WO2019097808A1 - 仕事関数型ガスセンサおよびガスセンサモジュール - Google Patents

仕事関数型ガスセンサおよびガスセンサモジュール Download PDF

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Abstract

低コスト、小型および低消費電力を実現でき、かつ、妨害ガスの影響を抑制することのできるガスセンサを提供する。 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備する仕事関数型ガスセンサが開示される。第1の貴金属層と第2の貴金属層は第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、第2の金属酸化物層は第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、第1の貴金属層の表面と第2の貴金属層の表面が直接または第2金属酸化物層を介して雰囲気に露出している。

Description

仕事関数型ガスセンサおよびガスセンサモジュール
 本発明は、ガスセンサ、特にガス濃度に応じて閾値変化が生じる仕事関数型ガスセンサ、例えばFET(Field Effect Transistor)型ガスセンサ、キャパシタ型ガスセンサに関する。
 本技術分野の背景技術として、特開2008-145128号公報(特許文献1)、Journal of The Electrochemical Society, 154 8 J246-J252 2007.(非特許文献1)がある。
 特開2008-145128号公報(特許文献1)には、センサFETのゲート電極を外部から給電された電極とその上層に形成されたイオン伝導膜と更にその上層に形成され外部から給電された電極で形成したガスセンサが記載されている。イオン伝導膜の上下に形成された電極間に電位差を与えることで、雰囲気中のガス濃度に応じて発生するイオン伝導膜中のイオンを速く動かし、センサの応答時間を短縮することを意図している。
 Journal of The Electrochemical Society, 154 8 J246-J252 2007.(非特許文献1)には、混成電位方式のNOxセンサについて記載されている。イットリアを8%ドープしたジルコニアで形成された基板の両面のうち、一方には白金電極を形成し、もう一方には酸化ニッケルを成膜した上層に白金電極を形成し、2つの白金電極間の電位差がNOx濃度に応じて変化することを利用してNOx濃度を測定することを意図している。
 特開平8-271476号公報(特許文献2)には、第一の内部空所と、第二の内部空所と、第一の内部空所内の酸素分圧を制御せしめる第一の酸素ポンプ手段と、第二の内部空所内の酸素を汲み出す第二の酸素ポンプ手段と、第2の酸素ポンプ手段の作動により流れるポンプ電流を検出する電流検出手段と、を備えるガス成分の測定装置が記載されている。この測定装置では、電流検出手段により検出されるポンプ電流の値から被測定ガス成分量が求められる。
特開2008-145128号公報 特開平-271476号公報
Journal of The Electrochemical Society, 154 8 J246-J252 2007
 ガスセンサの実使用環境では、検知対象ガス以外のガスが存在し、そのガスの中には検知対象ガスと同様にガスセンサが応答を示す妨害ガスが含まれる。このため、例えば車載用の排気ガスセンサに用いられるNOxセンサでは、水素、一酸化炭素、炭化水素などの排気ガス中の未燃焼成分を酸素と反応させて燃焼させた後に残存した酸素を除去するプロセスを経た後にNOx濃度をセンサで検出するという方法を用いている。
 酸素を除去する部位はジルコニアを含む金属酸化物を貴金属電極で挟んだ構造を持っていて、酸素イオンポンプと呼ばれる。しかし、半導体基板上に形成するFET(Field Effect Transistor)型ガスセンサ、キャパシタ型ガスセンサといった仕事関数型ガスセンサに別部品としてイオンポンプを組み合わせると、低コスト、小型および低消費電力という仕事関数型ガスセンサの特長が失われるという課題がある。
 本発明の一側面は、半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備する仕事関数型ガスセンサである。第1の貴金属層と第2の貴金属層は第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、第2の金属酸化物層は第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、第1の貴金属層の表面と第2の貴金属層の表面が直接または第2金属酸化物層を介して雰囲気に露出していることを特徴とする。
 本発明の他の一側面は、第1と第2の仕事関数型ガスセンサを持つガスセンサモジュールである。第1の仕事関数型ガスセンサは、半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第1の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を有し、第1の貴金属層の表面が雰囲気に露出している。第2の仕事関数型ガスセンサは、半導体基板の主面上に形成された第2のゲート絶縁膜上に形成された、第3の金属酸化物層と外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第2のゲート層を有し、第2の貴金属層の上表面が前記雰囲気に露出している。
 本発明の他の一側面は、第1と第2の仕事関数型ガスセンサを持つガスセンサモジュールである。第1の仕事関数型ガスセンサは、半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備し、第1の貴金属層と第2の貴金属層は第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、第2の金属酸化物層は第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、第1の貴金属層の表面と第2の貴金属層の表面が直接または第2の金属酸化物層を介して雰囲気に露出している。第2の仕事関数型ガスセンサは、半導体基板の主面上に形成された第2のゲート絶縁膜上に形成された、第3の金属酸化物層と外部電源に接続された第3の貴金属層を含む積層膜からなる第2のゲート層を有し、第3の貴金属層の上表面が雰囲気に露出している。
 本発明によれば、低コスト、小型を実現でき、かつ、妨害ガスの影響を抑制することのできるガスセンサを提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
実施例1によるガスセンサの構成の一例を示す概略図である。 実施例1によるガスセンサのセンサ部の構成の一例を示す平面図である。 (a)は、図2のセンサFETのA-A´線に沿った断面図、(b)は、参照FETのA-A´線に沿った断面図である。 (a)は、図2のセンサFETのB-B´線に沿った断面図、図4(b)は、参照FETのC-C´線に沿った断面図である。 実施例1によるセンサFETのゲート層の構成の一例を示す断面図である。 実施例1によるセンサFETのゲート層の構成の一例を示す平面図である。 実施例1によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図である。(a)は、センサFETの接続構造の一例を示す回路図、(b)は、参照FETの接続構造の一例を示す回路図、(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。 実施例1によるガスセンサの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。(a)は、センサFETの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図、(b)は、参照FETの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。 実施例1の第1変形例によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図である。(a)は、センサキャパシタの接続構造の一例を示す回路図、(b)は、参照キャパシタの接続構造の一例を示す回路図、(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。 実施例1の第1変形例によるガスセンサの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。(a)は、センサキャパシタの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図、(b)は、参照キャパシタの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。 実施例1の変形例の1例を示す断面図である。図2のセンサFETのA-A‘線に沿った断面図である。 実施例1の変形例の1例を示す断面図である。図2のセンサFETのA-A‘線に沿った断面図である。 実施例1の変形例の1例を示す断面図である。図2のセンサFETのA-A‘線に沿った断面図である。 実施例1の変形例の1例を示す断面図である。図2のセンサFETのA-A‘線に沿った断面図である。 実施例2によるガスセンサの構成の一例を示す概略図である。 (a)は実施例2の第1のセンサFETの断面図、(b)は実施例2の第1の参照FETの断面図である。 (a)は実施例2の第2のセンサFETの断面図、(b)は実施例2の第2の参照FETの断面図である。 実施例2によるガスセンサの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。(a)は、第1のセンサFETの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図、(b)は、第2のセンサFETの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。 実施例2の第1変形例によるガスセンサの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。(a)は、第1のセンサキャパシタの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図、(b)は、第2のセンサキャパシタの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。 実施例3によるガスセンサの構成の一例を示す概略図である。 実施例3によるガスセンサのセンサ部の構成の一例を示す平面図である。 (a)は、図21のセンサFETのA-A´線に沿った断面図、(b)は、参照FETのA-A´線に沿った断面図である。 (a)は、図21のセンサFETのB-B´線に沿った断面図、(b)は、参照FETのC-C´線に沿った断面図である。 実施例3によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図である。(a)は、センサFETの接続構造の一例を示す回路図、(b)は、参照FETの接続構造の一例を示す回路図、(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。 実施例3によるガスセンサの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。(a)は、センサFETの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図、(b)は、参照FETの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。 実施例3の第1変形例によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図である。(a)は、センサキャパシタの接続構造の一例を示す回路図、(b)は、参照キャパシタの接続構造の一例を示す回路図、(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。 実施例3の第1変形例によるガスセンサの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。(a)は、センサキャパシタの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図、(b)は、参照キャパシタの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。 実施例3によるガスセンサのセンサ部(センサ素子)の構成の一例を示す平面図である。 実施例3によるガスセンサのセンサ部(センサ素子)の構成の第1例を示す断面図である。(a)は図28のA-A’線に沿った断面図、(b)はA-A’線に沿った断面図である。 実施例3によるガスセンサのセンサ部(センサ素子)の構成の第1例を示す断面図である。(a)は図28のB-B’線に沿った断面図、(b)はB-B’線に沿った断面図である。 実施例3の変形例の断面図である。図21のセンサFETのA-A´線に沿った断面図である。 実施例3の変形例の断面図である。図21のセンサFETのA-A´線に沿った断面図である。 実施例4によるガスセンサの構成の第1例を示す断面図である。(a)(b)はセンサFET、参照FETのゲート層の構成の一例を示す断面図である。 実施例4によるガスセンサの構成の第1例を示す断面図である。(a)~(d)はセンサFET、参照FETのゲート層の構成の一例を示す断面図である。 実施例4によるガスセンサの構成の第1例を示す断面図である。イオンポンプ150Sの一部断面図である。 実施例5によるガスセンサの構成の第1例を示す断面図である。(a)はセンサFET、参照FETの半導体基板へのコンタクト部と外部からの給電のための接続部の一例を示す断面図である。(b)はセンサFET、参照FETの半導体基板へのコンタクト部を示す断面図である。
 以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
 また、以下の実施の形態においては、説明上の方向として、X方向、Y方向、およびZ方向を用いる。X方向とY方向とは互いに直交し、水平面を構成する方向であり、Z方向は水平面に対して鉛直の方向である。
 また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
 また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、断面図と平面図が対応する場合においても、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。
 ガスセンサは、可燃性ガス(水素またはメタンなど)の爆発や、有毒ガス(酸化窒素、硫化水素または一酸化炭素など)による人体への悪影響を防止することを目的とし、例えばガス濃度の計測または漏洩検知などに使用されている。また、エンジン自動車においては、ガスセンサは、燃費向上および有害ガス低減のためのエンジン制御、浄化装置制御へのフィードバックまたは故障検知などに使用されている。
 近年、水素センサについて、FET型ガスセンサの開発が実用化に向けて進められている(前記特許文献1)。FET型ガスセンサは、検知対象ガスのガス濃度に応じて閾値が変化するガスセンサである。FET型ガスセンサと同様に、ガス濃度に応じて閾値が変化するガスセンサにキャパシタ型ガスセンサがある。FET型ガスセンサ、およびキャパシタ型ガスセンサを総称して仕事関数型ガスセンサと呼ぶ。
 仕事関数型ガスセンサは半導体ウエハを用いたプロセスで製造できるため、他のガスセンサ、例えば限界電流方式のガスセンサ(前記特許文献2)と比べて低コスト、小型および低消費電力が実現できる。水素以外にも、例えば酸素についてFET型ガスセンサの報告がある。また、珪素(Si)基板を用いた仕事関数型ガスセンサに加えて、高温まで動作が可能な炭化珪素(SiC)基板を用いた仕事関数型ガスセンサも報告されている。
 前述したように、FET型ガスセンサ、およびキャパシタ型ガスセンサは低コスト化、小型化および低消費電力化に適している。一方、ガスセンサの実使用環境では検知対象ガス以外のガスが存在し、そのガスの中には検知対象ガスと同様にガスセンサが応答を示す妨害ガスが含まれている。妨害ガス対策としては、イオンポンプを用いた方式が有効である。前記特許文献2では、限界電流方式のガスセンサにおいて、イオン伝導膜となるセラミック基板の両面に電極を形成することにより、妨害ガスとなる酸素を雰囲気から除去する技術が開示されている。しかしながら、前記特許文献2のガスセンサは、低コスト化、小型化および低消費電力化の面でFET型ガスセンサなどの仕事関数型ガスセンサに対して不利である。
 本実施例で提案する構成の一例では、酸素による仕事関数型センサへの影響をセンサ内部で相殺し酸素によるしきい電圧シフトを生じさせないために、ゲート絶縁膜上のガス検知電極を、酸素触媒となる第1、第2の貴金属層と、イオン導電性の金属酸化物層(YSZなど)、NOx触媒となる金属酸化物層(NiOなど)を含む積層体で形成する。2層の貴金属層はイオン導電性膜を挟んで上下に形成され、NOx触媒金属酸化物層はイオン導電性膜の一方の側に形成し、2層の貴金属層はそれぞれ直接またはNOx触媒となる金属酸化物層を介して雰囲気に露出し、下層は浮遊状態、上層は外部から給電されるようにした。上下の貴金属層の触媒効果で生じる酸素イオン起因の電界が2層の貴金属層の間で相殺するので酸素による貴金属層間の電位差を抑圧する。すなわちしきい電圧のシフトを低減できる。その結果、NOxによるしきい電圧を選択的に測定できる。センサ素子のゲートが曝露される排気ガスは、前段で未燃焼成分を酸素と反応させてセンサ素子に反応しない水と二酸化炭素に変化させておくことが望ましい。
 <ガスセンサの構成>
 図1~図8を用いて、本実施例1によるガスセンサの構成について説明する。図1は、本実施例1によるガスセンサの構成の一例を示す概略図である。図2は、本実施例1によるガスセンサのセンサ部の構成の一例を示す平面図である。図3(a)は、図2のセンサFETのA-A´線に沿った断面図、図3(b)は、参照FETのA-A´線に沿った断面図である。図4(a)は、図2のセンサFETのB-B´線に沿った断面図、図4(b)は、参照FETのC-C´線に沿った断面図である。図5は、本実施例1によるセンサFETのゲート層の構成の一例を示す断面図である。図6は、本実施例1によるセンサFETのゲート層の構成の一例を示す平面図である。図7は、本実施例1によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図であり、図7(a)は、センサFETの接続構造の一例を示す回路図、図7(b)は、参照FETの接続構造の一例を示す回路図、図7(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。図8は、本実施例1によるガスセンサの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図であり、図8(a)は、センサFETの電流-ゲート電圧特性を示すグラフ図、図8(b)は、参照FETの電流-ゲート電圧特性を示すグラフ図である。
 図1に示すように、ガスセンサ1は、センサ部100、電流測定部20、ガス濃度測定部30、電源部40、制御部50およびデータ入出力部90などを備えている。センサ部100は、センサ素子100S、参照素子100Rおよびヒータ190などを備えており、センサ素子100Sは、センサFET100Sfからなり、参照素子100Rは、参照FET100Rfからなる。
 センサFET100Sfは、図2、図3(a)および図4(a)に示すように、半導体基板101S、ウェル102S、ソース拡散層103S、ドレイン拡散層104S、ゲート絶縁膜105S、ゲート層106S、絶縁膜108Sおよびガス拡散防止膜となる絶縁膜111S~114Sなどを備えている。半導体基板101Sは、例えば珪素(Si)または炭化珪素(SiC)などからなる。
 ウェル102Sは、図2、図3(a)および図4(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されている。主面とは半導体基板101の素子が形成されている側の面を言うものとする。ウェル102Sは、センサFET100Sfの特性を規定する所定の不純物が注入されて形成された層である。ウェル102Sは、例えば導電型がN型またはP型の層である。ウェル102Sは、平面視において、例えばソース拡散層103S、ドレイン拡散層104S、ゲート絶縁膜105Sおよびゲート層106Sを取り囲むように形成されている。
 絶縁膜108Sは、図4(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されており、トレンチアイソレーションとして機能する。絶縁膜108Sは、センサFET100Sfのチャネル幅方向(Y方向)にチャネル領域を確定している。また、絶縁膜108Sが形成された領域の半導体基板101Sの主面ではゲート層106に印加する電圧によらず電流が流れず、いわゆる寄生トランジスタによるリーク電流などによるFET特性の不具合が絶縁膜108Sによって抑制される。チャネル幅方向(Y方向)にチャネル領域を確定する方法は、他にもLOCOS(Local Oxidation of Silicon)を用いる方法、フィールドプレートアイソレーションを用いる方法またはゲート絶縁膜を厚くする方法などがあり、本実施例1において、これらを用いることも可能である。ここでチャネル幅は、例えば100μmとした。
 ソース拡散層103Sは、図2および図3(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されており、平面視において、例えばウェル102Sの一部領域に形成されている。ソース拡散層103Sは、センサFET100Sfの特性を規定する所定の不純物が注入されて形成された層である。ソース拡散層103Sは、例えば導電型がN型またはP型の層であり、ウェル102Sと異なる導電型である。
 ドレイン拡散層104Sは、図2および図3(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されており、平面視において、例えばウェル102Sの一部領域に形成されている。ドレイン拡散層104Sは、センサFET100Sfの特性を規定する所定の不純物が注入されて形成された層である。ドレイン拡散層104Sは、例えば導電型がN型またはP型の層であり、ウェル102Sと異なる導電型である。
 ゲート絶縁膜105Sは、図3(a)および図4(a)に示すように、半導体基板101Sの主面上に形成されている。ゲート絶縁膜105Sは、平面視において、ウェル102S、ソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sを覆うように形成されている。すなわち、ゲート絶縁膜105Sは、ウェル102S、ソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sと、ゲート層106Sとを電気的に絶縁させている。ゲート絶縁膜105Sは、例えば二酸化珪素(SiO)などからなる。
 ゲート層106Sは、図3(a)および図4(a)に示すように、ゲート絶縁膜105Sの上面に形成されている。詳しくは、ゲート層106Sは、例えばソース拡散層103Sの一部領域、ウェル102Sの一部領域およびドレイン拡散層104Sの一部領域を覆うように形成されている。具体的には、ゲート層106Sは、ソース拡散層103Sのドレイン拡散層104S側の一部領域、ウェル102Sのソース拡散層103Sとドレイン拡散層104Sとの間の領域、ドレイン拡散層104Sのソース拡散層103S側の一部領域を覆うように形成されている。
 ガス拡散防止膜となる絶縁膜111S~114Sは、図3(a)および図4(a)に示すように、ゲート絶縁膜105Sおよびゲート層106Sの上層に形成されている。絶縁膜111Sおよび絶縁膜113Sは、例えば二酸化珪素(SiO)からなり、絶縁膜112Sおよび絶縁膜114Sは、例えば窒化珪素(SiN)からなる。
 ゲート層106Sは一部表面が絶縁膜111Sに覆われており、残りの部分(露出部107S)では絶縁膜111Sが除去されてゲート層106Sの表面が露出して、空洞130Sと接している。空洞130Sの周囲は、ゲート層106S、絶縁膜111S~114S、および触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sで覆われている。
 図5はゲート層106部分の拡大断面図である。ゲート層106Sは、図5に示すように、例えばゲート絶縁膜105Sの上面側から、貴金属とゲート絶縁膜105Sの接着層となるアルミナ(Al)やチタニア(TiO)、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sf、第1金属酸化物層106Saと、第2金属酸化物層106Sbと、外部から給電される貴金属電極層106Scとが積層された構成となっている。
 第1金属酸化物層106Saは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、厚さ200nmとした。第2金属酸化物層106Sbは、例えば酸化ニッケル(NiO)などからなり、厚さ50nmとした。電極層106Sf、106Scは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなり、厚さ100nmとした。充分な強度でゲート絶縁膜105Sと貴金属層106Sfが接着できる場合にはアルミナ(Al)やチタニア(TiO)などからなる接着層は不要である。
 また、ゲート層106Sは、図6に示すように、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sfの上表面と、外部から給電される貴金属電極層106Scの上表面の両方が雰囲気に露出している。チャネル領域ACHAN上にはゲート絶縁膜105Sを介して全体に金属電極層106Sfが形成されている。なお、本明細書では、半導体基板101を基準として電極層106のある方向を上側(上方)、逆の方向を下側(下方)と称することにする。
 電極層106Sc、106Sfでは、酸素(O)ガスの分解またはイオン化が行われる。第2金属酸化物層106Sbにおいて、酸化窒素(NOx)ガスの分解またはイオン化が行われる。酸素ガスと酸化窒素の分解で生じた酸素イオン(O2-)は、第1金属酸化物層106Saへ移動する。雰囲気中の酸素ガスから生じる酸素イオンは、電極層106Sc、106Sfで同じように生成され第1金属酸化物層106Saへそれぞれ上面側と下面側から移動する。第1金属酸化物層106Saの上面と下面には等量の酸素イオンが蓄積するため雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって、電極層106Sc、106Sfの間に電位差は生じない。
 すなわちセンサFET100Sfのしきい電圧は雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって変化しない。一方、酸化窒素の分解で生じた酸素イオンは第2金属酸化物層106Sbが形成されている上面側で生じて第1金属酸化物層106Saに移動し、第1金属酸化物層106Saの上表面に蓄積する。その結果、電極層106Scが106Sfに対して負電位になり、センサFET100Sfのしきい電圧が正電位側にシフトする。すなわち、本実施例1のセンサFET100Sfのゲート106を用いることで酸素ガスと酸化窒素ガスの両方が含まれる雰囲気の酸化窒素ガスの濃度を選択的に測定することができる。
 センサFET100Sfを構成するウェル102S、ソース拡散層103S、ドレイン拡散層104Sおよびゲート層106Sの貴金属層106Scは、例えばチタン(Ti)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)または白金(Pt)などの金属からなる図示しない配線層を介して、図1に示す電源部40、電流測定部20などと接続されている。
 図7(a)に示すように、センサFET100Sfを構成するウェル102Sおよびソース拡散層103Sは、可変電圧VSを印加する電源41に接続されている。ドレイン拡散層104Sは、一定の電圧VDを印加する電源41と接続されており、また、電流測定部20と接続されている。ゲート層106Sは、可変電圧VGSを印加する電源41と接続されている。
 図8(a)は、センサFET100Sfの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。ゲート層106S(例えば図2、図3(a)および図4(a)参照)にガス(例えば酸化窒素ガス)が触れると、ゲート層106Sの仕事関数が変化する。そうすると、図7(a)に示すように、ガス濃度に応じて、センサFET100Sfの電流-ゲート電圧特性は、図示で右方向に平行移動する。すなわち、ドレイン拡散層104S(例えば図2および図3(a)参照)に閾値電流Icが流れる場合におけるゲート層106Sの電圧は、ガス濃度が高くなるに従って高くなる。
 参照FET100Rfは、図2、図3(b)および図4(b)に示すように、半導体基板101R、ウェル102R、ソース拡散層103R、ドレイン拡散層104R、ゲート絶縁膜105R、ゲート層106Rおよび絶縁膜108Rおよび絶縁膜111Rなどを備えている。
 参照FET100Rfを構成する要素の多くは、前述したセンサFET100Sfと同様である。例えば参照FET100Rfの半導体基板101R、ウェル102R、ソース拡散層103R、ドレイン拡散層104R、ゲート絶縁膜105R、ゲート層106R、絶縁膜108Rおよび絶縁膜111Rは、センサFET100Sfの半導体基板101S、ウェル102S、ソース拡散層103S、ドレイン拡散層104S、ゲート絶縁膜105S、ゲート層106S、絶縁膜108Sおよび絶縁膜111Sのそれぞれと同様の構成である。このため、これらについての詳細な説明は省略する。
 参照FET100Rfには、図2、図3(b)および図4(b)に示すように、絶縁膜114R上に触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sが積層されていない。しかし、センサFET100Sfにおいて絶縁膜114S上に積層されている触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sと同じ層を、絶縁膜114R上に積層させることも可能である。参照FET100Rfのゲート106Rを雰囲気から隔離し、雰囲気中のガス濃度が変化しても参照FET100Rfしきい電圧が変化しないようにできれば良い。ガス拡散防止膜となる絶縁膜111Rが、図3(b)および図4(b)に示すように、ゲート層106Rの上面および側面を覆うように、ゲート絶縁膜105Rの上面に形成されている。すなわち、ゲート層106Rは、雰囲気から隔離されている。
 参照FET100Rfを構成するウェル102R、ソース拡散層103R、ドレイン拡散層104Rおよびゲート層106Rは、例えばチタン(Ti)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)または白金(Pt)などの金属からなる図示しない配線層を介して、図1に示す電源部40、電流測定部20などと接続されている。
 図7(b)に示すように、参照FET100Rfを構成するウェル102Rおよびソース拡散層103Rは、可変電圧VSを印加する電源41に接続されている。ドレイン拡散層104Rは、一定の電圧VDを印加する電源41と接続されており、また、電流測定部20と接続されている。ゲート層106Rは、可変電圧VGRを印加する電源41と接続されている。
 図8(b)は、参照FRT100Rfの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。ゲート層106R(例えば図2、図3(b)および図4(b)参照)が、ガス拡散防止膜となる絶縁膜111R(例えば図3(b)および図4(b)参照)に覆われているため、ゲート層106Rにガスが吸着しないので、ゲート層106Rの仕事関数は変化しない。従って、参照FET100Rfの電流-ゲート電圧特性は、ガス濃度によって変動しない。
 なお、以下では、センサFET100Sfおよび参照FET100RfはN型FETで構成されているものとして説明する。但し、両者はP型で構成されてもよいし、一方のFETがN型、他方のFETがP型で構成されてもよい。
 ヒータ190は、図1に示すように、電源部40と接続しており、両端間に電圧が印加されることによりジュール熱を発生させ、発生させたジュール熱によりセンサ部100の温度を調整する。ヒータ190は、例えばチタン(Ti)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)または白金(Pt)などの金属からなる配線で構成されている。
 また、ヒータ190は、図8(c)に示すように、一方の端部が接地され、他方の端部が電圧VHLを印加する電源41と接続されている。また、ヒータ190は、センサ部100(例えば図1参照)の温度を測定するセンサ温度計としても機能し、このとき、ヒータ190は、例えば電流測定部20と接続される。
 センサFET100Sfおよび参照FET100Rfは、それぞれ異なる半導体基板に形成されてもよいし、同一の半導体基板に形成されてもよい。また、ヒータ190は、センサFET100Sfまたは参照FET100Rfと一体で構成されてもよいし、これらとは別体で構成されてもよい。
 電流測定部20は、図1に示すように、センサFET100Sfの電流および参照FET100Rfの電流を測定する。電流測定部20は、例えばセンサFET100Sfのソース拡散層103Sとドレイン拡散層104S(例えば図2、図3(a)参照)との間に流れる第1ソース-ドレイン電流を測定する。また、電流測定部20は、例えば参照FET100Rfのソース拡散層103Rとドレイン拡散層104R(例えば図2および図3(b)参照)との間に流れる第2ソース-ドレイン電流を測定する。電流測定部20は、測定したセンサFET100Sfの電流データおよび参照FET100Rの電流データを制御部50へ出力する。
 また、電流測定部20は、ヒータ190の電流を測定する。電流測定部20は、測定したヒータ190の電流データを制御部50へ出力する。
 ガス濃度測定部30は、雰囲気中の検知対象ガスのガス濃度を測定する。例えば雰囲気中に酸化窒素と酸素が存在しない場合に、参照FETに流れる第2ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106R(例えば図8(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR(0,0)とする。また、センサFETに流れる第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106S(例えば図8(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS(0,0)とする。そして、閾値電圧VGR(0,0)と閾値電圧VGS(0,0)との差分をセンサ間電位差VGRS(0,0)(=VGR(0,0)-VGS(0,0))とする。
 また、雰囲気中に酸化窒素(濃度PNOx)と酸素(濃度PO)が存在する場合に、所定の時刻において、参照FETに流れる第2ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106R(例えば図8(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR(PNOx,PO)(=VGR(0,0))とする。また、センサFETに流れる第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106S(例えば図8(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS(PNOx,PO)とする。そして、閾値電圧VGR(PNOx,PO)と閾値電圧VGS(PNOx,PO)との差分をセンサ間電位差VGRS(PNOx,PO)(=VGR(PNOx,PO)-VGS(PNOx,PO))とする。
 そして、センサ間電位差VGRS(0,0)(=VGR(0,0)-VGS(0,0))と、センサ間電位差VGRS(PNOx,PO)(=VGR(PNOx,PO)-VGS(PNOx,PO))との差分である閾値変化量
ΔVg(PNOx,PO)=VGRS(PNOx,PO)-VGRS(0,0)
に基づいて所定の時刻における検知対象ガスのガス濃度を測定する。
 電源部40は、図1に示すように、ガスセンサ1を構成する各部へ電源を供給する。電源部40は、複数の電源41を備えている。電源部40は、一定の電圧を印加する電源41、可変電圧を印加する電源41および周期的に変動する電圧を印加する電源41などで構成されている。電源41の個数は、図1に示す個数(4個)に限定されるものではない。
 制御部50は、図1に示すように、ガスセンサ1を構成する各部の制御を行う。例えば制御部50は、各部のオンオフの切り替えに係る制御を行う。
 また、制御部50は、電流測定部20から出力された電流データに基づいて、センサFFT100Sfのゲート層106Sと接続された電源41を制御する(例えば図7(a)参照)。制御部50は、ガス濃度の測定時にセンサFET100Sfのドレイン拡散層104Sの電流が所定の閾値電流Icとなるように、電源41の電圧を調整する(例えば図7(a)および図7(a)参照)。
 また、制御部50は、電流測定部20から出力された電流データに基づいて、参照FET100Rfのゲート層106Rと接続された電源41を制御する(例えば図7(b)参照)。制御部50は、ガス濃度の測定時に参照FET100Rfのドレイン拡散層104Rの電流が所定の閾値電流Icとなるように、電源41の電圧を調整する(例えば図7(b)および図8(b)参照)。
 また、制御部50は、電流測定部20から出力されたヒータ190の電流データに基づいてセンサFET100Sfの温度および参照FET100Rfの温度を測定する。制御部50は、ヒータ190の両端間の電圧とヒータ190の電流データとからヒータ190の抵抗値を算出する。そして、制御部50は、例えばその抵抗値と温度とを関連付けた温度データを参照することにより温度を測定する。制御部50は、ヒータ190と接続された電源41を制御する。具体的には、制御部50は、ガス濃度の測定時にセンサFET100Sfの温度および参照FET100Rの温度が一定となるように、電源41の電圧を調整する。
 データ入出力部90は、図1に示すように、ガスセンサ1と接続される外部装置との間でデータの入出力を行う。ガスセンサ1は、データ入出力部90を介して、外部装置から出力された各種データの入力を受け付ける。また、ガスセンサ1は、データ入出力部90を介して、測定したガス濃度および温度などに関するデータを外部装置へ出力する。
 データ入出力部90は、有線で外部装置と接続されてもよいし、赤外線通信または近距離無線などで外部装置と接続されてもよい。また、データ入出力部90は、ネットワークを介して外部装置と接続されてもよい。
 <ガス濃度の測定方法>
 次に、本実施例1によるガスセンサを用いたガス濃度の測定方法について図1、図2および図7(a)、(b)を用いて説明する。以下では、検知対象ガスとして酸化窒素ガスを例示し、妨害ガスとして酸素ガスを例示して、酸化窒素ガスのガス濃度を測定する場合について説明する。
 図1を参照し、まず、制御部50は、センサ部100の温度を調整する。例えば制御部50は、ヒータ190と接続された電源41をオンすることにより、ヒータ190の両端間に電圧を印加する。
 次に、制御部50は、センサFET100Sfおよび参照FET100Rfのそれぞれの各部と接続された電源41をオンする。そして、電源41は、センサFET100Sfおよび参照FET100Rfのそれぞれの各部に所定の電圧を印加する。
 例えばセンサFET100Sfのウェル102Sおよびソース拡散層103Sと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Sと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106Sと接続された電源41は、第1ソース-ドレイン電流が閾値電流Icとなるよう、所定の閾値電圧VGS(0,0)を印加する。
 また、参照FET100Rfのウェル102Rおよびソース拡散層103Rと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Rと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106Rと接続された電源41は、第2ソース-ドレイン電流が閾値電流Icとなるよう、所定の閾値電圧VGR(0,0)を印加する。
 なお、ガス濃度0の場合におけるセンサFET100Sfの閾値電圧VGS(0,0)および参照FET100Rfの閾値電圧VGR(0,0)は、予め測定されていてもよい。また、制御部50は、例えば予め測定された閾値電圧VGS(0,0),VGR(0,0)のデータを、図示しないデータ格納部から必要に応じて読み出すようにしてもよい。制御部50は、閾値電圧VGS(0,0),VGR(0,0)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 次に、制御部50は、酸化窒素ガス(濃度PNOx)と酸素(濃度PO)が雰囲気中に含まれている場合におけるセンサFET100Sfの閾値電圧VGS(PNOx,PO)および参照FET100Rfの閾値電圧VGR(PNOx,PO)を測定する。制御部50は、例えば電流測定部20から出力される電流データを参照しながら、ゲート層106S,106Rと接続された電源41の電圧を調整することにより、閾値電圧VGS(PNOx,PO),VGR(PNOx,PO)を測定する。なお、参照FET100Rfのゲート層106Rは、ガス拡散防止膜となる絶縁膜111R(例えば図3(b)および図4(b)参照)により雰囲気から隔離されているので、参照FET100Rfの閾値電圧VGR(PNOx,PO)は、ガス濃度0のときの閾値電圧VGR(0,0)と同じである。
 制御部50は、測定した閾値電圧VGS(PNOx,PO),VGR(PNOx,PO)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 図3に示したように、雰囲気中に妨害ガスとして含まれている場合でも雰囲気ガス中に含まれる検知対象ガス以外の妨害ガスに含まれる未燃焼ガスを、触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sで雰囲気ガス中の残留酸素と反応させて、センサ素子のゲートに触れるガス成分をゲート層の材料に反応する酸化窒素(NOまたはNO)と酸素、およびセンサ素子に反応しないHO、N、CO、その他の不活性ガス成分にすることができる。酸化窒素と酸素とゲート層に反応しない成分からなるガスが、空洞130Sに露出されたゲート層106Sを持つセンサFET100Sfに接触する。
 雰囲気中のガスに酸化窒素ガスが含まれている場合には、その濃度に応じて閾値電圧VGS(PNOx,PO)が変化する。例えばエンジン自動車の排気ガスの場合、酸化窒素ガスには一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の両方が含まれていることが多い。センサ素子の温度をヒータ190で適切に設定すると触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sで、二酸化窒素(NO)は一酸化窒素(NO)に変換される。また別の温度を設定すると、一酸化窒素(NO)は二酸化窒素(NO)に変換される。ゲート層106Sを持つセンサFET100Sfでは、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の混合ガスのうち、一方だけを測定するようにできる。
 次に、ガス濃度測定部30は、制御部50から出力された閾値電圧VGS(0,0),VGR(0,0),VGS(PNOx,PO),VGR(PNOx,PO)に基づいて、センサFET100Sfの閾値変化量を算出する。例えばガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスと酸素ガスが存在しない場合のセンサFET100Sfと参照FET100Rfとの間のゲート電位差VGRS(0,0)、雰囲気中に酸化窒素ガスと酸素ガスが存在する場合のセンサFET100Sfと参照FET100Rfとの間のゲート電位差VGRS(PNOx,PO)との差分により、センサFET100Sfの閾値変化量を算出する。また前述した通り、センサFET100Sfは酸素ガスには応答せず、酸化窒素ガスには応答する。すなわち、センサFET100Sfの閾値変化量ΔVg(PNOx,PO)は、次のように表される。
  ΔVg(PNOx,PO
=VGRS(0,0)-VGRS(PNOx,PO
=(VGR(0,0)-VGS(0,0))-(VGR(PNOx,PO)-VGS(PNOx,PO))
=VGS(PNOx,PO)-VGS(0,0)
=VGS(PNOx,0)-VGS(0,0)     (式1)
 (式1)で示す閾値変化量は、参照FET100Rfの閾値電圧VGR(0,0),VGR(PNOx,PO)が考慮されている。これは、温度変化などのセンサ部100に発生するノイズの影響を抑えるためである。
 なお、ノイズによる閾値電圧VGS(0,0),VGS(PNOx,PO)の変動が小さければ、ガス濃度測定部30は、センサFET100Sfのみを用いてガス濃度を測定してもよい。この場合、ガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(0,0)と、雰囲気中に酸化窒素ガス(濃度PNOx)と酸素(濃度PO)が存在する場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(PNOx,PO)との差分である閾値変化量△Vg(PNOx,PO)に基づいて、所定の時刻における酸化窒素ガスのガス濃度を測定する。
 ここで、閾値電圧VGS(0,0)は、雰囲気中に酸化窒素ガスと酸素が存在しない場合に、第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icとなるときにゲート層106Sに印加される電圧である。また、閾値電圧VGS(PNOx,PO)は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合に、所定の時刻において第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icとなるときにゲート層106Sに印加される電圧である。また前述した通り、センサFET100Sfは酸素ガスには応答せず、酸化窒素ガスには応答する。
 従って、この場合の閾値変化量ΔVg(PNOx,PO)は、次のように表される。
ΔVg(PNOx,PO)=VGS(PNOx,PO)-VGS(0,0)
=VGS(PNOx,0)-VGS(0,0)     (式2)
 <仕事関数型素子の第1変形例>
 図9および図10を用いて、本実施例1の第1変形例による仕事関数型センサについて説明する。図9は、本実施例1の第1変形例によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図であり、図9(a)は、センサキャパシタの接続構造の一例を示す回路図、図9(b)は、参照キャパシタの接続構造の一例を示す回路図、図9(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。図10は、本実施例1の第1変形例によるガスセンサの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図であり、図10(a)は、センサキャパシタの静電容量-ゲート電圧特性を示すグラフ図、図10(b)は、参照キャパシタの静電容量-ゲート電圧特性を示すグラフ図である。
 第1変形例によるガスセンサは、センサ素子100Sにセンサキャパシタ100Sc、参照素子100Rに参照キャパシタ100Rcを用いている。センサキャパシタ100Scおよび参照キャパシタ100Rcには、図2~図6に示したデバイス構造およびゲート層構造とほぼ同じものを用いることができる。センサキャパシタ100Scでは、ゲート層106Sとウェル102Sとの間の容量、あるいはゲート層106Sとソース拡散層103Sまたはドレイン拡散層104Sとの間の容量のゲート電圧依存性が検知対象ガスのガス濃度に応じて変化する現象を利用して、ガス濃度を検知することができる。
 参照キャパシタ100Rcでは、ゲート層106Rがガス拡散防止膜となる絶縁膜111R(例えば図3(b)および図4(b)参照)により覆われているため、雰囲気中の検知対象ガスのガス濃度が変化しても容量のゲート電圧依存性は変化しない。
 ゲート層106Sとウェル102Sとの間の容量を用いる場合には、ソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104S(例えば図2、図3(a)および図4(a)参照)は、センサキャパシタ100Scのデバイス構造から省くことができる。参照キャパシタ100Rcも対応して、ゲート層106Rとウェル102Rとの間の容量を用いる場合には、ソース拡散層103Rおよびドレイン拡散層104R(例えば図2、図3(b)および図4(b)参照)は、参照キャパシタ100Rcのデバイス構造から省くことができる。ソース拡散層103S,103Rおよびドレイン拡散層104S,104Rをデバイス構造から省くことができるので、センサ素子100Sおよび参照素子100Rの製造工程数を減らすことができる。また、センサFET100Sf(参照FET100Rf)を用いる場合にはゲート層106S(106R)がソース拡散層103S(103R)とドレイン拡散層104S(104R)と重なりを持つように形成する必要があったが、センサキャパシタ100Sc(参照キャパシタ100Rc)でゲート層106S(106R)とウェル102S(102R)の間の容量を用いてガス濃度を検知する場合にはその制限は無い。
 以下では、図2、図3(a)および図4(a)に示したセンサFET100Sfからソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sを除いたセンサキャパシタ100Sc、および図2、図3(b)および図4(b)に示した参照FET100Rfからソース拡散層103Rおよびドレイン拡散層104Rを省いた参照キャパシタ100Rfについて説明する。センサキャパシタ100Scのデバイス構造は、図2、図3(a)および図4(a)に示したセンサFET100Sfのデバイス構造からソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sを省いただけなので詳しい説明は省く。同様に、参照キャパシタ100Rcのデバイス構造は、図2、図3(b)および図4(b)に示した参照FET100Rfのデバイス構造からソース拡散層103Rおよびドレイン拡散層104Rを省いただけなので詳しい説明は省く。
 なお、以下では、ウェル102S,102Rは、導電型がN型で構成されているものとして説明する。但し、ウェル102S,102Rは、導電型がP型で構成されてもよく、または、一方のウェルがN型、他方のウェルがP型で構成されてもよい。
 図9(a)、(b)に示すように、センサキャパシタ100Scのウェル102Sおよび参照キャパシタ100Rcのウェル102Rは、例えば正弦波などのように電圧が周期的に変化する交流電圧を印加する電源41とそれぞれ接続されている。
 センサキャパシタ100Scのゲート層106Sは、可変電圧VGSを印加する電源41と接続されており、参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rは、可変電圧VGRを印加する電源41と接続されている。また、センサキャパシタ100Scのゲート層106Sおよび参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rは、電流測定部20とそれぞれ接続されている。
 センサキャパシタ100Scの静電容量は、ゲート層106Sに印加される電圧、ウェル102Sに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Sに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて測定される。また、参照キャパシタ100Rcの静電容量は、ゲート層106Rに印加される電圧、ウェル102Rに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Rに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて測定される。これらの静電容量は、例えばガス濃度測定部30(例えば図1参照)などで測定される。
 電流測定部20は、例えばセンサキャパシタ100Scのゲート層106Sに流れる電流を測定する。また、電流測定部20は、例えば参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rに流れる電流を測定する。
 例えばゲート層106Sに印加される電圧、ウェル102Sに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Sに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて、センサキャパシタ100Scの静電容量は、図1に示したガス濃度測定部30によって測定される。
 また、例えばゲート層106Rに印加される電圧、ウェル102Rに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Rに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて、参照キャパシタ100Rcの静電容量は、図1に示したガス濃度測定部30によって測定される。
 図10(a)は、センサキャパシタ100Scの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。図10(b)は、参照キャパシタ100Rcの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。
 センサキャパシタ100Scでは、ゲート層106S(例えば図3(a)および図4(a)参照)の表面が露出している。このため、図9(a)に示すように、ガス濃度(例えば酸化窒素ガスのガス濃度)が高くなると、センサキャパシタ100Scの静電容量-ゲート電圧特性は、図示で右方向に平行移動する。すなわち、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるときのゲート層106Sの電圧は、ガス濃度0のときの閾値電圧VGS(0,0)からガス濃度Xのときの閾値電圧VGS(PNOx,PO)へと変化し、ガス濃度が高くなるに従って高くなる。
 <第1変形例におけるガス濃度の測定方法>
 次に、本実施例1の第1変形例によるガスセンサを用いたガス濃度の測定方法について図1、図2および図9(a)、(b)を用いて説明する。以下では、検知対象ガスとして酸化窒素ガスを例示し、妨害ガスとして酸素ガスを例として、酸化窒素ガスのガス濃度を測定する場合について説明する。
 まず、制御部50は、センサ部100の温度を調整する。
  次に、制御部50は、センサキャパシタ100Scおよび参照キャパシタ100Rcのそれぞれの各部に所定の電圧を印加する。
 例えば電源41は、ウェル102Sに所定の交流電圧を印加し、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるように、ゲート層106Sに所定の閾値電圧VGS(0,0)を印加する。また、電源41は、ウェル102Rに所定の交流電圧を印加し、参照キャパシタ100Rcの静電容量が閾値静電容量C0となるように、ゲート層106Rに所定の閾値電圧VGR(0,0)を印加する。
 なお、ガス濃度0の場合におけるセンサキャパシタ100Scの閾値電圧VGS(0,0)および参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(0,0)は、予め測定されていてもよい。また、制御部50は、例えば予め測定された閾値電圧VGS(0,0),VGR(0,0)のデータを、図示しないデータ格納部から必要に応じて読み出すようにしてもよい。制御部50は、閾値電圧VGS(0,0),VGR(0,0)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 次に、制御部50は、酸化窒素ガスと酸素ガスが雰囲気中に含まれている場合におけるセンサキャパシタ100Scの閾値電圧VGS(PNOx,PO)および参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(PNOx,PO)を測定する。なお、参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rは、ガス拡散防止膜となる絶縁膜111R(例えば図3(b)および図4(b)参照)により雰囲気から隔離されているので、参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(PNOx,PO)は、ガス濃度0のときの閾値電圧VGR(0,0)と同じである。
 制御部50は、測定した閾値電圧VGS(PNOx,PO),VGR(PNOx,PO)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 雰囲気中に妨害ガスとして含まれている場合でも雰囲気ガス中に含まれる検知対象ガス以外の妨害ガスに含まれる未燃焼ガスを、触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sで雰囲気ガス中の残留酸素と反応させて、センサ素子のゲートに触れるガス成分をゲート層の材料に反応する酸化窒素(NOまたはNO)と酸素、およびセンサ素子に反応しないHO、N、CO、その他の不活性ガス成分にすることができる。酸化窒素と酸素とゲート層に反応しない成分からなるガスが、空洞130Sに露出されたゲート層106Sを持つセンサキャパシタ100Scに接触する。
 雰囲気中のガスに酸化窒素ガスが含まれている場合には、そのガス濃度に応じて閾値電圧VGS(PNOx,PO)が変化する。例えばエンジン自動車の排気ガスの場合、酸化窒素ガスには一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の両方が含まれていることが多い。センサ素子の温度をヒータ190で適切に設定すると触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sで、二酸化窒素(NO)は一酸化窒素(NO)に変換される。また別の温度を設定すると、一酸化窒素(NO)は二酸化窒素(NO)に変換される。ゲート層106Sを持つセンサキャパシタ100Scでは、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の混合ガスのうち、一方だけを測定するようにできる。
 次に、ガス濃度測定部30は、制御部50から出力された閾値電圧VGS(0,0),VGR(0,0),VGS(PNOx,PO),VGR(PNOx,PO)に基づいて、センサキャパシタ100Scの閾値変化量を算出する。例えばガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合のセンサキャパシタ100Scと参照キャパシタ100Rcとの間のゲート電位差VGRS(0,0)、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合のセンサキャパシタ100Scと参照キャパシタ100Rcとの間のゲート電位差VGRS(PNOx,PO)との差分により、センサキャパシタ100Scの閾値変化量を算出する。また前述した通り、センサキャパシタ100Scは酸素ガスには応答せず、酸化窒素ガスには応答する。すなわち、センサキャパシタ100Scの閾値変化量ΔVg(PNOx,PO)は、前述の(式1)で表される。
  (式1)で示す閾値変化量は、参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(0,0),VGR(PNOx,PO)が考慮されている。これは、温度変化などのセンサ部100に発生するノイズの影響を抑えるためである。
 なお、ノイズによる閾値電圧VGS(0,0),VGS(PNOx,PO)の変動が小さければ、ガス濃度測定部30は、センサキャパシタ100Scのみを用いてガス濃度を測定してもよい。この場合、ガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(0,0)と、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(PNOx,PO)との差分である閾値変化量△Vg(PNOx,PO)に基づいて、酸化窒素ガスのガス濃度を測定する。ここで、閾値電圧VGS(0,0)は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合に、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるときにゲート層106Sに印加される電圧である。
 また、閾値電圧VGS(PNOx,PO)は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合に、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるときにゲート層106Sに印加される電圧である。また前述した通り、センサキャパシタ100Scは酸素ガスには応答せず、酸化窒素ガスには応答する。従って、この場合の閾値変化量ΔVg(PNOx,PO)は、前述の(式2)のように表される。
 <ゲート構造の変形例1>
 図11にゲート構造の変形例1を示す。ゲート層106Sは、図11に示すように、ゲート絶縁膜105Sの上面側から、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sf、第2金属酸化物層106Sbと、第1金属酸化物層106Saと、外部から給電される貴金属電極層106Scとが積層された構成となっている。第1金属酸化物層106Saは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、第2金属酸化物層106Sbは、例えば酸化ニッケル(NiO)などからなり、電極層106Sf、106Scは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。図5のようにゲート絶縁膜105Sと貴金属層106Sfの間にアルミナ(Al)やチタニア(TiO)などからなる接着層を用いても良い。
 また、ゲート層106Sは、図11に示すように、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sfの上表面と、外部から給電される貴金属電極層106Scの上表面の両方が雰囲気に露出している。図6と同様にチャネル領域ACHAN上にはゲート絶縁膜105Sを介して全体に金属電極層106Sfが形成されている。
 電極層106Sc、106Sfでは、酸素(O)ガスの分解またはイオン化が行われる。第2金属酸化物層106Sbにおいて、酸化窒素(NOx)ガスの分解またはイオン化が行われる。酸素ガスと酸化窒素の分解で生じた酸素イオン(O2-)は、第1金属酸化物層106Saへ移動する。雰囲気中の酸素ガスから生じる酸素イオンは、電極層106Sc、106Sfで同じように生成され第1金属酸化物層106Saへそれぞれ上面側と下面側から移動する。第1金属酸化物層106Saの上面と下面には等量の酸素イオンが蓄積するため雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって、電極層106Sc、106Sfの間に電位差は生じない。すなわちセンサFET100Sfのしきい電圧は雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって変化しない。
 一方、酸化窒素の分解で生じた酸素イオンは第2金属酸化物層106Sbが形成されている下面側で生じて第1金属酸化物層106Saに移動し、第1金属酸化物層106Saの下表面に蓄積する。その結果、電極層106Scが106Sfに対して正電位になり、センサFET100Sfのしきい電圧が負電位側にシフトする。すなわち、本実施例1のセンサFET100Sfのゲート106を用いることで酸素ガスと酸化窒素ガスの両方が含まれる雰囲気の酸化窒素ガスの濃度を選択的に測定することができる。センサキャパシタ100Scに本変形例1のゲートを適用した場合も同様である。図3~6の構造のゲートの場合と酸化窒素によるしきい電圧シフトの極性が逆になることが特徴である。
 <ゲート構造の変形例2>
 図12にゲート構造の変形例2を示す。ゲート層106Sは、図12に示すように、ゲート絶縁膜105Sの上面側から、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sf、第2金属酸化物層106Sbと、第1金属酸化物層106Saと、外部から給電される貴金属電極層106Scとが積層された構成となっている。第1金属酸化物層106Saは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、第2金属酸化物層106Sbは、例えば酸化ニッケル(NiO)などからなり、電極層106Sf、106Scは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。図5のようにゲート絶縁膜105Sと貴金属層106Sfの間にアルミナ(Al)やチタニア(TiO)などからなる接着層を用いても良い。
 また、ゲート層106Sは、図12に示すように、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sfの上表面が第2金属酸化物106Sbを介して雰囲気に露出している。外部から給電される貴金属電極層106Scの上表面が雰囲気に露出している。図6と同様にチャネル領域ACHAN上にはゲート絶縁膜105Sを介して全体に金属電極層106Sfが形成されている。
 電極層106Sc、106Sfでは、酸素(O)ガスの分解またはイオン化が行われる。第2金属酸化物層106Sbにおいて、酸化窒素(NOx)ガスの分解またはイオン化が行われる。酸素ガスと酸化窒素の分解で生じた酸素イオン(O2-)は、第1金属酸化物層106Saへ移動する。雰囲気中の酸素ガスから生じる酸素イオンは、電極層106Sc、106Sfで同じように生成され第1金属酸化物層106Saへそれぞれ上面側と下面側から移動する。第1金属酸化物層106Saの上面と下面には等量の酸素イオンが蓄積するため雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって、電極層106Sc、106Sfの間に電位差は生じない。すなわちセンサFET100Sfのしきい電圧は雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって変化しない。
 一方、酸化窒素の分解で生じた酸素イオンは第2金属酸化物層106Sbが形成されている下面側で生じて第1金属酸化物層106Saに移動し、第1金属酸化物層106Saの下表面に蓄積する。
 その結果、電極層106Scが106Sfに対して正電位になり、センサFET100Sfのしきい電圧が負電位側にシフトする。すなわち、本実施例1のセンサFET100Sfのゲート106を用いることで酸素ガスと酸化窒素ガスの両方が含まれる雰囲気の酸化窒素ガスの濃度を選択的に測定することができる。センサキャパシタ100Scに本変形例2のゲートを適用した場合も同様である。ゲート構造の変形例1と比較して第2金属酸化物層が広く露出しているので酸化窒素に対する応答が高速になることが特徴である。
 <ゲート構造の変形例3>
 図13にゲート構造の変形例3を示す。ゲート層106Sは、図13に示すように、ゲート絶縁膜105Sの上面側から、第2金属酸化物層106Sbと、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sfと、第1金属酸化物層106Saと、外部から給電される貴金属電極層106Scとが積層された構成となっている。第1金属酸化物層106Saは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、第2金属酸化物層106Sbは、例えば酸化ニッケル(NiO)などからなり、電極層106Sf、106Scは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。図5で示したゲート絶縁膜105Sと貴金属層106Sfの間にアルミナ(Al)やチタニア(TiO)などからなる接着層を、ゲート絶縁膜105Sと第2金属酸化物層106Sbの界面に用いることもできるが、SiO膜(ゲート絶縁膜105S)とNiO層(第2金属酸化物層106Sb)は良好な接着が得られるためあまり必要ではない。
 また、ゲート層106Sは、図13に示すように、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sfの上表面と、外部から給電される貴金属電極層106Scの上表面の両方が雰囲気に露出している。チャネル領域ACHAN上にはゲート絶縁膜105Sと第2金属酸化物106Sbを介して全体に金属電極層106Sfが形成されている。
 電極層106Sc、106Sfでは、酸素(O)ガスの分解またはイオン化が行われる。第2金属酸化物層106Sbにおいて、酸化窒素(NOx)ガスの分解またはイオン化が行われる。酸素ガスと酸化窒素の分解で生じた酸素イオン(O2-)は、第1金属酸化物層106Saへ移動する。雰囲気中の酸素ガスから生じる酸素イオンは、電極層106Sc、106Sfで同じように生成され第1金属酸化物層106Saへそれぞれ上面側と下面側から移動する。第1金属酸化物層106Saの上面と下面には等量の酸素イオンが蓄積するため雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって、電極層106Sc、106Sfの間に電位差は生じない。すなわちセンサFET100Sfのしきい電圧は雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって変化しない。
 一方、酸化窒素の分解で生じた酸素イオンは第2金属酸化物層106Sbが形成されている下面側で生じて第1金属酸化物層106Saに移動し、第1金属酸化物層106Saの下表面に蓄積する。その結果、電極層106Scが106Sfに対して正電位になり、センサFET100Sfのしきい電圧が負電位側にシフトする。すなわち、本実施例1のセンサFET100Sfのゲート106を用いることで酸素ガスと酸化窒素ガスの両方が含まれる雰囲気の酸化窒素ガスの濃度を選択的に測定することができる。センサキャパシタ100Scに本変形例3のゲートを適用した場合も同様である。図3~6の構造のゲート、変形例1、2と比較して、ゲート絶縁膜105S上の接着層が無くても積層ゲートを高い強度でゲート絶縁膜105S上に形成できることが特徴である。
 <ゲート構造の変形例4>
 図14にゲート構造の変形例2を示す。ゲート層106Sは、図14に示すように、ゲート絶縁膜105Sの上面側から、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sf、第1金属酸化物層106Saと、外部から給電される貴金属電極層106Scと、第2金属酸化物層106Sbとが積層された構成となっている。第1金属酸化物層106Saは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、第2金属酸化物層106Sbは、例えば酸化ニッケル(NiO)などからなり、電極層106Sf、106Scは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。図5のようにゲート絶縁膜105Sと貴金属層106Sfの間にアルミナ(Al)やチタニア(TiO)などからなる接着層を用いても良い。
 また、ゲート層106Sは、図14に示すように、電気的に浮遊状態の貴金属電極層106Sfの上表面が雰囲気に露出している。外部から給電される貴金属電極層106Scの上表面が第2金属酸化物106Sbを介して雰囲気に露出している。図6と同様にチャネル領域ACHAN上にはゲート絶縁膜105Sを介して全体に金属電極層106Sfが形成されている。
 電極層106Sc、106Sfでは、酸素(O)ガスの分解またはイオン化が行われる。第2金属酸化物層106Sbにおいて、酸化窒素(NOx)ガスの分解またはイオン化が行われる。酸素ガスと酸化窒素の分解で生じた酸素イオン(O2-)は、第1金属酸化物層106Saへ移動する。雰囲気中の酸素ガスから生じる酸素イオンは、電極層106Sc、106Sfで同じように生成され第1金属酸化物層106Saへそれぞれ上面側と下面側から移動する。第1金属酸化物層106Saの上面と下面には等量の酸素イオンが蓄積するため雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって、電極層106Sc、106Sfの間に電位差は生じない。すなわちセンサFET100Sfのしきい電圧は雰囲気中の酸素ガス起因の酸素イオンによって変化しない。
 一方、酸化窒素の分解で生じた酸素イオンは第2金属酸化物層106Sbが形成されている上面側で生じて第1金属酸化物層106Saに移動し、第1金属酸化物層106Saの上表面に蓄積する。その結果、電極層106Scが106Sfに対して負電位になり、センサFET100Sfのしきい電圧が正電位側にシフトする。すなわち、本実施例1のセンサFET100Sfのゲート106を用いることで酸素ガスと酸化窒素ガスの両方が含まれる雰囲気の酸化窒素ガスの濃度を選択的に測定することができる。センサキャパシタ100Scに本変形例4のゲートを適用した場合も同様である。ゲート構造の変形例2と同様に第2金属酸化物層が広く露出しているので酸化窒素に対する応答が高速になることが特徴である。
 <本実施例1による効果>
 本実施例1によれば、酸素に応答せず酸化窒素に応答する仕事関数型ガスセンサを実現できる。雰囲気ガス中に含まれる検知対象ガス以外の妨害ガスに含まれる未燃焼ガスを触媒を担持した多孔質な金属酸化物層で雰囲気ガス中の残留酸素と反応させて、センサ素子のゲートに触れるガス成分を酸化窒素(NOまたはNO)、およびセンサ素子に反応しないHO、N、CO、その他の不活性ガス成分にすることで、酸化窒素の濃度を選択的に測定することが可能となる。その結果、低コスト化、小型化および低消費電力化と、妨害ガス除去による高精度なガスセンシングとを両立させることができる。
 <ガスセンサの構成>
 図15~図18を用いて、本実施例2によるガスセンサの構成について説明する。
 図15は、本実施例2によるガスセンサの構成の一例を示す概略図である。図16(a)は、第1センサFET(100Sf-1)の断面図、図16(b)は、第1参照FET(100Rf-1)の断面図である。図17(a)は、第2センサFET(100Sf-2)の断面図、図17(b)は、第2参照FET(100Rf-2)の断面図である。
図18は、本実施例2によるガスセンサのセンサFETの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図であり、図8(a)は、第1センサFET(100Sf-1)の電流-ゲート電圧特性を示すグラフ図、図8(b)は、第2センサFET(100Sf-2)の電流-ゲート電圧特性を示すグラフ図である。センサFET、参照FETの搭載数と、ゲートの積層構造を除くとデバイス構造は実施例1と類似しているので詳しい説明は省く。
 第1センサFET100Sf-1のゲート層106S-1は、図16(a)に示すように、例えばゲート絶縁膜105Sの上面側から、第1金属酸化物層106Sa-1と、第2金属酸化物層106Sb-1と、外部から給電される貴金属電極層106Sc-1とが積層された構成となっている。第1金属酸化物層106Sa-1は、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、第2金属酸化物層106Sb-1は、例えば酸化ニッケル(NiO)などからなり、電極層106Sc-1は、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。
 電極層106Sc-1では、酸素(O)ガスの分解またはイオン化が行われる。第2金属酸化物層106Sbにおいて、酸化窒素(NOx)ガスの分解またはイオン化が行われる。酸素ガスと酸化窒素の分解で生じた酸素イオン(O2-)は、第1金属酸化物層106Saへ移動し第1金属酸化物層106Sa-1の上表面に蓄積する。酸素イオンの負電荷により第1センサFET100Sf-1のしきい電圧が正電位側にシフトする。酸素ガスと酸化窒素ガスの両方が含まれる雰囲気では酸化窒素ガスと酸素ガスの両方から生じる酸素イオンの影響でしきい電圧がシフトするので第1センサFET100Sf-1だけでは選択的な測定はできない。
 第2センサFET100Sf-2のゲート層106S-2は、図17(a)に示すように、例えばゲート絶縁膜105Sの上面側から、第1金属酸化物層106Sa-2と、外部から給電される貴金属電極層106Sc-2とが積層された構成となっている。第1金属酸化物層106Saは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、電極層106Scは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。
 電極層106Sc-2では、酸素(O)ガスの分解またはイオン化が行われる。酸素ガスの分解で生じた酸素イオン(O2-)は、第1金属酸化物層106Sa-2へ移動し第1金属酸化物層106Sa-2の上表面に蓄積する。酸素イオンの負電荷により第1センサFET100Sf-2のしきい電圧が正電位側にシフトする。酸素ガスと酸化窒素ガスの両方が含まれる雰囲気で酸素ガスから生じる酸素イオンの影響でしきい電圧がシフトするので第1センサFET100Sf-2だけで酸素の濃度を選択的に測定できる。
 ガス濃度測定部30は、雰囲気中の検知対象ガスのガス濃度を測定する。例えば雰囲気中に酸化窒素と酸素が存在しない場合に、第1参照FETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic1であるときにゲート層106R-1(例えば図16(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR1(0,0)とする。また、第1センサFETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic1であるときにゲート層106S-1(例えば図16(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS1(0,0)とする。そして、閾値電圧VGR1(0,0)と閾値電圧VGS1(0,0)との差分をセンサ間電位差VGRS1(0,0)(=VGR1(0,0)-VGS1(0,0))とする。
 また、例えば雰囲気中に酸化窒素と酸素が存在しない場合に、第2参照FETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic2であるときにゲート層106R-2(例えば図17(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR2(0,0)とする。また、第2センサFETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic2であるときにゲート層106S-2(例えば図17(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS2(0,0)とする。そして、閾値電圧VGR2(0,0)と閾値電圧VGS2(0,0)との差分をセンサ間電位差VGRS2(0,0)(=VGR2(0,0)-VGS2(0,0))とする。
 また、雰囲気中に酸化窒素(濃度PNOx)と酸素(濃度PO)が存在する場合に、所定の時刻において、第1参照FETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic1であるときにゲート層106R―1(例えば図16(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR1(PNOx,PO)(=VGR1(0,0))とする。また、第1センサFETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic1であるときにゲート層106S-1(例えば図16(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS1(PNOx,PO)とする。そして、閾値電圧VGR1(PNOx,PO)と閾値電圧VGS1(PNOx,PO)との差分をセンサ間電位差VGRS1(PNOx,PO)(=VGR1(PNOx,PO)-VGS1(PNOx,PO))とする。
 そして、センサ間電位差VGRS1(0,0)(=VGR1(0,0)-VGS1(0,0))と、センサ間電位差VGRS1(PNOx,PO)(=VGR1(PNOx,PO)-VGS1(PNOx,PO))との差分である閾値変化量
ΔVg1(PNOx,PO)=VGRS1(PNOx,PO)-VGRS1(0,0)に基づいて所定の時刻における検知対象ガスのガス濃度を測定する。
 また、雰囲気中に酸化窒素(濃度PNOx)と酸素(濃度PO)が存在する場合に、所定の時刻において、第2参照FETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic2であるときにゲート層106R―2(例えば図17(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR2(PNOx,PO)(=VGR2(0,0))とする。また、第2センサFETに流れるソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Ic2であるときにゲート層106S-2(例えば図17(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS2(PNOx,PO)とする。そして、閾値電圧VGR2(PNOx,PO)と閾値電圧VGS2(PNOx,PO)との差分をセンサ間電位差VGRS2(PNOx,PO)(=VGR2(PNOx,PO)-VGS2(PNOx,PO))とする。
 そして、センサ間電位差VGRS2(0,0)(=VGR2(0,0)-VGS2(0,0))と、センサ間電位差VGRS2(PNOx,PO)(=VGR2(PNOx,PO)-VGS2(PNOx,PO))との差分である閾値変化量
ΔVg2(PNOx,PO)=VGRS2(PNOx,PO)-VGRS2(0,0)に基づいて所定の時刻における検知対象ガスのガス濃度を測定する。
 <ガス濃度の測定方法>
 次に、本実施例2によるガスセンサを用いたガス濃度の測定方法について図15、18を用いて説明する。以下では、検知対象ガスとして酸化窒素ガスを例示し、妨害ガスとして酸素ガスを例示して、酸化窒素ガスのガス濃度を測定する場合について説明する。
 まず、制御部50は、センサ部100の温度を調整する。例えば制御部50は、ヒータ190と接続された電源41をオンすることにより、ヒータ190の両端間に電圧を印加する。
 次に、制御部50は、センサFET100Sf-1、100Sf-2および参照FET100Rf-1、100Rf-2のそれぞれの各部と接続された電源41をオンする。そして、電源41は、センサFET100Sf-1、100Sf-2および参照FET100Rf-1、100Rf-2のそれぞれの各部に所定の電圧を印加する。
 例えばセンサFET100Sf-1のウェル102Sおよびソース拡散層103Sと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Sと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106S-1と接続された電源41は、ソース-ドレイン電流が閾値電流Ic1となるよう、所定の閾値電圧VGS1(0,0)を印加する。
 また、参照FET100Rf-1のウェル102Rおよびソース拡散層103Rと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Rと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106R-1と接続された電源41は、ソース-ドレイン電流が閾値電流Ic1となるよう、所定の閾値電圧VGR1(0,0)を印加する。また、センサFET100Sf-2のウェル102Sおよびソース拡散層103Sと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Sと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106S-2と接続された電源41は、ソース-ドレイン電流が閾値電流Ic2となるよう、所定の閾値電圧VGS2(0,0)を印加する。
 また、参照FET100Rf-2のウェル102Rおよびソース拡散層103Rと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Rと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106R-2と接続された電源41は、ソース-ドレイン電流が閾値電流Ic2となるよう、所定の閾値電圧VGR2(0,0)を印加する。
 なお、ガス濃度0の場合におけるセンサFET100Sf-1、100Sf-2の閾値電圧VGS1(0,0)、VGS2(0,0)、および参照FET100Rf-1、100Rf-2の閾値電圧VGR1(0,0)、VGR2(0,0)は、予め測定されていてもよい。また、制御部50は、例えば予め測定された閾値電圧VGS1(0,0),VGS2(0,0),VGR1(0,0)VGR2(0,0)のデータを、図示しないデータ格納部から必要に応じて読み出すようにしてもよい。制御部50は、閾値電圧VGS1(0,0),VGS2(0,0),VGR1(0,0)VGR2(0,0)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 次に、制御部50は、酸化窒素ガス(濃度PNOx)と酸素(濃度PO)が雰囲気中に含まれている場合におけるセンサFET100Sf-1、100Sf-2の閾値電圧VGS1(PNOx,PO)、VGS2(PNOx,PO)および参照FET100Rf-1、100Rf-2の閾値電圧VGR1(PNOx,PO)、VGR2(PNOx,PO)を測定する。制御部50は、例えば電流測定部20から出力される電流データを参照しながら、ゲート層106S-1,106S-2、106R-1、106R-2と接続された電源41の電圧を調整することにより、閾値電圧VGS1(PNOx,PO),VGS2(PNOx,PO),VGR1(PNOx,PO),VGR2(PNOx,PO)を測定する。なお、参照FET100Rf-1、100Rf-2のゲート層106R-1、106R-2は、ガス拡散防止膜となる絶縁膜111R(例えば図16(b)および図17(b)参照)により雰囲気から隔離されているので、参照FET100Rf-1、100Rf-2の閾値電圧VGR1(PNOx,PO)、VGR2(PNOx,PO)は、それぞれガス濃度0のときの閾値電圧VGR1(0,0)、VGR2(0,0)と同じである。
 制御部50は、測定した閾値電圧VGS1(PNOx,PO),VGS2(PNOx,PO),VGR1(PNOx,PO),VGR2(PNOx,PO)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 雰囲気中に妨害ガスとして含まれている場合でも雰囲気ガス中に含まれる検知対象ガス以外の妨害ガスに含まれる未燃焼ガスを、触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sで雰囲気ガス中の残留酸素と反応させて、センサ素子のゲートに触れるガス成分をゲート層の材料に反応する酸化窒素(NOまたはNO)と酸素、およびセンサ素子に反応しないHO、N、CO、その他の不活性ガス成分にすることができる。酸化窒素と酸素とゲート層に反応しない成分からなるガスが、空洞130Sに露出されたゲート層106S-1、106S-2を持つセンサFET100Sf-1、100Sf-2に接触する。
 雰囲気中のガスに酸化窒素ガスが含まれている場合には、その濃度に応じて閾値電圧VGS1(PNOx,PO)、VGS2(PNOx,PO)が変化する。例えばエンジン自動車の排気ガスの場合、酸化窒素ガスには一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の両方が含まれていることが多い。センサ素子の温度をヒータ190で適切に設定すると触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sで、二酸化窒素(NO)は一酸化窒素(NO)に変換される。また別の温度を設定すると、一酸化窒素(NO)は二酸化窒素(NO)に変換される。ゲート層106S-1、106S-2を持つセンサFET100Sf-1、100Sf-2では、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の混合ガスのうち、一方だけを測定するようにできる。
 次に、ガス濃度測定部30は、制御部50から出力された閾値電圧VGS1(0,0),VGS2(0,0),VGR1(0,0),VGR2(0,0),VGS1(PNOx,PO),VGS2(PNOx,PO),VGR1(PNOx,PO),VGR2(PNOx,PO)に基づいて、センサFET100Sf-1、100Sf-2の閾値変化量を算出する。例えばガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスと酸素ガスが存在しない場合のセンサFET100Sf-1、100Sf-2と参照FET100Rf-1、1――Rf-2との間のゲート電位差VGRS1(0,0)、VGRS2(0,0)、雰囲気中に酸化窒素ガスと酸素ガスが存在する場合のセンサFET100Sf-1、100Sf-2と参照FET100Rf-1、100Rf-2との間のゲート電位差VGRS1(PNOx,PO)、VGRS2(PNOx,PO)との差分により、センサFET100Sf-1、100Sf-2の閾値変化量を算出する。
 また前述した通り、センサFET100Sf-1は酸素ガスと酸化窒素ガスに応答し、センサFET100Sf-2は酸素ガスには応答するが酸化窒素ガスには応答しない。
する。すなわち、センサFET100Sf-1、100Sf-2の閾値変化量ΔVg1(PNOx,PO)、ΔVg2(PNOx,PO)は、次のように表される。
 ΔVg1(PNOx,PO
=VGRS1(0,0)-VGRS1(PNOx,PO
=(VGR1(0,0)-VGS1(0,0))-(VGR1(PNOx,PO)-VGS1(PNOx,PO))
=VGS1(PNOx,PO)-VGS1(0,0)
=[VGS1(PNOx,PO)-VGS1(0,PO)]
+[VGS1(0,PO)-VGS1(0,0)]     (式3)
 
 ΔVg2(PNOx,PO
=VGRS2(0,0)-VGRS2(PNOx,PO
=(VGR2(0,0)-VGS2(0,0))-(VGR2(PNOx,PO)-VGS2(PNOx,PO))
=VGS2(PNOx,PO)-VGS2(0,0)
=VGS2(0,PO)-VGS2(0,0)     (式4)
 第2センサFET100Sf-2について予め取得しておく閾値変化の酸素濃度依存性と(式4)から酸素濃度を検出できる。第1センサFET100Sf-1について予め取得しておく各酸素濃度におけるしきい電圧シフトの酸化窒素濃度(PNOx)依存性と、酸化窒素濃度0における閾値変化の酸素濃度(PO)依存性と、(式3)と、式4から導かれる雰囲気中の酸素濃度(PO)から、酸化窒素濃度(PNOx)を算出できる。
 (式3)、(式4)で示す閾値変化量は、参照FET100Rf-1、100Rf-2の閾値電圧VGR1(0,0),VGR2(0,0),VGR1(PNOx,PO),VGR2(PNOx,PO)が考慮されている。これは、温度変化などのセンサ部100に発生するノイズの影響を抑えるためである。
 なお、ノイズによる閾値電圧VGS1(0,0),VGS2(0,0),VGS1(PNOx,PO)、VGS2(PNOx,PO)の変動が小さければ、ガス濃度測定部30は、センサFET100Sf-1、100Sf-2のみを用いてガス濃度を測定してもよい。これは実施例1と同様である。実施例1と同様に、センサキャパシタ100Sc-1、100Sc-2、参照キャパシタ100Rc-1、100Rc-2を用いることもできる。
 図19に示すように、センサキャパシタ100Sc-1の静電容量―印加電圧特性のしきい電圧は図18のセンサFET100Sf-1と同様に酸素ガス濃度(PO)、酸化窒素ガス濃度(PNOx)に応答し、センサキャパシタ100Sc-2の静電容量―印加電圧特性のしきい電圧は図18のセンサFET100Sf-2と同様に酸素ガス濃度(PO)、酸化窒素ガス濃度(PNOx)に応答する。従って上述のセンサFET100Sf-1、100Sf-2、参照FET100Rf-1、100Rf-2を用いる方法と同様の方法で、雰囲気中の酸素濃度(PO)と酸化窒素濃度(PNOx)を算出できる。
 <センサFETの変形例>
 図16~18では、第2センサFETが酸素ガス濃度(PO)を選択的に測定できたが、第1センサFETは酸素ガス濃度(PO)と酸化窒素ガス濃度(PNOx)の両方に影響を受けていた。このため、酸化窒素濃度の算出には予め複雑なデータを取得しておく必要があり、また測定時にも複雑な演算が必要であった。
 本変形例では、第1センサFETに実施例1の図3(a)、図4(a)に示されるセンサFETを用いる。また第1参照FETに実施例1の図3(b)、図4(b)に示されるセンサFETを用いる。実施例1で説明した通り、このようにすることで、第1センサFETと第1参照FETから酸化窒素濃度(PNOx)が算出できるようになる。その結果、第1センサFETと第1参照FETから酸化窒素濃度(PNOx)を算出し、第2センサFETと第2参照FETから酸素濃度(PO)を算出できるようになる。
 酸素濃度と酸化窒素濃度を算出するために、予め複雑なデータを取得する必要がなくなり、また測定時の演算が簡易になる。
 <ガスセンサの構成>
 図20~図25を用いて、本実施例3によるガスセンサの構成について説明する。
 図20は、本実施例3によるガスセンサの構成の一例を示す概略図である。図21は、本実施例3によるガスセンサのセンサ部の構成の一例を示す平面図である。図22(a)は、図21のセンサFETのA-A´線に沿った断面図、図22(b)は、参照FETのA-A´線に沿った断面図である。図23(a)は、図21のセンサFETのB-B´線に沿った断面図、図23(b)は、参照FETのC-C´線に沿った断面図である。図24は、本実施例3によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図であり、図24(a)は、センサFETの接続構造の一例を示す回路図、図24(b)は、参照FETの接続構造の一例を示す回路図、図24(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。図25は、本実施例1によるガスセンサの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図であり、図25(a)は、センサFETの電流-ゲート電圧特性を示すグラフ図、図25(b)は、参照FETの電流-ゲート電圧特性を示すグラフ図である。
 図20に示すように、ガスセンサ1は、センサ部100、電流測定部20、ガス濃度測定部30、電源部40、制御部50およびデータ入出力部90などを備えている。センサ部100は、センサ素子100S、参照素子100Rおよびヒータ190などを備えており、センサ素子100Sは、センサFET100Sfおよびイオンポンプ150Sからなり、参照素子100Rは、参照FET100Rfからなる。
 センサFET100Sfは、図21、図22(a)および図23(a)に示すように、半導体基板101S、ウェル102S、ソース拡散層103S、ドレイン拡散層104S、ゲート絶縁膜105S、ゲート層106S、絶縁膜108Sおよびガス拡散防止膜となる絶縁膜111S~114Sなどを備えている。半導体基板101Sは、例えば珪素(Si)または炭化珪素(SiC)などからなる。
 ウェル102Sは、図21、図22(a)および図23(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されている。ウェル102Sは、センサFET100Sfの特性を規定する所定の不純物が注入されて形成された層である。ウェル102Sは、例えば導電型がN型またはP型の層である。ウェル102Sは、平面視において、例えばソース拡散層103S、ドレイン拡散層104S、ゲート絶縁膜105Sおよびゲート層106Sを取り囲むように形成されている。
 絶縁膜108Sは、図23(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されており、トレンチアイソレーションとして機能する。絶縁膜108Sは、センサFET100Sfのチャネル幅方向(Y方向)にチャネル領域を確定している。また、絶縁膜108Sが形成された領域の半導体基板101Sの主面ではゲート層106に印加する電圧によらず電流が流れず、いわゆる寄生トランジスタによるリーク電流などによるFET特性の不具合が絶縁膜108Sによって抑制される。チャネル幅方向(Y方向)にチャネル領域を確定する方法は、他にもLOCOS(Local Oxidation of Silicon)を用いる方法、フィールドプレートアイソレーションを用いる方法またはゲート絶縁膜を厚くする方法などがあり、本実施例1において、これらを用いることも可能である。
 ソース拡散層103Sは、図21および図22(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されており、平面視において、例えばウェル102Sの一部領域に形成されている。ソース拡散層103Sは、センサFET100Sfの特性を規定する所定の不純物が注入されて形成された層である。ソース拡散層103Sは、例えば導電型がN型またはP型の層であり、ウェル102Sと異なる導電型である。
 ドレイン拡散層104Sは、図21および図22(a)に示すように、半導体基板101Sの主面側に形成されており、平面視において、例えばウェル102Sの一部領域に形成されている。ドレイン拡散層104Sは、センサFET100Sfの特性を規定する所定の不純物が注入されて形成された層である。ドレイン拡散層104Sは、例えば導電型がN型またはP型の層であり、ウェル102Sと異なる導電型である。
 ゲート絶縁膜105Sは、図22(a)および図23(a)に示すように、半導体基板101Sの主面上に形成されている。ゲート絶縁膜105Sは、平面視において、ウェル102S、ソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sを覆うように形成されている。すなわち、ゲート絶縁膜105Sは、ウェル102S、ソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sと、ゲート層106Sとを電気的に絶縁させている。ゲート絶縁膜105Sは、例えば二酸化珪素(SiO)などからなる。
 ゲート層106Sは、図22(a)および図23(a)に示すように、ゲート絶縁膜105Sの上面上に形成されている。詳しくは、ゲート層106Sは、例えばソース拡散層103Sの一部領域、ウェル102Sの一部領域およびドレイン拡散層104Sの一部領域を覆うように形成されている。具体的には、ゲート層106Sは、ソース拡散層103Sのドレイン拡散層104S側の一部領域、ウェル102Sのソース拡散層103Sとドレイン拡散層104Sとの間の領域、ドレイン拡散層104Sのソース拡散層103S側の一部領域を覆うように形成されている。
 また、ゲート層106Sは、実施例1の図5、6、11~14に示した構造や、実施例2の図16、17で示した構造を用いることができる。
 ここでは例えば図16の構造を使った場合を考える。第1金属酸化物層106Saは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなり、第2金属酸化物層106Sbは、例えば酸化ニッケル(NiO)などからなり、電極層106Scは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。電極層106Scでは、酸素、酸化窒素または水素などのガスの分解またはイオン化が行われる。第2金属酸化物層106Sbにおいても、検知対象ガスと金属酸化物材料との組合せによってはガスの分解またはイオン化が行われる。イオン化した酸素または水素は、第1金属酸化物層106Saへ移動する。
 ガス拡散防止膜となる絶縁膜111S~114Sは、図22(a)および図23(a)に示すように、ゲート絶縁膜105Sおよびゲート層106Sの上層に形成されている。絶縁膜111Sおよび絶縁膜113Sは、例えば二酸化珪素(SiO)からなり、絶縁膜112Sおよび絶縁膜114Sは、例えば窒化珪素(SiN)からなる。
 ゲート層106Sは一部表面が絶縁膜111Sに覆われており、残りの部分では絶縁膜111Sが除去されてゲート層106Sの表面が露出して、空洞130Sと接している。空洞130Sの周囲は、ゲート層106S、絶縁膜111S~114Sおよびイオンポンプ150Sで覆われており、ガス拡散抵抗膜131Sを備える開口であるガス導入部132Sを介して空洞130Sは雰囲気と繋がっている。
 イオンポンプ150Sは、図22(a)および図23(a)に示すように、イオンポンプ電極151S、イオン伝導膜152Sおよびイオンポンプ電極153Sを備えている。すなわち、イオンポンプ電極151S上に、イオン伝導膜152Sおよびイオンポンプ電極153Sが積層されており、イオンポンプ電極151S、イオン伝導膜152Sおよびイオンポンプ電極153Sによってイオンポンプ150Sが形成されている。イオンポンプ電極151S,153Sは、例えば白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)などからなる。イオン伝導膜152Sは、例えばイットリア(Y)などを添加したジルコニア(ZrO)などからなる。
 イオンポンプ150Sは、イオンポンプ電極151Sとイオンポンプ電極153Sとの間に電圧を印加することによりイオン電流を流すことができる。例えばイオン伝導膜152Sにイットリア(Y)を添加したジルコニア(ZrO)を用いた場合、イオン伝導膜152Sは酸素イオン伝導体となる。イオンポンプ電極151Sに、イオンポンプ電極153Sを基準にした負電圧を印加すると、イオンポンプ電極151Sの下面で酸素分子(O)が酸素イオン(O2-)に分解し、酸素イオン(O2-)がイオン伝導膜152Sを介してイオンポンプ電極153S側に移動する。イオンポンプ電極153Sに移動した酸素イオン(O2-)は電子をイオンポンプ電極153Sに渡して中性となり、酸素分子となってイオンポンプ電極153Sの上面から放出される。
 センサFET100Sfを構成するウェル102S、ソース拡散層103S、ドレイン拡散層104Sおよびゲート層106Sは、例えばチタン(Ti)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)または白金(Pt)などの金属からなる図示しない配線層を介して、図1に示す電源部40、電流測定部20などと接続されている。
 図24(a)に示すように、センサFET100Sfを構成するウェル102Sおよびソース拡散層103Sは、可変電圧VSを印加する電源41に接続されている。ドレイン拡散層104Sは、一定の電圧VDを印加する電源41と接続されており、また、電流測定部20と接続されている。ゲート層106Sは、可変電圧VGSを印加する電源41と接続されている。イオンポンプ電極151Sは、電流測定部20と接続されている。また、イオンポンプ電極153Sは、イオンポンプ150Sを動作させる電圧VPUMPを印加する電源41と接続されている。
 図25(a)は、センサFET100Sfの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。ゲート層106S(例えば図21、図22(a)および図23(a)参照)にガス(例えば酸化窒素ガス)が触れると、ゲート層106Sの仕事関数が変化する。そうすると、図25(a)に示すように、ガス濃度に応じて、センサFET100Sfの電流-ゲート電圧特性は、図示で右方向に平行移動する。すなわち、ドレイン拡散層104S(例えば図21および図22(a)参照)に閾値電流Icが流れる場合におけるゲート層106Sの電圧は、ガス濃度が高くなるに従って高くなる。
 参照FET100Rfは、図21、図22(b)および図23(b)に示すように、半導体基板101R、ウェル102R、ソース拡散層103R、ドレイン拡散層104R、ゲート絶縁膜105R、ゲート層106Rおよび絶縁膜108Rおよび絶縁膜111Rなどを備えている。
 参照FET100Rfを構成する要素の多くは、前述したセンサFET100Sfと同様である。例えば参照FET100Rfの半導体基板101R、ウェル102R、ソース拡散層103R、ドレイン拡散層104R、ゲート絶縁膜105R、ゲート層106R、絶縁膜108Rおよび絶縁膜111Rは、センサFET100Sfの半導体基板101S、ウェル102S、ソース拡散層103S、ドレイン拡散層104S、ゲート絶縁膜105S、ゲート層106S、絶縁膜108Sおよび絶縁膜111Sのそれぞれと同様の構成である。このため、これらについての詳細な説明は省略する。
 参照FET100Rfには、図21、図22(b)および図23(b)に示すように、絶縁膜114R上にイオンポンプ電極、イオン伝導膜が積層されていない。しかし、センサFET100Sfにおいて絶縁膜114S上に積層されているイオンポンプ電極151S、イオン伝導膜152Sおよびイオンポンプ電極153Sと同じ層を、絶縁膜114R上に積層させることも可能である。
 ガス拡散防止膜となる絶縁膜111Rは、図22(b)および図23(b)に示すように、ゲート層106Rの上面および側面を覆うように、ゲート絶縁膜105Rの上面105Ra上に形成されている。すなわち、ゲート層106Rは、雰囲気から隔離されている。
 参照FET100Rfを構成するウェル102R、ソース拡散層103R、ドレイン拡散層104Rおよびゲート層106Rは、例えばチタン(Ti)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)または白金(Pt)などの金属からなる図示しない配線層を介して、図20に示す電源部40、電流測定部20などと接続されている。
 図24(b)に示すように、参照FET100Rfを構成するウェル102Rおよびソース拡散層103Rは、可変電圧VSを印加する電源41に接続されている。ドレイン拡散層104Rは、一定の電圧VDを印加する電源41と接続されており、また、電流測定部20と接続されている。ゲート層106Rは、可変電圧VGRを印加する電源41と接続されている。
 図25(b)は、参照FRT100Rfの電流-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。ゲート層106R(例えば図21、図22(b)および図23(b)参照)が、ガス拡散防止膜となる絶縁膜111R(例えば図22(b)および図23(b)参照)に覆われているため、ゲート層106Rにガスが吸着しないので、ゲート層106Rの仕事関数は変化しない。従って、参照FET100Rfの電流-ゲート電圧特性は、ガス濃度によって変動しない。
 なお、以下では、センサFET100Sfおよび参照FET100RfはN型FETで構成されているものとして説明する。但し、両者はP型で構成されてもよいし、一方のFETがN型、他方のFETがP型で構成されてもよい。
 ヒータ190は、図20に示すように、電源部40と接続しており、両端間に電圧が印加されることによりジュール熱を発生させ、発生させたジュール熱によりセンサ部100の温度を調整する。ヒータ190は、例えばチタン(Ti)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)または白金(Pt)などの金属からなる配線で構成されている。
 また、ヒータ190は、図25(c)に示すように、一方の端部が接地され、他方の端部が電圧VHLを印加する電源41と接続されている。また、ヒータ部190は、センサ部100(例えば図1参照)の温度を測定するセンサ温度計としても機能し、このとき、ヒータ190は、例えば電流測定部20と接続される。
 センサFET100Sfおよび参照FET100Rfは、それぞれ異なる半導体基板に形成されてもよいし、同一の半導体基板に形成されてもよい。また、ヒータ190は、センサFET100Sfまたは参照FET100Rfと一体で構成されてもよいし、これらとは別体で構成されてもよい。
 電流測定部20は、図20に示すように、センサFET100Sfの電流および参照FET100Rfの電流を測定する。電流測定部20は、例えばセンサFET100Sfのソース拡散層103Sとドレイン拡散層104S(例えば図21、図22(a)参照)との間に流れる第1ソース-ドレイン電流を測定する。また、電流測定部20は、例えばセンサFET100Sfのイオンポンプ電極151Sとイオンポンプ電極153S(例えば図22(a)および図23(a)参照)との間に流れるイオン電流を測定する。また、電流測定部20は、例えば参照FET100Rfのソース拡散層103Rとドレイン拡散層104R(例えば図21および図22(b)参照)との間に流れる第2ソース-ドレイン電流を測定する。電流測定部20は、測定したセンサFET100Sfの電流データおよび参照FET100Rの電流データを制御部50へ出力する。
 また、電流測定部20は、ヒータ190の電流を測定する。電流測定部20は、測定したヒータ190の電流データを制御部50へ出力する。
 ガス濃度測定部30は、雰囲気中の検知対象ガスのガス濃度を測定する。例えば雰囲気中に検知対象ガスと妨害ガスが存在しない場合に、参照FETに流れる第2ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106R(例えば図24(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR(0)とする。また、センサFETに流れる第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106S(例えば図24(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS(0)とする。そして、閾値電圧VGR(0)と閾値電圧VGS(0)との差分をセンサ間電位差VGRS(0)(=VGR(0)-VGS(0))とする。
 また、雰囲気中に検知対象ガスが存在する場合に、所定の時刻において、参照FETに流れる第2ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106R(例えば図24(b)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGR(X)(=VGR(0))とする。また、センサFETに流れる第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icであるときにゲート層106S(例えば図24(a)参照)に印加される電圧を閾値電圧VGS(X)とする。そして、閾値電圧VGR(X)と閾値電圧VGS(X)との差分をセンサ間電位差VGRS(X)(=VGR(X)-VGS(X))とする。
 そして、センサ間電位差VGRS(0)(=VGR(0)-VGS(0))と、センサ間電位差VGRS(X)(=VGR(X)-VGS(X))との差分である閾値変化量ΔVg(X)(=VGRS(X)-VGRS(0))に基づいて所定の時刻における検知対象ガスのガス濃度を測定する。
 電源部40は、図20に示すように、ガスセンサ1を構成する各部へ電源を供給する。電源部40は、複数の電源41を備えている。電源部40は、一定の電圧を印加する電源41、可変電圧を印加する電源41および周期的に変動する電圧を印加する電源41などで構成されている。電源41の個数は、図20に示す個数(4個)に限定されるものではない。
 制御部50は、図20に示すように、ガスセンサ1を構成する各部の制御を行う。
  例えば制御部50は、各部のオンオフの切り替えに係る制御を行う。
 また、制御部50は、電流測定部20から出力された電流データに基づいて、センサFFT100Sfのゲート層106Sと接続された電源41を制御する(例えば図24(a)参照)。制御部50は、ガス濃度の測定時にセンサFET100Sfのドレイン拡散層104Sの電流が所定の閾値電流Icとなるように、電源41の電圧を調整する(例えば図24(a)および図25(a)参照)。制御部50は、電流測定部20から出力されたイオンポンプ150Sの電流に基づいて、電源41によるイオンポンプ150Sへの給電電圧VPUMPを制御する(例えば図24(a)参照)。
 また、制御部50は、電流測定部20から出力された電流データに基づいて、参照FET100Rfのゲート層106Rと接続された電源41を制御する(例えば図24(b)参照)。制御部50は、ガス濃度の測定時に参照FET100Rfのドレイン拡散層104Rの電流が所定の閾値電流Icとなるように、電源41の電圧を調整する(例えば図24(b)および図25(b)参照)。
 また、制御部50は、電流測定部20から出力されたヒータ190の電流データに基づいてセンサFET100Sfの温度および参照FET100Rfの温度を測定する。制御部50は、ヒータ190の両端間の電圧とヒータ190の電流データとからヒータ190の抵抗値を算出する。そして、制御部50は、例えばその抵抗値と温度とを関連付けた温度データを参照することにより温度を測定する。制御部50は、ヒータ190と接続された電源41を制御する。具体的には、制御部50は、ガス濃度の測定時にセンサFET100Sfの温度および参照FET100Rの温度が一定となるように、電源41の電圧を調整する。
 データ入出力部90は、図20に示すように、ガスセンサ1と接続される外部装置との間でデータの入出力を行う。ガスセンサ1は、データ入出力部90を介して、外部装置から出力された各種データの入力を受け付ける。また、ガスセンサ1は、データ入出力部90を介して、測定したガス濃度および温度などに関するデータを外部装置へ出力する。
 データ入出力部90は、有線で外部装置と接続されてもよいし、赤外線通信または近距離無線などで外部装置と接続されてもよい。また、データ入出力部90は、ネットワークを介して外部装置と接続されてもよい。
 <ガス濃度の測定方法>
 次に、本実施例3によるガスセンサを用いたガス濃度の測定方法について図20、図21および図24(a)、(b)を用いて説明する。以下では、検知対象ガスとして酸化窒素ガスを例示し、妨害ガスとして酸素ガスを例示して、酸化窒素ガスのガス濃度を測定する場合について説明する。
 まず、制御部50は、センサ部100の温度を調整する。例えば制御部50は、ヒータ190と接続された電源41をオンすることにより、ヒータ190の両端間に電圧を印加する。
 次に、制御部50は、センサFET100Sfおよび参照FET100Rfのそれぞれの各部と接続された電源41をオンする。そして、電源41は、センサFET100Sfおよび参照FET100Rfのそれぞれの各部に所定の電圧を印加する。
 例えばセンサFET100Sfのウェル102Sおよびソース拡散層103Sと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Sと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106Sと接続された電源41は、第1ソース-ドレイン電流が閾値電流Icとなるよう、所定の閾値電圧VGS(0)を印加する。イオンポンプ150Sの下部側のイオンポンプ電極151Sが上部側のイオンポンプ電極153Sを基準にして負電圧となるように、イオンポンプ150Sに電圧VPUMPを印加する。
 また、参照FET100Rfのウェル102Rおよびソース拡散層103Rと接続された電源41は、電圧VS(0V)の電圧を印加する。また、ドレイン拡散層104Rと接続された電源41は、電圧VDを印加する。また、ゲート層106Rと接続された電源41は、第2ソース-ドレイン電流が閾値電流Icとなるよう、所定の閾値電圧VGR(0)を印加する。
 なお、ガス濃度0の場合におけるセンサFET100Sfの閾値電圧VGS(0)および参照FET100Rfの閾値電圧VGR(0)は、予め測定されていてもよい。また、制御部50は、例えば予め測定された閾値電圧VGS(0),VGR(0)のデータを、図示しないデータ格納部から必要に応じて読み出すようにしてもよい。制御部50は、閾値電圧VGS(0),VGR(0)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 次に、制御部50は、酸化窒素ガスが雰囲気中に含まれている場合におけるセンサFET100Sfの閾値電圧VGS(X)および参照FET100Rfの閾値電圧VGR(X)を測定する。制御部50は、例えば電流測定部20から出力される電流データを参照しながら、ゲート層106S,106Rと接続された電源41の電圧を調整することにより、閾値電圧VGS(X),VGR(X)を測定する。なお、参照FET100Rfのゲート層106Rは、絶縁膜111R(例えば図22(b)および図23(b)参照)により雰囲気から隔離されているので、参照FET100Rfの閾値電圧VGR(X)は、ガス濃度0のときの閾値電圧VGR(0)と同じである。
 制御部50は、測定した閾値電圧VGS(X),VGR(X)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 雰囲気中に酸素ガスが妨害ガスとして含まれている場合でもイオンポンプ150Sにより空洞130S(例えば図22(a)および図23(a)参照)中の酸素ガスのガス濃度は閾値電圧VGS(X)に影響しないように充分に低減することができる。雰囲気中のガスはガス拡散抵抗膜131S(例えば図23(a)参照)を介して空洞130Sに導入され、イオンポンプ150Sで酸素ガスが除去され、空洞130Sに露出されたゲート層106Sを持つセンサFET100Sfに接触する。
 雰囲気中のガスに酸化窒素ガスが含まれている場合には、その濃度に応じて閾値電圧VGS(X)が変化する。例えばエンジン自動車の排気ガスの場合、酸化窒素ガスには一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の両方が含まれていることが多い。イオンポンプ150Sに上記電圧を印加する場合、二酸化窒素(NO)は一酸化窒素(NO)に変換される。ゲート層106Sを持つセンサFET100Sfでは、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の混合ガスのうち、酸素が除去されて二酸化窒素(NO)が一酸化窒素(NO)に変換されたガスにおいて一酸化窒素(NO)ガスのガス濃度が測定される。
 次に、ガス濃度測定部30は、制御部50から出力された閾値電圧VGS(0),VGR(0),VGS(X),VGR(X)に基づいて、センサFET100Sfの閾値変化量を算出する。例えばガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合のセンサFET100Sfと参照FET100Rfとの間のゲート電位差VGRS(0)、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合のセンサFET100Sfと参照FET100Rfとの間のゲート電位差VGRS(X)との差分により、センサFET100Sfの閾値変化量を算出する。すなわち、センサFET100Sfの閾値変化量ΔVg(X)は、次のように表される。
  ΔVg(X)=VGRS(0)-VGRS(X)     (式5)
 (式5)で示す閾値変化量は、参照FET100Rfの閾値電圧VGR(0),VGR(X)が考慮されている。これは、温度変化などのセンサ部100に発生するノイズの影響を抑えるためである。
 なお、ノイズによる閾値電圧VGS(0),VGS(X)の変動が小さければ、ガス濃度測定部30は、センサFET100Sfのみを用いてガス濃度を測定してもよい。この場合、ガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(0)と、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(X)との差分である閾値変化量Vg(X)、および閾値変化量Vg(X)の時間微分に基づいて、所定の時刻における酸化窒素ガスのガス濃度を測定する。ここで、閾値電圧VGS(0)は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合に、第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icとなるときにゲート層106Sに印加される電圧である。また、閾値電圧VGS(X)は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合に、所定の時刻において第1ソース-ドレイン電流が所定の閾値電流Icとなるときにゲート層106Sに印加される電圧である。
 従って、この場合の閾値変化量ΔVg(X)は、次のように表される。
    ΔVg(X)=VGS(0)-VGS(X)     (式2)
 <仕事関数型素子の第1変形例>
 図26および図27を用いて、本実施例1の第1変形例による仕事関数型センサについて説明する。図26は、本実施例3の第1変形例によるセンサ部の接続構造の一例を示す回路図であり、図26(a)は、センサキャパシタの接続構造の一例を示す回路図、図26(b)は、参照キャパシタの接続構造の一例を示す回路図、図26(c)は、ヒータの接続構造の一例を示す回路図である。図27は、本実施例3の第1変形例によるガスセンサの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図であり、図27(a)は、センサキャパシタの静電容量-ゲート電圧特性を示すグラフ図、図27(b)は、参照キャパシタの静電容量-ゲート電圧特性を示すグラフ図である。
 第1変形例によるガスセンサは、センサ素子100Sにセンサキャパシタ100Sc、参照素子100Rに参照キャパシタ100Rcを用いている。センサキャパシタ100Scおよび参照キャパシタ100Rcには、図22~図23に示したデバイス構造およびゲート層構造とほぼ同じものを用いることができる。
 センサキャパシタ100Scでは、ゲート層106Sとウェル102Sとの間の容量、あるいはゲート層106Sとソース拡散層103Sまたはドレイン拡散層104Sとの間の容量のゲート電圧依存性が検知対象ガスのガス濃度に応じて変化する現象を利用して、ガス濃度を検知することができる。
 参照キャパシタ100Rcでは、ゲート層106Rが絶縁膜111R(例えば図22(b)および図23(b)参照)により覆われているため、雰囲気中の検知対象ガスのガス濃度が変化しても容量のゲート電圧依存性は変化しない。
 ゲート層106Sとウェル102Sとの間の容量を用いる場合には、ソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104S(例えば図21、図22(a)および図23(a)参照)は、センサキャパシタ100Scのデバイス構造から省くことができる。参照キャパシタ100Rcも対応して、ゲート層106Rとウェル102Rとの間の容量を用いる場合には、ソース拡散層103Rおよびドレイン拡散層104R(例えば図21、図22(b)および図23(b)参照)は、参照キャパシタ100Rcのデバイス構造から省くことができる。ソース拡散層103S,103Rおよびドレイン拡散層104S,104Rをデバイス構造から省くことができるので、センサ素子100Sおよび参照素子100Rの製造工程数を減らすことができる。
 以下では、図21、図22(a)および図23(a)に示したセンサFET100Sfからソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sを除いたセンサキャパシタ100Sc、および図21、図22(b)および図23(b)に示した参照FET100Rfからソース拡散層103Rおよびドレイン拡散層104Rを省いた参照キャパシタ100Rfについて説明する。センサキャパシタ100Scのデバイス構造は、図21、図22(a)および図23(a)に示したセンサFET100Sfのデバイス構造からソース拡散層103Sおよびドレイン拡散層104Sを省いただけなので詳しい説明は省く。同様に、参照キャパシタ100Rcのデバイス構造は、図21、図22(b)および図23(b)に示した参照FET100Rfのデバイス構造からソース拡散層103Rおよびドレイン拡散層104Rを省いただけなので詳しい説明は省く。
 なお、以下では、ウェル102S,102Rは、導電型がN型で構成されているものとして説明する。但し、ウェル102S,102Rは、導電型がP型で構成されてもよく、または、一方のウェルがN型、他方のウェルがP型で構成されてもよい。
 図26(a)、(b)に示すように、センサキャパシタ100Scのウェル102Sおよび参照キャパシタ100Rcのウェル102Rは、例えば正弦波などのように電圧が周期的に変化する交流電圧を印加する電源41とそれぞれ接続されている。
 センサキャパシタ100Scのゲート層106Sは、可変電圧VGSを印加する電源41と接続されており、参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rは、可変電圧VGRを印加する電源41と接続されている。また、センサキャパシタ100Scのゲート層106Sおよび参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rは、電流測定部20とそれぞれ接続されている。
 図26(a)に示すように、イオンポンプ電極151Sは、電流測定部20と接続されている。また、イオンポンプ電極153Sは、イオンポンプ150Sを動作させる電圧VPUMPを印加する電源41と接続されている。
 センサキャパシタ100Scの静電容量は、ゲート層106Sに印加される電圧、ウェル102Sに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Sに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて測定される。また、参照キャパシタ100Rcの静電容量は、ゲート層106Rに印加される電圧、ウェル102Rに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Rに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて測定される。これらの静電容量は、例えばガス濃度測定部30(例えば図20参照)などで測定される。
 電流測定部20は、例えばセンサキャパシタ100Scのゲート層106Sに流れる電流を測定する。また、電流測定部20は、例えば参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rに流れる電流を測定する。
 例えばゲート層106Sに印加される電圧、ウェル102Sに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Sに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて、センサキャパシタ100Scの静電容量は、図1に示したガス濃度測定部30によって測定される。
 また、例えばゲート層106Rに印加される電圧、ウェル102Rに印加される電圧(例えば交流電圧)およびゲート層106Rに流れる電流(例えば交流電流)に基づいて、参照キャパシタ100Rcの静電容量は、図20に示したガス濃度測定部30によって測定される。
 図27(a)は、センサキャパシタ100Scの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。図27(b)は、参照キャパシタ100Rcの静電容量-ゲート電圧特性の一例を示すグラフ図である。
 センサキャパシタ100Scでは、ゲート層106S(例えば図22(a)および図23(a)参照)の表面が露出している。このため、図27(a)に示すように、ガス濃度(例えば酸化窒素ガスのガス濃度)が高くなると、センサキャパシタ100Scの静電容量-ゲート電圧特性は、図示で右方向に平行移動する。すなわち、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるときのゲート層106Sの電圧は、ガス濃度0のときの閾値電圧VGS(0)からガス濃度Xのときの閾値電圧VGS(X)へと変化し、ガス濃度が高くなるに従って高くなる。
 <第1変形例におけるガス濃度の測定方法>
 次に、本実施例3の第1変形例によるガスセンサを用いたガス濃度の測定方法について図0、図21および図26(a)、(b)を用いて説明する。以下では、検知対象ガスとして酸化窒素ガスを例示し、妨害ガスとして酸素ガスを例示して、酸化窒素ガスのガス濃度を測定する場合について説明する。
 まず、制御部50は、センサ部100の温度を調整する。次に、制御部50は、センサキャパシタ100Scおよび参照キャパシタ100Rcのそれぞれの各部に所定の電圧を印加する。
 例えば電源41は、ウェル102Sに所定の交流電圧を印加し、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるように、ゲート層106Sに所定の閾値電圧VGS(0)を印加する。また、電源41は、ウェル102Rに所定の交流電圧を印加し、参照キャパシタ100Rcの静電容量が閾値静電容量C0となるように、ゲート層106Rに所定の閾値電圧VGR(0)を印加する。
 なお、ガス濃度0の場合におけるセンサキャパシタ100Scの閾値電圧VGS(0)および参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(0)は、予め測定されていてもよい。また、制御部50は、例えば予め測定された閾値電圧VGS(0),VGR(0)のデータを、図示しないデータ格納部から必要に応じて読み出すようにしてもよい。制御部50は、閾値電圧VGS(0),VGR(0)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 次に、制御部50は、酸化窒素ガスが雰囲気中に含まれている場合におけるセンサキャパシタ100Scの閾値電圧VGS(X)および参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(X)を測定する。なお、参照キャパシタ100Rcのゲート層106Rは、絶縁膜111R(例えば図22(b)および図23(b)参照)により雰囲気から隔離されているので、参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(X)は、ガス濃度0のときの閾値電圧VGR(0)と同じである。
 制御部50は、測定した閾値電圧VGS(X),VGR(X)のデータを、例えばガス濃度測定部30へ出力する。
 雰囲気中に酸素ガスが妨害ガスとして含まれている場合でもイオンポンプ150Sにより空洞130S(例えば図22(a)および図23(a)参照)中の酸素ガスのガス濃度は閾値電圧VGS(X)に影響しないように充分に低減することができる。雰囲気中のガスはガス拡散抵抗膜131S(例えば図23(a)参照)を介して空洞130Sに導入され、イオンポンプ150Sで酸素ガスが除去され、空洞130Sに露出されたゲート層106Sを持つセンサキャパシタ100Scに接触する。
 雰囲気中のガスに酸化窒素ガスが含まれている場合には、そのガス濃度に応じて閾値電圧VGS(X)が変化する。例えばエンジン自動車の排気ガスの場合、酸化窒素ガスには一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の両方が含まれていることが多い。イオンポンプ150Sに上記電圧を印加する場合、二酸化窒素(NO)は一酸化窒素(NO)に変換される。ゲート層106Sを持つセンサキャパシタ100Scでは、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の混合ガスのうち、酸素が除去されて二酸化窒素(NO)が一酸化窒素(NO)に変換されたガスにおいて一酸化窒素(NO)ガスのガス濃度が測定される。
 次に、ガス濃度測定部30は、制御部50から出力された閾値電圧VGS(0),VGR(0),VGS(X),VGR(X)に基づいて、センサキャパシタ100Scの閾値変化量を算出する。例えばガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合のセンサキャパシタ100Scと参照キャパシタ100Rcとの間のゲート電位差VGRS(0)、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合のセンサキャパシタ100Scと参照キャパシタ100Rcとの間のゲート電位差VGRS(X)との差分により、センサキャパシタ100Scの閾値変化量を算出する。すなわち、センサキャパシタ100Scの閾値変化量ΔVg(X)は、前述の(式5)で表される。
 (式5)で示す閾値変化量は、参照キャパシタ100Rcの閾値電圧VGR(0),VGR(X)が考慮されている。これは、温度変化などのセンサ部100に発生するノイズの影響を抑えるためである。
 なお、ノイズによる閾値電圧VGS(0),VGS(X)の変動が小さければ、ガス濃度測定部30は、センサキャパシタ100Scのみを用いてガス濃度を測定してもよい。この場合、ガス濃度測定部30は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(0)と、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合にゲート層106Sに印加される閾値電圧VGS(X)との差分である閾値変化量Vg(X)に基づいて、酸化窒素ガスのガス濃度を測定する。ここで、閾値電圧VGS(0)は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在しない場合に、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるときにゲート層106Sに印加される電圧である。また、閾値電圧VGS(X)は、雰囲気中に酸化窒素ガスが存在する場合に、センサキャパシタ100Scの静電容量が閾値静電容量C0となるときにゲート層106Sに印加される電圧である。
 <ガスセンサの構成1>
 図28~30を用いて、本実施例3によるガスセンサの詳細な構成について説明する。図28は、本実施例3によるガスセンサのセンサ部(センサ素子)の構成の一例を示す平面図である。図29(a)(b)は、図28のA1-A1´線、A2-A2´線に沿った断面図である。図30(a)(b)は、図28のB1-B1´線、B2-B2´線に沿った断面図である。なお、図28では、イオンポンプ150Sを透過した平面図を示している。
 センサ素子100Sでは、センサFET100Sfの空洞130SのX方向とY方向の寸法が数100μm程度よりも大きくなる場合がある。この場合、応力で空洞130Sの上面側の膜と下面側の膜が歪んで、空洞130Sの上面と下面とが接触して空洞130Sが潰れるおそれがある。空洞130Sは、ガス導入部132Sからゲート層106Sの露出部107Sへのガスの通路なので、空洞130Sが潰れるとガス濃度の測定ができなくなる。
 そこで、図28に示すように、本実施例3によるセンサ素子100Sでは、空洞130Sの内部にガス導入部132SからセンサFET100Sfに至る方向に沿って、ストライプ状の複数の柱状部140Sを形成し、これら柱状部140Sによって空洞130Sの上面と下面との間を繋ぐことで空洞130Sを補強している。しかしこれだけでは温度上昇時のイオンポンプ電極層の熱膨張により、やはり空洞130Sの上面と下面とが接触して空洞130Sが潰れるおそれがある。そのため、更に柱状部140Sの上層に形成される絶縁膜114S層の開口部を図28のように格子状に形成し、網目状に絶縁膜114Sが残るようにし、絶縁膜114Sの開口部114SOが柱状部140Sのスペース部に配置されるようにする。これにより、イオンポンプ150SをX方向には柱状部140Sと絶縁膜114Sが支え、Y方向には絶縁膜114Sが支えるようにできる。柱状部140Sのスペース部の個々の寸法を充分に小さくし、絶縁膜114Sの開口部114SOの個々の寸法を充分に小さくすることで、空洞130Sが潰れるのを防止することができる。絶縁膜114Sの開口部114SOで空洞130Sの天井がイオンポンプと接してイオンポンプが機能することになる。個々の開口部114SOが小さくても、数を多くすることでイオンポンプの酸素除去能力を確保できる。
 <ガスセンサの構成2>
 図31を用いて、本実施例3によるガスセンサの別の構成について説明する。前述のガスセンサの構成1に構造を加える構成である。図28~30の構成ではイオンポンプの電極153Sは雰囲気に露出されていた。雰囲気の酸素濃度は不定なので、イオンポンプ電流から空洞130S内の酸素濃度を算出することはできない。特許文献2では、大気雰囲気を参照雰囲気として用いる方法が用いられている。しかしながら、センサの使用環境によっては必ずしも大気を参照雰囲気として用いることができるとは限らない。本構成2では、大気を参照雰囲気として用いない方法について述べる。図31のようにセンサFET上の空洞130と接続されたイオンポンプ150S-1の上部に、空洞134Sを形成する。空洞134Sは雰囲気から密閉されているか、ガス拡散抵抗の高い流路(図示はしていない)で雰囲気と繋がっている。空洞134Sは更にイオンポンプ150S-1とは別のイオンポンプ150S-2で空洞135Sと繋がり、空洞135Sはガス出入口を介して雰囲気と繋がっている。イオンポンプ150S-2の電極151S-2に電極153-2に対して正電位を印加すると空洞134Sから空洞135Sに酸素イオン電流が流れる。充分大きな電流を保つと空洞134Sの酸素濃度は極めて低濃度に保つことができる。このようにして形成された低酸素濃度の空洞134をイオンポンプ151Sの参照雰囲気とすると、大気を参照雰囲気とする必要がなくイオンポンプ電流から空洞130S内の酸素濃度を算出することができる。ガスセンサ1を使って酸化窒素濃度(PNOx)に加えて酸素濃度(PO)も検出できるようになる。
 <ガスセンサの構成3>
 図32を用いて、本実施例3によるガスセンサの別の構成について説明する。前述のガスセンサの構成1に構造にも変更を加える構成である。図28~30の構成ではイオンポンプの電極151は空洞130Sと接する面積を小さくする必要があった。しかしながら、空洞130Sに多孔質の金属酸化物137S-1、137S-2、137S-3などを充填するとこれらがイオンポンプ電極151Sを支えるので空洞130Sの上面と下面とが接触して空洞130Sが潰れるおそれがなくなる。137S-1、137S-2、137S-3にはゼオライトなどを用いることもできる。
 <センサゲートの構造とその他のバリエーション>
 前述の通り、ゲート層106Sは、実施例1の図5、6、11~14に示した構造や、実施例2の図16、17で示した構造を用いることができる。図5,6、11~14の構造を用いると触媒を担持した多孔質な金属酸化物199Sを用いなくても未燃焼の成分を燃焼させて酸化窒素と酸素以外の成分はゲート材料に反応しないようにでき、イオンポンプの電圧条件によって二酸化窒素を一酸化窒素に変換して濃度を測できる。図16のゲート構造については、前述したとおりである。図17の構造をゲートに用いるとNOxに応答しないのでNOx濃度の測定はできないが、酸素に応答する特徴を活かしてイオンポンプによって酸素濃度がどこなで低下しているかを確認するために使うことができる。
 <本実施例3による効果>
 本実施例3によれば、雰囲気ガス中に含まれる検知対象ガス以外の妨害ガスを除去するイオンポンプ機能を半導体チップ上で実現することができる。その結果、低コスト化、小型化および低消費電力化と、妨害ガス除去による高精度なガスセンシングとを両立させることができる。また、イオン伝導膜の薄膜形成ができるので、イオンポンプによる妨害ガスの除去を高効率に実現することができる。イオン伝導膜中の拡散による妨害ガスのゲート層の露出部への浸入は、ガス拡散防止膜を配置することで抑制される。
 図33~35を用いて、本実施例4によるガスセンサの構成について説明する。実施例4では、センサを使用する高温の環境でも剥離の問題を解決する積層膜の構造を示す。図33(a)(b)は、本実施例4によるガスセンサのセンサ部(センサ素子)の構成の一例を示す断面図である。実施例1のゲート構造の例では下層の白金と上層のYSZを積層する構造があった。貴金属と金属酸化物の界面は高温環境で剥れる可能性があるが、図33(a)(b)のように白金層(貴金属電極層106Sc,106Sf)とYSZ層(第1金属酸化物層106Sa)の界面に両材料の混在層MX(YSZ、Pt)を形成することで、高温環境でも剥れにくい積層膜を形成できる。
 図34に示すように、白金層(貴金属電極層106Sc,106Sf)とNiO層(第2金属酸化物層106Sb)の場合も同様に、図34(a)~(d)のように白金層とNiO層の界面に両材料の混在層MX(NiO、Pt)を形成することで、高温環境でも剥れにくい積層膜を形成できる。
 図35に示すように、実施例3で説明したイオンポンプの白金とYSZの界面も混在層MX(YSZ、Pt)を形成することで、高温環境でも剥れにくい積層膜を形成できる。
 図36を用いて、本実施例5によるガスセンサの構成について説明する。図36(a)は、本実施例5によるガスセンサのセンサ部の構成の一例を示す断面図である。センサ素子、参照素子では半導体基板(SiC基板)へのコンタクト部、外部からの給電部がある。111S,112S,113S,114S,179Sは絶縁膜である。図36(b)はPtからなる白金電極層ELECとソース拡散層103Sとの境界部の部分拡大断面図である。
 排気ガスセンサのような高温腐食環境での使用に耐えるためには、SiCコンタクトが高温で劣化しないように高融点金属でコンタクトを形成する必要がある。図36(b)に示すようにTiN、W、TiNとWの積層などが高温に耐えるSiCコンタクト形成に好適である。また外部からの給電部に用いる金属は例えば白金などの貴金属が好適である。白金は高温酸素雰囲気などの過酷環境でも腐食しないが、外部からの給電を行うために露出させた開口部の白金表面から酸素などが拡散し、半導体基板(SiC)へのコンタクト部などを酸化させて導通不良を生じさせることがある。これを防ぐために、図36(a)に示すように外部から給電される白金電極層の厚さ(DELEC)と比較して半導体基板(SiC)へのコンタクト部までの距離LELECが大きくなる、すなわち
DELEC < LELEC  (式6)
 となるように白金電極層ELECを形成するのが好適である。
 以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、ある実施例の構成の一部、例えばゲート層を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
 トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができる。
 本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
 本発明は少なくとも以下の実施の形態を含む。
 〔付記1〕
 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備し、第1の貴金属層と第2の貴金属層は前記第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、前記第2の金属酸化物層は前記第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、前記第1の貴金属層の上表面と前記第2の貴金属層の表面が直接または前記第2金属酸化物層を介して雰囲気に露出し、前記雰囲気は外界の雰囲気と第1の流路を経由して直接またはガス拡散抵抗層を介して接続され、前記第1の流路の壁面の少なくとも一部が、第3の貴金属層からなる下部イオンポンプ電極層と接し、前記下部イオンポンプ電極層上にはイオンポンプイオン伝導層と、上部イオンポンプ電極層が形成され、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層にはそれぞれ異なる電位を給電可能な外部電極に接続されていることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(実施例3を参照)。
 〔付記2〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層共に白金であり、前記イオンポンプイオン伝導層がジルコニアを含む金属酸化物層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記3〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記第1の貴金属層と前記第2の貴金属層が共に白金であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記4〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記第1の金属酸化物層がジルコニアを含み、前記第2の金属酸化物層が酸化ニッケルを含むことを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記5〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記第1のゲート絶縁膜と前記第1のゲート層の間に接着層となる金属酸化物層を有することを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記6〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記7〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記8〕
 付記7記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であり、前記第1の貴金属層は直接に前記雰囲気に露出していることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記9〕
 付記7記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であり、前記第1の貴金属層は前記第2の金属酸化物層を介して前記雰囲気に露出していることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記10〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第2層目が前記第1の貴金属層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記11〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第3層目が第2の貴金属層、下層から第4層目が前記第2の金属酸化物層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記12〕
 付記1記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第3層目が第2の貴金属層、下層から第4層目が前記第2の金属酸化物層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記13〕
 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第1の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を有し、第1の貴金属層の上表面が雰囲気に露出している第1の仕事関数型ガスセンサと、前記半導体基板の主面上に形成された第2のゲート絶縁膜上に形成された、第3の金属酸化物層と外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第2のゲート層を有し、前記第2の貴金属層の上表面が前記雰囲気に露出している第2の仕事関数型ガスセンサと、を有し、前記雰囲気は外界の雰囲気と第1の流路を経由して直接またはガス拡散抵抗層を介して接続され、前記第1の流路の壁面の少なくとも一部が、第3の貴金属層からなる下部イオンポンプ電極層と接し、前記下部イオンポンプ電極層上にはイオンポンプイオン伝導層と、上部イオンポンプ電極層が形成され、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層にはそれぞれ異なる電位を給電可能な外部電極に接続されていることを特徴とするガスセンサモジュール(実施例3を参照)。
 〔付記14〕
 付記13記載のガスセンサモジュールにおいて、前記第3の金属酸化物層が前記第1の金属酸化物層と同一の金属酸化物で形成され、前記第2の貴金属層が前記第1の貴金属層と同一の貴金属で形成されていることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記15〕
 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備し、第1の貴金属層と第2の貴金属層は前記第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、前記第2の金属酸化物層は前記第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、前記第1の貴金属層の上表面と前記第2の貴金属層の表面が直接または前記第2金属酸化物層を介して雰囲気に露出している仕事関数型ガスセンサと、前記半導体基板の主面上に形成された第2のゲート絶縁膜上に形成された、第3の金属酸化物層と外部電源に接続された第3の貴金属層を含む積層膜からなる第2のゲート層を有し、前記第3の貴金属層の上表面が前記雰囲気に露出している第2の仕事関数型ガスセンサと、を有し前記雰囲気は外界の雰囲気と第1の流路を経由して直接またはガス拡散抵抗層を介して接続され、前記第1の流路の壁面の少なくとも一部が、第3の貴金属層からなる下部イオンポンプ電極層と接し、前記下部イオンポンプ電極層上にはイオンポンプイオン伝導層と、上部イオンポンプ電極層が形成され、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層にはそれぞれ異なる電位を給電可能な外部電極に接続されていることを特徴とするガスセンサモジュール(実施例3を参照)。
 〔付記16〕
 付記13記載のガスセンサモジュールにおいて、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層共に白金であり、前記イオンポンプイオン伝導層がジルコニアを含む金属酸化物層であることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記17〕
 付記15記載のガスセンサモジュールにおいて、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層共に白金であり、前記イオンポンプイオン伝導層がジルコニアを含む金属酸化物層であることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記18〕
 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備し、第1の貴金属層と第2の貴金属層は前記第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、前記第2の金属酸化物層は前記第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、前記第1の貴金属層の上表面と前記第2の貴金属層の表面が直接または前記第2金属酸化物層を介して雰囲気に露出し、前記雰囲気は外界の雰囲気と第1の流路を経由して直接またはガス拡散抵抗層を介して接続され、前記第1の流路は前記雰囲気に露出した前記第1のゲート層から前記外界の雰囲気に沿って1つまたは複数本が形成され、前記第1の流路の側壁と底面は絶縁膜で形成され、前記第1の流路の上面は第1の流路上面絶縁膜が形成され、前記第1の流路上面絶縁膜には流路上面に沿って複数の孔部が形成され、前記複数の孔部が第3の貴金属層からなる下部イオンポンプ電極層と接し、前記下部イオンポンプ電極層上にはイオンポンプイオン伝導層と、上部イオンポンプ電極層が形成され、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層にはそれぞれ異なる電位を給電可能な外部電極に接続されていることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(実施例3を参照)。
 〔付記19〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層共に白金であり、前記イオンポンプイオン伝導層がジルコニアを含む金属酸化物層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記20〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記第1の貴金属層と前記第2の貴金属層が共に白金であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記21〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記第1の金属酸化物層がジルコニアを含み、前記第2の金属酸化物層が酸化ニッケルを含むことを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記22〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記第1のゲート絶縁膜と前記第1のゲート層の間に接着層となる金属酸化物層を有することを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(図5を参照)。
 〔付記23〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(図3を参照)。
 〔付記24〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(図11または図12を参照)。
 〔付記25〕
 付記24記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であり、前記第1の貴金属層は直接に前記雰囲気に露出していることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(図11を参照)。
 〔付記26〕
 付記24記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であり、前記第1の貴金属層は前記第2の金属酸化物層を介して前記雰囲気に露出していることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(図12を参照)。
 〔付記27〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第2層目が前記第1の貴金属層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(図13を参照)。
 〔付記28〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第3層目が第2の貴金属層、下層から第4層目が前記第2の金属酸化物層であることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(図14を参照)。
 〔付記29〕
 付記18記載の仕事関数型ガスセンサにおいて、前記第1の貴金属層と前記第2の貴金属層が共に酸素に対する触媒作用を持つことを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 〔付記30〕
 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、外部電源に接続された第1の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を有し、第1の貴金属層の上表面が雰囲気に露出している第1の仕事関数型ガスセンサを有し、前記雰囲気は外界の雰囲気と第1の流路を経由して直接またはガス拡散抵抗層を介して接続され、前記第1の流路は前記雰囲気に露出した前記第1のゲート層から前記外界の雰囲気に沿って1つまたは複数本が形成され、前記第1の流路の側壁と底面は絶縁膜で形成され、前記第1の流路の上面は第1の流路上面絶縁膜が形成され、前記第1の流路上面絶縁膜には流路上面に沿って複数の孔部が形成され、前記複数の孔部が第3の貴金属層からなる下部イオンポンプ電極層と接し、前記下部イオンポンプ電極層上にはイオンポンプイオン伝導層と、上部イオンポンプ電極層が形成され、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層にはそれぞれ異なる電位を給電可能な外部電極に接続されていることを特徴とするガスセンサモジュール(実施例3を参照)。
 〔付記31〕
 付記30記載のガスセンサモジュールにおいて、前記第3の金属酸化物層が前記第1の金属酸化物層と同一の金属酸化物で形成され、前記第2の貴金属層が前記第1の貴金属層と同一の貴金属で形成されていることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記32〕
 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備し、第1の貴金属層と第2の貴金属層は前記第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、前記第2の金属酸化物層は前記第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、前記第1の貴金属層の上表面と前記第2の貴金属層の表面が直接または前記第2金属酸化物層を介して雰囲気に露出している仕事関数型ガスセンサと、前記半導体基板の主面上に形成された第2のゲート絶縁膜上に形成された、第3の金属酸化物層と外部電源に接続された第3の貴金属層を含む積層膜からなる第2のゲート層を有し、前記第3の貴金属層の上表面が前記雰囲気に露出している第2の仕事関数型ガスセンサと、を有し前記雰囲気は外界の雰囲気と第1の流路を経由して直接またはガス拡散抵抗層を介して接続され、前記第1の流路は前記雰囲気に露出した前記第1のゲート層から前記外界の雰囲気に沿って1つまたは複数本が形成され、前記第1の流路の側壁と底面は絶縁膜で形成され、前記第1の流路の上面は第1の流路上面絶縁膜が形成され、前記第1の流路上面絶縁膜には流路上面に沿って複数の孔部が形成され、前記複数の孔部が第3の貴金属層からなる下部イオンポンプ電極層と接し、前記下部イオンポンプ電極層上にはイオンポンプイオン伝導層と、上部イオンポンプ電極層が形成され、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層にはそれぞれ異なる電位を給電可能な外部電極に接続されていることを特徴とするガスセンサモジュール(実施例3を参照)。
 〔付記33〕
 付記30記載のガスセンサモジュールにおいて、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層共に白金であり、前記イオンポンプイオン伝導層がジルコニアを含む金属酸化物層であることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記34〕
 付記32記載のガスセンサモジュールにおいて、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層共に白金であり、前記イオンポンプイオン伝導層がジルコニアを含む金属酸化物層であることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記35〕
 半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第1の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を有し、第1の貴金属層の上表面が雰囲気に露出している第1の仕事関数型ガスセンサを有し、前記雰囲気は外界の雰囲気と第1の流路を経由して直接またはガス拡散抵抗層を介して接続され、前記第1の流路は前記雰囲気に露出した前記第1のゲート層から前記外界の雰囲気に沿って1つまたは複数本が形成され、前記第1の流路の側壁と底面は絶縁膜で形成され、前記第1の流路の上面は第1の流路上面絶縁膜が形成され、前記第1の流路上面絶縁膜には流路上面に沿って複数の孔部が形成され、前記複数の孔部が第3の貴金属層からなる下部イオンポンプ電極層と接し、前記下部イオンポンプ電極層上にはイオンポンプイオン伝導層と、上部イオンポンプ電極層が形成され、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層にはそれぞれ異なる電位を給電可能な外部電極に接続されていることを特徴とするガスセンサモジュール(実施例3を参照)。
 〔付記36〕
 付記35記載のガスセンサモジュールにおいて、前記第3の金属酸化物層が前記第1の金属酸化物層と同一の金属酸化物で形成され、前記第2の貴金属層が前記第1の貴金属層と同一の貴金属で形成されていることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記37〕
 付記35記載のガスセンサモジュールにおいて、前記下部イオンポンプ電極層と前記上部イオンポンプ電極層共に白金であり、前記イオンポンプイオン伝導層がジルコニアを含む金属酸化物層であることを特徴とするガスセンサモジュール。
 〔付記38〕
 付記1~37のいずれかに記載の前記仕事関数型ガスセンサにおいて、前記イオンポンプ下部電極層が前記第1のゲート電極が露出している前記雰囲気に接し、前記イオンポンプ下部電極層上に前記前記イオンポンプイオン伝導層を介して形成された前記イオンポンプ上部電極層が第2の空洞に接し、前記第2の空洞は第2のイオンポンプ上部電極と接し、前記第2のイオンポンプ上部電極の下部には第2のイオンポンプイオン伝導層を介して第2のイオンポンプ下部電極層と接続され、前記第2のイオンポンプ下部電極層は外界と接続された第3の空洞に接続されていることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(実施例3を参照)。
 〔付記39〕
 付記1~38のいずれかに記載の前記仕事関数型ガスセンサにおいて、前記センサ素子の前記第1ゲートの積層体で、前記第1の金属酸化物層と前記第1の貴金属層が接する界面に前記第1の金属酸化物層と前記第1の貴金属層の材料の混在層、前記第1の金属酸化物層と前記第2の貴金属層が接する界面に前記第1の金属酸化物層と前記第2の貴金属層の材料の混在層、前記第2の金属酸化物層と前記第1の貴金属層が接する界面に前記第2の金属酸化物層と前記第1の貴金属層の材料の混在層、前記第2の金属酸化物層と前記第2の貴金属層が接する界面に前記第2の金属酸化物層と前記第2の貴金属層の材料の混在層、の少なくともいずれかが形成されていることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(実施例4を参照)。
 〔付記40〕
 付記1~38のいずれかに記載の前記仕事関数型ガスセンサにおいて、前記イオンポンプ下部電極層と前記イオンポンプイオン伝導層の界面に前記イオンポンプ下部電極層と前記イオンポンプイオン伝導層の材料の混在層、前記イオンポンプイオン伝導層と前記イオンポンプ上部電極層の界面に前記イオンポンプイオン伝導層と前記イオンポンプ上部電極層の材料の混在層、の少なくともいずれかが形成されていることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(実施例4を参照)。
 〔付記41〕
 付記1~40のいずれかに記載の前記仕事関数型ガスセンサにおいて、前記半導体基板と第1のコンタクト電極層のコンタクト部を有し、前記第1のコンタクト電極層が窒化チタン、またはタングステンであることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(実施例5を参照)。
 〔付記42〕
 付記41に記載の前記仕事関数型ガスセンサにおいて、前記外界の雰囲気に露出する電極部と、前記コンタクト部と前記外界の雰囲気に露出する電極部とを電気的に接続する配線部とを有し、前記配線部の前記半導体基板の主面垂直方向の厚さと比較して、前記コンタクト部と前記外界の雰囲気に露出する電極部の間の前記半導体基板の主面内方向の距離が大きいことを特徴とする仕事関数型ガスセンサ(実施例5を参照)。
 〔付記43〕
 付記1~38のいずれかに記載の前記仕事関数型ガスセンサにおいて、前記イオンポンプ下部電極層の底部が多孔質の金属酸化物、もしくはゼオライトに接していることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
 本発明は、ガスセンサ、特にガス濃度に応じて閾値変化が生じる仕事関数型ガスセンサ、例えばFET(Field Effect Transistor)型ガスセンサ、キャパシタ型ガスセンサに利用可能である。
1 ガスセンサ
20 電流測定部
30 ガス濃度測定部
40 電源部
41 電源
50 制御部
90 データ入出力部
100 センサ部
100R 参照素子
100Rc, 100Rc-1, 100Rc-2 参照キャパシタ
100Rf, 100Rf-1, 100Rf-2 参照FET
100S センサ素子
100Sc, 100Sc-1, 100Sc-2 センサキャパシタ
100Sf,100Sf-1,100Sf-2 センサFET
101R,101S 半導体基板
102R,102S ウェル
103R,103S ソース拡散層
104R,104S ドレイン拡散層
105R,105S ゲート絶縁膜
106R,106S ゲート層
106Sa 第1金属酸化物層
106Sb 第2金属酸化物層
106Sc 外部から給電される貴金属電極層
106Sf 電気的に浮遊状態の貴金属電極層
108R,108S 絶縁膜
111R,111S,112S,112R, 113S,113R, 114S, 114R 絶縁膜
114SO 絶縁膜の開口部
115S,115R, 116S,116R, 117S,117R, 118S, 118R 絶縁膜
119S 封止膜
130S,130-1S,130-2S, 134S, 135S 空洞
131S,131-1S,131-2S ガス拡散抵抗膜
132S ガス導入部
136S ガス出入口
137S-1, 137S-2, 137S-3 多孔質な絶縁膜、ゼオライト
140S 柱状部
150S,150-1S,150-2S イオンポンプ
151S,151-1S,151-2S イオンポンプ電極
152S,152-1S,152-2S イオン伝導膜
153S,153-1S,153-2S イオンポンプ電極
171S コンタクト部
179S, 170R 絶縁膜
190 ヒータ
198S 封し部
199S 触媒を担持した多孔質な金属酸化物
ACHAN センサFET、参照FETのチャネル領域
CONT106Sc ゲート電極へのコンタクト部
MX(YSZ, Pt) YSZとPtの混在層
MX(NiO, Pt) NiOとPtの混在層

Claims (15)

  1.  半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備し、
     前記第1の貴金属層と前記第2の貴金属層は前記第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、前記第2の金属酸化物層は前記第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、
     前記第1の貴金属層の表面と前記第2の貴金属層の表面が直接または前記第2金属酸化物層を介して雰囲気に露出していることを特徴とする仕事関数型ガスセンサ。
  2.  前記第1の貴金属層の表面と前記第2の貴金属層の表面が直接または前記第2の金属酸化物層を介して露出している前記雰囲気と、外界の雰囲気との間に、触媒を担持した多孔質な金属酸化物を具備することを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  3.  前記第1の貴金属層と前記第2の貴金属層が共に白金であることを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  4.  前記第1の金属酸化物層がジルコニアを含み、前記第2の金属酸化物層が酸化ニッケルを含むことを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  5.  前記第1のゲート絶縁膜と前記第1のゲート層の間に接着層となる金属酸化物層を有することを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  6.  第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  7.  第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  8.  第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であり、前記第1の貴金属層は直接に前記雰囲気に露出していることを特徴とする請求項7に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  9.  第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であり、前記第1の貴金属層は前記第2の金属酸化物層を介して前記雰囲気に露出していることを特徴とする請求項7に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  10.  第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第2の金属酸化物層、下層から第2層目が前記第1の貴金属層、下層から第3層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第4層目が第2の貴金属層であることを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  11.  第1のゲート絶縁膜上に形成された前記第1のゲート層が、下層から第1層目が前記第1の貴金属層、下層から第2層目が前記第1の金属酸化物層、下層から第3層目が第2の貴金属層、下層から第4層目が前記第2の金属酸化物層であることを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  12.  前記第1の貴金属層と前記第2の貴金属層が共に酸素に対する触媒作用を持つことを特徴とする請求項1に記載の仕事関数型ガスセンサ。
  13.  半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第1の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を有し、第1の貴金属層の表面が雰囲気に露出している第1の仕事関数型ガスセンサと、
     前記半導体基板の主面上に形成された第2のゲート絶縁膜上に形成された、第3の金属酸化物層と外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第2のゲート層を有し、前記第2の貴金属層の上表面が前記雰囲気に露出している第2の仕事関数型ガスセンサと、を有することを特徴とするガスセンサモジュール。
  14.  前記第3の金属酸化物層が前記第1の金属酸化物層と同一の金属酸化物で形成され、前記第2の貴金属層が前記第1の貴金属層と同一の貴金属で形成されていることを特徴とする請求項13に記載のガスセンサモジュール。
  15.  半導体基板の主面上に形成された第1のゲート絶縁膜上に形成された、電気的に浮遊状態の第1の貴金属層と、イオン導電性をもつ第1の金属酸化物層と、酸化窒素に対する触媒作用を持つ第2の金属酸化物層と、外部電源に接続された第2の貴金属層を含む積層膜からなる第1のゲート層を具備し、前記第1の貴金属層と前記第2の貴金属層は前記第1の金属酸化物層に対してそれぞれ下側と上側に形成され、前記第2の金属酸化物層は前記第1の金属酸化物層の上側もしくは下側の一方の側に形成され、前記第1の貴金属層の表面と前記第2の貴金属層の表面が直接または前記第2の金属酸化物層を介して雰囲気に露出している第1の仕事関数型ガスセンサと、
     前記半導体基板の主面上に形成された第2のゲート絶縁膜上に形成された、第3の金属酸化物層と外部電源に接続された第3の貴金属層を含む積層膜からなる第2のゲート層を有し、前記第3の貴金属層の上表面が前記雰囲気に露出している第2の仕事関数型ガスセンサと、を有することを特徴とするガスセンサモジュール。
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