WO2017033951A1 - 新規鎮痛剤 - Google Patents

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弘志 武田
稔 辻
三郎 斎藤
秋山 暢丈
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Abstract

新規鎮痛剤が提供される。当該鎮痛剤はインターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなるものである。

Description

新規鎮痛剤 関連出願の参照
 本特許出願は、2015年8月24日に出願された日本出願特願2015-165015号、および2016年7月8日に出願された日本出願特願2016-136274号に基づく優先権の主張を伴うものであり、これら日本出願の全開示内容は、引用することにより本願の開示の一部とされる。
 本発明は、鎮痛剤に関し、より詳細には、インターロイキン-31(IL-31)アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤に関する。
 疼痛は人類の苦痛の中でも最大の懸案であり、その対策として数多くの鎮痛剤が開発されたが、未だに十分な解決策が見いだされていない。例えば、モルヒネを初めとするオピオイド性鎮痛剤は、この疼痛に対して強い効果があるにも拘わらず、投与により便秘、嘔気、嘔吐、鎮静、傾眠、せん妄、呼吸抑制、鎮痛耐性、身体依存性および精神依存性などの副作用を生じ、非ステロイド系鎮痛剤では消化管障害、肝障害、腎障害、アレルギー疾患等の副作用発現が知られており、疼痛に対する十分な解決策とはいえない。
 しかしながら現状では、鎮痛剤(例えば、オピオイド性鎮痛剤)は、疼痛の寛解および軽減に必要な薬剤であり、最近、特に2000年以降、癌患者への人道的、倫理的観点から長期間激痛が発現する癌末期状態の疼痛緩和に使用されることが多くなってきた。一方で、個々の癌患者において、鎮痛剤(特に、オピオイド性鎮痛剤)に対する感受性の個人差は大きく、同じ投与量でも、ある癌患者では鎮痛効果が十分に得られるのに、他の癌患者では鎮痛効果が不十分であり、また別の癌患者では副作用だけが発現する場合などがある。このような事情から、特にオピオイド性鎮痛剤の投与量を決定するのが難しく、医療従事者からその使用が避けられた結果、癌患者等の生活の質(QOL)の低下を招くことが大きな問題となっている。また、非ステロイド系鎮痛剤については、オピオイド性鎮痛薬のような使用に対する抵抗感が少ないことから、近年その使用量が増加し、それに伴い重篤な副作用発現が問題になっている。
 これまでに、癌患者等の鎮痛効果を向上させるために様々な取り組み(例えば、タイトレーションおよびオピオイドローテーション)がなされているが、操作が煩雑であり効果の予測ができないために十分な解決策は未だ見出されていない。
 特許文献1および2において、IL-31Ra(以下、「インターロイキン-31受容体」という)またはIL-31(インターロイキン-31)に対するアンタゴニストを用いて神経組織において疼痛および炎症を治療することが記載されているが、インターロイキン-31アゴニストが鎮痛効果を有すること、並びに鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強できることはこれまでに開示も示唆もなされていない。
特表2009-526756号公報 特表2009-528264号公報
 本発明は、癌患者等の疼痛によるQOLの低下を改善させるために、新規な鎮痛剤の提供を目的とし、特に鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強する医薬組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、疼痛疾患の処置または予防に用いるための医薬組成物およびキットを提供することを目的とする。
 本発明者らは、インターロイキン-31(IL-31)アゴニストを有効成分として用いることにより、鎮痛作用を有することを見出し、特にIL-31アゴニストが鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強できることを見出した。
 すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる、鎮痛剤。
(2)インターロイキン-31アゴニストがインターロイキン-31である、上記(1)に記載の鎮痛剤。
(3)上記(1)または(2)に記載の鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含んでなる、医薬組成物。
(4)上記(1)または(2)に記載の鎮痛剤が、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強するために用いられる、上記(3)に記載の医薬組成物。
(5)上記(1)または(2)に記載の鎮痛剤を含んでなる、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強するための医薬組成物。
(6)他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果の増強が、鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の副作用の低減である、上記(4)または(5)に記載の医薬組成物。
(7)他の鎮痛剤または鎮痛補助剤の副作用の低減が、消化管傷害の低減、薬物依存性の低減、または鎮痛耐性形成の抑制である、上記(6)に記載の医薬組成物。
(8)他の鎮痛剤が、オピオイド性鎮痛剤または非ステロイド系鎮痛剤である、上記(3)~(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(9)オピオイド性鎮痛剤が、モルヒネ、フェンタニル、レミフェンタニル、ペチジン、ブプレノルフィン、オキシコドン、およびヘロインからなる群から選択される1種または2種以上である、上記(8)に記載の医薬組成物。
(10)非ステロイド系鎮痛剤が、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ロキソプロフェン、アルミノプロフェン、およびフェルビナクからなる群から選択される1種または2種以上である、上記(8)に記載の医薬組成物。
(11)鎮痛補助剤が、抗うつ薬、抗痙攣薬、局所麻酔剤、ステロイド剤、およびNMDA拮抗剤からなる群から選択される1種または2種以上である、上記(3)~(10)のいずれかに記載の医薬組成物。
(12)疼痛疾患の処置または予防に用いるための、上記(1)もしくは(2)に記載の鎮痛剤または上記(3)~(11)のいずれかに記載の医薬組成物。
(13)疼痛疾患が、癌性疼痛、手術後疼痛、炎症性疼痛、重篤な生理痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害痛、線維筋痛症、オピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す癌性疼痛、オピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す慢性神経因性疼痛、急性疼痛発症後に発現する慢性疼痛、またはムズムズ肢症候群である、上記(12)に記載の鎮痛剤または医薬組成物。
(14)上記(1)または(2)に記載の鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含んでなる、キット。
(15)疼痛疾患の処置または予防に用いるための、上記(14)に記載のキット。
(16)鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として哺乳動物に投与する、鎮痛方法。
(17)インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤を哺乳動物に投与する、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果増強方法。
(18)鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを哺乳動物に投与する、鎮痛方法。
(19)鎮痛剤の製造のための、インターロイキン-31アゴニストの使用。
 本発明の鎮痛剤は、癌患者等の疼痛によるQOLの低下を改善させることができる。また、本発明の鎮痛剤は、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強することができ、鎮痛効果に対する感受性の差異を少なくして、医療従事者による他の鎮痛剤や、鎮痛補助剤の使用を容易にして、癌患者等(特に、末期癌患者または外科手術後の慢性炎症性傷害等の長期的に鎮痛剤を必要とする疼痛患者)の疼痛によるQOLの低下を改善できる点で有用である。また、本発明の鎮痛剤を用いることにより、鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の投与量を減少させることができ、副作用を低減することができる。
図1は、モルヒネ投与量(mg/kg,s.c.)に対する抗侵害刺激効果(%)を表す。図1中、NSは「有意差なし」を表し、「」はP<0.05を表し、「**」はP<0.01を表し、「***」はP<0.001を表す。 図2は、IL-31受容体ノックアウトマウス(IL-31RAKO)におけるモルヒネの鎮痛効果(モルヒネ:5mg/kg、s.c.)を表す。図2中、NSは「有意差なし」を表し、「***」はP<0.001を表す(Wild type(野生型)群の溶媒投与群の有意差)。「###」はP<0.001(Wild type(野生型)およびIL-31RAKO各群のモルヒネ投与群の有意差)を表す。MPはモルヒネ投与群を表し、salineは生理食塩水投与群を表す。 図3は、IL-31反復投与後のモルヒネの鎮痛効果を表す。図3中、「」はP<0.05を表し、「**」はP<0.01を表し、「***」はP<0.001を表す(各モルヒネ投与群の溶媒投与群に対する有意差を表す)。「」はP<0.05を表し、「##」はP<0.01を表し、「###」はP<0.001を表す(非モルヒネ投与群の溶媒またはIL-31投与群に対応する溶媒またはIL-31投与群の有意差を表す)。NSは「有意差なし」を表す。 図4は、IL-31のモルヒネ鎮痛耐性形成に対する作用を表す。図4中、「」はP<0.05を表し、「**」はP<0.01を表す(各測定日の溶媒+モルヒネ投与群に対するIL-31+モルヒネ投与群の有意差を表す)。 図5は、カプサイシン塗布後の疼痛増強作用を表す。図5の左図は、カプサイシンの塗布後時間(h)と、長持続掻破回数(counts/h)との関係を表す。図5の右図は、カプサイシンの塗布後時間(h)と、後根神経節IL-31RA発現との関係を表す。図5中、「」はP<0.05を表す(各時間の溶媒塗布群に対する有意差を表す)。「##」はP<0.01を表す(塗布前群(Pre)に対する有意差を表す)。 図6は、インターロイキン-31の鎮痛作用を表す。図6中、「**」はP<0.01を表す(PBS投与群における溶媒投与群(vehicle)とTNCB塗布群との間の有意差を表す)。NSはIL-31投与群における溶媒投与群(vehicle)とTNCB塗布群との間の有意差がないことを表す。nsはPBSもしくはIL-31投与群において溶媒投与群間に有意差がないことを表す。「」はP<0.05を表す(PBSまたはIL-31投与群におけるTNCB塗布群間における有意差を表す)。 図7は、インターロイキン-31とロキソプロフェンとの併用投与の影響を表す。ロキソプロフェンは0.3%カルボキシメチルセルロース水溶液(CMC)に懸濁調製して経口投与した。図7中、「」はP<0.05を表し、「**」はP<0.01を表し、「***」はP<0.001を表す(PBSおよび溶媒投与群(PBS+CMC)に対する、PBSおよびロキソプロフェン投与群(PBS+Lox)、インターロイキン-31および溶媒(IL-31+CMC)投与群、およびインターロイキン-31およびロキソプロフェン(IL-31+Lox)併用投与群の有意差を表す)。「」はP<0.05を表す(ロキソプロフェン(PBS+Lox)単独投与群に対するインターロイキン-31およびロキソプロフェン(IL-31+Lox)併用投与群の有意差を表す)。
発明の具体的説明
 本発明の鎮痛剤は、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤である。インターロイキン-31アゴニストを有効成分として用いることにより鎮痛効果を有し、単独で疼痛疾患に対して治療および/または予防効果を有する。本発明において、インターロイキン-31アゴニストとは、インターロイキン-31受容体タンパク質と特異的に結合し、生理活性を誘起する薬物であれば特に限定されるものではないが、好ましくはインターロイキン-31が挙げられる。インターロイキン-31を哺乳動物に用いる場合には同種の哺乳動物由来のインターロイキン-31を用いることが好ましい。インターロイキン-31は市販のものを用いてもよく、また人工的に合成したものを用いてもよい。人工的に合成したインターロイキン-31として、マウス-リコンビナントIL-31(m-rIL-31)がある。m-rIL-31精製方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
<m-rIL-31の精製方法>
 哺乳動物発現ベクタープラスミド(m-IL31/pcDNA3.1-myc-his-(A)+)を導入したFree Style293細胞(Invitorgen社製)を培養する。培養上清中のHisタグのついたIL-31は、ニッケル(Ni)がついているアフィニティー担体にトラップされ、ニッケルカラムを用いて結合させる。次いで、ヒスチジンよりも金属との親和性の高いイミダゾールを加えることにより、金属はイミダゾールと複合体を形成するため、mIL-31と金属の複合体が外れ、mIL-31を精製することができる。精製したmIL-31について、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で透析したものの濃度を測定して、m-rIL-31として使用することができる。
 本発明の医薬組成物は、インターロイキン-31アゴニスト(好ましくは、インターロイキン-31)と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含んでなる医薬組成物であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含んでなる医薬組成物である。
 他の鎮痛剤とは、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤以外の鎮痛剤であり、痛み(疼痛)を和らげることができる薬剤であればどのような薬剤であってもよいが、例えば、オピオイド性鎮痛剤または非ステロイド系鎮痛剤が挙げられ、好ましくはオピオイド性鎮痛剤である。オピオイド性鎮痛剤は、好ましくは、モルヒネ、フェンタニル、レミフェンタニル、ペチジン、ブプレノルフィン、オキシコドン、およびヘロインからなる群から選択される1種または2種以上であってもよく、より好ましくはモルヒネである。非ステロイド系鎮痛剤は、好ましくは、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ロキソプロフェン、アルミノプロフェン、およびフェルビナクからなる群から選択される1種または2種以上であってもよく、より好ましくはロキソプロフェン(例えば、シグマ-アルドリッチ社製を使用することができる)、ジクロフェナク(例えば、シグマ-アルドリッチ社製を使用することができる)である。これらの鎮痛剤は、市販のものを使用してもよく、または人工的に合成したものを用いてもよい。
 本発明において、鎮痛補助剤とは、鎮痛剤の働きを助けるもののみを示すものではなく、それのみで鎮痛作用を有するものであってもよく、例えば、抗うつ薬(例えば、アモキサン、アミトリプチリン、ノリトリプチリン、クロイミプラミン、マプロチリン)、抗痙攣薬(例えば、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸、フェニトイン、バクロフェン、ガバペンチン)、局所麻酔剤(例えば、メキシレチン、リドカイン)、ステロイド剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン)およびNMDA拮抗剤(例えば、ケタミン、イフェンプロジル)などが挙げられ、好ましくは抗痙攣薬、NMDA拮抗剤が挙げられる。これらの鎮痛補助剤は、市販のものを使用してもよく、または人工的に合成したものを用いてもよい。鎮痛補助剤は、好ましくは、アモキサン、アミトリプチリン、ノリトリプチリン、クロイミプラミン、マプロチリン、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸、フェニトイン、バクロフェン、ガバペンチン、メキシレチン、リドカイン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ケタミン、およびイフェンプロジルからなる群から選択される1種または2種以上であってもよい。
 本発明の医薬組成物の好ましい態様によれば、本発明の鎮痛剤が、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強するために用いられる医薬組成物が提供される。ここで、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果の増強(改善)とは、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を強めることのみならず、鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の副作用の低減も含まれる。鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の副作用の低減は、特に限定されるものではないが、消化管傷害の低減、薬物依存性の低減、または鎮痛耐性形成の抑制が挙げられ、好ましくは鎮痛耐性形成の抑制である。
 鎮痛耐性形成の抑制とは、例えば、オピオイド性鎮痛剤を複数回投与して抗侵害刺激作用(抗侵害作用)が減弱した状態を、オピオイド性鎮痛剤の初回投与時の抗侵害刺激作用にわずかでも回復させることをいい、その程度は問わない。その程度は問わないが、抗侵害刺激作用が減弱した状態に対して、30%以上回復することが好ましく、50%以上回復することがより好ましい。
 本発明の医薬組成物の別の態様によれば、本発明の鎮痛剤を含んでなる、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強するための医薬組成物が提供される。この医薬組成物には、本発明の鎮痛剤(インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤)のみが含まれていてもよい。
 本発明の鎮痛剤または医薬組成物が適用できる疾患は、鎮痛させることが必要な疾患であれば特に限定されるものではないが、例えば疼痛疾患が挙げられる。疼痛疾患としては、特に限定されるものではないが、好ましくは癌性疼痛、手術後疼痛、炎症性疼痛、重篤な生理痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害痛、線維筋痛症、オピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す癌性疼痛、オピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す慢性神経因性疼痛、急性疼痛発症後に発現する慢性疼痛、およびムズムズ肢症候群が挙げられ、これらの中でも、オピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す癌性疼痛およびオピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す慢性神経因性疼痛が特に本発明の鎮痛剤または医薬組成物が効果を有する。
 本発明の鎮痛剤または医薬組成物の投与は、経口、非経口、皮下、皮内、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、口腔内、鼻腔内、リポソーム、吸入経由、膣内、眼内、局所送達経由、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内および鞘内からなる群より選ばれる経路を含むが、限定されない広範な経路の投与経路で行われてよく、好ましくは、皮下投与または皮内投与である。全身性疼痛の場合には皮下投与が好ましく、局所疼痛の場合には皮内投与が好ましい。本発明の鎮痛剤または医薬組成物の投与量および投与回数は、疼痛症状の緩和、予防または治療に有効な量であればよく、投与経路、哺乳動物の種類、体重、年齢、性別等により適宜増減されるべきものであり、インターロイキン-31アゴニストは、好ましくは1回の投与量が0.1~1000mg/kgであり、1日に1~数回(例えば、1日に1回~8回)の投与である。
 本発明の鎮痛剤または医薬組成物を投与する対象は、哺乳動物に限定されるものではないが、哺乳動物(好ましくは、本発明の鎮痛剤または医薬組成物を必要とする哺乳動物)であることが好ましく、哺乳動物はヒトであってもヒト以外の哺乳動物であってもよいが、より好ましくはヒトである。
 本発明の他の鎮痛剤および鎮痛補助剤は、本発明の鎮痛剤と同じ投与経路であっても、異なる投与経路であってもよいが、物質同士の相互作用(液性の違いによる分解など)の観点から、異なる投与経路で投与することが好ましい。また、本発明の鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とはキットとして同時に投与してもよく、本発明の鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを別々の包装形態として、同時にまたは連続して投与してもよい。
 本発明の医薬組成物には、本発明の鎮痛剤またはインターロイキン-31アゴニストに加えて、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤を含んでいてもよく、さらに薬学的の許容可能な担体、賦形剤、その他の添加剤を含んでいてもよい。薬学的の許容可能な担体や賦形剤は、製剤の剤形や投与経路などにより適宜変更されるべきものであるが、例えば、水、エタノール、流動パラフィン、硬化油、蜜蝋、スクワラン、ステアリルアルコール、エチレングリコールを挙げることができる。薬学的の許容可能な添加剤も、製剤の剤形や投与経路などにより適宜変更されるべきものであるが、例えば、抗酸化剤、保存剤(パラベン等)、コーティング剤(ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、着色料、矯味矯臭剤、美白剤(エラグ酸ナトリウムなど)、界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステルなど)、可塑剤、保湿剤(グリセリン、プロピレングリコール、ヒヤルロン酸など)を挙げることができる。本発明の鎮痛剤、医薬組成物、他の鎮痛剤、および鎮痛補助剤などは、注射剤、液剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤、エアゾール剤などの剤形で投与することができ、好ましくは注射剤、外用剤の剤形で投与することができる。本発明の鎮痛剤、医薬組成物、他の鎮痛剤、および鎮痛補助剤などに用いられる更に好ましい剤形としては、患部に直接投与できる点、投与が容易な点、全身的な副作用発生の可能性が低減する点などから外用剤が挙げられる。ここで、外用剤としては、外用液剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、および貼付剤などが挙げられる。
 本発明の別の態様によれば、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含む、キットが提供される。また、本発明の好ましい態様によれば、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含む、疼痛疾患の処置または予防に用いるためのキットが提供される。本発明のキットは、複数回分の投与に用いることができるキットであってもよい。また、本発明のキットは、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤が、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強して疼痛疾患の処置(好ましくは、治療)または予防に用いるためのキットであってもよい。ここで、疼痛疾患の予防とは、疼痛疾患の病態またはその生物学的徴候の見込みまたは重篤度を実質的に減少させるため、またはそのような病態またはその生物学的徴候の発症を遅延させることなどをいう。
 本発明の別の態様によれば、鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として哺乳動物に投与する、鎮痛方法が提供される。鎮痛上有効量とは、鎮痛するために哺乳動物に投与するとき、鎮痛増強効果が十分発揮される量を意味する。
 本発明の別の態様によれば、鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として哺乳動物に投与する、疼痛疾患の処置(好ましくは、治療)または予防方法が提供される。
 本発明の別の態様によれば、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤を哺乳動物に投与する、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果増強方法が提供される。
 本発明の別の態様によれば、鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを哺乳動物に投与する、鎮痛方法が提供される。インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とはいずれを先に投与してもよく、また同時に投与してもよいが、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の投与前に、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤を単回または複数回投与(例えば、1回~8回投与)することが好ましい。
 本発明の別の態様によれば、鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを哺乳動物に投与する、疼痛疾患の処置(好ましくは、治療)または予防方法が提供される。ここで、疼痛疾患とは、上記の疼痛疾患と同じであってよい。インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とはいずれを先に投与してもよく、また同時に投与してもよいが、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の投与前に、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤を単回または複数回投与(例えば、1回~8回投与)することが好ましい。
 本発明の別の態様によれば、鎮痛するためのインターロイキン-31アゴニストが提供される。
 本発明の別の態様によれば、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強するための、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤が提供される。
 本発明の別の態様によれば、疼痛疾患の処置(好ましくは、治療)または予防のための、インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤、あるいは疼痛疾患の処置(好ましくは、治療)または予防のための、前記鎮痛剤並びに他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤が提供される。
 本発明の別の態様によれば、鎮痛剤の製造のための、インターロイキン-31アゴニストの使用が提供される。
 本発明の別の態様によれば、鎮痛剤としての、インターロイキン-31アゴニストの使用が提供される。
 これらの本発明の鎮痛剤または医薬組成物以外の態様に用いられるインターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤、他の鎮痛剤、鎮痛補助剤等は本発明の鎮痛剤または医薬組成物に用いられるものと同じであってもよい。
 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
処方例
 本発明の医薬組成物の処方例として、以下の注射剤およびクリーム剤を調製した。
処方例1(注射剤)
 下記の成分を均一に混合し、1mLの注射用アンプル1000本を得た。
インターロイキン-31       0.05g
塩化ナトリウム              9g
注射用蒸留水            1000mL
処方例2(クリーム剤)
 下記の成分をそれぞれ混合し均一に乳化し、更に香料を適量加えてクリーム剤500gを得た。
インターロイキン-31        0.05g
エラグ酸ナトリウム             5g
ヒヤルロン酸ナトリウム           3g
メチルパラベン               2g
精製水              223.95g
流動パラフィン(#70)         50g
スクワラン               100g
セトステアリルアルコール         60g
蜜蝋                   20g
モノステアリン酸グリセリン        15g
ソルビタンモノラウレート         20g
プロピルパラベン              1g
評価方法1:ホットプレート法
抗侵害刺激効果
 以下の試験例1~3で用いられた評価方法は、ホットプレート法である。このホットプレート法には、8週齢のc57BL/6系(日本SLC株式会社より提供された)若しくはBALB/c系(日本SLC株式会社より提供された)の雄性マウスを用い、1群6例で行った。
 51.0±0.5℃の温度に維持されたホットプレート上にマウスをのせ、マウスが前後肢をはたつかせる、前後肢の裏を舐める、あるいは跳躍する仮性疼痛反応を示す(熱刺激対する仮性疼痛反応)までの時間(潜時)を測定した。この潜時の延長を下記式により求め、算出される値(Antinociception、抗侵害作用)に基づいて、抗侵害刺激効果(%)を求めた。
 なお、マウスの前後肢の損傷を防ぐために、ホットプレート上にマウスをのせる時間を60秒までとした。また、試験終了後、マウスは熟練者による頚椎脱臼により安楽死させた。
評価方法2:TNCB負荷ホットプレート法(改良型ホットプレート法)
抗侵害刺激効果
 以下の試験例5および6で用いられた評価方法は、改良型ホットプレート法である。改良型ホットプレート法では、評価方法1のホットプレート法を実施する前に起炎剤である2,4,6-トリニトロクロロベンゼン(TNCB)をホットプレート評価前にマウスの四足裏に塗布し、ホットプレートの温度刺激により疼痛閾値を低下させる。するとホットプレート温度を50℃以下に低下させても逃避行動を発現するようになる。改良型ホットプレート法では、評価方法1のホットプレート法に比べてより精度良く非ステロイド系鎮痛剤の鎮痛効果を評価できる。また、この改良型ホットプレート法ではTNCBの濃度およびホットプレート温度を調節することにより、オピオイド性鎮痛剤のみならず、その他の鎮痛剤についてもより精度良く評価できる。
 具体的には、TNCBを溶媒(アセトンとエタノールの混液(アセトン:エタノール=1:4))に0.3~3(v/w)%の割合で溶解したものをマウスの四足裏に0.4mL/部位で塗布し、ホットプレートの温度を35~40±0.5℃の温度に設定したホットプレート上に8週齢のBALB/c系(日本SLC株式会社より提供された)の雄性マウスをのせ、マウスが逃避する(熱刺激対する仮性疼痛反応)までの時間(潜時)を測定した。この潜時の延長を下記式により求め、算出される値(Antinociception)に基づいて、抗侵害刺激効果(%)を求めた。
 なお、マウスの前後肢の損傷を防ぐために、ホットプレート上にマウスをのせる時間を60秒(カットオフ値)までとした。また、試験終了後、マウスは熟練者による頚椎脱臼により安楽死させた。
Antinociception (%) = (test latency - control latency)/ (60 - control latency) x 100
※control latency:薬物投与前のマウスが、熱刺激対する仮性疼痛反応を示すまでの潜時(秒)
※test latency:薬物投与後のマウスが、熱刺激対する仮性疼痛反応を示すまでの潜時(秒)
試験例1:インターロイキン-31受容体ノックアウトマウスにおけるモルヒネの鎮痛作用
 インターロイキン-31の影響を排除する目的でc57BL/6系マウスの遺伝子変換によりインターロイキン-31受容体ノックアウトマウスを作製して、モルヒネの鎮痛作用を試験した。ノックアウトマウスの野生型としてc57BL/6系マウスのモルヒネ鎮痛作用の用量反応を0、1.25、2.5、5、および10mg/kgの皮下投与(s.c.)で検討し、図1の結果を得た。2群のStudent t testにより有意差検定を行い、p値が0.05以下である場合に有意差ありと判定した。
 インターロイキン-31受容体ノックアウトマウス(ノックインマウス)は、以下の方法によりマウスにインターロイキン-31Rαをノックインすることにより作成した。
・通常の方法に従い、インターロイキン-31Rαの4番目のエクソンで、開始コドンに、LacZ遺伝子を置換挿入したDNAを複数の胚性幹細胞(ES cell)に導入して、そのなかからうまく相同組み換えが行われた胚性幹細胞(ES cell)をスクリーニングした。
・次に、これを別に採取した胚に移植し、生まれてきたキメラマウスをC57BL/6野生型マウスと交配して得られたマウスからインターロイキン-31Rαノックインヘテロマウスをスクリーニングした。なお、ゲノムDNAの正しい標的化をインターロイキン-31Rαノックインヘテロマウスからサザンブロットによって確認した。
・さらにインターロイキン-31Rαノックインヘテロマウス同士を交配することでインターロイキン-31Rαをノックインしたホモマウスを樹立した。
 図1の結果から、モルヒネの鎮痛作用が明確である5mg/kgを選択し、インターロイキン-31受容体ノックアウトマウスにおけるモルヒネの鎮痛作用を上記ホットプレート法により検討した。Control latencyを測定したマウスにモルヒネ(5mg/kg)を皮下投与し、モルヒネ投与の15分、30分、60分、90分、120分、150分、および180分後に上記ホットプレート法によりtest latencyを測定した。その結果、抗侵害刺激効果(%)(AUC30-120)(モルヒネ投与後30分から120分の抗侵害刺激効果の平均値に基づき算出)は、図2に示すように野生型マウスで顕著に増加するが、インターロイキン-31受容体ノックアウトマウス群において、モルヒネの鎮痛効果は有意に減弱した。この結果により、モルヒネの鎮痛作用発現にはインターロイキン-31受容体の存在が必要であると考えられた。
試験例2:インターロイキン-31前処置のモルヒネ鎮痛効果への影響
 インターロイキン-31(50μg/kg、腹腔内投与)を12時間毎に7回投与し、最終投与の1時間後にモルヒネの鎮痛作用の影響を、上記ホットプレート法により評価した。試験は8週齢のBALB/c系雄性マウスを1群6例で使用し、モルヒネの投与量は予備試験の結果から1、3、および10mg/kg皮下投与を選択した。Control latencyを測定したマウスにモルヒネ(1、3、あるいは10mg/kg)を皮下投与し、モルヒネ投与の15分、30分、60分、90分、120分、150分、および180分後に上記ホットプレート法によりtest latencyを測定した。鎮痛効果増強作用の判定は上記式で算出される算出される値(Antinociception)に基づいて、抗侵害刺激効果(%)をモルヒネ投与後30分から90分の抗侵害刺激効果の平均値に基づきAUC30-90として算出し、統計処理を行った。2群のStudent t testにより有意差検定を行い、p値が0.05以下で有意差ありと判定した。
試験結果
 モルヒネの1、3、および10mg/kg皮下投与により抗侵害刺激効果(鎮痛作用)は、生理食塩水投与群(溶媒投与群)と比較し有意に増加した(図3参照)。更に、インターロイキン-31投与群においてモルヒネの抗侵害刺激効果は溶媒投与群と比較して有意に増強された。
 このことから、インターロイキン-31を、モルヒネと共に投与することにより、モルヒネの鎮痛効果を増強できることが分かる。
試験例3:インターロイキン-31のモルヒネ鎮痛耐性形成抑制作用
 モルヒネ投与後に、上記ホットプレート法を繰り返すと、モルヒネの抗侵害刺激作用が低下し、モルヒネの鎮痛耐性が形成される。本試験では、この現象を利用して、インターロイキン-31のモルヒネ鎮痛耐性形成に対する抑制作用を検討した。
 具体的な試験方法は、モルヒネ10mg/kg皮下投与の30分後に、マウスをホットプレート上にのせ、上記ホットプレート法を行う。これを1日1回、24時間毎に5日間にわたり行って、インターロイキン-31のモルヒネ鎮痛耐性形成に対する作用を検討した。
 試験は8週齢のBALB/c系の雄性マウスを用い、1群6例で行った。モルヒネの投与量は耐性形成作用が発現する10mg/kg皮下投与を選択し、観察時間はモルヒネの抗侵害刺激作用が明確に観察できるモルヒネの投与の30分後とした。また、この試験系に溶媒(リン酸緩衝液)(0.1mL/kg、腹腔内投与)またはインターロイキン-31(50μg/kg、腹腔内投与)を最初のモルヒネまたは生理食塩水の投与の1時間後から12時間毎に5日間投与し、モルヒネの抗侵害刺激作用の減弱作用を観察した。
 統計処理は、溶媒投与群とインターロイキン-31投与群の群間において行い、毎日の抗侵害刺激作用を2群のStudent t testにより有意差検定を行い、p値が0.05以下を有意差ありと判定した。
試験結果
 溶媒投与群において、モルヒネ10mg/kg皮下投与による抗侵害刺激作用はモルヒネの投与回数を経るごとに徐々に低下し、5日後にはモルヒネ非投与群の値にまで減弱し抗侵害刺激作用は完全に消失した(図4、特に「●:溶媒+モルヒネ」を参照)。一方、インターロイキン-31投与群では、初回投与よりは徐々に減弱したが、その抗侵害刺激作用は溶媒投与群(「●:溶媒+モルヒネ」を参照)と比較し有意に減弱が緩和された(抗侵害刺激作用が減弱した状態に対して、約50%回復した)(図4、特に「▲:IL-31+モルヒネ」を参照)。
 一方、インターロイキン-31および生理食塩水(「△:IL-31+生理食塩水」参照)投与群では、有意な抗侵害刺激作用はみられなかった。
 従って、インターロイキン-31を用いることにより、モルヒネの耐性形成を顕著に抑制できることが分かった。また、インターロイキン-31の前投与期間や回数をのばすか、インターロイキン-31の投与量を増加することにより、モルヒネの鎮痛耐性形成は完全に抑制されるものと考えられる。
試験例4:カプサイシン塗布後の疼痛増強作用
 上記の通り、オピオイド性鎮痛薬の作用を増強するものとしてインターロイキン-31の作用を示してきたが、インターロイキン-31は生体内にもともと存在する物質である。この試験例では、インターロイキン-31が生体内に不足した状態時にどのような症状が発現するかについて試験を行った。この試験に用いるモデルの作成にはカプサイシンの皮膚塗布を用いた。カプサイシンクリーム塗布後、通常の鎮痛効果が消失した状態(24時間以上)においてカプサイシン塗布部位が温熱刺激に対し過敏になることはよく経験する。この反応はカプサイシン塗布後に惹起される後根神経節内インターロイキン-31受容体の発現低下によると考えられる。以下にマウスによる試験結果を示す。
 インターロイキン-31の作用不足について、マウスの知覚神経の一次求心路のインターロイキン-31受容体の不足モデルを作成し実施した。試験方法はマウスの背部を除毛後にエタノールに溶解した1%カプサイシン0.2mLを塗布後、1時間および72時間にマウス背部への温熱刺激負荷(45℃に加温したオリーブ油0.02mLを、ピペットを用いてマウスの背部に滴下する)による痒覚関連掻破行動(持続時間1.0秒以上の掻破行動)を掻痒自動測定装置により測定、および後根神経節(加温刺激部位の皮膚分節:頚椎のC4-7部分および胸椎のT1-4部分)を摘出し、インターロイキン-31受容体mRNAの発現をリアルタイムPCR法により測定し検討した(図5の右図参照)。
試験結果
 カプサイシン塗布1時間(1h)後には、掻痒関連掻破行動が顕著に増加した(図5の左図参照)。これはカプサイシンのTRPV1受容体脱感作により抗侵害刺激作用を発現した結果、掻痒感が増加するためと考えられる。一方、カプサイシン塗布後72時間(72h)では掻破行動は顕著に減少し、温熱刺激に対して疼痛を感じているものと考えられた(図5の左図参照)。
 非特異的刺激がインターロイキン-31処置により痒み反応に変わり掻痒関連掻破行動が増加し、逆に疼痛過敏時には掻痒関連掻破行動が減少することがこれまでの本発明者らの検討から分かっている。
 図5の右図によれば、後根神経節におけるインターロイキン-31受容体mRNA発現を測定した結果、カプサイシン塗布後72時間において発現が有意に減少しており、疼痛過敏の発現は知覚神経内のインターロイキン-31受容体発現量の減少によると考えられた。
 これまで原因不明とされていた重篤な生理痛、慢性神経因性疼痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害痛、線維筋痛症、もしくは知覚神経の感覚異常により引き起こされると考えられるムズムズ肢症候群等は、神経内のインターロイキン-31受容体の発現低下が関与する可能性があると考えられる。
 従って、以上の結果から考えれば、これらの疼痛疾患に対して、後根神経節インターロイキン-31受容体の発現増加をもたらすインターロイキン-31アゴニスト(特に、インターロイキン-31)が効果を有すると考えられる。
試験例5:インターロイキン-31の鎮痛作用
 インターロイキン-31の反復投与により知覚神経内にインターロイキン-31受容体発現を増加させた状態において上記改良型ホットプレート法により抗侵害刺激作用を検討した。
 具体的には、インターロイキン-31(50μg/kg、腹腔内投与)またはリン酸緩衝液(PBS)(0.1mL/kg、腹腔内投与)を12時間毎に4日間投与後、3(v/w)%TNCBをマウスの四足裏に塗布(0.04mL/部位)した後、その30分、1時間、2時間、4時間、および6時間経過後に、マウスをホットプレート上にのせ、上記改良型ホットプレート法(ホットプレートの温度:40±0.5℃)を行った。1群6例で行った。
 統計処理は、溶媒投与群とインターロイキン-31投与群との群間において行い、抗侵害刺激作用を2群のStudent t testにより有意差検定を行い、p値が0.05以下を有意差ありと判定した。
試験結果
 マウスの四足裏に溶媒(アセトンとエタノールの混液(アセトン:エタノール=1:4):Vehicle)を塗布した群においては、インターロイキン-31投与群およびPBS投与群のいずれの群においても30秒前後の逃避時間を示した。
 一方、3(v/w)%TNCB塗布群においては、塗布後30分から6時間に渡って顕著な逃避時間の短縮が観察され、PBS投与群では30分以降の各時点で逃避時間が10秒前後短縮した。一方で、インターロイキン-31投与群では、PBS投与群に比較して、塗布後0.5(30分)~6時間のいずれの時点でも逃避時間が延長されて、有意な抗侵害刺激作用の増加を示した(図6参照)。この結果からも、インターロイキン-31は単独投与によって鎮痛作用を示すことが分かる。
試験例6:インターロイキン-31とロキソプロフェンの併用投与の影響
 インターロイキン-31(50μg/kg、腹腔内投与)およびまたはリン酸緩衝液(PBS)(0.1mL/kg、腹腔内投与)を6時間毎に1日4回、2日間投与し、最終投与の1時間後に0.3(v/w)%カルボキシメチルセルロース水溶液(CMC)で懸濁調製したロキソプロフェンを経口投与して、ロキソプロフェンの鎮痛作用の影響を、上記改良型ホットプレート法により評価した。一方、上記ロキソプロフェンを懸濁調製するために用いた0.3(v/w)%カルボキシメチルセルロース水溶液(CMC)(溶媒)投与群を、ロキソプロフェン投与群に対する対照群とした。試験例6では、8週齢のBALB/c系雄性マウスを1群6例で使用して、ロキソプロフェンを5mg/kg、経口投与で実施した。また、ホットプレートの温度を35±0.5℃とした。測定はロキソプロフェン投与後の30分、60分、90分、および120分後に上記改良型ホットプレート法によりtest latencyを測定した。インターロイキン-31とロキソプロフェンの併用投与の効果の判定は、本試験においてはTNCB塗布前値(control latency)が全て60秒(カットオフ値)以上になり、抗侵害刺激作用が算出できないため、ロキソプロフェン投与後30分、60分、90分、および120分の各時点の総逃避時間の平均値に基づきAUC30-120として算出し、統計処理を行った。2群のStudent t testにより有意差検定を行い、p値が0.05以下で有意差ありと判定した。
試験結果
 35℃のホットプレート法においては、上記の通り、TNCBを用いない上記評価方法1のホットプレート方法ではほとんどのマウスの逃避時間は60秒(カットオフ値)以上であった。そこで、TNCBを用いたところ、TNCB塗布後30分経過後では約20秒にまで逃避時間は短縮した。TNCB塗布後30分、60分、90分、および120分の各時点の総逃避時間は、PBSおよび溶媒(PBS+CMC)投与群と比較して、PBSおよびロキソプロフェン投与群(PBS+Lox)、インターロイキン-31およびCMC投与群(IL-31+CMC)およびインターロイキン-31およびロキソプロフェン(IL-31+Lox)併用投与群は有意に総逃避時間が増加することが分かり、有意な抗侵害刺激作用を有することが分かった。さらに、ロキソプロフェン(PBS+Lox)投与群に比較しインターロイキン-31およびロキソプロフェン(IL-31+Lox)併用投与群も有意に総逃避時間が増加することが分かり、有意な抗侵害刺激作用を有することが分かった。この結果からも、インターロイキン-31はロキソプロフェン(Lox)などの非ステロイド系鎮痛剤に対してもその鎮痛作用を増強することが確認された(図7参照)。

Claims (19)

  1.  インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる、鎮痛剤。
  2.  インターロイキン-31アゴニストがインターロイキン-31である、請求項1に記載の鎮痛剤。
  3.  請求項1または2に記載の鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含んでなる、医薬組成物。
  4.  請求項1または2に記載の鎮痛剤が、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強するために用いられる、請求項3に記載の医薬組成物。
  5.  請求項1または2に記載の鎮痛剤を含んでなる、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果を増強するための医薬組成物。
  6.  他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果の増強が、鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の副作用の低減である、請求項4または5に記載の医薬組成物。
  7.  他の鎮痛剤または鎮痛補助剤の副作用の低減が、消化管傷害の低減、薬物依存性の低減、または鎮痛耐性形成の抑制である、請求項6に記載の医薬組成物。
  8.  他の鎮痛剤が、オピオイド性鎮痛剤または非ステロイド系鎮痛剤である、請求項3~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9.  オピオイド性鎮痛剤が、モルヒネ、フェンタニル、レミフェンタニル、ペチジン、ブプレノルフィン、オキシコドン、およびヘロインからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項8に記載の医薬組成物。
  10.  非ステロイド系鎮痛剤が、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ロキソプロフェン、アルミノプロフェン、およびフェルビナクからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項8に記載の医薬組成物。
  11.  鎮痛補助剤が、抗うつ薬、抗痙攣薬、局所麻酔剤、ステロイド剤、およびNMDA拮抗剤からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項3~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12.  疼痛疾患の処置または予防に用いるための、請求項1もしくは2に記載の鎮痛剤または請求項3~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13.  疼痛疾患が、癌性疼痛、手術後疼痛、炎症性疼痛、重篤な生理痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害痛、線維筋痛症、オピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す癌性疼痛、オピオイド性鎮痛薬に抵抗性を示す慢性神経因性疼痛、急性疼痛発症後に発現する慢性疼痛、またはムズムズ肢症候群である、請求項12に記載の鎮痛剤または医薬組成物。
  14.  請求項1または2に記載の鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを含んでなる、キット。
  15.  疼痛疾患の処置または予防に用いるための、請求項14に記載のキット。
  16.  鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として哺乳動物に投与する、鎮痛方法。
  17.  インターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤を哺乳動物に投与する、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤の鎮痛効果増強方法。
  18.  鎮痛上有効量のインターロイキン-31アゴニストを有効成分として含んでなる鎮痛剤と、他の鎮痛剤および/または鎮痛補助剤とを哺乳動物に投与する、鎮痛方法。
  19.  鎮痛剤の製造のための、インターロイキン-31アゴニストの使用。
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