WO2017110039A1 - タービンロータディスクの補修方法、及び、溶接方法 - Google Patents

タービンロータディスクの補修方法、及び、溶接方法 Download PDF

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  • the outer peripheral surface of the disk repair body 10 ⁇ / b> A forming the welding construction surface 15 and the outer peripheral surface of the ear plate 11 are flush with each other.
  • the effect of induction of welding defects according to the present invention can be obtained even if the outer circumferential surface of the disk repair body 10A and the outer circumferential surface of the ear plate 11 are different in the radial direction, as shown in FIG. it can.

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Abstract

本発明は、外周部に翼溝が形成されているタービンロータディスクの、外周部に生じた欠陥部を除去して翼溝を再形成するタービンロータディスクの補修方法であって、回転軸14を通る縦断面において、ディスク補修体10Aの側の開先G10が占有する領域の面積をA10とし、耳板11の側の開先G11が占有する領域の面積をA11とすると、A10 < A11 … 式(1)が成り立つことを特徴とする。

Description

タービンロータディスクの補修方法、及び、溶接方法
 本発明は、タービンロータディスクの補修方法に関するものであり、発生した損傷を除去した後に肉盛溶接により補修する方法に関する。
 火力発電プラント、原子力発電プラントは蒸気タービンを用いて発電を行っている。タービンロータを始めとする蒸気タービンの構成部材は腐食されやすい環境に晒されている。タービンロータディスクの翼溝など応力が集中する部分に、応力腐食割れ、腐食疲労等による亀裂が発生する。この亀裂は、運転の継続によって大きくなり、そのまま放置しておくと、ついには翼がタービンロータディスクから外れて他の部位を破壊することになる。したがって、発電プラントでは定期的に検査を行って、タービンロータディスク各部位の亀裂発生の有無を検査し、その成長状況を定期的に把握するようにしている。
 蒸気タービン等に用いられるタービンロータRは、図8に示すように、ロータ軸100に、軸方向に所定の間隔で配置した複数段のタービンロータディスク(以下、「ロータディスク」と略記することがある)101が設けられている。各ロータディスク101は、外周部に形成された翼溝104にタービン翼106が取り付けられる。
 上述したタービンロータRにおいて、ロータディスク101の翼溝104及びその周辺等の外周部にクラック等の欠陥部が生じると、タービンロータRを蒸気タービンから取り外し、修理可能な工場へ搬送して補修することが必要になる。
 肉盛溶接によりロータディスクを補修するのに、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接又はサブマージアーク溶接(Submerged arc welding)を採用することができる。従来は、溶接熱影響部で結晶粒の粗大化を阻止するために、溶接速度の遅いTIG溶接を採用する傾向が強かったが、溶接条件を検討することで、溶接速度の速いサブマージアーク溶接を適用することができるようになった。
 その中で、特許文献1は、施工面からのフラックスの落下を防止する部材を、ロータディスクに近接して配置することで、小径のロータディスクであっても溶接工程を通じて施工面に安定してフラックスを堆積し、サブマージアーク溶接による補修を安定してできることを開示している。
特開2012-26272号公報
 肉盛溶接によりロータディスクを補修する際には、特許文献1にも記載されるように、補修されるロータディスクには、溶接施工面と同一面を形成するように、耳板と称される部材がその側面に例えばTIG溶接により取付けられる。この耳板は、肉盛溶接に供されるフラックス及び紛体がこぼれ落ちるのを防ぐために設けられるものである。したがって、ロータ補修を終えると耳板は取り除かれるが、耳板が取り除かれたロータディスクの溶接部分に、主にブローホールと称される溶接欠陥が生じることが確認された。この溶接欠陥は、切削により取り除くことができるが、ロータディスクの側面の円周方向に亘って生じているために、除去する作業の負担が大きい。また、溶接欠陥が大きい場合には、補修をやり直すこともある。なお、ブローホールとは,溶接金属内で発生したガスもしくは侵入したガスが凝固時に大気中へ放出されず,溶接金属内に閉じ込められて生じるものである。
 以上より、本発明は、耳板を取り付けてロータディスクを補修する際に、溶接による耳板の取付けに起因する溶接欠陥が生じるのを抑制できる補修方法を提供することを目的とする。
 本発明のロータディスクの補修方法は、外周部に翼溝が形成されているロータディスクの、外周部に生じた欠陥部を除去してから翼溝を再形成するロータディスクの補修方法であって、回転軸が水平に支持されたロータディスクから欠陥部を含む領域を除去してディスク補修体を形成する欠陥除去工程と、ディスク補修体の外周縁に沿って溶接により耳板を円環状に接合する耳板取付け工程と、回転軸を中心にディスク補修体を回転させながら、溶接施工面に肉盛溶接する肉盛り工程と、肉盛溶接の余肉及び耳板をディスク補修体から取り除く端材除去工程と、を備える。
 本発明における補修方法は、ディスク補修体が、第一開先と、第一開先に連なる第一ルート面と、を有し、また、耳板が、第二開先と、第二開先に連なる第二ルート面と、を有し、耳板取付け工程において、第一ルート面と第二ルート面を突き合わせて、第一開先及び第二開先を介して溶接するに際し、回転軸を通る縦断面において、第一開先が占有する領域の面積をA10とし、第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、A10 < A11 … 式(1)が成り立つ、ことを特徴とする。
 本発明によれば、ロータディスクの第一開先が占有する面積A10よりも耳板の第二開先が占有する面積A11を大きくすることにより、溶接欠陥が生じるとしても耳板の第二開先の側の溶接金属に誘導できる。これにより、耳板を取り除いた後のロータディスクの側面に残る溶接欠陥を抑制することができる。
 本発明のロータディスクの補修方法において、第一開先が占有する領域は、深さD10と幅W10により特定され、第二開先が占有する領域は、深さD11と幅W11により特定されるものとすると、深さD10 < 深さD11 … 式(2)、及び、幅W10 < 幅W11  … 式(3)の一方又は双方が成り立つことで、式(1)が成り立つようにできる。
 本発明のロータディスクの補修方法において、第一開先がC形の面取りCx(ただし、xは寸法数値)からなり、第二開先がC形の面取りCy(ただし、yは寸法数値)からなる場合には、Cx < Cy … 式(4)が成り立つことで、式(1)が成り立つようにできる。
 本発明のロータディスクの補修方法において、深さD10 = 幅W10 = 0(ゼロ)とすることもできる。これはすなわち、耳板の側だけの第二開先だけが設けられることを意味している。
 本発明のロータディスクの補修方法において、ディスク補修体と耳板により面一の溶接施工面を形成するのが好ましい。
 本発明のロータディスクの補修方法において、肉盛り工程の後に、ディスク補修体と肉盛溶接との境界を含む、径方向の所定領域を円周方向に切除するのが好ましい。
 本発明のロータディスクの補修方法は、外周部に翼溝が形成されているロータディスクの、外周部に生じた欠陥部を除去してから翼溝を再形成するロータディスクの補修方法であって、回転軸が水平に支持されたロータディスクから欠陥部を含む領域を除去してディスク補修体を形成する欠陥除去工程と、ディスク補修体の外周縁に沿って溶接により耳板を円環状に接合する耳板取付け工程と、回転軸を中心にディスク補修体を回転させながら、溶接施工面に肉盛溶接する肉盛り工程と、肉盛溶接の余肉及び耳板をディスク補修体から取り除く端材除去工程と、を備える。
 本発明における補修方法は、ディスク補修体が、第一開先と、第一開先に連なる第一ルート面と、を有し、また、耳板が、第二開先と、第二開先に連なる第二ルート面と、を有し、耳板取付け工程において、第一ルート面と第二ルート面を突き合わせて、第一開先及び第二開先を介して溶接するに際し、回転軸を通る縦断面において、第一開先が占有する領域の面積をA10とし、第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、第一開先が占有する領域は、深さD10と幅W10により特定され、第二開先が占有する領域は、深さD11と幅W11により特定され、深さD10 < 深さD11 … 式(2)が成り立つ、ことを特徴とする。
 本発明のロータディスクの補修方法において、A10 < A11 … 式(1)が成り立つようにすることができる。
 本発明における開先の構造は、用途に限らず溶接に適用することができる。つまり本発明の溶接方法は、第一開先と、第一開先に連なる第一ルート面と、を有する第一部材と、第二開先と、第二開先に連なる第二ルート面と、を有する第二部材と、を、第一ルート面と第二ルート面を突き合わせて、第一開先及び第二開先を介して溶接する方法であって、突き合わされる第一ルート面と第二ルート面に直交し、第一開先と第二開先を通過する断面において、第一開先が占有する領域の面積をA10とし、第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、A10 < A11 … 式(1)が成り立つ、ことを特徴とする。
 本発明における溶接方法には、上述したロータディスクの補修方法の要素を踏襲することができる。
 本発明の溶接方法は、第一開先と、第一開先に連なる第一ルート面と、を有する第一部材と、第二開先と、第二開先に連なる第二ルート面と、を有する第二部材と、を、第一ルート面と第二ルート面を突き合わせて、第一開先及び第二開先を介して溶接する方法であって、突き合わされる第一ルート面と第二ルート面に直交し、第一開先と第二開先を通る断面において、第一開先が占有する領域の面積をA10とし、第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、第一開先が占有する領域は、深さD10と幅W10により特定され、第二開先が占有する領域は、深さD11と幅W11により特定され、深さD10 < 深さD11 … 式(2)が成り立つ、ことを特徴とする。
 本発明における溶接方法において、A10 < A11 … 式(1)が成り立つようにすることができる。
 本発明によれば、ロータディスクの開先が占有する面積A10よりも耳板の開先が占有する面積A11を大きくすることにより、溶接欠陥を耳板の開先の側の溶接金属に誘導できる。これにより、耳板を取り除いた後のロータディスクの側面に残る溶接欠陥を抑制することができる。
本発明に係るロータディスクの溶接補修方法の主要工程を説明する図である。 本実施形態において肉盛溶接の方法を示す正面図である。 本実施形態において、(a)は耳板を取り付ける前のディスク補修体と耳板を示す断面図、(b)は耳板が取り付けられたディスク補修体を示す断面図である。 図3に引き続き、(a)は肉盛溶接を完了した様子を示す断面図、(b)は耳板を含む端材を取り除いたディスク補修体を示す断面図である。 ディスク補修体と耳板の開先近傍を示す断面図であり、(a)は本実施形態を示す、(b)は比較例を示している。 (a)はディスク補修体と肉盛溶接の境界部分に括れを設けた例を示し、(b)は開先の変形例を示し、(c)は開先の他の変形例を示す図である。 開先の他の変形例を示し、深さが一致するが、幅は耳板の方が広い例を示している。 蒸気タービン等に用いられるタービンロータRの全体概要を一部断面にして示した正面図である。
 以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
 本実施形態は、タービンロータディスク(以下、ロータディスク)10を肉盛溶接により補修する方法において、耳板11を溶接によってロータディスク10(ディスク補修体10A)に取り付ける際に、ディスク補修体10Aに溶接欠陥が生ずるのを抑制することを要旨とする。
 はじめに、ロータディスク10を肉盛溶接により補修する主要な工程を図1に基づいて説明する。
 溶接補修は、ロータディスク10の外周部に形成された翼溝12に亀裂Cが入り欠陥が生じていることを定期的な検査で発見したことに基づいて行われる(図1(a))。なお、図1において、図示を省略するタービン翼はすでに取り除かれている。
 補修必要と判断されると、亀裂Cが入っていない翼溝12の部分も含めて、ロータディスク10の当初の外周面から亀裂Cを除去できる深さまでを円周方向に沿って削り取ることで、欠陥部が除去されたディスク補修体10Aを得る(図1(b),図3(a))。
 次に、損傷が取り除かれたディスク補修体10Aの外周に肉盛溶接による補修部13を設ける(図1(c),図4(a))。なお、肉盛溶接に先立って、ディスク補修体10Aの両側面の外周縁に沿って耳板11が溶接により円環状に取り付けられる。通常、耳板11はディスク補修体10Aの外周面と面一になるように取り付けられる(図3(b))。溶接トーチの移動軌跡を直線状にすれば足りるし、無駄な肉盛りをしなくて良いからである。なお、図3(b)において、開先G10及び開先G11の所在を明確にするために、溶接金属WMのみを記載し、溶接による溶け込みを省略している。以下も同様である。
 肉盛溶接は、図2に概略を示すように、回転軸14を水平に支持したディスク補修体10Aを回転軸14を中心にして回転させながら行われる。肉盛溶接は、ディスク補修体10Aの外周面がなす溶接施工面15に、ホッパ20からフラックスFを供給して堆積させながら行われる。
 所定の量だけ肉盛溶接を行った後に、耳板11及びその他の余肉などの端材を取り除くとともに(図4(b))、翼溝12を形成するとロータディスク10の補修は終了する(図1(d))。
 この肉盛溶接をサブマージアーク溶接により行う。新たに形成された翼溝12を介してタービン翼(図示を省略)をロータディスク10に取付けることで、ロータディスク10が再生される。本実施の形態は、以下に図2~図4を参照しながら説明するように、上記工程の中で、肉盛溶接をする工程に特徴を有している。
 本実施形態は、耳板11をディスク補修体10Aの側面に溶接により取り付けることを前提として、ディスク補修体10Aの側に溶接欠陥が生じるのを抑制するものであり、この抑制の手段として、ディスク補修体10Aと耳板11のそれぞれの溶接に係る開先(第一開先)G10,開先(第二開先)G11の寸法を調整する。具体的な一例として、耳板11の側の開先G11の深さD11,幅W11をディスク補修体10Aの側の開先G10の深さD10,幅W10よりも大きくする。これにより、溶接欠陥が生じるとしても、耳板11の側の溶接金属WM11に生じるように誘導する。以下、詳細に説明する。
 図3(a),(b)に示すように、ディスク補修体10Aの両側面をなすルート面(第一ルート面)R10と耳板11の側面をなすルート面(第二ルート面)R11とを突き合わせて溶接するのに、ディスク補修体10Aにルート面R10に連なる開先G10が、また、耳板11にルート面R11に連なる開先G11が形成される。
 開先G10は、ディスク補修体10Aの両方のルート面R10の最外周縁に沿って、かつ円周方向に連なって形成される。本実施形態における開先G10はC形の面取りにより構成されているが、本発明はこれに限らず、他の形態の開先形状、例えばR形の開先G10とすることもできる。開先G11についても同様である。開先G10は、ディスク補修体10Aの回転軸14を通る縦断面において、図5(a)に示すように、深さD10と幅W10により寸法が特定される。この縦断面は、突き合わされるルート面R10とルート面R11に直交し、開先G10と開先G11を通る断面である。
 耳板11は、図1(b)に示すように、板材を湾曲させることにより円環状とされており、開先G11は、耳板11の一方の側面の最外周縁に沿って、かつ円周方向に連なって形成される。開先G11は、ディスク補修体10Aの回転軸14を通る縦断面において、図5(a)に示すように、深さD11と幅W11により寸法が特定される。
 本実施形態は、開先G10と開先G11を、図5(a)及び以下の式(2),式(3)に示すように、深さD10より深さD11を大きくし、幅W10より幅W11を大きくする。こうすることにより溶接欠陥を耳板11の側に誘導できる理由は、以下の通りである。なお、図5(a)に示す開先G10及び開先G11はともにC形の面取りからなり、その寸法をそれぞれCx,Cy(x,yは寸法数値)とすれば、式(4)が成り立つ。
 深さD10 < 深さD11 … 式(2)
  幅W10 < 幅W11   … 式(3)
    Cx < Cy … 式(4)
 ディスク補修体10Aと耳板11を突き合わせて溶接すると、開先G10及び開先G11に形成される溶接金属WMの内部に溶接欠陥が発生し得る。
 このとき、図5(b)に示される比較例のように、深さD10と深さD11が等しく、かつ、幅W10と幅W11が等しければ、ルート面R10とルート面R11の突合面で特定される境界線Bを境にして、ディスク補修体10Aの開先G10の側の溶接金属WM10と耳板11の開先G11の側の溶接金属WM11の量は等しい。したがって、溶接欠陥が溶接金属WM10と溶接金属WM11のそれぞれに生ずる確率は等しいものとみなすことができる。
 一方で、図5(a)に示される本実施形態のように、深さD10より深さD11より深く、かつ、幅W10より幅W11よりも広ければ、境界線Bを境にして、ディスク補修体10Aの開先G10の側の溶接金属WM10よりも耳板11の開先G11の側の溶接金属WM11の量が多くなる。したがって、溶接欠陥が生ずる確率は、溶接金属WM10より溶接金属WM11の方が高くなる。なお、溶接金属WM11の方に溶接欠陥が生ずる確率をより高くするには、深さD11が深さD10よりも深いことが重要である。
 以上のように、本実施形態は、発生し得る溶接欠陥を耳板11の側に誘導することで、ディスク補修体10Aの側に生ずる溶接欠陥を抑制する。そして、耳板11は、肉盛溶接による溶接金属WM11とともに取り除かれるので、溶接金属WM11が溶接欠陥を含んでいても、ディスク補修体10Aの性能に影響を与えることはない。
 本実施形態に従って溶接欠陥を耳板11の側に誘導したとしても、ディスク補修体10Aの側の溶接欠陥を完全になくすことはできないこともある。この場合には、図6(a)に示すように、開先G10を含むディスク補修体10Aの側面の所定領域を切削、研削などの機械加工により切除して、括れ17を設けることができる。機械加工をすることは手間ではあるものの、本実施形態の場合には、生ずる溶接欠陥のサイズも小さく、また、ディスク補修体10Aの側面からの深さが浅いので、機械加工の負担を最小限に抑えることができる。また、括れ17を設けると肉盛溶接後のロータディスク10の機械的な強度を低くすることになるものの、括れ17はロータディスク10の回転軸14から離れているために、回転動作により括れ17の部分に生ずる負荷は小さいので、ロータディスク10の機能を低下させるおそれはない。
 次に、図5(a)を用いて説明した実施形態は、ディスク補修体10Aにも開先G10を設けたが、溶接欠陥を耳板11の側の溶接金属WM11に誘導するという本実施形態の趣旨は、図6(b)のようにディスク補修体10Aに開先G10を設けずに、耳板11の側だけに開先G11を設ける形態にも有効である。この形態の場合には、ディスク補修体10Aの側には溶接金属WM10が存在しないものとみなせるので、溶接欠陥が発生する可能性を摘むことができる。ただし、溶接による接合強度は、ディスク補修体10Aにも開先G10を設ける方が勝るので、ディスク補修体10Aの側にも開先G10を設けることが好ましい。
 なお、ディスク補修体10Aに開先G10を設けない形態は、深さD10及び幅W10がともにゼロである。
 また、図5(a)を用いて説明した実施形態は、溶接施工面15をなすディスク補修体10Aの外周面と耳板11の外周面が面一とされている。しかし、本発明の溶接欠陥の誘導という効果は、図6(c)に示すように、ディスク補修体10Aの外周面と耳板11の外周面の径方向における位置が相違しても得ることができる。
 また、図5(a)を用いて説明した実施形態は、深さD10より深さD11が深く、かつ、幅W10より幅W11が広い例について述べたが、前述したように、溶接欠陥の誘導は、ディスク補修体10Aの側の溶接金属WM10と耳板11の側の溶接金属WM11の量によりなしうるものである。したがって、溶接欠陥の誘導は、耳板11の側の開先G11の深さD11及び幅W11の両者が大きい場合だけに限るものではない。
 つまり、図7に示すように、開先G10の深さD10と開先G11の深さD11が同じであっても、ディスク補修体10Aの側の開先G10の幅W10よりも、耳板11の側の開先G11の幅W11を大きくしてもよい。そうすれば、ディスク補修体10Aの開先G10の側の溶接金属WM10よりも耳板11の開先G11の側の溶接金属WM11の量を多くできるので、溶接欠陥を溶接金属WM11の側に誘導できる。
 以上の例をまとめると、ディスク補修体10Aの回転軸14を通る縦断面において、ディスク補修体10Aの開先G10が占有する面積A10よりも耳板11の開先G11が占有する面積A11を大きくする、つまり下記の式(1)が成り立つことにより、溶接欠陥を開先G11の側の溶接金属WM11の側に誘導できる。これにより、耳板11を取り除いた後のロータディスク10の側面に残る溶接欠陥を抑制することができる。
 A10 < A11 … 式(1)
 そして、ロータディスク10の開先G10が占有する面積A10よりも耳板11の開先G11が占有する面積A11を大きくするには以下のいくつかの形態があり、いずれであっても、溶接欠陥を開先G11の側の溶接金属WM11に誘導できる。
第1形態(図5,図6(b))
 深さD10 < 深さD11  幅W10 < 幅W11 (深さD10=幅W10=0 を含む)
 D10×W10 < D11×W11
第2形態:(図7)
 深さD10 = 深さD11  幅W10 < 幅W11
 D10×W10 < D11×W11
 以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
 本実施形態は、ロータディスク10と耳板11を対象に説明したが、本発明は、第一部材に対して開先を用いる溶接により一時的に第二部材を取り付け、その後に所定の処理を施してから第二部材を取り除く種々の用途に適用することができる。
 また、ロータディスク10及び耳板11を対象とする場合に、耳板11を取り付けた後の肉盛溶接はサブマージドアーク溶接が好ましいが、本発明が後の溶接方法を限定することはなく、他の溶接方法、例えばTIG溶接を採用することもできる。
10  ロータディスク
10A ディスク補修体
11  耳板
12  翼溝
13  補修部
14  回転軸
15  溶接施工面
20  ホッパ
F  フラックス
G10 開先
G11 開先
R10 ルート面
R11 ルート面
WM  溶接金属
WM10 溶接金属
WM11 溶接金属

Claims (14)

  1.  外周部に翼溝が形成されているタービンロータディスクの、前記外周部に生じた欠陥部を除去してから前記翼溝を再形成するタービンロータディスクの補修方法であって、
     回転軸が水平に支持された前記タービンロータディスクから前記欠陥部を含む領域を除去してディスク補修体を形成する欠陥除去工程と、
     前記ディスク補修体の外周縁に沿って溶接により耳板を円環状に接合する耳板取付け工程と、
     前記回転軸を中心に前記ディスク補修体を回転させながら、溶接施工面に肉盛溶接する肉盛り工程と、
     前記肉盛溶接の余肉及び前記耳板を前記ディスク補修体から取り除く端材除去工程と、を備え、
     前記ディスク補修体は、第一開先と、前記第一開先に連なる第一ルート面と、を有し、
     前記耳板は、第二開先と、前記第二開先に連なる第二ルート面と、を有し、
     前記耳板取付け工程において、前記第一ルート面と前記第二ルート面を突き合わせて、前記第一開先及び前記第二開先を介して溶接するに際し、
     前記回転軸を通る縦断面において、
     前記第一開先が占有する領域の面積をA10とし、前記第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、A10 < A11 … 式(1)が成り立つ、
    ことを特徴とするタービンロータディスクの補修方法。
  2.  前記第一開先が占有する前記領域は、深さD10と幅W10により特定され、
     前記第二開先が占有する前記領域は、深さD11と幅W11により特定され、
     深さD10 < 深さD11 … 式(2)、及び、
     幅W10 < 幅W11  … 式(3)の一方又は双方が成り立つことで、前記式(1)が成り立つ、
    請求項1に記載のタービンロータディスクの補修方法。
  3.  前記第一開先がC形の面取りCx(ただし、xは寸法数値)からなり、
     前記第二開先がC形の面取りCy(ただし、yは寸法数値)からなり、
     Cx < Cy … 式(4)が成り立つことで、前記式(1)が成り立つ、
    請求項1に記載のタービンロータディスクの補修方法。
  4.  深さD10 = 幅W10 = 0(ゼロ)である、
    請求項2に記載のタービンロータディスクの補修方法。
  5.  前記ディスク補修体と前記耳板により面一の前記溶接施工面が形成される、
    請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のタービンロータディスクの補修方法。
  6.  前記肉盛り工程の後に、
     前記ディスク補修体と前記肉盛溶接との境界を含む、径方向の所定領域を円周方向に切除する、
    請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のタービンロータディスクの補修方法。
  7.  外周部に翼溝が形成されているタービンロータディスクの、前記外周部に生じた欠陥部を除去してから前記翼溝を再形成するタービンロータディスクの補修方法であって、
     回転軸が水平に支持された前記タービンロータディスクから前記欠陥部を含む領域を除去してディスク補修体を形成する欠陥除去工程と、
     前記ディスク補修体の外周縁に沿って溶接により耳板を円環状に接合する耳板取付け工程と、
     前記回転軸を中心に前記ディスク補修体を回転させながら、溶接施工面に肉盛溶接する肉盛り工程と、
     前記肉盛溶接の余肉及び前記耳板を前記ディスク補修体から取り除く端材除去工程と、を備え、
     前記ディスク補修体は、第一開先と、前記第一開先に連なる第一ルート面と、を有し、
     前記耳板は、第二開先と、前記第二開先に連なる第二ルート面と、を有し、
     前記耳板取付け工程において、前記第一ルート面と前記第二ルート面を突き合わせて、前記第一開先及び前記第二開先を介して溶接するに際し、
     前記回転軸を通る縦断面において、
     前記第一開先が占有する領域の面積をA10とし、前記第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、
     前記第一開先が占有する前記領域は、深さD10と幅W10により特定され、
     前記第二開先が占有する前記領域は、深さD11と幅W11により特定され、
     深さD10 < 深さD11 … 式(2)が成り立つ、
    ことを特徴とするタービンロータディスクの補修方法。
  8. A10 < A11 … 式(1)が成り立つ、
    請求項7に記載のタービンロータディスクの補修方法。
  9.  第一開先と、前記第一開先に連なる第一ルート面と、を有する第一部材と、
     第二開先と、前記第二開先に連なる第二ルート面と、を有する第二部材と、を、
    前記第一ルート面と前記第二ルート面を突き合わせて、前記第一開先及び前記第二開先を介して溶接する方法であって、
     突き合わされる前記第一ルート面と前記第二ルート面に直交し、前記第一開先と前記第二開先を通る断面において、
     前記第一開先が占有する領域の面積をA10とし、前記第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、A10 < A11 … 式(1)が成り立つ、
    ことを特徴とする溶接方法。
  10.  前記第一開先が占有する前記領域は、深さD10と幅W10により特定され、
     前記第二開先が占有する前記領域は、深さD11と幅W11により特定され、
     深さD10 < 深さD11 … 式(2)、及び、
     幅W10 < 幅W11  … 式(3)の一方又は双方が成り立つことで、前記式(1)が成り立つ、
    請求項9に記載の溶接方法。
  11.  深さD10 = 幅W10 = 0(ゼロ)である、
    請求項9に記載の溶接方法。
  12.  前記第二部材は、前記第一部材と溶接された後に、所定の処理が施されてから、前記第一部材から取り除かれる、
    請求項9~請求項11のいずれか一項に記載の溶接方法。
  13.  第一開先と、前記第一開先に連なる第一ルート面と、を有する第一部材と、
     第二開先と、前記第二開先に連なる第二ルート面と、を有する第二部材と、を、
    前記第一ルート面と前記第二ルート面を突き合わせて、前記第一開先及び前記第二開先を介して溶接する方法であって、
     突き合わされる前記第一ルート面と前記第二ルート面に直交し、前記第一開先と前記第二開先を通る断面において、
     前記第一開先が占有する領域の面積をA10とし、前記第二開先が占有する領域の面積をA11とすると、
     前記第一開先が占有する前記領域は、深さD10と幅W10により特定され、
     前記第二開先が占有する前記領域は、深さD11と幅W11により特定され、
     深さD10 < 深さD11 … 式(2)が成り立つ、
    ことを特徴とする溶接方法。
  14.  A10 < A11 … 式(1)が成り立つ、
    請求項13に記載の溶接方法。
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