WO2014038518A1

WO2014038518A1 - 混合液分離装置

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Publication number: WO2014038518A1
Application number: PCT/JP2013/073561
Authority: WO
Inventors: 友喜板橋; 義隆木村
Original assignee: リックス株式会社
Priority date: 2012-09-05
Filing date: 2013-09-02
Publication date: 2014-03-13
Also published as: DE112013004354B4; JP2014050775A; JP5422838B1; TW201420165A; US9511309B2; DE112013004354T5; US20150217210A1; TWI604876B

Abstract

　クーラント液の表面にクーラント液よりも比重が小さく且つ粘度が高い油脂成分が浮遊して表層を形成した状態の混合液から油脂成分を分離して取り出す混合液分離装置において、混合液を貯留する貯留槽に下部が挿入された縦姿勢で配置されて油脂成分をクーラント液から分離して上方に移送する液分離移送部を、内側端面が軸部の外周面に摺接する帯部材を円柱棒状の軸部の外周面に沿って螺旋状に複数段に周回させて設けられた螺旋体と、前記軸部と、回転駆動部とから構成し、帯部材に付着した油脂成分を、螺旋体と軸部との相対回転により軸部の外周面に沿って押し上げる。

Description

混合液分離装置

　本発明は、工作機械などの工場設備において、洗浄や潤滑などの使用後に異種成分が混合状態となった混合液から、所定の物質を分離する混合液分離装置に関するものである。

　機械加工などの製造業では、加工時の潤滑や冷却、加工後の洗浄や脱脂など各種の目的から、工業用水を主成分とするクーラントが使用される。これらのクーラントには、使用目的に応じて切削剤や洗浄剤など各種の成分が添加され、使用後には、切り粉や、潤滑用に供給された油分などの異物が混合した排液の状態で回収される。回収された排液は、異物を除去した後に循環使用される。このような排液処理のための設備として、従来より、各種の装置が用いられている（例えば特許文献１参照）。

　この特許文献１に示す先行技術は、次のようなスクリューパイプ方式の液分離機構が採用されている。円筒形の外側部材の内部に、外側部材に対して相対回転する棒状の内側部材が、同軸配置されている。内側部材の外周に設けられた螺旋状の案内壁を、外側部材の内周面に摺接させている。作動時には、スクリューパイプの下部を、分離しようとする混合液内に浸入させた状態で、外側部材と内側部材を相対回転させる。これにより、案内壁が、外側部材の内周面に摺接しながら回転し、混合液の液面に浮遊した油分などの分離対象物質が、案内壁の螺旋面に沿って上方に移送され、分離回収される。

再公表ＷＯ２００５／０３８４０８号公報

　しかしながら、上述の先行技術は、切削機械などの、切り粉やスラッジなど固形異物を発生する機械装置に使用した場合に、以下のような不都合が発生していた。このような機械装置においては、処理対象となる混合液中には、本来分離されるべき浮遊油分の他に、切り粉やスラッジなどの固形異物が含まれている。このため、前述の液分離機構を作動させると、螺旋状の案内壁には油分とともに、このような固形異物も付着する。このような固形異物が付着した状態でスクリューパイプを作動させると、案内壁を上方に移動させる過程において、固形異物が、案内壁と外側部材との摺接部に噛み込まれて、詰まる不具合が発生する。このような不具合は、油分の回収を妨げて装置効率を低下させるのみならず、噛み込んだ異物によってスクリューパイプの動作不良や異常摩耗を招き、部品寿命の短命化や装置のコストアップを余儀なくされていた。以上説明したように、従来技術においては、切り粉やスラッジなどの固形異物を含む混合液に対しては、低コストで高い液分離効率を実現することが困難であるという問題があった。

　本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、切り粉やスラッジなどの固形異物を含む混合液を対象として、低コストで高い液分離効率を実現することができる混合液分離装置を提供することを目的とする。

　本発明の混合液分離装置は、粘度および比重が異なる少なくとも２種類の液状の物質を含み、前記物質のうちの第１の物質の表面に、前記第１の物質よりも比重が小さく且つ粘度が高い第２の物質が浮遊して表層を形成した状態の混合液から、前記第２の物質を分離して取り出す混合液分離装置であって、前記混合液を貯留する貯留槽に下部が挿入された縦姿勢で配置され、前記第２の物質を第１の物質から分離して上方に移送する液分離移送部と、前記移送された第２の物質を受け容器に回収する液回収部と、を備え、前記液分離移送部は、円柱棒状の軸部と、内側端面が前記軸部の外周面に摺接する帯部材を前記外周面に沿って螺旋状に複数段に周回させて設けられた螺旋体と、この螺旋体と前記軸部とを相対回転させる回転駆動部とを有し、前記帯部材に付着した第２の物質を前記相対回転により前記軸部の外周面に沿って押し上げることを特徴とする。

　本発明によれば、第１の物質の表面に、第１の物質よりも比重が小さく且つ粘度が高い第２の物質が浮遊して、表層を形成した状態の混合液から第２の物質を分離して取り出す混合液分離装置において、次のような構成を有している。すなわち、液分離移送部は、混合液を貯留する貯留槽に下部が挿入された縦姿勢で配置され、第２の物質を第１の物質から分離して上方に移送する。この液分離移送部を、円柱棒状の軸部と、内側端面が軸部の外周面に摺接する帯部材を軸部の外周面に沿って螺旋状に複数段に周回させて設けられた螺旋体と、それらを相対回転させる回転駆動部から構成する。これによって、帯部材に付着した第２の物質を、相対回転により軸部の外周面に沿って押し上げることができ、切り粉やスラッジなどの固形異物を含む混合液を対象として、低コストで高い液分離効率を実現することができる。

本発明の一実施形態である混合液分離装置の液処理系統を説明する説明図である。本発明の一実施形態の混合液分離装置の全体構成図である。本発明の一実施形態の混合液分離装置の部分断面図（第１実施形態）である。（ａ）、（ｂ）は、本発明の一実施形態の混合液分離装置における液分離移送部の機能を説明する説明図である。本発明の一実施形態の混合液分離装置における液回収部の機能を説明する説明図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の一実施形態の混合液分離装置における異物排出部の構成および機能を説明する説明図である。（ｂ）は、（ａ）のＡ－Ａ線の矢印から見た部分図である。本発明の一実施形態の混合液分離装置の部分断面図（第２実施形態）である。

　本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、符号は、各実施態様に記載の具体的手段との対応を示す一例である。まず図１を参照して、本発明の混合液分離装置が使用される液処理系統の構成を、一例として説明する。図１において示すように、液処理装置１は処理対象のクーラント液２を貯留する貯留槽３を備えている。液送ポンプ５によって吸引管４を介して吸引されたクーラント液２は、液送配管７を介して液供給対象の工作機械８に送給される（矢印ａ）。工作機械８は、ワーク１０に切削加工を行う加工機構９を備えている。工作機械８に送給されたクーラント液２は、加工機構９を介して、ワーク１０の切削加工部位に冷却や潤滑を目的として供給され、液滴２ａとして落下して（矢印ｂ）、クーラント受け１１内に回収される。

　回収されたクーラント液２には、加工機構９の機構部に使用された潤滑油などの油脂成分１２や、切削加工で発生した切削屑などの固形異物１３が混入している。このような混入成分を含む混合液は、戻り配管１４を介して貯留槽３に回収される（矢印ｃ、ｄ）。貯留槽３内では、クーラント液２よりも比重が小さく且つ粘度が高い油脂成分１２が、浮遊して表層を形成した状態となっている。油脂成分１２は有機物であり、時間の経過とともに腐敗してクーラント液２を劣化させる。そのため、液処理装置１には混入成分を含む混合液から、油脂成分１２を分離する機能を有する混合液分離装置６が配設されており、貯留槽３内に油脂成分１２が滞留することを防止している。

　混合液は、粘度および比重が異なる少なくとも２種類の液状の物質を含み、これらの物質のうちの第１の物質であるクーラント液２の表面に、第１の物質よりも比重が小さく且つ粘度が高い第２の物質である油脂成分１２が浮遊して表層を形成した状態であり、このような状態の混合液から、混合液分離装置６は、油脂成分１２を分離して取り出す機能を有している。

　次に、図２，図３を参照して、混合液分離装置６の構成を説明する。図２に示すように、混合液分離装置６は、縦長形状の液分離移送部２０を、貯留槽３に縦姿勢で配置した構成となっている。液分離移送部２０は、下部２０ａ、中間部２０ｂおよび回転駆動部２０ｃを備えている。下部２０ａは、貯留槽３の上面の上部カバー３ａに設けられた開口部を挿通して、貯留槽３に貯溜されたクーラント液２に浸入している。下部２０ａの上部に設けられた取付け部材２７を上部カバー３ａの上面に固定することにより、混合液分離装置６全体が貯留槽３に装着される。貯留槽３内のクーラント液２には、油脂成分１２、固形異物１３の混入成分が含まれており、油脂成分１２はクーラント液２の液面に浮遊した状態となっている。

　下部２０ａ、中間部２０ｂにおいて液分離移送部２０は、主に円柱棒状の軸部２３と螺旋体２４とから構成されている。螺旋体２４は、帯部材２４ａを、その内側端面が軸部２３の外周面２３ａ（図４参照）に摺接させて、軸部２３の外周面２３ａに沿って螺旋状に複数段に周回させて設けられたものである。ここで螺旋状に複数段とは、帯部材２４ａが軸部２３の軸心方向に複数配列されていることを指しており、螺旋が１条になっている場合のみならず、螺旋が多条であっても良い。下部２０ａでは、取付け部材２７から下方に延出した複数の支持ロッド２６によって、連結プレート２５を介して、軸部２３の下端部が固定支持されている。螺旋体２４は、回転駆動部２０ｃによって、固定された軸部２３に対して相対回転する。下部２０ａにおいては、螺旋体２４は帯部材相互間の空間が外周側方向に開放された露出範囲となっており、中間部２０ｂにおいては、螺旋体２４は管状のカバー部材２８によって外周側方向が閉鎖的に包囲されている。

　回転駆動部２０ｃは、頂部プレート２９の上面に、モータ３０を縦姿勢で配置し、螺旋体２４に回転駆動を伝達する構成となっている。下部２０ａをクーラント液２内に浸入させた状態で回転駆動部２０ｃを駆動して螺旋体２４を軸部２３に対して相対回転させる。これにより、クーラント液２の表層を形成して浮遊する油脂成分１２は、混合液状態のクーラント液２から分離されて上方に移送される。

　中間部２０ｂの上端部には、円板形状の受け容器２１が装着され、円板形状の受け容器２１の上面には、分離移送された油脂成分１２を受ける凹部を有する。受け容器２１の上面には、液回収部２２が、軸部２３及び螺旋体２４が上下方向に挿通するような形状に形成されて、配設されている。液分離移送部２０によって、クーラント液２から分離されて、上方に移送された油脂成分１２は、液回収部２２によって受け容器２１に回収される。

　ここで図３（第１実施形態）を参照して、回転駆動部２０ｃおよび液回収部２２の詳細構造を説明する。モータ３０の出力軸３０ａは、頂部プレート２９から下方に延出しており、軸受け部材３４によって軸支された垂直な伝動軸３６に、カップリング部３５を介して連結されている。軸受け部材３４は、頂部プレート２９の下方に配設された水平な中間プレート３３に、保持されている。中間プレート３３および頂部プレート２９は、受け容器２１の周縁部に固定締結された複数の連結ボルト３２（図６（ａ）参照）によって支持されている。さらに頂部プレート２９と受け容器２１との間には、内部を閉鎖的に包囲するカバー部材３１が装着されている。

　中間プレート３３の下方には、伝動軸３６から水平方向に延出して伝動軸３６とともに回転する連結プレート３７が設けられている。螺旋体２４の上端部は、連結プレート３７にボルト３８によって固着されている。モータ３０を駆動して伝動軸３６を回転させることにより、螺旋体２４は伝動軸３６を介して回転駆動される。このとき、軸部２３は下端部を連結プレート２５によって固定支持されているので、螺旋体２４は、軸部２３に対して相対的に回転する。そしてこの相対回転により、帯部材２４ａに付着した油脂成分１２を軸部２３の外周面２３ａに沿って押し上げて上方向に移送する。

　軸部２３の上端部に配設された液回収部２２は、螺旋体２４の上部において、所定段数（ここでは３段）の帯部材２４ａを外側から閉鎖的包囲する閉鎖的包囲部材４０を設けて構成されており、閉鎖的包囲部材４０は連結プレート３７と連結ロッド３９によって結合されて伝動軸３６とともに回転するようになっている。閉鎖的包囲部材４０は内周面が帯部材２４ａの外側端面に摺接する略円筒状部材であり、閉鎖的包囲部材４０の包囲範囲では、帯部材２４ａ相互の空間４１は外側から閉鎖的に包囲される。また閉鎖的包囲部材４０の内周面の下部は、テーパカットされて外周面の端部が鋭角断面の下端部４０ａとなっている。下端部４０ａと受け容器２１の下部２１ａ（図３参照）との間には、油脂成分１２が流出するための隙間が確保されている。液分離移送部２０によって上方に移動し液回収部２２に到達した油脂成分１２は、閉鎖的包囲部材４０内に進入し、帯部材２４ａの押し上げ作用によって、閉鎖的包囲部材４０の上面側、及び、下端部４０ａと底面２１ａとの間の隙間から、吐出されて受け容器２１に回収される。

　図４を参照して、液分離移送部２０における、軸部２３と螺旋体２４との組み合わせによる、油脂成分１２の移送動作について説明する。図４（ａ）は、下部２０ａの下部がクーラント液２内に浸入した状態を示している。クーラント液２の表層には油脂成分１２が浮遊状態で存在しており、さらに固形異物１３がクーラント液２内で浮遊している。そしてこれらの油脂成分１２は粘度が高くて付着しやすいことから、クーラント液２の表面近傍に位置する帯部材２４ａの上表面２４ｂや軸部２３の外周面２３ａに、周囲の固形異物１３を伴って付着する。

　この状態で、回転駆動部２０ｃによって螺旋体２４を所定回転方向（矢印ｅ）に回転させることにより、上表面２４ｂおよび外周面２３ａに付着した油脂成分１２には、外周面２３ａに沿って上方に移動する押し上げ作用が働く。すなわち図４（ｂ）に示すように、帯部材２４ａが外周面２３ａの周囲で水平円周方向（矢印ｆ）に周回移動することにより、油脂成分１２には上表面２４ｂによって上方へ移動させる力が作用し、これにより油脂成分１２は外周面２３ａに沿って上方へ押し上げられる。

　このとき下部２０ａにおいて、螺旋体２４は帯部材２４ａ相互間の空間４１（図３参照）が外周側方向に開放された露出範囲となっていることから、上述の押し上げ動作によって、上表面２４ｂに付着して空間４１内に存在する固形異物１３は、上方に移動する過程において、外周側が開放された空間４１から離脱して落下する（矢印ｇ）。換言すればこの露出範囲では、油脂成分１２とともに上方に移送された固形異物１３の空間４１から外側への排出が妨げられないようになっている。これにより、固形異物１３が従来技術において生じていた不具合、すなわち案内壁との摺接部に固形異物１３が噛み込んで詰まる不具合を抑制することができる。

　また本実施形態においては、固定された軸部２３の外周側の螺旋体２４を回転駆動する構成を採用していることから、螺旋体２４の回転に伴って近傍のクーラント液２には連れ廻りによる環状の流動が誘起される。そしてこの環状の流動により、クーラント液２の表層に浮遊する油脂成分１２は帯部材２４ａや外周面２３ａに接近して付着捕捉される確率が増大し、油脂成分１２の分離効率を向上させることが可能となっている。

　次に図５を参照して、液回収部２２の機能の詳細を説明する。下部２０ａにおいて帯部材２４ａによって捕捉されさらに中間部２０ｂによって上方に移動した油脂成分１２は、液回収部２２に到達すると閉鎖的包囲部材４０の内部を上方に移動する。このとき、帯部材２４ａ間の空間４１は閉鎖的包囲部材４０によって閉鎖的に包囲されていることから、外部への自由な流動が妨げられる。

　このため、上方へ移動する油脂成分１２は、閉鎖的包囲部材４０の下端部４０ａと受け容器２１の底面２１ａとの間の隙間を介して、底面２１ａに吐出される下方吐出経路（矢印ｈ）、または、閉鎖的包囲部材４０の上面まで帯部材２４ａによって持ち上げられて溢出するオーバーフロー経路（矢印ｉ）の、２つの経路（吐出部）によって受け容器２１に回収される。受け容器２１の外周近傍には、下方に延出するガイドパイプ２１ｃと、連通した排出口２１ｂが設けられている。受け容器２１に回収された油脂成分１２は、排出口２１ｂを介してガイドパイプ２１ｃに導かれ、下方に配置された回収ボックス４３内に落下して回収される。

　次に、図６を参照して、受け容器２１に回収された油脂成分１２に含まれる固形異物１３を、排出する異物排出部の構成および機能について説明する。受け容器２１の底面２１ａに設けられた排出口２１ｂは、油脂成分１２とともに液回収部２２から吐出された固形異物１３を下方に排出するための排出口を兼ねている。すなわち、図６（ａ）（ｂ）に示すように、閉鎖的包囲部材４０の側面を部分的にカットして形成された取付け面４０ｂには、端部に摺接部４２ａが設けられた板状の掻き寄せ部材４２が、ボルト４４によって固着されている。掻き寄せ部材４２は、受け容器２１内において摺接部４２ａを平らな底面２１ａ上に摺接させて配設されている。閉鎖的包囲部材４０は、連結プレート３７（図３参照）に連結ロッド３９を介して連結されており、回転駆動部２０ｃの相対回転駆動によって、閉鎖的包囲部材４０が回転する。これにより、掻き寄せ部材４２は摺接部４２ａを底面２１ａに摺接させて、回転方向に摺動する。

　図６（ｃ）に示すように、閉鎖的包囲部材４０が回転（矢印ｋ）すると、底面２１ａ上を摺動する掻き寄せ部材４２によって、底面２１ａ上に吐出された油脂成分１２に含まれる固形異物１３は、油脂成分１２とともに排出口２１ｂに掻き寄せられ、排出口２１ｂを介して下方に排出される。回転駆動部２０ｃによって回転駆動される閉鎖的包囲部材４０、および、閉鎖的包囲部材４０に装着された掻き寄せ部材４２は、受け容器２１において固形異物１３を排出口２１ｂに移送して排出させる異物排出部を構成する。この異物排出部は、受け容器２１の平らな底面２１ａに摺接し回転駆動部２０ｃの相対回転によって底面２１ａ上を摺動する掻き寄せ部材４２を有し、この掻き寄せ部材４２によって底面２１ａ上の固形異物１３を排出口２１ｂに掻き寄せるようになっている。

　上述の実施形態における第１実施形態では、螺旋体２４と軸部２３とを相対回転させる回転駆動部２０ｃとして、固定された軸部２３に対して螺旋体２４を回転させる構成を採用しているが、固定された螺旋体２４に対して軸部２３を回転させるようにしてもよい。例えば、図７に示すように、モータ３０の出力軸３０ａにカップリング部３５を介して軸部１２３を直接連結し、螺旋体２４をボルト１３８および固定プレート１３７を介して中間プレート３３に固定結合する。この構成によっても、螺旋体２４と軸部１２３とを相対回転させることができ、第１実施形態と同様に、螺旋体２４によって軸部１２３の外周面に沿って油脂成分１２を押し上げることができる。

　上記説明したように、本実施形態に示す混合液分離装置６は、第１の物質であるクーラント液２の表面に、第１の物質よりも比重が小さく且つ粘度が高い第２の物質である油脂成分１２が浮遊して、表層を形成した状態の混合液から油脂成分１２を分離して取り出す装置である。液分離移送部２０は、混合液を貯留する貯留槽３に下部２０ａが挿入された縦姿勢で配置され、油脂成分１２をクーラント液２から分離して上方に移送する。液分離移送部２０は、円柱棒状の軸部と、内側端面が軸部の外周面に摺接する帯部材を軸部の外周面に沿って螺旋状に複数段に周回させて設けられた螺旋体と、それらを相対回転させる回転駆動部から構成する。これによって、帯部材に付着した第２の物質を、相対回転により軸部の外周面に沿って押し上げることができるようにしている。

　これにより、固形異物１３が機構部に噛み込んで詰まる不具合を抑制することができる。さらに、混合液分離装置６による装置効率を向上させるとともに、異物噛み込みによる動作不良や異常摩耗を防止することが可能となる。すなわち、切り粉やスラッジなどの固形異物１３を含む混合液を対象として、低コストで高い液分離効率を実現することができる。

　なお上記実施形態においては、第１の物質がクーラント液２であり、第２の物質はクーラント液２の液面に浮遊する油脂成分１２である例を示したが、本発明はこれには限定されない。第１の物質の表面に第１の物質よりも比重が小さく且つ粘度が高い第２の物質が浮遊して表層を形成した状態の混合液から第２の物質を分離して取り出す構成であれば、これ以外の物質種の組み合わせについても本発明を適用することができる。例えば、第１の物質が洗浄液であり、第２の物質が洗浄液の液面に浮遊する被洗浄物である組み合わせについても本発明を適用することができる。

　本発明の混合液分離装置は、切り粉やスラッジなどの固形異物を含む混合液を対象として、低コストで高い液分離効率を実現することができるという効果を有し、工作機械用に用いられるクーラント液や洗浄装置に用いられる洗浄液を回収再使用する液処理分野において有用である。
　本発明は、例示を目的として選択された特定の実施態様を参照して記述されているが、当業者にとっては本発明の基礎概念とその開示範囲から逸脱せずに、数多くのモディフィケーションが為しうることが明らかであろう。

　１　　液処理装置
　２　　クーラント液
　３　　貯留槽
　６　　混合液分離装置
　１２　　油脂成分
　１３　　固形異物
　２０　　液分離移送部
　２０ａ　　下部
　２０ｃ　　回転駆動部
　２１　　受け容器
　２１ａ　　底面
　２１ｂ　　排出口
　２２　　液回収部
　２３　　軸部
　２３ａ　　外周面
　２４　　螺旋体
　２４ａ　　帯部材
　４０　　閉鎖的包囲部材
　４１　　空間
　４２　　掻き寄せ部材

Claims

　粘度および比重が異なる少なくとも２種類の液状の物質を含み、前記物質のうちの第１の物質の表面に、前記第１の物質よりも比重が小さく且つ粘度が高い第２の物質が浮遊して表層を形成した状態の混合液から、前記第２の物質を分離して取り出す混合液分離装置であって、
　前記混合液を貯留する貯留槽（３）に下部が挿入された縦姿勢で配置され、前記第２の物質を第１の物質から分離して上方に移送する液分離移送部（２０）と、
　前記移送された第２の物質を受け容器に回収する液回収部（２２）と、を備え、
　前記液分離移送部（２０）は、円柱棒状の軸部（２３）と、内側端面が前記軸部（２３）の外周面に摺接する帯部材（２４ａ）を前記外周面に沿って螺旋状に複数段に周回させて設けられた螺旋体（２４）と、この螺旋体（２４）と前記軸部（２３）とを相対回転させる回転駆動部（２０ｃ）とを有し、前記帯部材（２４ａ）に付着した第２の物質を前記相対回転により前記軸部（２３）の外周面に沿って押し上げることを特徴とする混合液分離装置。
　前記液回収部（２２）は、前記螺旋体（２４）の上部において、所定段数の帯部材（２４ａ）の外側端面に摺接して、前記帯部材相互間の空間を外側から閉鎖的に包囲する閉鎖的包囲部材（４０）と、前記空間から前記受け容器（２１）へ第２の物質を吐出させる吐出部（ｈ、ｉ）とを備えたことを特徴とする請求項１記載の混合液分離装置。
　前記螺旋体（２４）において前記液回収部（２２）より下方には、前記帯部材相互間の空間が外周側方向に開放された露出範囲が設けられており、この露出範囲では前記第２の物質とともに上方に移送された固形異物（１３）の前記空間から外側への排出が妨げられないことを特徴とする請求項２に記載の混合液分離装置。
　前記回転駆動部（２０ｃ）は、固定された前記軸部（２３）に対して前記螺旋体（２４）を回転させることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の混合液分離装置。
　前記回転駆動部（２０ｃ）は、固定された前記螺旋体（２４）に対して前記軸部（２３）を回転させることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の混合液分離装置。
　前記受け容器（２１）には、前記第２の物質とともに吐出された固形異物（１３）を下方に排出するための排出口（２１ｂ）が設けられていることを特徴とする請求項１から５のいずれか１項に記載の混合液分離装置。
　前記受け容器（２１）において、前記固形異物（１３）を前記排出口（２１ｂ）に移送して排出させる異物排出部を備えたことを特徴とする請求項６に記載の混合液分離装置。
　前記異物排出部は、前記受け容器（２１）の平らな底面（２１ａ）に摺接し前記回転駆動部の相対回転によって前記底面上を摺動する、掻き寄せ部材（４２）を有し、この掻き寄せ部材（４２）によって、前記底面上の固形異物（１３）を前記排出口（２１ｂ）に掻き寄せることを特徴とする請求項７に記載の混合液分離装置。
　前記第１の物質はクーラント液であり、前記第２の物質は前記クーラント液の液面に浮遊する油脂成分であることを特徴とする請求項１から８のいずれか１項に記載の混合液分離装置。
　前記第１の物質は洗浄液であり、前記第２の物質は前記洗浄液の液面に浮遊する被洗浄物であることを特徴とする請求項１から８のいずれか１項に記載の混合液分離装置。