WO2018062214A1 - インモールドラベルおよびラベル付き容器 - Google Patents

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Abstract

熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に低融点樹脂層(B)およびヒートシール層(C)をこの順に有し、低融点樹脂層(B)が含有する樹脂の融点が60~110℃であり、ヒートシール層(C)が極性構造単位を有する熱可塑性樹脂を含有し、ヒートシール層(C)の厚さが0.05μm以上2μm未満であることを特徴とするインモールドラベルは、非極性樹脂を接着層に使用したとしても極性樹脂製容器に貼着する、さらにはストレッチブロー成形の低温接着条件でも接着強度が高い;ラベル付き容器。

Description

インモールドラベルおよびラベル付き容器
 本発明は、インモールドラベルおよびラベル付き容器に関する。
 従来、ラベル付きの樹脂成形品を一体成形するために、金型内に予めブランクまたはラベルを挿入しておき、次いで射出成形、中空成形、差圧成形、発泡成形等の手法により該金型内で樹脂成形品を成形して、該樹脂成形品にラベルを貼着し、絵付け等を行っている。
 この様なラベルとして、例えば、無機微細粉末を含有するポリプロピレンのフィルムを基材とし、該基材にポリエチレンからなる肉厚1~10μmの接着層を積層して得られるラベル、および該ラベルをポリエチレン製容器に貼着して得られるラベル付き容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
 一方、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂製のプリフォームをブロー成形して得られる容器の表面には、上記のポリエチレンからなる接着層を有するインモールドラベルを貼着することはできない。ポリエステル樹脂容器に貼着するインモールドラベルとして、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むヒートシール層を有する延伸ポリプロピレンフィルムで、接着層の厚さが25~50μmのラベル、および該ラベルをポリエステル製容器に貼着して得られるラベル付き容器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
 一方、シーラント層が直鎖低密度ポリエチレンからなり、そのシーラント層の少なくとも被接着面に表面処理が施されているラベルが開示されている(例えば、特許文献3参照)。そして、押出ブロー成形機を用いてインモールド成形し、接着強度が高いラベル付き容器が製造できたことが記載されている。
特公平02-007814号公報 特開2004-136486号公報 特開平10-315410号公報
 特許文献2に記載の方法に対して本発明者らが検討したところ、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリアミド系樹脂等の主鎖または側鎖にヘテロ原子(水素原子および炭素原子以外の原子)を多く含む樹脂(以下、「極性樹脂」と称することがある)を接着層に使用すると、基材との共押出か、基材への熱ラミネートによる成形によらなければ工業的に生産できず、上記成形法では接着層樹脂の熱分解に伴う着色や、接着層の厚さに起因するカール等の問題が生じていた。
 また、ストレッチブロー成形の場合、パリソン(ブロー成形に用いるための熱可塑性樹脂で作った原体)が有する熱量がダイレクトブロー成形のパリソンが有する熱量より少ないため、少ない熱量で融着する樹脂を選定する必要があり、必然的に融点が130℃以下の極性樹脂が選択される。そうすると、接着層の厚さが起因して、室温でインモールドラベルを複数枚重ねて荷重をかけた場合にラベル同士が離れなくなる荷重ブロッキングや、インモールドラベルを複数枚重ねて打ち抜き加工する場合においてラベル同士が離れなくなるカットブロッキングが生じることが分かった。
 特許文献3に記載の製造方法によるラベルに対して本発明者らが押出ブロー成形機を用いたダイレクトブロー成形に代えてストレッチブロー成形を検討したところ、パリソンが有する熱量が少ないため、接着強度が低下した。
 本発明者らの検討では、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を主体とする接着層の厚さが2μm以上であるとき、ポリエステル製容器に貼着することが可能であったが、接着層の厚さが2μm未満の場合、ポリエステル製容器に貼着することはできなかった。
 本発明が解決しようとする課題は、主鎖または側鎖にヘテロ原子(水素原子および炭素原子以外の原子)をほとんど含まない樹脂(以下、「非極性樹脂」と称することがある)を接着層に使用したとしても極性樹脂製容器に貼着するインモールドラベル、さらにはストレッチブロー成形の低温接着条件でも接着強度が高いインモールドラベルを提供することである。
 本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、接着層として特定の融点を有する非極性樹脂を選定し、その表面に極性樹脂をごく薄く設けた構造を有するラベルを用いてインモールド成形をすることによって、所期の目的を達成して上記課題を解決できることを見出した。
 すなわち、上記の課題を解決するための手段である本発明およびその好ましい態様である。
[1] 熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に低融点樹脂層(B)およびヒートシール層(C)をこの順に有し、
 低融点樹脂層(B)が含有する樹脂の融点が60~110℃であり、
 ヒートシール層(C)が極性構造単位を有する熱可塑性樹脂を含有し、
 ヒートシール層(C)の厚さが0.05μm以上2μm未満であることを特徴とするインモールドラベル。
[2] 極性構造単位がヘテロ原子を含む[1]に記載のインモールドラベル。
[3] 極性構造単位が、塩素原子を含む構造単位、酢酸ビニル構造単位、(メタ)アクリル酸構造単位、(メタ)アクリル酸エステル構造単位、無水マレイン酸構造単位およびウレタン構造単位から選ばれる少なくとも1種である[1]または[2]に記載のインモールドラベル。
[4] 低融点樹脂層(B)の厚さとヒートシール層(C)の厚さとの合計が1.5~50μmである[1]~[3]のいずれか1つに記載のインモールドラベル。
[5] 熱可塑性樹脂フィルム(A)が低融点樹脂層(B)を有していない面にインキ受理層(D)を有する[1]~[4]のいずれか1つに記載のインモールドラベル。
[6] 極性樹脂製容器の表面に、[1]~[5]のいずれか1つに記載のインモールドラベルが貼着しているラベル付き容器。
[7] 極性樹脂がポリエステル樹脂である[6]に記載のラベル付き容器。
[8] 25℃の室内で、ラベル付き容器に80℃の温水を充填し、蓋をして容器内の温水が75℃になったときにラベル付き容器からラベルを手剥離したとき、ラベルが剥離音を伴わずに容易に剥離するとともに、ラベルを剥離した跡を手で触れてもべたつきを感じない[6]または[7]に記載のラベル付き容器。
 本発明によれば、非極性樹脂を接着層に使用したとしても極性樹脂製容器に貼着するインモールドラベル、さらにはストレッチブロー成形の低温接着条件でも接着強度が高いインモールドラベルを提供できる。
 また、本発明によれば、上記インモールドラベルを用いたラベル付き容器を提供できる。
<インモールドラベル>
 本発明のインモールドラベルは、熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に低融点樹脂層(B)およびヒートシール層(C)をこの順に有し、
 低融点樹脂層(B)が含有する樹脂の融点が60~110℃であり、
 ヒートシール層(C)が極性構造単位を有する熱可塑性樹脂を含有し、
 ヒートシール層(C)の厚さが0.05μm以上2μm未満であることを特徴とする。
 以下において、本発明のインモールドラベルの好ましい態様を説明する。
[熱可塑性樹脂フィルム(A)]
 本発明において、熱可塑性樹脂フィルム(A)はインモールドラベルにおいて支持体となるものであり、特に限定されない。熱可塑性樹脂フィルム(A)はインモールドラベルに印刷や金型内挿入等のハンドリングができる程度の剛度(コシ)を与えるものであることが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
 熱可塑性樹脂フィルム(A)に含まれる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチル-1-ペンテン、エチレン-環状オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中でも製造の簡便さの観点から、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主として含むことが好ましい。また、低融点樹脂層(B)との融点差を生じ、インモールド成形時に熱可塑性樹脂フィルム(A)が不要な変形を生じない観点から、熱可塑性樹脂フィルム(A)に含まれる熱可塑性樹脂は、低融点樹脂層(B)が含む樹脂の融点より15℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。具体的には融点が130~280℃の範囲である熱可塑性樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は2種以上を混合して用いることもできる。
(無機微細粉末および有機フィラー)
 熱可塑性樹脂フィルム(A)は、無機微細粉末または有機フィラーを含んでもよい。無機微細粉末を含む熱可塑性樹脂フィルム(A)を延伸することによって、熱可塑性樹脂フィルム(A)を白色不透明化することができる。その結果、インモールドラベルに設けられる印刷の視認性を高めることが出来る。なお、熱可塑性樹脂フィルム(A)が無機微細粉末を含まない場合、ラベル付き容器においてラベルが目立たずあたかも容器に直接印刷したかのような視認性を発揮することができるので、容器およびラベルのデザインに応じて無機微細粉末を含む熱可塑性樹脂フィルム(A)と無機微細粉末を含まない熱可塑性樹脂フィルム(A)とを使い分けることができる。
 無機微細粉末としては、炭酸カルシウム(好ましくは重質炭酸カルシウム)、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン(好ましくはルチル型二酸化チタン)、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバー等が挙げられる。
 無機微細粉末は表面を脂肪酸等で表面処理されたものを使用することができる。
 熱可塑性樹脂フィルム(A)は、有機フィラーを含むものであってもよい。熱可塑性樹脂フィルム(A)が有機フィラーを含むことでも、インモールドラベルを白色化、不透明化させることができ、印刷の視認を容易にする効果を奏する。
 有機フィラーは、熱可塑性樹脂フィルム(A)が主として(2種類以上の熱可塑性樹脂が含まれる場合は熱可塑性樹脂の全質量に対して50質量%以上)含む熱可塑性樹脂の融点またはガラス転移点よりも、自身の融点またはガラス転移点が高い樹脂であることが好ましい。
 熱可塑性樹脂フィルム(A)が主として含む熱可塑性樹脂がプロピレン系樹脂の場合、有機フィラーの融点またはガラス転移点が120~300℃であることが好ましい。好適な有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状オレフィン単独重合体、エチレン-環状オレフィン共重合体、ポリエチレンサルファイド、ポリイミド、ポリメタクリレート、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、メラミン樹脂等が挙げられる。
 前記熱可塑性樹脂フィルム(A)には、無機微細粉末または有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
 熱可塑性樹脂フィルム(A)に無機微細粉末または有機フィラーを含めるデザインとする場合、熱可塑性樹脂フィルム(A)の全質量に対する無機微細粉末または有機フィラーの添加率は、10~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、15~50質量%がさらに好ましい。無機微細粉末または有機フィラーの添加率が上記範囲の下限値以上であると熱可塑性樹脂フィルム(A)が白色不透明化しやすくなり、無機微細粉末または有機フィラーの添加率が上記範囲の上限値以下であると成形が均一になりやすい。
 無機微細粉末の体積平均粒径または有機フィラーの平均分散粒径は、レーザー回折法による体積平均粒子径として0.01~15μmが好ましく、0.05~5μmがより好ましく、0.1~2.0μmがさらに好ましい。これにより延伸成形により空孔が得られやすくインモールドラベルの不透明化を達成しやすい傾向がある。無機微細粉末の体積平均粒径または有機フィラーの平均分散粒径が上記範囲の下限値以上であると熱可塑性樹脂フィルム(A)が白色不透明化を達成しやすくなり、体積平均粒子径が上記範囲の上限値以下であると成形が均一になり、熱可塑性樹脂フィルム(A)の強度が十分となる。
 無機微細粉末の体積平均粒径および有機フィラーの平均分散粒径は、粒子計測装置、例えばレーザー回折式粒子計測装置「マイクロトラック」(株式会社マイクロトラックベル社製、商品名)により測定した累積で50%にあたる粒子径(累積50%粒径)や、走査型電子顕微鏡による一次粒径の観察(本発明では粒子100個の平均値を平均粒径とした)、比表面積からの換算(本発明では(株)島津製作所製の粉体比表面積測定装置SS-100を使用し比表面積を測定した)などにより求めることができる。
(添加剤)
 また、熱可塑性樹脂フィルム(A)は必要に応じて、立体障害フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤;立体障害アミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の光安定剤;分散剤、滑剤、帯電防止剤等の添加剤を使用することができる。熱可塑性樹脂フィルム(A)の全質量に対して上記各種添加剤をそれぞれ単独に0.001~1質量%添加することが好ましい。各種添加剤の添加量が上記範囲の下限値以上であると添加剤の効果が発現しやすくなり、各種添加剤の添加量が上記範囲の上限値以下であると着色したり印刷適性が低下したりしにくくなる。
 熱可塑性樹脂フィルム(A)は単層であってもよく、2層以上であってもよい。2層以上の多層化により、インモールドラベルにラベルの白色不透明化、印刷インキ受理性、断熱性およびそれに伴う良好なインモールド成形性等の機能を付与することができる。
 熱可塑性樹脂フィルム(A)の厚さは20~200μmが好ましく、40~150μmがより好ましい。これにより印刷時にラベルにシワを生じにくく、また金型内挿入時に正規の位置に固定しやすくなり、ラベル付き容器のラベル境界部分の強度低下に伴う耐落下強度が高くなる効果が得られる。
 これらの条件を考慮した場合、好適な透明の熱可塑性樹脂フィルム(A)としては、無機微細粉末を含まない、ポリプロピレン系無延伸フィルム(CPPフィルム)ポリプロピレン系二軸延伸フィルム(BOPPフィルム)、ポリエチレンテレフタレート系無延伸フィルム(CPETフィルム)、ポリエチレンテレフタレート系二軸延伸フィルム(BOPETフィルム)が挙げられる。
 また、好適な不透明の熱可塑性樹脂フィルム(A)としては、無機微細粉末を含む、CPPフィルム、BOPPフィルム、CPETフィルム、BOPETフィルム、合成紙が挙げられる。
[低融点樹脂層(B)]
 本発明のインモールドラベルは、熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に低融点樹脂層(B)を有する。低融点樹脂層(B)はストレッチブロー成形における低温接着条件でも成形品との十分な接着強度を与えるものである。
 低融点樹脂層(B)の厚さは1.5~15μmが好ましい。厚さが1.5μm以上であると接着強度が低下しにくくなる。厚さが15μm以下であると接着層の着色やラベルのカールが起きにくくなり、インモールド成形の際ラベルと容器の間に入り込んだ空気を逃がすためのエンボスを深くする必要が無く、外観に影響しにくくなる。低融点樹脂層(B)の厚さは2~5μmが好ましく、2~3μmがより好ましい。
(樹脂)
 本発明では、低融点樹脂層(B)が含有する樹脂の融点は、60~110℃である。融点が60℃以上であるとブロッキング(特にカットブロッキング)が起きにくくなり、融点が110℃以下であるとインモールド成形時に低融点樹脂層(B)が溶融しやすく、接着強度を高めやすくなる。ラベルのブロッキングとラベル付き容器の接着強度とを両立させる観点から、低融点樹脂層(B)が含有するポリエチレン系樹脂の融点は70~100℃が好ましく、75~90℃がより好ましい。
 低融点樹脂層(B)が含有する樹脂に制限はなく、ポリエチレン系樹脂が好ましい。低融点樹脂層(B)が含有するポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体でもよく;エチレンと、エチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。低融点樹脂層(B)が含有するポリエチレン系樹脂は、エチレンと、エチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体であることが好ましい。
 エチレンと共重合可能なモノマーとしては、炭素数3~10(好ましくは炭素数3~8)のα-オレフィン、スチレン等のヘテロ原子を有しないモノマー;酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が1~8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、無水マレイン酸等のヘテロ原子を有するモノマーが挙げられる。
 耐水性を向上させる観点から、ポリエチレン系樹脂は基本的にヘテロ原子を有しないことが好ましい。耐水性を向上させる観点から、ヘテロ原子を有しないモノマー由来の構造単位を95mol%以上含むことが好ましく、97mol%以上含むことがより好ましい。同様に、ポリエチレン系樹脂は、ヘテロ原子を有するモノマー由来の構造単位を5mol%以下含むことが好ましく、3mol%以下含むことがより好ましく、全く含まないことが特に好ましい。
 中でも、ポリエチレン系樹脂は、エチレン由来の構造単位を80mol%以上含むことが好ましい。低温での接着強度を高める観点から、ポリエチレン系樹脂は、エチレン由来の構造単位を95mol%以上100mol%未満含むことがより好ましく、97mol%以上100mol%未満含むことが特に好ましい。
 また、ブロッキング抑制の観点から、エチレンと共重合可能なモノマー由来の構造単位を、0mol%を超え5mol%以下含むことが好ましく、0mol%を超え3mol%以下含むことがより好ましい。
 上記の理由により、ポリエチレン系樹脂の中でも、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体が特に好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンが最も好ましい。これらのポリエチレン系樹脂は単独で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
 直鎖状低密度ポリエチレンとしては、チーグラー型の触媒に代表されるマルチサイト系の触媒によって合成されたものと、メタロセン触媒に代表されるシングルサイト系の触媒によって合成されたものが挙げられるが、低融点樹脂層(B)が含有するポリエチレン系樹脂の融点を上記範囲に制御する観点から、シングルサイト系の触媒によって合成されたものが好ましく、触媒の中でもZr、Ti、Hf等の遷移金属とシクロペンタジエニル環やインデニル環等の不飽和環とからなる、いわゆるメタロセン触媒が好ましい。
 また、カットブロッキング抑制の観点から、直鎖状低密度ポリエチレンの質量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mnは3.5以下が好ましい。
 ポリエチレン系樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
[ヒートシール層(C)]
 本発明では、ヒートシール層(C)が極性構造単位を有する熱可塑性樹脂を含有し、ヒートシール層(C)の厚さが0.05μm以上2μm未満である。
(極性構造単位を有する熱可塑性樹脂)
 ヒートシール層(C)に用いる樹脂は極性構造単位を変性または共重合によって導入した熱可塑性樹脂を含有する。ヒートシール層(C)に用いる樹脂は単独でも2μm以上の膜厚があればヒートシール適性を有する。本発明はパリソンの熱で低融点樹脂層(B)が融解したとき、低融点樹脂層(B)の表面に極性構造単位を有する熱可塑性樹脂が存在すると、パリソンとのなじみが良くその表面に濡れ広がりやすく、低融点樹脂層(B)と容器との密着が良好になると推察される。これにより、ラベル付き容器のラベル接着強度を高くすることができる。別の見方をすると、本発明ではヒートシール層(C)の膜厚が2μm未満であり、単独では容器との接着強度が発現しないところ、低融点樹脂層(B)が存在することによってラベル付き容器のラベル接着強度を高くすることができるともいえる。
 前記極性構造単位はヘテロ原子を含むことが好ましい。本発明において、ヘテロ原子とはCとH以外の原子であり、O、N、Cl等の原子が挙げられる。ヘテロ原子を含む極性構造単位としては、塩素原子を含む構造単位、酢酸ビニル構造単位、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル構造単位(アルキル基の炭素数は1~8が好ましい)、無水マレイン酸構造単位、ウレタン構造単位が好ましい。
 また、極性構造単位としてカルボン酸またはカルボン酸無水物を含む共重合体は、そのカルボン酸残基の全部または一部が金属塩となっていてもよく、該金属としてはNa、Li等の1族元素;Ca、Mgなどの2族元素等が挙げられる。
 ヒートシール層(C)に用いる樹脂は非極性構造単位をカルボン酸で変性したものであってもよい。カルボン酸変性方法としては主骨格であるポリオレフィン樹脂に有機過酸化物などのラジカル発生剤と無水マレイン酸などの変性剤などを配合し、押出機内において溶融状態で混練する方法が挙げられる。またこのようにして得られた樹脂としてはマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
 ヒートシール層(C)に用いる樹脂は極性構造単位と非極性構造単位からなる共重合体であることが好ましい。非極性構造単位としてはエチレン、プロピレンなどのC2~C8までのオレフィンが挙げられる。
 上記の共重合体の中でも、極性構造単位として塩素原子を含む構造単位、酢酸ビニル構造単位、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル構造単位(アルキル基の炭素数は1~8が好ましい)、無水マレイン酸構造単位、ウレタン構造単位の少なくとも一つを、非極性構造単位としてエチレン、プロピレンなど、C1~C8までのオレフィンの少なくとも一つをコモノマーとして含む共重合体であることが好ましい。共重合体における極性構造単位と非極性構造単位とのモル比は5:95~95:5が好ましく、10:90~50:50がより好ましい。非極性構造単位の割合がこれより少なくなるとパリソンとのなじみが悪くなり、容器との密着性が低下する傾向がある。極性構造単位の割合がこれより多くなると可撓性が下がり、低融点樹脂層(B)との密着性が低下する傾向がある。
 ヒートシール層(C)に用いる樹脂のメルトフローレート(MFR)は0.1~50g/10分が好ましく、0.5~30g/10分がより好ましい。MFRが上記範囲未満ではラベルを容器に熱貼着する際に、ヒートシール層(C)が不均一になり接着力不安定となる傾向がある。またMFRが上記範囲を超えるとラベル同士のブロッキングが悪化する傾向がある。
 ヒートシール層(C)に用いる樹脂にはラベルとして、打ち抜き性、捌き性、扱いやすさの観点から、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
 ヒートシール層(C)に用いる樹脂は特開昭58-118843号、同56-2149号、同56-106940号、同56-157445号公報等に記載される方法で水溶液、水性エマルジョン等の性状として製造することができる。
 ヒートシール層(C)に用いる樹脂がエマルジョンであるとき、該エマルジョン中の共重合体樹脂粒子の平均分散粒径は0.01~20μmであることが好ましい。また、エマルジョン中の共重合体樹脂粒子の固形分濃度は5~70質量%であることが好ましい。この様なエマルジョンはジャパンコーティングレジン(株)製アクアテックス等が市販されており、これを用いた塗料を低融点樹脂層(B)の表面上に塗布、乾燥することによってヒートシール層(C)として利用することができる。
 低融点樹脂層(B)の表面にごく薄く本発明で規定する厚みの範囲のヒートシール層(C)が設けられていれば、JIS K6768:1999「プラスチック-フィルムおよびシート-ぬれ張力試験方法」に従い、試験用混合液を使用して求めた表面張力が40mN/m以上である。本発明の接着効果を発現する観点から、ヒートシール層(C)の表面の表面張力は40~75mN/mが好ましく、45~70mN/mがより好ましく、50~65mN/mがさらに好ましい。これによりラベル付き容器との接着強度が高くなる。表面張力が上記範囲外では高くても低くてもパリソンに対する低融点樹脂層(B)の熱可塑性樹脂組成物のぬれ広がりが良くないものと推定される。
 ヘテロ原子が低融点樹脂層(B)に基本的に含まれないこと、およびヒートシール層(C)に含まれることは、まず赤外吸収スペクトル法でヒートシール層(C)の表面と、これを削って露出した低融点樹脂層(B)の表面とを比較することによって決定する。低融点樹脂層(B)についてはこれに含まれる樹脂をマススペクトル分析して評価してもよい。
 ヒートシール層(C)の表面は、インモールド成形時にラベルとパリソンの間に入り込んだ空気を速やかに排出する観点から、凹凸を有することが好ましい。ヒートシール層(C)の厚さが極薄であるため、凹凸は低融点樹脂層(B)に達していてもよい。凹凸の付与は、公知の方法が使用できるが、一般的にエンボスロールによる付与が好適に使用できる。
 インモールドラベルを枚葉で取り扱うときにインモールドラベル同士が張り付くトラブルを抑制する目的でインモールドラベルに滑剤並びにアンチブロッキング剤を配合することができる。
 中でも印刷にできるだけ影響を与えない理由から、滑剤並びにアンチブロッキング剤はヒートシール層(C)に配合することが好ましい。
 滑剤並びにアンチブロッキング剤としては、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、ワックス、シリコーンオイル、金属石鹸、無機粒子および有機粒子が挙げられる。
 高級脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N,N-メチレンビスオレイン酸アミド等が挙げられる。
 高級脂肪酸エステルとしては、ステアリルステアレート、ステアリン酸モノグリセリド、硬化ひまし油等が挙げられる。
 ワックスとしては、ポリエチレンワックス、アイオノマーワックス、モンタン系ワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、フロロポリシロキサン、官能基変性ポリシロキサンが挙げられる。
 金属石鹸としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、ベヘニル燐酸亜鉛、ステアリル燐酸亜鉛等が挙げられる。
 無機粒子としてはシリカ、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、無機粒子としてはポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメチル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、等が挙げられる。好ましくは架橋粒子である。
 これらの中でも高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、金属石鹸が好ましく、高級脂肪酸アミドがより好ましい。
(厚さ)
 ヒートシール層(C)の厚さは0.05μm以上2μm未満であり、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。一方、ヒートシール層(C)の厚さは1.6μm未満が好ましく、1.2μm未満がより好ましく、1.0μm未満がさらに好ましい。
 本発明では、前記低融点樹脂層(B)の厚さと前記ヒートシール層(C)の厚さとの合計は、接着強度の観点から、1.5μm以上が好ましく、1.6μm以上がより好ましく、1.7μm以上がさらに好ましい。一方、前記低融点樹脂層(B)の厚さと前記ヒートシール層(C)の厚さとの合計は50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
[インキ受理層(D)]
 本発明のインモールドラベルは、熱可塑性樹脂フィルム(A)が低融点樹脂層(B)を有していない面にインキ受理層(D)を有することが好ましい。インキ受理層(D)はインモールドラベルの印刷適性、特にインキの転移性およびインキの密着性を高める効果を奏する。
 インキ受理層(D)はバインダーおよび/または帯電防止剤を含むことが好ましい。インキ受理層(D)は、さらに架橋剤を含むことが好ましい。また、インキ受理層(D)は、必要に応じて、アンチブロッキング剤、着色剤、消泡剤、防黴剤等を含めることができる。
 バインダーは、粘着性があり、熱可塑性樹脂フィルム(A)の表面に適用可能なものであれば特に限定されない。
 バインダーとしては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体およびその金属塩(Zn、Al、Li、K、Na等)、エチレン・(メタ)アクリル酸(C1~8)アルキルエステル共重合体等のエチレン系共重合体;マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酸変性ポリオレフィン;モノヒドロキシ(C3~6)アルキル変性ポリエチレン等の水酸基変性ポリオレフィン;塩素化ポリオレフィン;ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン等のポリウレタン;ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン-尿素)等のポリエチレンイミンおよびその変性物;ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミドの各種(アルキル、シクロアルキル、アリル、アラルキル、ベンジル、シクロペンチル)変性体等の変性ポリアミンポリアミドが挙げられる。
 インキ受理層(D)に特に耐水性を付与する場合、水分散性(エマルジョン)のバインダーを選択することができる。
 帯電防止剤は、インモールドラベルのヒートシール層(C)を有しない表面に適用可能なものである。この面を構成する熱可塑性樹脂フィルム(A)の表面またはインキ受理層(D)に帯電防止性を付与できれば特に限定されない。
 帯電防止剤としては、ステアリン酸モノグリセリド、アルキルジエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩等の低分子量有機化合物;ITO(インジウムドープド酸化錫)、ATO(アンチモンドープド酸化錫)、グラファイトウィスカ等の導電性無機化合物;ポリチオフェン、ポリピーロイル、ポリアニリン等の分子鎖内のパイ電子により導電性を発揮するいわゆる電子導電性ポリマー;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアミン等の非イオン性ポリマー型帯電防止剤;ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物等の第四級アンモニウム塩型共重合体;アルキレンオキシド基および/または水酸基含有ポリマーへのアルカリ金属イオン添加物等のアルカリ金属塩含有ポリマー等が挙げられる。
 インモールドラベル表面の表面抵抗率は1×102Ω~1×1013Ωが好ましく、1×106Ω~1×1012Ωがより好ましい。
 架橋剤は、バインダーおよび/または帯電防止剤と反応して、あるいは架橋剤が形成する網目ネットワーク中にバインダーおよび/または帯電防止剤を閉じ込めて、バインダーおよび/または帯電防止剤をインモールドラベル表面に固定する働きをする。その結果、たとえばインモールドラベルに施した印刷の密着性や耐水性を高める効果を奏する。
 架橋剤としては、反応性官能基として水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、オキサゾリン骨格、カルボジイミド骨格等を有する2官能以上の物質が挙げられる。
 中でもビスフェノールA-エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂等が好ましく、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物、単官能乃至多官能のグリシジルエーテル、グリシジルエステル類がより好ましい。
[インモールドラベルの製造方法]
 インモールドラベルの製造方法に制限はない。
 低融点樹脂層(B)およびヒートシール層(C)を、熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に積層して製造することが好ましい。熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に低融点樹脂層(B)およびヒートシール層(C)を積層する方法は特に限定されない。
 また、熱可塑性樹脂フィルム(A)を多層構造とすることもできる。単層のフィルムを成形する方法としては、Tダイによる押出し成形(キャスト成形)、Oダイによるインフレーション成形、圧延ロールによるカレンダー成形が挙げられる。多層のフィルムを成形する方法としては、前記Tダイや前記Oダイを多層ダイス構成とする。そして、それぞれの層に用いる熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ異なる押出機に供給して溶融し、各押出機から吐出された熱可塑性樹脂組成物を前記多層ダイスに供給し、ダイス内で積層してフィルム状に吐出する。
(低融点樹脂層(B)の積層方法)
 熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に低融点樹脂層(B)を積層する方法として、共押出法、押出ラミネート法、フィルム貼合法が挙げられる。
 共押出法は、前記多層ダイスに熱可塑性樹脂フィルム(A)用の熱可塑性組成物と、低融点樹脂層(B)用の熱可塑性組成物(それぞれ複数あってもよい)とを供給し、多層ダイス内で積層して押し出すため、成形と同時に積層が行われる。
押出ラミネート法は、熱可塑性樹脂フィルム(A)を先に成形し、これに溶融した低融点樹脂層(B)を積層するため、成形と積層とは別工程で行なわれる。
 フィルム貼合法は、熱可塑性樹脂フィルム(A)と低融点樹脂層(B)とをそれぞれフィルム成形し、接着剤を介して両者を貼りあわせるため、成形と積層とは別工程で行なわれる。
 これら積層法の中でも、各層を強固に接着できる観点から、共押出法が好ましい。
(延伸)
 熱可塑性樹脂フィルム(A)および低融点樹脂層(B)はそれぞれ無延伸であっても良く、少なくとも1軸方向に延伸されたものであってもよい。
 例えば、熱可塑性樹脂フィルム(A)が無延伸であれば、ラベル付き容器の形状追随性を高めることができる。一方、熱可塑性樹脂フィルム(A)が延伸されたものであれば、軽量で厚さの均一性に優れる。
 延伸方法としては、ロール群の周速差を利用した縦延伸、圧延、テンターオーブンを使用した横延伸、縦延伸と横延伸とを組み合わせた逐次2軸延伸、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフとの組み合わせによる同時2軸延伸等を挙げることができる。また、インフレーション成形法を用いる場合は、吹込空気量の調整による同時2軸延伸を挙げることができる。
 延伸時の延伸倍率は、特に限定されず、インモールドラベルの物性および各層(特に熱可塑性樹脂フィルム(A))の延伸特性等を考慮して適宜決定する。
 熱可塑性樹脂フィルム(A)の熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂を使用する場合の延伸倍率は、一軸延伸の場合、1.2~12倍が好ましく、2~10倍がより好ましい。また、二軸延伸の場合、面積倍率で1.5~60倍が好ましく、4~50倍がより好ましい。
 また、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等のその他の熱可塑性樹脂を使用する場合の延伸倍率は、一軸延伸の場合、1.2~10倍が好ましく、2~5倍がより好ましい。また、二軸延伸の場合・BR>A面積倍率で1.5~20倍が好ましく、4~12倍がより好ましい。
 延伸温度は、各層(特に熱可塑性樹脂フィルム(A))の延伸特性等を考慮して適宜決定する。中でも熱可塑性樹脂フィルム(A)が主として含む熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下が好ましい。
 熱可塑性樹脂フィルム(A)が主として含む熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155~167℃)である場合は、延伸温度は融点より1~70℃低い温度が好ましい。また、延伸温度は100~166℃が好ましい。
 また延伸速度は、20~350m/分が好ましい。
(ヒートシール層(C)の積層方法)
 低融点樹脂層(B)の上にヒートシール層(C)を積層する方法としては公知の方法を用いることができるが、塗工液を塗工して形成されることが好ましい。塗工液を形成する溶剤は、工程管理が容易である観点から、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性溶剤;酢酸エチル、トルエン、キシレン等の非水溶性溶剤が挙げられる。
 塗工液は上記溶剤に均質に溶解または分散させて、溶液または分散液の状態として用いることが好ましい。中でも安全性や臭気の観点から、上記成分を何れも水溶性または水分散性の物質として、水溶液または水分散液の形態で用いることがより好ましい。
 塗工液中の固形分濃度は、乾燥負荷を少なくする観点から0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。また、均一な塗工面を得る観点から20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(インキ受理層(D)の積層)
-溶剤-
 インキ受理層(D)は、塗工液を塗工して形成されることが好ましい。塗工液を形成する溶剤、使用状態、塗工液中の固形分濃度の好ましい範囲は、ヒートシール層(C)の積層方法に用いられる塗工液の好ましい範囲と同様である。
-塗工-
 塗工方法としては、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、ブレードコーター、メイヤーバーコーター、エアーナイフコーター等の塗工装置を用いる方法が挙げられる。
 溶剤として水または水溶性有機溶剤を使用する場合、塗工液のはじきを抑制し均一に塗工する観点から、事前に熱可塑性樹脂フィルム(A)の塗工液を塗工する面に活性化処理を施すことが好ましい。また、事前に熱可塑性樹脂フィルム(A)の片面に上記塗工液を塗工し、塗工層を乾燥させて溶剤を除去することも好ましい。
-塗工量-
 インキ受理層(D)は、乾燥後の片面当たりの固形分塗工量として0.01g/m2~7g/m2であることが好ましく、0.01g/m2~5g/m2であることがより好ましく、0.05g/m2~3g/m2が特に好ましい。インキ受理層(D)の塗工量が上記範囲であると、インキの転移性及び密着性が向上する。インキ受理層(D)の塗工量が上記上限値以下であるとインモールドラベルがカールを起こしにくく、インキ受理層(D)内での凝集破壊によりインキの密着性が低下しにくくなる。一方、インキ受理層(D)の塗工量が上記下限値以上であるとインキの転移性及び密着性が発現しやすくなる。
[インモールドラベルの加工]
(印刷および加飾)
 本発明のインモールドラベルは、印刷が可能である。
 通常、熱可塑性樹脂フィルム(A)の低融点樹脂層(B)を設けていない面に印刷を施すことができる。印刷情報としてはバーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、使用方法等が挙げられる。
 また、低融点樹脂層(B)に印刷を施すこともできる。熱可塑性樹脂フィルム(A)が透明の場合は、ラベル付き容器において低融点樹脂層(B)の印刷情報が最外層にないため、耐久性に優れる効果を奏する。また、熱可塑性樹脂フィルム(A)が不透明の場合は、ラベル付き容器において該印刷情報が視認できず、ラベルを破壊した時印刷が視認可能になるため、セキュリティ性を発現する。
 印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シール印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。
 また、インモールドラベルに転写箔、ホログラム等の加飾を施してもよい。スレッド等のセキュリティ要素も加飾に含まれる。印刷と加飾との両方を施してもよい。
(打ち抜き)
 インモールドラベルは、印刷および加飾を行う前または後に、打ち抜きにより必要な形状および寸法に分離されることが好ましい。印刷および加飾された情報を損ないにくい観点から、印刷・加飾を行った後に打ち抜きを行なうことが好ましい。打ち抜き加工されたインモールドラベルは、プラスチック容器表面の全面に貼着されるものであってもよいし、一部に貼着される部分的なものであってもよい。例えば、インモールドラベルはインジェクション成形により付型されるカップ状のプラスチック容器の側面をぐるりと取巻くブランクラベルとして用いるものであってもよいし、中空成形により付型されるボトル状のプラスチック容器の表面および裏面に貼着されるラベルとして用いるものであってもよい。
<ラベル付き容器>
 本発明のラベル付き容器は、極性樹脂製容器の表面に、本発明のインモールドラベルが貼着している。
 以下において、本発明のラベル付き容器の好ましい態様を説明する。
[ラベル付き容器の製造方法]
(インモールド成形)
 極性樹脂製容器の表面に、インモールド成形する方法、すなわちインモールドラベルを貼着する方法に制限はない。
 本発明のインモールドラベルは、ヘテロ原子を基本的に有しない(非極性樹脂である)ポリエチレン系樹脂を含有する低融点樹脂層(B)を使用しているにも関わらず、低融点樹脂層(B)の表面が極性樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂)に貼着する(好ましくは熱融着する)性質を有する。
(容器の材質)
 本発明では、極性樹脂製容器を用いる。インモールド成形する極性樹脂製容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂と同様の接着機構であることから、インモールド成形する容器の材質としては、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブチレンースチレン(ABS)樹脂、メチルメタクリレート-スチレン(MS)樹脂等のその他の極性樹脂も挙げられる。
 また、容器の材質は、顔料や染料等を含まない透明および/または自然色のものであってもよく、顔料や染料等を含む不透明および/または着色のものであってもよい。
 容器の胴体は、断面が真円であってもよく、楕円形や矩形であっても構わない。胴体の断面が矩形である場合は、角が曲率を有するものであることが好ましい。強度の観点から、胴体の断面は真円か真円に近い楕円形であることが好ましく、真円であることがより好ましい。
(成形方法)
 極性樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート)を使用する成形方法としては、パリソンとして加熱したプリフォームを使用し、ロッドと圧空により金型内壁に圧着して付形するストレッチブロー成形が挙げられる。本発明のインモールドラベルは、ストレッチブロー成形の低温接着条件でも接着強度が高いため、特にストレッチブロー成形に有用である。
 ただし、本発明のインモールドラベルはストレッチブロー成形のみならず、ダイレクトブロー成形、インジェクション成形、差圧成形等にも同様に使用可能である。
 例えば中空成形では、成形金型のキャビティ内にラベルの低融点樹脂層(B)側が金型のキャビティ側(容器材質の樹脂に接するよう)に向くように配置した後、吸引や静電気により金型内壁に固定する。次いで容器成形材料となる樹脂のパリソンを金型間に導き、型締めした後に常法により中空成形され、型開きして該ラベルがプラスチック容器の表面に融着されたラベル付き容器が成形される。
 一方、インジェクション成形では、インモールドラベルを、雌金型のキャビティ内にラベルの低融点樹脂層(B)側が金型のキャビティ側(容器材質の樹脂に接するよう)に向くように配置した後、吸引や静電気により金型内壁に固定し、型締めした後に、容器成形材料となる樹脂の溶融物を金型内に射出し容器成形され、型開きして該ラベルがプラスチック容器の表面に融着されたラベル付き容器が成形される。
 また、差圧成形では、インモールドラベルを、差圧成形金型の下雌金型のキャビティ内にラベルの低融点樹脂層(B)側が金型のキャビティ側(容器材質の樹脂に接するよう)に向くように配置した後、吸引や静電気により金型内壁に固定する。次いで容器成形材料となる樹脂シートの半溶融物が下雌金型の上方に導かれ、常法により差圧成形され、該ラベルがプラスチック容器の外壁に一体に融着されたラベル付きプラスチック容器が成形される。差圧成形は、真空成形、圧空成形のいずれも採用できるが、一般には両者を併用し、かつプラグアシストを利用した差圧成形が好ましい。
[ラベル付き容器の特性]
 上記の通りにして極性樹脂製容器の表面に、インモールドラベルが貼着しているラベル付き容器が得られる。そのラベル付き容器は以下の特性を有することが好ましい。
(接着強度)
 極性樹脂製容器とインモールドラベルとの間の接着強度はJIS K6854-2:1999「接着剤-はく離接着強さ試験方法-第2部:180度はく離」に従って測定する。ブリスター(気泡)が生じない状況下では、上記接着強度は2N/15mm以上が好ましく、4N/15mm以上がより好ましく、5N/15mm以上がさらに好ましい。一方、上記接着強度の上限は特に限定されないが、低融点樹脂層(B)樹脂の凝集破壊強度から15N/15mm以下であることが好ましい。
(加熱下剥離)
 ラベル付き容器を室温で剥そうとした場合ラベルが容易に剥離しないが、ラベル付き容器を加熱した時にラベルが容易に剥離し、かつラベルを剥離した後の容器に糊残りがない-すなわち、剥離する前のラベルが存在していた場所に手を触れてもべたつきを感じない-ように設計しておくと、ラベル付き容器を加熱しておき容器からラベルを剥離することによって容器のリサイクル適性が向上する。手剥離可能な温度は45~115℃に設定することが好ましく、50~80℃に設定することがより好ましい。この温度に設定することにより、温水、熱風等の簡便な設備で加熱することにより、ラベルを容易に剥離できるようになる。手剥離可能な温度がこれより低いと輸送時の環境ではがれやすくなることがあり、手剥離可能な温度がこれより低いと、容器の変形や結晶化等が生じやすくなる。また、糊残りしやすくなる傾向がある。
 以下に実施例および比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。
実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
 熱可塑性樹脂フィルム(A)の材料として表1記載のPP-1が84質量%、CA-1が15質量%、TI-1が1質量%の熱可塑性樹脂組成物を230℃に加熱した押出機で溶融混練して、2層ダイスに供給した。
 一方、低融点樹脂層(B)の材料として表1記載のPE-1を210℃に加熱した押出機で溶融混練して、2層ダイスに供給した。
 2層ダイスの中で熱可塑性樹脂フィルム(A)の材料と低融点樹脂層(B)の材料とを積層して2種類の層を有する2層フィルムとしてTダイから押し出した。
 これを冷却装置により冷却して2層構造の無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。次いで60℃に冷却した後、再び150℃に加熱したのち、テンターを用いて横方向に8倍延伸し、160℃でアニーリング処理し、60℃で冷却して、2層構造を有する白色不透明の二軸延伸ポリオレフィン系の積層樹脂フィルムを得た。
 次いで得られた積層樹脂フィルムの低融点樹脂層(B)側にそれぞれ50W/m2の処理量でコロナ放電処理を施した後、放電処理面に表2記載のヒートシール層(C)原料HS-1をバーコーターで塗布し、ヒートシール層(C)を形成した。
 得られた積層樹脂フィルムの厚さは70μmで、密度は0.76g/cm3であった。低融点樹脂層(B)の厚さは2.0μmで、ヒートシール層(C)の厚さは0.2μmであった。
 この積層樹脂フィルムを実施例1のインモールドラベルとした。
<実施例2~4,6~7>
 実施例1において、ヒートシール層(C)原料を下記表2記載のHS-2~HS-6に変更して、積層樹脂フィルムを得た。これらの積層樹脂フィルムを実施例2~4,6~7のインモールドラベルとした。
<実施例5>
 実施例2において、低融点樹脂層(B)の厚さを1.3μm、ヒートシール層の厚さを0.3μmに変更して、積層樹脂フィルムを得た。この積層樹脂フィルムを実施例5のインモールドラベルとした。
 後述の接着強度の試験結果のとおり、実施例5のインモールドラベルを用いてラベル付き容器を製造したところ、実施例5では実施例1と比較して、やや低い接着強度が得られた。実施例5の結果は、十分な接着強度を得るために低融点樹脂層(B)の厚さとヒートシール層(C)の厚さとの合計の好ましい範囲の下限値程度であると示された。
<比較例1>
 実施例1において、ヒートシール層(C)を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1のインモールドラベルを作製した。
 後述の接着強度の試験結果のとおり、比較例1のインモールドラベルを用いてラベル付き容器を製造したところ、十分な接着強度が得られなかった。
 比較例1と各実施例との比較から、十分な接着強度を得るためには、インモールドラベル表面と容器との濡れ性を改善するためにヒートシール層(C)が必要であることが示された。
<比較例2>
 実施例1において、低融点樹脂層(B)の融点が81℃のPE-1の代わりに融点が115℃のPE-2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のインモールドラベルを作製した。
 後述の接着強度の試験結果のとおり、比較例2のインモールドラベルを用いてラベル付き容器を製造したところ、十分な接着強度が得られなかった。
 比較例2と各実施例との比較から、インモールドラベルと容器との間を低融点樹脂層(B)が充填して十分な接着強度を得るためには、低融点樹脂層(B)の樹脂が低温で融解することが必要であることが示された。
<比較例3>
 実施例1において、低融点樹脂層(B)としてPE-1の代わりにPP-1を使用し、ヒートシール層(C)の厚さを1.6μmに設定したこと以外、実施例1と同様にして比較例3のインモールドラベルを作製した。
 後述の接着強度の試験結果のとおり、比較例3のインモールドラベルを用いてラベル付き容器を製造したところ、接着強度が得られなかった。
 比較例3は、低融点樹脂層(B)の位置に熱可塑性樹脂フィルム(A)の熱可塑性樹脂(PP-1)を使用している。この比較例3は、熱可塑性樹脂フィルム(A)にヒートシール層(C)を積層した従来のPET用インモールドラベルの構成を模したものである(すなわち低融点樹脂層(B)厚さを0とみなす)。比較例3と各実施例との比較から、十分な接着強度を得るためには低融点樹脂層(B)とヒートシール層(C)との積層が必要で、かつヒートシール層(C)が特定の厚さであることが必要であることが示された。
<評価方法>
[インモールドラベル物性]
(各層の厚さ)
 インモールドラベルの厚さ(全厚)は、JIS K7130:1999に準拠し、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、商品名:PG-01J)を用いて測定した。また、インモールドラベルにおける各層の厚さは、測定対象試料を液体窒素にて-60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面観察用の試料を作製し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM-6490)を使用して断面観察を行い、外観から熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、インモールドラベルの全厚に観察される各層厚さ比率を乗算して求めた。
(表面張力)
 JIS K6768:1999に従って、ぬれ張力試験用混合液(和光純薬(株)製)を低融点樹脂層(B)表面の測定面に塗布し、低融点樹脂層(B)(フィルム)をぬらすと判定された最も表面張力が低い標準液の表面張力を測定面の表面張力とした。単位は、mN/mで表した。
[ラベル付き容器の特性]
(ラベル付き容器の製造)
 各実施例及び各比較例で得たインモールドラベルを、長辺8cm及び短辺6cmの矩形に打ち抜いた。
 次に打ち抜いたインモールドラベルを、静電気帯電装置を用いて帯電させた。続いてストレッチブロー成形機(日精ASB社製、商品名:ASB-70DPH)の成形用金型の内部に、ヒートシール層(C)の反対面が金型に接するように(シール層がキャビティ側を向くように)、設置して型締めした。インモールドラベルは、金型内でラベルの長辺が樹脂成形体の胴体の周方向に対して平行に貼着するように設置した。金型は、キャビティ側の表面温度が20~45℃の範囲内となるように制御した。
 一方、ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを100℃に予熱した。次に、リフォームを金型に導き、5~40kg/cm2のブロー圧力下、1秒間ストレッチブロー成形した。その後、15秒で50℃まで冷却した。
 次に型を開き、高さ12cm及び一辺約7cmの角型の胴部を有するラベル付き容器を取り出した。
(インモールドラベルの接着強度)
 測定対象のラベル付き容器品を、温度23℃、相対湿度50%環境下で2日間保管した。次に、ラベルの貼着部分の容器器壁およびラベルを一体にカッターで切り取り、容器の胴の周方向を長手として長さ12cm(ラベルの貼着部分は9cm、非貼着部分は3cm)及び幅1.5cm(全幅にラベルが貼着)の測定用サンプルを、容器2個より計6本採取した。
 次に、つかみしろ(ラベルの非貼着)部分からラベルを丁寧に剥がしていき、約1cm剥離して、つかみしろのための接着部分を形成した。次に幅1.5cmのPETフィルム(50μm)の端と上記接着部分とを重ね、粘着剤で接着してラベル側のつかみしろ部分とし、接着強度測定用のサンプルを作製した。
 次に、JIS K6854-2:1999に基づき、引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS-5kNJ)を用いて剥離速度300mm/minの条件で180度剥離試験を実施した。剥離長さ25mm~75mm間の剥離力の平均値を測定し、さらにサンプル6点の測定値を平均して得られた値を、接着強度とした。接着強度の単位は、N/15mmとした。
 なお、比較例1、2のラベル付き成形品については、ラベルの殆どの部分が容器から浮き上がり、サンプリング時に剥がれてしまい、安定に測定できなかったため、比較例1、2については「接着せず」と判定した。
(加熱下剥離)
 25℃の室内で、得られたラベル付き容器に80℃の温水を充填し、蓋をして容器内の温水が75℃になったときにラベル付き容器からラベルを手剥離し、剥離強度とラベルを剥離した跡の糊残りの様子を以下の基準で判定した。加熱下剥離パターンとしては、耐熱性の観点ではαがよく、リサイクルの観点ではγまたはδが良いことを示す。跡の糊残り評価は、Aが良好でBが不良である。
-剥離パターン-
α:ラベルが破壊される
β:ラベルが剥離音を伴い剥離する
γ:ラベルが剥離音を伴わずに容易に剥離する
δ:ラベルが自然に落下する
-糊残り-
A:手で触れてもべたつきを感じない
B:手で触れるとべたつきを感じる
[その他]
 材料のMFR(JIS K7210:1999によるメルトフローレート)、融点(JIS K7121:1987による融解ピーク温度)、エチレン含有率、密度、無機微細粉末の体積平均粒子径はそれぞれの材料のカタログ値を使用した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
<実施例101>
 バインダーとして(株)日本触媒製「エポミンSP-003」、帯電防止剤として三菱化学(株)製「サフトマーST-1000」を混合して、固形分濃度3質量%のインキ受理層(D)用塗料を作成した。
 実施例1で作製した2層構造を有する白色不透明の二軸延伸ポリオレフィン系積層樹脂フィルムの熱可塑性樹脂フィルム(A)側に上記塗料をメイヤーバー#8で塗布し、80℃で45秒間乾燥させてインキ受理層(D)を設けた。
 次に、インキ受理層(D)側表面にフレキソ印刷機(エムティーテック社製、機器名:FC11B)でUVフレキソ用インク((株)T&K TOKA製、製品名:フレキソ500)を用いて、印刷して、絵柄が印刷されたインモールドラベルを作製し、実施例101のインモールドラベルとした。
 実施例101のインモールドラベルを用いた以外は実施例1と同様にしてラベル付き容器を作製したところ、実施例1と同様に接着強度を発現し、絵柄を有するラベル付き容器が得られた。
 本発明のインモールドラベルによれば、これまでの常識ではポリエステルに接着できないポリエチレン系樹脂を接着層として有するフィルムを使用してポリエステルに接着可能になり、ストレッチブロー成形による低温接着条件でも成形品との接着強度が充分である成形品を得ることができる。加えて、予期せぬことに温水や熱風等による加熱でラベルを容易に剥離でき、ヒートシール層(C)の樹脂の種類によってはラベルを剥離した跡の糊残りもない。そのため、ポリエステル容器用/ポリオレフィン容器用兼用のインモールドラベルを製造することが可能になり、リサイクルも可能で当該分野のコスト削減に大きく寄与する。

Claims (8)

  1.  熱可塑性樹脂フィルム(A)の一方の面に低融点樹脂層(B)およびヒートシール層(C)をこの順に有し、
     前記低融点樹脂層(B)が含有する樹脂の融点が60~110℃であり、
     前記ヒートシール層(C)が極性構造単位を有する熱可塑性樹脂を含有し、
     前記ヒートシール層(C)の厚さが0.05μm以上2μm未満であることを特徴とするインモールドラベル。
  2.  前記極性構造単位がヘテロ原子を含む請求項1に記載のインモールドラベル。
  3.  前記極性構造単位が、塩素原子を含む構造単位、酢酸ビニル構造単位、(メタ)アクリル酸構造単位、(メタ)アクリル酸エステル構造単位、無水マレイン酸構造単位およびウレタン構造単位から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のインモールドラベル。
  4.  前記低融点樹脂層(B)の厚さと前記ヒートシール層(C)の厚さとの合計が1.5~50μmである請求項1~3のいずれか一項に記載のインモールドラベル。
  5.  前記熱可塑性樹脂フィルム(A)が前記低融点樹脂層(B)を有していない面にインキ受理層(D)を有する請求項1~4のいずれか1項に記載のインモールドラベル。
  6.  極性樹脂製容器の表面に、請求項1~5のいずれか1項に記載のインモールドラベルが貼着しているラベル付き容器。
  7.  前記極性樹脂がポリエステル樹脂である請求項6に記載のラベル付き容器。
  8.  25℃の室内で、ラベル付き容器に80℃の温水を充填し、蓋をして容器内の温水が75℃になったときにラベル付き容器からラベルを手剥離したとき、ラベルが剥離音を伴わずに容易に剥離するとともに、ラベルを剥離した跡を手で触れてもべたつきを感じない請求項6または7に記載のラベル付き容器。
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