WO2019078288A1 - 色較正用ビュアー、およびそれを用いた色較正セット - Google Patents

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Abstract

本発明は、色較正に用いられる色較正用ビュアーであって、波長440nm以上470nm以下である第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下であり、かつ波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下であり、波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとしたとき、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下であることを特徴とする色較正用ビュアーを提供することで、上記課題を解決する。

Description

色較正用ビュアー、およびそれを用いた色較正セット
 本発明は、色較正用ビュアー、およびそれを用いた色較正セットに関する。
 撮像機器の分野においては、出力画像の高解像度化が進められており、色に関しても、色調を忠実に再現する色再現性の向上が求められている。撮像機器は、正しい再現色をもって出力画像を表示するために、色較正セットを用いて、撮像機器での再現色と色較正セットでの再現色とを比較し、再現色に相違がある場合は上記色較正セットに基づき較正される。
 色較正に用いられる色較正セットは、任意の色のカラーバーから構成されたカラーチャートと、上記カラーチャートを照射するための光源であるビュアーと、を備える(例えば、特許文献1~7)。
特開2001-83011号公報 特開平10-031192号公報 実開平03-101091号公報 実開昭62-041146号公報 実開昭59-134965号公報 実開昭59-134964号公報 実開昭59-073872号公報
 撮像機器により表示される出力画像は、色再現性を向上するために、色域の拡大が図られている。これに伴い、撮像機器の色較正に用いられる色較正セットについても、より正確な色較正を行うといった観点から、色域の拡大化(以下、広色域化と称する場合がある。)が望まれている。ここで、色較正セットとは、例えば色較正に用いられるカラーチャートおよびビュアーのセットを指す。本発明の発明者等は、このような色較正セットに用いられるカラーチャートを広色域化した広色域カラーチャートについて研究を行っている。一方、本発明の発明者等は、上記研究を行う中で、撮像機器のより正確な色較正を行うにあたっては、広色域カラーチャートに対応したビュアーが必要であるという新たな課題を発見した。なお、例えば特許文献1~7に示すように、従来はビュアーとして蛍光灯が用いられている。
 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、撮像機器の正確な色較正を行うことができる、広色域カラーチャートに対応した色較正用ビュアーを提供することを主目的とする。
 本発明においては、色較正に用いられる色較正用ビュアーであって、波長440nm以上470nm以下である第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下であり、かつ波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下であり、波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとしたとき、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下であることを特徴とする色較正用ビュアーを提供する。
 本発明によれば、所定のスペクトル特性を有することにより、CIE標準光源D65に近似させることができ、撮像機器の正確な色較正を行うことができる、広色域カラーチャートに対応した色較正用ビュアーを提供することができる。
 上記発明においては、上記第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長390nm以上430nm以下である第2波長域のピークトップの相対強度が0.60以上1.00以下であることが好ましい。よりCIE標準光源D65に近似させることができ、撮像機器の正確な色較正を行うことができる、広色域カラーチャートに対応した色較正用ビュアーを提供する。
 上記発明においては、LEDと、上記LEDの光が出射する面側に配置された透過率調整層とを有することが好ましい。LEDと透過率調整層とを組み合わせることで、色較正用ビュアーを効果的にCIE標準光源D65に近似させることができる。
 上記発明においては、上記LEDが、紫励起LEDであり、発光スペクトルのピーク波長が390nm以上415nm以下であることが好ましい。紫励起LEDと透過率調整層とを組み合わせることで、色較正用ビュアーを効果的にCIE標準光源D65に近似させることができる。
 また、本発明においては、上述した較正用ビュアーと、色較正用カラーチャートとを有する色較正セットであって、上記色較正用カラーチャートは、透明基板と、上記透明基板上に形成されたカラーバー群と、を有し、上記カラーバー群は、赤、緑、青、第1色、第2色および白の少なくとも6色のカラーバーが、順不同でパターン状に配列されて構成され、上記第1色の座標点は、xy色度図上で(0.351、0.649)、(0.547、0.453)、(0.380、0.506)、(0.433、0.464)の4点に囲まれた領域内にあり、上記第2色の座標点は、xy色度図上で、(0.125、0.489)、(0.112、0.229)、(0.270、0.407)、(0.224、0.242)の4点に囲まれる領域内にあり、赤色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が600nm以上680nm以下、緑色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が495nm以上570nm以下、青色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が430nm以上490nm以下、第1色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が540nm以上595nm以下、第2色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が470nm以上515nm以下であることを特徴とする色較正セットを提供する。
 本発明によれば、上述した色較正用ビュアーと、広色域の色較正用カラーチャートとを有することにより、撮像機器の正確な色較正を行うことができる。
 本発明によれば、撮像機器の正確な色較正を行うことができる、広色域カラーチャートに対応した色較正用ビュアーを提供することができるという効果を奏する。
色域を説明するためのxy色度図である。 波長380nm以上780nm以下において、最大発光強度となる波長の発光強度を1としたときの相対強度を示すグラフである。 平均演色評価数(Ra)、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)を示すグラフである。 演色評価数および特殊演色評価数を説明するためのxy色度図である。 CIELAB空間における色差ΔEabを示すグラフである。 広色域カラーチャートを説明するためのxy色度図である。 CIELAB空間における色差ΔEabを示すグラフである。 波長380nm以上780nm以下において、最大発光強度となる波長の発光強度を1としたときの相対強度を示すグラフである。 本発明の色較正用ビュアーを説明するためのxy色度図である。 本発明の色較正用ビュアーの発光スペクトル特性を規定するためのシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の色較正用ビュアーの一例を示す模式図である。 色較正用カラーチャートの一例を示す概略平面図である。 色較正用カラーチャートが示す分光透過スペクトルの一例を示すイメージグラフである。 色較正用カラーチャートの色域の一例を示すxy色度図である。 透過スペクトルのピーク波長および基準波長の規定方法を説明する説明図である。 色較正用カラーチャートが示す分光透過スペクトルの他の例を示すイメージグラフである。 色較正用カラーチャートが示す分光透過スペクトルの他の例を示すイメージグラフである。 色較正用カラーチャートの色域の他の例を示すxy色度図である。 色較正用カラーチャートの色域におけるCy、YeおよびMgの各色度座標の位置を説明するxy色度図である。 平均演色評価数(Ra)、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)を示すグラフである。
 以下、本発明の色較正用ビュアーおよび色較正セットについて説明する。
I.色較正用ビュアー
 本発明の色較正用ビュアーは、色較正に用いられる構成であって、波長440nm以上470nm以下である第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下であり、かつ波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下であり、波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとしたとき、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下であることを特徴とする。
 本発明の色較正用ビュアーについて、図を参照して説明する。図1は、色域を説明するためのxy色度図である。図2は、波長380nm以上780nm以下において、最大発光強度となる波長の発光強度を1としたときの相対強度を示すグラフである。図3は、平均演色評価数(Ra)、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)を示すグラフである。図4は、演色評価数および特殊演色評価数を説明するためのxy色度図である。図5は、CIELAB空間における色差ΔEabを示すグラフである。図6は、広色域カラーチャートを説明するためのxy色度図である。図7は、CIELAB空間における色差ΔEabを示すグラフである。図8は、波長380nm以上780nm以下において、最大発光強度となる波長の発光強度を1としたときの相対強度を示すグラフである。図9は、本発明の色較正用ビュアーを説明するためのxy色度図である。
 従来、撮像機器により表示される出力画像は、色再現性を向上するために、色域の拡大が図られている。すなわち、撮像機器での再現色が広色域化されている。ここで、「色域」とは、可視領域のうち特定の範囲をいい、例えば図1に示すように、CIE(国際照明委員会)が定めたXYZ表色系(CIE1931-XYZ表色系)のxy色度図を使用して表わすことができる。色域は、xy色度図においてはR、G、Bの各色の頂点となる色度座標を定めそれぞれを直線で結んだ三角形で示すことができる。色域は従来から種々の色域規格により定められており、撮像機器を含む映像業界では、例えば、図1に示すようなBT.709やBT.2020規格といった、広色域を網羅する規格が用いられている。また、図1に示すxy色度図において、白点となるCIE標準光源D65は、プロット×で示す。
 撮像機器は、正しい再現色をもって出力画像を表示するために、色較正セットを用いて、撮像機器での再現色と色較正セットでの再現色とを比較し、再現色に相違がある場合は色較正セットに基づき較正される。したがって、より正確な色較正を行うためには、撮像機器での再現色の広色域化に伴って、色較正セットでの再現色に対しても広色域化する必要がある。このような実情に鑑み、本発明の発明者等は、色較正セットに用いられるカラーチャートを広色域化した広色域カラーチャートについて研究を行っている。具体的には、上述したBT.709やBT.2020規格に対応した広色域カラーチャートについて研究を行っている。一方、色較正セットにおいて、カラーチャートを照射するための色較正用ビュアーとしては従来から蛍光灯が用いられており、特に研究が行われていないのが現状である。そこで、本発明の発明者等は、色較正用ビュアーについて検討を行った。具体的には、色較正用ビュアーとして、理想光源となるCIE標準光源D65に近似した光源についての検討を行った。
 まず、本発明の発明者等は、従来、色較正用ビュアーとして用いられている蛍光灯の透過スペクトルと、理想光源であるCIE標準光源D65の透過スペクトルとを比較した。その結果、図2に示すように、CIE標準光源D65の透過スペクトルと蛍光灯の透過スペクトルとの波形が、互いに大きく相違していることが分かった。また、蛍光灯の透過スペクトルには輝線が入っていることが確認できた。輝線が入った透過スペクトルを有する蛍光灯の場合、対象物の彩度が急激に上昇する場合があり、自然界での色の見え方と必ずしも一致するとは言えない。このように、従来、色較正用ビュアーとして用いられている蛍光灯は、CIE標準光源D65に近似した光源であるとは言えないことが分かった。
 そこで、本発明の発明者等は、蛍光灯に代わる光源として、3種のLED光源を準備し、当該3種のLED光源を用いた例(光源例1~光源例3)について、透過スペクトルを測定し、CIE標準光源D65の透過スペクトルと比較した。その結果、図2に示すように、光源例1~光源例3の透過スペクトルには輝線が入らなかったものの、透過スペクトルの波形は、CIE標準光源D65のそれとは大きく相違しており、光源例1~光源例3についてもCIE標準光源D65に近似した光源であるとは言えないことが分かった。
 本発明の発明者等は、光源例1~光源例3についてさらなる評価を行った。光源例1~光源例3の評価は、一般的な光源評価に用いられる「平均演色評価数」、「演色評価数」および「特殊演色評価数」を用いて行った。具体的には、平均演色評価数(Ra)、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)を用いて、CIE標準光源D65と3種のLED光源との色差を比較した。その結果、図3に示すように、演色評価数(R1~R8)を平均した平均演色評価数(Ra)は、3種の光源例のいずれも97よりも高い値を示し、高演色性を示すという結果が得られた。
 本発明の発明者等は、上述のように、光源例1~光源例3およびCIE標準光源D65の透過スペクトルの波形の相違から、光源例1~光源例3がCIE標準光源D65に近似した光源であるとは言えないという結果が得られたのにもかかわらず、光源例1~光源例3の平均演色評価数(Ra)はいずれも97以上となり、高演色性を示すという結果が得られたことに基づいてさらなる検討を重ねた。その結果、次のような新たな問題を発見した。すなわち、演色評価数に用いているR1~R8の「試験色」は、多くの物体の平均的代表色であることから、中彩度の色で設計されている。その一方で、現在の撮像機器は、非常に高彩度で広色域を表現できるような映像技術を有することから、当該撮像機器に用いられる色較正セットについても高彩度で広色域化が求められており、このような色較正セットにおける色較正用ビュアーを評価するにあたっては、演色評価数を用いた中彩度の評価だけでは不十分ではないかという新たな問題を発見した。
 なお、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)が中彩度での評価であるということは、図4に示すxy色度図において、CIE標準光源D65の演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)が、BT.709やBT.2020規格よりも狭い領域にプロットされ、BT.709やBT.2020規格等の広色域に十分に対応できていないことから明らかである。
 上記問題を発見した本発明の発明者等は、高彩度での評価を行うために、BT.709やBT.2020規格に対応した広色域カラーチャートの透過率データを用いて、CIE標準光源D65と、光源例1~光源例3とのCIELAB空間における色差ΔEabを求めて評価した。その結果、図5に示すように、特にBlueおよびMagenta領域において、色差に大きなズレが生じることが分かった。また、このような結果が得られたことから、広色域化された色較正セットにおける色較正用ビュアーを評価するにあたっては、平均演色評価数(Ra)、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)での評価だけでは、不十分であることが明らかとなった。さらに、本発明の発明者等は、図5で説明した光源例1~光源例3に対して行った評価において、良好な結果が得られる光源の場合、よりCIE標準光源D65に近似し、広色域化に対応した光源として色較正用ビュアーに用いることができるという新たな知見を得た。本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
 なお、色差ΔEabは、CIE1976規格の(L、a、b)空間表色系による色差公式(ΔEab={(ΔL+(Δa+(Δb1/2)から求められる値である。また、L、aおよびbは、以下の式を用いて三刺激値X、YおよびZから変換して算出される。
 L = 116(Y/Yn)1/3-16 
 a = 500{(X/Xn)1/3-(Y/Yn)1/3
 b = 200{(Y/Yn)1/3-(Z/Zn)1/3
 ここで、関数f(X/Xn)は、
 f(X/Xn)=(X/Xn)1/3   (X/Xn>0.008856)
 f(X/Xn)=7.787(X/Xn)+16/116   (X/Xn≦0.008856)
にて定義される。なお、関数f(Y/Yn)およびf(Z/Zn)についても同様に定義される。上記式において、Xn、YnおよびZnは完全反射面三刺激値であり、Yn=100と規格化する。一方、上記式はX/Xn>0.008856、Y/Yn>0.008856、Z/Zn>0.008856範囲で行い、それ以外に関しては次の補正式を用いる。
 L = 116 f(Y/Yn)-16 
 a = 500{f(X/Xn)-f(Y/Yn)}
 b =200{f(Y/Yn)-f(Z/Zn)}
 また、図5に示すグラフの縦軸ΔEabは、3.2よりも小さい範囲(1.6<ΔEab<3.2)がA級許容色差と言われ、一般的には同じ色として認識されるレベルと言われている。また、ΔEabが3.2以上6.5以下の範囲(3.2≦ΔEab≦6.5)がB級許容色差と言われ、印象では同じ色として扱えるレベルと言われ、それ以外の範囲(6.5<ΔEab<13.0)がC級許容色差と言われ、JIS標準色票、マンセル色票等の1歩度に相当する色差を感じるレベルと言われている。
 さらに、図5に示す評価を行う際に用いた広色域カラーチャートは、本発明の発明者等によって設計されたものであり、図6に示すように、xy色度図において、BT.709やBT.2020規格に対応する。なお、広色域カラーチャートのBT.709規格に対する対応面積比は100%であり、BT.2020規格に対する対応面積比は98%である。このような広色域カラーチャートの詳細については、後述する「II.色較正セット」の項に記載の色較正用カラーチャートと同じとすることができるため、ここでの説明は省略する。
 本発明によれば、波長440nm以上470nm以下である第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下であり、かつ波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下であり、波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとすると、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下である、色較正用ビュアーを提供することで、図5で説明した光源例1~光源例3に対して行った評価において、良好な結果を得ることができる。具体的には、図7に示すように、CIELAB空間におけるいずれの色領域においても、ΔEabが3.2よりも小さい値となった。また、本発明の色較正用ビュアーの発光スペクトルを測定し、CIE標準光源D65の発光スペクトルと比較したところ、図8に示すように、波長430nm以上650nm以下付近の領域において、特にCIE標準光源D65の波形に近似した波形を有することが分かった。さらに、本発明の色較正用ビュアーがCIE標準光源D65に近似していることを確認するために、BT.709およびBT.2020規格に対応したサンプルのxy色度図上での座標を、色較正用ビュアーおよびCIE標準光源D65のそれぞれから算出して比較した。その結果、図9(a)、(b)に示すように、本発明の色較正用ビュアーから算出した座標と、CIE標準光源D65から算出した座標とが、ほぼ一致していることが分かった。このことから、本発明の色較正用ビュアーがCIE標準光源D65に近似していることが明らかとなった。
 以下、本発明の色較正用ビュアーについて説明する。
A.色較正用ビュアーのスペクトル特性
 本発明の色較正用ビュアーは、色較正に用いられる構成であって、波長440nm以上470nm以下である第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下であり、かつ波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下であり、波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとしたとき、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下であることを特徴とする。
 本発明の色較正用ビュアーの発光強度は、トプコン社製SR-3、もしくはSR-3ARを用い、以下の測定条件の下で測定する。
<測定条件>
測定距離:発光面から測定器レンズの距離を1200mmとする
測定角:0.1°
測定モード:オート
測定環境:暗室 1lx以下(0.5lx以下が望ましい。)
測定面:発光面の中心を測定
測定環境:温度20℃~30℃ 湿度80%以下
 なお、上記測定に先立ち、LED光源の色温度を安定させる必要があることから、LED光源に通電した後、30分以上の安定待機時間をおいた後、測定する。
 ここで、「第1波長域のピークトップ」とは、第1波長域である波長440nm以上470nm以下の領域にあるピークトップであり、例えば、図10に示す第1波長域における矢印の地点をいう。なお、図10は、本発明の色較正用ビュアーの発光スペクトル特性を規定するためのシミュレーション結果を示すグラフである。
 第1波長域は、波長440nm以上470nm以下の領域であり、第1波長域は、例えば、波長445nm以上であってもよく、波長450nm以上であってもよい。また、第1波長域は、例えば、波長465nm以下であってもよく、波長460nm以下であってもよい。さらには、第1波長域は、波長454nmであってもよい。
 本発明の色較正用ビュアーは、第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下である。波長505nmの相対強度は、例えば、0.857以上であってもよく、また0.926以下であってもよい。なお、第1波長域のピークトップの発光強度を1としたときの波長505nmの相対強度は、発光強度の測定結果から算出することができる。
 本発明の色較正用ビュアーは、第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下である。波長620nmの相対強度は、例えば、0.677以上であってもよく、また0.773以下であってもよい。なお、第1波長域のピークトップの発光強度を1としたときの波長620nmの相対強度は、発光強度の測定結果から算出することができる。
 本発明の色較正用ビュアーは、波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとしたとき、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下である。AおよびBの比率(A/B)は、例えば、1.11以上であってもよく、また1.37以下であってもよい。
 本発明の色較正用ビュアーは、第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長390nm以上430nm以下である第2波長域のピークトップの相対強度が0.60以上1.00以下であることが好ましい。CIE標準光源D65により近似した色較正用ビュアーとすることができるからである。第2波長域のピークトップの相対強度は、例えば、0.638以上であってもよく、また0.950以下であってもよい。
 ここで、「第2波長域のピークトップ」とは、第2波長域である波長390nm以上430nm以下の領域にあるピークトップであり、例えば、図10に示す第2波長域における矢印の地点をいう。
 第2波長域は、波長390nm以上430nm以下の領域であり、第2波長域は、例えば、波長400nm以上であってもよく、波長405nm以上であってもよい。また、第2波長域は、例えば、420nm以下であってもよく、415nm以下であってもよい。さらには、第2波長域は、波長413nmであってもよい。
 本発明の色較正用ビュアーは、第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長560nmの相対強度が、0.70以上0.85以下であることが好ましい。波長560nmの相対強度は、例えば、0.755以上であってもよく、また0.824以下であってもよい。なお、第1波長域のピークトップの発光強度を1としたときの波長560nmの相対強度は、発光強度の測定結果から算出することができる。
B.色較正用ビュアーの構成
 本発明の色較正用ビュアーの構成は、上述した所定のスペクトル特性が得られれば特に限定されない。色較正用ビュアーの構成について、図を参照しながら説明する。図11は、本発明の色較正用ビュアーの一例を示す模式図である。図11に示すように、色較正用ビュアー100は、例えば、光源1が配置された筐体2と、光源1から照射される光の出射面に開口部が形成された上蓋3とを有する。また、光源1の光の出射面側には、透過率調整層4、光拡散板5および輝度分布調整板6を配置していてもよい。なお、図11は、光源1としてLEDチップ1aを用いた例である。また、LEDチップ1aは、LED基板1bの一方の面側に配置され、LED基板1bのLEDチップ1aが配置された面とは反対側の面にはヒートシンク7を備える。さらに光源1は、調光回路8およびコンバーター9によって、筐体2を介して電気的に接続される。図11における符号10は電源スイッチを示し、符号11は電源ケーブルを示す。
 光源としては、色較正セットに用いることができ、カラーチャートに光を照射することができる部材であれば特に限定されない。このような光源としては、例えば、LEDや有機EL等が挙げられ、特にLEDを用いることが好ましい。ここで、「LED」とは発光ダイオードの総称であり、「EL」とはエレクトロルミネッセンスの総称である。
 LEDは、色較正用ビュアーに光源としての機能を付与する発光素子である。LEDとしては、一般的に公知のものを適宜選択することができるが、例えば、色較正用ビュアーが上述した所定のスペクトル特性を発揮できるようなものを選択することが好ましい。すなわち、LED自体のスペクトル特性に応じて選択することが好ましい。本発明においては、例えば、白色発光することが可能なLEDを用いることが好ましく、具体的には、紫励起LED、青励起LED等が挙げられる。また、赤色LED、緑色LEDおよび青色LED等のスペクトルの異なるLEDを複数組み合わせることで白色発光するLEDの複合品が挙げられる。本発明においては、特に紫励起LEDを用いることが好ましい。
 紫励起LEDは、例えば、紫LEDチップと複数の蛍光体を組み合わせることで構成され、図8に示すような発光スペクトルを有する。なお、紫励起LEDの発光強度の測定は、上述した色較正用ビュアーの発光強度の測定方法と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
 透過率調整層は、光源から出射される光の各波長に対する透過率を調整する機能を有する層である。このような透過率調整層は、光源とともに用いることで、光源から出射される光が所望の発光スペクトルを示すように調整することが可能となる。したがって、光源とともに透過率調整層を用いることで、CIE標準光源D65に近似した色較正用ビュアーとすることが可能となる。
 透過率調整層は、必要に応じてその他の機能を有する機能層と併用してもよい。透過率調整層を、その他の機能を有する機能層と併用する場合、例えば、光源から出射された光を拡散する光拡散機能を有する光拡散層と併用することが好ましい。また、透過率調整層を光拡散層と併用する場合、透過率調整層および光拡散層は、別体であってもよく、一体であってもよい。後者である場合、透過率調整層は、光拡散層としての光拡散機能を有することとなる。具体例としては、例えば、図8に示すような発光スペクトルを有する紫励起LEDと、光拡散層としての光拡散機能を有する透過率調整層とを組み合わせた例が挙げられる。この場合には、色較正用ビュアーは、図8に示すようなスペクトル特性が得られる。色較正用ビュアーの発光スペクトルは、光源の発光スペクトルと透過率調整層の透過スペクトルとをかけることで算出することができる。なお、図8における透過率調整層は、光拡散機能を有する、いわゆる光拡散層を用いた例である。また、光拡散層の透過スペクトルは、次のような方法により算出することができる。まず、光源としてLEDや蛍光灯等を用いて、そのスペクトルデータを分光放射計にて測定する。その状態で、光源と分光放射計との間に光拡散層を配置し、スペクトルデータを測定する。元の光源スペクトルデータに対して、光源と光拡散層とを合わせたスペクトルデータを波長毎に割り返すことで、光拡散層が透過したスペクトルを算出することができる。
 光拡散層の材料は、所望の光拡散機能を発揮することができる材料であればよく、一般的に公知の材料を用いることができる。光拡散層は、例えば、透明樹脂と、透明樹脂に分散された光拡散粒子とを有していてもよい。透明樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂、或いは電子線や紫外線等の電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。光拡散粒子としては、例えば、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の粒子が挙げられる。なお、これらの単一粒子の平均粒径(平均直径)は0.5μm以上100μm以下程度とすることができる。また、粒子形状は、球、回転楕円体、多面体、截頭多面体、鱗片形状、針状形状等であってもよい。なお、本発明においては、上述した以外にも、光拡散機能を有する層を光拡散層として用いることができ、例えば、特開2011-124023号公報に記載された光拡散層等が挙げられる。
 本発明の色較正用ビュアーは、上述した光源および透過率調整層の他にも、必要に応じて他の構成を有していてもよい。他の構成としては、例えば、図11に示すような輝度分布調整板6が挙げられる。輝度分布調整板は、光源の出射面の輝度の均一性を向上させるための部材であり、輝度調整のための調光回路を有していてもよい。
C.色較正用ビュアーの輝度特性
 本発明の色較正用ビュアーは、後述する色較正セットにおいて光源として用いられる。色較正用ビュアーの輝度特性は、色較正セットの光源として用いることができる程度であればよく、特に限定されない。例えば、色較正用ビュアーの中心色温度は、6179K以上6829K以下であってもよい。なお、中心色温度の測定は、例えば、コニカミノルタ製 分光放射輝度計CS-2000や、トプコン製 2D分光放射計 SR-5000等により測定することができる。また、色較正用ビュアーの中心輝度は、例えば、450cd/m以上5300cd/m以下であってもよく、850cd/m以上4600cd/m以下であってもよい。なお、中心輝度の測定は、例えば、コニカミノルタ製 2次元色彩輝度計 CA-2000や、トプコン製 2D分光放射計 SR-5000等により測定することができる。
D.色較正用ビュアーの用途
 本発明の色較正用ビュアーは、色較正に用いられる。なお、色較正セットについては、後述する「II.色較正セット」の項で説明するため、ここでの記載は省略する。
II.色較正セット
 本発明の色較正セットは、上述した較正用ビュアーと、色較正用カラーチャートとを有し、上記色較正用カラーチャートは、透明基板と、上記透明基板上に形成されたカラーバー群と、を有し、上記カラーバー群は、赤、緑、青、第1色、第2色および白の少なくとも6色のカラーバーが、順不同でパターン状に配列されて構成され、上記第1色の座標点は、xy色度図上で(0.351、0.649)、(0.547、0.453)、(0.380、0.506)、(0.433、0.464)の4点に囲まれた領域内にあり、上記第2色の座標点は、xy色度図上で、(0.125、0.489)、(0.112、0.229)、(0.270、0.407)、(0.224、0.242)の4点に囲まれる領域内にあり、赤色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が600nm以上680nm以下、緑色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が495nm以上570nm以下、青色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が430nm以上490nm以下、第1色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が540nm以上595nm以下、第2色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が470nm以上515nm以下であることを特徴とする。
 本発明の色較正セットは、上述した色較正用ビュアーと、所定の色較正用カラーチャートを有することにより、撮像機器の正確な色較正を行うことができる。なお、具体的な効果の説明については、上記「I.色較正用ビュアー」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
A.色較正用ビュアー
 本発明における色較正用ビュアーは、上記「I.色較正用ビュアー」の項に記載したものを用いることができる。すなわち、本発明における色較正用ビュアーは、色較正セットに用いられる構成であって、波長440nm以上470nm以下である第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下であり、かつ波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下であり、波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとしたとき、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下であることを特徴とする構成である。なお、色較正用ビュアーについての説明は、上記「I.色較正用ビュアー」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
B.色較正用カラーチャート
 本発明における色較正用カラーチャートは、透明基板と、上記透明基板上に形成されたカラーバー群と、を有し、上記カラーバー群は、赤、緑、青、第1色、第2色および白の少なくとも6色のカラーバーが、順不同でパターン状に配列されて構成され、上記第1色の座標点は、xy色度図上で(0.351、0.649)、(0.547、0.453)、(0.380、0.506)、(0.433、0.464)の4点に囲まれた領域内にあり、上記第2色の座標点は、xy色度図上で、(0.125、0.489)、(0.112、0.229)、(0.270、0.407)、(0.224、0.242)の4点に囲まれる領域内にあり、赤色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が600nm以上680nm以下、緑色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が495nm以上570nm以下、青色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が430nm以上490nm以下、第1色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が540nm以上595nm以下、第2色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が470nm以上515nm以下であることを特徴とする。
 なお、本明細書においては、本発明における色較正用カラーチャートを、広色域カラーチャートやカラーチャートと称して説明する場合がある。また、第1色をYe、第2色をCyと称して説明する場合がある。
 本発明におけるカラーチャート図を参照して説明する。図12は、本態様のカラーチャートの一例を示す概略平面図である。また、図13は、本態様のカラーチャートが示す分光透過スペクトルの一例を示すイメージグラフであり、図14は、本発明におけるカラーチャートの色域を示すxy色度図である。
 カラーチャート20は、透明基板12と、透明基板12上に形成されたカラーバー群13とを有する。カラーバー群13の外周には、カラーバー保持枠15を有していてもよい。カラーバー群13は、赤色カラーバー16R、緑色カラーバー16G、青色カラーバー16B、第1色カラーバー16Ye、第2色カラーバー16Cy、および白色カラーバー16Wの、少なくとも6色のカラーバーが、順不同でパターン状に配列されて構成されている。白色カラーバー16Wは通常、透明である。透明基板12上の各色カラーバーの周囲には、遮光部14が設けられていてもよい。カラーチャート20は、図13で示すような分光透過スペクトル特性を有し、図14で示すように、xy色度図上のWを除く5色の各座標を直線で結んだ五角形で囲まれた色域L1を有する。なお、図14中のL2は、xy色度図上のR、G、Bの3色の各座標を直線で結んだ三角形で囲まれた色域を示す。以下、同様とする。
 カラーチャートは、背面から入射した光が、カラーバー群を構成するWを除く5色のカラーバーの選択透過性に応じて分光され、可視光領域内において、短波長側から順に、Bカラーバー、Cy(第2色)カラーバー、Gカラーバー、Ye(第1色)カラーバー、およびRカラーバーの各色の透過スペクトルがそれぞれ出現する。
 本発明においては、カラーバー群を構成するWを除いた各色カラーバーの透過スペクトルが、可視光領域内で所望の間隔でピークを有してバランスよく配置されていることを特徴とする。すなわち、図13で示すように、カラーチャートは、Rカラーバーの透過スペクトル22(R)のピーク波長が600nm以上680nm以下、Gカラーバーの透過スペクトル22(G)のピーク波長が495nm以上570nm以下、Bカラーバーの透過スペクトル22(B)のピーク波長が430nm以上490nm以下にある。
 また、Yeカラーバーの透過スペクトル22(Ye)のピーク波長が540nm以上595nm以下、Cyカラーバーの透過スペクトル22(Cy)のピーク波長が470nm以上515nm以下にある。
 また、カラーチャートにおける、Wを除く5色のカラーバーの色度座標は、xy色度図上において図14で示すように分布する。カラーチャートは、上記xy色度図上の、5色の各座標を直線で結んだ五角形で囲まれた色域L1内に包含されるポインターカラーの色を再現および較正することができる。xy色度図上のカラーバーの色度座標は、カラーバーの分光スペクトルを P(λ)、CIEで1931年に採択したXYZ表色系における等色関数を x_(λ)、 y_(λ)、 z_(λ)、光源の分光分布を S_(λ) とした際に、
 X = ∫ (380nm ~ 780nm) P(λ) * x_(λ) * S_(λ) dλ/∫ (380nm ~ 780nm) y_(λ) * S_(λ) dλ
 Y = ∫ (380nm ~ 780nm) P(λ) * y_(λ) * S_(λ) dλ/∫ (380nm ~ 780nm) y_(λ) * S_(λ) dλ
 Z = ∫ (380nm ~ 780nm) P(λ) * z_(λ) * S_(λ) dλ/∫ (380nm ~ 780nm) y_(λ) * S_(λ) dλ
 x = X / (X+Y+Z)
 y = Y / (X+Y+Z) 
 z = 1-x-y ( = Z / (X+Y+Z))
にて算出される座標である。上記式はJIS Z8701にて規定される。
 また、ここでは光源の分光分布 S_(λ) はCIE標準光源D65を元としている。図14中のW(D65)はD65の白座標とし、上記白座標で示される白を、本明細書内では「D65の白」と称する。
 本発明によれば、白を除く5色のカラーバーが所定の位置に透過スペクトルのピーク波長を有することで、xy色度図において所望のポインターカラーを包含するために必要最低限の6色により、可視光領域内の色を網羅することができ、可視光領域内の色を一様に再現することができる。これにより、撮像機器の色較正を正確に行うことができる。
 以下、本発明のカラーチャートの各構成について説明する。
1.カラーバー群
 カラーバー群は、透明基板上に形成されるものである。カラーバー群は、少なくとも第1色および第2色を含む複数色のカラーバーが、順不同でパターン状に配列されて構成されている。本発明におけるカラーバー群は、例えば、R、G、B、Ye、CyおよびWの、少なくとも6色のカラーバーが、順不同でパターン状に配列されて構成されていることが好ましい。なお、「Wを除く(除いた)5色」とは、R、G、B、YeおよびCyの5色をいう。本明細書内において「5色のカラーバー」とは、別段の定めが無い限り、上記の5色のカラーバーをいうものとする。また、「6色のカラーバー」とは、別段の定めが無い限り、上記の5色およびWの計6色のカラーバーをいうものとする。後述するように、他の色のカラーバーを含む場合であっても、同様とする。
(1)透過スペクトル
 第1色カラーバーの透過スペクトルおよび第2色カラーバーの透過スペクトルは、それぞれ分離したピークトップを有しており、山形波形とすることができる。また、通常は、R、G、Bのカラーバーの透過スペクトルについても、それぞれ分離したピークトップを有しており、山形波形とすることができる。
(a)ピーク波長の規定方法
 Wを除く5色のカラーバーの透過スペクトルは、波形に応じてピーク波長もしくは基準波長を有する。すなわち、Wを除く5色のカラーバーの透過スペクトルは、図15(a)で示すような山形波形を示し、高透過率を示すピーク波長λPを有する。ピーク波長λPは、図15(a)で示すように、透過スペクトルの実測透過率の最大値Tmaxを特定し、最大値Tmaxの透過率を100%としたときの相対透過率が50%となる波長λ1およびλ2を特定し、波長λ1から波長λ2までの波長領域の中心波長とする。また、ピーク波長λPでの実測透過率Tを「ピーク波長での透過率(以下、ピーク透過率と称する場合がある。)」とする。
 なお、単に「透過率」という場合は、実測の透過率を意味し、「相対透過率」という場合は、特定の波長での実測透過率を100%として換算した透過率を意味する。
 各色カラーバーの透過スペクトルは、オリンパス株式会社 顕微分光測定機OSP-SP200を用いて、無色(透明)である白色カラーバーをバックグラウンドとして可視光領域380nm~780nmにおける透過率を測定して得られる。また、xy色度図上における各色の座標を算出する際は、既知であるD65光源スペクトルのデータが用いられる。
 以下、上記5色以外の任意色のカラーバーにおいても同様とする。
(b)各色カラーバーのスペクトル特性
 以下、カラーバー群を構成する各色カラーバーのスペクトル特性について説明する。
(i)赤色(R)カラーバー
 Rカラーバーは、光源における赤色光に対する選択透過性を有する。Rカラーバーの透過スペクトルは、分離したピークトップを有することが好ましい。すなわち、Rカラーバーの透過スペクトルが、山形波形であることが好ましい。カラーバー群の明るさをより均一にし、かつ、撮像機器のカメラに備わったIRカットフィルターによる影響をより一層抑制することで、撮像機器の正確な色較正を行うことが可能となるからである。
 Rカラーバーの透過スペクトルのピーク波長は、例えば、600nm以上680nm以下であることが好ましく、中でも610nm以上680nm以下、特に625nm以上680nm以下であることが好ましい。上記ピーク波長が上記範囲内に無い場合、Wを除く5色の透過スペクトルをバランスよく配置した際に、ピークトップの分離が明確にならず、補間色効果が出にくくなるからからである。
 また、Rカラーバーの透過スペクトルの半値幅としては、120nm以下であることが好ましく、中でも20nm以上100nm以下、特に30nm以上80nm以下であることが好ましい。また、上記半値幅の下限としては10nmとすることができる。上記半値幅が上記範囲内に無い場合、他の色のカラーバーの透過スペクトルとも重複領域を有し、本態様のカラーチャートの色域の赤色領域を十分に広げることが困難となる可能性や、再現可能な色の彩度が低下する恐れがあるからである。なお、透過スペクトルの半値幅とは、透過スペクトルのピーク透過率の半値となる波長の間隔をいい、上述した透過スペクトルの測定(オリンパス株式会社 顕微分光測定機OSP-SP200使用)による測定結果から算出することができる。以下、他の色のカラーバーについても同様とする。
 また、Rカラーバーの透過スペクトルは、さらに、BT.2020規格で規定される赤色の透過スペクトルと同等であることが好ましい。つまり、Rカラーバーの透過スペクトルのピーク波長が620nm以上680nm以下であり半値幅が100nm以下であることが好ましく、ピーク波長が630nm以上670nm以下であり半値幅が80nm以下であることがより好ましく、ピーク波長が630nm以上660nm以下であり半値幅が70nm以下であることがさらに好ましい。上記Rカラーバーの透過スペクトルのピーク波長および半値幅を上記範囲内とすることで、xy色度図上でのRカラーバーの座標をBT.2020規格で規定される赤色の座標と一致もしくは近似させることができ、本態様のカラーチャートの色域の赤色領域を、BT.2020規格で規定される赤色領域まで広げること可能となるからである。
(ii)緑色(G)カラーバー
 Gカラーバーは、光源における緑色光に対する選択透過性を有する。Gカラーバーの透過スペクトルは、分離したピークトップを有することが好ましい。すなわち、Gカラーバーの透過スペクトルが、山形波形であることが好ましい。カラーバー群の明るさをより均一にし、かつ、撮像機器のカメラに備わったIRカットフィルターによる影響をより一層抑制することで、撮像機器の正確な色較正を行うことが可能となるからである。
 Gカラーバーの透過スペクトルのピーク波長は、例えば、495nm以上570nm以下であることが好ましく、中でも505nm以上550nm以下、特に510nm以上540nm以下であることが好ましい。上記ピーク波長が上記範囲内に無い場合、Wを除く5色の透過スペクトルをバランスよく配置した際に、ピークトップの分離が明確にならず、補間色効果が出にくくなるからからである。
 また、Gカラーバーの透過スペクトルの半値幅としては、Gカラーバーの透過スペクトルが、Cyカラーバーの透過スペクトルおよびYeカラーバーの透過スペクトルと、一部で重複可能となる波形を示すことが可能であればよい。具体的には、上記半値幅が100nm以下であることが好ましく、中でも20nm以上80nm以下、特に30nm以上60nm以下であることが好ましい。また、上記半値幅の下限としては10nmとすることができる。
 上記半値幅が上記範囲内に無い場合、他の色のカラーバーの透過スペクトルとも重複領域を有し、本態様のカラーチャートの色域の緑色領域を十分に広げることが困難となる可能性や、再現可能な色の彩度が低下する恐れがあるからである。
 また、Gカラーバーの透過スペクトルは、BT.2020規格で規定される緑色の透過スペクトルと同等であることが好ましい。つまり、Gカラーバーの透過スペクトルのピーク波長が510nm以上540nm以下であり半値幅が80nm以下であることが好ましく、ピーク波長が515nm以上538nm以下であり半値幅が60nm以下であることがより好ましく、ピーク波長が520nm以上535nm以下であり半値幅が40nm以下であることがさらに好ましい。上記Gカラーバーの透過スペクトルのピーク波長および半値幅を上記範囲内とすることで、xy色度図上でのGカラーバーの座標をBT.2020規格で規定される緑色の座標と一致もしくは近似させることができ、本態様のカラーチャートの色域の緑色領域を、BT.2020規格で規定される緑色領域まで広げること可能となるからである。
(iii)青色(B)カラーバー
 Bカラーバーは、光源における青色光に対する選択透過性を有する。Bカラーバーの透過スペクトルは、分離したピークトップを有することが好ましい。すなわち、Bカラーバーの透過スペクトルが、山形波形であることが好ましい。カラーバー群の明るさをより均一にし、かつ、撮像機器のカメラに備わったIRカットフィルターによる影響をより一層抑制することで、撮像機器の正確な色較正を行うことが可能となるからである。
 Bカラーバーの透過スペクトルのピーク波長は、例えば、430nm以上490nm以下であることが好ましく、中でも435nm以上475nm以下、特に450nm以上470nm以下であることが好ましい。上記ピーク波長が上記範囲内に無い場合、Wを除く5色の透過スペクトルをバランスよく配置した際に、ピークトップの分離が明確にならず、補間色効果が出にくくなるからからである。
 また、Bカラーバーの透過スペクトルの半値幅としては、Bカラーバーの透過スペクトルが、Cyカラーバーの透過スペクトルと一部で重複可能となる波形を示すことが可能であればよい。具体的には、上記半値幅が100nm以下であることが好ましく、中でも20nm以上85nm以下、特に25nm以上55nm以下であることが好ましい。また、上記半値幅の下限としては10nmとすることができる。上記半値幅が上記範囲内に無い場合、他の色のカラーバーの透過スペクトルとも重複領域を有し、本態様のカラーチャートの色域の青色領域を十分に広げることが困難となる可能性や、再現可能な色の彩度が低下するおそれがあるからである。
 また、Bカラーバーの透過スペクトルは、BT.2020規格で規定される青色の透過スペクトルと同等であることが好ましい。つまり、Bカラーバーの透過スペクトルのピーク波長が450nm以上472nm以下であり半値幅が80nm以下であることが好ましく、ピーク波長が455nm以上470nm以下であり半値幅が60nm以下であることがより好ましく、ピーク波長が458nm以上468nm以下であり半値幅が40nm以下であることがさらに好ましい。上記Bカラーバーの透過スペクトルのピーク波長および半値幅を上記範囲内とすることで、xy色度図上でのRカラーバーの座標をBT.2020規格で規定される青色の座標と一致もしくは近似させることができ、本態様のカラーチャートの色域の青色領域を、BT.2020規格で規定される青色領域まで広げること可能となるからである。
(iv)第1色カラーバー
 本態様における第1色カラーバーは、xy色度図上での座標点が、(0.351、0.649)、(0.547、0.453)、(0.380、0.506)、(0.433、0.464)の4点に囲まれた領域内にあるが、中でも(0.417、0.583)、(0.490、0.510)、(0.387、0.501)、(0.421、0.474)の4点に囲まれる領域内にあることが好ましく、特に、(0.435、0.565)、(0.472、0.528)、(0.402、0.504)、(0.421、0.489)の4点に囲まれる領域内にあることが好ましい。
 また、第1色カラーバーの透過スペクトルは、分離したピークトップを有する。すなわち、第1色カラーバーの透過スペクトルは、山形波形である。これにより、カラーバー群の明るさをより均一にし、かつ、撮像機器のカメラに備わったIRカットフィルターによる影響をより一層抑制することで、撮像機器の正確な色較正を行うことが可能となるからである。
 なお、本明細書において、第1色カラーバーをYeカラーバーと称して説明する場合がある。
 Yeカラーバーは、光源における短波長光および長波長光に対する選択透過性を有する。また、Yeカラーバーの透過スペクトルは、Gカラーバーの透過スペクトルとRカラーバーの透過スペクトルとの間に位置する。
 Yeカラーバーの透過スペクトルのピーク波長は、540nm以上595nm以下であればよく、中でも545nm以上585nm以下、特に560nm以上575nm以下であることが好ましい。上記ピーク波長が上記範囲内に無い場合、Wを除く5色の透過スペクトルをバランスよく配置した際に、ピークトップの分離が明確にならず、補間色効果が出にくくなるからからである。
 Yeカラーバーの透過スペクトルの半値幅としては、Yeカラーバーの透過スペクトルが、Gカラーバーの透過スペクトルと、一部で重複可能となる波形を示すことが可能であればよい。具体的には、上記半値幅が180nm以下であることが好ましく、中でも20nm以上170nm以下、特に30nm以上70nmm以下であることが好ましい。また、上記半値幅の下限としては10nmとすることができる。上記半値幅が上記範囲内に無い場合、他の色のカラーバーの透過スペクトルとの重複領域が増加するからである。
(v)第2色カラーバー
 本態様における第2色カラーバーは、xy色度図上での座標点が、(0.125、0.489)、(0.112、0.229)、(0.270、0.407)、(0.224、0.242)の4点に囲まれる領域内にあるが、中でも(0.123、0.437)、(0.115、0.296)、(0.254、0.350)、(0.240、0.297)の4点に囲まれる領域内であることが好ましく、特に、(0.133、0.384)、(0.130、0.320)、(0.239、0.341)、(0.231、0.312)の4点に囲まれる領域内であることが好ましい。
 また、第2色カラーバーの透過スペクトルは、分離したピークトップを有する。すなわち、第2色カラーバーの透過スペクトルは、山形波形である。これにより、カラーバー群の明るさをより均一にし、かつ、撮像機器のカメラに備わったIRカットフィルターによる影響をより一層抑制することで、撮像機器の正確な色較正を行うことが可能となるからである。
 なお、本明細書において、第2色カラーバーをCyカラーバーと称して説明する場合がある。
 Cyカラーバーは、光源における短波長光および中波長光に対する選択透過性を有する。Cyカラーバーの透過スペクトルは、Gカラーバーの透過スペクトルとBカラーバーの透過スペクトルとの間に位置する。
 Cyカラーバーの透過スペクトルのピーク波長は、470nm以上515nm以下であればよく、中でも480nm以上505nm以下、特に490nm以上500nm以下であることが好ましい。上記Cyカラーバーの透過光のピーク波長が上記範囲内に無い場合、Wを除く5色の透過スペクトルをバランスよく配置した際に、ピークトップの分離が明確にならず、補間色効果が出にくくなるからからである。
 Cyカラーバーの透過スペクトルの半値幅としては、Cyカラーバーの透過スペクトルが、Gカラーバーの透過スペクトルおよびBカラーバーの透過スペクトルと、一部で重複可能となる波形を示すことが可能であればよい。具体的には、上記半値幅が150nm以下であることが好ましく、中でも20nm以上130nm以下、特に30nm以上80nm以下であることが好ましい。また、上記半値幅の下限としては10nmとすることができる。上記半値幅が上記範囲内に無い場合、他の色のカラーバーの透過スペクトルとの重複領域が増加し、特にBおよびGとは、xy色度図における色座標上では異なる色彩であっても、分光透過スペクトル上でのスペクトル分離が困難になるからである。
(vi)白色(W)カラーバー
 Wカラーバーは、無色で透光性を有し、ブランクとして用いられる。Wカラーバーは後述する透明基板とすることができる。また、輝度調整を可能とするため、目に見える範囲の光を均等に吸収できるように設計された無彩色のWカラーバー(例えば、NDフィルター等)を透明基板上に配置してもよく、透明基板として用いてもよい。
(vii)任意のカラーバー
 上記カラーバー群は、上述の6色のカラーバーに加えて、所定の透過スペクトルを有するバイオレット(V)および近赤外(NIR)の2色のカラーバーをさらに含むことが好ましい。Wを除く5色のカラーバーに加え、所定の透過スペクトルを示すVカラーバーおよびNIRカラーバーを含むことで、カラーチャートは、可視光領域内の色を十分に網羅することができ、可視光領域内の色を一様に再現することができる。これにより、カラーチャートを用いた撮像機器の色較正の精度を高めることができる。
 また、上記カラーバー群は、上述の6色のカラーバーに加えて、所定の透過スぺクトルを有するオレンジ色(O)カラーバーをさらに含むことが好ましい。カラーチャートは、所定の透過スペクトルを示すOカラーバーをさらに含むことで、ピーク波長の間隔が広い黄色と赤色との中間色を補うことができ、可視光領域内の色をバランスよく十分に網羅することができるため、より詳細かつ高精度な色較正が可能となる。
 上記カラーバー群は、上述の6色のカラーバーと、所定の透過スペクトルを有するVカラーバーおよびNIRカラーバーの2色とを含む計8色で構成されていてもよく、上述の6色のカラーバーとOカラーバーとを含む計7色で構成されていてもよい。さらに、上述の6色のカラーバーと、VカラーバーおよびNIRカラーバーならびにOカラーバーの計3色とを含む計9色で構成されていてもよい。
 以下、カラーチャートに含むことが可能な、各色のカラーバーについて説明する。
(バイオレット色(V)カラーバー)
 Vカラーバーの透過スペクトルは、光源における短波長光のうち青色光よりも短波長側の光に対する選択透過性を有することから、Bカラーバーの透過スペクトルよりも短波長側に位置し、一部がBカラーバーの透過スペクトルと重複することが好ましい。
 Vのカラーバーの透過スペクトルは、図16で示すような山形波形の他に、図15(b)で示すように、ある波長以下において所定の透過率以上の透過率を示す波形を有し、山形波形とならない場合がある。このため、Vのカラーバーの透過スペクトルについては、図15(b)で示すように、波長415nmを基準波長λsとし、基準波長λsでの実測透過率Tを「基準波長での透過率(以下、基準透過率とする場合がある。)」とする。Vカラーバーの透過スペクトルは、415nmを基準波長λsとし、基準波長λsでの透過率を100%としたときの相対透過率が50%となる波長(相対波長)λ3が435nm以上465nm以下であることが好ましく、中でも435m以上460nm以下、特に440nm以上455nm以下であることが好ましい。相対波長を上記範囲内とすることで、基準波長よりも長波長領域でのスペクトルの波形の広がりを抑え、Bカラーバーの透過スペクトルと所望の波長領域で重複することができる。これにより、Vカラーバーの透過スペクトルは、Bカラーバーの透過スペクトルとピークトップの分離を維持しながらもピーク自体の重複は維持できるため、可視光領域の短波長側を漏れなく評価することができるからである。
 Vカラーバーの透過スペクトルの、上記基準波長よりも短波長領域では、所定値以上の透過率を示すことが好ましい。「基準波長よりも短波長領域」とは、可視光領域の下限である波長380nm以上であり、基準波長の415nmよりも小さい波長領域をいう。Vカラーバーの透過スペクトルが基準波長よりも短波長領域で所定値以上の透過率を示すとは、具体的には、基準透過率を100%としたときの、基準波長よりも短波長領域での相対透過率が5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。Vカラーバーの透過スペクトルの基準波長よりも短波長領域にある色の再現が可能となるからである。
 Vカラーバーの透過スペクトルは、基準透過率を100%としたときの波長490nm以上での相対透過率が5%以下であることが好ましく、中でも3%以下、特に1%以下であることが好ましい。Vカラーバーの透過スペクトルの上記波長領域での相対透過率が上述の範囲を超えると、分光透過スペクトル上で、他の色のカラーバーの透過スペクトルとのスペクトル分離が困難となるほか、xy色度図における色座標に対する再現性が極めて低くなる可能性が高いからである。
(近赤外色(NIR)カラーバー)
 NIRカラーバーの透過スペクトルは、光源における長波長光のうち赤色光よりも長波長側の光に対する選択透過性を有することから、Rカラーバーの透過スペクトルよりも短波長側に位置し、一部がBカラーバーの透過スペクトルと重複することが好ましい。
 NIRカラーバーの透過スペクトルは、図15(c)で示すように、ある波長以上において、所定の透過率以上の透過率を示す波形を有し、山形波形とならない場合がある。このため、NIRのカラーバーの透過スペクトルについては、図15(c)で示すように、波長730nmを基準波長λtとし、基準波長λtでの実測透過率Tを「基準波長での透過率(以下、基準透過率とする場合がある。)」とする。NIRカラーバーの透過スペクトルは、730nmを基準波長λtとし、上記基準波長λtでの透過率を100%としたときの相対透過率が50%となる波長(相対波長)λ4が630nm以上730nm以下であることが好ましく、中でも640nm以上710nm以下、特に650nm以上700nm以下であることが好ましい。相対波長を上記範囲内とすることで、基準波長よりも短波長領域でのスペクトルの波形の広がりを抑え、Rカラーバーの透過スペクトルと所望の波長領域で重複することができる。これにより、NIRカラーバーの透過スペクトルは、Rカラーバーの透過スペクトルとピークトップの分離を維持しながらも、ピーク自体の重複は維持できるため、可視光領域の高波長側を漏れなく評価することができるからである。
 また、NIRカラーバーの透過スペクトルの、上記基準波長よりも長波長領域では、一定値以上の透過率を示すことが好ましい。「基準波長よりも長波長領域」とは、基準波長である730nmよりも大きく、可視光領域の上限である波長780nm以下の波長領域をいう。NIRカラーバーの透過スペクトルが基準波長よりも長波長領域で一定値以上の透過率を示すとは、具体的には、基準透過率を100%としたときの、基準波長よりも長波長領域での相対透過率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。NIRカラーバーの透過スペクトルの基準波長よりも長波長領域にある色の再現が可能となるからである。
 NIRカラーバーの透過スペクトルは、基準透過率を100%としたときの波長620nm以下での相対透過率が5%以下であることが好ましく、中でも2%以下、特に1%以下であることが好ましい。NIRカラーバーの透過スペクトルの上記波長領域での相対透過率が上述の範囲を超えると、分光透過スペクトル上で、他の色のカラーバーの透過スペクトルとのスペクトル分離が困難となるほか、xy色度図における色座標に対する再現性が極めて低くなる可能性が高いからである。
(オレンジ色(O)カラーバー)
 Oカラーバーの透過スペクトルは、光源における長波長光のうち赤色光よりも短波長側の光に対する選択透過性を有することから、Yeカラーバーの透過スペクトルとRカラーバーの透過スペクトルとの間に位置することが好ましい。Yeカラーバーの透過スペクトルとRカラーバーの透過スペクトルとのピーク波長の間隔は広いため、上記の位置にOカラーバーの透過スペクトルのピーク波長が位置することで、YeとRとの中間色を補うことができ、上記中間色を再現することが可能となる。
 Oカラーバーの透過スペクトルのピーク波長は、575nm以上620nm以下であることが好ましく、中でも580nm以上615nm以下、特に585nm以上610nm以下であることが好ましい。上記ピーク波長が上記範囲内に無い場合、Wを除く8色の透過スペクトルをバランスよく配置した際に、ピークトップの分離が明確にならず、補間色効果が出にくくなるからからである。
 Oカラーバーの透過スペクトルの半値幅としては、Oカラーバーの透過スペクトルが、Yeカラーバーの透過スペクトルおよびRカラーバーの透過スペクトルと、一部で重複可能となる波形を示すことが可能であればよい。具体的には、上記半値幅が120nm以下であることが好ましく、中でも20nm以上100nm以下、特に20nm以上70nm以下であることが好ましい。また、上記半値幅の下限としては10nmとすることができる。上記半値幅が上記範囲内に無い場合、他の色のカラーバーの透過スペクトルとの重複領域が増加し、特にYe、RおよびNIRとはxy色度図における色座標上では異なる色彩であっても、分光透過スペクトル上でのスペクトル分離が困難になるからである。
 Oカラーバーの透過スペクトルは、ピーク透過率を100%としたときの、波長550nm以下および680nm以上での相対透過率が10%以下であることが好ましく、中でも5%以下、特に3%以下であることが好ましい。Oカラーバーの透過スペクトルの、上記波長領域での相対透過率が上述の範囲を超えると、他の色のカラーバーの透過スペクトルとの重複領域が増加し、分光透過スペクトル上でのスペクトル分離が困難となる可能性があるからである。また、カラーチャートによるOの色再現精度が低下する場合があるからである。
(マゼンタ色(Mg)カラーバー)
 上記カラーバー群は、マゼンタ色(Mg)カラーバーを含むことが好ましい。カラーチャートに基づくxy色度図上において、R座標とCy座標と位置関係、および、B座標とYe座標との位置関係によりW座標の位置を特定することができるが、さらにG座標とMg座標との位置関係を考慮することで、基準色であるD65のW座標の位置をより正確に特定することができる。
 Mgカラーバーは、光源における赤色光および青色光に対する選択透過性を有する。Mgカラーバーの透過スペクトル22(Mg)は、図17で示すように、Rカラーバーの透過スペクトル22(R)のピーク波長付近に第1の透過ピーク(以下、第1のピーク波長とする。)を有し、Bカラーバーの透過スペクトル22(B)のピーク波長付近に第2の透過ピーク(以下、第2のピーク波長とする。)を有することが好ましい。
 Mgカラーバーの透過スペクトルは、第1のピーク波長が567nm以上780nm以下にあることが好ましく、中でも590nm以上710nm以下、特に610nm以上680nm以下にあることが好ましい。また、第2のピーク波長が380nm以上495nm以下にあることが好ましく、中でも400nm以上485nm以下、特に430nm以上470nm以下にあることが好ましい。Mgカラーバーの透過スペクトルの各ピーク波長が上記範囲内に無い場合、マゼンタと補色関係にある緑とを混合して白を再現する際に、いかなる混合比であってもD65となる白を得ることが困難となるからである。また、Mgカラーバーの透過スペクトルの半値幅によらず、xy色度図上において指定の色座標に落ち仕込むことが困難となるからである。
(その他)
 カラーチャートの分光透過スペクトルにおいては、可視光領域において隣り合う透過スペクトルが一部で重複することで、混色に含まれる各色成分の混合割合を正確に特定することができ、混色の色再現精度および色較正精度を向上することができる。
(2)xy色度図
 次に、上記カラーバー群によりカラーチャートが示すxy色度図について説明する。カラーチャートは、Wを除く5色のカラーバーの色度座標が、xy色度図上において図14で示すように分布する。図14で示すxy色度図上のR、G、B、Ye、およびCyの各座標(x、y)としては、例えば、R(0.708、0.291)、G(0.187、0.751)、B(0.137、0.049)、Ye(0.448、0.538)、Cy(0.141、0.339)とすることができる。
 カラーチャートは、xy色度図上において、5色の各座標を直線で結んだ五角形で囲まれた色域内に包含されるポインターカラーを再現および較正することができる。カラーバー群を構成する各カラーバーが上述の透過スペクトルを示すことから、従来のカラーチャートよりも広域の色域を有することができる。
 白を除く5色の上記カラーバーのxy色度図上での座標を直線で結んだ五角形内に包含されるポインターカラーの包含率が、例えば、90.3%以上であることが好ましく、中でも99.9%以上であることが好ましく、さらには100%であること、すなわち、上記五角形内にポインターカラーを全て含むことが好ましい。白を除く5色の座標を直線で結んだ五角形内がカラーチャートの色域となり、上記色域がポインターカラーを十分に包含することで、可視光領域内の色を十分に網羅することができる。これにより、実在する物体色をより正確に再現することができるため、撮像機器の色較正を高精度で行うことができるからである。
 カラーチャートが、上記カラーバー群にVカラーバー、NIRカラーバーおよびOカラーバーを含む場合、Wを除く8色のカラーバーの色度座標が、xy色度図上において図18で示すように分布する。図18で示すxy色度図上の、V、NIR、およびOの各座標(x、y)としては、例えば、V(0.164、0.013)、NIR(0.724、0.272)、O(0.647、0.352)とすることができる。
 カラーチャートは、上記カラーバー群に含まれる色の数に応じて、xy色度図上の色域の範囲を拡張することができる。例えば、上記カラーバー群が、6色のカラーバーに加えてさらにVカラーバーおよびNIRカラーバーを含む計8色で構成される場合、カラーチャートは、xy色度図上において、Wを除く7色の各座標を直線で結んだ七角形で囲まれた色域内に包含されるポインターカラーを再現および較正することができる。また、上記カラーバー群が、6色のカラーバーに加えてさらにOカラーバーを含む計7色で構成される場合、カラーチャートは、xy色度図上において、Wを除く6色の各座標を直線で結んだ六角形で囲まれた色域内に包含されるポインターカラーを再現および較正することができる。さらに、上記カラーバー群が、6色のカラーバーに加えてさらにVカラーバー、NIRカラーバーおよびOカラーバーを含む計9色で構成される場合、本態様のカラーチャートは、xy色度図上において、Wを除く8色の各座標を直線で結んだ八角形で囲まれた色域内に包含されるポインターカラーを再現および較正することができる。このように、カラーバー群を構成するカラーバーの色の種類を増やすことで、より広域の色域を有することができる。カラーバー群が、上述の7色、8色または9色で構成される場合の、xy色度図上での座標を直線で結んだ多角形内に包含されるポインターカラーの包含率は、5色のカラーバーによる五角形内に包含されるポインターカラーの包含率と同様とすることができる。
 上述したように、カラーチャートの分光透過スペクトルにおいて、R、G、およびBの各色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長および半値幅は、所定の範囲内にあることが好ましい。カラーチャートの、xy色度図上における三原色の座標を直線で結んだ三角形で規定される色域(図14中のL2)を、BT.2020規格における三原色の座標で規定される色域に近付けることができ、BT.2020規格が適用される撮像機器の色較正に対応可能となるからである。また、各色座標に対して、透過スペクトルの波形にさまざまな波形形状を持たせることができるため、各色に対して透過スペクトルのピーク波長の位置とあわせて半値幅を設定することで、カラーチャートは、透過スペクトルによる色再現性を確保することができるからである。
 図19で示すように、Cyカラーバーのxy色度図上での座標(以下、Cy座標とする。)が、上記Rカラーバーのxy色度図上での座標(R座標)とW(65)座標とを結ぶ線の延長線上であり、且つ、BT.2020規格で規定される色域の外周上若しくは上記色域の外側に位置し、上記Yeカラーバーのxy色度図上での座標(以下、Ye座標とする。)が、上記Bカラーバーのxy色度図上での座標(B座標)とW(D65)座標とを結ぶ線の延長線上であり、且つ、BT.2020規格で規定される色域の外周上若しくは上記色域の外側に位置することが好ましい。xy色度図上において、Cy座標の位置をW(D65)座標とR座標とを結ぶ線の延長線上とし、Ye座標の位置をW(D65)座標とB座標とを結ぶ線の延長線上とすることにより、補色関係にあるシアンおよび赤もしくは黄および青のそれぞれの組み合わせを適度な比率で混合してD65となる白を再現することができ、ホワイトバランスの高精度な調整が可能となるからである。また、Cy座標およびYe座標の位置は、BT.2020規格で規定される色域の外周上のほか、上記色域の外側に位置してもよく、これにより本態様のカラーチャートを用いて色再現が可能な色域を広げることができる。
 中でも、Cy座標がR座標とW座標とを結ぶ線の延長線と上記三角形の辺との交点であり、Ye座標がB座標とW座標とを結ぶ線の延長線と上記三角形の辺との交点であることが好ましい。xy色度図上で、Cy座標が上記三角形上にあると、緑および青を適当な混合比で混合して得られるシアンと本態様のカラーチャートのCyカラーバーが示すシアンとが同じであるか検証することができ、且つ、シアンおよび赤の混合により得られる白がD65の白であるかの検証を行うことが可能となる。また、Yeに関しても同様に、xy色度図上で、Ye座標が上記三角形上にあると、緑および赤を適当な混合比で混合して得られる黄とカラーチャートのYeカラーバーが示す黄色とが同じであるか検証することができ、且つ、黄および青の混合により得られる白がD65の白であるかの検証を行うことが可能となる。このようにカラーチャートは、xy色度図上のCy座標およびYe座標が上記の位置にあることで、シアンおよび赤、ならびに黄および青の、それぞれの混合により得られる同じ白を、D65の白に較正することができる。
 さらに、上記カラーバー群がMgカラーバーを含む場合は、Mgカラーバーのxy色度図上での座標(以下、Mg座標とする。)が、上記Gカラーバーのxy色度図上での座標(G座標)と上記W座標とを結ぶ線の延長線上にあることが好ましく、中でも、上記延長線上でありかつ上記三角形の辺上にあることが好ましい。xy色度図上において、Mg座標の位置をW(D65)座標とG座標とを結ぶ線の延長線上とすることで、補色関係にある赤およびシアン、青および黄色、ならびに緑およびマゼンダのそれぞれの組み合わせを適度な比率で混合してD65となる白を再現することができる。これにより、本態様のカラーチャートは、白の較正およびホワイトバランスの調整をより正確に行うことができるからである。Mgカラーバーを含む場合、色域を規定する各色座標としてMg座標は含まないものとする。
 Cy、Ye、およびMgの各色のカラーバーの透過スペクトルは、xy色度図上のCy、Ye、およびMgの各座標の位置に応じて、ピーク波長の位置や半値幅を適宜調整して設計することができる。Cyカラーバーの透過スペクトルは、Cyの座標を調整するために、W(D65)の色座標位置から目標とするCyの色座標に対して直線を引いたその延長線とxy色度図の外周曲線に沿った波長位置とが交わったところを、ピーク位置の目安とすることができる。また、Cyカラーバーの透過スペクトルの半値幅は、隣接する他の透過スペクトルのピーク位置と干渉しないよう設定することができる。上記半値幅が小さいほど彩度が高く、大きいほど彩度が低くなるので、Cyの目標とする座標位置に応じて半値幅を変更することが可能である。Yeカラーバーの透過スペクトルについても同様である。また、Mgに関しては、xy色度図上にて目標とするMg座標を通過する直線を引く事が可能な、BカラーバーもしくはVカラーバーのピーク波長位置およびRカラーバーもしくはNIRカラーバーのピーク波長位置に、それぞれ、Mgカラーバーの透過スペクトルの第1ピークおよび第2ピークを設定することができる。Mgカラーバーの透過スペクトルの半値幅は、Mgの目標とする座標位置に応じて変更することができる。
(3)カラーバーおよびカラーバー群の構造
 各色カラーバーは、所望の透過スペクトルを示す部材であればよく、例えば、バンドパスフィルタ、染色基板を用いることができる。染色基板は、染色法により形成することができ、例えば、臭化カリウムを硝酸銀の溶液をゼラチンに加えて調製した銀塩乳剤を用い、上記銀塩乳剤をガラス板等のチップ基板上に塗布し、乾燥して得た銀塩写真乾板から脱銀し、カラーバーの色に応じた染料により染色することで、形成することができる。また、染色基板は、ゼラチン(溶液)にあらかじめ染料を混合し、所定の色にした材料をガラス板等のチップ基板に塗布して形成することもできる。
 各色カラーバーの形成に際し、カラーバーの透過スペクトルのピーク波長位置は、カラーバーの種類やその形成方法に応じて調整が可能である。例えば、1種の染料を用いた染色基板をカラーバーとして用いる場合であれば、染料の濃度を調整することで、カラーバーの透過スペクトルのピーク波長も調整できる。また、2種以上の染料を配合して形成した染色基板をカラーバーとして用いる場合であれば、2種の染料の配合比率を変えることで、カラーバーの透過スペクトルのピーク波長を調整することができる。具体的には、Gカラーバーであれば、黄色系染料および青色系染料の2種を用いて染色法により形成することができるが、ピーク波長を長波長側へシフトさせる際は黄色系染料の配合比率を増やし、短波長側へシフトさせる際は青色系染料の配合比率を増やすことで、ピーク波長位置を調整することができる。
 カラーバーのサイズ等については特に限定されず、カラーチャートの用途等に応じて所望の効果を奏しやすくなるように、適宜設計することができる。
 カラーバー群において、各色カラーバーは順不同でパターン状に配列される。各色カラーバーの配列パターンとしては、図12で例示するように一列にラインパターン状に配列されていてもよく、例示しないが格子パターン状や円形状に配列されていてもよい。また、各色カラーバーの配列順については特に限定されず、カラーチャートの用途等に応じて所望の効果を奏しやすくなるように、適宜設計することができる。
 各色カラーバーは、例えば、蒸着法、染色法、印刷法、転写法、インクジェット法等の、従来公知の方法を用いて形成することができる。染色法によるカラーバーの形成方法については、上述したのでここでの説明は省略する。また、カラーバー群は、例えば、上述の方法で形成した各色カラーバーを、後述する透明基板の片面に所望のパターンで配列し、上記透明基板とカバーガラスとで挟持して形成することができる。
2.遮光部
 カラーチャートは、通常、上記透明基板上の、上記カラーバー群の外周に遮光部が設けられる。遮光部としては、所望の遮光性を有するものであればよく、例えば、クロム薄膜等の金属膜、黒色インキで形成された印刷層等が挙げられる。遮光部の形成方法については、使用する材料に応じて従来公知の方法を用いることができる。
3.透明基板
 本発明における透明基板としては、カラーバー群および遮光部を支持することができ、所望の光透過性を有するものであれば特に限定されず、従来公知のカラーチャートに用いられる透明基板と同様とすることができる。具体的には、ガラス基板等の無機基板や樹脂基板を用いることができる。樹脂基板は、板状の他、フィルムやシートであってもよい。
4.その他
 カラーチャートは、上述の構成の他に、アライメントマーク、認識コード、カバーガラス、カラーバー保持枠、遮光部付きの透明保護板等を有していてもよい。認識コードは、例えば、テストチャートの情報等を記録したコードとすることができる。また、アライメントマークは、位置情報が記録されたマークとすることができるが、さらにテストチャートの情報等が記録された認識コードとして機能してもよい。これらは、遮光部付きの透明保護板上に設けられていてもよい。
 また、カラーチャートは、IRカットフィルターを有していてもよい。各色カーバーが染色法により形成される場合、染料の特性上、透過スペクトルが650nm以上の波長領域において光を透過しやすい傾向があり、高い光透過率を有してしまう。特にYe、O、Rカラーバーに用いられる染料は、650nm付近から長波長側の光を吸収しにくい傾向にある。このため、長波長域では、各色の透過スペクトルが重複してしまう。これに対し、カラーバーに所定領域を除去するIRカットフィルターを合わせることで、各色の透過スペクトルを分離することができ、色の混色を防ぐことが可能となる。IRカットフィルターは、各色カラーバーの透過スペクトル特性に合わせて、遮断する波長領域を検討して選択することができる。IRカットフィルターは、従来公知のものを用いることができる。
 カラーチャートは、適応される撮像画像に応じて、サイズを設計することができる。例えば、カラーチャートを、撮像機器により等倍で撮像された測定試料の出力画像の色評価および色補正に使用する場合、撮像画像サイズに応じたサイズのカラーバー群が形成されたマクロ撮像用カラーチャートとすることができる。
 本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
 以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[参考例1~6]
 シミュレーションにより、CIE標準光源D65に近似した色較正用ビュアーのスペクトル特性について検討した。結果は、図10、表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
[実施例]
 紫励起LEDと、光拡散層としてアクリル樹脂88%以上のアクリル系樹脂板(厚み:2mm)とを組み合わせて、色較正用ビュアーとした。得られた色較正用ビュアーのCIELAB空間における色差ΔEabおよび発光強度を測定した。結果は、図7、図8、表2に示す。また、得られた色較正用ビュアーの平均演色評価数(Ra)、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)を用いて、CIE標準光源D65と3種のLED光源との色差を比較した。結果は、図20に示す。
 なお、光強度の測定は、トプコン社製SR-3を用い、上述した測定条件下で測定した値を用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 図7、図8および表2に示す実施例の結果から、本発明の色較正用ビュアーが、CIE標準光源D65に近似した光源であることが明らかとなった。なお、詳細な説明は、上述した図7、図8の説明で記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。また、図20に示す平均演色評価数(Ra)、演色評価数(R1~R8)および特殊演色評価数(R9~R15)においても、本発明の色較正用ビュアーがCIE標準光源D65に近似した光源であることが示された。
 1  … 光源
 2  … 筐体
 3  … 上蓋
 4  … 透過率調整層
 5  … 光拡散層
 6  … 輝度分布調整板
 7  … ヒートシンク
 8  … 調光回路
 9  … コンバーター
 10 … 電源スイッチ
 11 … 電源ケーブル
 12 … 透明基板
 13 … カラーバー群
 14 … 遮光部
 15 … カラーバー保持枠
 16 … カラーバー
 20 … 透過型色較正用カラーチャート(カラーチャート)
 100… 色較正用ビュアー

Claims (5)

  1.  色較正に用いられる色較正用ビュアーであって、
     波長440nm以上470nm以下である第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長505nmの相対強度が0.80以上0.95以下であり、かつ波長620nmの相対強度が0.65以上0.80以下であり、
     波長505nmの発光強度をAとし、波長620nmの発光強度をBとしたとき、AおよびBの比率(A/B)は、1.00以上1.46以下であることを特徴とする色較正用ビュアー。
  2.  前記第1波長域のピークトップの発光強度を1としたとき、波長390nm以上430nm以下である第2波長域のピークトップの相対強度が0.60以上1.00以下であることを特徴とする請求項1に記載の色較正用ビュアー。
  3.  LEDと、前記LEDの光が出射する面側に配置された透過率調整層とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色較正用ビュアー。
  4.  前記LEDが、紫励起LEDであり、発光スペクトルのピーク波長が390nm以上415nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の色較正用ビュアー。
  5.  請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の色較正用ビュアーと、
     色較正用カラーチャートとを有する色較正セットであって、
     前記色較正用カラーチャートは、透明基板と、前記透明基板上に形成されたカラーバー群と、
    を有し、
     前記カラーバー群は、赤、緑、青、第1色、第2色および白の少なくとも6色のカラーバーが、順不同でパターン状に配列されて構成され、
     前記第1色の座標点は、xy色度図上で(0.351、0.649)、(0.547、0.453)、(0.380、0.506)、(0.433、0.464)の4点に囲まれた領域内にあり、
     前記第2色の座標点は、xy色度図上で、(0.125、0.489)、(0.112、0.229)、(0.270、0.407)、(0.224、0.242)の4点に囲まれる領域内にあり、
     赤色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が600nm以上680nm以下、
     緑色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が495nm以上570nm以下、
     青色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が430nm以上490nm以下、
     第1色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が540nm以上595nm以下、
     第2色カラーバーの透過スペクトルのピーク波長が470nm以上515nm以下であることを特徴とする色較正セット。
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