WO2016024628A1 - 樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法およびその用途 - Google Patents

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晶煥 尹
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    • C12N5/10Cells modified by introduction of foreign genetic material

Definitions

  • the ability of dendritic cells to stimulate anti-cancer immunity can be promoted only by performing treatment that inhibits TGF- ⁇ .
  • the nucleic acid molecule is siRNA.
  • the monocytes are peripheral blood monocytes.
  • the anticancer agent preparation kit of the present invention further includes, for example, a culture reagent for dendritic cells.
  • the biological origin of the dendritic cells is not particularly limited, and examples thereof include those derived from humans or non-human animals.
  • the non-human animals include non-human mammals such as mice, rats, rabbits, sheep, cows, horses, dogs, goats and camels.
  • the promoter of the present invention can be used, for example, in the promotion method of the present invention and the production method of the present invention.
  • the TGF- ⁇ inhibitor is the same as described above, and the description of the accelerator of the present invention can be incorporated.
  • FIG. 3 (G) shows the results of mouse total BM cells, mouse BMDCs, human monocytes and human MoDCs.
  • BMDCs in Smad2 ⁇ / ⁇ mice have significantly developed dendrites as compared to BMDCs in Smad2 + / + mice, and as shown in FIG. 4 (B), Dendritic formation was also enhanced in human MoDCs in which Smad2 was knocked down with siRNA.
  • Cytokine expression DCs secrete IL-12 and IL-15 that activate Th1 cells, CTLs and NK cells.
  • the production of IL-12 by DCs is essential for the initiation of an immune response involving early T cells, and DCs produce high levels of IFN- ⁇ in response to IL-12.
  • DCs also secrete various inflammatory cytokines such as TNF- ⁇ and IL-6. Therefore, the expression of inflammatory cytokines in splenic DCs was measured by quantitative RT-PCR.
  • FIGS. 18 (C) and (D) are graphs showing the percentage of cell lysis.
  • FIG. 18 (C) shows the result of using draining lymph nodes, and FIG.

Abstract

 樹状細胞について、簡便に免疫賦活能を促進できる方法を提供する。 樹状細胞のTGF-βを阻害する処理工程を含むことを特徴とする、樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法である。前記TGF-βの阻害とは、例えば、TGF-βシグナルに関与するSmad2の発現阻害である。

Description

樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法およびその用途
 本発明は、樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法、抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞の製造方法、抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞、樹状細胞の抗癌免疫賦活能を促進する促進剤、抗癌剤調製キット、癌の治療方法に関する。
 近年、癌の治療方法として、免疫機能が抑制されている癌患者に対して、免疫機能を活性化して、抗癌効果を向上させる方法が注目されている。この方法は、例えば、NK(ナチュラルキラー)細胞、CTL(細胞障害性T細胞)、樹状細胞等の細胞が使用され、免疫細胞療法とも呼ばれている。免疫細胞の中でも樹状細胞は、リンパ球(例えば、CTL、ヘルパーT細胞等)に対して抗原を提示し、免疫防御機能を司る細胞であり、癌やウイルスを排除する細胞免疫を活性化することが知られている。
 しかしながら、これらの免疫細胞は、免疫賦活能の活性化を促進するため、サイトカインを添加して培養する必要があり、コストがかかり、費用対効果が低いと考えられている。また、NK細胞療法には、例えば、癌非特異性反応の問題、CTL療法には、効果が特定の抗原に限られているという問題がある。
 また、樹状細胞を用いた療法は、例えば、癌患者から手術切除により調製した癌組織を、癌患者から採取した樹状細胞にパルスしてから、前記樹状細胞を体内に戻す自己癌細胞感作、または、人工合成した癌抗原ペプチドを、癌患者から採取した樹状細胞にパルスしてから、前記樹状細胞を体内に戻すペプチド感作樹状細胞ワクチン療法がある。しかし、このような療法は、手術適応症例および癌抗原ペプチドが同定されている癌への適応に限定されるという問題がある。
 そこで、本発明は、樹状細胞について、簡便に免疫賦活能を促進できる方法の提供を目的とする。
 前記目的を達成するために、本発明の樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法は、樹状細胞のTGF-βを阻害する処理工程を含むことを特徴とする。
 本発明の抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞の製造方法は、前記本発明の抗原免疫賦活能の促進方法により、樹状細胞を処理する工程を含むことを特徴とする。
 本発明の抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞は、前記本発明の製造方法により得られることを特徴とする。
 本発明の樹状細胞の抗癌免疫賦活能を促進する促進剤は、TGF-β阻害剤を含むことを特徴とする。また、本発明は、樹状細胞の抗癌免疫賦活能を促進する方法に使用するためのTGF-β阻害剤である。
 本発明の抗癌剤調製キットは、TGF-β阻害剤を含むことを特徴とする。
 本発明の癌の治療方法は、本発明の樹状細胞を患者に投与することを特徴とする。
 本発明によれば、TGF-βを阻害する処理を施すのみで、樹状細胞の抗癌免疫賦活能を促進できる。
図1は、本発明の実施例A1の結果である。 図2は、本発明の実施例A1の結果である。 図3は、本発明の実施例A1の結果である。 図4は、本発明の実施例A2の結果である。 図5は、本発明の実施例A2の結果である。 図6は、本発明の実施例A3の結果である。 図7は、本発明の実施例A3の結果である。 図8は、本発明の実施例A3の結果である。 図9は、本発明の実施例A3の結果である。 図10は、本発明の実施例A3の結果である。 図11は、本発明の実施例A4の結果である。 図12は、本発明の実施例A4の結果である。 図13は、本発明の実施例A4の結果である。 図14は、本発明の実施例A4の結果である。 図15は、本発明の実施例A4の結果である。 図16は、本発明の実施例A4の結果である。 図17は、本発明の実施例A5の結果である。 図18は、本発明の実施例A5の結果である。 図19は、本発明の実施例A5の結果である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記処理工程が、樹状細胞を、TGF‐β阻害剤で処理する工程である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記TGF-β阻害剤が、Smad2阻害剤である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記Smad2阻害剤が、Smad2の発現抑制剤である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記発現抑制剤が、Smad2 mRNAの転写を抑制する核酸分子である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記核酸分子が、siRNAである。
 本発明の促進方法は、例えば、前記樹状細胞が、骨髄由来または単球由来である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記単球が、末梢血単球である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記樹状細胞が、ヒト由来または非ヒト動物由来である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記処理工程が、in vitroで行われる。
 本発明の抗癌剤調製キットは、例えば、さらに、樹状細胞用の培養試薬を含む。
 本発明の抗癌剤調製キットは、例えば、前記培養試薬が、培地を含む。
 本発明の抗癌調製キットは、例えば、前記培地が、前記TGF-β阻害剤を含む。
 本明細書で使用する用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で用いることができる。
 以下に、本発明について、詳細に説明する。
(1)樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法
 本発明の樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法は、例えば、樹状細胞のTGF-βを阻害する処理工程を含むことを特徴とする。
 本発明において、TGF-βを阻害する処理方法は、特に制限されず、前記処理工程は、例えば、樹状細胞を、TGF-β阻害剤で処理する工程である。本発明において、TGF-βの阻害は、TGF-βのシグナル伝達の阻害であり、具体的には、例えば、Smad2シグナルの阻害であり、Smad2の発現阻害であることが好ましい。このため、前記TGF-β阻害剤は、例えば、Smad2阻害剤であり、具体的には、Smad2の発現抑制剤である。
 本発明の促進方法は、例えば、前記発現抑制剤が、Smad2 mRNAの転写を抑制する核酸分子である。
 前記Smad2阻害剤は、特に制限されず、例えば、Smad2の発現を抑制する発現抑制核酸分子等が使用できる。前記発現抑制酸分子は、例えば、siRNA、microRNA等があげられる。前記Smad2の発現の抑制とは、例えば、Smad2遺伝子の発現抑制、すなわち、Smad2遺伝子がコードするSmad2タンパク質の翻訳の抑制である。前記Smad2遺伝子の発現抑制は、例えば、前記Smad2遺伝子からの転写産物の生成量の減少、前記転写産物(Smad2 mRNA)の活性の減少、前記Smad2遺伝子からの翻訳産物(Smad2タンパク質)の生成量の減少、または前記翻訳産物の活性の減少等によって確認できる。
 本発明において、前記樹状細胞の由来は、特に制限されず、例えば、骨髄、単球、リンパ節、脾臓等の由来があげられる。前記単球は、例えば、末梢血単球である。
 本発明において、前記樹状細胞の生物由来は、特に制限されず、例えば、ヒトまたは非ヒト動物の由来があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ヤギ、ラクダ等の非ヒト哺乳類動物等があげられる。
 本発明の促進方法は、例えば、前記処理工程が、in vitroで行われても、in vivoで行われてもよい。in vitroの場合、前記樹状細胞は、例えば、生体から単離された細胞でもよいし、単離後に培養された培養細胞でもよい。
 前記処理工程は、例えば、前記TGF-β阻害剤を含む培地で前記樹状細胞を培養することにより行える。前記培地は、特に制限されず、例えば、前記樹状細胞の種類に応じて適宜設定できる。また、前記樹状細胞の培養条件は、特に制限されず、例えば、前記樹状細胞の種類に応じて適宜設定できる。前記TGF-β阻害剤は、例えば、前記樹状細胞の培養において、予め前記培地に添加されてもよいし、培養開始後に前記培地に添加されてもよい。
 前記培地における前記TGF-β阻害剤の添加割合は、特に制限されず、例えば、前記樹状細胞の種類および前記TGF-βの種類等に応じて、適宜設定できる。
 前記TGF-β阻害剤が発現抑制核酸分子の場合、前記処理工程は、例えば、以下のような条件で行うことができる。前記発現抑制核酸分子の添加割合は、例えば、細胞1000個あたり1~1000nmolである。前記発現抑制核酸分子は、前記処理工程において、前記樹状細胞にトランスフェクションさせることが好ましい。前記トランスフェクションは、例えば、トランスフェクション試薬を使用する方法、エレクトロポレーション法等があげられる。前記トランスフェクション試薬は、例えば、市販のトランスフェクション試薬が使用できる。
 本発明の促進方法によれば、抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞を得ることができる。このような樹状細胞は、後述するように、癌の治療に有用である。
 本発明の促進方法は、例えば、樹状細胞には制限されず、NK細胞、CTL等の免疫細胞にも適用できる。以下、同様である。
(2)抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞の製造方法
 本発明の製造方法は、前述のように、抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞の製造方法であり、前記本発明の抗原免疫賦活能の促進方法により、樹状細胞を処理する工程を含むことを特徴とする。本発明は、前記抗原免疫賦活能の促進方法により、樹状細胞を処理することが特徴であって、その他の工程および条件は、特に制限されない。また、本発明の製造方法は、前記本発明の促進方法の記載を援用できる。
(3)抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞
 本発明の樹状細胞は、前述のように、抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞であり、前記本発明の製造方法により得られることを特徴とする。
(4)抗癌免疫賦活能の促進剤
 本発明の促進剤は、前述のように、樹状細胞の抗癌免疫賦活能を促進する促進剤であり、前記TGF-β阻害剤を含むことを特徴とする。
 本発明の促進剤は、例えば、前記本発明の促進方法および前記本発明の製造方法に使用できる。本発明において、前記TGF-β阻害剤は、前述と同様である。
 本発明の促進剤は、例えば、前記TGF-β阻害剤のみを含んでもよいし、さらにその他の成分を含んでもよい。前記その他の成分は、例えば、前記本発明の促進方法において、樹状細胞を前記TGF-β阻害剤で処理する際に使用できる成分があげられる。具体例として、前記その他の成分は、例えば、樹状細胞用の培養試薬があげられる。前記培養試薬は、例えば、培地があげられ、前記培地が、前記TGF-β阻害剤を含んでもよい。また、前記TGF-β阻害剤が、前記発現抑制核酸分子の場合、前記その他の成分は、例えば、培地の他に、前記トランスフェクション試薬があげられる。
 本発明の促進剤は、例えば、前記TGF-β阻害剤と前記その他の成分とが混合された形態でもよいし、別個に分離した形態であって、使用時に混合されてもよい。
(5)抗癌剤調製キット
 本発明の抗癌剤調製キットは、前述のように、TGF-β阻害剤を含むことを特徴とする。
 本発明の促進剤は、例えば、前記本発明の促進方法および前記本発明の製造方法に使用できる。本発明において、前記TGF-β阻害剤は、前述と同様であり、また、前記本発明の促進剤の記載を援用できる。
 本発明の抗癌剤調製キットは、例えば、さらに使用説明書を含んでもよい。
(6)癌の治療方法
 本発明の治療方法は、前述のように、癌の治療方法であり、前記本発明の樹状細胞を患者に投与することを特徴とする。
 本発明の治療方法において、患者に投与する前記樹状細胞は、前記本発明の樹状細胞であり、前記本発明の樹状細胞の説明における記載を援用できる。
 本発明において、治療は、例えば、予防、改善、予後の改善の意味を含み、いずれでもよい。本発明において、治療対象となる癌は、特に制限されず、例えば、乳がん、肺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、膵がん、食道がん、前立腺がん、胆嚢がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、骨肉腫、白血病等があげられる。
 本発明において、前記本発明の樹状細胞の投与方法は、例えば、非経口投与があげられる。具体的には、例えば、病巣に、前記本発明の樹状細胞を配置することにより投与できる。
 以下、実施例等により、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
 まず、実施例Aで使用した試薬および方法等を以下に示す。
(1)マウス
 conditional Smad2 alleleがホモ接合型 (Smad2 loxp/loxp)のC57BL/6マウスを、Mx-1CreマウスまたはCd11cCre recombinase Tg マウス(Jackson Laboratory)と交配させ、Mx-1Cre;Smad2fl/flマウス、または、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスを作製した。なお、Mx-1Creマウスは、2-3週齢時に、PolyI:Cを腹腔内投与したものを用いた。また、以下の実施例においては、全て、同齢(8-16 weeks)のマウスを使用した。
(2)マウスBMDCsの発生
 マウスの大腿骨および脛骨から、骨髄細胞(BM細胞)を採取し、培地で培養した。培養条件は、37℃で7日間とした。前記培地は、10% 非働化ウシ胎児血清(FBS)(Gibco)、50μM 2-メルカプトエタノール、1% ペニシリン/ストレプトマイシン、マウス顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(20ng/mL、PeproTech)およびIL-4(20ng/mL、PeproTech)を含むRPMI 1640を使用し、TGF-β1(5ng/mL、R&D Systems)含有もしくは非含有、または、Activin A(10ng/mL、R&D Systems)含有もしくは非含有とした。前記培地に対する前記BM細胞の割合は、3×106 cells/3mLとした。
(3)ヒトMoDCsの発生
 ヒト血液から、試薬 (Histopaque-1077、Sigma-Aldrich)を用いた密度勾配遠心法により、末梢単核球を調製した。ヒト血液から、試薬キット(Human Monocyte Isolation kit II、Miltenyi Biotec)を用いて、CD14+細胞を単離し、これを、組換えヒトGM-CSF(20ng/mL、PeproTech)およびIL-4(10ng/mL、PeproTech)とともに37℃で7日間培養し、CD14-CD1a+ MoDCs(>90 %)を発生させた。
(4)siRNAのトランスフェクション
 バッファー中で、単離したCD14+細胞(2-3×106 cells)に、200nmol/Lの各種核酸分子をトランスフェクションした。前記核酸分子は、ノンターゲットsiRNAプール、Smad2 siRNA(Dharmacon RNA Technologies、GenBankアクセッションNo. NM_005901)、または、Smad3 siRNA(GenBankアクセッション accession No. NM_005902)を使用した。また、トランスフェクションは、Human Monocyte Nucleofector kit(Amaxa)を用い、使用説明書に従って行った。
(5)免疫細胞化学(Immunocytochemistry)
 6穴プレート(NUNC)のウェル中のポリ-L-リジンでコーティングされたガラススライド上で、BM細胞および単球を、前述のようにして培養した。これらの細胞およびCD4+ T細胞を、4%ホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で固定し、May-Grunwald/Giemsa染色を行った。そして、キット(Duolink II in situ PLA kits、OLINK)を用いたproximity ligationのため、固定後の前記スライドを0.1% Triton X-100を含むTBSで透過処理した。抗体は、抗Smad2ウサギ抗体、抗Smad3ウサギ抗体、抗リン酸化-Smad2ウサギ抗体(S465/467)、および、抗リン酸化-Smad3ウサギ抗体(S423/425)を用いた(いずれも、Cell Signaling Technology)。なお、核は、DAPI(ジアミジノフェニルインドール)により染色した。前記スライドは、光学顕微鏡(Imager Z1、Carl Zeiss)、または、共焦点顕微鏡(LSM700、Carl Zeiss)を用いて観察した。シグナルは、BlobFinderソフトウェア(Uppsala University)を用いて、定量化した。
(6)細胞の単離
 マウスから採取した脾臓およびリンパ節を刻み、これらを、type III コラゲナーゼ (Worthington Biomedical Corporation)およびDNase I(Roche)を溶解させた10% FBS含有RPMI 1640を用いて、室温で25分間、酵素処理することにより消化した。酵素処理の開始から20分の時点で、さらにEDTA(5mmol/L、Sigma-Aldrich)を添加した。そして、脾臓CD11c+細胞およびCD115+ lineage marker- BM細胞を、MACS system(Miltenyi Biotech)で濃縮した。脾臓CD11c+細胞およびCD115+ lineage marker- BM細胞の純度が、それぞれ80%であることを確認した。CD3+ T細胞は、脾臓から、T cell enrichment columns(R&D Systems)を用いて、濃縮した(>90%)。
(7)フローサイトメトリー
 マウス細胞は、最適濃度の抗体とともに、氷上で30分インキュベートした。前記抗体は、抗マウスCD16/CD32抗体、ならびに、蛍光色素をコンジュゲートした抗CD11c抗体、抗MHC Class II (I-A/I-E)抗体、抗CD11b抗体、抗D40抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体、抗B220抗体、抗CD115抗体、抗Gr-1抗体、抗CD3ε抗体、抗CD8抗体、抗CD4抗体、抗CD19抗体、抗DX5抗体、抗CD25抗体および抗CD45RA抗体を使用した。ヒト細胞は、蛍光色素をコンジュゲートした抗CD14抗体、抗CD1a抗体、抗CD11c抗体、抗HLA-DR/DP/DQ抗体、抗CD80抗体および抗CD86抗体により染色した。サイトカインの産生を測定するため、細胞は、GolgiPlug(BD Pharmingen)を用いて、ホルボール-12-ミリステート-13-アセテート (2.5ng/mL、Sigma-Aldrich)およびイオノマイシン(2.5ng/mL、Sigma-Aldrich)で、4時間刺激した。そして、前記細胞を、Cytoperm/Cytofix Kit(eBiosciences)により固定し、透過処理した。また、細胞内染色のため、蛍光色素とコンジュゲートした抗Tbet抗体、抗Eomes抗体、抗FoxP3抗体、抗perforin抗体、抗granzyme B抗体、抗IFN-γ抗体および抗TNF-α抗体を使用した。前記各抗体は、BD PharmingenおよびeBiosciencesから購入した。フローサイトメトリーのデータは、LSRII(BD Bioscience)により取得し、FlowJo(Tree Star)により解析した。
(8)定量的RT-PCR
 全RNAは、試薬Trizol(登録商標)を用いて、使用説明書にしたがって抽出した。抽出したRNAは、cDNA RT kit(Invitrogen)を用いて逆転写した。そして、得られたマウスのcDNAは、ABI 7900(Applied Biosystems)を用いて、SYBR green(Applied Biosystems)により定量化した。なお、RT-PCRのプライマーには、以下のものを使用した。
GAPDH
  配列番号1  5’-TGGTGAAGGTCGGTGTGAAC-3’
  配列番号2  5’-CCATGTAGTTGAGGTCAATGAAGG-3’
Smad2
  配列番号3  5’-GGAACCTGCATTCTGGTGTT-3’
  配列番号4  5’-ACGTTGGAGAGCAAGCCTAA-3’
Smad3
  配列番号5  5’-TTAGGCACCAGCCTGTTTCT-3’
  配列番号6  5’-TGGCGATACACCACCTGTTA-3’
granzyme B
  配列番号7  5’-GGACTGCAAAGACTGGCTTC-3’
  配列番号8  5’-ATAACATTCTCGGGGCACTG-3’
Perforin
  配列番号9  5’-TTTCGCCTGGTACAAAAACC-3’
  配列番号10 5’-AGGGCTGTAAGGACCGAGAT-3’
FasL
  配列番号11 5’-CATCACAACCACTCCCACTG-3’
  配列番号12 5’-GTTCTGCCAGTTCCTTCTGC-3’
IFN-γ
  配列番号13 5’-ACTGGCAAAAGGATGGTGAC-3’
  配列番号14 5’-GACCTGTGGGTTGTTGACCT-3’
TNF-α
  配列番号15 5’-TATGGCTCAGGGTCCAACTC-3’
  配列番号16 5’-CTCCCTTTGCAGAACTCAGG-3’,
IL-6
  配列番号17 5’-GAGGATACCACTCCCAACAGACC-3’ 
  配列番号18 5’-AAGTGCATCATCGTTGTTCATACA-3’
IL-12p35
  配列番号19 5’-CACCCTTGCCCTCCTAAACC-3’
  配列番号20 5’-CACCTGGCAGGTCCAGAGA-3’
IL-12p40
  配列番号21 5’-GCTCAGGATCGCTATTACAATTCC-3’
  配列番号22 5’-TCTTCCTTAATGTCTTCCACTTTTCTT-3’
IL-15
  配列番号23 5’-CATCCATCTCGTGCTACTTGTGTT-3’
  配列番号24 5’-CATCTATCCAGTTGGCCTCTGTTT-3’
 また、ヒトcDNAは、pre-synthesized TaqMan Gene Expression Assays(Applied Biosystems)を用いて、ヒトSmad2(Hs00183425_m1)、ヒトSmad3(Hs00969210_m1)およびヒトGAPDH(Hs99999905_m1)を定量化した。comparative Ct法により、各mRNAについて、GAPDHに対する相対mRNAレベルを算出した。
(9)ウェスタンブロッティング
 細胞を、試薬(RIPA buffer)で溶解し、10% SDS-ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。前記ゲル内のタンパク質を、ニトロセルロース膜(Millipore)に転写し、抗Smad2抗体、抗p-Smad2抗体および抗Smad3抗体(いずれも、Cell Signaling Technology)ならびに抗β-actin抗体(Santa Cruz Biotechnology)で標識し、ECL kit(GE Healthcare)により可視化した。
(10)EL4 リンパ腫
 EL4細胞に、GFP-expressing FG12 レンチウイルスベクターをトランスフェクションし、10% FBSおよび抗生物質を含むDMEM(WelGene Inc.)で培養した。培養したEL4細胞(1×106 cells)を、8週齢のCd11cCre;Smad2+/+マウスまたはCd11cCre;Smad2fl/flマウスの右下腹部に接種した。癌のサイズをデジタルカリパーにより測定し、癌体積を下記計算式により算出した。
 ([短径]2×長径)/2
 そして、接種したガン、流入領域リンパ節(右鼠蹊部)、非流入リンパ節および脾臓を採取し、評価に用いた。
(11)EL4ライセートをDCs(樹状細胞)にパルスすることによるEx vivoでのT細胞刺激
 前述のように、ELを接種したCd11cCre;Smad2+/+マウスまたはCd11cCre;Smad2fl/flマウスの脾臓から、DCs(樹状細胞)およびT細胞を単離した。そして、精製したDCsを所定濃度(2×105、4×104、2×104cells/well)とし、CFSE(Molecular Probe)で標識したT細胞(2×105cells/well)と共培養した。前記共培養は、U-bottom 96ウェルプレートを使用し、液体窒素で凍結させたEL4細胞ライセート(7×104 凍結細胞/well)の存在下で、5日間行った。そして、CFSE希釈および細胞内サイトカインは、フローサイトメトリーにより測定した。
 なお、共培養において、DCsとT細胞との比率は、1:1、1:5および1:10とし、DCsとT細胞との遺伝子型の組合せ(DC/T)は、以下の通りとした。
   Cd11cCreSmad2+/+ / Cd11cCre;Smad2+/+
   Cd11cCre;Smad2+/+ / Cd11cCre;Smad2fl/fl
   Cd11cCre;Smad2fl/fl / Cd11cCre;Smad2+/+
   Cd11cCre;Smad2fl/fl / Cd11cCre;Smad2fl/fl
(12)細胞毒性解析
 EL4接種マウスの脾臓由来のCD8+ T細胞 (0、1×104、2×104、1×105、2×105 cells)を、CD8+ (Ly-2) microbeads(Miltenyi Biotec)を用いた免疫磁気ビーズ法(MACS)により濃縮した。また、全流入領域リンパ節細胞(0、1×104、2×104、1×105 cells)を、U-bottom 96ウェルプレートで、EL4細胞(2×103 cells)と3日間共培養した。細胞毒性は、LDH cytotoxicity detection assay kit(Promega)を用いて、490nmの吸光度を測定することで算出した。特異的溶解パーセンテージは、使用説明書に従って算出した。
(13)組織学的解析
 原発腫瘍を回収し、10% 中性緩衝ホルマリンで固定した。固定したサンプルを、70% エタノールで脱水し、パラフィンで包埋した。これを3μmの切片に切り出し、エマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を行った。また、免疫組織化学のため、パラフィン固定した腫瘍の切片を、60℃で一晩回収し、キシレンによる脱パラフィン、エタノールによる脱水、peroxidase blocking reagent(Dako)によるブロッキングを行った。それから、前記切片のスライドは、抗CD3抗体、抗CD8抗体(abcam)または抗CD11c抗体(eBioscience)と一晩反応させ、続けてHRP-conjugated secondary antibody(Vector)と反応させた。なお、対比染色には、Mayer’s hematoxylin(Sigma)を使用した。
(14)統計
 各種データは、unpaired Student’s t-testおよびtwo-way repeated ANOVA testにより解析した。なお、P値<0.05は、統計的に有意であることを示す。
(実施例A1)
 樹状細胞におけるTGF-βR-Smadsの発現パターンを確認した。
 Smad2は、TGF-β経路において特異的なシグナルを伝えるR-smadの一種であり、マウスおよびヒトの樹状細胞(DSc)において発現する主要なTGF-β R-Smadとして知られている。そこで、マウス脾臓由来樹状細胞、マウス骨髄(BM)由来樹状細胞(BMDCs)およびヒト単球由来樹状細胞(MoDCs)を、GM-CSFおよびIL-4による7日間の処理で分化させ、TGF-β R-Smadsの基本的な発現パターンを、確認した。
 C57BL/6 mice由来のBM細胞を、マウスGM-CSF(20ng/mL)およびIL-4(20ng/mL)の存在下、7日間培養して、BMDCsを生じさせ、ヒト単球を、ヒトGMCSF(20ng/mL)およびIL-4(10ng/mL)の存在下、7日間培養して、MoDCsを生じさせた。そして、マウスCD115+ lineage marker- BM細胞およびCD11c+ 細胞を、脾臓およびBMから、それぞれ精製した。
 そして、まず、Smad2 mRNAおよびSmad3 mRNAの発現量を、定量的RT-PCRにより確認した(n=3-5)。これらの結果を図1(A)~(D)に示す。図1(A)および(B)は、マウス全BM細胞、マウスCD115+ lineage marker- BM細胞、マウスBMDCsおよびマウス脾臓DCsにおける結果であり、(A)が、Smad2 mRNA、(B)が、Smad3 mRNAの発現量を示す。また、図1(C)および(D)は、ヒト単球およびヒトMoDCsにおける結果であり、(C)が、Smad2 mRNA、(D)が、Smad3 mRNAの発現量を示す。
 つぎに、Smad2、リン酸化Smad2、Smad3およびリン酸化Smad3の発現を、proximity ligation assayにより決定した。具体的には、細胞の核を、DAPIにより染色し、画像を、共焦点顕微鏡(LSM700)により取得した。そして、10個の視野において、核中の染色された赤いドット(黒)および細胞質中の青いドット(白)を定量化した。これらの結果を、図2(E)および(F)のグラフに示す。図2(E)は、マウス全BM細胞、マウスCD115+ lineage marker- BM細胞、マウスBMDCsおよびマウス脾臓DCsの結果であり、図2(F)は、ヒト単球およびヒトMoDCsの結果であり、それぞれ、Smad2、リン酸化Smad2、Smad3、およびリン酸化Smad3の発現を示す。各グラフは、平均値+SDを示す。また、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。各グラフにいおいて、N.S.は、有意でないことを示す。さらに、図中の黒色のバーは、核内のドット数を示し、白色のバーは、細胞質中のドット数を示す。
 さらに、Smad2、リン酸化Smad2、Smad3およびβ-アクチンの発現を、ウエスタンブロットにより検出した。これらの結果を、図3(G)の写真に示す。図3(G)は、マウス全BM細胞、マウスBMDCs、ヒト単球およびヒトMoDCsの結果である。
 図1(A)および(C)に示すように、GAPDHに対し正規化したSmad2 mRNAは、DC前駆細胞である、マウス全BM細胞、マウスCD115+ lineage- BM細胞およびヒト単球において、高発現していた(マウス全BM細胞:0.02037±0.00208、マウスCD115+ lineage- BM細胞:0.01712±0.00166、マウスBMDC:0.01154±0.00117、マウス脾臓DC:0.15405±0.00216)。これに対して、図1(B)および(D)に示すように、マウス脾臓DCsおよび前記DC前駆細胞において、正規化したSmad3 mRNAは、Smad2 mRNAに較べて非常に低かった。中でもマウスBMDCsおよびヒトMoDCsにおいては、検出できないレベルにまで減少していた(マウス全BM細胞:0.00098±0.00009、マウスCD115+ lineage- BM細胞:0.00057±0.00006、マウスBMDC:0.00009±0.00003、マウス脾臓DC:0.00015±0.00001)。
 また、Proximity ligation assayでは、図2(E)および(F)に示すように、マウスDCsおよびヒトDCsにおいて、Smad2が、Smad3に対して有意に発現したことがわかった。そして、図3(G)に示すように、Smad2タンパク質の発現レベルは、前記DC前駆細胞とDCsとの間において同程度であった。また、図3(G)に示すように、前記DC前駆細胞におけるSmad3タンパク質の発現レベルは、Smad2タンパク質の発現レベルよりも低く、DCsにおいては、さらに減少していた。また、前記前駆細胞およびDCsにおいて、Smad2は、大部分がリン酸化されていたが、Smad3のリン酸化は、ほとんど検出できなかった。
 また、Smad2(60kDa)、リン酸化Smad2およびSmad3(50kDa)に対するウエスタンブロットでも、同様に、DCsにおいて、Smad2タンパク質の発現レベルは、Smad3タンパク質の発現レベルよりも非常に有意に高いことが確認できた。
 このように、マウス脾臓DCs、GM-CSF/IL-4で誘導されたマウスDCsおよびヒトDCsにおける、Smad3よりも有意なSmad2の発現は、Smad2が、DCsにおける主要なTGF-β R-Smadであることを示唆している。
(実施例A2)
 DCsは、T細胞を活性化するために、樹状突起および共刺激分子を発現している。そこで、DCsの免疫原性におけるSmad2の役割の確認を行った。
 DCsとして、Mx-1Cre;Smad2+/+マウス(以下、「Smad2+/+」という)とMx-1Cre;Smad2fl/flマウス(以下、「Smad2-/-」という)とから取得したマウスBMDCs、および、siRNAによってSmad2をノックダウンしたヒトMoDCsを使用した。なお、siRNAによりSmad2がノックダウンされたことは確認済みである。
 まず、May-Grunwald/Giemsa染色を行い、光学顕微鏡(Imager Z1、Carl Zeiss)により画像を取得し、TGF-βがDCsの免疫免疫原性を抑制することを確認した。これらの結果を、図4(A)および(B)に示す。図4(A)は、マウスのBMDCの染色結果であり、左欄が、Smad2+/+マウスのBMDCの結果、右欄が、Smad2-/-マウスのBMDCの結果であり、下段は、上段の拡大図である。また、図4(B)は、ヒトMoDCの染色結果であり、左欄が、コントロールsiRNAで処理した結果(コントロール)、右欄が、Smad2に対するsiRNA(siSmad2)で処理した結果であり、下段は、上段の拡大図である。各図において、スケールバーは、上段が100μmを示し、下段が20μmを示す。
 図4(A)に示すように、Smad2-/-マウスのBMDCsは、Smad2+/+マウスのBMDCsに比べ、樹状突起が顕著に発達しており、図4(B)に示すように、Smad2をsiRNAでノックダウンしたヒトMoDCsにおいても、樹状突起の形成が増強されていた。
 つぎに、Mx-1Cre;Smad2+/+マウスおよびMx-1Cre;Smad2fl/flマウスのBM細胞を、TGF-β1(5ng/mL)もしくはアクチビンA(10ng/mL)の存在下または非存在下で処理し、BMDCを発生させた。これらのBMDCにおけるCD40、CD80およびCD86の発現を示すフローサイトメトリーのヒストグラム、および、CD11c+ MHC class II+ 細胞におけるCD40+、CD80+およびCD86+の割合(%)のグラフを、図5(C)、(D)および(F)に示す(n=5-7)。図5において、右側の各棒グラフは、平均値+SDを示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。各棒グラフにいおいて、N.S.は、有意でないことを示す。図5(C)は、TGF-β存在下または非存在下におけるマウスBMDCの結果、図5(D)は、アクチビンAの存在下または非存在下におけるマウスBMDCの結果であり、図5(E)は、コントロールsiRNAまたはsiSmad2を導入したヒトMoDCsの結果である。
 また、図5(C)に示すように、Smad2-/-マウスのBMDCにおけるCD40、CD80およびCD86の発現レベルは、Smad2+/+マウスのBMDCに比べて、顕著に増加しており、外来性のTGF-β1による阻害効果は、Smad2を欠失することによって、完全に消失していた。他方、TGF-β スーパーファミリーサイトカインの一種であるアクチビンAも、Smad2およびSmad3を活性化する。しかし、図5(D)に示すように、TGF-β1とは異なり、アクチビンA(5ng/mL)は、BMDCにおけるCD40、CD80およびCD86の発現に影響を与えなかった。また、図5(E)に示すように、siRNAによりSmad2をノックダウンしたヒトMoDCは、B7ファミリー分子(CD80およびCD86)の発現が増加した。これらの結果から、Smad2が媒介するTGF-βシグナルは、DCsの免疫原性を阻害するといえる。
(実施例A3)
 Smad2欠失によって、DCsの免疫原性が増強されることは、Smad2が、DCを使用する癌免疫療法の効果を高めるための、ターゲットとなることを示唆する。そこで、マウスEL4 T細胞リンパ腫モデルを用いて、Smad2を欠失したDCsが、抗癌免疫賦活能を増強するかを確認した。
(1)腫瘍の発生率および成長
Smad2を有するCd11cCre;Smad2+/+マウスおよびDCs-特異的Smad2欠失マウス(Cd11cCre;Smad2fl/flマウス)の右下腹部にEL4細胞(1×106 cells)を接種し、接種後の癌のサイズを経時的に測定した(n=15/genotype)。これらの結果を、図6(A)および(B)に示す。図6(A)は、直径5mm以上の癌の割合(%)であり、図6(B)は、癌の体積の結果を示す。図6において、各グラフは、平均値+SDまたは平均値-SDを示し、P値は、two-way repeated ANOVA testにより計算した。
 図6(A)および(B)に示すように、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスでは、EL4腫瘍の発生率および成長は、著しく抑制された。
(2)CD11c+ MHC II+ 細胞の増加
 EL4腫瘍を接種したマウスについて、流入領域リンパ節におけるCD11c+ MHC class II+細胞の割合を確認した。これらの結果を、図7(C)に示す。図7において、上図は、細胞の分布を示し、下図は、流入領域リンパ節におけるCD11c+ MHC class II+細胞の割合を示すグラフである。図7の下図において、白いバーが、EL4腫瘍を接種したCd11cCre;Smad2+/+マウスの結果であり、黒いバーが、EL4腫瘍を接種したCd11cCre;Smad2fl/flマウスの結果であり、平均値+SDを示す(n=10/genotype). 
 図7に示すように、CD11c+ MHC II+ 細胞は、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスの流入領域リンパ節において有意に増加していた。
(3)免疫組織化学
 Cd11cCre;Smad2+/+マウスおよびCd11cCre;Smad2fl/flマウスのパラフィン切片を準備し、CD11c+細胞の免疫組織化学検査を行った。スライドは、光学顕微鏡(Imager Z1、Carl Zeiss)を用いて確認した。これらの結果を、図8(D)に示す。図8(D)は、免疫組織化学の写真であり、スケールバーは、20μmである。図8(D)に示すように、単核細胞を伴う樹状突起を有するCD11c+細胞は、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスのリンパ腫に浸潤していることが確認された。他方、Cd11cCre;Smad2+/+マウスにおいては、前記浸潤は、確認されなかった。
(4)共刺激分子の発現
 Cd11cCre;Smad2+/+マウスおよびCd11cCre;Smad2fl/flマウスの流入領域リンパ節におけるCD11c+ MHC class II+ DCsのCD40、CD80およびCD86の発現を確認した。これらの結果を、図9(E)に示す。図9(E)は、CD11c+ MHC class II+ DCsにおけるCD40+、CD80+およびCD86+細胞の割合(%)を示す。図9(E)において、下側の棒グラフは、%の平均値+SDを示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。また、図9(E)において、白いバーは、Cd11cCre;Smad2+/+マウス、黒いバーは、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスの結果を示す。
 図9(E)に示すように、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスは、流入領域リンパ節におけるCD11c+ MHC class II+ DCsの共刺激分子(CD40、CD80およびCD86)の発現は、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して有意に増加した。
(5)サイトカインの発現
 DCsは、Th1細胞、CTLsおよびNK細胞を活性化するIL-12およびIL-15を分泌する。DCsによるIL-12の産生は、初期のT細胞が関与する免疫応答の開始に必須であり、DCsは、IL-12に応答して、高レベルのIFN-γを産生する。そして、DCsは、TNF-αおよびIL-6のような、様々な炎症性サイトカインも分泌する。そこで、脾臓DCsにおける炎症性サイトカインの発現を、定量的RT-PCRにより測定した。
 これらの結果を図10(F)および(G)に示す。図10(F)および(G)は、EL4リンパ腫を接種したCd11cCre;Smad2fl/flマウス(黒いバー)およびCd11cCre;Smad2+/+マウス(白いバー)の脾臓DCsにおける各種サイトカインのmRNAの発現量を示す。各グラフは、平均値+SD(n=11/genotype)を示す。また、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。各グラフにいおいて、N.S.は、有意でないことを示す。図10(F)および(G)に示すように、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスの脾臓DCsにおけるIL-12 p35、IL-15、IL-6およびTNF-α mRNAの発現は、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して、有意に増加した。
 これらの結果から、DC特異的Smad2欠失は、DCsの免疫原性を増強し、これによって、同所性リンパ腫の発達を抑制することがわかった。
(実施例A4)
 Smad2欠失が、抗リンパ腫エフェクターT細胞分化に与える影響について確認した。
 EL4リンパ腫を接種したCd11cCre;Smad2fl/flマウスおよびCd11cCre;Smad2+/+マウスの流入領域リンパ節の免疫学表現型タイピングを、フローサイトメトリーにより行った。これらの結果を図11(A)に示す。図11(A)は、平均値+SDを示す(n=10/genotype)。図11(A)に示すように、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスは、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞が有意に増加した。
 EomesおよびT-betは、CTLおよびTh1エフェクター細胞の抗腫瘍機能に必須のT-box 転写因子である。そこで、フローサイトメトリーにより、EL4リンパ腫を接種したCd11cCre;Smad2fl/flマウスおよびCd11cCre;Smad2+/+マウスの流入領域リンパ節におけるCD8+ T細胞のEomes+およびCD4+ T細胞のT-bet+の割合(%)を確認した。これらの結果を、図12(B)に示す。図12(B)において、下側の各棒グラフは、平均値+SD(n=5/genotype)を示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。図12(B)に示すように、Cd11cCre;Smad2fl/flマウス(黒いバー)は、Cd11cCre;Smad2+/+マウス(白いバー)と比較して、流入リンパ節で増加していたCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞が、それぞれEomesとT-betを、非常に高いレベルで有意に発現していた。
 定量的RT-PCRにより、EL4リンパ腫を接種したCd11cCre;Smad2fl/flマウスおよびCd11cCre;Smad2+/+マウスの脾臓T細胞のRNAについて、サイトカイン mRNAの発現量を測定した。これらの結果を、図13(C)に示す。図13(C)のグラフは、平均値+SD(n=5/genotype)を示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。図13に示すように、Cd11cCre;Smad2fl/flマウス(黒いバー)は、Cd11cCre;Smad2+/+マウス(白いバー)と比較して、脾臓T細胞が、IFN-γ mRNAおよびTNF-α mRNAを非常に高いレベルで有意に発現していた。
 フローサイトメトリーにより、EL4リンパ腫を接種したCd11cCre;Smad2fl/flマウスおよびCd11cCre;Smad2+/+マウスの流入領域リンパ節のCD8+ T細胞におけるIFN-γ+およびTNF-α+の割合(%)を測定した。これらの結果を、図14(D)に示す。図14(D)において、下側のグラフは、平均値+SD(n=5/genotype)を示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。図14(D)に示すように、Cd11cCre;Smad2fl/flマウス(黒いバー)は、Cd11cCre;Smad2+/+マウス(白いバー)と比較して、PMAおよびイオノマイシンの刺激によるCD8+ T細胞でのIFN-γおよびTNF-αの細胞内発現、および、CD4+ T細胞におけるIFN-γの細胞内発現は、有意に増加した。
 DCsにおけるSmad2欠失が、抗原特異的エフェクターT細胞応答に与える影響を確認した。具体的には、CFSE希釈によりEL4-特異的T細胞分裂を確認するため、EL4を接種したマウスの脾臓から精製したCD3+ T細胞とDCsとを、EL4凍結ライセート存在下、5日間共培養した。そして、フローサイトメトリーにより、CD8+ T細胞における分裂細胞の割合(%)を求めた。これらの結果を、図15(E)に示す。図15(E)において、下側の各棒グラフは、平均値+SD(n=5/genotype)を示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。図15(E)に示すように、最も効果的なT細胞増殖は、DC:T細胞の割合が1:1のときに誘導され、他の割合と比較して、Smad2-/- DCsは、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の増殖を著しく誘導した。
 また、あわせて、フローサイトメトリーにより、CD8+ T細胞におけるIFN-γ+およびTNF-α+の割合を求めた。これらの結果を、図16(F)に示す。図16(F)において、各棒グラフは、平均値+SD(n=5/genotype)を示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。各グラフにおいて、各バーの種類は、前記図15(E)と同様であり、N.S.は、有意でないことを示す。図16(F)に示すように、最大のサイトカイン産生は、DC:T細胞の割合が1:10のときに誘導され、そして、ex vivoにおいて、Smad2-/- DCsおよびEL4ライセートによって刺激されたT細胞は、Smad2+/+ DCsによって刺激されたT細胞に比べ、炎症性サイトカインを有意に産生した。
 このように、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して、Cd11cCre;Smad2fl/flマウス由来のよく分化したCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞でさえも、ex vivoにおいて、Smad2+/+ DCsによる再刺激した場合、優れた増殖、または、多くのエフェクターサイトカインの産出ができなかった。これに対して、Smad2-/- DCsは、Smad2+/+ DCsと比較して、Cd11cCre;Smad2fl/flマウス由来のみならずCd11cCre;Smad2+/+マウス由来のCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の増殖およびサイトカイン産生を誘導した。これらの結果から、Smad2シグナルが、DCsの効果的な抗癌T細胞応答の誘導を阻害することがわかった。
(実施例A5)
 DC特異的Smad2の欠失が、抗リンパ腫細胞溶解活性に与える影響を確認した。
 EL4リンパ腫を接種したCd11cCre;Smad2+/+マウスおよびCd11cCre;Smad2fl/flマウスについて、CD8+ T細胞のHE染色および免疫組織化学検査のパラフィン切片を作製した。そして、パラフィン切片のスライドを光学顕微鏡(Imager Z1、Carl Zeiss)で観察した。これらの結果を、図17(A)および(B)に示す。図17(A)は、HE染色の結果であり、図17(B)は、免疫組織化学検査の結果であり、両図において、スケールバーは、100μmである。図17(A)に示すように、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して、Cd11cCre;Smad2fl/flマウスに接種されたリンパ腫は、単核細胞の浸潤が著しく増加した。また、図17(B)に示すように、流入領域リンパ節においてCD8+ T細胞が増加しているのと一致して、多くの癌-浸潤単核細胞が、CD3+ T細胞およびCD8+ T細胞であることもわかった。
 つぎに、エフェクター免疫細胞による標的癌細胞の溶解を検出するため、エフェクター細胞としてEL4接種したマウス由来のNK細胞およびCTLsの両方を含む全流入領域リンパ節、または脾臓CD8+ T細胞を、標的癌細胞(EL4細胞)と、様々な割合(エフェクター細胞E:標的細胞T)で共培養した。そして、細胞溶解は、上清におけるLDH放出の測定により評価した。これらの結果を、図18(C)および(D)に示す。図18(C)および(D)は、細胞溶解の割合(%)を示すグラフであり、図18(C)が、流入領域リンパ節を使用した結果、図18(D)が、脾臓CD8+ T細胞を使用した結果であり、両グラフは、平均値+SDまたは平均値-SD(n=5/genotype)を示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。図18(C)および(D)に示すように、Cd11cCre;Smad2fl/flマウス由来の全流入領域リンパ節および脾臓CD8+ T細胞は、それぞれ、Cd11cCre;Smad2+/+マウスと比較して、有意に増強されたLDH放出が確認された。
 Perforin、granzyme BおよびFasL等の細胞溶解エフェクター分子は、NK細胞およびCTLsの細胞毒性の原因となる。そこで、定量的RT-PCRにより、EL4接種したCd11cCre;Smad2+/+マウスおよびCd11cCre;Smad2fl/flマウスの脾臓T細胞について、これらの発現を確認した。また、フローサイトメトリーにより、流入領域リンパ節のCD8+ T細胞におけるperforin+およびgranzyme B+の割合(%)を求めた。これらの結果を、図19(E)および(F)に示す。図19(E)は、細胞溶解エフェクター分子の発現量を示すグラフであり、図19(F)は、CD8+ T細胞の割合(%)を示すグラフである。各グラフは、平均値+SD(n=5/genotype)を示し、P値は、2-tailed unpaired Student’s t-testにより計算した。図19(E)および(F)に示すように、Cd11cCre;Smad2fl/flマウス(黒いバー)は、脾臓T細胞における細胞溶解エフェクター分子のmRNAの発現、および流入領域リンパ節のCD8+ T細胞におけるpeforinおよびgranzyme Bのタンパク質レベルが、Cd11cCre;Smad2+/+マウス(白いバー)と比較して、有意に増加した。これらの結果から、Smad2欠失DCsは、in vivoにおいて、効果的に抗リンパ腫瘍細胞溶解能を活性化させることがわかる。
 以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
 この出願は、2014年8月14日に出願された日本出願特願2014-165287を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
 本発明によれば、例えば、TGF-βを阻害する処理を施すのみで、樹状細胞の抗癌免疫賦活能を促進できる。

Claims (18)

  1. 樹状細胞のTGF-βを阻害する処理工程を含むことを特徴とする、樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法。
  2. 前記処理工程が、樹状細胞を、TGF-β阻害剤で処理する工程である、請求項1記載の促進方法。
  3. TGF-β阻害剤が、Smad2阻害剤である、請求項2記載の促進方法。
  4. Smad2阻害剤が、Smad2の発現抑制剤である、請求項3記載の促進方法。
  5. 前記発現抑制剤が、Smad2 mRNAの転写を抑制する核酸分子である、請求項4記載の促進方法。
  6. 前記核酸分子が、siRNAである、請求項5記載の促進方法。
  7. 前記樹状細胞が、骨髄由来または単球由来である、請求項1から6のいずれか一項に記載の促進方法。
  8. 前記単球が、末梢血単球である、請求項7記載の促進方法。
  9. 前記樹状細胞が、ヒト由来または非ヒト動物由来である、請求項1から8のいずれか一項に記載の促進方法。
  10. 前記処理工程が、in vitroで行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の促進方法。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の抗癌免疫賦活能の促進方法により、樹状細胞を処理する工程を含むことを特徴とする、抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞の製造方法。
  12. 請求項11記載の製造方法により得られることを特徴とする、抗癌免疫賦活能が促進された樹状細胞。
  13. TGF-β阻害剤を含むことを特徴とする、樹状細胞の抗癌免疫賦活能を促進する促進剤。
  14. TGF-β阻害剤を含むことを特徴とする、抗癌剤調製キット。
  15. さらに、樹状細胞用の培養試薬を含む、請求項14記載の抗癌剤調製キット。
  16. 前記培養試薬が、培地を含む、請求項15記載の抗癌剤調製キット。
  17. 前記培地が、前記TGF-β阻害剤を含む、請求項16記載の抗癌剤調製キット。
  18. 請求項12記載の樹状細胞を患者に投与することを特徴とする、癌の治療方法。
PCT/JP2015/072929 2014-08-14 2015-08-13 樹状細胞の抗癌免疫賦活能の促進方法およびその用途 WO2016024628A1 (ja)

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