WO2019198117A1

WO2019198117A1 - スライダーおよびこれを備えたスライドファスナー

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Publication number: WO2019198117A1
Application number: PCT/JP2018/014835
Authority: WO
Inventors: 貴敬小澤
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2018-04-09
Filing date: 2018-04-09
Publication date: 2019-10-17
Also published as: CN111918580A; EP3777597B1; US11304482B2; EP3777597A4; EP3777597A1; CN111918580B; US20210137224A1

Abstract

スライダー（３０）は、上翼板（３２）および下翼板（３３）を案内柱（３４）によってつないで構成されたスライダー胴体（３１）と、スライダー胴体（３１）に連結される引手（４１）とを備える。上翼板（３２）には、スライダー胴体（３１）の厚さ方向において上翼板（３２）の上面（３２１）から突出した一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）が形成される。引手（４１）には、一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）に支持される連結ピン（５１）が挿通される連結軸部（４０）が形成される。上翼板（３２）には、前記厚さ方向において上面（３２１）よりも下翼板（３３）側に窪んだ凹部（３７）が形成される。連結軸部（４０）は、一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）の間において凹部（３７）に位置する。

Description

スライダーおよびこれを備えたスライドファスナー

　本発明は、一対のファスナーストリンガーを連結する樹脂製のスライダーおよびこれを備えたスライドファスナーに関する。

　従来、結合エレメントを有する二つのテープ部と、スライド移動により結合エレメント同士を連結するスライダーアセンブリー（スライダー）とを備えたスライドファスナーが知られている。
　スライダーは、スライダー胴体と、スライダー胴体に回動可能に連結された引手と、スライダー胴体に沿うロック位置に向けて引手を弾性付勢するロック部材とを備えている。

　スライダー胴体は、上翼部と、下翼部と、上翼部および下翼部をつないだ案内柱とを有しており、これらによって略Ｙ字状の案内路を形成している。上翼部には、その幅方向において互いに対向した一対の側壁と、一対の側壁間にある底壁とによって凹部が形成されており、この凹部に引手が配置されている。

特開２０１７－１８５２１６号公報

　ところで、特許文献１に記載のスライドファスナーでは、引手が配置される凹部の底面、特に、一対の側壁が対向する幅方向の両側における底面は、上翼部の上面と面一に形成されている。このため、引手を上翼部の上面よりもスライダー胴体の下翼部側に近づけて配置することができず、前記幅方向に直交する方向におけるスライダーの厚さ寸法を小さくすることが困難である。
　また、例えばスライダー胴体および引手が一体成形やインサート成形される場合、スライダー胴体および引手の間にスライドコアが必要となってしまい、製造上、スライダーにある程度の厚みがでてしまう。このため、スライダーの厚さ寸法を小さくすることが困難である。

　本発明の目的は、厚さ寸法を小さくすることができるスライダーおよびこれを備えたスライドファスナーを提供することにある。

　本発明のスライダーは、上翼板および下翼板を案内柱によってつないで構成されたスライダー胴体と、前記スライダー胴体に連結される引手とを備えており、前記上翼板には、前記上翼板および前記下翼板が対向する前記スライダー胴体の厚さ方向において前記上翼板の上面から突出した一対の側壁部が形成されており、前記引手には、前記一対の側壁部に支持される連結ピンが挿通される連結軸部が形成されており、前記上翼板には、前記スライダー胴体の厚さ方向において前記上面よりも前記下翼板側に窪んだ凹部または前記上面から前記上翼板を貫通した孔部が形成されており、前記連結軸部は、前記一対の側壁部の間において前記凹部または前記孔部に位置していることを特徴とする。
　本発明のスライダーによれば、例えば特許文献１のように底面が上翼部の上面と面一とされる凹部に対して引手を配置する場合と比べて、上翼板の上面から窪んだ凹部に引手の連結軸部を配置するので、この連結軸部を上翼板の上面よりも下翼板側に寄った位置に配置でき、これにより、スライダー全体の厚さ寸法を小さくすることができる。

　本発明のスライダーでは、前記凹部の凹部底面から前記上翼板および前記下翼板の間に形成される案内溝までの厚さ寸法は、前記上翼板の上面から前記案内溝までの厚さ寸法よりも小さいことが好ましい。
　このような構成によれば、凹部の凹部底面から案内溝までの厚さ寸法を小さくすることで、引手の連結軸部をスライダー胴体に近づけて配置することでスライダー全体の厚さ寸法を小さくできる一方、引手の連結軸部をスライダー胴体に近づけて配置するために上翼板の厚さ寸法を小さくする必要がないので、上翼板の厚さ寸法を維持してスライダー胴体の強度を保つことができる。

　本発明のスライダーでは、前記一対の側壁部には前記連結ピンが挿通される軸孔部が形成されており、前記軸孔部の少なくとも一部は、前記上翼板の上面よりも下方に位置していることが好ましい。
　このような構成によれば、軸孔部の少なくとも一部を上翼板の上面よりも下方に位置させることで、軸孔部に挿通される連結ピンを上翼板の上面よりも下翼板側に寄った位置に配置でき、これにより、スライダー全体の厚さ寸法をより小さくすることができる。

　本発明のスライダーでは、前記連結ピンを中心とする回動方向において前記引手を前記上翼板の上面に沿ったロック位置に向けて弾性付勢する弾性ロック部材を備えており、前記凹部は、前記スライダー胴体の前記厚さ方向に直交する幅方向における両側に位置した一対の側肩部と、前記一対の側肩部の間において当該一対の側肩部の凹部底面よりも窪んだ中間凹部とによって構成されており、前記中間凹部には、前記弾性ロック部材が前記上翼板および前記下翼板の間に形成される案内溝に出没可能に配置されており、前記一対の側肩部の凹部底面は、前記上翼板の上面よりも前記下翼板側に寄った低い位置にあることが好ましい。
　このような構成によれば、引手を弾性付勢する弾性ロック部材を備えることで、例えば、引手がロック位置に配置されると、弾性ロック部材がスライダー胴体の案内溝に突出して当該案内溝を通る一対のファスナーストリンガーのエレメントに係合してロックする一方、引手がロック位置から非ロック位置へ回動されると、弾性ロック部材が案内溝から没入してロックが外れるロック機能を備えたスライダーを構成することができる。
　更に、このようなスライダーにおいても、弾性ロック部材を中間凹部に配置しつつ、一対の側肩部の凹部底面に引手の連結軸部を近づけて配置することで、連結軸部の一部を上翼板の上面よりも低い位置まで入り込ませることができ、弾性ロック部材によるロック機能を備えたスライダーの厚さ寸法を小さくすることができる。

　本発明のスライダーでは、前記連結軸部は、前記一対の側肩部の上方に配置された一対の側軸部と、前記中間凹部の上方に配置されたカム状部とを有しており、前記弾性ロック部材は、前記カム状部を前記ロック位置に向けて弾性付勢可能に配置されており、前記連結ピンは、前記一対の側軸部および前記カム状部を貫通しており、前記一対の側軸部のうち前記一対の側肩部の凹部底面と前記連結ピンの外周面との間における前記連結軸部の厚さ寸法は、前記カム状部のうち前記中間凹部の凹部底面と前記連結ピンの外周面との間における前記連結軸部の厚さ寸法よりも小さいことが好ましい。
　このような構成によれば、引手の連結軸部における一対の側軸部の前述した厚さ寸法をカム状部の前述した厚さ寸法よりも小さくした分、引手を上翼板に寄せた位置を維持したまま一対の側肩部の位置を高く設定できて、上翼板のうち一対の側肩部が形成された部分における厚さ寸法を大きくすることが容易となる。このため、本発明のように上翼板に凹部を形成しても当該上翼板の強度の低下を抑制することができる。

　本発明のスライダーでは、前記一対の側肩部の凹部底面から前記スライダー胴体の厚さ方向に沿った前記一対の側壁部の最大高さ寸法は、前記連結軸部の最大径寸法よりも大きいことが好ましい。
　このような構成によれば、上翼板の上面から突出した一対の側壁部の突出寸法を大きくすることなく、連結軸部を一対の側壁部の間に収めることができる。

　本発明のスライダーでは、前記一対の側肩部は、前記凹部底面と、前記スライダー胴体の厚さ方向および幅方向に直交する方向における前記凹部底面の両端側に配置された一対の凹部側面とによって構成されており、前記一対の側壁部には、前記連結ピンが挿通される軸孔部が形成されており、前記一対の側肩部の凹部底面は、前記スライダー胴体の厚さ方向において前記一対の側壁部の軸孔部に対して前記下翼板側に配置されていることが好ましい。
　このような構成によれば、引手の連結軸部が一対の側肩部のうち最も深く形成された位置に配置されることとなるので、スライダーの厚さ寸法を、より小さくすることができる。

　本発明のスライドファスナーは、前述した本発明のスライダーと、前記スライダーに連結される一対のファスナーストリンガーとを備えていることを特徴とする。
　本発明のスライドファスナーによれば、前述した本発明のスライダーの作用効果と同様の作用効果を発揮可能なスライドファスナーを構成することができる。

　本発明によれば、厚さ寸法を小さくすることができるスライダーおよびこれを備えたスライドファスナーを提供することができる。

本発明の実施形態に係るスライドファスナーを示す正面図。前記実施形態に係るスライドファスナーのスライダーを示す斜視図。前記実施形態に係るスライドファスナーのスライダーを展開して示す斜視図。図１に示すＩＶ－ＩＶ線に沿った断面図。図４における要部を拡大して示す断面図。図１に示すＶＩ－ＶＩ線に沿った断面図。図１に示すＶＩＩ－ＶＩＩ線に沿った断面図。本発明の第一変形例に係る要部を示す断面図。本発明の第二変形例に係る要部を示す断面図。本発明の第三変形例に係る要部を示す断面図。

［本実施形態の構成］
　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
　図１において、本実施形態に係るスライドファスナー１は、一対の第一ファスナーストリンガー２０Ａおよび第二ファスナーストリンガー２０Ｂと、第一ファスナーストリンガー２０Ａおよび第二ファスナーストリンガー２０Ｂを連結する樹脂製のスライダー３０とを備えている。
　以下の説明では、スライドファスナー１の長手方向をＸ軸方向とし、スライドファスナー１の幅方向をＹ軸方向とし、スライドファスナー１の厚さ方向をＺ軸方向とする。Ｘ，Ｙ，Ｚ軸方向は互いに直交している。

　第一ファスナーストリンガー２０Ａは、Ｘ軸方向に延びたテープ部２１と、テープ部２１の側縁部２２に沿ったエレメント列２４とを有している、テープ部２１の側縁部２２には、芯紐部２３が設けられている。エレメント列２４は、Ｘ軸方向に複数並んだ樹脂製の線条ファスナーエレメント２５によって構成されている。線条ファスナーエレメント２５は、縫糸によってテープ部２１に縫い付けられている。
　この第一ファスナーストリンガー２０Ａでは、そのエレメント列２４の上端部に上止２が設けられており、そのエレメント列２４の下端部に蝶棒２７が設けられている。

　第二ファスナーストリンガー２０Ｂは、第一ファスナーストリンガー２０Ａと同様にテープ部２１およびエレメント列２４を有しており、第一ファスナーストリンガー２０Ａと対をなしている。
　この第二ファスナーストリンガー２０Ｂでは、そのエレメント列２４の上端部に上止２が設けられており、下端部に箱棒２８および箱体２９が設けられている。箱棒２８および箱体２９と前述した蝶棒２７とによって開き具３が構成されており、スライダー３０をＸ軸方向に沿って一番下まで下ろすことで、第一ファスナーストリンガー２０Ａおよび第二ファスナーストリンガー２０Ｂを分離することが可能となっている。

　スライダー３０は、図２に示すように、樹脂製のスライダー胴体３１と、樹脂製の引手４１と、金属製の連結ピン５１と、金属製の弾性ロック部材６１とを備えている。このスライダー３０は、弾性ロック部材６１により引手４１の位置が固定されるタイプであり、図２に示すように引手４１を下げた状態（引手４１の長手方向がスライダー胴体３１の上面３２１（図３参照）に沿った状態）でロックがかかり、引手４１を起こした状態（引手４１の長手方向がスライダー胴体３１の上面３２１に対して略垂直となった状態）でロックが外れる構成とされている。
　スライダー胴体３１および引手４１は、本実施形態では、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテフタレート等の熱可塑性樹脂が射出成形されることによってそれぞれ構成されている。

　スライダー胴体３１は、図３に示すように、上翼板３２と、Ｚ軸方向において上翼板３２に対向した下翼板３３と、上翼板３２および下翼板３３をつないだ案内柱３４とを有している。上翼板３２および下翼板３３の間には、各エレメント列２４が挿通される案内溝３６が形成されている。
　案内溝３６のうちＸ軸方向における中間部分から上止２側の部分（スライダー３０のＸ軸方向における前口側の部分）は、案内柱３４によってＹ軸方向における左右二つの溝部に分断されている。一方、案内溝３６のうちＸ軸方向における中間部分から開き具３側の部分（スライダー３０のＸ軸方向における後口側の部分）は、前記左右二つの溝部に連続した一つの溝部とされている。これにより、案内溝３６は略Ｙ字状に形成されている。
　なお、上翼板３２は、案内溝３６に挿通された各エレメント列２４の表面側に位置し、下翼板３３は、案内溝３６に挿通された各エレメント列２４の裏面側に位置する。

　上翼板３２は、その上面３２１のＹ軸方向における両側からＺ軸方向に突出した一対の第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂと、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの間において上面３２１から下翼板３３側に窪んで形成された凹部３７とを有している。ここで、上面３２１は、凹部３７よりも後口側における上翼板３２の表面に沿った面であり、説明の便宜上、図６，７においては上面３２１を二点鎖線でも示している。

　第一側壁部３２２Ａは、図４，５に示すように、Ｙ軸方向に沿って貫通した断面円形状の軸孔部３２３と、Ｙ軸方向における外側面３２５と、引手４１を受ける引手受け部３２Ａとを有している。外側面３２５は、第一側壁部３２２ＡのうちＹ軸方向外側から見える面であり、第一側壁部３２２ＡのＺ軸方向における上部から下部に向かうに連れてＹ軸方向における外側に傾くように、Ｚ軸方向に対して傾斜している。第一側壁部３２２Ａの外側面３２５は、図５に示すように凹曲面によって形成されており、この凹曲面の曲率中心（図示省略）は第一側壁部３２２Ａに対してＹ軸方向外側に位置している。このように外側面３２５を凹曲面によって形成することで、例えば凸曲面によって形成する場合と比べて、軸孔部３２３の開口の後述する底端Ｐ２を頂端Ｐ１よりもＹ軸方向外側に大きく突き出た位置に配置でき、後述するガイド面３２９をＹ軸方向に大きく形成できる。
　引手受け部３２Ａは、第一側壁部３２２Ａの内側面３２８から突出して形成されており、引手４１をスライダー胴体３１に連結する際の位置決めのために引手４１が当てられるものである。

　軸孔部３２３は、後述する第一側肩部３９Ａの凹部底面３９１から第一側壁部３２２Ａの上端面３２６までの高さ寸法Ｈ（第一側壁部３２２ＡのＺ軸方向における寸法）が最大寸法となる部分に配置されている。具体的には、Ｚ軸方向において第一側肩部３９Ａの凹部底面３９１および上端面３２６の間に配置されている。この軸孔部３２３は、第一側壁部３２２Ａの内側面３２８と外側面３２５とで開口している。また、軸孔部３２３の一部は、上翼板３２の上面３２１よりも下方に位置している。

　外側面３２５における軸孔部３２３の開口のうちＺ軸方向における最上端を図４，５に上側の頂端Ｐ１として示し、最下端を図４，５に下側の底端Ｐ２として示す。
　図４，５に示されるように、底端Ｐ２は、頂端Ｐ１に対して距離ＬをＹ軸方向における外側（図４において右側）に離れて位置している。このため、軸孔部３２３のうち頂端Ｐ１よりもＹ軸方向外側の部分にガイド面３２９が円弧状に構成されている。
　また図５に示すように、底端Ｐ２は、外側面３２５の上縁３２４（図３参照）のうち頂端Ｐ１に対して上方に位置する上縁部Ｐ３と頂端Ｐ１とを結ぶ仮想直線１０よりもＹ軸方向における外側の位置に配置されている。また、上縁部Ｐ３と底端Ｐ２とを結ぶ仮想直線１１は、前述した仮想直線１０よりもＺ軸方向に対して大きく傾斜している。
　ここで、外側面３２５の上縁３２４は、本実施形態では、スライダー胴体３１を側方からみたときに見える外側面３２５の上縁である。また、外側面３２５の下縁は、スライダー胴体３１を側方からみたときに見える外側面３２５の下縁であり、スライダー胴体３１を上方からみたときに見える外側面３２５の外側縁でもある。上縁部Ｐ３は、前述した上縁３２４のうち頂端Ｐ１に対して上方に位置する部分である。

　このガイド面３２９は、距離Ｌに対応したＹ軸方向におけるガイド領域を有しているので、このガイド領域で連結ピン５１をＹ軸方向にスライド案内することができる。
　また、ガイド面３２９は、その円周方向におけるガイド領域を有しているので、このガイド領域で連結ピン５１の軸心Ｏが軸孔部３２３の軸心に一致するように位置決め案内することができる。
　このようにガイド面３２９が形成されているので、連結ピン５１によって引手４１をスライダー胴体３１に連結する場合に、連結ピン５１をガイド面３２９に当接させることで、連結ピン５１の第一側壁部３２２Ａに対する位置決めを容易に行うことができ、連結ピン５１を軸孔部３２３に円滑に挿入することができる。

　第二側壁部３２２Ｂは、第一側壁部３２２Ａと同様に構成されているので、第二側壁部３２２Ｂの各構成については、第一側壁部３２２Ａの各構成と同符号を図面に付して詳細な説明を省略する。なお、第二側壁部３２２Ｂは、Ｙ軸方向において第一側壁部３２２Ａとは逆向きに構成されており、第一側壁部３２２Ａと対をなしている。
　なお、連結ピン５１は、第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３に対しても前述と同様にガイド面３２９に当接させることで、容易に位置決めすることができ、軸孔部３２３に円滑に挿入することができる。

　凹部３７は、図３，４に示すように、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの間においてＹ軸方向における両側に位置した一対の第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂと、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂの間に配置された中間凹部３８とによって構成されており、中間凹部３８は、上翼板３２のＹ軸方向における中央に位置している。中間凹部３８は、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９ＢよりもＺ軸方向に窪んでおり、これらよりも上面３２１からの深さ寸法が大きくなっており、中間凹部３８の凹部底面３８１は、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂの凹部底面３９１よりも案内溝３６側の深い位置に配置されている。
　この凹部３７は、引手４１のうち連結ピン５１が挿通された部分（基端部）の幅方向全体（Ｙ軸方向全体）に対応した位置に形成されている。

　中間凹部３８は、図３～６に示すように、Ｘ軸方向に沿って形成されており、そのＸ軸方向における長さ寸法は、弾性ロック部材６１の後述する中間片部６３および当接片部６４を合わせたＸ軸方向における寸法と略等しい寸法とされている。中間凹部３８のＹ軸方向における幅寸法は、引手４１の後述するカム状部４５のＹ軸方向における幅寸法、並びに弾性ロック部材６１の中間片部６３、当接片部６４および係合片部６５のＹ軸方向における幅寸法よりも若干大きい寸法とされている。

　図６に示すように、中間凹部３８の凹部底面３８１から案内溝３６まで最も薄くなる厚さ寸法Ｔ１は、上翼板３２のうち凹部３７よりも後口側の部分における厚さ寸法Ｔ２よりも小さい寸法であって厚さ寸法Ｔ２の例えば３２％の寸法とされている。厚さ寸法Ｔ１は中間凹部３８における最低限の強度を考慮して０．４５ｍｍ以上とされるのが好ましい。なお、厚さ寸法Ｔ２は、本実施形態では２．５ｍｍである。

　中間凹部３８には、スライダー胴体３１のＸ軸方向における後口側から案内溝３６まで貫通した孔部３２７が形成されている。また、中間凹部３８は、スライダー胴体３１のＸ軸方向における前口側において後述する孔部３４１に連続している。
　この中間凹部３８には、引手４１のカム状部４５および弾性ロック部材６１が配置される。

　第一側肩部３９Ａは、図３～５に示すように、中間凹部３８および第一側壁部３２２Ａ間に設けられており、前述した凹部底面３９１と、凹部底面３９１のＸ軸方向における両端側に配置された凹部側面３９２，３９３とによって構成されている。
　凹部底面３９１は、Ｚ軸方向において上翼板３２の上面３２１よりも下翼板３３側に寄った低い位置にあり、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３に対してＺ軸方向における下方側（下翼板３３側）に配置されている。
　凹部側面３９２，３９３は凹部底面３９１に連続している。凹部側面３９２は、凹部底面３９１からスライダー胴体３１の後口側に向かうに連れて斜め上に傾斜している。凹部側面３９３は、凹部底面３９１からスライダー胴体３１の前口側に向かうに連れて斜め上に傾斜している。

　図７に示すように、第一側肩部３９Ａの凹部底面３９１から案内溝３６まで最も薄くなる厚さ寸法Ｔ３は、前述した厚さ寸法Ｔ２よりも小さい寸法であって厚さ寸法Ｔ２の例えば５４％の寸法とされているが、第一側肩部３９Ａの最低限の強度を考慮して１５％以上の寸法とされていてもよく、好ましくは２５％～７０％の寸法とされていてもよく、より好ましくは３０～５５％の寸法とされていてもよい。
　この第一側肩部３９Ａには、引手４１の後述する連結軸部４０のうち連結ピン５１が挿通された部分の第一側壁部３２２Ａ側の端部、すなわち、引手４１のアーム部４４Ａのうち軸孔部４７が形成された部分が配置されている。

　第二側肩部３９Ｂは、図４に示すように、中間凹部３８および第二側壁部３２２Ｂ間に設けられており、この第二側肩部３９Ｂには、引手４１の連結軸部４０のうち連結ピン５１が挿通された部分の第二側壁部３２２Ｂ側の端部、すなわち、引手４１のアーム部４４Ｂのうち軸孔部４７が形成された部分が配置されている。なお、第二側肩部３９Ｂは、第一側肩部３９Ａと同様に構成されているので、図面に同符号を適宜付して詳細な説明を省略する。

　案内柱３４には、上翼板３２の上面３２１（表面）と下翼板３３の下面３３１（裏面）で開口した孔部３４１（図３参照）が形成されており、孔部３４１には、後述する係合凹部６６と係合する図示しない係合突部が形成されている。
　この案内柱３４は、スライダー３０のＺ軸方向における下方へのスライド移動に伴って第一ファスナーストリンガー２０Ａおよび第二ファスナーストリンガー２０Ｂのエレメント列２４をそれぞれ案内しながら分断して、エレメント列２４同士の噛合を解除する。

　引手４１は、連結ピン５１によってスライダー胴体３１に連結された引手基部４２と、引手基部４２に連続した引手摘み部４８とを有している。
　引手基部４２は、引手摘み部４８に連続した連続部４３と、連続部４３のＹ軸方向における両側からＸ軸方向に延出した一対のアーム部４４Ａ，４４Ｂと、アーム部４４Ａ，４４Ｂに連続したカム状部４５とを有しており、連続部４３、アーム部４４Ａ，４４Ｂおよびカム状部４５によって開口４６が形成されている。カム状部４５は、連続部４３側に突出した部分を有している。アーム部４４Ａ，４４Ｂおよびカム状部４５には、Ｙ軸方向に貫通した軸孔部４７が形成されている。
　この引手４１は、引手基部４２が第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂ間に配置され、軸孔部４７に連結ピン５１が挿通されることで、スライダー胴体３１に対して軸心Ｏを中心としてＲ方向に回動可能に軸支されている。
　カム状部４５と、このカム状部４５に連続するアーム部４４Ａ，４４Ｂの側軸部４９Ａ，４９Ｂとによって連結軸部４０が構成されており、この連結軸部４０が第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの間において凹部３７に位置している。具体的には、側軸部４９Ａ，４９Ｂが側肩部３９Ａ，３９Ｂの上方に配置されており、カム状部４５が中間凹部３８の上方に配置されている。軸孔部４７は、側軸部４９Ａ，４９Ｂおよびカム状部４５を貫通して形成されている。側軸部４９Ａ，４９Ｂのうち側肩部３９Ａ，３９Ｂの凹部底面３９１と連結ピン５１の外周面５１１との間におけるＺ軸方向の厚さ寸法Ｔ４は、カム状部４５のうち中間凹部３８の凹部底面３８１と連結ピン５１の外周面５１１との間における厚さ寸法Ｔ５よりも小さい。前述した第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの最大高さ寸法Ｈは、連結軸部４０の最大径寸法よりも大きい。

　連結ピン５１は、中空円筒状であってその軸方向に沿った割り溝５２（図３参照）を有した割りピンによって構成されている。割り溝５２は、連結ピン５１の円周方向における両側縁によって形成されており、この両側縁は凹凸形状とされており、これにより、両側縁同士が軸方向にズレにくい構成となっている。連結ピン５１は、その円周方向における割り溝５２の溝幅分だけ弾性変形して縮径可能に構成されている。連結ピン５１の軸方向における両端部５３，５４にはＲ面取りが施されており、これにより軸孔部３２３への挿入性が向上されている。

　この連結ピン５１は、図４に示すように、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３と引手４１の軸孔部４７とに挿通される。
　ここで、本実施形態では、軸孔部４７の径寸法ｒ２は、各軸孔部３２３の径寸法ｒ１よりも若干小さい寸法とされており、連結ピン５１の未挿入状態における径寸法ｒ３は、径寸法ｒ２よりも若干大きい寸法とされ、径寸法ｒ１とほぼ同寸法とされている。このため、連結ピン５１は、軸孔部４７に対して圧接して縮径されながら挿入されて引手４１の軸孔部４７に固定され、且つ、スライダー胴体３１の軸孔部３２３に回転可能に支持される。
　引手４１の軸孔部４７の径寸法ｒ２をスライダー胴体３１の軸孔部３２３の径寸法ｒ１よりも小さい寸法とすることで、例えば径寸法ｒ２を径寸法ｒ１よりも大きい寸法とする場合と比べて、軸孔部４７を形成するのに必要とされる引手４１の肉厚を薄く設定できる。引手４１の肉厚を薄くできる分、スライダー３０全体の厚さ寸法を小さくすることが容易となる。
　このように連結ピン５１が挿通されることで、引手４１がスライダー胴体３１に対してＲ方向に回動可能に連結される。なお、引手４１は、図２に示す回動位置（後述するロック位置）からアーム部４４Ａ，４４Ｂが凹部側面３９３（図７参照）に当接する位置まで回動可能である。

　弾性ロック部材６１は、スライダー胴体３１に保持されるＺ軸方向に延びた保持片部６２と、保持片部６２に連続してＸ軸方向に延びた中間片部６３と、中間片部６３に連続していると共に引手４１のカム状部４５の周囲に配置された当接片部６４と、当接片部６４に連続していると共に案内溝３６に向かってＺ軸方向に延びた係合片部６５とを有している。

　保持片部６２は、スライダー胴体３１の孔部３４１に挿入されている。保持片部６２には、係合凹部６６が形成されており、この係合凹部６６は、スライダー胴体３１の孔部３４１に形成された図示しない係合突部に係合している。
　係合片部６５の先端部には、上翼板３２の孔部３２７から案内溝３６に突出した係合爪部６７が形成されている。

　弾性ロック部材６１は、保持片部６２の係合凹部６６がスライダー胴体３１の孔部３４１に形成された係合突部に係合され、且つ、係合片部６５の係合爪部６７が上翼板３２の孔部３２７に挿入されることで、スライダー胴体３１に保持される。このとき、中間片部６３は中間凹部３８に配置され、当接片部６４は、前述したように引手４１のカム状部４５の周囲を覆って配置される。

　図２に示すように、引手４１が弾性ロック部材６１に弾性付勢されてスライダー胴体３１の上面３２１に沿ったロック位置にある状態では、係合爪部６７は、案内溝３６に突出した状態で線条ファスナーエレメント２５と係合しており、この係合によって、スライダー３０のＸ軸方向へのスライド移動は規制されている。
　また、操作により引手４１が弾性ロック部材６１の弾性付勢に抗してロック位置からＲ方向に回動され、この回動により引手４１がスライダー胴体３１の上面３２１に対して略垂直側に起こされた非ロック位置に配置されると、弾性ロック部材６１は、当接片部６４がカム状部４５によって押し上げられた状態となっており、係合爪部６７は線条ファスナーエレメント２５から離間する。これにより、係合爪部６７および線条ファスナーエレメント２５との係合は解除され、スライダー３０はＸ軸方向へスライド移動可能な状態とされる。
　更に、操作により引手４１が非ロック位置からロック位置に向けてＲ方向に回動されると、弾性ロック部材６１は弾性変形状態から復元しながらカム状部４５を弾性付勢し、引手４１をロック位置まで回動させて、スライダー３０のＸ軸方向へのスライド移動が再び規制される。

［本実施形態の効果］
（１－１）前記実施形態では、スライダー３０は、上翼板３２および下翼板３３を案内柱３４によってつないで構成されたスライダー胴体３１と、スライダー胴体３１に連結される引手４１とを備えており、上翼板３２には、上翼板３２および下翼板３３が対向するスライダー胴体３１の厚さ方向において上翼板３２の上面３２１から突出した一対の側壁部３２２Ａ，３２２Ｂが形成されており、引手４１には、一対の側壁部３２２Ａ，３２２Ｂに支持される連結ピン５１が挿通される連結軸部４０が形成されており、上翼板３２には、スライダー胴体３１の厚さ方向において上面３２１よりも下翼板３３側に窪んだ凹部３７が形成されており、連結軸部４０は、一対の側壁部３２２Ａ，３２２Ｂの間において凹部３７に位置していることを特徴とする。
　上記構成を有するため、例えば前述した特許文献１のように底面が上翼部の上面と面一とされる凹部に対して引手を配置する場合と比べて、上翼板３２の上面３２１から窪んだ凹部３７に引手４１の連結軸部４０を配置するので、この連結軸部４０を上翼板３２の上面３２１よりも下翼板３３側に寄った位置に配置でき、これにより、スライダー３０全体のＺ軸方向における厚さ寸法を小さくすることができる。

（１－２）凹部３７の凹部底面３８１，３９１から案内溝３６までの厚さ寸法Ｔ１，Ｔ３は、上翼板３２の上面３２１から案内溝３６までの厚さ寸法Ｔ２よりも小さい。
　このため、厚さ寸法Ｔ１，Ｔ３を小さくすることで、引手４１の連結軸部４０をスライダー胴体３１に近づけて配置することでスライダー３０全体の厚さ寸法を小さくできる一方、引手４１の連結軸部４０をスライダー胴体３１に近づけて配置するために上翼板３２の厚さ寸法Ｔ２を小さくする必要がないので、上翼板３２の厚さ寸法Ｔ２を維持してスライダー胴体３１の強度を保つことができる。

（１－３）一対の側壁部３２２Ａ，３２２Ｂには連結ピン５１が挿通される軸孔部３２３が形成されており、軸孔部３２３の少なくとも一部は、上翼板３２の上面３２１よりも下方に位置している。このように軸孔部３２３の少なくとも一部を上翼板３２の上面３２１よりもＺ軸方向において下方に位置させることで、軸孔部３２３に挿通される連結ピン５１を上翼板３２の上面３２１よりも下翼板３３側に寄った位置に配置でき、これにより、スライダー３０全体のＺ軸方向における厚さ寸法をより小さくすることができる。

（１－４）連結ピン５１の軸心Ｏを中心とするＲ方向において引手４１を上翼板３２の上面３２１に沿ったロック位置に向けて弾性付勢する弾性ロック部材６１を備えており、凹部３７は、スライダー胴体３１のＹ軸方向における両側に位置した第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂと、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂの間においてこれらの凹部底面３９１よりも窪んだ中間凹部３８とによって構成されており、中間凹部３８には、弾性ロック部材６１が案内溝３６に出没可能に配置されており、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂの凹部底面３９１は、上翼板３２の上面３２１よりも下翼板３３側に寄った低い位置にある。
　このため、引手４１を弾性付勢する弾性ロック部材６１を備えることで、例えば、引手４１がロック位置に配置されると、弾性ロック部材６１がスライダー胴体３１の案内溝３６を通る第一ファスナーストリンガー２０Ａおよび第二ファスナーストリンガー２０Ｂの線条ファスナーエレメント２５に係合してロックする一方、引手４１がロック位置から非ロック位置へ回動されると、弾性ロック部材６１が案内溝３６から没入してロックが外れるロック機能を備えたスライダー３０を構成することができる。
　更に、このようなスライダー３０においても、弾性ロック部材６１を中間凹部３８に配置しつつ、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂの凹部底面３９１に引手４１の連結軸部４０を近づけて配置することで、連結軸部４０の一部を上翼板３２の上面３２１よりも低い位置まで入りこませることができ、ロック機能を備えたスライダー３０の厚さ寸法を小さくすることができる。

（１－５）連結軸部４０は、一対の側肩部３９Ａ，３９Ｂの上方に配置された一対の側軸部４９Ａ，４９Ｂと、中間凹部３８の上方に配置されたカム状部４５とを有しており、弾性ロック部材６１は、カム状部４５をロック位置に向けて弾性付勢可能に配置されており、連結ピン５１は、一対の側軸部４９Ａ，４９Ｂおよびカム状部４５を貫通しており、一対の側軸部４９Ａ，４９Ｂのうち一対の側肩部３９Ａ，３９Ｂの凹部底面３９１と連結ピン５１の外周面５１１との間における連結軸部４０の厚さ寸法Ｔ４は、カム状部４５のうち中間凹部３８の凹部底面３８１と連結ピン５１の外周面５１１との間における連結軸部４０の厚さ寸法Ｔ５よりも小さい。
　このため、引手４１の連結軸部４０における一対の側軸部４９Ａ，４９Ｂの厚さ寸法Ｔ４をカム状部４５の厚さ寸法Ｔ４よりも小さくした分、引手４１を上翼板３２に寄せた位置を維持したまま一対の側肩部３９Ａ，３９Ｂの位置を上方に高く設定できて、上翼板３２のうち一対の側肩部３９Ａ，３９Ｂが形成された部分における厚さ寸法Ｔ３を大きくすることが容易となる。このため、本発明のように上翼板３２に凹部３７を形成しても当該上翼板３２の強度の低下を抑制することができる。

（１－６）一対の側肩部３９Ａ，３９Ｂの凹部底面３９１からスライダー胴体３１の厚さ方向に沿った一対の側壁部３２２Ａ，３２２Ｂの最大高さ寸法Ｈは、連結軸部４０の最大径寸法よりも大きい。
　このため、上翼板３２の上面３２１から突出した側壁部３２２Ａ，３２２Ｂの突出寸法を大きくすることなく、連結軸部４０を側壁部３２２Ａ，３２２Ｂの間に収めることができる。

（１－７）第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂは、前記凹部底面３９１と、Ｘ軸方向における凹部底面３９１の両端側に配置された一対の凹部側面３９２，３９３とによって構成されており、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂには、連結ピン５１が挿通される軸孔部３２３が形成されており、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂの凹部底面３９１は、Ｚ軸方向において第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３に対して下方側（下翼板３３側）に配置されている。
　このため、引手４１の連結軸部４０が第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂのうち最も深く形成された位置に配置されることとなるので、スライダー３０の厚さ寸法を、より小さくすることができる。

（１－８）引手４１が樹脂製のスライダー胴体３１に対して金属製の連結ピン５１によって回動可能に連結されているので、例えば樹脂製の引手に対してスライダー胴体３１に支持される軸部を形成する場合と比べて、当該軸部よりも小さい径寸法の連結ピン５１を用いることができ、連結ピン５１を小さい径寸法とした分、スライダー３０の厚さ寸法を小さくすることができる。

（１－９）第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの高さ寸法Ｈは、上翼板３２の上面３２１からではなく、この上面３２１よりも下翼板３３側に位置する凹部底面３９１から上端面３２６までの寸法であるので、例えば第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの高さ寸法が上面３２１から上端面３２６までの寸法とされる場合と比べて大きな高さ寸法Ｈを設定できる。このため、スライダー３０全体の厚さ寸法が大きくなるのを抑制しつつ、大きな高さ寸法Ｈを確保することで弾性ロック部材６１が第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂよりも上方に飛び出さない構成にでき、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂによって機能部品である弾性ロック部材６１を保護できる。

（２－１）本実施形態では、スライダー３０は、一対の第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂが上面３２１から突出した樹脂製のスライダー胴体３１と、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂが対向するスライダー胴体３１の幅方向（Ｙ軸方向）において第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの間に配置される引手４１と、引手４１を第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂに対してＲ方向に回動可能に連結する金属製の連結ピン５１とを備えており、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂと引手４１とには、Ｙ軸幅方向に沿っていると共に連結ピン５１が挿通される軸孔部３２３，４７が形成されており、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３は、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの外側面３２５で開口しており、軸孔部３２３の開口のうち、Ｚ軸方向における下側の底端Ｐ２は、この底端Ｐ２に対して上側の頂端Ｐ１よりもＹ軸方向における外側の位置に配置されていることを特徴とする。
　上記構成を有するため、引手４１が樹脂製のスライダー胴体３１に対して金属製の連結ピン５１によって回動可能に連結されているので、例えば樹脂製の引手に対してスライダー胴体３１に支持される軸部を形成する場合と比べて、当該軸部よりも小さい径寸法の連結ピン５１を用いることができ、連結ピン５１を小さい径寸法とした分、スライダー３０の厚さ寸法を小さくすることができる。
　更に、軸孔部３２３の外側面３２５における開口では、当該開口の底端Ｐ２が頂端Ｐ１よりもＹ軸方向における外側に位置するので、軸孔部３２３開口における頂端Ｐ１よりもＹ軸方向外側の部分にガイド面３２９を形成することができる。これにより、連結ピン５１を第一側壁部３２２Ａまたは第二側壁部３２２Ｂに挿入する際に連結ピン５１をガイド面３２９に当接させることで、連結ピン５１の第一側壁部３２２Ａまたは第二側壁部３２２Ｂに対する位置決めを容易に行うことができ、スライダー３０の組立性を向上することができる。

（２－２）第一側壁部３２２Ａの外側面３２５は、凹曲面によって形成されており、その曲率中心が第一側壁部３２２Ａに対してＹ軸方向外側に位置している。
　このため、例えば第一側壁部３２２Ａの外側面３２５を凸曲面によって形成する場合と比べて、頂端Ｐ１から底端Ｐ２までのＹ軸方向における距離が長くなるので、連結ピン５１を案内するガイド面３２９のＹ軸方向における領域を広く形成でき、これにより、連結ピン５１の挿入性を向上させることができる。なお、第二側壁部３２２Ｂの外側面３２５を前述同様に凹曲面によって形成してもよい。

（２－３）第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂには、連結ピン５１が回動可能に連結されており、引手４１は、連結ピン５１に対して固定されている。
　このため、連結ピン５１は、引手４１に固定されることで抜け止めされ、且つ、スライダー胴体３１に回動可能に連結されることで、引手４１をスライダー胴体３１に対して回動させることができる。

（２－４）引手４１には、連結ピン５１が挿通される軸孔部４７が形成されており、連結ピン５１は、中空円筒状であってその軸方向に沿った割り溝５２を有しており、引手４１の軸孔部４７における径寸法ｒ２は、連結ピン５１の径寸法ｒ３よりも小さい。
　このため、割り溝５２が形成されることで円周方向に弾性的に縮径可能な連結ピン５１を構成することができ、軸孔部４７の径寸法ｒ２よりも若干大きな径寸法ｒ３を有した連結ピン５１を、軸孔部４７へ縮径させながら挿入することで抜け止めすることができる。樹脂製のスライダー３０では、金属製のスライダーのように連結ピン５１の端部に加締め加工を行って抜け止めすることはできないが、本実施形態のように割り溝５２が形成された連結ピン５１を用いることで、連結ピン５１を軸孔部４７に挿入するだけで簡単に抜け止めすることができる。
　また、引手４１の軸孔部４７の径寸法ｒ２が小さいので、軸孔部４７を形成するために必要とされる引手４１の肉厚を薄くでき、引手４１の肉厚を薄くできる分、スライダー３０全体の厚さ寸法を小さくできる。

（２－５）第一側壁部３２２Ａに形成された軸孔部３２３は、第一側壁部３２２Ａのうちスライダー胴体３１の高さ寸法Ｈが最大寸法となる部分に配置されており、第二側壁部３２２Ｂに形成された軸孔部３２３は、第二側壁部３２２Ｂのうちスライダー胴体３１の高さ寸法Ｈが最大寸法となる部分に配置されている。
　このため、スライダー胴体３１の厚さ寸法が大きくならないように第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの高さ寸法Ｈを抑えつつ、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのうち軸孔部３２３がそれぞれ形成される部分に必要とされる強度を確保することができる。
　また、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのうち高さ寸法Ｈが最大寸法となる部分の間に引手４１の軸孔部４７が配置されることとなるので、スライダー３０の厚さ寸法を抑えつつ、引手４１のうち軸孔部４７が形成される部分の肉厚を薄肉化することなく維持した設計寸法にできる。

（２－６）底端Ｐ２は、外側面３２５の上縁３２４のうち頂端Ｐ１に対して上方に位置する上縁部Ｐ３と頂端Ｐ１とを結ぶ仮想直線１０よりもＹ軸方向における外側の位置に配置されている。
　このため、例えば軸孔部３２３の開口の底端Ｐ２が頂端Ｐ１よりもＹ軸方向における内側に位置する場合と比べて、頂端Ｐ１から底端Ｐ２までのＹ軸方向における距離Ｌが長くなるので、連結ピン５１を案内するガイド面３２９のＹ軸方向における領域を広く形成でき、これにより、連結ピン５１の挿入性を向上させることができる。

［変形例］
　本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
　例えば、前記実施形態では、第一側肩部３９Ａおよび第二側肩部３９Ｂの凹部底面３９１は、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３に対してＺ軸方向における下方側に配置されているが、Ｘ軸方向において凹部側面３９２側または凹部側面３９３側に多少外れた位置に配置されていてもよい。
　また、凹部側面３９２、３９３は前述したように傾斜しているが、これに限られず、例えばＺ軸方向に沿った面であってもよい。

　前記実施形態では、連結ピン５１は、弾性縮径して軸孔部４７に圧接することで引手４１に固定され、且つ、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３に挿通されているが、これに限られない。
　例えば図８に示す第一変形例のように、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのうちの少なくとも一方の軸孔部３２３の開口が、側壁部３２２Ａ（３２２Ｂ）の溶融部分７０によって閉塞されていてもよい。このように軸孔部３２３の開口を溶融部分７０によって閉塞することで、連結ピン５１を抜け止めすることができる。また、軸孔部３２３が側壁部３２２Ａ（３２２Ｂ）の溶融部分７０で塞がれるので、軸孔部３２３が外観上目立たない構成にすることができ、そのうえ、溶融部分７０とそれ以外の部分との材料に差がないので、軸孔部３２３を塞いだ部分自体も外観上目立たない構成にすることができて、意匠性を向上することができる。なお、この場合、割り溝５２が形成されていない連結ピンを用いてもよい。

　また、例えば図９に示す第二変形例のように、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのうちの少なくとも一方の軸孔部３２３に対して蓋部材８０が配置されることで、軸孔部３２３が塞がれていてもよい。この場合には、蓋部材８０によって連結ピン５１を抜け止めすることができる。また、軸孔部３２３に蓋部材８０を配置することで、軸孔部３２３が外観上目立たない構成にすることができ、意匠性を向上することができる。
　なお、蓋部材８０は、軸孔部３２３に圧入されることによって固定されていてもよいが、第一側壁部３２２Ａや第二側壁部３２２Ｂの一部が溶融されることによって固定されていてもよい。また、蓋部材８０は、樹脂製であっても金属製であってもよい。
　前述した第一変形例および第二変形例では、側壁部３２２Ａ（３２２Ｂ）の溶融部分７０や蓋部材８０によって連結ピン５１を抜け止めできるので、連結ピン５１に割り溝５２が形成されていなくてもよく、各軸孔部３２３，４７の径寸法ｒ１、ｒ２が連結ピン５１の径寸法ｒ３とほぼ同寸法または若干大きい寸法とされ、引手４１および側壁部３２２Ａ（３２２Ｂ）の双方に対して連結ピン５１が回動可能に連結されていてもよい。
　更に、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのいずれか一方だけに軸孔部３２３を形成し、この軸孔部３２３と引手４１の軸孔部４７とに連結ピン５１を挿通させることで引手４１をスライダー胴体３１に連結してもよく、この場合にも軸孔部３２３を前記溶融部分や蓋部材８０によって塞いでもよい。

　前記実施形態では、上翼板３２の上面３２１から窪んだ凹部３７が形成されているが、これに代えて、例えば図１０に示す第三変形例のように、上翼板３２の上面３２１から案内溝３６まで当該上翼板３２を貫通した孔部３５が形成されていてもよく、引手４１の連結軸部４０は、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの間において孔部３５に位置していてもよい。すなわち、連結軸部４０の一部が孔部３５にまで入り込んで位置していてもよい。
　図１０に示す孔部３５は、前述した孔部３２７を拡大させたものであり、Ｘ軸方向において案内柱３４の後口側の端面３４Ａに沿った位置まで拡大されており、Ｙ軸方向において第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの内側面３２８まで拡大されている。このように孔部３５を形成することで、引手４１の連結軸部４０が上翼板３２の上面３２１よりも下翼板３３側に寄って位置しても、上翼板３２が連結軸部４０に干渉することがない構成にできる。
　第三変形例においても、連結軸部４０を上翼板３２の上面３２１よりも下翼板３３側に寄った位置に配置でき、これにより、スライダー３０全体のＺ軸方向における厚さ寸法を小さくすることができる。

　前記実施形態では、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの双方に外側面３２５が形成されているが、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのいずれか一方だけに形成されていてもよい。この場合においても、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのうち外側面３２５が形成された側から連結ピン５１を挿入させることで、連結ピン５１をガイド面３２９によって案内することができる。
　また、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの双方の外側面３２５は前述したように傾斜せず、例えば、Ｚ軸方向に沿った面とされてもよい。

　前記実施形態では、引手４１に連結ピン５１が固定され、且つ、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂが連結ピン５１に対して回動可能に連結されているが、これに限られず、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂに連結ピン５１が固定され、且つ、引手４１が連結ピン５１に対して回動可能に連結されていてもよい。

　前記実施形態では、引手４１の軸孔部４７の径寸法ｒ２が、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３の径寸法ｒ１および連結ピン５１の径寸法ｒ３よりも小さい寸法とされているが、例えば、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの軸孔部３２３の径寸法ｒ１が、引手４１の軸孔部４７の径寸法ｒ２および連結ピン５１の径寸法ｒ３よりも小さい寸法とされていてもよい。この場合、連結ピン５１は第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの各軸孔部３２３に圧接して当該引手４１に固定される一方、引手４１の軸孔部４７に対しては回動可能に連結される。
　また、連結ピン５１は、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂの各軸孔部３２３のいずれか一方の軸孔部３２３だけに圧接して固定され、且つ、いずれか他方の軸孔部３２３および引手４１の軸孔部４７に対しては回動可能に連結されていてもよい。

　前記実施形態では、連結ピン５１の円周方向における凹凸形状の両側縁によって割り溝５２が形成されているが、例えば、連結ピン５１の軸方向に沿って真直ぐ延びた両側縁によって割り溝が形成されていてもよい。

　前記実施形態では、軸孔部３２３は、第一側壁部３２２Ａおよび第二側壁部３２２Ｂのうちスライダー胴体３１の凹部底面３９１から上端面３２６までの高さ寸法Ｈが最大寸法となる部分に配置されているが、この部分に対してＸ軸方向に外れた部分に形成されていてもよい。

　前記実施形態では、エレメント列２４は、前述したように複数の線条ファスナーエレメント２５によって構成されているが、これに限られず、他の形状のものや、樹脂製、金属製などの各種のエレメント（務歯）によって構成されていてもよい。

　前記実施形態では、スライドファスナー１は、スライダー３０を一番下まで降ろすことで第一ファスナーストリンガー２０Ａおよび第二ファスナーストリンガー２０Ｂを分離可能となるように開き具３を備えているが、これに限られず、例えば開き具３に代えて下止を設けることで、スライダー３０を下しても下止によって止められて、第一ファスナーストリンガー２０Ａおよび第二ファスナーストリンガー２０Ｂを分離不能な構成とされていてもよい。

　前記実施形態では、スライダー３０は、弾性ロック部材６１により引手４１の位置が固定されるタイプであり、図２に示すように引手４１を下げた状態（引手４１の長手方向がスライダー胴体３１の上面３２１に沿った状態）でロックがかかり、前記状態から引手４１を起こした状態でロックが外れる構成としたが、これに限られない。例えば、弾性ロック部材６１の代わりに、エレメント列２４に係合する係合爪部６７が引手４１に設けられたロック機能のあるスライダーであってもよく、また、弾性ロック部材６１などを備えないロック機能のないスライダーであってもよい。
　スライダー３０においてロック機能をなくす場合には、弾性ロック部材６１、スライダー胴体３１の中間凹部３８および孔部３２７，３４１の構成は省略される。このため、凹部３７の凹部底面３８１，３９１は面一とされてもよく、また、前述した厚さ寸法Ｔ１＝Ｔ３とされてもよい。

　前記実施形態では、外側面３２５は、本実施形態では、図４，５に示されるように凹曲面によって形成されているが、連結ピン５１をガイド可能に形成されていればよく、例えば凸曲面によって形成されていてもよく、また、湾曲していない平坦面によって形成されていてもよい。
　また、外側面３２５の一部が凹曲面によって形成されていてもよく、この場合、軸孔部３２３は、前記凹曲面とされた部分で開口していてもよい。
　更に、側壁部３２２Ａ，３２２Ｂの外側面３２５は傾斜して形成されているが、これに限られず、例えば階段状に段部を有して形成されていても、底端Ｐ２が頂端Ｐ１よりもＹ軸方向において外側に位置してガイド面を構成できればよい。

　前記実施形態では、軸孔部３２３の外側面３２５における開口の底端Ｐ２は、外側面３２５の上縁部Ｐ３と開口の頂端Ｐ１とを結ぶ仮想直線１０よりもＹ軸方向における外側の位置に配置されているが、これに限られず、連結ピン５１の挿入時に当該連結ピン５１を案内するガイド面３２９を形成可能な範囲の位置に底端Ｐ２が配置されていればよく、例えば、底端Ｐ２は、仮想直線１０上の位置に配置されていてもよい。

　１…スライドファスナー、２…上止、１０，１１…仮想直線、２０Ａ，２０Ｂ…ファスナーストリンガー、２１…テープ部、２２…側縁部、２３…芯紐部、２４…エレメント列、２５…線条ファスナーエレメント、２７…蝶棒、２８…箱棒、２９…箱体、３…開き具、３０…スライダー、３１…スライダー胴体、３２…上翼板、３２Ａ…引手受け部、３２１…上面、３２２Ａ，３２２Ｂ…側壁部、３２３，４７…軸孔部、３２４…上縁、３２５…外側面、３２６…上端面、３２８…内側面、３２９…ガイド面、３３…下翼板、３３１…下面、３４…案内柱、３４Ａ…端面、３５，３２７，３４１…孔部、３６…案内溝、３７…凹部、３８…中間凹部、３８１，３９１…凹部底面、３９２，３９３…凹部側面、３９Ａ，３９Ｂ…側肩部、４０…連結軸部、４１…引手、４２…引手基部、４３…連続部、４４Ａ，４４Ｂ…アーム部、４５…カム状部、４６…開口、４８…引手摘み部、４９Ａ，４９Ｂ…側軸部、５１…連結ピン、５１１…外周面、５２…割り溝、５３，５４…端部、６１…弾性ロック部材、６２…保持片部、６３…中間片部、６４…当接片部、６５…係合片部、６６…係合凹部、６７…係合爪部、７０…溶融部分、８０…蓋部材、Ｈ…高さ寸法、Ｌ…距離、Ｏ…軸心、Ｐ１…頂端、Ｐ２…底端、Ｐ３…上縁部、ｒ１～ｒ３…径寸法、Ｔ１～Ｔ５…厚さ寸法。

Claims

　上翼板（３２）および下翼板（３３）を案内柱（３４）によってつないで構成されたスライダー胴体（３１）と、前記スライダー胴体（３１）に連結される引手（４１）とを備えており、
　前記上翼板（３２）には、前記上翼板（３２）および前記下翼板（３３）が対向する前記スライダー胴体（３１）の厚さ方向において前記上翼板（３２）の上面（３２１）から突出した一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）が形成されており、
　前記引手（４１）には、前記一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）に支持される連結ピン（５１）が挿通される連結軸部（４０）が形成されており、
　前記上翼板（３２）には、前記スライダー胴体（３１）の厚さ方向において前記上面（３２１）よりも前記下翼板（３３）側に窪んだ凹部（３７）または前記上面（３２１）から前記上翼板（３２）を貫通した孔部（３５）が形成されており、
　前記連結軸部（４０）は、前記一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）の間において前記凹部（３７）または前記孔部（３５）に位置している
　ことを特徴とするスライダー。
　前記凹部（３７）の凹部底面（３８１，３９１）から前記上翼板（３２）および前記下翼板（３３）の間に形成される案内溝（３６）までの厚さ寸法（Ｔ１，Ｔ３）は、前記上翼板（３２）の上面（３２１）から前記案内溝（３６）までの厚さ寸法（Ｔ２）よりも小さい
　ことを特徴とする請求項１に記載のスライダー。
　前記一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）には前記連結ピン（５１）が挿通される軸孔部（３２３）が形成されており、
　前記軸孔部（３２３）の少なくとも一部は、前記上翼板（３２）の上面（３２１）よりも下方に位置している
　ことを特徴とする請求項１または請求項２に記載のスライダー。
　前記連結ピン（５１）を中心とする回動方向において前記引手（４１）を前記上翼板（３２）の上面（３２１）に沿ったロック位置に向けて弾性付勢する弾性ロック部材（６１）を備えており、
　前記凹部（３７）は、前記スライダー胴体（３１）の前記厚さ方向に直交する幅方向における両側に位置した一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）と、前記一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）の間において当該一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）の凹部底面（３９１）よりも窪んだ中間凹部（３８）とによって構成されており、
　前記中間凹部（３８）には、前記弾性ロック部材（６１）が前記上翼板（３２）および前記下翼板（３３）の間に形成される案内溝（３６）に出没可能に配置されており、
　前記一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）の凹部底面（３９１）は、前記上翼板（３２）の上面（３２１）よりも前記下翼板（３３）側に寄った低い位置にある
　ことを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか一項に記載のスライダー。
　前記連結軸部（４０）は、前記一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）の上方に配置された一対の側軸部（４９Ａ，４９Ｂ）と、前記中間凹部（３８）の上方に配置されたカム状部（４５）とを有しており、
　前記弾性ロック部材（６１）は、前記カム状部（４５）を前記ロック位置に向けて弾性付勢可能に配置されており、
　前記連結ピン（５１）は、前記一対の側軸部（４９Ａ，４９Ｂ）および前記カム状部（４５）を貫通しており、
　前記一対の側軸部（４９Ａ，４９Ｂ）のうち前記一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）の凹部底面（３９１）と前記連結ピン（５１）の外周面（５１１）との間における前記連結軸部（４０）の厚さ寸法（Ｔ４）は、前記カム状部（４５）のうち前記中間凹部（３８）の凹部底面（３８１）と前記連結ピン（５１）の外周面（５１１）との間における前記連結軸部（４０）の厚さ寸法（Ｔ５）よりも小さい
　ことを特徴とする請求項４に記載のスライダー。
　前記一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）の凹部底面（３９１）から前記スライダー胴体（３１）の厚さ方向に沿った前記一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）の最大高さ寸法（Ｈ）は、前記連結軸部（４０）の最大径寸法よりも大きい
　ことを特徴とする請求項４または請求項５に記載のスライダー。
　前記一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）は、前記凹部底面（３９１）と、前記スライダー胴体（３１）の厚さ方向および幅方向に直交する方向における前記凹部底面（３９１）の両端側に配置された一対の凹部側面（３９２，３９３）とによって構成されており、
　前記一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）には、前記連結ピン（５１）が挿通される軸孔部（３２３）が形成されており、
　前記一対の側肩部（３９Ａ，３９Ｂ）の凹部底面（３９１）は、前記スライダー胴体（３１）の厚さ方向において前記一対の側壁部（３２２Ａ，３２２Ｂ）の軸孔部（３２３）に対して前記下翼板（３３）側に配置されている
　ことを特徴とする請求項４から請求項６のいずれか一項に記載のスライダー。
　請求項１から請求項７のいずれか一項に記載のスライダー（３０）と、前記スライダー（３０）に連結される一対のファスナーストリンガー（２０Ａ，２０Ｂ）とを備えている
　ことを特徴とするスライドファスナー。