WO2012147664A1 - 画像処理システム及び方法 - Google Patents
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Abstract
実施形態に係る画像処理システムは、生成部(115d)と、表示制御部(115f)とを備える。生成部(115d)は、医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して異なる画像処理が施されることで生成された複数種類の3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の視差画像群を生成する。表示制御部(115f)は、前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の視差画像群の表示条件を切り替え、該複数種類の視差画像群を重畳表示するように制御する。
Description
本発明の実施形態は、画像処理システム及び方法に関する。
従来、X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置等の医用画像診断装置では、3次元の医用画像データ(以下、ボリュームデータ)を生成可能な装置が実用化されている。かかる医用画像診断装置は、対象物を撮影することで撮影データを収集し、収集した撮影データに対して画像処理を施すことで、ボリュームデータを生成する。また、医用画像診断装置は、生成したボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行うことで、モニタに表示するための表示画像を生成する。
一方、近年、立体視用メガネ等の専用機器を用いて、2つの視点から撮影された2視差画像を立体視可能なモニタが実用化されている。また、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いて、複数の視点から撮影された多視差画像(例えば、9視差画像)を裸眼にて立体視可能なモニタが実用化されている。なお、立体視可能なモニタにて表示される2視差画像や9視差画像は、1視点から撮影された画像の奥行き情報を推定し、推定した情報を用いた画像処理により生成される場合もある。
本発明が解決しようとする課題は、医用画像を適切に表示することができる画像処理システム及び方法を提供することである。
実施形態の画像処理システムは、生成部と、表示制御部とを備える。前記生成部は、医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して異なる画像処理が施されることで生成された複数種類の3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の視差画像群を生成する。前記表示制御部は、前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の視差画像群の表示条件を切り替え、該複数種類の視差画像群を重畳表示するように制御する。
以下、添付図面を参照して、画像処理システム及び方法の実施形態を詳細に説明する。ここで、以下の実施形態で用いる用語について説明すると、「視差画像群」とは、ボリュームデータに対して、所定の視差角ずつ視点位置を移動させてボリュームレンダリング処理を行うことで生成された画像群のことである。すなわち、「視差画像群」は、「視点位置」が異なる複数の「視差画像」から構成される。また、「視差角」とは、「視差画像群」を生成するために設定された各視点位置の内、隣接する視点位置とボリュームデータによって表される空間内の所定位置(例えば、空間の中心)とにより定まる角度のことである。また、「視差数」とは、立体視可能なモニタにて立体視されるために必要となる「視差画像」の数のことである。また、以下で記載する「9視差画像」とは、9つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。また、以下で記載する「2視差画像」とは、2つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を説明するための図である。
まず、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を説明するための図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理システム1は、医用画像診断装置110と、画像保管装置120と、ワークステーション130と、端末装置140とを有する。図1に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)2により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、画像処理システム1にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
かかる画像処理システム1は、医用画像診断装置110により収集された3次元の医用画像データであるボリュームデータから表示画像としての視差画像群を生成し、この視差画像群を立体視可能なモニタに表示することで、病院内に勤務する医師や検査技師に立体視可能な医用画像を提供する。具体的には、第1の実施形態においては、医用画像診断装置110が、ボリュームデータに対して種々の画像処理を行い、視差画像群を生成する。また、医用画像診断装置110、ワークステーション130及び端末装置140が、立体視可能なモニタを有し、医用画像診断装置110にて生成された視差画像群をこのモニタに表示する。また、画像保管装置120は、医用画像診断装置110にて生成されたボリュームデータや視差画像群を保管する。すなわち、ワークステーション130や端末装置140は、この画像保管装置120から視差画像群を取得し、これを処理したり、モニタに表示したりする。以下、各装置を順に説明する。
医用画像診断装置110は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置、又はこれらの装置群等である。また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、3次元の医用画像データ(ボリュームデータ)を生成可能である。
具体的には、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、被検体を撮影することによりボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置110は、被検体を撮影することにより投影データやMR信号等の撮影データを収集し、収集した撮影データから、被検体の体軸方向に沿った複数のアキシャル面の医用画像データを再構成することで、ボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置110は、500枚のアキシャル面の医用画像データを再構成する。この500枚のアキシャル面の医用画像データ群が、ボリュームデータである。なお、医用画像診断装置110により撮影された被検体の投影データやMR信号等自体をボリュームデータとしてもよい。
また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、生成したボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。
また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、表示部として、立体視可能なモニタ(以下、立体表示モニタ)を有する。医用画像診断装置110は、視差画像群を生成し、生成した視差画像群を立体表示モニタに表示する。この結果、医用画像診断装置110の操作者は、立体表示モニタに表示された立体視可能な医用画像を確認しながら、視差画像群生成のための操作を行うことができる。
また、医用画像診断装置110は、生成したボリュームデータ及び視差画像群を画像保管装置120に送信する。なお、医用画像診断装置110は、ボリュームデータや視差画像群を画像保管装置120に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像診断装置110を識別する装置ID、医用画像診断装置110による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。また、視差画像群を画像保管装置120に送信する際に送信される付帯情報としては、視差画像群に関する付帯情報も挙げられる。視差画像群に関する付帯情報としては、視差画像の枚数(例えば、「9」)や、視差画像の解像度(例えば、「466×350画素」)等がある。
画像保管装置120は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、第1の実施形態に係る画像保管装置120は、医用画像診断装置110から送信されたボリュームデータや視差画像群を記憶部に格納し、これを保管する。なお、第1の実施形態は、大容量の画像を保管可能なワークステーション130を用いることで、図1に例示するワークステーション130と画像保管装置120とが統合される場合であっても良い。すなわち、第1の実施形態は、ワークステーション130そのものにボリュームデータや視差画像群を記憶させる場合であってもよい。
なお、第1の実施形態において、画像保管装置120に保管されたボリュームデータや視差画像群は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と対応付けて保管される。このため、ワークステーション130や端末装置140は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行うことで、必要なボリュームデータや視差画像群を画像保管装置120から取得する。
ワークステーション130は、医用画像に対して画像処理を行う画像処理装置である。具体的には、第1の実施形態に係るワークステーション130も、画像保管装置120から取得した視差画像群を取得し、取得した視差画像群を立体表示モニタに表示する。この結果、観察者である医師や検査技師は、立体視可能な医用画像を閲覧することができる。なお、第1の実施形態においては、医用画像診断装置110にて視差画像群の生成まで行われるが、例えば、第1の実施形態に係るワークステーション130も、画像保管装置120からボリュームデータを取得し、取得したボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行い、視差画像群を生成してもよい。
端末装置140は、病院内に勤務する医師や検査技師に医用画像を閲覧させるための装置である。例えば、端末装置140は、病院内に勤務する医師や検査技師により操作されるPC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等である。具体的には、第1の実施形態に係る端末装置140は、表示部として立体表示モニタを有する。また、端末装置140は、画像保管装置120から視差画像群を取得し、取得した視差画像群を立体表示モニタに表示する。この結果、観察者である医師や検査技師は、立体視可能な医用画像を閲覧することができる。
ここで、医用画像診断装置110や、ワークステーション130、端末装置140が有する立体表示モニタについて説明する。現在最も普及している一般的な汎用モニタは、2次元画像を2次元で表示するものであり、2次元画像を立体表示することができない。仮に、観察者が汎用モニタにて立体視を要望する場合、汎用モニタに対して画像を出力する装置は、平行法や交差法により観察者が立体視可能な2視差画像を並列表示させる必要がある。又は、汎用モニタに対して画像を出力する装置は、例えば、左目用の部分に赤色のセロハンが取り付けられ、右目用の部分に青色のセロハンが取り付けられたメガネを用いて余色法により観察者が立体視可能な画像を表示する必要がある。
一方、立体表示モニタとしては、立体視用メガネ等の専用機器を用いることで、2視差画像(両眼視差画像とも称する)を立体視可能とするものがある。
図2A及び図2Bは、2視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。図2A及び図2Bに示す一例は、シャッター方式により立体表示を行う立体表示モニタであり、モニタを観察する観察者が装着する立体視用メガネとしてシャッターメガネが用いられる。かかる立体表示モニタは、モニタにて2視差画像を交互に出射する。例えば、図2Aに示すモニタは、左目用の画像と右目用の画像を、120Hzにて交互に出射する。ここで、モニタには、図2Aに示すように、赤外線出射部が設置され、赤外線出射部は、画像が切り替わるタイミングに合わせて赤外線の出射を制御する。
また、赤外線出射部から出射された赤外線は、図2Aに示すシャッターメガネの赤外線受光部により受光される。シャッターメガネの左右それぞれの枠には、シャッターが取り付けられており、シャッターメガネは、赤外線受光部が赤外線を受光したタイミングに合わせて左右のシャッターそれぞれの透過状態及び遮光状態を交互に切り替える。以下、シャッターにおける透過状態及び遮光状態の切り替え処理について説明する。
各シャッターは、図2Bに示すように、入射側の偏光板と出射側の偏光板とを有し、更に、入射側の偏光板と出射側の偏光板との間に液晶層を有する。また、入射側の偏光板と出射側の偏光板とは、図2Bに示すように、互いに直交している。ここで、図2Bに示すように、電圧が印加されていない「OFF」の状態では、入射側の偏光板を通った光は、液晶層の作用により90度回転し、出射側の偏光板を透過する。すなわち、電圧が印加されていないシャッターは、透過状態となる。
一方、図2Bに示すように、電圧が印加された「ON」の状態では、液晶層の液晶分子による偏光回転作用が消失するため、入射側の偏光板を通った光は、出射側の偏光板で遮られてしまう。すなわち、電圧が印加されたシャッターは、遮光状態となる。
そこで、例えば、赤外線出射部は、モニタ上に左目用の画像が表示されている期間、赤外線を出射する。そして、赤外線受光部は、赤外線を受光している期間、左目のシャッターに電圧を印加せず、右目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、図2Aに示すように、右目のシャッターが遮光状態となり、左目のシャッターが透過状態となるため、観察者の左目に左目用の画像が入射する。一方、赤外線出射部は、モニタ上に右目用の画像が表示されている期間、赤外線の出射を停止する。そして、赤外線受光部は、赤外線が受光されない期間、右目のシャッターに電圧を印加せず、左目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、左目のシャッターが遮光状態となり、右目のシャッターが透過状態であるため、観察者の右目に右目用の画像が入射する。このように、図2A及び図2Bに示す立体表示モニタは、モニタに表示される画像とシャッターの状態を連動させて切り替えることで、観察者が立体視可能な画像を表示させる。なお、2視差画像を立体視可能な立体表示モニタとしては、上記のシャッター方式以外にも、偏光メガネ方式を採用したモニタも知られている。
更に、近年実用化された立体表示モニタとしては、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いることで、例えば、9視差画像等の多視差画像を観察者が裸眼にて立体視可能とするものがある。かかる立体表示モニタは、両眼視差による立体視を可能とし、更に、観察者の視点移動に合わせて観察される映像も変化する運動視差による立体視も可能とする。
図3は、9視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。図3に示す立体表示モニタには、液晶パネル等の平面状の表示面200の前面に、光線制御子が配置される。例えば、図3に示す立体表示モニタには、光線制御子として、光学開口が垂直方向に延びる垂直レンチキュラーシート201が表示面200の前面に貼り付けられている。なお、図3に示す一例では、垂直レンチキュラーシート201の凸部が前面となるように貼り付けられているが、垂直レンチキュラーシート201の凸部が表示面200に対向するように貼り付けられる場合であっても良い。
表示面200には、図3に示すように、縦横比が3:1であり、縦方向にサブ画素である赤(R)、緑(G)、青(B)の3つが配置された画素202がマトリクス状に配置される。図3に示す立体表示モニタは、9つの画像により構成される9視差画像を、所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換したうえで、表示面200に出力する。すなわち、図3に示す立体表示モニタは、9視差画像にて同一位置にある9つの画素それぞれを、9列の画素202に割り振って出力させる。9列の画素202は、視点位置の異なる9つの画像を同時に表示する単位画素群203となる。
表示面200において単位画素群203として同時に出力された9視差画像は、例えば、LED(Light Emitting Diode)バックライトにより平行光として放射され、更に、垂直レンチキュラーシート201により、多方向に放射される。9視差画像の各画素の光が多方向に放射されることにより、観察者の右目及び左目に入射する光は、観察者の位置(視点の位置)に連動して変化する。すなわち、観察者の見る角度により、右目に入射する視差画像と左目に入射する視差画像とは、視差角が異なる。これにより、観察者は、例えば、図3に示す9つの位置それぞれにおいて、撮影対象を立体的に視認できる。また、観察者は、例えば、図3に示す「5」の位置において、撮影対象に対して正対した状態で立体的に視認できるとともに、図3に示す「5」以外それぞれの位置において、撮影対象の向きを変化させた状態で立体的に視認できる。なお、図3に示す立体表示モニタは、あくまでも一例である。9視差画像を表示する立体表示モニタは、図3に示すように、「RRR・・・、GGG・・・、BBB・・・」の横ストライプ液晶である場合であっても良いし、「RGBRGB・・・」の縦ストライプ液晶である場合であっても良い。また、図3に示す立体表示モニタは、図3に示すように、レンチキュラーシートが垂直となる縦レンズ方式である場合であっても良いし、レンチキュラーシートが斜めとなる斜めレンズ方式である場合であっても良い。
ここまで、第1の実施形態に係る画像処理システム1の構成例について簡単に説明した。なお、上述した画像処理システム1は、PACSが導入されている場合にその適用が限られるものではない。例えば、画像処理システム1は、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムが導入されている場合にも、同様に適用される。この場合、画像保管装置120は、電子カルテを保管するデータベースである。また、例えば、画像処理システム1は、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)が導入されている場合にも、同様に適用される。また、画像処理システム1は、上述した構成例に限られるものではない。各装置が有する機能やその分担は、運用の形態に応じて適宜変更されてよい。
次に、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110の構成例について図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110の構成例を説明するための図である。
第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、図4に示すように、架台部110aと、計算機システム部110bとを備える。架台部110aは、撮影に用いられる各部を有し、例えば、医用画像診断装置110がX線CT装置の場合、架台部110aは、X線管、検出器、回転アーム、寝台等を有する。一方、計算機システム部110bは、入力部111と、表示部112と、通信部113と、記憶部114と、制御部115と、レンダリング処理部116とを有する。
入力部111は、マウス、キーボード、トラックボール等であり、医用画像診断装置110に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。具体的には、第1の実施形態に係る入力部111は、撮影計画の入力や、撮影指示の入力、レンダリング処理に関する条件(以下、レンダリング条件)の入力などを受け付ける。
表示部112は、立体表示モニタとしての液晶パネル等であり、各種情報を表示する。具体的には、第1の実施形態に係る表示部112は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、表示画像としての視差画像群等を表示する。通信部113は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。
記憶部114は、ハードディスク、半導体メモリ素子等であり、各種情報を記憶する。具体的には、第1の実施形態に係る記憶部114は、撮影によって収集された撮影データを記憶する。また、第1の実施形態に係る記憶部114は、撮影データから生成されたボリュームデータや、レンダリング処理中のボリュームデータ、レンダリング処理により生成された視差画像群等を記憶する。
制御部115は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路であり、医用画像診断装置110の全体制御を行う。
例えば、第1の実施形態に係る制御部115は、表示部112に対するGUIの表示や視差画像群の表示を制御する。また、例えば、制御部115は、架台部110aが有する各部を制御することで行われる撮影や、画像保管装置120との間で通信部113を介して行われるボリュームデータや視差画像群の送受信を制御する。また、例えば、制御部115は、レンダリング処理部116によるレンダリング処理を制御する。また、例えば、制御部115は、各種データの記憶部114からの読み込みや、記憶部114への格納を制御する。
レンダリング処理部116は、制御部115による制御の下、記憶部114から読み込んだボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。具体的には、第1の実施形態に係るレンダリング処理部116は、記憶部114からボリュームデータを読み込み、このボリュームデータに対して、まず前処理を行う。次に、レンダリング処理部116は、前処理後のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。続いて、レンダリング処理部116は、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された2次元画像を生成し、これを視差画像群それぞれに対して重畳することで、出力用の2次元画像を生成する。そして、レンダリング処理部116は、生成した視差画像群や出力用の2次元画像を記憶部114に格納する。なお、第1の実施形態において、レンダリング処理とは、ボリュームデータに対して行う画像処理全体のことであり、ボリュームレンダリング処理とは、レンダリング処理の内、3次元の情報を反映した2次元画像を生成する処理のことである。
図5は、図4に示すレンダリング処理部の構成例を説明するための図である。図5に示すように、レンダリング処理部116は、前処理部1161と、3次元画像処理部1162と、2次元画像処理部1163とを有する。前処理部1161が、ボリュームデータに対する前処理を行い、3次元画像処理部1162が、前処理後のボリュームデータから視差画像群を生成し、2次元画像処理部1163が、視差画像群に各種情報が重畳された出力用の2次元画像を生成する。以下、各部を順に説明する。
前処理部1161は、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う際に、種々の前処理を行う処理部であり、画像補正処理部1161aと、3次元物体フュージョン部1161eと、3次元物体表示領域設定部1161fとを有する。
画像補正処理部1161aは、2つのボリュームデータを1つのボリュームデータとして処理する際に画像補正処理を行う処理部であり、図5に示すように、歪み補正処理部1161b、体動補正処理部1161c及び画像間位置合わせ処理部1161dを有する。例えば、画像補正処理部1161aは、PET-CT装置により生成されたPET画像のボリュームデータとX線CT画像のボリュームデータとを1つのボリュームデータとして処理する際に画像補正処理を行う。或いは、画像補正処理部1161aは、MRI装置により生成されたT1強調画像のボリュームデータとT2強調画像のボリュームデータとを1つのボリュームデータとして処理する際に画像補正処理を行う。
また、歪み補正処理部1161bは、個々のボリュームデータにおいて、医用画像診断装置110によるデータ収集時の収集条件に起因するデータの歪みを補正する。また、体動補正処理部1161cは、個々のボリュームデータを生成するために用いられたデータの収集時期における被検体の体動に起因する移動を補正する。また、画像間位置合わせ処理部1161dは、歪み補正処理部1161b及び体動補正処理部1161cによる補正処理が行われた2つのボリュームデータ間で、例えば、相互相関法等を用いた位置合わせ(Registration)を行う。
3次元物体フュージョン部1161eは、画像間位置合わせ処理部1161dにより位置合わせが行われた複数のボリュームデータをフュージョンさせる。なお、画像補正処理部1161a及び3次元物体フュージョン部1161eの処理は、単一のボリュームデータに対してレンダリング処理を行う場合、省略される。
3次元物体表示領域設定部1161fは、操作者により指定された表示対象臓器に対応する表示領域を設定する処理部であり、セグメンテーション処理部1161gを有する。セグメンテーション処理部1161gは、操作者により指定された心臓、肺、血管等の臓器を、例えば、ボリュームデータの画素値(ボクセル値)に基づく領域拡張法により抽出する処理部である。
なお、セグメンテーション処理部1161gは、操作者により表示対象臓器が指定されなかった場合、セグメンテーション処理を行わない。また、セグメンテーション処理部1161gは、操作者により表示対象臓器が複数指定された場合、該当する複数の臓器を抽出する。また、セグメンテーション処理部1161gの処理は、レンダリング画像を参照した操作者の微調整要求により再度実行される場合もある。
3次元画像処理部1162は、前処理部1161が処理を行った前処理後のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行う。ボリュームレンダリング処理を行う処理部として、3次元画像処理部1162は、投影方法設定部1162aと、3次元幾何変換処理部1162bと、3次元物体アピアランス処理部1162fと、3次元仮想空間レンダリング部1162kとを有する。
投影方法設定部1162aは、視差画像群を生成するための投影方法を決定する。例えば、投影方法設定部1162aは、ボリュームレンダリング処理を平行投影法により実行するか、透視投影法により実行するかを決定する。
3次元幾何変換処理部1162bは、ボリュームレンダリング処理が実行されるボリュームデータを3次元幾何学的に変換するための情報を決定する処理部であり、平行移動処理部1162c、回転処理部1162d及び拡大縮小処理部1162eを有する。平行移動処理部1162cは、ボリュームレンダリング処理を行う際の視点位置が平行移動された場合に、ボリュームデータを平行移動させる移動量を決定する処理部であり、回転処理部1162dは、ボリュームレンダリング処理を行う際の視点位置が回転移動された場合に、ボリュームデータを回転移動させる移動量を決定する処理部である。また、拡大縮小処理部1162eは、視差画像群の拡大や縮小が要求された場合に、ボリュームデータの拡大率や縮小率を決定する処理部である。
3次元物体アピアランス処理部1162fは、3次元物体色彩処理部1162g、3次元物体不透明度処理部1162h、3次元物体材質処理部1162i及び3次元仮想空間光源処理部1162jを有する。3次元物体アピアランス処理部1162fは、これらの処理部により、例えば、操作者の要求に応じて、表示される視差画像群の表示状態を決定する処理を行う。
3次元物体色彩処理部1162gは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域に対して着色される色彩を決定する処理部である。3次元物体不透明度処理部1162hは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域を構成する各ボクセルの不透過度(Opacity)を決定する処理部である。なお、ボリュームデータにおいて不透過度が「100%」とされた領域の後方の領域は、視差画像群において描出されないこととなる。また、ボリュームデータにおいて不透過度が「0%」とされた領域は、視差画像群において描出されないこととなる。
3次元物体材質処理部1162iは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域の材質を決定することで、この領域が描出される際の質感を調整する処理部である。3次元仮想空間光源処理部1162jは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行う際に、3次元仮想空間に設置する仮想光源の位置や、仮想光源の種類を決定する処理部である。仮想光源の種類としては、無限遠から平行な光線を照射する光源や、視点から放射状の光線を照射する光源等が挙げられる。
3次元仮想空間レンダリング部1162kは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。また、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、ボリュームレンダリング処理を行う際、必要に応じて、投影方法設定部1162a、3次元幾何変換処理部1162b、3次元物体アピアランス処理部1162fにより決定された各種情報を用いる。
ここで、3次元仮想空間レンダリング部1162kによるボリュームレンダリング処理は、レンダリング条件に従って行われることになる。例えば、レンダリング条件は、「平行投影法」又は「透視投影法」である。また、例えば、レンダリング条件は、「基準の視点位置及び視差角」である。また、例えば、レンダリング条件は、「視点位置の平行移動」、「視点位置の回転移動」、「視差画像群の拡大」、「視差画像群の縮小」である。また、例えば、レンダリング条件は、「着色される色彩」、「透過度」、「質感」、「仮想光源の位置」、「仮想光源の種類」である。このようなレンダリング条件は、入力部111を介して操作者から受け付ける場合や、初期設定される場合が考えられる。いずれの場合も、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、制御部115からレンダリング条件を受け付け、このレンダリング条件に従って、ボリュームデータに対するボリュームレンダリング処理を行う。また、このとき、上述した投影方法設定部1162a、3次元幾何変換処理部1162b、3次元物体アピアランス処理部1162fが、このレンダリング条件に従って必要な各種情報を決定するので、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、決定されたこれらの各種情報を用いて視差画像群を生成する。
図6は、第1の実施形態に係るボリュームレンダリング処理の一例を説明するための図である。例えば、3次元仮想空間レンダリング部1162kが、図6の「9視差画像生成方式(1)」に示すように、レンダリング条件として、平行投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)~(9)に平行移動して、平行投影法により視差角(視線方向間の角度)が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、平行投影法を行う場合、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定する。
或いは、3次元仮想空間レンダリング部1162kが、図6の「9視差画像生成方式(2)」に示すように、レンダリング条件として、透視投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、ボリュームデータの中心(重心)を中心に視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)~(9)に回転移動して、透視投影法により視差角が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、透視投影法を行う場合、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、視線方向を中心に光を3次元的に放射状に照射する点光源や面光源を各視点にて設定する。また、透視投影法を行う場合、レンダリング条件によっては、視点(1)~(9)は、平行移動される場合であってもよい。
なお、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、表示されるボリュームレンダリング画像の縦方向に対しては、視線方向を中心に光を2次元的に放射状に照射し、表示されるボリュームレンダリング画像の横方向に対しては、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定することで、平行投影法と透視投影法とを併用したボリュームレンダリング処理を行ってもよい。
このようにして生成された9つの視差画像が、視差画像群である。第1の実施形態において、9つの視差画像は、例えば制御部115により所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換され、立体表示モニタとしての表示部112に出力される。すると、ワークステーション130の操作者は、立体表示モニタに表示された立体視可能な医用画像を確認しながら、視差画像群生成のための操作を行うことができる。
なお、図6の例では、レンダリング条件として、投影方法、基準の視点位置及び視差角を受け付けた場合を説明したが、レンダリング条件として、他の条件を受け付けた場合も同様に、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、それぞれのレンダリング条件を反映しつつ、視差画像群を生成する。
また、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、ボリュームレンダリングだけでなく、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリュームデータからMPR画像を再構成する機能も有する。なお、3次元仮想空間レンダリング部1162kは、「Curved MPR」を行う機能や、「Intensity Projection」を行う機能も有する。
続いて、3次元画像処理部1162がボリュームデータから生成した視差画像群は、アンダーレイ(Underlay)とされる。そして、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出されたオーバーレイ(Overlay)がアンダーレイに対して重畳されることで、出力用の2次元画像とされる。2次元画像処理部1163は、オーバーレイ及びアンダーレイに対して画像処理を行うことで、出力用の2次元画像を生成する処理部であり、図5に示すように、2次元物体描画部1163a、2次元幾何変換処理部1163b及び輝度調整部1163cを有する。例えば、2次元画像処理部1163は、出力用の2次元画像の生成処理に要する負荷を軽減するために、9枚の視差画像(アンダーレイ)のそれぞれに対して1枚のオーバーレイを重畳することで、出力用の2次元画像を9枚、生成する。
2次元物体描画部1163aは、オーバーレイに描出される各種情報を描画する処理部であり、2次元幾何変換処理部1163bは、オーバーレイに描出される各種情報の位置を平行移動処理又は回転移動処理したり、オーバーレイに描出される各種情報の拡大処理又は縮小処理をしたりする処理部である。
また、輝度調整部1163cは、輝度変換処理を行う処理部であり、例えば、出力先の立体表示モニタの諧調や、ウィンドウ幅(WW:Window Width)、ウィンドウレベル(WL:Window Level)等の画像処理用のパラメータに応じて、オーバーレイ及びアンダーレイの輝度を調整する処理部である。
このようにして生成された出力用の2次元画像は、例えば制御部115により一旦記憶部114に格納され、その後、通信部113を介して画像保管装置120に送信される。例えば、ワークステーション130や端末装置140が、画像保管装置120からこの出力用の2次元画像を取得し、所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換した上で立体表示モニタに表示すると、観察者である医師や検査技師は、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された状態で、立体視可能な医用画像を閲覧することができる。
ところで、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、再構成条件や補正条件が異なる複数種類の表示画像を、表示条件を切り替えながら重畳表示する方法を実現する。具体的には、医用画像診断装置110は、視点位置の切り替えに応じて表示条件を切り替える。図7は、第1の実施形態に係る表示方法を説明するための図である。図7に示すように、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、再構成条件や補正条件が異なる表示画像A及び表示画像Bを重畳表示するとともにその表示条件を対象物(例えば、心臓)の回転に応じて切り替えることで、表示画像A及び表示画像Bを切り替え表示する。以下、この点について詳述する。
なお、上述したように、アンダーレイとしての視差画像群それぞれに、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)を表示するためのオーバーレイとしての画像が更に重畳されることで、出力用の2次元画像群が生成されることになるが、以下において、「表示画像」と記載する場合には、各種情報が重畳される前の視差画像群を示す場合と、各種情報が重畳された後の出力用の2次元画像群を示す場合とが含まれる。また、各種情報の重畳は運用の形態に応じて任意に変更することができるので、以下においては説明を省略する。
図8は、第1の実施形態に係る記憶部114及び制御部115の構成例を説明するための図である。図8に示すように、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、記憶部114に、表示条件記憶部114aと、撮影データ記憶部114bと、ボリュームデータ記憶部114cと、表示画像記憶部114dとを備える。
表示条件記憶部114aは、後述する表示条件受付部115aによって格納されることで、切り替え表示のための表示条件を記憶する。また、表示条件記憶部114aが記憶する表示条件は、後述する表示制御部115fによる制御に用いられる。なお、表示条件記憶部114aが記憶する表示条件については、後に詳述する。
撮影データ記憶部114bは、後述する撮影部115bによって格納されることで、撮影データを記憶する。また、撮影データ記憶部114bが記憶する撮影データは、後述する再構成部115cによる処理に用いられる。
ボリュームデータ記憶部114cは、後述する再構成部115cによって格納されることで、再構成条件や補正条件が異なる複数種類のボリュームデータを記憶する。また、ボリュームデータ記憶部114cが記憶する複数種類のボリュームデータは、後述する表示画像生成部115dによる処理に用いられる。
表示画像記憶部114dは、後述する表示画像生成部115dによって格納されることで、複数種類の表示画像を記憶する。また、表示画像記憶部114dが記憶する複数種類の表示画像は、後述する表示制御部115fによる処理に用いられる。
次に、図8に示すように、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、制御部115に、表示条件受付部115aと、撮影部115bと、再構成部115cと、表示画像生成部115dと、回転操作受付部115eと、表示制御部115fとを備える。
表示条件受付部115aは、入力部111を介して操作者から表示条件の入力を受け付け、受け付けた表示条件を表示条件記憶部114aに格納する。例えば、表示条件受付部115aは、撮影計画の段階に、この表示条件の入力を受け付けることができる。一般に、医用画像診断装置110は、撮影計画の段階に撮影条件の設定を受け付け、この撮影条件に従って撮影を行うが、これを言い換えると、撮影計画の段階で、どのような撮影が行われるか、どのような再構成条件や補正条件を用いてボリュームデータを生成すべきか、等が事前に決定されていることとなる。
例えば、「撮影の対象物が心臓であること」、「冠動脈を評価するための再構成条件を用いてボリュームデータを生成すべきであること」、「このボリュームデータとは別に、吸収量の異なる物質から生じるアーチファクト除去のための補正条件を用いてボリュームデータを生成すべきであること」等が事前に決定されていることとなる。すると、操作者は、複数種類のボリュームデータとしてどのようなボリュームデータが生成されるかをこの段階で把握することができるので、表示条件受付部115aは、撮影計画の段階に、操作者から表示条件の設定を受け付けることができる。なお、吸収量の異なる物質から生じるアーチファクトには、例えば、ステントなどのメタル、石灰化部分、造影剤から生じるアーチファクトや、ビームハードニングアーチファクトなどがある。
図9及び図10は、第1の実施形態に係る表示条件を説明するための図である。図9は、表示条件を概念的に説明するものであり、図10は、図9に対応する表示条件を、表示条件記憶部114aが記憶する表示条件として説明するものである。
図9において、縦軸は、表示画像の透過の度合いを示す「不透過度」(%)であり、横軸は、表示部112の表示面に表示された対象物の「回転角」(°)である。第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、複数種類の表示画像を重畳し、各表示画像の透過の度合いを調整することで、複数種類の表示画像を切り替えて表示するように制御する。
すなわち、例えば、図9に示すように、対象物の回転角が『0°~70°』の場合、『表示画像1』(図9において実線)の不透過度が『100%』であるのに対し、『表示画像2』(図9において点線)の不透過度は『0%』である。この場合、『表示画像1』は、表示画像1の後方にある他の画像を一切透過させず、一方、『表示画像2』は、表示画像2の後方にある他の画像を全て透過させることになり、結局、『表示画像1』と『表示画像2』とが重畳されている場合、表示部112の表示面上には『表示画像1』のみが表示されることとなる。
反対に、例えば、図9に示すように、対象物の回転角が『110°~250°』の場合、『表示画像1』(図9において実線)の不透過度が『0%』であるのに対し、『表示画像2』(図9において点線)の不透過度は『100%』である。この場合、『表示画像1』は、表示画像1の後方にある他の画像を全て透過させ、一方、『表示画像2』は、表示画像2の後方にある他の画像を一切透過させないこととなり、結局、『表示画像1』と『表示画像2』とが重畳されている場合、表示部112の表示面上には『表示画像2』のみが表示されることとなる。
なお、第1の実施形態においては、図9に示すように、『表示画像1』と『表示画像2』との切り替え時に移行期を設けている。すなわち、移行期は、『表示画像1』及び『表示画像2』の不透過度が段階的に上昇又は下降し、やがて不透過度の関係が逆転するように設定される。
例えば、表示条件受付部115aは、撮影条件を編集するためのGUIとともに、図9に示すような、表示条件を編集するためのGUIを表示部112に表示し、このGUIに対する操作を受け付けることで、操作から表示条件の設定を受け付けることができる。すると、表示条件記憶部114aは、上述した表示条件を、例えば図10に示すようなテーブルで記憶する。ここで、第1の実施形態において、「対象物の回転」とは、「対象物の周囲における視点位置の切り替え」のことである。また、「視点位置」は、表示面に対して垂直方向に位置付けられ、「視点位置」と「対象物の回転角」とは一致すると考える。
また、例えば、表示条件受付部115aは、図10に示すようなGUIを表示部112に表示し、このGUIに対する操作を受け付けることで、操作から表示条件の設定を受け付けてもよい。また、例えば、表示条件受付部115aは、対話方式のGUIを表示部112に表示し、このGUIに対する操作を受け付けることで、操作から表示条件の設定を受け付けてもよい。
撮影部115bは、予め設定された撮影条件に従って架台部110aの各部を制御することにより撮影を行う。また、撮影部115bは、撮影により収集した撮影データを、撮影データ記憶部114bに格納する。例えば、医用画像診断装置110がX線CT装置の場合、撮影部115bは、予め設定された撮影条件に従って、X線管、検出器、回転アーム等を制御することにより、投影データを収集し、収集した投影データを撮影データ記憶部114bに格納する。
再構成部115cは、撮影データ記憶部114bから撮影データを読み出し、読み出した撮影データに対して再構成処理を行い、ボリュームデータを生成する。また、再構成部115cは、生成したボリュームデータを、ボリュームデータ記憶部114cに格納する。
ここで、広義の「再構成処理」(以下、再構成処理(広義))には、狭義の「再構成処理」(以下、再構成処理(狭義))及び「補正処理」が含まれる。第1の実施形態に係る再構成部115cは、例えば撮影計画段階で設定された再構成条件に従って、再構成処理(狭義)や補正処理を行う。例えば、第1の実施形態に係る再構成部115cは、冠動脈を評価するための再構成条件を用いた再構成処理(広義)を行い、『ボリュームデータ1』を生成する。また、再構成部115cは、吸収量の異なる物質から生じるアーチファクト除去のための補正条件を用いた再構成処理(広義)を行い、『ボリュームデータ2』を生成する。
図11は、第1の実施形態に係る再構成処理(広義)を説明するための図である。図11に示すように、第1の実施形態に係る再構成部115cは、1つの『投影データ』から、再構成条件や補正条件が異なる複数種類の『ボリュームデータ1』及び『ボリュームデータ2』を生成する。
なお、1つの撮影データから複数種類のボリュームデータを生成する理由を説明する。例えば、ボリュームデータに描出される対象物が心臓である場合、表示面に表示された心臓を観察する側の要求としては、「冠動脈診断を行いたい」という要求もあれば、「ステントの影響を取り除いた状態で観察したい」という要求もある。前者の要求に適した表示画像を生成するためには、ボリュームデータを生成する段階で用いられる再構成条件を、冠動脈を評価するための再構成条件とすることが望ましい。一方、後者の要求に適した表示画像を生成するためには、ボリュームデータを生成する段階で用いられる補正条件を、メタルから生じるアーチファクト除去のための補正条件とすることが望ましい。このため、1つの撮影データから、それぞれの要求に適した表示画像を生成するための複数種類のボリュームデータを生成する。
なお、従来、医用画像診断装置は、このように生成された複数種類のボリュームデータから複数種類の表示画像を生成し、例えば複数種類の表示画像を表示部上に並べて表示することで、それぞれの要求に適した表示画像を観察者に提供していた。
表示画像生成部115dは、ボリュームデータ記憶部114cからボリュームデータを読み出し、読み出したボリュームデータに対してレンダリング処理部116によるレンダリング処理を行い、複数種類の表示画像を生成する。また、表示画像生成部115dは、生成した表示画像を、表示画像記憶部114dに格納する。なお、「表示画像」とは、例えば、「視差画像群」に含まれる「視差画像」それぞれに、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された「2次元画像」を重畳した「出力用の2次元画像」群のことである。すなわち、1つの「表示画像」には、1つの「視差画像」と1つの「2次元画像」とが重畳された「出力用の2次元画像」が、視差数の数だけ含まれる。なお、レンダリング条件は、予めプリセットとして記憶するものや、操作者から受け付けたものを用いればよい。
上述したように、第1の実施形態において、例えば、ボリュームデータ記憶部114cは、再構成条件や補正条件が異なる複数種類の『ボリュームデータ1』及び『ボリュームデータ2』を記憶している。このため、例えば、表示画像生成部115dは、ボリュームデータ記憶部114cから『ボリュームデータ1』及び『ボリュームデータ2』を読み出し、『ボリュームデータ1』から『表示画像1』を生成し、『ボリュームデータ2』から『表示画像2』を生成する。なお、第1の実施形態において、表示画像生成部115dは、全回転角(視点位置)に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を予め生成し、表示画像記憶部114dに予め格納することとするが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、表示画像生成部115dは、回転操作受付部115eによって回転角が受け付けられる度に、受け付けた回転角に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』をリアルタイムに生成してもよい。
回転操作受付部115eは、入力部111を介して操作者から表示面上に表示された対象物の回転操作を受け付け、受け付けた回転操作を表示制御部115fに通知する。例えば、回転操作受付部115eは、表示面上に表示された対象物が操作者のマウス操作によって回転されることで、回転操作を受け付ける。
表示制御部115fは、回転操作受付部115eによって受け付けられた回転操作に対応する対象物の回転に応じて、複数種類の表示画像を切り替えて表示するように制御する。具体的には、表示制御部115fは、回転操作を順次受け付けると、表示条件記憶部114aを参照し、回転操作に対応する視点位置に対応付けられた不透過度を順次読み出す。また、表示制御部115fは、視点位置に対応する複数種類の表示画像を表示画像記憶部114dから順次読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部112に順次表示する。
図12は、第1の実施形態に係る表示制御を説明するための図である。図12に示すように、例えば、表示制御部115fは、回転操作受付部115eから『0°から135°まで対象物を回転する』回転操作を順次受け付けると、表示条件記憶部114aを参照し、視点位置『0°~135°』に対応付けられた不透過度を順次読み出す。例えば、表示制御部115fは、視点位置『0°~135°』に対応付けられた不透過度として、『表示画像1』用に、『100%→移行期→0%』を順次読み出し、『表示画像2』用に、『0%→移行期→100%』を順次読み出す。
また、表示制御部115fは、視点位置に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を表示画像記憶部114dから順次読み出すとともに(図12において図示を省略)、読み出した不透過度に従って『表示画像1』と『表示画像2』とを重畳し、表示部112に順次表示する。例えば、表示制御部115fは、レイヤ1の『表示画像1』について、その不透過度が『100%→移行期→0%』となるように順次調整し、レイヤ2の『表示画像2』について、その不透過度が『0%→移行期→100%』となるように順次調整し、不透過度が調整された『表示画像1』と『表示画像2』とを重畳して、表示部112に順次表示する。
こうして、第1の実施形態に係る表示制御部115fは、再構成条件や補正条件が異なる複数種類の表示画像を、対象物の回転に応じて切り替えながら表示する方法を実現する。ここで、かかる切り替え表示の意味を説明する。上述したように、ボリュームデータは、3次元の医用画像データである。このため、通常、ボリュームデータに描出される対象物は、立体的なものである。すると、立体的な対象物が表示部112の表示面に表示され、回転される場合、対象物の回転角によって表示面に表示される対象物の部位は異なってくる。例えば、立体的な対象物が心臓であるとして、ある回転角で表示されている場合には、心臓の冠動脈が表示面に表示されるが、ある回転角で表示されている場合は、冠動脈は裏側に隠れて表示面には十分に表示されず、他の部位が表示されることがある。
ところで、上述したように、表示面に表示された対象物を観察する側の要求も、様々である。例えば、ボリュームデータに描出される対象物が心臓である場合、表示面に表示された心臓を観察する側の要求としては、「冠動脈診断を行いたい」という要求もあれば、「ステントの影響を取り除いた状態で観察したい」という要求もある。このため、各要求に応じた複数の表示画像が生成されているのであるが、仮に、このような要求が対象物の部位に対応していると考えられるのであれば、対象物の回転に応じて表示画像を切り替える切り替え表示により、表示面上に表示された1つの対象物で、複数の要求に同時に対応することが可能になる。
すなわち、例えば、第1の実施形態に係る表示制御部115fは、心臓の冠動脈が表示面に表示される回転角においては、冠動脈を評価するための再構成条件を用いて生成された『ボリュームデータ1』に対応する『表示画像1』を表示する。また、例えば、第1の実施形態に係る表示制御部115fは、冠動脈は裏側に隠れて表示面には十分に表示されず、他の部位が表示される回転角においては、吸収量の異なる物質から生じるアーチファクト除去のための補正条件を用いて生成された『ボリュームデータ2』に対応する『表示画像2』を表示する。
図13は、第1の実施形態に係る表示制御の処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、第1の実施形態に係る表示制御部115fは、回転操作受付部115eから回転操作を受け付けたと判定すると(ステップS101肯定)、表示条件記憶部114aを参照し、回転操作に対応する表示条件を読み出す(ステップS102)。
そして、表示制御部115fは、視点位置に対応する複数種類の表示画像を表示画像記憶部114dから読み出すとともに(ステップS103)、ステップS102において読み出した表示条件に従ってこれらを重畳し(ステップS104)、重畳後の表示画像を表示部112に表示する(ステップS105)。なお、表示制御部115fは、回転操作受付部115eから回転操作を順次受け付け、ステップS102からステップS105の処理を連続的に行う。
(第1の実施形態の効果)
上述したように、第1の実施形態によれば、対象物の回転に応じて表示画像を切り替える切り替え表示により、表示面上に表示された1つの対象物で、複数の要求に同時に対応することが可能になり、医用画像を適切に表示することが可能になる。
上述したように、第1の実施形態によれば、対象物の回転に応じて表示画像を切り替える切り替え表示により、表示面上に表示された1つの対象物で、複数の要求に同時に対応することが可能になり、医用画像を適切に表示することが可能になる。
なお、上述においては、図9に示すように、『表示画像1』と『表示画像2』との切り替え時に移行期を設けた例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。図14及び図15は、第1の実施形態に係る表示条件の変形例を説明するための図である。図14に示すように、『表示画像1』と『表示画像2』との切り替え時に移行期を設けず、ある回転角で、直ちに『表示画像1』と『表示画像2』とを切り替えてもよい。図15は、図14に対応する表示条件を、表示条件記憶部114aが記憶する表示条件として説明するものである。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係る医用画像診断装置110は、第1の実施形態と同様、再構成条件や補正条件が異なる複数種類の表示画像を、対象物の回転に応じて切り替えながら表示するが、単に切り替えて表示するのみならず、各表示画像の立体感まで変更する。
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係る医用画像診断装置110は、第1の実施形態と同様、再構成条件や補正条件が異なる複数種類の表示画像を、対象物の回転に応じて切り替えながら表示するが、単に切り替えて表示するのみならず、各表示画像の立体感まで変更する。
図16は、第2の実施形態に係る記憶部214及び制御部215の構成例を説明するための図である。第2の実施形態に係る医用画像診断装置110は、記憶部114及び制御部115の替わりに、記憶部214及び制御部215を備える。
もっとも、記憶部114及び制御部115と記憶部214及び制御部215との主な違いは、以下の点である。第1の実施形態においては、表示画像生成部115dは、全回転角(視点位置)に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を予め生成し、表示画像記憶部114dに予め格納することとしていた。しかしながら、第2の実施形態においては、回転操作受付部115eによって回転角が受け付けられる度に、受け付けた回転角及び立体感に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』をリアルタイムに生成することとした。このため、表示画像生成部215dは、表示制御部215fと接続される。
以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図17A、図17B、及び図18は、第2の実施形態に係る表示条件を説明するための図である。図17A及び図17Bは、表示条件を概念的に説明するものであり、図18は、図17A及び図17Bに対応する表示条件を、表示条件記憶部214aが記憶する表示条件として説明するものである。
図17A、図17B、及び図18に示すように、第2の実施形態に係る表示条件記憶部214aは、表示条件として、視点位置と不透過度との対応関係を記憶するのみならず、視点位置と視差角との対応関係も記憶する。図17Aは、第1の実施形態と同様、回転角と不透過度との対応関係を示す。なお、図17Aにおいて、実線が、『表示画像1』の不透過度を示し、点線が、『表示画像2』の不透過度を示す。
図17Bにおいて、縦軸は、表示画像を生成する際のレンダリング条件のひとつである「視差角」(°)であり、横軸は、表示部112の表示面に表示された対象物の「回転角」(°)である。ここで、立体視可能な画像の立体感は、視差角によって決定される。例えば、視差角「0.5度」が指定された場合と視差角「1度」が指定された場合とを比較すると、視差角「1度」が指定された場合の方が、立体感は大きくなる。
すなわち、例えば、図17Bに示すように、対象物の回転角が『0°~70°』の場合、『表示画像1』が表示面に表示されるが、このときの視差角が『xxx°』である。また、対象物の回転角が『110°~250°』の場合、『表示画像2』が表示面に表示されるが、このときの視差角が『yyy°』である。また、対象物の回転角が『290°~360°』の場合、『表示画像1』が表示面に表示されるが、このときの視差角が『xxx°』である。ここで、例えば、視差角『yyy°』には、細かい部分を観察するために、立体感が大きくなるような値が設定される。また、例えば、視差角『xxx°』には、平面的に表示されるような値が設定される。
なお、第2の実施形態においては、図17A及び図17Bに示すように、『表示画像1』と『表示画像2』との切り替え時に移行期を設けている。すなわち、移行期は、『表示画像1』及び『表示画像2』の不透過度が段階的に上昇又は下降し、やがて不透過度の関係が逆転するように設定される。また、視差角についても、段階的に上昇又は下降するように設定される。
第2の実施形態に係る再構成部215cは、撮影データ記憶部214bから撮影データを読み出し、読み出した撮影データに対して再構成処理を行い、ボリュームデータを生成する。また、再構成部215cは、生成したボリュームデータを、ボリュームデータ記憶部214cに格納する。
ここで、第2の実施形態に係る再構成部215cは、縦隔を観察するための再構成条件を用いた再構成処理(広義)と、ノイズレベルを縦隔に最適化するための補正条件を用いた再構成処理(広義)とを行い、『ボリュームデータ1』を生成する。また、再構成部215cは、末梢を観察するための再構成条件を用いた再構成処理(広義)を行い、『ボリュームデータ2』を生成する。
図19は、第2の実施形態に係る再構成処理(広義)を説明するための図である。図19に示すように、第2の実施形態に係る再構成部215cは、1つの『投影データ』から、再構成条件や補正条件が異なる複数種類の『ボリュームデータ1』及び『ボリュームデータ2』を生成する。また、『ボリュームデータ1』は、再構成処理(狭義)が行われた後にさらに補正処理が行われているのに対し、『ボリュームデータ2』は、再構成処理(狭義)が行われたのみである。
第2の実施形態に係る表示制御部215fは、回転操作受付部215eによって回転操作を順次受け付けると、表示条件記憶部214aを参照し、回転操作に対応する視点位置に対応付けられた不透過度及び視差角を順次読み出す。また、表示制御部215fは、表示画像生成部215dに順次指示を送り、視点位置に対応する複数種類の表示画像を、読み出した視差角に従って生成させる。表示画像生成部215dは、ボリュームデータ記憶部214cを参照し、表示制御部215fから受け付けた指示に従って、順次表示画像を生成する。そして、表示制御部215fは、表示画像生成部215dから表示画像を受け取ると、読み出した不透過度に従ってこれらの表示画像を重畳し、表示部112に順次表示する。
図20は、第2の実施形態に係る表示制御を説明するための図である。図20に示すように、例えば、表示制御部215fは、回転操作受付部215eから『0°から135°まで対象物を回転する』回転操作を順次受け付けると、表示条件記憶部214aを参照し、視点位置『0°~135°』に対応付けられた不透過度及び視差角を順次読み出す。例えば、表示制御部215fは、視点位置『0°~135°』に対応付けられた不透過度として、『表示画像1』用に、『100%→移行期→0%』を順次読み出し、『表示画像2』用に、『0%→移行期→100%』を順次読み出す。また、例えば、表示制御部215fは、視点位置『0°~135°』に対応付けられた視差角として、『xxx°→移行期→yyy°』を順次読み出す。
また、表示制御部215fは、表示画像生成部215dに順次指示を送り、視点位置に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を、読み出した視差角に従って生成させる。表示画像生成部215dは、ボリュームデータ記憶部214cを参照し、表示制御部215fから受け付けた指示に従って、順次『表示画像1』及び『表示画像2』を生成する。そして、表示制御部215fは、表示画像生成部215dから表示画像を受け取ると、読み出した不透過度に従って『表示画像1』と『表示画像2』とを重畳し、表示部112に順次表示する。例えば、表示制御部115fは、レイヤ1の『表示画像1』について、その不透過度が『100%→移行期→0%』となるように順次調整し、レイヤ2の『表示画像2』について、その不透過度が『0%→移行期→100%』となるように順次調整し、不透過度が調整された『表示画像1』と『表示画像2』とを重畳して、表示部112に順次表示する。
こうして、第2の実施形態に係る表示制御部215fは、再構成条件及び補正条件が異なる複数種類の表示画像を、対象物の回転に応じて切り替えながら、またその立体感を変えながら表示する方法を実現する。ここで、かかる切り替え表示の意味を説明する。上述したように、立体的な対象物が表示部112の表示面に表示され、回転される場合、対象物の回転角によって表示面に表示される対象物の部位は異なってくる。例えば、立体的な対象物が肺であるとして、ある回転角で表示されている場合には、肺の縦隔が表示面に表示されるが、ある回転角で表示されている場合は、肺の縦隔は裏側に隠れて表示面には十分に表示されず、肺の末梢が表示されることがある。
ところで、上述したように、表示面に表示された対象物を観察する側の要求も、様々である。例えば、ボリュームデータに描出される対象物が肺である場合、表示面に表示された肺を観察する側の要求としては、「縦隔を中心とする肺を全体的に観察したい」という要求もあれば、「末梢を細かく観察したい」という要求もある。このため、各要求に応じた複数の表示画像が生成されているのであるが、仮に、このような要求が対象物の部位に対応していると考えられるのであれば、対象物の回転に応じて表示画像を切り替える切り替え表示により、表示面上に表示された1つの対象物で、複数の要求に同時に対応することが可能になる。
すなわち、例えば、第2の実施形態に係る表示制御部215fは、肺の縦隔が表示面に表示される回転角においては、縦隔を観察するための再構成条件、及び、ノイズレベルを縦隔に最適化するための補正条件を用いて生成された『ボリュームデータ1』に対応する『表示画像1』を表示する。また、例えば、第2の実施形態に係る表示制御部215fは、肺の縦隔は裏側に隠れて表示面には十分に表示されず、肺の末梢が表示される回転角においては、末梢を観察するための再構成条件を用いて生成された『ボリュームデータ2』に対応する『表示画像2』を表示する。
更に、例えば、第2の実施形態に係る表示制御部215fは、肺の末梢が表示される回転角においては、より立体感が大きくなるように調整して、『表示画像2』を表示する。
なお、第2の実施形態においては、表示条件として、立体感を調整する例を説明したが、表示条件として用いられるパラメータであれば他のパラメータを調整してもよく、例えば、拡大率・縮小率を調整してもよい。
図21は、第2の実施形態に係る表示制御の処理手順を示すフローチャートである。図21に示すように、第2の実施形態に係る表示制御部215fは、回転操作受付部215eから回転操作を受け付けたと判定すると(ステップS201肯定)、表示条件記憶部214aを参照し、回転操作に対応する表示条件を読み出す(ステップS202)。
そして、表示制御部215fは、視差角に応じた表示画像を表示画像生成部215dに生成させ(ステップS203)、その後、ステップS202において読み出した表示条件に従ってこれらを重畳し(ステップS204)、重畳後の表示画像を表示部112に表示する(ステップS205)。なお、表示制御部215fは、回転操作受付部215eから回転操作を順次受け付け、ステップS202からステップS205の処理を連続的に行う。
(第2の実施形態の効果)
上述したように、第2の実施形態によれば、対象物の回転に応じて表示画像を切り替える切り替え表示に加え、更に立体感も変更しながら表示するので、医用画像をより適切に表示することが可能になる。
上述したように、第2の実施形態によれば、対象物の回転に応じて表示画像を切り替える切り替え表示に加え、更に立体感も変更しながら表示するので、医用画像をより適切に表示することが可能になる。
(その他の実施形態)
その他の実施形態をいくつか説明する。
その他の実施形態をいくつか説明する。
上述の実施形態においては、撮影データに対して異なる画像処理が施されることで生成された複数種類のボリュームデータから、複数種類の表示画像を生成する手法を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。対象物の回転に応じて切り替えられる複数種類の表示画像は、再構成条件や補正条件が異なる複数種類のボリュームデータから生成されたものに限られず、例えば、同じボリュームデータから生成されたものであってもよい。例えば、医用画像診断装置は、1つのボリュームデータから、グラフやスケールが重畳された表示画像と、グラフやスケールが重畳されていない表示画像とを生成し、これら複数種類の表示画像を、対象物の回転に応じて切り替えながら表示してもよい。
また、上述の実施形態においては、表示画像として、ボリュームレンダリング処理が施された画像を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、表示画像生成部は、1つのボリュームデータを、既存の自動診断技術により解析し、表示画像として、複数種類の解析結果の画像(例えば、複数種類のCAD(Computer Aided Diagnosis)画像、複数種類のPerfusionマップ)等を生成してもよい。この場合にも、表示制御部は、複数種類の解析結果の画像を、対象物の回転に応じて切り替えながら表示する。
また、上述の実施形態においては、対象物の周囲を視点位置が連続的に切り替えられる例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、視点位置は、非連続的に切り替えられてもよい。すなわち、医用画像診断装置は、離れた視点位置を順次切り替えながら、各視点位置に対応する表示条件で、第1の実施形態や第2の実施形態と同様、複数種類の表示画像を重畳表示する。
例えば、医用画像診断装置は、表示画像を表示するための視点位置として、複数の固定の視点位置を表示条件記憶部に記憶する。医用画像診断装置は、表示画像の表示制御が開始されると、表示条件記憶部に記憶されている固定の視点位置及び不透過度を読み出し、この視点位置に対応する複数種類の表示画像を表示画像記憶部から読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部に表示する。また、医用画像診断装置は、例えば視点位置の切り替え操作を操作者から受け付けると、再び、表示条件記憶部に記憶されている次の視点位置及び不透過度を読み出し、この視点位置に対応する複数種類の表示画像を表示画像記憶部から読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部に表示する。
図22は、その他の実施形態に係る表示条件を説明するための図である。例えば、医用画像診断装置は、図22に示すように、固定の視点位置と不透過度とを複数の視点位置について対応付けたテーブルを記憶する。図22に示す例の場合、医用画像診断装置は、表示画像の表示制御が開始されると、表示条件記憶部に記憶されている視点位置及び不透過度を読み出し、まず、視点位置『35°』に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を表示画像記憶部から読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部に表示する。すると、表示部には『表示画像1』が表示される。また、医用画像診断装置は、例えば、視点位置の切り替え操作を操作者から受け付けると、再び、表示条件記憶部に記憶されている視点位置及び不透過度を読み出し、今度は、視点位置『210°』に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を表示画像記憶部から読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部に表示する。すると、表示部には『表示画像2』が表示される。こうして、医用画像診断装置は、視点位置の切り替え操作を操作者から受け付ける度に、表示画像を切り替える。
例えば、頭部の手術方針を検討するために医師が表示画像を閲覧するケースを考えた場合、表示されている頭部を回転させる必要がない場合がある。例えば、開頭すべき位置が頭頂部や側頭部にある程度限定されている場合、その限定された位置を閲覧可能な表示画像が表示されれば足りるからである。このような場合、例えば、医用画像診断装置は、開頭すべき位置を閲覧可能な複数の視点位置について、視点位置と不透過度とを対応付けたテーブルを記憶し、視点位置の切り替え操作を操作者から受け付ける度に、表示画像を切り替えればよい。
また、上述の実施形態においては、回転操作や視点位置の切り替え操作を操作者から受け付ける例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、視点位置は、自動的に切り替えられてもよい。すなわち、医用画像診断装置は、視点位置を自動的に切り替えながら、その視点位置に対応する表示条件で、第1の実施形態や第2の実施形態と同様、複数種類の表示画像を重畳表示する。
例えば、医用画像診断装置は、時間経過に従って視点位置を切り替えるための表示条件を表示条件記憶部に記憶する。医用画像診断装置は、表示画像の表示制御が開始されると、時間経過に従って、表示条件記憶部に記憶されている視点位置及び不透過度を順次読み出す。そして、医用画像診断装置は、視点位置に対応する複数種類の表示画像を表示画像記憶部から順次読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部に順次表示する。
図23~25は、その他の実施形態に係る表示条件を説明するための図である。例えば、医用画像診断装置は、図23に示すように、表示条件として、視点位置と、表示時間と、不透過度とを対応付けたテーブルを記憶する。図23に示す例は、例えば『0~5秒』の5秒間に、視点位置が『0°~70°』に徐々に切り替えられる例である。すなわち、図23に示す例は、25秒間をかけて対象物が自動的に1回転する例である。
図23に示す例の場合、医用画像診断装置は、表示画像の表示制御が開始されると、時間経過に従って、表示条件記憶部に記憶されている視点位置及び不透過度を順次読み出し、最初の5秒間は、視点位置『0°~70°』に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を表示画像記憶部から順次読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部に順次表示する。すると、最初の5秒間、表示部には『表示画像1』が表示される。また、医用画像診断装置は、次の5秒間は、視点位置『70°~110°』に対応する『表示画像1』及び『表示画像2』を表示画像記憶部から順次読み出すとともに、読み出した不透過度に従ってこれらを重畳し、表示部に順次表示する。もっとも、移行期であるので、表示部には『表示画像1』から『表示画像2』に、表示画像が徐々に切り替わりながら表示される。このように、医用画像診断装置は、25秒間をかけて対象物が自動的に1回転する間に、『表示画像1』と『表示画像2』とを切り替え表示する。
また、例えば、医用画像診断装置は、図24に示すように、一部の区間のみで視点位置を切り替えてもよい。図24に示す例は、視点位置『35°~65°』の区間では『表示画像1』が表示され、視点位置『200°~230°』の区間では『表示画像2』が表示され、この離れた区間が自動的に連続して表示される例である。この場合、例えば、医用画像診断装置は、図25に示すように、表示条件として、視点位置と、表示時間と、不透過度とを対応付けたテーブルを記憶する。
なお、上述した実施形態に限られるものではなく、「視点位置を連続的に切り替えるか」若しくは「離れた視点位置に非連続的に切り替えるか」、「一定の区間内で視点位置を徐々に切り替えながら表示するか」若しくは「固定の視点位置で停止して表示するか」、「回転や視点位置の切り替えを自動的に行うか」若しくは「操作者による操作を受け付けるか」などは、運用の形態に応じて任意に組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態においては、医用画像診断装置110が、表示条件の設定を受け付け、表示画像を生成し、その表示を制御するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、ワークステーション130や端末装置140が、制御部115やレンダリング処理部116に相当する機能、制御部215に相当する機能を備えてもよい。この場合には、ワークステーション130や端末装置140が、表示条件の設定を受け付け、表示画像を生成し、その表示を制御する。また、表示条件の設定や、表示画像の生成、その表示の制御は、それぞれが異なる装置で行われてもよい。
例えば、医用画像診断装置110やワークステーション130、あるいは端末装置140は、表示条件と表示画像とのセットを、自装置の記憶部に格納したり、例えば画像保管装置120に送信して格納してもよい。この表示条件と表示画像とのセットを取得した装置は、表示条件に従って表示画像を再生することができる。
また、上述の実施形態においては、表示条件受付部が、撮影計画の段階にこの表示条件の入力を受け付けるものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、表示条件受付部は、事後的に表示条件の入力を受け付けてもよい。すなわち、操作者が、立体表示モニタに表示された対象物を回転させながら、例えば別ウィンドウに表示された表示条件受付用の画面に、不透過度や立体感などの表示条件を入力する。すると、表示条件受付部は、入力された表示条件を記憶し、表示画像とセットにして、自装置の記憶部に格納したり、例えば画像保管装置120に送信して格納する。なお、撮影計画の段階に受け付けるとともに、事後的に、表示条件の変更を受け付けてもよい。
図26は、その他の実施形態に係る表示制御の処理手順を示すフローチャートである。なお、図26に示すステップS301~S305は、第1の実施形態において説明したステップS101~S105と同じである。また、このステップS301~S305を、第2の実施形態において説明したステップS201~S205に置き換えることもできる。また、以下では、医用画像診断装置にて表示条件の変更を受け付ける例を説明するが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、端末装置140が、画像保管装置120から表示画像及び表示条件のセットを取得し、操作者によって操作されることで、表示画像を表示しながらその表示条件の変更を受け付けてもよい。
図26に示すように、医用画像診断装置は、回転操作(又は視点位置の切り替え操作)を受け付けたと判定すると(ステップS301肯定)、この操作に対応する表示条件を読み出す(ステップS302)。そして、医用画像診断装置は、視点位置に対応する複数種類の表示画像を表示画像記憶部から読み出すとともに(ステップS303)、ステップS302において読み出した表示条件に従ってこれらを重畳し(ステップS304)、重畳後の表示画像を表示する(ステップS305)。
ここで、医用画像診断装置は、図26に示すように、ステップS305において表示されている表示画像の表示条件で確定するか否かの確認を操作者に対して促す(ステップS306)。例えば、医用画像診断装置は、『表示条件OK』及び『表示条件を変更する』のボタンを表示し、『表示条件OK』のボタンの押下を受け付けることで、表示条件の確定が確認されたと判定する(ステップS306肯定)。一方、医用画像診断装置は、『表示条件を変更する』のボタンの押下を受け付けることで、表示条件は確定されず、表示条件の変更が行われると判定する(ステップS306否定)。
表示条件の変更が行われると判定した場合(ステップS306否定)、医用画像診断装置は、表示条件の変更を受け付けるための画面を、例えば別ウィンドウなどに表示し、不透過度や立体感などの表示条件の入力を受け付ける(ステップS307)。
続いて、医用画像診断装置は、再びステップS303に戻り、例えば視点位置が変更された場合には、新たな視点位置に対応する複数種類の表示画像を表示画像記憶部から読み出すとともに(ステップS303)、ステップS307において変更された表示条件に従って表示画像を重畳し(ステップS304)、変更された表示条件に従って重畳された表示画像を表示する(ステップS305)。
そして、医用画像診断装置は、再び、ステップS305において表示されている表示画像の表示条件で確定するか否かの確認を操作者に対して促す(ステップS306)。表示条件の確定が確認されたと判定した場合(ステップS306肯定)、医用画像診断装置は、表示画像と、ステップS305において表示されている表示画像の表示条件とを対応付けて、例えば自装置の表示条件記憶部に格納する(ステップS308)。
また、上述の実施形態においては、端末装置140は、画像保管装置120から取得した医用画像等を表示等するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、端末装置140は、医用画像診断装置110に直接接続されてもよい。
また、上述の実施形態においては、9視差画像の場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、2視差、6視差など、任意の視差数を用いることができる。
また、上述の実施形態においては、2つの表示画像を重畳する場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、3つの表示画像を重畳する場合など、任意の数の表示画像を重畳することができる。3つの表示画像を重畳する場合、例えば、ある回転角の範囲について、3つの表示画像の内の1つの表示画像の不透過度を『100%』とし、残りの2つの表示画像の不透過度を『0%』とすればよい。3つの表示画像間でこの表示条件を切り替えることで、3つの表示画像の切り替え表示をすることができる。
また、上述の実施形態においては、表示部が立体表示モニタであることを前提として、表示画像は視差画像群であると説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、表示部は、通常の2次元画像を表示する2次元モニタであってもよい。すなわち、表示画像生成部は、複数種類の表示画像として、通常の2次元モニタに表示される画像を生成してもよい。この場合にも、表示制御部は、表示面上に表示された対象物の回転に応じて、複数種類の表示画像を切り替えて表示するように制御する。なお、表示画像生成部は、ある対象物の撮影データに対して異なる画像処理が施されることで生成された「複数種類」のボリュームデータから「複数種類」の表示画像を生成してもよいし、あるいは、「同じ」ボリュームデータから「複数種類」の表示画像を生成してもよいし、あるいは、後述するように、「複数種類」の対象物の撮影データに対して画像処理が施されることで生成された「複数種類」のボリュームデータから「複数種類」の表示画像を生成してもよい。すなわち、いずれの実施形態の場合にも、表示制御部は、複数種類の表示画像として、通常の2次元モニタに表示される画像を生成することができる。
また、上述の実施形態においては、医用画像診断装置としてX線CT装置を想定した例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、医用画像診断装置は、時間位相が異なる複数種類のボリュームデータ(例えば、造影剤の有無が異なる複数種類のボリュームデータ、検査時期が異なる複数種類のボリュームデータなど)から複数種類の表示画像を生成し、これらの表示画像を切り替え表示してもよい。この場合、医用画像診断装置はX線CT装置に限られず、X線診断装置、MRI装置、超音波診断装置、SPECT装置、PET装置、SPECT-CT装置、PET-CT装置などにも同様に適用することができる。
また、医用画像診断装置がMRI装置の場合、例えば、異なるパルスシーケンスによって収集された複数種類の撮影データから複数種類のボリュームデータを生成し、その複数種類のボリュームデータから複数種類の表示画像を生成し、これらの表示画像を切り替え表示してもよい。例えば、MRI装置は、T1強調画像を収集するためのパルスシーケンス及びT2強調画像を収集するためのパルスシーケンスによって収集された複数種類の撮影データから複数種類のボリュームデータを生成し、その複数種類のボリュームデータから複数種類の表示画像を生成すればよい。
また、MRI装置の場合、例えば、フェーズコントラスト法によって収集され、生成されたボリュームデータから、複数種類の表示画像を生成し、これらの表示画像を切り替え表示してもよい。フェーズコントラスト法は、スピンの位相情報から血流を画像化する撮像法であり、フェーズコントラスト法によって収集された撮影データには、血流の速度情報が含まれる。ここで、対象物の血流は、視点位置の切り替えに応じてその向きが異なってくる(例えば、表示面に対して奥から手前方向に流れるように表示されていた血流は、対象物が90°回転することにより、例えば左から右方向に流れる血流となる)。このため、血流を画像化した表示画像も、視点位置の切り替えに応じて異なるものとなる。そこで、この場合、例えば、MRI装置は、視点位置を切り替える毎に、新たな視点位置との関係における血流の速度情報を計算し直し、計算し直した速度情報を用いて新たな表示画像を生成すればよい。なお、撮影データ自体が複数収集されている場合には、MRI装置は、その複数の撮影データを用いて複数種類の表示画像を生成してもよい。なお、灌流を画像化するその他の撮像法により収集された撮影データについても同様である。
(その他)
なお、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
なお、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述の実施形態で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の画像処理システム及び方法によれば、医用画像を適切に表示することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
Claims (12)
- 医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して異なる画像処理が施されることで生成された複数種類の3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の視差画像群を生成する生成部と、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の視差画像群の表示条件を切り替え、該複数種類の視差画像群を重畳表示するように制御する表示制御部と
を備える、画像処理システム。 - 前記表示制御部は、各視差画像群の透過の度合いを調整することで、前記複数種類の視差画像群を重畳表示するように制御する、請求項1に記載の画像処理システム。
- 前記生成部は、再構成に用いられた条件及び補正に用いられた条件の内、少なくとも1つが異なる複数種類の3次元医用画像データから、前記複数種類の視差画像群を生成する、請求項1又は2に記載の画像処理システム。
- 前記生成部は、所定の情報を前記表示部の表示面上に表示するための情報表示画像を、前記視差画像群に含まれる視差画像それぞれに更に重畳し、
前記表示制御部は、前記情報表示画像が重畳された複数種類の視差画像群を、重畳表示するように制御する、請求項1又は2に記載の画像処理システム。 - 前記表示制御部は、前記表示条件として、各視差画像群の立体感及び拡大率若しくは縮小率の内、少なくとも1つを切り替えるように制御する、請求項1又は2に記載の画像処理システム。
- 画像処理システムで実行される画像処理方法であって、
医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して異なる画像処理が施されることで生成された複数種類の3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の視差画像群を生成し、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の視差画像群の表示条件を切り替え、該複数種類の視差画像群を重畳表示するように制御する、
ことを含む、画像処理方法。 - 医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して画像処理が施されることで生成された3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の視差画像群を生成する生成部と、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の視差画像群の表示条件を切り替え、該複数種類の視差画像群を重畳表示する表示制御部と
を備える、画像処理システム。 - 画像処理システムで実行される画像処理方法であって、
医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して画像処理が施されることで生成された3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の視差画像群を生成し、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の視差画像群の表示条件を切り替え、該複数種類の視差画像群を重畳表示するように制御する、
ことを含む、画像処理方法。 - 医用画像診断装置にて収集された複数種類の対象物の撮影データに対して画像処理が施されることで生成された複数種類の3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の視差画像群を生成する生成部と、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の視差画像群の表示条件を切り替え、該複数種類の視差画像群を重畳表示するように制御する表示制御部と
を備える、画像処理システム。 - 医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して異なる画像処理が施されることで生成された複数種類の3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に表示するための複数種類の表示画像を生成する生成部と、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の表示画像の表示条件を切り替え、該複数種類の表示画像を重畳表示するように制御する表示制御部と
を備える、画像処理システム。 - 医用画像診断装置にて収集された対象物の撮影データに対して画像処理が施されることで生成された3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の表示画像を生成する生成部と、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の表示画像の表示条件を切り替え、該複数種類の表示画像を重畳表示する表示制御部と
を備える、画像処理システム。 - 医用画像診断装置にて収集された複数種類の対象物の撮影データに対して画像処理が施されることで生成された複数種類の3次元医用画像データから、前記対象物を表示部の表示面上に3次元表示するための複数種類の表示画像を生成する生成部と、
前記表示面上に表示された前記対象物の周囲における視点位置の切り替えに応じて、前記複数種類の表示画像の表示条件を切り替え、該複数種類の表示画像を重畳表示するように制御する表示制御部と
を備える、画像処理システム。
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