WO2018181777A1 - 第四世代egfrチロシンキナーゼ阻害剤 - Google Patents

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Abstract

C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に対して特異的なチロシンキナーゼ阻害活性を有し、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)特異的チロシンキナーゼ阻害剤、耐性変異EGFRを持つ非小細胞肺がん等の予防および/または治療剤等として有用である化合物を提供すること。 式(I):[式中、 Xは、OまたはNHを示し、 R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し; R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、 R5およびR6は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素基を示す。] で表される化合物(但し、以下の化合物:式(Ⅱ)を除く。)またはその塩。

Description

第四世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤
 本発明は、EGFRチロシンキナーゼ阻害活性を有する化合物および当該化合物を含有するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤に関する。
 肺がんの80%は非小細胞肺がんであり、その非小細胞肺がんの20~30%に、上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor:EGFR)の遺伝子変異が認められる。主要な変異はEGFRキナーゼドメインのL858R変異もしくはexon19欠損である。この変異によりEGFRから核への細胞増殖シグナルの伝達が恒常的に活性化し、細胞ががん化する。このような活性化変異EGFR(L858Rもしくはexon19欠損)を持つ非小細胞肺がんに対しては、Gefitinib(1)やErlotinib(2)のようなチロシンキナーゼ阻害剤(第一世代EGFR-TKI)が顕著な抗腫瘍効果を示す。一方、これらの薬剤を継続使用すると、多くの場合1年程度で、EGFRに二次的な耐性変異(T790M)が起こり、がんが再燃する(非特許文献1)。この耐性変異に対処するため、Gefitinib(1)の骨格にマイケル受容体を組み込んだ非可逆型阻害剤Afatinib(3)(第二世代EGFR-TKI)が開発された(非特許文献2)。しかしながら、この薬剤は、T790M二次耐性変異EGFRのみならず、正常細胞にも存在する野生型EGFR(WT)も強く阻害するため、薬剤の血中濃度を十分に高めることができず、耐性変異EGFRを持つ非小細胞肺がんに対しては、十分な治療効果を示すには至っていない(非特許文献3)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 一方、T790M二次耐性変異EGFRに対する選択的阻害活性を持つ第三世代EGFR-TKIとして、ピリミジン骨格を持つ非可逆型阻害剤WZ4002(4)(非特許文献4)、Rociletinib(CO-1686)(5)(非特許文献5)、Osimertinib(AZD9291)(6)(非特許文献6)が最近開発された。これらのうち、AstraZeneca社で開発された6については、米国FDAにより画期的治療薬として迅速審査の対象となり、2015年11月にEGFR-T790M陽性変異非小細胞肺がん治療薬として認可された(非特許文献7)。国内でも2016年5月より6の臨床使用が可能となっている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 しかしながら、6の治験の段階で、第三世代EGFR-TKIに対しても耐性を示す新たなC797S変異型三次耐性EGFRが報告された(非特許文献8)。T790M二次耐性変異EGFRを標的とした第三世代EGFR-TKIはいずれも非可逆型阻害剤であり、EGFRキナーゼドメインに存在するCys797の側鎖チオール基と阻害剤のアクリルアミド部位が共有結合を形成することにより、強い抗腫瘍活性を示す。したがって、Cys797から反応性の低い側鎖ヒドロキシ基を持つSer797への変異は、非可逆型阻害剤にとっては致命的である。実際、C797S変異型三次耐性EGFRを持つ非小細胞肺がんに対しては、非可逆型阻害剤のみならず、既存のEGFR-TKIが全て無効となる(非特許文献9)。今後、第三世代EGFR-TKIの臨床使用により、C797S変異型三次耐性EGFRを持つ非小細胞肺がんが顕在化してくることは明らかであり、この変異体に有効な第四世代EGFR-TKIの開発は喫緊の課題と考えられる(非特許文献10)。
V. Sharma, et al. Epidermal growth factor receptor mutations in lung cancer, Nature Reviews, 7, 169-181 (2007) D. Li, et al. BIBW2992, an irreversible EGFR/HER2 inhibitor highly effective in preclinical lung cancer models, Oncogene, 27, 4702-4711 (2008) Y. Kim, et al. The EGFR T790M Mutation in Acquired Resistance to an Irreversible Second-Generation EGFR Inhibitors, Molecular Cancer Therapeutics, 11, 784-791 (2012) W. Zhou, et al. Novel mutant-selective EGFR kinase inhibitors against EGFR T790M, Nature, 462, 1070-1074 (2009) A. O. Walter, et al. Discovery of a Mutant-Selective Covalent Inhibitor of EGFR that Overcomes T790M-Mediated Resistance in NSCLC, Cancer Discovery, 1404-1415 (2013) D. A. E. Cross, et al. AZD9291, an Irreversible EGFR TKI, Overcomes T790M-Mediated Resistance to EGFR Inhibitors in Lung Cancer, Cancer Discovery, 1047-1061 (2014) FDA News Release, FDA approves new pill to treat certain patients with non-small cell lung cancer, November 13, 2015 K. S. Thress, et al. Acquired EGFR C797S mutation mediates resistance to AZD9291 in non-small cell lung cancer harboring EGFR T790M, Nature Medicine, 21, 560-564 (2015) D. Ercan, et al. EGFR Mutations and Resistance to Irreversible Pyrimidine-Based Inhibitors, Clinical Cancer Research, 21, 3913-3923 (2015) Y. Jia, et al. Overcoming EGFR(T790M) and EGFR(C797S) resistance with mutant-selective allosteric inhibitors, Nature, 534, 129-132 (2016)
 本発明の目的は、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に有効な第四世代EGFR-TKIを提供することである。
 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下式(I)で表される化合物が、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に対して特異的なチロシンキナーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
 具体的には、本発明者らは、海洋天然物ラメラリンを構造モチーフとする抗がん剤開発研究の一環として、がん関連キナーゼに対するラメラリン類の活性評価を実施した。その結果、ラメラリンN(7)が耐性変異EGFR(L858R/T790M)に対して阻害活性を示すことを見出した。ラメラリンN(7)は、可逆型阻害剤であり、活性発現をCys797との共有結合形成に依存しないため、C797S変異に有効なEGFR-TKI創出のためのヒット化合物と考えられた。そこで、ヒット化合物の活性向上を目指し、EGFR(L858R/T790M)キナーゼドメインに対するラメラリンN(7)のドッキングシミュレーションを行った(図1)。その結果、キナーゼのATP結合ポケットの開口部に配向したラメラリンN(7)のA環部置換基とその近傍の存在するPhe795、Asp800、Glu804との相互作用強化が活性向上に繋がると予想された。そこで、ラメラリンN(7)のA環部の酸素官能基部分(OH、OMe)に種々の置換基を導入した新規ラメラリンN誘導体を合成し評価した。また、ラメラリンN(7)のB環部ラクトン環をラクタム環に置換したアザラメラリンN(8)についても同様の構造展開を行った。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 すなわち、本発明は以下の通りである。
 [1]式(I):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
[式中、
 Xは、OまたはNHを示し、
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し;
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、
 RおよびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
で表される化合物(但し、以下の化合物:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
を除く。)またはその塩(本明細書中、「化合物(I)」と略記する場合がある)。
 [2]式(I):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
[式中、
 Xは、OまたはNHを示し、
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し;
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、
 RおよびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
で表される化合物またはその塩を含有する、C797S変異型耐性EGFR特異的チロシンキナーゼ阻害剤。
 本発明の化合物は、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に対して特異的なチロシンキナーゼ阻害活性を有し、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)特異的チロシンキナーゼ阻害剤、耐性変異EGFRを持つ非小細胞肺がん等の予防および/または治療剤等として有用である。
EGFR(L858R/T790M)キナーゼドメインに対するラメラリンN(7)のドッキングシミュレーションを示す。 試験例4における化合物26dによるEGFRシグナルの阻害を示す。 試験例5における化合物26dのマウスゼノグラフトモデルにおける抗腫瘍効果を示す。 試験例5における化合物26d投与期間中のヌードマウス体重の推移を示す。
 以下に、本発明を詳細に説明する。
 以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り各置換基は以下の定義を有する。
 本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
 本明細書中、「炭化水素基」としては、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基が挙げられる。
 本明細書中、「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルが挙げられる。
 本明細書中、「C2-6アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニルが挙げられる。
 本明細書中、「C2-6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニルが挙げられる。
 本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
 本明細書中、「C3-10シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
 本明細書中、「C6-14アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリルが挙げられる。
 本明細書中、「C7-16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
 本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C1-6アルキル基でモノ-またはジ-置換されていてもよいアミノ基、グアニジノ基が挙げられる。置換基の数は、例えば、1~5個であり、好ましくは、1~3個である。置換基が複数存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
 以下に、式(I)中の各記号の定義について詳述する。
 Xは、OまたはNHを示す。
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。
 RおよびRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)が好ましい。
 RおよびRは、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)であり、より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基でモノ-またはジ-置換されていてもよいアミノ基(例、ジメチルアミノ)およびグアニジノ基から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基でジ-置換されたアミノ基(例、ジメチルアミノ)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)である。
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。
 RおよびRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、C1-6アルキル基(例、メチル)が好ましい。
 RおよびRは、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)であり、より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、さらに好ましくは、それぞれ水素原子である。
 RおよびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素基を示す。
 RおよびRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、C1-6アルキル基(例、メチル)が好ましい。
 RおよびRは、好ましくは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)であり、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基(例、メチル)である。
 化合物(I)の好適な例としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物I-1]
 Xが、OまたはNHであり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)であり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)である;
化合物(I)。
[化合物I-2]
 Xが、OまたはNHであり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基でモノ-またはジ-置換されていてもよいアミノ基(例、ジメチルアミノ)およびグアニジノ基から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)であり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、C1-6アルキル基(例、メチル)である;
化合物(I)。
[化合物I-3]
 Xが、OまたはNHであり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基でモノ-またはジ-置換されていてもよいアミノ基(例、ジメチルアミノ)およびグアニジノ基から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)であり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子であり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、C1-6アルキル基(例、メチル)である;
化合物(I)。
[化合物I-4]
 Xが、OまたはNHであり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基でジ-置換されたアミノ基(例、ジメチルアミノ)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n-プロピル)であり;
 RおよびRが、それぞれ水素原子であり;
 RおよびRが、それぞれ独立して、C1-6アルキル基(例、メチル)である;
化合物(I)。
 化合物(I)が塩である場合、このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
 無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩が挙げられる。
 有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチレンジアミンとの塩が挙げられる。
 無機酸との塩の好適な例としては、塩化水素、臭化水素、硝酸、硫酸、リン酸との塩が挙げられる。
 有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸との塩が挙げられる。
 塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンとの塩が挙げられる。
 酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸との塩が挙げられる。
 これらの塩のなかでも、薬学的に許容し得る塩が好ましい。薬学的に許容し得る塩としては、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。また、化合物内に酸性官能基を有する場合には、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
 また、化合物(I)は、同位元素(例、H、13C、14C、18F、35S、125I)等で標識されていてもよい。
 さらに、化合物(I)は、水和物であっても、非水和物であっても、無溶媒和物であっても、溶媒和物であってもよい。
 さらに、HをH(D)に変換した重水素変換体も、化合物(I)に包含される。
 化合物(I)が不斉中心を有する場合、エナンチオマーあるいはジアステレオマーなどの異性体が存在し得る。このような異性体およびそれらの混合物はすべて本発明の範囲内に包含される。また、コンホメーションあるいは互変異性による異性体が生成する場合があるが、このような異性体あるいはその混合物も本発明の化合物(I)に含まれる。さらに、アトロプ異性体が生成する場合(具体的には、式(I)においてRおよびRのいずれかまたは両方が水素原子以外の場合)があるが、このような異性体あるいはその混合物も本発明の化合物(I)に含まれる。
 次に、本発明の化合物(I)の製造方法について説明する。
 本発明の化合物(I)は、例えば、J. Org. Chem. 2014, 79, 529-537に記載のラメラリン類のモジュラー合成法またはこれに準じた方法等により合成することができる。一例として、RおよびRがメチルである化合物(I)の合成スキームを以下に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
(式中、PGおよびPGは、ヒドロキシ基の保護基を示し、その他の記号は、上記で定義した通りである。)
 市販のピロールから合成可能な化合物9を出発物質として2段階で三環性化合物10を合成することができる。本化合物10と、アリールボロン酸11またはアリールボロネート12とを、鈴木-宮浦カップリングさせることにより、ラメラリン誘導体13およびアザラメラリン誘導体14を合成することができる。さらにラメラリン誘導体13およびアザラメラリン誘導体14のA環部酸素上の保護基(PG、PG)を選択的に脱保護し、得られたフェノール誘導体をさらに官能化することにより、本発明の化合物(I)(ラメラリンN誘導体(X=O)およびアザラメラリンN誘導体(X=NH)を合成することができる。
 本発明の化合物(I)は、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に対して特異的なチロシンキナーゼ阻害活性を有し、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)特異的チロシンキナーゼ阻害剤、耐性変異EGFRを持つ非小細胞肺がん等の予防および/または治療剤等として有用であり得る。
 本発明の化合物(I)は、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に対して特異的なチロシンキナーゼ阻害活性を示し、かつ、本発明の化合物(I)は薬効発現、薬物動態(例、吸収性、分布、代謝、排泄)、溶解性(例、水溶性)、他の医薬品との相互作用(例、薬物代謝酵素阻害作用)、安全性(例、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心臓毒性、癌原性、中枢毒性)、安定性(例、化学的安定性、酵素に対する安定性)の点でも優れているので、医薬として有用であり得る。
 従って、本発明の化合物(I)は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト)に対して、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に対して特異的なチロシンキナーゼ作用を阻害するために用いることができる。
 本発明の化合物(I)は、そのままあるいは薬理学的に許容される担体を配合し、医薬として、哺乳動物(好ましくは、ヒト)に経口的または非経口的に投与され得る。
 以下、本発明の化合物(I)を含有してなる医薬(「本発明の医薬」と略記する場合がある)について詳述する。本発明の医薬の剤形としては、例えば、錠剤(例、糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、バッカル錠、口腔内速崩錠)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(例、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)等の経口剤が挙げられる。また、本発明の医薬の剤形としては、例えば、注射剤、点滴剤、経皮剤(例、イオントフォレシス経皮剤)、坐剤、軟膏剤、経鼻剤、経肺剤、点眼剤等の非経口剤も挙げられる。また、本発明の医薬は、速放性製剤、徐放性製剤(例、徐放性マイクロカプセル)などの放出制御製剤であってもよい。
 本発明の医薬は、製剤技術分野で一般的に用いられている公知の製造方法(例、日本薬局方に記載の方法)により製造され得る。また、本発明の医薬には、必要に応じて、製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤、着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等の添加剤を適宜、適量含有させることができる。
 前記した薬理学的に許容される担体としては、これらの添加剤が挙げられる。
 例えば、錠剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を用いて製造され得、丸剤及び顆粒剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤を用いて製造され得る。また、散剤及びカプセル剤は賦形剤等を、シロップ剤は甘味剤等を、乳剤または懸濁剤は懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤等を用いて製造され得る。
 賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムが挙げられる。
 結合剤の例としては、5ないし10重量%デンプンのり液、10ないし20重量%アラビアゴム液またはゼラチン液、1ないし5重量%トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリンが挙げられる。
 崩壊剤の例としては、デンプン、炭酸カルシウムが挙げられる。
 滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクが挙げられる。
 甘味剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップが挙げられる。
 界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40が挙げられる。
 懸濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイトが挙げられる。
 乳化剤の例としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80が挙げられる。
 例えば、本発明の医薬が錠剤である場合、該錠剤は、自体公知の方法に従い、本発明の化合物(I)に、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウム)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000)を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより製造され得る。コーティングに用いられるコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合体)および色素(例、ベンガラ、二酸化チタン)が用いられ得る。
 前記注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、腹腔内注射剤、点滴注射剤等が含まれる。
 かかる注射剤は、自体公知の方法、すなわち、本発明の化合物(I)を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製される。水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウム)等が挙げられる。該水性液は適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80、HCO-50)を含んでいてもよい。油性液としては、ゴマ油、大豆油等が挙げられる。該油性液は適当な溶解補助剤を含んでいてもよい。該溶解補助剤としては、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等が挙げられる。また、該注射剤には緩衝剤(例、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン)、安定剤(例、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール)、保存剤(例、ベンジルアルコール、フェノール)等を配合してもよい。調製された注射液は、通常、アンプルに充填され得る。
 本発明の医薬中の本発明の化合物(I)の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して約0.01ないし約100重量%、好ましくは約2ないし約85重量%、さらに好ましくは約5ないし約70重量%である。
 本発明の医薬中の添加剤の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して約1ないし約99.9重量%、好ましくは約10ないし約90重量%である。
 本発明の化合物(I)は、安定かつ低毒性で安全に使用し得る。本発明の化合物(I)の1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、癌の治療目的で患者に経口投与する場合には、成人(体重約60kg)1日当りの投与量は、本発明の化合物(I)として約1ないし約1000mg、好ましくは約3ないし約300mg、さらに好ましくは約10ないし約200mgであり、これらを1回または2ないし3回に分けて投与し得る。
 本発明の化合物(I)を非経口的に投与する場合は、通常、液剤(例、注射剤)の形で投与する。本発明の化合物(I)の1回投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法等によっても異なるが、例えば、通常体重1kgあたり約0.01ないし約100mg、好ましくは約0.01ないし約50mg、より好ましくは約0.01ないし約20mgの本発明の化合物(I)を静脈注射により投与することが好ましい。
 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
 本明細書中、以下のスキームにおいて使用する略号は以下を意味する。
-Me:メチル基
-Et:エチル基
-OMe:メトキシ基
-Oi-Pr:イソプロポキシ基
-COMe:メトキシカルボニル基
-NMe:ジメチルアミノ基
-MOM:メトキシメチル基
-OMOM:メトキシメトキシ基
-OBn:ベンジルオキシ基
-Boc:tert-ブトキシカルボニル基
-NHBoc:tert-ブトキシカルボニルアミノ基
[ラメラリンN誘導体の合成法]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 化合物9は、J. Org. Chem. 2014, 79, 529-537に記載の方法またはこれに準じた方法により合成することができる。
工程(a):化合物15の合成
 アルゴン雰囲気下、化合物9(2.66 g, 5.00 mmol)、2-ブロモ-1,1-ジメトキシエタン(3.72 mL, 31.5 mmol)、炭酸セシウム(11.7 g, 35.8 mmol)、および乾燥ジメチルホルムアミド(60 mL)からなる混合物を110℃で16時間撹拌した。放冷後、水を加え、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(1:1)で抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物15を白色の半固体(2.83 g)として得た。収率91%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.21 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.23 (s, 6H), 3.67 (s, 3H), 3.81 (s, 3H), 3.93 (s, 3H), 4.27 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.41-4.46 (m, 3H), 4.50 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.66 (s, 1H), 6.72-6.76 (m, 3H), 6.76 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 8.3 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C30H38BrNO8(M+): 619.1781. Found: 619.1782.
工程(b):化合物10の合成
 アルゴン雰囲気下、0℃にて化合物15(1.84 g, 2.97 mmol)のジクロロメタン(110 mL)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(270 μL, 1.49 mmol)を加えた。0℃にて1.5時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を室温に昇温した後、同温にて30分撹拌した。水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、化合物10を白色固体(1.50 g)として得た。収率91%。融点165-166℃(ジエチルエーテル/ヘキサン混合溶媒)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.38 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.42 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.41 (s, 3H), 3.93 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 4.53 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.66 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.99 (dd, J = 1.9 and 8.2 Hz, 1H), 7.02 (s, 1H), 7.05 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 9.28 (d, J = 7.6 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C28H31BrNO6[(M+H)+]: 556.13347. Found: 556.13474.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
工程(a):化合物11aの合成
 アルゴン雰囲気下、-78℃にて、市販のあるいは自体公知あるいはそれに準じた方法により合成した化合物17a(13.8 g, 39.1 mmol)のテトラヒドロフラン(120 mL)溶液に、tert-ブチルリチウムペンタン溶液(1.35 M, 60.9 mL, 82.2 mmol)を滴下し、同温度にて1時間撹拌した。-78℃にてホウ酸トリメチル(6.54 mL, 58.7 mmol)を滴下した後、同温度にて1時間撹拌し、室温に昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸を少しずつ加え、pH=3とした。その後、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ジクロロメタンを減圧留去した後、残渣をヘキサンにて洗浄し、化合物11aを淡黄色固体(12.3 g)として得た。収率99%。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
工程(a):化合物19の合成
 アルゴン雰囲気下、市販のあるいは自体公知あるいはそれに準じた方法により合成した化合物18(5.01 g, 36.2 mmol)の乾燥ジメチルホルムアミド(30 mL)溶液に、炭酸カリウム(5.00 g, 36.2 mmol)、ヨウ化カリウム(6.02 g, 36.3 mmol)および2-ブロモプロパン(4.42 mL, 47.1 mmol)を順次加えた。混合物を40℃で21時間撹拌した。放冷後、2M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1~1:1)で精製し、化合物19を白色固体(4.25 g)として得た。収率65%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.42 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 4.74 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 5.94 (br s, 1H), 6.96 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.41 (dd, J = 2.0 and 8.0 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 9.83 (s, 1H).
工程(b):化合物20の合成
 アルゴン雰囲気下、化合物19(3.89 g, 21.6 mmol)の乾燥アセトン(40 mL)溶液に、炭酸カリウム(3.87 g, 36.2 mmol)および臭化ベンジル(3.33 mL, 28.0 mmol)を順次加えた。混合物を21時間加熱還流した。放冷後、2M塩酸を加え、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、化合物20を白色固体(5.71 g)として得た。収率98%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.41 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 4.68 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 5.17 (s, 2H), 7.00 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.29-7.47 (m, 7H), 9.80 (s, 1H).
工程(c):化合物21の合成
 アルゴン雰囲気下、0℃にて化合物20(1.02 g, 3.79 mmol)のジクロロメタン(12 mL)溶液に、m-クロロ過安息香酸(水 約30%含有, 1.31 g)を加えた。0℃にて18時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、室温に昇温し、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。アルゴン雰囲気下、残渣、炭酸カリウム(1.27 g, 4.28 mmol)、およびメタノール(13 mL)の混合物を室温にて30分撹拌した後、メタノールを減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1~1:1~酢酸エチル)で精製し、化合物21を黄色油状物(785 mg)として得た。収率80%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.29 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 4.34 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 5.01 (s, 2H), 5.13 (br s, 1H), 6.31 (dd, J = 2.8 and 8.6 Hz, 1H), 6.45 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.27-7.41 (m, 5H).
工程(d):化合物22の合成
 アルゴン雰囲気下、0℃にて化合物21(785 mg, 3.04 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.06 mL, 6.08 mmol)のジクロロメタン(11.5 mL)溶液にクロロジメチルエーテル(0.35 mL, 4.56 mmol)を加え、同温にて1時間撹拌した。室温に昇温し、同温にて18時間撹拌した後、28%アンモニア水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1~1:1~酢酸エチル)で精製し、化合物22を淡黄色油状物(856 mg)として得た。収率93%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.31 (d, J = 6.2 Hz, 6H), 3.45 (s, 3H), 4.38 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 5.08 (s, 2H), 5.09 (s, 2H), 6.57 (dd, J = 2.9, 8.7 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.28-7.45 (m, 5H).
工程(e):化合物17bの合成
 アルゴン雰囲気下、0℃にて化合物22(201 mg, 0.663 mmol)の乾燥ジメチルホルムアミド(3.3 mL)溶液に、N-ブロモコハク酸イミド(119 mg, 0.668 mmol)を加えた。0℃にて2時間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物17bを淡黄色油状物(232 mg)として得た。収率92%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.32 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.48 (s, 3H), 4.40 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 5.09 (s, 2H), 5.10 (s, 2H), 6.83 (s, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.28-7.43 (m, 5H).
工程(f):化合物11bの合成
 アルゴン雰囲気下、-100℃にて化合物17b(574 mg, 1.51 mmol)のテトラヒドロフラン(9.5 mL)溶液に、n-ブチルリチウムヘキサン溶液(1.50 M, 1.1 mL, 1.66 mmol)を滴下し、同温度にて20分撹拌した。-100℃にてホウ酸トリメチル(0.30 mL, 2.67 mmol)を滴下した後、室温に昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸を少しずつ加え、pH=3とした。その後、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ジクロロメタンを減圧留去した後、残渣をヘキサンにて洗浄し、化合物11bを白色固体(379 mg)として得た。収率73%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.32 (d, J = 6.2 Hz, 6H), 3.46 (s, 3H), 4.45 (sep, 1H, 6.1 Hz), 5.15 (s, 2H), 5.16 (s, 2H), 6.32 (br s, 2H), 6.81 (s, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.29-7.45 (m, 5H).
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
工程(a):化合物17cの合成
 アルゴン雰囲気下、0℃にて化合物23(1.20 mg, 3.43 mmol)の乾燥ジメチルホルムアミド(20 mL)溶液に、N-ブロモコハク酸イミド(0.64 g, 3.60 mmol)を加えた。0℃にて2時間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:1)で精製し、化合物17cを白色固体(1.23 g)として得た。収率83%。
工程(b):化合物11cの合成
 アルゴン雰囲気下、-78℃にて化合物17c(1.22 g, 2.87 mmol)のテトラヒドロフラン(50 mL)溶液に、n-ブチルリチウムヘキサン溶液(1.54 M, 2.05 mL, 3.16 mmol)を滴下し、同温度にて1時間撹拌した。-78℃にてホウ酸トリメチル(0.48 mL, 4.31 mmol)を滴下した後、室温に昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸を少しずつ加え、pH=3とした。その後、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ジクロロメタンを減圧留去した後、残渣をヘキサンにて洗浄し、化合物11cを淡黄色固体(905 mg)として得た。収率89%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 3.46 (s, 3H), 5.12 (s, 2H), 5.16 (s, 2H), 5.18 (s, 2H), 5.93 (s, 2H), 6.83 (s, 1H), 7.25-7.37 (s, 6H), 7.42-7.46 (m, 5H).
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
工程(a):化合物16aの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物10(290 mg, 0.521 mmol)、化合物11a(497 mg, 1.56 mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(30.0 mg, 52.1 μmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(28.9 mg, 52.1 μmol)、NaCO(365 mg, 3.44 mmol)、1,2-ジメトキシエタン(12 mL)、および脱気した水(1.0 mL)からなる混合物を24時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物16aを淡褐色固体(302 mg)として得た。収率77%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.98-1.33 (m, 6H), 1.40-1.48 (m, 6H), 3.22 (br s, 3H), 3.43 (br s, 3H), 3.61 (br s, 6H), 3.84 (br s, 3H), 4.20-4.43 (m, 1H), 4.63-4.95 (m, 3H), 5.06-5.16 (m, 2H), 6.48-7.50 (m, 13H), 9.27 (d, J = 7.5 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C44H48NO10[(M+H)+]: 750.32782. Found: 750.32788.
工程(a):化合物16bの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物10(186 mg, 0.334 mmol)、化合物11b(173 mg, 0.500 mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(19.6 mg, 34.1 μmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(18.3 mg, 33.0 μmol)、NaCO(233 mg, 2.20 mmol)、1,2-ジメトキシエタン(15 mL)、および脱気した水(1 mL)からなる混合物を24時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、化合物16bを淡褐色固体(55.3 mg)として得た。収率94%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.02-1.31 (m, 12H), 1.42 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.23 (br s, 3H), 3.42 (s, 3H), 3.60 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 4.14-4.42 (m, 2H), 4.66 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.69-4.93 (m, 2H), 5.02-5.13 (m, 2H), 6.57 (br s, 0.5H), 6.66 (br s, 0.5H), 6.75-6.90 (m, 3.5H), 6.91 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.96-7.02 (m, 0.5H), 7.04 (s, 1H), 7.20-7.33 (m, 2H), 7.34-7.39 (m, 2H), 7.42-7.47 (m, 2H), 9.28 (d, J = 7.6 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C46H52NO10[(M+H)+]: 778.35912. Found: 778.35688.
工程(a):化合物16cの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物10(1.23 g, 2.21 mmol)、化合物11c(1.31 mg, 3.32 mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(123 mg, 0.213 mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(132 mg, 0.237 mmol)、NaCO(1.55 g, 14.6 mmol)、1,2-ジメトキシエタン(80 mL)、および脱気した水(6 mL)からなる混合物を24時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、化合物16cを淡黄色固体(1.83 g)として得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.03-1.30 (m, 6H), 1.42 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.23 (br s, 3H), 3.42 (s, 3H), 3.56 (br s, 3H), 3.82 (s, 3H), 4.23-4.40 (m, 1H), 4.66 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.79-4.93 (m, 4H), 5.04-5.14 (m, 2H), 6.63 (br s, 0.5H), 6.71-6.90 (m, 4.5H), 6.91 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.03 (s, 1H), 7.20-7.38 (m, 9H), 7.40-7.45 (m, 2H), 9.27 (d, J = 7.6 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C50H52NO10[(M+H)+]: 826.35912. Found: 826.36040.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
工程(a):化合物13aの合成
 アルゴン雰囲気下、封管にて化合物16a(30.0 mg, 40.0 μmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(30.4 mg, 0.160 mmol)、メタノール(1.5 mL)からなる混合物を65℃にて18時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、化合物13aを淡黄色固体(25.0 mg)として得た。収率93%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.37 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.45 (s, 3H), 3.49 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 4.55 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.69 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 5.17 (s, 2H), 6.76 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 7.01 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.14 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.20 (dd, J = 1.8 and 8.2 Hz, 1H), 7.27-7.33 (m, 1H), 7.33-7.40 (m, 2H), 7.40-7.45 (m, 2H), 9.19 (d, J = 7.4 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C41H40NO8[(M+H)+]: 674.27539. Found: 674.27820.
工程(a):化合物13bの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物16b(202 mg, 0.260 mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(198 mg, 1.04 mmol)、メタノール(10 mL)からなる混合物を18時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、化合物13bを淡黄色固体(161 mg)として得た。収率88%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.19 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.20 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.36 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.44 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 4.02 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.54 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.69 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 5.15 (s, 2H), 6.77 (s, 1H), 6.94 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.11-7.16 (m, 3H), 7.17 (s, 1H), 7.27-7.33 (m, 1H), 7.33-7.39 (m, 2H), 7.40-7.45 (m, 2H), 9.18 (d, J = 7.4 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C43H44NO8[(M+H)+]: 702.30669. Found: 702.30518.
工程(a):化合物13cの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物16c(1.77 g, 2.14 mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.63 g, 8.57 mmol)、メタノール(60 mL)からなる混合物を18時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をジクロロメタン-ヘキサンから再結晶し、化合物13cを白色固体(1.35 g)として得た。収率84%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.37 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 3.44 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 4.54 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.69 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.76 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 4.78 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 5.19 (s, 2H), 6.91 (s, 1H), 6.98 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.12 (s, 1H), 7.13-7.16 (m, 2H), 7.23-7.39 (m, 8H), 7.43-7.46 (m, 2H), 9.20 (d, J = 7.4 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C47H44NO8[(M+H)+]: 750.30669. Found: 750.30535.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
工程(a):化合物24aの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物13a(405 mg, 0.601 mmol)、酢酸エチル(15 mL)およびエタノール(15 mL)からなる溶液にパラジウム炭素(Pd:10%, 80.8 mg)およびギ酸アンモニウム(1.14 g, 18.0 mmol)を順次加え、1時間、加熱還流した。放冷後、反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、残渣を残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物24aを淡黄色固体(328 mg)として得た。収率93%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.36 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.37 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 3.45 (s, 3H), 3.51 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 4.57 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 4.70 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 5.95 (br s, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.99 (s, 1H), 6.99 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.15 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 1.7 and 8.1 Hz, 1H), 9.18 (d, J = 7.3 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C34H34NO8[(M+H)+]: 584.22844. Found: 584.22588.
工程(a):化合物24bの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物13b(84.9 mg, 0.121 mmol)、酢酸エチル(5 mL)およびエタノール(5 mL)からなる溶液にパラジウム炭素(Pd:10%, 17 mg)およびギ酸アンモニウム(233 mg, 3.70 mmol)を順次加え、30分間、加熱還流した。放冷後、反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、残渣を残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン)で精製し、化合物24bを淡黄色固体(71.2 mg)として得た。収率97%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.19 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 1.35 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.36 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.44 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 3.45 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 4.01 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 4.55 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 4.70 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 5.92 (s, 1H), 6.68 (s, 1H), 6.99 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.99 (s, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.12-7.17 (m, 3H), 7.17 (s, 1H), 9.18 (d, J = 7.3 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C36H38NO8[(M+H)+]: 612.25974. Found: 612.26035.
工程(a):化合物24cの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物13c(200 mg, 0.267 mmol)、酢酸エチル(10 mL)およびエタノール(10 mL)からなる溶液にパラジウム炭素(Pd:10%, 40 mg)およびギ酸アンモニウム(505 mg, 8.01 mmol)を順次加え、1時間、加熱還流した。放冷後、反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、残渣を残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン)で精製し、化合物24cを淡黄色固体(146 mg)として得た。収率96%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.21 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.25 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.31 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 3.33 (s, 3H), 3.89 (s, 3H), 4.58 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 4.74 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 6.74 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 7.08-7.12 (m, 2H), 7.26 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.41 (s, 1H), 9.04 (br s, 1H), 9.08 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 9.76 (br s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C33H32NO8[(M+H)+]: 570.21279. Found: 570.21008.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
工程(a):化合物25aの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物24a(150 mg, 0.257 mmol)の乾燥アセトン(7 mL)溶液に、3-(ジメチルアミノ)プロピルクロリド塩酸塩(48.7 mg, 0.308 mmol)、炭酸カリウム(178 mg, 1.29 mmol)を順次加えた後、混合物を24時間、加熱還流した。放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を減圧下濃縮した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣をクロマトレックスNH-DM1020カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で精製し、化合物25aを淡黄色固体(120 mg)として得た。収率70%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.36 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.36 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 2.01 (quin, J = 7.0 Hz, 2H), 2.25 (s, 6H), 2.44 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.45 (s, 3H), 3.47 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 4.07 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 4.56 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.69 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.74 (s, 1H), 6.94 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.16 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.21 (dd, J = 1.8 and 8.2 Hz, 1H), 9.18 (d, J = 7.4 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C39H45N2O8[(M+H)+]: 669.31759. Found: 669.31472.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
工程(a):化合物25bの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物24b(30.0 mg, 49.0 μmol)の乾燥アセトン(2 mL)溶液に、3-(ジメチルアミノ)プロピルクロリド塩酸塩(9.3 mg, 58.8 μmol)、炭酸カリウム(40.6 mg, 0.294 mmol)を順次加えた後、混合物を21時間、加熱還流した。放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を減圧下濃縮した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1~ジクロロメタン:メタノール=1:1)で精製し、化合物25bを淡黄色固体(11.6 mg)として得た。収率34%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.17 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.17 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 2.00 (quin, J = 6.8 Hz, 2H), 2.25 (s, 6H), 2.47 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.44 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 3.97 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.07 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 4.53 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.70 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.96 (s, 1H), 7.02 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.11 (s, 1H), 7.14 (s, 2H), 7.17 (s, 1H), 9.22 (d, J = 7.4 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C41H49N2O8[(M+H)+]: 697.34889. Found: 697.35000.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
工程(a):化合物25cの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物24c(40.3 mg, 70.8 μmol)の乾燥アセトン(10 mL)溶液に、2-(ジメチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩(51.0 mg, 0.354 mmol)、ヨウ化ナトリウム(10.0 mg, 66.7 μmol)、炭酸カリウム(147 mg, 1.06 mmol)を順次加えた後、混合物を10時間、加熱還流した。一旦放冷後、2-(ジメチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩(51.0 mg, 0.354 mmol)および炭酸カリウム(147 mg, 1.06 mmol)を追加し、更に混合物を12時間、加熱還流した。放冷後、ジクロロメタンで希釈し、セライトで濾過した。濾液を減圧下濃縮した後、残渣をクロマトレックスNH-DM1020カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2~酢酸エチル)で精製し、化合物25cを淡黄色固体(27.0 mg)として得た。収率54%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 2.28 (s, 6H), 2.34 (s, 6H), 2.55-2.65 (m, 2H), 2.78 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.44 (s, 3H), 3.67 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.96 (s, 3H), 4.12 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 4.53 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.70 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.96 (s, 1H), 7.02 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.11 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.18 (dd, J = 1.8 and 8.1 Hz, 1H), 9.22 (d, J = 7.4 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C41H50N3O8[(M+H)+]: 712.35979. Found: 712.36040.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
工程(a):化合物25dの合成
 アルゴン雰囲気下、化合物24c(146 mg, 0.256 mmol)の乾燥アセトン(25 mL)溶液に、3-(ジメチルアミノ)プロピルクロリド塩酸塩(194 mg, 1.23 mmol)、炭酸カリウム(708 mg, 5.12 mmol)を順次加えた後、混合物を48時間、加熱還流した。放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を減圧下濃縮した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣をジクロロメタン-ヘキサンから再結晶し、化合物25dを淡褐色固体(134 mg)として得た。収率71%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.81 (quin, J = 6.9 Hz, 2H), 2.00 (quin, J = 6.8 Hz, 2H), 2.23 (s, 6H), 2.25 (s, 6H), 2.31-2.41 (m, 2H), 2.47 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.44 (s, 3H), 3.62 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 4.08 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.53 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.70 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.96 (s, 1H), 7.01 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.11 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.18 (dd, J = 1.8 and 8.1 Hz, 1H), 9.22 (d, J = 7.3 Hz, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C43H54N3O8[(M+H)+]: 740.39109. Found: 740.39380.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
工程(b):化合物26aの合成
 アルゴン雰囲気下、室温にて化合物25a(60.0 mg, 89.7 μmol)の乾燥ジクロロメタン(4.0 mL)溶液に、塩化アルミニウム-ニトロベンゼン溶液(1.0 M, 540 μL, 0.540 mmol)を滴下し、同温度にて18時間撹拌した。反応溶液に、炭酸水素ナトリウム(200 mg, 2.38 mmol)、ロッシェル塩(440 mg, 1.56 mmol)および水(7.0 mL)からなる混合溶液を加え、1時間激しく撹拌した後、ジクロロメタンおよび水を減圧留去した。残渣に水を加え、減圧下、ニトロベンゼンを共沸除去した。残渣に水を加え、十分に懸濁させた後、固体を吸引濾取した。減圧乾燥後、脱保護体を淡灰色固体(47.5 mg)として得た。収率91%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.85 (quin, J = 6.8 Hz, 2H), 2.14 (s, 6H), 2.34 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 3.39 (s, 3H), 3.40 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 4.04 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 6.78 (s, 1H), 7.00-7.04 (m, 2H), 7.08 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.22 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 9.00 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 9.39 (br s, 1H).
 脱保護体(20.0 mg, 34.2 μmol)のジクロロメタン(1.0 mL)懸濁液にトリフルオロ酢酸(1.0 mL)を加え、室温にて30分間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH-20,0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有メタノール)で精製し、化合物26aを褐色固体(21.6 mg)として得た。収率90%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 2.13 (quin, J = 6.9 Hz, 2H), 2.82 (s, 3H), 2.83 (s, 3H), 3.21 (quin, J = 5.1 Hz, 2H), 3.40 (s, 3H), 3.40 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 4.13 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 6.81 (s, 1H), 7.00-7.04 (m, 2H), 7.17 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.25 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 9.01 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 9.43 (br s, 2H), 9.98 (br s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C33H33N2O8[(M-CF3COO)+]: 585.22369. Found: 585.22208.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
工程(b):化合物26bの合成
 アルゴン雰囲気下、室温にて化合物25b(20.0 mg, 28.7 μmol)の乾燥ジクロロメタン(5.0 mL)溶液に、塩化アルミニウム-ニトロベンゼン溶液(1.0 M, 218 μL, 0.218 mmol)を滴下し、同温度にて48時間撹拌した。反応溶液に、炭酸水素ナトリウム(55.0 mg, 0.654 mmol)、ロッシェル塩(185 mg, 0.654 mmol)および水(3.3 mL)からなる混合溶液を加え、1時間激しく撹拌した後、ジクロロメタンおよび水を減圧留去した。残渣に水を加え、減圧下、ニトロベンゼンを共沸除去したのち、減圧乾燥した。残渣にジクロロメタン(2.0 mL)およびトリフルオロ酢酸(2.0 mL)を加えたのち、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH-20,0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有水~0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有 水:メタノール=1:1~0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有メタノール)で精製し、化合物26bを褐色固体(19.3 mg)として得た。収率98%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 2.12 (quin, J = 5.5 Hz, 2H), 2.82 (s, 6H), 3.28 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 4.12 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 6.81 (s, 1H), 6.92 (s, 1H), 6.94 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.95 (dd, J = 2.0 and 8.0 Hz, 1H), 7.11 (s, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.21 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 9.03 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 9.04 (br s, 1H), 9.41 (br s, 1H), 9.53 (br s, 1H), 9.98 (br s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C32H31N2O8[(M-CF3COO)+]: 571.20804. Found: 571.20608.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
工程(b):化合物26cの合成
 アルゴン雰囲気下、室温にて化合物25c(13.4 mg, 18.8 μmol)の乾燥ジクロロメタン(1.0 mL)溶液に、塩化アルミニウム-ニトロベンゼン溶液(1.0 M, 120 μL, 0.120 mmol)を滴下し、同温度にて48時間撹拌した。反応溶液に、炭酸水素ナトリウム(30.3 mg, 0.361 mmol)、ロッシェル塩(102 mg, 0.361 mmol)および水(0.7 mL)からなる混合溶液を加え、1時間激しく撹拌した後、ジクロロメタンおよび水を減圧留去した。残渣に水を加え、減圧下、ニトロベンゼンを共沸除去した。残渣に水を加え、十分に懸濁させた後、固体を吸引濾取した。得られた固体のジクロロメタン(1.0 mL)懸濁液にトリフルオロ酢酸(1.0 mL)を加え、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH-20,0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有メタノール)で精製し、化合物26cを褐色固体(15.0 mg)として得た。収率93%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 2.82 (s, 6H), 2.88 (s, 6H), 3.40 (s, 3H), 3.54 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.90-3.98 (m, 2H), 4.44 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 6.87 (s, 1H), 7.01 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 2.1 and 8.1 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.25 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 9.02 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 9.48 (br s, 1H), 10.04 (br s, 3H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C35H38N3O8[(M-2CF3COO-H)+]: 628.26589. Found: 628.26746.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
工程(b):化合物26dの合成
 アルゴン雰囲気下、室温にて化合物25d(90.2 mg, 0.122 mmol)の乾燥ジクロロメタン(19.5 mL)溶液に、塩化アルミニウム-ニトロベンゼン溶液(1.0 M, 780 μL, 0.780 mmol)を滴下し、同温度にて84.5時間撹拌した。反応溶液に、炭酸水素ナトリウム(166 mg, 1.97 mmol)、ロッシェル塩(557 mg, 1.97 mmol)および水(3.9 mL)からなる混合溶液を加え、1時間激しく撹拌した後、ジクロロメタンおよび水を減圧留去した。残渣に水を加え、減圧下、ニトロベンゼンを共沸除去した。残渣に水を加え、十分に懸濁させた後、固体を吸引濾取した。減圧乾燥後、脱保護体を褐色固体(80.0 mg)として得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.63-1.70 (m, 2H), 1.82-1.89 (m, 2H), 2.14 (s, 6H), 2.17 (s, 6H), 2.23-2.30 (m, 2H), 2.36-2.43 (m, 2H), 3.39 (s, 3H), 3.53-3.60 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 4.01-4.08 (m, 2H), 6.76 (s, 1H), 6.97-7.02 (m, 2H), 7.07 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.20-7.24 (m, 2H), 8.99 (d, J = 7.3 Hz, 1H).
 脱保護体(78.3 mg, 0.106 mmol)のジクロロメタン(3.0 mL)懸濁液にトリフルオロ酢酸(3.0 mL)を加え、室温にて30分間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH-20,0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有メタノール)で精製し、化合物26dを褐色固体(94.2 mg)として得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.92-2.00 (m, 2H), 2.09-2.17 (m, 2H), 2.81 (s, 6H), 2.83 (s, 6H), 3.06-3.13 (m, 2H), 3.21 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.40 (s, 3H), 3.59-3.70 (m, 2H), 3.90 (s, 3H), 4.13 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 6.79 (s, 1H), 7.01 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 2.0 and 8.0 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.25 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 9.00 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 9.50 (br s, 1H), 9.84 (br s, 1H), 9.87 (br s, 1H), 10.05 (br s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C37H42N3O8[(M-2CF3COO-H)+]: 656.29719. Found: 656.29442.
[アザラメラリンN誘導体の合成法]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
工程(a):化合物29aの合成
 アルゴン雰囲気下、室温にて、市販のあるいは自体公知あるいはそれに準じた方法により合成した化合物28a(4.33 g, 28.3 mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(120 mL)溶液に、二炭酸ジ-tert-ブチル(7.20 mL, 31.2 mmol)を滴下し、2時間、加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣をエーテルから再結晶し、化合物29aを淡褐色固体(6.68 g)として得た。収率93%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.51 (s, 9H), 3.84 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 6.47 (br s, 1H), 6.72 (dd, J = 2.2 and 8.6 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.18 (br,1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C13H20NO4[(M+H)+]: 254.1392. Found: 254.1399.
工程(a):化合物29bの合成
 化合物28aの合成で記載した手法に従い、市販のあるいは自体公知あるいはそれに準じた方法により合成した化合物28b(6.87 g, 30.0 mmol)を反応させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製後、化合物29bを淡褐色固体(3.10 g)として得た。収率31%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.50 (s, 9H), 3.83 (s, 3H), 5.12 (s, 2H), 6.37 (br s, 1H), 6.81 (s, 2H), 7.12 (br s, 1H), 7.27-7.32 (m, 1H), 7.33-7.39 (m, 2H), 7.42-7.47 (m, 2H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C19H23BrNO4(M+): 329.1627. Found: 329.1639.
工程(b):化合物30aの合成
 アルゴン雰囲気下、0℃にて化合物29a(333 mg, 1.31 mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(5 mL)溶液に、N-ブロモコハク酸イミド(254 mg, 1.43 mmol)を加えた。0℃にて1時間撹拌した後、水を加え、室温まで昇温した。ジクロロメタンで抽出した後、抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物30aを淡黄色固体(377 mg)として得た。収率87%。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 1.53 (s, 9H), 3.84 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 6.79 (br s, 1H), 6.97 (s, 1H), 7.81 (br s,1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C13H18BrNO4(M+): 331.0419. Found: 331.0425.
工程(b):化合物30bの合成
 化合物30aの合成で記載した手法に従い、化合物29b(3.00 g, 9.11 mmol)を反応させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製後、化合物30bを淡黄色固体(3.38 g)として得た。収率91%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.53 (s, 9H), 3.82 (s, 3H), 5.13 (s, 2H), 6.75 (br s, 1H), 6.99 (s, 1H), 7.28-7.33 (m, 1H), 7.34-7.39 (m, 2H), 7.45-7.50 (m, 2H),7.90 (br s,1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C19H22BrNO4(M+): 407.0732. Found: 409.0743.
工程(c):化合物12aの合成
 アルゴン雰囲気下、室温にて、化合物30a(377 mg, 1.13 mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物(46.9 mg, 57.4 μmol)および1,4-ジオキサン(6.0 mL)からなる溶液に、トリエチルアミン(640 μL, 4.54 mmol)およびピナコールボラン(490 μL, 3.40 mmol)を順次加え、2.5時間、加熱還流した。放冷後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、溶媒を留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)で精製し、化合物12aを淡黄色固体(282 mg)として得た。収率65%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.35 (s, 12H), 1.52 (s, 9H), 3.88 (s, 3H), 3.94 (s, 3H), 7.15 (s, 1H), 7.92 (br s, 1H), 8.67 (br s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C19H30BNO6(M+): 379.2166. Found: 379.2169.
工程(c):化合物12bの合成
 化合物12aの合成で記載した手法に従い、化合物30b(3.38 g, 8.28 mmol)を反応させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製後、化合物12bを淡黄色固体(2.72 g)として得た。収率72%。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 1.35 (s, 12H), 1.52 (s, 9H), 3.86 (s, 3H), 5.19 (s, 2H), 7.18 (s, 1H), 7.27-7.32 (m, 1H), 7.33-7.39 (m, 2H), 7.47-7.51 (m, 2H), 8.02 (br s, 1H), 8.63 (br s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C25H34BNO6(M+): 455.2479. Found: 455.2485.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
工程(a):化合物27aの合成
 アルゴン雰囲気下、封管にて化合物10(100 mg, 0.180 mmol)、化合物12a(114 mg, 0.301 mmol)、Pd(PPh(23.2 mg, 20.1 μmol)、NaCO(141 mg, 1.32 mmol)、1,2-ジメトキシエタン(5.0 mL)、および脱気した水(0.5 mL)からなる混合物を85℃にて24時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1~2:1~1:1~酢酸エチル)で精製し、化合物27aを淡黄色半固体(115 mg)として得た。収率88%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.02 (d, J = 6.1 Hz, 1.72H), 1.09 (d, J = 6.1 Hz, 1.72H), 1.11 (d, J = 6.1 Hz, 1.28H), 1.16 (d, J = 6.1 Hz, 1.28H), 1.30 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.37 (s, 9H), 3.29 (s, 1.28H), 3.29 (s, 1.72H), 3.48 (s, 1.72H), 3.53 (s, 1.28H), 3.53 (s, 1.72H), 3.56 (s, 1.28H), 3.69 (s, 1.72H), 3.70 (s, 1.28H), 3.71 (s, 1.28H), 3.74 (s, 1.72H), 4.26 (sep, J = 6.1 Hz, 0.57H), 4.43 (sep, J = 6.1 Hz, 0.43H), 4.70 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.52 (s, 0.57H), 6.71 (s, 0.43H), 6.85-7.17 (m, 4H), 7.18 (d, J = 7.6 Hz, 0.57H), 7.18 (d, J = 7.6 Hz, 0.43H), 7.34 (s, 1H), 7.35 (br s, 0.43H), 7.44 (br s, 0.57H), 7.60 (br s, 0.43H), 7.85 (br s, 0.57H), 9.20 (d, J = 7.6 Hz, 0.57H), 9.23 (d, J = 7.6 Hz, 0.43H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C41H49N2O10[(M+H)+]: 729.3387. Found: 729.3358.
工程(a):化合物27bの合成
 化合物27aの合成で記載した手法に従い、化合物10(100 mg, 0.180 mmol)および化合物12b(137 mg, 0.302 mmol)を反応させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1~2:1~1:1~1:2)で精製後、化合物27bを淡黄色半固体(131 mg)として得た。収率91%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.02 (d, J = 6.1 Hz, 1.67H), 1.10 (d, J = 6.1 Hz, 1.67H), 1.13 (d, J = 6.1 Hz, 1.33H), 1.17 (d, J = 6.1 Hz, 1.33H), 1.30 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.37 (s, 9H), 3.29 (s, 1.33H), 3.30 (s, 1.67H), 3.49 (s, 1.67H), 3.53 (s, 1.33H), 3.54 (s, 1.67H), 3.57 (s, 1.33H), 3.72 (s, 1.33H), 3.74 (s, 1.67H), 4.28 (sep, J = 6.1 Hz, 0.56H), 4.44 (sep, J = 6.1 Hz, 0.44H), 4.71 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.92-5.01 (m, 2H), 6.56 (s, 0.56H), 6.75 (s, 0.44H), 6.86-7.10 (m, 4H), 7.18 (d, J = 7.6 Hz, 0.56H), 7.19 (d, J = 7.6 Hz, 0.44H), 7.23-7.47 (m, 7H), 7.64 (br s, 0.44H), 7.89 (br s, 0.56H), 9.21 (d, J = 7.6 Hz, 0.56H), 9.23 (d, J = 7.6 Hz, 0.44H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C47H53N2O10[(M+H)+]: 805.3700. Found: 805.3715.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
工程(a):化合物14aの合成
 アルゴン雰囲気下、封管にて化合物27a(50.0 mg, 68.6 μmol)およびテトラヒドロフラン(3.0 mL)溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリドテトラヒドロフラン溶液(1.0 M, 343 μL, 0.343 mmol)を滴下した後、85℃にて19時間加熱撹拌した。放冷後、水を加え溶媒を留去した。析出した固体を吸引濾過し、回収された固体を水およびメタノールで順次洗浄し、真空乾燥することで化合物14aを淡褐色固体(33.6 mg)として得た。収率82%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H),3.45 (s, 3H), 3.47 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 3.99 (s, 3H), 4.54 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.69 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.94 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.94 (s, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.22 (dd, J = 1.7 and 8.1 Hz, 1H), 9.59 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 10.588 (s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C35H37N2O7[(M+H)+]: 597.2601. Found: 597.2612.
工程(a):化合物14bの合成
 化合物14aの合成で記載した手法に従い、化合物27b(100 mg, 0.180 mmol)を反応させた。その結果、化合物14bを淡褐色固体(78.2 mg)として得た。収率85%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.44 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 3.42 (s, 3H), 3.46 (s, 3H), 3.93 (s, 3H), 4.53 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.68 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 6.76-6.88 (m, 2H), 7.00-7.30 (m, 9H), 7.43-7.47 (m, 2H), 9.44 (br s, 1H), 11.05 (br s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C41H41N2O7[(M+H)+]: 673.2914. Found: 673.2939.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
工程(a):化合物8aの合成
 アルゴン雰囲気下、-78℃にて化合物14a(20.0 mg, 33.5 μmol)の乾燥ジクロロメタン(12 mL)溶液に、三塩化ホウ素ヘプタン溶液(1.0 M, 235 μL, 0.235 mmol)を滴下し、同温度にて30分間撹拌した。その後室温に昇温し、同温度にて3時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、溶媒を減圧留去した。析出した固体を吸引濾過し、回収された固体を水で洗浄し、真空乾燥した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン)で精製し、化合物8aを淡褐色固体(14.2 mg)として得た。収率71%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 3.34 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 6.87 (s, 1H), 6.98-7.02 (m, 3H), 7.04 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.23 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 9.34 (s, 1H), 9.38 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 9.73 (br s, 1H), 11.34 (s, 1H).
HRFABMS m/z. Calcd for C29H25N2O7[(M+H)+]: 513.1662. Found: 513.1676.
工程(a):化合物8の合成
 化合物8aの合成で記載した手法に従い、化合物14b(30.0 mg, 44.6 μmol)および三塩化ホウ素ヘプタン溶液(1.0 M, 445 μL, 0.445 mmol)を反応させた。得られた粗生成物の固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン)で精製し、化合物8を淡褐色固体(18.6 mg)として得た。収率84%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 3.36 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.86 (s, 3H),6.84 (s, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.98-7.03 (m, 3H), 7.13 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 7.23 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 9.33 (s, 1H), 9.37 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 9.49 (s, 1H), 9.71 (s, 1H), 11.27 (s, 1H).
HRDARTMS m/z. Calcd for C28H23N2O7[(M+H)+]: 499.1505. Found: 499.1502.
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
工程(a):化合物31の合成
 アルゴン雰囲気下、化合物14b(300 mg, 0.446 mmol)、酢酸エチル(45 mL)およびエタノール(45 mL)からなる溶液に、パラジウム炭素(Pd:10%, 60.0 mg)およびギ酸アンモニウム(844 mg, 13.4 mmol)を順次加え、30分間、加熱還流した。放冷後、反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、残渣を残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン)で精製し、化合物31を淡黄色固体(258 mg)として得た。収率99%。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 1.35 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.36 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 3.44 (s, 3H), 3.50 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 4.55 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.69 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 5.84 (br s, 1H), 6.87 (s, 2H), 6.94 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.14-7.24 (m, 4H), 9.34 (br s, 1H), 9.53 (d, J = 7.4 Hz, 1H).
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
工程(a):化合物32の合成
 アルゴン雰囲気下、化合物31(70.0 mg, 0.120 mmol)の乾燥アセトン(15 mL)溶液に、3-(ジメチルアミノ)プロピルクロリド塩酸塩(22.8 mg, 0.144 mmol)、炭酸カリウム(83.0 mg, 0.601 mmol)を順次加えた後、混合物を18時間、加熱還流した。一旦放冷後、3-(ジメチルアミノ)プロピルクロリド塩酸塩(22.8 mg, 0.144 mmol)および炭酸カリウム(83.0 mg, 0.601 mmol)を追加し、更に混合物を5時間、加熱還流した。放冷後、アセトンで希釈し、セライトで濾過した。濾液を減圧下濃縮した後、残渣をクロマトレックスDiolカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル~ジクロロメタン:メタノール=10:1)およびクロマトレックスで精製し、化合物32を淡黄色固体(39.7 mg)として得た。収率50%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.34 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.43 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 2.08 (quin, J = 6.9 Hz, 2H), 2.28 (s, 6H), 2.51 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.45 (s, 6H), 3.96 (s, 3H), 4.17 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 4.54 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 4.68 (sep, J = 6.1 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.93 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.00 (s, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.21 (dd, J = 1.7 and 8.2 Hz, 1H), 9.59 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 10.58 (br s, 1H).
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
工程(b):化合物33の合成
 アルゴン雰囲気下、室温にて化合物32(15.2 mg, 22.8 μmol)の乾燥ジクロロメタン(5.0 mL)溶液に、塩化アルミニウム-ニトロベンゼン溶液(1.0 M, 145 μL, 0.145 mmol)を滴下し、同温度にて72時間撹拌した。反応溶液に、炭酸水素ナトリウム(36.7 mg, 0.437 mmol)、ロッシェル塩(123 mg, 0.437 mmol)および水(2.1 mL)からなる混合溶液を加え、1時間激しく撹拌した後、ジクロロメタンおよび水を減圧留去した。残渣に水を加え、減圧下、ニトロベンゼンを共沸除去したのち、減圧乾燥した。残渣にジクロロメタン(1.0 mL)およびトリフルオロ酢酸(1.0 mL)を加えたのち、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH-20,0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有水~0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有 水:メタノール=1:1~0.1%v/vトリフルオロ酢酸含有メタノール)で精製し、化合物33を褐色固体(15.8 mg)として得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 2.11-2.18 (m, 2H), 2.82 (s, 3H), 2.83 (s, 3H), 3.20-3.26 (m, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 4.05 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 6.90 (s, 1H), 6.98-7.02 (m, 3H), 7.05 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.23 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 9.37 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 9.60 (br s, 1H), 9.75 (br s, 2H), 11.37 (br s, 1H).
試験例1 EGFR遺伝子導入BaF3細胞を用いた増殖抑制活性の評価
 薬剤の酵素レベルの活性は、その薬剤の細胞膜透過性やオフターゲット阻害等により、必ずしも細胞レベルの活性には直結しない。そこで、キナーゼ阻害剤の細胞レベルでの評価法として有効性が確立している形質導入BaF3細胞を用いたEGFR阻害活性評価を行った。BaF3細胞(マウス前リンパ球細胞)は、IL-3(Interleukin-3)の存在下でのみ増殖可能である。一方、EGFR遺伝子を形質導入したBaF3細胞は、IL-3が存在しなくてもEGFR依存的に増殖が可能となる。そこにEGFR阻害剤を加えると、BaF3細胞は増殖できなくなるが、IL-3を加えるとEGFR阻害剤が存在しても増殖は可能となる。このような性質を利用してEGFR阻害剤の活性や特異性の評価が可能となる。
 今回、二重変異EGFR遺伝子を形質導入したBaF3(L858R/T790M)、BaF3(del exon19/T790M)ならびに三重変異EGFR遺伝子を形質導入したBaF3(L858R/T790M/C797S)、BaF3(del exon19/T790M/C797S)に対する、ラメラリン類(化合物26a、26b、26c、26d)およびアザラメラリン類(化合物8、8a、33)の増殖阻害活性評価を行った。ポジティブコントロールとしては、第一世代阻害剤ゲフィチニブ、第二世代阻害剤アファチニブおよび第三世代阻害剤オシメルチニブを用いた。具体的な試験方法は以下の通りである。
 BaF3細胞2×10細胞に対して、2μgの各種pBABE-EGFRプラスミドを、NEONエレクトロポレーションシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて導入し、10ng/mL IL-3、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地で5%二酸化炭素/95%空気雰囲気下、37℃にて培養した。2日後、1μg/mLピューロマイシンを添加し、4日間培養した。細胞をPBSにて洗浄後、IL-3非含有培地で培養し、IL-3非依存的に増殖する細胞を用いた。この細胞を96穴マイクロプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)に3000細胞/ウェルとなるよう播種し、各種濃度の試験化合物を加え、150μLの培地中で4日間培養した。15μLの5mg/mL MTT(チアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド)溶液をウェルに添加し、37℃で4時間インキュベート後、100μLの20% SDSを添加して、一晩さらにインキュベートした。570nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(ベックマン・コールター株式会社)にて測定し、50%細胞増殖阻害濃度(IC50)を算出した。結果を以下の表に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000034
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000035
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000036
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000037
 試験例1により、以下のことが明らかになった。
 (1)二重変異EGFRを持つBaF3(L858R/T790M)に対して、ラメラリン類はアファチニブと同程度の活性を、またアザラメラリン類はオシメルチニブに匹敵する活性を示した。しかしながら、両者ともに治療濃度域(この場合、-IL3と+IL3の差と定義する)が狭く、アファチニブやオシメルチニブに対する優位性は認められなかった。
 (2)二重変異EGFRを持つBaF3(del exon19/T790M)に対して、ラメラリン類はアファチニブと同程度の活性を示した。しかしながら、両者ともに治療濃度域が狭く、アファチニブやオシメルチニブに対する優位性は認められなかった。
 (3)一方、三重変異EGFRを持つBaF3(L858R/T790M/C797S)、BaF3(del exon19/T790M/C797S)に対しては、アファチニブやオシメルチニブの活性は大幅に減弱した(特にオシメルチニブ)。しかしながら、可逆型阻害剤であるラメラリン類やアザラメラリン類ではそのような減弱は認められず、むしろ活性の向上が認められた。その活性は、アファチニブやオシメルチニブの活性を凌ぐものであった。また、各化合物で有意な治療濃度域の広がりが認められ、細胞増殖抑制にEGFR阻害が関与していることが明確に示された。
試験例2 化合物26dによる野生型EGFR遺伝子導入BaF3細胞の増殖抑制活性の評価
 活性型変異をもつEGFRに対する化合物26dの選択性を、活性型変異を持たない野生型EGFRを発現するBaF3細胞を用いて検討した。BaF3細胞2×10細胞に対して、2μgのpBABE-EGFR野生型を、NEONエレクトロポレーションシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて導入し、10ng/ml IL-3、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地で5%二酸化炭素/95%空気雰囲気下、37℃にて培養した。2日後、1μg/mL ピューロマイシンを添加し、耐性細胞を選択した。この細胞を、PBSにて2回洗浄後、96穴マイクロプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)に30000細胞/ウェルとなるように播種し、10ng/mL EGFまたはIL-3および、各種濃度の化合物26dを加え、150μLの培地中で4日間培養した。15μLの5mg/mL MTT(チアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド)溶液をウェルに添加し、37℃で4時間インキュベート後、100μLの20% SDSを添加して、一晩さらにインキュベートした。570nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(ベックマン・コールター株式会社)にて測定し、50%細胞増殖阻害濃度(IC50)を算出した。結果を以下の表に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000038
 活性型変異を持つBaF3(del exon19/T790M/C797S)に対して、野生型EGFRを発現するBaF3細胞では化合物26dの効果は低く、IL-3存在下での増殖抑制活性と同程度であった。したがって、化合物26dは三重変異を有するEGFRに対して選択的であることが示された。
試験例3 EGFR遺伝子導入肺線がん細胞を用いた増殖抑制活性の評価
 肺腺がん細胞株における化合物26dの増殖抑制活性を検討した。EGFR遺伝子にエキソン19欠損(del exon19)を有する肺腺がん細胞株PC-9に、2μgのpBABE-EGFRを、Viafectトランスフェクション試薬(プロメガ株式会社)を用いて導入し、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地で5%二酸化炭素/95%空気雰囲気下、37℃にて培養した。2日後、2μg/mLピューロマイシンを添加し、耐性細胞を選択した。これらの細胞および、野生型EGFRを発現するA549細胞を、96穴マイクロプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)に3000細胞/ウェル、7500細胞/ウェルとなるようにそれぞれ播種し、各種濃度の試験化合物を加え、150μLの培地中で4日間培養した。15μLの5mg/mL MTT(チアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド)溶液をウェルに添加し、37℃で4時間インキュベート後、100μLの20% SDSを添加して、一晩さらにインキュベートした。570nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(ベックマン・コールター株式会社)にて測定し、50%細胞増殖阻害濃度(IC50)を算出した。結果を以下の表に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000039
 PC-9に活性型変異を持つEGFR遺伝子を導入し、肺腺がん細胞株に対する化合物26dの増殖抑制活性を検討した結果、化合物26dは耐性変異(T790M、C797S変異)の有無にかかわらず、ほぼ同程度の濃度で増殖を抑制した。
 変異を持たない野生型EGFRを発現する肺腺がん細胞株A549に対しては、活性型変異を有するPC-9細胞よりも高い濃度で増殖を抑制した。したがって、化合物26dは、活性型変異を有するEGFRに対して選択的であることが示された。
試験例4 化合物26dによるEGFRシグナルの阻害の評価
 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤は、EGFRの自己リン酸化並びに下流のシグナルを阻害する。そこで、化合物26dが、細胞レベルでEGFR(del exon19/T790M/C797S)の自己リン酸化並びに下流のシグナルを阻害するかについて検討した。肺腺がん細胞PC-9およびEGFR (del exon19/T790M)、EGFR(del exon19/T790M/C797S)をそれぞれ発現するPC-9細胞を、6穴プレートに100000細胞/ウェルとなるように播種し、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地で5%二酸化炭素/95%空気雰囲気下、37℃にて培養した。翌日、オシメルチニブまたは化合物26dを添加して4時間培養した。氷冷PBSにて洗浄後、100μLの5mM バナジン酸ナトリウム、5mM フッ化ナトリウム、Protease inhibitor cocktail(Roche株式会社)含有RIPAバッファー(20mM Tris-HCL pH7.5、150mM NaCl、1%NP40、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS)に懸濁し、氷上で30分インキュベートし、15000回転で30分間遠心し、上清を細胞抽出液とした。細胞抽出液を、SDSポリアクリルアミドゲルにより分離し、PVDF膜に転写した。PVDF膜は、5%スキムミルクにより30分間ブロッキングし、抗リン酸化EGFR抗体、抗EGFR抗体、抗リン酸化AKT抗体、抗AKT抗体、抗リン酸化ERK抗体(Cell Signaling Technologies株式会社)、抗ERK抗体(Santa Cruz)、抗アクチン抗体(Sigma株式会社)、セイヨウワサビパーオキシダーゼ結合抗マウスIgG、セイヨウワサビパーオキシダーゼ結合抗ウサギIgGを用いてウエスタンブロットを行った。検出には、ECL Prime Detection Reagent、LAS3000(GEヘルスケア株式会社)を用いた。結果を図2に示す。
 化合物26dは、PC-9細胞のEGFRのリン酸化、EGFRシグナルの下流に存在するERKのリン酸化を抑制した。一方、EGFRシグナルの下流のAKTのリン酸化の抑制は見られなかった。これらのタンパク質のリン酸化は、耐性変異(T790M、C797S変異)の有無にかかわらず、ほぼ同程度の濃度で抑制された。したがって、化合物26dは既存の薬剤耐性変異細胞のEGFRシグナルを抑制することが示された。
試験例5 化合物26dのマウスゼノグラフとモデルにおける抗腫瘍効果の評価
 化合物26dの動物レベルでの治療効果を調べるために、マウスゼノグラフトモデルを用いて検討した。EGFR(del exon19/T790M/C797S)を発現するPC-9を 5×10細胞となるように調製し、マトリゲル(ベクトン・ディッキンソン株式会社)と1:1となるように混合した。これをBalb/c ヌードマウス(日本チャールスリバー株式会社)の皮下に、100μL注射した。腫瘍の形成が見られてから、化合物26dを0.2mg連日腹腔内投与し、腫瘍径を測定した。腫瘍体積は、長軸(mm)×短軸(mm)/2で算出した。結果を図3および4に示す。
 化合物26dは、ヌードマウス皮下に移植したEGFR(del exon19/T790M/C797S)遺伝子を発現するPC-9細胞の腫瘍の増大を抑制した。したがって、化合物26dは動物レベルで、ゲフィチニブ、オシメルチニブに耐性となったヒト肺がん移植腫瘍の増大を抑制することが示された。投与期間中、体重減少は観察されなかったため、化合物26dは顕著な毒性は示さないと考えられる。
 以上のように、構造に基づく薬剤設計(Structure-Based Drug Design)に基づき創出された本発明の化合物は、EGFR(L858R/T790M/C797S)やEGFR(del exon19/T790M/C797S)を細胞レベルで強力に阻害することが明らかになった。その活性は、認可された既存のEGFR-TKI(ゲフィチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ)に比較して格段に強く、現在治療法のない三重変異EGFRを持つ非小細胞肺がん治療薬(第四世代EGFR-TKI)開発のためのリード化合物として有用であると考えられる。
 本発明の化合物は、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)に対して特異的なチロシンキナーゼ阻害活性を有し、C797S変異型耐性EGFR(特にC797S変異型三次耐性EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤、耐性変異EGFRを持つ非小細胞肺がん等の予防および/または治療剤等として有用である。
 本出願は、日本で出願された特願2017-064866を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (2)

  1.  式(I):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001

    [式中、
     Xは、OまたはNHを示し、
     RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し;
     RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、
     RおよびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
    で表される化合物(但し、以下の化合物:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002

    を除く。)またはその塩。
  2.  式(I):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003

    [式中、
     Xは、OまたはNHを示し、
     RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し;
     RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、
     RおよびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
    で表される化合物またはその塩を含有する、C797S変異型耐性EGFR特異的チロシンキナーゼ阻害剤。
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