WO2017221549A1 - 有機エレクトロルミネッセンス発光体、照明装置、および鉄道車両 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス発光体、照明装置、および鉄道車両 Download PDF

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Abstract

透明素子基板と、前記透明素子基板の一主面上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を覆う状態で前記透明素子基板の一主面上に設けられた封止層と、前記封止層の上部に設けられた放熱層と、前記透明素子基板の他主面側に設けられたガラスクロス層と、前記透明素子基板と前記ガラスクロス層との間に設けられた透明中間層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス発光体である。

Description

有機エレクトロルミネッセンス発光体、照明装置、および鉄道車両
 本発明は、有機エレクトロルミネッセンス発光体、照明装置、および鉄道車両に関する。
 有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極層と陰極層との間に有機発光機能層を挟持させた構成であり、有機発光機能層で発生した発光光が陽極層または陰極層から面状に取り出される。このため、有機エレクトロルミネッセンス素子を発光体として用いた照明装置は、面状に均一な照明が可能である。
 近年、以上のような有機エレクトロルミネッセンス素子を発光体として用いた照明装置に対し、鉄道車両内や屋内の建材としての利用が期待されており、その実現のためには難燃性の向上が望まれている。そこで、有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する透明素子基板の構成として、透明性材料で形成された基板に対してガラスクロスを貼り合わせた構成が提案されている(下記特許文献1参照)。また、ガラスクロスにリン酸エステルを含浸させた透光性基板を用いた構成が提案されている(下記特許文献2参照)。
特開2014-150043号公報 特開2015-81343号公報
 ところで鉄道車両の内装材に対しては、安全性の観点から、不燃性であって、かつ極めて高いレベルに設定されているコーンカロリメータ試験の合格基準を満たすことが要求されている。しかしながら、上述した構成の透明素子基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子を発光体として形成した照明装置では、これらの要求を満たすことはできなかった。
 そこで本発明は、鉄道車両の内装材として実用化が可能な有機エレクトロルミネッセンス発光体、この有機エレクトロルミネッセンス発光体を用いた照明装置、およびこれらを用いた鉄道車両を提供することを目的とする。
 上記の目的を達成するための本発明は、透明素子基板と、前記透明素子基板の一主面上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を覆う状態で前記透明素子基板の一主面上に設けられた封止層と、前記封止層の上部に設けられた放熱層と、前記透明素子基板の他主面側に設けられたガラスクロス層と、前記透明素子基板と前記ガラスクロス層との間に設けられた透明中間層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス発光体である。
 また本発明は、この有機エレクトロルミネッセンス発光体を用いた照明装置、およびこの照明装置を車内の照明として用いた鉄道車両でもある。
 本発明によれば、鉄道車両の内装材として実用化が可能な有機エレクトロルミネッセンス発光体、この有機エレクトロルミネッセンス発光体を用いた照明装置、およびこれらを用いた鉄道車両を提供することが可能である。
第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体の断面模式図である。 第2実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体の断面模式図である。 第3実施形態の鉄道車両の構成を説明する模式図である。
 以下、本発明に係る各実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。尚、各実施形態において共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
≪第1実施形態:有機エレクトロルミネッセンス発光体(照明装置)≫
 図1は、第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体の断面模式図である。図1に示す第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体1は、面状発光体であって、照明装置1aを構成するものとして好適に用いられるものである。
 このような有機エレクトロルミネッセンス発光体1は、透明素子基板10、透明素子基板10の一主面上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と記す)20、有機EL素子20を覆って透明素子基板10の一主面上に設けられた封止層30を備えている。また有機エレクトロルミネッセンス発光体1は、封止層30上に、接着層41を介して貼り合わせられた放熱層43を備えている。さらに有機エレクトロルミネッセンス発光体1は、透明素子基板10の他主面上に、接着層51を介して貼り合わせられた透明中間層53、この上部に接着層55を介して貼り合わせられたガラスクロス層57を備えている。
 以上のような有機エレクトロルミネッセンス発光体1は、有機EL素子20において発生した発光光hが、透明素子基板10、透明中間層53、およびガラスクロス層57の積層体50を透過してガラスクロス層57側から取り出される構成となっている。また、全体膜厚[t]が2mm以下であることが好ましく、これによりフレキシブルな屈曲性を有するものである。この場合、有機エレクトロルミネッセンス発光体1の取り扱いの容易性から、全体膜厚[t]は0.8mm以上であることが好ましい。以下、これらの各構成要素の詳細を、順に説明し、次いで有機エレクトロルミネッセンス発光体1の製造方法を説明する。
<透明素子基板10>
 透明素子基板10は、有機EL素子20の支持基板であって、有機EL素子20を形成する際の製造基板となるものである。この透明素子基板10は、ガラス、プラスチック等の透明性材料を用いて形成される。このような透明素子基板10は、薄膜ガラス、透明樹脂フィルム等の可撓性のある基材を用いて構成されることが好ましい。透明素子基板10として透明樹脂フィルムを用いる場合には、透明樹脂フィルムに対してガスバリア層を設けたものを透明素子基板10として用いることが好ましい。この場合、ガスバリア層は、有機EL素子20側に設けられることとする。また透明素子基板10は、光取り出し側となる面が光散乱フィルムで覆われたものであってもよく、ガスバリア層と透明樹脂フィルムと光散乱フィルムとの積層体、さらにはその他の必要な層を積層した構成であってもよい。
 透明樹脂フィルムを構成する透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン(登録商標)、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル、ポリアリレート、アートン(登録商標、JSR社製)あるいはアペル(登録商標、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらは1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率および組み合わせで用いられてもよい。
 以上のような透明樹脂フィルムを用いた透明素子基板10は、防湿の観点から、有機EL素子20側の表面に、以下に説明するガスバリア層が設けられていることが好ましい。
(ガスバリア層:透明素子基板10)
 透明素子基板10を構成するガスバリア層の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/(m・day)以下であることが好ましい。さらには、酸素透過度が10-3ml/(m・day・atm)以下、水蒸気透過度10-5g/(m・day)以下の高バリア性の層であることが好ましい。尚、水蒸気透過度はJIS K7129B(1992年)に準拠してMOCON法によって、酸素透過度はJIS K7126B(1987年)に準拠してMOCON法によって測定することができる。
 ガスバリア層を形成する材料としては、特に制限はされないものの、例えば無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が挙げられ、水分や酸素のような素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料が好ましく用いられる。具体的には、酸化珪素、二酸化珪素等の金属酸化物、窒化珪素等の金属窒化物等を用いることができる。さらに、ガスバリア層の強度をより向上させるために、無機層と有機層とからなる積層構造とすることが好ましい。無機層と有機層との積層順は特に制限されないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
 ガスバリア層の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD(化学的気相蒸着)法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
<有機EL素子20>
 有機EL素子20は、透明素子基板10側から順に、透明電極、有機発光機能層、および対向電極を積層した構成であって、有機エレクトロルミネッセンス発光体1の主要部を構成する。このような構成の有機EL素子20は、透明電極と対向電極とで有機発光機能層を挟持した部分が発光領域となる。この発光領域で発生した発光光hは、少なくとも透明電極側から取り出される。これらの各部材の構成が限定されることはないが、以下に一例を説明する。
(透明電極および対向電極)
 透明電極および対向電極は、有機発光機能層に対して何れか一方が陽極として用いられ、何れか他方が陰極として用いられる。それぞれが、陰極または陽極として適する仕事関数を有する材料を用いて構成される。
 透明電極は、光透過性に優れた導電性材料を用いて構成されることが好ましく、例えば薄銀(Ag)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛等の光透過性を有する電極材料により構成されている。また透明電極は、導電性材料で構成された層の他に、必要に応じて下地層を備えたものであってもよい。例えば薄銀を用いた透明電極であれば、窒素や硫黄を含有する有機材料を用いた下地層を有し、この上部に薄銀層を設けた構成とすることにより、光透過性と導電性とを兼ね備えた透明電極とすることができる。
(有機発光機能層)
 有機発光機能層は、少なくとも有機発光材料を用いて構成された発光層を有する。この有機発光機能層は、透明電極と対向電極の何れか一方を陽極とし、何れか他方を陰極とし、陽極から供給される正孔と陰極から供給される電子とを、内部の発光層内で再結合させることによって発光を生じる。
 このような有機発光機能層は、発光層を有していればよく、その構成が限定されることはないが、一例として陽極側から順に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層を積層した構成とすることができる。尚、有機EL素子20は、中間層を介して複数の有機発光機能層を積層させたものであってもよい。この場合、各有機発光機能層は、それぞれが必要に応じた層構成であればよい。また中間層は、中間電極であってもよい。
<封止層30>
 封止層30は、外気から有機EL素子20を保護するものであり、具体的な構成が限定されるものではない。封止層30は、有機EL素子20で発生させた発光光hを、吸収することのない構成であることが好ましい。
 このような封止層30は、例えば、可撓性を有する構成であることが好ましく、例えば絶縁性封止層31と接着層33と金属バリア層35と樹脂層37とを積層した構成が好ましく適用される。この場合、封止層30の厚さは、特に制限されないものの、製造時の取り扱い性、引張強さや金属バリア層35の耐ストレスクラッキング性等を考慮すると、10μm以上300μm以下が好ましい。尚、ここでいう封止層30の厚さは、マイクロメータを使用して測定可能であり、封止層30の面内の各10箇所を測定した平均値とする。
 また封止層30は、その層構成によらず、有機EL素子20を構成する有機材料の結晶化、および電極の酸化等によるダークスポットの発生防止による有機EL素子20の長寿命化等を考慮し、水蒸気透過度が10―5g/(m・day)以下であることが好ましい。尚、水蒸気透過度は、JIS  K7129B法(1992年)に準拠した方法で、主としてMOCON法により測定した値である。
 図1には、可撓性を有する封止層30の一例として、有機EL素子20側から順に、絶縁性封止層31、接着層33、金属バリア層35、樹脂層37を積層した封止層30を示した。以下、図示した構成例について説明する。
(絶縁性封止層31)
 絶縁性封止層31は、無機材料で構成された膜が好ましく用いられ、例えばCVD成膜によって形成された絶縁性の無機蒸着膜が用いられる。
 このような絶縁性の無機蒸着膜としては、MgO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO、Cr、SixOy、Ta、ZrN、SiC、TiC、PSG、SixNy等が挙げられる。
 絶縁性封止層31の膜厚は特に制限されない。ただし、絶縁性封止層31が例えば絶縁性の無機蒸着膜により構成される場合、無機蒸着膜の形成のし易さの観点から、膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは300nm以下である。
 以上のような絶縁性封止層31は、単層構造であってもよく、複数層を積層した構造であってもよい。
(接着層33)
 接着層33は、金属バリア層35と樹脂層37との積層体を、絶縁性封止層31で覆われた透明素子基板10側に貼り合わせるための層である。この接着層33は、接着剤を用いて構成され、さらに必要に応じた添加物が含有されていてもよい。添加物としては、例えば水蒸気透過度を下げるためのフィラーが用いられる。
[接着剤(接着層33)]
 接着層33を構成する接着剤は、硬化性樹脂であれば特に制約されない。硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂のいずれか、あるいは両者を使用することができる。接着剤の代表例としては、光硬化型の液体接着剤、熱硬化型の液体接着剤等が挙げられる。具体的には例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマー等の反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型シール剤、2-シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤、エポキシ系等の熱および化学硬化型(二液混合)等の接着剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤等が挙げられる。
 また接着剤としては、耐湿性、耐水性に優れ、揮発成分が少なく、硬化時の収縮が少ない樹脂を用いることが好ましい。光硬化型樹脂においては、紫外線等を透過させるために、有機EL素子20の構成物品に制約が生じるが、熱硬化型樹脂では、そのような制約がないため、より好ましい。
 熱硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系等の熱硬化型樹脂が挙げられる。難燃性の観点からは、特に熱硬化型のエポキシ系接着剤が好ましい。
[フィラー(接着層33)]
 接着層33を構成する接着剤に添加されるフィラーは、接着剤の水蒸気透過度を下げるためのものであり、例えばソーダガラス、無アルカリガラス或いはシリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアや酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。
 接着層33におけるフィラーの添加量は、特に制限されないが、接着力を考慮すると、接着剤の全量に対して、5体積%以上が好ましく、70体積%以下が好ましい。また、添加するフィラーの大きさも特に制限されないが、接着力や貼合圧着後の接着剤厚み等を考慮すると、1μm以上が好ましく、100μm以下が好ましい。
 接着層33は、例えばフィラーを分散させた接着剤を塗布して固化することにより形成される。ただし、接着剤として例えば液体接着剤を用いる場合、液体接着剤の塗布は、貼合安定性、貼合部内への気泡混入防止、可撓性部材の平面性保持等の観点から、1×10-2Pa以上、10Pa以下の減圧下で行うことが好ましい。
(金属バリア層35)
 金属バリア層35は、例えば金属箔によって構成される。金属箔の材料としては、例えば、Al、Cu、Ni等の金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金等の合金材料等が挙げられる。これらは1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率および組み合わせで用いられてもよい。中でも、金属箔としては、加工性やコストの観点から、アルミニウム箔が好ましく用いられる。
 金属バリア層35の膜厚は特に制限されないが、製造時の取り扱い性およびパネルの薄板化の観点から、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、また、通常2mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
(樹脂層37)
 樹脂層37を構成する樹脂材料は、例えばエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、延伸ナイロン(ONy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)等の各種包装用フィルムに使用されている熱可塑性樹脂フィルム材料等を用いることができる。これらの樹脂材料は1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率および組み合わせで用いられてもよい。
 また樹脂層37に熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じ、異種フィルムと共押出しにより作製した多層フィルム、または延伸角度を変えて貼り合せて作製した多層フィルムも使用可能である。さらに、樹脂層37として所望の物性を得るために、密度および分子量分布の異なる樹脂フィルムを組合せて樹脂層37としてもよい。
 尚、封止層30は、以上のような絶縁性封止層31、接着層33、アルミニウム箔のような金属バリア層35、および樹脂層37によって構成された4層構造に限定されることはなく、さらに上述した4層構造を覆って、接着層を設けた構成であってもよい。ここで用いる接着層は、上述した4層構造を覆う状態で塗布成膜されたものであってよく、4層構造を構成する接着層33と同様のものを用いることができる。
<接着層41>
 接着層41は、封止層30に対して放熱層43を貼り合せるための層である。この接着層41は、厚みが薄くて発熱量が低い基材レスの両面テープを用いることが好ましい。このような基材レスの接着層41としては、例えばシリコーン系やアクリル系の粘着剤が用いられるが、特に熱伝導性が高いアクリル系の粘着材を用いることが好ましく、光透過性に優れた材質であればさらに好ましい。
<放熱層43>
 放熱層43は、封止層30の上部に全面に接着層41を介して設けられた層であって、有機エレクトロルミネッセンス発光体1内の熱を放熱する。このような放熱層43は、熱伝導性が良好であれば、導電性材料で構成されていても絶縁性材料で構成されていてもよい。またこの放熱層43は、封止層としての機能を有する必要はなく、封止層30を完全に覆うことなく、封止層30よりも小さい面積を有して封止層30の上部に設けられていてよい。このため、有機エレクトロルミネッセンス発光体1を平面視的に見た場合、放熱層43は封止層30の配置領域よりも狭い領域に形成されており、放熱層43の周囲から封止層30がはみ出していてもよい。
 このような放熱層43としては、金属箔が好ましく用いられる。金属箔の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金等の合金材料等が挙げられる。これらは1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率および組み合わせで用いられてもよい。中でも放熱層43としては、熱伝導性の観点および加工性やコストの観点から、アルミニウム箔が好ましく用いられる。
 放熱層43の膜厚および配置面積は、大きいほど放熱効果が高く好ましく、有機エレクトロルミネッセンス発光体1の薄型化および軽量化の観点からは薄膜であるほど好ましい。また製造時の取り扱い性およびパネルの薄板化の観点も考慮すると、放熱層43の膜厚[t1]は、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、また、通常2mm以下、好ましくは0.4mm以下である。アルミニウム箔を放熱層43として用いた場合であれば、その膜厚[t1]は50μm(0.05mm)以上であることが好ましい。
 以上のような放熱層43は、単層構造であってもよく、複数層を積層した構造であってもよい。
<接着層51および接着層55>
 接着層51は、透明素子基板10の有機EL素子20が形成された面とは逆側の他主面上に透明中間層53を貼り合せるための層である。また接着層55は、透明中間層53にガラスクロス層57を貼り合わせるための層である。これらの接着層51,55は、光透過性を有して構成され、接着層41と同様に厚みが薄くて発熱量が低い基材レスの両面テープを用いることが好ましい。特に有機EL素子20よりも発光光hの取り出し側に配置される接着層51,55は、発熱速度が抑えられるシリコーン系の粘着剤が好ましく用いられる。
<透明中間層53>
 透明中間層53は、ガラスクロス層57側からの熱が有機EL素子20に伝わることを防止するための遮熱層であって、ガラス材料または樹脂材料によって構成された光透過性を有する層である。このような透明中間層53は、ガラス、プラスチック等の透明性材料を用いて形成され、薄膜ガラス、透明樹脂フィルム等の可撓性のある基材を用いて構成されることが好ましく、透明素子基板10を構成する材料として例示した材料の中から選択された材料が用いられる。
 また特に、透明中間層53は、光透過性を有する材料のうち、熱伝導率が低い材料を用いて構成されていることが好ましい。さらに透明中間層53は、次に説明するガラスクロス層57よりも熱伝導率が低いことがより好ましい。このため、透明中間層53は、ガラス材料やプラスチック材料の中から熱伝導率が低い材料を適宜に選択して構成されることとする。これにより、透明中間層53は、その膜厚[t2]が薄くても十分な遮熱効果を発揮することができ、有機エレクトロルミネッセンス発光体1の全体膜厚[t]を小さく抑えることが可能になる。
 以上のような材料のうち、ポリカーボネートは、熱伝導率が低いだけではなく、非常に燃えにくい材料であるため、透明中間層53を構成する材料としてさらに好適である。
 このような透明中間層53の膜厚[t2]は、有機エレクトロルミネッセンス発光体1の全体の膜厚を満たす範囲において、透明中間層53の材質と共に放熱層43の膜厚[t1]を考慮した大きさを有することが好ましい。すなわち放熱層43の膜厚[t1]が大きく放熱効果が高いほど、透明中間層53の膜厚[t2]は小さい値に設定される。これに対し、放熱層43の膜厚[t1]が小さく放熱効果が低いほど、透明中間層53の膜厚[t2]は大きい値に設定される。
 例えば、透明中間層53がポリカーボネート(熱伝導率0.19)を用いて構成されたものである場合、透明中間層53の膜厚[t2]は、0.1mm以上、1.0mm未満の範囲において、放熱層43の膜厚[t1]を考慮した値に設定される。ポリカーボネートからなる透明中間層53は、膜厚[t2]が0.1mm以上であることにより、ガラスクロス層57側からの熱を遮断する効果を発揮することができる。また、ポリカーボネートからなる透明中間層53は、膜厚[t2]が1.0mm未満であることにより、コーンカロリメータ試験における最大発熱速度を300kW/m以下に押さえることが可能である。
 また、透明中間層53を構成する他の材料の例として、ガラスを挙げることができる。ガラスは、燃焼することがないため、有機エレクトロルミネッセンス発光体1を燃焼させた場合であっても、煙の発生や発熱を生じることがない。
<ガラスクロス層57>
 ガラスクロス層57は、ガラス繊維を織成してなるガラスクロスを用いて構成された層である。このようなガラスクロス層57は、光取り出しシートとして設けられる。またガラスクロス層57は、光取り出し側の表面材が損傷することによる破片の飛び散りを防止するための防護シートとしても機能し、さらにヒビなどの損傷が加わった場合であっても損傷が見え難いといった利点もある。
 このようなガラスクロス層57は、必要に応じてガラスクロスに樹脂を含浸させてガラスクロス層57としてもよい。またここでの図示は省略したが、ガラスクロス層57の表面には、保護層を設けてもよい。これらのガラスクロス層57および保護層は、光透過性を有して構成され、光取り出し層としても機能する。以下、ガラスクロスと、これに含浸させる含浸樹脂と、ガラスクロス層57の表面に設けてもよい保護層の構成を説明し、次いでガラスクロス層57の物性を説明する。
(ガラスクロス)
 ガラスクロスは、通常は無色のものが好適である。また、ガラスクロスは、市販されているものであってもよく、適宜調製されたものであってもよい。また、ガラスクロスは、1種類が単独で用いられてもよく、2種類以上が任意に組み合わされて用いられてもよい。
 ガラスクロスとしては、ガラスクロスの生機、種々の加工処理が施されたガラスクロス、使用済みガラスクロス等が適用可能である。ただし、ガラスクロスとしては、加工処理が施されたガラスクロスが好ましく、中でも、ヒートクリーニング処理されたガラスクロスや、ヒートクリーニング処理された後にシランカップリング剤処理されたガラスクロスがより好ましい。
 ガラスクロスに用いられるガラス繊維を構成するガラスは何ら限定されない。ガラス繊維を構成するガラスの具体例としては、Eガラス、Dガラス、Tガラス、Cガラス、ECRガラス、Aガラス、Lガラス、Sガラス、YM31-Aガラス、Hガラス等のガラスが挙げられる。これらのうちの1種類が単独で用いられてもよいし、2種類以上が任意に組み合わせられて用いられてもよい。中でも、電気的および機械的性質に優れたEガラスが好ましい。これらのガラス繊維は、任意の製造方法に従って製造されたものでもよく、市販品を用いてもよい。
 また、ガラス繊維は、長繊維および短繊維のいずれを用いてもよい。ガラス繊維が長繊維の場合には、例えば、ガラス繊維を適宜引き揃えて固めたものが使用可能である。ただし、この場合、ガラス繊維は、撚りがかけられていることが好ましい。撚り数は特に制限されないが、例えば、100cmあたり、20回以上200回以下のものを使用することができる。撚り方向としては、右撚り(S撚り)、左撚り(Z撚り)のいずれであってもよい。また、撚り糸の形態としては、例えば、片撚り糸、諸撚り糸、ビッコ諸撚り糸、強撚糸、壁撚り糸、駒撚り糸等が挙げられる。
 また、ガラス繊維が短繊維の場合には、例えば、ガラス繊維に対して撚りをかけて、つなぎ合わせた糸、即ち紡績糸が使用可能である。撚りの程度としては、長繊維の場合と同様の事項が適用可能である。
 また、ガラス繊維の繊度(番手)は、特に制限されないものの、通常は1tex以上、好ましくは5tex以上であり、また、通常は1000tex以下、好ましくは850tex以下、より好ましくは200tex以下、特に好ましくは150tex以下である。
 ガラス繊維を用いてガラスクロスを製造する際、ガラスクロスの織成方法としては、任意の方法が適用可能である。織組織としては、例えば、平織、綾織、斜文織、からみ織、朱子織、三軸織、横縞織等が挙げられる。織機としては、例えばジェット織機(例えばエアージェット織機、ウォータージェット織機)、スルザー織機、レピヤー織機等の織機を用いることができる。ガラスクロスの織成は、これらを適宜組み合わせて行ってもよい。
 ガラスクロスの織密度は、経糸、緯糸共に、10本/25mm以上が好ましく、40本/25mm以上がより好ましく、また、80本/25mm以下が好ましく、60本/25mm以下がより好ましい。ガラスクロスの織密度をこの範囲に設定することにより、ガラスクロスの空隙部を小さくすることができるとともに、十分な引張強度を得ることができる。また、ガラスクロスの可撓性および柔軟性を十分なものにすることができるとともに、取り扱い性を向上させることができる。
(含浸樹脂)
 ガラスクロスはそのままでは取扱性、機械的強度が十分ではないため、必要に応じて、樹脂を含浸させて形態を固定化させることができる。ガラスクロスに含浸させる含浸樹脂としては、種々の樹脂が使用し得るが、難燃性の観点からは難燃性樹脂が好ましい。難燃性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂等のフッ素系樹脂、シリカ系無機樹脂等が好ましく用いられるが、光透過性を損なわない範囲で難燃剤を添加しても良い。また光透過性を損なわない範囲で難燃剤を添加した酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の樹脂も用いることができる。難燃性樹脂を用いてガラスクロスを含浸処理することにより、有機エレクトロルミネッセンス発光体1およびこれを用いて構成された照明装置1aの難燃性の向上を図ることができる。
 これらの含浸樹脂は、1種類の樹脂を単独で用いてもよく、2種類以上の樹脂を任意の比率および組み合わせで、混合して用いたり、同種や異種の樹脂を複数回に分けて含浸させてもよい。ガラスクロスに含浸樹脂を含浸させた後、後記するように、ガラスクロス表面に更に保護層を設置しても良い。また、必要に応じて、含浸樹脂に紫外線吸収剤や酸化防止剤等を添加してもよい。
 ガラスクロスに含浸樹脂を含浸させる方法は、公知の方法を用いることができ、特に制限されるわけではない。例えば、含浸樹脂を溶解させた溶液にガラスクロスを浸漬させて溶液を付着させた後に溶剤を乾燥・除去する方法や、含浸樹脂を溶融させた融液にガラスクロスを浸漬させて含浸樹脂を付着させる方法や、含浸樹脂のパウダーをガラスクロスに付着させた後にパウダーを溶融させてガラスクロスに固着させる方法等が挙げられる。
 含浸樹脂のガラスクロスに対する付着量は、ガラスクロスの単位面積当たりの質量(目付、g/m)に対して、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。この範囲にあるとき、ガラスクロス層57の取扱性、機械的強度が向上し、光取り出しシート自体の耐候性も良好であり、難燃性樹脂による難燃性付与の点においても優れたものとなる。
 また、ガラスクロスと含浸樹脂との接着性を向上させるため、ガラスクロスに樹脂を含浸させる前に、ガラスクロスのヒートクリーニング処理やシランカップリング剤処理を行うことができる。
 ヒートクリーニング処理は、ガラスクロスの織成時に使用されたガラス繊維の集束材や滑剤等を除去するために、ガラスクロスを高温で長時間加熱処理するものである。また、シランカップリング剤処理は、ガラスクロスの表面を予めシランカップリング剤によって処理することにより、ガラスクロスと含浸樹脂等との親和性を高めるものである。
(保護層)
 ガラスクロスの表面に設けてもよい保護層は、ガラスクロス層57の片面のみに設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。また、保護層は省略することもできる。
 保護層の材料は特に制限されないが、例えば、無機樹脂(シリカ等)、塩化ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、フッ素系樹脂、アクリル樹脂等が適用可能である。また、これらの樹脂材料に対して、例えば糖類(単糖、オリゴ糖、多糖等)等の添加物が含まれていてもよい。特に、単糖が含まれる場合、単糖そのものがはじめから含有されていてもよく、オリゴ糖や多糖とともに添加された多糖分解酵素によって生成した単糖が含有されてもよい。糖類としては、例えばシクロデキストリン、キトサン、プルラン等が挙げられる。これらは1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率および組み合わせで用いられてもよい。また、多糖分解酵素としては、例えば、多糖を単糖に分解する酵素(例えばキトサナーゼ、プルラナーゼ、アミラーゼ等)の他、糖転移酵素(例えばシクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼ等)であってもよい。
(ガラスクロス層57の物性)
 ガラスクロス層57の物性は、特に制限されない。ただし、ガラスクロス層57のヘイズ値(曇価)が70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。ヘイズ値をこの範囲に設定することにより、より良好な光取り出し効率を図ることができる。ガラスクロスを構成するガラス繊維の種類、繊度、織密度等、あるいは含浸樹脂の種類(屈折率等)や処理条件等を制御して、より微細な構造とすることにより、ヘイズ値の数値を高いものとすることができる。
 尚、ヘイズ値は、以下の式(1)を用いて算出することができる。
ヘイズ値(%)={拡散透過率(%)/全光透過率(%)}×100…式(1)
 また、ヘイズ値は、JIS  K-7136「プラスチック-透明材料のヘイズの求め方」に記載されている方法で測定することができる。
 また、ガラスクロス層57の全光透過率(全光線透過率)が、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。全光透過率をこの範囲に設定することにより、より良好な光取り出し効率を図ることができる。尚、全光透過率は、JIS K-7361-1「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法」に記載されている方法で測定することができる。
 ガラスクロスは微細な外径を有するガラス繊維を用いて製造されているため、光がガラスクロスに照射されると、光はこれら無数のガラス繊維の表面でランダムに反射・屈折を繰り返すこととなる。そして、入射光はほぼ全方向へ散乱されて、ガラスクロスの反対側の面から放出されることとなるため、ヘイズ値は高いものとなる。この結果、ヘイズ値および全光透過率がいずれも高い数値を有するガラスクロス層57を用いると、有機EL素子20で発生した発光光hは、広範囲方向へ散乱されて出射されるため、光の取り出し効率が向上するものと推定される。尚、このような原理に基づくため、広範囲方向へ均一な光を照射することが可能であり、視野角依存性が少ない照明を提供することが可能となっている。
 ガラスクロス層57の厚さは、例えば0.1mm以上0.5mm以下とすることができる。ガラスクロス層57の厚さをこの範囲に設定することにより、耐候性、可撓性および有機EL素子20からの光取り出し効率がより良好な有機エレクトロルミネッセンス発光体1を作製することができる。
 また、ガラスクロス層57の重さは、1mあたりの質量として、例えば100g以上500g以下とすることができる。ガラスクロス層57の質量をこの範囲に設定することにより、耐候性、可撓性および光取り出し効率がより良好な有機エレクトロルミネッセンス発光体1を作製することができる。
<有機エレクトロルミネッセンス発光体1の製造方法>
 以上のような構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体1の製造方法の一例を説明する。まず、透明素子基板10を準備する。準備した透明素子基板10が、ガスバリア層と光散乱フィルムとを有するものであれば、光散乱フィルムとは逆側でガスバリア層と同じ側の透明素子基板10の一主面上に、有機EL素子20を形成する。有機EL素子20の形成方法は、公知の任意の方法を適用することが可能であるため、その説明を省略する。次いで、有機EL素子20を覆う状態で、透明素子基板10の一主面側に絶縁性封止層31をCVD成膜によってする。
 一方、樹脂層37を用意し、この一主面上に金属バリア層35をラミネートした封止材を作製し、金属バリア層35上に接着剤を塗布する。その後、塗布した接着剤に対して有機EL素子20を覆って設けられた絶縁性封止層31を対向させる状態で、透明素子基板10を貼り合わせる。この状態で接着剤を硬化させて接着層33とし、絶縁性封止層31、接着層33、金属バリア層35、および樹脂層37を積層した封止層30と、透明素子基板10との間に有機EL素子20を封止する。
 次いで、封止層30上、または別体として用意した放熱層43上に、両面テープからなる接着層41を貼り付ける。その後、接着層41を介して封止層30と放熱層43を貼り合せ、透明素子基板10の一主面側に、有機EL素子20、封止層30、接着層41、および放熱層43をこの順に積層させた構成とする。
 一方、透明素子基板10において有機EL素子20が形成されていない他主面上、または別体として用意した透明中間層53上に、両面テープからなる接着層51を貼り付ける。その後、接着層51を介して透明素子基板10と透明中間層53とを貼り合せ、透明素子基板10の他主面側に、接着層51および透明中間層53をこの順に積層させた構成とする。さらに、この手順と同様の手順で、透明中間層53上に接着層55を介してガラスクロス層57を貼り合わせる。
 尚、透明中間層53とガラスクロス層57とは、これらを予め接着層55を介して貼り合わせた積層体とし、接着層51を介して、この積層体の透明中間層53側を透明素子基板10に貼り合わせてもよい。また透明素子基板10に対する透明中間層53およびガラスクロス層57の貼り合せは、有機EL素子20の形成前、封止層30の形成後、または放熱層43の形成後の何れであってもよい。
<照明装置1a>
 以上のような構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体1を用いた照明装置1aは、鉄道車両や建築物の内部の室内用の照明装置として好適に用いられる。このような照明装置1aは、例えば、光取り出し側となるガラスクロス層57を下方、斜め下方向、あるいは真横に向けた状態で、室内の天井面またはその付近に設置される。具体的には、内壁面に貼り合わせて用いたり、内壁面に対して支柱を介して設置される。
 また照明装置1aのさらに特別な例として、不燃性であって、さらに不燃性と判定されたもののうち、コーンカロリメータ試験において、着火時間が60秒以上であり、総発熱量が30MJ/m以下であり、最大発熱速度が300kW/m以下の特性を有するものが挙げられる。なお、着火時間が60秒未満であれば、総発熱量が8MJ/m以下であり、最大発熱速度が300kW//m以下の特性を有するものが挙げられる。ここで不燃性とは、燃焼試験(鉄道車両用非金属材料)方法によって判定された特性である。またコーンカロリメータ試験は、ISO5660-1:2002に準じて実施される試験方法である。
 このような特性を有する照明装置1aは、全体膜厚[t]が2mm程度の超薄型でフレキシブル性を有する有機エレクトロルミネッセンス発光体1を用いて構成されたものでありながらも、鉄道車両の天井部分に使用する内装材として用いることが可能な適格品である。このような照明装置1aは、例えば、上述した構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体1において、放熱層43の材質と膜厚[t1]、および透明中間層53の材質と膜厚[t2]を適切に設定することによって実現される。
<第1実施形態の効果>
 以上説明した構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体1および照明装置1aは、透明素子基板10、透明中間層53、およびガラスクロス層57の積層体50と、放熱層43との間に有機EL素子20を挟持した構成である。これにより、ガラスクロス層57側からの熱を積層体50によって遮熱しつつ、有機エレクトロルミネッセンス発光体1の内部の熱を放熱層43から放出させることができ、これによって有機EL素子20を構成する有機発光機能層の加熱による燃焼を効果的に抑えことが可能である。
 そして特に、ガラスクロス層57側からの熱を遮熱する積層体50は、透明素子基板10とガラスクロス層57との間に透明中間層53を挟持した構成である。これにより、透明素子基板10の膜厚を有機EL素子20の製造基板として適切な膜厚とし、ガラスクロス層57の膜厚を光取り出しシートとして適切な膜厚としつつも、透明中間層53によって十分な遮熱効果を得ることが可能である。この結果、全体膜厚[t]が2mm程度の超薄型であることにより、フレキシブル性を実現した有機エレクトロルミネッセンス発光体1、およびこれを用いた照明装置1aを、鉄道車両の内装材として、特に天井部分および天井付近の壁面にも使用することが可能となる。
≪第2実施形態:有機エレクトロルミネッセンス発光体(照明装置)≫
 図2は、第2実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体の断面模式図である。図2に示す第2実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体2は、図1を用いて説明した第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体1の変形例であって、中空部を透明中間層53’として用いた構成である。このような有機エレクトロルミネッセンス発光体2の光取り出し側は、透明素子基板10上に中空部からなる透明中間層53’を介してガラスクロス層57が設けられた構成であり、有機EL素子20において発生した発光光hが、透明素子基板10、中空部からなる透明中間層53’、およびガラスクロス層57の積層体50’を透過してガラスクロス層57側から取り出される構成となっている。他の構成要素は第1実施形態と同様である。このためここでは、透明中間層53’の構成を説明し、他の構成要素の説明は省略する。
<透明中間層53’>
 透明中間層53’は、中空部によって構成された層であって、透明素子基板10とガラスクロス層57との間に設けられた中空部によって構成されている。このような透明中間層53’は、例えば透明素子基板10とガラスクロス層57とを貼り合わせるための接着層51’をスペーサとして、透明素子基板10とガラスクロス層57との間に設けられた空間によって構成されている。透明素子基板10とガラスクロス層57とは、これらの周縁部において接着層51’によって貼り合わせられ、中央部分が広い面積で中空部となっている。
 接着層51’で囲まれた中空部(透明中間層53’)は、外部と連通していてもよいし、接着層51’によって封止されていてもよい。中空部(透明中間層53’)が外部と連通している場合であれば、中空部は空気層となる。一方、中空部(透明中間層53’)が封止されている場合であれば、中空部は空気層であることに限定されることはなく、より熱伝導率が低い気体(例えばアルゴンガス)が充填されている構成であったり、減圧雰囲気であってもよい。
 中空部(透明中間層53’)が減圧雰囲気であれば、中空部からなる透明中間層53’には、スペーサ59が分散されていることがこのましい。スペーサ59は、接着層51’と同様の構成のものであってもよく、粒子状のものであってもよい。なお、この有機エレクトロルミネッセンス発光体2が、光取り出し面を下方に向けて用いられる場合、中空部(透明中間層53’)が大気圧と同程度に保たれていればガラスクロス層57の中央部が下方に撓んで透明中間層53’の中空状態が保たれる。このため、スペーサ59を設ける必要はない。
<有機エレクトロルミネッセンス発光体2の製造方法>
 以上のような構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体2の製造方法は、図1を用いて説明した有機エレクトロルミネッセンス発光体1の製造方法において、透明素子基板10の他主面上に透明中間層53とガラスクロス層57とを貼り合わせる手順に換えて、透明素子基板10の他主面上に透明中間層53’としての中空部を介してガラスクロス層57を貼り合わせる手順を行う。透明素子基板10とガラスクロス層57との間にスペーサ59を挟持させる場合には、ガラスクロス層57を貼り合わせる前に、透明素子基板10の表面またはガラスクロス層57の表面にスペーサを分散させておく。
<照明装置2a>
 以上のような構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体2を用いた照明装置2aも、第1実施形態で説明した照明装置1aと同様に、鉄道車両や建築物の内部の室内用の照明装置として好適に用いられる。またこの照明装置2aの特別な例としても、第1実施形態の照明装置1aと同様に、不燃性であって、またコーンカロリメータ試験の結果が上述した規格の範囲内であるものが挙げられる。このような特性を有する照明装置2aは、全体膜厚[t]が2mm程度の超薄型でフレキシブル性を有する有機エレクトロルミネッセンス発光体2を用いて構成されたものでありながらも、鉄道車両の天井部分に使用する内装材として用いることが可能な適格品である。このような照明装置2aは、例えば、上述した構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体2において、放熱層43の材質と膜厚[t1]、および中空部からなる透明中間層53’の膜厚[t2’]を適切に設定することによって実現される。
<第2実施形態の効果>
 以上説明した構成の有機エレクトロルミネッセンス発光体2および照明装置2aは、第1実施形態で説明した透明中間層53に変えて、中空部を透明中間層53’として用いた構成である。これにより、第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス発光体1と比較して、透明中間層53’による遮熱効果がより確実となり、有機EL素子20を構成する有機発光機能層の燃焼を抑える効果がさらに高いものとなっている。この結果、全体膜厚が2mm程度の超薄型でフレキシブル性を実現した有機エレクトロルミネッセンス発光体2、およびこれを用いた照明装置2aを、鉄道車両の内装材として、特に天井部分および天井付近の壁面にも使用することが可能となる。
≪第3実施形態:鉄道車両≫
 図3は、第3実施形態の鉄道車両の構成を説明する模式図である。図3に示す第3実施形態の鉄道車両3は、図1を用いて説明した第1実施形態の照明装置1a、または図2を用いて説明した第2実施形態の照明装置2aを備えたものである。
 このような鉄道車両3は、床100、床100に対向して配置された天井101、および床100と天井101との周縁間に設けられた側周壁103によって筐体が構成されている。側周壁103には窓103aと、出入り口103bとが設けられている。また側周壁103の上部には、荷物棚105が設けられている。なお、ここでは、荷物棚105よりも上方部分を、床100に対向して配置された天井101とする。また荷物棚105が設けられていない車両においては、窓103aよりも上方部分、さらに窓103aが設けられていない車両においては出入り口103bよりも上を天井101とする。
 天井101には、照明装置1aまたは照明装置2aがつり下げられた状態で設置されている。具体的には、天井101の内壁面に貼り合わせて用いたり、内壁面に対して支柱を介して設置される。この照明装置1a,2aは、取り付け治具107によって天井101に支持された状態で、光取り出し面、すなわち図1および図2を用いて説明したガラスクロス層57を下方に向けた状態で設置さている。天井101と照明装置1aまたは照明装置2aとの間には、空間部が形成されていてもよい。なお、照明装置1a,2aの取り付け方は、光取り出し面となるガラスクロス層57が、室内側を向いた状態で、荷物棚105よりも上方に吊り下げられた状態となっていれば、図示したような天井101の中央部からの吊り下げに限定されることはない。
 以上のような鉄道車両3によれば、全体膜厚[t]が2mm程度の超薄型でフレキシブル性を有する有機エレクトロルミネッセンス発光体を用いた照明装置1a,2aを、吊り下げ式のダウンライトとして用いた場合に、例えば火災などの発生によって、この照明装置1a,2aが下方から加熱された場合であっても、照明装置1a,2aの燃焼や照明装置1a,2aからの発煙、および照明装置1a,2aからの溶融滴下がなく、車両内の安全性を確保することが可能になる。
 以下、図1、図2を参照し、本発明を適用した実施例の照明装置、および本発明を適用していない比較例の照明装置の製造方法を説明し、その後、製造した各照明装置の評価を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、下記表3~表5には、各実施例の照明装置の構成と、評価結果を合わせて示す。
 先ず、各実施形態で共通の手順を説明する。
<(1)有機EL素子20の作製>
 先ず、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一主面側に窒化珪素からなるバリア層が設けられ、他主面側に光散乱フィルムが設けられた透明素子基板10を用意した。この透明素子基板10のガスバリア層が形成されている面上に、スパッタ装置により、透明電極としてITO(酸化インジウム錫)膜を厚さ110nmで形成した。そして、フォトリソグラフィ法によりITO膜のパターニングを行い、その上に、特開2008-269962号公報の実施例1に記載の方法に則って、有機化合物材料を積層した有機発光機能層、および対向電極を真空蒸着法にて形成して、有機EL素子20を作製した。
<(2)封止層の形成>
 先ず、プラズマCVD法により、透明素子基板10の一主面上に、有機EL素子20を覆う状態で、窒化珪素(SixNy)からなる絶縁性封止層31を形成した。
 また、膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる樹脂層37を用意し、この一主面上に、金属バリア層35として30μm厚のアルミニウム箔をラミネートして封止材を作製した。封止材の金属バリア層35(アルミニウム箔)面上に、熱硬化型接着剤ストラクトボンドE-413(三井化学社製)を塗布し、封止材を静置した。その後、有機EL素子20を覆う絶縁性封止層31と、封止材の金属バリア層35(アルミニウム箔)とが熱硬化型接着剤を介して対向するように積層した。これらの積層体を、1×10-2Paの減圧環境下で真空ラミネータを用いて、押圧力0.1MPaで100℃60秒間圧着し、さらに硬化処理として100℃30分間加熱を施した。これにより、有機EL素子20を、絶縁性封止層31、接着層33、金属バリア層35、樹脂層37の4層構造からなる封止層30によって封止した。
 尚、上記と同様の手順で作製した絶縁性封止層31、接着層33、金属バリア層35、樹脂層37の4層構造からなる封止層30について、MOCON法によるって蒸気透過度の測定を行ったところ、水蒸気透過度は10―5g/(m・day)以下で有ることが確認された。
≪実施例101~112≫
 次いで、以下の手順によって、図1に示した構成を有する実施例101~112の照明装置1aを作製した。各層の構成は下記表3に示すとおりであって、放熱層43の膜厚[t1]および透明中間層53の膜厚[t2]を変更したそれぞれの構成である。
<(3)透明中間層53とガラスクロス層57との貼り合わせ>
 先ず、ポリカーボネートフィルム(熱伝導率0.19W/mK:室温)からなる透明中間層53を用意した。各実施例101~112においては、下記表3に示したそれぞれの膜厚[t2]のポリカーボネートフィルムを透明中間層53として用意した。また、市販のガラスクロス層57(ティンクル:ユニチカ社製登録商標)を用意した。このガラスクロス層57は、熱伝導率1.03W/mK(室温)のEガラスを織成してなる。
 さらに、両面がセパレートフィルムで覆われたシリコーン系の基材レス両面テープを接着層51,55として用意し、一方側のセパレートフィルムを接着層51,55から剥がして各透明中間層53の両面に貼り合わせた。次いで、接着層55から残りのセパレートフィルムを剥がし、接着層55を介して透明中間層53に対してガラスクロス層57を貼り合わせた。次いで、接着層51から残りのセパレートフィルムを剥がし、接着層51を介して透明中間層53を透明素子基板10に貼り合わせた。なお、ここでの貼り合わせは、気泡残りによる発光ムラを防ぐため、真空ラミネート装置を使用した。
<(4)放熱層43の貼合せ>
 アルミニウム箔からなる放熱層43を用意した。各実施例101~112においては、下記表3に示したそれぞれの膜厚[t1]のアルミニウム箔を放熱層43として用意した。また、両面がセパレートフィルムで覆われたシリコーン系の基材レス両面テープを接着層41として用意し、一方のセパレートフィルムを接着層41から剥がして各放熱層43の一主面側に接着層41を貼り合わせた。次いで、接着層41から残りのセパレートフィルムを剥がし、接着層41を介して放熱層43を封止層30に貼り合わせた。以上により、図1に示した実施例1の照明装置1aを作製した。なお、ここでの貼り合わせは気泡残りによる熱伝導率の低下を防ぐため、真空ラミネート装置を使用した。
≪実施例201~210≫
 上述した実施例101~112の照明装置1aの作製手順において、透明中間層53としてEガラスからなるガラスフィルム(熱伝導率:1.09W/mK:室温)を用いたこと以外は、上述と同様の手順で実施例201~210の照明装置1aを作製した。各層の構成は下記表4に示すとおりである。各実施例201~210においては、下記表4に示したそれぞれの膜厚[t2]のガラスフィルムを透明中間層53として用い、それぞれの膜厚[t1]のアルミニウム箔を放熱層43として用いた。
≪実施例301~305≫
 次の手順によって、図2に示した構成を有する実施例301~305の照明装置2aを作製した。各層の構成は下記表5に示すとおりである。
<(3)’透明中間層53’の形成とガラスクロス層57の貼り合わせ>
 上述と同様のガラスクロス層57を用意した。また、両面がセパレートフィルムで覆われたシリコーン系の基材レス両面テープを接着層51’として用意した。そして、一方側のセパレートフィルムを接着層51’から剥がし、ガラスクロス層57の一主面側の周縁部のみに接着層51’を貼り合わせた。この際、各実施例301~305においては、シリコーン系の基材レス両面テープを、下記表5に示した透明中間層53’の膜厚[t2’]に合わせて選定した。
 その後、接着層51’から残りのセパレートフィルムを剥がし、透明素子基板10の他主面側に、接着層51’を介してガラスクロス層57を貼り合わせた。これにより、透明素子基板10とガラスクロス層57との間の接着層51’で囲まれた部分に中空部を形成し、この中空部を透明中間層53’として形成した。なお、各実施例301~305においては、放熱層43として膜厚[t1]が0.10mmのアルミニウム箔を用い、真空ラミネート装置を用いずに、封止層30に対して接着層41を介して封止層43を貼り合わせた。
≪比較例401~403≫
 上述した実施例101~112の照明装置1aの作製手順において、透明中間層53の貼り合わせを実施せず、透明素子基板10の全面に直接ガラスクロス層57を貼り合わせたこと以外は、同様の手順で比較例401~403の表示装置を作製した。各層の構成は、下記表5に示すとおりである。各比較例401~403においては、下記表5に示したそれぞれの膜厚[t1]のアルミニウム箔を放熱層43として用いた。
≪比較例404≫
 上述した比較例401~403の手順において、封止層30の上部に放熱層43を貼り合わせる手順を実施しなかったこと以外は、同様の手順で比較例404の照明装置を作製した。
≪評価≫
 以上の実施例および比較例で作製した各照明装置について、(a)燃焼試験と(b)コーンカロリメータ試験による評価を実施した。
(a)燃焼試験
 燃焼試験(鉄道車両用非金属材料)方法に従う燃焼試験を行った。実施例および比較例で示した手順で、182mm×257mmの各照明装置を作製し、これらを供試体とした。温度15℃~30℃、湿度60%~75%に保たれた空気流動のない試験室内において、各供試体を45°傾斜させた状態で保持した。0.5ccの純エチルアルコールを燃料として貯留した燃料容器を用意し、熱伝導率の低い材質(コルク)の台に燃料容器を載置した。そして、供試体の下面(燃焼面)中心から、燃料容器の底の中心まで25.4mm(1インチ)の高さとなるように、燃料容器を配置した。この状態で、燃料容器内の純エチルアルコールに着火し、燃料が燃え尽きるまで放置し、その間における着火、着炎、煙の発生を評価項目として判定した。判定結果を下記表3~表5に合わせて示す。
 下記表1には、燃焼試験による燃焼性判定基準を示す。表1に示すように、燃焼試験の各評価項目は、不燃性、極難燃性、難燃性、可燃性の4段階で評価されるが、鉄道車両の天井部分に使用する材料には、不燃性が求められる。このため表3~表5に示す評価項目のうち、着火、着炎については、「なし」を合格判定[○]、「あり」を不合格判定[×]とした。煙の発生については、「僅少」のみを合格判定[○]、その他を不合格判定[×]とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(b)コーンカロリメータ試験
 実施例および比較例で示した手順で、100mm×100mmの各照明装置を作製し、これらを供試体とした。ISO5660-1:2002に準じた方法に従い、放射熱50kW/mで10分間の試験を行った。この際、各実施例および比較例の照明装置につき、それぞれ3枚の供試体について試験を実施し、試験時間中における着火時間(s)、総発熱量(MJ/m)、および最大発熱速度(kW/m)を計測した。
 尚、着火時間(s)は、供試体から炎が確認されてから10秒以上炎が存在した場合を着火とみなし、試験開始から最初に着火が確認されるまでの時間とした。また、最大発熱速度の平均値と各供試体の最大発熱速度の差が10%未満であることを確認し、10%未満の場合は当該3枚の供試体の計測値を採用し、平均値を算出した。一方、10%以上となる場合には、さらに3枚の供試体について試験を行い、合計6枚の供試体のうち、最大発熱速度の最大値と最小値を除く4枚の供試体の計測値を採用し、平均値を算出した。算出した結果を、下記表3~表5に合わせて示す。
 表2には、コーンカロリメータ試験による耐燃焼性規格を示す。鉄道車両の天井部分に使用する材料には、コーンカロリメータ試験の評価結果として、下記表2に示すように合格基準が定められている。このため、着火時間別に、総発熱量、最大発熱速度のそれぞれの評価項目について合格基準値であれば合格判定[○]とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
≪評価結果≫
 表3~表5に示す実施例101~305の照明装置の中には、(a)燃焼試験および(b)コーンカロリメータ試験の評価の評価項目の全てが合格判定[○]のものがある。これに対して、表5に示す比較例401~404の照明装置の中には、(a)燃焼試験および(b)コーンカロリメータ試験の評価項目の全てが合格判定[○]のものはなかった。
 以上より、放熱層43と透明中間層53,53’の両方を備えた有機エレクトロルミネッセンス発光体は、放熱層43の膜厚[t1]と透明中間層53,53’の膜厚[t2]とを調整することにより、鉄道車両の内装用、特に天井部分に使用する照明装置として実用化できることが確認された。
 また表3および表4の評価結果から、放熱層43としてアルミニウム箔を用いた場合、その膜厚[t1]は0.05mm以上の範囲で調整することで、(a)燃焼試験および(b)コーンカロリメータ試験の評価項目の全てが合格判定[○]となる照明装置が得られることが確認された。なお、アルミニウム箔は厚膜であるほど放熱効果が高いため、有機エレクトロルミネッセンス発光体の全体膜厚の許容範囲内であれば、透明中間層53の膜厚[t2]との兼ね合いの範囲においてアルミニウム箔は厚膜であるほど好ましいことは明らかである。
 さらに表3の評価結果から、透明中間層53としてポリカーボネートフィルムを用いた場合、その膜厚[t2]は0.1mm以上、1.00mm未満の範囲で調整することで、(a)燃焼試験および(b)コーンカロリメータ試験の評価項目の全てが合格判定[○]となる照明装置が得られることが確認された。具体的には、アルミニウム箔からなる放熱層43の膜厚[t1]と、ポリカーボネートフィルムからなる透明中間層53の膜厚[t2]との合計が0.6mm以上であれば、評価項目の全てが合格判定[○]となる照明装置が得られることが確認された。
 また表4の評価結果から、透明中間層53としてガラスフィルムを用いた場合、その膜厚[t2]は0.10を超える範囲で調整することで、(a)燃焼試験および(b)コーンカロリメータ試験の評価項目の全てが合格判定[○]となる照明装置が得られることが確認された。具体的には、アルミニウム箔からなる放熱層43の膜厚[t1]と、ガラスフィルムからなる透明中間層53の膜厚[t2]との合計が0.90mm以上であれば、評価項目の全てが合格判定[○]となる照明装置が得られることが確認された。
 また表5の評価結果から、中空部として構成された透明中間層53’を空気層することで、(a)燃焼試験および(b)コーンカロリメータ試験の評価項目の全てが合格判定[○]となる有機エレクトロルミネッセンス発光体が得られることが確認された。具体的には、アルミニウム箔からなる放熱層43の膜厚[t1]と、空気層からなる透明中間層53’の膜厚[t2’]との合計が0.30mm以上であれば、評価項目の全てが合格判定[○]となる照明装置が得られることが確認された。
 1,2…有機エレクトロルミネッセンス発光体
 1a,2a…照明装置
 3…鉄道車両
 10…透明素子基板
 20…有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)
 30…封止層
 43…放熱層
 53,53’…透明中間層
 57…ガラスクロス層
 [t1]…放熱層の膜厚
 [t2],[t2’]…透明中間層の膜厚

Claims (11)

  1.  透明素子基板と、
     前記透明素子基板の一主面上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子と、
     前記有機エレクトロルミネッセンス素子を覆う状態で前記透明素子基板の一主面上に設けられた封止層と、
     前記封止層の上部に設けられた放熱層と、
     前記透明素子基板の他主面側に設けられたガラスクロス層と、
     前記透明素子基板と前記ガラスクロス層との間に設けられた透明中間層とを備えた
     有機エレクトロルミネッセンス発光体。
  2.  前記透明中間層は、前記ガラスクロス層よりも熱伝導率が低い
     請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス発光体。
  3.  前記透明中間層は、ポリカーボネートからなる
     請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光体。
  4.  前記透明中間層は、膜厚が0.1mm以上、1.0mm未満である
     請求項1~3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光体。
  5.  前記透明中間層は、中空部である
     請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光体。
  6.  前記放熱層は、アルミニウムからなる
     請求項1~5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光体。
  7.  アルミニウムからなる前記放熱層は、膜厚が0.05mm以上である
     請求項6記載の有機エレクトロルミネッセンス発光体。
  8.  請求項1~7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光体を用いた
     照明装置。
  9.  有機エレクトロルミネッセンス発光体を用いて構成された照明装置であって、
     フレキシブルに屈曲すると共に、
     不燃性であって、
     コーンカロリメータ試験において、着火時間が60秒以上であり、総発熱量が30MJ/m以下であり、最大発熱速度が300kW/m以下である
     照明装置。
  10.  請求項8または9に記載の照明装置を車内の照明として用いた
     鉄道車両。
  11.  前記照明装置は、前記車内における天井部分に設置されている
     請求項10に記載の鉄道車両。
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