WO2014125943A1 - 光学センサヘッド、および光学センサシステム - Google Patents

光学センサヘッド、および光学センサシステム Download PDF

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Abstract

 貫通孔外部の影響を受けにくく、貫通孔内部の屈折率のみを検出する。第1の反射面4、第1の反射面4と対向する第2の反射面5、および、第1の反射面4と第2の反射面5との間に設けられた導波路6が形成された発光デバイス2と、近接場光を発生させるための貫通孔8が設けられた、第1の反射面4上に形成された遮光膜7と、第2の反射面5を通して発光デバイス2から出射される光の光強度を検出する検出器3とを備えた光学センサヘッドである。遮光膜7の光の出射面7b上での貫通孔8の開口面積が、第1の反射面4に対向した遮光膜7の対向面7a上での貫通孔8の開口面積よりも大きい。

Description

光学センサヘッド、および光学センサシステム
 本発明は、光学センサヘッド、および光学センサシステムに関する。
 種々の光学センサにおいて、光共振器の共振状態の変化を検出する方式は、感度が高いことおよびマーカーが不要であることから、種々の分野で使用されている。例えば、特許文献1では、光記録媒体からの戻り光を半導体レーザに戻し、半導体レーザの発振状態を変化させ、この変化をモニタPD(Photodetector)で検出している。
 特許文献2では、振動検出器として、振動子が半導体レーザおよびモニタPDと一体で形成されており、振動子からの戻り光により半導体レーザの発振状態に強度変調を与え、モニタPDで検出した信号からこの変調を解析することで、振動子の固有振動数の変化およびこの原因である圧力、温度、変位、流量などを測定している。
 また、特許文献3では、出射窓のある金属膜を端面に設けた半導体レーザ素子を用い、この出射窓で発生する近接場光で記録する記録装置において、近接場光の記録媒体からの反射光が半導体レーザ素子に戻ることによる、半導体レーザ素子への電流注入電極間に生じる電圧変化または金属膜を設けた端面とは逆側から放射される半導体レーザ素子の光強度変化を用いて、記録媒体の再生を行っている。
 一方で、表面プラズモン共鳴(入射光と金属内の電子の振動の共鳴)により、金属膜表面の屈折率を検出する表面プラズモンセンサーは、感度が高いことおよびマーカーが不要であることから、主にバイオ分野における研究用途として使用されている。
 このセンサーを用いた一般的な方法では、プリズムの1面に設けられた金属膜に対して、プリズムを介して光を集光して入射させ、その反射光を検出し、光が吸収される入射角から金属膜表面の屈折率を解析する。また、通常、金属膜に特定の分子を吸着する吸着層を設けておくことで、屈折率から分子の濃度を換算している。
 しかしながら、この方法を実行するには、光源、レンズ、プリズムなどからなる複雑な構成が必要となっており、組立時の精度や、経時変化を起こさないような厳しい温度管理や生じたずれの補正などが必要であるため、コストがかかるとともに、装置が大型化していた。また、分子レベルの高精度な検出は困難である。
 これに対して、小型かつ感度の高い検出を行うため、共振器を用いる方法が提案されている。特許文献4では、平面状の導波路の一部に微小共振器を組み込み、この微小共振器表面の屈折率変化によるスペクトル応答の変化を検出している。この微小共振器は、金属薄膜からなり、反射部分は周期構造によるDBR(Distributed Bragg Reflector)反射を用いており、表面プラズモン波のための共振器である。
 また、特許文献5には、光ファイバの端面に、局在化した表面プラズモン共鳴が励起される寸法の金属微粒子層を形成し、当該金属微粒子層の表面に検出対象分子に相補的な分子の分子層を形成した局在化表面プラズモンセンサが開示されている。この局在化表面プラズモンセンサは、光ファイバの端面から反射または散乱された光の変化を用いて、上記の相補的な分子に吸着または結合した検出対象分子を検出している。
特開平9-237914号公報(1997年9月9日公開) 特開平6-117913号公報(1994年4月28日公開) 特開2001-266389号公報(2001年9月28日公開) 特表2007-537439号公報(2007年12月20日公開) 特許第4224641号公報(2009年2月18日発行)
 しかしながら、特許文献1では、光記録媒体が半導体レーザとは別体になっているため、再生に必要な光量を半導体レーザに戻すために、高精度な調整が必要になるとともに、経時変化による位置ずれを防ぐ構造にしなければならないため、高コスト化につながる。特許文献2では、アスペクト比の高い振動子を、半導体レーザに近接かつ同一基板上に形成しなければならず、マスキングやエッチングにおいて精度が求められる。また、固有振動数を検出しなければならないため、検出後の信号処理が複雑である。
 また、特許文献4では、2~10ミクロン長の共振器を利用しているため、減衰波である表面プラズモン波が共振器内部でロスしてしまい、感度向上が見込めない。また、別途光源が必要な分、小型化には限界がある。
 特許文献3は、出射窓のある金属膜から離れた位置にある記録媒体での、近接場光の反射率変化を再生するためのものであり、出射窓から外側に広がった近接場光を利用している。この方式では、貫通孔外部の影響を受ける構成となっている。また、分子レベルの検出をするには、検出範囲が広すぎるという問題がある。
 特許文献5に開示されたセンサでは、共振器を使用していないため、感度が低い。また、このセンサでは、光源の光を光ファイバに結合させる際、光強度のロスが生じる。
 本発明の目的は、高感度化および小型化が可能な光学センサシステム、並びに、感度がよく、小型化が可能で、貫通孔外部の影響をほとんど受けず、しかも検出範囲が広すぎることがない光学センサヘッドおよびこれを含む光学センサシステムを提供することである。
 一つの観点において、本発明の光学センサシステムは、第1の反射面、前記第1の反射面と対向する第2の反射面、および、前記第1の反射面と前記第2の反射面との間に設けられた導波路を有する発光デバイスと、前記第1の反射面上に形成された反応体と、前記第1の反射面及び前記第2の反射面の一方から出射される光の光強度を検出する第1の検出器と、前記第1の検出器によって検出された光強度に基づいて前記第1の反射面における環境パラメータを算出する算出部とを備えている光学センサシステムにおいて、前記第1の反射面の反射率R1と、前記検出器によって検出された光強度P(R1)とが、
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
の関係を満たす。
 別の観点において、本発明の光学センサヘッドは、第1の反射面、前記第1の反射面と対向する第2の反射面、および、前記第1の反射面と前記第2の反射面との間に設けられた導波路が形成された発光デバイスと、近接場光を発生させるための貫通孔が設けられた、前記第1の反射面上に形成された遮光膜と、前記第1または第2の反射面を通して前記発光デバイスから出射される光の光強度を検出する検出器とを備えた光学センサヘッドであって、前記遮光膜の光の出射面上での前記貫通孔の開口面積が、前記第1の反射面に対向した前記遮光膜の対向面上での前記貫通孔の開口面積よりも大きい。
 第一の観点に従った光学センサシステムによると、従来の光学センサシステムとの比較において、高感度化および小型化が可能となる。なお、ここでの従来の光学センサシステムとは、「反応体に光を照射した際の反射光または透過光から環境パラメータの変化量を検出するシステム」を意味しており、その詳細については後述する。
 また、第二の観点に従った光学センサヘッドによると、貫通孔における光の強度分布が、光の出射面付近で弱く、対向面付近で強くなるため、貫通孔外部の影響を受けにくく、貫通孔内部の屈折率変化のみを良好な感度で検出できる。このため、貫通孔の対向面における開口サイズを十分に小さくしておけば、分子レベルの検出ができる。また、貫通孔の対向面における開口に入り込める検出対象のみを検出することになるため、検出対象を開口サイズで選別した上で検出することが可能である。さらに、貫通孔の内部にのみ検出対象が存在すればよいので、サンプル容積を小さくすることができる。また、別途光源を必要としないために、小型化が可能である。
本発明の実施形態1に係る光学センサシステムの概略図である。 図1に描かれた光学センサシステムに含まれる発光デバイスの発光特性(反射面の反射率と、微分効率及び閾値電流との関係)を示すグラフである。 図1に描かれた光学センサシステムに含まれる発光デバイスの発光特性(反射面の反射率と、2つの反射面から放射される光強度との関係)を示すグラフである。 図1に描かれた光学センサシステムに含まれる発光デバイスの発光特性(反射面の反射率と、2つの反射面から放射される光強度を反射率で微分した値との関係)を示すグラフである。 本発明の実施形態2に係る光学センサヘッドの斜視図である。 図5に示す光学センサヘッドにおいて、遮光膜に形成された貫通孔を示す断面図である。 図5に示す光学センサヘッドを含む3種類の光学センサヘッドにおけるFDTDシミュレーション結果を示す写真である。 発光デバイスから出射される光の偏光方向が図7(a)‐(c)とは異なる場合のFDTDシミュレーション結果を示す写真である。 図7(d)‐(f)の各例における、対向面から出射面に向けての強度分布を示したグラフである。 図5に示す光学センサヘッドの特性を示す図である。 図5に示す光学センサヘッドに取り付け可能な流路部材の概略斜視図である。 本発明の実施形態2の変形例に係る光学センサヘッドの図6に相当する断面図である。 本発明の実施形態2の別の変形例に係る光学センサヘッドの斜視図である。 本発明の実施形態3に係る光学センサシステムの斜視図である。
<実施形態1>
 本発明の実施形態1に係る光学センサシステム及びその実施例について、図1~図4を参照して説明する。
 [光学センサシステムの構成]
 本実施形態に係る光学センサシステム200は、図1に示すように、発光デバイス102と、反応体120と、2つの検出器103a、103bと、駆動回路108と、算出部151と、表示部152とから構成されている。発光デバイス102、反応体120、及び、検出器103a、103bが光学センサヘッド101を構成している。図示を省略しているが、光学センサヘッド101はパッケージ化されて一体となっている。発光デバイス102は、第1の反射面104、第1の反射面104と対向する第2の反射面105、および、第1の反射面104と第2の反射面105との間に設けられた導波路106を有している。反応体120は、第1の反射面104上に形成されている。2つの検出器103a、103bは、発光デバイス102及び反応体120を導波路106に沿った方向に挟む位置に配置されており、検出器103aの上面が第2の反射面105と対向し、検出器103bの下面が反応体120の上面と対向している。なお、後述するように、2つの検出器103a、103bのうちのどちらか一方だけが配置されていてもよい。駆動回路108は、算出部151と、発光デバイス102の図示しない2つの電極とに接続されており、当該2つの電極を介して発光デバイス102に注入電流を供給する。
 発光デバイス102は、導波路106の両端に、第1の反射面104および第2の反射面105が設けられて、第1の反射面104および第2の反射面105間を導波路106内で光が往復する構成である。導波路106に利得が存在し、導波路106を往復する光が利得によりエネルギー増幅され、一部の光が第1の反射面104および第2の反射面105から外部に放射される。このように、発光デバイス102は、第1の反射面104、第2の反射面105、および、導波路106を有することにより、共振器を構成している。
 発光デバイス102として具体的には市販のレーザ素子を用いればよく、特に小型化のためには半導体レーザ素子が好ましい。また、感度を上げるために、分布帰還型レーザ素子を用いてもよい。
 第1の反射面104、第2の反射面105、および、導波路106は、市販のレーザ素子(半導体レーザ素子など)であれば、すでに備わっている。しかしながら、本実施形態に係る光学センサシステム200では、第1の反射面104上に反応体120が形成されているために、第1の反射面104の反射率が市販されているときとは異なる。
 検出器103a、103bは、小型かつ低コストな市販のフォトディテクタでよい。検出器103a、103bの検出面は、検出する光が反射して光源に戻らないように、光軸に対して少し傾いていてもよい。また、検出器103aは、図1では発光デバイス102の第2の反射面105直後に配置されて、第2の反射面105を透過した光の光強度を検出する構成となっているが、第2の反射面105を透過した光の光強度を検出できる位置であれば、どこに設置されてもよい。同様に、検出器103aは、第1の反射面104及び反応体120を透過した光の光強度を検出できる位置であれば、どこに設置されてもよい。
 ところで、市販の半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子の光出力を一定に保つために、その内部に半導体レーザ素子の出射光の光強度をモニタする光検出器(フォトダイオードなど)が設けられている。発光デバイス102として市販の半導体レーザ素子を用いる場合、この光検出器を検出器103aとして利用してもよい。これにより、光学センサシステム200を容易に作製することができる。
 発光デバイス102の第1の反射面104上に形成された反応体120は、光学センサシステム200で検出する環境パラメータの変化により自らの光学的性質を変化させる。ここで光学的性質としては、例えば誘電率及び屈折率(吸収係数含む)が挙げられる。なお、光学的性質は、誘電率又は屈折率の変化に伴って変化するもの(例えば、透過率、反射率、吸収率、電気伝導度、又は、バンドギャップ)であってもよい。
 反応体120は、例えば薄膜であってもよいし、微粒子(例えば表面プラズモンを励起する金属微粒子)の集合体であってよく、形状は問わない。反応体120の材質は、環境パラメータに応じて、誘電体、半導体、金属、有機膜などから適宜選べばよい。例えば、酸化物は周囲の酸素量により自らの光学的性質が変化するため、酸化物で形成された反応体を酸化若しくは還元ガスの濃度検出又は酸化若しくは還元性液体の濃度検出に利用できる。また、圧電素子などに用いられる材料は、圧力により光学的性質が変化するため、当該材料で形成された反応体を用いて反応体に加えられる圧力を検出できる。さらに、特定の物質のみを結合させる有機膜を反応体として用いれば、特定の物質の濃度を検出することができる。
 また、反応体120の材質が金属であるときには、反応体120を、表面プラズモンを励起できる形状にしておくことが好ましい。その場合、反応体120自体が反応しなくても、環境パラメータにより周囲の屈折率が変化することで表面プラズモンの励起条件が変化し、第1の反射面104の反射率が変化する。表面プラズモンを励起できる形状として、貫通孔が設けられた遮光膜(図5参照)であれば、貫通孔外部の影響を受けにくく、貫通孔が設けられた部分のみの情報が得られる。特に、貫通孔の開口サイズを発光デバイス102から放射される光の波長より短くすることが好ましく、その場合、反応体120を透過する光がほとんどないため、戻り光の影響がほとんどない。貫通孔が設けられた遮光膜についての詳細は後述する。
 本明細書において、環境パラメータとしては、温度、湿度、圧力、酸化又は還元力、及び、反応体120の周辺に存在する気体、液体又は固体の種類、濃度又は数量などが挙げられる。
 算出部151は、検出器103a及び/又は検出器103bで検出された光の光強度に基づいて解析を行うことによって、第1の反射面104における環境パラメータを算出する。解析には発光デバイス102の駆動条件も必要となる場合があるため、図1に示すように算出部151は発光デバイス102の駆動回路108に接続されている。
 表示部152は、算出部151による算出結果を表示する。表示部152としては、市販のディスプレイを用いればよく、環境パラメータを数字だけで表示するものでもよい。算出部151としてコンピュータを利用する場合、表示部152としてコンピュータに対応したディスプレイを用いれば、ディスプレイに環境パラメータをグラフ表示させることができる。また、算出部151としてコンピュータを利用する場合には、ユーザが測定条件や解析内容をキーボードなどの入力装置を用いて入力することもできる。なお、算出部151の算出結果を、別の機器に接続する場合であれば、表示部152は不要である。
 本実施形態に係る光学センサシステム200は、発光デバイス102の近傍に配置された温度センサ109をさらに含んでいる。環境パラメータ又は発光デバイス102が温度依存性を持つ場合、温度センサ109により発光デバイス102の温度を検出しておけば、その温度に基づいて、算出部151は、発光デバイス102の検出信号の変化を補正する。
 [ソフトウェアによる実現例]
 算出部151は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、算出部151は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPUを有している。また、算出部151は、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに有している。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、算出部151の機能が実現される。
 上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、上記プログラムは、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態で、電子的に伝送することも可能である。
 [光学センサヘッドの製造方法]
 次に、図1に示す光学センサヘッド101の製造方法の一例を説明する。発光デバイス102として市販のレーザ素子を用い、その第1の反射面104に反応体120を形成する。次に、第2の反射面105及び第1の反射面104を通して外部に出射される光の光強度をそれぞれ検出できるように、市販のフォトディテクタを検出器103a、103bとしてそれぞれ上述した位置に設置する。なお、市販のレーザ素子に外部共振器を加え、その反射面を第1の反射面104としてもよい。
 反応体120は、スパッタ、蒸着又は化学合成などにより発光デバイス102の第1の反射面104に形成することができる。反応体120が導電材料であれば、第1の反射面104の全面に反応体120を形成すると、発光デバイス102の電極をショートしてしまうため、第1の反射面104のうち、光が出射される部分のみに反応体120を形成すればよい。その場合、第1の反射面104の一部をマスクした上で反応体120を製膜すればよい。
 例えば、発光デバイス102として半導体レーザ素子を用いる場合、半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子の裏面からの発光強度をモニタするフォトディテクタとがパッケージ化されているタイプのものを用いることができ、反応体120を、この半導体レーザ素子の出射面(第1の反射面104)に形成するだけで、既存の技術を利用して光学センサヘッド101を製造できる。
 [光学センサシステムの動作]
 次に、算出部151で行なわれる、検出器103a及び/又は検出器103bで検出された光の光強度に基づいた解析、および環境パラメータの算出原理について説明する。なお、以下の説明においては、発光デバイス102が半導体レーザ素子であるとする。
 〈半導体レーザ素子の利用例〉
 上述のとおり、環境パラメータの変化により、反応体120の周辺または反応体120自体の光学的性質が変化し、第1の反射面104の反射率が変化する。まず、この第1の反射面104の反射率の変化が、発光デバイス102である半導体レーザ素子の発光強度に与える影響の計算について説明する。
 半導体レーザ素子の動作は、一般に下記の数式(1)~(3)で表されることが知られている。ここで、数式(1)~(3)における各パラメータは、以下のとおりである。
 η1:第1の反射面104から放射された光の微分効率
 η2:第2の反射面105から放射された光の微分効率
 Ith:閾値電流
 R1:第1の反射面104の反射率
 R2:第2の反射面105の反射率
 T1:第1の反射面104の透過率
 T2:第2の反射面105の透過率
 ηstm:内部微分効率
 ηi:内部量子効率
 αint:内部損失
 J0:透明化電流
 Γ:活性層の光閉じ込め係数
 h:プランク定数
 ν:光の振動数
 q:電子の電荷
 L:共振器長
 W:活性層の幅
 d:活性層厚さ
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 ここでは、2つの検出器103b、103aを両方用いて第1の反射面104および第2の反射面105から放射された光の光強度をそれぞれ検出してもよいし、2つの検出器103b、103aの一方だけを用いて第1の反射面104又は第2の反射面105から放射された光の光強度を検出してもよい。つまり、2つの検出器103a、103bのうちいずれか一方だけが配置されていてもよい。
 半導体レーザ素子の発光強度Pは、注入電流Iが閾値電流Ith以上のとき、第1の反射面104から放射された光の微分効率η1または第2の反射面105から放射された光の微分効率η2を用いて、次の数式(4)のように線形な関係で表されることが知られている。
(数5)
  P1=η1(I-Ith
  P2=η2(I-Ith)     (4)
 図2は、発光デバイス102における第1の反射面104の反射率R1を変化させたときの、第1の反射面104および第2の反射面105から放射された光の微分効率η1、η2、および閾値電流Ithの変化の様子を示すグラフである。図2に示す特性では、代表的な波長785nmの半導体レーザ素子が有するパラメータを用いている。第2の反射面105のR2は0.7で固定されているとする。
 図2に示すように、第1の反射面104の反射率R1が大きくなるにつれ、第1の反射面104から放射された光の微分効率η1が小さくなり、第2の反射面105から放射された光の微分効率η2が大きくなることがわかる。また、第1の反射面104の反射率R1が大きくなるにつれ、閾値電流Ithが小さくなることがわかる。
 これらの値を元に、注入電流を20mAとしたときの第1の反射面104から放射された光の光強度P1および第2の反射面105から放射された光の光強度P2を計算した結果を図3に示す。第1の反射面104の反射率R1が0.05以下で値がないのは、その範囲では閾値電流が20mA以上であるため、注入電流を20mAとしたときにはレーザ発振していないためである。
 図3からわかるように、第1の反射面104から放射された光の光強度P1は、反射率R1が0.45のときに極大値をとり、反射率R1が0.45よりも大きくなるにつれて低下する。これは、反射率R1が大きくなるにつれて、閾値電流Ithと微分効率η1の両方が低下するためである。一方、第2の反射面105から放射された光の光強度P2は、第1の反射面104の反射率R1が大きくなるにつれ単調に増加する。これは、反射率R1が大きくなるにつれて、閾値電流Ithが小さくなる一方で微分効率η2が大きくなるためである。
 本実施形態に係る光学センサシステム200では、第1の反射面104の反射率R1が変化した際の、第1の反射面104から放射された光の光強度P1および第2の反射面105から放射された光の光強度P2の少なくともいずれか一方を、検出器103a及び/又は検出器103bを用いて検出する。そして、算出部151が、検出された光強度P1及び/又はP2から、図3に描かれたグラフ又はこれと同等の関係式に基づいて、第1の反射面104の反射率R1を算出する。さらに、算出部151が、得られた反射率R1に基づいて、第1の反射面104の反射率R1を変化させた第1の反射面104における環境パラメータの変化量を算出する。
 図4に、図3に基づいて得られた、第1の反射面104の反射率R1と、第1の反射面104から放射された光の光強度P1および第2の反射面105から放射された光の光強度P2を第1の反射面104の反射率R1でそれぞれ微分した値dP1/dR1、dP2/dR1との関係を示す。これらの値dP1/dR1、dP2/dR1は、本実施形態に係る光学センサシステム200における第1の反射面104および第2の反射面105の、反射率R1の変化量に対する感度に相当する。
 つまり、感度を測定するには、第1の反射面104の反射率の微小変化に対する検出器103a及び/又は検出器103bでそれぞれ検出された光強度の差を求めればよい。第1の反射面104の反射率を変化させるには、例えば、反応体120の上に(屈折率及び膜厚が既知である)膜を形成する、及び、第1の反射面104の表面に気体又は液体を流すといった手段がある。このとき第1の反射面104の反射率は、例えば市販の反射率測定装置を用いて外部から測定すればよい。
 ここで、上述した従来の光学センサシステム、すなわち「反応体に光を照射した際の反射光または透過光から環境パラメータの変化量を検出するシステム」について簡単に説明する。この従来の光学センサシステムは、反応体が発光デバイスとは分離した構成になっている。この反応体の透過率及び反射率をそれぞれT1及びR1とし、反応体に照射する光の光強度をP0とすると、反応体を透過した光の光強度はP01=P0(1-R1)、反応体で反射した光の光強度はP01となる。したがって従来の光学センサシステムにおける感度、つまり、「反応体の光学的性質(例えば屈折率)が変化することによる反射率R1の変化に光強度がどれだけ依存するか」は、
 反射の場合には、d(P01)/dR1=P0と、
 透過の場合には、d{P0(1-R1)}/dR1=-P0
と表される。
 これに対して本実施形態に係る光学センサシステム200では、反応体120が発光デバイス102の第1の反射面104に接していることによって反応体120の光学的性質の変化が発光デバイス(共振器)102にフィードバックされるため、光強度Pが一定ではなくなり反応体120の反応が進行するに連れて光強度Pが変化する。例えば光学的性質を屈折率変化に伴って変化する反射率R1としたとき、反応体120に照射される光の光強度P0は、一定ではなくP(R1)と表される(P0=P(R1))。
 よって、互いに同じ特性を持つ発光デバイスから放射される光を互いに同じ特性を持つ反応体に照射するという条件下において、本実施形態の光学センサシステム200は、その感度dP1/dR1、dP2/dR1の絶対値がP(R1)以上であれば(下記式(5)参照)、上述した従来の光学センサシステムよりも高感度に環境パラメータを検出することが可能となる。
 図4に、図3に描かれたP(R1)および-P(R1)を、dP1/dR1、dP2/dR1と共に示す。図4を参照することにより、以下の式(5)
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
                 (5)
が成り立つ反射率R1の範囲がわかる。
 式(5)に関係するパラメータとしては、反射面104、105へのコーティング材料および膜厚によって規定される反射率R1、R2、及び発光デバイス102への注入電流Iのほか、以下のものがある。
ηstm:内部微分効率
ηi:内部量子効率
αint:内部損失
0:透明化電流
Γ:活性層の光閉じ込め係数
L:共振器長
W:活性層の幅
d:活性層厚さ
λ:発光デバイス102が出射する光の波長
 これらのうちで、光学センサシステム200を駆動させる際に制御できるのは注入電流Iだけである。そこで、反射率R1を上述した反射率測定装置で測定すると同時に光強度P1及び/又はP2を検出器103a及び/又は検出器103bで測定することに基づいて、式(5)が成り立つ注入電流Iの範囲を図4から予め算出しておき、当該範囲を算出部151内の記憶部に記憶しておく。そして、環境パラメータを算出する際には、当該記憶された範囲内の値を有する注入電流Iを発光デバイス102に供給する。すなわち、本実施形態の光学センサシステム200において式(5)を成り立たせるには、駆動回路108が注入電流の値を適切な範囲内となるように制御すればよい。
 本実施形態の光学センサシステムは、上述した従来の光学センサシステムより高感度なものとなるだけでなく、反応体が発光デバイスの第1の反射面上に形成されているため、光学調整が不要であるとともに、位置ずれなどの経時変化が起きない。よって、製造工程が少なく、位置ずれ対策が不要な分、低コストである。さらに、第1の検出器の検出信号の立ち上がりを急峻なものとすることができる場合には、検出速度が速くなる。
 検出器103a及び検出器103bが発光デバイス102から放射された光の一部のみを検出するように構成されている場合、算出部151は、発光デバイス102から放射された光の全光量と検出光量との比で定まる補正係数を用いて、算出された反射率又は屈折率を補正すればよい。この場合、算出部151が有する記憶部が、上記の補正係数を記憶していればよい。
 算出された第1の反射面104の反射率R1から第1の反射面104における環境パラメータを算出するには、シミュレーションまたは実測により、第1の反射面104における環境パラメータと第1の反射面104の反射率R1との組を予め何点かにおいて求めておく。さらに、この結果から、最小二乗法などのフィッティング法を用いて、第1の反射面104における環境パラメータと第1の反射面104の反射率R1との関係式を導出し、算出部151が有する記憶部にこの関係式を記憶させる。この関係式に基づいて、算出部151は、第1の反射面104の反射率R1から、第1の反射面104における環境パラメータを算出することができる。
 代替的には、値が既知である環境パラメータと、第1の反射面104から放射された光の光強度P1及び/又は第2の反射面105から放射された光の光強度P2との組を予め何点かにおいて測定しておいてもよい。算出部151は、値が不明の環境パラメータについて測定された光強度と測定された幾つかの組とを対比することにより、求めるべき第1の反射面104における環境パラメータを算出することができる。この場合、環境パラメータの値と、発光デバイス102から放射された光の光強度P1及び/又はP2との組を記憶する記憶部を、算出部151内に有していることが好ましい。記憶部は、ハードディスク、光ディスク、固体メモリなど、市販のものでよい。また、環境パラメータの絶対値でなく、相対的な変化量を検出してもよい。
 本実施形態では発光デバイス102として半導体レーザ素子を用いているが、反応体120の周辺または反応体120自体の光学的性質の変化に伴って第1の反射面104の反射率が変化し、さらに共振器の発振条件が変化する限りにおいて、ファイバーレーザなどの他のレーザ素子を発光デバイス102として用いてもよい。
 [実施例]
 続いて、本実施形態の光学センサシステム200における幾つかの実施例について説明する。
 (実施例1)
 実施例1は、図2~図4で説明した具体例において、反応体120が反応する前(初期状態)の第1の反射面104の反射率R1を0.3としたものである。
 図4を参照すると、R1=0.3においては、第1の反射面104から放射された光の光強度P1および第2の反射面105から放射された光の光強度P2のいずれについても上記(5)が成り立つことが分かる。つまり、実施例1の場合、光強度P1および光強度P2のいずれを検出したとしても、上述した従来の光学センサシステムより感度が高いことがわかる。
 本実施例では、第2の反射面105の反射率R2が0.7となっていて第1の反射面104の反射率R1より高く、発光デバイス102内の光を外部に透過しにくいため、図2のように微分効率η1が微分効率η2より大きくなっており、図3のように第1の反射面104から放射された光の光強度P1は第2の反射面105から放射された光の光強度P2より大きくなっている。
 また、図3を参照すると、第2の反射面105から放射された光の光強度P2は、反射率R1の値に拘わらず、第1の反射面104の反射率R1の増加に連れて増加することがわかる。したがって、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が増加するのであれば、反応体120の反応が進むにつれ第1の検出器103aでの検出強度が大きくなり、S/Nが高くなる。また、この場合、反応体120の反応前に検出器103aが検出する光強度を小さな値に設定しておくことができるため、発光デバイス102の駆動エネルギーを小さくでき、消費電力が小さくなる。一方、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が減少するのであれば、反応体120の反応が進むにつれ第1の検出器103aでの検出強度が小さくなる。よって、反応体120の反応が進んでも第1の検出器103aの検出強度が飽和することがなく、反応前の状態で検出器103aの感度が最大になるように回路調整をしておくことができる。よって、特に変化量が微小な領域でS/Nを高くすることができて、高感度な検出が可能となる。
 図3より、第1の反射面104から放射された光の光強度P1は、第1の反射面104の反射率R1の増加に連れて増加するが、第1の反射面104の反射率R1が0.45(極大値)を超えると減少に転じる。つまり、反射率R1が0.45を跨ぐ範囲を検出範囲とすると、1つの光強度P1に対して2つの反射率R1が存在するため、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が増加するのであれば、第1の反射面104から放射された光の光強度P1のみから反射率を検出する場合は、第1の反射面104の反射率R1が0.3~0.45の範囲を検出範囲とするのがよい。なお、第1の反射面104の反射率R1が0.31を超えると、第1の反射面104から放射された光の光強度P1に対して式(5)が成り立たなくなるため、本願の効果である高感度検出はできない。一方、反応体120が反応することにより第1の反射面104のR1が減少するのであれば、反応が進むにつれ第1の検出器103aでの検出強度が小さくなる。よって、反応することにより第1の検出器103aの検出強度が飽和することがなく、反応前の状態で検出器103aの感度が最大になるように回路調整をしておくことができる。よって、特に変化量が微小な領域でS/Nを高くすることができて、高感度な検出が可能となる。
 (実施例2)
 実施例2は、図2~図4で説明した具体例において、反応体120が反応する前(初期状態)の第1の反射面104の反射率R1を0.7としたものである。
 図4を参照すると、実施例2においても、第1の反射面104から放射された光の光強度P1および第2の反射面105から放射された光の光強度P2のいずれについても上記(5)が成り立つことが分かる。つまり、実施例2の場合、光強度P1および光強度P2のいずれを検出したとしても、上述した従来の光学センサシステムより感度が高いことがわかる。
 また、図3を参照すると、反射率R1が0.45~0.7の範囲では、第1の反射面104から放射された光の光強度P1は、第1の反射面104の反射率R1が増加するにつれて減少することがわかる。したがって、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が増加するのであれば、反応体120の反応が進むにつれ第2の検出器103bでの検出強度が小さくなる。よって、反応体120の反応が進んでも第1の検出器103aの検出強度が飽和することがなく、反応前の状態で第2の検出器103bの感度が最大になるように回路調整をしておくことができる。一方、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が減少するのであれば、反射率R1が0.45以上である限り、反応体120の反応が進むにつれ第2の検出器103bでの検出強度が大きくなり、S/Nが高くなる。また、この場合、反応体120の反応前に検出器103bが検出する光強度を小さな値に設定しておくことができるため、発光デバイス102の駆動エネルギーを小さくでき、消費電力が小さくなる。
 そして、図3を参照すると、反射率R1の値に拘わらず、第2の反射面105から放射された光の光強度P2は、第1の反射面104の反射率R1が増加するにつれて増加することがわかる。したがって、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が増加するのであれば、反応体120の反応が進むにつれ第1の検出器103aでの検出強度が大きくなり、S/Nが高くなる。また、この場合、反応体120の反応前に検出器103aが検出する光強度を小さな値に設定しておくことができるため、発光デバイス102の駆動エネルギーを小さくでき、消費電力が小さくなる。一方、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が減少するのであれば、反応体120の反応が進むにつれ検出器103aでの検出強度が小さくなる。よって、反応体120の反応が進んでも第1の検出器103aの検出強度が飽和することがなく、反応前の状態で第1の検出器103aの感度が最大になるように回路調整をしておくことができる。よって、特に変化量が微小な領域でS/Nを高くすることができて、高感度な検出が可能となる。
 (実施例3)
 実施例3は、図2~図4で説明した具体例において、反応体120が反応する前(初期状態)の第1の反射面104の反射率R1を0.45としたものである。
 図4を参照すると、実施例3では、第1の反射面104から放射された光の光強度P1を検出するときの感度dP1/dR1がほぼ0であり上記式(5)が成り立たないことがわかる。一方で、第2の反射面105から放射された光の光強度P2を検出するときには、上記(5)が成り立ち、感度dP2/dR1が上述した従来の光学センサシステムより高いことがわかる。なお、反応体120の反応により第1の反射面104の反射率R1が増加又は減少したときの効果は、実施例1及び実施例2で述べたとおりである。
 図3を参照すると、第1の反射面104から放射された光の光強度P1は最大値となっていることがわかる。したがって、高温であるほど反応速度が速い温度依存性を反応体120が有しているのであれば、光強度P1で加熱しながら、光強度P2に基づいて感度を算出することによって、高速かつ高感度を両立させることができる。また、反応体120の反応が可逆であり、例えば光照射により逆反応(リフレッシュ)する場合、光強度P1に基づいて感度を算出することによって、最大強度でリフレッシュできるため、高速リフレッシュと高感度を両立させることができる。
 (実施例4)
 実施例4は、図2~図4で説明した具体例において、反応体120が反応する前(初期状態)の第1の反射面104の反射率R1を0.1としたものである。
 図4を参照すると、R1=0.1においては、第1の反射面104から放射された光の光強度P1を検出するときの感度dP1/dR1が非常に高い。さらに、感度dP1/dR1自体がR1=0.1付近において急激に変化しているため、感度dP1/dR1の第1の反射面104における反射率依存性が急激であれば、ある光強度になるまでの時間が短くなる。すなわち、検出器103bの検出信号の立ち上がりが急峻になり、光学センサシステム200としての検出速度が速くなる。よって、高速検出と高感度を両立することができる。或いは、検出器103bの検出信号の立ち上がりが急峻な分、検出器103bとしてあえて検出感度の低いものを使用することができ、これにより、検出できる環境パラメータの範囲を広くすることができる。
 (実施例5)
 実施例5では、第1の反射面104の反射率R1を規定せず、第1の反射面104から放射された光の光強度P1が一定になるように動作させる。また、第1の反射面104から放射された光の光強度P1および第2の反射面105から放射された光の光強度P2の少なくともいずれかが、上述した従来の光学センサシステムより感度が高くなるようにする。本実施例では、検出器103a及び/又は検出器103bを用いて光強度P2及び/又は光強度P1を検出するとともに、第1の反射面104から放射された光の光強度P1がユーザまたはメーカーにより規定された値で一定となるよう、制御手段である駆動回路108が算出部151を介して受け取った光強度情報に基づいたフィードバック制御を行う。発光デバイス102が半導体レーザ素子であれば、駆動回路108が当該素子への注入電流を調整することになる。図3に示されているように、第1の反射面104から放射された光の光強度P1と第2の反射面105から放射された光の光強度P2とでは、第1の反射面104の反射率R1への依存性が異なるため、第1の検出器103aが第2の反射面105から放射された光の光強度P2のみが検出される場合、算出部151または駆動回路108に含まれる記憶部に記憶された光強度P1と光強度P2との関係に基づいて、光強度P1が一定となるように駆動回路108がフィードバック制御を行う。なお、変形例として、算出部151を介することなく光強度情報を受け取ることができるように、駆動回路108が2つの検出器103a、103bと直接接続されていてもよい。
 検出器103a及び/又は検出器103bで検出した光強度P2及び/又は光強度P1の変化量は、フィードバック制御を行う時間間隔で駆動回路108に記録され、順次積算される。このようにすることで反応体120が反応を開始してからの光強度P2及び/又は光強度P1の総変化量がわかるため、上述と同様の方法でフィードバックをかけなかった場合の光強度を算出し、それに基づいて環境パラメータの絶対値を検出できる。
 本実施例では、反応体120に照射される光強度P1が一定となるため、反応体120の反応温度がほぼ一定となる。また、反応体120の反応が第1の反射面104から放射された光の光強度P1を増加させるように作用するのであれば、光強度P1を増加させないように発光デバイス102への注入電流を徐々に減少させるような制御が行われるため、消費電力を低下させることができる。
 (実施例6)
 実施例6では、第1の反射面104の反射率R1を規定せず、第1の反射面104から放射された光の光強度P1および第2の反射面105から放射された光の光強度P2のいずれも、上述した従来の光学センサシステムより感度が高くなるようにする。
 実施例6では、検出器103aは第2の反射面105から放射された光の光強度P2を検出し、検出器103bは第1の反射面104から放射された光の光強度P1を検出する。これにより、反応体120が反応することにより第1の反射面104の反射率R1が増加するのであれば、第1の反射面104の反射率R1=0.65(dP1/dR1と-P1との交点における反射率R1の値)以上の場合、図3に示すように、反応体120の反応が進行するに連れて第1の反射面104から放射された光の光強度P1が減少し、第2の反射面105から放射された光の光強度P2が増大する。したがって、反応体120の反応が進むにつれ検出器103bでの検出強度が小さくなるため、反応することにより第2の検出器103bの検出強度が飽和することがなく、反応前の状態で検出器103bの感度が最大になるように回路調整をしておくことができる。よって、特に変化量が微小な領域でS/Nを高くすることができて、高感度な検出が可能となる。一方、検出器103aでの検出強度は反応体120の反応が進むにつれて大きくなり、S/Nが高くなる。すなわち、本実施例では、これらの2つの効果を合わせもつことができる。
 また、例えば第1の反射面104の反射率R1=0.3(dP1/dR1とP1との交点における反射率R1の値)以下の場合、検出器103aおよび検出器103bのいずれか一方を高感度、もう一方を低感度な検出器としておくことが好ましい。これにより、高感度な検出器では光学センサシステム200としての検出速度を速くでき、低感度な検出器では環境パラメータの測定範囲を広くできる。すなわち、高感度、高速、広範囲な光学センサシステム200を得ることができる。
 以上、第1の反射面104の反射率R1について具体的な値を挙げて説明したが、各実施例で述べた効果が出れば、反射率R1を他の値としてもよい。また、第2の反射面105の反射率R2及び注入電流の値は適宜変更してもよい。
<実施形態2>
 次に、貫通孔8が設けられた遮光膜7が反応体120である、本発明の実施形態2に係る光学センサヘッド1について図5~図8を参照して説明する。
[光学センサヘッド構成]
 図5は、本実施形態の光学センサヘッド1の斜視図である。光学センサヘッド1は、発光デバイス2と遮光膜7と誘電体膜12と検出器3とから構成されている。図示を省略しているが、これらはパッケージ化されて一体となっている。発光デバイス2は、第1の反射面4、第1の反射面4と対向する第2の反射面5、および、第1の反射面4と第2の反射面5との間に設けられた導波路6を有している。第1の反射面4上には誘電体膜12を介して遮光膜7が形成されている。遮光膜7には、近接場光を発生させるための貫通孔8が設けられている。貫通孔8の孔軸は導波路6の延長線上にある。
 発光デバイス2は、導波路6の両端に、第1の反射面4および第2の反射面5が設けられ、第1の反射面4および第2の反射面5間を導波路6内で光が往復する構成である。導波路6中に利得が存在し、導波路6を往復する光が利得によりエネルギー増幅され、一部の光が第1の反射面4および第2の反射面5から外部に放射される。発光デバイス2として具体的には市販のレーザ素子を用いればよく、特に小型化のためには半導体レーザ素子が好ましい。また、感度を上げるために、分布帰還型レーザ素子を用いてもよい。また、半導体レーザ素子を用いることで、後述するように、検出器3で検出した第2の反射面5を通して外部に放射される光強度から、貫通孔8内部における屈折率を算出するのが容易となる。
 第1の反射面4、第2の反射面5、導波路6は、市販のレーザ素子であれば、すでに備わっている。しかしながら、第1の反射面4および第2の反射面5上にさらに別の膜を製膜し、反射率を調整することもできる。
 遮光膜7は、貫通孔8で近接場光を発生させるために、周囲の光を透過させない材料によって形成されている。感度を上げるために、貫通孔8内部に強い近接場光を発生させるには、遮光膜7は、表面プラズモンを励起する金属からなることが好ましい。具体的には、金、銀、アルミニウムなどの材料が主に利用される。
 遮光膜7に形成された貫通孔8は、発光デバイス2から出射された光によって近接場光を発生させる。貫通孔8内部に検出対象が充填されることによって、貫通孔8内部の屈折率に変化が生じる。検出対象は、それ単独で貫通孔8内部に配置される場合と、気体(例えば空気)または液体(例えば水)に含まれた形態で貫通孔8内部に配置される場合との両方があり得る。
 貫通孔8は、第1の反射面4に対向した遮光膜7の対向面7a上での開口面積より、遮光膜7の光の出射面7bでの面積の方が大きくなっている。具体的な構造を、図6(a)に示す。図6(a)は、遮光膜7の、図5の一点鎖線を含むxz断面を示す断面図である。図6(a)では、第1の反射面4上の誘電体膜12に接触する対向面7aから光の出射面7bまで、貫通孔8の断面積(xy断面積)の増加率が連続的となっている。図6(a)に描かれた例では、貫通孔8を画定する孔面のうちx方向に対向する2つの面が対向面7aに対する傾きが一定なテーパー面となっており、これら2つの面は貫通孔8のxy断面積が上方ほど大きくなるようにz軸に対して傾斜しており、増加率は一定である。
 一方、同じくxz断面を示す断面図である図6(b)に描かれた別の例では、遮光膜7に階段状の貫通孔28が形成されている。この例では、第1の反射面4上の誘電体膜12に接触する対向面27aから光の出射面27bまで、貫通孔28の断面積(xy断面積)の増加率が不連続となっている。図6(b)に描かれた例では、貫通孔28を画定する孔面のうちx方向に対向する2つの面が1つの水平部分を含む階段状となっており、これら2つの面には貫通孔28のxy断面積が水平部分を境界としてその上方が下方よりも大きくなるように水平部分を挟んで2つの鉛直部分(上方鉛直部分及び下方鉛直部分)が形成されている。水平部分と鉛直部分との境界において貫通孔28の断面積の増加率が不連続である。図6(a)、(b)には、一例として、液体である検出対象9が貫通孔8,28内に充填された様子が描かれている。
 貫通孔8,28の形状・サイズが、貫通孔8,28内における近接場光の強度分布に強く影響する。具体的には、近接場光は、互いに向き合う2つの面の面間距離が短いほど、強く励起される傾向がある。本実施形態では、図6(a)、(b)に示すように貫通孔8,28の形状が少なくともxz断面において変化することによって、出射面7b,27b上での貫通孔8,28の開口面積が、対向面7a,27a上での貫通孔8,28の開口面積よりも大きくなっている。これによって、発光デバイス2から出射されるのが直線偏光、円偏光および楕円偏光のいずれであるかおよび偏光の方向に拘わらず、貫通孔8,28内で発生する近接場光の強度を対向面7a,27a付近において出射面7b,27b付近におけるよりも強くすることができる。貫通孔8,28の形状は、xz断面およびyz断面の両方において変化していてもよい。
 この結果、貫通孔8,28で発生する近接場光が、遮光膜7の対向面7a,27a付近に集中するため、貫通孔8,28内部の屈折率測定に当たって、貫通孔8,28より遠方の屈折率による影響をほとんど受けない。よって、貫通孔8,28付近、主に貫通孔8,28内部の屈折率を感度よく検出できる。このため、貫通孔8,28の対向面7a,27aにおける開口面積を十分に小さくしておけば、分子レベルの検出ができる。また、貫通孔8,28の内部にのみ検出対象が存在すればよいので、サンプル容積を小さくすることができる。さらに、別途光源を必要としないために、小型化が可能である。
 貫通孔8の断面形状は、図6(a)に示すように、直線的(台形)でなく、曲線的(お椀形)でもよい。さらに、貫通孔の断面積の増加率が連続的である限りにおいて、途中で傾斜角度が変化していてもよい。また、貫通孔28の断面形状は、図6(b)に示すような2段階の変化でなく、貫通孔の断面積の増加率が不連続である限りにおいて、3段階以上の多段階の変化でもよいし、水平部分及び/又は鉛直部分を有していなくてもよい。代替的には、貫通孔8,28がz軸に対称(図6(a)、(b))でなく、非対称でもよい。例えば、図6(a)、(b)において片側がz軸に平行な面になっていてもよい。
 図6(a)の例によると、検出対象が光の出射面7b付近で留まりにくく、光の強度分布が強い対向面7a付近までスムーズに入り込める。このため、対向面7aにおける面積が小さくても、十分な感度で検出することができる。図6(b)の例によると、貫通孔28内部の光の強度分布が強い範囲を広くすることができ、検出感度を高めることができる。
 発光デバイス2から出射されるのがx偏光またはy偏光であれば、出射面上での貫通孔の開口面積が、対向面上での貫通孔の開口面積よりも大きくなるように、貫通孔の形状が少なくともxz断面およびyz断面のいずれか又は両方において変化していればよい。発光デバイス2から出射されるのがx偏光とy偏光の両方を含むのであれば、出射面上での貫通孔の開口面積が、対向面上での貫通孔の開口面積よりも大きくなるように、貫通孔の形状が少なくともxz断面およびyz断面のいずれかにおいて変化していればよい。この場合、貫通孔の形状がxz断面およびyz断面の両方において変化しているのが好ましい。
 また、表面プラズモンは、入射される光の偏光方向と直交する面で強く励起される性質を持つ。したがって、本実施形態では、発光デバイス2から出射されるのがx偏光であれば、貫通孔8,28の形状が少なくともxz断面において変化することによって、出射面7b,27b上でのx方向に関する貫通孔8,28の開口長さが、対向面7a,27a上でのx方向に関する貫通孔8,28の開口長さよりも大きくなっている。これによって、貫通孔8,28内で発生する近接場光の強度を対向面7a,27a付近において出射面7b,27b付近におけるよりもより強くすることができる。したがって、検出感度をより一層高めることができる。
 対向面7a,27a上でのx方向またはy方向のいずれかに関する貫通孔8,28の開口長さが、発光デバイス2から出射される光の波長より小さくなっている。これによって、貫通孔8,28を透過する光がほとんどなく、貫通孔8,28外部の影響を受けにくく、貫通孔8,28内部の屈折率変化のみを検出できる。
 本実施形態の光学センサヘッド1においては、貫通孔8,28の開口サイズが小さければ小さいほど、貫通孔8,28の内部に入り込める検出対象のサイズが小さくなる。貫通孔8,28の開口サイズを数nm程度にすることで、貫通孔8,28に検出対象の1分子のみが入り込めるようにすることも可能である。すなわち、貫通孔8,28は、ある大きさ以下の検出対象を選別する機能も持つことができる。また、発生する近接場光強度が強くなる最適な貫通孔が非常に幅の狭い形状を有しているとしても、図6(b)に示すような不連続形状であれば、光の出射面27bにおける貫通孔28の開口サイズで、貫通孔28の内部に入り込める検出対象を選別しておくことができる。
 検出器3は、市販のフォトディテクタでもよいし、分光器でもよい。市販のフォトディテクタは、強度しか検出できないが、小型で低コストである。一方、分光器は、それほど小型にはできないが、反射スペクトルを検出できるため、強度だけでなく、波長シフトの情報も得ることができる。なお、検出器3に加えて又は検出器3に代えて、遮光膜7を挟んで発光デバイス2とは反対側に検出器を配置してもよい。その場合、当該検出器は、第1の反射面4及び貫通孔8を通った光の光強度を検出することになる。貫通孔8を通った光とは、主に貫通孔8,28内で発生する近接場光が散乱された光である。貫通孔8,28内で発生する近接場光は、対向面7a,27a付近において出射面7b,27b付近におけるよりも強いため、対向面7a,27a付近の近接場光が散乱された光の強度は強くなる。よって、貫通孔8を通った光を検出する場合でも、貫通孔8,28外部の影響を受けにくく、貫通孔8,28内部の屈折率変化のみを検出できる。
[光学センサヘッドの動作]
 貫通孔8,28内部の屈折率が変化すると、第1の反射面4(以下では誘電体膜12が設けられていないと仮定して説明するが、誘電体膜12が設けられている場合にも以下と同様の説明が成り立つ)の反射率が変化し、第1の反射面4および第2の反射面5間を往復する導波路6中の光の強度分布が変化する。そのため、第2の反射面5から出射される光の透過率が変化する。よって、第2の反射面5から出射される光の透過率を検出することで、貫通孔8,28内部の屈折率がわかる。例えば、貫通孔8,28内部に、特定の分子を吸着する吸着層を設けておけば、この特定の分子の濃度がわかる。
 以下、具体的な構成について、FDTD(Finite Difference Time Domain)シミュレーション、および理論計算した結果を用いて説明する。
 まず、次の3つの構造(1)、(2)、(3)について、FDTDシミュレーションで光の強度分布を求めた。
 構造(1)は、遮光膜7は膜厚135nmの金、貫通孔8は第1の反射面4上でのxz方向の幅が50nm、光の出射面上でのxz方向の幅が200nm、断面が図6(a)のような台形状のスリットで、y方向には無限に続いているとした。内部は空気(屈折率=1.0)とした。
 構造(2)は、遮光膜7は膜厚135nmの金、貫通孔8は第1の反射面4から膜厚70nmまでのxz方向の幅が50nm、膜厚70nmから光の出射面までのxz方向の幅が200nm、断面が図6(b)のような2段階型のスリットで、y方向には無限に続いているとした。内部は空気(屈折率=1.0)とした。
 構造(3)は、遮光膜7は膜厚135nmの金、貫通孔8はxz方向の幅が50nmのスリットで、y方向には無限に続いているとした。内部は空気(屈折率=1.0)とした。
 いずれの構造でもy方向には無限に続いているとしたが、これは、貫通孔8が発光デバイス2の導波路6に対して、y方向に十分長く形成されている状態に対応する。
 入射光は、いずれも、スリットの幅方向(x方向)の偏光で、波長780nmとした。
 図7(a)、(b)、(c)はそれぞれ構造(1)、(2)、(3)に対する、偏光方向を含む断面での光の強度分布のシミュレーション結果である(強度スケールはすべて同じ)。貫通孔が従来の単純なスリット形状(構造(3))であれば、図7(c)に示すように、光の出射面における貫通孔のエッジにおいて最も強度が高くなっている。そのため、光の出射面より外部にも強い光が分布している。一方、構造(1)で最も強度が高いのは、対向面7aにおける貫通孔8のエッジであり、構造(2)で最も強度が高いのは、対向面27aからスリット幅が変わるまでの間である。すなわち、構造(1)および(2)では、光の強度分布を光の出射面7b,27bより内側に寄せることができており、貫通孔8,28内部の屈折率変化に敏感な構造となっている。
 構造(1)に対して、構造(2)の方が、貫通孔内部の光強度が強い範囲が広くなり、検出感度を高めることができる。しかしながら、構造(1)の方が、貫通孔外部の影響は受けにくい。また、構造(1)の方が、検出対象が光の出射面7b付近で留まりにくく、光強度が強い対向面7a付近まで検出対象がスムーズに入り込める。
 上記構成において、入射光の偏光方向を、スリットの幅に直交する方向(y方向)とした場合の結果を、図7(d)、(e)、(f)に示す。図7(d)、(e)、(f)はそれぞれ構造(1)、(2)、(3)に対する、スリットの幅方向を含む断面での光の強度分布のシミュレーション結果である。ただし、これらは図7(a)、(b)、(c)に対して、強度スケールを1/3にしている。貫通孔が従来の単純なスリット形状(構造(3))であれば、図7(f)に示すように、対向面7aにおける貫通孔8周辺に、光が少し浸み出しているだけだが、構造(1)および(2)では、浸み出し量が増え、光の出射面7b,27bより内側の光の強度分布を増強させることができている。また、それぞれの構成について、孔軸における対向面7aおよび27aから出射面7bおよび27bに向けての強度分布を図7(g)に示している。このグラフより、構造(1)および(2)の貫通孔内部の光強度は構造(3)より強く、かつ出射面7bおよび27bにおける強度は十分低いことがわかる。すなわち、構造(1)および(2)は、貫通孔8,28内部の屈折率変化に敏感な構造となっている。
 次に、第1の反射面4の反射率変化が、発光デバイス2である半導体レーザ素子の発振条件に与える影響を計算する。半導体レーザ素子の発振条件とは、閾値電流と微分効率である。これらは、一般に下記の数式(1)~(3)で表せることが知られている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000009
ここで、各パラメータは、以下のとおりである。
 η1:第1の反射面4から放射された光の微分効率
 η2:第2の反射面5から放射された光の微分効率
 Ith:閾値電流
 R1:第1の反射面4の反射率
 R2:第2の反射面5の反射率
 T1:第1の反射面4の透過率
 T2:第2の反射面5の透過率
 ηstm:内部微分効率
 ηi:内部量子効率
 αint:内部損失
 J0:透明化電流
 Γ:活性層の光閉じ込め係数
 h:プランク定数
 ν:光の振動数
 q:電子の電荷
 L:共振器長
 W:活性層の幅
 d:活性層厚さ
 図8は、代表的な波長780nmの半導体レーザ素子のパラメータを用いて、第1の反射面4の反射率(R1)および第2の反射面5の反射率(R2)を変化させたときの、(a)第2の反射面5から放射された光の微分効率(η2)および(b)閾値電流の変化を示したものである。
 図8(a)より、第1の反射面4の反射率(R1)が変化することによって、第2の反射面5から放射された光の微分効率(η2)が変化することがわかる。また、第1の反射面4の反射率(R1)が大きいほど、第1の反射面4の反射率(R1)の変化に対する第2の反射面5から放射された光の微分効率(η2)の変化量が大きくなることがわかる。さらに、第2の反射面5の反射率(R2)が小さいほど、第1の反射面4の反射率(R1)の変化に対する第2の反射面5から放射された光の微分効率(η2)の変化量が大きくなることがわかる。
 よって、第2の反射面5から放射された光の微分効率(η2)の変化から屈折率を検出するには、第1の反射面4の反射率(R1)が大きく、第2の反射面5の反射率(R2)が小さい方が好ましい。
 一方、 図8(b)より、第1の反射面4の反射率(R1)が変化することによって、閾値電流が変化することがわかる。また、第1の反射面4の反射率(R1)が小さいほど、第1の反射面4の反射率(R1)の変化に対する閾値電流の変化量が大きくなることがわかる。しかし、第2の反射面5の反射率(R2)が変化しても、第1の反射面4の反射率(R1)の変化に対する閾値電流の変化量はほとんど変化がない。すなわち、第2の反射面5の反射率(R2)が小さいほど、閾値電流の値は大きくなっているが、全体のカーブはほぼ同じであり、閾値電流の変化量はほとんど変化がない。
 よって、閾値電流の変化から屈折率を検出するには、第1の反射面4の反射率(R1)が小さい方が好ましい。ただし、第1の反射面4の反射率(R1)が小さいということは、第1の反射面4から放射される光量が強くなるか、第1の反射面4で吸収される光量が大きくなることを意味し、いずれの場合も第1の反射面4付近に存在する検出対象9に熱を与えることになる。このため、この熱量による温度変化を補正することが好ましい。
[光学センサヘッド製造方法]
次に、図6(a)に示す光学センサヘッド1の製造方法を説明する。発光デバイス2は、市販のレーザ素子を用いればよく、この第1の反射面4に誘電体膜12を介して遮光膜7を製膜し、その後、遮光膜7に貫通孔8を形成すればよい。そして、第2の反射面5を通して外部に出射される光の光強度を検出できるよう、市販のフォトディテクタを検出器3として設置すればよい。
 たとえば、発光デバイス2として半導体レーザ素子を用いる場合、半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子の裏面からの発光強度をモニタする検出器3とがパッケージ化されているタイプのものを用いることができる。この半導体レーザ素子の出射面(第1の反射面4)に、誘電体膜12を介して、p電極とn電極とが導通しないように遮光膜7(金、銀、アルミニウムなど)をスパッタや蒸着などにより製膜し、その後、FIB(Focused Ion Beam)やフォトリソグラフィーなどにより貫通孔8を形成すればよい。
貫通孔8の形状を、対向面7a上での開口面積より、光の出射面7b上での開口面積が大きいものとするには、FIBの集光ビームのスキャン方法やフォトリソグラフィーの条件を適宜決めればよい。例えば、図6(a)のような構造を作るには、FIBでx方向に外側ほどスキャン数を少なく、中心ほどスキャン数を多くなるようにすればよい。また、あらかじめ貫通孔8の領域にマスクを設置しておき、斜めから製膜することで、遮光部を形成し、その後貫通孔8のマスクを取り除いてもよい。また、図6(b)のような構造を作るには、光の出射面27bに幅の広い凹部を掘り込んだ後、この凹部の底面と対向面27aとの間に幅の狭い貫通孔を掘り込めばよい。
 発光デバイス2を気体中で利用する場合には、上述の構成のみでもセンシングできるが、より精密な測定を行う場合や、液体中で利用する場合には、工夫が必要である。特に、発光デバイス2が半導体レーザ素子である場合には、光学センサヘッド1をそのまま液体に接触させるとp電極とn電極が導通してしまうため、発光しなくなり、最悪の場合、破壊される。
 これを防ぐために、貫通孔8付近にのみ検出対象9を含む気体および/または液体を流すような流路部材を用いることが好ましい。図9は、流路部材10の一例を示す斜視図である。図9において、図中左から右への流路が内部に形成された流路部材10の上面の中央部には、流路を外部に露出させる窓(開口部)11が設けられている。窓11は、好ましくは、貫通孔8の出射面7bにおける開口サイズ以上に形成されている。流路部材10は、遮光膜7の貫通孔8が窓11の範囲内(好ましくは出射面7bにおける開口と一致)となるよう、遮光膜7に密着させられる(図11参照)。例えば、遮光膜7と流路部材10との間に、貫通孔8の出射面7bにおける開口および窓11を囲むようにゴム状のリングを挟むことにより、検出対象9を含む気体または液体を漏らさず流すことができる。図9に示す例では、流路部材10の幅が窓11の周辺で狭くなっているが、流路部材10の幅は一様であってもよい。また、流路部材10の端をチューブなどに繋ぎ、検出対象9を含む液体を流路部材10から吸いだせるようにしてもよい。窓11は、貫通孔8の出射面7bにおける開口サイズより小さくてもよいが、検出対象9を含む気体および/または液体の流速によっては、窓11より大きい貫通孔8の範囲で、検出対象9を含む気体および/または液体が溜まってしまうおそれがある。
[誘電体膜に関する変形例]
上述した実施形態の変形例について説明する。図10(a)に示す例では、第1の反射面4上に形成された誘電体膜22に、貫通孔8に接続された凹部41が形成されている。凹部41は、貫通孔8を画定する上述したテーパー面と同じ傾斜角度を有し且つこれに接続されて一つの傾斜面を形成するテーパー面によって画定されている。そして、貫通孔8と凹部41とが一緒になって一つの凹部を形成している。このとき、貫通孔8のx方向サイズは、凹部41の底面で最も小さくなるので、ここで光強度が最も強くなる。このように誘電体膜22に貫通孔8に接続された凹部41が形成されていれば、検出対象9が凹部41中にも存在できるため、さらに感度を上げることができる。
図10(b)に示す例では、第1の反射面4上に形成された誘電体膜32に、貫通孔28に接続された凹部42が形成されている。凹部42は、貫通孔28の水平部分よりも下方にある下方鉛直部分間と同じ幅だけ離隔した2つの鉛直面によって画定されている。そして、貫通孔28と凹部42とが一緒になって一つの凹部を形成している。このとき、貫通孔28のx方向サイズは、水平部分と凹部42の底面との間で最も小さくなるので、ここで光強度が最も強くなる。このように誘電体膜32に貫通孔28に接続された凹部42が形成されていれば、検出対象9が凹部42中にも存在できるため、感度を上げることができる。
[電気泳動に関する変形例]
別の変形例として、図11に示す光学センサヘッド101においては、貫通孔38を境界として、互いに絶縁された二領域37a、37bに分割された遮光膜37を用いられている。この変形例では、貫通孔38が遮光膜37を2つに分断するスリットとして形成されているが、必ずしもこのような形態とは限らず、貫通孔と絶縁層とによって、遮光膜が互いに絶縁された二領域に分割されていてもよい。
遮光膜37の二領域37a、37b間に直流電圧をかけるための電圧印加手段として、直流電源39aを含む回路39が設けられている。回路39を用いて領域37a、37b間に電圧をかけることで、電気泳動により、貫通孔38内部に検出対象を捕集することができる。なぜなら、互いに絶縁された二領域37a、37b間に電圧をかけると、二領域37a、37bの間隔が最も狭い個所に強い電場が生じるからである。本実施形態では検出対象の捕集が行われるために、検出感度がさらに向上する。なお、二領域37a、37b間に交流電圧をかけ、その周波数により、捕集できる検出対象のサイズなどを選別してもよい。
<実施形態3>
[光学センサシステム構成]
 本発明の実施形態3に係る光学センサシステムについて、図12を参照して説明する。図12に示す光学センサシステムは、図5に詳細を示した光学センサヘッド1と、光学センサヘッド1の検出器3で検出した結果を解析し、貫通孔8内の屈折率を算出する算出部51と、算出部51での算出結果を表示する表示部52と、駆動回路53とを含んでいる。
 算出部51は、回路系のみでもよいし、コンピュータおよびコンピュータ上で動作するソフトでもよい。
 表示部52は、市販のディスプレイを用いればよく、数字(屈折率)だけ表示するものでもよい。算出部51としてコンピュータを利用する場合、表示部52としてコンピュータに対応したディスプレイを用いれば、ディスプレイに屈折率をグラフ表示させることができる。また、算出部51としてコンピュータを利用する場合には、ユーザが測定条件や解析内容をキーボードなどの入力装置を用いて入力することもできる。
 駆動回路53は、光学センサヘッド1の発光デバイス2を駆動させるための回路であり、発光デバイス2の図示しない2つの電極に接続されており、当該2つの電極を介して発光デバイス2に注入電流を供給する。算出部51における解析には発光デバイス2の駆動条件も必要となる場合があるため、図12に示すように算出部51は発光デバイス2の駆動回路53に接続されている。
 後述する光学センサシステム動作に関するアルゴリズムを備えたプログラムは、メーカーが提供してもよいし、ユーザが独自に作成してもよい。
[光学センサシステムの動作]
 算出部51で行う検出結果の解析、および屈折率の算出について、発光デバイス2が半導体レーザ素子であり、検出結果が第2の反射面5から放射された光の光強度である場合について説明する。
 まず、第2の反射面5から放射された光の微分効率(η2)を算出するには、発光デバイス2に対して、閾値電流以上の少なくとも2つの電流値で電流を流し、そのときに第2の反射面5から放射された光の光強度を検出器3で検出する。算出部51は、検出器3で検出された複数の検出強度の差を電流値の差で割ることにより、微分効率(η2)を求める。半導体レーザ素子の発光強度Pは、注入電流Iが閾値電流以上のとき、
(数6)
        P=η2(I-Ith)   (6)
のように線形な関係式で表されることが知られている。よって、測定する電流値は少なくとも2点でよい。なお、測定点数を増やしてフィッティングすれば、測定誤差の影響を小さくすることができる。
 検出器3が、第2の反射面5から放射された光の一部のみを検出する構成になっている場合には、第2の反射面5から放射された光の全光量と検出光量の比で屈折率の算出を補正すればよい。その場合、算出部51が有する記憶部がその補正係数を記憶していればよい。
 算出部51が閾値電流を算出する場合にも、閾値電流以上の少なくとも2つの電流値で電流を流し、そのときに第2の反射面5から放射された光の光強度を検出器3で検出する。第2の反射面5から放射された光の微分効率(η2)を算出部51で算出した後、ある電流値での光強度と、算出した微分効率η2とを数式(6)に代入することによって閾値電流が得られる。
 次に、閾値電流および/または微分効率から、屈折率を求める方法について説明する。閾値電流および/または微分効率から、第1の反射面4の反射率を算出するには、数式(2)および/または数式(3)を用いれば、一意に算出できる。
 算出された第1の反射面4の反射率から、貫通孔8内部の屈折率を算出するには、あらかじめ貫通孔8内部の屈折率と第1の反射面4の反射率の関係をFDTDシミュレーションもしくは実測により何点か求めておき、算出部51が有する記憶部にこれらの結果を記憶させる。この結果から最小二乗法などのフィッティング法を用いて、貫通孔8内部の屈折率と第1の反射面4の反射率との関係式を求めておけば、第1の反射面4の反射率から、貫通孔8内部の屈折率を算出することができる。
 代替的には、貫通孔8の内部に、特定の分子を吸着する吸着層を設け、この特定の分子の濃度を検出するのであれば、測定前に濃度のわかっているサンプルを測定し、そのときの閾値電流および/または微分効率を記録した後、濃度が不明のサンプルを測定してもよい。この場合、算出部51に、測定前に濃度のわかっているサンプルを測定した結果を記憶する記憶部があればよい。記憶部は、ハードディスク、光ディスク、固体メモリなど、市販のものでよい。
[検出器として分光器を用いた例]
 半導体レーザ素子の発振波長は、環境温度によって変化することが知られている。この原理により、検出器3として分光器などを利用し、強度だけでなく、スペクトル測定を行えば、環境温度の変化による、閾値電流と微分効率の変化を補正することができる。また、検出対象と遮光膜の温度によって屈折率も補正することができる。具体的には、あらかじめ温度と発振波長の関係を測定した結果を算出部51が保持してもよいし、半導体レーザ素子の構成から計算してもよい。
[光学センサヘッドを複数個用いた例]
 本発明の光学センサシステムにおいて、光学センサヘッド1は、複数個用いてもよい。例えば、貫通孔8の形状、遮光膜7の材料、発光デバイス2の波長などが互いに異なれば、それぞれの光学センサヘッド1から得られる情報が異なる。これらの情報を総合することで、検出対象9をより正確に検出する、検出対象9を検出する濃度レンジを広くする、検出対象9の種類を増やす、などの効果を得ることができる。この場合、光学センサヘッド1は、互いに離隔して配置されていてもよいし、近接して配列されていてもよく、目的によって選択すればよい。
 また、同じ構成を有する複数の光学センサヘッド1を流路10に沿って配列しておけば、複数個の光学センサヘッド1から得られた情報を総合して、検出対象9の時間変化または場所依存の情報を得ることもできる。さらに、検出対象9の温度や検出対象9の流速を変え、時間変化または場所依存を測定すれば、流路中での検出対象9の動的特性(粘性、分散度など)を知ることができる。貫通孔8の内部に特定の分子を吸着する吸着層を設け、この特定の分子の濃度を検出すれば、吸着層に対する反応条件(反応速度、解離定数など)を知ることができる。
 上述した実施形態1に係る光学センサシステムは、第1の反射面、前記第1の反射面と対向する第2の反射面、および、前記第1の反射面と前記第2の反射面との間に設けられた導波路を有する発光デバイスと、前記第1の反射面上に形成された反応体と、前記第1の反射面及び前記第2の反射面の一方から出射される光の光強度を検出する第1の検出器と、前記第1の検出器によって検出された光強度に基づいて前記第1の反射面における環境パラメータを算出する算出部とを備えている光学センサシステムにおいて、前記第1の反射面の反射率R1と、前記検出器によって検出された光強度P(R1)とが、
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000010
の関係を満たす。
 上記構成により、上述した従来の光学センサシステムより高感度な光学センサシステムとなる。また、反応体が発光デバイスの第1の反射面上に形成されているため、光学調整が不要であるとともに、位置ずれなどの経時変化が起きない。よって、製造工程が少なく、位置ずれ対策が不要な分、低コストである。さらに、第1の検出器の検出信号の立ち上がりを急峻なものとすることができる場合には、検出速度が速くなる。
 また、
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000011
であり、反応体が反応することにより前記第1の反射面の反射率R1が大きくなる、または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000012
であり、反応体が反応することにより前記第1の反射面の反射率R1が小さくなる。上記構成により、反応体が反応するにつれ、第1の検出器が検出する光の光強度が増すため、S/Nが高くなる。また、反応前に検出器が検出する光強度を小さな値に設定しておくことができるため、発光デバイスの駆動エネルギーを小さくでき、消費電力が小さくなる。なお、反応することにより第1の反射面の反射率R1を大きく又は小さくするには、反応体の材料及び膜厚を、第1の反射面のコーティング状態に応じて適宜選択すればよい。
 また、
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000013
であり、反応体が反応することにより前記第1の反射面の反射率R1が小さくなる、または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000014
であり、反応体が反応することにより前記第1の反射面の反射率R1が大きくなる。上記構成により、反応体が反応するにつれて光強度が低下するため、反応が進んでも検出強度が飽和することがなく、反応前の状態で第1の検出器自体の感度が最大になるように回路調整をしておくことができる。よって、特に変化量が微小な領域でS/Nを高くすることができて、高感度な検出が可能となる。
 また、上述した光学センサシステムは、前記第1の検出器によって検出される光強度が一定となるよう、前記第1の検出器によって検出された光強度に基づいてフィードバック制御を行う制御手段をさらに備えている。上記構成により、反応体に照射される光強度が一定となるため、反応体の反応温度がほぼ一定となる。また、反応体の反応が第1の反射面から放射された光の光強度を増加させるように作用するのであれば、光強度を増加させないように発光デバイスへの注入電流を徐々に減少させるような制御が行われるため、消費電力を低下させることができる。
 また、上述した光学センサシステムは、前記第1の反射面及び前記第2の反射面の他方から出射される光の光強度を検出する第2の検出器をさらに備えている。上記構成により、反応体が反応することにより第1の反射面から放射された光の光強度及び第2の反射面から放射された光の光強度の片方が増加し、片方が減少するようにしておけば、反応体の反応が進むにつれ検出強度が小さくなる検出器は、反応することにより検出強度が飽和することがなく、反応前の状態で当該検出器の感度が最大になるように回路調整をしておくことができ、反応体の反応が進むにつれ検出強度が大きくなる検出器は、S/Nが高くなる。すなわち、これらの2つの効果を合わせもつことができる。また、いずれか一方の検出器を高感度、他方の検出器を低感度としておくことにより、高感度な検出器では光学センサシステムとしての検出速度を速くでき、低感度な検出器では環境パラメータの測定範囲を広くできる。すなわち、高感度、高速、広範囲な光学センサシステムを得ることができる。
 また、実施形態2に係る光学センサヘッドは、第1の反射面、前記第1の反射面と対向する第2の反射面、および、前記第1の反射面と前記第2の反射面との間に設けられた導波路が形成された発光デバイスと、近接場光を発生させるための貫通孔が設けられた、前記第1の反射面上に形成された遮光膜と、前記第1または第2の反射面を通して前記発光デバイスから出射される光の光強度を検出する検出器とを備えた光学センサヘッドであって、前記遮光膜の光の出射面上での前記貫通孔の開口面積が、前記第1の反射面に対向した前記遮光膜の対向面上での前記貫通孔の開口面積よりも大きい。
 前記構成によると、貫通孔における光の強度分布が、光の出射面付近で弱く、対向面付近で強くなるため、貫通孔外部の影響を受けにくく、貫通孔内部の屈折率変化のみを良好な感度で検出できる。このため、貫通孔の対向面における開口サイズを十分に小さくしておけば、分子レベルの検出ができる。また、貫通孔の対向面における開口に入り込める検出対象のみを検出することになるため、検出対象を開口サイズで選別した上で検出することが可能である。さらに、貫通孔の内部にのみ検出対象が存在すればよいので、サンプル容積を小さくすることができる。また、別途光源を必要としないために、小型化が可能である。
 前記遮光膜が、表面プラズモンを励起する材料からなる。前記構成によると、遮光膜の材料が、表面プラズモンを励起する材料であるため、貫通孔で発生する近接場光の強度が強くなり、したがって、検出感度が高くなる。
 前記発光デバイスから出射される光が直線偏光であり、前記直線偏光の方向に関して、前記遮光膜の前記出射面上での前記貫通孔の開口長さが、前記遮光膜の前記対向面上での前記貫通孔の開口長さよりも大きい。前記構成によると、表面プラズモンは、入射される光の偏光方向と直交する面で強く励起される性質を持つため、貫通孔外部の影響を受けにくく、貫通孔内部の屈折率変化のみを検出することできる。
 前記発光デバイスから出射される光が直線偏光であり、前記遮光膜の前記対向面上での前記直線偏光の方向に関する前記貫通孔の開口長さが、前記発光デバイスから出射される光の波長より小さい。前記構成によると、貫通孔を透過する光がほとんどなく、貫通孔外部の影響を受けにくく、貫通孔内部の屈折率変化のみを検出できる。
 前記貫通孔の断面積の増加率が連続的である。前記構成によると、検出対象が光の出射面付近で留まりにくく、光の強度分布が強い対向面側までスムーズに入り込める。このため、対向面における面積が小さくても、十分な感度で検出することができる。
 前記貫通孔の断面積の増加率が不連続である。前記構成によると、貫通孔内部の光の強度分布が強い範囲が広くなり、検出感度を高めることができる。
 前記発光デバイスと前記遮光膜との間に形成された誘電体膜をさらに備えており、前記誘電体膜には、前記貫通孔に接続された凹部が形成されている。前記構成によると、検出対象が誘電体膜に形成された凹部内にも存在できるため、さらに感度を上げることができる。
 前記発光デバイスが半導体レーザ素子である。前記構成によると、小型な光学センサヘッドとすることができるとともに、検出器で検出した前記第1または第2の反射面を通して外部に放射される光強度から、貫通孔内部における屈折率の算出が容易である。
 前記検出器がスペクトル測定可能な分光器であり、前記第1または第2の反射面を通して外部に出射される光の波長を検出する。前記構成によると、半導体レーザの発振波長が環境温度に依存することを利用して、検出した波長から、環境温度を算出し、屈折率の算出を補正することができるため、より正確な屈折率検出が可能となる。
 前記遮光膜が、前記貫通孔を境界として、互いに絶縁された二領域に分割されており、
前記遮光膜の前記二領域間に電圧をかけるための電圧印加手段をさらに備えている。前記構成によると、遮光膜の前記二領域間に電圧をかけることで、貫通孔内部に検出対象を捕集することができる。そのため、検出感度がさらに向上する。
 光学センサシステムは、上記の光学センサヘッドと、前記発光デバイスを発光させたときにおける前記検出器の検出値を元に、前記貫通孔内の屈折率を算出する算出部と、前記算出部で算出された屈折率を表示する表示部とを備える。前記構成によると、貫通孔外部の影響を受けにくく、貫通孔内部の屈折率変化のみを検出でき、分子レベルの検出も可能である光学センサシステムとなる。なお、検出値を得るには、少なくとも2つの電流値で発光デバイスを発光させることが好ましい。
 本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
1 光学センサヘッド
2 発光デバイス
3 検出器
4 第1の反射面
5 第2の反射面
6 導波路
7 遮光膜
7a 対向面
7b 出射面
8 貫通孔
9 検出対象
10 流路
11 窓
12 誘電体膜
101 光学センサヘッド
102 発光デバイス
103a 第1の検出器
103b 第2の検出器
104 第1の反射面
105 第2の反射面
106 導波路
108 駆動回路
109 温度センサ
120 反応体
151 算出部
152 表示部
200 光学センサシステム

Claims (8)

  1.  第1の反射面、前記第1の反射面と対向する第2の反射面、および、前記第1の反射面と前記第2の反射面との間に設けられた導波路を有する発光デバイスと、
     前記第1の反射面上に形成された反応体と、
     前記第1の反射面及び前記第2の反射面の一方から出射される光の光強度を検出する第1の検出器と、
     前記第1の検出器によって検出された光強度に基づいて前記第1の反射面における環境パラメータを算出する算出部とを備えている光学センサシステムにおいて、
     前記第1の反射面の反射率R1と、前記検出器によって検出された光強度P(R1)とが、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
    の関係を満たすことを特徴とする光学センサシステム。
  2.  前記第1の検出器によって検出される光強度が一定となるよう、前記第1の検出器によって検出された光強度に基づいてフィードバック制御を行う制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学センサシステム。
  3.  前記第1の反射面及び前記第2の反射面の他方から出射される光の光強度を検出する第2の検出器をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学センサシステム。
  4.  第1の反射面、前記第1の反射面と対向する第2の反射面、および、前記第1の反射面と前記第2の反射面との間に設けられた導波路が形成された発光デバイスと、
     近接場光を発生させるための貫通孔が設けられた、前記第1の反射面上に形成された遮光膜と、
     前記第1または第2の反射面を通して前記発光デバイスから出射される光の光強度を検出する検出器とを備えた光学センサヘッドであって、
     前記遮光膜の光の出射面上での前記貫通孔の開口面積が、前記第1の反射面に対向した前記遮光膜の対向面上での前記貫通孔の開口面積よりも大きいことを特徴とする光学センサヘッド。
  5.  前記遮光膜が、表面プラズモンを励起する材料からなることを特徴とする請求項4に記載の光学センサヘッド。
  6.  前記発光デバイスから出射される光が直線偏光であり、
     前記直線偏光の方向に関して、前記遮光膜の前記出射面上での前記貫通孔の開口長さが、前記遮光膜の前記対向面上での前記貫通孔の開口長さよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の光学センサヘッド。
  7.  前記発光デバイスから出射される光が直線偏光であり、
     前記遮光膜の前記対向面上での前記直線偏光の方向に関する前記貫通孔の開口長さが、前記発光デバイスから出射される光の波長より小さいことを特徴とする請求項4又は5に記載の光学センサヘッド。
  8.  請求項4~7のいずれか1項に記載の光学センサヘッドと、
     前記発光デバイスを発光させたときにおける前記検出器の検出値を元に、前記貫通孔内の屈折率を算出する算出部と、
     前記算出部で算出された屈折率を表示する表示部とを備える光学センサシステム。
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