WO2020012697A1 - 内視鏡照明光学系 - Google Patents

Abstract

内視鏡（１００）の先端を被覆する位置に配置される光学的に透明な樹脂製の先端カバー（２）と、先端カバー（２）の基端側に配置され、先端カバー（２）を透過して内視鏡（１００）の前方に照明光を射出する半導体レーザ光源（３）とを備え、先端カバー（２）の先端面（５）の外周縁が、Ｒ面取りされた曲面形状のＲ面取り面（７）を有するとともに、少なくとも照明光が通過する領域のＲ面取り面（７）を部分的に平面または円錐面に置き換えた切り欠き部（１４）を有する内視鏡照明光学系（１）である。

Description

内視鏡照明光学系

　本発明は、内視鏡照明光学系に関するものである。

　バッテリで駆動することが可能なモバイル内視鏡のニーズがあり、低消費電力かつ高輝度な光源として半導体レーザ光源（以下、ＬＤ光源という。）を用いることが提案されている（例えば、特許文献１参照。）。

国際公開第２０１６／１０３４１１号公報

　ＬＤ光源は、配光の小さな短波長の励起光と、励起光を蛍光体に照射して発生させた、配光の大きな長波長の蛍光とを合成した光源であるため、励起光と蛍光とで配光が異なり、照明光として用いると色むらが発生し易い。

　本発明は、低消費電力かつ高輝度のＬＤ光源を照明光として使用しつつ、色むらの発生を低減することができる内視鏡照明光学系を提供する。

　本発明の一態様は、内視鏡の先端を被覆する位置に配置される光学的に透明な樹脂製の先端カバーと、該先端カバーの基端側に配置され、前記先端カバーを透過して前記内視鏡の前方に照明光を射出する半導体レーザ光源とを備え、前記先端カバーの先端面の外周縁が、Ｒ面取りされた曲面形状のＲ面取り面を有するとともに、少なくとも前記照明光が通過する領域の前記Ｒ面取り面を部分的に平面または円錐面に置き換えた切り欠き部を有する内視鏡照明光学系である。

本発明の一実施形態に係る内視鏡照明光学系を備える内視鏡の先端部を示す縦断面である。 図１の内視鏡照明光学系を先端側から長手軸方向に見た正面図である。 図１の内視鏡照明光学系の半導体レーザ光源により射出される蛍光および励起光の配光の一例を示す図である。 図１の内視鏡照明光学系の先端部を部分的に示す拡大縦断面図である。 図１の内視鏡照明光学系の第１の変形例の先端部を部分的に示す拡大縦断面図である。 図５の内視鏡照明光学系を先端側から長手軸方向に見た正面図である。 図１の内視鏡照明光学系の第２の変形例の先端部を先端側から長手軸方向に見た正面図である。 図１の内視鏡照明光学系の第３の変形例の先端部を先端側から長手軸方向に見た正面図である。 図８の内視鏡照明光学系の先端部を部分的に示す拡大側面図である。

　本発明の第１の実施形態に係る内視鏡照明光学系１について、図面を参照して以下に説明する。
　本実施形態に係る内視鏡照明光学系１は、図１に示されるように、内視鏡１００の挿入部１１０の先端を被覆する位置に配置される先端カバー２と、先端カバー２よりも基端側に配置された半導体レーザ光源３とを備えている。図中、符号４は、被写体から戻る戻り光を撮影する撮影光学系である。

　先端カバー２は、光学的に透明な樹脂材料により構成され、挿入部１１０の長手軸に直交する先端面５と、長手軸を中心とする円筒面からなる外周面６と、先端面５と外周面６との境界に位置する先端面５の外周縁に配置されたＲ面取り面７とを備えている。
　先端カバー２には先端面５とは反対側の基端面８に、半導体レーザ光源３を配置する孔９が、例えば、周方向に間隔をあけて２箇所に設けられている。

　各孔９内には、半導体レーザ光源３が配置されている。
　半導体レーザ光源３は、図示しない光源部からの励起光を導光するライトガイドファイバ１０と、ライトガイドファイバ１０により導光されてきた励起光が入射されることにより蛍光を発生する蛍光体１１と、蛍光体１１から発せられた蛍光を挿入部１１０の長手軸に沿う方向に偏向する円錐ミラー１２と、蛍光体１１の前方に配置された散乱体を含むシリコン１３とを備えている。これにより、半導体レーザ光源３は、蛍光体１１から発せられた蛍光と、蛍光体１１を透過してシリコン１３に含まれる散乱体により散乱された励起光とを合波した照明光を、先端カバー２を透過して内視鏡１００の前方に射出する。

　本実施形態においては、先端カバー２の先端面５に、２箇所の孔９に対応する位置に、それぞれ切り欠き部１４が設けられている。
　本実施形態においては、切り欠き部１４は、図１および図２に示されるように、少なくとも照明光が通過する領域を包含する位置に配置されているＲ面取り面７を部分的に、先端面５に対して傾斜する平面に置き換えた形態を有している。

　このように構成された本実施形態に係る内視鏡照明光学系１の作用について以下に説明する。
　本実施形態に係る内視鏡照明光学系１によれば、半導体レーザ光源３のライトガイドファイバ１０を経由して伝播されてきた励起光が蛍光体に入射すると、一部の励起光が蛍光物質を励起して蛍光を発生させ、他の一部の励起光が蛍光体１１を透過した後、シリコン１３内に含まれている散乱体により散乱され、蛍光と合波されて先端カバー２から前方に射出される。

　この場合において、ライトガイドファイバ１０の中心付近では、指向性の高い低ＮＡの励起光が直進し、蛍光体１１に入射し、蛍光体１１において発せられた蛍光が長手軸方向に直交する方向に発光される。この後、円錐ミラー１２内面によって反射されて長手軸方向に偏向される。これにより、図３に示されるように、蛍光の配光は０°付近でピークとなる。一方、蛍光体１１を透過した励起光はシリコン１３に含まれる散乱体の濃度に依存し、１０°から４０°の範囲にピークを有する配光となる。図３は２５°の方向にピークを有する場合を示している。

　先端カバー２の先端面５の外周縁には、挿入部１１０を体腔内に挿入する際に、体腔内壁を傷つけないために、全周にわたってＲ面取り面７が設けられている。Ｒ面取り面７を照明光が通過すると、Ｒ面取り面７は光学的なレンズ作用を生じさせる。特に、図３に示されるように、蛍光は直進し、励起光は中心から離れた外側にピークを有する配光を備えているので、励起光の配光のピークの方向にＲ面取り面７が存在すると、励起光が大きく収斂される一方、蛍光が受ける収斂は小さい。収斂作用の相対差により色むらが発生する。

　本実施形態によれば、図４に示されるように、照明光が透過する領域、特に、ピーク強度の励起光が透過する領域のＲ面取り面７が平面に置き換えられているので、先端カバー２を透過する蛍光および励起光に作用する収斂作用に相対差が発生せず、色むらの発生を抑えることができるという利点がある。

　本実施形態においては、先端カバー２が、先端面５に対して傾斜した平面によりＲ面取り面７の一部を切り欠き部１４として置き換えた形態を有することとしたが、これに代えて、図５および図６に示されるように、さらに大きな平面により置き換えることにしてもよい。

　図７に示されるように、切り欠き部１４としては、全周にわたって、内視鏡１００の長手軸を中心として、内視鏡１００の前方に向かって凸面となる円錐面で置き換えることにしてもよい。
　これにより、蛍光および励起光に均一かつ微小な収斂作用を生じさせて、色むらの発生を防止することができる。

　図８および図９に示されるように、切り欠き部１４としては、内視鏡１００の長手軸に直交する軸線を中心として、内視鏡１００の前方に向かって凹面となる円錐面で置き換えることにしてもよい。
　これにより、蛍光および励起光に均一かつ微小な発散作用を生じさせて、色むらの発生を防止することができる。

　上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
　本発明の一態様は、内視鏡の先端を被覆する位置に配置される光学的に透明な樹脂製の先端カバーと、該先端カバーの基端側に配置され、前記先端カバーを透過して前記内視鏡の前方に照明光を射出する半導体レーザ光源とを備え、前記先端カバーの先端面の外周縁が、Ｒ面取りされた曲面形状のＲ面取り面を有するとともに、少なくとも前記照明光が通過する領域の前記Ｒ面取り面を部分的に平面または円錐面に置き換えた切り欠き部を有する内視鏡照明光学系である。

　本態様によれば、内視鏡の先端を被覆する位置に配置される先端カバーの先端面の外周縁に設けられたＲ面取り面により、体腔内への内視鏡の挿入をスムーズに行うことができる。光源として、低消費電力かつ高輝度の半導体レーザ光源を用いることにより、バッテリ駆動の内視鏡を実現することができる。

　半導体レーザ光源から発せられた照明光は、光学的に透明な樹脂製の先端カバーを透過して内視鏡の前方に射出される。半導体レーザ光源から射出される照明光には、短波長の励起光と長波長の蛍光とが含まれる。励起光のピークの方向にＲ面取り面が存在する場合にはレンズ効果によって励起光が収斂するが、本態様によれば、照明光が通過する領域のＲ面取り面が切り欠き部によって平面または円錐面に置き換えられているので、励起光の収斂作用を低減することができ、色むらの発生を抑制することができる。

　上記態様においては、前記先端カバーが、前記内視鏡の長手軸に直交する平面からなる前記先端面と、前記長手軸を中心とする円筒面からなる外周面と、該外周面と前記先端面との境界に配置される前記Ｒ面取り面とを備えていてもよい。
　この構成により、先端面と外周面との境界に配置されるＲ面取り面が、切り欠き部によって平面または円錐面に置き換えられ、励起光の収斂作用を低減することができ、色むらの発生を抑制することができる。

　上記態様においては、前記切り欠き部が、前記Ｒ面取り面のみを切り欠いた形状に形成されていてもよい。
　この構成により、励起光が内視鏡の長手軸を含む平面に沿って湾曲する曲面形状の表面を通過しないので、励起光の収斂作用を低減することができ、色むらの発生を抑制することができる。

　上記態様においては、前記切り欠き部が、前記先端面および前記Ｒ面取り面の両方にわたって連続する平面または円錐面により切り欠いた形状に形成されていてもよい。
　この構成により、先端カバーの表面における励起光の屈折方向が不連続に変化することを防止して、色むらの発生をさらに抑制することができる。

　１　内視鏡照明光学系
　２　先端カバー
　３　半導体レーザ光源
　５　先端面
　６　外周面
　７　Ｒ面取り面
　１４　切り欠き部
　１００　内視鏡

Claims (4)

1. 　内視鏡の先端を被覆する位置に配置される光学的に透明な樹脂製の先端カバーと、
   　該先端カバーの基端側に配置され、前記先端カバーを透過して前記内視鏡の前方に照明光を射出する半導体レーザ光源とを備え、
   　前記先端カバーの先端面の外周縁が、Ｒ面取りされた曲面形状のＲ面取り面を有するとともに、少なくとも前記照明光が通過する領域の前記Ｒ面取り面を部分的に平面または円錐面に置き換えた切り欠き部を有する内視鏡照明光学系。
2. 　前記先端カバーが、前記内視鏡の長手軸に直交する平面からなる前記先端面と、前記長手軸を中心とする円筒面からなる外周面と、該外周面と前記先端面との境界に配置される前記Ｒ面取り面とを備える請求項１に記載の内視鏡照明光学系。
3. 　前記切り欠き部が、前記Ｒ面取り面のみを切り欠いた形状に形成されている請求項２に記載の内視鏡照明光学系。
4. 　前記切り欠き部が、前記先端面および前記Ｒ面取り面の両方にわたって連続する平面または円錐面により切り欠いた形状に形成されている請求項２に記載の内視鏡照明光学系。

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