WO2016046893A1

WO2016046893A1 - 空調服

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Publication number: WO2016046893A1
Application number: PCT/JP2014/075135
Authority: WO
Inventors: 市ヶ谷　弘司
Original assignee: 株式会社セフト研究所
Priority date: 2014-09-22
Filing date: 2014-09-22
Publication date: 2016-03-31

Abstract

使用者が作業中であっても使用者に電池の残量が少なくなったことを確実に伝えることができる空調服を提供する。空調服は、服本体と、服本体に取り付けられたファンと、電池(４１)を有し、その電池(４１)からの電力をファンに供給する電源装置(４０)と、電源装置(４０)とファンとを電気的に接続するケーブルとを備える。電源装置(４０)は、電池(４１)の残量を検出し、その検出した電池(４１)の残量に関する残量信号を送出する電池残量検出手段(４５)と、その残量信号に基づいて電池(４１)の残量が所定量に達したと判断したときに、ファンを一定期間停止させるようにファンの駆動を制御するファン駆動制御手段(４７)とを有する。これにより、電池(４１)の残量が所定量に達すると、使用者は暑さを感じ、電池(４１)の残量が少ないことを知ることができる。

Description

空調服

　本発明は、身体又は下着の表面に略平行な空気の流れを発生させることにより身体を冷却する空調服に関するものである。

　近年、身体を冷却する空調服が実用化され普及している。空調服は、通気性の小さな素材で縫製された服本体と、服本体の側部の下方に取り付けられた二つのファンと、二つのファンに電力を供給するための電源装置と、電源装置と二つのファンとを電気的に接続するケーブルとを備える。電源装置としては例えばリチウムイオンバッテリを有するものが使用される。この電源装置は例えば服本体の内ポケット等に収納されている。ファンを作動させると、大量の空気がファンから服本体内に取り込まれる。その取り込まれた空気は、服本体と身体又は下着との間の空間において身体又は下着の表面に沿って上方に流通し、例えば襟部の周囲や袖口から外部に排出される。空気は服本体と身体又は下着との間の空間内を流通する間に身体から出た汗を蒸発させ、その蒸発するときの気化熱により身体が冷却される（例えば、特許文献１参照。）。

　空調服はその原理上、暑さ対策としてとても有効である。しかし、空調服の冷却効果が優れているがゆえに、もし作業中にリチウムイオンバッテリが突然切れてしまうと、空調服による、汗の蒸発を促進する作用が機能しなくなるので、使用者は非常な暑さに襲われてしまう。電源装置は空調服に取り付けられるので、作業性の向上という観点等からは電源装置の大きさに限度があり、大容量のリチウムイオンバッテリを使用することはできない。実用的な空調服専用の電源装置では、リチウムイオンバッテリを満充電した場合、ファンの風量を最強にして空調服を使用すると、そのリチウムイオンバッテリは約６時間程度しかもたない。このため、使用者は作業の途中でリチウムイオンバッテリ又は電源装置を交換する必要が生じる。

再公表特許第ＷＯ２００５－０６３０６５号公報

　このように作業中にリチウムイオンバッテリが突然切れてファンが停止してしまうと、使用者は非常な暑さに襲われてしまう。このため、電池切れを未然に防ぐために、使用者は作業中にたびたび作業を中断して、電源装置の表示部に表示された電池の残量を目視により確認しなければならず、作業に集中できないという問題があった。

　尚、一般の装置では、電池の残量の少ない状況等、特定の状況が発生したことを使用者に報知する方法として、当該状況の発生を表示部に表示する方法のほかに、所定の音を発する方法が用いられるのが一般的である。しかしながら、特に作業用空調服は周囲の騒音が大きな環境下で使用される場合が多いので、空調服に対しては、音により特定の状況の発生を使用者に報知する方法はあまり有効ではない。

　本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、使用者が作業中であっても使用者に電池の残量が少なくなったことを確実に伝えることができる空調服を提供することを目的とするものである。

　上記の目的を達成するための本発明に係る空調服は、身体の所定の部位を覆う形状に作製された服本体と、服本体に取り付けられた、空気を外部から吸入又は外部に排出することにより服本体と身体又は下着との間に空気流通路を形成し、その空気流通路内に空気の流れを強制的に生じさせる一又は複数のファンと、電池を有し、電池からの電力を一又は複数のファンに供給する電源装置と、を具備し、電源装置は、電池の残量を検出し、その検出した電池の残量に関する残量信号を送出する電池残量検出手段と、電池残量検出手段からの残量信号に基づいて電池の残量が所定量に達したと判断したときに、一又は複数のファンの回転速度を少なくとも一定期間変更するように一又は複数のファンの駆動を制御するファン駆動制御手段とを備えることを特徴とするものである。

　本発明に係る空調服では、電源装置のファン駆動制御手段は、電池残量検出手段からの残量信号に基づいて電池の残量が所定量に達したと判断したときに、一又は複数のファンの回転速度を少なくとも一定期間変更するように一又は複数のファンの駆動を制御する。これにより、電池の残量が所定量に達したときには、例えば、一又は複数のファンが一定期間停止し又は一又は複数のファンが少なくとも一定期間低速回転若しくは高速回転するので、使用者は非常な暑さ又は寒さに襲われることになる。身体周辺の急激な温度変化は誰でも感じるので、これによって電池の残量が少ないことを使用者に確実に報知することができる。したがって、使用者は、電池切れを未然に防ぐために、作業中にたびたび作業を中断して、電源装置の表示装置に表示された電池の残量を目視により確認する必要はなくなるので、使用者は自らの作業に集中することができる。

　本発明に係る空調服では、電池の残量が所定量に達したときに、一又は複数のファンの回転速度を少なくとも一定期間変更することにより、意図的に使用者に暑さ又は寒さを感じさせて、電池の残量が少ないことを使用者に確実に報知することができる。

図１は本発明の第一実施形態である空調服の概略正面図である。図２は第一実施形態の空調服における電源装置の概略斜視図である。図３はその電源装置の概略ブロック図である。図４（ａ）は電池の残量が１０％に達するまでの空調服の様子を示す図、図４（ｂ）は電池の残量が１０％に達した直後の空調服の様子を示す図である。図５は本発明の第二実施形態である空調服における電源装置の概略ブロック図である。

　以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための形態について説明する。

［第一実施形態］
　まず、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。図１は本発明の第一実施形態である空調服の概略正面図である。

　第一実施形態の空調服１は、図１に示すように、服本体１０と、二つのファン（送風手段）２０，２０と、複数の空気排出部３０と、電源装置４０と、電源ケーブル６０とを備える。

　服本体１０は、通気性の小さな又は通気性の無いシート状素材で、上半身及び腕部を覆う形状に作製されている。この服本体１０の裾部１１には、例えばゴム等、伸縮性のある部材が取り付けられている。これにより、服本体１０の裾部１１は絞り込まれて身体又は下着に密着するようになるので、服本体１０内の空気が裾部１１から外に漏れるのを防止することができる。すなわち、服本体１０の裾部１１に設けられた伸縮性のある部材は空気漏れ防止手段である。また、服本体１０の前部には、開閉手段としてのファスナー１２が設けられている。このファスナーは、服本体１０を着用する際にその前部を開閉するためのものである。

　ファン２０は、空気を外部から取り込むことにより服本体１０と身体又は下着との間に空気流通路を形成し、その空気流通路内に空気の流れを強制的に生じさせるものである。二つのファン２０，２０は、服本体１０の下部であって左右の側部に着脱自在に取り付けられる。ここで、ファン２０としては、プロペラを有するファンを用いている。また、このファン２０は、電源装置４０から供給される電圧により回転速度（回転数）が変化するものである。

　空気排出部３０は、服本体１０と身体又は下着との間の空間（空気流通路）内を流通する空気を外部に排出するためのものである。具体的には、服本体１０における袖口部と首周り部とが空気排出部３０の役割を果たしている。

　電源装置４０は、電池を内蔵し、その電池からの電力を二つのファン２０，２０に供給するためのものである。この電源装置４０は、空調服１の使用時に服本体１０の内側に設けられた内ポケット（不図示）に収納される。電源装置４０と二つのファン２０，２０とは電源ケーブル６０により電気的に接続されている。第一実施形態では、電源装置４０は、電池の残量を監視し、電池の残量が少なくなったと判断したときに、一定期間、ファン２０への電力供給を停止して使用者に意図的に暑さを感じさせることにより、電池の残量が少ないことを使用者に報知する機能を備えている。

　次に、第一実施形態の空調服１における電源装置４０について詳しく説明する。図２は第一実施形態の空調服１における電源装置４０の概略斜視図、図３はその電源装置４０の概略ブロック図である。

　電源装置４０は、図２及び図３に示すように、電池４１と、端子４２と、指示スイッチ４３，４３と、表示装置４４と、電池残量検出手段４５と、表示制御手段４６と、ファン駆動制御手段４７とを備える。

　電池４１としては例えばリチウムイオンバッテリが用いられる。この電池４１は電源装置４０の筐体内に収納されている。また、図２に示すように、電源装置４０の筐体の上部には、一つの端子４２が設けられている。この端子４２は、外部と電力のやり取りを行うためのもの、すなわち、電池４１を充電するための充電器のプラグを差し込むため、或いは電源ケーブル６０の先端に接続されたプラグを差し込むためのものである。このように、端子４２は、電池４１の充電及び電池４１から外部への電力供給（放電）を行うための入出力共用端子となっている。

　電源装置４０の筐体の上面には、指示スイッチ４３，４３及び表示装置４４が設けられている。指示スイッチ４３，４３は、端子４２からの出力電圧の切り替えを指示するためのものである。第一実施形態では、端子４２からの出力電圧を切り替えることにより、電源装置４０から二つのファン２０，２０に供給する電圧を変更することにしている。例えば、使用者は、指示スイッチ４３，４３を用いて、出力電圧を「強」「中」「弱」の三段階に切り替えることができる。具体的には、一方の指示スイッチ４３だけを押したときには出力電圧が「強」に、他方の指示スイッチ４３だけを押したときには出力電圧が「弱」に、二つの指示スイッチ４３，４３を同時に押したときには出力電圧が「中」に切り替えられる。使用者が指示スイッチ４３，４３を操作すると、その操作の内容に応じた出力電圧への切り替えを指示する信号が指示スイッチ４３，４３からファン駆動制御手段４７に送出される。

　表示装置４４は電池の残量についての情報を表示するものである。例えば、電池４１の有効容量を１０分割し、電池４１が満充電の状態に近いときに電池の残量についての情報として「１０」が表示され、電池４１の残量が少なくなるとその残量に応じて「１０」よりも小さな数値が表示される。そして、電池４１の残量が１０％以下であるときに、電池の残量についての情報として「１」が表示される。

　電池残量検出手段４５は、電池４１の残量を検出し、その検出した電池４１の残量に関する残量信号を表示制御手段４６及びファン駆動制御手段４７に送出するものである。表示制御手段４６は、表示装置４４の表示を制御するものである。具体的に、表示制御手段４６は、電池残量検出手段４５からの残量信号に基づいて電池４１の残量を認識し、その認識した電池４１の残量に応じた数値を電池の残量についての情報として表示装置４４に表示する。したがって、例えば、表示制御手段４６は、電池４１の残量が１０％になった瞬間に、表示装置４４に表示されている電池の残量についての情報を「２」から「１」に切り替える。

　ファン駆動制御手段４７は、二つのファン２０，２０の駆動を制御するものである。具体的に、第一実施形態では、ファン２０として、電源装置４０から供給される電圧により回転速度が変化するものを用いているので、ファン駆動制御手段４７は、電池４１から二つのファン２０，２０に供給する電圧を制御することにより、二つのファン２０，２０の駆動を制御する。このファン駆動制御手段４７は、図３に示すように、出力制御手段４７ａと、出力切替回路４７ｂとを有する。出力切替回路４７ｂは、出力制御手段４７ａの制御にしたがって端子４２からの出力電圧を切り替えるための回路である。出力制御手段４７ａは、指示スイッチ４３，４３から出力電圧の切り替えを指示する信号を受けたときに、端子４２からの出力電圧がその信号の内容に応じた出力電圧となるように出力切替回路４７ｂを制御する。また、出力制御手段４７ａは、電池残量検出手段４５から残量信号を受けたときに、その残量信号に基づいて電池４１の残量が１０％に達したかどうかを判断する。そして、電池４１の残量が１０％に達したと判断すると、出力制御手段４７ａは、３秒間、端子４２からの出力電圧がゼロとなるように出力切替回路４７ｂを制御する。したがって、電池４１の残量が１０％になった瞬間、端子４２からの出力電圧が３秒間ゼロになり、二つのファン２０，２０の回転が一時的に停止することになる。ここで、出力制御手段４７ａは、上記３秒経過後、端子４２からの出力電圧を元の電圧値に戻すように出力切替回路４７ｂを制御する。

　尚、実際には、ファン２０の駆動時に、突然、電源装置４０からの出力電圧をゼロにして、ファン２０への電力供給を停止しても、ファン２０のプロペラの慣性によりそのプロペラが完全に停止するまでには若干の時間を要する。しかし、以下では、説明を簡略化するために、ファン２０への電力供給を停止した瞬間にファン２０の回転は停止するものとする。

　次に、第一実施形態の空調服１の動作について説明する。図４（ａ）は電池４１の残量が１０％に達するまでの空調服１の様子を示す図、図４（ｂ）は電池４１の残量が１０％に達した直後の空調服１の様子を示す図である。

　例えば電池４１が満充電の状態で、使用者が電源装置４０のスイッチ（不図示）をＯＮにすると、電源装置４０からファン２０，２０に所定の電力が供給される。これにより、二つのファン２０，２０は動作を開始し、図４（ａ）に示すように、外部の空気が二つのファン２０，２０から服本体１０の内側に取り込まれる。これにより、服本体１０内の圧力は陽圧になるため、服本体１０と身体又は下着との間には空気流通路が自動的に形成される。そして、服本体１０内に取り込まれた空気は空気流通路内を流通し、服本体１０の袖口部及び首周り部に設けられた空気排出部３０から外部に排出される。このため、空気流通路内を流通する空気が使用者の身体から出た汗を気化させ、その気化するときの気化熱により身体を冷却することができる。

　使用者が空調服１を着用して作業を行っているときに、電池４１の残量が１０％に達すると、表示制御手段４６は、表示装置４４に表示されている電池の残量についての情報を「２」から「１」に切り替える。それと同時に、出力制御手段４７ａは、３秒間、端子４２からの出力電圧がゼロとなるように出力切替回路４７ｂを制御する。これにより、図４（ｂ）に示すように、二つのファン２０，２０の回転が一時的に停止するので、外部の空気は二つのファン２０，２０から服本体１０内に取り込まれなくなる。このため、使用者の身体から出た汗は気化されず、使用者は非常な暑さを感じ、これによって電池４１の残量が１０％になったことを知ることができる。そして、上記３秒経過後は、出力制御手段４７ａは、端子４２からの出力電圧を元の電圧値に戻すように出力切替回路４７ｂを制御する。これにより、二つのファン２０，２０は再び動作を開始し、外部の空気が二つのファン２０，２０から服本体１０内に取り込まれるので、使用者はすぐに空調服１による冷却効果を感じるようになる。

　第一実施形態の空調服では、電源装置のファン駆動制御手段は、電池残量検出手段からの残量信号に基づいて電池の残量が１０％に達したと判断したときに、３秒間、二つのファンに出力する電圧をゼロにする。これにより、電池の残量が１０％に達すると、３秒間、二つのファンが停止するので、使用者は非常な暑さに襲われることになる。身体周辺の急激な温度上昇は誰でも感じるので、これによって電池の残量が少ないことを使用者に確実に報知することができる。したがって、使用者は、電池切れを未然に防ぐために、作業中にたびたび作業を中断して、電源装置の表示装置に表示された電池の残量を目視により確認する必要はなくなるので、使用者は自らの作業に集中することができる。

［第二実施形態］
　次に、本発明の第二実施形態である空調服について説明する。
　第二実施形態の空調服は、第一実施形態のものと同様に、服本体と、二つのファンと、複数の空気排出部と、電源装置と、電源ケーブルとを備える。この第二実施形態の空調服が第一実施形態の空調服と異なるのは、電源装置の構成だけである。電源装置以外のものは上記第一実施形態の空調服におけるものと同様である。このため、以下では、この電源装置について詳しく説明する。

　図５は本発明の第二実施形態である空調服における電源装置の概略ブロック図である。尚、第二実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。

　第二実施形態の空調服における電源装置４００は、図５に示すように、電池４１と、端子４２と、指示スイッチ（指示手段）４３，４３と、電池残量検出手段４５０と、ファン駆動制御手段４７０と、記憶部５１０と、通信手段５２０と、プログラム変更手段５３０とを備える。この電源装置４００は、第一実施形態の空調服における電源装置４０と同様に、電池４１を内蔵し、その電池４１からの電力を二つのファン２０，２０に供給するためのものである。この電源装置４００には、第一実施形態の空調服における電源装置４０と異なり、表示装置及び表示制御手段が備わっておらず、記憶部５１０、通信手段５２０及びプログラム変更手段５３０が新たに付加されている。また、電源装置４００は、電池４１の残量を監視し、電池４１の残量が予め定められた複数の所定量のいずれかに達する度に、一定期間、ファンへの電力供給を停止して使用者に意図的に暑さを感じさせることにより、電池４１の残量が少ないことを使用者に報知する機能を備えている。

　電池残量検出手段４５０は、電池４１の残量を検出し、その検出した電池４１の残量が予め定められた複数の所定量の各々に達したときに、そのときの電池４１の残量に関する残量信号をファン駆動制御手段４７０に送出するものである。特に、第二実施形態では、電池残量検出手段４５０は、残量信号として次のようなパルスを発信する。具体的に、電池残量検出手段４５０は、電池４１が満充電にされたときの電池４１の残量を１００％とし、電池４１の残量が９５％に達したときに残量信号として１９個のパルスを発信し、電池４１の残量が９０％に達したときに残量信号として１８個のパルスを発信し、そして、それ以降も同様にパルスを発信する。すなわち、電池残量検出手段４５０は、電池４１の残量が１００％から５％低下する度に残量信号として、２０×Ｓ／１００個のパルスを発信する。ここで、Ｓは電池４１の残量（％）である。

　ファン駆動制御手段４７０は、電池４１から二つのファンに供給する電圧を制御することにより、二つのファンの駆動を制御する。このファン駆動制御手段４７０は、図５に示すように、出力制御手段４７１と、出力切替回路４７２とを有する。出力切替回路４７２は、出力制御手段４７１の制御にしたがって端子４２からの出力電圧を切り替えるための回路である。出力制御手段４７１は、指示スイッチ４３，４３から出力電圧の切り替えを指示する信号を受けたときに、端子４２からの出力電圧がその信号の内容に応じた出力電圧となるように出力切替回路４７２を制御する。

　また、出力制御手段４７１は、電池残量検出手段４５０から残量信号を受けたときに、その残量信号であるパルスの個数に基づいて電池４１の残量が２０％、１０％、５％のいずれかに達したかどうかを判断する。出力制御手段４７１は、電池４１の残量が２０％、１０％、５％のいずれかに達していないと判断したときには、出力電圧が現在の値を維持するように出力切替回路４７２を制御する。一方、出力制御手段４７１は、残量信号として４個のパルスを受信して、電池４１の残量が２０％に達したと判断すると、出力電圧を３秒間ゼロにし、その後は元の電圧値に戻すように出力切替回路４７２を制御する。また、出力制御手段４７１は、残量信号として２個のパルスを受信して、電池４１の残量が１０％に達したと判断すると、出力電圧を４秒間ゼロにし、その後は元の電圧値に戻すように出力切替回路４７２を制御する。更に、出力制御手段４７１は、残量信号として１個のパルスを受信して、電池４１の残量が５％に達したと判断すると、出力電圧を４秒間ゼロにし、その後は出力電圧が元の電圧値の半分になるように出力切替回路４７２を制御する。したがって、第二実施形態では、電池４１の残量が２０％になると、二つのファンの回転が３秒間停止し、電池４１の残量が１０％になると、二つのファンの回転が４秒間停止する。そして、電池４１の残量が５％になると、二つのファンの回転が４秒間停止し、その後、二つのファンは低速で回転することになる。尚、電池４１の残量が５％に達した後、出力電圧を元の電圧値に戻すのではなく、出力電圧を元の電圧値の半分にすることにしているのは、消費電力を少なくしてファンが完全に停止するまでの時間を稼ぐためである。

　記憶部５１０は、ファン駆動制御手段４７０の制御内容に関するプログラムを記憶するものである。実際、電源装置４００にはＣＰＵが搭載されており、このＣＰＵが記憶部５１０に記憶されているプログラムを実行することにより、電源装置４００にファン駆動制御手段４７０（出力制御手段４７１）としての機能が実現される。

　通信手段５２０は、外部装置との間で信号を有線又は無線により送受するものである。第二実施形態では、この通信手段５２０を介して外部装置からファン駆動制御手段４７０の制御内容に関する新たなプログラムを受信することができる。プログラム変更手段５３０は、外部装置からファン駆動制御手段４７０の制御内容に関する新たなプログラムを受けたときに記憶部５２０に現在記憶されているプログラムをその新たなプログラムに書き換える処理を行うものである。例えば、電源装置４００がＵＳＢ端子（通信手段）を備え、そのＵＳＢ端子を用いて電源装置４００とパソコン（外部装置）とを接続し、パソコンからプログラムを電源装置４００に送信してもよいし、電源装置４００がその内部に受信部を有し、無線通信によりプログラムをパソコン（外部装置）から電源装置４００の受信部に送信するようにしてもよい。このようにプログラムを通信手段により変更する技術は、広く一般に知られている技術なので、ここではその詳細な説明を省略する。

　このように、第二実施形態では、使用者は、作業内容や自己の好みに応じて、ファン駆動制御手段４７０の制御内容に関するプログラムを所望のプログラムに書き換えることにより、ファン駆動制御手段４７０の制御内容を変更することが可能である。例えば、ファンが停止することに対して敏感な使用者は、記憶部５１０に現在記憶されているプログラムを、ファンが停止している期間を短くするような内容のプログラムに書き換えることができる。また、電池４１の残量に関する情報を頻繁に知りたい使用者は、記憶部５１０に現在記憶されているプログラムを、電池４１の残量が５０％、４０％、３０％、２０％のいずれかに達したときにファンの回転が２秒間停止し、電池４１の残量が１０％に達したときにファンの回転が４秒間停止し、電池４１の残量が５％に達したときにファンの回転が２秒間停止し、その後、出力電圧が元の電圧値の半分になるような内容のプログラムに書き換えることができる。

　第二実施形態の空調服は、上記第一実施形態の空調服と同様の作用・効果を奏する。特に、第二実施形態の空調服では、ファン駆動制御手段が、電池の残量が予め定められた複数の所定量のいずれかに達する度に、一定期間、ファンを停止させるようにファンの駆動を制御するので、使用者に電池の残量をこまめに知らせることができる。使用者は、電池の残量が少ないことを知ると、作業状況等に応じた適切なタイミングで電池の交換等を行うことができる。また、第二実施形態では、ファン駆動制御手段の制御内容に関するプログラムを変更することができるので、使用者は、電池の残量が少ないことを知らせる際のファンの回転制御の内容を作業内容や自己の好みに応じて選択することができる。更に、第二実施形態では、電源装置が表示装置を備えていないので、電池の残量の表示に関連する回路部品をなくして、コストダウンを図ることができる。

［他の実施形態］
　尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。

　上記の各実施形態では、服本体に二つのファンを設けた場合について説明したが、服本体には、三つ以上のファンを設けるようにしてもよい。また、ファンを一つだけ設けるようにしてもよい。

　また、上記の各実施形態では、服本体が上半身を覆う形状に作製されている場合について説明したが、例えば、服本体は上半身を覆う形状、又は、上半身及び下半身を覆う形成等に作製されていてもよい。

　また、上記の各実施形態では、ファンが空気を外部から吸入し、空気排出部が服本体と身体又は下着との間の空気流通路内を流通する空気を外部に排出する場合について説明したが、ファンは空気を外部に排出するものであってもよい。この場合、外部の空気は空気排出部（空気流通部）から空気流通路内に取り込まれることになる。

　更に、上記の各実施形態では、ファン駆動制御手段が、電池の残量が所定量に達したときに、一定期間、ファンを停止させるようにファンの駆動を制御する場合について説明したが、一般に、ファン駆動制御手段は、電池の残量が所定量に達したときに、ファンを一定期間停止させるように又はファンを少なくとも一定期間低速回転させるようにファンの駆動を制御するものであればよい。但し、使用者が本発明の空調服をさほど暑くない環境下で使用し、電源装置からの出力電圧を「弱」に設定している場合には、ファンが一定期間停止しても、使用者がそのことに気付かないことがあるかもしれない。このような場合には、ファン駆動制御手段は、電池の残量が所定量に達したときに、ファンを一定期間高速回転させるようにファンの駆動を制御するようにしてもよい。すなわち、意図的に使用者に寒さを感じさせて、電池の残量が少ないことを使用者に報知するようにしてもよい。このように、ファン駆動制御手段は、電池の残量が所定量に達したと判断したときに、ファンの回転速度を少なくとも一定期間変更するようにファンの駆動を制御することができる。ここで、回転速度の変更には、回転を停止することや回転速度を速くしたり遅くしたりすることが含まれる。また、ファン駆動制御手段は、電池の残量が所定量に達したときに、一定期間、低速回転と高速回転とを交互に繰り返すようにファンの駆動を制御するようにしてもよい。

　また、上記の各実施形態において、ファン駆動制御手段は、電池の残量が所定量に達したときに、ファンを一定期間逆回転させるようにファンの駆動を制御するようにしてもよい。この場合、使用者は、身体又は下着との間を流通する空気の進行方向が変わったことを感じたときに、電池の残量が少ないことを知ることができる。

　更に、上記の各実施形態において、ファン駆動制御手段は、使用者からの指示を受けたときに、そのときの電池の残量を使用者に知らせるようにしてもよい。このためには、電源装置に、電池の残量を報知することを指示する残量スイッチを設け、ファン駆動制御手段は、使用者によって残量スイッチが操作されたときに、電池残量検出手段からの残量信号に基づいて電池の残量を認識し、その認識した電池の残量に応じてファンの回転速度を所定期間、所定の態様で変更するようにファンの駆動を制御すればよい。具体的に、例えば、ファン駆動制御手段は、残量スイッチの操作時における電池の残量が５０％以上であれば、ファンに対して特別な制御を行わず、現状の制御を維持する。残量スイッチの操作時における電池の残量が４０％以上５０％未満であれば、ファンの回転を１秒間停止させ、その後、ファンの回転速度が元に戻るようにファンの駆動を制御する。残量スイッチの操作時における電池の残量が３０％以上４０％未満であれば、ファンの回転を２秒間停止させ、その後、ファンの回転速度が元に戻るようにファンの駆動を制御する。残量スイッチの操作時における電池の残量が２０％以上３０％未満であれば、まずファンの回転が２秒間停止し、次にファンが３秒間一定速度（例えば元の回転速度）で回転し、それから、再度、ファンの回転が２秒間停止し、その後、ファンの回転速度が元に戻るように、ファンの駆動を制御する。残量スイッチの操作時における電池の残量が１０％以上２０％未満であれば、まずファンの回転が３秒間停止し、次にファンが３秒間一定速度（例えば元の回転速度）で回転し、それから、再度、ファンの回転が３秒間停止し、その後、ファンの回転速度が元に戻るように、ファンの駆動を制御する。残量スイッチの操作時における電池の残量が５％以上１０％未満であれば、まずファンの回転が４秒間停止し、次にファンが３秒間一定速度で回転し、それから、再度、ファンの回転が４秒間停止し、その後、ファンの回転速度が元に戻るように、ファンの駆動を制御する。残量スイッチの操作時における電池の残量が５％未満であれば、ファンの回転が４秒間停止し、それ以降はファンが低速（例えば元の回転速度の半分の速度）で回転するように、ファンの駆動を制御する。このように、使用者が残量スイッチを操作すると、そのときの電池の残量に応じた所定の態様でファンが駆動するので、使用者はそのファンの駆動態様を認識することにより現在の電池の残量を知ることができる。

　上記の第二実施形態では、電池残量検出手段がファン駆動制御手段に電池の残量を伝える方法として、電池の残量に応じた個数のパルスを発信する方法を用いた場合について説明したが、電池残量検出手段は、このような方法に限らず、一般的な方法により残量の残量をファン駆動制御手段等に伝えるようにしてもよい。

　また、上記の第二実施形態では、プログラム変更手段が、通信手段を介して外部装置からファン駆動制御手段の制御内容に関する新たなプログラムを受けたときに記憶部に現在記憶されているプログラムをその新たなプログラムに書き換える場合について説明したが、例えば、ファン駆動制御手段の制御内容に関する複数のプログラムを予め記憶部に記憶しておき、使用者が指示スイッチ（選択手段）により記憶部に記憶されている複数のプログラムの中から所望のプログラムを選択するようにしてもよい。このとき、ファン駆動制御手段は、指示スイッチで現在選択されているプログラムにしたがってファンの駆動を制御することになる。

　上記の各実施形態では、ファンとして、電源装置から供給される電圧により回転速度が変化するものを用い、ファン駆動制御手段が電池からファンに供給する電圧を制御することによりファンの駆動を制御する場合について説明したが、ファンとして、パルス幅変調制御が可能なものを用い、ファン駆動制御手段は、ファンにパルス状電圧を出力し、そのパルス状電圧のデューティ比を変えることによりファンの回転速度を変化させるようにしてもよい。

　以上説明したように、本発明に係る空調服では、電池の残量が所定量に達したときに、一又は複数のファンの回転速度を少なくとも一定期間変更することにより、意図的に使用者に暑さ又は寒さを感じさせて、電池の残量が少ないことを使用者に確実に報知することができる。したがって、本発明は、特に長時間の作業に従事する作業者が着用する空調服として用いるのに好適である。

　１　空調服
１０　服本体
１１　裾部
１２　ファスナー
２０　ファン
３０　空気排出部
４０，４００　電源装置
４１　電池
４２　端子
４３　指示スイッチ
４４　表示装置
４５，４５０　電池残量検出手段
４６　表示制御手段
４７，４７０　ファン駆動制御手段
４７ａ，４７１　出力制御手段
４７ｂ，４７２　出力切替回路
５１０　記憶部
５２０　通信手段
５３０　プログラム変更手段
６０　電源ケーブル

Claims

　身体の所定の部位を覆う形状に作製された服本体と、
　前記服本体に取り付けられた、空気を外部から吸入又は外部に排出することにより前記服本体と身体又は下着との間に空気流通路を形成し、その空気流通路内に空気の流れを強制的に生じさせる一又は複数のファンと、
　電池を有し、前記電池からの電力を前記一又は複数のファンに供給する電源装置と、
　を具備し、
　前記電源装置は、前記電池の残量を検出し、その検出した前記電池の残量に関する残量信号を送出する電池残量検出手段と、前記電池残量検出手段からの残量信号に基づいて前記電池の残量が所定量に達したと判断したときに、前記一又は複数のファンの回転速度を少なくとも一定期間変更するように前記一又は複数のファンの駆動を制御するファン駆動制御手段とを備えることを特徴とする空調服。
　前記一又は複数のファンは前記電源装置から供給される電圧により回転速度が変化するものであり、
　前記ファン駆動制御手段は、前記電池から前記一又は複数のファンに供給する電圧を制御することにより前記一又は複数のファンの駆動を制御することを特徴とする請求項１記載の空調服。
　前記一又は複数のファンはパルス幅変調制御が可能なものであり、
　前記ファン駆動制御手段は、前記一又は複数のファンにパルス状電圧を出力し、そのパルス状電圧のデューティ比を変えることにより前記一又は複数のファンの回転速度を変化させることを特徴とする請求項１記載の空調服。
　前記電源装置は前記電池の残量を報知することを指示する残量スイッチを有し、
　前記ファン駆動制御手段は、前記残量スイッチが操作されたときに、前記電池残量検出手段からの残量信号に基づいて前記電池の残量を認識し、その認識した前記電池の残量に応じて前記一又は複数のファンの回転速度を所定期間、所定の態様で変更するように前記一又は複数のファンの駆動を制御することを特徴とする請求項１、２又は３記載の空調服。
　前記電源装置は、前記ファン駆動制御手段の制御内容に関する複数のプログラムを記憶する記憶部と、使用者が前記記憶部に記憶されている前記複数のプログラムの中から所望のプログラムを選択するための選択手段とを更に備え、
　前記ファン駆動制御手段は、前記選択手段で現在選択されている前記プログラムにしたがって前記一又は複数のファンの駆動を制御することを特徴とする請求項１、２、３又は４記載の空調服。