以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[第1実施形態]
図1~図9に本発明の第1実施形態を示す。図1に示すように、内視鏡用リプロセス装置1は、使用済みの内視鏡101に対し、再度被検体に挿入可能にするためのリプロセスを行うための装置である。ここでいうリプロセスとは内視鏡の汚染状態および、挿入対象となる部位により適宜選択することができる。例えばタンパク質などの汚れを落とす洗浄、有害な細菌やウィルスを無効化する消毒、または細菌やウィルスを死滅させる滅菌の少なくとも1種を選択することができる。
内視鏡用リプロセス装置1は、装置本体2と、装置本体2に設けられた処理槽8と、処理槽8を開閉するトップカバー3とで主要部が構成されている。
トップカバー3は後部が回動可能に支持された状態で前部が開閉自在にされており、トップカバー3が閉じている状態では、前部に設けられているラッチ部4が装置本体2にロックされて水密状態が保持される。尚、装置本体2の内部には、洗浄液、消毒液などの各種液体を貯蔵する各種タンク、各種タンクから各種液体を処理槽8及び内視鏡101の内部の管路へ供給するための各種ポンプ、洗浄消毒工程の各工程に応じて各種ポンプ及び各種弁を制御する制御部等が搭載されている。
装置本体2の上面前部には、向かって右側に通常操作されるメイン操作部5が設けられ、向かって左側に情報読取部としての無線ID送受信部6が設けられている。メイン操作部5には、装置本体2の洗浄・消毒・または滅菌等のリプロセスをスタートさせるスタートスイッチや停止させるストップスイッチ、及び洗浄・消毒・または滅菌等のリプロセスモードを選択する選択スイッチ等の各種スイッチ類、及び表示部が所定に配設されている。
無線ID送受信部6は作業者の所有するIDカードを近接させることで作業者の識別情報(ユーザID)を読み取ると共に、内視鏡を近接させることで、当該内視鏡に内蔵されているスコープIDタグから内視鏡識別情報(スコープID)を読み取る。尚、内視鏡にスコープIDタグが内蔵されていない場合、作業者はユーザIDを読み取らせた後、当該内視鏡のスコープIDをメイン操作部5に設けられているスイッチにより外部から手動で入力し、制御部に認識させることもできる。
装置本体2の後部右端に、装置本体2に水道水を供給する給水ホース接続口7が配設されている。尚、図2に示すように、給水ホース接続口7は、水道蛇口16に接続された給水ホース16aに接続される。更に、装置本体2の略中央に処理槽8が設けられている。図1に例示される処理槽8は、一度に複数本の内視鏡101に対するリプロセスが可能であり、複数本の内視鏡101を収納可能な槽本体8aと、槽本体8aの後部に設けられたテラス部8bとを有している。
図示しないが、槽本体8aに対しては内視鏡用保持網が設置され、使用済みの内視鏡101は、内視鏡用保持網に対して所定にセットされる。図1に、一般的な内視鏡101を示す。内視鏡101は、手元側に操作者が把持して操作する操作部102が設けられ、操作部102から体内に挿入する挿入部103が延出されている。又、操作部102の側部からユニバーサルコード104が延出され、ユニバーサルコード104の終端にコネクタ部105が固設されている。尚、リプロセスの対象となる内視鏡は、上述した一般的な内視鏡101以外に、ユニバーサルコード104を備えていない内視鏡も対象となる。
上述した槽本体8aは窪み状に形成され、窪みの底部に排水口8cが設けられており、排水口8cから槽本体8aに供給された洗浄液、水、アルコール、または消毒液等の液体を排出させることができる。更に、槽本体8aの壁面8dに循環口8eが設けられている。循環口8eは、槽本体8aに供給された水、洗浄液、消毒液等の液体を、後述する手段を介して内視鏡101の内部に具備された各管路内を再循環させ、或いは、槽本体8aに供給された液体を、メッシュフィルタ等を介して後述する給水循環ノズル11cから槽本体8aに再度供給させることができる。
更に、槽本体8a底面の略中央部に、図示しないケース用管路が設けられており、ケース用管路に付属品洗浄ケース(以下、「洗浄ケース」と称する)9が装着される。洗浄ケース9に内視鏡101の付属品が収納される。洗浄ケース9にはケース用管路を経て、装置本体2内に設けられているポンプから消毒液などの液体が供給され、収納されている付属品に対し、内視鏡101と共にリプロセスが施される。
槽本体8aの側面に、槽本体8aに供給される液体の水位を計測する水位センサ10が設けられ、更に、テラス部8bに、装置本体2に収納されている洗剤タンクから洗剤用ポンプにより洗浄剤を処理槽8へ供給する洗剤ノズル11a、及び、装置本体2に収納されている薬液タンクから薬液ポンプにより、消毒液を処理槽8へ供給する消毒液ノズル11bが配設されている。更に、テラス部8bには、処理槽8へ給水し、或いは槽本体8aの循環口8eから吸引した液体を、再度処理槽8へ供給する給水循環ノズル11cが配設されている。
テラス部8bには、内視鏡101の内部に具備された複数の管路に対し、水、洗浄液、アルコール、消毒液、或いは、エア等の流体を供給する複数(本実施形態では、4つ)のポート12と漏水検知用ポート13とが配設されている。各ポート12は、内視鏡101内の、吸引管路、副送水管路、送気送水管路、鉗子口等の各管路に洗浄液などを供給するコネクタ部であり、洗浄チューブ31を介して、内視鏡101に備えられている、吸引管路、送気送水管路、鉗子口、副送水管路等に連通する周知の口金に各々接続される。尚、図2においては、操作部102の鉗子口に設けられている口金とポート12とを洗浄チューブ31で接続した状態が簡易的に示されている。
図2に示すように、循環口8eと各ポート12とは、装置本体2内に配設された循環管路21を介して連通されており、循環管路21に、上流側である循環口8e側から、管路ポンプ22、流量センサ23、管路電磁弁24が介装されている。管路ポンプ22は処理槽8に貯留されている液体を吸引して循環口8e側へ送給する。流量センサ23は循環管路21を流れる流体の単位時間当たりの流量を計測するものであり、計測結果は図示しない制御ユニットに送信される。
制御ユニットは受信した流量センサ23で計測した流量を基に管路詰まりを判定し、メイン操作部5の表示部に管路詰まりを示すエラーメッセージを表示させる。管路詰まりの判定方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、流量と閾値とを比較する方法により詰まりを判定することができる。
排水口8cは切換弁25を介して薬液タンクと外部排水管路とに選択的に連通自在にされており、薬液タンクに連通させることで処理槽8内の流体が回収され、外部排水管路に連通させることで流体を外部に排出させることができる。又、薬液タンクに回収された流体は消毒液ノズル11bから処理槽8に再供給される。
図3に示すように、洗浄チューブ31は可撓性を有するチューブ本体32を有し、チューブ本体32の一端に、内視鏡用リプロセス装置1に設けられているポート12に接続可能な装置側コネクタ部33が固設され、他端に内視鏡101の吸引管路、送気送水管路、鉗子口、副送水管路等の各管路の開口端部に設けられている口金106に接続可能な内視鏡側コネクタ部34が固設されている。口金106は内視鏡101に固設されて各管路の開口部101aに接続する胴部106aを有し、胴部106aの上端にフランジ部106bが形成されている。尚、ポート12に接続可能な装置側コネクタ部33の構造は従来のものと同一であるため、ここでの説明は省略する。
図4に示すように、内視鏡側コネクタ部34は、ハウジング部35を有している。ハウジング部の材質としては特に限定されず、例えば樹脂または金属を用いることができる。図5に示すように、ハウジング部35は下端を開口する略円筒状に形成されており、側面上部に流体導入口35aが形成され、開口下端が流体導出口35bとなっている。流体導出口35bがチューブ本体32の他端に固設され、流体導入口35aを経てハウジング部35内にチューブ本体32側から送られて来る流体が導入され、内部に導入された流体は流体導出口35bから導出される。前記流体としては、水、洗浄液、消毒液、アルコール、またはこれらの液体に気体を混合したものが挙げられる。
更に、流体導出口35bの下端外表面から鉤部36が下方へ延出されている。鉤部36は、弾性体であることが望ましい。鉤部36の材質としては弾性を有する高分子が挙げられる。鉤部36は、底部中央を開口する盆状に形成されている。鉤部36の底部に係止部36aが形成されており、係止部36aが口金106の開口端に形成されたフランジ部106bの下面に掛止される。又、係止部36aの底面が、フランジ部106bを外方からハウジング部35内に装着する際にガイドするテーパ状に形成されている。または、鉤部36は鉤爪状に形成されていてもよい。この場合、材質としては可撓性を有する材質であればよく、樹脂または金属を適用することができる。
ハウジング部35の内壁の流体導入口35aと流体導出口35bとの間にばね受部35cが内方へリング状に突出形成されている。更に、ばね受部35cと流体導出口35bとの間に可動部37が介装されている。可動部37は、ハウジング部35の内壁にガイドされて上下方向へ直線運動自在にされており、流体導入口35a側と流体導出口35bとを分断する円板状に形成された隔壁部37aと、隔壁部37aの底面に貼設されているシール部37bとを有している。
隔壁部37a及びシール部37bの中央に開口部37cが開口されており、一方、隔壁部37aの外周とハウジング部35の内壁との間が、隔壁部37aの外周に装着されたシールリング38によってシールされている。
可動部37の中央がリンク機構41Aを介してハウジング部35の天井に突設されている吊下ブラケット35dに接続されている。図6に示すように、リンク機構41Aは、下部を可動部37の開口部37cの内壁に回動支持されているリンク部42と、リンク部42の上端部に、その下端部を接続する被加圧部43とを有し、被加圧部43の第1の端部としての上部ブラケット43aが、吊下ブラケット35dに回動自在に支持されている。被加圧部43は流体導入口35aに対面して接離自在に対峙されており、流体導入口35aに対面する位置に被加圧面43bが形成されている。
被加圧面43bは、流体導入口35aからハウジング部35内に導入される流体の圧力を受けるカップ状に形成されており、図8に示すように、被加圧面43bが流体の圧力を受けて、流体導入口35aとは反対側へ回動すると、リンク部42を介して接続されている可動部37がハウジング部35の内壁にガイドされて上方へスライドする。
又、可動部37とばね受部35cとの間に、ばね部の一例である圧縮ばね44が介装されている。圧縮ばね44は、第2の端部である下端部44aが可動部37の上面に接続(当接)され、第3の端部である上端部44bがばね受部35cに接続(当接)されて、下端部44aよりも流体導入口35a側に位置するようにハウジング部35の内壁に位置決めされている。圧縮ばね44により可動部37は流体導出口35b方向に向けて付勢される。
可動部37は被加圧面43bが受ける流体圧が、圧縮ばね44のばね圧と可動部37及びリンク機構41Aが有する各摺動部位の摩擦抵抗による負荷を上回った場合、被加圧部43は流体圧の押圧方向へ回動する。一方、圧縮ばね44のばね圧が被加圧面43bに作用する流体圧と可動部37及びリンク機構41Aが有する各摺動部位の摩擦抵抗による負荷とを上回った場合、被加圧部43は流体導入口35a側へ押し戻される。
圧縮ばね44のばね圧は、例えばハウジング部35が横向きの状態で口金106に装着した場合であっても、被加圧面43bが流体の圧力を受けていない状態では、可動部37を口金106の上端面に当接させることのできる程度の弱い値に設定されている。従って、流体の圧力を被加圧部43が受けた場合、可動部37は圧縮ばね44の付勢力に抗して上方へスライドされる。
又、図4に示すように、ハウジング部35が口金106に装着されていない状態では、リンク機構41Aが流体導出口35b側へ直線上に延出されるため、このときの可動部37の底面が、鉤部36に最も近接する第3の位置p3となる。この状態では、第3の位置p3と鉤部36に設けられている係止部36aの上面との間の間隙s1は、口金106に形成されているフランジ部106bの高さh1(図7参照)よりも狭くなるように設定されている(s1<h1)。従って、図9に示すように、ハウジング部35を口金106のフランジ部106bに装着した状態では、可動部37の底面が上述した間隙s1と口金106の高さh1との差分(h1-s1)だけ上昇された第2の位置p2となり、リンク機構41Aは、リンク部42と被加圧部43との接続部位がやや屈曲される。
一方、図8に示すように、被加圧部43の被加圧面43bに流体導入口35aからハウジング部35内に導入される流体の圧力により被加圧部43が回動すると、可動部37の底面は、口金106の上面から離間して、第1の位置p1まで上昇し、可動部37の底面と口金106の上面との間に間隙が生じる。その結果、鉤部36の係止部36aの上面と可動部37の底面との間の間隙s2が口金106のフランジ部106bの高さh1よりも広いため、フランジ部106bは、いわゆるフローティング状態となり、可動部37の開口部37cから流体導出口35b側へ流出した流体の一部が口金106を迂回して鉤部36の係止部36aと口金106の胴部106aとの間から排出される。
次に、このような構成による本実施形態の作用について説明する。内視鏡検査等を終了した使用済みの内視鏡101に対し、内視鏡用リプロセス装置1を用いてリプロセスを行うに際しては、先ず、内視鏡101を内視鏡用リプロセス装置1の処理槽8に所定にセットし、その後、洗浄チューブ31の一端に設けられている装置側コネクタ部33を装置本体2の各ポート12に接続する。次いで、洗浄チューブ31の他端に設けられている内視鏡側コネクタ部34を、内視鏡101の各管路の開口部101aに設けた口金106に接続する(図3参照)。
図7に示すように、内視鏡側コネクタ部34を口金106に装着するに際し、作業者は、ハウジング部35を指で把持し、ハウジング部35を一方に傾けて、鉤部36に形成されている係止部36aに、口金106に形成されているフランジ部106bを掛止させ、次いで、鉤部36を弾性変形させて、フランジ部106bに鉤部36の係止部36aを装着する。
又、図4に示すように、内視鏡側コネクタ部34のハウジング部35に設けられているリンク機構41Aを構成するリンク部42と被加圧部43とは圧縮ばね44の付勢力を受けて、直線状に延在されており、このときの可動部37の底面の位置である第3の位置p3と鉤部36に形成されている係止部36aの上面との間の間隙s1は、口金106に形成されているフランジ部106bの高さh1よりも狭く設定されている(s1<h1)。従って、口金106のフランジ部106bを内視鏡側コネクタ部34の鉤部36に装着すると、可動部37の底面に設けられているシール部37bが口金106の開口端に当接し、間隙s1とフランジ部106bの高さh1との差分(h1-s1)だけ、口金106の開口端が、圧縮ばね44の付勢力に抗してリンク機構41Aを上方へ押し上げる。その結果、リンク機構41Aは、リンク部42と被加圧部43との互いの連結部分を中心としてやや屈曲されて、フランジ部106bが係止部36aの内面と可動部37のシール部37bとで挟持される(図9参照)。
次いで、作業者がセットしたプログラムに従い、内視鏡101に対して洗浄・消毒・または滅菌等を行うリプロセスを開始する。尚、リプロセスの工程については従来と同様であるためここでの説明は省略する。
リプロセスが開始されると、図2に示すように、内視鏡用リプロセス装置1の装置本体2に設けられている循環管路21に介装されている管路ポンプ22が駆動する。循環管路21は、上流側が処理槽8の壁面8dに設けた循環口8eに連通され、下流側が処理槽8のテラス部8bに設けられている各ポート12に連通されている。従って、循環管路21に介装されている管路電磁弁24が開弁すると、処理槽8に貯留されている流体(水、洗浄液、消毒液等)を循環口8eから吸い込み、循環管路21を経てポート12から吐出される。
ポート12に、装置側コネクタ部33を介して洗浄チューブ31の一端が接続され、他端に設けた内視鏡側コネクタ部34が、内視鏡101内の各管路に連通する各開口部101aに設けた各口金106に装着されているため、ポート12から吐出された流体は装置側コネクタ部33からチューブ本体32を通り内視鏡側コネクタ部34へ導かれ、内視鏡側コネクタ部34のハウジング部35に形成されている流体導入口35aから内部に導入される。
すると、図8に示すように、流体の圧力(動圧)がハウジング部35内に配置されているリンク機構41Aの被加圧部43に形成されている被加圧面43bに印加され、被加圧部43が、同図の反時計回り方向へ回動する。すると、被加圧部43に接続するリンク部42を介して、可動部37がその外周をハウジング部35の内壁にガイドされながら、圧縮ばね44の付勢力に抗して上昇され、口金106の開口端に当接している第2の位置p2から第1の位置p1に上昇され、鉤部36の係止部36aの上面と可動部37の底面との間の間隙s2が口金106のフランジ部106bの高さh1よりも広くなる。
その結果、間隙s2内で、口金106のフランジ部106bが、いわゆるフローティング状態となり、ハウジング部35内に導入されて可動部37に開口されている開口部37cから流体導出口35b側に導出された流体の一部が口金106、開口部101aを通り内視鏡101内の管路へ導かれ、管路内を所定に洗浄、または消毒して槽本体8aに排出される。一方、流体導出口35bに導出された流体の残りは可動部37と口金106の開口端との間に形成された間隙から、口金106の表面を通り、鉤部36の係止部36aと口金106の胴部106aとの間の間隙を経て外部に排出される。これにより、内視鏡101の管路内のみならず、口金106の周囲も同時に洗浄、または消毒される。
洗浄チューブ31を経て内視鏡101側へ供給される流体の流量は、循環管路21に介装されている流量センサ23で計測され、流量が予め設定したしきい値以下の場合、内視鏡101の管路詰まりと判定し、メイン操作部5の表示部にエラーメッセージを表示する。
すなわち、内視鏡101の管路内に詰まりが発生すると、ハウジング部35内に供給される流体の流量が制限される。その結果、リンク機構41Aに設けられている被加圧部43に作用する流体の圧力(動圧)が減少し、図の反時計回り方向へ回動させる押圧力は低下する。一方で、洗浄チューブ31からハウジング部35内に導入される流体がハウジング部35内に充満され、内圧(静圧)は次第に高くなる。内圧はハウジング部35内に均等に印加されるため、可動部37は内圧と圧縮ばね44の付勢力とを受けて押下される。
すると、図9に示すように、可動部37の底面に設けたシール部37bが口金106の開口端に当接し、可動部37の開口部37cから口金106の表面に漏出する流体が制限される。その結果、ハウジング部35内に流体が滞留し、流量センサ23で計測する流体の流量が極端に少なくなるため、流量が、例えばしきい値以下となった場合、管路詰まりと判定される。尚、可動部37は口金106側の圧力とハウジング部35内の内圧及び圧縮ばね44との差圧で当接されているため、ハウジング部35内の圧力が高くなれば、それだけ、口金106に対する当接圧が高くなるので、口金106の周囲から漏出する流体がより確実に阻止される。
このように、本実施形態では、洗浄チューブ31の内視鏡側コネクタ部34に、リンク機構41Aを設け、リンク機構41Aの被加圧部43が、通常は流体圧を受けて回動し、可動部37と口金106の開口端との間に間隙を形成するようにしているので、口金106周りの洗浄、または消毒が可能となる。一方、内視鏡101内の管路に詰まりが発生した場合は、ハウジング部35内に充満する内圧により可動部37が口金106側に押接された状態が維持されるため、口金106周りからの流体の漏出が制限される。その結果、流量センサ23により検束する流体の流量が極端に減少され、流量センサ23で計測した流量に基づいて管路詰まりを精度良く検出することができる。
又、圧縮ばね44にて可動部37が流体導出口35b側へ常時付勢されているため、内視鏡101に管路詰まりが発生した場合は、圧縮ばね44の付勢力で可動部37をいち早く口金106の開口端に押接させることができ、良好な応答性を得ることができる。但し、本実施形態では、圧縮ばね11の付勢力がなくても可動部37を口金106の開口端に押接させることができるため、圧縮ばね44は省略しても良い。
更に、可動部37の底面にシール部37bを設けることで、可動部37を口金106の開口端に密着させて、口金106周りからの漏出を確実に阻止することができる。但し、流量センサ23で計測する流量は、可動部37を口金106の開口端に密着させなくても極端に低下されるため、可動部37はシール部37bを省略して、隔壁部37aのみであっても良い。
[第2実施形態]
図10~図12に本発明の第2実施形態を示す。上述した第1実施形態による洗浄チューブ31は、例えば、リプロセスの工程を実行中に、内視鏡側コネクタ部34が口金106から外れた場合、循環管路21を流れる流体は制限を受けないため流量センサ23で計測した流量に基づいて、内視鏡側コネクタ部34の外れを検知することはできない。
これに対し、本実施形態では、内視鏡側コネクタ部34が口金106から外れた場合、内視鏡側コネクタ部34に設けた被加圧部43が流体導入口35aを閉塞するようにして、流量センサ23で計測した流量に基づいて内視鏡側コネクタ部34の外れを検知できるようにしたものである。尚、第1実施例と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態によるリンク機構41Bは、被加圧部43と第1リンク部51、第2リンク部52a、第3リンク部52bを有しており、第1リンク部51の一端が可動部37に開口されている開口部37cの内周に支持されている。又、第1リンク部51の他端が第2リンク部52aと第3リンク部52bとの枢支点に接続されている。第2、第3リンク部52a,52bはロック部として機能するレバーリンクであり、第2リンク部52aは、第3リンク部52bに接続支持されている部位から、流体導入口35aとは反対方向へ延在されて、ハウジング部35の内壁に支持されている。一方、第3リンク部52bは、第1リンク部52aと接続支持されている部位から、流体導入口35a方向へ延在されて、被加圧部43の背面下部に支持されている。又、被加圧部43の開口端縁には弾性部材43cが貼設されている。
尚、ハウジング部35の内壁は、ばね受部35cより下部の水平断面が円形に形成され、ばね受部35cの上部の水平断面が矩形に形成されており、流体導入口35aは矩形の平坦面に開口されている。
又、図10に示すように、第2、第3リンク部52a,52bが直線状に位置している状態(第1の状態)では、被加圧部43を背面から流体導入口35aの方向へ押圧し、被加圧部43の開口端縁に貼設されている弾性部材43cが流体導入口35aの外周の内壁に押し付けられて、被加圧部43の回動が封じられ、その状態で流体導入口35aを閉塞している。又、弾性部材43cは、直線状に位置している第2、第3リンク部52a,52bの各接続部分に生じるガタを弾性変形により吸収するものであり、これにより、被加圧部43は流体導入口35aの外周に位置ずれすることなく押し当てられている。
又、第1の状態では、可動部37のシール部37bが、鉤部36に形成されている係止部36aの上面に当接された第3の位置p3にあるため、第1リンク部51は流体導出口35b方向への移動が規制され、第1リンク部51に接続する第2、第3リンク部52a,52bは直線状態が維持されたロック状態となる。
このような構成では、図10に示すように、内視鏡側コネクタ部34が口金106に装着されていない状態、或いは口金106に装着後に外れた状態では、可動部37が圧縮ばね44の付勢力を受けて流体導出口35bの方向へ移動するため、可動部37の開口部37c内周に支持ピンを介して支持されている第1リンク部51が同方向へ移動し、第1リンク部51は第2、第3リンク部52a,52bを下方へ回動させる。
そして、可動部37のシール部37bが、鉤部36に形成されている係止部36aの上面に当接されると(第3の位置p3)、第2、第3リンク部52a,52bが直線状のロック状態となる。すると、被加圧部43の背面が第2、第3リンク部52a,52bによって流体導入口35aの方向へ押圧され、被加圧部43の開口端部に貼設されている弾性部材43cが流体導入口35aに押し付けられる(第1の状態)。
この状態で洗浄チューブ31のチューブ本体32側から流体が供給されると、流体は流体導入口35aを閉塞する被加圧部43の被加圧面43bに流体圧を印加するが、被加圧部43の背面は、直線状に延出する第2、第3リンク部52a,52bによって押圧されたロック状態にあるため、流体導入口35aの閉塞状態が維持され、流体の流量が制限される。
従って、循環管路21に介装されている流量センサ23(図2参照)で計測する流量は極端に低くなるため、流量に基づいて内視鏡側コネクタ部34の口金106に対する接続状態(接続後の外れ)を確認することができる。
又、口金106のフランジ部106bを内視鏡側コネクタ部34の下部に設けた鉤部36に装着すると、可動部37の底面が口金106の開口端にて上方へ押圧されて移動し、可動部37が第2の位置p2へ移動する。すると、可動部37に支持ピンを介して接続する第1リンク部51が同方向へ押圧され、第1リンク部51は第2、第3リンク部52a,52bの互いに接続されている支持部を上方へ押圧する。
その結果、第2、第3リンク部52a,52bの接続部位が上方移動してロックが解除され、これにより、第3リンク部52bが被加圧部43を背面方向へ引く。すると、被加圧部43は、上部ブラケット43aが吊下ブラケット35dに支持された状態で、図11の反時計回り方向へ回動し、流体導入口35aが開口される(第2の状態)。
そして、ハウジング部35内に洗浄チューブ31側から流体が導入されると、その流体圧が被加圧部43の被加圧面43bに印加され、被加圧部43は更に反時計回り方向へ回動した第3の状態となる。すると、被加圧部43により第3リンク部52bを押し上げ、第3リンク部52bに接続する第1リンク部51を介して可動部37が、圧縮ばね44の付勢力に抗して上方へ引かれる。その結果、図11に示すように、鉤部36の係止部36aと可動部37の底部との間に、口金106のフランジ部106bの高さh1(図7参照)よりも広い間隙s1が形成され、間隙s1を流れる流体により口金106周りの洗浄、または消毒が行われる。このときの可動部37の底面が、前述した第2の位置よりも流体導入口35a側にある第1の位置となる。
一方、内視鏡101内の管路に詰まりが発生すると、流体がハウジング部35内に滞留し、その内圧が高くなるため、可動部37が内圧と圧縮ばね44の付勢力を受けて押し下げられ、口金106の開口端に、底面に設けたシール部37bが当接し(第2の位置p2)、口金106周りからの流体の漏出を制限する。
その結果、循環管路21を流れる流体の流量が極端に低くなるため、循環管路21に介装されている流量センサ23で計測する流量に基づいて、内視鏡101内の管路詰まりを高い精度で検出することができる。
尚、このとき、可動部37の底面に設けたシール部37bが口金106の開口端に当接する第2の位置p2では、第1リンク部51が第2、第3リンク部52a,52bを介して被加圧部43を流体導入口35a側へ回動させる。その結果、図12に示すように、被加圧部43は、その開口端に貼設されている弾性部材43cと流体導入口35aとの開口面積が絞られた第2の状態となり、流体のハウジング部35内への流入が制限される。
このように、本実施形態によれば、内視鏡101の管路詰まりのみならず、内視鏡側コネクタ部34の口金106からの外れをも検知することができるため、内視鏡側コネクタ部34が口金106に正しく装着されているか否かを容易に確認することができ、高い信頼性を得ることができる。
[第3実施形態]
図13~図20に本発明の第3実施形態を示す。本実施形態では、内視鏡側コネクタ部34内にカムリンク機構41Cを配設し、カムリンク機構41Cにより口金106との間に間隙を形成し、或いは閉塞したりするようにしたものである。尚、第1実施形態と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
すなわち、図15に示すように、ハウジング部35内に設けたカムリンク機構41Cは、下部に円筒状可動部61を有し、円筒状可動部61の外周の対称な位置に、上下方向へ延在する凸状ガイド部61aが形成され、又、外周の対向する位置にカムスロット61bが形成されている。更に、カムスロット61bには、回転軸62の下端に設けた軸直交方向へ延出するカムピン63が挿通されている。又、回転軸62の上部には被加圧部64が固設されており、被加圧部64の一側に平板状に形成された被加圧面64aが形成されている。
一方、ハウジング部35内の下部には円筒状可動部61の上下方向への移動を許容するスペース35eが形成されていると共に、その外壁に円筒状可動部61の外周に形成した凸状ガイド部61aを上下方向へスライド自在に支持するガイド溝35fが形成されている。又、ハウジング部35内の上部に、回転方向に回動する被加圧面64aの回動を許容するガイドスペース35gが形成され、更に、図16に示すように、ガイドスペース35gに、被加圧面64aに掛止して、その初期位置を規制する係止端部35hが形成されている。
又、回転軸62であって被加圧部64の上方にばね部の一例であるトーションばね65が軸装され、トーションばね65の一端が被加圧面64aに掛止され、他端がハウジング部35の内壁に係止されている。尚、トーションばね65のばね圧は、ハウジング部35内に導入される流体の圧力よりも低い値に設定されている。
更に、回転軸62の上部がハウジング部35に挿通されて、回動自在に支持されていると共に上端がハウジング部35から突出され、その突出部分にEリング66が装着されて抜け止めされている。又、図15、図18に示すように、ハウジング部35の回転軸62を回動自在に支持する部位はシールリング67によってシールされている。
図16に示すように、トーションばね65は、回転軸62を、図の反時計回り方向に常時付勢しており、被加圧面64aの先端部がガイドスペース35gの反時計回り方向に形成した係止端部35hに掛止されて初期位置が規制されている。一方、図15、図16に示すように、流体導入口35aは、初期位置状態にある被加圧面64aに流体を直接衝突させるように、被加圧面64aに対して、ほぼ直交する対面方向に指向されている。
又、図15、図17に示すように、被加圧面64aが初期位置状態にあるとき円筒状可動部61の底面は、鉤部36に装着される口金106のフランジ部106bの開口端に当接する位置に設定されており、このときのカムピン63は、円筒状可動部61に形成したカムスロット61bの上部に挿通されている。従って、本実施形態では、円筒状可動部61に形成したカムスロット61bは、回転軸62が、図16の時計回り方向に回転するに従い、円筒状可動部61を上昇させる形状に形成されている。
このような構成では、図13に示すような内視鏡側コネクタ部34の下部に設けた鉤部36を、内視鏡101内の各管路に連通する開口部101aに設けた口金106のフランジ部106bに装着すると、図15に示すように、円筒状可動部61の下端がフランジ部106bの開口端に当接される。
そして、この状態で、洗浄チューブ31のチューブ本体32を経て流体をハウジング部35内に供給すると、ハウジング部35の流体導入口35aが、初期位置にある被加圧部64の被加圧面64aに対して、ほぼ直交する対面方向に指向されているため、流体は被加圧面64aに流体圧が印加される。すると、被加圧面64aがトーションばね65の付勢力に抗して、図16の時計回り方向へ押圧され、被加圧部64を一端に有する回転軸62が同方向へ回動する。すると、回転軸62の下部に突設されているカムピン63が、円筒状可動部61に形成したカムスロット61b内を同方向へ移動し、カムスロット61bを介して円筒状可動部61を上方へ移動させる。尚、円筒状可動部61は、その外周に形成した凸状ガイド部61aがハウジング部35の内壁に形成したガイド溝35fに上下方向への移動が許容された状態で挿通されているため回転移動することはない。
すると、図18~20に示すように、円筒状可動部61の底面が口金106のフランジ部106bの開口端から離間し、鉤部36に形成されている係止部36aと円筒状可動部61との間に、流体を流すスペースが形成され、スペースを流れる流体にて口金106周りが洗浄、または消毒される。又、口金106から管路内に流入する流体によって、管路内が洗浄、または消毒される。
一方、管路内に詰まりが発生していると、ハウジング部35内に流体が滞留するため、被加圧面64aに印加される流体圧は次第に低下する。そして、トーションばね65のばね圧が、被加圧面64aに印加される流体圧及び各摺動部位の摩擦抵抗による負荷を上回った場合、トーションばね65が回転軸62を、図19の反時計回り方向へ回動させ、被加圧面64aを、図16に示す初期位置に戻す。
すると、円筒状可動部61のカムスロット61bに挿通されているカムピン63が、円筒状可動部61をカムスロット61bを介して下方へスライドさせて、図15に示すように、その下端を口金106の開口端に当接させる。その結果、口金106周りからの流体の漏出が制限され、循環管路21に介装されている流量センサ23(図2参照)で計測する流量が極端に低下するため、流量に基づいて内視鏡101内の管路詰まりを高い精度で検出することができる。
このように、本実施形態によれば、円筒状可動部61を、流体圧を受けて回動する回転軸62に接続するカムリンク機構41Cを介して上下動させるようにしたので、内視鏡101の管路内の詰まりにより円筒状可動部61が口金106の上部に当接している状態では、円筒状可動部61が外部振動の影響を受けて上方向へ大きく移動してしまうことはなく、口金106の開口端と円筒状可動部61の底面との閉塞状態を維持することができる。尚、円筒状可動部61の底面に弾性部材を貼設して、口金106の開口端部との密着性を高めるようにしても良い。
本出願は、2014年7月16日に日本国に出願された特願2014-146201号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。