WO2016039422A1 - 点眼用懸濁製剤 - Google Patents

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Abstract

 本発明は、全身暴露による副作用を回避することが可能であり、後眼部疾患等に有用で安定性に優れた(R)-(-)-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-スピロ-3'-ピロリジン-1,2',3,5'-テトラオン含有点眼用懸濁製剤に関する。

Description

点眼用懸濁製剤
 本発明は、特に後眼部疾患に対し有用な(R)-(-)-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-スピロ-3’-ピロリジン-1,2’,3,5’-テトラオン含有点眼用懸濁製剤に関する。
 硝子体、網膜、脈絡膜、強膜などといった後眼部組織は、視機能の中心を担う領域であり、この領域が侵されると、著しい視力の低下や失明に至るケースも少なくない。代表的な後眼部疾患としては加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管、網膜静脈閉塞症、脈絡膜新生血管、ブドウ膜炎、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、中心性漿液性脈絡網膜症などが挙げられる。特に、加齢黄斑変性又は糖尿病網膜症は、欧米諸国や日本などの先進国での壮年から老年期における失明の主要原因疾患となっており、眼科臨床及び社会的にも非常に問題視される疾患とされている。(特許文献1)。
 一般に網膜などの後眼部への薬物送達は、血液経由の場合は後眼部の血液網膜関門(blood-retinal barrier;BRB)によって著しく制限されている。点眼した場合は、大部分が涙液のターンオーバーによって薬物は眼表面から速やかに排出されて、さらには鼻涙管を介して全身循環の血流に移行する(非特許文献1)。そのため、点眼剤における薬物送達は、点眼剤中の薬物を100とすると組織中最も移行する角膜で0.1~0.5、前房水・虹彩および毛様体では0.01~0.1、水晶体や硝子体では0.0001程度と極めて低いことが知られている(非特許文献2)。そして、後眼部は水晶体や硝子体よりさらに奥に存在するため、一般にはほとんど点眼によって後眼部に薬物を送達させることは出来ないと考えられる。また、薬物の水への溶解性が低いために利用される懸濁点眼剤は、薬物が水に溶解されていないため一般的に眼内部に吸収されにくく(非特許文献3)、懸濁させた点眼剤における後眼部への薬物送達については、通常、溶液点眼剤に比べてさらに困難であると考えられる。臨床の場においても、懸濁点眼剤は存在するものの、結膜炎等の前眼部疾患への適用に限られている。また、後眼部への薬物送達のためには硝子体内注射や手術の他、全身循環血を介した経路以外は困難と考えられている(特許文献4、非特許文献4)。
 後眼部疾患は重篤な症状を引き起こす眼疾患にもかかわらず、有効な治療薬は乏しく、また後眼部という薬剤が到達しにくい部位がターゲットであることから投与手段も限定的で、現在抗血管内皮細胞増殖因子(抗VEGF)薬の硝子体内注射、ステロイドの硝子体内注射やテノン嚢下注射、光線力学療法(PDT)、硝子体手術等による治療が行われている。しかし、これらいずれの治療方法においても、眼内への注射など患者にとって極めて侵襲的で苦痛を伴う方法が取られており、点眼投与のような新たな投与法の開発が切望されている。
 (R)-(-)-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-スピロ-3’-ピロリジン-1,2’,3,5’-テトラオン(ラニレスタット)(以下「化合物A」と記載する)は強力なアルドースリダクターゼ阻害作用を有し、かつ毒性の低い化合物であり、糖尿病性合併症治療薬として有用である(特許文献2、特許文献3)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
日本特許公開第2009-196973号 日本特許第2516147号 国際公開第1999/20276号 日本特許公開第2005-97275号
「網膜へのドラッグデリバリーの現状と課題」高島由季、薬剤学、72(2)、117-121(2012) スタンダード薬学シリーズ7「製剤化のサイエンス」日本薬学会編、東京化学同人出版、第4章「代表的な製剤」22・2点眼剤、103頁-105頁 「点眼剤の適正使用ハンドブック-Q&A-」 社団法人東京医薬品工業協会 点眼剤研究会他 作成、社団法人日本眼科医会 監修、平成23年9月初版、5頁 「網膜疾患治療剤の開発を指向した経口投与可能なカルパイン阻害剤の探索研究」白崎仁久、金沢大学大学院自然科学研究科、博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査結果の要旨、605頁-610頁、2007年9月発行
 全身循環血を介して後眼部に有効濃度の薬物を送達するためには、血液網膜関門(BRB)の存在から非常に高投与量で全身循環する血中の薬物濃度を高める必要があると考えられる。従って、本発明が解決しようとする課題は、後眼部疾患に対し有用で、高濃度全身暴露による副作用を回避でき、かつ化合物Aまたはその生理的に許容される塩の安定な点眼用製剤を提供することにある。
 発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、化合物Aまたはその生理的に許容される塩を分散媒中に懸濁させ、点眼投与することで、薬物の安定性を保持しながら、全身暴露量を抑制しつつ、後眼部への治療に必要な高い移行性を達成できることを見出し、更に化合物Aまたはその生理的に許容される塩が加齢黄斑変性などの眼疾患に有効な薬理活性を有することを見出した。すなわち、化合物Aまたはその生理的に許容される塩を点眼剤として懸濁させることで、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[項1]
 (R)-(-)-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-スピロ-3’-ピロリジン-1,2’,3,5’-テトラオン(以下、「化合物A」という)またはその生理的に許容される塩を含有する点眼用懸濁製剤。
[項2]
 化合物Aまたはその生理的に許容される塩が分散媒中に懸濁している懸濁液である項1に記載の製剤。
[項3]
 懸濁液中の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が、1nm以上20μm以下である項2に記載の製剤。
[項4]
 懸濁液中の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が、10nm以上20μm以下である項3に記載の製剤。
[項5]
 分散媒が水系の分散媒である項2~4のいずれかに記載の製剤。
[項6]
 分散媒が分散剤及び/又は界面活性剤を含む項2~5のいずれかに記載の製剤。
[項7]
 分散媒が分散剤及び界面活性剤を含む項6に記載の製剤。
[項8]
 懸濁液のpHが3~9である項2~7のいずれかに記載の製剤。
[項9]
 懸濁液の浸透圧が20~1000mOsmである項2~8のいずれかに記載の製剤。
[項10]
 懸濁液1mL中に化合物Aまたはその生理的に許容される塩を1~500mg含む項2~9のいずれかに記載の製剤。
[項11]
 懸濁液中に溶解している化合物Aまたはその生理的に許容される塩の割合が製剤に含まれる全ての化合物Aまたはその生理的に許容される塩の0.001%~10%である項2~10のいずれかに記載の製剤。
[項12]
 懸濁液中に溶解している化合物Aまたはその生理的に許容される塩の割合が製剤に含まれる全ての化合物Aまたはその生理的に許容される塩の0.001%~1%である項2~11のいずれかに記載の製剤。
[項13]
 前眼部疾患及び/又は後眼部疾患を治療するための項1~12のいずれかに記載の製剤。
[項14]
 疾患が、VEGFが関連する疾患である、項13に記載の製剤。
[項15]
 疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管、網膜静脈閉塞症及び/又は白内障である項13又は14に記載の製剤。
[項16]
 (1)化合物Aまたはその生理的に許容される塩を含有する製剤と、(2)分散媒を含む製剤を組み合わせてなるキット。
[項17]
 製剤(1)における化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が1nm以上20μm以下である項16に記載のキット。
[項18]
 製剤(1)における化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が10nm以上20μm以下である項17に記載のキット。
[項19]
 製剤(1)または製剤(2)が、分散剤及び/又は界面活性剤を含んでもよい項16~18のいずれかに記載のキット。
[項20]
 前眼部疾患及び/又は後眼部疾患を治療するための項16~19のいずれかに記載のキット。
[項21]
 化合物Aまたはその生理的に許容される塩を含有する、VEGFが関連する疾患の治療剤。
[項22]
 疾患が加齢黄斑変性及び/又は糖尿病網膜症である項21に記載の治療剤。
[項23]
 懸濁液中に分散剤及び/又は界面活性剤を含む項2~4のいずれかに記載の製剤。
[項24]
 懸濁液中に分散剤及び界面活性剤を含む項23に記載の製剤。
 本発明によれば、前眼部疾患だけでなく後眼部疾患に対しても治療効果を有し、高濃度全身暴露による副作用を回避することが可能となり、かつ化合物Aまたはその生理的に許容される塩の安定な点眼用製剤を提供できる。また、化合物Aは水への溶解性は低く、溶液製剤としては低い濃度の製剤を選択せざるを得ないが、懸濁製剤とすることで、高濃度の製剤が可能となり、現実的な投与回数、たとえば1日あたり1回から6回の投与で治療に十分な量の患部への薬物送達が期待できる。更に、化合物Aは溶液状態での安定性が非常に低く時間単位での分解という課題があったが、懸濁製剤とすることで現実的な保存に十分耐えられる保存安定性にも優れた点眼用製剤を提供できる。この点眼用製剤により、現在、主に侵襲的な治療法しか行われていない後眼部疾患においても、患者に負担の少ない形態での画期的な治療を提供することができる。
点眼用懸濁製剤中の化合物Aの保存安定性および化合物Aの粒子径の保存安定性評価を示す。上図の縦軸は懸濁製剤中の化合物Aの含量(%)を、横軸は時間(hr)を示す。下図の縦軸は懸濁製剤中の化合物Aの平均粒子径(nm)を、横軸は時間(day)を示す。 ラットを用いた後眼部への移行性評価(I-1)を示す。4つの図のうち、上の3つの図について、縦軸は、各組織中の化合物A濃度を示す(上図から順に点眼剤A1、点眼剤Z、経口投与)。縦軸の単位は、網膜及び角膜中濃度についてはμg/g、血漿中濃度についてはμg/mLである。横軸は各組織(左から順に網膜、角膜、血漿)を示す。4つの図のうち、最も下の図では、縦軸は網膜/血漿比率を、横軸は投与した製剤を示す(左から順に経口、点眼剤Z、点眼剤A1)。なお、網膜/血漿比率は、「網膜中化合物A濃度(μg/g)÷血漿中化合物A濃度(μg/mL)」を表す。 ラットを用いた後眼部への移行性評価(I-2)を示す。図中、縦軸は各組織中の化合物A濃度(上図から順に網膜、角膜、血漿)を示す。縦軸の単位は、網膜及び角膜中濃度についてはμg/g、血漿中濃度についてはμg/mLである。横軸は投与した製剤を示す(左から順に点眼剤Z、点眼剤A1)。 ラットを用いた後眼部への移行性評価(II)を示す。図中、縦軸は各組織中の化合物A濃度(上図から順に網膜、角膜、血漿)を示す。横軸は点眼回数を示す(左から順に1回/眼、3回/眼、5回/眼)。 ラットを用いた後眼部への移行性評価(III)を示す。4つの図のうち、上の3つの図について、縦軸は各組織中の化合物A濃度(上図から順に網膜、角膜、血漿)を示す。横軸は投与した懸濁製剤と、懸濁製剤中の化合物Aの平均粒子径(nm)を示す。4つの図のうち、最も下の図では、縦軸は網膜/血漿比率を、横軸は投与した懸濁製剤と、懸濁製剤中の化合物Aの平均粒子径(nm)を示す。なお、網膜/血漿比率は、「網膜中化合物A濃度(μg/g)÷血漿中化合物A濃度(μg/mL)」を表す。 ラットを用いた後眼部への移行性評価(IV)を示す。図中、縦軸は各組織中の化合物A濃度(上図から順に網膜、角膜、血漿)を示す。縦軸の単位は、網膜及び角膜中濃度についてはμg/g、血漿中濃度についてはμg/mLである。横軸は投与した懸濁製剤と、懸濁製剤のpHを示す。 ラットを用いた後眼部への移行性評価(V)を示す。図中、縦軸は網膜中の各化合物濃度を示す(μg/g)。横軸は投与した懸濁製剤と懸濁製剤中の化合物A、BまたはCの平均粒子径(nm)を示す。 化合物Aの抗VEGF作用の効果を示す。図中、縦軸はHRECの遊走距離(創傷直後の創傷幅の長さに対する遊走距離(%))を示す。横軸は各試験条件(DMSO(%)、添加した薬物(アルドース還元酵素阻害剤またはLucentis/ルセンティス(登録商標)(一般名:ラニビズマブ))と添加量、VEGF濃度(ng/mL))を示す。 ラットを用いた後眼部への移行性評価(III-2)を示す。縦軸は各組織中の化合物A濃度(上図から順に網膜、角膜、血漿)を示す。横軸は投与した懸濁製剤の濃度を示す。 なお、図2、図3、図4~図9の図面の右上に示すmean±seは、各群の値は検体のmean(平均値)を、また、誤差範囲としてse(標準誤差)を示すことを表している。n数は1群当たりの検体数を示す。
 本発明の製剤は、点眼用製剤であり、化合物Aまたはその生理的に許容される塩(以下、まとめて「本薬物」と言う場合がある)が分散媒中に懸濁していることを特徴とする。該製剤は、化合物A又はその生理的に許容される塩と分散媒を含有する点眼用懸濁液、又は化合物A又はその生理的の許容される塩と分散媒とを使用時に分散媒に懸濁させる用時調製型のキットなどである。
 本発明の製剤において、活性成分として含有する化合物Aは、フリー体であっても、その生理的に、すなわち薬学的に許容される無機及び有機塩基との塩であってもよい。無機及び有機塩基の具体例としては、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)、水酸化アンモニウム、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ピペリジン、リジン等との塩が挙げられる。また、本発明における化合物Aまたはその生理的に許容される塩は、水和物および溶媒和物の形で存在することもあるので、それらの化合物も本発明における化合物Aまたはその生理的に許容される塩に含まれる。それらの詳細については、特許文献2に記載される。化合物Aまたはその生理的に許容される塩の製造方法は、例えば、特許文献2に記載の方法に従って製造することができる。
 本発明における「懸濁」とは、化合物Aまたはその生理的に許容される塩が分散媒中に固体で存在して分散できる状態をいい、本薬物が一部分散媒中に溶解しているものも含む。保存により、本薬物が沈降や凝集した場合に、使用前に軽く振とうすることにより元の懸濁状態に戻るものも含む。リポソームやエマルジョン製剤のような、油脂系の液滴に薬物を分散、乳化あるいは封入させたものは含まない。詳しくは発明の製剤において、本薬物の粒子を脂質もしくは油成分で被覆(コーティング)する必要はなく、例えば本薬物がリポソーム中に封入された懸濁製剤、本薬物が油脂系の液滴中に包含され、当該液滴が水中に分散された水中油型エマルジョン製剤は本発明に含まれない。
 溶解している化合物Aまたはその生理的に許容される塩の割合は、懸濁製剤中に含まれる全ての化合物Aまたはその生理的に許容される塩の通常0.001%~10%であり、後眼網膜への移行性、化学的安定性、粒子径等の物理的安定性の観点から好ましくは0.001%~5%であり、更に好ましくは0.001%~2%であり、より好ましくは0.001%~1%であり、更に好ましくは0.001%~0.5%であり、特に好ましくは0.001%~0.1%である。すなわち、好ましくは本発明の製剤は、添加剤として、本薬物の溶解度を向上させる溶解補助効果を有する成分を含まないが、本薬物の溶解度に影響を与えない程度の量であれば溶解補助効果を有する成分を含んでいても良い。当該溶解補助効果を有する成分として、例えばシクロデキストリン等を挙げることができる。
 本発明における「分散」とは、化合物Aまたはその生理的に許容される塩が分散媒中に均一に浮遊している状態をいい、点眼剤として使用する際に支障のない限り、一時的な浮遊や、一部凝集しているもの、又は一部浮遊しているものも含む。
 懸濁製剤中に懸濁している固体の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径は、特に限定はないが、製造時の取扱いの容易性および後眼部移行性の観点から、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは2μm以下であり、さらに好ましくは700nm以下であり、さらに好ましくは650nm以下であり、さらに好ましくは460nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下であり、さらに好ましくは230nm以下であり、特に好ましくは200nm以下である。
 また、本懸濁製剤中に懸濁している固体の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径は、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは5nm以上であり、更に好ましくは10nm以上である。平均粒子径の範囲は、好ましくは10nm以上20μm以下もしくは1nm以上20μm以下であり、より好ましくは10nm以上2μm以下もしくは1nm以上2μm以下であり、より好ましくは10nm以上700nm以下もしくは1nm以上700nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上650nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上460nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上300nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上300nm以下もしくは5nm以上300nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上230nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上230nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上200nm以下であり、特に好ましくは10nm以上200nm以下もしくは10nm以上230nm以下である。
なお、本明細書中における平均粒子径とは、化合物Aまたはその生理的に許容される塩、粉砕後の化合物Aまたはその生理的に許容される塩、あるいは懸濁製剤中に懸濁している固体の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径の値であり、懸濁製剤中の本薬物の平均粒子径とは、懸濁液中に固体の状態で存在する本薬物の平均粒子径を意味する。本明細書において、平均粒子径は、以下に記載する装置および方法で算出された平均粒子径の値を意味する。懸濁製剤中で測定する場合は、測定できる程度の濃度に希釈して測定することができる。
 上記粒子径を満たす化合物Aまたはその生理的に許容される塩は、湿式粉砕または乾式粉砕により調製することができる。
 湿式粉砕の場合、攪拌機やホモジナイザー等を用い、適当な溶媒(粉砕溶媒)中で撹拌または分散して製造することができる。また、ボールミル、ビーズミル、ホモミキサー、ホモジナイザーのほか、スターバースト等の湿式ジェットミル等の粉砕機を用いて適当な溶媒(粉砕溶媒)中で粉砕して製造することができ、例えば、伊藤製作所社製の遊星ボールミル(LP-4/2)を用いて、粉砕溶媒中の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の含量が1~500mg/mL、30~370rpmで粉砕することができる。
 乾式粉砕の場合、スパイラルジェットミル、ジェット・オー・ミル、カウンタージェットミル、ジェットミル等の気流粉砕機、ハンマーミル、スクリーンミル、サンプルミル等のせん断型粉砕機、ボールミル、ビーズミル等の転動ボールミル類等で製造することができる。
 また、本発明で使用する粉砕した化合物Aまたはその生理的に許容される塩は、分散や粉砕等により粒子を小さくするブレイクダウン法の他、スプレードライや晶析、凍結乾燥を用いたビルドアップ法等により製造することができる。
 本発明の製剤は、最終的に懸濁液剤の形態で点眼できればよい。例えば、乾式粉砕を用いて本発明の製剤を作る場合、上記の粉砕装置を用いて化合物Aまたはその生理的に許容される塩を必要な粒子径、具体的には上述の平均粒子径を有する粒子に粉砕し、分散媒に懸濁させて製剤を調製することができる。化合物Aまたはその生理的に許容される塩と分散媒を個々に提供し、使用時に化合物Aまたはその生理的に許容される塩を分散媒に懸濁させる用時調製型の形態(すなわち、キット)も含む。
 湿式粉砕を用いて本発明の製剤を作る場合、上記の粉砕装置に化合物Aまたはその生理的に許容される塩と粉砕溶媒を添加して化合物Aまたはその生理的に許容される塩を粉砕したものを、凍結乾燥等で粉砕溶媒を除いて凍結乾燥品とし、分散媒に凍結乾燥品を懸濁させて製剤を調製することができる。凍結乾燥品と分散媒を個々に提供し、使用時に凍結乾燥品を分散媒に懸濁させる用時調製型の形態(キット)も含む。すなわち、(1)本薬物を含む組成物の凍結乾燥品、および(2)分散媒を含むキットも又、本発明の態様である。下記に示すように化合物Aまたはその生理的に許容される塩を界面活性剤、分散剤等の添加剤を含んだ粉砕溶媒を用いて粉砕し、凍結乾燥等で粉砕溶媒を除いた場合は、化合物Aまたはその生理的に許容される塩の凍結乾燥品が界面活性剤、分散剤等の添加剤を含む場合もあり、更に粉砕溶媒の一部を含む場合もある。
 また、上記の場合、実施例の様に、粉砕溶媒として分散媒を加え、粉砕した後の懸濁液を凍結乾燥せずに、そのまま、または必要に応じて希釈して、本発明の製剤を提供することもできる。
 本発明の製剤には、1回や1週間等の単位で使い切る製剤や、用時懸濁後の使用期間が1週間や1か月等に限られている製剤も含む。
 本明細書における分散媒とは、生体で使用でき、化合物Aまたはその生理的に許容される塩を液中に分散させることができる溶媒であり、好ましくは、化合物Aの溶解度が0.4mg/mL以下、さらに好ましくは0.1mg/mL以下の溶媒であれば、その組成は一成分でも複数成分の混合物でもよい。具体的には水の他、ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、流動パラフィンのような油等の溶媒が挙げられる。またこれら溶媒の2種類以上の混合物でもよい。
 分散媒は好ましくは水系の分散媒である。ここで水系の分散媒とは、分散媒として用いられる溶媒の総量のうち90重量%以上が水であるものをいい、好ましくは分散媒の総量のうち95重量%以上が水であり、更に好ましくは総量のうち99重量%以上が水である水系の溶媒である。分散媒として用いられる溶媒は、特に好ましくは水である。
 尚、水系の分散媒に含まれる水以外の溶媒としては、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ウイキョウ油、フェニルエチルアルコール、モノエタノールアミン、酢酸、氷酢酸、塩酸、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール等が挙げられるが、前述のとおり、ここでいう分散媒には、本薬物が油脂系の液滴中に包含され、当該液滴が水中に分散された水中油型エマルジョン製剤となるものは含まれない。
 分散媒は、分散剤、界面活性剤、湿潤剤、等張化剤、緩衝化剤、防腐剤、pH調整剤等の添加剤を含んでもよい。好ましくは、分散媒は界面活性剤及び又は分散剤を含む。
 好ましい分散媒としては、水が挙げられ、より好ましくは、分散媒は水に界面活性剤または分散剤のいずれかを含むものであり、さらに好ましくは、水に界面活性剤及び分散剤の両方を含むものである。
 また、好ましい分散媒として、水系の溶媒に界面活性剤または分散剤のいずれかを含むもの、水系の溶媒に界面活性剤及び分散剤の両方を含むものも挙げられる。
 また、分散媒のpHは、通常3~9であり、好ましくは3~8、さらに好ましくは4~7、特に好ましくは4~6である。分散媒のpHは、下記のpH調整剤により調整することができる。
 本明細書における粉砕溶媒とは、化合物Aまたはその生理的に許容される塩を湿式粉砕する際に用いる溶媒であり、化合物Aの溶解度が好ましくは0.4mg/mL以下の溶媒である。具体的には水、グリセリン、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール等のポリアルコール等、ヘプタンまたはヘキサン等が挙げられる。またこれら溶媒の2種類以上の混合物でもよい。混合溶媒として好ましくは総量のうち90重量%以上が水であり、適宜前記のポリアルコールを含んでいる水系の溶媒であり、より好ましくは総量のうち95重量%以上が水である水系の溶媒であり、特に好ましくは総量のうち99重量%以上が水である水系の溶媒である。粉砕溶媒は、好ましくは水であり、化合物Aまたはその生理的に許容される塩の粉砕を助けるため、必要に応じて界面活性剤、分散剤、塩等の添加剤を含んでいてもよい。また、前述の分散媒を粉砕溶媒として用いることも可能である。
 本発明の製剤は、滅菌して提供してもよく、例えば、化合物Aまたはその生理的に許容される塩を分散媒に分散させた懸濁液をろ過滅菌または放射線滅菌または高圧蒸気滅菌することができる。必要に応じて、化合物Aまたはその生理的に許容される塩、懸濁液の凍結乾燥品または分散媒、必要に応じて添加剤を、それぞれ別々に滅菌してもよい。また、本発明の点眼用製剤の全製造工程または一部製造工程を無菌環境下で製造することもできる。
 本発明における粒子径の測定は、これらに限定されないが、粒子の状態、粒子径の大きさ等を考慮し、例えば以下の方法で行った。
 懸濁製剤中に分散している固体の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の粒子径は、1nm~5μm、好ましくは10nm~5μmの粒子径のものについては、懸濁製剤中の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の含量を200~500μg/mL程度になるように分散媒で希釈したサンプルを測定器;Zeta Sizer nano S (Malvern Instruments Ltd, Malvern UK)を用いて行った。算出法としては、動的光散乱法を用いて、Material RI及びDispersant RIを1.33とし、算出した粒子径のZ-average値の平均値を示した。
 懸濁製剤中に分散している固体の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の粒子径は、5μm以上の粒子径のものについては、懸濁製剤中の化合物Aの含量を10~50μg/mL程度に分散媒で希釈したサンプルを超音波15秒間、スターラー速度1200rpmで分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置;HEROS/BR-multi及び湿式分散ユニットCUVETTE(Sympatec GmbH)にて、レンジR3、50mLセルを用い、トリガー条件(タイムベース:1000.00ms、測定:10s実時間)で測定し、計算モードHRLDで算出した粒子径のX50値を示した。
 乾式粉砕した化合物Aまたはその生理的に許容される塩の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置;HEROS/BR-multi及び乾式分散ユニット(Sympatec GmbH)を用い、レンジR3、トリガー条件(開始:ch.25≧0.5%、停止:ch.25≦0.5%が2秒間または実時間10秒間)、分散圧2.0barで測定し、計算モードLDで算出した粒子径のX50値を示した。
 本製剤に使用できる界面活性剤としては、分子内に親水基および疎水基(親油基)を持つ物質で、一定濃度以上でミセルやベシクル、ラメラ構造を形成し、極性物質と非極性物質を均一に混合させ、表面張力を弱める作用を持つ分子量6000以下の物質で、化合物Aまたはその生理的に許容される塩のナノ化粒子の湿潤に寄与する添加剤である。具体的にはポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ステアリン酸ポリオキシル40、グリセリン、プロピレングリコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、アルキルアリルポリエーテルアルコール、コレステロール、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、スクワラン、ステアリルアルコール、セタノール、セトマクロゴール1000、セバシン酸ジエチル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリオレイン酸ソルビタン、ノニルフェノキシポリオキシエチレンエタン硫酸エステルアンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート60、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール6000、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、ラウリルジメチルアミンオキシド液、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロマクロゴール、リン酸ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、リン酸ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどが挙げられる。
 好ましくは、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ステアリン酸ポリオキシル40、グリセリン、プロピレングリコール、コンドロイチン硫酸ナトリウムおよびモノステアリン酸アルミニウム、マクロゴール4000、マクロゴール6000が挙げられ、より好ましくはポリソルベート80、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。また、2種以上、好ましくは2~3種類の界面活性剤を添加してもよい。
 界面活性剤の含量は、懸濁液の総量の0.001~5重量%が好ましい。
 本製剤に使用できる分散剤としては、分子量6000を超える高分子で、ナノ粒子の間に入って凝集防止に寄与する添加剤である。具体的にはカルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、チロキサポール、ガディガム、アラビアゴム、アラビアゴム末、カラヤガム、キサンタンガム、アミノアルキルメタクリレートポリマーRS、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルスターチナトリウム、カンテン末、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、デキストリンなどが挙げられる。
 好ましくは、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)およびチロキサポールが挙げられ、より好ましくは、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)およびポリビニルアルコールが挙げられる。また、2種以上の分散剤を添加してもよい。
 分散剤の含量は、懸濁液の総量の0.001~5重量%が好ましい。
 湿潤剤としてはエタノール、オレイン酸、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、コリンリン酸塩などが挙げられる。
 等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、D-マンニトール、エタノール、オレイン酸、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、コリンリン酸塩などが挙げられる。好ましくは塩化ナトリウムが挙げられる。
 緩衝化剤としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トロメタモールなどが挙げられる。好ましくは、リン酸水素二ナトリウム及びクエン酸が挙げられる。
 防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウムなどの第4級アンモニウム塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ソルビン酸およびその塩、グルコン酸クロルヘキシジン液などが挙げられる。
 pH調整剤としては、塩酸、クエン酸、氷酢酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物などが挙げられる。
 必要に応じて上記添加剤を含む本発明の点眼用懸濁製剤は、通常分散媒1mLに対して化合物Aまたはその生理的に許容される塩を1~500mg、好ましくは5~300mg、さらに好ましくは10~300mg、さらに好ましくは10~200mg、特に好ましくは20~300mg、25~300mg、10~150mg、又は25~230mg含有するように、化合物Aまたはその生理的に許容される塩を加えて調製されるが、必ずしもこの量の範囲に限定されるものではない。
 本発明の製剤の懸濁液のpHは、通常3~9であり、好ましくは3~8、さらに好ましくは4~7、特に好ましくは4~6である。懸濁液のpHは、上記のpH調整剤により調整することができる。
 本発明の製剤の懸濁液の浸透圧は、通常20~1000mOsmであり、好ましくは100~700mOsmであり、より好ましくは180~500mOsmであり、特に好ましくは200~360mOsmである。懸濁液の浸透圧は、上記の等張化剤により調整することができる。
 上記懸濁液の浸透圧は、懸濁液を遠心分離等して回収した上澄み液を測定することで得ることができ、例えば、アークレイ株式会社製の浸透圧測定装置「オズモスタットOM-6040」を用いて測定することができる。
 本発明の製剤は、薬理効果を阻害しない範囲で、他の有効成分を含有することができる。
 本発明によれば、以下の試験例で示すように、化合物Aまたはその生理的に許容される塩が、VEGF刺激による細胞遊走亢進作用に対して抑制作用を有することが判明した。従って、本発明の製剤に含まれる化合物Aまたはその生理的に許容される塩は、アルドースリダクターゼ阻害作用、VEGF産生抑制作用およびVEGF刺激による細胞遊走亢進作用の抑制作用を有することから、種々の眼疾患に対して治療効果を有することが期待される。そして、本発明の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の懸濁製剤は、特に後眼部移行性に優れるため、加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管、網膜静脈閉塞症、脈絡膜新生血管、ブドウ膜炎、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、中心性漿液性脈絡網膜症などの後眼部に薬物を投与する必要がある疾患(後眼部疾患)に適用することも期待できるが、これらに限定されない。
 本発明の製剤は、特にVEGFが関連する疾患、VEGFが関連して発症する疾患、またはVEGFが関連する発症後の疾患に適用することが期待できる。
 また、角膜炎、結膜炎、血管新生緑内障、ドライアイ、白内障など、前眼部に薬物を投与する必要がある疾患または血液房水関門(blood-aqueous barrier;BAB)や角膜を透過させる必要がある疾患に本発明の製剤を適用しても、十分な治療効果が期待できる。
 本発明の点眼用懸濁製剤の用法・用量は、薬効、投与経路、症状、年齢、体重などによって適宜定められる。例えば、1~500mg/mLの化合物Aまたはその生理的に許容される塩を含む懸濁製剤を1回量1~2滴、1日1~6回程度、各眼ごとに点眼することが好ましい。通常、一滴あたりの点眼量は20~80μL、好ましくは30~50μLである。また、本発明の製剤の投与期間は、症状の程度等により異なるが、例えば、1週間以上、好ましくは約1~4週間、より好ましくは約4週間以上である。
 また、本発明の製剤は、ヒトに限らず、サル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコなどの哺乳類などの眼疾患の治療にも用いることができる。
 以下、本発明を実施例、参考例、比較例、試験例等により説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
参考例1:化合物Aの製造
 T. Negoro et. al. J. Med. Chem. 1998, 41, 4118-4129に記載の方法により得られた化合物Aの粗生成物(10g)に活性炭(50%wet、0.8g)および2-プロパノール(101g)を加え、反応液を還流温度(約84℃)まで加熱し、30分間保温した。同温度でろ過後、2-プロパノール(13.8g)で洗浄し、得られた溶液を75℃以上で加温し、反応液を60℃まで冷却し、1時間保温後、0℃まで冷却した。析出した固体をろ取、減圧乾燥し、化合物Aの白色結晶を得た(9.3g)。XRD ; 2θ=11.5, 15.4, 15.7, 16.3, 16.9, 18.2, 19.3, 20.1, 20.9, 21.6, 22.2, 23.3, 24.0, 24.7, 25.1, 26.4, 27.5, 28.4, 28.8, 29.6, 29.9, 30.9, 31.9, 32.4 示差走査熱量測定(DSC)において、補外融解開始温度が186.7℃である吸熱ピークを示した。
 なお、上記粉末X線回折測定には、Powder X-ray diffraction system XRD-6100 (Shimadzu Corp.)を用い、X線管球をCuKα(波長:1.54オングストローム)、管電圧を30.0kV、管電流を20.0mA、駆動軸をθ~2θ、測定範囲を5~40度、ステップ幅を0.020度、速度を2.00(度/分)、計数時間を0.60秒間の条件で測定した。また、上記示差走査熱量測定(DSC)には、Thermo Plus 2 (Rigaku Corporation)を用い、アルミニウム製容器に試料約10mgを秤量し、空気気流下、昇温速度毎分5℃で25℃~250℃までの条件で測定した。
 上記製法で得られた化合物Aをジェットミルにて種々の条件で粉砕し、平均粒子径の異なる3サイズの化合物Aを得た。得られた化合物Aの平均粒子径は、それぞれ、1.43μm、6.29μm、21.98μmであった。
 なお、上記ジェットミルにて粉砕(乾式粉砕)した化合物Aの平均粒子径は、前記のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定し、計算モードLDで算出した粒子径のX50値を示した。
参考例2:分散媒(pH5.0)の調製
 0.02mol/Lリン酸水素二ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した水溶液(a)に、0.01mol/Lクエン酸水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した水溶液(b)をpH=5.0になるまで添加し(添加割合:(a):(b)=約1:1)、pH5.0-クエン酸-リン酸緩衝液を得た。ヒドロキシプロピルメチルセルロース20gを精製水380gに溶解させて5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を400g調製し、これにpH5.0-クエン酸-リン酸緩衝液1600gを加えて2000gとし、1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を得た。1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液400gに27~33%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン水溶液を500mg加えて溶解させ、さらにポリソルベート80を2.5g加えて溶解させた。1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を加えて全量を500gとし、1mol/L塩酸でpH5.0に調整し、分散媒(pH5.0)を得た。上記で調製した分散媒(pH5.0)の組成を以下に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
実施例1:点眼用懸濁製剤の調製
 ジェットミルで粉砕した化合物A(平均粒子径:1.43μm)4gおよび参考例2で得られた分散媒(pH5.0)12mLをスクリュー管に加え、スターラーで30分間撹拌した。粉砕ポットに撹拌後のサンプル全量を加え、スクリュー管に付着したサンプルを分散媒4mLで洗い込んだ。粉砕ポットに以下に記載した各直径サイズのジルコニア製ビーズを50g加えた。伊藤製作所社製の遊星ボールミル(LP-4/2)に粉砕ポットをセットし、300rpmで2時間粉砕した。篩で粉砕液をろ過してビーズを取り除いた後、シンキー社製の撹拌・脱泡機「あわとり練太郎AR―250」で30秒間撹拌、30秒間脱泡し、懸濁製剤A1、A2、A3、B~Dを得た。
懸濁製剤A1、A2、A3:ビーズの直径サイズは0.5mmを使用
懸濁製剤B:ビーズの直径サイズは2.0mmを使用
懸濁製剤C:ビーズの直径サイズは3.0mmを使用
懸濁製剤D:ビーズの直径サイズは5.0mmを使用
 ジェットミルで粉砕した化合物A(平均粒子径:各1.43μm、6.29μmまたは21.98μm)2.2gおよび分散媒(pH5.0)10mLをスクリュー管に添加し、スターラーで10分間撹拌して懸濁製剤E、F、Gを得た。
 懸濁製剤A1~A3、B~G中に懸濁している化合物Aの平均粒子径を上記に記載の方法でそれぞれ測定した。得られた平均粒子径は、以下のとおりであった。
懸濁製剤A1:209.0nm
懸濁製剤A2:195.2nm
懸濁製剤A3:227.0nm
懸濁製剤B:451.2nm
懸濁製剤C:609.9nm
懸濁製剤D:801.2nm
懸濁製剤E:1944nm
懸濁製剤F:9560nm
懸濁製剤G:20430nm
参考例3:各点眼用懸濁製剤の薬物含量測定
 点眼用懸濁製剤A1~A3、B~G各100μLに1%HPMC800μLとアセトニトリル100μLを加え、ボルテックスで振とうした。その100μLを10mL容メスフラスコにとり、1%HPMC/アセトニトリル(1:1)を加え完全に溶解させ正確に10mLとし、点眼用懸濁製剤の含量測定サンプルとした。SHIMADZU社製の超高速液体クロマトグラフ、カラムYMC-Pack Pro C18 5μm 150×4.6mmを用いて点眼用懸濁製剤A1~A3、B~Gの化合物A含量(溶解している化合物Aおよび懸濁している化合物Aを合わせた含量)を測定したところ、以下のとおりであった。
懸濁製剤A1:200.1mg/mL
懸濁製剤A2:216.2mg/mL
懸濁製剤A3:207.1mg/mL
懸濁製剤B:211.0mg/mL
懸濁製剤C:195.6mg/mL
懸濁製剤D:218.8mg/mL
懸濁製剤E:135.4mg/mL
懸濁製剤F:201.8mg/mL
懸濁製剤G:224.5mg/mL
参考例4:分散媒(pH3.0)の調製
 0.02mol/Lリン酸水素二ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した水溶液(c)に、0.01mol/Lクエン酸水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した水溶液(d)をpH=3.0になるまで添加し(添加割合:(c):(d)=約2:8)、pH3.0-クエン酸-リン酸緩衝液を得た。得られたpH3.0-クエン酸-リン酸緩衝液を上記pH5.0-クエン酸-リン酸緩衝液場合と同様の方法により処理し、分散媒(pH3.0)を得た。上記で調製した分散媒(pH3.0)の組成を以下に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
参考例5:分散媒(pH8.0)の調製
 0.02mol/Lリン酸水素二ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した水溶液(e)に、0.02mol/Lリン酸二水素ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した水溶液(f)をpH=8.0になるまで添加し(添加割合:(e):(f)=約19:1)、pH8.0-リン酸緩衝液を得た。得られたpH8.0-クエン酸-リン酸緩衝液を上記pH5.0-クエン酸-リン酸緩衝液場合と同様の方法(ただし、1mol/L塩酸の代わりに1mol/L水酸化ナトリウムを用いた)により処理し、分散媒(pH8.0)を得た。上記で調製した分散媒(pH8.0)の組成を以下に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
実施例2:点眼用懸濁製剤の調製
 直径1.0mmのビーズおよび参考例4に記載のpH3.0、参考例2に記載のpH5.0又は参考例5に記載のpH8.0の分散媒を用い、実施例1と同様の方法で点眼用懸濁製剤H、I、Jを得た。得られた点眼用懸濁製剤のpHはそれぞれ、以下のとおりであった。
懸濁製剤H(pH3):3.09
懸濁製剤I(pH5):5.07
懸濁製剤J(pH7):7.10
 点眼用懸濁製剤H、I、J中に懸濁している化合物Aの平均粒子径を上記に記載の方法でそれぞれ測定した。得られた平均粒子径は、以下のとおりであった。
懸濁製剤H(pH3):352.1nm
懸濁製剤I(pH5):263.2nm
懸濁製剤J(pH7):256.0nm
 また、点眼用懸濁製剤H、I、Jの化合物Aの含量を上記に記載の方法でそれぞれ測定したところ、以下のとおりであった。
懸濁製剤H(pH3):217.9mg/mL
懸濁製剤I(pH5):220.0mg/mL
懸濁製剤J(pH7):222.4mg/mL
比較例1:化合物Aの点眼用溶解製剤の調製
 0.1mol/Lリン酸二水素ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した溶液に、0.1mol/Lリン酸水素二ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを0.9%(w/v)添加した溶液を加え、pHを8.0に調整し、精製水で1.25倍に希釈した(以下、「pH8.0の溶解液」と記載)。得られた溶液1mLに対してジェットミルで粉砕した化合物Aを400μg、エタノールを0.08mL添加して化合物Aを溶解させ、点眼用溶解製剤Zを得た。
比較例2:[5-[(1Z,2E)-2-メチル-3-フェニルアリリデン]-4-オキソ-2-チオキソチアゾリジン-3-イル]酢酸および(2S,4S)-6-フルオロ-2’,5’-ジオキソスピロ[クロマン-4,4’-イミダゾリジン]-2-カルボアミドの点眼用懸濁製剤の調製
 [5-[(1Z,2E)-2-メチル-3-フェニルアリリデン]-4-オキソ-2-チオキソチアゾリジン-3-イル]酢酸(以下「化合物B」と記載する)2gおよび参考例2に記載の分散媒(pH5.0)6mLをスクリュー管に加え、スターラーで30分間撹拌した。粉砕ポットに撹拌後のサンプル全量を加え、スクリュー管に付着したサンプルを分散媒2mLで洗い込んだ。粉砕ポットに直径1.0mmのビーズを50g加えた。伊藤製作所社製の遊星ボールミル(LP-4/2)に粉砕ポットをセットし、300rpmで6時間粉砕した。篩で粉砕液をろ過してビーズを取り除いた後、シンキー社製の撹拌・脱泡機「あわとり練太郎AR―250」30秒間撹拌、30秒間脱泡し、点眼用懸濁製剤X1を得た。また、(2S,4S)-6-フルオロ-2’,5’-ジオキソスピロ[クロマン-4,4’-イミダゾリジン]-2-カルボアミド(以下「化合物C」と記載する)1.84gおよび参考例2に記載の分散媒(pH5.0)6mLをスクリュー管に加え、スターラーで30分間撹拌した。得られた撹拌後のサンプルを上記化合物Bと同様に取り扱い点眼用懸濁製剤Y1を得た。
 化合物B 1.1gおよび参考例2に記載の分散媒(pH5.0)5mLをスクリュー管に添加し、スターラーで10分間撹拌して点眼用懸濁製剤X2を得た。化合物Cについても同様の手順で撹拌し、点眼用懸濁製剤Y2を得た。
 懸濁製剤X1、Y1、X2およびY2中に懸濁している化合物Bおよび化合物Cの平均粒子径を化合物Aの平均粒子径を測定した場合と同様の方法で測定した。平均粒子径は、以下のとおりであった。
懸濁製剤X1:555.7nm
懸濁製剤Y1:290.8nm
懸濁製剤X2:8970nm
懸濁製剤Y2:5430nm
 また、懸濁製剤X1、Y1、X2、Y2の化合物Bおよび化合物C含量を上記に記載の方法で測定したところ、以下のとおりであった。
懸濁製剤X1:215.4mg/mL
懸濁製剤Y1:214.1mg/mL
懸濁製剤X2:187.7mg/mL
懸濁製剤Y2:196.8mg/mL
 本明細書中に記載の実施例および比較例のまとめを下記に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
試験例1:化合物Aの点眼用懸濁製剤の保存安定性評価
 点眼用懸濁製剤について、37℃で保存したときの化合物Aの含量推移及び25℃で保存したときの粒子径の推移を以下の手順で評価した。
 実施例1に記載した手順に従い、分散媒(pH5.0)及び直径0.5mmのビーズを用いて、点眼用懸濁製剤を調製した。得られた点眼用懸濁製剤中の化合物Aの含量及び懸濁している化合物Aの平均粒子径を上記に記載の方法で測定したところ、それぞれ220.95mg/mL、170.2nmであった。調製した点眼用懸濁製剤を37℃で一定時間保存後、超音波照射して均一化した点眼用懸濁製剤100μLに1%HPMC800μLとアセトニトリル100μLを加え、ボルテックスで振とうした。その100μLを10mL容メスフラスコにとり、1%HPMC/アセトニトリル(1:1)で正確に10mLとし、点眼用懸濁製剤中の化合物Aの含量測定サンプルとした。SHIMADZU社製の超高速液体クロマトグラフ、カラムYMC-Pack Pro C18 5μm 150×4.6mmを用いてそれぞれのサンプルを測定した。結果を図1に示す。
 次に、実施例1に記載した手順に従い、分散媒(pH5.0)を用いて、点眼用懸濁製剤を調製した。なお、ビーズは直径0.5mmを用いて2時間粉砕した後、0.02mmのビーズに変えてさらに2時間粉砕した。得られた点眼用懸濁製剤中の化合物Aの含量及び懸濁している化合物Aの平均粒子径を上記に記載の方法で測定したところ、それぞれ168.5mg/mL、180.5nmであった。調製した点眼用懸濁製剤を25℃で保存し、保存中の平均粒子径を上記に記載の方法で測定した。結果を図1に示す。
 図1より、本発明の点眼用懸濁製剤は72時間保存後も化合物Aの含量の大きな低下は見られなかった。また、14日間保存後も平均粒子径の変化は見られなかった。このことから、本発明の点眼用製剤は、化学的にも物理的にも安定であり、冷所保存の必要もなく、常温で保存が可能であることが分かった。
試験例2:ラットを用いた後眼部への移行性評価(I-1)および(I-2)
 糖尿病モデルラットの両眼に、一般に懸濁剤として投与可能な含有量である化合物Aを懸濁させた点眼用懸濁製剤A1(200mg/mL)および化合物Aを溶解させた点眼用溶解製剤Z(400μg/mL)を、5分間おきに片眼5μL(ラットに点眼投与可能な最大量)ずつ、計5回点眼投与した。投与60分後の角膜中、網膜中および血漿中の化合物Aの濃度を測定した。
 なお、他の剤形と異なり、点眼剤では、1回に点眼投与可能な液量に制限があり、点眼可能な最大量での薬物の組織への移行量が重要である。その液量は動物種によって異なるが、ラットの場合、最大で片眼5μLである。
 点眼用溶解製剤としては、化合物Aの水に対する溶解度は非常に低いため、添加剤の添加により本来の溶解度よりも高い濃度である400μg/mLの化合物Aを溶解させたものを点眼用溶解製剤Zとして用いた。
 また、Diabetic Retinopathy, INTECH, Phapter 15 「Prophylactic Medical Treatment of Diabetic Retinopathy」, Akihiro Kakehashi et al.に記載のSDTラットへの経口反復投与で網膜毛細血管の脆弱化及び網膜でのVEGF産生抑制が確認された投与量である1.0mg/kgの化合物Aを1日1回、21日間経口反復投与した。最終投与60分後の角膜中、網膜中および血漿中の化合物Aの濃度を測定した。結果を図2および図3に示す。
 図2に、点眼用懸濁製剤A1の点眼投与、点眼用溶解製剤Zの点眼投与および経口反復投与による血漿中、角膜中、網膜中への化合物Aの移行量(濃度)を示す。血漿中、角膜中、網膜中への化合物Aの移行の割合は以下の通りであった。
 点眼用懸濁製剤A1の点眼投与による化合物Aの各組織中濃度は、およそ血漿中:角膜中:網膜中=1:101:33.5
 点眼用溶解製剤Zの点眼投与による化合物Aの各組織中濃度は、およそ血漿中:角膜中:網膜中=1:1689:1
 また、経口反復投与による化合物Aの各組織中濃度は、およそ血漿中:角膜中:網膜中=1:1:1
 また、各投与群における網膜/血漿比率(網膜/血漿比率=網膜中化合物A濃度(μg/g)÷血漿中化合物A濃度(μg/mL))は以下の通りであった。
点眼用懸濁製剤A1投与群の網膜/血漿比率=33.5
点眼用溶解製剤Z投与群の網膜/血漿比率=1.1
経口反復投与群の網膜/血漿比率=1.0
 点眼用溶解製剤Zを点眼投与したラットでは、網膜/血漿比率は1.1であり、化合物Aを経口投与したラットの網膜/血漿比率(1.0)とほぼ同じであったことから、点眼用溶解製剤Zではほとんどが鼻涙管などを介して全身循環血流から網膜に到達したと推測される。
 一方、本発明の点眼用懸濁製剤A1を投与したラットでは、網膜/血漿比率は33.5であり、SDTラットにおける糖尿病網膜症の薬効用量を経口投与した場合の網膜/血漿比率(1.0)や点眼用溶解製剤Zを投与した場合の網膜/血漿比率(1.1)の30倍以上高かった。このことから、点眼用懸濁製剤では、網膜への直接的な移行経路による移行が示唆された。
 試験例2で得られた、点眼用懸濁製剤A1および点眼用溶解製剤Zを投与したラットの化合物Aの濃度を、各組織別に並べると図3のようになった。
点眼用溶解製剤Zを点眼投与したラットでは、化合物A本来の溶解度に比べて高い濃度(400μg/mL)を溶解させたにも関わらず網膜への移行は0.0473μg/gと低く、治療効果は期待できない程度であった。一方、点眼用懸濁製剤A1を投与したラットでは、一般に懸濁剤として投与可能な含量(200mg/mL)で、治療効果が十分に期待できる高い網膜への移行性(342μg/g)が示された。
 また、その量は、懸濁した場合が溶解した場合の500倍[(200mg/mL)/(400μg/mL)]を点眼しているにもかかわらず、溶解した場合の7230倍[(342μg/g)/(0.0473μg/g)]と非常に大きいものであった。一方、前眼部の角膜中および血漿中へは、懸濁した場合が溶解した場合の500倍量を点眼したにもかかわらず、懸濁した場合はそれぞれ溶解した場合の14倍および232倍程度しか移行が見られなかった。
 化合物Aの点眼用懸濁製剤は、全身循環血流を介する経口投与や点眼用溶解製剤の点眼投与の場合よりも、治療に十分な濃度の化合物Aが移行することが明らかとなった。したがって、化合物Aまたはその生理的に許容される塩の点眼用懸濁製剤は、効果と副作用を乖離し、安全に網膜を含む後眼部疾患の治療を可能にすると考えられる。
試験例3:ラットを用いた後眼部への移行性評価(II)
 SDラットの両眼に、点眼用製剤A2を、片眼5μLずつ、5分間おきに1回または3回または5回点眼投与し、60分間後の角膜中、網膜中および血漿中の化合物Aの濃度を測定した。その結果を図4に示す。
 図4より、点眼用懸濁製剤において、投与回数の増加に伴い、血漿中濃度の増加が見られた。一方、網膜では、投与回数の影響は見られず、1回の投与で薬効に必要な量の化合物Aが網膜へ移行した。このことから、化合物Aまたはその生理的に許容される塩の点眼用懸濁製剤は、少ない点眼回数で血中濃度の上昇を回避できる一方、網膜中には十分な移行性を示すことがわかった。
試験例4:ラットを用いた後眼部への移行性評価(III)
 SDラットの両眼に、点眼用製剤A3、点眼用製剤B~Gを、片眼5μLずつ1回点眼投与し、60分間後の角膜中、網膜中および血漿中の化合物Aの濃度を測定した。その結果を図5に示す。
 また、点眼用製剤A3を分散媒で希釈し、濃度の異なる点眼用懸濁製剤(20mg/mL)を調製し、上記と同様にSDラットに投与し、60分間後の網膜中、角膜中および血漿中の化合物Aの濃度を測定した(III-2)。その結果を図9に示す。
 図5より、平均粒子径が小さくなるに従い、網膜中の化合物Aの濃度の上昇が見られるが、角膜中および血漿中では平均粒子径が9560nm以下の場合は大きな違いは見られなかった。また、いずれの平均粒子径の点眼用懸濁製剤でも経口投与あるいは溶液の点眼投与の場合の網膜/血漿比率(経口投与:1.0、溶液の点眼投与:1.1)に比べて高い網膜/血漿比率(約4~12)を示した。さらに700nm以下の平均粒子径の化合物A点眼用懸濁製剤では、網膜中濃度と血漿中濃度の乖離がより大きくなった。この結果より、高い効果の発現と副作用の軽減の両立がより可能となると考えられる。
 図9より、化合物Aの懸濁濃度の増加に伴い、網膜中の化合物Aの濃度の上昇が見られた。通常、後眼部への薬物送達は、水に溶解している成分量に依存していると考えられていたが、驚くべきことに、化合物Aの網膜移行量は、溶解している成分量にかかわらず、懸濁状態として存在する化合物Aの濃度に伴い増加した。また、懸濁濃度によらず、経口投与あるいは溶液の点眼投与の場合の網膜/血漿比率(経口投与:1.0、溶液の点眼投与:1.1)に比べて高い網膜/血漿比率(約12)を示した。
試験例5:ラットを用いた後眼部への移行性評価(IV)
 SDラットの両眼に、点眼用製剤H(pH3)、点眼用製剤I(pH5)または点眼用製剤J(pH7)を、片眼5μLずつ1回点眼投与し、60分間後の角膜中、網膜中および血漿中の化合物Aの濃度を測定した。その結果を図6に示す。
 図6より、点眼用製剤I(pH5)、点眼用製剤H(pH3)および点眼用製剤J(pH7)のいずれにおいても、後眼疾患の治療が可能と考えられる程度の網膜への移行が見られた。特に、点眼用製剤I(pH5)では、非常に高い網膜移行性が見られた。一方、角膜および血漿中への移行はpHによって大きな違いは見られなかった。
試験例6:ラットを用いた後眼部への移行性評価(V)
 SDラットの両眼に、点眼用製剤I、点眼用製剤F、点眼用製剤G、点眼用製剤X1、点眼用製剤X2、点眼用製剤Y1または点眼用製剤Y2を、片眼5μLずつ1回点眼投与し、60分間後の網膜中のそれぞれの薬物濃度を測定した。その結果を図7に示す。
 図7より、化合物Aの点眼用懸濁製剤は、薬効メカニズムが同様のアルドースリダクターゼ阻害剤である化合物B及び化合物Cの点眼用懸濁製剤と比較して、網膜への移行性が格段に高かった。化合物Aは9560nmの平均粒子径の点眼用懸濁製剤においても、薬効に必要な量の化合物Aが網膜へ到達しているのに対し、化合物B及び化合物Cでは、いずれの平均粒子径においても、僅かしか網膜へ到達しなかった。
試験例7:化合物AのVEGF刺激による細胞遊走亢進作用に対する抑制作用
 化合物Aによる抗VEGF作用について、J Diabetes Complications. 2012 ;26(5):369-77に記載された、細胞遊走能の実験方法に準じて検討した。実験には、Cell System社より購入した正常ヒト網膜毛細血管内皮細胞(HREC)を使用し、細胞培養液はCS-C培地(Cell System社)を使用した。化合物A、化合物B、化合物Cはジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して、DMSO濃度が0.1%になるように細胞培養液で希釈して使用した。ルセンティスは製剤原液50μLあたり4mLの細胞培養液で希釈して使用した。HRECを6ウェルプレートに播種し、培養密度が80-90%になるまで培養した。VEGFの刺激による細胞遊走能評価の20-24時間前に、ウシ胎児血清濃度を0.1%含む細胞培養液に交換した。その後、単層培養細胞層を各ウェルにつき1か所、200μLのピペットチップで創傷させ、創傷幅の長さを顕微鏡下で測定した。創傷後、それぞれの試験条件に応じて、VEGF、各種アルドース還元酵素阻害剤(化合物A、化合物B、化合物C)またはルセンティスを含む細胞培養液に交換した。培地を交換して約18時間後に、創傷幅の長さを顕微鏡下で測定し、創傷直後との比較により抗VEGF作用を評価した。結果を図8に示す。
 図8に示すように、VEGF刺激によるHRECの遊走亢進が確認され、ルセンティス及びアルドース還元酵素阻害剤による遊走抑制作用が確認された。1nM((0.42ng/mL)L)の化合物A添加によるHRECの遊走抑制作用は、100nM((28ng/mL)/L)の化合物Cによる遊走抑制作用と同程度であり、1000nM((320ng/mL)/L)の化合物Bによる遊走抑制作用より強かった。さらに、この化合物Aの遊走抑制作用は、下表に示す各アルドース還元酵素の酵素阻害作用比から類推される作用比よりも強かった。また、1nM化合物Aの遊走抑制作用は、抗VEGF抗体であるルセンティスと同程度であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 Diabetic Retinopathy, INTECH, Phapter 15, 「Prophylactic Medical Treatment of Diabetic Retinopathy」, Akihiro Kakehashi et alによると、化合物Aを非肥満2型糖尿病モデルであるSDTラットへ経口で反復投与すると、網膜毛細血管の脆弱化及び網膜でのVEGF産生が抑制されたことが示されており、これにより、VEGFが関連する疾患に対して、VEGF産生が亢進する前からの予防投与によって、ある程度進行抑制が期待されることが示唆されている。しかしながら、化合物Aがすでに産生されたVEGFの作用を減弱することにより、発症後の治療に有効であることは明らかではなかった。また、非特許文献1は経口投与におけるデータが示されているのみであり、点眼投与による進行抑制の可能性は示されていなかった。
 本試験より、化合物Aまたはその生理的に許容される塩は、VEGF刺激による細胞遊走亢進作用に対して抑制作用を示し、すでに産生されたVEGFに対しても抗VEGF作用を示すことが明確に明らかとなった。すなわち、VEGFが関連する発症後の加齢黄斑変性や糖尿病網膜症等の治療の可能性が示された。なお、この抗VEGF作用は他のアルドース還元酵素阻害剤に比べ強力であり、抗VEGF抗体製剤であるルセンティスと同程度の効力であった。
参考例6:懸濁製剤サンプル(1)~(4)の調製
 サンプル(1)の調製:実施例1に記載した手順に従い、分散媒(pH5.0)及び直径0.5mmのビーズを用いて、化合物Aを含有する点眼用懸濁製剤(250mg/mL)を調製した。
 サンプル(2)の調製:ポリソルベート80の代わりにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いて、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.3%を含む分散媒(pH5.0)を参考例2に従い調製した。この分散媒15mLと化合物A 5gをスクリュー管に加え、5分間超音波照射し、スギノマシン製スターバーストミニの粉砕用シリンジに全量を加えた。スクリュー管に付着したサンプルは分散媒5mLで洗い込んだ。粉砕圧245MPaで30分間粉砕し、化合物Aを含有する点眼用懸濁製剤(250mg/mL)を調製した。
 サンプル(3)の調製:ジェットミルで粉砕した化合物A1gをグリセリン10gに添加し、スターラーで1時間撹拌し、化合物Aを含有する懸濁製剤を調製した。
 サンプル(4)の調製:ジェットミルで粉砕した化合物A1gを水10gに添加し、スターラーで1時間撹拌し、化合物Aを含有する懸濁製剤を調製した。
試験例8:化合物Aの溶解度測定
 サンプル(1)~(4)各500μLを日立工機社製の遠心分離機HITACH-GXを用いて遠心分離(150,000rpm、10分、5℃)し、得られた上澄み100μLに1%HPMC800μLとアセトニトリルまたは水100μLを加え、ボルテックスで振とうし、含量測定サンプルとした。SHIMADZU社製の超高速液体クロマトグラフ、カラムYMC-Pack Pro C18 5μm 150×4.6mmを用いて溶解している化合物Aの量を測定した。その結果を表6に示す。表6より、水系の懸濁液中で溶解している化合物Aの割合は、極僅かであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 なお、サンプル(1)、(2)に懸濁している化合物Aの平均粒子径を上記に記載の方法で測定したところ、それぞれ244.2nm、276.7nmであった。またサンプル(2)を25℃で1ヶ月および2ヶ月保存した時の粒子径はそれぞれ277.3nm、256.9nmであった。
 これらの実施例、参考例、比較例、試験例等により、本発明の点眼用製剤は、優れた後眼部移行性を有し、後眼部疾患を初めとする眼疾患への治療に好適に利用される。

Claims (24)

  1.  (R)-(-)-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-スピロ-3’-ピロリジン-1,2’,3,5’-テトラオン(以下、「化合物A」という)またはその生理的に許容される塩を含有する点眼用懸濁製剤。
  2.  化合物Aまたはその生理的に許容される塩が分散媒中に懸濁している懸濁液である請求項1に記載の製剤。
  3.  懸濁液中の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が、1nm以上20μm以下である請求項2に記載の製剤。
  4.  懸濁液中の化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が、10nm以上20μm以下である請求項3に記載の製剤。
  5.  分散媒が水系の分散媒である請求項2~4のいずれかに記載の製剤。
  6.  分散媒が分散剤及び/又は界面活性剤を含む請求項2~5のいずれかに記載の製剤。
  7.  分散媒が分散剤及び界面活性剤を含む請求項6に記載の製剤。
  8.  懸濁液のpHが3~9である請求項2~7のいずれかに記載の製剤。
  9.  懸濁液の浸透圧が20~1000mOsmである請求項2~8のいずれかに記載の製剤。
  10.  懸濁液1mL中に化合物Aまたはその生理的に許容される塩を1~500mg含む請求項2~9のいずれかに記載の製剤。
  11.  懸濁液中に溶解している化合物Aまたはその生理的に許容される塩の割合が製剤に含まれる全ての化合物Aまたはその生理的に許容される塩の0.001%~10%である請求項2~10のいずれかに記載の製剤。
  12.  懸濁液中に溶解している化合物Aまたはその生理的に許容される塩の割合が製剤に含まれる全ての化合物Aまたはその生理的に許容される塩の0.001%~1%である請求項2~11のいずれかに記載の製剤。
  13.  前眼部疾患及び/又は後眼部疾患を治療するための請求項1~12のいずれかに記載の製剤。
  14.  疾患が、VEGFが関連する疾患である、請求項13に記載の製剤。
  15.  疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管、網膜静脈閉塞症及び/又は白内障である請求項13又は14に記載の製剤。
  16.  (1)化合物Aまたはその生理的に許容される塩を含有する製剤と、(2)分散媒を含む製剤を組み合わせてなるキット。
  17.  製剤(1)における化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が1nm以上20μm以下である請求項16に記載のキット。
  18.  製剤(1)における化合物Aまたはその生理的に許容される塩の平均粒子径が10nm以上20μm以下である請求項17に記載のキット。
  19.  製剤(1)または製剤(2)が、分散剤及び/又は界面活性剤を含んでもよい請求項16~18のいずれかに記載のキット。
  20.  前眼部疾患及び/又は後眼部疾患を治療するための請求項16~19のいずれかに記載のキット。
  21.  化合物Aまたはその生理的に許容される塩を含有する、VEGFが関連する疾患の治療剤。
  22.  疾患が加齢黄斑変性及び/又は糖尿病網膜症である請求項21に記載の治療剤。
  23.  懸濁液中に分散剤及び/又は界面活性剤を含む請求項2~4のいずれかに記載の製剤。
  24.  懸濁液中に分散剤及び界面活性剤を含む請求項23に記載の製剤。
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