WO2013105215A1

WO2013105215A1 - 車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構

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Publication number: WO2013105215A1
Application number: PCT/JP2012/050268
Authority: WO
Inventors: 大将田淵; 敬高国丸; 佳史佐藤
Original assignee: パイオニア株式会社
Priority date: 2012-01-10
Filing date: 2012-01-10
Publication date: 2013-07-18

Abstract

　車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構は、車載用ヘッドアップディスプレイの本体を、車体内部の被固定部に固定するための第一取付器具、及び第二取付器具を有し、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合に、車載用ヘッドアップディスプレイの本体が落下するのを防ぐワイヤー又は紐状の第一落下防止部材が、車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対する被固定部の反対側であって、第一取付器具と第二取付器具との間を接続して設けられている。

Description

車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構

　本発明は、ヘッドアップディスプレイを取り付ける技術に関する。

　従来から、車両の運転に関する情報を示す画像を運転者の目の位置（アイポイント）から虚像として視認させるヘッドアップディスプレイの技術が存在する。例えば、特許文献１には、光源及びコンバイナが室内天井部位に取り付けられた構成を有するヘッドアップディスプレイが開示されている。

特開平５－７７６５７号公報

　光源部等のヘッドアップディスプレイの本体が室内天井部位に取り付けられる場合、支柱などの取付器具を用いて固定される。この場合、取付部材と室内天井部位とを固定するためのネジなどの固定部材が何らかの理由で外れたときであっても、ヘッドアップディスプレイの本体が落下しない構造を有することが、安全上望ましい。

　本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、室内天井部位に設けられたヘッドアップディスプレイ本体が落下するのを確実に防止することが可能な車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構を提供することを主な目的とする。

　請求項１に記載の発明は、車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構であって、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体を、車体内部の被固定部に固定するための第一取付器具、及び第二取付器具を有し、前記第一取付器具又は前記第二取付器具が前記被固定部から外れた場合に、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体が落下するのを防ぐワイヤー又は紐状の第一落下防止部材が、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対する前記被固定部の反対側であって、前記第一取付器具と前記第二取付器具との間を接続して設けられていることを特徴とする。

ヘッドアップディスプレイを車室に設置した状態を模式的に示す図である。ヘッドアップディスプレイを斜め上方から見た斜視図である。第１実施例に係る取付機構の構成を示す図である。第２実施例に係る取付機構の構成を示す図である。第３実施例に係る取付機構の構成を示す図である。第４実施例に係る取付機構の構成を示す図である。

　本発明の１つの好適な実施形態では、車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構であって、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体を、車体内部の被固定部に固定するための第一取付器具、及び第二取付器具を有し、前記第一取付器具又は前記第二取付器具が前記被固定部から外れた場合に、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体が落下するのを防ぐワイヤー又は紐状の第一落下防止部材が、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対する前記被固定部の反対側であって、前記第一取付器具と前記第二取付器具との間を接続して設けられている。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構は、車載用ヘッドアップディスプレイの本体を、車体内部の被固定部に固定するための第一取付器具及び第二取付器具を有すると共にワイヤー又は紐状の第一落下防止部材を有する。第一落下防止部材は、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合に、車載用ヘッドアップディスプレイの本体が落下するのを防ぐ。ここで、第一落下防止部材は、車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対する被固定部の反対側であって、第一取付器具と第二取付器具との間を接続して設けられている。

　この構成では、第一落下防止部材が車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対する被固定部の反対側において、第一取付器具と第二取付器具との間を接続する。これにより、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合であっても、車載用ヘッドアップディスプレイの本体が第一落下防止部材を介して被固定部によって支えられる。従って、車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構は、車載用ヘッドアップディスプレイの本体が落下するのを確実に抑制し、安全性を高めることができる。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の一態様では、前記第一取付器具及び前記第二取付器具には一方の孔から他方の孔へ連通する貫通孔が設けられており、前記第一落下防止部材は、前記貫通孔の一方の孔を通して前記第一取付器具と前記第二取付器具との間を接続し、且つ両端が前記貫通孔の他方の孔を通って前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体に固定されている。この態様により、第一落下防止部材を通すスペースが被固定部に設けられていない場合であっても、第一落下防止部材は、車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対する被固定部の反対側で第一及び第二取付器具の間を、貫通孔を通って好適に接続する。従って、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合であっても、ヘッドアップディスプレイの本体は、第一落下防止部材を介して被固定部に支持されるため落下しない。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の一態様では、前記第一取付器具及び前記第二取付器具には一方の孔から他方の孔へ連通する貫通孔が設けられており、前記第一落下防止部材は、前記貫通孔の一方の孔を通して前記第一取付器具と前記第二取付器具との間を接続し、且つ両端が前記貫通孔の他方の孔を通って前記第一取付器具若しくは前記第二取付器具に固定されている。この態様によっても、好適に、ヘッドアップディスプレイの本体の落下を防ぐことができる。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、前記貫通孔の一方の孔は、前記被固定部に固定された状態で、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対して前記被固定部の反対側に位置し、且つ前記貫通孔の他方の孔は、前記被固定部の車載用ヘッドアップディスプレイ側に位置するように設けられている。この態様により、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合であっても、ヘッドアップディスプレイの本体は、好適に、第一落下防止部材を介して被固定部に支持され、落下が抑制される。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、光源部と、前記光源部から照射された光を反射させる光学部材と、を有し、前記第一取付器具及び前記第二取付器具は、前記光源部から照射される光の照射方向における、前記光源部と前記光学部材との間に設けられている。この態様により、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合であっても、車載用ヘッドアップディスプレイは、バランスが保たれやすくなる。また、仮に光源部又は光学部材のいずれかに傾いた場合でも、運転者へ衝突する可能性を低減することが可能となる。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、前記光源部と前記光学部材とを繋ぐアームと、前記アームと交差する方向に延びる、弾性を有する取付プレートと、を有し、前記第一取付器具及び前記第二取付器具は、前記取付プレートの両端の各々に設けられている。この態様により、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合であっても、車載用ヘッドアップディスプレイは、バランスが保たれやすくなる。また、仮に光源部又は光学部材のいずれかに傾いた場合でも、運転者へ衝突する可能性を好適に低減することが可能となる。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、前記第一落下防止部材は弾性を有する。この態様により、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた瞬間の衝撃を和らげることができ、車載用ヘッドアップディスプレイが壊れる可能性を低くすることができる。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、前記第一取付器具及び前記第二取付器具は円柱形状を有し、前記貫通孔の一方の孔及び他方の孔は前記円柱形状の側面の２箇所に、前記円柱形状の長手方向に距離をおいて連通している。この態様により、好適に、貫通孔が形成され、かつ、第一落下防止部材が第一取付器具及び第二取付器具に挿通される。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の一態様では、前記第一取付器具及び前記第二取付器具は円柱形状を有し、前記貫通孔は前記円柱形状の側面の２箇所を連通している。この態様によっても、好適に、貫通孔が形成され、かつ、第一落下防止部材が第一取付器具及び第二取付器具に挿通される。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、前記第一取付器具及び前記第二取付器具は、前記車載用ヘッドアップディスプレイを重力方向と反対側に位置する前記被固定部に固定する。この態様により、第一取付器具又は第二取付器具が被固定部から外れた場合に、車載用ヘッドアップディスプレイの本体が第一及び第二取付器具の間を接続する第一落下部材を介して被固定部に好適に支えられる。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、前記第一取付器具又は前記第二取付器具の貫通孔を介したワイヤー又は紐状の第二落下防止部材を有し、前記第二落下防止部材の一端が前記車載用ヘッドアップディスプレイ本体、前記第一取付器具又は前記第二取付器具に固定され、他端が前記車体内部に固定されている。この態様により、車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構は、車載用ヘッドアップディスプレイの本体が落下するのをより確実に抑制し、安全性を高めることができる。

　上記車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構の他の一態様では、前記他端は、前記被固定部に対して重力方向と反対方向に位置する前記車体の板金と磁力により接着した磁性体により固定される。この態様により、第一取付器具又は第二取付器具が車体の被固定部から外れた場合であっても、磁性体の磁力により好適に車載用ヘッドアップディスプレイを支持することができる。

　以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。

　[ヘッドアップディスプレイ]
　図１は、実施例に係るヘッドアップディスプレイを車両の車室内に設置した状態を模式的に示す。図１は、車両１の運転席を側方から見た図であり、運転者７は車室内のシート５に座っている。運転者７の頭上には車両の外枠を形成するルーフ（板金）２があり、その下方には車室の内装である天井３がある。天井３は、本発明における「被固定部」の一例である。また、運転者７の前方には車両１のフロントガラス４がある。

　ヘッドアップディスプレイ１０は、運転者７の前方斜め上方向に設置される。詳細は後述するが、ヘッドアップディスプレイ１０は、光源部１１とコンバイナ２０とを備える。破線で示すように、光源部１１から出射された光は、コンバイナ２０で反射され、運転者７の目に至る。これにより、運転者７は車両前方の位置に虚像３０を視認する。なお、虚像３０は矢印の先端が上方向を示す。ヘッドアップディスプレイ１０は、本発明における「車載用ヘッドアップディスプレイ」の一例であり、光源部１１は、本発明における「車載用ヘッドアップディスプレイの本体」の一例である。

　次に、図２を参照して、ヘッドアップディスプレイ１０の構成を説明する。図２は、ヘッドアップディスプレイ１０を斜め上方向から見た斜視図である。

　ヘッドアップディスプレイ１０は、光源部１１と、本体スライドプレート１２と、カバープレート１３と、取付プレート１５と、センターアーム１６と、保持アーム１７とを備える。

　光源部１１には、レーザダイオードなどの光源（図示せず）が搭載されている。光源部１１から出射した光はコンバイナ２０へ投射される。コンバイナ２０は、光源部１１から出射された光を運転者７の目の方向へ反射する。

　光源部１１の天面上には本体スライドプレート１２が配置されている。本体スライドプレート１２は、光源部１１の天面を覆うメイン部分１２ａと、コンバイナ２０の方向へ張り出した張出部分１２ｂとを有する。張出部分１２ｂには、ネジ１５ｂを挿入する一対の取付穴（図示せず）が設けられている。

　本体スライドプレート１２の上にはカバープレート１３が配置されている。カバープレート１３は、光源部１１の天面及び側面を覆い、光源部１１を保持する。カバープレート１３は、光源部１１の側面を覆う側面プレート１３ｂを備え、側面プレート１３ｂは光源部１１の側面に対して例えばネジ止めなどにより固定される。

　また、カバープレート１３は、側面プレート１３ｂの間に設けられたガイド部１３ｃを備える。上述のように、側面プレート１３ｂはネジにより光源部１１に固定され、カバープレート１３と光源部１１とは一体化される。これに対し、本体スライドプレート１２は、一体化したカバープレート１３及び光源部１１に対して、矢印５０の方向に相対的にスライド可能となっている。矢印５０の方向を「調整方向」と呼ぶ。ガイド部１３ｃは、本体スライドプレート１２をカバープレート１３に対して調整方向５０に移動させる際に、本体スライドプレート１２及びカバープレート１３を側方から挟持し、調整方向５０に沿って移動させるためのガイドとしての役割を有する。本体スライドプレート１２とカバープレート１３は、それぞれに設けられた位置決め穴Ｈ、ｈにネジ１９を挿入することにより相互に固定される。

　取付プレート１５は、ヘッドアップディスプレイ１０を車両に取り付ける際の土台となる部材である。取付プレート１５は矩形の平板であり、一対の取付支柱３１、３６が鉛直上方向（即ち、Ｙ軸正方向）に向けて固定される。取付支柱３１、３６は、取付プレート１５に対しネジなどの固定部材により固定されていてもよく、取付プレート１５と一体に形成されてもよい。

　取付支柱３１は、運転者の頭上位置にある天井３の取付穴（不図示）に挿入された状態で、ネジなどの固定部材により天井３に対して固定される。上述の取付穴は、例えば、サンバイザを取り付けるための穴である。同様に、取付支柱３６は、取付支柱３１が挿入される取付穴と対をなす取付穴に挿入された状態で、ネジなどの固定部材により天井３に対して固定される。取付支柱３１は、図３で後述する紐４０を挿通させるための上部側面孔３２及び下部側面孔３３と、紐４０を結ぶためのフック３４とを有する。同様に、取付支柱３６は、上部側面孔３７及び下部側面孔３８と、フック３９とを備える。取付支柱３１、３６は、本発明における「第一取付器具」及び「第二取付器具」の一例である。

　取付プレート１５は、取付支柱３１、３６と天井３とを固定するための固定部材が仮に外れてしまった場合でも、天井３から離れて落下しないように、上述の固定部材に加え、後述する紐４０によりルーフ２又は天井３に対して固定されている。これについては、［取付機構］のセクションで詳しく説明する。

　また、取付プレート１５は、中央付近に一対の取付穴が設けられており、この取付穴と、本体スライドプレート１２の一対の取付穴とを位置合わせしてネジ１５ｂで固定することにより、本体スライドプレート１２が取付プレート１５に固定される。

　センターアーム１６は、光源部１１の略中央からコンバイナ２０の方向へ延びるように光源部１１に対して取り付けられている。センターアーム１６は、保持アーム１７を回動可能に保持する。

　保持アーム１７は、コンバイナ２０を左右から保持する。具体的に、保持アーム１７は、長さ方向の端部に一対の保持部１７ａを有し、一対の保持部１７ａはコンバイナ２０を左右から保持する。保持アーム１７はセンターアーム１６に対して回動可能に取り付けられているので、保持アーム１７により保持されたコンバイナ２０は、保持アーム１７の長さ方向を回転軸として、センターアーム１６に対して前後方向に回動可能となっている。

　以上の構成により、光源部１１、カバープレート１３、センターアーム１６、保持アーム１７、コンバイナ２０は一体化されている。また、取付プレート１５と本体スライドプレート１２は一体化されている。これに加え、本体スライドプレート１２とカバープレート１３とはネジ１９により固定することにより、ヘッドアップディスプレイ１０の全体が一体化される。さらに、取付プレート１５が取付支柱３１、３６により天井３に固定されることで、ヘッドアップディスプレイ１０の全体が天井３に対して固定される。

　［取付機構］
　次に、ヘッドアップディスプレイ１０の取付機構について、第１実施例乃至第４実施例を示す。

　＜第１実施例＞
　図３は、第１実施例に係る取付機構の構造を模式的に示した図である。図３は、説明の便宜上、ルーフ２、天井３、及び取付プレート１５の一部を切り出した状態を示している。図３に示すように、天井３と、取付プレート１５とは、ワイヤー（針金）などの紐４０により一体に固定されている。紐４０は、本発明における「第一落下防止部材」の一例である。なお、図３以降では、紐４０の隠れた部分を破線により仮想的に示す。

　ここで、まず、取付支柱３１、３６について説明する。図３に示すように、取付支柱３１は、天井３に挿通した状態で、ネジなどの図示しない固定部材により天井３に対して固定され、取付支柱３６は、天井３に挿通した状態で、図示しない固定部材により天井３に対して固定される。これにより、取付プレート１５は、天井３に対して固定される。

　また、取付支柱３１は、内部で連通する上部側面孔３２及び下部側面孔３３を有する。上部側面孔３２は、取付支柱３１が天井３に固定された状態で、天井３とルーフ２との間に位置する取付支柱３１の側面に形成される。下部側面孔３３は、取付支柱３１が天井３に固定された状態で、取付プレート１５と天井３との間に位置する取付支柱３１の側面に形成される。また、取付支柱３１は、側面に設けられ、紐４０の端部４００Ａを結ぶためのフック３４を有する。フック３４は、取付支柱３１が天井３に固定された状態で、天井３と取付プレート１５との間に位置する取付支柱３１の側面に設けられる。上部側面孔３２及び下部側面孔３３は、本発明における「貫通孔」の一例である。

　同様に、取付支柱３６は、内部で接続する上部側面孔３７及び下部側面孔３８を有すると共に、紐４０の端部４００Ｂを結ぶためのフック３９を有する。上部側面孔３７は、取付支柱３６が天井３に固定された状態で、天井３とルーフ２との間に位置する取付支柱３６の側面に形成され、フック３９及び下部側面孔３８は、取付支柱３６が天井３に固定された状態で、天井３とルーフ２との間に位置する取付支柱３６の側面に形成される。上部側面孔３７及び下部側面孔３８は、本発明における「貫通孔」の一例である。

　次に、紐４０による取付支柱３１、３６と天井３との固定方法について説明する。まず、紐４０の一端である端部４００Ａは、フック３４に結ばれる。そして、紐４０の他端である端部４００Ｂは、下部側面孔３３から上部側面孔３２へ挿通される。さらに、端部４００Ｂは、ルーフ２と向かい合う天井３の上面３Ｕを通って取付支柱３６の上部側面孔３７から下部側面孔３８に挿通される。そして、上部側面孔３７から下部側面孔３８に挿通された紐４０の端部４００Ｂは、フック３９で結ばれる。

　この構成により、取付支柱３１、３６と天井３とを固定するためのネジなどの固定部材が外れた場合であっても、ヘッドアップディスプレイ１０は落下しない。具体的には、この場合、ヘッドアップディスプレイ１０の重量に相当する鉛直方向の力が取付支柱３１、３６に働く。一方、両端部４００Ａ、４００Ｂは、ヘッドアップディスプレイ１０の一部である取付支柱３１、３６に固定されており、かつ、ヘッドアップディスプレイ１０と、上部側面孔３２及び上部側面孔３７間の紐４０とが、天井３によって隔てられている。その結果、ヘッドアップディスプレイ１０は、上部側面孔３２及び上部側面孔３７間の紐４０によって吊るされた状態で天井３によって支えられ、天井３から落下しない。従って、この構成により、ヘッドアップディスプレイ１０の落下を確実に防止し、安全性を確保することができる。

　また、光源部１１とコンバイナ２０との間の位置に取付支柱３１、３６を設けたため、紐４０によって吊るされた状態でもヘッドアップディスプレイ１０のバランスを取りやすい。仮に、バランスが崩れて、光源部１１側又はコンバイナ２０側にヘッドアップディスプレイ１０が傾いたとしても、光源部１１又はコンバイナ２０のうち、重量が軽い側が持ち上がって天井３によって支えられるため、ヘッドアップディスプレイ１０が運転者７へ衝突する可能性を少なくできる。

　また、取付プレート１５を介してヘッドアップディスプレイ１０を取り付けているため、取付プレート１５に弾性を有する部材を用いることで、取付支柱３１、３６と天井３との固定部材が外れて、紐４０によって吊るされた状態となった瞬間の衝撃を和らげることができ、ヘッドアップディスプレイ１０が壊れる可能性を低くできる。紐４０に弾性がある場合も同様の効果が得られる。

　ここで、紐４０の端部４００Ｂを下部側面孔３３から上部側面孔３２へと挿通させた後、上部側面孔３７から下部側面孔３８へと挿通させる方法の具体例を説明する。

　まず、紐４０が重力によって形状が変化する軟性が高い部材である場合には、例えば、端部４００Ｂを輪状に形成した状態で下部側面孔３３から上部側面孔３２へ通過させると共に、下部側面孔３８から上部側面孔３７へ図示しない鉤形部材（フック）を挿通させる。そして、輪状の端部４００Ｂを天井３の上面３Ｕ上で鉤形部材に引っかけた後、当該鉤形部材を上部側面孔３７から下部側面孔３８へと引き抜く。他の例では、自由定規や針金などの先に端部４００Ｂを結び、当該自由定規等を端部４００Ｂと共に下部側面孔３３から上部側面孔３２へと挿通させた後、さらに、上部側面孔３７から下部側面孔３８へと挿通させる。

　一方、重力によって形状が変化せず、かつ、可撓性を有する部材を紐４０として用いた場合には、当該紐４０を柔軟に変形させつつ、下部側面孔３３から上部側面孔３２へと挿通させた後、さらに、上部側面孔３７から下部側面孔３８へと挿通させる。上述の部材は、例えばワイヤー又は内部にワイヤーが含まれるケーブル（ロープ）などが該当する。

　なお、図３に示す構成に代えて、紐４０の端部４００Ａは、取付支柱３１に結ばれることで固定されてもよく、取付プレート１５上又は天井３の下面にネジ、テープ、接着材などの固定部材により固定されてもよい。この場合であっても、紐４０は、取付支柱３１の上部側面孔３２及び下部側面孔３７を挿通しているため、取付支柱３１は紐４０により支えられる。同様に、取付支柱３６も、フック３９を有しなくともよい。

　＜第２実施例＞
　図４は、第２実施例に係る取付機構の構造を模式的に示した図である。図４は、説明の便宜上、ルーフ２、天井３、及び取付プレート１５のうち、取付支柱３１、３６ｘの一部を切り出した状態を示している。

　図４に示すように、第２実施例では、取付支柱３６ｘは、取付支柱３６ｘが天井３に固定された状態で、天井３とルーフ２との間に位置する取付支柱３６ｘの側面を貫通する貫通孔３７ｘを備える。そして、紐４０の端部４００Ｂは、貫通孔３７ｘに挿通された後、取付支柱３６ｘに固定される。なお、図４では、端部４００Ｂは、取付支柱３６ｘに巻き付けられて固定されているが、これに代えて、ネジ、フック、接着剤などの固定部材を用いて取付支柱３６ｘ又は天井３の上面３Ｕに固定されてもよい。

　この構成により、取付支柱３１、３６ｘと天井３とを固定するためのネジなどの固定部材が外れた場合であっても、ヘッドアップディスプレイ１０は落下しない。具体的には、この場合、取付支柱３６ｘに掛かる鉛直方向の力は、貫通孔３７ｘを挿通する端部４００Ｂに作用し、取付支柱３１に掛かる鉛直方向の力は、第１実施例と同様に、端部４００Ａに作用する。その結果、第１実施例と同様、ヘッドアップディスプレイ１０は、上部側面孔３２及び上部側面孔３７間の紐４０によって吊るされた状態で天井３によって支えられ、天井３から落下しない。従って、第２実施例によっても、ヘッドアップディスプレイ１０の落下を確実に防止し、安全性を確保することができる。

　＜第３実施例＞
　図５は、第３実施例に係るルーフ２及び天井３部分での取付機構の構造を模式的に示したものである。図５は、説明の便宜上、ルーフ２及び天井３の一部のみを切り出した状態を示している。

　図５に示すように、第３実施例では、取付支柱３１ｙの上方（即ち図中のＹ軸正方向）に、磁性を有する磁性体４１ａが磁気によりルーフ２に接着する。同様に、取付支柱３６ｙの上方には、磁性を有する磁性体４１ｂが磁気によりルーフ２に接着する。そして、磁性体４１ａ、４１ｂは、それぞれ、天井３の上面３Ｕと対向する面に取っ手部４２ａ、４２ｂを有する。また、第３実施例では、磁性体４１ａと取付支柱３１ｙとを結ぶための紐４０Ｘと、磁性体４１ｂと取付支柱３６ｙとを結ぶための紐４０Ｙとが用いられる。具体的には、紐４０Ｘの一端は、取っ手部４２ａに結ばれ、紐４０Ｘの他端は、取付支柱３１ｙの上面から取付支柱３１ｙの側面へ貫通する貫通孔３２ｙを挿通後、取付支柱３１ｙ又は天井３の上面３Ｕ（図５では取付支柱３１ｙ）に対して固定される。同様に、紐４０Ｙの一端は、取っ手部４２ｂに結ばれ、紐４０Ｙの他端は、取付支柱３６ｙの上面から取付支柱３６ｙの側面へ貫通する貫通孔３７ｙを挿通後、取付支柱３６ｙ又は天井３の上面３Ｕ（図５では取付支柱３６ｙ）に対して固定される。

　この構成によれば、取付支柱３１ｙは紐４０Ｘを介して磁性体４１ａによって支持され、取付支柱３６ｙは紐４０Ｙを介して磁性体４１ｂによって支持される。よって、取付支柱３１ｙ、３６ｙと天井３とを固定するためのネジなどの固定部材が外れた場合であっても、ヘッドアップディスプレイ１０は落下しない。従って、第３実施例の構成によっても、ヘッドアップディスプレイ１０の落下を確実に防止し、安全性を確保することができる。

　＜第４実施例＞
　図６は、第４実施例に係る取付機構の構造を模式的に示した図である。図６は、説明の便宜上、ルーフ２、天井３、及び取付プレート１５の一部のみを切り出した状態を示している。

　図６に示すように、第４実施例の取付機構は、第１実施例の取付機構と第３実施例の取付機構とが組み合わされた構成と同等の構成を有する。具体的には、取付支柱３１ｚは、上部側面孔３２及び下部側面孔３３ｘを有し、取付支柱３６ｚは、上部側面孔３７及び下部側面孔３８ｘを有する。そして、紐４０の端部４００Ａは、取付プレート１５に設けられたフック１５０ａに結ばれることで固定され、端部４００Ｂは、下部側面孔３３ｘから上部側面孔３２へと挿通される。そして、端部４００Ｂは、天井３の上面３Ｕ上を通って、上部側面孔３７から下部側面孔３８ｘへと挿通された後、取付プレート１５に設けられたフック１５０ｂに結ばれることで固定される。

　さらに、取付支柱３１ｚは、第３実施例の取付支柱３１ｙと同様に、紐４０Ａを挿通させる貫通孔３２ｙを有し、取付支柱３６ｚは、第３実施例の取付支柱３６ｙと同様に、紐４０Ｂを挿通させる貫通孔３７ｙを有する。また、取付支柱３１ｚは、取付支柱３１ｚが天井３に固定された状態で、天井３とルーフ２との間に位置する取付支柱３１ｚの側面に形成されたフック３４ａを有する。同様に、取付支柱３６ｚは、取付支柱３６ｚが天井３に固定された状態で、天井３とルーフ２との間に位置する取付支柱３６ｚの側面に形成されたフック３９ａを有する。そして、紐４０Ｘは、貫通孔３２ｙに挿通した状態で取っ手部４２ａとフック３４ａとに結ばれ、紐４０Ｙは、貫通孔３７ｙに挿通した状態で取っ手部４２ｂとフック３９ａとに結ばれる。紐４０Ｘ、４０Ｙは、本発明における「第二落下部材」の一例である。

　この構成によれば、取付支柱３１ｚ、３６ｚは、紐４０を介して天井３に支持されるのに加え、取付支柱３１ｚは紐４０Ｘを介して磁性体４１ａによって支持され、取付支柱３６ｚは紐４０Ｙを介して磁性体４１ｂによって支持される。従って、第４実施例の構成により、取付支柱３１ｚ、３６ｚと天井３とを固定するためのネジなどの固定部材が外れた場合であっても、ヘッドアップディスプレイ１０の落下をより確実に防止し、安全性を確保することができる。

　なお、図６に示す構成に代えて、紐４０、４０Ｘ、４０Ｙの各端部は、ネジやテープなどの固定部材により取付プレート１５、天井３、又はルーフ２に固定されてもよい。

　［変形例］
　次に、上述の第１実施例乃至第４実施例に好適な変形例について説明する。

　（変形例１）
　第１実施例及び第２実施例において、取付支柱３１の側面に下部側面孔３３と接続する上部側面孔３２が形成されていたが、上部側面孔３２に代えて、取付支柱３１のルーフ２と対向する面に下部側面孔３３から貫通する孔が形成されてもよい。同様に、第１実施例及び第２実施例において、上部側面孔３７に代えて、取付支柱３６、３６ｘのルーフ２と対向する面に下部側面孔３８から貫通する孔が形成されてもよい。

　（変形例２）
　第３実施例及び第４実施例において、磁性体４１ａ、４１ｂは、磁気によりルーフ２に接着していたが、これに代えて、磁性体４１ａ、４１ｂが磁性を有さず、両面テープなどの固定部材によりルーフ２に取り付けられてもよい。

　（変形例３）
　図１、図２では、ヘッドアップディスプレイ１０は、光源部１１とコンバイナ２０とが一体に形成されていたが、これに代えて、光源部１１とコンバイナ２０とはそれぞれ別体となっていてもよい。この場合、コンバイナ２０は、例えば天井３に設けられた支持軸部により回動可能に支持され、光源部１１は、実施例と同様、取付プレート１５により天井３に取り付けられる。この場合、コンバイナ２０を除く光源部１１及び取付プレート１５等は、本発明における「車載用ヘッドアップディスプレイの本体」の一例である。

　本発明は、経路案内や車両の情報を運転者に視認させるヘッドアップディスプレイに好適に適用することができる。

　１　車両
　２　ルーフ
　３　天井
　４　フロントガラス
　７　運転者
　１０　ヘッドアップディスプレイ
　１１　光源部
　１２　本体スライドプレート
　１３　カバープレート
　１５　取付プレート
　２０　コンバイナ
　３０　虚像
　３１、３１ｙ、３１ｚ、３６、３６ｘ、３６ｙ、３６ｚ　取付支柱
　４０、４０Ｘ、４０Ｙ　紐
　４１ａ、４１ｂ　磁性体

Claims

　車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構であって、
　前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体を、車体内部の被固定部に固定するための第一取付器具、及び第二取付器具を有し、
　前記第一取付器具又は前記第二取付器具が前記被固定部から外れた場合に、
　前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体が落下するのを防ぐワイヤー又は紐状の第一落下防止部材が、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対する前記被固定部の反対側であって、前記第一取付器具と前記第二取付器具との間を接続して設けられていることを特徴とする車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記第一取付器具及び前記第二取付器具には一方の孔から他方の孔へ連通する貫通孔が設けられており、
　前記第一落下防止部材は、前記貫通孔の一方の孔を通して前記第一取付器具と前記第二取付器具との間を接続し、且つ両端が前記貫通孔の他方の孔を通って前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体に固定されていることを特徴とする請求項１に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記第一取付器具及び前記第二取付器具には一方の孔から他方の孔へ連通する貫通孔が設けられており、
　前記第一落下防止部材は、前記貫通孔の一方の孔を通して前記第一取付器具と前記第二取付器具との間を接続し、且つ両端が前記貫通孔の他方の孔を通って前記第一取付器具若しくは前記第二取付器具に固定されていることを特徴とする請求項１に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記貫通孔の一方の孔は、前記被固定部に固定された状態で、前記車載用ヘッドアップディスプレイの本体に対して前記被固定部の反対側に位置し、且つ前記貫通孔の他方の孔は、前記被固定部の車載用ヘッドアップディスプレイ側に位置するように設けられていることを特徴とする請求項２又は３に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　光源部と、
　前記光源部から照射された光を反射させる光学部材と、
を有し、
　前記第一取付器具及び前記第二取付器具は、前記光源部から照射される光の照射方向における、前記光源部と前記光学部材との間に設けられていることを特徴とする請求項２又は４に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記光源部と前記光学部材とを繋ぐアームと、
　前記アームと交差する方向に延びる、弾性を有する取付プレートと、
を有し、
　前記第一取付器具及び前記第二取付器具は、前記取付プレートの両端の各々に設けられていることを特徴とする請求項５に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記第一落下防止部材は弾性を有することを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記第一取付器具及び前記第二取付器具は円柱形状を有し、
　前記貫通孔は前記円柱形状のうち前記被固定部と対向する面と側面とを連通していることを特徴とする請求項２または３に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記第一取付器具及び前記第二取付器具は円柱形状を有し、
　前記貫通孔の一方の孔及び他方の孔は前記円柱形状の側面の２箇所に、前記円柱形状の長手方向に距離をおいて連通していることを特徴とする請求項２乃至４のいずれか一項に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記第一取付器具及び前記第二取付器具は、前記車載用ヘッドアップディスプレイを、重力方向と反対側に位置する前記被固定部に固定することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか一項に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　前記第一取付器具又は前記第二取付器具の貫通孔を介したワイヤー又は紐状の第二落下防止部材を有し、
　前記第二落下防止部材の一端が前記車載用ヘッドアップディスプレイ本体、前記第一取付器具又は前記第二取付器具に固定され、他端が前記車体内部に固定されていることを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか一項に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。
　　前記他端は、
　前記被固定部に対して重力方向と反対方向に位置する前記車体の板金と磁力により接着した磁性体により固定されることを特徴とする請求項１１に記載の車載用ヘッドアップディスプレイの取付機構。