WO2018159093A1

WO2018159093A1 - パンツ型吸収性物品

Info

Publication number: WO2018159093A1
Application number: PCT/JP2017/047258
Authority: WO
Inventors: 知央金子; 俊介正木; ウテンピッチャヤナート; ティラナンイムチット
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2017-02-28
Filing date: 2017-12-28
Publication date: 2018-09-07
Also published as: TWI727129B; TW201838604A; JP6397947B2; JP2018140016A

Abstract

吸収性本体（１０）は吸収体（１２）と脚回り弾性部材（６１）を備え、脚回り開口部（ＬＨ）を区画する脚回り部材（１５）と、吸収体（１２）の非肌側にシート部材（１４）を備え、胴回り部（２０、３０）は胴回り弾性部材（２２、３２）を備えるパンツ型吸収性物品（１）であって、シート部材（１４）の左右方向の端部に、シート部材（１４）と脚回り部材（１５）とが溶着された複数の溶着領域（６２）を有し、溶着領域（６２）は、左右方向に所定の長さ（Ｌ１）を有し、脚回り部材（１５）を伸長させた状態において、溶着領域（６２）の脚回り開口部（ＬＨ）の側の端が吸収体（１０）の側の端よりも上側に傾斜している溶着領域（６２）が、着用状態における脚回り開口部（ＬＨ）の前側且つ下側に位置する前下側部分（ＦＵ）に少なくとも１つ設けられている。

Description

パンツ型吸収性物品

　本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。

　パンツ型吸収性物品の一例として、特許文献１のような、前被包部５０２と後被包部５０６と股下被包部５０４とを有し、前被包部５０２と後被包部５０６の両側部が予め接合された使い捨ておむつ５０１が挙げられる。使い捨ておむつ５０１は、股下被包部５０４の側縁部に沿って設けられた立体ギャザー５２６は不織布シート５３２を折り返されて形成されて伸縮部５８０、５８１を構成し、伸縮部５８０、５８１と通気路形成シート５８３とを接合部５８４で接合することで、レッグ開口部に柔軟性を付与した通気路構造を形成している。接合部５８４は、ウエスト伸縮材５４２に沿った形状で、間欠的に配置されており、使い捨ておむつ５０１は、それぞれ左右の外側に向かって開口したレッグ開口部を有する。

特開２０１２－２１０３１８号公報

　パンツ型の使い捨ておむつの着用者である乳幼児、特に低月齢の赤ちゃんの脚の姿勢は、胴体と脚が真っ直ぐであることは少なく、がに股で、胴体に対して両脚を前に出した姿勢であることが多い。このとき、特許文献１のような使い捨ておむつ５０１を低月齢の赤ちゃんに着用させると、使い捨ておむつ５０１のレッグ開口部の前側が、過度に乳幼児の脚を押し付けてしまったり、レッグ開口部の後側に乳幼児の脚との間に隙間ができてしまったりして、フィット性が低下してしまう恐れがあった。

　本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、パンツ型吸収性物品の脚回り開口部のフィット性を向上させることを目的とする。

　上記目的を達成するための主たる発明は、上下方向と、左右方向と、前記上下方向及び前記左右方向と直交する前後方向とを有し、吸収性本体と、一対の胴回り部を有しており、前記吸収性本体は、吸収体と、前記上下方向に伸縮する脚回り弾性部材を備え、一対の脚回り開口部を区画する脚回り部材と、前記吸収体の非肌側に位置するシート部材とを備え、前記一対の胴回り部は、前記左右方向に伸縮する胴回り弾性部材を備え、前記吸収性本体の腹側上端部と背側上端部とが対向するように２つ折りされ、前記腹側上端部と前記背側上端部が、それぞれ前記一対の胴回り部と重ね合されているパンツ型吸収性物品であって、前記シート部材の前記左右方向の端部において、前記シート部材と前記脚回り部材とが溶着された複数の溶着領域を有しており、前記溶着領域は、前記左右方向に所定の長さを有しており、前記パンツ型吸収性物品の着用状態における前記脚回り開口部の前側且つ下側に位置する前下側部分を備えており、前記脚回り部材を伸長させた状態において、前記溶着領域の前記脚回り開口部の側の端が前記吸収体の側の端よりも上側に傾斜している前記溶着領域が、前記前下側部分に少なくとも１つ設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品である。
　本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

　本発明によれば、着用状態において、剛性が高くなった溶着領域に沿って脚回り開口部が前側に向かって開くように形成されるため、がに股の姿勢のように、乳幼児の前向き出た状態の脚に脚回り開口部をフィットさせることができる。

図１は、パンツ型使い捨ておむつ１の概略斜視図である。図２は、展開状態且つ伸長状態のおむつ１を肌側面側から見た概略平面図である。図３は、図２中のＡ－Ａ矢視で示す概略断面図である。図４Ａは、吸収性本体１０の形成方法を説明する図である。図４Ｂは、図４Ａ中のＢ－Ｂ矢視で示す概略断面図である。図５は、展開状態且つ伸長状態のおむつ１の腹側を拡大して説明する図である。図６Ａは、伸長状態且つ展開状態のおむつ１を説明する図である。図６Ｂは、自然状態かつ展開状態のおむつ１を説明する図である。図７は、おむつ１の脚回り開口ＬＨ部ＬＨの原理を説明する模式図である。図８は、図５中の部分Ｙにおける溶着領域６２の拡大図である。

　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
　上下方向と、左右方向と、前記上下方向及び前記左右方向と直交する前後方向とを有し、吸収性本体と、一対の胴回り部を有しており、前記吸収性本体は、吸収体と、前記上下方向に伸縮する脚回り弾性部材を備え、一対の脚回り開口部を区画する脚回り部材と、前記吸収体の非肌側に位置するシート部材とを備え、前記一対の胴回り部は、前記左右方向に伸縮する胴回り弾性部材を備え、前記吸収性本体の腹側上端部と背側上端部とが対向するように２つ折りされ、前記腹側上端部と前記背側上端部が、それぞれ前記一対の胴回り部と重ね合されているパンツ型吸収性物品であって、前記シート部材の前記左右方向の端部において、前記シート部材と前記脚回り部材とが溶着された複数の溶着領域を有しており、前記溶着領域は、前記左右方向に所定の長さを有しており、前記パンツ型吸収性物品の着用状態における前記脚回り開口部の前側且つ下側に位置する前下側部分を備えており、前記脚回り部材を伸長させた状態において、前記溶着領域の前記脚回り開口部の側の端が前記吸収体の側の端よりも上側に傾斜している前記溶着領域が、前記前下側部分に少なくとも１つ設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品である。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用状態において、剛性が高くなった溶着領域に沿って脚回り開口部が前側に向かって開くように形成されるため、がに股の姿勢のように、乳幼児の前向き出た状態の脚に脚回り開口部をフィットさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記腹側上端部と前記背側上端部との間に、複数の前記溶着領域が、前記脚回り開口部に沿って、間隔を空けて設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、脚回り開口部に沿った脚回り部材に複数の皺を形成することができるため、着用時における肌当たりを向上させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品の着用状態における前記脚回り開口部の後側且つ下側に位置する後下側部分を備えており、前記脚回り部材を伸長させた状態において、前記溶着領域の前記脚回り開口部の側の端が前記吸収体の側の端よりも下側に傾斜している前記溶着領域が、前記後下側部分に少なくとも１つ設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前向きに出ている乳幼児の脚の後側についても脚回り開口部をフィットさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、複数の前記溶着領域は、前記胴回り弾性部材と前記前後方向において重複する前記溶着領域を有することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、包材から取り出した自然状態において、胴回り弾性部材が左右方向に収縮しても、溶着領域は剛性が高くなっているため、左右方向に収縮しづらくなり、前側に傾きやすくなるため、前側に向かった形状の脚回り開口部となり、乳幼児の脚にフィットしやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記一対の胴回り部は、腹側胴回り部と背側胴回り部であり、前記一対の胴回り部は、前記前後方向において、前記吸収体と重なる部位に、前記胴回り弾性部材が不連続である部分をそれぞれ有しており、前記腹側胴回り部の前記胴回り弾性部材の不連続である部分の前記左右方向の長さは、前記背側胴回り部の前記胴回り弾性部材の不連続である部分の前記左右方向の長さよりも短いことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、腹側胴回り部の胴回り弾性部材の収縮量が、背側胴回り部の胴回り弾性部材の収縮量より大きくなるため、胴回り弾性部材が左右方向に収縮すると、腹側胴回り部の方がより縮められて、剛性の高い溶着領域によって、脚回り開口部がより前向きに形成されやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記脚回り弾性部材は、複数設けられ、それぞれ前記脚回り開口部を小さくするように収縮しており、前記脚回り弾性部材は、前記左右方向において、前記吸収体の側に設けられた内側脚回り弾性部材と、前記脚回り開口部の側に設けられた外側脚回り弾性部材を有しており、前記外側脚回り弾性部材を単位長さだけ伸長させたときの張力は、前記内側脚回り弾性部材を単位長さだけ伸長させたときの張力よりも小さいことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、左右方向において、排泄物を吸収する吸収体の側により大きい収縮量を有する弾性部材を配置することで、排泄物の漏れを軽減することができる。一方で、脚回り開口部の側には、より小さい収縮量を有する弾性部材を配置することで、着用者の脚の形状に沿ってフィットさせやすくなり、過度に乳幼児の脚を締め付ける恐れを軽減することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記脚回り部材を伸長させた状態において、前記上下方向に隣接する前記溶着領域同士の間隔が、前記溶着領域の前記左右方向の長さよりも短いことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、上下方向に隣接する溶着領域の間に、より細かい皺を形成することができるため、着用時における肌当たりを向上させることができる。

　　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記脚回り弾性部材は、複数設けられており、前記脚回り部材を伸長させた状態において、前記前後方向で前記溶着領域と重なる領域に設けられた前記脚回り弾性部材のうち、前記左右方向に隣接する前記脚回り弾性部材同士の最も長い間隔よりも、前記上下方向に隣接する前記溶着領域同士の間隔が長いことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、左右方向に連続した皺を形成しやすくして、着用時の肌当たりを向上させることができる。また、左右方向に複数の皺を形成しやすくなるため、脚回り部材の左右方向の剛性が高くなり、胴回り開口部を前向きに形成しやすくすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記溶着領域は、複数の溶着部を有しており、前記複数の溶着部は、所定の間隔で配置されていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、溶着領域は剛性が高くなっているところ、複数の溶着部が所定の間隔で配置されていることで、溶着部同士の間の溶着されていない領域は着用者の脚回りの動きに応じて動かしやすい部分となるため、着用者はパンツ型吸収性物品によって脚の動きが制限されてしまう恐れを軽減することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、股間部における前記吸収体の前記左右方向の長さが、前記腹側上端部及び前記背側上端部と前後方向において重複する前記吸収体の前記左右方向の長さよりも短いことが望ましい。

　左右方向における吸収体の端から脚回り部材の端までの側方部分は、吸収体よりも剛性が低い。股間部において、吸収体の左右方向の長さを短くし、側方部分の左右方向の長さを長くすることで、脚回り弾性部材が収縮した際に、側方部分が上側に引っ張られやすくなる。これにより、着用状態における脚回り開口部の下側の部分を着用者の脚にフィットさせやすくすることができる。

＝＝＝実施形態＝＝＝
　本発明に係るパンツ型吸収性物品として「パンツ型使い捨ておむつ」を例に挙げて以下の実施形態を説明する。本実施形態のパンツ型使い捨ておむつは乳幼児用としても大人用としても利用可能である。また、本発明に係るパンツ型吸収性物品は使い捨ておむつ以外にも、例えば生理用のショーツ型ナプキンとしても利用可能である。

＝＝＝パンツ型使い捨ておむつの基本構成＝＝＝
　図１は、パンツ型使い捨ておむつ１（以下「おむつ」という）の概略斜視図である。図２は、展開状態且つ伸長状態のおむつ１を肌側面側から見た概略平面図である。図３は、図２中のＡ－Ａ矢視で示す概略断面図である。なお、「伸長状態」とは、おむつ１の皺が視認できなくなる程度まで、おむつ１が備える弾性部材を伸長させた状態を示す。具体的には、おむつ１を構成する各部材（例えば、後述する腹側胴回り部２０等）の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態を示す。また、図２中のＣ－Ｃ線は左右方向における中心線である。

　図１に示すように、パンツ型のおむつ１は上下方向と左右方向と前後方向とを有し、おむつ１には胴回り開口部ＢＨ及び一対の脚回り開口部ＬＨが形成されている。上下方向において、胴回り開口部ＢＨ側を上側とし、着用者の股下となる側を下側とする。図２の状態（展開かつ伸長状態）でのおむつ１の上下方向を「長手方向」、長手方向の一方側を「腹側」、他方側を「背側」ともいい、長手方向における略中央部Ｃ１０側を「下側」ともいう。前後方向において、着用者の腹側となる側を前側とし、着用者の背側となる側を後側とする。また、おむつ１は図３に示すように厚さ方向を有し、厚さ方向において着用者に接触する側を肌側とし、その逆側を非肌側とする。

　おむつ１は、所謂３ピースタイプであり、吸収性本体１０と一対の胴回り部２０、３０とを有する。吸収性本体１０は平面視略長方形状であり、吸収性本体１０の腹側上端部１０ｆと背側上端部１０ｂとが対向するように図２における折り線ｍ－ｍで２つ折りされ、腹側上端部１０ｆと背側上端部１０ｂが、それぞれ胴回り部２０、３０と重ね合されている。なお、腹側上端部１０ｆは、吸収性本体１０の腹側の端部であり、胴回り部２０と重なった部分をいう。背側上端部１０ｂは、吸収性本体１０の背側の端部であり、胴回り部３０と重なった部分をいう。胴回り部２０、３０は平面視略長方形状であり、その長手方向が左右方向に沿っている。一対の胴回り部２０、３０のうち着用者の腹側部を覆うものを腹側胴回り部２０ともいい、着用者の背側部を覆うものを背側胴回り部３０ともいう。

　図２の展開状態にて示されるように、おむつ１は、中心線Ｃ－Ｃに対して左右対称な形状を有している。吸収性本体１０の腹側上端部１０ｆ、背側上端部１０ｂの非肌側面と胴回り部２０、３０の肌側面とを接着剤等により接合し、図２に示す展開状態から、腹側胴回り部２０と背側胴回り部３０とが対向するように吸収性本体１０を二つ折りし、腹側胴回り部２０の左右方向の両側部２０ａと背側胴回り部３０の左右方向の両側部３０ａとを接合することにより、おむつ１はパンツ型となる。

　腹側胴回り部２０及び背側胴回り部３０はそれぞれ、不織布等の柔軟な２枚のシート（２１と２１、３１と３１）と、左右方向に伸縮する糸ゴム等の複数の弾性部材２２、３２とを備える。以下の説明では弾性部材２２、３２を胴回り弾性部材２２、３２ともいう。複数の胴回り弾性部材２２、３２は、上下方向に間隔を空けて並んで配されるとともに、左右方向に伸長した状態で２枚のシート（２１と２１、３１と３１）の間に固定されている。したがって、腹側胴回り部２０及び背側胴回り部３０は左右方向に伸縮可能であり、着用者の胴回りにフィットする。

　吸収性本体１０は、図３に示すように厚さ方向の肌側から順に、脚回り部材１５と、トップシート１１と、吸収体１２と、バックシート１３と、外装シート１４とを備える。トップシート１１は液透過性シートであればよく、親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等を例示できる。バックシート１３は液不透過性シートであればよく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を例示できる。トップシート１１及びバックシート１３は吸収体１２全体を覆う大きさとする。外装シート１４及び脚回り部材１５は液透過性シートでも液不透過性シートでもよい。ただし本実施形態では外装シート１４と脚回り部材１５によって防漏壁部５０と脚回り開口部ＬＨの一部が形成されるため、外装シート１４及び脚回り部材１５として疎水性のＳＭＳ不織布等を例示できる。

　吸収体１２は、平面視長方形状であり、液体を吸収する吸収性コア１２１と、吸収性コア１２１の外周面を被覆するコアラップシート１２２とを備える。吸収性コア１２１は、液体吸収性素材が所定の形状に成形されたものであり、本実施形態では長手方向の中央部がくびれた略砂時計形状を成している。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー（所謂ＳＡＰ）等が含有されたものを例示できる。コアラップシート１２２としては、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを例示できる。なお、コアラップシート１２２はなくてもよい。

　また、吸収性本体１０は、一対の防漏壁部５０と、一対の脚回り延出部６０とを備える。詳細は後述するが、本実施形態では図３や図４に示すように外装シート１４の左右方向の両側部が折り返されており、折り返された外装シート１４の左右方向の端部は、二つ折りされた脚回り部材１５と接合されて、接合した部分（後述の溶着領域６２）から左右方向の外側の部分に脚回り延出部６０を形成している。

　一対の防漏壁部５０は、所謂立体ギャザーであり、吸収性本体１０の長手方向に沿って、吸収体１２の左右方向の両側部に設けられている。詳しくは左右方向において吸収体１２と重なる位置から延出する位置に亘って設けられている。各防漏壁部５０は長手方向（おむつ１の上下方向）に伸縮する防漏壁弾性部材５１を備えるとともに、防漏壁部５０を形成する外装シート１４及び脚回り部材１５をトップシート１１やバックシート１３に接合する一対のエンド接合部５２及びサイド接合部５３を備える。一対のエンド接合部５２は吸収性本体１０の長手方向の両端部に配置され、サイド接合部５３は、吸収性本体１０の長手方向の一端から他端まで延び、且つ、エンド接合部５２よりも左右方向の外側に配置されている。そのため、防漏壁部５０では、防漏壁弾性部材５１の収縮によって、一対のエンド接合部５２間の外装シート１４の部位が、サイド接合部５３を基点に着用者側（厚さ方向の肌側）に起立可能となる。したがって、横流れした排泄物が防漏壁部５０によって堰き止められる。ただし、おむつ１が防漏壁部５０を有していなくてもよい。

　一対の脚回り延出部６０は、防漏壁部５０より左右方向の両外側の部位である。また、図２に示すように、各脚回り延出部６０は、脚回り開口部ＬＨを形成する「脚回り開口形成部６０ａ」と、腹側胴回り部２０及び背側胴回り部３０のそれぞれと上下方向において重複する「重複部６０ｂ」「重複部６０ｃ」を有する。換言すると、「重複部６０ｂ」は、それぞれ吸収性本体１０の腹側上端部１０ｆと腹側胴回り部２０とが重なった部分でもあり、「重複部６０ｃ」は、吸収性本体１０の背側上端部１０ｂと背側胴回り部３０とが重なった部分でもあり、「脚回り開口形成部６０ａ」は、吸収性本体１０のうち腹側上端部と背側上端部との間でもある。また、各脚回り延出部６０は、長手方向（おむつ１の上下方向）に伸縮し、且つ、左右方向に間隔を空けて配された７本の弾性部材６１（以下、脚回り弾性部材６１ともいう）を備える。したがって、脚回り延出部６０における脚回り開口形成部６０ａは、脚回り開口部ＬＨを区画して着用者の脚回りにフィットする。

　また、各脚回り延出部６０には、左右方向に延び、且つ、左右方向に対して傾斜している溶着領域６２が複数配されている。図２に示すように、複数の溶着領域６２は脚回り延出部６０の長手方向の全域に亘って、長手方向に間隔を空けて並んで配されており、腹側上端部と背側上端部の間の脚回り開口形成部６０ａに沿って設けられている。溶着領域６２の詳細は、後述する。

　なお、腹側胴回り部２０、背側胴回り部３０、防漏壁部５０、及び脚回り延出部６０が備える弾性部材（２２、３２、５１、６１）として糸ゴム等の糸状の弾性部材を例示しているがこれに限らない。糸ゴムの代わりに、例えば伸縮性フィルムや伸縮性不織布等のシート状の弾性部材を単数又は複数配してもよい。また、図面には弾性部材のうち伸縮性を発現する部位（所謂有効長の部位）のみを示す。そのため図示する弾性部材の長手方向の外側に伸縮性を発現しない弾性部材の部位が存在していてもよい。また、弾性部材の配置や本数も図示する構成に限らない。

＝＝＝吸収性本体１０の形成方法＝＝＝
　次に、吸収性本体１０の一対の防漏壁部５０及び一対の脚回り延出部６０の形成方法について図４を参照しながら簡単に説明する。図４Ａは、吸収性本体１０の形成方法を説明する図である。図４Ｂは、図４Ａ中のＢ－Ｂ矢視で示す概略断面図である。なお、図４Ｂにおいて、厚さ方向の肌側を「上側」ともいい、非肌側を「下側」ともいう。

　外装シート１４に溶着する前の脚回り部材１５には、図４Ａ及び図４Ｂの左側に示すように、折り線ｆ１とほぼ同じ位置、及び折り線ｆ１より左右方向の内側にそれぞれ防漏壁弾性部材５１が長手方向に伸長した状態で固定されている。折り線ｆ１は、脚回り部材１５を２つに折るための折り線であり、図４Ａ及び図４Ｂの左側に示す脚回り部材１５の左右方向の略中央である。まず、脚回り部材１５の厚さ方向の肌側（左右方向の内側）に、折り線ｆ１で折り返す。

　続いて、図４Ａ及び図４Ｂの右側に示すように、外装シート１４と脚回り部材１５をそれぞれ長手方向に伸長した状態で、外装シート１４の左右方向の外側端部と、脚回り部材１５の左右方向の内側端部とを固定して一体にする。外装シート１４と脚回り部材１５との固定は、溶着により行う。具体的には、折り返されて２層になっている脚回り部材１５と外装シート１４とが部分的に溶着されることによって、溶着領域６２が形成される。図４Ａの右側に示すように、折り線ｍ－ｍ（股下）より腹側については、左右方向の内側から外側に向かって下方に傾斜した斜め下形状の複数の溶着領域６２が設けられ、折り線ｍ－ｍより背側については、左右方向の内側から外側に向かって上方に傾斜した斜め上形状の溶着領域６２が、長手方向に間隔を空けて設けられる。溶着領域６２の形成は、周知の溶着方法で行えばよく、例えば、熱溶着、超音波溶着、レーザー照射による溶着等を挙げられる。

　次に、図４Ａ及び図４Ｂの右側の状態において、予め溶着領域よりも左右方向の内側で、７本の脚回り弾性部材６１が長手方向に伸長した状態で肌側面に固定された外装シート１４の左右方向の中央部に、非肌側面から順に、バックシート１３、吸収体１２トップシート１１とを重ねて接合する。

　また、２層になっている脚回り部材１５の部位の上側であって、吸収体１２よりも左右方向の外側に、防漏壁部５０のエンド接合部５２及びサイド接合部５３を形成するための接着剤を塗布する。そして、吸収体１２と溶着領域６２の間で、左右方向で最も外側に位置する脚回り弾性部材６１とほぼ同じ位置の折り線ｆ２にて、外装シート１４の左右方向の両側部がトップシート１１よりも厚さ方向の外側に折り返し、エンド接合部５２とサイド接合部５３に塗布された接着剤で防漏壁部５０及び脚回り延出部６０をバックシート１３及び外装シート１４に固定することで図２及び図３に示す吸収性本体１０が形成される。つまり、溶着領域６２においては、２つ折りされて２層になった脚回り部材１５と、１層の外装シート１４の合計３層が重ねられている。防漏壁部５０は、主に脚回り部材１５により形成され、脚回り延出部６０は、外装シート１４と脚回り部材１５により形成される。

＝＝＝脚回り延出部６０＝＝＝
　図５は、展開状態且つ伸長状態のおむつ１の腹側を拡大して説明する図である。おむつ１においては、脚回り延出部６０を備えることによって、脚回りに幅広の面で密着させることができるため、脚回り開口部ＬＨから排泄物の漏れを軽減している。おむつ１においては、例えば乳幼児用のＳサイズのおむつでは、吸収性本体１０の左右方向の長さを約１７０ｍｍ、脚回り延出部６０の左右方向の長さを約２３ｍｍとしている。また、脚回り延出部６０に配置した複数の脚回り弾性部材６１によって、脚回り開口部ＬＨに必要な収縮力を与えるため、脚回り開口部ＬＨからの排泄物の漏れをより軽減している。なお、脚回り弾性部材６１は、左右方向に間隔を空けて並んで配しているため、１本当たりの脚回り弾性部材６１の伸縮力を小さくでき、脚回り弾性部材６１の局所的な密着による肌への負担を防止することができる。

　おむつ１の脚回り延出部６０は、主に吸収性本体の外装シート１４と脚回り部材１５とが溶着された溶着領域６２によって形成される。図２及び図５に示すように、複数の溶着領域６２は、吸収性本体１０の長手方向の全長に亘って、一定の間隔を空けて長手方向に沿って設けられている。この各溶着領域６２は、左右方向に所定の長さ（図７におけるＬ１）を有しており、脚回り開口部ＬＨ側の端が吸収体１２側の端よりも上側に傾斜している。具体的には、溶着領域６２と左右方向に沿った仮想直線とがなす角度θのうち小さい方の角度は３度である。溶着領域６２が有する左右方向の所定の長さは、０ｍｍよりも大きければよいが、ある程度の長さを有することが好ましい。例えば、脚回り延出部６０の左右方向の長さが２３ｍｍである場合、溶着領域６２の左右方向の長さが、好ましくは、３．５ｍｍから２０ｍｍの範囲であるとよく、より好ましくは１９ｍｍ程度であるとよい。

　図６Ａは、伸長状態且つ展開状態のおむつ１を説明する図である。乳幼児がおむつ１を着用している状態（以下、「着用状態」という。）におけるおむつ１の脚回り開口部ＬＨの前側且つ下側に位置する「前下側部分」は、図６Ａに示す伸長状態且つ展開状態のおむつ１における前下側部分ＦＵであり、脚回り開口形成部６０ａのうち、折り線ｍ－ｍより腹側（上側）で、折り線ｍ－ｍと腹側胴回り部２０の下端との間の略中間までの脚回り延出部６０の領域をいう。同様に、着用状態におけるおむつ１の脚回り開口部ＬＨの後側且つ下側に位置する「後下側部分」は、図６Ａに示すおむつ１の後下側部分ＢＵであり、脚回り開口形成部６０ａのうち、折り線ｍ－ｍより背側（上側）で、折り線ｍ－ｍと背側胴回り部３０との間の略中間までの脚回り延出部６０の領域をいう。

　図６Ａに示すように、脚回り弾性部材６１、防漏壁弾性部材５１を伸長させた状態において、少なくとも前下側部分ＦＵに位置する溶着領域６２の左右方向の外側（脚回り開口部ＬＨ側）の端は、左右方向の内側（吸収体１２）側の端よりも上側に傾斜している。このことは、各弾性部材６１、５１の伸長を解いた状態である図６Ｂに示す自然状態のおむつ１においても同様であり、前下側部分ＦＵに位置する溶着領域６２の左右方向の外側（脚回り開口部ＬＨ側）の端は、左右方向の内側（吸収体１２）側の端よりも上側に傾斜している。図６Ｂは、自然状態かつ展開状態のおむつ１を説明する図である。なお、弾性部材６１、５１の収縮により、溶着領域６２と左右方向に沿った仮想直線とがなす角度θは３度より小さくなる。このことから、溶着領域６２は、伸長状態及び自然状態のいずれの状態であっても、つまり、各弾性部材の伸縮に関わらず、いずれも溶着領域６２の脚回り開口部ＬＨ側の端は、吸収体１２側の端よりも上側に傾斜している。この前下側部分ＦＵに設けられた溶着領域６２によって、脚回り開口部ＬＨが前側（腹側）に向かうように形成される。

　溶着領域６２による脚回り開口部ＬＨが前側に向かう理由について図７を用いて説明する。図７は、おむつ１の脚回り開口ＬＨ部ＬＨの原理を説明する模式図である。図７は、着用状態のおむつ１を下側（股下側）から見た図であり、おむつ１に形成された皺や吸収体１２、弾性部材等の各部材は便宜上省略している。なお、折り線ｍ－ｍは、着用時においては、最も下側に位置する部分であり、着用時における「股下部」でもある。

　溶着領域６２は、周知の溶着方法により溶着した領域であるため、溶着をしていない部分に比べて剛性が高くなっている。図６Ａ及び図６Ｂに示す展開状態の前下側部分ＦＵの溶着領域６２は、比較的剛性が高いため、着用状態においても左右方向の外側（脚回り開口部ＬＨ側）の端が、左右方向の内側（吸収体１２）側の端よりも前側（腹側）に傾斜した形状となりやすい。つまり、図７に示すように、着用状態において、前下側部分ＦＵに設けられた複数の溶着領域６２Ｆ、６２Ｆ、６２Ｆは、前後方向において、脚回り開口部ＬＨ側の端６２Ｆｈは吸収体１２側の端６２Ｆａよりも前側に位置するように傾斜している。これは、溶着領域６２Ｆの剛性が高いことに加えて、吸収体１２側の端６２Ｆａがより剛性の高い吸収体１２に近いために動きが制限されているのに対し、脚回り開口部ＬＨ側の端６２Ｆｈは、吸収体１２側の端Ｆａほど動きが制限されていない。つまり、脚回り開口部ＬＨ側の端６２Ｆｈは、吸収体１２側の端６２Ｆａよりも動くことのできる自由度が高くなっているため、溶着領域６２Ｆが後側（背側）から前側（腹側）に向かって傾斜した形状となり、仮に溶着領域６２を左右方向に平行に形成した場合よりも脚回り開口部ＬＨを前側に向けた開口にすることができる。これによって、着用状態におけるおむつ１の前側且つ下側において、がに股で脚を前に出した姿勢でいることが多い乳幼児の脚にフィットさせやすくなる。脚回り開口部ＬＨに乳幼児の脚をよりフィットさせた状態にすると、排泄物が漏れてしまう恐れを軽減するだけでなく、乳幼児の脚回りを過度に締め付けたり、部分的に締め付けを感じてしまったりする等の違和感を軽減させることができる。

　同様に、図６Ａ及び図６Ｂに示すように、おむつ１は伸長状態及び自然状態において、後下側部分ＢＵに、左右方向の外側（脚回り開口部ＬＨ側）の端が左右方向の内側（吸収体１２）側の端よりも上側に傾斜した溶着領域６２を有している。この後下側部分ＢＵに設けられた溶着領域６２によって、脚回り開口部ＬＨがより前側に向きやすくすることができる。

　図７に示すように、着用状態において、後下側部分ＢＵに設けられた複数の溶着領域６２Ｂ、６２Ｂ、６２Ｂは、前後方向において、脚回り開口ＬＨ側の端６２Ｂｈは吸収体１２側の端６２Ｂａよりも前側に位置するように傾斜している。これは、溶着領域６２Ｆと同様に、溶着領域６２Ｂの剛性が高いことに加えて、吸収体１２側の端６２Ｂａは吸収体１２側に近いため動きが制限されているが、脚回り開口部ＬＨ側の端６２Ｂｈは、吸収体１２側の端６２Ｂａより動きやすい状態となり、溶着領域６２Ｂが後側（背側）から前側（腹側）に向かって傾斜した形状となる。仮に溶着領域６２を左右方向に平行に形成した場合よりも脚回り開口部ＬＨを前側に開口した形状にすることができる。これによって、着用状態におけるおむつ１の後側且つ下側においても、脚を前に出した姿勢の乳幼児の脚にフィットさせやすくすることができる。

　さらに、おむつ１においては、腹側上端部１０ｆと背側上端部１０ｂとの間に脚回り開口部ＬＨに沿って複数の溶着領域６２を、間隔を空けて設けている。つまり、図２等に示すように、腹側胴回り部２０の下端から背側胴回り部３０の下端までの間に、複数の溶着領域６２を長手方向に沿って間欠的に配置している。そのため、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の間により多くの皺を形成することができるため、乳幼児が着用時により肌触りの良さを感じることができる。

　また、図５に示すように、おむつ１は、溶着領域６２が上下方向において一定の間隔で配置されているためＬ２は一定であり、溶着領域６２の左右方向の長さＬ１も一定である。このとき、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の間隔Ｌ２は、溶着領域６２の左右方向の長さＬ１よりも短い（Ｌ２＜Ｌ１）。例えば、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の間隔Ｌ２が溶着領域６２の左右方向の長さＬ１よりも長い（Ｌ２＞Ｌ１）場合には、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の領域に大きな皺が１つできるだけということになったり、不均等な大きさの皺が生じたりするなどの肌触りが低下してしまう恐れがある。この点、おむつ１は、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の間隔Ｌ２が、溶着領域６２の左右方向の長さＬ１よりも短い（Ｌ２＜Ｌ１）ため、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の間隔Ｌ２が溶着領域６２の左右方向の長さＬ１よりも長い（Ｌ２＞Ｌ１）場合よりも上下方向に隣接する溶着領域６２の間の溶着が施されていない領域に、より細かい皺を形成することができるため、着用時の肌当たりを向上させることができる。また、溶着領域６２を上下方向において等間隔に配置することによって、隣接する溶着領域６２同士の間の皺を同じぐらいの大きさにすることができるため、肌当たりをより向上させることができる。

　さらに、前後方向で溶着領域６２と重なる領域に設けられた脚回り弾性部材６１のうち、左右方向に隣接する脚回り弾性部材６１同士の最も長い間隔Ｌ３よりも、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の間隔Ｌ２の方が長い（Ｌ３＜Ｌ２）。つまり、溶着領域６２と重なった左右方向に隣接する脚回り弾性部材６１同士の間隔は、全て溶着領域６２同士の間隔Ｌ２よりも短い。これによって、上下方向に隣接する溶着領域６２同士の間隔Ｌ２が、左右方向に隣接する脚回り弾性部材６１同士の最も長い間隔Ｌ３よりも短い場合よりも（Ｌ３＞Ｌ２）、左右方向に連続した皺を形成しやすくなるため、着用時の肌当たりを向上させることができる。また、左右方向に連続した皺を形成しやすくなると、脚回り延出部６０の左右方向の剛性が高くなり、溶着領域６２による脚回り開口ＬＨが前向きに開口しやすくする効果をより高めることができる。

　また、おむつ１は、胴回り弾性部材２２、３２と前後方向に重複する溶着領域６２をそれぞれ有している。例えば、図５に示すように、胴回り弾性部材２２の１つと前後方向に重複した溶着領域６２ｘを有している。胴回り弾性部材２２、３２が収縮した自然状態（例えば、包装状態のおむつ１を取り出して約１５分放置した状態）において、溶着領域６２ｘにはこれを左右方向に縮ませようとする力が作用する。かかる力が作用すると、溶着領域６２ｘはある程度は縮むものの、溶着領域６２ｘ全体として前側又は後側に傾きやすくなる。ここで、おむつ１の脚回り延出部６０は、前下側部分ＦＵ（後下側部分ＢＵ）に溶着領域６２を備えていることで脚回り開口ＬＨを前側に向かせやすくなっている。
したがって、溶着領域６２ｘは、左右方向の内側の端に対して外側の端が前側に傾き、前下側部分ＦＵ（後下側部分ＢＵ）に設けられた溶着領域６２と相俟って、脚回り開口ＬＨをより前側に向かせやすくする。

　さらに、本実施形態においては、腹側胴回り部２０の不連続である部分の左右方向の長さを、背側胴回り部３０の不連続である部分の左右方向の長さよりも短くすることで、脚回り開口ＬＨをより前側に開口しやすくしている。具体的には、図２に示すように、おむつ１の腹側胴回り部２０は、胴回り弾性部材２２が不連続である部分（例えば、図２の点２２ｄ～点２２ｅ）を有し、背側胴回り部３０は、胴回り弾性部材３２が不連続である部分（例えば、図２の点３２ｄ～点３２ｅ）を有している。胴回り弾性部材２２、３２が不連続である部分は、胴回り部２０、３０の左右方向の中央部付近で、吸収体１２と重複する領域において、伸縮力が作用しないようにしている。これにより、吸収体１２に作用する左右方向の収縮が抑制されて、吸収体１２を略平坦に維持しやすくし、排泄物の漏れ等を抑制する。

　このとき、腹側胴回り部２０の不連続である部分の左右方向の長さ（点２２ｄと点２２ｅとの間）は、背側胴回り部３０の不連続である部分の左右方向の長さ（点３２ｄと点３２ｅとの間）よりも短い。おむつ１においては、腹側胴回り部２０の不連続である部分の左右方向の長さは７０ｍｍで、背側胴回り部３０の不連続である部分の左右方向の長さは８０ｍｍである。これによって、自然状態等の胴回り弾性部材２２、３２が収縮した状態においては、腹側胴回り部２０の胴回り弾性部材２２の収縮量が、背側胴回り部３０の胴回り弾性部材３２の収縮量よりも大きくなるため、自然状態では、おむつ１が全体的に前側に向かって収縮する力が強くなる。これによって、おむつ１の左右方向の両側部２０ａ、３０ａはそれぞれ前側に向かって引っ張られやすくなり、前下側部分ＦＵ及び後下側部分ＢＵに形成された溶着領域６２によって前向きに開口された脚回り開口部ＬＨをより前側に向きやすくさせやすくなり、乳幼児の脚にフィットしやすくなる。

　図８は、図５中の部分Ｙにおける溶着領域６２の拡大図である。なお、図８では、便宜上、弾性部材２２、６１等の部材は省略している。おむつ１の溶着領域６２は、図８に示すように、複数のドット形状の溶着部６９（例えば、エンボスローラーの外周面に設けられた突起パターンの中の１つの突起で形成された溶着部）が、左右方向に並ぶことによって形成されている。具体的には、左右方向に対して傾斜して４個の溶着部６９が並んだドットの列が２つ、左右方向にずれ且つ上下方向に並んでおり、各溶着部６９は等間隔に配置されている。つまり、溶着領域６２とは、左右方向に所定の長さを有した傾斜した形状であり、複数の溶着部６９を有し、所定の間隔で等間隔に配置された複数の溶着部６９に外接する外接線（図８における点線）で囲まれた領域をいう。

　溶着領域６２は、おむつ１のように、複数のドット状の溶着部６９で形成されたものであることが好ましい。溶着領域６２を複数のドット形状の溶着部６９で形成することで、溶着領域６２全域を一つの溶着部とした場合よりも脚回り延出部６０をより柔らかい肌触りにすることができる。また、溶着によって剛性が高くなった溶着部６９を間隔を空けて配置することで、溶着領域６２内においても、溶着されていない柔らかい部分が乳幼児の脚回りの動きに追従しやすくなる。

　なお、これに限らず、溶着部６９の形状を例えば、楕円形、ひし形、矩形等に適宜変更してもよい。また、１つの溶着領域６２の大きさや長手方向（上下方向）に隣接する溶着領域６２同士の間隔２を調整するなどして、帯状の溶着領域６２を形成してもよい。

　また、おむつ１の複数の脚回り弾性部材６１によって、それぞれ脚回り開口部ＬＨで乳幼児の脚にフィットさせている。脚回り弾性部材６１の張力は、弾性部材の太さや、おむつ１の製造時において脚回り弾性部材６１をどれだけ伸長させた状態で脚回り部材１５に固定したかによって異なる。おむつ１においては、脚回り弾性部材６１として糸ゴムを用いている。図５に示すように、脚回り弾性部材６１のうち、最も吸収体１２の側に位置する内側脚回り弾性部材６１ｉを単位長さだけ伸長させたときの張力は、最も脚回り開口部ＬＨの側に位置する外側脚回り弾性部材６１ｏを単位長さだけ伸長させたときの張力よりも小さい。つまり、左右方向において吸収体１２により近い脚回り弾性部材６１の張力をより大きくすることで、排泄物が左右方向に漏れてしまう恐れを軽減している。左右方向において、脚回り開口部ＬＨにより近い脚回り弾性部材６１の張力をより小さくすることで、着用者である乳幼児の脚の形状に沿ってフィットさせ易くし、乳幼児の脚を過度に締め付けてしまう恐れを軽減することができる。

　さらに、おむつ１の吸収体１２は、着用状態における股間部に位置する部分であって、図２に示す展開状態においては、折り線ｍ－ｍの部分の吸収体１２の左右方向の長さＬ１２ｍが、腹側上端部１２ｆと前後方向において重複する吸収体１２の左右方向の長さＬ１２ｆよりも短い。同様に、折り線ｍ－ｍの部分の吸収体１２の左右方向の長さＬ１２ｍは、背側上端部１２ｂと前後方向において重複する吸収体１２の左右方向の長さＬ１２ｂよりも短い。

　左右方向における吸収体１２の端から脚回り延出部６０の外側の端まで、例えば、図２において、左側の吸収体１２の端から左側の脚回り延出部６０の外側の端までの距離を側方部分Ｓといい、おむつ１においては、股間部に位置する部分（折り線ｍ－ｍ）における側方部分Ｓｍが、腹側上端部１２ｆ及び背側上端部１２ｂにおける側方部分Ｓｆ、Ｓｂよりも長い。通常、側方部分Ｓは吸収体１２よりも剛性が低い。つまり、側方部分Ｓが短いほど、弾性部材の影響を受けにくく、側方部分Ｓが長いほど、弾性部材の影響を受けやすくなる。

　自然状態及び着用状態のおむつ１は、腹側上端部１２ｆ及び背側上端部１２ｂにおける側方部分Ｓｆ、Ｓｂが短いため、脚回り弾性部材６１が収縮した場合でも、吸収体１２の剛性が強いため、上側に引っ張られにくくなっている。一方、股間部に位置する部分における側方部分Ｓｍが長いため、脚回り弾性部材６１が収縮すると、側方部分Ｓｍが上側に引っ張られやすくなる。そのため、側方部分Ｓｍに設けられている脚回り延出部６０、防漏壁部５０等の脚回り開口ＬＨを乳幼児の脚回りにフィットさせやすくなる。特に、おむつ１においては、吸収体１２の左右方向の長さが最も短い部分が腹側に設けられ、上側に引っ張られる側方部分Ｓが最も長い部分が腹側に設けられている。そのため、脚回り弾性部材６１によって、おむつ１の腹側は特に脚回り開口部ＬＨが上側に引き上げられやすくなり、脚回り開口ＬＨが前側に向きやすくなり、乳幼児の脚にフィットしやすくなる。

　＝＝＝その他の実施の形態＝＝＝
　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。

　上述の実施形態においては、上述のおむつ１においては、腹側胴回り部２０と背側胴回り部３０と吸収性本体１０とを有する所謂３ピースタイプの使い捨ておむつについて説明したがこれに限られない。例えば、外装シート１４が腹側胴回り部２０と後胴回り３０とを繋いで一体化されたおむつ（所謂２ピースタイプ）であってもよい。

　また、上述の実施形態においては、図２に示すように、吸収性本体１０の長手方向の全長に亘って溶着領域６２を形成したが、これに限られない。少なくとも脚回り延出部６０の前下側部分ＦＵに少なくとも１つの溶着領域６２を配置することで、脚回り開口ＬＨを前向きに開口させやすくすることができる。但し、前下側部分ＦＵに複数の溶着領域６２を設けたり、前下側部分ＦＵと後下側部分ＢＵに溶着領域６２を設けたり、脚回り延出部６０に沿った全長に亘って設けたり、又は吸収性本体１０の長手方向の全長に亘って溶着領域６２を設けたりすることで、脚回り延出部６０の剛性がより高くなるため、脚回り開口ＬＨの前向きに開口した形状を維持しやすくなる。

　さらに、上述の実施形態においては、溶着領域６２を３層にして脚回り延出部６０を形成したが、これに限られない。例えば、必ずしも脚回り部材１５を２つ折りにした状態で外装シート１４に固定する必要はなく、１層の脚回り部材と１層の外装シート１４の合計２層の溶着領域としてもよい。また、必ずしも脚回り部材１５を固定した外装シート１４を左右方向の内側に折り返さなくてもよい。

　上述の実施形態においては、胴回り弾性部材２２、３２と前後方向に重複する溶着領域６２をそれぞれ有しているが、これに限られない。胴回り弾性部材２２、３２と前後方向に重複する溶着領域６２を有していない場合においても、少なくとも前下側部分ＦＵに溶着領域６２を設けることで、脚回り開口ＬＨを前側に向かって開口させやすくすることができる。ただし、胴回り弾性部材２２、３２の左右方向への収縮への影響をより軽減させるために、胴回り弾性部材２２、３２と溶着領域６２とが前後方向に重複した部分を有することがより好ましい。

　また、上述の実施形態においては、腹側胴回り部２０の不連続である部分の左右方向の長さＬ２０は、背側胴回り部３０の不連続である部分の左右方向の長さＬ３０よりも短くしたが、これに限られない。必ずしも胴回り弾性部材２２、３２が不連続である部分を設ける必要はない。また、必ずしも腹側胴回り部２０の不連続である部分の左右方向の長さＬ２０を、背側胴回り部３０の不連続である部分の左右方向の長さＬ３０よりも短くする必要はない。但し、腹側胴回り部２０の不連続である部分の左右方向の長さＬ２０は、背側胴回り部３０の不連続である部分の左右方向の長さＬ３０よりも短くすることで、脚回り開口部ＬＨをより前側に向かって開口させやすくすることができる。

１　おむつ（パンツ型吸収性物品）、１０　吸収性本体、１０ｆ　腹側上端部、１０ｂ　背側上端部、１１　トップシート、１２　吸収体、１２１　吸収性コア、１２２　コアラップシート、１３　バックシート、１４　外装シート（シート部材）、１５　脚回り部材、２０　腹側胴回り部（胴回り部）、２１　シート、２２　胴回り弾性部材、３０　背側胴回り部（胴回り部）、３１　シート、３２　胴回り弾性部材５０　防漏壁部、５１　防漏壁弾性部材、５２　エンド接合部、５３　サイド接合部、６０　脚回り延出部、６０ａ　脚回り開口形成部、６０ｂ　重複部、６１　脚回り弾性部材、６２　溶着領域、６９　溶着部、ＬＨ　脚回り開口部、ＢＨ　胴回り開口部

Claims

　上下方向と、左右方向と、前記上下方向及び前記左右方向と直交する前後方向とを有し、
　吸収性本体と、一対の胴回り部を有しており、
　前記吸収性本体は、
　吸収体と、
　前記上下方向に伸縮する脚回り弾性部材を備え、一対の脚回り開口部を区画する脚回り部材と、
　前記吸収体の非肌側に位置するシート部材とを備え、
　前記一対の胴回り部は、前記左右方向に伸縮する胴回り弾性部材を備え、
　前記吸収性本体の腹側上端部と背側上端部とが対向するように２つ折りされ、
　前記腹側上端部と前記背側上端部が、それぞれ前記一対の胴回り部と重ね合されているパンツ型吸収性物品であって、
　前記シート部材の前記左右方向の端部において、前記シート部材と前記脚回り部材とが溶着された複数の溶着領域を有しており、
　前記溶着領域は、前記左右方向に所定の長さを有しており、
　前記パンツ型吸収性物品の着用状態における前記脚回り開口部の前側且つ下側に位置する前下側部分を備えており、
　前記脚回り部材を伸長させた状態において、前記溶着領域の前記脚回り開口部の側の端が前記吸収体の側の端よりも上側に傾斜している前記溶着領域が、前記前下側部分に少なくとも１つ設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１に記載のパンツ型吸収性物品において、
　前記腹側上端部と前記背側上端部との間に、複数の前記溶着領域が、前記脚回り開口部に沿って、間隔を空けて設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１又は２に記載のパンツ型吸収性物品において、
　前記パンツ型吸収性物品の着用状態における前記脚回り開口部の後側且つ下側に位置する後下側部分を備えており、
　前記脚回り部材を伸長させた状態において、前記溶着領域の前記脚回り開口部の側の端が前記吸収体の側の端よりも下側に傾斜している前記溶着領域が、前記後下側部分に少なくとも１つ設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から３のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品において、
　複数の前記溶着領域は、前記胴回り弾性部材と前記前後方向において重複する前記溶着領域を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項４に記載のパンツ型吸収性物品において、
　前記一対の胴回り部は、腹側胴回り部と背側胴回り部であり、
　前記一対の胴回り部は、前記前後方向において、前記吸収体と重なる部位に、前記胴回り弾性部材が不連続である部分をそれぞれ有しており、
　前記腹側胴回り部の前記胴回り弾性部材の不連続である部分の前記左右方向の長さは、前記背側胴回り部の前記胴回り弾性部材の不連続である部分の前記左右方向の長さよりも短いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から５のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品において、
　前記脚回り弾性部材は、複数設けられ、それぞれ前記脚回り開口部を小さくするように収縮しており、
　前記脚回り弾性部材は、前記左右方向において、前記吸収体の側に設けられた内側脚回り弾性部材と、前記脚回り開口部の側に設けられた外側脚回り弾性部材を有しており、
　前記外側脚回り弾性部材を単位長さだけ伸長させたときの張力は、前記内側脚回り弾性部材を単位長さだけ伸長させたときの張力よりも小さいことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から６のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品において、
　前記脚回り部材を伸長させた状態において、
　前記上下方向に隣接する前記溶着領域同士の間隔が、前記溶着領域の前記左右方向の長さよりも短いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から７のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品において、
　前記脚回り弾性部材は、複数設けられており、
　前記脚回り部材を伸長させた状態において、
　前記前後方向で前記溶着領域と重なる領域に設けられた前記脚回り弾性部材のうち、前記左右方向に隣接する前記脚回り弾性部材同士の最も長い間隔よりも、前記上下方向に隣接する前記溶着領域同士の間隔が長いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から８のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品において、
　前記溶着領域は、複数の溶着部を有しており、
　前記複数の溶着部は、所定の間隔で配置されていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１から９のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品において、
　股間部における前記吸収体の前記左右方向の長さが、前記腹側上端部及び前記背側上端部と前後方向において重複する前記吸収体の前記左右方向の長さよりも短いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。