)の膜の規格化した吸収係数を示す。鉛フタロシアニンは、約1100ナノメートルに吸収端を持つ光吸収材料である。そのため、この混合膜の吸収端も約1100ナノメートルである。C60は鉛フタロシアニン中の励起子から電子を受け取る機能を持つ。ここで例示した混合膜の混合比は、1:10から10:1の範囲内である。そのため、この混合膜は高い内部量子効率を持つ。鉛フタロシアニンは、正孔を輸送することができ、C60は電子を輸送することができる。
 図12から図14は、材料系A、B、Cを用いて作製した第3層63、第1層61および第2層62の吸収率の波長特性を示す。各層の厚さは、数十から数百ナノメートルである。第3層63において、材料系Aの2つの材料の混合比は約1:1である。第1層61において、材料系Bの2つの材料うち、C60の含有量は1%以下である。第2層62において、材料系Cの2つの材料の混合比は約1:1である。
 図15から図17は、上述した第3層63、第1層61および第2層62を積層することによって構成した積層体50に、光を照射した場合における第3層63、第1層61および第2層62の吸収率を示す。各層の表面における反射はないと仮定している。
 図18は、第3層63および第2層62の内部量子効率を40%とし、第1層61の内部量子効率を0.1%と仮定した場合における、光電変換素子10の外部量子効率の波長特性を示す。ここで、第3波長帯域73を400ナノメートルから650ナノメートル、第1波長帯域71を650ナノメートルから800メートル、第2波長帯域72を800ナノメートルから1000ナノメートルとすると、それぞれの波長帯域における外部量子効率の平均値は、36%、4%、33%である。ここで、650ナノメートルおよび800ナノメートルは、第3波長帯域73の上端および第1波長帯域71の上端である。したがって、第1波長帯域71における外部量子効率は第3波長帯域73および第2波長帯域72における外部量子効率の1/8以下になっている。
 上述の定義による第1波長帯域71中、690ナノメートルから730ナノメートルの波長帯域における外部量子効率の平均値は、0.1%である。つまり、図18に示す光電変換素子10の外部量子効率の波長特性によれば、例えば、ストップバンドとして、第1波長帯域71に比べて、より外部量子効率の低いより狭い帯域を設定することが可能である。このような帯域を、撮像したくない照明の波長などに利用すると、不要な感度を更に減らすことができる。
 5.変形例
 本開示の光電変換素子、イメージセンサおよび撮像装置には種々の改変が可能である。例えは上記実施形態において、光電変換素子10は、第3層63を備えていたが、第3層63を備えていなくてもよい。図19に示す光電変換素子100は、第1電極51と、第2電極52と、第1電極51および第2電極52の間に位置する積層体510とを備えている。積層体510は、第1層61および第2層62を含み、第3層63を備えていない。つまり、光電変換素子100は、第3層63を備えていない点を除けば、光電変換素子10と同じ構造を備えている。図20は、光電変換素子100の外部量子効率の波長特性を示す図である。
 光電変換素子100によれば、第1電極51側に第1層61が位置し、第2電極52側に第2層62が位置している。このため、第1電極51から入射した光のうち、第1波長帯域71の光が第1層61に吸収され、第1波長帯域71において、外部量子効率が低く、第2波長帯域72において外部量子効率の高い光電変換特性が実現する。
 本開示のイメージセンサは、図2を参照して説明したように、光学フィルタを備えていてもよい。例えば、イメージセンサにおいて、2次元に配置された複数の画素14を、例えば、4つの画素14を1つのカラー画素群として分類する。各カラー画素群の画素14は、第1画素から第4画素に分類される。第1画素は、カラーフィルタ53として、400ナノメートルから500ナノメートルの範囲を透過させる光学フィルタを有し、第2画素は、500ナノメートルから600ナノメートルの範囲を透過させる光学フィルタを有し、第3画素は、600ナノメートルから700ナノメートルの範囲を透過させる光学フィルタをそれぞれ有する。第4画素は、カラーフィルタ53を有していない。
 このような構成のイメージセンサによれば、第1画素は青成分を撮像し、第2画素は緑成分を撮像し、第3画素は赤成分を撮像し、第4画素は可視域と赤外域を撮像することが可能となる。第3画素上のフィルタの透過域の上限値は、700ナノメートルではなく、本来近赤外である750ナノメートルであっても、光電変換素子の第1波長帯域71の外部量子効率が低いため、第3画素が実際に検出する光の波長範囲は600ナノメートルから700ナノメートルになる。
 このように、本開示の光電変換素子の外部量子効率の波長依存性制御と、光学フィルタを組み合わせれば、より複雑な感度特性が実現できる。あるいは、光学フィルタに要求される特性を緩和することができる。
 また、本開示の光電変換素子の積層体の構成は、上記実施形態で説明した第1層61から第3層63の組み合せ、および、第1層61および第2層62の組み合わせに限られない。例えば、内部量子効率の低い層である第1層よりも第1電極51側および第2電極52側に配置される層はそれぞれ1層に限られず、2層以上であってもよい。
 本開示の光電変換素子およびイメージセンサは、種々の用途の光電変換素子および撮像装置等に好適に使用され得る。
10、100    光電変換素子
11     増幅トランジスタ
12     リセットトランジスタ
13     アドレストランジスタ
14     画素
15     垂直走査回路
16     対向電極信号線
17     垂直信号線
18     負荷回路
19     カラム信号処理回路
20     水平信号読出し回路
21     電源配線
22     差動増幅器
23     フィードバック線
24     電荷蓄積ノード
25     電荷検出回路
26     アドレス信号線
27     リセット信号線
31     半導体基板
38A、38B、38C    ゲート絶縁層
39A、39B、39C    ゲート電極
41A、41B、41C、41D    n型不純物領域
42     素子分離領域
43A、43B、43C    層間絶縁層
45A、45B    コンタクトプラグ
46A    配線
50、510    積層体
51     第1電極
52     第2電極
53     カラーフィルタ
60     電圧制御回路
61     第1層
62     第2層
63     第3層
71     第1波長帯域
71d    下端
71u    上端
72     第2波長帯域
72d    下端
72u    上端
73     第3波長帯域
73d    下端
73u    上端
81、82、83    光
91、92、93    吸収率スペクトル
101    イメージセンサ
500    撮像装置

Claims (9)

  1.  透明導電性材料を含む第1電極と、
     第2電極と、
     前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、光電変換機能を有する積層体と、
    を備え、
     前記積層体は、第1層と、前記第1層と前記第2電極との間に位置する第2層とを含み、
     前記第1層は、360nm以上の第1波長帯域の光を吸収し、かつ、前記第1波長帯域より長い波長を含む第2波長帯域の光を透過し、
     前記第2層は、前記第2波長帯域の光を吸収し、
     前記積層体は、前記第1波長帯域において実質的に光電変換の感度を有さず、前記第2波長帯域において光電変換の感度を有する、
    光電変換素子。
  2.  前記積層体は、前記第1電極と前記第1層との間に位置する第3層をさらに含み、
     前記第3層は、前記第1波長帯域より短い波長を含む第3波長帯域の光を吸収し、前記第1波長帯域の光および前記第2波長帯域の光を透過し、
     前記積層体は、前記第3波長帯域において光電変換の感度を有する、
    請求項1に記載の光電変換素子。
  3.  前記第1層は電荷輸送性を有する、
    請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4.  前記第3層は電荷輸送性を有する、
    請求項2に記載の光電変換素子。
  5.  前記第1波長帯域における、前記第1層および前記第2層を含む前記積層体に含まれるすべての層の各々の外部量子効率の総和は、前記第2波長帯域における、前記すべての層の各々の外部量子効率の総和よりも小さい、
    請求項1に記載の光電変換素子。
  6.  前記第1波長帯域における、前記第1層、前記第2層および前記第3層を含む前記積層体に含まれるすべての層の各々の外部量子効率の総和は、
     前記第2波長帯域における、前記すべての層の各々の外部量子効率の総和よりも小さく、かつ
     前記第3波長帯域における、前記すべての層の各々の外部量子効率の総和よりも小さい、
    請求項2に記載の光電変換素子。
  7.  前記第1層は、錫フタロシアニンおよびC60を含み、
     前記第2層は、鉛フタロシアニンおよびC60を含む、
    請求項1に記載の光電変換素子。
  8.  前記第1層は、錫フタロシアニンおよびC60を含み、
     前記第2層は、鉛フタロシアニンおよびC60を含み、
     前記第3層は、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)およびフェニルC61酪酸メチルエステルを含む、
    請求項2に記載の光電変換素子。
  9.  複数の光電変換素子を備え、
     前記複数の光電変換素子の各々は、請求項1から8のいずれかに記載の光電変換素子であり、
     前記複数の光電変換素子の前記第1電極は互いに接続されており、
     前記複数の光電変換素子の前記積層体は互いに接続されており、
     前記複数の光電変換素子の前記第2電極は互いに分離されており、
     前記複数の光電変換素子は1次元または2次元に配置されている、
    イメージセンサ。
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