WO2016158069A1 - 散気装置の固定具及び浄化槽 - Google Patents

Abstract

散気装置Ｅを固定するための固定具Ｆであって、散気装置Ｅが、同方向で芯ずれする複数の散気管６と、該複数の散気管６同士を連結する接続部１０とを備え、前後方向において散気装置Ｅの散気管６を所定位置に案内する第１ガイド部２３と、左右方向において散気装置Ｅの接続部１０を固定具Ｆの受け部に案内する第２ガイド部２１と、を備え、第１ガイド部２３と第２ガイド部２１とが一体に形成されている。

Description

散気装置の固定具及び浄化槽

　本発明は、散気装置を固定するための固定具に関する。

　従来の散気装置とその固定具としては、例えば、特許文献１に示すものが挙げられる。この特許文献に示されているように、浄化槽内の好気処理槽に配設される従来の散気装置は、好気処理槽の仕切壁に沿って垂設される空気供給管と、当該空気供給管の下端から水平方向に延びる一つの散気管とを備えており、側面視にてＬ字状の形状を有するものが一般的に知られている。

　上記散気装置を浄化槽に取り付ける従来の方法は、好気処理槽の仕切壁に沿って散気装置を下降させ、好気処理槽の仕切壁に設けられている固定具に嵌め込んで固定する。即ちこの方法では、散気装置を所定位置に固定するための左右方向の位置決めが好気処理槽の仕切壁によってなされ、前後方向の位置決めが固定具によってなされる。

特開平９－２９２７４号公報

　ところで、好気処理槽内の被処理水中で発生させる散気装置からの散気による上昇流は、好気処理槽の平面中央部で発生させることが散気効果を高める上で好ましい。しかしながら従来の散気装置は、空気供給管が好気処理槽の仕切壁に沿って配設されるため、好気処理槽の平面中央部で上昇流を発生させるには、空気供給管の下端に設けられている散気管を、好気処理槽の少なくとも底面中央部にまで達するように延出させる必要がある。

　従って従来の散気装置においては、その散気管の全長が長いものとなるため先端が浮き易くなる。その結果、散気管の水平姿勢が維持され難く、好気処理槽の平面中央部において上昇流が発生し難くなる場合が生じていた。

　本発明の目的は、好気処理槽の平面中央部において、散気装置の散気による上昇流をより確実に発生させて散気効果を向上させることにある。

　本発明に係る固定具の第１特徴構成は、散気装置を固定するための固定具であって、前記散気装置が、同方向で芯ずれする複数の散気管と、該複数の散気管同士を連結する接続部とを備え、前後方向において前記散気装置の散気管を所定位置に案内する第１ガイド部と、左右方向において前記散気装置の接続部を前記固定具の受け部に案内する第２ガイド部と、を備え、前記第１ガイド部と前記第２ガイド部とが一体に形成されている点にある。

〔作用及び効果〕
　本構成によれば、被処理水を湛えた好気処理槽において作業者が固定具を確認し難い状況にあったとしても、固定具の第１ガイド部及び第２ガイド部のそれぞれが前後方向及び左右方向に散気装置を案内するため、散気装置を確実に固定することができる。

　従って、本発明の固定具を好気処理槽の底面中央部に設置することにより、好気処理槽の底面中央部に散気装置を容易に設置することができるようになるため、好気処理槽の平面中央部において、より確実に上昇流を発生させることができる。さらに本構成によれば、接続部が固定具の受け部に収容されるため、散気管からの空気放出が固定具によって妨げられることがなく、より高い散気効果が発揮される。

　第２特徴構成は、前記散気装置の高さ位置を規定する係止部を備え、該係止部と前記第１ガイド部と前記第２ガイド部とが一体に形成されている点にある。

〔作用及び効果〕
　本構成によれば、散気装置の上下方向の位置を係止部によって規定することができるため、散気装置を固定具の受け部に嵌め込む際、散気装置をどこまで下げれば良いのか判断できずに上から力を加え過ぎて固定具を破壊してしまうということを防ぐことができる。

　第３特徴構成は、固定した前記散気装置の下方に隙間が形成される点にある。

〔作用及び効果〕
　本構成によれば、固定した散気装置の下方に隙間が形成されるため、例えば、好気処理槽中に複数の流動担体が存在する状況下で散気装置を固定する場合において、仮に流動担体が固定具の受け部に巻き込まれてしまったとしても、当該流動担体を隙間に逃がすことができるため、散気装置の固定になんら支障が生じることはない。

　第４特徴構成は、前後方向に延びる前記接続部の両端のそれぞれに、左右方向に延びる前記散気管が設けられており、前記散気管及び前記接続部が平面視でＨ字状に構成されている点にある。

〔作用及び効果〕
　本構成によれば、散気管及び接続部が平面視でＨ字状に構成されているため、散気管と接続部で構成される散気部分が所謂二軸型となり、従来の一軸型（一本）の散気管と比べて散気量を増やすことが可能となり、より高い散気効果が発揮される。

本発明に係る浄化槽の内部構成の概略を示す模式図である。 本発明に係る散気装置とその固定具の組み付け後の斜視図である。 本発明に係る散気装置とその固定具の組み付け前の斜視図である。 本発明に係る散気装置とその固定具の組み付け後の側面図である。 本発明に係る散気装置とその固定具の組み付け後の縦断正面図である。 本発明に係る固定具のその他の実施形態を示す斜視図である。

〔実施形態〕
　以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
（浄化槽）
　図１に示すように、本実施形態に係る浄化槽１は、上流側から嫌気ろ床槽Ａ１、第２嫌気ろ床槽Ａ２、好気処理槽Ｂ、沈殿槽Ｃ及び消毒槽Ｄを備えて構成されている。

　被処理水の原水は、原水流入口２から嫌気ろ床槽Ａ１に流入し、第２嫌気ろ床槽Ａ２、好気処理槽Ｂの順に下流へ移送されつつ分解処理され、沈殿槽Ｃ及び消毒槽Ｄを経て放流口４から槽外に放流される。

　好気処理槽Ｂは、微生物を担持した状態で被処理水と共に流動可能に構成してある複数の流動担体３を収容保持する。また好気処理槽Ｂの底面略中央に散気装置Ｅの散気管６が固定具Ｆにより固定されており、槽外に設置された図示しないブロワからの空気供給により、散気管６から気泡が放出されるよう構成されている。散気管６から気泡が放出されると、槽中央で上昇流及び槽側壁側で下降流が生じ、これにより流動担体３が槽内を旋回流動する。

　好気処理槽Ｂでは、流動担体３に付着した微生物の働きにより有機物の好気分解及びアンモニア態窒素の硝化反応が行われる。流動担体の一例としては、例えば、比重約１．０１、大きさ２０ｍｍ×２０ｍｍの角形スポンジ状担体が挙げられる。また流動担体３の構成素材としては、例えばポリウレタン（ＰＵ）が挙げられる。尚、流動担体３の形状、大きさ、構成素材については上記構成に限定されるものではなく、耐久性や処理性能が同等以上と判断され得るような構成であればどのような構成であっても良い。

　好気処理槽Ｂで処理された被処理水は、好気処理槽Ｂと沈殿槽Ｃとを仕切る仕切壁Ｗの下部の移流口Ｈから沈殿槽Ｃに流れる。

（散気装置）
　図２の２方向矢印に示すように、本明細書中便宜上、前後方向とはＸ-Ｘ方向、左右方向とはＹ－Ｙ方向、及び上下方向とはＺ－Ｚ方向を示すものとする。

　図２及び図３に示すように、本実施形態に係る散気装置Ｅは、散気部５と、該散気部５に空気を供給する空気供給管８と、散気部５と空気供給管８とを接続する接続部１０とを備えて構成されている。

　散気部５は、空気を放出可能な円筒状多孔質の散気管６を備えて構成されている。散気管６の構成素材としては、例えばポリエチレン（ＰＥ）が挙げられる。尚、散気管６の一端の開口は、キャップ部材７が取り付けられて塞がれている。

　接続部１０は、前後方向に延びる円筒状の本体部分１１と、本体部分１１の前後両端のそれぞれにおいて左右方向に延びる円筒状の散気管取付部分１２とを備える。空気供給管８を取り付けるための円筒状の供給管取付部分１４が、本体部分１１の前後方向中央部分において上向きに突設されている。散気管取付部分１２は、外周面に２つの鍔１３を備えており、その鍔１３よりも小径の小径部分（図示せず）を左右両端に備える。接続部１０の構成素材としては、例えばポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）が挙げられる。尚、本実施形態における接続部１０は３つのツバ付きチーズを組み合わせることによって構成されている。

　空気供給管８は、円筒管を備えて構成されている。尚、本実施形態では、上端部にエルボ継手９が設けられている。空気供給管８の構成素材としては、例えばポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）が挙げられる。

　散気装置Ｅを組み立てる際は、先ず、接続部１０の図示しない４つの小径部分のそれぞれに散気管６を取り付ける。この取り付けは、散気管取付部分１２における４つの小径部分のそれぞれに対して、散気管６の端部開口（キャップで塞がれていない側）を外嵌する。このとき、散気管６が散気管取付部分１２の鍔１３に当たるまで押し込むようにして取り付ける。最後に、空気供給管８の下端を接続部１０の供給管取付部分１４の中に嵌め込む。

　本発明における散気装置Ｅは、同方向で芯ずれする複数の散気管６と、該複数の散気管６同士を連結する接続部１０とを備える。即ち、本発明における散気装置Ｅの散気部分（散気管６と接続部１０で構成される部分）は、多軸型に構成される。

　本実施形態における散気部分は、散気管６と接続部１０の本体部分１１とが平面視で互いに直交してＨ字状に構成される所謂「二軸型」であるが、二軸型のその他の実施形態としては、例えば平面視でコの字状やクランク状といった形状が挙げられる。また、複数の散気管６のそれぞれの上下方向の位置、即ち軸の高さについては、必ずしも同じ高さに設定しなくとも良い。

（固定具）
　図３～図５に示すように、本実施形態に係る固定具Ｆは、同一形状の２つ支持部材２０を備えて構成されている。
　各支持部材２０は、第１傾斜面２１、第１折り曲げ部２４、第２傾斜面２５、第２折り曲げ部２６、第３傾斜面２７、接合部２８、底板部２９を備えて構成されている。

　図３及び図５に示すように、支持部材２０の第１傾斜面２１、第１折り曲げ部２４、第２傾斜面２５、第２折り曲げ部２６、及び第３傾斜面２７が、縦断面にてクランク状に折り曲げられたような形状に成形されている。接合部２８は第３傾斜面２７の下端から略鉛直に延びている。底板部２９は、接合部２８の下端で第１傾斜面２１のある側に略直角に折り曲げられて水平面を形成するように成形されている。

　図３及び図４に示すように、第３傾斜面２７の前後方向両端部分のそれぞれには、略直角に切り欠かれたような段部３０が形成されている。

　第１傾斜面２１の上端部分には、その前後方向中央部分に形成された頂部２２と、頂部２２の両端のそれぞれから所定角度で下降傾斜する傾斜部２３が形成されている。

　第３傾斜面２７、接合部２８、及び底板部２９に亘る切欠き部３１が、前後方向の略中央部分に形成されている。

　固定具Ｆを組み立てる際は、２つの支持部材２０の接合部２８同士を突き合わせて接合させ、左右対称な形状とする。次いで、接合部２８に設けられているネジ穴を介して、両方の接合部２８に亘るようにネジ止めして２つの支持部材２０を接合固定する。

　図５に示すように、本実施形態においては、２つの支持部材２０のそれぞれの第２傾斜面２５、第２折り曲げ部２６、及び第３傾斜面２７によって構成される部分が、固定具Ｆの受け部３２となる。受け部３２には、散気装置Ｅの接続部１０が収容される。

　また本実施形態においては、支持部材２０の傾斜部２３が、前後方向において上記散気装置Ｅの散気管６を所定位置に案内する第１ガイド部を構成し、支持部材２０の第１傾斜面２１が、左右方向において上記散気装置Ｅの接続部１０を受け部３２に案内する第２ガイド部を構成する。また、支持部材２０の段部３０が、上記散気装置Ｅの高さ位置を規定する係止部を構成する。本実施形態では、固定具Ｆにおいて、第１ガイド部と第２ガイド部と係止部とが一体に形成されている。

　支持部材２０の構成素材としては、例えば繊維強化プラスチック（ＦＲＰ）が挙げられる。また支持部材２０は、例えば公知のハンドレイアップ成形法によって製造することができる。

　本実施形態において、支持部材２０の第１傾斜面２１、第１折り曲げ部２４、第２傾斜面２５、第２折り曲げ部２６、第３傾斜面２７、接合部２８、底板部２９、段部３０、並びに第１傾斜面２１の上端部分における頂部２２及び傾斜部２３は一体成形されている。

　固定具Ｆのその他の実施形態としては、例えば図６に示すような箱状の構成としても良い。尚、上述の実施形態における構成と同様の作用・効果を有する構成については同じ符号を付して説明を省略する。

　上述の実施形態では固定具Ｆが２つの支持部材２０を接合させて構成されるものであるが、図６の実施形態における固定具Ｆは一部材で構成されている。また、本実施形態において、円弧状の湾曲面を備える受け部３２は、係止部としての機能も兼ねる。従って、本実施形態の固定具Ｆにおいては、第１ガイド部の傾斜部２３、第２ガイド部の第１傾斜面２１、受け部３２、及び係止部が一体成形されており、部品点数が少なくて済み、製造コストを削減することができる。

（固定方法）
　先ず、好気処理槽Ｂの底面の所定位置、例えば平面視において略中央の位置に固定具Ｆを固定する。固定の際は、例えば底板部２９の裏面に接着剤を塗布して好気処理槽Ｂの底面に張り付けようにすれば良い。尚、好気処理槽Ｂの底面に補強用のリブが立設されている場合には、固定部の切欠き部３１に当該リブを嵌め込むようにして接着すると良い。これにより、平面視における固定部の向きが定められた状態で固定具Ｆが固定される。

　次いで、固定具Ｆに散気装置Ｅを取り付ける。固定具Ｆの上方から散気装置Ｅを近づけると、散気装置Ｅの散気管６が固定具Ｆの傾斜部２３に摺接しながら前後方向の所定位置に移動する。本実施形態では、一方の軸をなす散気管６が、固定具Ｆの前後方向の一端側に案内されると共に、他方の軸をなす散気管６が固定具Ｆの前後方向の他端側に案内される。

　散気管６が所定位置に案内されると同時に、散気装置Ｅの本体部分１１が固定具Ｆの第１傾斜面２１に摺接しながら左右方向に移動し、受け部３２の上方、即ち第１折り曲げ部２４付近に案内される。

　２つの第１折り曲げ部２４間の左右方向の距離は、散気装置Ｅの本体部分１１の直径よりも少し小さく設定されている。従って、散気装置Ｅの本体部分１１が第１折り曲げ部２４付近に到達した際、上から力を加えて本体部分１１を押し込む必要がある。これにより、２つの第１折り曲げ部２４が本体部分１１により左右方向に押し広げられつつ、本体部分１１が下方に移動して受け部３２に収容される。本体部分１１が受け部３２に収容されると、２つの第１折り曲げ部２４はその弾性復元力により元の位置に戻る。

　そして、散気装置Ｅの接続部１０又は散気管６の端部が、固定具Ｆの段部３０に当接して係止され、これにより散気装置Ｅの高さ位置が規定される。このとき、図５に示すように、散気装置Ｅの本体部分１１の下方に、縦断面が逆三角形状の隙間Ｓが形成される。

　尚、本実施形態においては、固定具Ｆに対して散気装置Ｅが着脱自在に固定される。散気装置Ｅを固定具Ｆから取り外すときは、散気装置Ｅを上方に引き上げれば良い。これにより、２つの第１折り曲げ部２４が本体部分１１により左右方向に押し広げられつつ、本体部分１１が上方に移動して受け部３２から抜け出ることになる。本体部分１１が受け部３２から抜け出ると、２つの第１折り曲げ部２４はその弾性復元力により元の位置に戻る。

〔その他の実施形態〕
　１．本発明に係る散気装置及びその固定具の適用については、必ずしも浄化槽に限定されるものではない。
　２．上述の実施形態における固定具Ｆの段部３０（係止部）は、第１ガイド部２３及び第２ガイド部２１と必ずしも一体に形成されていなくても良い。
　３．上述の実施形態における散気装置Ｅの下方の隙間Ｓは、必ずしも形成されなくても良い。
　４．上述の実施形態における散気管６と本体部分１１とは、直交する場合（平面視にて９０度で交差する場合）に必ずしも限られず、前後方向に案内される形状であれば、散気管６が本体部分１１に対して平面視で斜めに取り付けられているような概ね直交する形状であっても良い。

　本発明に係る散気装置とその固定具は、例えば浄化槽において好適に用いることができる。

１　浄化槽
２　原水流入口
３　流動担体
４　放流口
５　散気部
６　散気管
７　キャップ部材
８　空気供給管
９　エルボ継手
１０　接続部
１１　本体部分
１２　散気管取付部分
１３　鍔
１４　供給管取付部分
２０　支持部材
２１　第１傾斜面（第２ガイド部）
２２　頂部
２３　傾斜部（第１ガイド部）
２４　第１折り曲げ部
２５　第２傾斜面
２６　第２折り曲げ部
２７　第３傾斜面
２８　接合部
２９　底板部
３０　段部（係止部）
３１　切欠き部
３２　受け部
Ａ１　嫌気ろ床槽
Ａ２　第２嫌気ろ床槽
Ｂ　好気処理槽
Ｃ　沈殿槽
Ｄ　消毒槽
Ｅ　散気装置
Ｆ　固定具
Ｗ　仕切壁
Ｈ　移流口
Ｓ　隙間

Claims (5)

1. 　散気装置を固定するための固定具であって、
   　前記散気装置が、同方向で芯ずれする複数の散気管と、該複数の散気管同士を連結する接続部とを備え、
   　前後方向において前記散気装置の散気管を所定位置に案内する第１ガイド部と、
   　左右方向において前記散気装置の接続部を前記固定具の受け部に案内する第２ガイド部と、を備え、
   　前記第１ガイド部と前記第２ガイド部とが一体に形成されていることを特徴とする固定具。
2. 　前記散気装置の高さ位置を規定する係止部を備え、該係止部と前記第１ガイド部と前記第２ガイド部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項１に記載の固定具。
3. 　固定した前記散気装置の下方に隙間が形成されることを特徴とする請求項２に記載の固定具。
4. 　前記散気装置が、前後方向に延びる前記接続部の両端のそれぞれに、左右方向に延びる前記散気管が設けられており、前記散気管及び前記接続部が平面視でＨ字状に構成されていることを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の固定具。
5. 　請求項１～４のいずれか１項に記載の固定具を備える浄化槽。

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