WO2014136434A1

WO2014136434A1 - 無線基地局、無線基地局通信制御プログラム記憶媒体および通信制御方法

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Publication number: WO2014136434A1
Application number: PCT/JP2014/001172
Authority: WO
Inventors: 拓也戸成
Original assignee: 日本電気株式会社
Priority date: 2013-03-08
Filing date: 2014-03-04
Publication date: 2014-09-12

Abstract

移動局のコンテキスト情報を保持していない無線基地局への再接続を可能とする無線基地局、無線基地局通信制御プログラムおよび通信制御方法を提供する。第１セルと一部の領域を共有する第２セルを管理する管理基地局の情報である基地局情報を記憶する基地局情報記憶手段と、第１セルでコネクションを設定している第１移動局、管理基地局および管理基地局の上位局を含むコネクションを設定する接続手段と、第１移動局の識別情報と設定情報を備えたコンテキスト情報を含む移動局の情報である移動局情報を記憶する移動局情報記憶手段と、第１セルを管理し、所定のタイミングで第１移動局の再接続先の候補となる候補基地局を基地局情報と移動局情報に基づいて選定し、候補基地局に第１移動局のコンテキスト情報を保持させる呼制御手段を備える。

Description

無線基地局、無線基地局通信制御プログラム記憶媒体および通信制御方法

　本発明は、移動局のコンテキスト情報を保持していない無線基地局への再接続を可能とする無線基地局、基地局通信制御プログラム記憶媒体および通信制御方法に関する。

　通信システムの高速化の検討が盛んに進められている。その中でも、ＬＴＥ（Long Term Evolution）と呼ばれる新しい無線通信システムが注目されている。ＬＴＥは移動局ＵＥ（User Equipment）との高速通信を実現する通信システムとして、通信サービスが既に開始されており、さらなる高速化の検討が進められている。

　ＬＴＥでは、移動局ＵＥとコネクションをもつ無線基地局ｅＮＢ（evolved Node B）は、コネクションをもつ移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持する。移動局ＵＥのコンテキスト情報は、コネクションのセキュリティーキー情報や、上位局である移動体管理局ＭＭＥ（Mobile Management Equipment）やＳ－ＧＷ（Serving-Gateway）とのコネクション情報を含む。

　移動局ＵＥから再接続の要求を受けた無線基地局ｅＮＢは、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を無線基地局ｅＮＢが保持するコンテキスト情報の中から特定することにより、再接続を開始する。

　しかし、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持しない無線基地局ｅＮＢは、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持していないため、再接続を拒否する。つまり、再接続を要求した移動局ＵＥは、無線基地局ｅＮＢとの間で適切なセキュリティで無線リンクを再設定することができない。

　すなわち、ＬＴＥには、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を無線基地局ｅＮＢが保持しない限り、移動局UEは無線基地局ｅＮＢと再接続できないという問題がある。

　特許文献１には、ＬＴＥに関わる上述の問題に対応する技術が開示されている。特許文献１の技術では、移動局ＵＥが再接続先のセルをカバーする無線基地局ｅＮＢに再接続要求を送信することを契機として、次の処理が行われる。すなわち、再接続先の無線基地局ｅＮＢは、移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持する無線基地局ｅＮＢに、コンテキスト要求信号を送信する。そして、再接続先の無線基地局ｅＮＢは、コンテキスト要求信号に対する応答として、移動局ＵＥのコンテキスト情報を取得する。このように、移動局ＵＥのコンテキスト情報を取得した再接続先の無線基地局ｅＮＢは、移動局ＵＥと再接続することができる。

特開２０１０－１９９６３２号公報（第８－１０頁、図８、９）

　特許文献１の技術は、移動局ＵＥからの再接続要求の受信を契機に、再接続要求を受けた無線基地局ｅＮＢは、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を保有する無線基地局ｅＮＢから、当該移動局ＵＥのコンテキスト情報を取得して、再接続を行う技術である。

　しかし、特許文献１の技術では、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を保有する無線基地局ｅＮＢが、当該移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持しているかが不明であるという問題がある。すなわち、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を保有する無線基地局ｅＮＢは、当該移動局ＵＥのコンテキスト情報をすでに削除している可能性がある。また、移動局ＵＥが再接続を要求した時点では、その無線基地局ｅＮＢは、当該移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持していない可能性もある。

　よって、特許文献１の技術には、再接続を要求した移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持するとされる無線基地局ｅＮＢがコンテキスト情報を保持していないために再接続ができなかったり、無線リンクの再設定までに時間を要したりするという問題がある。

　したがって、ＬＴＥの通信システムが有する、移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持していない無線基地局ｅＮＢがカバーするセルへの再接続ができないという課題を、特許文献１の技術では解決することができない。

　本発明の目的は、上記の課題に鑑みてなされたもので、移動局のコンテキスト情報を保持していない無線基地局への再接続を可能とする無線基地局、無線基地局通信制御プログラム記憶媒体および通信制御方法を提供することにある。

　本発明の無線基地局は、第１セルと一部の領域を共有する第２セルを管理する管理基地局の情報である基地局情報を記憶する基地局情報記憶手段と、第１セルでコネクションを設定している第１移動局、管理基地局および管理基地局の上位局を含むコネクションを設定する接続手段と、第１移動局の識別情報と設定情報を備えたコンテキスト情報を含む移動局の情報である移動局情報を記憶する移動局情報記憶手段と、第１セルを管理し、所定のタイミングで第１移動局の再接続先の候補となる候補基地局を基地局情報と移動局情報に基づいて選定し、候補基地局に第１移動局のコンテキスト情報を保持させる呼制御手段を備えることを特徴とする。

　本発明の無線基地局制御プログラム記憶媒体は、無線基地局が備えるコンピュータを、第１セルの一部の領域を共有する第２セルを管理する管理基地局の情報である基地局情報を記憶する基地局情報記憶手段と、第１セルでコネクションを設定している第１移動局、管理基地局および管理基地局の上位局を含むコネクションを設定する接続手段と、第１移動局の識別情報と設定情報を備えたコンテキスト情報を含む移動局の情報である移動局情報を記憶する移動局情報記憶手段と、第１セルを管理し、所定のタイミングで第１移動局の再接続先の候補となる候補基地局を基地局情報と移動局情報に基づいて選定し、候補基地局に第１移動局のコンテキスト情報を保持させる呼制御手段として、動作させるための無線基地局通信制御プログラムを格納する非一時的な記憶媒体であることを特徴とする。

　本発明の通信制御方法は、第１セルの一部の領域を共有する第２セルを管理する管理基地局の情報である基地局情報と、第１セルでコネクションを設定している第１移動局の識別情報と設定情報を備えたコンテキスト情報を含む第１移動局の情報である移動局情報を記憶し、所定のタイミングで第１移動局の再接続先の候補となる候補基地局を基地局情報と移動局情報に基づいて選定し、候補基地局に第１移動局のコンテキスト情報を保持させることを特徴とする。

　本発明によれば、移動局のコンテキスト情報を保持していない無線基地局への再接続が可能である。

本発明の第１の実施形態の通信システムの構成を例示する全体構成図である。本発明の第１の実施形態の無線基地局の構成を例示するブロック図である。本発明の第１の実施形態の通信システムの動作を例示するシーケンス図である。本発明の第２の実施形態の無線基地局の構成を例示するブロック図である。本発明の第２の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。本発明の第２の実施形態の通信システムの動作を例示するシーケンス図である。本発明の第２の実施形態の接続元無線基地局の動作を例示するフローチャートである。本発明の第２の実施形態の再接続先候補無線基地局の動作を例示するフローチャートである。本発明の第２の実施形態の移動無線局の動作を例示するフローチャートである。本発明の第３の実施形態の無線基地局の構成を例示するブロック図である。本発明の第３の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。本発明の第３の実施形態の動作を例示するシーケンス図である。本発明の第４の実施形態の無線基地局の構成を例示するブロック図である。本発明の第４の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。本発明の第５の実施形態の無線基地局の構成を例示するブロック図である。本発明の第５の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。

　以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
（第１の実施形態）
　本発明の第１の実施形態について説明する。図１は、本発明の第１の実施形態の通信システムの構成を例示する全体構成図である。

　図１を参照して、本実施形態の通信システム５００の構成について説明する。通信システム５００は、ＬＴＥの通信システムであって、移動局ＵＥ１と、複数の無線基地局ｅＮＢ１０と、移動体管理局ＭＭＥ２０を備える。

　移動体管理局ＭＭＥ２０は、無線基地局ｅＮＢ１０＃１～＃ｎ（ｎは、１以上の整数）と、Ｓ１インタフェースにしたがって接続される。無線基地局ｅＮＢ１０＃１～＃ｎのそれぞれの局は、隣接無線基地局として、Ｘ２インタフェースにしたがって接続される。移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ１０＃１がカバーするセル＃１に位置し、無線基地局ｅＮＢ１０＃１とＲＲＣインタフェースにしたがって接続される。以下、移動局ＵＥと無線基地局ｅＮＢの接続を「無線リンク」という。セル＃２およびセル＃３は、セル＃１とセルの一部の領域を互い共有しあう、セル＃１の隣接セルである。

　図２は、本発明の第１の実施形態の無線基地局ｅＮＢ１０の構成を例示するブロック図である。図２を参照して、本実施形態の無線基地局ｅＮＢ１０の構成について説明する。

　無線基地局ｅＮＢ１０は、接続手段１１と、呼制御手段１２と、基地局情報記憶手段１３と移動局情報記憶手段１４を備える。

　接続手段１１は、無線基地局ｅＮＢ１０と移動体管理局ＭＭＥ２０との接続、無線基地局ｅＮＢ１０と他の無線基地局ｅＮＢ１０との接続、無線基地局ｅＮＢ１０と移動局ＵＥ１との接続のそれぞれを管理する。呼制御手段１２は、接続手段１１、基地局情報記憶手段１３、移動局情報記憶手段１４および移動局ＵＥ１の制御を行う。基地局情報記憶手段１３は、無線基地局ｅＮＢ１０がカバーするセルの一部の領域を共有する隣接セルと、隣接セルの周辺に位置する周辺セルを含む近隣セルをそれぞれカバーする無線基地局ｅＮＢ１０の基地局情報を記憶する。移動局情報記憶手段１４は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を含む移動局の情報を記憶する。

　無線基地局ｅＮＢ１０の動作について説明する。無線基地局ｅＮＢ１０は、無線基地局ｅＮＢ１０がカバーするセルに位置する移動局ＵＥ１との間で無線リンクを設定する。無線基地局ｅＮＢ１０の呼制御手段１２は、所定のタイミングに基づいて、移動局ＵＥ１が再接続するための再接続先候補となる無線基地局を選定する。無線基地局ｅＮＢ１０（以下、再接続するための再接続先候補となる無線基地局を選定する無線基地局を、「接続元」という。）が移動局ＵＥ１の再接続先候補となる無線基地局ｅＮＢ１０（以下、「再接続先候補」という。）を選定するタイミングは、例えば移動局ＵＥ１がハンドオーバ（以下、「ＨＯ」という。）して接続元ｅＮＢ１０との間で無線リンクの設定を完了したときとする。すなわち、移動局ＵＥ１が接続元ｅＮＢのカバーするセルに位置して無線リンクを設定したとき、接続元ｅＮＢ１０の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１の再接続先候補を選定する。

　接続元ｅＮＢ１０の呼制御手段１２は、基地局情報記憶手段１３に記憶される基地局情報と、移動局情報記憶手段１４に記憶される移動局情報に基づいて、移動局ＵＥ１の再接続先候補を選定する。

　具体的には、接続元ｅＮＢ１０の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１の再接続先候補ｅＮＢ１０を選定して、再接続先候補ｅＮＢ１０に、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ（ＨＯ準備）」を実施する。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」の実施によって、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、接続元ｅＮＢ１０から再接続先候補ｅＮＢ１０に送られ、再接続先候補ｅＮＢ１０の移動局情報記憶手段１４に記憶される。

　「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」の実施について説明する。ハンドオーバとは、移動局ＵＥが移動中にコネクションする接続先の無線基地局ｅＮＢを切替えても通信を維持する機能である。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」は、このハンドオーバを準備するための処理である。

　すなわち、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」では、移動局ＵＥが移動して、現在コネクションしている接続元ｅＮＢから他の無線基地局ｅＮＢに接続先を切替えるために必要となる移動局ＵＥの情報が、切替えの相手先となる無線基地局ｅＮＢに事前に保持される。移動局ＵＥの情報とは、移動局ＵＥの識別情報と設定情報などである。これらの情報は、移動局ＵＥの「コンテキスト情報」と呼ばれる。

　「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」は、具体的には、次のように開始される。接続元ｅＮＢ１０は、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ（ＨＯ要求信号）」を、再接続先候補ｅＮＢ１０に送信する。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を含む。

　移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、無線基地局ｅＮＢ内で移動局ＵＥ１を一意的に特定可能な「ＰＣＩ」、「Ｃ－ＲＮＴＩ」、「ｓｈｏｒｔＭＡＣ－Ｉ」および「ｔｒａｎｓＩｄ」を含む。「ＰＣＩ（Physical Cell ID）」は、物理レイヤにおいて移動局ＵＥ１が位置するセルを識別するために必要な識別子である。「Ｃ－ＲＮＴＩ（Cell Radio Network Temporary Identifier）」は、セル内で移動局ＵＥ１を一意的に識別する識別子である。「ｓｈｏｒｔＭＡＣ－Ｉ（short Message Authentication Code I）」は、移動局ＵＥ１が用いるセキュリティパラメータである。「ｔｒａｎｓＩｄ（transaction Identifier）」は、移動局ＵＥ１と接続元ｅＮＢ１０のコネクションを管理する識別情報である。また、コンテキスト情報は、現在移動局ＵＥ１に対して設定されるＱｏＳ（Quality of Service）プロファイルなど移動局ＵＥ１の設定に用いられる様々な設定情報を含む。

　すなわち、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、移動局ＵＥ１を識別してセキュリティを確保するための識別情報と、無線リンクの確立に用いられるＱｏＳプロファイルなどの設定と通信品質を確保するための設定情報などを含む。

　接続元ｅＮＢ１０から「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信した再接続先候補ｅＮＢ１０は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報に含まれるＱｏＳプロファイルに基づいて、再接続先候補ｅＮＢ１０のリソースを確認して、移動局ＵＥ１のＨＯの受付制御を行う。再接続先候補ｅＮＢ１０は、ＨＯの受付が可能であれば、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ（ＨＯ要求応答信号）」を接続元ｅＮＢ１０に応答する。再接続先候補ｅＮＢ１０は、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を返すことで、接続元ｅＮＢ１０に移動局ＵＥ１のＨＯの受付が可能であることを通知する。そして、再接続先候補ｅＮＢ１０は、移動局ＵＥ１からのＨＯを受付ける準備として、再接続先候補ｅＮＢ１０の移動局情報記憶手段１４に、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を記憶させる。

　接続元ｅＮＢ１０は、再接続先候補ｅＮＢ１０から「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を受信し、「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ（ＳＮステータス転送信号）」を再接続先候補ｅＮＢ１０に送信する。「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」は、接続元ｅＮＢ１０と移動局ＵＥ１との無線リンクであるアップリンクとダウンリンクのＳＮ（シーケンス番号）の受信状況と送信状況を通知する信号である。

　以上が、接続元ｅＮＢ１０が実施する移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」である。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」によって、再接続先候補ｅＮＢ１０は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持して、移動局ＵＥ１からのＨＯを受け付けるための準備が完了する。

　再接続先候補ｅＮＢ１０の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１から「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ（コネクション再設定要求信号）」を受信する。「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を移動局ＵＥ１から受信した再接続先候補ｅＮＢ１０は、移動局ＵＥ１が再接続先候補ｅＮＢ１０を再接続先に選定したことを認識する。「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を移動局ＵＥ１から受信した再接続先候補ｅＮＢ１０（以下、「再接続先」という。）の呼制御手段１２は、再接続先ｅＮＢ１０の移動局情報記憶手段１４から、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を発信した移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を特定する。

　具体的には、移動局ＵＥ１から受信された「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」には、「ＰＣＩ」、「Ｃ－ＲＮＴＩ」および「ｓｈｏｒｔＭＡＣ－Ｉ」などの移動局ＵＥ１の識別情報が含まれる。再接続先候補ｅＮＢ１０の呼制御手段１２は、受信した識別情報に基づいて、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」によって移動局情報記憶手段１４に保持された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を、移動局情報記憶手段１４に記憶される情報の中から探索して特定する。

　特定された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報に基づいて、接続先ｅＮＢ１０の呼制御手段１２は、特定された移動局ＵＥ１との間で無線リンクを確立する。移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、接続元ｅＮＢ１０から移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」の実施によって、再接続先ｅＮＢ１０の移動局情報記憶手段１４に既に保持されているからである。よって、再接続先ｅＮＢ１０は、再接続を要求した移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持するので、再接続を要求した移動局ＵＥ１と再接続される。

　したがって、本実施形態では、移動局のコンテキスト情報を保持していない無線基地局への再接続が可能である。

　図３は、本発明の第１の実施形態の通信システム５００の動作を例示するシーケンス図である。図３を参照して、図１で示した通信システム５００の動作について説明する。

　移動局ＵＥ１は、接続元ｅＮＢ１０＃１がカバーするセル＃１に位置して、接続元ｅＮＢ１０＃１との間で無線リンクを確立する（Ｓ１０１）。接続元ｅＮＢ１０＃１の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１との間で無線リンクを確立したタイミングで、隣接する無線基地局ｅＮＢ１０＃２と移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を共有する（Ｓ１０２）。

　具体的には、接続元ｅＮＢ１０＃１と再接続先候補ｅＮＢ１０＃２は、以下の処理を行う。接続元ｅＮＢ１０＃１の呼制御手段１２は、基地局情報記憶手段１３に記憶される基地局情報と、移動局情報記憶手段１４に記憶される移動局情報に基づいて、再接続先候補を選定する。

　接続元ｅＮＢ１０＃１の呼制御手段１２が、例えば無線基地局ｅＮＢ１０＃２を再接続先候補として選定する。接続元ｅＮＢ１０＃１の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を、接続手段１１を介して再接続先候補ｅＮＢ１０＃２に送付する。再接続先候補ｅＮＢ１０＃２の接続手段１１は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を受信して、再接続先候補ｅＮＢ１０＃２の呼制御手段１２に送る。再接続先候補ｅＮＢ１０＃２の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を移動局情報記憶手段１４に記憶させる。

　この処理を行うには、接続元ｅＮＢ１０＃１の呼制御手段１２は、接続元ｅＮＢ１０＃１が選択した再接続先候補ｅＮＢ１０＃２に対して、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施すればよい。

　このように、接続元ｅＮＢ１０＃１との間で無線リンクを確立した移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、接続元ｅＮＢ１０＃１と再接続先候補ｅＮＢ１０＃２とで共有される。すなわち、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、接続元ｅＮＢ１０＃１が選定した再接続先候補ｅＮＢ１０＃２にも保持される。

　次に、移動局ＵＥ１が、例えば無線基地局ｅＮＢ１０＃１から無線基地局ｅＮＢ１０＃２にＨＯしたとする。すなわち、移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ１０＃２との間で無線リンクを確立する（Ｓ１０３）。このとき、無線基地局ｅＮＢ１０＃２が新たな接続元ｅＮＢ１０となる。接続元ｅＮＢ１０＃２の呼制御手段１２は、ステップ１０２と同様にして、接続元ｅＮＢ１０＃２に隣接する無線基地局ｅＮＢ１０＃３と移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を共有する（Ｓ１０４）。

　具体的には、接続元ｅＮＢ１０＃２と再接続先候補ｅＮＢ１０＃３は、次の処理を行う。接続元ｅＮＢ１０＃２の呼制御手段１２は、基地局情報記憶手段１３に記憶される基地局情報と移動局情報記憶手段１４に記憶される移動局情報に基づいて、再接続先候補を選定する。

　接続元ｅＮＢ１０＃２の呼制御手段１２が、例えば無線基地局ｅＮＢ１０＃３を再接続先候補として選定する。接続元ｅＮＢ１０＃２の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を、接続手段１１を介して再接続先候補ｅＮＢ１０＃３に送付する。再接続先候補ｅＮＢ１０＃３の接続手段１１は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を受信して、再接続先候補ｅＮＢ１０＃３の呼制御手段１２に送る。再接続先候補ｅＮＢ１０＃３の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を移動局情報記憶手段１４に記憶させる。

　この処理を行うには、接続元ｅＮＢ１０＃２の呼制御手段１２は、接続元ｅＮＢ１０＃１が選択した再接続先候補ｅＮＢ１０＃３に対して、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施すればよい。

　このように、無線基地局ｅＮＢ１０＃２への移動局ＵＥ１のＨＯによって無線リンクを確立した移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、接続元ｅＮＢ１０＃２と再接続先候補ｅＮＢ１０＃３とで共有される。すなわち、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、接続元ｅＮＢ１０＃２が選定した再接続先候補ｅＮＢ１０＃３にも保持される。

　次に、接続元ｅＮＢ１０＃２と移動局ＵＥ１との無線リンクにおいて、ＲＬＦ（Radio Link Failure：無線リンク障害）が発生したとき、接続元ｅＮＢ１０＃２の接続手段１１と移動局ＵＥ１は、ＲＬＦを検出する（Ｓ１０５）。

　移動局ＵＥ１は、ＲＬＦの検出を契機として、セル選択の処理を行う。移動局ＵＥ１は、セル選択の処理に基づいて、例えば隣接する再接続先候補ｅＮＢ１０＃３に再接続を要求する（Ｓ１０６）。

　再接続先候補ｅＮＢ１０＃３の接続手段１１は、移動局ＵＥ１からの再接続要求である「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信情報を、再接続先候補ｅＮＢ１０＃３の呼制御手段１２に通知する。「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を移動局ＵＥ１から受信した再接続先候補ｅＮＢ１０＃３は、移動局ＵＥ１が再接続先候補ｅＮＢ１０＃３を再接続先に選定したことを認識する。「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を移動局ＵＥ１から受信した再接続先候補ｅＮＢ１０＃３（以下、「再接続先」という。）の呼制御手段１２は、再接続先候補ｅＮＢ１０＃３の移動局情報記憶手段１４に記憶される情報の中から、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を発信した移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を探索して特定する。

　特定された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報に基づいて、再接続先ｅＮＢ１０＃３の呼制御手段１２は、移動局ＵＥ１との間で無線リンクを確立する（Ｓ１０７）。移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、接続元ｅＮＢ１０＃２から移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」の実施によって再接続先ｅＮＢ１０＃３の移動局情報記憶手段１４に既に保持されているからである。よって、再接続先ｅＮＢ１０＃３は、再接続を要求した移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持するので、移動局ＵＥ１と再接続される。

　なお、本実施形態では、再接続先候補ｅＮＢ１０を１局として説明したが、再接続先候補ｅＮＢ１０は１局に限定されない。再接続先候補ｅＮＢは１局でもよいし、２局以上でもよい。また、無線基地局ｅＮＢ１０を管理する移動体管理局ＭＭＥは１局として説明したが、移動体管理局ＭＭＥの局数は限定されない。例えば、移動体管理局ＭＭＥであるＡ局とＢ局があって、Ａ局に管理される無線基地局ｅＮＢ１０がカバーするセルａと、Ｂ局に管理される無線基地局ｅＮＢ１０がカバーするセルｂが接しているとする。この場合は、セルａとセルｂをそれぞれカバーする無線基地局ｅＮＢ１０を移動局ＵＥの再接続先候補ｅＮＢ１０とすることができる。すなわち、再接続先候補ｅＮＢ１０の局数および再接続先候補ｅＮＢ１０を管理する移動体管理局ＭＭＥの局数は限定されない。本再接続先候補ｅＮＢ１０は、移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施できる基地局であればその基地局を再接続先候補とすることができる。

　また、本実施形態では、基地局情報記憶手段は、接続元ｅＮＢ１０に隣接する無線基地局ｅＮＢ１０の基地局情報を記憶すると説明した。基地局情報記憶手段に記憶される基地局情報は、必ずしも接続元ｅＮＢ１０に隣接するセルをカバーする無線基地局ｅＮＢ１０の基地局情報でなくてもよい。例えば、基地局情報記憶手段に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１０がカバーするセルに一部またはすべての領域を包含されるセルをカバーする無線基地局の基地局情報を含んでもよい。すなわち、基地局情報記憶手段に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１０がカバーするセル内に飛び地（電波の受信状態が良好な、他の領域から離れた島状の領域）を有するセルや接続元ｅＮＢ１０がカバーするセル内のマイクロセルやフェムトセルをカバーする無線基地局の基地局情報、または他の移動通信システムの基地局の基地局情報を含んでもよい。

　また、基地局情報記憶手段に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１０またはその上位局が予め指定する無線基地局の基地局情報を含んでもよい。

　次に、接続元ｅＮＢ１０またはその上位局から指定される無線基地局について説明する。接続元ｅＮＢ１０がカバーするセル内に、接続元ｅＮＢ１０に隣接する無線基地局ｅＮＢ１０の飛び地が存在するとき、飛び地の周辺で、接続元ｅＮＢ１０がカバーするセル内であるにも関わらず、移動局ＵＥがＨＯもしくは再接続を不安定に繰り返すことがある。このようなとき、接続元ｅＮＢ１０またはその上位局は、この飛び地をカバーする隣接する無線基地局ｅＮＢ１０を予め指定する。

　また、接続元ｅＮＢ１０に隣接する無線基地局ｅＮＢ１０がカバーするセル内に、周辺に位置する無線基地局ｅＮＢ１０の飛び地が存在するとき、本来接続元ｅＮＢ１０から移動した移動局ＵＥは、隣接無線基地局ｅＮＢ１０がカバーするセルに移動して、隣接無線基地局ｅＮＢ１０にＨＯもしくは再接続する。しかし、移動局ＵＥは、隣接無線基地局ｅＮＢ１０のカバーするセルに存在する飛び地において、この飛び地をカバーする周辺無線基地局ｅＮＢ１０にＨＯもしくは再接続することがある。さらに、この飛び地の周辺においても、移動局ＵＥは、ＨＯもしくは再接続を不安定に繰り返すことがある。このようなときも、接続ｅＮＢ１０またはその上位局は、この飛び地をカバーする周辺の無線基地局ｅＮＢ１０を予め指定する。

　これらの場合、上述の飛び地をカバーする隣接または周辺に位置する近隣セルをカバーする近隣無線基地局ｅＮＢ１０が移動局ＵＥのコンテキスト情報を保持しないとき、移動局ＵＥからのＨＯまたは再接続は、拒否されたり、時間を要したりする。

　したがって、本実施形態では、接続元ｅＮＢ１０またはその上位局は、上述の飛び地をカバーする近隣無線基地局ｅＮＢ１０を予め指定する。そして、指定された近隣無線基地局ｅＮＢ１０の基地局情報は、基地局情報記憶手段に記憶される。そうすることで、本実施形態では、上述の飛び地またはその周辺で不安定に繰り返される移動局ＵＥのＨＯもしくは再接続を円滑にする効果が得られる。

　また、本実施形態では、移動局情報記憶手段は、無線基地局ｅＮＢ１０がカバーするセルに位置する移動局ＵＥのコンテキスト情報と再接続先候補ｅＮＢ１０として移動局ＵＥのコンテキスト情報を記憶すると説明したが、移動局情報記憶手段が記憶する情報はコンテキスト情報に限定されない。移動局情報記憶手段が記憶する情報は、例えば、移動局ＵＥが電波状態を計測したときの計測情報やその履歴情報、移動局ＵＥがセル間を移動したときの移動履歴情報や移動局ＵＥの位置を示す位置情報やその履歴情報などを含むことができる。すなわち、移動局情報記憶手段が記憶する情報は、移動局ＵＥの情報としてその情報を移動局ＵＥまたは他の無線基地局ｅＮＢ１０から取得できる情報であればよい。したがって、移動局情報記憶手段が記憶する情報は、再接続先候補の選定に使用できる情報であればよく、コンテキスト情報に限定されない。

　また、本実施形態では、移動局情報記憶手段が記憶する情報は、移動局ＵＥが位置登録しているトラッキングエリアの識別情報でもよい。例えば、呼制御手段は、移動局情報記憶手段に記憶された移動局ＵＥのトラッキングエリアの識別情報に基づいて、移動局ＵＥが位置登録している無線基地局ｅＮＢ１０を上位局に確認してもよい。この場合、呼制御手段は、確認された無線基地局ｅＮＢ１０の基地局情報を基地局情報記憶手段に記憶させて、移動局ＵＥの再接続先の選定を行なうことができる。

　また、本実施形態では、呼制御手段が再接続先候補ｅＮＢ１０の選定を行う契機は、移動局ＵＥがセルをカバーする無線基地局ｅＮＢ１０との間で無線リンクを確立したときと説明した。しかし、呼制御手段が行う再接続先候補ｅＮＢ１０の選定は、必ずしも移動局ＵＥが無線リンクを確立したときに行われなくてもよい。例えば、接続元ｅＮＢ１０が移動局ＵＥとの無線リンクにおいてＲＬＦを検出したとき、接続元ｅＮＢ１０が移動局ＵＥのＨＯ先となる無線基地局を選定するとき、あるいは移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信したときを契機として、呼制御手段は移動局ＵＥの再接続先候補の選定を行ってもよい。また、呼制御手段は、移動局ＵＥからの電波状態を計測した時の計測情報の受信を契機として、再接続先候補の選定を行ってもよいし、上位局からの指示で行ってもよい。あるいは、呼制御手段は、移動局ＵＥの再接続先の候補の選定を、ある事象を契機とするのではなく、予め設定された所定の周期で行ってもよい。すなわち、呼制御手段が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥがコネクションを確立している接続元ｅＮＢ１０が動作を行ったり、接続元ｅＮＢ１０が管理したりするタイミングや接続元ｅＮＢ１０に設定されたタイミングであればよく、特定のタイミングには限定されない。

　また、本実施形態では、接続手段が管理する接続は、無線基地局ｅＮＢ１０と移動体管理局ＭＭＥとの接続、無線基地局ｅＮＢ１０と他の無線基地局ｅＮＢ１０との接続、無線基地局ｅＮＢ１０と移動局ＵＥとの接続のそれぞれであるとして説明した。しかし、接続手段が管理する接続は、必ずしもこれらの接続に限られない。例えば、接続手段が管理する接続は、マクロセルをカバーする基地局やその上位局との接続であってもよいし、フェムトセルをカバーする基地局や他の通信システムの基地局との接続であってもよい。すなわち、接続手段が管理する接続は、移動局ＵＥとの接続を含み、移動局ＵＥが再接続先またはＨＯ先として選定することができる基地局との接続であればよい。
（第２の実施形態）
　本発明の第２の実施形態について説明する。図４は、本発明の第２の実施形態の無線基地局ｅＮＢ１００の構成を例示するブロック図である。図５は、本発明の第２の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。

　図４を参照して、本実施形態の無線基地局ｅＮＢ１００の構成について説明する。無線基地局ｅＮＢ１００は、Ｓ１インタフェース部１１０と、Ｘ２インタフェース部１１１と、ＲＲＣインタフェース部１１２と、ＲＬＦ検出部１１３と、呼制御部１２０と、基地局情報記憶部１３０と移動局コンテキスト記憶部１４０を備える。

　Ｓ１インタフェース部１１０は、Ｓ１インタフェースにしたがって無線基地局ｅＮＢ１００と無線基地局ｅＮＢ１００の上位局である移動体管理局ＭＭＥとのＳ１コネクションを管理する。Ｘ２インタフェース部１１１は、Ｘ２インタフェースにしたがって無線基地局ｅＮＢ１００と他の無線基地局ｅＮＢ１００とのＸ２コネクションを管理する。ＲＲＣインタフェース部１１２は、ＲＲＣインタフェースにしたがって無線基地局ｅＮＢ１００と移動局ＵＥとの無線リンクを管理する。ＲＬＦ検出部１１３は、無線基地局ｅＮＢ１００と移動局ＵＥとのＲＬＦの発生を検出して、呼制御部１２０に通知する。

　呼制御部１２０は、Ｓ１インタフェース部１１０と、Ｘ２インタフェース部１１１と、ＲＲＣインタフェース部１１２と、ＲＬＦ検出部１１３と、基地局情報記憶部１３０と、移動局コンテキスト記憶部１４０と移動局ＵＥを制御する。基地局情報記憶部１３０は、自局無線基地局ｅＮＢ１００がカバーするセルの近隣に位置するセルをカバーする無線基地局ｅＮＢ１００の基地局情報を記憶する。移動局コンテキスト記憶部１４０は、移動局ＵＥのコンテキスト情報を記憶する。

　無線基地局ｅＮＢ１００の動作について説明する。無線基地局ｅＮＢ１００のＲＬＦ検出部１１３は、無線基地局ｅＮＢ１００と移動局ＵＥ１との無線リンクにおいてＲＬＦを検出して、呼制御部１２０に通知する。呼制御部１２０は、ＲＬＦの検出の通知を契機として、ＨＯを制御する。また、呼制御部１２０は、ＲＲＣインタフェース部１１２から移動局ＵＥ１の「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信する。そして、呼制御部１２０は、受信された「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の情報に基づいて、移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶された情報の中から、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を特定する。特定された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報に基づいて、呼制御手段１２０は、移動局ＵＥ１との間で無線リンクを確立する。すなわち、再接続を要求した移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ１００と再接続される。

　図５は、本発明の第２の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。図５を参照して、無線基地局ｅＮＢ１００の動作について説明する。

　移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ１００＃１（図示せず）がカバーするセル＃１に位置して、無線基地局ｅＮＢ１００＃１との間で無線リンクを確立する。無線基地局ｅＮＢ１００＃１の基地局情報記憶部１４０は、無線基地局ｅＮＢ１００＃１に隣接する無線基地局ｅＮＢ１００の基地局情報、例えば、無線基地局ｅＮＢ１００＃２～＃７（それぞれがカバーするセル＃２～＃７として図示する）の基地局情報を記憶する。無線基地局ｅＮＢ１００＃１を「接続元」という。

　接続元ｅＮＢ１００＃１のＲＬＦ検出部１１３は、移動局ＵＥ１との無線リンクにおいてＲＬＦを検出すると、呼制御部１２０にＲＬＦの検出を通知する。呼制御部１２０は、ＲＬＦの検出の通知を受けて、基地局情報記憶部１３０に記憶された基地局情報に基づいて、再接続先候補となる無線基地局ｅＮＢ１００を選定する。

　接続元ｅＮＢ１００＃１の呼制御部１２０は、再接続先候補として、例えば隣接するセル＃２～＃７をカバーする無線基地局ｅＮＢ１００＃２～＃７を選定する。呼制御部１２０は、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２～７に、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を行う。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」の実施によって、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２～＃７にそれぞれ送付される。すなわち、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２～＃７の移動局コンテキスト記憶部１４０にそれぞれ記憶される。

　したがって、セル＃１に位置する移動局ＵＥ１のＲＬＦの検出を契機として、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、セル＃１に隣接するセル＃２～＃７をそれぞれカバーする再接続先候補ｅＮＢ１００＃２～＃７に保持される。

　一方、移動局ＵＥ１は、ＲＬＦの検出によってセル選択の処理を行って、例えばセル＃２をカバーする無線基地局ｅＮＢを再接続先に選択する。セル＃２をカバーする再接続先ｅＮＢ１００＃２は既に移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持するので、移動局ＵＥ１は再接続先ｅＮＢ１００＃２に再接続される。

　図５では、接続元ｅＮＢ１００＃１がカバーするセル＃１に隣接するセル（セル＃２～＃７）をカバーする無線基地局ｅＮＢ１００すべてが再接続先候補として選定されると説明した。しかし、接続元ｅＮＢ１００＃１が選定する再接続先候補は、必ずしも隣接する無線基地局ｅＮＢ１００すべてが再接続候補とされなくてもよい。例えば、移動局ＵＥからの情報、位置情報や電波状態の計測情報に基づいて、接続元ｅＮＢ１００＃１は、隣接する無線基地局ｅＮＢ１００の中から再接続先候補を絞り込んでもよい。本実施形態では、再接続先候補は、隣接する無線基地局ｅＮＢ１００から適宜選択することができる。

　また、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１００＃１がカバーするセルに一部またはすべての領域を包含されるセルをカバーする無線基地局の基地局情報を含んでもよい。すなわち、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１００＃１がカバーするセル内に飛び地を有するセルや、接続元ｅＮＢ１００＃１がカバーするセル内のマイクロセルやフェムトセルをカバーする無線基地局の基地局情報、または他の移動通信システムの基地局の基地局情報を含んでもよい。また、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１００＃１またはその上位局が予め指定する無線基地局の基地局情報を含んでもよい。

　図６は、本発明の第２の実施形態の通信システムの動作を例示するシーケンス図である。図６を参照して、本実施形態の通信システム５０１の動作について説明する。

　通信システム５０１は、移動局ＵＥ１と、無線基地局ｅＮＢ１００＃１～＃ｎ（ｎは、１以上の整数）と移動体管理局ＭＭＥ２０とを備える。

　移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ１００＃１との間で無線リンクが確立されている。接続元ｅＮＢ１００＃１は、移動局ＵＥ１との無線リンクにおいてＲＬＦを検出する（Ｓ１００１）。接続元ｅＮＢ１００＃１は、ＲＬＦの検出に基づいて、移動局ＵＥ１を特定し、移動局ＵＥ１の再接続先候補を選択する（Ｓ１００２）。例えば、接続元ｅＮＢ１００＃１の呼制御部１２０は基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報に基づいて、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３を選択する。

　接続元ｅＮＢ１００＃１は、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３への移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ（ＨＯ準備）」を実施する（Ｓ１００３）。具体的には、接続元ｅＮＢ１００＃１は、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３に、それぞれ移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ（ＨＯ要求信号）」を送信する（Ｓ１５０１）。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を含む。

　再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３は、それぞれ「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信して、受信されたコンテキスト情報に含まれるＱｏＳプロファイルに基づいて、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３のリソースをそれぞれ確認する受付制御を行う。ＨＯの受付が可能であれば、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３は、それぞれ、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ（ＨＯ要求応答信号）」を接続元ｅＮＢ１００＃１に送信する（Ｓ１５０２）。

　接続元ｅＮＢ１００＃１は、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３からそれぞれ「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を受信して、「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ（ＳＮステータス転送信号）」を送信する（Ｓ１５０３）。「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」によって、接続元ｅＮＢ１００＃１は、移動局ＵＥ１との無線リンクであるアップリンクおよびダウンリンクのＳＮ（Sequence Number。シーケンス番号）の受信状況と送信状況を再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３に通知する。

　接続元ｅＮＢ１００＃１が再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３への移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」（Ｓ１５０１、Ｓ１５０２）を実施したことよって、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ１００＃２、＃３に送信され、それぞれの移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶される。

　一方、移動局ＵＥ１は、接続元ｅＮＢ１００＃１との無線リンクにおいてＲＬＦを検出する（Ｓ１００４）。移動局ＵＥ１は、このＲＬＦの検出を契機として、セル選択の処理を行う（Ｓ１００５）。移動局ＵＥ１は、セル＃１において電波状態を計測した計測情報に基づいて、例えば、セル＃１に隣接するセル＃３を再接続先として選択する。セル＃３は、再接続先ｅＮＢ１００＃３がカバーするセルである。

　移動局ＵＥ１は、再接続先ｅＮＢ１００＃３に対して、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ（コネクション再設定要求信号）」を送信する（Ｓ１００６）。「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信した再接続先ｅＮＢ１００＃３は、移動局ＵＥ１が再接続先ｅＮＢ１００＃３を再接続先に選定したことを認識する。再接続先ｅＮＢ１００＃３は、受信された「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」に含まれる「ＰＣＩ」、「Ｃ－ＲＮＴＩ」および「ｓｈｏｒｔＭＡＣ－Ｉ」の識別情報に基づいて、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」によって保持された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を、移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶された情報の中から特定する。再接続先ＮＢ１００＃３は、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ（（コネクション再設定信号）」を、移動局ＵＥ１に送信する（Ｓ１００７）。

　移動局ＵＥ１は、再接続先ｅＮＢ１００＃３から「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ」を受信して、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ（コネクション再設定完了信号）」を送信する（Ｓ１００８）。これによって、特定された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報に基づいて、移動局ＵＥ１は、再接続先ｅＮＢ１００＃３と無線リンクを確立し、再接続される。

　再接続先ｅＮＢ１００＃３は、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」を受信して、移動局ＵＥ１に対して、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ（コネクション再構成信号）」を送信する（Ｓ１００９）。

　移動局ＵＥ１は、受信された「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ」の情報に基づいて、再接続先ｅＮＢ１００＃３との無線リンクを再構成する。

　移動局ＵＥ１は、再接続先ｅＮＢ１００＃３に対して、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ（コネクション再構成完了信号）」を送信する（Ｓ１０１０）。再接続先ｅＮＢ１００＃３は、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」を受信して、移動局ＵＥ１との無線リンクの再構成を完了する。

　再接続先ｅＮＢ１００＃３は、移動体管理局ＭＭＥ２０に対して、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ｒｅｑｕｅｓｔ（パス切替要求信号）」を送信する（Ｓ１０１１）。移動局ＵＥは、接続するセルを、再接続先ｅＮＢ１００＃３がカバーするセルに変更する。再接続先ｅＮＢ１００＃３は、移動局ＵＥが接続するセルを変更したことを、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ｒｅｑｕｅｓｔ（パス切替要求信号）」によって移動体管理局ＭＭＥ２０に通知する。移動体管理局ＭＭＥ２０は、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信して、再接続先ｅＮＢ１００＃３に、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ（パス切替要求応答信号）」を送信する（Ｓ１０１２）。移動体管理局ＭＭＥ２０は、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を送信することで、Ｓ１コネクションを接続元ｅＮＢ１００＃１から再接続先ｅＮＢ１００＃３に切替える。

　再接続先ｅＮＢ１００＃３は、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を受信して、接続元ｅＮＢ１００＃１に対して、「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ（コンテキスト解放信号）」を送信する（Ｓ１０１３）。

　再接続先ｅＮＢ１００＃３は、「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ」を送信することによって、移動局ＵＥ１との無線リンクの切替えと、移動体管理局ＭＭＥ２０とのＳ１コネクションの切替えを完了する。そして、移動局ＵＥ１のＨＯが完了する。

　このように、移動局ＵＥ１は、ＲＬＦの検出を契機として、再接続先ｅＮＢ１００＃３と再接続される。

　接続元ｅＮＢ１００＃１は、「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ」の受信を契機として、再接続先候補ｅＮＢ１００に移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施する。接続元ｅＮＢ１００＃１は、移動局ＵＥ１と再接続しなかった再接続先候補ｅＮＢ１００、例えば再接続先候補ｅＮＢ１００＃２に対しては、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ（ＨＯキャンセル信号）」を送信する（Ｓ１０１４）。

　再接続先候補ｅＮＢ１００＃２は、受信された「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ」に基づいて、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」によって記憶された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を再接続先候補ｅＮＢ１００＃２の移動局コンテキスト記憶部１４０から削除する。これによって、本実施形態は、再接続されなかった再接続先候補ｅＮＢ１００の移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を記憶していた移動局コンテキスト記憶部１４０のリソースを解放して、移動局コンテキスト記憶部１４０のリソースを有効に活用できる効果がある。

　また、本実施形態では、再接続先候補ｅＮＢ１００は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を予め設定された期間だけ保持し、その期間を過ぎた移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を削除してもよい。さらに、その期間に段階を設け、隣接するセルを管理する再接続先候補ｅＮＢ１００は、周辺に位置するセルを管理する再接続先候補ｅＮＢ１００より長い期間、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持してもよい。すなわち、接続元ｅＮＢ１００は、再接続先候補ｅＮＢ１００に移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持させるときに、その保持期間を指定してもよい。本実施形態は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持する期間を予め設けることで、再接続先候補ｅＮＢ１００の移動局コンテキスト記憶部１４０のリソースを解放して、移動局コンテキスト記憶部１４０のリソースを有効に活用できる効果が得られる。

　図７は、本発明の第２の実施形態の接続元無線基地局ｅＮＢ１００の動作を例示するフローチャートである。図８は、本発明の第２の実施形態の再接続先候補無線基地局ｅＮＢ１００の動作を例示するフローチャートである。図９は、本発明の第２の実施形態の移動局ＵＥ１の動作を例示するフローチャートである。

　図６で説明したシーケンス図において移動局ＵＥ１が無線リンクを確立している無線基地局ｅＮＢ１００＃１を、「接続元」という。また、ＲＬＦの検出を契機として、無線基地局ｅＮＢ１００＃１が再接続先候補と選定した無線基地局ｅＮＢ１００を、「再接続先候補」という（図６の無線基地局ｅＮＢ１００＃２、＃３）。再接続先候補の内、移動局ＵＥ１が再接続先と選定した無線基地局ｅＮＢ１００を、「再接続先」という（図６の無線基地局ｅＮＢ１００＃３）。

　図７、８、９の各フローチャートにおいて、図６で説明した動作シーケンスと同一のステップには同一の参照番号を付記して説明する。

　図７を参照して、本実施形態の接続元ｅＮＢ１００（図６の無線基地局ｅＮＢ１００＃１）の動作について説明する。

　接続元は、移動局ＵＥ１との無線リンクにおいてＲＬＦの検出を確認する（Ｓ１００１）。接続元は、ＲＬＦの検出を確認できなければ（Ｓ１００１：ｎｏ）、ＲＬＦの検出の確認を継続する。ＲＬＦの検出を確認できれば（Ｓ１００１：ｙｅｓ）、接続元は、ＲＬＦを検出した移動局ＵＥ１の情報に基づいて、移動局ＵＥ１の再接続先候補を選択する（Ｓ１００２）。

　接続元は、選択された再接続先候補のすべてに移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施する（Ｓ１００３）。中段のループ（Ｓ１５０１～１５０３、Ｓ１６００）は、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」の実施を示す。

　接続元は、選択された再接続先候補の内の１局に対して、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信する（Ｓ１５０１）。接続元は、再接続先候補から「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を受信できなければ（Ｓ１５０２：ｎｏ）、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」の受信を待つ。接続元は、再接続先候補から「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を受信できれば（Ｓ１５０２：ｙｅｓ）、再接続先候補に、「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」を送信する（Ｓ１５０３）。

　接続元は、再接続先候補のすべてに、「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」を送信したかを確認する（Ｓ１５９９）。接続元は、再接続先候補のすべてに送信が完了していなければ（Ｓ１５９９：ｎｏ）、送信していない再接続先候補に移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信する処理に戻る（Ｓ１５０１）。接続元は、再接続先候補のすべてに「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信していれば（Ｓ１５９９：ｙｅｓ）、再接続先から「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ」の受信を確認する（Ｓ１０１３）。

　接続元は、再接続先から「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ」の受信を確認できなければ（Ｓ１０１３：ｎｏ）、「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ」の受信の確認を継続する。接続元は、再接続先から「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ」の受信を確認できれば（Ｓ１０１３：ｙｅｓ）、再接続されなかった再接続先候補のすべてに、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ」を送信する（Ｓ１０１４）。

　図８を参照して、本実施形態の再接続先候補無線基地局ｅＮＢ１００（図６の無線基地局ｅＮＢ１００＃２、＃３）の動作について説明する。

　再接続先候補は、接続元から移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信を確認する（Ｓ１５０１）。再接続先候補は、接続元から「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信を確認できなければ（Ｓ１５０１：ｎｏ）、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信の確認を継続する。

　再接続先候補は、接続元から「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信を確認できれば（Ｓ１５０１：ｙｅｓ）、受信された「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」に含まれる移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を再接続先候補の移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶する（Ｓ１６１０）。再接続先候補は、接続元に対して「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を送信する（Ｓ１５０２）。

　再接続先候補は、接続元からの「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」の受信を確認する（Ｓ１５０３）。再接続先候補は、接続元からの「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」の受信を確認できなければ（Ｓ１５０３：ｎｏ）、「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」の受信の確認を継続する。再接続先候補は、接続元からの「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」の受信を確認できれば（Ｓ１５０３：ｙｅｓ）、受信された「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」に含まれるシーケンス情報を呼制御部１２０に記憶する（Ｓ１６２０）。

　Ｓ１５０１からＳ１６２０までのステップは、接続元による移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」の実施を示す（図７のＳ１００３に該当する）。

　再接続先候補は、移動局ＵＥ１が再接続先として選択した無線基地局（無線基地局ｅＮＢ１００＃３、再接続先）に対して送信する「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信を確認する（Ｓ１００６）。

　再接続先候補は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信を所定の期間内で確認できなければ（Ｓ１００６：ｎｏ）、接続元からの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ」の受信の確認に移る（Ｓ１０１４）。再接続先候補は、接続元からの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ」の受信を確認できなければ（Ｓ１０１４：ｎｏ）、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ」の受信の確認を継続する。

　再接続先候補は、接続元からの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ」の受信を確認できれば（Ｓ１０１４：ｙｅｓ）、受信された「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｃａｎｃｅｌ」に基づいて、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」によって再接続先候補の移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を削除する（Ｓ１０３０）。

　Ｓ１０１４とＳ１０３０のステップは、再接続先候補の内で、再接続されなかった無線基地局ｅＮＢ１００（図６の無線基地局ｅＮＢ１００＃２）の処理を示す。

　一方、再接続先候補は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信を所定の期間内で確認できれば（Ｓ１００６：ｙｅｓ）、移動局ＵＥ１が再接続先として選択した無線基地局（図６の無線基地局ｅＮＢ１００＃３、再接続先）としての処理を行う。すなわち、再接続先は、受信された「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」に含まれる情報に基づいて、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」によって記憶された移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を、移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶された情報の中から探索して特定する（Ｓ１６３０）。再接続先は、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ」を、移動局ＵＥ１に送信する（Ｓ１００７）。

　再接続先は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信を確認する（Ｓ１００８）。再接続先は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信を確認できなければ（Ｓ１００８：ｎｏ）、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信の確認を継続する。

　再接続先は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信を確認できれば（Ｓ１００８：ｙｅｓ）、移動局ＵＥ１に、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ」を送信する（Ｓ１００９）。

　再接続先は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信を確認する（Ｓ１０１０）。再接続先は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信を確認できなければ（Ｓ１０１０：ｎｏ）、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信の確認を継続する。

　再接続先は、移動局ＵＥ１からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」の受信を確認できれば（Ｓ１０１０：ｙｅｓ）、移動体管理局ＭＭＥに対して、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信する（Ｓ１０１１）。

　再接続先は、移動局ＵＥ１からの「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」の受信を確認する（Ｓ１０１２）。再接続先は、移動局ＵＥ１からの「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」の受信を確認できなければ（Ｓ１０１２：ｎｏ）、「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」の受信の確認を継続する。

　再接続先は、移動局ＵＥ１からの「Ｐａｔｈ　Ｓｗｉｔｃｈ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」の受信を確認できれば（Ｓ１０１２：ｙｅｓ）、接続元に、「ＵＥ　Ｃｏｎｔｅｘｔ　Ｒｅｌｅａｓｅ」を送信する（Ｓ１０１３）。

　Ｓ１６３０からＳ１０１３のステップは、再接続先候補の内で、再接続された無線基地局である再接続先ｅＮＢ１００（図６の無線基地局ｅＮＢ１００＃３）の処理を示す。

　図９を参照して、本実施形態の移動局ＵＥ１の動作について説明する。

　移動局ＵＥ１は、接続元との無線リンクにおいてＲＬＦの検出を確認する（Ｓ１００４）。移動局ＵＥ１は、ＲＬＦの検出を確認できなければ（Ｓ１００４：ｎｏ）、ＲＬＦの検出の確認を継続する。移動局ＵＥ１は、ＲＬＦの検出を確認できれば（Ｓ１００４：ｙｅｓ）、ＲＬＦの検出を契機として、セル選択の処理を行う（Ｓ１００５）。

　具体的には、移動局ＵＥ１は、セル＃１において計測された隣接するセルの電波状態の計測情報に基づいて、計測された隣接セルを比較し、例えば電波の受信品質の最も良好なセル＃３を選択する。すなわち、移動局ＵＥ１は、セル＃３をカバーする無線基地局ｅＮＢ１００＃３を、図８で説明した再接続先とする。

　移動局ＵＥ１は、再接続先ｅＮＢ１００＃３に対して、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信する（Ｓ１００６）。移動局ＵＥ１は、再接続先からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ」の受信を確認する（Ｓ１００７）。移動局ＵＥ１は、再接続先からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ」の受信を確認できなければ（Ｓ１００７：ｎｏ）、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ」の受信の確認を継続する。移動局ＵＥ１は、再接続先からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ」の受信を確認できれば（Ｓ１００７：ｙｅｓ）、再接続先に「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」を送信する（Ｓ１００８）。移動局ＵＥ１は、再接続先ｅＮＢ１００＃３との間で無線リンクを確立し、移動局ＵＥ１の再接続は、完了する。

　移動局ＵＥ１は、再接続先からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ」の受信を確認する（Ｓ１００９）。移動局ＵＥ１は、再接続先からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ」の受信を確認できなければ（Ｓ１００９：ｎｏ）、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ」の受信の確認を継続する。移動局ＵＥ１は、再接続先からの「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ」の受信を確認できれば（Ｓ１００９：ｙｅｓ）、受信された「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ」の情報に基づいて、再接続先との無線リンクを再設定する（Ｓ１６４０）。移動局ＵＥ１は、再接続先に対して、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ　Ｃｏｍｐｌｅｔｅ」を送信する（Ｓ１０１０）。

　このように、本実施形態では、移動局ＵＥとの無線リンクにおいてＲＬＦを検出した無線基地局ｅＮＢ１００が、無線基地局ｅＮＢ１００の基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報に基づいて再接続先候補ｅＮＢ１００を選定する。無線基地局ｅＮＢ１００は、再接続先候補ｅＮＢ１００に、移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施して、移動局ＵＥのコンテキスト情報を再接続先候補の移動局コンテキスト記憶部１４０に保持させる。

　なお、本実施形態では、再接続先候補を２局または６局として説明したが、再接続先候補の局数は特に限定されない。また、無線基地局ｅＮＢ１００を管理する移動体管理局ＭＭＥは１局として説明したが、移動体管理局ＭＭＥの局数も限定されない。例えば、移動体管理局ＭＭＥであるＡ局とＢ局があって、Ａ局が管理する無線基地局ｅＮＢ１００がカバーするセルａと、Ｂ局が管理する無線基地局ｅＮＢ１００がカバーするセルｂとが接しているとする。この場合、セルａとセルｂをそれぞれカバーする無線基地局ｅＮＢ１００を移動局ＵＥの再接続先候補とすることができる。このように、再接続先候補の局数および再接続先候補を管理する移動体管理局の局数は限定されない。本再接続先候補の無線基地局は、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」が実施できる基地局であれば再接続先候補とすることができる。

　また、本実施形態では、基地局情報記憶部は、接続元ｅＮＢ１００に隣接する無線基地局の基地局情報を記憶すると説明した。しかし、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、必ずしも接続元ｅＮＢ１００に隣接するセルをカバーする無線基地局ｅＮＢ１００の基地局情報に限られない。例えば、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１００がカバーするセルに一部またはすべての領域を包含されるセルをカバーする無線基地局の基地局情報を含んでもよい。すなわち、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１００がカバーするセル内に飛び地を有するセルや接続元ｅＮＢ１００がカバーするセル内のマイクロセルやフェムトセルをカバーする無線基地局の基地局情報、または他の移動通信システムの基地局の基地局情報を含んでもよい。また、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ１００またはその上位局が予め指定する無線基地局の基地局情報を含んでもよい。

　また、本実施形態では、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥとの無線リンクにおけるＲＬＦを検出したときと説明した。しかし、呼制御部が行う再接続先候補の選定は、必ずしも移動局ＵＥとのＲＬＦを検出したときに行われなくてもよい。例えば、移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信または移動局ＵＥが無線リンクを確立したことを契機として、呼制御部は、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を行ってもよい。呼制御部は、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を、移動局ＵＥから電波状態を計測したときの計測情報の受信したときを契機として行ってもよい。あるいは、呼制御部は、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を、ある特定の事象を契機とするのではなく、予め設定された所定の周期で行ってもよい。すなわち、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥがコネクションを確立している接続元ｅＮＢ１００が動作を行ったり、接続元ｅＮＢ１００が管理したりするタイミングや接続元ｅＮＢ１００に設定されたタイミングであればよく、特定のタイミングには限定されない。
（第３の実施形態）
　本発明の第３の実施形態について説明する。図１０は、本発明の第３の実施形態の無線基地局ｅＮＢ２００の構成を例示するブロック図である。図１１は、本発明の第３の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。図１２は、本発明の第３の実施形態の通信システム５０２の動作を例示するシーケンス図である。

　図１０を参照して、本実施形態の無線基地局ｅＮＢ２００の構成について説明する。無線基地局ｅＮＢ２００では、呼制御部２２０が変更され、移動局計測情報記憶部２４１が追加されたことが、図４で説明した第２の実施形態と相違している。したがって、同一の機能については、同一の名称と同一の番号を付記して説明を省略し、相違点について説明する。

　移動局計測情報記憶部２４１は、無線基地局ｅＮＢ２００がカバーするセル＃１に位置する移動局ＵＥ１が電波状態を計測した計測情報を、ＲＲＣインタフェース部１１２と呼制御部２２０を経由して記憶する。

　呼制御部２２０は、基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報と、移動局計測情報記憶部２４１に記憶される各移動局ＵＥが電波状態を計測したときの計測情報に基づいて、各移動局ＵＥの再接続先候補の選定を行う。

　図１１は、本発明の第３の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。図１１を参照して、無線基地局ｅＮＢ２００の動作について説明する。

　移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ２００＃１（図示せず）がカバーするセル＃１に位置して、無線基地局ｅＮＢ２００＃１との間で無線リンクを確立する。無線基地局ｅＮＢ２００＃１を「接続元」という。

　接続元ｅＮＢ２００＃１の基地局情報記憶部１３０は、接続元ｅＮＢ２００＃１に隣接する無線基地局ｅＮＢ２００の基地局情報、例えば、無線基地局ｅＮＢ２００＃２～＃７（それぞれがカバーするセル＃２～＃７として図示する）の基地局情報を記憶する。また、移動局計測情報記憶部２４１は、セル＃１に位置する移動局ＵＥ１をはじめとする各移動局ＵＥが電波状態を計測したときの計測情報を記憶する。

　接続元ｅＮＢ２００＃１の呼制御部２２０は、移動局ＵＥ１が電波状態を計測したときの計測情報を受信すると、移動局計測情報記憶部２４１に移動局ＵＥ１からの計測情報を記憶させる。呼制御部２２０は、移動局ＵＥ１からの計測情報の受信を契機として、基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報と、移動局計測情報記憶部２４１に記憶される移動局ＵＥ１からの計測情報に基づいて、移動局ＵＥ１のＨＯ先と再接続先候補を選定する。

　接続元ｅＮＢ２００＃１の呼制御部２２０は、ＨＯ先と再接続先候補として、例えば無線基地局ｅＮＢ２００＃２、＃３、＃７を選定する。接続元ｅＮＢ２００＃１の呼制御部２２０は、再接続先候補ｅＮＢ２００＃２、＃３、＃７に移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を行う。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を行うことによって、移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶される移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ２００＃２、＃３、＃７に送付され、それぞれの移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶される。

　したがって、セル＃１に位置する移動局ＵＥ１からの計測情報の受信を契機として、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、セル＃１に隣接するセル＃２、＃３、＃７をそれぞれカバーする再接続先候補ｅＮＢ２００＃２、＃３、＃７に保持される。

　移動局ＵＥ１は、ＨＯ先へのＨＯの失敗や、ＲＬＦの検出を契機として、セル選択の処理を行う。例えば、移動局ＵＥ１がセル＃３を再接続先に選択したとき、移動局ＵＥ１は、セル＃３をカバーする再接続先候補ｅＮＢ２００＃３には移動局ＵＥ１のコンテキスト情報が既に保持されているので、再接続先候補ｅＮＢ２００＃３と再接続される。

　図１２は、本発明の第３の実施形態の通信システム５０２の動作を例示するシーケンス図である。図１２を参照して、本実施形態の通信システム５０２の動作について説明する。図１２の本実施形態の通信システム５０２の動作シーケンスは、図６で説明した第２の実施形態の通信システム５０１の動作シーケンスと、上段部分のシーケンスが相違している。したがって、図６で説明した第２の実施形態と同一のシーケンスについては、同一の名称と同一の番号を付記し、相違点について説明する。

　通信システム５０２は、移動局ＵＥ１と、無線基地局ｅＮＢ２００＃１～＃ｎ（ｎは、１以上の整数）と移動体管理局ＭＭＥ２０とを備える。移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ２００＃１との間で無線リンクが確立されている。

　移動局ＵＥ１は、電波状態を計測したときの計測情報として「Ｍｅａｓｕｒｅｍｅｎｔ　Ｒｅｐｏｒｔ（計測レポート信号）」を接続元ｅＮＢ２００＃１に送信する（Ｓ２００１）。接続元ｅＮＢ２００＃１は、移動局ＵＥ１から「Ｍｅａｓｕｒｅｍｅｎｔ　Ｒｅｐｏｒｔ」を受信して移動局ＵＥ１の計測情報として移動局計測情報記憶部２４１に記憶させる。

　そして、接続元ｅＮＢ２００＃１は、基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報と、移動局計測情報記憶部２４１に記憶される移動局ＵＥ１からの計測情報に基づいて、ハンドオーバ先無線基地局（以下、「ＨＯ先」という。）を選択する（Ｓ２００２）。例えば、移動局ＵＥ１の電波状態の計測情報は、隣接する無線基地局ｅＮＢ２００＃２～＃７の電波状態の計測情報を含む。接続元ｅＮＢ２００＃１の呼制御部２２０は、隣接する無線基地局ｅＮＢ２００＃２～＃７の移動局ＵＥ１からの計測情報を比較して、ＨＯ先を選択する。すなわち、無線基地局ｅＮＢ２００＃１の呼制御部２２０は、電波の受信品質の最も良好な、例えば無線基地局ｅＮＢ２００＃２をＨＯ先に選択する。

　接続元ｅＮＢ２００＃１は、ＨＯ先ｅＮＢ２００＃２に、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施する（Ｓ２００３）。具体的には、接続元ｅＮＢ２００＃１は、ＨＯ先ｅＮＢ２００＃２に移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信する（Ｓ１５０１）。ＨＯ先ｅＮＢ２００＃２は、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信して、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を応答する（Ｓ１５０２）。接続元ｅＮＢ２００＃１は、ＨＯ先ｅＮＢ２００＃２から「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を受信して、ＨＯ先ｅＮＢ２００＃２に「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」を送信する（Ｓ１５０３）。Ｓ２００１からＳ２００３のシーケンスによって、移動局ＵＥ１のＨＯ先ｅＮＢ２００＃２へのＨＯの準備が完了する。

　接続元ｅＮＢ２００＃１は移動局ＵＥ１のＨＯ先を選定したが、移動局ＵＥ１が同一のＨＯ先を選択するとは限らない。なぜなら、移動局ＵＥ１はＨＯ先を接続元ｅＮＢ２００＃１とは独立して選択するためである。また、移動局ＵＥ１が選択したＨＯ先に、移動局ＵＥ１がＨＯを成功できるとは限らない。なぜなら、ＨＯ先が移動局ＵＥ１を収容できないときは、ＨＯが成功しないからである。

　そのため、接続元ｅＮＢ２００＃１は、ＨＯ先以外で、移動局ＵＥ１の再接続先候補をさらに選択する（Ｓ１００２）。例えば、接続元ｅＮＢ２００＃１の呼制御部２２０は、移動局計測情報記憶部２４１に記憶される移動局ＵＥ１が計測したときの隣接する無線基地局ｅＮＢ２００＃２～＃７の電波状態の計測情報を比較して、再接続先候補を選択する。接続元ｅＮＢ２００＃１の呼制御部２２０は、電波の受信品質の比較的良好な、例えば無線基地局ｅＮＢ２００＃３、＃７を選択する。

　接続元ｅＮＢ２００＃１は、再接続先候補ｅＮＢ２００＃３、＃７に移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施する（Ｓ１００３）。具体的には、再接続先候補ｅＮＢ２００＃３、＃７（図１２では、無線基地局ｅＮＢ２００＃３を図示し、他を省略する）に、それぞれ移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信する（Ｓ１５０１）。再接続先候補ｅＮＢ２００＃３、＃７は、それぞれ「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信して、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を応答する（Ｓ１５０２）。接続元ｅＮＢ２００＃１は、再接続先候補ｅＮＢ２００＃３、＃７からそれぞれ「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ　Ａｃｋｎｏｗｌｅｄｇｅ」を受信して、「ＳＮ　Ｓｔａｔｕｓ　Ｔｒａｎｓｆｅｒ」を送信する（Ｓ１５０３）。

　Ｓ２００２からＳ１００３のシーケンスによって、接続元ｅＮＢ２００＃１は、ＨＯ先ｅＮＢ２００＃２と、再接続先候補ｅＮＢ２００＃３、＃７に、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を保持させる。

　接続元ｅＮＢ２００＃１は、移動局ＵＥ１に対して、ＨＯ先に無線リンクを再設定するために、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ（コネクション再構成信号）」を送信する（Ｓ２００４）。すなわち、接続元ｅＮＢ２００＃１は移動局ＵＥ１にＨＯ先ｅＮＢ２００＃２にＨＯするよう通知する。

　移動局ＵＥ１は指定されたＨＯ先ｅＮＢ２００＃２へのＨＯを失敗したとき、またはＲＬＦを検出したとき、セル選択の処理を行う（Ｓ２００５）。移動局ＵＥ１は、セル選択の処理によって再接続先に、例えば、無線基地局ｅＮＢ２００＃３を選択する。

　移動局ＵＥ１は、再接続先ｅＮＢ２００＃３に対して、「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を送信する（Ｓ１００６）。Ｓ１００６からＳ１０１４のシーケンスは、図６で説明したシーケンスと同一であり、説明を省略する。

　再接続先ｅＮＢ２００＃３は、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を既に保持するので、移動局ＵＥ１の「ＲＲＣ　Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ　Ｒｅ－ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」を受信して、移動局ＵＥ１との無線リンクを確立できる。

　このように、本実施形態では、移動局ＵＥが電波状態を計測したときの計測情報「Ｍｅａｓｕｒｅｍｅｎｔ　Ｒｅｐｏｒｔ」の受信を契機として、無線基地局ｅＮＢ２００は、ＨＯ先と再接続先候補を選定する。無線基地局ｅＮＢ２００は、選定したＨＯ先ｅＮＢ２００と再接続先候補ｅＮＢに移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施して、移動局ＵＥのコンテキスト情報を、ＨＯ先と再接続先候補に保持させる。よって、本実施形態では、ＨＯ先と再接続先候補には移動局ＵＥのコンテキスト情報が既に保持されるので、移動局ＵＥが選定したＨＯ先が異なっても、ＨＯを失敗しても、またはＲＬＦを検出しても、移動局ＵＥは再接続またはＨＯができる。

　なお、本実施形態では、再接続先候補ｅＮＢ２００を１局または２局として説明したが、再接続先候補ｅＮＢ２００は３局以上でもよい。また、無線基地局ｅＮＢ２００を管理する移動体管理局ＭＭＥは１局として説明したが、移動体管理局ＭＭＥの局数は限定されない。例えば、移動体管理局ＭＭＥであるＡ局とＢ局があって、Ａ局が管理する無線基地局ｅＮＢ２００がカバーするセルａと、Ｂ局が管理する無線基地局ｅＮＢ２００がカバーするセルｂとが隣接しているとする。この場合、セルａとセルｂをそれぞれカバーする無線基地局ｅＮＢ２００を移動局ＵＥの再接続先候補ｅＮＢ２００とすることができる。このように、再接続先候補の局数および再接続先候補を管理する移動体管理局の局数は限定されない。本再接続先候補の無線基地局は、「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」が実施できる基地局であれば再接続先候補とすることができる。

　また、本実施形態では、基地局情報記憶部は、接続元ｅＮＢ２００＃１に隣接する基地局ｅＮＢ２００の基地局情報を記憶すると説明した。しかし、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、必ずしも接続元ｅＮＢ２００＃１に隣接するセルをカバーする無線基地局ｅＮＢ２００の基地局情報に限られない。例えば、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ２００＃１がカバーするセルに一部またはすべての領域を包含されるセルをカバーする無線基地局の基地局情報を含んでもよい。すなわち、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ２００＃１がカバーするセル内に飛び地を有するセルや接続元ｅＮＢ２００＃１がカバーするセル内のマイクロセルやフェムトセルをカバーする無線基地局の基地局情報、または他の移動通信システムの基地局の基地局情報を含んでもよい。また、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ２００＃１またはその上位局が予め指定する無線基地局の基地局情報を含んでよい。

　また、本実施形態では、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥからの電波状態を計測したときの計測情報を受信したときと説明した。しかし、呼制御部が行う再接続先の選定は、必ずしも移動局ＵＥからの計測情報を受信したときに行われなくてもよい。例えば、移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信したとき、移動局ＵＥとの無線リンクにおけるＲＬＦを検出したときまたは移動局ＵＥが無線リンクを確立したときを契機として、呼制御部は、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を行ってもよい。また、呼制御部は、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を、ある特定の事象を契機とするのではなく、予め設定された所定の周期で行ってもよい。すなわち、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥがコネクションを確立している接続元ｅＮＢ２００が動作を行ったり、接続元ｅＮＢ２００が管理したりするタイミングや接続元ｅＮＢ２００に設定されたタイミングであればよく、特定のタイミングには限定されない。
（第４の実施形態）
　本発明の第４の実施形態について説明する。図１３は、本発明の第４の実施形態の無線基地局ｅＮＢ３００の構成を例示するブロック図である。図１４は、本発明の第４の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。

　図１３を参照して、本実施形態の無線基地局ｅＮＢ３００の構成について説明する。無線基地局ｅＮＢ３００では、呼制御部３２０が変更され、移動局履歴情報記憶部３４１が追加されたことが、図４で説明した第２の実施形態と相違している。したがって、同一の機能については、同一の名称と同一の番号を付記して説明を省略し、相違点について説明する。

　移動局履歴情報記憶部３４１は、無線基地局ｅＮＢ３００＃１がカバーするセル＃１に位置する移動局ＵＥ１の無線基地局の履歴情報を記憶する。例えば、移動局履歴情報記憶部３４１は、移動局ＵＥ１がセル＃５からセル＃１に移動し、セル＃１からセル＃３に移動したことが、その移動した時刻とともに履歴情報として記憶される。

　呼制御部３２０は、基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報と、移動局履歴情報記憶部３４１に記憶される各移動局ＵＥの履歴情報に基づいて、各移動局ＵＥの再接続先候補を選定する。

　図１４は、本発明の第４の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。図１４を参照して、無線基地局ｅＮＢ３００の動作について説明する。

　移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ３００＃１（図示せず）がカバーするセル＃１に位置して、無線基地局ｅＮＢ３００＃１との間で無線リンクを確立する。無線基地局ｅＮＢ３００＃１を「接続元」という。

　接続元ｅＮＢ３００＃１の基地局情報記憶部１３０は、隣接する無線基地局ｅＮＢ３００の基地局情報、例えば、無線基地局ｅＮＢ３００＃２～＃７（それぞれがカバーするセル＃２～＃７として図示する）の基地局情報を記憶する。また、移動局履歴情報記憶部３４１は、セル＃１に位置する移動局ＵＥ１をはじめとする各移動局ＵＥのセル＃１への履歴情報を記憶する。例えば、各移動局ＵＥが、セル＃１にどのセルからどの時刻に移動してきたかの履歴情報、および各移動局ＵＥが、セル＃１からどのセルにどの時刻に移動していったかの履歴情報が、無線基地局ｅＮＢ３００＃１の移動局履歴情報記憶部３４１に記憶される。すなわち、移動局履歴情報記憶部３４１は、各移動局ＵＥのそれぞれがセル＃１に出入した移動履歴情報を記憶する。

　例えば、セル＃１、＃３、＃５、＃８をそれぞれカバーする無線基地局ｅＮＢ３００＃１、＃３、＃５、＃８の移動局履歴情報記憶部３４１は、出勤時間帯における移動局ＵＥ１の移動履歴ルートＲ－１を記憶する。すなわち、セル＃５→セル＃１→セル＃３→セル＃８の移動履歴ルートＲ－１が、各セルをカバーする無線基地局ｅＮＢ３００に記憶される。また、帰宅時間帯では、セル＃８→セル＃３→セル＃４→セル＃５の移動履歴ルートＲ－２が、各セルをカバーする無線基地局ｅＮＢ３００に記憶される。

　接続元ｅＮＢ３００＃１のＲＬＦ検出部１１３は、移動局ＵＥ１との無線リンクにおいてＲＬＦを検出すると、呼制御部３２０にＲＬＦの検出を通知する。呼制御部３２０は、ＲＬＦの検出の通知を契機として、基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報と、移動局履歴情報記憶部３４１に記憶される移動局ＵＥ１の履歴情報に基づいて、移動局ＵＥ１の再接続先候補ｅＮＢ３００を選定する。

　すなわち、接続元ｅＮＢ３００＃１の呼制御部３２０は、移動局ＵＥ１の履歴情報から、出勤時間帯であれば、移動履歴ルートＲ－１に基づいて、無線基地局ｅＮＢ３００＃３に移動すると判断する。その判断結果に基づいて、接続元ｅＮＢ３００＃１の呼制御部３２０は、隣接無線基地局の内、移動局ＵＥ１の再接続先候補として無線基地局ｅＮＢ３００＃３を選定する。

　接続元ｅＮＢ３００＃１の呼制御部３２０は、再接続先候補ｅＮＢ３００＃３に対して、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を行う。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を行うことによって、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ３００＃３に送付される。移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ３００＃３の移動局コンテキスト記憶部１４０に記憶される。

　したがって、セル＃１に位置する移動局ＵＥ１のＲＬＦの検出を契機として、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、セル＃１に隣接するセル＃３をカバーする再接続先候補ｅＮＢ３００＃３に保持される。移動局ＵＥ１の次の移動先であるセル＃３をカバーする再接続先候補ｅＮＢ３００＃３が移動局ＵＥ１のコンテンツ情報を既に保持するので、移動局ＵＥ１は、再接続先候補ｅＮＢ３００＃３と再接続できる。

　このように、本実施形態では、移動局ＵＥとの無線リンクにおけるＲＬＦの検出を契機として、無線基地局ｅＮＢ３００は、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報と、移動局履歴情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの履歴情報に基づいて、再接続先候補を選定する。無線基地局ｅＮＢ３００は、再接続先候補に移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を実施して、移動局ＵＥのコンテキスト情報を、再接続先候補に保持させる。よって、再接続先候補に移動局ＵＥのコンテキスト情報が保持されるので、移動局ＵＥは、再接続先候補と再接続される。

　なお、本実施形態では、移動局履歴情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの履歴情報に基づいて、再接続先候補を１局として説明したが、再接続先候補は、２局以上でもよい。例えば、呼制御部は、３局以上の隣接基地局ｅＮＢ３００を再接続先候補としてもよい。

　また、移動局履歴情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの履歴情報を、無線基地局ｅＮＢ３００がカバーするセルへの出入りの移動履歴情報として説明したが、移動局履歴情報記憶部に記憶される履歴情報は、セルへの出入りの移動履歴情報に限定されない。例えば、本実施形態の履歴情報は、移動局ＵＥが電波状態を計測したときの計測履歴情報でもよい。すなわち、移動局ＵＥが電波状態を計測したときの計測履歴情報に基づいて、隣接する各セルの電波の受信品質が最も上昇傾向を示しているセルをカバーする無線基地局が、ＨＯ先もしくは再接続先候補として選定されてもよい。また、本実施形態の履歴情報は、移動局ＵＥが測位したときの位置情報の位置履歴情報でもよい。すなわち、移動局ＵＥが測位したときの位置情報の位置履歴情報に基づいて、移動局ＵＥの移動速度とその方向を判定し、その判定結果によってＨＯ先もしくは再接続先候補とする無線基地局が選定されてもよい。また、本実施形態の履歴情報は、移動局ＵＥが電波状態を計測した計測情報と、その計測を行ったときに測位した位置情報とを含む計測位置履歴情報でもよい。

　すなわち、本実施形態では、基地局情報と移動局履歴情報に基づいて、再接続先候補を選定できる情報であれば、移動局履歴情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの履歴情報は限定されない。

　また、本実施形態では、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ３００＃１に隣接する基地局ｅＮＢ３００の基地局情報であると説明した。しかし、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、必ずしも接続元ｅＮＢ３００＃１に隣接するセルをカバーする無線基地局ｅＮＢ３００の基地局情報に限られない。例えば、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ３００＃１がカバーするセルに一部またはすべての領域を包含されるセルをカバーする無線基地局の基地局情報を含んでもよい。すなわち、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ３００＃１がカバーするセル内に飛び地を有するセルや接続元ｅＮＢ３００＃１がカバーするセル内のマイクロセルやフェムトセルをカバーする無線基地局の基地局情報、または他の移動通信システムの基地局の基地局情報を含んでもよい。また、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ３００＃１またはその上位局が予め指定する無線基地局の基地局情報を含んでもよい。

　また、本実施形態では、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥとの無線リンクにおけるＲＬＦを検出したときと説明した。しかし、呼制御部が行う再接続先候補の選定は、必ずしも移動局ＵＥとのＲＬＦを検出したときに行われなくてもよい。例えば、移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信または移動局ＵＥが無線リンクを確立したときを契機として、呼制御部は移動局ＵＥの再接続先候補の選定を行ってもよい。また、呼制御部は、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を、予め設定された所定の周期で行ってもよいし、移動局ＵＥから電波状態を計測した計測情報を受信したときを契機として行ってもよい。すなわち、本実施形態では、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥがコネクションを確立している接続元ｅＮＢ３００が動作を行ったり、接続元ｅＮＢ３００が管理したりするタイミングや接続元ｅＮＢ３００に設定されたタイミングであればよく、特定のタイミングに限定されない。
（第５の実施形態）
　本発明の第５の実施形態について説明する。図１５は、本発明の第５の実施形態の無線基地局ｅＮＢ４００の構成を例示するブロック図である。図１６は、本発明の第５の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。

　図１５を参照して、本実施形態の無線基地局ｅＮＢ４００の構成について説明する。

　無線基地局ｅＮＢ４００では、呼制御部４２０が変更され、位置情報判定部４２１と移動局位置情報記憶部４４１が追加されたことが、図４で説明した第２の実施形態と相違している。したがって、同一の機能については、同一の名称と同一の番号を付記して説明を省略し、相違点について説明する。

　移動局位置情報記憶部４４１は、無線基地局ｅＮＢ４００＃１がカバーするセル＃１に位置する移動局ＵＥ１からの位置情報を記憶する。例えば、移動局位置情報記憶部４４１は、移動局ＵＥ１の位置を示す位置情報として、移動局ＵＥ１が逐次測位したときの位置情報をＲＲＣインタフェース部１２０と呼制御部４３０を経由して受信し、記憶する。

　呼制御部４２０は、基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報と、移動局位置情報記憶部４４１に記憶される各移動局ＵＥの位置情報に基づいて、各移動局ＵＥの再接続先候補を選定する。

　位置情報判定部４２１は、呼制御部４２０が移動局ＵＥ１の再接続先候補を判断する際に、移動局ＵＥ１の位置情報を地理情報、例えば地図情報と比較判断して幹線道路を南下中と判定し、呼制御部４２０に通知する。

　図１６は、本発明の第５の実施形態の動作を例示するセル配置の説明図である。図１６を参照して、無線基地局ｅＮＢ４００の動作について説明する。

　移動局ＵＥ１は、無線基地局ｅＮＢ４００＃１（図示せず）のカバーするセル＃１に位置して、無線基地局ｅＮＢ４００＃１との間で無線リンクを確立する。無線基地局ｅＮＢ４００＃１を「接続元」という。

　接続元ｅＮＢ４００＃１の呼制御部４２０の基地局情報記憶部１３０は、接続元ｅＮＢ４００＃１に隣接する無線基地局ｅＮＢ４００の基地局情報、例えば、無線基地局ｅＮＢ４００＃２～＃７（それぞれがカバーするセル＃２～＃７として図示する）の基地局情報を記憶する。また、移動局位置情報記憶部４４１は、セル＃１に位置する移動局ＵＥ１をはじめとする各移動局ＵＥのセル＃１での位置情報を記憶する。例えば、各移動局ＵＥが、セル＃１で測位したときの緯度と経度の位置情報が、接続元ｅＮＢ４００＃１の移動局位置情報記憶部４４１に記憶される。すなわち、移動局ＵＥ１の位置情報は、例えばポイントＰ－３、Ｐ－２、Ｐ－１とＰ－０の４つの位置情報として記録される。

　接続元ｅＮＢ４００＃１のＲＬＦ検出部１１３は、移動局ＵＥ１との無線リンクにおいてＲＬＦを検出すると、呼制御部４２０にＲＬＦの検出を通知する。呼制御部４２０は、ＲＬＦの検出の通知を契機として、基地局情報記憶部１３０に記憶される基地局情報と、移動局位置情報記憶部４４１に記憶される移動局ＵＥ１の位置情報に基づいて、移動局ＵＥ１の再接続先候補を選定する。

　すなわち、接続元ｅＮＢ４００＃１の呼制御部４２０は、移動局ＵＥ１の位置情報である、ポイントＰ－３、Ｐ－２、Ｐ－１とＰ－０の４つの位置情報を移動局位置情報記憶部４４１から取得する。呼制御部４２０は、取得された移動局ＵＥ１の位置情報を、位置情報判定部４２１に送る。位置情報判定部４２１は、移動局ＵＥ１の位置情報と地理情報とを比較する。例えば、移動局ＵＥ１の位置情報と地図情報を比較して、位置情報判定部４２１は、移動局ＵＥ１が幹線道路を移動中で、次の移動先のセルがセル＃２とセル＃３であるとの判定結果を呼制御部４２０に通知する。その判定結果に基づいて、呼制御部４２０は、隣接無線基地局の内、移動局ＵＥ１の再接続先候補として隣接無線基地局ｅＮＢ４００＃２、＃３を選定する。接続元ｅＮＢ４００＃１の呼制御部４２０は、再接続先候補ｅＮＢ４００＃２、＃３に対して、移動局ＵＥ１の「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を行う。「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｐｒｅｐａｒａｔｉｏｎ」を行うことによって、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ４００＃２、＃３にそれぞれ送付される。移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、再接続先候補ｅＮＢ４００＃２、＃３の移動局コンテキスト記憶部１４０にそれぞれ記憶される。

　したがって、セル＃１に位置する移動局ＵＥ１のＲＬＦの検出を契機として、移動局ＵＥ１のコンテキスト情報は、セル＃１に隣接するセル＃２とセル＃３をカバーする再接続先候補ｅＮＢ４００＃２、＃３に保持される。よって、移動局ＵＥ１がセル＃３に再接続を要求したとき、セル＃３をカバーする再接続先候補ｅＮＢ４００＃３は移動局ＵＥ１のコンテキスト情報を既に保持するので、移動局ＵＥ１は、再接続先候補ｅＮＢ４００＃３と再接続される。

　なお、本実施形態では、再接続先候補ｅＮＢ４００を２局として説明したが、再接続先候補ｅＮＢ４００は１局でもよいし、３局以上でもよい。例えば、呼制御部は、４局以上の隣接基地局ｅＮＢ４００を再接続先候補として選定してもよい。

　また、本実施形態では、移動局位置情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの位置情報は、移動局ＵＥが測位した位置情報であるとして説明した。しかし、移動局位置情報記憶部に記憶される位置情報は、移動局ＵＥが測位したときの位置情報に限定されない。例えば、移動局位置情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの位置情報は、各店舗にユニークに設けられたバーコード情報を移動局ＵＥが読み取って収集された情報でもよい。すなわち、本実施形態では、移動局位置情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの位置情報は、移動局ＵＥの位置を示す情報であればよく、再接続先候補の選定に用いられる情報であればよい。

　また、本実施形態では、位置情報判定部は、移動局位置情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの位置情報と地図情報を比較し、所定の判定を行うと説明した。しかし、位置情報判定部が位置情報の比較に使用する地理情報は、必ずしも地図情報でなくてもよい。位置情報判定部が比較に使用する地理情報は、例えば、各店舗の配置を示した図であってもよいし、各基地局を示したセル配置図であってもよいし、各セルとの境界を示す位置情報でもよい。

　また、位置情報判定部は、移動局位置情報記憶部に記憶される移動局ＵＥの位置情報と地理情報に基づいて、隣接無線基地局ｅＮＢ４００の２局を移動局ＵＥの移動先のセル（以降、移動先セルという。）と判定すると説明した。しかし、移動先セルは、必ずしも隣接無線基地局ｅＮＢ４００がカバーする隣接セルに限定されない。例えば、位置情報判定部は、移動局ＵＥの位置情報と地理情報に基づいて、隣接無線基地局ｅＮＢ４００のさらに先に位置する周辺無線基地局がカバーする周辺セルも移動先セルのセルとして判定してもよい。

　また、本実施形態では、基地局情報記憶部は、接続元ｅＮＢ４００＃１に隣接する基地局ｅＮＢ４００の基地局情報を記憶すると説明した。しかし、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、必ずしも接続元ｅＮＢ４００に隣接するセルをカバーする無線基地局ｅＮＢ４００の基地局情報に限られない。例えば、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ４００＃１がカバーするセルに、一部またはすべての領域を包含されるセルをカバーする無線基地局の基地局情報を含んでもよい。すなわち、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ４００＃１がカバーするセル内に飛び地を有するセルや接続元ｅＮＢ４００＃１がカバーするセル内のマイクロセルやフェムトセルをカバーする無線基地局の基地局情報、または他の移動通信システムの基地局の基地局情報を含んでもよい。また、基地局情報記憶部に記憶される基地局情報は、接続元ｅＮＢ４００＃１またはその上位局が予め指定する無線基地局の基地局情報を含んでもよい。

　また、本実施形態では、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥとの無線リンクにおけるＲＬＦの検出タイミングに限定されない。例えば、呼制御部は、移動局ＵＥの「Ｈａｎｄｏｖｅｒ　Ｒｅｑｕｅｓｔ」の受信または移動局ＵＥによる無線リンクの確立を契機として、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を行ってもよい。呼制御部は、移動局ＵＥから電波状態を計測したときの計測情報の受信を契機として、再接続先候補の選定を行ってもよい。あるいは、呼制御部は、移動局ＵＥの再接続先候補の選定を、ある事象を契機とするのではなく、予め設定された所定の周期で行ってもよい。すなわち、呼制御部が再接続先候補の選定を行う契機は、移動局ＵＥがコネクションを確立している接続元ｅＮＢ４００が動作を行ったり、接続元ｅＮＢ４００が管理したりするタイミングや接続元ｅＮＢ４００に設定されたタイミングであればよく、特定のタイミングには限定されない。

　以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

　例えば、移動局ＵＥの再接続先候補の選定に、第３から第５の実施形態で説明した移動局ＵＥの計測情報、履歴情報、位置情報を適宜選択して使用したり、あるいはそれらの情報を組み合わせて使用したりすることができる。

　例えば、再接続先候補の選定に使用する移動局情報は、移動局が電波状態を計測した計測履歴情報であってもよいし、移動局が測位した位置履歴情報であってもよい。また、移動局情報は、移動局のセル間の移動履歴情報であってもよい。

　この出願は、２０１３年３月８日に出願された日本出願特願２０１３－０４６０４３を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

　１　　移動局ＵＥ
　１０、１００、２００、３００、４００　　無線基地局ｅＮＢ
　１１　　接続手段
　１２　　呼制御手段
　１３　　基地局情報記憶手段
　１４　　移動局情報記憶手段
　２０　　移動体管理局ＭＭＥ
　１１０　　Ｓ１インタフェース部
　１１１　　Ｘ２インタフェース部
　１１２　　ＲＲＣインタフェース部
　１１３　　ＲＬＦ検出部
　１２０、２２０、３２０、４２０　　呼制御部
　１３０　　基地局情報記憶部
　１４０　　移動局コンテキスト記憶部
　２４１　　移動局計測情報記憶部
　３４１　　移動局履歴情報記憶部
　４２１　　位置情報判定部
　４４１　　移動局位置情報記憶部
　５００、５０１、５０２　　通信システム

Claims

　第１セルと一部の領域を共有する第２セルを管理する管理基地局の情報である基地局情報を記憶する基地局情報記憶手段と、
　前記第１セルでコネクションを設定している第１移動局、前記管理基地局および前記管理基地局の上位局を含むコネクションを設定する接続手段と、
　前記第１移動局の識別情報と設定情報を備えたコンテキスト情報を含む移動局の情報である移動局情報を記憶する移動局情報記憶手段と、
　前記第１セルを管理し、所定のタイミングで前記第１移動局の再接続先の候補とする候補基地局を前記基地局情報と前記移動局情報に基づいて選定し、前記候補基地局に前記第１移動局の前記コンテキスト情報を保持させる呼制御手段と
を備えることを特徴とする無線基地局。
　前記第２セルは、
　前記第１セルに隣接するセル、
　前記第１セルに一部もしくはすべての領域を包含されるセル、
　前記第１セルと隣接しない、前記基地情報記憶手段に予め設定されたセル、または、
　前記第１移動局が位置登録しているトラッキングエリアに対応するセルを含む
ことを特徴とする請求項１に記載の無線基地局。
　前記タイミングは、
　前記上位局からの指示によって決定されるタイミング、
　前記呼制御手段に予め設定された間隔によって決定されるタイミング、
　前記第１移動局が第１セルにおいてコネクションを設定したタイミング、または、
　前記第１移動局のハンドオーバ先無線基地局を前記呼制御手段が選定したタイミングを含む
ことを特徴とする請求項１または２に記載の無線基地局。
　前記接続手段は、前記第１移動局とのコネクションにおける無線障害の発生を検出して前記呼制御手段に通知する手段を備え、
　前記タイミングは、前記無線障害の発生を検出した通知を前記呼制御手段が受領したタイミングを含む
ことを特徴とする請求項３に記載の無線基地局。
　前記移動局情報は、前記第１移動局によって計測された電波状態の計測情報または前記計測情報の計測履歴情報を含み、
　前記タイミングは、前記第１移動局から前記計測情報を前記呼制御手段が受領したタイミングを含む
ことを特徴とする請求項３または４に記載の無線基地局。
　前記移動局情報は、前記第１移動局の位置を示す位置情報または前記位置情報の位置履歴情報を含み、
　前記位置情報と予め記憶の地理情報に基づいて、前記第１移動局の位置情報を判定し、前記判定の結果を前記呼制御手段に通知する位置情報判定手段を備え、
　前記タイミングは、前記第１移動局から前記位置情報を前記呼制御手段が受領したタイミングを含む
ことを特徴とする請求項３から５のいずれか１項に記載の無線基地局。
　前記移動局情報は、
前記第１移動局が前記第１セルと他のセルとのセル間の移動履歴情報を含む
ことを特徴とする請求項１から６のいずれか１項に記載の無線基地局。
　前記呼制御手段は、
　前記候補基地局に保持させた前記第１移動局の前記コンテキスト情報の削除、または、保持する期間を指示する
ことを特徴とする請求項１から７のいずれか１項に記載の無線基地局。
　無線基地局が備えるコンピュータを、
　第１セルの一部の領域を共有する第２セルを管理する管理基地局の情報である基地局情報を記憶する基地局情報記憶手段と、
　前記第１セルでコネクションを設定している第１移動局、前記管理基地局および前記管理基地局の上位局を含むコネクションを設定する接続手段と、
　前記第１移動局の識別情報と設定情報を備えたコンテキスト情報を含む移動局の情報である移動局情報を記憶する移動局情報記憶手段と、
　前記第１セルを管理し、所定のタイミングで前記第１移動局の再接続先の候補となる候補基地局を前記基地局情報と前記移動局情報に基づいて選定し、前記候補基地局に前記第１移動局の前記コンテキスト情報を保持させる呼制御手段として、
動作させるための無線基地局通信制御プログラムを格納した非一時的な記憶媒体。
　第１セルの一部の領域を共有する第２セルを管理する管理基地局の情報である基地局情報と、前記第１セルでコネクションを設定している第１移動局の識別情報と設定情報を備えたコンテキスト情報を含む前記第１移動局の情報である移動局情報を記憶し、
　所定のタイミングで前記第１移動局の再接続先の候補となる候補基地局を前記基地局情報と前記移動局情報に基づいて選定し、
　前記候補基地局に前記第１移動局の前記コンテキスト情報を保持させる
通信制御方法。