WO2013145309A1 - 痴漢冤罪立証システム - Google Patents

Abstract

【課題】痴漢冤罪による誤認逮捕時や取り調べ時、裁判時等に客観的な証拠を直ちに提出可能とする痴漢冤罪立証システムを提供することにある。 【解決手段】不運にも利用者１０が鉄道警察隊に誤認逮捕され、取り調べを受けている状況を示しており、利用者１０は「痴漢冤罪の証拠画面」を鉄道警察隊に提示して無実を主張することができる。携帯情報端末１は、通勤状況の再現指示を受けると、電子メール中に記載された利用者ホームページにアクセスし、表示画面１ａを「通勤状況再現画面」に切り替えて、キーワードを検出したＡ駅からＢ駅までの通勤状況を再現する。図７（Ｂ）から明らかなように、利用者１０が通勤電車１１に乗ってＡ駅からＢ駅に移動中の時刻Ｔ１までは通常と何ら変わらず「正常」であり、Ｔ１以降、急激に興奮状態となって、「異常」に陥ったことが分かる。

Description

痴漢冤罪立証システム

　本発明は、混雑する通勤電車や通勤バスなどに乗った際に遭遇する痴漢冤罪の証拠を提供する痴漢冤罪立証システムに関する。

　警視庁のホームページによると、女性の痴漢被害は通勤・通学時間帯の朝７時から１０時までに集中しており、電車内での発生が全体の６７．６％という大きな割合を占めている。痴漢行為の抑制を目的に女性専用車両が既に導入されているが、導入の前後で痴漢被害件数の減少が報告された一部の路線はあるものの、逆に導入後も痴漢被害件数が増加しているケースもある。つまり、女性専用車両の導入は単なる次善策に過ぎず、ラッシュ時の混雑緩和ができない限り痴漢被害は撲滅できないと言える。

　また、同ホームページでは、痴漢被害にあった場合には、（１）触っている手を確実に捕まえること、（２）触っている手元をよく見て袖口や腕時計、指輪など犯人の特定につながる特徴を確認し、警察・駅員に訴え出ること、（３）軽微な被害でも確実に犯人を警察に引き渡すことが、痴漢に対する最大の防犯効果となること、及び（４）泣き寝入りすることは、痴漢を野放しにし、犯行の悪質化を招く、と女性に対して自己防衛を強く呼びかけている。これにより、痴漢被害に遭った女性が、周りの乗客の力を借りて、積極的に犯人を現行犯逮捕したり、駅員に引き渡したりしている。

　一方、最近では痴漢冤罪（痴漢をしていないのに痴漢に間違われる事）が社会問題として大きく取り上げられている。通勤・通学ラッシュ時など、多数の乗客が一度に車内に乗り込む状況では、否応なしに男性と女性の体が密着してしまい、男性のちょっとした体の動きなどによっても女性に「痴漢」だと間違われてしまい、誤認逮捕される危険性が高まる。

　痴漢冤罪が発生するケース：
　１．痴漢犯人を間違えるケース
　例えば、ラッシュ時の車内で女性が本当に痴漢にあい、周辺に数人の男性が立っていた場合、女性が間違って、全く無関係な人を痴漢の犯人だと思い込み、いきなり男性の腕を掴んで「この人は痴漢です」と叫んでしまうと、男性は実際に痴漢行為をしていなくても高い可能性で痴漢と疑われてしまう。特に、男性が全く痴漢行為をしていない場合であっても、一度痴漢の濡れ衣を着せられると、痴漢冤罪から逃げられないというのが、今の日本の痴漢に対する警察・検察や司法の仕組みになっている。

　２．痴漢をでっちあげるケース
　たとえ痴漢冤罪であっても、疑われた男性が一旦捕まって、その後に訴えられると無罪を立証するのは非常に難しいという事から、女性やその共犯者により痴漢をでっちあげる事件が多発している。その犯行の目的は、（１）示談金目当て、（２）愉快犯、（３）嫌がらせ・個人的な恨み、（４）遅刻などの言い訳作り、等が挙げられる。これらは悪質で許せない犯罪行為であるが、男性が一度痴漢として起訴されてしまうと、痴漢にあったとする被害者の証言に矛盾があっても、状況証拠に無理があったとしても、高い確率で有罪判決が出てしまうのが現状である。また、今のところ検察や警察、裁判所は、女性擁護の立場に傾き過ぎており、痴漢でっちあげが立証できるのは、女性側に明らかに虚偽や悪意が認められた場合に限られている。この様に痴漢冤罪が立証されない事又は立証困難であることが、痴漢冤罪を誘発する環境を作り上げていると言わざるを得ない。公共交通機関の現状では、男性は痴漢冤罪を防ぐことができない事や、男性だけが一方的に女性専用車両導入のデメリットを受ける事などから、男女平等の社会に反するとの不公平感が叫ばれており、男性専用車両の新設が要望されている。

　この様な中、痴漢冤罪回避の技術的な対応・対策として、例えば下記の２つの特許文献が公知になっている。

　特許文献１には、課題として、「従来満員電車等での痴漢冤罪事件では、無実が証明されない事から、無実の罪に問われたまま犯罪者扱いされ、人生を台無しに余儀なくされてしまった人が多数いた」ことを挙げ、その解決手段として「本発明は「本当に痴漢をしていない」という決定的な事実証明をする為に、胸の位置から両手を下ろさない為のベルトであり、片方の手を胸の位置より下げようとすると、もう片方の手は首の位置まで上げなければならず、不自然な体勢になることから無実の証明が出来る。また、両腕を吊っている事から、長時間の雑誌や新聞を読んでいても、腕がだるくなったり疲れたりする事が無くなる。」という技術が記載及び公開されている。

　特許文献２には、課題として「公共交通機関のユーザが痴漢等の迷惑行為の加害者として巻き込まれることを防止するとともに、加害者として巻き込まれた際には冤罪立証の証拠を確保することが可能な位置方向推定システムを提供する」ことを挙げ、その解決手段として、「ユーザの手に装着された複数の被測定手段、被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムであって、情報処理装置は、測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力手段と、測定手段とそれぞれの被測定手段との距離を測定手段から取得し、ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理手段と、を有する。」という技術が記載及び公開されている。

特開２００９－１８１４２９ 特開２００９－２１９８３９

　ところで、特許文献１に開示された技術は、（１）首から掛けたベルトの両端が胸の前で終わるような長さにし、（２）ベルトの両端に、マジックテープ（登録商標）等の簡単脱着なベルトをそれぞれ両手首に巻き、固定し、そしてまた、（３）、両手首が胸の高さから下がらないようにベルトの長さを調節する、というだけのものである。要するに、ベルト着用者の手を胸付近に強制的に保持することで、女性の腰や下半身を触ることができないようにして、痴漢行為を実質的に不可能にするというものである。

　しかし、この場合でもベルト着用者の手は胸付近にあるので、女性の胸に触れることは可能であり、痴漢は「無実である」という決定的な証拠を作ることはできない。また、それ以上に、通勤時にその様なベルトを着用して、身動きできないようにすることは、車内での突発事故発生による怪我やストレスの原因になるだけではなく、見た目に不自然・異様であり、ベルト着用の意欲が全く沸かないというのが事実である。

　特許文献２に開示された位置方向推定システムは、報処理装置２、測定手段５、及び被測定手段６から構成されており、ユーザの手に装着される被測定手段６との距離を測定して、ユーザの掌の位置及び方向を推定するというものである。そして、ユーザの掌の向きがユーザから見て外側に向いているときに「迷惑行為予備状態（誤解される状態）」と判断し、ユーザに警告を発するようにしている。また、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを情報処理装置２内の記憶手段に保持するようになっている。要するに、ユーザの手の位置や向きを測定、解析及び保存し、痴漢可能な状況になると事前に警告するというものである。また、当然に保存データを証拠として提出可能になっていると予想できる。

　しかし、通勤・通学ラッシュ時の乗客が密着してしまう鮨詰め状況において、実際にユーザの手に装着される被測定手段６を正確に測定できるとは考え難い。仮に、正しく測定できたとしても、通勤ラッシュ時の密着状態では、自己の意志とは無関係に「迷惑行為予備状態」になってしまうことがあり、腕や手を一切動かすことができないユーザが、その予備状態から抜け出すことは不可能に近い。そして、ユーザの手が「迷惑行為予備状態」にあったことが記録されていれば、逆に痴漢行為の有力な物証となり、痴漢の真犯人にされる可能性がより高まってしまう。

　本発明は、上記の問題点を解決する為になされたものであり、通勤・帰宅時間帯における利用者の生体データを継続的に記録し、保存した生体データを医学的見地と科学的手法の両面から解析して、痴漢冤罪による誤認逮捕時や取り調べ時、裁判時等に客観的な証拠を直ちに提出可能とする痴漢冤罪立証システムを提供することにある。

　請求項１に係る本発明の痴漢冤罪立証システムは、上記の目的を達成する為に、混雑する電車やバスなどに乗って通勤又は帰宅する際に、利用者にかけられる痴漢嫌疑を晴らす証拠を提供する痴漢冤罪立証システムにおいて、利用者の生体データを計測する生体データ測定装置と、生体データ測定装置が計測した生体データを受信する携帯情報端末と、無線通信ネットワークを経由して、携帯情報端末がアップロードした複数の生体データをデータベースに記憶すると共に、前記生体データに基づいて冤罪証拠を作成する冤罪立証システム制御装置とを具備し、冤罪立証システム制御装置は、アップロードされた最新の生体データとデータベースに記憶されている過去の生体データとを比較することにより、利用者が正常状態か否かを判定すると共に、該判定結果を電子メールで携帯情報端末に送信し、携帯情報端末は、電子メールで受信した該判定結果を冤罪証拠として表示画面に表示することを特徴とする。

　請求項２に係る本発明の痴漢冤罪立証システムは、混雑する電車やバスなどに乗って通勤又は帰宅する際に、利用者にかけられる痴漢嫌疑を晴らす証拠を提供する痴漢冤罪立証システムにおいて、利用者の生体データを計測する生体データ測定装置と、生体データ測定装置が計測した生体データを受信した複数の生体データを記憶部に記憶すると共に、前記生体データに基づいて冤罪証拠を作成する携帯情報端末とを具備し、携帯情報端末は、受信した最新の生体データとデータベースに記憶されている過去の生体データとを比較することにより、利用者が正常状態か否かを判定すると共に、該判定結果を冤罪証拠として表示画面に表示することを特徴とする。

　請求項３に係る本発明の痴漢冤罪立証システムは、混雑する電車やバスなどに乗って通勤又は帰宅する際に、利用者にかけられる痴漢嫌疑を晴らす証拠を提供する痴漢冤罪立証システムにおいて、利用者の生体データを計測する生体データ測定装置と、生体データ測定装置が計測した生体データを受信する携帯情報端末と、無線通信ネットワークを経由して、携帯情報端末がアップロードした複数の生体データをデータベースに記憶すると共に、前記生体データに基づいて冤罪証拠を作成する冤罪立証システム制御装置とを具備し、冤罪立証システム制御装置は、携帯情報端末がキーワード検出により判定レポートを請求し、且つ最新の生体データをアップロードすると、該最新の生体データとデータベースに記憶されている過去の生体データとを比較することにより、キーワードの検出前と検出後に分けて、利用者が正常状態か否かを判定すると共に、該判定結果を電子メールで携帯情報端末に送信し、携帯情報端末は、電子メールで受信した該判定結果を冤罪証拠として表示画面に表示することを特徴とする。

　請求項４に係る本発明の痴漢冤罪立証システムは、請求項３に記載の痴漢冤罪立証システムにおいて、携帯情報端末は、利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフ又は判定結果の何れかを任意に閲覧することができることを特徴とする。

　請求項５に係る本発明の痴漢冤罪立証システムは、請求項４に記載の痴漢冤罪立証システムにおいて、冤罪立証システム制御装置は、携帯情報端末が利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフを閲覧すると、最新生体異常グラフに最も近いデータの類似生体異常グラフを選出して、最新生体異常グラフと共に表示することを特徴とする。

　請求項５に係る本発明の痴漢冤罪立証システムは、請求項４に記載の痴漢冤罪立証システムにおいて、冤罪立証システム制御装置は、携帯情報端末が利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフを閲覧すると、録音した音声信号と共に、通勤状況を再現することを特徴とする。

　本発明に係る痴漢冤罪立証システムによれば、痴漢嫌疑がかけられても、最新の生体データと過去の生体データに基づく客観的な冤罪証拠を表示画面に表示するので、直ちに、痴漢嫌疑を晴らすことができる。

　本発明に係る痴漢冤罪立証システムによれば、キーワード検出により判定レポートを請求すると、キーワードの検出前と検出後に分けて判定するので、利用者が正常状態から異常状態になったことが明確に分かる。すなわち、痴漢嫌疑をかけられた前後で利用者の興奮度が劇的に変化するので、利用者が正常状態であったことの証拠となる。

　本発明に係る痴漢冤罪立証システムによれば、最新生体異常グラフに最も近いデータの類似生体異常グラフを選出して対比表示するので、利用者が正常状態であったことが明確に分かる。

　本発明に係る痴漢冤罪立証システムによれば、通勤状況を録音した音声信号と共に再現するので、痴漢冤罪の証拠として有用である。

本発明に係る痴漢冤罪立証システムの基本構成図である。 本発明に係る携帯情報端末の構成ブロック図である。 本発明に係る生体データ測定装置のイメージ図である。 生体異常グラフのイメージ図である。 携帯情報端末及び生体異常グラフのイメージ図である。 携帯情報端末のイメージ図である。 利用者及び携帯情報端末のイメージ図である。

　以下、本発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
　図１は、本発明に係る痴漢冤罪立証システムの基本構成図である。
　本システムは、利用者１０が通勤・帰宅ラッシュ時に満員の通勤電車１１に乗って会社１２に通勤・帰宅するときに遭遇する可能性のある痴漢冤罪を、積極的に立証するために利用するシステムである。利用者１０は、リストバンド・時計型又はネックレス型の生体データ測定装置８を手首や首に身につけて、通勤・帰宅の為に電車に乗るだけである。

　１は、本システムの利用者１０が用いる無線通信装置としての携帯情報端末（ＰＤＡ）であり、基本的な音声通信機能だけではなく、個人用の携帯コンピュータ機能や、カーナビゲーション（道案内）でも周知のＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ　Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ　Ｓｙｓｔｅｍ：全地球測位システム）による位置検出機能を有している。このＧＰＳ機能を搭載した携帯情報端末１は、ＧＰＳ衛星１３の電波を受信できる範囲にいれば、現在位地の緯度と経度、標高及び現在時間などを正確に把握することができるので、本システムでもＧＰＳより得られる位置情報と時間情報を利用している。ただし、携帯情報端末１にＧＰＳ機能がなくても、本システムを使用することはできる。

　携帯情報端末１は、一般にスマートフォン（登録商標）と称されており、その機能としては、パソコンと同じＷＥＢブラウザによるＷＥＢの閲覧や、電子メールの送受信、文書ファイルの作成・閲覧、写真や音楽、ビデオの再生・閲覧、カレンダー機能、住所録、電卓、内蔵カメラのある機種では写真や動画の撮影、及びテレビ電話機能などがある。

　また、最近では無線ＬＡＮ（Ｗｉ－Ｆｉ）にも対応しており、屋外では携帯電話のデータ通信機能と、屋内ではより高速な無線ＬＡＮとを自動的に使い分けることができる。携帯情報端末１は、公衆回線の携帯電話通信網６やインターネットなどの通信ネットワーク７を通じて、搭載するＯＳに対応した様々なアプリケーションソフトをダウンロードして追加インストールすることが可能である。また最近では、通信事業者や鉄道事業者が設置するアクセスポイント５（以下、「ＡＰ５」という。）を利用して、屋外や電車内でも無線ＬＡＮ接続が可能である。

　２は、携帯電話通信網６のサービスエリアをカバーする基地局であり、位置登録された携帯情報端末１と通信に必要な各種信号を送受信して、音声通信や電子メール機能、後述する冤罪立証システム制御装置４とのデータ通信を実現する。

　３は、交換局であり、携帯電話通信網６を経由して基地局２を制御したり、通信ネットワーク７との接続制御などを行う。

　４は、冤罪立証システム制御装置であり、ＡＰサーバ４Ａ（アプリケーションサーバ４Ａ）及びデータベース４Ｂとで構成されている。ＡＰサーバ４Ａは、本システムに必要とする情報管理（利用者データや生体データ等の個別データ管理、アプリケーションソフトのダウンロードや自動更新、及びホームページ管理など）に関する全ての制御を行っており、システム運営に必要な情報をデータベース４Ｂに記憶している。特に、ＡＰサーバ４Ａは、利用者が本システムのホームページから会員登録すると、直ちに個人用の利用者ホームページを自動的に作成するとともに、作成した利用者ホームページのアドレスを記載した電子メールを利用者が指定したメールアドレスに送信する。利用者が携帯情報端末１により利用者ホームページにアクセスすると、本システムを使用する為の専用アプリケーションソフト（以下、「専用アプリ」という。）を自動的にインストールすることができる。また、利用者ホームページには、通勤時に計測された生体データに基づいて、見やすいように加工された折れ線グラフ、生体異常グラフや一覧表などにより個人データを必要に応じて確認することができる。なお、ＡＰサーバ４Ａは、利用者からの各種要求を受け付けて、必要な情報を記憶するデータベースを用いた管理システム処理との橋渡しをする機能を持ったサーバソフトウェアであり、ネットワークを用いた電子商取引などに幅広く利用されている。

　図２は、本発明に係る携帯情報端末の構成ブロック図である。
　１０１は、送受信部であり、アンテナ１１５で受信した音声や映像及び各種制御信号が含まれる電波信号を中間周波数帯に変換したり、中間周波数帯の送信信号を無線周波数帯に変換して送受信する。

　１０２は、モデム部であり、送受信信号を変復調する。なお、モデム（MOdulator-DEModulator）とは、「変復調装置」の略であり、コンピュータから送られてくるデジタルデータを音声信号に変換して電話回線に流したり、電話回線を通じて聞こえてくる音声信号をデジタルデータに変換する装置である。

　１０３は、音声コーデック部であり、音声信号の符号化や復号化を行う。なお、コーデック（COder DECoder）とは、アナログ信号をデジタルデータに変換したり、その逆をおこなう電子回路である。また、信号やデータを一定の規則に従って符号化／復号化する回路や装置及びソフトウェアのことであり、音声や画像の記録や伝達に用いられる。

　１０４は、アナログフロントエンド部であり、符号化された音声信号をデジタル／アナログ変換してスピーカ１０６を駆動したり、マイク１０５より入力された音声信号をアナログ／デジタル変換して音声コーデック部１０３に出力する。

　１０７は、制御部であり、通話に必要な制御（例えば、位置登録、待受け、認証、リンク確立、ハンドオーバなどの制御）や表示制御、電子メール制御及びインターネット接続制御など無線通信装置に関する全ての制御を行う。特に、制御部１０７は、ブラウザを起動させてインターネットに接続すると共に、利用者ホームページにアクセスして専用アプリをダウンロードして記憶部１１０に記憶し、インストールした専用アプリを起動する。

　１０８は、キー入力部であり、必要なデータを制御部１０７に入力する。

　１０９は、表示部であり、カラー液晶表示装置（カラーＬＣＤ）や有機ＥＬ（有機エレクトロ・ルミネッセンス）、ＰＤＰ（プラズマ・ディスプレイ・パネル）などから成り、発呼者データ、着信履歴、画像データ、電子メール及びホームページなど必要な情報を適宜表示する。

　１１０は、ＲＯＭ及びＲＡＭからなる記憶部であり、制御プログラム、発呼や電子メールの送受信に使用する電話帳データ、写真や動画などの画像データ、着信メロディの楽曲データ、電子メール及びホームページアドレス（ＵＲＬ）などを記憶する。特に、記憶部１１０の所定エリアは、インターネットから各種アプリケーションソフトをダウンロードして記憶したり、後述する外部接続ＩＦ端子から入力される生体データを格納する。

　１１１は、メロディ発生部であり、記憶部１１０が記憶する着信メロディの楽曲データや受信した楽曲データに基づいて、着信メロディを発生させる。また、通話中においてキー入力部８の保留キーが操作されると、通話相手に対応する着信メロディをモデム部１０２、送受信部１０１およびアンテナ１１５を経由して送信する。ただし、音声コーデック部１０３を経由する場合もある。

　１１２は、外部接続インターフェイス端子であり、携帯情報機器間接続に使われる短距離無線通信技術のＢｌｕｅＴｏｏｔｈ（登録商標）やワイヤレスＵＳＢ、赤外線通信のＩｒＤＡ、又はＷｉ－Ｆｉなどの無線通信インターフェイスであるが、ＵＳＢケーブルやＲＳ２３２Ｃなどの有線ＩＦも含んでいる。この外部接続ＩＦ端子には、外部入出力装置１１３のＤＳＣ（デジタル・スチル・カメラ）やＤＶＣ（デジタル・ビデオ・カメラ）などの画像データ入力装置やＭＩＤＩ対応音楽装置などから画像データや楽曲データが入力される。特に、後述する生体データ測定装置によって計測された生体データが無線入力され、専用アプリにより記憶部１１のワークメモリ部に記憶及び解析される。

　１１４は、位置検出部であり、カーナビゲーションなどで既に周知のＧＰＳ技術を用いた三角測量にて位置検出を行うが、殆どの通信事業者がＧＰＳ機能を有する携帯情報端末１を提供している。また、通信事業者や鉄道事業者が設置するＡＰ５からは「ビーコン」と呼ばれる信号（パケット）を送出しており、無線ＬＡＮアダプタを備えた携帯情報端末１がビーコン信号を受信し、利用可能な無線ＬＡＮによるネットワークを自動的に検出すると共に、ビーコン信号中の位置情報（例えば、大阪駅構内や東京駅構内という情報）によっても現在位置を知ることができる。

　図３は、本発明に係る生体データ測定装置のイメージ図である。

　利用者１０は、通勤・帰宅ラッシュ時において通勤電車１１に乗車する場合、リストバンド又は時計型の生体データ測定装置８を手首に着用する（図３（Ａ）参照）。また、ネックレス型の生体データ測定装置８を首に着用する（図３（Ｂ）参照）。利用者１０が個人所有する携帯情報端末１には、生体データ記録アプリケーション・ソフトウェア（専用アプリ）がインストールされており、生体データ測定装置８は、専用アプリが起動状態の携帯情報端末１とデータの送受信が可能であり、計測した生体データを送信する。

　特に、時計型の生体データ測定装置８は、特開平６－２８９１６８で既に公知になっており、生体データとして体温データ、血圧データ、心電波データ及び脈拍データを計測可能である。また現在では、それらのデータに加えて、呼吸数データ、血流状態データや発汗状態データ等の各種生体データを計測することができる。

　つぎに、上述のように構成された本発明に係る痴漢冤罪立証システムの動作について説明する。

　まず、利用者１０は、本システムを利用する場合、携帯情報端末１を用いて本システムのホームページにアクセスし、必要な個人情報を入力して会員登録を行う。冤罪立証システム制御装置４を構成するＡＰサーバ４Ａは、利用者１０の個人用の利用者ホームページをデータベース４Ｂに自動的に作成し、利用者ホームページのＵＲＬを記載した電子メールを指定メールアドレスに送信する。

　利用者１０は、携帯情報端末１により利用者ホームページにアクセスすると、本システムを使用するための専用アプリが自動的にダウンロード及びインストールされる。利用者が携帯情報端末１にインストールされた専用アプリを起動して、生体データ測定装置８に付与された固有のシリアルナンバーを登録すると、携帯情報端末１はシリアルナンバーを用いて暗号化した認証データを生体データ測定装置８と送受信し、通信プロトコルに従って正しく認証されると、その後に本システムを利用可能となる。この認証及び暗号化通信により、携帯情報端末１しか生体データ測定装置８が送信する生体データを解読することができないので、周辺に他の携帯情報端末等が存在しても利用者１０の個人情報や生体データは漏洩しない。

　利用者１０は、携帯電話と同様に、携帯情報端末１の電源を常にＯＮ状態にするのが一般的であり、電源ＯＮ状態では、メモリの使用量を最小限にする為に専用アプリ中の基本プログラムだけが常に起動するようになっており、その結果として、他の主要なプログラムの処理速度が落ちないようになっている。基本プログラムの起動状態では、位置検出部１１４から得られる位置情報により、現在位置を常に確認しており、利用者１０が携帯情報端末１を持って駅構内に入いると、それをトリガーにして専用アプリの全プログラムが自動的に起動する。なお、専用アプリの起動は、利用者１０が通勤電車１１に乗る可能性のある時間帯（例えば、午前６時～９時３０分及び午後６時３０分～１１時３０分）を設定するようにしてもよい。

　専用アプリが起動すると、携帯情報端末１は生体データ測定装置８と必要な情報を送受信して、所定の通信プロトコルに従って相互認証する。正常に認証が行われると、生体データ測定装置８は生体データの計測を開始して、送信待機状態となる。また、携帯情報端末１は、利用者１０の生体データの受信待機状態となる。

　携帯情報端末１は、この受信待機状態で利用者１０が移動し、位置検出部１１４から得られる位置情報により駅ホームに到着したことを認識すると、送信開始コマンド（送信開始命令）を生体データ測定装置８に送り、計測中の生体データ（例えば、体温データ、血圧データ、心電波データ、脈拍データ、呼吸数データ、血流状態データ及び発汗状態データ等）を送信させる。なお、利用者１０が実際に通勤電車１１に乗り込んだ時に生体データを送信させるようにしてもよいが、駅ホーム到着時から事前に生体データを記録し続ける方がベターである。

　携帯情報端末１は、生体データ測定装置８から計測された生体データを受信すると、ＧＰＳから得られる位置情報と時間情報、及びマイク１０５から得られる音声信号（車内で発生する音）をアナログ／デジタル変換して記憶部１１０のＲＡＭに継続して記憶する。

　携帯情報端末１は、この計測データ記憶状態で、利用者１０が通勤電車１１に乗車すると、通勤電車１１から送出されるビーコン信号を受信し、利用者１０が通勤電車１１に乗り込んだことを認識する。通勤電車１１からのビーコン信号には、位置情報に加えて電車の移動速度情報も含まれており、携帯情報端末１は移動速度情報も記憶部１１０のＲＡＭに記憶するようになっている。

　携帯情報端末１は、計測データ記憶状態で通勤電車１１が停車（速度が０）し、利用者１０が通勤電車１１から下車すると、位置検出部１１４から得られる位置情報により駅ホームに到着したことを認識するが、乗車時と同様に、駅ホーム内なので受信ている生体データを継続して記録する。携帯情報端末１は、利用者１０が移動して、位置検出部１１４から得られる位置情報により駅ホームから出たことを認識すると、送信停止コマンド（送信停止命令）を生体データ測定装置８に送り、計測中の生体データの送信を停止させる。これにより、生体データ測定装置８の電池の消耗を抑えることができる。

　この受信待機状態で、利用者１０が乗り換えのために他の駅ホームに移動したことを検出すると、上述したように、携帯情報端末１は送信開始コマンドを生体データ測定装置８に送り、計測中の生体データを送信させて、受信した生体データに加えて、位置情報、時間情報、音声信号及び移動速度情報を記憶部１１０のＲＡＭに継続して記憶する。また同様に、利用者１０が通勤電車１１に乗車し、別の駅に到着して駅ホームに下車しても生体データの継続記憶状態を維持する。利用者１０が通勤電車１１を何度乗り換えても、会社１２の最寄り駅のホームを出るまで記憶状態・待機状態を繰り返す。

　携帯情報端末１は、利用者１０が最寄り駅のホームから外に出ると、位置検出部１１４から得られる位置情報により駅ホームから出たことを認識し、計測終了コマンド（計測終了命令）を生体データ測定装置８に送信する。

　携帯情報端末１及び生体データ測定装置８は、所定の通信プロトコルに従って相互認証を行った後に、生体データ測定装置８は生体データの計測を終了して初期状態になる。また、携帯情報端末１は、相互認証を終了すると、利用者ホームページにアクセスし、冤罪立証システム制御装置４のＡＰサーバ４Ａと通信を行って、記憶した利用者１０の生体データをデータベース４Ｂにアップロードする。

　図４は、生体異常グラフのイメージ図である。

　生体データがアップロードされるとＡＰサーバ４Ａは、このアップロードされた最新の生体データ（体温データ、血圧データ、心電波データ、脈拍データ、呼吸数データ、血流状態データ及び発汗状態データ等）とそれらの「正常値」とを比較して、異常値が含まれるか否かを判断する。例えば、各生体データの正常値に対して、体温であれば＋１度の上昇、血圧であれば＋３０ｍｍＨｇの上昇、心電波の大きな乱れ、脈拍であれば＋２０回の増加、呼吸数であれば＋１０回の増加、血流の大きな圧変化及び発汗の急激な増加などを探し出し、総合判断して生体異常を検出する。そして、その生体異常が発生した場所（例えば、Ａ駅からＢ駅の間）、時間帯及び継続した時間幅を特定して、生体異常データを作成及びデータベース４Ｂに記憶する（以下、「最新生体異常」という）。通常、痴漢を実際に行っていなければ、生体異常の継続時間幅は数秒程度から長くても１０数秒程度の単発で終わるが、痴漢を行っていれば平均して１分以上続くことから、比較的容易に痴漢行為の判定が付く。図４（Ａ）は、Ａ駅からＢ駅までの生体異常グラフを示しており、一番上に示した最新生体異常グラフにおける継続時間幅の最大は７秒であり、他に数か所の生体異常しか見られないので、ＡＰサーバ４Ａは「正常」と暫定判断する。つまり、継続時間のボーダー値の１分に満たないので、痴漢行為をしていないことを意味する「正常」と一旦判定するのである。なお、Ａ駅からＢ駅まで、丁度２分かかると仮定する。

　次に、ＡＰサーバ４Ａは、既にアップロードされている複数の過去の生体データにおける生体異常（以下、「過去生体異常」という）と、最新生体異常とを比較することにより類似度を算出する。例えば、過去生体異常グラフ１～Ｎの継続時間幅は、過去生体異常１が最大１８秒、過去生体異常２が最大１２秒、…過去生体異常Ｎが最大９秒であり、Ａ駅からＢ駅までの中間地点を過ぎたあたりで同じ様に発生していることが分かる。また、中間地点の少し前にも２～４秒程度の生体異常が同じ様に発生している。一般に、毎日同じように通勤電車１１で通勤・帰宅する利用者１０の生体異常は、ほぼ同じ時間や同じ場所で同じ様に発生することを、本願出願人は実際に調査して検証した。本願出願人は、この最新生体異常と過去生体異常との類似性に着目して、迅速かつ的確に痴漢冤罪を立証するシステムを新規考案したのである。

　ＡＰサーバ４Ａは、類似度の算出にあたって、まず一番上に示した最新生体異常グラフにおける継続時間幅を３０秒単位の４区域に分けて合計し、最後に全てを合算する。最新生体異常グラフの場合、第１区域が０．５秒、第２区域が４秒、第３区域が７．３秒、第４区域が０．３秒で、合算値は１２．１秒となり、１２０秒中の１０％で異常が認められる。

　過去の生体異常については、生体データがアップロードされる度に検出され、検出結果がデータベース４Ｂに記憶されるので、直ちに呼び出して表示することが可能である。過去生体異常グラフ１の場合、第１区域が０．５秒、第２区域が４秒、第３区域が１８．８秒、第４区域が０．３秒で、合算値は２３．６秒となり、１２０分中の１９％で異常が認められる。過去生体異常グラフ２の場合には、第１区域が１秒、第２区域が２．５秒、第３区域が１２．５秒、第４区域が０．３秒で、合算値は１６．３秒となり、１２０分中の１３．６％で異常が認められ、…、過去生体異常グラフＮの場合には、第１区域が２．５秒、第２区域が２．５秒、第３区域が９．８秒、第４区域が０．３秒で、合算値は２０．１秒となり、１２０分中の１６．８％で異常が認められる。そして、過去生体異常グラフにおける４区域の平均値を算出し、最新生体異常グラフの４区域の値とを比較して、類似度を算出する。例えば、類似度９２％というように具体的な数値が算出され、類似度が７０％以上で「正常」と判定される。

　類似度を算出にあたっては、特開平１０－１２４３２０（発明の名称：ファジィ連想メモリを用いる類似度の算出方法）、特開２００５－２３４９９４（発明の名称：類似度判定プログラム、マルチメディアデータ検索プログラム、類似度判定方法、および類似度判定装置）、特開２００９－１９９５０７（発明の名称：類似部分シーケンス検出方法、類似部分シーケンス検出プログラム、および、類似部分シーケンス検出装置）、特開２０１０－９２４３２（発明の名称：データ類似度計算システム、データ類似度計算方法およびデータ類似度計算プログラム）、及び特開２０１１－２２７７７５（発明の名称：類似データ判別装置、類似データ判別方法およびプログラム）などが既に公開されており、これらに開示された技術を用いて類似度を算出することができる。なお、この実施例では、Ａ駅からＢ駅までについて説明したが、計測を開始した出発駅ホームから計測を終了した降車駅ホームまでの全てについて類似度を算出して、「正常」と最終判定するようになっている。

　ＡＰサーバ４Ａは、携帯情報端末１に判定結果として、「出発駅ホーム○○○：２０１２年３月１６日午前７時３４分－到着駅ホーム×××：２０１２年３月１６日午前８時１２分において正常に通勤しており、痴漢行為は認められません。」との電子メールを送信すると共に、データベース４Ｂに判定結果を記憶する。これにより、利用者１０は利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフや判定結果を任意に閲覧・確認することが可能となる。

　図４（Ｂ）は、Ａ駅からＢ駅までの生体異常グラフを示しており、興奮状態にあった場合の一例である。なお、痴漢を行った場合も同様の生体異常グラフになる。

　一番上に示した最新生体異常グラフにおける継続時間幅の最大が１分２５秒（８５秒）であり、その前後でも多数の生体異常が見られるので、ＡＰサーバ４Ａは「異常」と暫定判断する。この最新生体異常グラフの場合、第１区域が８．５秒、第２区域が３０秒、第３区域が３０秒、第４区域が２０秒で、合算値は８８．５秒となっており、１２０秒中の７３．８％で異常が認められる。そして、過去生体異常グラフにおける４区域の平均値を算出し、最新生体異常グラフの４区域の値とを比較して、類似度を算出する。例えば、類似度７％というように具体的な数値が算出され、類似度が７０％未満なので「異常」と判定される。

　ＡＰサーバ４Ａは、携帯情報端末１に判定結果として、「出発駅ホーム○○○：２０１２年３月１６日午前７時３４分－到着駅ホーム×××：２０１２年３月１６日午前８時１２分の通勤において、Ａ駅からＢ駅の区間で異常が発見されました。」との電子メールを送信すると共に、データベース４Ｂに判定結果を記憶する。このメールを受けた後、利用者１０が利用者ホームページにアクセスすると、Ａ駅からＢ駅の区間で生じた異常箇所が即座に表示される。当然ながら、利用者１０は痴漢を行っていないので、自己の精神状態や健康状態を確認すると共に、興奮の原因を自ら探ることになる。

　図５は、携帯情報端末及び生体異常グラフのイメージ図である。

　利用者１０が通勤電車１１に乗ってＡ駅からＢ駅に移動中の時刻Ｔ１（Ａ駅出発から約９７秒後）に、利用者１０に痴漢の嫌疑がかけられたと仮定する。

　携帯情報端末１は、生体データ測定装置８が計測している利用者１０の生体データを受信すると、ＧＰＳから得られる位置情報と時間情報、及びマイク１０５から得られる音声信号をアナログ／デジタル変換して記憶部１１０のＲＡＭに継続して記憶すると共に、音声信号の基本周波数、サウンドスペクトログラムなどを特徴量として音声認識し、キーワードが含まれるか否かを常に確認している。このキーワードは、例えば「チカン」という文言であり、デフォルトワードとして記憶部１１０に記憶されている。他のキーワードには、「ヤメテ」、「キャー」、「イヤ」、「ナニヨ」という女性が発する言葉や、「フザケルナ」、「チガウ」、「オレではない」、「ナンだと」などの疑われた男性が発する文言がデフォルトワードとして記憶部１１０に記憶されている。また、利用者１０が緊急時に発する特有の文言（例えば、「エンザイ」や「レポート」など）をマイク１０５から任意に登録することができる。なお、「レポート」とは、利用者１０が決めた憶え易いキーワードであり、判定結果を報告せよとの意味である。

　携帯情報端末１は、利用者１０が発した「レポート」という音声や、痴漢被害に遭っている女性が発した「チカン」という音声を認識すると、生体データに位置情報と時間情報に加えてキーワード検出フラグを立て、表示画面１ａを「キーワード検出画面」に切り替える（図５（Ａ）参照）。このキーワード検出フラグが立っている時間情報により、時刻Ｔ２（Ａ駅出発から約１１０秒後）を知ることができる。なお、携帯情報端末１は、キーワードを検出後も、生体データ測定装置８から受信した生体データを記憶部１１０に記憶し続けている。

　携帯情報端末１は、キーワード検出画面で「判定レポートを受信しますか」と表示して（図５（Ａ）参照）、利用者１０がタッチパネル機能を有する表示画面１ａの「はい」を触ると、利用者ホームページにアクセスし、冤罪立証システム制御装置４のＡＰサーバ４Ａと通信を行って、触った時点（Ｔ２）までに記憶部１１０に記憶した利用者１０の生体データをデータベース４Ｂにアップロードする。一方、「いいえ」を触ると、携帯情報端末１は計測中画面に戻すと共に、生体データ測定装置８から受信した生体データを記憶部１１０に記憶し続ける。

　ＡＰサーバ４Ａは、携帯情報端末１から判定レポートが請求されて、生体データがアップロードされると、上述した方法を用いて、キーワードの検出前と検出後に分けて、最新の生体データに異常値が含まれるか否かを判断する（図５（Ｂ）参照）。同図から明らかなように、利用者１０はキーワードが検出されたＴ１の前後で、精神状態が大きく変化していることが分かる。

　ＡＰサーバ４Ａは、この変化を検知して、Ｔ１以前で「正常」、Ｔ１～Ｔ２までで「異常」と最終判定する。ＡＰサーバ４Ａは、携帯情報端末１に判定結果として、「出発駅ホーム○○○：２０１２年３月１６日午前７時３４分－Ａ駅通過まで正常に通勤しており、痴漢行為は認められません。Ａ駅を通過した９７秒後にキーワード「チカン」を検出するまで正常に通勤しており、痴漢行為は認められません。キーワード「チカン」の検出から判定レポート請求までの１３秒間で「異常」が発見されましたが、痴漢の嫌疑をかけられたことが原因です。」との電子メールを送信すると共に、データベース４Ｂに判定結果を記憶する。これにより、利用者１０は利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフ及び判定結果を任意に閲覧・確認することが可能となる。

　図６は、携帯情報端末のイメージ図である。
　携帯情報端末１は、ＡＰサーバ４Ａから電子メールを受信すると自動的にメーラが立ち上がり、表示画面１ａを「痴漢冤罪の証拠画面」に切り替えて、証拠となる受信メールを表示する。これにより、利用者１０は、痴漢の嫌疑がかけられると、直ちに「痴漢冤罪の証拠」を提示することができる。これにより、痴漢嫌疑を晴らすことができる。

　図７は、利用者及び携帯情報端末のイメージ図である。
　図７（Ａ）は、不運にも利用者１０が鉄道警察隊に誤認逮捕され、取り調べを受けている状況を示しており、利用者１０は図６で説明した「痴漢冤罪の証拠画面」を鉄道警察隊に提示して無実を主張することができる。更に、利用者１０は、携帯情報端末１を操作して、もっと強い証拠となる通勤状況を鉄道警察隊に提示可能である。

　携帯情報端末１は、通勤状況の再現指示を受けると、電子メール中に記載された利用者ホームページにアクセスし、表示画面１ａを「通勤状況再現画面」に切り替えて、キーワードを検出したＡ駅からＢ駅までの通勤状況を再現する（図７（Ｂ）参照）。

　図７（Ｂ）において、「最新」とは、痴漢の嫌疑がかけられた本日の最新生体異常グラフである。「過去」とは、本日以前に記憶されている過去生体異常中で、最新生体異常グラフに最も近いデータ（以下、「類似生体異常グラフ」という）であり、ＡＰサーバ４Ａが類似度を算出して自動的に選出したものである。「電車」とは、通勤電車１１を模擬したアイコンである。最下段には、Ａ駅からの経過時間が表示される。

　携帯情報端末１は、通勤状況の再現を開始すると、再現データに同期して通勤電車１１を０秒の位置から右方向に移動表示すると共に、録音した音声信号（車内発生音）をデジタル／アナログ変換してスピーカ１０６から再生する。また、記録した脈拍データに同期して「ドン・ドン・ドン」という音をスピーカ１０６から発生させる。特に、血圧データを周波数変換し、「ピッ、ピッ、ピッ」という音を重畳させることもできる。つまり、血圧が１１０であれば低い音でゆっくりの「ピッ－ピッ－ピッ」を、血圧が１６０であれば高い音で間隔の短い「ピッピッピッ」を発生させると臨場感が増す。

　図７（Ｂ）から明らかなように、利用者１０が通勤電車１１に乗ってＡ駅からＢ駅に移動中の時刻Ｔ１までは通常と何ら変わらず「正常」であり、Ｔ１以降、急激に興奮状態となって「異常」に陥ったことが分かる。

　これにより鉄道警察隊の取り調べ中に、直ちに痴漢冤罪を立証することが可能となるだけでなく、痴漢被害を訴える女性に対する強力な反撃証拠となるので、被害女性や鉄道警察隊も誤認逮捕を認めざるを得ず、利用者１０はその場で解放されることになる。それでも被害女性が引き下がらない場合には、痴漢冤罪だけでなく、痴漢でっちあげであることを主張して、名誉棄損で訴えることもできる。

　なお、実施例として痴漢冤罪立証システムを用いて説明したが、冤罪立証システム制御装置４や通信ネットワークを使用せずに、携帯情報端末１に冤罪立証システム制御装置４の機能を持たせることが可能であるので、携帯情報端末１及び生体データ測定装置８だけでも痴漢冤罪立証システムを構築することができる。

１　　　　携帯情報端末
１ａ　　　表示画面
２　　　　基地局
３　　　　交換局
４　　　　冤罪立証システム制御装置
４ａ　　　ＡＰサーバ
４ｂ　　　データベース
５　　　　アクセスポイント
６　　　　携帯電話通信網
７　　　　通信ネットワーク
８　　　　生体データ測定装置
１０　　　利用者
１１　　　通勤電車
１２　　　会社
１３　　　ＧＰＳ衛星
１０１　　送受信部
１０２　　モデム部
１０３　　音声コーデック部
１０４　　アナログフロントエンド
１０５　　マイク
１０６　　スピーカ
１０７　　制御部
１０８　　キー入力部
１０９　　表示部
１１０　　記憶部
１１１　　メロディ発生部
１１２　　外部接続端子
１１３　　外部入出力装置
１１４　　位置検出部
１１４Ａ　ＧＰＳアンテナ
１１５　　アンテナ
 
 

Claims (6)

1. 混雑する電車やバスなどに乗って通勤又は帰宅する際に、利用者にかけられる痴漢嫌疑を晴らす証拠を提供する痴漢冤罪立証システムにおいて、
   利用者の生体データを計測する生体データ測定装置と、
   生体データ測定装置が計測した生体データを受信する携帯情報端末と、
   無線通信ネットワークを経由して、携帯情報端末がアップロードした複数の生体データをデータベースに記憶すると共に、前記生体データに基づいて冤罪証拠を作成する冤罪立証システム制御装置とを具備し、
   冤罪立証システム制御装置は、アップロードされた最新の生体データとデータベースに記憶されている過去の生体データとを比較することにより、利用者が正常状態か否かを判定すると共に、該判定結果を電子メールで携帯情報端末に送信し、
   携帯情報端末は、電子メールで受信した該判定結果を冤罪証拠として表示画面に表示すること、
   を特徴とする痴漢冤罪立証システム。
2. 混雑する電車やバスなどに乗って通勤又は帰宅する際に、利用者にかけられる痴漢嫌疑を晴らす証拠を提供する痴漢冤罪立証システムにおいて、
   利用者の生体データを計測する生体データ測定装置と、
   生体データ測定装置が計測した生体データを受信した複数の生体データを記憶部に記憶すると共に、前記生体データに基づいて冤罪証拠を作成する携帯情報端末とを具備し、
   携帯情報端末は、受信した最新の生体データとデータベースに記憶されている過去の生体データとを比較することにより、利用者が正常状態か否かを判定すると共に、該判定結果を冤罪証拠として表示画面に表示すること、
   を特徴とする痴漢冤罪立証システム。
3. 混雑する電車やバスなどに乗って通勤又は帰宅する際に、利用者にかけられる痴漢嫌疑を晴らす証拠を提供する痴漢冤罪立証システムにおいて、
   利用者の生体データを計測する生体データ測定装置と、
   生体データ測定装置が計測した生体データを受信する携帯情報端末と、
   無線通信ネットワークを経由して、携帯情報端末がアップロードした複数の生体データをデータベースに記憶すると共に、前記生体データに基づいて冤罪証拠を作成する冤罪立証システム制御装置とを具備し、
   冤罪立証システム制御装置は、携帯情報端末がキーワード検出により判定レポートを請求し、且つ最新の生体データをアップロードすると、該最新の生体データとデータベースに記憶されている過去の生体データとを比較することにより、キーワードの検出前と検出後に分けて、利用者が正常状態か否かを判定すると共に、該判定結果を電子メールで携帯情報端末に送信し、
   携帯情報端末は、電子メールで受信した該判定結果を冤罪証拠として表示画面に表示すること、
   を特徴とする痴漢冤罪立証システム。
4. 請求項３に記載の痴漢冤罪立証システムにおいて、
   携帯情報端末は、利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフ又は判定結果の何れかを任意に閲覧することができること、
   を特徴とする痴漢冤罪立証システム。
5. 請求項４に記載の痴漢冤罪立証システムにおいて、
   冤罪立証システム制御装置は、携帯情報端末が利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフを閲覧すると、最新生体異常グラフに最も近いデータの類似生体異常グラフを選出して、最新生体異常グラフと共に表示すること、
   を特徴とする痴漢冤罪立証システム。
6. 請求項４に記載の痴漢冤罪立証システムにおいて、
   冤罪立証システム制御装置は、携帯情報端末が利用者ホームページにアクセスして、生体異常グラフを閲覧すると、録音した音声信号と共に、通勤状況を再現すること、
   を特徴とする痴漢冤罪立証システム。
    

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