WO2016035685A1 - 不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤 - Google Patents
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Abstract
植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を提供すること。下記の(式1)であらわされる化合物もしくはその塩またはエステル体からなる、植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤(ただし、一般(式1)のR1~R6は次のいずれかの構造である。 R1= ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はアミノ基 R2= 水素原子、アルキル基、フェニル基又はアシル基 R3= 水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基 R4= 水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基 R5= 水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基 R6= 水素原子)。
Description
本発明は、植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤に関する。
農業分野において、植物の成長を制御することは生産性向上のために重要な技術である。現在では植物の成長調節を目的とした様々な種類の植物成長調整剤が実用化され、植物成長調整剤は作物の収量や生産物の品質向上に貢献している。その中でも根は植物の定着、吸水、養分吸収、倒伏防止など非常に重要な役割を担っているため、その発達を促進することは重要である。
植物の根は、主根、側根、不定根によって構成され、これらを合わせて根系と呼ばれている。主根は種子の段階で既に発達しており、発芽と同時に伸長する。側根は主根から分化し発達する。また、不定根は茎や葉などといった根以外の組織から分化し、発達する。このため、植物の培養細胞から発生する根や、挿し木・挿し葉などの地上部の組織切片から発生する根は不定根に分類され、いわゆる栄養繁殖を効率よく進める上では不定根の発生を誘導することは重要な産業上の技術となっている。また、イネ科作物などの単子葉植物は、発芽後まもなく幼根の成長が停止し、種子根を除くほとんどの根は茎から発生する不定根であり、冠根とも呼ばれている。これらの不定根の発生を誘導することはイネ科植物の安定した生育を確保する上では重要である。特に主要な作物であるイネ、ムギ、トウモロコシなどの生育や倒伏防止にとって不定根発生は重要である。
植物の根は、主根、側根、不定根によって構成され、これらを合わせて根系と呼ばれている。主根は種子の段階で既に発達しており、発芽と同時に伸長する。側根は主根から分化し発達する。また、不定根は茎や葉などといった根以外の組織から分化し、発達する。このため、植物の培養細胞から発生する根や、挿し木・挿し葉などの地上部の組織切片から発生する根は不定根に分類され、いわゆる栄養繁殖を効率よく進める上では不定根の発生を誘導することは重要な産業上の技術となっている。また、イネ科作物などの単子葉植物は、発芽後まもなく幼根の成長が停止し、種子根を除くほとんどの根は茎から発生する不定根であり、冠根とも呼ばれている。これらの不定根の発生を誘導することはイネ科植物の安定した生育を確保する上では重要である。特に主要な作物であるイネ、ムギ、トウモロコシなどの生育や倒伏防止にとって不定根発生は重要である。
不定根発生誘導、根系発達促進作用を有する植物成長調整剤が望まれている。しかしながら、不定根の発生を誘導する植物成長調整剤は、その数が少なく、効果も十分でなく、更に好ましくない作用を有する場合が多かった。例えば、現在発根剤として広く用いられているオーキシン系化合物は、植物の種類や状態、施用する濃度によっては植物に対して毒性を示し、茎や葉のクロロシス、枯死等といった好ましくない作用を及ぼすことがある。
WO2011/136285号公報(特許文献1)にはクロロフェニル基やジクロロフェニル基などを有する化合物がユーカリの不定根を発生させることが記載されている。また特開平5-260869号公報(特許文献2)にはオーキシンとα-ナフタリン酢酸を併用するとサツマイモの茎に不定根を誘導できることが記載されている。さらにまた特開平5-49484号公報(特許文献3)にはレモンバームのカルスを、オーキシンを添加した培地中で培養して不定根の発生を誘導する技術が記載されている。
WO2011/136285号公報(特許文献1)にはクロロフェニル基やジクロロフェニル基などを有する化合物がユーカリの不定根を発生させることが記載されている。また特開平5-260869号公報(特許文献2)にはオーキシンとα-ナフタリン酢酸を併用するとサツマイモの茎に不定根を誘導できることが記載されている。さらにまた特開平5-49484号公報(特許文献3)にはレモンバームのカルスを、オーキシンを添加した培地中で培養して不定根の発生を誘導する技術が記載されている。
また、植物ホルモンの中でインドール酢酸は不定根や側根の発生を誘導することが知られている(非特許文献1)。その生合成経路をたどると、主要な前駆体はトリプトファンであり、さらにトリプトファンの前駆体の一つはアントラニル酸であることが知られている(非特許文献2)。
しかし、側根の発生誘導に関しては、ジャスモン酸を処理したシロイヌナズナではアントラニル酸合成酵素の発現が亢進し、結果的にインドール酢酸が蓄積する結果、側根の発生が誘導される(非特許文献3)が不定根の発生誘導作用についてはまったく報告がなく、逆にアントラニル酸そのものを植物に施用した場合には不定根の発生は誘導されないとされていた(非特許文献4)。
すなわち、上述のようにアントラニル酸はインドール酢酸の前駆体として考えられていたために、トリプトファンやインドール酢酸に変換されないかぎり不定根発生促進作用があるとは考えられなかった。さらにその誘導体はインドール酢酸に変換されないため、不定根発生誘導作用、根系発達誘導作用を有するとは理論上も考えられなかった。このことから、アントラニル酸誘導体は結果的にトリプトファン合成酵素活性を阻害するとされ、むしろ植物生長抑制物質として認識されていた(非特許文献5)。
しかし、側根の発生誘導に関しては、ジャスモン酸を処理したシロイヌナズナではアントラニル酸合成酵素の発現が亢進し、結果的にインドール酢酸が蓄積する結果、側根の発生が誘導される(非特許文献3)が不定根の発生誘導作用についてはまったく報告がなく、逆にアントラニル酸そのものを植物に施用した場合には不定根の発生は誘導されないとされていた(非特許文献4)。
すなわち、上述のようにアントラニル酸はインドール酢酸の前駆体として考えられていたために、トリプトファンやインドール酢酸に変換されないかぎり不定根発生促進作用があるとは考えられなかった。さらにその誘導体はインドール酢酸に変換されないため、不定根発生誘導作用、根系発達誘導作用を有するとは理論上も考えられなかった。このことから、アントラニル酸誘導体は結果的にトリプトファン合成酵素活性を阻害するとされ、むしろ植物生長抑制物質として認識されていた(非特許文献5)。
Geiss et al. 2009. Adventitious root formation: new insights and perspectives. in "Root development"(Wiley-Blackwell) pp. 127-156.
Jones et al. 2013. Hormones and other signals. in "The molecular life of plants"(Wiley-Blackwell) pp. 329-370.
Sun et al. 2009. Arabidopsis ASA1 is important for jasmonate-mediated regulation of auxin biosynthesis and transport during lateral root formation. Plant Cell 21: 1495-1511.
Kling and Meyer 1983. Effects of phenolic compounds and indoleacetic acid on adventitious root intiation in cuttings of Phaseolus aureus, Acer saccharinum, and Acer griseum. Hort Sci18: 352-354.
Li and Last 1996. The Arabidopsis thaliana trp5 mutant has a feedback-resistant anthranilate synthase and elevated soluble tryptophan. Plant Physiol 110:51-59.
本発明の課題は、植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、従来不定根発生誘導作用がないものと考えられているアントラニル酸が不定根の発生を誘導し、さらに根系の発達を促進させることを見出した。そしてこの作用は、アントラニル酸の誘導体にも見出すことができ、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.下記の(式1)であらわされる化合物もしくはその塩およびエステル体からなる、植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤
1.下記の(式1)であらわされる化合物もしくはその塩およびエステル体からなる、植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤
(ただし、(式1)のR1~R6は次のいずれかの構造である。
R1= ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はアミノ基
R2= 水素原子、アルキル基、フェニル基又はアシル基
R3= 水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基
R4= 水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基
R5= 水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基
R6= 水素原子)。
2.R1のアルコキシ基がメトキシ基、R2のアルキル基がメチル基又はエチル基、アルコキシ基がメトキシ基、R3のハロゲン原子が塩素または臭素、R4のハロゲン原子が塩素、R5のアルキル基がメチル基、ハロゲン原子が塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
3.R1がヒドロキシ基、アルコキシ基、又はアミノ基であり、R2、R4、R6が水素原子であり、R3が水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子のいずれか、R5が塩素原子又は臭素原子である、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
4.R1がヒドロキシ基、R2~R6が水素原子である、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
5.R1がメトキシ基又はアミノ基であり、R2~R6が水素原子である、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
6.R1がヒドロキシ基、R2、R4~R6が水素原子であり、R3が水酸基、メチル基、メトキシ基、塩素又は臭素原子のいずれかである、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
7.R1がヒドロキシ基、R2~R3、R5、R6が水素原子、R4が塩素原子、アミノ基、カルボキシル基のいずれかである、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
8.R1がヒドロキシ基、R2~R4、R6が水素原子であり、R5がメチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基のいずれかである、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
9.R1がヒドロキシ基、R2、R4、R6が水素原子であり、R3がメチル基、塩素原子、臭素原子のいずれか、R5が塩素原子又は臭素原子である、1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
10.不定根を発生させようとする植物体に直接散布する形態である1~9記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
11.1~10記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する肥料。
12.1~10記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する農薬。
13.アントラニル酸、アントラニル酸メチル、アントラニルアミド、N-メチルアントラニル酸、N-エチルアントラニル酸、N-フェニルアントラニル酸、N-アセチルアントラニル酸、3-ヒドロキシアントラニル酸、3-メチルアントラニル酸、3-メトキシアントラニル酸、3-クロロアントラニル酸、4-アミノアントラニル酸、2-アミノテレフタル酸、4-クロロアントラニル酸、5-クロロアントラニル酸、5-ブロモアントラニル酸、5-ヨードアントラニル酸、5-ニトロアントラニル酸、3,5-ジメチルアントラニル酸、5-クロロ-3-メチルアントラニル酸、3,5-ジクロロアントラニル酸、3,5-ジブロモアントラニル酸のいずれか1以上を含有する植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
14.13に記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する肥料。
15.13に記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する農薬。
本発明により、新規な植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤が提供される。本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、不定根誘導活性が高く、かつ茎や葉のクロロシスといった副作用が極めて弱い。本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は挿し木時・育苗期・移植時の発根促進剤として有用である。また、イネ科植物の冠根は不定根であるため、イネ科の冠根発生促進剤としても作用し、倒伏防止にも有用である。また根系発達を促進するため、肥料成分の吸収効率が向上し、植物の生育を促進する。さらに本発明の剤を育苗に用いると、より根張りの良い生育の良い健康な苗を生産することができる。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、式1であらわされる化合物もしくはその塩またはエステル体を有効成分としている。
ただし、(式1)のR1~R6は次のいずれかの構造である。
R1= ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアミノ基
R2= 水素原子、アルキル基、フェニル基又はアシル基
R3= 水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基
R4= 水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基
R5= 水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基
R6= 水素原子
上記化合物は、アントラニル酸として公知の化合物あるいはその誘導体、又はその塩である。本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤の有効成分は、上記 (式1)で表される化合物である。
上記(式1)の置換基であるR1としては、ヒドロキシ基、アミノ基又は低級アルコキシ基であり、低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ペントキシ基、n-ヘクトキシ基、i-プロポキシ基、i-ブトキシ基、i-ペントキシ基及びi-ヘクトキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基が挙げられる。特にメトキシ基が好ましい。
上記(式1)の置換基であるR1としては、ヒドロキシ基、アミノ基又は低級アルコキシ基であり、低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ペントキシ基、n-ヘクトキシ基、i-プロポキシ基、i-ブトキシ基、i-ペントキシ基及びi-ヘクトキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基が挙げられる。特にメトキシ基が好ましい。
R2は、水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、低級アルキル基、アセチル基である。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、i-ペンチル基及びi-ヘキシル基などの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。特にメチル基およびエチル基が好ましい。
R3は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、水酸基である。
低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、i-ペンチル基及びi-ヘキシル基などの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。特にメチル基が好ましい。また、低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、i-プロポキシ基、i-ブトキシ基、i-ペンチルオキシ基、i-ヘキシルオキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。特にメトキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。
R4は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基である。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。特に塩素原子が好ましい。
R5は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基である。アルキル基は低級アルキル基である。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、i-ペンチル基及びi-ヘキシル基などの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。特にメチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。
R3、R4、R5の置換基は相互に交換可能である。
またR6は水素原子である。R6を置換すると植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤としての活性を失ってしまう。
低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、i-ペンチル基及びi-ヘキシル基などの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。特にメチル基が好ましい。また、低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、i-プロポキシ基、i-ブトキシ基、i-ペンチルオキシ基、i-ヘキシルオキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。特にメトキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。
R4は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基である。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。特に塩素原子が好ましい。
R5は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基である。アルキル基は低級アルキル基である。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、i-ペンチル基及びi-ヘキシル基などの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。特にメチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。
R3、R4、R5の置換基は相互に交換可能である。
またR6は水素原子である。R6を置換すると植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤としての活性を失ってしまう。
(式1)で表される化合物の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩類、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、又はN,N′-ジベンジルエチレンジアミン塩の有機アミン塩等の有機塩基塩類との塩が挙げられる。
また、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、乳酸塩等の有機酸塩等の塩が挙げられる。
また、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、乳酸塩等の有機酸塩等の塩が挙げられる。
(式1)で表される化合物のエステルとしては低級アルキルエステルを挙げることができる。
(式1)で示される化合物で有用な化合物の一例として次の物質を例示できる。また必要に応じて合成することができる。合成はアントラニル酸を出発物質として、R1~R6の置換基を公知の置換反応により合成することができる。
さらにアントラニル酸は、公知の方法(米国特許第4276433号)により合成することができる。また市販品を用いてもよい。
さらにアントラニル酸は、公知の方法(米国特許第4276433号)により合成することができる。また市販品を用いてもよい。
置換反応の一例としてR1をアルコキシ基に置換する置換反応を例示する。
アントラニル酸誘導体を原料として、例えば硫酸、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒の存在下にて、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール中、加熱還流することによって、R1がアルコキシ基に置換された化合物を得る。この時、アントラニル酸誘導体は1~20質量%、特に5~10質量%であることが好ましい。
また、アントラニル酸誘導体を原料として、例えばトリメチルシリルジアゾメタンなどのメチルエステル化剤の存在下にて、メタノール中にて反応することによって、R1がメチル基に置換された化合物を得る。
N-アルキルアントラニル酸誘導体を合成する場合は、トルエン、テトラヒドロフランといった不活性有機溶媒中、2位に塩素または臭素置換した任意の安息香酸誘導体と任意のアルキルアミンを加え、パラジウム触媒、ニッケル触媒、銅触媒などを加え、加熱することにより合成することもできる。この時、安息香酸誘導体およびアルキルアミンは1~20質量%、特に5~10質量%であることが好ましい。また、触媒は1~5モル%であることが望ましい。
反応後、反応液から生成物を採取するには、反応溶媒を留去し、水と混合しない生成物可溶性有機溶媒と水を加え、適宜水相のpHを調整後、溶媒抽出を行い、有機溶媒層を回収後、乾燥し、有機溶媒を留去した後、必要に応じて単一もしくは混合溶媒から再結晶すればよい。また、必要に応じて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの分離手段によって単離すればよい。
なお、上記以外の置換反応については、公知の化学反応で容易に行うことができる。
これらの化合物は水可溶性であることが望ましいが、水不溶性化合物の場合、水に分散する形態にして使用することができる。
アントラニル酸誘導体を原料として、例えば硫酸、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒の存在下にて、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール中、加熱還流することによって、R1がアルコキシ基に置換された化合物を得る。この時、アントラニル酸誘導体は1~20質量%、特に5~10質量%であることが好ましい。
また、アントラニル酸誘導体を原料として、例えばトリメチルシリルジアゾメタンなどのメチルエステル化剤の存在下にて、メタノール中にて反応することによって、R1がメチル基に置換された化合物を得る。
N-アルキルアントラニル酸誘導体を合成する場合は、トルエン、テトラヒドロフランといった不活性有機溶媒中、2位に塩素または臭素置換した任意の安息香酸誘導体と任意のアルキルアミンを加え、パラジウム触媒、ニッケル触媒、銅触媒などを加え、加熱することにより合成することもできる。この時、安息香酸誘導体およびアルキルアミンは1~20質量%、特に5~10質量%であることが好ましい。また、触媒は1~5モル%であることが望ましい。
反応後、反応液から生成物を採取するには、反応溶媒を留去し、水と混合しない生成物可溶性有機溶媒と水を加え、適宜水相のpHを調整後、溶媒抽出を行い、有機溶媒層を回収後、乾燥し、有機溶媒を留去した後、必要に応じて単一もしくは混合溶媒から再結晶すればよい。また、必要に応じて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの分離手段によって単離すればよい。
なお、上記以外の置換反応については、公知の化学反応で容易に行うことができる。
これらの化合物は水可溶性であることが望ましいが、水不溶性化合物の場合、水に分散する形態にして使用することができる。
本発明における植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤として有用な代表的化合物名称及び化学式を次に例示する。当然本発明は、これらの化合物に限定されるものでない。
化合物1
アントラニル酸(Anthranilic acid)
化合物1
アントラニル酸(Anthranilic acid)
化合物2
アントラニル酸メチル(Methyl Anthranilate)
アントラニル酸メチル(Methyl Anthranilate)
化合物3
アントラニルアミド(Anthranil amide)
アントラニルアミド(Anthranil amide)
化合物4
N-メチルアントラニル酸(N-Methylanthranilic acid)
N-メチルアントラニル酸(N-Methylanthranilic acid)
化合物5
N-エチルアントラニル酸(N-Ethylanthranilic acid)
N-エチルアントラニル酸(N-Ethylanthranilic acid)
化合物6
N-フェニルアントラニル酸(N-Phenylanthranilic acid)
N-フェニルアントラニル酸(N-Phenylanthranilic acid)
化合物7
N-アセチルアントラニル酸(N-Acetylanthranilic acid)
N-アセチルアントラニル酸(N-Acetylanthranilic acid)
化合物8
3-ヒドロキシアントラニル酸(3-Hydroxyanthranilic acid)
3-ヒドロキシアントラニル酸(3-Hydroxyanthranilic acid)
化合物9
3-メチルアントラニル酸(3-Methylanthranilic acid)
3-メチルアントラニル酸(3-Methylanthranilic acid)
化合物10
3-メトキシアントラニル酸(3-Methoxyanthranilic acid)
3-メトキシアントラニル酸(3-Methoxyanthranilic acid)
化合物11
3-クロロアントラニル酸(3-Chloroanthranilic acid)
3-クロロアントラニル酸(3-Chloroanthranilic acid)
化合物12
4-アミノアントラニル酸(4-Aminoanthranilic acid)
4-アミノアントラニル酸(4-Aminoanthranilic acid)
化合物13
2-アミノテレフタル酸(2-Aminoterephthalic acid)
2-アミノテレフタル酸(2-Aminoterephthalic acid)
化合物14
4-クロロアントラニル酸(4-Chloroanthranilic acid)
4-クロロアントラニル酸(4-Chloroanthranilic acid)
化合物15
5-クロロアントラニル酸(5-Chloroanthranilic acid)
5-クロロアントラニル酸(5-Chloroanthranilic acid)
化合物16
5-ブロモアントラニル酸(5-Bromoanthranilic acid)
5-ブロモアントラニル酸(5-Bromoanthranilic acid)
化合物17
5-ヨードアントラニル酸(5-Iodoanthranilic acid)
5-ヨードアントラニル酸(5-Iodoanthranilic acid)
化合物18
5-ニトロアントラニル酸(5-Nitroanthranilic acid)
5-ニトロアントラニル酸(5-Nitroanthranilic acid)
化合物19
3,5-ジメチルアントラニル酸(3,5-Dimethylanthranilic acid)
3,5-ジメチルアントラニル酸(3,5-Dimethylanthranilic acid)
化合物20
5-クロロ-3-メチルアントラニル酸(5-Chloro-3-methylanthranilic acid)
5-クロロ-3-メチルアントラニル酸(5-Chloro-3-methylanthranilic acid)
化合物21
3,5-ジクロロアントラニル酸(3,5-Dichloroanthranilic acid)
3,5-ジクロロアントラニル酸(3,5-Dichloroanthranilic acid)
化合物22
3,5-ジブロモアントラニル酸(3,5-Dibromoanthranilic acid)
3,5-ジブロモアントラニル酸(3,5-Dibromoanthranilic acid)
また、アントラニル酸を本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤として用いる場合は、アントラニル酸がトリプトファンの前駆体であるため、トリプトファン生合成能をもつ微生物を適宜突然変異育種や遺伝子組換えし、アントラニル酸を蓄積できるようにすれば発酵法によっても製造することができる、さらに醗酵培養液を直接本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤として用いることができる。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、複数の活性作用をもつ化合物を2種以上組み合わせ、使用することもできる。またオーキシンなどの植物ホルモン剤と併用することも可能である。
さらに驚くべきことに、本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤はこのような作用を有しないアミノ酸の一種であるトリプトファンと併用することで、その植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤としての作用を増強することが可能である。
さらに驚くべきことに、本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤はこのような作用を有しないアミノ酸の一種であるトリプトファンと併用することで、その植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤としての作用を増強することが可能である。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、上記の化合物の水溶液をそのまま植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤として用いることができるが、水和剤、乳剤、粒剤、粉剤、界面活性剤など、通常の植物成長調整剤で用いられる担体を用いて製剤化してもよい。例えば、固体担体としては鉱物質粉末(カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、ケイソウ土、雲母、バーミキュライト、セッコウ、炭酸カルシウム、リン石灰など)、植物質粉末(大豆粉、小麦粉、木粉、タバコ粉、デンプン、結晶セルロースなど)、高分子化合物(石油樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル酢酸樹脂、ポリ塩化ビニル、ケトン樹脂など)、更に、アルミナ、ワックス類などを使用することができる。また、液体担体としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ベンジルアルコールなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、塩素化炭化水素類(クロロホルム、四塩化炭素、モノクロルベンゼンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、酸アミド類(N,N-ジメチルアセトアミドなど)、エーテルアルコール類(エチレングリコールエチルエーテルなど)、又は水などを使用することができる。
乳化、分散、拡散などの目的で使用される界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性及び両イオン性のいずれも使用することができる。本発明において使用することができる界面活性剤の例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンポリマー、オキシプロピレンポリマー、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、第四級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、レシチン、サポニン等である。また、必要に応じてゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、デンプン、寒天、ポリビニルアルコールなどを補助剤として用いることができる。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、製剤の形状も制限はなく、粉剤、顆粒剤、粒剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤及びペースト剤等のあらゆる製剤形態に成形することができる。その他の成分を常法に従い、混合、撹拌、噴霧乾燥等することにより製造することができる。
植物に適用する場合、土壌処理剤、茎葉処理剤、播種前の種子処理剤、移植前植物の処理剤及び移植時の植物に対する処理剤等として使用することができる。また、水耕栽培においては水耕液に混合して使用してもよく、組織培養では培地中に懸濁又は溶解させて用いてもよい。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を目的の植物に適用すれば、側根数、不定根数などの根数の増加を通じて根量や根密度が増加するため、苗の移植時の活着率向上や、健苗育成、生育促進、吸水力の向上、吸肥力の向上、肥料成分利用率の向上、緑色の保持、光合成能力の向上、水ストレス耐性の向上、倒伏防止、収量増加等の効果が得られる。また、イネ科植物の登熱を向上させるので、イネ等の収量を向上させることができる。
植物に適用する場合、土壌処理剤、茎葉処理剤、播種前の種子処理剤、移植前植物の処理剤及び移植時の植物に対する処理剤等として使用することができる。また、水耕栽培においては水耕液に混合して使用してもよく、組織培養では培地中に懸濁又は溶解させて用いてもよい。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を目的の植物に適用すれば、側根数、不定根数などの根数の増加を通じて根量や根密度が増加するため、苗の移植時の活着率向上や、健苗育成、生育促進、吸水力の向上、吸肥力の向上、肥料成分利用率の向上、緑色の保持、光合成能力の向上、水ストレス耐性の向上、倒伏防止、収量増加等の効果が得られる。また、イネ科植物の登熱を向上させるので、イネ等の収量を向上させることができる。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を散布用として用いる場合の使用濃度は、好ましくは0.01~10000ppm、より好ましくは1~5000ppm、特に好ましくは5~1000ppmの範囲とすることができる。特に育苗期の苗に使用する場合は、上記濃度の希釈液を培養土1L当たり50~200mL散布することが望ましい。この場合、展着剤を使用してもよく、用いる展着剤の種類及び使用量については特に制限されない。また葉面散布しても効果を発揮する。
肥料と混合する場合を含め、土壌に直接施用する場合の使用量としては、1ヘクタール当たり100~10000g、特に500~5000g用いるのが好ましい。特に育苗期の苗に使用する場合は、培養土1L当たり0.001~10g用いるのが望ましい。この場合、播種前の培養土に予め混合しておいてもよく、育苗期間中に散布してもよい。
肥料と混合する場合を含め、土壌に直接施用する場合の使用量としては、1ヘクタール当たり100~10000g、特に500~5000g用いるのが好ましい。特に育苗期の苗に使用する場合は、培養土1L当たり0.001~10g用いるのが望ましい。この場合、播種前の培養土に予め混合しておいてもよく、育苗期間中に散布してもよい。
播種前の種子処理用として用いる場合は、水、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、ケトン類(アセトンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、ベンゼンなど)、塩素化炭化水素類(クロロホルム、塩化メチレンなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなど)、エステル類(酢酸エチルなど)等の液体担体に0.01~100000ppmとなるように希釈し、乾燥種子に噴霧するか、乾燥種子を希釈液に浸漬して種子に吸収させることもできる。浸漬時間としては特に制限されないが1秒~120分が好ましい。また、処理した種子は、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥、真空乾燥などによって液体担体を蒸発させてもよい。クレーなどの鉱物質粉末の固体担体を用いて製剤化したものを種子表面に付着させ使用することもできる。通常用いられている種子コーティング剤、種子コーティングフィルムに混合して種子に被覆することもできる。
組織培養や細胞培養時に使用する場合は、通常用いられる植物組織培養用の培地(MS培地、ホワイト培地、ガンボルグのB5培地など)に培地中濃度として、好ましくは0.01~10000ppm、特に好ましくは0.1~1000ppmの範囲で溶解又は懸濁して用いることができる。この場合、通常行われているように、炭素源としての糖類(ショ糖、ブドウ糖など)、各種植物ホルモンとしてサイトカイニン(ベンジルアデニン、カイネチンなど)、オーキシン(インドール酢酸、ナフタレン酢酸など)、ジベレリン(GA3、GA4など)、アブシジン酸などを適宜加えることができる。
移植前の植物に直接吸収させる場合は、使用濃度として0.1~1000ppmに希釈又は懸濁した液に、植物の根部あるいは全体を浸漬して使用することができる。また、挿し穂、挿し芽、挿し木などであれば基部又は全体を浸漬して使用することができる。この場合の浸漬時間は1秒~1週間、特に1分~3日間が望ましい。鉱物質粉末の固体担体を用いて製剤化したものを、根部に付着させたり、挿し穂、挿し芽、挿し木などの場合は茎基部に付着させてもよい。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤の投与時期としては、生育期間中いかなる時期にも使用が可能であるが、特に不定根発生誘導剤、根系発達促進剤として適用する場合は、播種前、播種時、苗の育成時、移植等の耕種的断根を伴う作業の前後、気象要因などで根の発育が阻害されあるいは根に障害が発生した場合などが特に有効である。
組織培養や細胞培養時に使用する場合は、通常用いられる植物組織培養用の培地(MS培地、ホワイト培地、ガンボルグのB5培地など)に培地中濃度として、好ましくは0.01~10000ppm、特に好ましくは0.1~1000ppmの範囲で溶解又は懸濁して用いることができる。この場合、通常行われているように、炭素源としての糖類(ショ糖、ブドウ糖など)、各種植物ホルモンとしてサイトカイニン(ベンジルアデニン、カイネチンなど)、オーキシン(インドール酢酸、ナフタレン酢酸など)、ジベレリン(GA3、GA4など)、アブシジン酸などを適宜加えることができる。
移植前の植物に直接吸収させる場合は、使用濃度として0.1~1000ppmに希釈又は懸濁した液に、植物の根部あるいは全体を浸漬して使用することができる。また、挿し穂、挿し芽、挿し木などであれば基部又は全体を浸漬して使用することができる。この場合の浸漬時間は1秒~1週間、特に1分~3日間が望ましい。鉱物質粉末の固体担体を用いて製剤化したものを、根部に付着させたり、挿し穂、挿し芽、挿し木などの場合は茎基部に付着させてもよい。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤の投与時期としては、生育期間中いかなる時期にも使用が可能であるが、特に不定根発生誘導剤、根系発達促進剤として適用する場合は、播種前、播種時、苗の育成時、移植等の耕種的断根を伴う作業の前後、気象要因などで根の発育が阻害されあるいは根に障害が発生した場合などが特に有効である。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤の適用対象となる植物としては、特に限定されないが、例えば、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス等のナス類、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ等のウリ類、セルリー、パセリー、レタス等の生菜・香辛菜類、ネギ、タマネギ、ニンニク等のネギ類、ダイズ、ラッカセイ、インゲン、エンドウ、アズキ等の豆類、イチゴ等のその他果菜類、ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ等の直根類、サトイモ、キャッサバ、バレイショ、サツマイモ、ナガイモ等の芋類、アスパラガス、ホウレンソウ、ミツバ等の柔菜類、トルコギキョウ、ストック、カーネーション、キク等の花卉類、イネ、トウモロコシ等の穀物類、ベントグラス、コウライシバ等の芝類、ナタネ、ヒマワリ等の油料作物類、サトウキビ、テンサイ等の糖料作物類、ワタ、イグサ等の繊維料作物類、クローバー、ソルガム、デントコーン等の飼料作物類、リンゴ、ナシ、ブドウ、モモ等の落葉性果樹類、ウンシュウミカン、レモン、グレープフルーツ等の柑橘類、サツキ、ツツジ、スギ等の木本類が挙げられる。これらのうち、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ、セルリー、パセリー、レタス、ネギ、タマネギ、アスパラガス、トルコギキョウ、ストック、イネ、ベントグラス、コウライシバ、テンサイイグサ等の栽培中に移植を行う植物や、キク、カーネーション、サツキ、ツツジ、ブドウ等の切り枝や挿し穂から発根させることにより増殖を行う植物に対しては特に有効である。また、倒伏防止を目的とする場合のイネ科の植物としては、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ等が挙げられる。特にイネや麦類は分けつ期に散布することで不定根が多く発生し、根系全体の発育が促進し、栄養分の吸収効率が向上するので本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤としての効果を発揮させるのに好ましい。
また、本発明の効果向上を目的として、上記したように他の植物成長調整剤(植物ホルモン剤)と併用することもでき、場合によっては相乗効果を期待することもできる。例えば、高い栽植密度、高湿度、日照不足などといった極めて徒長しやすい条件下での育苗時には、地上部地下部重比の小さい良質な苗の育成を目的として、強力な茎の伸長抑制作用を持つ抗ジベレリン剤(パクロブトラゾール、ウニコナゾールP、アンシミドールなど)、成長抑制剤(ダミノジッドなど)、エチレン発生剤(エテホンなど)と併用してもよい。挿し穂、挿し芽、挿し木、組織培養時においては、発根誘導効果の増強を目的として、オーキシン系化合物(インドール酢酸、インドール酪酸、ナフチルアセトアミド、ナフタレン酢酸など)と併用してもよい。播種前の種子処理時には、発芽誘導作用を持つジベレリン剤と併用してもよい。
本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、各種殺虫剤、殺菌剤、微生物農薬、肥料等と混用又は併用することも可能である。特に、殺菌剤との混用において殺菌作用の他に発根誘導作用も報告されているヒドロキシイソキサゾール、メタスルホカルブ、メタラキシルなどとの併用は有効である。種子に直接処理する殺虫殺菌剤や育苗期に使用する殺虫殺菌剤(チアメトキサム、フルジオキソニル、メタラキシル、クロラントラニリプロールなど)と混用は特に有効である。
肥料と併用する場合、健苗育成を目的とした育苗用肥料との併用、活着促進を目的とした移植直前施用肥料との併用は特に有効である。本発明の植物成長調整剤の効力を長期間持続させ肥料成分利用率を向上させる目的とした緩効性肥料との混用も特に有効である。
肥料と併用する場合、健苗育成を目的とした育苗用肥料との併用、活着促進を目的とした移植直前施用肥料との併用は特に有効である。本発明の植物成長調整剤の効力を長期間持続させ肥料成分利用率を向上させる目的とした緩効性肥料との混用も特に有効である。
次に、試験例、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試験例
<1.アズキ切り口浸漬処理による不定根の発生誘導作用の確認試験>
上記の化合物1~22、及びR6に置換基を導入した化合物である6-クロロアントラニル酸(化合物23)及び6-メチルアントラニル酸(化合物24)、R5の置換基としてフッ素原子を導入した化合物である5-フルオロアントラニル酸(化合物25)、R2に隣接する窒素原子にさらに置換基を導入した化合物であるN,N-ジメチルアントラニル酸(化合物26)について蒸留水で希釈し、濃度が0.1mM、1mMの水溶液を調製し、希塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7とし、アズキ発根促進アッセイ(Itagaki et al. 2003. Biological activities and structure-activity relationship of substitution compounds of N-[2-(3-indolyl)ethyl] succinamic acid and N-[2-(1-naphthyl)ethyl] succinamic acid,derived from a new category of root-promoting substance, N-(phenethyl)succinamicacid analogs. Plant Soil 255: 67-75.)を行った。なお、化合物2のみ0.1mMに代えて0.5mMの溶液を用いた。
アズキ切片は基部を48時間、0.1mM、0.5mM及び1mMの各被検液に浸漬し、7日後に発生した不定根数を数えた。反復数は5本とした。なお、各化合物の活性を測定する際に、対照として蒸留水で処理したものを培養し、同様に不定根数を測定した。このため、対照区は複数回測定した総平均値を示した。
試験結果を下記表1に示す。
試験例
<1.アズキ切り口浸漬処理による不定根の発生誘導作用の確認試験>
上記の化合物1~22、及びR6に置換基を導入した化合物である6-クロロアントラニル酸(化合物23)及び6-メチルアントラニル酸(化合物24)、R5の置換基としてフッ素原子を導入した化合物である5-フルオロアントラニル酸(化合物25)、R2に隣接する窒素原子にさらに置換基を導入した化合物であるN,N-ジメチルアントラニル酸(化合物26)について蒸留水で希釈し、濃度が0.1mM、1mMの水溶液を調製し、希塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7とし、アズキ発根促進アッセイ(Itagaki et al. 2003. Biological activities and structure-activity relationship of substitution compounds of N-[2-(3-indolyl)ethyl] succinamic acid and N-[2-(1-naphthyl)ethyl] succinamic acid,derived from a new category of root-promoting substance, N-(phenethyl)succinamicacid analogs. Plant Soil 255: 67-75.)を行った。なお、化合物2のみ0.1mMに代えて0.5mMの溶液を用いた。
アズキ切片は基部を48時間、0.1mM、0.5mM及び1mMの各被検液に浸漬し、7日後に発生した不定根数を数えた。反復数は5本とした。なお、各化合物の活性を測定する際に、対照として蒸留水で処理したものを培養し、同様に不定根数を測定した。このため、対照区は複数回測定した総平均値を示した。
試験結果を下記表1に示す。
表1に示すとおり化合物1~22を含有する溶液は、対照区の不定根発根数と比較すると高い不定根発生誘導作用と発根促進作用が認められた。特に、濃度0.1mMでは化合物5、7、15、17、20、21の化合物が対照である蒸留水に対して200%以上の発根率を示した。また濃度1mMでは1、4、9、10の化合物が対照と比較して200%以上の不定根の発根率を示した。
一方、R6の水素を置換した化合物23、24は発根活性を有さなかった。このためR6の置換は発根のためには好ましくないことが判明した。またR5の置換基をフッ素原子とした場合は発根を抑制した。さらにR2に隣接した水素原子をメチル基に置換した化合物26も発根率は低かった。
一方、R6の水素を置換した化合物23、24は発根活性を有さなかった。このためR6の置換は発根のためには好ましくないことが判明した。またR5の置換基をフッ素原子とした場合は発根を抑制した。さらにR2に隣接した水素原子をメチル基に置換した化合物26も発根率は低かった。
<2.水稲発芽時のアントラニル酸の根系発達促進効果試験>
イネ科植物は発芽時に主根が伸長し、さらに側根が伸長し、定着後に不定根が発生する。発芽における根系の発育が成長に大きく影響することが知られている。
あらかじめ滅菌した水稲種子3粒を、アントラニル酸(化合物1)を各種濃度で含有させた寒天中に播種し、23℃連続光下で50日間培養したのちに取り出し、根長、根数、草丈を測定した。
イネ科植物は発芽時に主根が伸長し、さらに側根が伸長し、定着後に不定根が発生する。発芽における根系の発育が成長に大きく影響することが知られている。
あらかじめ滅菌した水稲種子3粒を、アントラニル酸(化合物1)を各種濃度で含有させた寒天中に播種し、23℃連続光下で50日間培養したのちに取り出し、根長、根数、草丈を測定した。
取り出したイネの状態の画像を図1に示す。目視観察では明らかにアントラニル酸を配合した場合根系が発達していた。
また根長の測定結果を図2、根数の計数結果を図3に示す。アントラニル酸0.01mM、0.03mM添加では根長が伸張しており、根数は0.1mM添加で増加していた。さらに草丈の測定結果を図4に示す。草丈はアントラニル酸の添加量が増加するにしたがって伸長し、草丈の生育が良くなっていることが確認された。アントラニル酸は根系の発達に寄与し、その結果草丈が伸長したものと評価した。
また根長の測定結果を図2、根数の計数結果を図3に示す。アントラニル酸0.01mM、0.03mM添加では根長が伸張しており、根数は0.1mM添加で増加していた。さらに草丈の測定結果を図4に示す。草丈はアントラニル酸の添加量が増加するにしたがって伸長し、草丈の生育が良くなっていることが確認された。アントラニル酸は根系の発達に寄与し、その結果草丈が伸長したものと評価した。
<3.葉面散布、根茎散布によるデントコーンの不定根増加効果試験>
化合物14の5-クロロアントラニル酸の10mM水溶液を生育途上(播種後3週間)のデントコーンに1か月間に4回、葉面及び株元に散布し、播種後4か月後に根を掘り出して状態を観察した。観察時の画像を図6に示す。対照の無散布に比較して根張りの面積が広く、根数も顕著に増加していた。本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、トウモロコシの不定根の発生を誘導し、根系全体の発達を促進していた。その結果、非常に引き抜きに対して抵抗性が強く、倒伏に対する効果があるものと評価できた。
化合物14の5-クロロアントラニル酸の10mM水溶液を生育途上(播種後3週間)のデントコーンに1か月間に4回、葉面及び株元に散布し、播種後4か月後に根を掘り出して状態を観察した。観察時の画像を図6に示す。対照の無散布に比較して根張りの面積が広く、根数も顕著に増加していた。本発明の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤は、トウモロコシの不定根の発生を誘導し、根系全体の発達を促進していた。その結果、非常に引き抜きに対して抵抗性が強く、倒伏に対する効果があるものと評価できた。
<4.根元散布によるキュウリの根系発達促進効果試験>
キュウリ品種オーシャン((株)埼玉原種育成会)を培養土「すくすく倶楽部30」(雪印種苗(株))を充填した直径9cmのポットに播種し、温室内で生育させた。播種後14日目から1週間に1回、化合物1のアントラニル酸を1mM、10mMの濃度で1ポット当たり30mLずつ根元に散布した。また、対照区には水を30mLずつ同様に根元に散布した。
播種後35日後に2個体×2反復をサンプリングし、根部をよく水洗した後に総根長をルートスキャナー(Comair社製)で測定した。また、葉面積を自動葉面積計(林電工(株))によって測定した。その後、根部と葉部・茎部を通風乾燥した後、さらに乾燥物の重量を測定し、乾物重量とした。
それぞれ4サンプル測定の平均値を下記の表2に示した。なお表中の括弧内の数値は、対照区を100とした場合の相対値を%で示したものである。10mM区において総根長の増加が認められ、すべての処理区において根部乾物重量の増加も認められた。また、葉面積の増加も認められた。
したがってアントラニル酸は根系を発達させ、さらに葉及び茎の成長を促進することが明らかとなった。また市販の培養土を用いた育苗において、発根を促進するため、早期に生育の良好な苗を得る目的に適していることが明らかとなった。
キュウリ品種オーシャン((株)埼玉原種育成会)を培養土「すくすく倶楽部30」(雪印種苗(株))を充填した直径9cmのポットに播種し、温室内で生育させた。播種後14日目から1週間に1回、化合物1のアントラニル酸を1mM、10mMの濃度で1ポット当たり30mLずつ根元に散布した。また、対照区には水を30mLずつ同様に根元に散布した。
播種後35日後に2個体×2反復をサンプリングし、根部をよく水洗した後に総根長をルートスキャナー(Comair社製)で測定した。また、葉面積を自動葉面積計(林電工(株))によって測定した。その後、根部と葉部・茎部を通風乾燥した後、さらに乾燥物の重量を測定し、乾物重量とした。
それぞれ4サンプル測定の平均値を下記の表2に示した。なお表中の括弧内の数値は、対照区を100とした場合の相対値を%で示したものである。10mM区において総根長の増加が認められ、すべての処理区において根部乾物重量の増加も認められた。また、葉面積の増加も認められた。
したがってアントラニル酸は根系を発達させ、さらに葉及び茎の成長を促進することが明らかとなった。また市販の培養土を用いた育苗において、発根を促進するため、早期に生育の良好な苗を得る目的に適していることが明らかとなった。
<5.根元散布によるトウモロコシの根系発達促進効果試験>
トウモロコシ品種アシル(雪印種苗(株))を培養土「すくすく倶楽部30」(雪印種苗(株))を充填した直径9cmのポットに播種し、温室内で生育させた。播種後20日目から50日間、1週間に3回、化合物1のアントラニル酸0.1mM、1mMの濃度の水溶液を1ポット当たり30mLずつ根元に散布した。また、対照区には、1ポット当たり水を30mLずつ根元に散布した。
播種後80日後に3個体×2反復をサンプリングし、根部をよく水洗した後に総根長をルートスキャナー(Comair社製)で測定した。その後、根部と葉部・茎部を通風乾燥した後、さらに乾燥物の重量を測定し、乾物重量とした。
それぞれ6サンプル測定の平均値を下記の表3に示した。なお表中の括弧内の数値は、対照区を100とした場合の相対値を%で示したものである。すべての処理区においてトウモロコシ総根長の増加が認められた。また、アントラニル酸1mM区では根部乾物重の顕著な増加が確認できた。
したがってアントラニル酸の根元散布でトウモロコシの根系発達が促進されることが明らかとなった。
トウモロコシ品種アシル(雪印種苗(株))を培養土「すくすく倶楽部30」(雪印種苗(株))を充填した直径9cmのポットに播種し、温室内で生育させた。播種後20日目から50日間、1週間に3回、化合物1のアントラニル酸0.1mM、1mMの濃度の水溶液を1ポット当たり30mLずつ根元に散布した。また、対照区には、1ポット当たり水を30mLずつ根元に散布した。
播種後80日後に3個体×2反復をサンプリングし、根部をよく水洗した後に総根長をルートスキャナー(Comair社製)で測定した。その後、根部と葉部・茎部を通風乾燥した後、さらに乾燥物の重量を測定し、乾物重量とした。
それぞれ6サンプル測定の平均値を下記の表3に示した。なお表中の括弧内の数値は、対照区を100とした場合の相対値を%で示したものである。すべての処理区においてトウモロコシ総根長の増加が認められた。また、アントラニル酸1mM区では根部乾物重の顕著な増加が確認できた。
したがってアントラニル酸の根元散布でトウモロコシの根系発達が促進されることが明らかとなった。
<6.培地添加によるシロイヌナズナの不定根誘導効果試験>
化合物1のアントラニル酸・化合物15のクロロアントラニル酸をそれぞれ混合した1/2MS固形培地(MS培地粉末(日本製薬)を既定の1/2濃度とし、ゲランガム0.3%、ショ糖1%を加え、滅菌したもの)にシロイヌナズナ野生型Col―0を播種し、2日間の暗所低温処理後、インキュベータ内(温度22℃、明期16時間・暗期8時間の長日条件)で12日間生育させ、生じた不定根の数を計測した。4個体の平均値とした。
それぞれ4個体を測定した平均値を下表4に示す。
無添加である対照区では不定根の発生はまったく認められなかったが、培地中へのアントラニル酸30μM添加区、5-クロロアントラニル酸10μM添加区では不定根の発生が認められた。
したがって、植物育成用の培地にあらかじめアントラニル酸を添加しておいても、不定根の誘導が促進されることが明らかとなった。
化合物1のアントラニル酸・化合物15のクロロアントラニル酸をそれぞれ混合した1/2MS固形培地(MS培地粉末(日本製薬)を既定の1/2濃度とし、ゲランガム0.3%、ショ糖1%を加え、滅菌したもの)にシロイヌナズナ野生型Col―0を播種し、2日間の暗所低温処理後、インキュベータ内(温度22℃、明期16時間・暗期8時間の長日条件)で12日間生育させ、生じた不定根の数を計測した。4個体の平均値とした。
それぞれ4個体を測定した平均値を下表4に示す。
無添加である対照区では不定根の発生はまったく認められなかったが、培地中へのアントラニル酸30μM添加区、5-クロロアントラニル酸10μM添加区では不定根の発生が認められた。
したがって、植物育成用の培地にあらかじめアントラニル酸を添加しておいても、不定根の誘導が促進されることが明らかとなった。
<7.アズキ切り口浸漬処理におけるアントラニル酸とL-トリプトファンとの不定根誘導作用の比較>
化合物1であるアントラニル酸とL-トリプトファンを蒸留水で希釈し、濃度が1mMおよび2mMの水溶液を調製し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7とした。これらの被検液について試験例1と同様にアズキ発根促進アッセイを行った。
試験結果を表5に示す。
化合物1であるアントラニル酸とL-トリプトファンを蒸留水で希釈し、濃度が1mMおよび2mMの水溶液を調製し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7とした。これらの被検液について試験例1と同様にアズキ発根促進アッセイを行った。
試験結果を表5に示す。
従来、アントラニル酸はトリプトファンに代謝され、さらにインドール-3-酢酸に変換されることにより発根誘導するといわれていた(非特許文献3)。しかしながら、表5に示す通り、アントラニル酸の不定根誘導作用はいずれの濃度においてもトリプトファンよりも高かった。このことから、不定根誘導に関してはアントラニル酸そのものが活性を有することが明らかとなった。
Claims (15)
- R1のアルコキシ基がメトキシ基、R2のアルキル基がメチル基又はエチル基、アルコキシキ基がメトキシ基、R3のハロゲン原子が塩素または臭素、R4のハロゲン原子が塩素、R5のアルキル基がメチル基、ハロゲン原子が塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである、
請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。 - R1がヒドロキシ基、アルコキシ基、又はアミノ基であり、R2、R4、R6が水素原子であり、R3が水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子のいずれか、R5が塩素原子又は臭素原子である、請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- R1がヒドロキシ基、R2~R6が水素原子である、請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- R1がメトキシ基又はアミノ基であり、R2~R6が水素原子である、請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- R1がヒドロキシ基、R2、R4~R6が水素原子であり、R3が水酸基、メチル基、メトキシ基、塩素又は臭素原子のいずれかである、請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- R1がヒドロキシ基、R2~R3、R5、R6が水素原子、R4が塩素原子、アミノ基、カルボキシル基のいずれかである、請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- R1がヒドロキシ基、R2~R4、R6が水素原子であり、R5がメチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基のいずれかである、請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- R1がヒドロキシ基、R2、R4、R6が水素原子であり、R3がメチル基、塩素原子、臭素原子のいずれか、R5が塩素原子又は臭素原子である、請求項1記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- 不定根を発生させようとする植物体に直接散布する形態である請求項1~9記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- 請求項1~10記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する肥料。
- 請求項1~10記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する農薬。
- アントラニル酸、アントラニル酸メチル、アントラニルアミド、N-メチルアントラニル酸、N-エチルアントラニル酸、N-フェニルアントラニル酸、N-アセチルアントラニル酸、3-ヒドロキシアントラニル酸、3-メチルアントラニル酸、3-メトキシアントラニル酸、3-クロロアントラニル酸、4-アミノアントラニル酸、2-アミノテレフタル酸、4-クロロアントラニル酸、5-クロロアントラニル酸、5-ブロモアントラニル酸、5-ヨードアントラニル酸、5-ニトロアントラニル酸、3,5-ジメチルアントラニル酸、5-クロロ-3-メチルアントラニル酸、3,5-ジクロロアントラニル酸、3,5-ジブロモアントラニル酸のいずれか1以上を含有する植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤。
- 請求項13に記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する肥料。
- 請求項13に記載の植物の不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤を含有する農薬。
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2015
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