WO2016080140A1 - インクジェット用水性インク組成物 - Google Patents

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Abstract

 耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性等の定着性に優れたインクジェット用水性インク組成物を提供する。本発明のインクジェット用水性インク組成物は、自己分散性を有する顔料と、ワックスとを含むインクジェット用水性インク組成物であって、前記顔料が、顔料粒子の表面にポリマーが結合されたものであり、前記ワックスが融点120℃~140℃のポリエチレン系ワックスであり、かつ、バインダーを含有しないことを特徴とする。

Description

インクジェット用水性インク組成物
 本発明はインクジェット用水性インク組成物に関し、より詳細には、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性等の定着性に優れたインクジェット用水性インク組成物に関する。
 インクジェット記録方法は、色材や機能材料を含むインクを液滴に分離し、この液滴を画像信号に応じて紙等の記録媒体に向けて吐出し、付着させて印刷を行う方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまでオフセット印刷によって実現されてきた高精細印刷の分野に於いてもインクジェット記録方法が用いられるようになっている。それに伴い、オフセット印刷の分野で用いられる印刷コート紙等の記録媒体に使用可能なインクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という。)の開発がなされている。しかし、従来提案されている水性インク組成物では記録媒体に印刷された画像の耐擦過性に優れているとはいえず、オフセット印刷物に比べ色移り度合いが大きいという問題がある。
 この点に関し、例えば、下記特許文献1には、分散性、吐出性が良好で、優れた耐傷、耐擦過性を有すると共に、高い発色性と光沢を有するインクジェット記録用水性インク組成物の提供を課題として、ポリオレフィンワックスと、水分散性ウレタン樹脂を含有したものが開示されている。当該特許文献1によれば、良好な耐傷性、耐擦過性を有すると共に、優れた発色性と高い光沢を達成できるとされている(例えば、段落[0004]等)。
 また、下記特許文献2には、インク安定性、メンテナンス性に優れ、かつ、得られた画像のプレスブロッキングの発生が抑制されたインク組成物の提供を目的として、水不溶性樹脂によって被覆されている顔料、ガラス転移温度が100℃以上の水不溶性ポリマー粒子、固体湿潤剤、水溶性有機溶剤、融点が40℃以上100℃未満のワックス粒子及び水を含有するインク組成物が開示されている(例えば、請求項1等)。
WO2011/093486 特開2011-162692号公報
 しかしながら、前記各特許文献に記載の水性インク組成物でインクジェット記録方法により高精細の印刷を行っても、印刷画像の耐擦過性が十分ではないという問題がある。
 本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性等の定着性に優れたインクジェット用水性インク組成物を提供することにある。
 本願発明者等は、前記問題点を解決すべく、インクジェット用水性インク組成物について検討した結果、下記構成を採用することにより前記の問題点を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
 即ち、本発明に係るインクジェット用水性インク組成物は、前記の課題を解決する為に、自己分散性を有する顔料と、ワックスとを含むインクジェット用水性インク組成物であって、前記顔料が、顔料粒子の表面にポリマーが結合されたものであり、前記ワックスが融点120℃~140℃のポリエチレン系ワックスであり、かつ、バインダーを含有しないことを特徴とする。
 本発明のインクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という。)は、顔料として、顔料粒子の表面にポリマーが結合されたものを含むので、例えば、インクジェット記録方法にて紙等の記録媒体に当該水性インク組成物を付着させて印刷した場合にも定着性に優れ、耐擦過性やテープ剥離性を向上させることができる。また、前記の構成では、ポリエチレン系ワックスを含有するので、(インクの)塗膜表面にスリップ性を付与することができ、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性の向上が図れる。さらに、ポリエチレン系ワックスとしては、融点が120℃~140℃の範囲内のものを用いるので、印刷塗膜の表面の擦過による摩擦熱によって当該ポリエチレン系ワックスが熱変形ないし溶融するのを抑制し、耐擦過性の低下を防止することができる。すなわち、前記構成であると、顔料を記録媒体表面に定着させるためのバインダーの含有を省略しても、当該記録媒体に対する定着性に優れた水性インク組成物を提供することができる。
 前記の構成に於いては、前記顔料における顔料粒子とポリマーの質量比が14:3~14:6の範囲内であることが好ましい。顔料粒子とポリマーの質量比において、前記数値範囲におけるポリマーの割合を3以上にすることにより、水性インク組成物の記録媒体に対する定着性の低下を抑制することができる。その一方、ポリマーの割合を6以下にすることにより、水性インク組成物の粘度が増加し過ぎて飛翔性が低下するのを防止することができる。
 また、前記の構成に於いて、前記ポリマーはアルキル化合物又は芳香族化合物であり、前記顔料粒子に対し、NH結合若しくはN-C=N結合を介して結合し、又は当該顔料粒子のアニオン基にNH結合を介して結合されており、前記アニオン基は、カルボキシル基、スルホン基、フェニル基及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、さらに、前記ポリマーの末端には、前記顔料粒子に自己分散性を付与する親水性基が結合されていることが好ましい。
 さらに、前記の構成に於いては、前記ポリマーの質量平均分子量が300~20000の範囲内であることが好ましい。ポリマーの質量平均分子量を300以上にすることにより、水性インク組成物の記録媒体に対する定着性の低下を抑制することができる。その一方、ポリマーの質量平均分子量を20000以下にすることにより、顔料の分散性が低下するのを防止することができる。また、水性インク組成物が記録媒体上に付着した際に、塗膜が硬くなり過ぎるのを防止することができる。
 さらに、前記の構成に於いては、前記ポリエチレン系ワックスの含有量が、水性インク組成物の全質量に対し固形分換算で0.5質量%~5質量%の範囲内であることが好ましい。ポリエチレン系ワックスの含有量を0.5質量%以上にすることにより、印刷塗膜表面でのスリップ性、及び耐摩擦性を一層向上させることができる。その一方、ポリエチレン系ワックスの含有量を5質量%以下にすることにより、ビーディングの発生を抑制することができる。
 本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
 即ち、本発明のインクジェット用水性インク組成物によれば、顔料粒子の表面にポリマーが結合された自己分散性を有する顔料を含有させることにより、記録媒体に対する水性インク組成物の定着性を向上させることができる。また、ポリエチレン系ワックスを含有しているので、(インクの)塗膜表面にスリップ性を付与することができ、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性の向上が図れる。さらに、ポリエチレン系ワックスとしては、融点が120℃~140℃の範囲内のものを用いるので、印刷塗膜の表面の擦過による摩擦熱によって当該ポリエチレン系ワックスが熱変形ないし溶融するのを抑制し、耐擦過性の低下を防止することができる。すなわち、本発明であると、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性等の定着性に優れたインクジェット用水性インク組成物を提供することができる。
(インクジェット用水性インク組成物)
 本実施の形態の水性インク組成物は、自己分散性を有する顔料とポリエチレン系ワックスとを含み、主溶媒が水である水性インクである。但し、バインダーとして機能する、アクリル-スチレン、ウレタン、ポリエステル等のエマルション、及び水溶性樹脂等の含有を省略することができる。また、本実施の形態の水性インク組成物はインクジェット記録用として好適に用いられるものである。色材として顔料を用いることから、本実施の形態の水性インク組成物は本来的には、染料を用いたインク組成物と比較して発色性や耐候性、耐水性等の点で優れている。尚、本実施の形態に於いて、「自己分散性」とは、分散剤が存在しない水性インク組成物においても、水性分散体として分散性を示すことを意味する。
 前記顔料は、顔料粒子の表面に、ポリマーが結合基(詳細については後述する。)を介して結合された構造を有している。さらに、前記ポリマーの末端には、顔料粒子に自己分散性を付与する親水性基(水分散性官能基)が結合されていることが好ましい。ここで、親水性基とは、静電的相互作用や水素結合により水分子と弱い結合を形成し、水に対して親和性を示す原子団を意味し、本実施の形態に於いては、特に、顔料に対し水分散性を付与する官能基としての機能を有している。
 本実施の形態の顔料における顔料粒子としては特に限定されず、有機顔料粒子、無機顔料粒子の何れを用いることもできる。前記有機顔料粒子としては、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、チオインジゴ系顔料、トリフェニルメタンレーキ系顔料又はオキサジンレーキ系顔料等が挙げられる。より具体的には、黄色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、16、17、65、74、83、97、138、150、151、155が挙げられる。赤色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、37、38、41、48、49、50、51、52、57、58、60、64、83、88、89、90、112、114、122、123、166、188、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。青色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:3、15:4、16、25、75が挙げられる。緑色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、36が挙げられる。黒色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、7が挙げられる。市販されている着色顔料としては、例えばピグメントレッド122、ピグメントバイオレット19(Lansco Colors,Montvale,NJ社、又はBASF Color,Charlotte,NC社、又はClariant Colors,Charlotte,NC社、又はSun Chemical,Cincinnati,OH社から販売されているもの)、ピグメントブルー15:1(Fanwood Chemical,Fanwood,NJ社から販売されているもの)、ピグメントブルー15:3、ピグメント15:4、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー97(BASF Color,Charlotte,NC、又はClariant Colors,Charlotte,NC、又はSun Chemical,Cincinnati,OH社から販売されているもの)が挙げられる。
 また、前記無機顔料粒子として、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては特に限定されず、酸性カーボンブラック、中性カーボンブラック、アルカリ性カーボンブラックが挙げられ、より具体的には、チャンネルブラック、ガスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラックが挙げられる。これらのカーボンブラックのうち、本実施の形態に於いてはチャンネルブラックが好ましい。尚、カーボンブラックの品質は、平均粒径、不透明度、色合い、安定性等の分散液の重要な特性に影響を与える場合がある。
 また、前記カーボンブラックとしては市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、Elftex 8、Black Pearls(登録商標。以下、同様。)490、Black Pearls 120、Monarch(登録商標。以下、同様。)120、Monarch 700、Monarch 880、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400、Mogul(登録商標)L、Regal(登録商標。以下、同様。)99R、Regal 250R、Regal 300R、Regal 330R、Regal 400R、Regal 500R、Regal 660R(いずれもCabot社製)等が挙げられる。また、NIPex(登録商標。以下、同様。)150IQ、NIPex 150、Printex(登録商標。以下、同様。)55、Printex 80、Printex 90、Printex A、Printex G、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Purex(登録商標)LS35、Corax(登録商標)HP160、Thermal Black N990、NIPex(登録商標)160IQ、NIPex(登録商標)90、Special black 4、Specialblack 4A、Special black 5、Special black 6、Special black 100、Special black 250、Color black FW1、Color black FW2、Color black FW2V、Color black FW18、Color black FW200、Color black S150、Color black S160、又はColor black S170(いずれもDegussa社製)等が挙げられる。また、Raven(登録商標。以下、同様。)780、Raven 5000UII、Raven 1255、Raven 2500U、Raven 3600U、Raven 3500、Raven 7000、Raven 1220、又はRaven 1225(いずれもColumbian社製)等が挙げられる。また、MA8、MA11、MA77、MA100、MA220、MA230、MA600、MCF88、#10B、#20B、#30、#33、#40、#44、#45、#45L、#50、#55、#95、#260、#900、970#、#1000、#2200B、#2300、#2350、#2400B、#2650、#2700、#4000B、又はCF9(いずれも三菱化学株式会社製)等が挙げられる。
 前記顔料粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)については特に限定されず、適宜必要に応じて設定され得る。通常は10nm~1000nmの範囲内のものが好ましく、50nm~200nm範囲内のものがより好ましい。尚、平均粒子径はマイクロトラックUPA-EX150(商品名、日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により測定した値である。
 前記ポリマーとしては特に限定されず、例えば、主鎖にアルキル鎖を有するアルキル化合物や芳香族化合物等が挙げられる。より具体的には、ポリスチレン-コ-無水マレイン酸樹脂(SMA)、ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)クメン末端樹脂(分子量1700~1900、Aldrich社製)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA、Akzo Nobel社製)、スチレン-アクリル(SA)、300~3000MWの公知の分子量範囲を有する直鎖状アルキル、分岐エトキシ又はプロポキシ鎖ポリマー(Surfonamine(登録商標) B30、 L100、 L300、 B60、L207(Huntsman製))、直鎖状ポリエトキシポリマーアミン、直鎖状プロポキシポリマーアミン、スチレンアクリルコポリマー(商品名;Joncryl HPD 96, HPD 296, HPD 196(BASF社製))、ポリエチレンイミン(商品名;エポミン SP-012、(株)日本触媒)等が挙げられる。
 前記ポリマーの質量平均分子量は300~20000の範囲内が好ましい。ポリマーの質量平均分子量を300以上にすることにより、水性インク組成物の記録媒体に対する定着性の低下を抑制することができる。その一方、ポリマーの質量平均分子量を20000以下にすることにより、顔料の分散性の低下を防止することができる。また、水性インク組成物が記録媒体上に付着した際に、塗膜が硬くなり過ぎるのも防止することができる。尚、ポリマーの質量平均分子量においては、当該ポリマーの末端に結合されている親水性基の質量平均分子量は除かれている。
 また、本実施の形態の顔料としては、前記の顔料粒子とポリマーとの任意の組合せによるもののほか、市販品を用いることができる。そのような市販品としては、例えば、Sensijet(登録商標。以下、同様。) Ultra Magenta PR122、Sensijet Cyan PB15:3、Sensijet Ultra Cyan PB15:4、Sensijet Blue PB 60、Sensijet GreenPG 7、Sensijet Magenta PR 122、Sensijet Red PR 254、Sensijet Orange PY 83、Sensijet Yellow PY 120、Sensijet Magenta PV19、Sensijet Cyan PB15:3、Sensijet Yellow PY155、Sensijet Black PB 094、Sensijet Black SDP顔料分散物(100、1000および2000)(何れも商品名、Sensient社製)等が挙げられる。
 前記ポリマーは、前記顔料粒子の表面に、NH結合若しくはN-C=N結合の結合基を介して結合された構造を有し、又は、顔料粒子のアニオン基に、当該ポリマーがNH結合の結合基を介して結合された構造を有している。前記アニオン基としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基、スルホン基、フェニル基、リン酸基等が挙げられる。
 また、前記ポリマーの顔料に結合している側と反対側の末端には、親水性基が結合されていることが好ましい。これにより、顔料に分散性を付与することができ、水性インク組成物中に分散剤が含有されていなくとも、自己分散することができる。前記親水性基としては特に限定されないが、例えば、水素、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン基、フェニル基、リン酸基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基等が挙げられる。
 前記顔料粒子とポリマーの質量比は、14:3~14:6の範囲内であることが好ましい。顔料粒子とポリマーの質量比において、前記数値範囲におけるポリマーの割合を3以上にすることにより、水性インク組成物の記録媒体に対する定着性の低下を抑制することができる。その一方、ポリマーの割合を6以下にすることにより、水性インク組成物の粘度が増加し過ぎて飛翔性が低下するのを防止することができる。
 前記顔料の水性インク組成物中における含有量は画像濃度に直接影響するものであり、水性インク組成物の保存性や粘度、pH等にも影響を及ぼすものである。従って、顔料の含有量は、これらの点を考慮して適宜設定すればよい。通常は、水性インク組成物の全質量に対し固形分換算で1質量%~20質量%の範囲が好ましく、5質量%~15質量%の範囲内がより好ましい。顔料の含有量を1質量%以上にすることにより、画像濃度の低下を抑制することができる。その一方、顔料の含有量を20質量%以下にすることにより、光沢性の低下やノズルの目詰まり、吐出安定性の低下を防止することができる。
 前記ポリエチレン系ワックスは、水性インク組成物中において、微粒子状態(即ち、エマルジョン状態又はサスペンション状態)で含有されていることが好ましい。ポリエチレン系ワックスを微粒子状態で含有することにより、水性インク組成物の粘度をインクジェット記録方式に於いて適正な範囲に調整しやすくなる。また、良好な保存安定性及び吐出安定性の維持が図れる。ポリエチレン系ワックスは、常法により水に乳化したものが使用される。
 前記ポリエチレン系ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、エチレンとメタクリル酸あるいはアクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマーからなる共重合体ワックス、酸化ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、市販品としては、例えば、JONCRYL(登録商標) WAX 26J(BASFジャパン(株)製)、AQUACER(登録商標)513(ビックケミージャパン(株)製)、ケミパール(登録商標)W900、ケミパールWF4KX12(何れも三井化学(株)製)、HYTEC E-6500、HYTEC E-9015、HYTEC E-1000、HYTEC E-4A(何れも東邦化学(株)製)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
 尚、本実施の形態に於いては、水性インク組成物中に天然ワックス(例えば、石油系ワックス、植物系ワックス、動植物系ワックス等)等の他のワックスを混合させることは、ビーディング等の発生の観点から好ましくない場合がある。
 ポリエチレン系ワックスの融点としては120℃~140℃の範囲内であり、好ましくは130℃~140℃の範囲内である。ポリエチレン系ワックスとして融点が120℃以上のものを用いることにより、印刷塗膜の表面の擦過による摩擦熱によって当該ポリエチレン系ワックスが熱変形ないし溶融し、耐擦過性が低下するのを防止することができる。
 前記ポリエチレン系ワックスの平均粒子径(D50)としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
 ポリエチレン系ワックスの含有量としては、水性インク組成物の全質量に対し固形分換算で0.5質量%~5質量%の範囲が好ましく、0.5質量%~1.5質量%の範囲内がより好ましい。ポリエチレン系ワックスの含有量を0.5質量%以上にすることにより、印刷塗膜表面でのスリップ性の向上、及び耐摩擦性の一層の向上が図れる。その一方、ポリエチレン系ワックスの含有量を5質量%以下にすることにより、ビーディングの発生を抑制することができる。
 本実施の形態の水性インク組成物中には、乾燥促進、インクジェットヘッドの吐出安定性の向上、保湿性の付与等の観点から、湿潤剤(乾燥防止剤)として水溶性有機溶媒が含まれているのが好ましい。前記水溶性有機溶媒としては、例えば、炭素数が2~10のアルカン若しくはアルケンのジオール、又はトリオール等を用いることができる。これらの水溶性有機溶媒のうち、乾燥性と湿潤性の両立の観点からは、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールが好ましい。また、これらの水溶性有機溶媒は、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
 但し、本実施の形態の水性インク組成物中には、グリセリンを実質的に含有しない方が好ましい。これにより、印刷物の乾燥性が低下するのを防止することができる。その結果、種々の記録媒体、特にインク非吸収性又は低吸収性の記録媒体に於ける、画像の定着性の低下を抑制することができる。
 前記水溶性有機溶媒の含有量としては特に限定されず、必要に応じて適宜設定され得る。通常は、水性インク組成物の全質量に対し6質量%~40質量%の範囲が好ましく、8質量%~35質量%の範囲内がより好ましく、10質量%~35質量%の範囲内が特に好ましい。
 また、本実施の形態の水性インク組成物中には、グリコールエーテル類が含まれていてもよい。これにより、他の成分の水性インク組成物に対する溶解性を向上させることができる。また、後述の界面活性剤等と比較して、過度な表面張力の低下を引き起こすことなく、記録媒体に対する浸透性の向上が図れる。これにより、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対しても、濃淡ムラが少ない高精細な画像の記録を可能にする。
 前記グリコールエーテル類の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
 前記グリコールエーテル類の含有量は、他の成分の水性インク組成物に対する溶解性、記録媒体に対する濡れ性、浸透性を向上させて濃淡ムラを低減させる効果、水性インク組成物の保存安定性及び吐出安定性の確保等の観点から適宜設定することができる。通常は、水性インク組成物の全質量に対して0.1質量%~40質量%の範囲内が好ましい。0.1質量%以上にすることにより、水性インク組成物の濡れ性、浸透性、乾燥性が低下するのを防止し、高精細の印刷画像を得ることができる。また、印刷濃度(発色性)の確保も図れる。その一方、40質量%以下にすることにより、水性インク組成物の粘度が高くなり過ぎるのを防止し、ヘッドノズルの目詰まりの発生を抑制することができる。また、水性インク組成物中での溶解性の低下を防止し、保存安定性の確保が図れる。
 また、本実施の形態の水性インク組成物中には、界面活性剤が含まれていてもよい。印刷画像の画質やインクの乾燥時間はインクの記録媒体表面に対する濡れ性及び浸透性に依存する。水性インク組成物中に界面活性剤を添加することにより、当該水性インク組成物の液滴と記録媒体の界面の界面張力を低下させるので、液滴の濡れ性及び浸透性を向上させることができる。その結果、濃淡ムラの少ない高精細の画像を印刷することができる。前記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
 前記アセチレングリコール系界面活性剤は、例えば、ノニオン系界面活性剤と比較して、表面張力及び界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性もほとんどないという特性を有する。従って、アセチレングリコール系界面活性剤を水性インク組成物中に配合することにより、表面張力やヘッドノズル面等のインクと接触するプリンター部材との界面張力を適正に保つことができる。その結果、ヘッドノズルに於ける液滴の吐出安定性を高めることができる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、記録媒体に対して良好な濡れ性を示し、浸透剤としても作用するため、濃淡ムラや滲みが発生するのを低減して高精細の印刷画像を得ることができる。
 前記アセチレングリコール系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(商品名、いずれもAir Products and Chemicals.Inc.社製)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
 前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、水性インク組成物の全質量に対して、0.2質量%~3質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%~2質量%の範囲内であることがより好ましい。
 また、前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳細には、BYK-306、307、333、341、345、346、348(商品名、いずれもビックケミージャパン(株)製)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
 前記シリコーン系界面活性剤の含有量は、水性インク組成物の全質量に対して、0.2質量%~3質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%~2質量%の範囲内であることがより好ましい。
 本実施の形態に係る水性インク組成物に於いては、水(主溶媒としての水)を含有する。前記水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものを用いるのが好ましい。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、水の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
 本実施の形態に係る水性インク組成物は、前記顔料を記録媒体表面に定着させるためのバインダー樹脂(例えば、水分散製ウレタン樹脂等)の含有を省略することができる。バインダー樹脂を含有しなくても、本実施の形態の水性インク組成物は記録媒体に対する、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性等の定着性に優れている。その結果、バインダー樹脂を水性インク組成物中に溶解させるための有機溶媒の添加の省略が図れる。
 更に、本実施の形態の水性インク組成物は、その他の添加剤として、更にpH調整剤、防腐防かび剤、キレート化剤等を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は適宜必要に応じて設定され得る。
 前記pH調整剤としては特に限定されず、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
 前記防腐防かび剤としては特に限定されず、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ジベンジソチアゾリン-3-オン等が挙げられる。防腐防かび剤の添加により、微生物の発生を抑制し、ノズル詰まりを防止することができる。
 前記キレート化剤としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。キレート化剤の添加によりノズル詰まり等の発生を防止することができる。
 (インクジェット用水性インク組成物の製造方法)
 本実施の形態の水性インク組成物は、前述の各成分を適宜な方法で分散・混合することよって製造することができる。即ち、例えば、均一な顔料分散液に、別途調製したポリエチレン系ワックスを加え、更に水及び水溶性有機溶剤等にて希釈する。その後、十分に撹拌し、必要に応じて、目詰まりの原因となる粗大粒径及び異物を除去するための濾過を行う。これにより、本実施の形態に係る水性インク組成物を得ることができる。
 各材料の混合方法としては特に限定されず、例えば、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合を行う。また、濾過方法としては特に限定されず、例えば、遠心濾過、フィルター濾過等を採用することができる。
(インクジェット記録方法)
 次に、本実施の形態のインクジェット記録方法について説明する。
 本実施の形態のインクジェット記録方法は、微細なノズルより任意の記録媒体に前記水性インク組成物を液滴として吐出し、その液滴を記録媒体に付着させることにより行うことができる。吐出方法としては特に限定されず、例えば、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型等)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等)等の公知の方法を採用することができる。
 前記記録媒体としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。本実施の形態の水性インク組成物は、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対しても、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性等の定着性に優れ、高精細の画像を印刷することが可能だからである。具体的には、例えば、一般の印刷用紙、コート紙、アート紙、紙器用紙等が挙げられる。
 記録媒体に前記インクジェット用水性インク組成物の液滴を吐出して付着させた後は、当該付着した液滴を当該インクジェット用水性インク組成物中に含まれるポリエチレン系ワックスの融点より低い温度で加熱乾燥させるのが好ましい。これにより、ポリエチレン系ワックスを熱溶融又は溶融させることなく粒子の形状を維持した状態で、印刷塗膜中に存在させることができる。その結果、耐擦過性やテープ剥離、耐スクラッチ性に優れた印刷画像を記録媒体上に印刷することができる。尚、このときの加熱温度は、記録媒体表面の温度を意味する。また、加熱温度の下限値については、水性インク組成物中の溶媒や記録媒体の種類、乾燥時間等に応じて適宜設定することができる。乾燥時間については特に限定されず、水性インク組成物中の溶媒や記録媒体の種類、印刷速度等に応じて適宜設定することができる。
 加熱乾燥の方法は、水性インク組成物中の溶媒の蒸発を促進させるものであれば特に限定されない。例えば、水性インク組成物の液滴が付着した記録媒体に熱風を吹き付ける方法や、適宜の温度に設定された加熱ドラム等に当該記録媒体を接触させて乾燥させる方法等が挙げられる。具体的には、強制空気加熱等、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥等の温風処理やヒーターによる加熱が可能である。
 (その他の事項)
 本明細書で述べられる数値範囲は、下限値から上限値までの全ての数値を包含することを意味する。例えば、ポリマーの質量平均分子量が300~20000とある場合には、500~10000、400~1000、301~311等の全ての組合せ可能な数値範囲を包含することを意味する。
 以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、下記の実施例に記載されている材料や含有量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
 (実施例1~4)
 下記表1に示す配合組成にて、実施例1~4の水性インク組成物を調製した。但し、各実施例1~4に於いては、それぞれ下記表2に示す種類の顔料及びワックスを用いた点が異なる。
 各実施例の水性インク組成物の調製は、次の操作によって調製した。即ち、表1に示す各材料を容器中に入れて混合し、マグネチックスターラーにて常温で1時間撹拌した。その後、粗大粒径及び異物の除去のために混合液を濾過した。濾過用のフィルターとしては、濾過精度1μmのメンブランフィルターを用いた。これにより、各実施例1~4の水性インク組成物を得た。尚、表1中の数値は全て質量%で表したものである。また、水は水性インク組成物の全量が100質量%となるように添加した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 (実施例5~7、比較例1)
 下記表3及び表4に示す配合組成にて、実施例5~7及び比較例1の水性インク組成物を調製した。尚、マゼンタ顔料としては、Sensijet Ultra Magenta PR122(SENCIENT社製)を用いた。また、ポリエチレンワックスとしてはHYTEC E-1000(商品名、東邦化学(株)製)を用いた。
 各実施例及び比較例の水性インク組成物の調製は、前記実施例1等と同様の方法により行った。尚、表3及び表4中の数値は全て質量%で表したものである。また、水は水性インク組成物の全量が100質量%となるように添加した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 (耐擦過性)
 耐擦過性に関する測定及び評価は、JIS-K5701-1に準じて行った。即ち、記録媒体としてのコート紙(商品名:OKボール、王子製紙(株)製)に、各実施例又は比較例に於いて調製した水性インク組成物を用いて印刷を行った。印刷は、インクジェットプリンタ(商品名;PX-105、セイコーエプソン(株)製)を用いて行った。印刷後、コート紙の表面温度が120℃となる様に、2分間加熱乾燥を行った。
 続いて、学振型摩擦堅牢試験機(安田精機株式会社製)を用いて、前記コート紙の印刷面に摩擦紙(商品名:OKトップコート、王子製紙(株)製)を乗せ、荷重500gにて印刷面を10回擦った。その後、摩擦紙に対する色移りの度合を評価するために、その摩擦面をスキャナ(EPSON GT-X820、セイコーエプソン(株)製)で画像として取り込んだ。スキャン条件は48bitカラー、解像度600dpi、画像補正なしとした。更にPhotoshop(登録商標)を用いて画像の平均化処理を行った。平均化の範囲は15mm×15mmとした。その後、摩擦紙への色移り度合を数値化するために、摩擦紙に於けるシアン、マゼンタ、イエローの各色のR、G、B値をそれぞれ測定した。また、コート紙の印刷面に擦過していない摩擦紙についても、シアン、マゼンタ、イエローの各色のR、G、B値をそれぞれ測定しておいた。
 シアン顔料を含む水性インク組成物を用いた印刷物の色移り度合いの計算方法は、次の通りとした。即ち、シアンは(R,G,B)=(0,255,255)で表すことができ、R値が0に近づくほど摩擦紙へのシアンの色移りが濃くなると考えることが出来る。そのため、シアンの色移り度合いは下記式により算出して数値化した。
(シアンの色移り度合い)=Ref.-C
 同様に、マゼンタ顔料を含む水性インク組成物を用いた印刷物の色移り度合いについては、マゼンタを(R,G,B)=(255,0,255)で表すことができ、G値が0に近づくほど摩擦紙へのマゼンタの色移りが濃くなると考えられるので、下記式により算出した。
(マゼンタの色移り度合い)=Ref.-M
 また、イエロー顔料を含む水性インク組成物を用いた印刷物の色移り度合いについては、イエローが(R,G,B)=(255,255,0)で表すことができ、B値が0に近づくほど摩擦紙へのイエローの色移りが濃くなると考えられるので、下記式により算出した。
(イエローの色移り度合い)=Ref.-Y
 得られた色移り度合の値をもとに、下記の評価基準にて耐擦過性の評価を行った。結果を表2、表4に示す。尚、下記評価基準はオフセット印刷を行った場合と同様の評価基準である。また、耐擦過性は顔料の色毎に感度が異なることから、それぞれ下記の通り評価基準を変更した。
○:色移り度合の値がマゼンタ顔料を用いた場合は30以下、シアン顔料を用いた場合は40以下、イエロー顔料を用いた場合は30以下
△:色移り度合の値がマゼンタ顔料を用いた場合は30を超えて50以下、シアン顔料を用いた場合は40を超えて55以下、イエロー顔料を用いた場合は30を超えて50以下
×:色移り度合の値がマゼンタ顔料を用いた場合は50より大きく、シアン顔料を用いた場合は55より大きく、イエロー顔料を用いた場合は50より大きい
 (テープ剥離性)
 テープ剥離性は、前記耐擦過性の評価の場合と同様の条件にてコート紙(OKボール、王子製紙(株)製)上にベタ印刷を行った。次に、粘着テープ(商品名:セロテープ(登録商標)No.405、ニチバン(株))を印刷面に貼り付け、その後粘着テープを剥がしたときの印刷面の剥がれやテープへの移り状態を確認することにより、テープ剥離性を評価した。評価基準は以下の通りとした。結果を表2、4に示す。
○:記録面の剥がれ・粘着テープへの付着が認められなかった
△:記録面の剥がれはないが、粘着テープへの付着がわずかに認められた
×:記録面に剥がれが生じた
 (耐スクラッチ性)
 耐スクラッチ性は、前記耐擦過性の評価の場合と同様の条件にてコート紙(OKボール、王子製紙(株)製)上にベタ印刷を行った。次に、コート紙の印刷面を爪で擦り、印刷面に傷が付くか否かを確認した。評価基準は以下の通りとした。結果を表2、4に示す。
○:色材の剥離なし
×:色材の剥離あり
 (結果)
 表2、4から分かる通り、本実施例1~7の水性インク組成物に於いては、バインダーを含んでいなくても、いずれも色移り度合の値が小さく、耐擦過性に優れていることが示された。また、粘着テープによる印刷面の剥離も確認されず、定着性も良好であった。更に、耐スクラッチ性も良好であった。

Claims (5)

  1.  自己分散性を有する顔料と、ワックスとを含むインクジェット用水性インク組成物であって、
     前記顔料が、顔料粒子の表面にポリマーが結合されたものであり、
     前記ワックスが融点120℃~140℃のポリエチレン系ワックスであり、
     かつ、バインダーを含有しないインクジェット用水性インク組成物。
  2.  前記顔料における顔料粒子とポリマーの質量比が14:3~14:6の範囲内である請求項1に記載のインクジェット用水性インク組成物。
  3.  前記ポリマーはアルキル化合物又は芳香族化合物であり、前記顔料粒子に対し、NH結合若しくはN-C=N結合を介して結合し、又は当該顔料粒子のアニオン基にNH結合を介して結合されており、
     前記アニオン基は、カルボキシル基、スルホン基、フェニル基及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
     さらに、前記ポリマーの末端には、前記顔料粒子に自己分散性を付与する親水性基が結合されている請求項1又は2に記載のインクジェット用水性インク組成物。
  4.  前記ポリマーの質量平均分子量が300~20000の範囲内であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のインクジェット用水性インク組成物。
  5.  前記ポリエチレン系ワックスの含有量が、水性インク組成物の全質量に対し固形分換算で0.5質量%~5質量%の範囲内である請求項1~4の何れか1項に記載のインクジェット用水性インク組成物。
     
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