WO2014162605A1 - 移動体 - Google Patents

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善康 高瀬
山口 剛
飛 趙
健太朗 猪又
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株式会社安川電機
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D57/00Vehicles characterised by having other propulsion or other ground- engaging means than wheels or endless track, alone or in addition to wheels or endless track
    • B62D57/02Vehicles characterised by having other propulsion or other ground- engaging means than wheels or endless track, alone or in addition to wheels or endless track with ground-engaging propulsion means, e.g. walking members
    • B62D57/022Vehicles characterised by having other propulsion or other ground- engaging means than wheels or endless track, alone or in addition to wheels or endless track with ground-engaging propulsion means, e.g. walking members consisting of members having both rotational and walking movements

Abstract

 実施形態に係る移動体にあっては、主車輪(21)と、アーム(22)と、副車輪(23)と、制御部(30)とを備える。主車輪(21)は、移動本体部(10)に回転可能に取り付けられる。アーム(22)は、移動本体部(10)に揺動可能に取付けられ、揺動中心軸(22c)が主車輪(21)の回転中心軸(21c)に対してオフセットされる。副車輪(23)は、アーム(22)の先端部(22d)に回転可能に取り付けられる。制御部(30)は、路面(B)の状態に応じてアーム(22)の動作を制御し、副車輪(23)を路面(B)に接地させる。

Description

移動体
 開示の実施形態は、移動体に関する。
 従来、車輪を用いた移動機構を備え、車輪で路面を走行して移動する移動体(例えば移動ロボットなど)が知られている。このような移動体は、例えば工場や研究所、オフィスといった様々な場所で、物を運搬したり、ゲストを案内したりといった多様な用途に用いられる。
 移動体が走行する路面の状態は平坦とは限られず、例えばケーブルの配線や作業レイアウトの都合などから路面に段差があることも多い。そして、かかる段差の高さによっては、車輪を用いた移動機構がこれを乗り越えるのが難しいこともある。
 そこで、段差による制限を受けることなく移動することができる移動機構、例えば無限軌道(クローラ)を備えた移動体や、本体に設けられた伸縮自在な脚部の先に車輪を有する脚車輪機構を備えた移動体が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平11-59515号公報
 しかしながら、上記した無限軌道や脚車輪機構のような移動機構を備えた移動体にあっては、構成が複雑になるとともに、大型化してしまうという点で改善の余地があった。また、脚車輪機構などの複雑な機構は、単に車輪を用いた移動機構に比して、平常走行時の移動に多くの動力を要し、走行効率が低下するおそれがあった。
 実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、走行効率を維持しつつ、小型でかつ簡素な構成で路面の段差を乗り越えることができる移動体を提供することを目的とする。
 実施形態の一態様に係る移動体は、主車輪と、アームと、副車輪と、制御部とを備える。主車輪は、移動本体部に回転可能に取り付けられる。アームは、前記移動本体部に揺動可能に取付けられ、揺動中心軸が前記主車輪の回転中心軸に対してオフセットされる。副車輪は、前記アームの先端部に回転可能に取り付けられる。制御部は、路面の状態に応じて前記アームの動作を制御し、前記副車輪を路面に接地させる。
 実施形態の一態様によれば、移動体において、走行効率を維持しつつ、小型でかつ簡素な構成で路面の段差を乗り越えることができる。
図1は、実施形態に係る移動ロボットを示す模式側面図である。 図2は、図1に示す移動ロボットにおいてカバーを取り外した状態を示す模式斜視図である。 図3は、図2に示す移動ロボットの模式平面図である。 図4は、移動ロボットの模式側面図である。 図5は、図2に示す主車輪、アーム、副車輪および第1動力伝達機構などを取り出して示す模式斜視図である。 図6は、移動ロボットを構成する各要素を模式的に示す模式側面図である。 図7Aは、移動ロボットを模式的に示す模式側面図である。 図7Bは、移動ロボットを模式的に示す模式側面図である。 図7Cは、移動ロボットを模式的に示す模式側面図である。 図8は、移動ロボットの構成を示すブロック図である。 図9は、図8に示す段差乗り越え制御部の構成を示すブロック図である。 図10は、移動ロボットの段差乗り越え処理手順を示すフローチャートである。 図11は、位置補正・段差高さ取得処理の概要を示すフローチャートである。 図12は、移動ロボットの模式平面図である。 図13Aは、移動ロボットの模式平面図である。 図13Bは、移動ロボットの模式平面図である。 図14Aは、移動ロボットの模式平面図である。 図14Bは、移動ロボットの模式平面図である。 図14Cは、移動ロボットの模式平面図である。 図15は、移動ロボットの模式側面図である。 図16は、アーム振り下げ処理の概要を示すフローチャートである。 図17は、移動ロボットを示す模式側面図である。 図18は、移動ロボットを示す模式側面図である。 図19は、移動ロボットを示す模式側面図である。 図20は、アーム振り上げ処理の概要を示すフローチャートである。 図21は、移動ロボットを示す模式側面図である。
 以下、添付図面を参照して、本願の開示する移動体の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
 また、以下に示す実施形態では、移動体が、車輪を用いる移動機構を備えた移動ロボットであるものとして説明を行う。
 図1は、実施形態に係る移動ロボット1を示す模式側面図である。また、図2は図1に示す移動ロボット1においてカバー(後述)を取り外した状態を示す模式斜視図であり、図3は図2に示す移動ロボット1の模式平面図である。
 なお、説明を分かり易くするために、図1には、鉛直上向きを正方向とし、鉛直下向きを負方向とするZ軸、紙面における左右方向をX軸、紙面手前から奥方向をY軸とした3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、図2,3および後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。
 なお、本実施形態の説明において、移動ロボット1は、X軸の正方向を進行方向Aとして移動するものとする(図1参照)。また、以下において左右あるいは前後などの記載は、移動ロボット1の進行方向Aに対する左右方向あるいは前後方向を意味する。
 図1に示すように、移動ロボット1は、移動本体部10と、移動部20と、制御部30とを備える。移動本体部10は、フレーム11と、カバー12(図1にのみ示す)とを備える。フレーム11は、図2,3によく示すように、例えば略直方体形状に形成されるとともに、鉛直方向において上面と下面とが開口される。
 カバー12は、詳細な図示は省略するが、例えば中空の略直方体形状に形成され、鉛直方向において下面が開口される。カバー12は、下面の開口部分がフレーム11の上面の開口部分に合わさるようにしてフレーム11に取り付けられる。
 これにより、移動本体部10の内側に内部空間13が形成されることとなり、そこには制御部30や後述する各種モータなどが収納される。なお、上記したフレーム11やカバー12の形状は例示であって限定されるものではなく、例えば立方体形状や円盤形状などであってもよい。また、フレーム11において下面を開口するようにしたが、例えば下面の開口を底板などで塞ぎ、粉塵などが内部空間13に侵入するのを防止するように構成してもよい。
 移動部20は、主車輪21と、アーム22と、副車輪23とを備える。本実施形態に係る移動ロボット1にあっては、前側のアーム22を動作させて副車輪23を路面Bにある段差Cの段差面C1に乗せ、さらにその副車輪23を押し下げて移動本体部10を持ち上げつつ前進することで、段差Cを乗り越えるようにしている。また、移動本体部10を持ち上げる際、後側のアーム22を振り下げて副車輪23を路面Bに接地させ、さらにその副車輪23を押し下げることで、移動本体部10の姿勢を水平に保ちつつ、段差Cを乗り越えるようにしている。
 以下詳説すると、主車輪21は、進行方向Aにおいて移動本体部10の前方の左右側面、および後方の左右側面にそれぞれ回転可能に取り付けられる。なお、以下においては、移動本体部10の前方の一対の主車輪21を「前輪21f」、後方の一対の主車輪21を「後輪21b」という場合もある。
 主車輪21には、それぞれ1対1で対応付けられた駆動用モータ(駆動源)24が接続される。駆動用モータ24の駆動力は対応する主車輪21へ伝達され、主車輪21は正転方向あるいは逆転方向へ回転駆動する。
 したがって、主車輪21はいずれも駆動輪として機能し、それぞれが独立して駆動する。そのため、例えば駆動用モータ24による主車輪21の回転速度を左右で異ならせることで、移動本体部10の進行方向Aの向きを変えることもできる。上記した駆動用モータ24は、移動本体部10の内部に収納される。
 上記の如く、移動ロボット1の移動部20は、四輪駆動方式を採っている。なお、移動部20は、四輪駆動方式でなくともよく、例えば、前後輪1輪ずつの二輪駆動方式や、前2輪、後ろ1輪などの三輪駆動方式であってもよい。
 ここで、駆動用モータ24のそれぞれは、移動本体部10に収納された制御部30によって個別に制御される。なお、制御部30の配置位置は図示した例に限られるものではなく、例えば、移動ロボット1とは分離され、無線通信などを介して遠隔制御を行うように配置されてもよい。制御部30の構成の詳細については、図8を用いて後述する。
 また、図1などで図示を省略するが、駆動用モータ24には、それぞれエンコーダ25(図8参照)が取り付けられる。エンコーダ25から出力された、駆動用モータ24の回転量や回転角度を示すエンコーダ値は、制御部30へ出力される。
 アーム22は、長尺の板状に形成され、その内部は中空とされる。また、アーム22は、基端部22a(図1参照)が、進行方向Aにおいて移動本体部10の前方の左右側面、および後方の左右側面にそれぞれ揺動可能に取り付けられる。また、アーム22はそれぞれ、上記した主車輪21に対応するような位置に取り付けられる。なお、以下においては、移動本体部10の前方の一対のアーム22を「前アーム22f」、後方の一対のアーム22を「後アーム22b」という場合もある。
 ここで、アーム22の取り付け位置について図4を参照しつつ説明する。図4は、移動ロボット1の模式側面図である。なお、図4では、説明を分かりやすくする観点から、アーム22を直線で表すなどして、移動ロボット1をごく模式的に示している。
 図4に示すように、アーム22は、揺動中心軸22cが主車輪21の回転中心軸21cに対してオフセットされて、移動本体部10に取り付けられる。詳しくは、アーム22の揺動中心軸22cは、主車輪21の回転中心軸21cよりも鉛直方向(Z軸方向)において下方にオフセットされる。
 具体的には、主車輪21の直径をD、主車輪21の回転中心軸21cから揺動中心軸22cまでの鉛直下向き方向におけるオフセット量をDとした場合、オフセット量Dは、例えばD/2よりも小さい値に設定される。また、好ましくはオフセット量Dは、例えばD/4に設定される。
 また、アーム22の揺動中心軸22cは、側面視において主車輪21の回転中心軸21cよりも移動本体部10の端面側にオフセットされる。具体的には、前アーム22fは、揺動中心軸22cが、主車輪21の回転中心軸21cよりも移動本体部10の前面10f側にオフセットされる。他方、後アーム22bは、揺動中心軸22cが、主車輪21の回転中心軸21cよりも移動本体部10の後面10b側にオフセットされる。
 また、回転中心軸21cから揺動中心軸22cまでのオフセット距離をDとした場合、オフセット距離Dは、例えばD/2よりも小さい値に設定される。また、好ましくはオフセット距離Dは、例えばD/4に設定される。なお、上記では、オフセット量Dおよびオフセット距離Dを具体的に示したが、これはあくまでも例示であって、限定されるものではない。
 上記のように、アーム22の揺動中心軸22cが主車輪21の回転中心軸21cに対してオフセットされることから、アーム22が揺動するためのスペース(破線E1で示す)を減少させることができ、結果として移動ロボット1を小型化することができる。
 すなわち、移動ロボット1は、後述するように、例えば段差Cを乗り越えた後にも、後アーム22bの後副車輪23b(後述)が、段差Cの進行方向手前側の路面Bに接地される。そのため、後アーム22bの長さはそのような場面に対応できるような値に設定される。同様に、移動ロボット1が例えば段差Cを降りる場合も、前アーム22fの前副車輪23f(後述)が先に段差Cの下側の路面Bに接地されるため、前アーム22fの長さはそのような場面に対応できるような値に設定される。
 したがって、図4に想像線で示す如く、例えば仮にアームの揺動中心軸が、主車輪21の回転中心軸21cと同軸であった場合、段差Cの昇降時に副車輪23を路面Bに接地させるには、アームの長さを、オフセットされたアーム22に比して長くする必要が生じる。その場合のアームが揺動するためのスペースは、破線E2で示すような大きさとなる。
 これに対し、本実施形態におけるアーム22にあっては、揺動回転軸22cが主車輪21の回転中心軸21cに対してオフセットされることから、アーム22の揺動スペースE1を、同軸とされた場合のアームの揺動スペースE2に比して小さくすることができる。特に、アーム22を振り上げたときの揺動スペースE1をE2に比して小さくすることができる。よって、結果的に高い段差乗り越え性能を維持しつつ、移動ロボット1を小型化することができる。
 また、移動ロボット1は、平常走行時には主車輪21を駆動して移動するため、例えば脚車輪機構などの複雑な移動機構を備えた移動ロボットに比して、走行効率を維持しつつ、簡素な構成で路面Bの段差Cを乗り越えることができる。
 アーム22の説明を続けると、アーム22は、図3に示すように、Z軸方向視(上面視)において移動本体部10の側面と主車輪21との間に配置される。
 アーム22には、それぞれ1対1で対応付けられたアーム用モータ26が第1動力伝達機構27(図1で見えず)を介して接続される。アーム用モータ26のそれぞれは、駆動用モータ24と同様、制御部30によって個別に制御される。
 アーム用モータ26は、図3に示すように、本体部26aの一部が移動本体部10の外側に露出するようにして、移動本体部10の側面に固定される。このとき、アーム用モータ26の本体部26aにおける出力側は、移動本体部10の内部空間13に位置される。また、第1動力伝達機構27は、移動本体部10の内部に収納される。
 図5は、図2に示す主車輪21、アーム22、副車輪23および第1動力伝達機構27などを取り出して示す模式斜視図である。なお、図5では、進行方向Aにおいて移動本体部10の右前方の主車輪21(前輪21f)やアーム22(前アーム22f)などを示している。以下では、図5に基づいてアーム22や第1動力伝達機構27などの構成を説明するが、移動本体部10の前後左右に設けられるアーム22などは略同一の構成であるため、以下の説明は、移動本体部10の左前方や後方に設けられるアーム22などにも妥当する。
 図5に示すように、第1動力伝達機構27は、駆動プーリ27aと、従動プーリ27bと、中間軸27cと、第1ベルト27d1と、第2ベルト27d2とを備える。駆動プーリ27aは、アーム用モータ26の出力軸(図示せず)に接続される。
 従動プーリ27bは、アーム22の基端部22aに接続される。このとき、従動プーリ27bは、移動本体部10の側面に穿設された挿通孔(図示せず)を通って、アーム22の基端部22aに接続される。したがって、アーム22は、移動本体部10の外側に位置され、従動プーリ27bは、移動本体部10の内側(内部空間13)に位置されることとなる。
 中間軸27cは、移動本体部10に回転可能に支持される。また、中間軸27cは、一端に第1中間プーリ27c1が設けられる一方、他端に第2中間プーリ27c2が設けられる。上記した駆動プーリ27aと、従動プーリ27bと、中間軸27cの第1、第2中間プーリ27c1,27c2とは、互いの回転中心軸が略平行とされる。
 なお、上記した「平行」や後述する「水平」などの語句は、必ずしも数学的に厳密な精度を必要とするものではなく実質的な公差や誤差などについては許容されるものである。
 第1ベルト27d1は、駆動プーリ27aおよび第1中間プーリ27c1に巻き掛けられる。また、第2ベルト27d2は、第2中間プーリ27c2および従動プーリ27bに巻き掛けられる。
 これにより、アーム用モータ26の駆動力は、駆動プーリ27a、第1ベルト27d1を介して中間軸27cの第1中間プーリ27c1へ伝達され、中間軸27cが回転される。そして、中間軸27cの回転に伴って第2中間プーリ27c2も回転し、その回転力は、第2ベルト27d2、従動プーリ27bを介してアーム22へ伝達され、よってアーム22は揺動中心軸22c回りに揺動させられる。
 したがって、各プーリの直径を適宜に設定することで、アーム用モータ26の回転駆動力を第1動力伝達機構27で減速して、アーム22へ伝達することができる。具体的に例えば、駆動プーリ27aの直径を第1中間プーリ27c1のそれよりも小さくし、第2中間プーリ27c2の直径を従動プーリ27bのそれよりも小さく設定するなどして、第1動力伝達機構27を減速機構として機能させる。
 なお、上記ではアーム用モータ26の回転駆動力を第1動力伝達機構27で減速するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば減速させずに、あるいは増速させてアーム22へ伝達するようにしてもよい。
 また、アーム22同士は、互いに異なるアーム用モータ26が接続されることから、それぞれが独立して駆動することができる。したがって、例えば高さSが左右で相違する段差Cであっても、左右の前アーム22fの動作をその高さSに応じて個別に制御することで、それぞれの前副車輪23fを段差Cの段差面C1に乗せて、段差Cを乗り越えることも可能となる。
 また、図1などで図示を省略するが、アーム用モータ26には、それぞれエンコーダ28(図8参照)が取り付けられる。エンコーダ28から出力された、アーム用モータ26の回転量や回転角度を示すエンコーダ値は、制御部30へ入力される。
 副車輪23は、アーム22の先端部22dに回転自在に取り付けられる。副車輪23は、図3に示すように、Z軸方向視(上面視)においてアーム22と主車輪21との間に配置される。なお、以下においては、移動本体部10の前方の一対の副車輪23を「前副車輪23f」、後方の一対の副車輪23を「後副車輪23b」という場合もある。
 また、アーム22および副車輪23は、図1に示すように、アーム22が振り上げられて、副車輪23が路面Bから離間した位置を「初期位置」として設定される。そして、副車輪23は、後述の如く、移動ロボット1が段差Cを昇降する動作を行う場合に、アーム22が振り下げられ路面Bに接地するように構成される。
 図5に示すように、副車輪23には、それぞれ対応する主車輪21用の駆動用モータ24が第2動力伝達機構29を介して接続される。第2動力伝達機構29は、移動本体部10の外側に配置され、その一部はアーム22の内部の中空部分に位置される。
 具体的に第2動力伝達機構29は、駆動プーリ29aと、従動プーリ29bと、中間軸29cと、第1ベルト29d1と、第2ベルト29d2とを備える。駆動プーリ29aは、主車輪21の車軸21dを介して駆動用モータ24の出力軸(図示せず)に接続される。
 従動プーリ29bは、副車輪23の車軸23dに接続される。また、従動プーリ29bは、アーム22の内部の中空部分に位置される。
 中間軸29cは、移動本体部10に回転可能に支持される。また、中間軸29cは、一端に第1中間プーリ29c1が設けられ、他端に第2中間プーリ29c2が設けられる。中間軸29cの第2中間プーリ29c2は、従動プーリ29bと同様、アーム22の内部の中空部分に位置される。上記した駆動プーリ29aと、従動プーリ29bと、中間軸29cの第1、第2中間プーリ29c1,29c2とは、互いの回転中心軸が略平行とされる。
 第1ベルト29d1は、駆動プーリ29aおよび第1中間プーリ29c1に巻き掛けられる。また、第2ベルト29d2は、第2中間プーリ29c2および従動プーリ29bに巻き掛けられる。上記したように第2中間プーリ29c2と従動プーリ29bとは、アーム22の中空部分に位置されるため、この第2ベルト29d2もアーム22の中空部分に位置される。
 このように、第2動力伝達機構29の一部をアーム22の中空部分に配置したことから、アーム22および第2動力伝達機構29の配置スペース(占有スペース)を小さくすることができ、結果として移動ロボット1全体を小型化することができる。
 上記のように構成された第2動力伝達機構29においては、駆動用モータ24の駆動力は、主車輪21の車軸21d、駆動プーリ29a、第1ベルト29d1を介して中間軸29cの第1中間プーリ29c1へ伝達され、中間軸29cが回転される。中間軸29cの回転に伴って第2中間プーリ29c2も回転し、その回転力は、第2ベルト29d2、従動プーリ29b、車軸23dを介して副車輪23へ伝達され、よって副車輪23は回転中心軸23c回りに回転させられる。
 したがって、各プーリの直径を適宜に設定することで、駆動用モータ24の回転駆動力を第2動力伝達機構29で減速して、副車輪23へ伝達することができる。具体的に例えば、駆動プーリ29aの直径を第1中間プーリ29c1のそれよりも小さくし、第2中間プーリ29c2の直径を従動プーリ29bのそれよりも小さく設定するなどして、第2動力伝達機構29を減速機構として機能させる。
 なお、上記では駆動用モータ24の回転駆動力を第2動力伝達機構29で減速するように構成したが、これは例示であって限定されるものではなく、例えば減速させずに、あるいは増速させて副車輪23へ伝達するようにしてもよい。
 このように、駆動用モータ24は、対応する主車輪21および副車輪23の両方に接続され、主車輪21および副車輪23を駆動する。すなわち、駆動用モータ24が、主車輪21の駆動源、副車輪23の駆動源として兼用されることから、副車輪23専用のモータを不要にでき、その分移動ロボット1を小型化することができる。
 また、副車輪23同士は、互いに異なる駆動用モータ24に接続されることから、副車輪23はいずれも駆動輪として機能し、またそれぞれが独立して駆動することができる。そのため、例えば段差Cを乗り越えているときに、副車輪23の回転速度を左右で異ならせることで、段差Cを乗り越えながら移動本体部10の進行方向Aの向きを変えるなどの動作も可能となる。
 なお、第2動力伝達機構29の構成は、上記に限定されるものではなく、例えば駆動用モータ24と副車輪23との間にクラッチを介挿してもよい。これにより、例えば移動ロボット1が段差Cを昇降する場合に限って、クラッチで駆動用モータ24と副車輪23とを接続し、副車輪23を回転駆動させるようにすることができる。
 図1に示すように、移動ロボット1はさらに、路面Bの段差Cを検出する段差検出部40を備える。段差検出部40は、複数個(例えば2個。図1において1個見えず)あり、移動本体部10の上面10u(正確にはカバー12の上面)に取付部材41を介して取り付けられる。なお、図3において、移動本体部10に対する段差検出部40の位置を想像線で示した。また、上記では、段差検出部40を2個備えるように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば1個あるいは3個以上であってもよい。
 具体的に段差検出部40は、図3に示すように、進行方向Aにおいて移動本体部10の前方の左右側にそれぞれ取り付けられる。詳しくは、段差検出部40は、移動本体部10の前面10fから進行方向A側へ離間した位置に配置される。
 段差検出部40としては、例えば取付部材41の取付位置から路面Bまでの距離(図1に破線の矢印で示す)を測定するレーザ変位計を用いることができる。段差検出部40から出力される、路面Bまでの距離を示す信号は、制御部30へ入力される。制御部30では、入力された信号に基づいて段差Cの高さを算出し、その高さがしきい値より大きい場合、段差検出部40の直下に段差Cがあると判定する。
 なお、上記では、段差検出部40としてレーザ変位計を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば静電容量センサなどを用いて路面Bまでの距離を測定するようにしてもよい。また、段差検出部40が例えばカメラなどを備えるようにし、カメラで撮像された画像を解析することで、段差Cを検出してもよい。
 ここで、上記のような移動ロボット1を構成する各要素の設計要件について説明する。図6は、移動ロボット1を構成する各要素を模式的に示す模式側面図である。なお、図6および以降の図では、理解の便宜のため、移動本体部10を省略したり、アーム22を直線で表すなどして、移動ロボット1を簡略化して示す。
 移動ロボット1の各構成要素のパラメータを、図6に示す記号で定義する。具体的には、下記のように、
 D:主車輪21の直径
 D:副車輪23の直径
 D:主車輪21の回転中心軸21cからアーム22の揺動中心軸22cまでのZ軸方向(鉛直下向き方向)におけるオフセット量
 D:主車輪21の回転中心軸21cからアーム22の揺動中心軸22cまでのX軸方向におけるオフセット量
 L:アーム22の長さ
 θ:前アーム22fと水平面(XY平面)とのなす角度
 θ:後アーム22bと水平面(XY平面)とのなす角度
 S:段差Cの高さ
である。また、図6に示していないが後述する式で用いる値として、
 θfs:前副車輪23fが段差Cに接したときの前アーム22fと水平面(XY平面)とのなす角度
 θbs:後副車輪23bが段差Cに接したときの後アーム22bと水平面(XY平面)とのなす角度
とおく。
 移動ロボット1が高さSの段差Cを昇降するために、各パラメータは、以下の式(1)~(6)で表される6つの条件を満たすように設定される。各条件について図7A~7Cを参照しつつ説明する。図7A~7Cは、移動ロボット1の各要素を模式的に示す模式側面図である。
(条件1)
 前副車輪23fが段差Cに乗り上げたときの前副車輪23fの下端23f1の位置が前輪21fの前端21f1より前方にあること(図7A参照)。この条件1は、下記の式(1)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
(条件2)
 前副車輪23fが段差Cに乗り上げるため、前副車輪23fの下端23f1が段差Cより高い位置に到達できること(図7A参照)。この条件2は、下記の式(2)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
(条件3)
 前アーム22fの揺動中心軸22cが前輪21fの下端21f2より鉛直方向において上方にあること(図7A参照)。この条件3は、下記の式(3)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
(条件4)
 前副車輪23fが段差Cに乗り上げたときの位置から、想像線で示すような前輪21fの真下に来るまで、前輪21fの回転中心軸21cと前副車輪23fの下端23f1との距離(矢印G)が、前輪21fの半径より常に大きいこと(図7B参照)。この条件4は、下記の式(4)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
(条件5)
 前輪21fと後輪21bとがともに段差Cに乗り上げた状態で、後副車輪23bを振り下げて段差Cの進行方向手前側の路面Bに接地したときに、後副車輪23bの前端23b1が後輪21bの下端21b1よりも後側(具体的にはX軸方向において負側)にあること(図7C参照)。この条件5は、下記の式(5)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
(条件6)
 前輪21fと後輪21bとがともに段差Cに乗り上げた状態で、後副車輪23bの下端23b2が段差Cの進行方向手前側の路面Bより低い位置に到達できること(図7C参照)。この条件6は、下記の式(6)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 移動ロボット1は、各構成要素のパラメータが上記した条件1~6を満たすように設定されることで、高さSの段差Cを昇降することができる。
 次いで、制御部30について図8を参照しつつ説明する。図8は、移動ロボット1の構成を示すブロック図である。
 なお、図8では、本実施形態の説明にあたり必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。また、複数個の構成要素(例えば、駆動用モータ24やアーム用モータ26)については、図示の簡略化のため、1つのブロックにまとめて示すが、実際には複数個の構成要素が個別に制御されることは前述した通りである。
 図8に示すように、移動ロボット1の制御部30は、移動ロボット1の動作を制御する制御装置であり、例えばコンピュータなどからなる。制御部30は、例えば図示しない上位コントローラ(もしくは操作者)から、移動本体部10の前進、後進、旋回、段差乗り越えなどの操作指令が入力され、入力された操作指令に応じて駆動用モータ24やアーム用モータ26などの動作を制御する。なお、制御部30は、上記した操作指令によらずに、前後進、旋回、段差乗り越えなどを行うように構成してもよい。
 制御部30は具体的に、駆動輪制御部31と、段差乗り越え制御部32とを備える。駆動輪制御部31は、段差乗り越え制御部32と通信可能に接続されるとともに、駆動用モータ24のエンコーダ25のエンコーダ値などが入力される。駆動輪制御部31は、後述するように段差乗り越え制御部32から受け取った制御指令やエンコーダ25のエンコーダ値などに基づいて駆動用モータ24の動作を制御し、主車輪21および副車輪23を回転駆動させる。
 段差乗り越え制御部32は、上位コントローラからの操作指令、具体的には段差乗り越え開始指令に応じて、自律的に段差乗り越え動作が実行されるように移動ロボット1の動作を制御する。
 段差乗り越え制御部32には、段差検出部40の出力信号やアーム用モータ26のエンコーダ28のエンコーダ値が入力される。段差乗り越え制御部32は、入力された各種信号に基づき、アーム用モータ26の動作を制御し、アーム22を揺動させる。また、段差乗り越え制御部32は、段差乗り越え時において駆動輪制御部31へ制御指令を出力し、駆動用モータ24を介して主車輪21および副車輪23を回転駆動させる。
 図9は、図8に示す段差乗り越え制御部32の構成を示すブロック図である。図9に示すように、段差乗り越え制御部32は、段差乗り越えシーケンス処理部33と、段差検出処理部34と、モータ制御部35とを備える。
 段差乗り越えシーケンス処理部33は、段差乗り越え動作を自律的に実行するためのシーケンス処理を行う。具体的に段差乗り越えシーケンス処理部33は、駆動用モータ24の駆動情報(エンコーダ値など)および段差検出処理部34から得られる段差検出値S,S(後述)に基づき、アーム22の揺動角や駆動輪(主車輪21および副車輪23)に関する制御指令を出力する。この処理については後述する。
 段差検出処理部34は、移動本体部10の左右に設けられた段差検出部40の出力から左右の段差検出値S,Sを算出する処理を実行する。なお、上記した段差検出値Sは、右側の段差検出部40から算出された値であり、段差検出値Sは、左側の段差検出部40から算出された値である。
 具体的に段差検出処理部34は、左右の段差検出部40の出力信号が入力されると、ADコンバータ34aを介して出力電圧AoutR,AoutLを得る。そして、段差検出処理部34では、出力電圧AoutR,AoutLを乗算器34b、フィルタ34cへ供給し、下記の式(7)のように左右の段差検出値S,Sを算出する。なお、段差検出値S,Sは段差乗り越えシーケンス処理部33へ入力され、そこで左右の段差検出値S,Sから下記の式(8)を用いて段差Cの平均段差検出値(段差Cの高さ)Sを求める。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
 モータ制御部35の説明の前に、段差乗り越え制御部32の機能について説明すると、段差乗り越え制御部32では、アーム22の角度制御が主として行われる。アーム22への角度指令は、段差乗り越えシーケンス処理部33によって生成されるため、モータ制御部35は2次フィルタ35cを乗じた値をアーム用モータ26への位置指令として出力する。
 なお、本実施形態に係る移動ロボット1の段差乗り越えでは、副車輪23の接地時における衝撃を軽減させるため、下記のような動作1,2が採られている。
(動作1):副車輪23の接地直前でアーム22の振り下げ速度を落とし、接地衝撃を緩和する。
(動作2):アドミッタンス制御を用いて柔軟制御し、接地衝撃を緩和する。
 モータ制御部35において、アドミッタンス制御に基づく位置指令補正量θcompxは、図9において破線で囲まれた、外力T^dxを推定する外乱オブザーバ(DOBS(Disturbance Observer))35aと、仮想的なマスバネダンパ系を模擬する2次フィルタ35bによって得られる。具体的には下記の式(9)にしたがって演算する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000009
 したがって、アーム用モータ26への位置指令θ mxは、位置指令補正量θcompxと、段差乗り越えシーケンス処理部33からの位置指令θ を2次フィルタ35cに供給して得た値とを、加算器35dにおいて加算して算出される。具体的に位置指令θ mxは、下記の式(10)を用いて演算される。なお、ここでの指令フィルタの設定は、例えば減衰係数ζが1.0、角周波数ωが2πrad/s程度とされるが、これらは例示であって限定されるものではない。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000010
 そして、位置指令θ mxはアーム用モータ26側の位置速度制御部36へ供給され、そこでトルク指令T mxが算出され、算出されたトルク指令T mxに基づいてアーム用モータ26は駆動される。なお、上記した各式および後述する式における添字xは、前後左右のアーム22であることを示し、例えば右前、左前、右後、左後のアーム22の順で、θ はθ fr,θ fl,θ br,θ blなどと置換することができるものとする。
 以上を踏まえつつ、次いで、移動ロボット1の制御部30(正確には段差乗り越えシーケンス処理部33など)で実行される、移動ロボット1の段差乗り越え処理について説明する。
 なお、以下では、移動ロボット1が段差Cを乗り越える場面を例に挙げて説明するが、段差Cを降りる場合についても使用する数式等は変化せず、段差Cや管理する距離の符号を反転することで対応することができる。
 図10は、移動ロボット1の段差乗り越え処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、先ず制御部30は、段差乗り越え開始指令(以下「開始指令」という)が例えば上位コントローラから入力されたか否かを判定する(ステップS10)。
 制御部30は、開始指令が入力されない場合(ステップS10,No)、ステップS10の処理を繰り返す。一方、制御部30は、開始指令が入力された場合(ステップS10,Yes)、続いて排他処理を実行する(ステップS11)。この排他処理とは、移動ロボット1において、段差Cを乗り越えるための制御が行われているときは、例えば非常停止指令以外の処理を受け付けないようにする処理である。
 次いで、制御部30は、移動ロボット1が所定速度Vaで前進するように、駆動用モータ24の動作を制御する(ステップS12)。この所定速度Vaは、比較的低い値、例えば0.02m/sに設定される。したがって、ステップS12の処理では、移動ロボット1は比較的低速で走行させられることとなる。
 なお、上記した所定速度Vaの具体的な値は、例示であって限定されるものではない。また、以下においても各種の値に関して具体的な数値を例として挙げることもあるが、それらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
 次いで、制御部30は、移動ロボット1の前進した距離P1がしきい値P1a未満か否かを判定する(ステップS13)。なお、ここでしきい値P1aは、移動ロボット1の大きさや用途、移動ロボット1が走行する場所などに基づいて適宜な値に設定され、ここでは例えば1mと設定される。
 制御部30は、移動ロボット1の前進距離P1がしきい値P1a未満であると判定した場合(ステップS13,Yes)、続いて左右の段差検出部40のうちの少なくともいずれかで段差Cが検出されたか否かを判定する(ステップS14)。
 ステップS14では、具体的には左右の段差検出値S,Sのうちの少なくともいずれかがしきい値Saよりも大きいか否で段差Cの有無を判定し、具体的にしきい値Saよりも大きい場合、路面Bに段差Cがあると判定する。なお、しきい値Saは例えば0.01mとされる。
 制御部30は、左右の段差検出部40のいずれでも段差Cが検出されない場合(ステップS14,No)、ステップS12の処理に戻って前進動作を続ける。また、制御部30は、左右の段差検出部40のいずれかで段差Cが検出された場合(ステップS14,Yes)、次いで移動ロボット1の位置補正・段差高さ取得処理を実行する(ステップS15)。
 図11は、図10のステップS15の位置補正・段差高さ取得処理の概要を示すフローチャートである。
 図11に示すように、制御部30は、先ず移動ロボット1を所定距離P2前進させ(ステップS100)、続いて左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出されたか否かを判定する(ステップS101)。
 ここで、ステップS100の処理で使用される所定距離P2、およびステップS101の処理について、図12、図13A、図13Bを参照して詳しく説明する。図12、図13A、図13Bは、移動ロボット1の模式平面図である。なお、図12などでは、図の簡略化のため、アーム22や副車輪23などの図示を省略した。
 先ず図12において、Lは、左右の段差検出部40の離間距離を表し、θは、移動本体部10の前面10fに対して平行な直線10f1と、段差Cの側壁面C2とのなす角度を表す。
 図12のθは、例えば移動ロボット1が段差Cの側壁面C2に対して傾いているが、そのままの状態であっても移動ロボット1は段差Cを乗り越えることができる角度の上限値とされる。すなわち、θは移動ロボット1の段差Cに対する許容角度である。
 所定距離P2は、上記した離間距離Lと許容角度θとを用いた、Lsin(θ)によって求められる(図12参照)。
 ここでは、ステップS14で左右の段差検出部40のいずれか一方で段差Cが検出された後、ステップS100で移動ロボット1を所定距離P2だけ前進させ、そしてステップS101で左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出されたか否かを判定している。
 すなわち、図13Aに示すように、移動ロボット1が所定距離P2進んだにもかかわらず、左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出されない場合、移動ロボット1は、側壁面C2に対して許容角度θを超えて傾いている状態にある。したがって、後述するように、移動本体部10の向きを補正するようにする。
 他方、図13Bに示すように、移動ロボット1が所定距離P2進んだときに、左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出される場合、移動ロボット1の側壁面C2に対する角度は許容角度θの範囲内である。したがって、移動本体部10の向きの補正を行わず、そのまま段差乗り越え動作に移行するようにする。
 図11の説明に戻る。制御部30は、左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出されない場合(ステップS101,No)、正確には左右の段差検出部40のうちの一方で段差Cが検出され、他方で段差Cが検出されない場合、ステップS102以降で移動本体部10の向きを補正する。詳しくは、ステップS102以降では、移動本体部10が段差Cの側壁面C2と正対するように移動本体部10の向きを補正する。
 具体的に制御部30は、移動ロボット1が所定角速度γで信地旋回動作するように、駆動用モータ24の動作を制御、具体的には主車輪21の動作を制御する(ステップS102)。
 この信地旋回動作について、図14Aから図14Cを参照して説明する。図14Aから図14Cは、移動ロボット1の模式平面図である。
 図14Aでは、例えば左右の段差検出部40のうち、右側の段差検出部40で段差Cが検出され、左側の段差検出部40で段差Cが検出されない場面が示されている。以下、この場面を例にとって説明する。
 この場合、制御部30は、左右の主車輪21のうち段差Cが検出されていない側の主車輪21、すなわち、左側の主車輪21を移動本体部10が前進する方向へ回転するように、駆動用モータ24の動作を制御する。なお、このときの右側の主車輪21は停止している。これにより、左側の段差検出部40は、段差Cへ向けて徐々に近づけられることとなる。
 なお、図14Aなどでは、信地旋回動作を理解し易くするため、主車輪21の向きを変えて示したが、例えば実際に主車輪21を操舵する機構を設け、同図のように、主車輪21の向きを変えながら信地旋回動作を行うようにしてもよい。
 また、上記では、段差Cが検出されていない左側の主車輪21を前進方向へ回転させるようにしたが、これに限定されるものではなく、段差Cが検出された右側の主車輪21を、後進方向へ回転させて、信地旋回動作を行ってもよい。さらには、左右の主車輪21で、回転方向を相違させる、いわゆる超信地旋回であってよい。
 図11の説明に戻ると、制御部30は、信地旋回による旋回角度Pγがしきい値Pγa未満か否かを判定する(ステップS103)。このしきい値Pγaは、例えば45degとされる。
 制御部30は、旋回角度Pγがしきい値Pγa未満の場合(ステップS103,Yes)、続いて、最初に段差Cを検出していない段差検出部40、ここでは左側の段差検出部40で段差Cが検出されたか否かを判定する(ステップS104)。具体的にステップS104は、移動本体部10が図14Bに示すような状態になったか否かを判定する処理である。
 制御部30は、左側の段差検出部40で段差Cが検出されない場合(ステップS104,No)、ステップS102の処理に戻る。他方、制御部30は、左側の段差検出部40で段差が検出された場合(ステップS104,Yes)、今度はステップS102での旋回方向とは反対側の方向へ所定旋回角度Rγだけ信地旋回動作を行う(ステップS105)。具体的にこの場合の制御部30は、例えば右側の主車輪21を移動本体部10が前進する方向へ回転するように、駆動用モータ24の動作を制御する。
 また、所定旋回角度Rγは、ステップS102の処理を最初に実行してからステップS104で肯定されるまでに旋回した旋回角度Pγよりも小さい値、例えば旋回角度Pγの半分程度とされる。
 このように、制御部30は、移動本体部10を反対方向へ少し戻すように旋回させて、図14Bに示す状態だった移動本体部10を、図14Cに示すような、段差Cの側壁面C2と正対した状態にする。このように、ステップS102~S105の処理では、移動本体部10が段差Cの側壁面C2と正対するように移動本体部10の向きを補正する。これにより、後述する段差Cの乗り越え動作において、移動ロボット1は確実に段差Cを乗り越えることができる。
 また、上記のように、移動本体部10を信地旋回させて移動本体部10の向きを補正することから、移動本体部10において側壁面C2と正対させるときの動作範囲を小さくすることができる。
 なお、制御部30は、旋回角度Pγがしきい値Pγa以上となった場合(ステップS103,No)、そこまで旋回して段差検出部40で段差Cが検出されないときには何らかの異常が発生したと判定して、そのまま図10のフローチャートへ戻る。
 制御部30は、移動本体部10の向きを補正した後、移動ロボット1が所定速度Vaで前進するように、駆動用モータ24の動作を制御する(ステップS106)。
 次いで、制御部30は、ステップS106の処理によって移動ロボット1の前進した距離P3がしきい値P3a未満か否かを判定する(ステップS107)。なお、しきい値P3aは例えば10cmと設定される。
 制御部30は、移動ロボット1の前進距離P3がしきい値P3a未満である場合(ステップS107,Yes)、次いで段差検出部40の両方で段差Cが検出されたか否かを判定する(ステップS108)。
 制御部30は、左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出されない場合(ステップS108,No)、ステップS106の処理に戻る。なお、制御部30は、前進距離P3がしきい値P3a以上となった場合(ステップS107,No)、そこまで前進して段差検出部40で段差Cが検出されないときには何らかの異常が発生したと判定して、そのまま図10のフローチャートへ戻る。
 制御部30は、左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出された場合(ステップS108,No)、続いて、検出された段差Cの高さS、正確には平均段差検出値Sを取得する(ステップS109)。これについては、前述した式(8)を用いて算出する。
 次いで、制御部30は、主車輪21の動作を制御し、前副車輪23fが段差Cの所定位置に接地するように移動本体部10の位置を調整する(ステップS110)。
 図15は、その移動本体部10の位置の調整を説明するための移動ロボット1の模式側面図である。
 図15に示すように、段差検出部40で段差Cを検出した後、前副車輪23fを段差Cの段差面C1の所定位置に接地させるため、移動本体部10を前進もしくは後退させる必要がある。なお、この所定位置とは、前副車輪23fが段差面C1において確実に、かつ安定して乗ることができるような位置を意味する。
 ここでは、例えば移動本体部10を後退距離x後退させて、前副車輪23fを段差Cの段差面C1の所定位置に接地させるものとする。後退距離xは、側面視において段差Cの段差面C1から前副車輪23fの下端23f1までのZ軸方向における距離をα、側面視において段差Cの側壁面C2から前副車輪23の下端23f1までのX軸方向における距離をβと定義すると、下記の式(11)から得られる。また、式(11)中にあるアーム22の終端位置θ fnは、下記の式(12)から得られる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000012
 具体的には、式(12)によって求めた終端位置θ fnを式(11)に代入することによって、後退距離xを得ることができる。なお、このθ fnは後に、アーム22を振り下げるときの終端位置θ fnとして利用する。
 そして、制御部30は、移動本体部10が算出された後退距離xだけ移動するように、駆動用モータ24を介して主車輪21の動作を制御する。これにより、前副車輪23fを段差Cの段差面C1に確実かつ安定して乗せることができる。
 制御部30は、次いで位置補正が正常に終了したことを示すフラグを立てて(ステップS111)、図10のフローチャートへ戻る。なお、ステップS101で左右の段差検出部40の両方で段差Cが検出された場合(ステップS101,Yes)、移動ロボット1は図13Bに示す状態であるため、位置補正することなくステップS111へ進んで、上記した処理を行う。
 図10の説明に戻ると、制御部30は、位置補正が正常に終了したか否かを判定、すなわち、上記したフラグが立っているか否かを判定する(ステップS16)。制御部30は、位置補正が正常に終了している場合(ステップS16,Yes)、次いでアーム振り下げ処理を実行する(ステップS17)。
 図16は、そのアーム振り下げ処理の概要を示すフローチャートである。
 図16に示すように、制御部30は、先ずアーム22の振り下げ速度ωmax1を設定する(ステップS200)。ここでは振り下げ速度ωmax1は比較的高い値、例えば30deg/sに設定される。
 制御部30は、次いで前後のアーム22を、ステップS200で設定された振り下げ速度ωmax1で終端位置θ fnまで振り下げるように揺動させる(ステップS201)。終端位置θ fnは、上記した式(12)によって得られる。
 したがって、図15に示すように、例えば前アーム22fは、実線で示される初期位置から想像線で示される終端位置θ fnまで、比較的高速で振り下げられることとなる。また、後アーム22bも、前アーム22fと同様、初期位置から、想像線で示す終端位置θ bnまで比較的高速で振り下げられる。なお、終端位置θ fnと終端位置θ bnとは、同じ値とされる。
 次いで、制御部30は、アーム22の振り下げ速度ωmax2を設定する(ステップS202)。ここで振り下げ速度ωmax2は、ステップS200で設定した値よりも低い値、例えば10deg/sに設定される。
 制御部30は、前アーム22fを、ステップS202で設定された振り下げ速度ωmax2で終端位置θ fe(後述)まで振り下げるように揺動させる(ステップS203)。
 図17は、そのときの移動ロボット1を示す模式側面図である。図17に示すように、ステップ203の処理によって、前副車輪23fが路面Bに接地、正確には段差Cの段差面C1に接地される。
 次いで、制御部30は、後アーム22bを、ステップS202で設定された振り下げ速度ωmax2で終端位置θ be(後述)まで、前アーム22fと同期させつつ振り下げるように揺動させる(ステップS204)。これにより、後副車輪23bが路面Bに接地される。
 このように、路面Bから離間した位置、すなわち初期位置にある副車輪23を路面Bに接地させる場合、副車輪23が路面Bに接地する直前にアーム22の動作速度を減速させる。これにより、副車輪23が路面Bに接地する際に、移動ロボット1に作用する衝撃を軽減することができる。
 次いで、制御部30は、後副車輪23bを前後アーム22f,22bに同期させつつ移動させる(ステップS205)。
 上記したステップS203~S205の一連の処理について、図18を参照して詳説する。図18は、ステップS203~S205の処理を説明するための、移動ロボット1を示す模式側面図である。
 まず、本実施形態に係る移動ロボット1にあっては、段差Cを乗り越える場合、移動本体部10を所定の姿勢、例えば水平を維持しつつ乗り越えるように、前アーム22fと後アーム22bとを協働させて動作させるようにする。この移動本体部10を水平に維持するため条件は、下記の式(13)によって表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000013
 したがって、図18に示すように、移動本体部10を水平に維持するための後アーム22bの制御角指令は、前アーム22fの角度を基準とすると、以下の式(14)によって算出される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000014
 また、前輪21fと後輪21bとはともに、サーボロックされているため、アーム22の揺動に合わせて主車輪21の位置を協調制御する必要がある。段差Cに掛かる前輪21fをサーボロックし、後輪21bの位置で調整することを考え、段差Cと前副車輪23fが接触した角度を近似的にθ fn, θ bnとみなし、その後の副車輪23bの移動量を式(15)によって求める。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000015
 また、アーム揺動の終端位置θ fe, θ beは、主車輪21の接地点が段差Cを越えればよいため、マージンδを見込んで式(16)、式(17)で算出される。なお、この終端位置θ fe, θ beが、ステップS203,S204で使用される。
 アドミッタンス制御を用いているため、自重によって位置指令と終端位置に誤差が生じるが、仮想的に設定したバネダンパの特性に応じてマージンδを調整すればよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000017
 このように、制御部30は、移動本体部10を所定の姿勢、例えば水平を維持しつつ乗り越えるように、前後アーム22f,22bを協働させて動作させるようにした。
 これにより、移動ロボット1は、段差Cを乗り越える際に重心のバランスも維持されることから、横転などすることはなく、段差Cを確実に乗り越えることができる。また、例えば移動ロボット1が物を運搬する用途で用いられる場合、段差Cを乗り越えるときに移動本体部10の姿勢を水平に維持することで、物が落下するのを防止することができる。
 また、前後アーム22f,22bを協働させることで、移動本体部10が持ち上がるときに移動本体部10からアーム22へ作用する負荷を分散させることができ、アーム22やアーム用モータ26を小型化することもできる。
 なお、移動本体部10の所定の姿勢は、水平に限定されるものではなく、例えば移動本体部10を前方または後方に傾斜するような姿勢でもよく、あるいは左側または右側に傾斜するようにしてもよい。
 図10の説明に戻ると、制御部30は次いで移動ロボット1を所定速度Vaで所定距離P4前進させる(ステップS18)。所定距離P4は、例えば進行方向Aにおける移動ロボット1の長さ(全長)と同程度の値に設定される。
 図19は、所定距離P4前進した後の移動ロボット1を示す模式側面図である。図19に示すように、ステップS18の処理によって移動ロボット1は、前輪21fおよび後輪21bがともに、段差Cの段差面C1のところまで移動された状態とされる。
 なお、移動ロボット1にあっては、上記したマージンδを見込むようにしたことから、図19に示すように、主車輪21は段差Cの段差面C1から離れているが、例えばマージンδをゼロに設定し、主車輪21が段差面C1に接地するようにしてもよい。これにより、移動ロボット1は、主車輪21と副車輪23との両方の回転駆動によって所定距離P4前進することができ、段差Cを乗り越えるのに要する時間を短縮することもできる。
 制御部30は、次いでアーム振り上げ処理を実行する(ステップS19)。図20は、そのアーム振り上げ処理の概要を示すフローチャートである。
 図20に示すように、制御部30は、アーム22の振り上げ速度ωmax3を設定する(ステップS300)。ここでは振り上げ速度ωmax3は、比較的低い値、例えば10deg/sに設定される。
 制御部30は、前アーム22fを、ステップS300で設定された振り上げ速度ωmax3で終端位置θ fp(後述)まで振り上げるように揺動させる(ステップS301)。
 図21は、そのときの移動ロボット1を示す模式側面図である。図21に示すように、ステップ301の処理によって、前副車輪23fが路面Bから所定距離(マージンδ)離反される。
 次いで、制御部30は、後アーム22bを、ステップS300で設定された振り上げ速度ωmax3で終端位置θ bp(後述)まで、前アーム22fと同期させつつ振り上げるように揺動させる(ステップS302)。これにより、図21に示す如く、後副車輪23bも路面Bから離反される。
 次いで、制御部30は、後副車輪23bを前後アーム22f,22bに同期させつつ移動させる(ステップS303)。
 上記したステップS300~S303の一連の処理について詳説する。図21に示すように、移動ロボット1が段差Cを乗り越えた後、式(16)においてS=0かつδ<0とすると、移動本体部10が着地して副車輪23が路面Bから所定距離(マージンδ)だけ浮上した状態に制御することができる。
 よって、このときのアーム22の終端位置θ fp,θ bpは、下記の式(18)、(19)を用いて算出され、ステップS301,S302で使用される。また、上記したようにアーム振り上げ時は、終端位置θ fp,θ bpになるまでアーム22を低速で動作させる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000019
 また、ステップS303において、振り上げ時の後副車輪23bの移動量dPosxbについても、振り下げ時の式(15)と同様に考え、下記の式(20)を用いて算出するようにする。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000020
 図20の説明に戻ると、次いで、制御部30は、アーム22の振り上げ速度ωmax4を設定する(ステップS304)。ここで振り上げ速度ωmax4は、ステップS300で設定した値よりも高い値、例えば30deg/sに設定される。
 次いで、制御部30は、図21に想像線で示すように、前後アーム22f,22bを、ステップS304で設定された振り上げ速度ωmax4で終端位置θ initまで振り上げるように揺動させる(ステップS305)。すなわち、ステップS305の処理によって、アーム22および副車輪23が初期位置まで戻される。
 このようにアーム22を動作させて、路面Bに接地される副車輪23を路面Bから離反させて初期位置へ戻す場合、副車輪23が路面Bから所定距離δ離反するまでのアーム22の動作速度(振り上げ速度ωmax3)が、副車輪23が所定距離δ離反してから初期位置へ戻るまでのアーム22の動作速度(振り上げ速度ωmax4)よりも低くなるようにした。
 これにより、副車輪23は比較的低速で路面Bから離反することから、主車輪21が路面Bに接地するときに、移動ロボット1が路面Bから受ける衝撃を軽減することができる。
 図10の説明に戻ると、制御部30は、排他処理を解除する(ステップS20)。これにより、移動ロボット1は段差乗り越え制御から通常制御へ切り替えられる。このようにして、移動ロボット1の段差乗り越え動作が終了する。
 なお、制御部30は、ステップS13において移動ロボット1の前進した距離P1がしきい値P1a以上になった場合(ステップS13,No)、移動ロボット1の付近に段差Cがない、あるいは何らかの異常が発生したと判定してステップS20の処理後、プログラムを終了する。
 また、制御部30は、ステップS16において位置補正が正常に終了していないと判定した場合(ステップS16,No)、同様に、何らかの異常が発生したと判定してステップS20の処理後、プログラムを終了する。
 上述してきたように、本実施形態では、主車輪21は、移動本体部10に回転可能に取り付けられる。アーム22は、移動本体部10に揺動可能に取付けられ、揺動中心軸22cが主車輪21の回転中心軸21cに対してオフセットされる。副車輪23は、アーム22の先端部22dに回転可能に取り付けられる。制御部30は、路面Bの状態に応じてアーム22の動作を制御し、副車輪23を路面Bに接地させる。これにより、移動ロボット(移動体)1において、走行効率を維持しつつ、小型でかつ簡素な構成で路面Bの段差Cを乗り越えることができる。
 なお、上述した実施形態では、移動本体部10の前後にアーム22および副車輪23をそれぞれ取り付けるように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば移動本体部10の前側にのみアーム22および副車輪23を取り付けるようにしてもよい。
 また、主車輪21および副車輪23はともに駆動用モータ24で駆動されるようにしたが、これに限定されるものでなない。すなわち、主車輪21および副車輪23のそれぞれに別の駆動源が接続され、独立に駆動されるように構成してもよい。これにより、例えば移動ロボット1が段差Cを昇降する場合に限って、副車輪23を回転駆動させるようにすることができる。また、駆動源にあっては、対応する主車輪21または副車輪23のみを駆動できればよいことから、小型化することもできる。
 また、主車輪21などの駆動源として、移動本体部10に収納された駆動用モータ24を例に挙げて説明したが、例えばインホイールモータなどその他の駆動源であってもよく、さらには例えば内燃機関などであってもよい。
 また、上記では、移動体が移動ロボット1であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば自動車や二輪車など移動するような構成であれば、どのようなものであってもよい。
 さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
 1 移動ロボット(移動体)
 10 移動本体部
 20 移動部
 21 主車輪
 21c (主車輪の)回転中心軸
 22 アーム
 22c (アームの)揺動中心軸
 23 副車輪
 24 駆動用モータ(駆動源)
 26 アーム用モータ
 30 制御部
 40 段差検出部
 B 路面
 C 段差
 C1 段差面
 C2 側壁面

Claims (9)

  1.  移動本体部に回転可能に取り付けられる主車輪と、
     前記移動本体部に揺動可能に取付けられ、揺動中心軸が前記主車輪の回転中心軸に対してオフセットされるアームと、
     前記アームの先端部に回転可能に取り付けられる副車輪と、
     路面の状態に応じて前記アームの動作を制御し、前記副車輪を路面に接地させる制御部と
     を備えることを特徴とする移動体。
  2.  前記アームの揺動中心軸は、
     前記主車輪の回転中心軸よりも鉛直方向において下方にオフセットされること
     を特徴とする請求項1に記載の移動体。
  3.  前記主車輪および前記副車輪の両方に接続され、前記主車輪および前記副車輪を駆動する駆動源
     を備えることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
  4.  前記アームは、
     進行方向において前記移動本体部の前後にそれぞれ取り付けられ、
     前記制御部は、
     路面の段差を昇降する場合、前記移動本体部が所定の姿勢を維持するように、前記移動本体部の前側の前記アームと、前記移動本体部の後側の前記アームとを協働させて動作させること
     を特徴とする請求項1に記載の移動体。
  5.  進行方向において前記移動本体部の前方の左右側にそれぞれ取り付けられ、路面の段差を検出する段差検出部
     を備え、
     前記制御部は、
     前記左右の段差検出部のうちの一方で段差が検出され、他方で段差が検出されない場合、前記主車輪の動作を制御し、前記移動本体部が段差の側壁面と正対するように前記移動本体部の向きを補正すること
     を特徴とする請求項1に記載の移動体。
  6.  前記制御部は、
     前記移動本体部を信地旋回させて前記移動本体部の向きを補正すること
     を特徴とする請求項5に記載の移動体。
  7.  前記制御部は、
     前記アームを動作させて、路面から離間した位置にある前記副車輪を路面に接地させる場合、前記副車輪が路面に接地する直前に前記アームの動作速度を減速させること
     を特徴とする請求項1に記載の移動体。
  8.  前記制御部は、
     前記アームを動作させて、路面に接地される前記副車輪を路面から離反させて初期位置へ戻す場合、前記副車輪が路面から所定距離離反するまでの前記アームの動作速度が、前記副車輪が前記所定距離離反してから前記初期位置へ戻るまでの前記アームの動作速度よりも低くなるようにすること
     を特徴とする請求項1に記載の移動体。
  9.  前記移動本体部に取り付けられ、路面の段差を検出する段差検出部
     を備え、
     前記制御部は、
     前記段差検出部によって段差が検出された場合、前記主車輪の動作を制御し、前記副車輪が段差の所定位置に接地するように前記移動本体部の位置を調整すること
     を特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の移動体。
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