WO2016006337A1 - 酸化バナジウムを含有する焼結体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、酸化バナジウムを主成分とするセラミック材料およびガラス材料の混合物の焼結体であって、焼結体におけるセラミック材料の体積分率が60%以上であることを特徴とする焼結体を提供する。本発明の焼結体は、無電源で使用可能で、かつ冷却効率に優れた冷却デバイスとすることができる。
Description
本発明は、酸化バナジウムを主成分とするセラミック材料を含有する焼結体に関する。
近年の電子機器の性能向上を背景に、熱源となるCPU(中央処理装置)、パワーアンプ、FET(電界効果トランジスタ)、IC(集積回路)、ボルテージレギュレータなどの電子部品の数が増加し、投入されるエネルギーの増加も重なって、発熱の問題が顕著化している。特に、スマートフォンやタブレット型端末のようなモバイル機器では、この熱により、電池の容量が劣化するという問題がある。したがって、機器の内部の温度を、より高度に制御することが求められている。
上記のような熱源から生じた熱の制御は、既存の熱マネジメントソリューションである冷却ファン、ヒートパイプ、ヒートシンク、サーマルシート、ペルチェ素子などにより行われており、例えば、特許文献1には、ヒートシンクとファンまたはペルチェ素子を組み合わせた冷却装置が記載されている(特許文献1を参照)。
しかしながら、上記のようなヒートシンクとファンまたはペルチェ素子を組み合わせた冷却装置は、構造が比較的複雑であることに加え、機器が大きくなり、特にスマートフォンやタブレット型端末等の薄型の機器には使用しにくい。さらには、電力を消費するので、低消費電力(バッテリーの持ち時間)の観点からも不利である。
したがって、スマートフォンやタブレット型端末等の薄型の機器では、現状、温度の制御は、筺体を介する放熱による手段しかなく、熱源と筺体をサーマルシートなどで熱結合し熱を逃がしている。
上記のような筺体を介する放熱は、筺体の表面積が限られていることから、限界がある。したがって、各熱源の温度を測定し、温度が所定の温度以上になった場合に、CPUなどのパフォーマンスを制限する(発熱自体を抑制する)ことで対応している。即ち、筺体の温度上昇が、CPU等のパフォーマンスの妨げになっていることがある。当然、このような筐体を介した放熱、換言すれば機器全体への伝熱による放熱においては、バッテリーにも熱が伝わることになり、電池容量の経時的な低下に繋がっているともいえる。
そこで、本発明者らは、結晶構造相転移や磁気相転移等に伴い熱を吸収するセラミック材料を、電子機器の熱源付近に配置することにより、無電源で使用可能な冷却デバイスとすることを検討した。一般的に、このようなセラミック材料は、筐体内に設置するためにシート状またはブロック状に成形される。しかしながら、このような成形体は、その形状を維持するために約50体積%の樹脂と混合されるが、樹脂は冷却に寄与しないので、冷却デバイス全体としての吸熱効率を低下させる問題があることに気づいた。特に、設置スペースが限られるスマートフォンおよびタブレットPCのような小型機器では、高い吸熱効率が求められるのでこの問題は顕著になる。
したがって、本発明の目的は、無電源で使用可能で、かつ冷却効率に優れた冷却デバイスを提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解消すべく鋭意検討した結果、結晶構造相転移や磁気相転移等に伴い熱を吸収するセラミック材料を成形する際に、樹脂ではなくガラスを用いることにより、上記の問題を解決できることを見出し、本発明に至った。
本発明の第1の要旨によれば、酸化バナジウムを主成分とするセラミック材料およびガラス材料の混合物の焼結体が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、上記焼結体を含んで成る冷却デバイスが提供される。
本発明の第3の要旨によれば、上記冷却デバイスを有して成る電子部品が提供される。
本発明の第4の要旨によれば、上記冷却デバイスまたは上記電子部品を有して成る電子機器が提供される。
本発明によれば、表面に絶縁層を有する、結晶構造相転移や磁気相転移等に伴い熱を吸収するセラミック材料およびガラス材料の混合物を緻密化することにより、無電源で使用可能で、かつ冷却効率に優れた冷却デバイスを提供することができる。
本発明の焼結体中のセラミック材料は、60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の体積分率を有する。セラミック材料の体積分率を80%以上とすることにより、焼結体の吸熱量を大きくすることができる。ここに、体積分率とは、焼結体の見かけ体積(即ち、焼結体内部の空隙も含めた体積)の内、ある物質(ここでは、セラミック材料)が占める体積の割合を意味する。
本発明の焼結体は、80%以上の相対密度、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相対密度を有する。焼結体の相対密度が高いほど、焼結体中に含まれるセラミック材料の量が増大し、焼結体全体としての吸熱量が大きくなる。また、熱伝導性の低い空隙部が少なくなるので、焼結体の熱伝導性が高くなる。
ここに、相対密度とは、焼結体において構成成分(例えば、焼結体がセラミック材料およびガラス材料からなる場合は、セラミック材料およびガラス材料)が占める空間の割合を意味する。換言すれば、相対密度とは、焼結体中の空隙部を除く部分の割合を意味する。相対密度は、原料の密度およびその割合、ならびに得られた焼結体の密度から計算することができる。例えば、セラミック材料Aおよびガラス材料Bから焼結体Cを得た場合、下記式により相対密度を求めることができる。なお、焼結体Cの見かけ密度は、焼結体の見かけ体積(即ち、焼結体内部の空隙も含めた体積)と、その重量から計算することができる。例えば、焼結体が直方体である場合、焼結体の縦、横、厚みの寸法と重さから計算することができる。
相対密度(%)=Dc/(PA×DA+PB×DB)×100
DA:セラミック材料Aの密度
DB:ガラス材料Bの密度
DC:焼結体Cの見かけ密度
PA:セラミック材料Aの重量割合
PB:ガラス材料Bの重量割合
ただし、PA+PB=1
相対密度(%)=Dc/(PA×DA+PB×DB)×100
DA:セラミック材料Aの密度
DB:ガラス材料Bの密度
DC:焼結体Cの見かけ密度
PA:セラミック材料Aの重量割合
PB:ガラス材料Bの重量割合
ただし、PA+PB=1
本明細書において、焼結体とは、セラミック材料およびガラス材料の粉末混合物を熱処理することにより得られる塊を意味する。
本発明の焼結体は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相対密度を有する。焼結体の相対密度が高いほど、焼結体中に含まれるセラミック材料の量が増大し、焼結体としての吸熱量が大きくなる。
本発明に用いられるセラミック材料は、潜熱により熱を吸収するセラミック材料である。
このセラミック材料による熱の吸収は、潜熱を吸収することにより為される。このようなセラミック材料は、過剰な熱を潜熱により一時的に吸収することにより、時間的な熱の平滑化をすることで、高い冷却効果を得ることが可能になる。
上記セラミック材料としては、酸化バナジウムを主成分とするセラミック材料が好ましい。ここに、酸化バナジウムとは、VおよびOを含む物質を意味し、例えばVO2および他の原子がドープされたVO2が挙げられる。
ここに、主成分とは、セラミック材料中に50質量%以上含まれる成分を意味し、特に60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、例えば98.0~99.8質量%含むことを意味する。
上記セラミック材料は、好ましくは5J/g以上、より好ましくは20J/g以上の潜熱量を有する。このように大きな潜熱量を有することにより、より小さな体積で大きな冷却効果を発揮できるので、小型化の点で有利である。ここに、「潜熱」とは、物質の相が変化するときに必要とされる熱エネルギーの総量であり、本明細書においては、固体-固体の相転移、例えば電気・磁気・構造相転移に伴う吸発熱量の事をいう。
具体的なセラミック材料としては、特に限定されないが、例えば特開2010-163510号公報に記載のセラミック材料、具体的には、VO2、LiVS2、LiVO2、V2O3、V4O7、V6O11、AyVO2(式中、AはLiまたはNaであり、0.1≦y≦2.0、好ましくは0.5≦y≦1.0)、V1-xMxO2(式中、Mは、W、Ta、Mo、Nb、RuまたはReであり、0≦x≦0.2、好ましくは0≦x≦0.05)等が挙げられる。
好ましい態様において、上記酸化バナジウムは、V(バナジウム)およびM(ここに、Mは、W、Ta、MoおよびNbから選ばれる少なくとも一種である)を含む酸化物であって、VとMの合計を100モル部としたときのMの含有モル部が0モル部以上約5モル部以下、好ましくは1モル部以下である酸化物である。なお、Mは必須成分ではなく、Mの含有モル部は0であってもよい。
別の好ましい態様において、上記酸化バナジウムは、A(ここに、AはLiまたはNaである)およびV(バナジウム)を含む酸化物であって、Vを100モル部としたときのAの含有モル部が約50モル部以上約100モル部以下である酸化物である。
また、別の好ましい態様において、上記酸化バナジウムは、組成式:
V1-xMxO2
(式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、0≦x≦0.05)
または、組成式:
AyVO2
(式中、AはLiまたはNaであり、0.5≦y≦1.0)
で表される酸化バナジウムである。
V1-xMxO2
(式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、0≦x≦0.05)
または、組成式:
AyVO2
(式中、AはLiまたはNaであり、0.5≦y≦1.0)
で表される酸化バナジウムである。
より好ましい態様において、上記酸化バナジウムは、組成式:
V1-xWxO2
(式中、0≦x≦0.01)
で表される酸化バナジウムである。
V1-xWxO2
(式中、0≦x≦0.01)
で表される酸化バナジウムである。
別の好ましい態様において、上記酸化バナジウムは、Tiがドープされた酸化バナジウムまたはさらにW、Ta、MoおよびNbからなる群から選択される他の原子がドープされた酸化バナジウムであって、
他の原子がWである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく5モル部以下であり、
他の原子がTa、MoまたはNbである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく15モル部以下であり、
バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部は、2モル部以上30モル部以下である。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
他の原子がWである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく5モル部以下であり、
他の原子がTa、MoまたはNbである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく15モル部以下であり、
バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部は、2モル部以上30モル部以下である。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
好ましい態様において、上記のTiがドープされた酸化バナジウムは、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部が、5モル部以上10モル部以下であり得る。
別の好ましい態様において、上記酸化バナジウムは、
式:V1-x-yTixMyO2
[式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、
xは0.02以上0.3以下であり、
yは0以上であって、
MがWである場合、yは0.05以下であり、
MがTa、MoまたはNbである場合、yは0.15以下である。]
で表される酸化バナジウムである。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
式:V1-x-yTixMyO2
[式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、
xは0.02以上0.3以下であり、
yは0以上であって、
MがWである場合、yは0.05以下であり、
MがTa、MoまたはNbである場合、yは0.15以下である。]
で表される酸化バナジウムである。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
好ましくは、上記式中、xは、0.05以上0.1以下であり得る。
上記セラミック材料中の主成分以外の成分としては、VO2と酸素量の異なるVOx、具体的には、VO、V2O3、V2O5、V3O7、V4O7、V5O9、V6O11およびV6O13等が挙げられる。
酸化バナジウムの潜熱を示す温度、即ち、酸化バナジウムが相転移する温度は、添加(ドープ)する元素の添加量により調節することができる。
例えば、酸化バナジウムが、組成式:
V1-xWxO2
で示される場合、xを0.005とすると、相転移は約50℃で起こり、xを0.01とすると、相転移は約40℃で起こる。
V1-xWxO2
で示される場合、xを0.005とすると、相転移は約50℃で起こり、xを0.01とすると、相転移は約40℃で起こる。
上記酸化バナジウムが相転移する温度は、冷却対象物、冷却目的などに応じて適宜選択され、例えば冷却対象物がCPUである場合、昇温時20~100℃、好ましくは40~60℃で相転移することが好ましい。
上記セラミック材料は、粒子(粉末)状であることが好ましい。セラミック材料のコア部の平均粒径(D50:体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、累積値が50%となる点の粒径)は、特に限定されないが、例えば、0.1~数百μm、具体的には0.1~900μm、代表的には約0.2~50μmであり、好ましくは、0.5~50μmである。かかる平均粒径は、レーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置または電子走査顕微鏡を用いて測定することができる。平均粒径は、取り扱いの容易性の観点から、0.2μm以上であることが好ましく、より緻密に成形できるという観点から、50μm以下であることが好ましい。
本発明に用いられるガラス材料は、特に限定されないが、軟化点が低いガラスが好ましい。
ガラス材料の軟化点は、セラミック材料(好ましくはVO2)が化学的な変質(例えば、酸化)を実質的に起こさない温度範囲であることが好ましく、具体的には、500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。ガラス材料の軟化点をこのような温度範囲とすることにより、セラミック材料およびガラス材料の混合物を緻密化する際に、セラミック材料の性質(特に、吸熱温度および吸熱量)が変化することを抑制することができる。尚、ガラス材料の軟化点の下限は、本発明の焼結体(冷却デバイス)が設置される環境の温度よりも高ければよく、例えば150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上であればよい。なお、ガラス材料の軟化点は、示差熱分析法(DTA)により測定することができる。
ガラス材料の例としては、特に限定されないが、Bi-B-O系ガラス、V-P-O系ガラス、Sn-P-O系ガラス、V-Te-O系ガラスが挙げられる
セラミック材料とガラス材料の混合比は、特に限定されないが、重量比で、好ましくは60:40~98:2の範囲であり、より好ましくは80:20~95:5の範囲であり、より好ましくは90:10~95:5の範囲である。即ち、セラミック材料とガラス材料の合計に対するガラス材料の割合が、2~40質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらにより好ましい。セラミック材料とガラス材料の合計に対するガラス材料の割合を、40質量%以下とすることにより、焼結体中のセラミック材料の割合が増えるので、焼結体の吸熱量を大きくすることができる。また、ガラス材料の割合を2質量%以上とすることにより、セラミック材料の粒子同士の結合をより強固にすることができ、焼結体の強度を高めることができる。
本発明の焼結体は、セラミック材料およびガラス材料の混合物を熱処理することにより得ることができる。従って、本発明は、本発明の焼結体の製造方法であって、セラミック材料およびガラス材料の混合物を熱処理することを含む方法を提供する。
本発明の製造方法において、好ましくは、熱処理の前に、粒子状のセラミック材料およびガラス材料を混合し、所望の形状に仮成形してもよい。仮成形の方法は、特に限定されないが、例えば、圧縮により成形する方法、バインダー樹脂と混合してから成形する方法等が挙げられる。
熱処理の温度は、ガラス材料の軟化点以上、セラミック材料中の酸化バナジウムが実質的に変質しない温度以下、例えば酸化バナジウムの価数が実質的に変化しない温度以下であることが好ましい。例えば、加熱温度は、300℃~700℃の範囲であり得る。
好ましくは、熱処理は、セラミック材料中の酸化バナジウムが実質的に変質しない雰囲気下、例えば酸化バナジウムの価数が実質的に変化しない(換言すれば、実質的に酸化・還元しない)雰囲気下で行われる。熱処理雰囲気は、熱処理の温度に応じて適宜選択することができ、例えば、300℃~700℃の範囲では、酸化バナジウムの酸化を防止する為に、還元雰囲気下、例えば窒素と水素の混合雰囲気であり得る。また、温度が低い場合、例えば300℃未満である場合は、酸化バナジウムの酸化は生じにくいので、大気下で加熱してもよい。
加熱時間は、特に限定されないが、0.1~10時間であり得る。
本発明の方法によれば、非常に緻密化され、セラミック材料の体積分率が大きな焼結体を得ることができる。いかなる理論によっても拘束されないが、このような緻密な焼結体は以下の理由により得られると考えられる。セラミック材料およびガラス材料の混合物を熱処理すると、ガラス材料が軟化する。軟化したガラスは、その表面自由エネルギーを減少させるために周囲のセラミック材料の粒子を引き寄せ、その結果、セラミック材料の粒子間の距離が小さくなり、空隙が少なくなる。このようにして得られた焼結体は、焼結体中に占めるセラミック材料(即ち、酸化バナジウム)の割合が大きくなり、吸熱量が向上する。
本発明は、上記焼結体を含む冷却デバイスを提供する。
本発明の冷却デバイスの形状は、特に限定されず、任意の形状とすることができる。
一の態様において、本発明の冷却デバイスは、ブロック状であり得る。ブロック状とすることにより、全体の体積が大きくなり、より多くの熱を吸収することができる。また、別の態様において、本発明の冷却デバイスは、シート状であり得る。シート状とすることにより、表面積が増加するので、吸収した熱を外部に放出しやすくなる。
本発明の冷却デバイスは、他の部材、例えば冷却デバイスを保護する保護カバー、伝熱性を高めるための金属等の熱伝導性部、絶縁性を確保するための絶縁性シート、電子機器に設置するための部材(例えば、粘着シート、ピン、爪等)などを有していてもよい。
本発明は、本発明の冷却デバイスを有する電子部品および電子機器をも提供する。
電子部品としては、特に限定するものではないが、例えば、中央処理装置(CPU)、パワーマネージメントIC(PMIC)、パワーアンプ(PA)、トランシーバーIC、ボルテージレギュレータ(VR)などの集積回路(IC)、発光ダイオード(LED)、白熱電球、半導体レーザーなどの発光素子、電界効果トランジスタ(FET)などの熱源となり得る部品、および、その他の部品、例えば、基板、ヒートシンク、筐体等の電子機器に一般的に用いられる部品が挙げられる。
電子機器としては、特に限定するものではないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型端末等が挙げられる。
実施例1
セラミック原料として、VO2(密度:4.3g/cc、D50:5μm)を用いた。ガラス材料として、ガラス粉末(組成:Sn-P-O、密度:3g/cc、D50:5μm)を用いた。このVO2とガラス材料を、アクリル系樹脂(密度:1g/cc)および水と混合してスラリー化し、ドクターブレード法でポリエチレンテレフタラート(PET)製のキャリアフィルム上にシート状に成形した。VO2とガラス粉末とアクリル系樹脂の混合比率は、重量比で95/5/20とした。得られたシートを、厚さ1mmになるように積層し、プレス圧着して、所定サイズ(20mm×20mm)にカットした。これを300℃まで空気中で加熱して脱脂し、さらにN2とH2雰囲気下で500℃まで加熱して、1時間保持し、実施例1の緻密な成形体(焼結体)を得た。成形体の密度は4.1g/cc、相対密度は97%、VO2の体積分率は90%であった。
セラミック原料として、VO2(密度:4.3g/cc、D50:5μm)を用いた。ガラス材料として、ガラス粉末(組成:Sn-P-O、密度:3g/cc、D50:5μm)を用いた。このVO2とガラス材料を、アクリル系樹脂(密度:1g/cc)および水と混合してスラリー化し、ドクターブレード法でポリエチレンテレフタラート(PET)製のキャリアフィルム上にシート状に成形した。VO2とガラス粉末とアクリル系樹脂の混合比率は、重量比で95/5/20とした。得られたシートを、厚さ1mmになるように積層し、プレス圧着して、所定サイズ(20mm×20mm)にカットした。これを300℃まで空気中で加熱して脱脂し、さらにN2とH2雰囲気下で500℃まで加熱して、1時間保持し、実施例1の緻密な成形体(焼結体)を得た。成形体の密度は4.1g/cc、相対密度は97%、VO2の体積分率は90%であった。
比較例1
上記VO2と、アクリル系樹脂(密度:1g/cc)および水を混合してスラリー化し、ドクターブレード法でPET製のキャリアフィルム上にシート状に成形した。VO2とアクリル系樹脂の混合比率は、重量比で100/20とした。得られたシートを厚さ0.5mmになるように積層とプレス圧着を行い、所定サイズ(10mm×10mm)にカットして、比較例1の成形体(圧着体)を得た。成形体の密度は1.6g/cc、相対密度は71%、VO2の体積分率は38%であった。
上記VO2と、アクリル系樹脂(密度:1g/cc)および水を混合してスラリー化し、ドクターブレード法でPET製のキャリアフィルム上にシート状に成形した。VO2とアクリル系樹脂の混合比率は、重量比で100/20とした。得られたシートを厚さ0.5mmになるように積層とプレス圧着を行い、所定サイズ(10mm×10mm)にカットして、比較例1の成形体(圧着体)を得た。成形体の密度は1.6g/cc、相対密度は71%、VO2の体積分率は38%であった。
比較例2
上記VO2と、アクリル系樹脂(密度:1g/cc)および水を混合してスラリー化し、ドクターブレード法でPET製のキャリアフィルム上にシート状に成形した。VO2とアクリル系樹脂の混合比率は、重量比で95/5とした。得られたシートを厚さ0.5mmになるように積層とプレス圧着を行い、所定サイズ(10mm×10mm)にカットして、比較例2の成形体(圧着体)を得た。成形体の密度は2.1g/cc、相対密度は59%、VO2の体積分率は49%であった。
上記VO2と、アクリル系樹脂(密度:1g/cc)および水を混合してスラリー化し、ドクターブレード法でPET製のキャリアフィルム上にシート状に成形した。VO2とアクリル系樹脂の混合比率は、重量比で95/5とした。得られたシートを厚さ0.5mmになるように積層とプレス圧着を行い、所定サイズ(10mm×10mm)にカットして、比較例2の成形体(圧着体)を得た。成形体の密度は2.1g/cc、相対密度は59%、VO2の体積分率は49%であった。
実施例1の成形体をダイシングカット機で所定サイズ(10mm×10mm)にカットして、厚さ0.5mmになるように研削加工を行った。この実施例1の成形体と比較例1および比較例2の成形体の表面に板状のヒーターを接触させ、ヒーターの反対面に熱電対を固定した。ヒーターを1Wの電力で加熱して、加熱開始から80℃に達するまでの時間を比較した。
実施例1の成形体では800秒であったのに対し、比較例1の成形体では160秒であった。また、比較例2の成形体では250秒であった。
上記の結果から、VO2とガラス粉末から形成された本発明の実施例1は、VO2と樹脂から形成された比較例1よりも、温度の上昇を緩和することができることが確認された。これは、実施例1のVO2の体積分率が90%であったのに対し、比較例1では38%と比較例2では49%であり、吸熱量に大きな差があるためと考えられる。また、比較例1および比較例2では、相対密度が71%および59%と低く、即ち、空気の体積分率が29%および41%もあるので、これによりヒーターの熱が成形体全体に伝わりにくく、吸熱に寄与できないVO2が多く存在するためと考えられる。
本発明の冷却デバイスは、例えば、熱対策問題が顕著化している小型通信端末の冷却デバイスとして利用することができる。
Claims (21)
- 酸化バナジウムを主成分とするセラミック材料およびガラス材料の混合物の焼結体であって、焼結体におけるセラミック材料の体積分率が60%以上であることを特徴とする焼結体。
- 焼結体におけるセラミック材料の体積分率が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の焼結体。
- 焼結体の相対密度が80%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の焼結体。
- 焼結体の相対密度が90%以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の焼結体。
- 酸化バナジウムが、バナジウムVおよびM(ここに、Mは、W、Ta、MoおよびNbから選ばれる少なくとも一種である)を含む酸化物であって、VとMの合計を100モル部としたときのMの含有モル部が0モル部以上約5モル部以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の焼結体。
- 酸化バナジウムが、A(ここに、AはLiまたはNaである)およびバナジウムVを含む酸化物であって、Vを100モル部としたときのAの含有モル部が約50モル部以上約100モル部以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の焼結体。
- 酸化バナジウムが、式:
V1-xMxO2
(式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、xは、0以上0.05以下である)
または、式:
AyVO2
(式中、Aは、LiまたはNaであり、yは、0.5以上1.0以下である)
で表される1種またはそれ以上の材料を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の焼結体。 - 酸化バナジウムが、Tiがドープされた酸化バナジウムまたはさらにW、Ta、MoおよびNbからなる群から選択される他の原子がドープされた酸化バナジウムであって、
他の原子がWである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく5モル部以下であり、
他の原子がTa、MoまたはNbである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく15モル部以下であり、
バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部は、2モル部以上30モル部以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の焼結体。 - バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部が、5モル部以上10モル部以下であることを特徴とする、請求項8に記載の焼結体。
- 酸化バナジウムが、式:
V1-x-yTixMyO2
[式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、
xは0.02以上0.3以下であり、
yは0以上であって、
MがWである場合、yは0.05以下であり、
MがTa、MoまたはNbである場合、yは0.15以下である。]
で表される酸化バナジウムであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の焼結体。 - xが0.05以上0.1以下であることを特徴とする、特徴とする、請求項10に記載の焼結体。
- セラミック材料の平均粒径が、0.1~50μmであることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の焼結体。
- ガラス材料が、軟化点が500℃以下である低融点ガラスであることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の焼結体。
- ガラス材料が、Bi-B-O系ガラス、V-P-O系ガラス、Sn-P-O系ガラス、V-Te-O系ガラスであることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の焼結体。
- セラミック材料とガラス材料の重量比が、60:40~98:2であることを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の焼結体。
- セラミック材料とガラス材料の重量比が、80:20~95:5であることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の焼結体。
- 請求項1~16のいずれかに記載の焼結体の製造方法であって、
セラミック材料およびガラス材料の混合物を熱処理すること、
を含む方法。 - 熱処理の温度が、ガラス材料の軟化点以上、酸化バナジウムが実質的に酸化しない温度であることを特徴とする、請求項17に記載の製造方法。
- 請求項1~16のいずれかに記載の焼結体を含んで成る冷却デバイス。
- 請求項19に記載の冷却デバイスを有して成る電子部品。
- 請求項19に記載の冷却デバイスまたは請求項20に記載の電子部品を有して成る電子機器。
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Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2021070846A (ja) * | 2019-10-30 | 2021-05-06 | 株式会社高純度化学研究所 | Vo2焼結体の製造方法およびvo2焼結体スパッタリングターゲット |
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- 2015-05-25 WO PCT/JP2015/064946 patent/WO2016006337A1/ja not_active Ceased
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| JP7106138B2 (ja) | 2019-10-30 | 2022-07-26 | 株式会社高純度化学研究所 | Vo2焼結体の製造方法およびvo2焼結体スパッタリングターゲット |
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