WO2020065843A1

WO2020065843A1 - スピーカー取付構造、スピーカーユニット、およびスピーカー装置

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Publication number: WO2020065843A1
Application number: PCT/JP2018/036008
Authority: WO
Inventors: 光一郎加藤
Original assignee: 光一郎加藤
Priority date: 2018-09-27
Filing date: 2018-09-27
Publication date: 2020-04-02

Abstract

板体１０と、板体１０に設けられた、スピーカー取付用の穴１１と、この穴に取り付けられたスピーカー２０と、板体１０の背面１２において、スピーカー２０の回りを囲み、スピーカー２０からスピーカー２０の背部２１に放出される音ＳＲをスピーカー２０の後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁３０と、筒状隔壁３０の内側において、スピーカー２０の背部２１に設けられた、通気性を有する吸音部材４０とを備えている。これにより、スピーカーの振動体に対して大きな抵抗が生じないようにしつつ振動体の裏側の音が表側に回りにくくし、奥行きも小さくできる。

Description

スピーカー取付構造、スピーカーユニット、およびスピーカー装置

　本発明は、スピーカー取付構造、スピーカーユニット、およびスピーカー装置に関するものである。

　一般に、スピーカーは、その振動体（例えばコーン紙）が振動することで音を発する。振動体からの音は、表側だけでなく裏側にも発せられる。裏側の音は、表側の音とは逆位相であるため、この裏側の音が表側に回り込むと、表側の音を打ち消すように作用する。つまり、裏側の音は不要な音である。

　そこで、従来、例えば特許文献１に見られるように、コーン紙の裏の面から射出される音を可能な限り吸音すべく、コーン紙の裏側の領域に可能な限り厚い吸音部材の層を設けるようにしたスピーカー装置が知られている。具体的には、例えば、同文献図２に示されるように、箱１１ａ内に、吸音材１１ｍが適宜充填される（同文献００３６段落）。

　しかし、このスピーカー装置は、スピーカー取り付け孔１１ｄが形成されている面の、他方の端面である裏面１１ｅは閉鎖面とされている（同文献００３５段落）。このため、スピーカー背面の閉塞空間内空気がスピーカの振動体に対して大きな抵抗となり、振動体の円滑な振動が妨げられて、良好な音が得られなくなるおそれがある。
　また、裏面１１ｅを閉鎖面としているため、スピーカー装置の奥行きが大型化する。

　特許文献２の００６０段落および図９には、低音用のスピーカーユニット４１１０のフレーム４１１ｂに設けられている取り付け用のビス孔に長めのビス４１１ｃを固定し、そのビス４１１ｃの内側にその外周面が接触する径を有する紙筒４１５をはめ込んで粘着テープ等で固定し、その紙筒４１５の内部に内部吸音材４１３ａを詰め込んで吸音性の蓋部材４１６で蓋をし、また、紙筒４１５の外周面及びスピーカーユニット４１１０のフレーム部分を外部吸音材４１３ｂによって包み込んだスピーカー装置が記載されている。

　しかし、このスピーカー装置は、紙筒４１５の後端面を蓋部材４１６で蓋をしているため、スピーカー背面の閉塞空間内空気がスピーカの振動体に対して大きな抵抗となり、振動体の円滑な振動が妨げられて、良好な音が得られなくなるおそれがある。
　また、後端面を閉鎖面としているため、スピーカー装置の奥行きが大型化する。

　特許文献３の００２３段落および図１には、ポリプロピレンからなる中空糸吸音材５、６、７、８をキャビネット１の内面全体に貼り付けた状態で製作したスピーカー装置が記載されている。

　しかし、このスピーカー装置は、ポート４を有しているため、スピーカーの裏側の音が、ポート４を通じて表側に回り込んでしまう。

　特許文献４の００１２，００１３段落および図１，図２には、天井裏等の空間に取り付けられ、室内側の面に内部に張られた吸音材１により吸音構造となっている下面の開放した本体箱体２の室内側の下面に対して蓋状に装着される化粧パネル４に、背面が吸音部材７で包み込まれているスピーカー６を室内側に向けて取り付けた給排気ボツクスが記載されている。

　しかし、この給排気ボツクスは、化粧パネル４と本体箱体２の下面との間に吸排気用の隙間５が設けられているため、スピーカーの裏側の音が、隙間５を通じて表側に回り込んでしまう。

　特許文献５の００１２，００１３段落および図１，図２には、天井裏等の空間に取り付けられ、一端が室内側に開口する開口部として、他端が換気装置との接続口４としてダクト接続可能に構成された円筒状又は角筒状の本体１の室内側の開口部の中央部分に蓋状に装着される化粧蓋部材２に、背面が吸音部材６で包み込まれているスピーカー５を室内側に向けて取り付けた給排気端末部品が記載されている。

　しかし、この給排気端末部品は、化粧蓋部材２と本体１との間に吸排気用の隙間３が設けられているため、スピーカーの裏側の音が、隙間３を通じて表側に回り込んでしまう。

特開２０１８－００６９６３号公報再公表特許２０１６－１１１３３０号公報特許第３００７８８６号公報特開平５－１３３５９４号公報特開平５－１３３５９５号公報

　本発明が解決しようとする課題は、スピーカーの振動体に対して大きな抵抗が生じないようにしつつ振動体の裏側の音が表側に回りにくくし、奥行きも小さくできるスピーカー取付構造、スピーカーユニット、およびスピーカー装置を提供することである。

　上記課題を解決するために本発明のスピーカー取付構造は、
　板体と、この板体に設けられた、スピーカー取付用の穴と、この穴に取り付けられたスピーカーと、を備えたスピーカー取付構造であって、
　前記板体の背面において、前記スピーカーの回りを囲み、スピーカーからスピーカーの背部に放出される音をスピーカーの後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁と、
　この筒状隔壁の内側において、前記スピーカーの背部に設けられた、通気性を有する吸音部材と、
　を備えていることを特徴とする。

　このスピーカー取付構造によれば、
　スピーカーからスピーカーの背部に放出される音は、前記板体の背面において、前記スピーカーの回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁によって後方へ向けて案内され、その過程で、筒状隔壁の内側において、前記スピーカーの背部に設けられた、通気性を有する吸音部材によって吸音される。
　筒状隔壁の後方は開放されており、吸音部材は通気性を有しているので、スピーカーの後方の空間がスピーカーの振動に対して大きな抵抗とはならない。
　また、スピーカーからスピーカーの背部に放出される音は、前記板体の背面において、前記スピーカーの回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁によって後方へ向けて案内され、その過程で、吸音部材で吸音されて減衰されるので、前記板体の周囲を超えて表側へ回り込みにくくなる。回り込んだとしても、その音量はスピーカーの前部に放出される音に比べて著しく小さくなる。したがって、表側の音が打ち消されるという事態が生じないか、生じたとしても、その打ち消し量は著しく小さくなるため、表側において良好な音が得られる。
　さらに、筒状隔壁の後方は閉塞されていないので、その分、奥行きを小さくすることができる。
　また、スピーカーのための箱体を構成する必要も無いので、デザインの自由度も増す。

　このスピーカー取付構造においては、
　前記スピーカーおよびスピーカー取付用の穴は、前記板体に対し、上下および左右に関し、いずれの中心からもずらした位置に設けられている構成とすることができる。
　このように構成すると、裏側の音が表側の音にさらに干渉しにくくなる。

　このスピーカー取付構造においては、
　前記筒状隔壁の開放面を、通気性を有するシート材で覆った構成とすることができる。
　このように構成すると、スピーカの裏側への埃等の侵入を抑えることができる。
　なお、本願において、「後方が開放された筒状隔壁」というのは、気密の点で後方が開放された筒状隔壁という意味である。

　また、上記課題を解決するために本発明のスピーカーユニットは、
　振動体と、この振動体の周囲を固定するリング状部材とを備えたスピーカーユニットであって、
　前記リング状部材の背面において、前記振動体の回りを囲み、振動体から振動体の背部に放出される音を振動体の後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁と、
　この筒状隔壁の内側において、前記振動体の背部に設けられた、通気性を有する吸音部材と、
　を備えていることを特徴とする。

　このスピーカーユニットによれば、
　振動体から振動体の背部に放出される音は、振動体の周囲を固定するリング状部材の背面において、前記振動体の回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁によって後方へ向けて案内され、その過程で、筒状隔壁の内側において、前記振動体の背部に設けられた、通気性を有する吸音部材によって吸音される。
　筒状隔壁の後方は開放されており、吸音部材は通気性を有しているので、振動体の後方の空間が振動体の振動に対して大きな抵抗とはならない。
　また、振動体から振動体の背部に放出される音は、前記リング状部材の背面において、前記振動体の回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁によって後方へ向けて案内され、その過程で、吸音部材で吸音されて減衰されるので、前記リング状部材の周囲を超えて表側へ回り込みにくくなる。回り込んだとしても、その音量は振動体の前部に放出される音に比べて著しく小さくなる。したがって、表側の音が打ち消されるという事態が生じないか、生じたとしても、その打ち消し量は著しく小さくなるため、表側において良好な音が得られる。
　さらに、筒状隔壁の後方は閉塞されていないので、その分、奥行きを小さくすることができる。

　また、上記課題を解決するために本発明のスピーカー装置は、
　板体と、
　この板体に設けられた、スピーカー取付用の穴と、
　この穴に取り付けられたスピーカーと、
　前記板体の背面において、前記スピーカーの回りを囲み、スピーカーからスピーカーの背部に放出される音をスピーカーの後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁と、
　この筒状隔壁の内側において、前記スピーカーの背部に設けられた、通気性を有する吸音部材と、
　前記板体を補強する、板体の背面に設けられた補強枠と、
　前記板体の下部に設けられ、板体を自立させる脚部と、
　を備えていることを特徴とする。

　このスピーカー装置によれば、
　スピーカーからスピーカーの背部に放出される音は、前記板体の背面において、前記スピーカーの回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁によって後方へ向けて案内され、その過程で、筒状隔壁の内側において、前記スピーカーの背部に設けられた、通気性を有する吸音部材によって吸音される。
　筒状隔壁の後方は開放されており、吸音部材は通気性を有しているので、スピーカーの後方の空間がスピーカーの振動に対して大きな抵抗とはならない。
　また、スピーカーからスピーカーの背部に放出される音は、前記板体の背面において、前記スピーカーの回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁によって後方へ向けて案内され、その過程で、吸音部材で吸音されて減衰されるので、前記板体の周囲を超えて表側へ回り込みにくくなる。回り込んだとしても、その音量はスピーカーの前部に放出される音に比べて著しく小さくなる。したがって、表側の音が打ち消されるという事態が生じないか、生じたとしても、その打ち消し量は著しく小さくなるため、表側において良好な音が得られる。
　さらに、筒状隔壁の後方は閉塞されていないので、その分、奥行きを小さくすることができる。
　また、板体を補強する、板体の背面に設けられた補強枠を有しているので、強く振動するスピーカー（例えばウーハー）を取り付けるのに適したものとなる。
　このスピーカー装置は、前記板体の下部に設けられ、板体を自立させる脚部を有しているので、この脚部にて自立させて使用することができる。そして前述したように、筒状隔壁の奥行きを小さくできる結果として、脚部を含むスピーカー装置全体の奥行きも小さくすることができる。

本発明に係るスピーカー取付構造およびスピーカー装置の実施の形態を示す図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は図（ａ）におけるｂ－ｂ断面図。板体１０および補強枠５０の背面図。スピーカー装置の使用例を示す正面図。スピーカー取付構造の他の実施の形態を示す断面図。本発明に係るスピーカーユニットの実施の形態を示す図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は図（ａ）におけるｂ－ｂ断面図。

　以下、本発明に係るスピーカー取付構造、スピーカーユニット、およびスピーカー装置の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。

　図１に示すように、この実施の形態のスピーカー取付構造１は、
　板体１０と、この板体１０に設けられた、スピーカー取付用の穴１１と、この穴１１に取り付けられたスピーカー２０と、を備えている。

　そして、この実施の形態のスピーカー取付構造１は、板体１０の背面１２において、スピーカー２０の回りを囲み、スピーカー２０からスピーカー２０の背部２１に放出される音（矢印ＳＲ参照）をスピーカー２０の後方（矢印Ｒｒ方向）へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁３０（図２参照）と、
　この筒状隔壁３０の内側３１において、スピーカー２０の背部２１に設けられた、通気性を有する吸音部材４０と、を備えている。
　図１（ｂ）において、筒状隔壁３０の後方開放部（開口面）を符号３２で示す。

　このスピーカー取付構造によれば、
　スピーカー２０からスピーカー２０の背部２１に放出される音ＳＲは、板体１０の背面１２において、スピーカー２０の回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁３０によって後方（Ｒｒ）へ向けて案内され、その過程で、筒状隔壁３０の内側において、スピーカー２０の背部２１に設けられた、通気性を有する吸音部材４０によって吸音される。

　筒状隔壁３０の後方は開放されており、吸音部材４０は通気性を有しているので、スピーカー２０の後方の空間Ａ１がスピーカー２０の振動に対して大きな抵抗とはならない。したがって、スピーカーは良好に振動する。

　また、スピーカー２０からスピーカー２０の背部２１に放出される音ＳＲは、前記筒状隔壁３０によって後方へ向けて案内され、その過程で、吸音部材で吸音されて減衰されるので、板体１０の周囲１３を超えて表側（矢印Ｆｒ側）へ回り込みにくくなる。回り込んだとしても、その音量はスピーカー２０の前部（矢印Ｆｒ参照）に放出される音ＳＦに比べて著しく小さくなる。したがって、スピーカー２０の背部２１に放出される音ＳＲによって、表側の音ＳＦが打ち消されるという事態が生じないか、生じたとしても、その打ち消し量は著しく小さくなるため、表側において良好な音ＳＦが得られる。

　さらに、筒状隔壁３０の後方（３２）は閉塞されていないので、その分、この構造体（１）の奥行きＤ１を小さくすることができる。
　また、スピーカーのための箱体を構成する必要も無いので、デザインの自由度も増す。

　スピーカー２０およびスピーカー取付用の穴１１は、板体１０に対し、上下および左右に関し、いずれの中心からもずらした位置に設けられている。図１（ａ）の場合、Ｈ１＜Ｈ２、Ｌ１＜Ｌ２である。
　このように構成すると、仮に、裏側の音ＳＲが、板体１０の周囲１３を超えて表側（矢印Ｆｒ側）へ回り込んだとしても、回り込みの時間が上下左右で異なることとなるため、裏側の音ＳＲによって表側の音ＳＦが打ち消されるという事態が一層生じ難くなる。

　図１に示すスピーカー装置２は、上述したスピーカー取付構造１を採用したものであり、
　板体１０と、
　この板体１０に設けられた、スピーカー取付用の穴１１と、
　この穴に取り付けられたスピーカー２０と、
　前記板体１０の背面１２において、前記スピーカー２０の回りを囲み、スピーカー２０からスピーカー２０の背部２１に放出される音ＳＲをスピーカー２０の後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁３０と、
　この筒状隔壁３０の内側において、前記スピーカー２０の背部２１に設けられた、通気性を有する吸音部材４０と、
　前記板体１０を補強する、板体１０の背面１２に設けられた補強枠５０（図２参照）と、
　前記板体１０の下部に設けられ、板体１０を自立させる脚部６０と、
　を備えている。

　このスピーカー装置２によれば、上述したスピーカー取付構造１による作用効果が得られる。

　また、板体１０を補強する、板体１０の背面１２に設けられた補強枠５０を有しているので、強く振動するスピーカー２０（例えばウーハー）を取り付けるのに適したものとなる。

　このスピーカー装置２は、板体１０の下部に設けられ、板体１０を自立させる脚部６０を有しているので、この脚部６０にて自立させて使用することができる。そして前述したように、筒状隔壁３０の奥行きＤ１を小さくできる結果として、脚部６０を含むスピーカー装置全体の奥行きＤ２（図１（ｂ））も小さくすることができる。
　スピーカー装置２は、例えば図３に示すように、左右一組として利用することができる。

　例えば、図４に示すように、このスピーカー取付構造においては、
　筒状隔壁３０の開放面３２を、通気性を有するシート材７０で覆った構成とすることができる。
　このように構成すると、スピーカー２０の裏側への埃等の侵入を抑えることができる。

　シート材７０は、スピーカーの良好な振動を妨げない程度の通気性を有していれば良く、例えば、布、目の細かなメッシュシート等を採用し得る。
　シート材７０は、その周辺部７１を筒状隔壁３０の後端面３０ｃに接着剤やホッチキス等で固定することができる。
　また、筒状隔壁３０の内側または外側に嵌まる枠体（図示せず）で、筒状隔壁３０との間に周辺部７１を挟持することによって、シート部材７０を取り付けることもできる。
　なお、本願において、「後方が開放された筒状隔壁」というのは、気密の点で後方が開放された筒状隔壁という意味であるから、上記のようなシート材７０で筒状隔壁３０の開放面３２を覆っても、この筒状隔壁３０は「後方が開放された筒状隔壁」である。

　図５は、本発明に係るスピーカーユニットの実施の形態を示す図である。
　このスピーカーユニットＳＵは、振動体２２と、この振動体２２の周囲を固定するリング状部材（フレーム）２３とを備えている。

　そしてこのスピーカーユニットＳＵは、
　リング状部材２３の背面２３ｂにおいて、振動体２２の回りを囲み、振動体２２から振動体２２の背部２１に放出される音ＳＲを振動体２２の後方Ｒｒへ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁２４と、
　この筒状隔壁２４の内側２４ｂにおいて、振動体２２の背部に設けられた、通気性を有する吸音部材４０と、を備えている。

　このスピーカーユニットＳＵは、そのまま使用することもできるし、仮想線で示すような板体１０に取り付けて使用することもできる。

　このスピーカーユニットＳＵによれば、
　振動体２２から振動体２２の背部に放出される音ＳＲは、振動体２２の周囲を固定するリング状部材２３の背面において、振動体２２の回りを囲む、後方が開放された筒状隔壁２４によって後方Ｒｒへ向けて案内され、その過程で、筒状隔壁２４の内側２４ｂにおいて、振動体２２の背部に設けられた、通気性を有する吸音部材４０によって吸音される。

　筒状隔壁２４の後方は開放（開放部を２４ｃで示す）されており、吸音部材４０は通気性を有しているので、振動体２２の後方の空間Ａ１が振動体２２の振動に対して大きな抵抗とはならない。したがって、振動体２２は良好に振動する。

　また、振動体２２から振動体２２の背部に放出される音ＳＲは、リング状部材２３の背面において、振動体２２の回りを囲む、後方Ｒｒが開放された筒状隔壁２４によって後方Ｒｒへ向けて案内され、その過程で、吸音部材４０で吸音されて減衰されるので、リング状部材２３の周囲２３ｃ（またはこのスピーカーユニットＳＲが取り付けられた板体１０の周囲１３）を超えて表側へ回り込みにくくなる。回り込んだとしても、その音量は振動体２２の前部（Ｆｒ）に放出される音ＳＦに比べて著しく小さくなる。したがって、振動体２２の背部に放出される音ＳＲによって、表側の音ＳＦが打ち消されるという事態が生じないか、生じたとしても、その打ち消し量は著しく小さくなるため、表側において良好な音ＳＦが得られる。

　さらに、筒状隔壁２４の後方は閉塞されていないので、その分、奥行きＤ１’を小さくすることができる。

　板体１０は、例えばスピーカーエンクロージャー用の公知の材料を使用することができる。例えば、厚さ１８ｍｍのサクラ材の合板やパイン材集合板、厚さ２３ｍｍのパイン材等、公知の適宜の材料を使用することができる。

　スピーカー２０は、公知のスピーカーを採用することができる。例えば、３０ｃｍウーハーを使用する。

　図１（ａ）において、２８はツイーター（高音用スピーカー）、２９はスコーカー（中音用スピーカー）である。図２において、１８はツイーター２８の取付穴、１９はスコーカー２９の取付穴である。
　この実施の形態のスピーカー取付構造１は、ツイーター２８やスコーカー２９に対しても適用可能である。

　筒状隔壁３０は、板体１０の背面１２において、スピーカー２０の回りを囲み、スピーカー２０からスピーカー２０の背部２１に放出される音ＳＲをスピーカー２０の後方（矢印Ｒｒ方向）へ向けて案内することができ、後方が開放された形状であれば、適宜の形状を採用することができる。
　図２に示す筒状隔壁３０は角筒状であるが、円筒状とすることもできる。
　図２に示す筒状隔壁３０は、４枚の板３３で角筒体を構成し、この角筒体を板体１０の背面１２に接合してある。接合手段は、適宜の手段を採用できる。例えば、接着剤による接合を採用できる。

　筒状隔壁３０と板体１０との接合部１４（図１（ｂ）参照）は、接着によって気密状態としても良いし、強固に固定できれば多少の隙間があっても良い。この隙間から、後方の音ＳＲが流出し、表側（矢印Ｆｒ側）へ回り込んで前部の音ＳＦを打ち消さない程度の隙間であればかまわない。

　筒状隔壁３０の後方（開放面）３２は、硬い板材で塞いではならない。
　硬い板材で塞ぐと、空気抵抗が増すだけでなく、後方への音ＳＲが板材で反射して、スピーカーの振動体２２に戻って前に出て来てしまうからである。

　吸音部材４０は、筒状隔壁３０の内側３１に設けることができ、スピーカー２０の振動を大きく妨げない程度の通気性を有するものであれば、公知の吸音部材を採用することができる。例えば、吸音マット（シート状スポンジ）を採用する。
　吸音部材４０を筒状隔壁３０の内側３１に取り付ける構造は、適宜の構造を採用できる。
　例えば、図１（ｂ）に示すように、吸音マットの周囲を後方へ折り曲げ、その折り曲げ部４１を筒状隔壁３０の内面３４に接着剤や両面テープ、ホッチキス等で接合する。

　板体１０の背面１２に設ける補強枠５０は、スピーカー２０（例えばウーハー）の強い振動を受け止めることのできる構造であれば適宜の構造を採用することができる。
　図１（ｂ）および図２に示す補強枠５０は、板体１０の背面１２の上下辺に添設される上下の補強部材５１，５１と、同じく左右辺に添設される左右の補強部材５２，５２と、上下方向に関し中間部に設けられる横方向に延びる補強部材５３とを有している。
　これら補強部材は、角材で構成することができ、固定手段（ビスや接着剤）で板体１０の背面１２に固定される。補強枠５０は板体１０と一体に構成することもできる。

　脚部６０は、板体１０を自立させることのできる公知の構造を採用できる。図示のものは、角材で構成し、板体１０および補強枠５０の下面に固定してある。

　スピーカーの振動体２２は公知のものであり、例えばコーン紙である。
　スピーカーユニットＳＵのリング状部材２３は、公知の適宜の材料、例えば、金属や合成樹脂で構成できる。
　筒状隔壁２４は、リング状部材２３と別体としても良いし、一体に構成することもできる。
　吸音部材４０を筒状隔壁２４の内側に取り付ける構造は、適宜の構造を採用できる。
　例えば、図５（ｂ）に示すように、吸音マットの周囲を後方へ折り曲げ、その折り曲げ部４１を筒状隔壁２４の内面２４ｄに接着剤や両面テープで接合する。

　以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。

　　１：　　スピーカー取付構造
　　２：　　スピーカー装置
　ＳＵ：　　スピーカーユニット
　１０：　　板体
　１１：　　スピーカー取付用の穴
　１２：　　背面
　２０：　　スピーカー
　２１：　　背部
　２２：　　振動体
　２３：　　リング状部材
　２４：　　筒状隔壁
　３０：　　筒状隔壁
　３２：　　開放面
　４０：　　吸音部材
　５０：　　補強枠
　６０：　　脚部
　７０：　　通気性を有するシート材

Claims

　板体（１０）と、この板体（１０）に設けられた、スピーカー取付用の穴（１１）と、この穴（１１）に取り付けられたスピーカー（２０）とを備えたスピーカー取付構造であって、
　前記板体（１０）の背面（１２）において、前記スピーカー（２０）の回りを囲み、スピーカー（２０）からスピーカー（２０）の背部（２１）に放出される音（ＳＲ）をスピーカー（２０）の後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁（３０）と、
　この筒状隔壁（３０）の内側において、前記スピーカー（２０）の背部（２１）に設けられた、通気性を有する吸音部材（４０）と、
　を備えていることを特徴とするスピーカー取付構造。
　請求項１において、
　前記スピーカー（２０）およびスピーカー取付用の穴（１１）は、前記板体（１０）に対し、上下および左右に関し、いずれの中心からもずらした位置に設けられていることを特徴とするスピーカー取付構造。
　請求項１において、
　前記筒状隔壁（３０）の開放面（３２）を、通気性を有するシート材（７０）で覆ったことを特徴とするスピーカー取付構造。
　振動体（２２）と、この振動体（２２）の周囲を固定するリング状部材（２３）とを備えたスピーカーユニットであって、
　前記リング状部材（２３）の背面において、前記振動体（２２）の回りを囲み、振動体（２２）から振動体（２２）の背部に放出される音（ＳＲ）を振動体（２２）の後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁（２４）と、
　この筒状隔壁（２４）の内側において、前記振動体（２２）の背部に設けられた、通気性を有する吸音部材（４０）と、
　を備えていることを特徴とするスピーカーユニット。
　板体（１０）と、
　この板体（１０）に設けられた、スピーカー取付用の穴（１１）と、
　この穴（１１）に取り付けられたスピーカー（２０）と、
　前記板体（１０）の背面（１２）において、前記スピーカー（２０）の回りを囲み、スピーカー（２０）からスピーカー（２０）の背部（２１）に放出される音（ＳＲ）をスピーカー（２０）の後方へ向けて案内する、後方が開放された筒状隔壁（３０）と、
　この筒状隔壁（３０）の内側において、前記スピーカー（２０）の背部（２１）に設けられた、通気性を有する吸音部材（４０）と、
　前記板体（１０）を補強する、板体（１０）の背面（１２）に設けられた補強枠（５０）と、
　前記板体（１０）の下部に設けられ、板体（１０）を自立させる脚部（６０）と、
　を備えていることを特徴とするスピーカー装置。