WO2018139111A1 - ヘッドマウントディスプレイおよびヘッドマウントディスプレイシステム - Google Patents
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Abstract
ヘッドマウントディスプレイのデザイン性の低下を防止しつつ、受信感度を向上させる。透過型のHMD(1)は、装着者の目の前に配置される画像表示素子(30)と、画像表示素子(30)の表面に配置された透明アンテナ(60)とを備えている。
Description
本発明は透過型のヘッドマウントディスプレイおよびヘッドマウントディスプレイシステムに関する。
特許文献1には、IDコード等の個人情報が記憶されたメモリおよびアンテナ等が設けられた個人情報内蔵型メガネが記載されている。当該個人情報内蔵型メガネは、アンテナを通じて外部機器と通信が可能である。このアンテナは、上記個人情報内蔵型メガネのフレームに配置されている。
また近年、眼鏡型である透過型のヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display;以下、HMDと称する)が開発されている。当該HMDは、拡張現実(Augmented Reality;以下、ARと称する)と称される技術を用い、頭部に装着した装着者が視認する現実の風景に、種々の情報を付加して表示する。
HMDは、種々の情報を得るため、外部機器と通信を行う。このため、アンテナが必要である。
特許文献1に記載の個人情報内蔵型メガネのように、フレームにアンテナを配置すると、アンテナの配置スペースが狭いためアンテナの面積も小さくなってしまい、受信感度を向上させることができない。また、受信感度を向上させるために、アンテナの面積をフレームからはみ出す程度に大きくすると見た目が悪くなり、デザイン性の低下を招くことになる。
本発明の一態様は、ヘッドマウントディスプレイのデザイン性の低下を防止しつつ、受信感度を向上させることを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るヘッドマウントディスプレイは、透過型のヘッドマウントディスプレイであって、装着者の目の前に配置される透明ディスプレイと、上記透明ディスプレイの表面に配置された透明アンテナとを備えていることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、ヘッドマウントディスプレイのデザイン性の低下を防止しつつ、受信感度を向上させることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
〔実施形態1〕
(HMD1の構成)
図1の(a)は、本発明の実施形態1に係るHMD(ヘッドマウントディスプレイ)1の構成を表す斜視図であり、(b)は(a)に示すHMD1を上から見た上面図である。
(HMD1の構成)
図1の(a)は、本発明の実施形態1に係るHMD(ヘッドマウントディスプレイ)1の構成を表す斜視図であり、(b)は(a)に示すHMD1を上から見た上面図である。
なお、以下の説明において、「左」または「右」とは、特に規定しない限り、HMD1を装着した装着者から見て左または右のことを指すものとする。
図1に示すようにHMD1は、透過型のHMDであり、フレーム2と、右目用の画像表示装置5と左目用の画像表示装置5とを有する。本実施形態では、HMD1は眼鏡型である。
フレーム2は、リム4と左右のテンプル3とを有する。各画像表示装置5は表示部6と制御部7とを有する。フレーム2は、HMD1が装着者に装着されたとき、表示部6および制御部7を支持する。
右目用の表示部6と左目用の表示部6とはそれぞれリム4に嵌め込まれている。すなわち、リム4は右目用の表示部6の縁と左目用の表示部6の縁とを囲っている。
なお、HMD1は眼鏡型ではなく、一つの画像表示装置5を有するゴーグル型であってもよい。この場合、一つの表示部6がフレームに嵌め込まれた構成となる。
2個の制御部7は、右側のテンプル3と、左側のテンプル3とに配置されている。右側のテンプル3に配置された制御部7は右目用の表示部6の駆動を制御する。左側のテンプル3に配置された制御部7は左目用の表示部6の駆動を制御する。
右目用の画像表示装置5と、左目用の画像表示装置5とは同じ構造である。各画像表示装置5は互いに同期しており、左右で同じまたは左右で対応する画像を、各表示部6に表示する。また、2個の画像表示装置5は、個別に制御可能である。つまり2個の画像表示装置5は左右で異なる画像を表示してもよい。
図2は本発明の実施形態1に係るHMD1の表示部6の概略構成を表す断面図である。
図2に示すように、表示部6は、画像表示素子(透明ディスプレイ)30と、画像表示素子30の表面に平面状に配置された透明アンテナ60とを有する。
なお、本明細書中において「透明」とは、少なくとも可視光を透過するものとする。
HMD1が装着者に装着されたとき、画像表示素子30と、透明アンテナ60とのうち、画像表示素子30は装着者に近い側となり、透明アンテナ60は装着者から遠い側となる。
画像表示素子30は、画像が非表示のとき、画像の表示領域が透明である透明ディスプレイ(シースルーディスプレイ)である。HMD1が装着者に装着された際、右目用の画像表示素子30は、装着者の右目の前に配置され、左目用の画像表示素子30は装着者の左目の前に配置される。各画像表示素子30は、上記のように透明であるため画像表示素子30を透過する光によって装着者に外界を視認させることができ、さらに、図5で後述される表示制御部71に表示制御されることで画像を表示し、装着者に当該画像を視認させることができる。
なお、本発明に用いる画像表示素子としては、画像の表示領域表面にプリズムやホログラムにより画像を投影する方式のディスプレイ、または、透過型の液晶ディスプレイなど、表示制御部が画像の表示領域に表示する画像と、画像の表示領域が透過する実像(現実の風景)とを視認できるタイプの画像表示素子であればよい。以下の説明では、本発明の一態様として、画像表示素子に透過型の液晶ディスプレイを用いた場合を例示して説明する。
図3は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子30の要部の概略構成を示す断面図である。
画像表示素子30は、一例として、対向する一対の透明基板10・20間に、液晶層LCを挟持させたアクティブマトリックス型の液晶パネルである。
例えば一方の透明基板10(アレイ基板、駆動回路基板)には、アクティブマトリクス基板として、ガラス等の絶縁基板11上に、複数のTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)12(スイッチング素子、トランジスタ)、画素電極13、および図示しない配線や配向膜等が形成されたTFT基板が使用される。また、他方の透明基板20(対向基板)には、ガラス等の絶縁基板21上に、共通電極22、および図示しないカラーフィルタや配向膜等が形成されたカラーフィルタ基板が使用される。また、透明基板10・20における、互いの対向面とは反対側の面(外側)には、それぞれ図示しない偏光板等が備えられている。
なお、画像表示素子30にカラー画像ではなくモノクロ画像を表示させる場合は、画像表示素子30に、カラーフィルタを配置しなくともよい。
図4は、本発明の実施形態1に係る透明アンテナ60の要部の概略構成を示す断面図である。
図4に示すように、透明アンテナ60は透明なシート状部材である。透明アンテナ60は、順に積層されたそれぞれ透明な材料からなる、透明粘着層62、透明プラスチックシート63、導電部64、および、透明カバー層65を備えている。
透明アンテナ60を画像表示素子30の表面に貼り付ける場合、透明粘着層62の片面(透明プラスチックシート63が積層された面とは逆側面)に貼り付けられた剥離シート61を剥離し、これによって、露出した透明粘着層62を画像表示素子30の表面に貼り付ける。なお、透明アンテナ60の導電部64は画像表示素子30の表面に蒸着やエッチング等により直接形成してもよい。この場合、透明粘着層62、剥離シート61は不要となる。
透明アンテナ60は、ミリ波等の高周波数の電波の送信を行うため、電波の飛距離を確保するため、アレーアンテナ技術等によって指向性を最適化する必要がある。また、透明アンテナ60は、平面上での受信特性が全ての方向でほぼ均一になっている。偏波方向が互いに直交する2つの偏波アレイ・アンテナを同一平面上である画像表示素子30の表面上に配置して透明アンテナ60を構成することで、透明アンテナ60全体として、画像表示素子30の表面上での受信特性を、全ての方向でほぼ均一とすることができる。
図5は、本発明の実施形態1に係る画像表示装置5の構成を表す機能ブロック図である。
画像表示装置5は、上述のように、表示部6と、制御部7と、無線部8とを有する。制御部7は、表示制御部71と、記憶部73とを有する。
表示制御部71は、画像表示素子30の駆動を制御する。表示制御部71は、透明アンテナ60および無線部8を介して外部から入力された画像データ、または、記憶部73に記憶されている画像データを読み込み、当該画像信号に基づいて画像表示素子30に画像を表示する。
無線部8は、透明アンテナ60を用いて無線通信を行う回路である。無線部8が行う無線通信に使用される電波としては、ミリ波等、画像表示素子30の前方に指向性を有するように指向性を狭くすることが可能な電波を用いることが好ましい。
記憶部73は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、または、その他の半導体メモリから構成されている。表示制御部71による種々の演算に用いられるプログラム等を記憶する。
(HMD1による効果)
図1および図2に示したように、HMD1において、透明アンテナ60は、HMD1の構成部品の中で比較的面積が大きい部品である画像表示素子30の表面に平面的に配置されている。このため、特許文献1のようにフレームにアンテナを配置する場合と比べて、透明アンテナ60の面積を大きくすることができる。これにより、HMD1は、透明アンテナ60を用いた無線信号の受信感度を向上させることができ、安定して無線通信を行うことができる。
図1および図2に示したように、HMD1において、透明アンテナ60は、HMD1の構成部品の中で比較的面積が大きい部品である画像表示素子30の表面に平面的に配置されている。このため、特許文献1のようにフレームにアンテナを配置する場合と比べて、透明アンテナ60の面積を大きくすることができる。これにより、HMD1は、透明アンテナ60を用いた無線信号の受信感度を向上させることができ、安定して無線通信を行うことができる。
そして、透明アンテナ60は、アンテナの受信感度を向上させるための十分な面積を確保することができるため、画像表示素子30からはみ出す程度にまで面積を大きくする必要がない。このため、アンテナの受信感度を向上させるためにHMD1のデザイン性が低下してしまうことを防止することができる。つまり、アンテナの形状に依存せずに、フレームの形状を自由に設計することができる。
加えて、画像表示素子30の表面に配置されている透明アンテナ60は透明であり、平面的に配置されているため、画像表示素子30の表面にアンテナが配置されていることが、装着者および他者から視認され難い。この点からも、HMD1によると、アンテナの受信感度を向上させるためにHMD1のデザイン性が低下してしまうことを防止することができる。
このように、HMD1によると、HMD1のデザイン性の低下を防止しつつ、アンテナの受信感度を向上させることができる。このため、HMD1によると、安定した通信品質で無線通信を行うことができる。
また、透明アンテナ60は、画像表示素子30の2つの主面(画像表示素子30が有する面のうち最も面積が大きい2つの面)のうち、装着者がHMD1を頭部に装着したときに装着者の目とは逆側となる外側面に配置されている。このため、透明アンテナ60が、画像表示素子30の2つの主面のうち、装着者の目側となる内側面に配置されている場合と比べて、受信感度を向上させることができる。なお、電波強度が十分確保されている環境での使用が前提となっている場合などでは、透明アンテナ60が、画像表示素子30の2つの主面のうち、装着者の目側となる内側面に配置されていてもよい。
また、透明アンテナ60の面積の方が画像表示素子30の面積より小さい場合、透明アンテナ60の縁が装着者または他者から視認されやすくなって画像表示素子30の表面に透明アンテナ60が配置されていることを視認されやすくなる場合もある。
この場合、透明アンテナ60と画像表示素子30との面積を等しくすることにより、画像表示素子30の表面に透明アンテナ60が配置されることが視認され難くなる。これにより、アンテナの受信感度を向上させるためにHMD1のデザイン性が低下してしまうことを防止することができる。なお、透明アンテナ60の縁が視認されにくい場合にはこれに限定されず、透明アンテナ60の面積の方が画像表示素子30より小さい又は大きくてもよい。
また、HMD1において、無線部8(図5参照)が透明アンテナ60を用いて無線通信する際に使用する電波は、第5世代モバイル通信システム(5G)で使用されるミリ波であってもよく、その場合、HMD1には以下のような利点がある。すなわち、HMD1が行う無線通信にミリ波を用いることで、大容量の情報を送受信することができる。このため、HMD1によると、高画質および高解像度の画像を送受信することができる。なお、ミリ波は、波長が1mm以上10mm以下、周波数が30GHz以上300GHz以下の電波である。
さらに、ミリ波は狭い指向性で直進させることが可能であるため、無線信号が無駄に拡散せず、合理的に無線通信を行うことができる。つまり、HMD1が複数個、又は、当該HMD1と無線通信を行う送信装置若しくは受信装置が複数個配置されていたとしても、無線通信が必要なHMD1と、送信装置又は受信装置間でのみ無線通信を行うことができ、無線通信が混線してしまうことを防止することができる。
ここで、例えば、モノポールアンテナをフレームのテンプルに配置した場合、ミリ波等の指向性が狭い電波を受信するには、テンプルが送信装置に向くように、装着者は首を回す必要がある。この場合、装着者は、着目している対象とは異なる方向に視線を向けることになり、利便性が悪い。
また、モノポールアンテナではなく、アダプティブアレイアンテナであれば、装着者は、わざわざ、テンプルを、無線信号が送信されてくる方向に向ける必要がなく、利便性が悪くなることを防止することはできる。しかし、アダプティブアレイアンテナは、モノポールアンテナと比べて回路規模が大きい。このため、既にアンテナが配置されておりスペースが狭いテンプルに、さらに規模が大きい回路を配置する必要があるため、HMDのテンプルは大きくなってしまう。このため、HMDの使い勝手が悪くなるため、実用性が悪くなる。
一方、本発明の一態様に係るHMD1によると、画像表示素子30の表面に透明アンテナ60が配置されているため、ミリ波のような指向性が狭い電波を用いて無線通信を行っても、装着者が着目している対象と同じ方向に、透明アンテナ60が受信する無線信号の送信装置又は透明アンテナ60が送信する無線信号の受信装置を配置しておけば、装着者が見る方向と、無線通信を行う方向とを一致させることができる。
このため、ミリ波などの指向性が高い電波を用いて無線通信する場合であっても、特許文献2のようなテンプルにアンテナを配置する場合とは異なり、無線通信をするために装着者に、無線通信を行う方向にテンプルを向けさせる等、装着者に、見たい方向とは異なる方向に顔を向けさせる必要がない。
これにより、装着者に意識させることなく自動的に、装着者が必要とする情報の無線通信を行うことができる。この結果、装着者の利便性を向上させることができる。
なお、装着者が着目する対象とは、例えば、学校の教室における黒板、家庭に設置された家電、劇場などにおける舞台等を挙げることができ、これら、黒板、家電、又は、舞台等に送信装置又は受信装置を配置することが考えられる。この具体的な構成は、実施形態2にて説明する。
また、透明アンテナ60を介して無線通信を行う回路である無線部8は、フレーム2に配置されている。
ここで、HMD1では、透明アンテナ60をフレーム2ではなく画像表示素子30の表面に配置した分、アンテナをフレームに配置しているHMDと比べて、無線部8をフレーム2に配置するためのスペースが増加する。このため、アンテナ、および無線通信用の回路をフレームに配置しているHMDと比べて、無線部8の回路の設計上の自由度が増加する。これにより、無線部8を、高解像度および高品質な画像等の大容量の無線通信が可能な回路とすることができる。これにより、大容量の無線通信が可能なHMD1を構成することができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、主に、図6および図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本発明の実施形態2について、主に、図6および図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図6は、本発明の実施形態2に係るHMDシステム(ヘッドマウントディスプレイシステム)90の構成を表す図である。図7は、本発明の実施形態2に係るHMDシステム90の構成を表す機能ブロック図である。
図6に示すように、HMDシステム90は、HMD1と、第1カメラ(撮像装置)91と、第2カメラ(撮像装置)92と、映像制御部93と、第1送信装置(送信装置)97と、第2送信装置(送信装置)98と、を備えている。図7に示すように、映像制御部93は、特殊効果作成部95と、通信制御部96と、を備えている。
図6では、HMDシステム90を、演劇場又はコンサート会場等の劇場80に用いた場合の例を示している。本実施形態では、劇場80において演劇が実演されている場合について説明する。
HMD1を装着している装着者83は、舞台81で行われている演劇を鑑賞している鑑賞者であり、客席に着席して舞台81を見ている。すなわち、装着者83は、HMD1を装着した顔を舞台81に向けている。
第1カメラ91と、第2カメラ92とは、舞台81上又は舞台81の上方に配置されている。第1カメラ91と、第2カメラ92とは、舞台81上の演劇の演者、風景、又は観客席等、互いに異なる箇所であって、現実の世界を撮影している。第1カメラ91と、第2カメラ92とは、映像制御部93と有線又は無線で通信可能に接続されており、それぞれ、撮像した映像を映像制御部93へ出力する。
なお、HMDシステム90が備えるカメラの台数は2台に限定されるものではなく、1台又は3台以上であってもよい。
映像制御部93は、舞台81上、舞台81の上方、又は、舞台81外に配置されていてもよい。
特殊効果作成部95は、第1カメラ91および第2カメラ92が撮影した映像に応じた付加情報を生成する。付加情報は、例えば、字幕、CGキャラクタ等、舞台81において現在実演されている演劇に即した情報である。特殊効果作成部95は、第1カメラ91および第2カメラ92がそれぞれ撮影した映像を映像データとして取得すると、取得した映像データに応じた異なる付加情報を生成する。そして、特殊効果作成部95は、生成した付加情報を通信制御部96へ送信する。
なお、付加情報は、第1カメラ91および第2カメラ92から取得する映像データとの対応関係を示す情報と共に特殊効果作成部95に予め記憶されていてもよいし、第1カメラ91および第2カメラ92から取得した映像データに基づいて、特殊効果作成部95が逐次生成してもよい。
通信制御部96は、特殊効果作成部95から取得した異なる2種類の付加情報のうち一方(第1付加情報)を第1送信装置97へ出力し、他方(第2付加情報)を第2送信装置98へ出力する。なお、通信制御部96は、第1カメラ91および第2カメラ92から取得した映像データに上記付加情報を付加することで合成した2種類の合成映像の一方(第1付加情報付きの映像)を第1送信装置97へ出力し、他方(第2付加情報付きの映像)を第2送信装置98へ出力するようにしてもよい。
第1付加情報とは、例えば、舞台81上で行われている演劇の字幕を挙げることができる。第2付加情報とは、例えば、舞台81上で行われている演劇に適したCGキャラクタを挙げることができる。
第1送信装置97と、第2送信装置98とは、舞台81上又は舞台81の上方に配置されている。第1送信装置97と、第2送信装置98とは互いに離間して配置されており、互いに異なる指向性を有するアンテナを備える。
第1送信装置97および第2送信装置98は、それぞれ、電波送信用のアンテナとして、直線偏波の放射特性と正面方向の指向性を持つ偏波アレイ・アンテナである場合を例として以下説明する。
第1送信装置97は狭い指向性を有する第1ミリ波M1に、通信制御部96から取得した第1付加情報(または第1付加情報付の映像)を示す情報を重畳し、無線信号として観客席に向けて送信する。第2送信装置98は、狭い指向性を有する第2ミリ波M2に、通信制御部96から取得した第2付加情報(または第2付加情報付の映像)を示す情報を重畳し、無線信号として観客席に向けて送信する。
このように、HMDシステム90はHMD1と、透明アンテナ60にて受信可能な電波を送信する第1送信装置97および第2送信装置98を備えている。そして、第1送信装置97および第2送信装置98は、それぞれ、異なる付加情報が重畳された電波をHMD1に送信する。
このため、HMD1の装着者83は、第1送信装置97および第2送信装置98のうち、装着者83が見たい付加情報を送信する送信装置が配置されている方向に顔を向けるだけで、画像表示素子30に表示される付加情報を切り替え、所望の付加情報を見ることができる。
換言すると、表示部6(図2参照)は、複数の送信装置である第1送信装置97・第2送信装置98のうち、画像表示素子30の主面が向けられた送信装置毎に表示する付加情報を切り換える。
これにより、装着者の利便性を向上させることができる。
このように、装着者は、表示部6を通して、現実の風景に、付加情報が重畳された像を視認することができる。
このため、HMDシステム90は、演劇場又はコンサート会場等、鑑賞者が舞台上で行われる演劇又は演奏を鑑賞する劇場80に設けることが好適である。このような劇場80では、HMD1を装着した装着者83(鑑賞者)は舞台81の方向を向くため、自ずと、HMD1の透明アンテナ60(図2参照)が舞台81の方を向く。このため、第1送信装置97および第2送信装置98を舞台81上又は舞台81の上方に配置することで、透明アンテナ60との指向性が合致するため、装着者83に、無線通信を、あまり意識させることなく、HMD1との間で高速で大容量の無線通信を行うことが可能なHMDシステム90を提供することができる。これにより、HMD1の装着者83は、舞台81で行われている演劇または演奏と、字幕等の付加情報とを融合させて、鑑賞することができる。
なお、HMDシステム90は、劇場80以外にも、例えば、教室や、家庭の部屋等に配置してもよい。
HMDシステム90を教室に配置する場合は、第1送信装置97および第2送信装置98を、黒板に配置すればよい。当該教室にて授業を受けるものは、通常、黒板に顔を向けており、HMD1を装着した装着者83にあまり意識させることなく、HMD1との間で高速で大容量の無線通信を行うことが可能である。
これにより、例えば、装着者83は、黒板を見たときは、第1送信装置97および第2送信装置98からの無線信号をHMD1で受信することで、HMD1に表示されたテキストと説明文を見ることができる。また、装着者83は、机の上を見ると、すなわち、黒板方向から机方向に顔を向けると、HMD1に表示されたテキストと説明文は消えて、映像が表示されていない透明なHMD1を通じて机の上に置かれたノートを見て、ノートに文字などを書くことができる。
また、HMDシステム90を家庭の部屋に配置する場合、第1送信装置97および第2送信装置98を、それぞれ異なる家電に配置すればよい。HMD1を装着した装着者83が、第1送信装置97又は第2送信装置98が配置された家電を見たときに、当該家電に基づく情報を、HMD1にて受信することができる。これにより、装着者83は、家電を見ただけで、HMD1に表示された当該家電に関する情報をも見ることができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
HMD1の制御ブロック(特に表示制御部71)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
HMD1の制御ブロック(特に表示制御部71)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、HMD1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD1)は透過型のヘッドマウントディスプレイ(HMD1)であって、装着者の目の前に配置される透明ディスプレイ(画像表示素子30)と、上記透明ディスプレイ(画像表示素子30)の表面に配置された透明アンテナ(60)とを備えていることを特徴とする。
本発明の態様1に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD1)は透過型のヘッドマウントディスプレイ(HMD1)であって、装着者の目の前に配置される透明ディスプレイ(画像表示素子30)と、上記透明ディスプレイ(画像表示素子30)の表面に配置された透明アンテナ(60)とを備えていることを特徴とする。
上記の構成によれば、透明アンテナは、ヘッドマウントディスプレイの構成部品の中で比較的面積が大きい部品である透明ディスプレイの表面に平面的に配置されているため、フレームに配置する場合と比べて、面積を大きくすることができる。これにより、無線信号の受信感度を向上させることができ、安定して無線通信を行うことができる。
そして、受信感度を向上させるために透明アンテナの面積を、透明ディスプレイからはみ出す程度にまで大きくする必要がない。このため、受信感度を向上させるためにヘッドマウントディスプレイのデザイン性が低下してしまうことを防止することができる。
加えて、透明ディスプレイの表面に配置されているアンテナが透明であり、平面的に配置されているため、透明ディスプレイの表面にアンテナが配置されていることが視認され難い。この点からも、受信感度を向上させるためにヘッドマウントディスプレイのデザイン性が低下してしまうことを防止することができる。
このように、上記構成によると、ヘッドマウントディスプレイのデザイン性の低下を防止しつつ、受信感度を向上させることができる。
本発明の態様2に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD1)は、上記態様1において、上記透明アンテナ(60)と上記透明ディスプレイ(画像表示素子30)とは面積が等しくてもよい。上記構成により、上記透明ディスプレイの表面に上記透明アンテナが配置されることが視認され難くなる。このため、受信感度を向上させるためにヘッドマウントディスプレイのデザイン性が低下してしまうことを防止することができる。
本発明の態様3に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD1)は、上記態様1または2において、上記透明アンテナ(60)が送受信する電波はミリ波であってもよい。
上記構成によると、ミリ波のような指向性が狭い電波であっても、装着者が見る方向に、上記透明アンテナが受信する無線信号の送信装置又は上記透明アンテナが送信する無線信号の受信装置を配置しておけば、装着者が見る方向と、無線通信を行う方向とを一致させることができる。
このため、ミリ波などの指向性が狭い電波を用いて無線通信する場合であっても、テンプルにアンテナを配置する場合とは異なり、無線通信をするために装着者にテンプルを無線通信を行う方向に向けさせる等、装着者に、見たい方向とは異なる方向に顔を向けさせる必要がない。
これにより、装着者に意識させることなく自動的に、装着者が必要とする情報の無線通信を行うことができる。この結果、装着者の利便性を向上させることができる。
本発明の態様4に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD1)は、上記態様1~3において、上記透明ディスプレイ(画像表示素子30)を支持するフレーム(2)と、上記透明アンテナ(60)を介して無線通信を行う回路であり、上記フレーム(2)に配置されている無線部(8)とを備えていてもよい。
上記構成によると、上記透明アンテナを上記フレームではなく上記透明ディスプレイに配置した分、上記透明アンテナを介して無線通信を行う回路である上記無線部を上記フレームに配置するためのスペースが増加し、回路の設計の自由度が増加する。これにより、上記無線部を、高解像度および高品質な画像等の大容量の無線信号の受信又は送信を高速で行うことが可能な回路とすることができる。これにより、大容量の無線通信が可能なヘッドマウントディスプレイを構成することができる。
本発明の態様5に係るヘッドマウントディスプレイシステム(HMDシステム90)は、上記態様1~4において、上記ヘッドマウントディスプレイ(HMD1)と、上記透明アンテナ(60)にて受信可能な電波を送信する1又は複数の送信装置(第1送信装置97・第2送信装置98)とを備えていてもよい。上記構成により、装着者は、必要とする情報を送信する送信装置が配置されている方向に顔を向けることで、所望の情報を得ることができる無線通信を安定して行うことができる。
本発明の態様6に係るヘッドマウントディスプレイシステム(HMDシステム90)は、上記態様5において、上記複数の送信装置(第1送信装置97・第2送信装置98)は、異なる情報(付加情報(第1付加情報・第2付加情報))が重畳された電波を送信してもよい。
本発明の態様7に係るヘッドマウントディスプレイシステム(HMDシステム90)は、上記態様5または6において、上記透明ディスプレイ(画像表示素子30)は、上記複数の送信装置(第1送信装置97・第2送信装置98)のうち、主面が向けられた送信装置毎に表示する情報を切り換えてもよい。
上記構成により、装着者は、必要とする情報を送信する送信装置が配置されている方向に顔を向けることで、上記透明ディスプレイに表示される画像を切り替えることができる。これにより、装着者の利便性を向上させることができる。
本発明の他の態様に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD1)は、上記態様1において、上記透明アンテナナ(60)は、上記透明ディスプレイ(画像表示素子30)の2つの主面のうち、装着者の目とは逆側となる外側面に配置されていることが好ましい。上記構成によると、上記透明アンテナが、上記透明ディスプレイのうち、装着者側となる内側面に配置されている場合と比べて、受信感度を向上させることができる。
本発明の各態様に係るヘッドマウントディスプレイは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記ヘッドマウントディスプレイが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記ヘッドマウントディスプレイをコンピュータにて実現させるヘッドマウントディスプレイの表示制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
1 HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
2 フレーム
3 テンプル
5 画像表示装置
6 表示部
7 制御部
30 画像表示素子(透明ディスプレイ)
60 透明アンテナ
71 表示制御部
8 無線部
83 装着者
90 HMDシステム(ヘッドマウントディスプレイシステム)
91 第1カメラ(撮像装置)
92 第2カメラ(撮像装置)
93 映像制御部
95 特殊効果作成部
96 通信制御部
97 第1送信装置(送信装置)
98 第2送信装置(送信装置)
2 フレーム
3 テンプル
5 画像表示装置
6 表示部
7 制御部
30 画像表示素子(透明ディスプレイ)
60 透明アンテナ
71 表示制御部
8 無線部
83 装着者
90 HMDシステム(ヘッドマウントディスプレイシステム)
91 第1カメラ(撮像装置)
92 第2カメラ(撮像装置)
93 映像制御部
95 特殊効果作成部
96 通信制御部
97 第1送信装置(送信装置)
98 第2送信装置(送信装置)
Claims (7)
- 透過型のヘッドマウントディスプレイであって、
装着者の目の前に配置される透明ディスプレイと、
上記透明ディスプレイの表面に配置された透明アンテナとを備えていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - 上記透明アンテナと上記透明ディスプレイとは面積が等しいことを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
- 上記透明アンテナが送受信する電波は、ミリ波であることを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
- 上記透明ディスプレイを支持するフレームと、
上記透明アンテナを介して無線通信を行う回路であり、上記フレームに配置されている無線部とを備えていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のヘッドマウントディスプレイ。 - 請求項1~4の何れか1項に記載のヘッドマウントディスプレイと、
上記透明アンテナにて受信可能な電波を送信する1又は複数の送信装置とを備えていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイシステム。 - 上記複数の送信装置は、異なる情報が重畳された電波を送信することを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
- 上記透明ディスプレイは、上記複数の送信装置のうち、主面が向けられた送信装置毎に表示する情報を切り換えることを特徴とする請求項5または6に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
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JP6966480B2 (ja) | 2021-11-17 |
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