[第1実施形態]
図面を参照して、本発明の第1実施形態について、(1)移動通信システムの概要、(2)無線端末の構成、(3)無線端末の動作、(4)実施形態の効果、(5)変更例の順に説明する。
(1)移動通信システムの概要
図1は、本実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成図である。移動通信システム1は、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)に基づいて構成されており、上述したImmediate MDTをサポートする。
図1に示すように、移動通信システム1は、無線端末UEと、E-UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)10と、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWと、保守監視装置OAMとを有する。E-UTRAN10は、複数の基地局eNBによって構成される移動通信ネットワークである。
無線端末UEは、ユーザが所持する可搬型の無線通信装置である。無線端末UEは、E-UTRAN10を構成する何れかの基地局eNBに接続(無線端末UEが中継装置を介して接続する場合、または中継装置と接続する場合、を含む)し、該基地局eNBを介して通信先との通信を実行可能に構成されている。無線端末UEが通信実行中の状態は、コネクテッドモードと称される。
各基地局eNBは、オペレータによって設置される固定型の無線通信装置であり、無線端末UEとの無線通信を行うように構成される。各基地局eNBは、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWとの通信、及び保守監視装置OAMとの通信を、バックホールを介して行う。
移動管理装置MMEは無線端末UEに対する各種モビリティ制御を行うように構成され、ゲートウェイ装置S-GWは無線端末UEが送受信するユーザデータの転送制御を行うように構成される。
保守監視装置OAMは、オペレータによって設置されるサーバ装置であり、E-UTRAN10の保守及び監視を行うように構成される。
本実施形態では、無線端末UEの接続先の基地局eNBは、例えば保守監視装置OAMからの指示に応じて、Immediate MDTを無線端末UEに設定するための情報を無線端末UEに送信する。
Immediate MDTを行うよう設定された無線端末UEは、コネクテッドモードにおいて、E-UTRAN10からの受信信号状態を測定し、測定データをE-UTRAN10に報告する。以下においては、無線端末UEが測定データを適宜生成する処理を「測定収集」と称する。
また、本実施形態では、受信信号状態の1つの指標としての参照信号受信電力(RSRP)を使用するが、RSRPと共に参照信号受信品質(RSRQ)を使用してもよい。
測定データは、測定の結果に関する情報と、測定時の位置情報とを含む。測定の結果に関する情報とは、例えば1又は複数の基地局eNBのセル毎のRSRPを示す情報である。位置情報とは、無線端末UEがGPS/GNSS機能を有している場合にはGPS/GNSS位置情報であり、無線端末UEがGPS受信機能を有していない場合にはRFフィンガープリント情報である。
無線端末UEからの測定データを受信した基地局eNBは、受信した測定データを保守監視装置OAMに転送する。保守監視装置OAMは、このようにして得られた測定データに基づいてカバレッジ問題を発見すると、発見したカバレッジ問題を、オペレータに通知する、もしくは解消するためのネットワーク最適化を自動的に行う。
Immediate MDTを無線端末UEに設定する際、設定を行う基地局eNBは、Immediate MDTに係る各種パラメータを指定することができる。本実施形態では、設定を行う基地局eNBは、Immediate MDTのパラメータの1つである報告条件(Reporting trigger)を指定するものとする。報告条件とは、無線端末UEが測定データをE-UTRAN10に報告するトリガを意味する。
カバレッジ問題の中には、RSRPが劣化する要因によっては、通常のネットワーク最適化を行っても解消できないものがある。例えば、無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に劣化するという問題は、通常のネットワーク最適化を行っても解消できない。従って、そのようなカバレッジ問題はネットワーク最適化の対象外とすることが好ましい。
そこで、本実施形態では、Immediate MDTを行うよう設定された無線端末UEは、コネクテッドモードにおいて、RSRPの急激な低下を検出すると、該急激な低下を示したRSRPに対応する測定データをE-UTRAN10への報告対象から除外する。
(2)無線端末の構成
図2は、本実施形態に係る無線端末UEの構成を示すブロック図である。ここでは、無線端末UEがGPS機能を有する一例を説明する。
図2に示すように、無線端末UEは、アンテナ101と、無線通信部110と、測定部120と、GPS受信機130と、記憶部140と、制御部150と、内部タイマ160と、バッテリ170とを有する。
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線通信を行うように構成される。送信については、無線通信部110は、制御部150から入力される送信信号の符号化及び変調を行った後、アップコンバート及び増幅を行ってアンテナ101に出力する。受信については、無線通信部110は、アンテナ101から入力される受信信号の増幅及びダウンコンバートを行った後、復調及び復号を行って制御部150に出力する。
測定部120は、E-UTRAN10から無線通信部110が受信した無線信号(具体的には、参照信号)の受信電力レベル、すなわちRSRPを測定し、測定したRSRP(以下、「RSRP測定値」と称する)を制御部150に出力する。RSRP測定値は、サービングセルのみのRSRPであってもよく、セル毎のRSRPの平均又は合計であってもよい。
GPS受信機130は、GPS衛星からの信号を受信し、GPSによる位置情報を制御部150に出力する。
記憶部140は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末UEの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部140は、RSRPの急激な低下等を検出するための各種閾値と、Immediate MDTに関する設定情報とを記憶する。本実施形態では、各種閾値には、RSRP閾値Aと、RSRP閾値Bと、内部タイマ閾値Aと、内部タイマ閾値Bとが含まれる。各閾値の詳細については後述する。
制御部150は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末UEが備える各種の機能を制御する。
制御部150は、記憶部140に記憶されている設定情報に従って、測定部120から入力されるRSRP測定値とGPS受信機130から入力される位置情報とを対応付けた測定データを生成する。
また、制御部150は、記憶部140に記憶されている設定情報の1つである報告条件に従って、測定収集により生成した測定データをE-UTRAN10に報告するよう無線通信部110を制御する。
本実施形態では、報告条件としてRadio Link Failure(RLF)を使用する。報告条件としてのRLFは、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回る時間が、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間を超えたという条件が満たされた場合に報告を行うものである。該一定時間は、内部タイマ閾値Aにより規定される。
内部タイマ160は、制御部150がRSRPの急激な低下を検出するために使用される。内部タイマ160は、制御部150によって、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に起動される。内部タイマ160は、起動した後は、時間経過に従って増加するタイマ値を制御部150に出力する。
バッテリ170は、無線端末UEの各ブロックに供給されるべき電力を蓄える。
このように構成された無線端末UEにおいて、制御部150は、Immediate MDTを実行中に、内部タイマ160から入力されるタイマ値と記憶部140に記憶されている各種閾値とを用いて、測定部120からのRSRP測定値の急激な低下を検出する。
本実施形態では、RSRP測定値の急激な低下とは、RSRP測定値が、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間内に、RSRP閾値AとRSRP閾値Bとの差に対応する所定量低下したことを意味する。内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。
制御部150は、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、該急激な低下を示したRSRP測定値に対応する測定データをE-UTRAN10への報告対象から除外するよう制御する。急激な低下を示したRSRP測定値に対応する測定データとは、RSRP測定値の急激な低下を検出した時点の測定データであってもよく、RSRP測定値の急激な低下を検出した時点から規定時間前までの測定データであってもよい。
図3は、RSRP測定値の急激な低下を検出する動作を説明するための図である。同図では検出概念を説明する為に、RSRPが時間経過に対して単調に減少している様子を示している。
図3に示すように、制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間から、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを用いて、RSRPの急激な低下を検出する。
制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に内部タイマ160を起動させ、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った場合に内部タイマ160のタイマ値を確認することでΔtを測定する。ΔtがRSRP閾値B以下である場合は、RSRPが急激に低下したと判断することができる。
(3)無線端末の動作
図4は、本実施形態に係る無線端末UEの動作を示すフローチャートである。本フローは、無線端末UEが、Immediate MDTを行うようにE-UTRAN10から設定された際に開始される。まず、本フローが開始されると、制御部150は、RSRPを常時測定するよう測定部120を制御する。
図4に示すように、ステップS101において、制御部150は、内部タイマ160をリセットする。
ステップS102において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS103において、制御部150は、ステップS102で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS102で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS102に戻す。これに対し、ステップS102で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS104に進める。ステップS104以降において測定収集が行われる。
ステップS104において、制御部150は、内部タイマ160を起動する。
ステップS105において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS106において、制御部150は、内部タイマ160から入力されるタイマ値を確認する。
ステップS107において、制御部150は、ステップS105で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS105で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS101に戻す。これに対し、ステップS105で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS108に進める。
ステップS108において、制御部150は、ステップS106で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Aと比較する。ステップS106で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS112に進める。これに対し、ステップS106で確認したタイマ値が内部タイマ閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS109に進める。
ステップS112においては、RSRP測定値が急激に低下することなく、内部タイマ160がタイムアウトして報告条件が満たされたことになるため、制御部150は、測定データをE-UTRAN10に報告するよう制御する。詳細には、制御部150は、測定データを無線通信部110に出力し、無線通信部110は、制御部150から入力された測定データを接続先の基地局eNBに送信する。
一方、ステップS109において、制御部150は、ステップS105で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Bと比較する。ステップS105で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS105に戻す。これに対し、ステップS105で確認したRSRP測定値がRSRP閾値B以下である場合には、制御部150は処理をステップS110に進める。
ステップS110において、制御部150は、ステップS106で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Bと比較する。ステップS106で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS105に戻す。これに対し、ステップS106で確認したタイマ値が内部タイマ閾値B以下である場合には、RSRP測定値が急激に低下したことになるため、制御部150は処理をステップS111に進める。
ステップS111において、制御部150は、RLFによる測定データの報告を中止し、処理をステップS101に戻す。
(4)実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、Immediate MDTを行うよう設定された無線端末UEは、コネクテッドモードにおいて、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、該急激な低下を示したRSRP測定値に対応する測定データをE-UTRAN10への報告対象から除外する。
このため、例えば無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に低下するというカバレッジ問題に関する測定データをE-UTRAN10に報告しないで済むようになり、該カバレッジ問題をネットワーク最適化の対象外とすることができる。
従って、本実施形態に係る無線端末UEは、不適切なネットワーク最適化を誘発したり、負荷及びリソース消費量が増加したりすることを回避できる。
本実施形態では、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。これにより、RLFを検出する前にRSRP測定値の急激な低下を検出することができるため、RLFによる報告を適切に中止することができる。
(5)変更例
上述した第1実施形態では、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間からRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを内部タイマ160を用いて取得し、Δtが内部タイマ閾値B以下であるか否かに応じて、RSRP測定値が急激に低下したか否かを判定していた。しかしながら、このような判定基準に限らず、ある一定時間におけるRSRP変化量から算出される変化の傾きを判定基準にしても良い。例えば、ある一定時間内でのRSRP測定値の低下量を取得し、該低下量を閾値と比較し、該低下量が該閾値を超えた場合にRSRP測定値が急激に低下したと判定してもよい。
上述した第1実施形態では、測定データの報告を中止した後、報告を再開可能にするための動作について特に説明していなかったが、測定データの報告を中止した後、報告を再開可能な状態としてもよい。この場合、無線端末UEの制御部150は、RSRP測定値が急激に低下したことを検出した後、RSRP測定値がRSRP閾値Aを超えるまで、測定データの報告を中止した状態を継続するよう制御してもよい。
上述した第1実施形態では、報告条件としてRLFを使用していたが、RLFに限らず、PeriodicやServing cell becomes worse than threshold(SCBWTT)等の他の報告条件を使用してもよい。Periodicとは、周期的に報告を行うという報告条件であり、SCBWTTとは、サービングセルについて測定されたRSRPが閾値を下回った際に報告を行うという報告条件である。
上述した第1実施形態では、3GPPで仕様が策定されているLTEに基づいて構成される移動通信システムを例に説明したが、LTEに限らず、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の他の移動通信システムに対して本発明を適用してもよい。
上述した第1実施形態では、Immediate MDTを主として説明したが、Logged MDTに対して本発明を適用してもよい。
[第2実施形態]
図面を参照して、本発明の第2実施形態について、(1)移動通信システムの概要、(2)無線端末の構成、(3)無線端末の動作、(4)実施形態の効果、(5)変更例の順に説明する。
(1)移動通信システムの概要
図1は、本実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成図である。移動通信システム1は、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)に基づいて構成されており、上述したLogged MDTをサポートする。
図1に示すように、移動通信システム1は、無線端末UEと、E-UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)10と、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWと、保守監視装置OAMとを有する。E-UTRAN10は、複数の基地局eNBによって構成される移動通信ネットワークである。
無線端末UEは、ユーザが所持する可搬型の無線通信装置である。無線端末UEは、E-UTRAN10を構成する何れかの基地局eNBに接続(中継装置を介して接続する場合、または中継装置と接続する場合を含む)し、該基地局eNBを介して通信先との通信を実行可能に構成されている。無線端末UEが通信実行中の状態はコネクテッドモードと称され、無線端末UEが待ち受け中の状態はアイドルモードと称される。
各基地局eNBは、オペレータによって設置される固定型の無線通信装置であり、無線端末UEとの無線通信を行うように構成される。各基地局eNBは、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWとの通信、及び保守監視装置OAMとの通信を、バックホールを介して行う。
移動管理装置MMEは無線端末UEに対する各種モビリティ制御を行うように構成され、ゲートウェイ装置S-GWは無線端末UEが送受信するユーザデータの転送制御を行うように構成される。
保守監視装置OAMは、オペレータによって設置されるサーバ装置であり、E-UTRAN10の保守及び監視を行うように構成される。
本実施形態では、無線端末UEの接続先の基地局eNBは、例えば保守監視装置OAMからの指示に応じて、Logged MDTを無線端末UEに設定するための情報を無線端末UEに送信する。
Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいてE-UTRAN10からの受信信号状態を測定して記録し、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する際に測定データをE-UTRAN10に報告する。以下においては、無線端末UEが測定データを適宜生成する処理を「測定収集」と称する。
また、本実施形態では、受信信号状態の1つの指標としての参照信号受信電力(RSRP)を使用するが、RSRPと共に参照信号受信品質(RSRQ)を使用してもよい。
測定データは、測定の結果に関する情報と、測定時の位置情報とを含む。測定の結果に関する情報とは、例えば1又は複数の基地局eNBのセル毎のRSRPを示す情報である。位置情報とは、無線端末UEがGPS/GNSS機能を有している場合にはGPS/GNSS位置情報であり、無線端末UEがGPS受信機能を有していない場合にはRFフィンガープリント情報である。
無線端末UEからの測定データを受信した基地局eNBは、受信した測定データを保守監視装置OAMに転送する。保守監視装置OAMは、このようにして得られた測定データに基づいてカバレッジ問題を発見すると、発見したカバレッジ問題を、オペレータに通知する、もしくは解消するためのネットワーク最適化を行う。
Logged MDTを無線端末UEに設定する際、設定を行う基地局eNBは、Logged MDTに係る各種パラメータを指定することができる。本実施形態では、設定を行う基地局eNBは、Logged MDTのパラメータの1つである記録条件(Logging trigger)を指定するものとする。記録条件とは、無線端末UEが測定データを記録するトリガを意味する。
カバレッジ問題の中には、RSRPが劣化する要因によっては、通常のネットワーク最適化を行っても解消できないものがある。例えば、無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に劣化するという問題は、通常のネットワーク最適化を行っても解消できない。従って、そのようなカバレッジ問題はネットワーク最適化の対象外とすることが好ましい。
そこで、本実施形態では、Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいて、RSRPの急激な低下を検出すると、該急激な低下を示したRSRPに対応する測定データを記録対象から除外する。
(2)無線端末の構成
図5は、本実施形態に係る無線端末UEの構成を示すブロック図である。ここでは、無線端末UEがGPS機能を有する一例を説明する。
図5に示すように、無線端末UEは、アンテナ101と、無線通信部110と、測定部120と、GPS受信機130と、記憶部140と、制御部150と、内部タイマ160と、バッテリ170とを有する。
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線通信を行うように構成される。送信については、無線通信部110は、制御部150から入力される送信信号の符号化及び変調を行った後、アップコンバート及び増幅を行ってアンテナ101に出力する。受信については、無線通信部110は、アンテナ101から入力される受信信号の増幅及びダウンコンバートを行った後、復調及び復号を行って制御部150に出力する。
測定部120は、E-UTRAN10から無線通信部110が受信した無線信号(具体的には、参照信号)の受信電力レベル、すなわちRSRPを測定し、測定したRSRP(以下、「RSRP測定値」と称する)を制御部150に出力する。
GPS受信機130は、GPS衛星からの信号を受信し、GPSによる位置情報を制御部150に出力する。
記憶部140は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末UEの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部140は、RSRPの急激な低下等を検出するための各種閾値と、Logged MDTに関する設定情報とを記憶する。本実施形態では、各種閾値には、RSRP閾値Aと、RSRP閾値Bと、内部タイマ閾値Aと、内部タイマ閾値Bとが含まれる。各閾値の詳細については後述する。
制御部150は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末UEが備える各種の機能を制御する。
制御部150は、記憶部140に記憶されている設定情報に従って、測定部120から入力されるRSRP測定値とGPS受信機130から入力される位置情報とを対応付けた測定データを生成し、生成した測定データをキャッシュ部150aに一時的に保持(キャッシュ)する。
また、制御部150は、記憶部140に記憶されている設定情報の1つである記録条件に従って、キャッシュ部150aに一時的に保持している測定データを記憶部140に記録するよう制御する。
そして、制御部150は、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する際に、記憶部140に記録されている測定データをE-UTRAN10に報告するよう無線通信部110を制御する。
本実施形態では、記録条件としてServing cell becomes worse than threshold(SCBWTT)を使用する。記録条件としてのSCBWTTは、サービングセルについてのRSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ってから一定時間に渡る測定収集が完了した場合に記録を行うものである。該一定時間は、内部タイマ閾値Aにより規定される。
内部タイマ160は、制御部150がRSRPの急激な低下を検出するために使用される。内部タイマ160は、制御部150によって、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に起動される。内部タイマ160は、起動した後は、時間経過に従って増加するタイマ値を制御部150に出力する。
バッテリ170は、無線端末UEの各ブロックに供給されるべき電力を蓄える。
このように構成された無線端末UEにおいて、制御部150は、Logged MDTを実行中に、内部タイマ160から入力されるタイマ値と記憶部140に記憶されている各種閾値とを用いて、測定部120からのRSRP測定値の急激な低下を検出する。
本実施形態では、RSRP測定値の急激な低下とは、RSRP測定値が、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間内に、RSRP閾値AとRSRP閾値Bとの差に対応する所定量低下したことを意味する。ここで、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。
制御部150は、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、該急激な低下を示したRSRP測定値に対応する測定データをE-UTRAN10への報告対象から除外するよう制御する。
急激な低下を示したRSRP測定値に対応する測定データとは、例えば、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ったことにより測定収集を開始してから、RSRP測定値の急激な低下を検出するまでの期間についての測定データを意味する。
本実施形態では、制御部150は、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、急激な低下を示したRSRP測定値に対応する測定データをキャッシュ部150aから記憶部140に移動せずに破棄するものとする。
図6は、RSRP測定値の急激な低下を検出する動作を説明するための図である。同図では検出概念を説明する為に、RSRPが時間経過に対して単調に減少している様子を示している。
図6に示すように、制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間から、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを用いて、RSRPの急激な低下を検出する。
制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に内部タイマ160を起動させ、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った場合に内部タイマ160のタイマ値を確認することでΔtを測定する。ΔtがRSRP閾値B以下である場合は、RSRPが急激に低下したと判断することができる。
(3)無線端末の動作
図7は、本実施形態に係る無線端末UEの動作を示すフローチャートである。本フローは、無線端末UEが、Logged MDTを行うようにE-UTRAN10から設定された後、アイドルモードに移行した際に開始される。まず、本フローが開始されると、制御部150は、RSRPを常時測定するよう測定部120を制御する。
図7に示すように、ステップS201において、制御部150は、内部タイマ160をリセットする。
ステップS202において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS203において、制御部150は、ステップS202で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS202で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS202に戻す。これに対し、ステップS202で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS204に進める。
ステップS204において、制御部150は、内部タイマ160を起動する。そして、ステップS205において、制御部150は、測定収集を開始する。
ステップS206において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS207において、制御部150は、内部タイマ160から入力されるタイマ値を確認する。
ステップS208において、制御部150は、ステップS206で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS206で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS201に戻す。これに対し、ステップS206で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS209に進める。
ステップS209において、制御部150は、ステップS207で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Aと比較する。ステップS207で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS214に進める。これに対し、ステップS207で確認したタイマ値が内部タイマ閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS210に進める。
ステップS214においては、RSRP測定値が急激に低下することなく、内部タイマ160がタイムアウトして記録条件が満たされたことになるため、制御部150は、測定収集を終了する。そして、ステップS215において、制御部150は、キャッシュ部150aに一時的に保持した測定データを記憶部140に記録するよう制御する。
一方、ステップS210において、制御部150は、ステップS206で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Bと比較する。ステップS206で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS206に戻す。これに対し、ステップS206で確認したRSRP測定値がRSRP閾値B以下である場合には、制御部150は処理をステップS211に進める。
ステップS211において、制御部150は、ステップS207で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Bと比較する。ステップS207で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS206に戻す。これに対し、ステップS207で確認したタイマ値が内部タイマ閾値B以下である場合には、RSRP測定値が急激に低下したことになるため、制御部150は処理をステップS212に進める。
ステップS212において、制御部150は、測定収集を終了する。そして、ステップS213において、制御部150は、キャッシュ部150aに一時的に保持した測定データを記憶部140に記録せずに破棄する。
(4)実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいて、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、該急激な低下を示したRSRP測定値に対応する測定データを記録対象から除外する。
その結果、例えば無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に低下するというカバレッジ問題に関する測定データを、コネクテッドモードに移行した際にE-UTRAN10に報告しないで済むようになり、該カバレッジ問題をネットワーク最適化の対象外とすることができる。
従って、本実施形態に係る無線端末UEは、不適切なネットワーク最適化を誘発したり、負荷及びリソース消費量が増加したりすることを回避できる。
本実施形態では、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。これにより、記録期間が終了する前にRSRP測定値の急激な低下を検出することができるため、測定収集を適切に中止することができる。
(5)変更例
上述した第2実施形態では、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ってから測定収集を開始していたが、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回る以前の測定データもE-UTRAN10に報告する必要がある場合は、ステップS201以降であって且つステップS204以前において、キャッシュ部150aの容量の範囲内で最新の測定データを収集してもよい。
上述した第2実施形態では、タイムアウト以前に受信信号状態が改善した場合にはキャッシュ部150a内の測定データを記憶部140に記録せずに破棄していた。しかしながら、内部タイマ値が内部タイマ閾値Aを超える以前にRSRP測定値がRSRP閾値Aを上回った場合に、即座に測定収集を終了せずにタイムアウトとなるまで測定収集を継続してもよい。
上述した第2実施形態では、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間からRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを内部タイマ160を用いて取得し、Δtが内部タイマ閾値B以下であるか否かに応じて、RSRP測定値が急激に低下したか否かを判定していた。しかしながら、このような判定基準に限らず、ある一定時間におけるRSRP変化量から算出される変化の傾きを判定基準にしても良い。例えば、ある一定時間内でのRSRP測定値の低下量を取得し、該低下量を閾値と比較し、該低下量が該閾値を超えた場合にRSRP測定値が急激に低下したと判定してもよい。
上述した第2実施形態では、測定データの記録を中止した後、記録を再開可能にするための動作について特に説明していなかったが、測定データの記録を中止した後、記録を再開可能な状態としてもよい。この場合、無線端末UEの制御部150は、RSRP測定値が急激に低下したことを検出した後、RSRP測定値がRSRP閾値Aを超えるまで、測定データの記録を中止した状態を継続するよう制御してもよい。
上述した第2実施形態では、記録条件としてSCBWTTを使用していたが、SCBWTTに限らず、PeriodicやTransmit power headroom becomes less than threshold等の他の記録条件を使用してもよい。Periodicとは、周期的に記録を行うという記録条件であり、Transmit power headroom becomes less than thresholdとは、送信電力余裕が閾値を下回った際に記録を行うという記録条件である。
上述した第2実施形態では、3GPPで仕様が策定されているLTEに基づいて構成される移動通信システムを例に説明したが、LTEに限らず、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の他の移動通信システムに対して本発明を適用してもよい。
[第3実施形態]
図面を参照して、本発明の第3実施形態について、(1)移動通信システムの概要、(2)無線端末の構成、(3)無線端末の動作、(4)実施形態の効果、(5)変更例の順に説明する。
(1)移動通信システムの概要
図1は、本実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成図である。移動通信システム1は、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)に基づいて構成されており、上述したLogged MDTをサポートする。
図1に示すように、移動通信システム1は、無線端末UEと、E-UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)10と、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWと、保守監視装置OAMとを有する。E-UTRAN10は、複数の基地局eNBによって構成される移動通信ネットワークである。
無線端末UEは、ユーザが所持する可搬型の無線通信装置である。無線端末UEは、E-UTRAN10を構成する何れかの基地局eNBに接続(中継装置を介して接続する場合、または中継装置と接続する場合を含む)し、該基地局eNBを介して通信先との通信を実行可能に構成されている。無線端末UEが通信実行中の状態はコネクテッドモードと称され、無線端末UEが待ち受け中の状態はアイドルモードと称される。
各基地局eNBは、オペレータによって設置される固定型の無線通信装置であり、無線端末UEとの無線通信を行うように構成される。各基地局eNBは、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWとの通信、及び保守監視装置OAMとの通信を、バックホールを介して行う。
移動管理装置MMEは無線端末UEに対する各種モビリティ制御を行うように構成され、ゲートウェイ装置S-GWは無線端末UEが送受信するユーザデータの転送制御を行うように構成される。
保守監視装置OAMは、オペレータによって設置されるサーバ装置であり、E-UTRAN10の保守及び監視を行うように構成される。
本実施形態では、無線端末UEの接続先の基地局eNBは、例えば保守監視装置OAMからの指示に応じて、Logged MDTを無線端末UEに設定するための情報を無線端末UEに送信する。
Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいてE-UTRAN10からの受信信号状態を測定して記録し、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する際に測定データをE-UTRAN10に報告する。以下においては、無線端末UEが測定データを適宜生成する処理を「測定収集」と称する。
また、本実施形態では、受信信号状態の1つの指標としての参照信号受信電力(RSRP)を使用するが、RSRPと共に参照信号受信品質(RSRQ)を使用してもよい。
測定データは、測定の結果に関する情報と、測定時の位置情報とを含む。測定の結果に関する情報とは、例えば1又は複数の基地局eNBのセル毎のRSRPを示す情報である。位置情報とは、無線端末UEがGPS/GNSS機能を有している場合にはGPS/GNSS位置情報であり、無線端末UEがGPS受信機能を有していない場合にはRFフィンガープリント情報である。
無線端末UEからの測定データを受信した基地局eNBは、受信した測定データを保守監視装置OAMに転送する。保守監視装置OAMは、このようにして得られた測定データに基づいてカバレッジ問題を発見すると、発見したカバレッジ問題を、オペレータに通知する、もしくは解消するためのネットワーク最適化を行う。
Logged MDTを無線端末UEに設定する際、設定を行う基地局eNBは、Logged MDTに係る各種パラメータを指定することができる。本実施形態では、設定を行う基地局eNBは、Logged MDTのパラメータの1つである記録条件(Logging trigger)を指定するものとする。記録条件とは、無線端末UEが測定データを記録するトリガを意味する。
カバレッジ問題の中には、RSRPが劣化する要因によっては、通常のネットワーク最適化を行っても解消できないものがある。例えば、無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に劣化するという問題は、通常のネットワーク最適化を行っても解消できない。従って、そのようなカバレッジ問題はネットワーク最適化の対象外とすることが好ましい。
そこで、本実施形態では、Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいて、RSRPの急激な低下を検出すると、記録されている全ての測定データを削除する。
(2)無線端末の構成
図8は、本実施形態に係る無線端末UEの構成を示すブロック図である。ここでは、無線端末UEがGPS機能を有する一例を説明する。
図8に示すように、無線端末UEは、アンテナ101と、無線通信部110と、測定部120と、GPS受信機130と、記憶部140と、制御部150と、内部タイマ160と、バッテリ170とを有する。
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線通信を行うように構成される。送信については、無線通信部110は、制御部150から入力される送信信号の符号化及び変調を行った後、アップコンバート及び増幅を行ってアンテナ101に出力する。受信については、無線通信部110は、アンテナ101から入力される受信信号の増幅及びダウンコンバートを行った後、復調及び復号を行って制御部150に出力する。
測定部120は、E-UTRAN10から無線通信部110が受信した無線信号(具体的には、参照信号)の受信電力レベル、すなわちRSRPを測定し、測定したRSRP(以下、「RSRP測定値」と称する)を制御部150に出力する。
GPS受信機130は、GPS衛星からの信号を受信し、GPSによる位置情報を制御部150に出力する。
記憶部140は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末UEの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部140は、RSRPの急激な低下等を検出するための各種閾値と、Logged MDTに関する設定情報とを記憶する。本実施形態では、各種閾値には、RSRP閾値Aと、RSRP閾値Bと、内部タイマ閾値Aと、内部タイマ閾値Bとが含まれる。各閾値の詳細については後述する。
制御部150は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末UEが備える各種の機能を制御する。制御部150は、記憶部140に記憶されている設定情報に従って、測定部120から入力されるRSRP測定値とGPS受信機130から入力される位置情報とを対応付けた測定データを生成し、生成した測定データを記憶部140に記録するよう制御する。そして、制御部150は、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する際に、記憶部140に記録されている測定データを無線通信部110からE-UTRAN10に報告するよう制御する。
本実施形態では、設定情報に含まれる記録条件としてServing cell becomes worse than threshold(SCBWTT)を使用する。記録条件としてのSCBWTTは、サービングセルについてのRSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ってから一定時間に渡って記録を行うものである。該一定時間は、内部タイマ閾値Aにより規定される。
内部タイマ160は、制御部150がRSRPの急激な低下を検出するために使用される。内部タイマ160は、制御部150によって、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に起動される。内部タイマ160は、起動した後は、時間経過に従って増加するタイマ値を制御部150に出力する。
バッテリ170は、無線端末UEの各ブロックに供給されるべき電力を蓄える。
このように構成された無線端末UEにおいて、制御部150は、Logged MDTを実行中に、内部タイマ160から入力されるタイマ値と記憶部140に記憶されている各種閾値とを用いて、測定部120からのRSRP測定値の急激な低下を検出する。本実施形態では、RSRP測定値の急激な低下とは、RSRP測定値が、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間内に、RSRP閾値AとRSRP閾値Bとの差に対応する所定量低下したことを意味する。ここで、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。
さらに、制御部150は、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、記憶部140に記録されている全ての測定データを削除するよう制御する。
図9は、RSRP測定値の急激な低下を検出する動作を説明するための図である。同図では検出概念を説明する為に、RSRPが時間経過に対して単調に減少している様子を示している。
図9に示すように、制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間から、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを用いて、RSRPの急激な低下を検出する。
制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に内部タイマ160を起動させ、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った場合に内部タイマ160のタイマ値を確認することでΔtを測定する。ΔtがRSRP閾値B以下である場合は、RSRPが急激に低下したと判断することができる。
(3)無線端末の動作
図10は、本実施形態に係る無線端末UEの動作を示すフローチャートである。本フローは、無線端末UEが、Logged MDTを行うようにE-UTRAN10から設定された後、アイドルモードに移行した際に開始される。まず、本フローが開始されると、制御部150は、RSRPを常時測定するよう測定部120を制御する。
図10に示すように、ステップS301において、制御部150は、内部タイマ160をリセットする。
ステップS302において、制御部150は、無効データ存在フラグをリセットする。無効データ存在フラグは、無効な測定データを特定するためのフラグである。
ステップS303において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS304において、制御部150は、ステップS303で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS303で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS303に戻す。これに対し、ステップS303で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS305に進める。
ステップS305において、制御部150は、内部タイマ160を起動する。また、ステップS306において、制御部150は、測定収集を開始する。さらに、ステップS307において、制御部150は、測定データの記録を開始する。
ステップS308において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS309において、制御部150は、内部タイマ160から入力されるタイマ値を確認する。
ステップS310において、制御部150は、ステップS308で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS308で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS315に進める。これに対し、ステップS308で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS311に進める。
ステップS311において、制御部150は、ステップS309で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Aと比較する。ステップS309で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS315に進める。これに対し、ステップS309で確認したタイマ値が内部タイマ閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS312に進める。
一方、ステップS312において、制御部150は、ステップS308で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Bと比較する。ステップS308で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS308に戻す。これに対し、ステップS308で確認したRSRP測定値がRSRP閾値B以下である場合には、制御部150は処理をステップS313に進める。
ステップS313において、制御部150は、ステップS309で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Bと比較する。ステップS309で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS308に戻す。これに対し、ステップS309で確認したタイマ値が内部タイマ閾値B以下である場合には、RSRP測定値が急激に低下したことになるため、制御部150は処理をステップS314に進める。
ステップS314において、制御部150は、無効データ存在フラグを記憶する。
ステップS315において、制御部150は、測定収集を終了する。また、ステップS316において、制御部150は、測定データの記録を終了する。
ステップS317において、制御部150は、無効データ存在フラグの有無に応じて、無効な測定データの有無を確認する。無効データ存在フラグが有る場合、すなわち、無効な測定データが有る場合には、制御部150は処理をステップS318に進める。これに対し、無効データ存在フラグが無い場合、すなわち、無効な測定データが無い場合には、制御部150は処理をステップS301に戻す。
ステップS318において、制御部150は、記憶部140に記憶されている全ての測定データを削除する。その後、処理をステップS301に戻す。なお、測定データを削除するタイミングは、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する前であれば、どのタイミングであってもよい。
(4)実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいて、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、記憶部140に記憶されている全ての測定データを削除するよう制御する。
その結果、例えば無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に低下するというカバレッジ問題に関する測定データを、コネクテッドモードに移行した際にE-UTRAN10に報告しないで済むようになり、該カバレッジ問題をネットワーク最適化の対象外とすることができる。
従って、本実施形態に係る無線端末UEは、不適切なネットワーク最適化を誘発したり、負荷及びリソース消費量が増加したりすることを回避できる。
本実施形態では、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。これにより、記録期間が終了する前にRSRP測定値の急激な低下を検出することができるため、測定収集を適切に中止することができる。
(5)変更例
上述した第3実施形態では、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ってから測定収集を開始していたが、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回る以前の測定データもE-UTRAN10に報告する必要がある場合は、ステップS301以降であって且つステップS305以前において測定収集を行ってもよい。
上述した第3実施形態では、タイムアウト以前に受信信号状態が改善した場合には測定収集を中止していた。しかしながら、内部タイマ値が内部タイマ閾値Aを超える以前にRSRP測定値がRSRP閾値Aを上回った場合に、即座に測定収集を終了せずにタイムアウトとなるまで測定収集を継続してもよい。
上述した第3実施形態では、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間からRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを内部タイマ160を用いて取得し、Δtが内部タイマ閾値B以下であるか否かに応じて、RSRP測定値が急激に低下したか否かを判定していた。しかしながら、このような判定基準に限らず、ある一定時間におけるRSRP変化量から算出される変化の傾きを判定基準にしても良い。例えば、ある一定時間内でのRSRP測定値の低下量を取得し、該低下量を閾値と比較し、該低下量が該閾値を超えた場合にRSRP測定値が急激に低下したと判定してもよい。
上述した第3実施形態では、記録条件としてSCBWTTを使用していたが、SCBWTTに限らず、PeriodicやTransmit power headroom becomes less than threshold等の他の記録条件を使用してもよい。Periodicとは、周期的に記録を行うという記録条件であり、Transmit power headroom becomes less than thresholdとは、送信電力余裕が閾値を下回った際に記録を行うという記録条件である。
上述した第3実施形態では、3GPPで仕様が策定されているLTEに基づいて構成される移動通信システムを例に説明したが、LTEに限らず、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の他の移動通信システムに対して本発明を適用してもよい。
[第4実施形態]
図面を参照して、本発明の第4実施形態について、(1)移動通信システムの概要、(2)無線端末の構成、(3)無線端末の動作、(4)実施形態の効果、(5)変更例の順に説明する。
(1)移動通信システムの概要
図1は、本実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成図である。移動通信システム1は、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)に基づいて構成されており、上述したLogged MDTをサポートする。
図1に示すように、移動通信システム1は、無線端末UEと、E-UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)10と、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWと、保守監視装置OAMとを有する。E-UTRAN10は、複数の基地局eNBによって構成される移動通信ネットワークである。
無線端末UEは、ユーザが所持する可搬型の無線通信装置である。無線端末UEは、E-UTRAN10を構成する何れかの基地局eNBに接続(中継装置を介して接続する場合、または中継装置と接続する場合を含む)し、該基地局eNBを介して通信先との通信を実行可能に構成されている。無線端末UEが通信実行中の状態はコネクテッドモードと称され、無線端末UEが待ち受け中の状態はアイドルモードと称される。
各基地局eNBは、オペレータによって設置される固定型の無線通信装置であり、無線端末UEとの無線通信を行うように構成される。各基地局eNBは、移動管理装置MME/ゲートウェイ装置S-GWとの通信、及び保守監視装置OAMとの通信を、バックホールを介して行う。
移動管理装置MMEは無線端末UEに対する各種モビリティ制御を行うように構成され、ゲートウェイ装置S-GWは無線端末UEが送受信するユーザデータの転送制御を行うように構成される。
保守監視装置OAMは、オペレータによって設置されるサーバ装置であり、E-UTRAN10の保守及び監視を行うように構成される。
本実施形態では、無線端末UEの接続先の基地局eNBは、例えば保守監視装置OAMからの指示に応じて、Logged MDTを無線端末UEに設定するための情報を無線端末UEに送信する。
Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいてE-UTRAN10からの受信信号状態を測定して記録し、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する際に測定データをE-UTRAN10に報告する。以下においては、無線端末UEが測定データを適宜生成する処理を「測定収集」と称する。
また、本実施形態では、受信信号状態の1つの指標としての参照信号受信電力(RSRP)を使用するが、RSRPと共に参照信号受信品質(RSRQ)を使用してもよい。
測定データは、測定の結果に関する情報と、測定時の位置情報とを含む。測定の結果に関する情報とは、例えば1又は複数の基地局eNBのセル毎のRSRPを示す情報である。位置情報とは、無線端末UEがGPS/GNSS機能を有している場合にはGPS/GNSS位置情報であり、無線端末UEがGPS受信機能を有していない場合にはRFフィンガープリント情報である。
無線端末UEからの測定データを受信した基地局eNBは、受信した測定データを保守監視装置OAMに転送する。保守監視装置OAMは、このようにして得られた測定データに基づいてカバレッジ問題を発見すると、発見したカバレッジ問題を、オペレータに通知する、もしくは解消するためのネットワーク最適化を行う。
Logged MDTを無線端末UEに設定する際、設定を行う基地局eNBは、Logged MDTに係る各種パラメータを指定することができる。本実施形態では、設定を行う基地局eNBは、Logged MDTのパラメータの1つである記録条件(Logging trigger)を指定するものとする。記録条件とは、無線端末UEが測定データを記録するトリガを意味する。
カバレッジ問題の中には、RSRPが劣化する要因によっては、通常のネットワーク最適化を行っても解消できないものがある。例えば、無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に劣化するという問題は、通常のネットワーク最適化を行っても解消できない。従って、そのようなカバレッジ問題はネットワーク最適化の対象外とすることが好ましい。
そこで、本実施形態では、Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいて、RSRPの急激な低下を検出すると、記録している測定データのうち、急激な低下を示したRSRPに対応する測定データを削除する。
(2)無線端末の構成
図11は、本実施形態に係る無線端末UEの構成を示すブロック図である。ここでは、無線端末UEがGPS機能を有する一例を説明する。
図11に示すように、無線端末UEは、アンテナ101と、無線通信部110と、測定部120と、GPS受信機130と、記憶部140と、制御部150と、内部タイマ160と、バッテリ170とを有する。
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線通信を行うように構成される。送信については、無線通信部110は、制御部150から入力される送信信号の符号化及び変調を行った後、アップコンバート及び増幅を行ってアンテナ101に出力する。受信については、無線通信部110は、アンテナ101から入力される受信信号の増幅及びダウンコンバートを行った後、復調及び復号を行って制御部150に出力する。
測定部120は、E-UTRAN10から無線通信部110が受信した無線信号(具体的には、参照信号)の受信電力レベル、すなわちRSRPを測定し、測定したRSRP(以下、「RSRP測定値」と称する)を制御部150に出力する。
GPS受信機130は、GPS衛星からの信号を受信し、GPSによる位置情報を制御部150に出力する。
記憶部140は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末UEの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部140は、RSRPの急激な低下等を検出するための各種閾値と、Logged MDTに関する設定情報とを記憶する。本実施形態では、各種閾値には、RSRP閾値Aと、RSRP閾値Bと、内部タイマ閾値Aと、内部タイマ閾値Bとが含まれる。各閾値の詳細については後述する。
制御部150は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末UEが備える各種の機能を制御する。制御部150は、記憶部140に記憶されている設定情報に従って、測定部120から入力されるRSRP測定値とGPS受信機130から入力される位置情報とを対応付けた測定データを生成し、生成した測定データを記憶部140に記録するよう制御する。そして、制御部150は、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する際に、記憶部140に記録されている測定データを無線通信部110からE-UTRAN10に報告するよう制御する。
本実施形態では、設定情報に含まれる記録条件としてServing cell becomes worse than threshold(SCBWTT)を使用する。記録条件としてのSCBWTTは、サービングセルについてのRSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ってから一定時間に渡って記録を行うものである。該一定時間は、内部タイマ閾値Aにより規定される。
内部タイマ160は、制御部150がRSRPの急激な低下を検出するために使用される。内部タイマ160は、制御部150によって、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に起動される。内部タイマ160は、起動した後は、時間経過に従って増加するタイマ値を制御部150に出力する。
バッテリ170は、無線端末UEの各ブロックに供給されるべき電力を蓄える。
このように構成された無線端末UEにおいて、制御部150は、Logged MDTを実行中に、内部タイマ160から入力されるタイマ値と記憶部140に記憶されている各種閾値とを用いて、測定部120からのRSRP測定値の急激な低下を検出する。
本実施形態では、RSRP測定値の急激な低下とは、RSRP測定値が、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間内に、RSRP閾値AとRSRP閾値Bとの差に対応する所定量低下したことを意味する。ここで、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。
さらに、制御部150は、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、記憶部140に記録されている測定データのうち、急激な低下を示したRSRPに対応する測定データを削除するよう制御する。
急激な低下を示したRSRPに対応する測定データとは、例えば、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ったことにより測定収集を開始した時間から、測定収集を終了した時間までの期間において得られた測定データを意味する。
図12は、RSRP測定値の急激な低下を検出する動作を説明するための図である。同図では検出概念を説明する為に、RSRPが時間経過に対して単調に減少している様子を示している。
図12に示すように、制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間から、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを用いて、RSRPの急激な低下を検出する。
制御部150は、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った際に内部タイマ160を起動させ、RSRP測定値がRSRP閾値Bを下回った場合に内部タイマ160のタイマ値を確認することでΔtを測定する。ΔtがRSRP閾値B以下である場合は、RSRPが急激に低下したと判断することができる。
(3)無線端末の動作
図13は、本実施形態に係る無線端末UEの動作を示すフローチャートである。本フローは、無線端末UEが、Logged MDTを行うようにE-UTRAN10から設定された後、アイドルモードに移行した際に開始される。まず、本フローが開始されると、制御部150は、RSRPを常時測定するよう測定部120を制御する。
図13に示すように、ステップS401において、制御部150は、内部タイマ160をリセットする。
ステップS402において、制御部150は、無効データ存在フラグをリセットする。無効データ存在フラグは、無効な測定データを特定するためのフラグである。
ステップS403において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS404において、制御部150は、ステップS403で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS403で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS403に戻す。これに対し、ステップS403で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS405に進める。
ステップS405において、制御部150は、内部タイマ160を起動する。
ステップS406において、制御部150は、測定収集開始時刻を記憶する。詳細には、制御部150は、現在時刻を求めるための時計機能を有しており、該時計機能を用いて測定収集開始時刻を取得し、取得した測定収集開始時刻を記憶する。また、ステップS407において、制御部150は、測定収集を開始する。さらに、ステップS408において、制御部150は、測定データの記録を開始する。
ステップS409において、制御部150は、測定部120から入力されるRSRP測定値を確認する。
ステップS410において、制御部150は、内部タイマ160から入力されるタイマ値を確認する。
ステップS411において、制御部150は、ステップS409で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Aと比較する。ステップS409で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS416に進める。これに対し、ステップS409で確認したRSRP測定値がRSRP閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS412に進める。
ステップS412において、制御部150は、ステップS410で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Aと比較する。ステップS410で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Aを超えている場合には、制御部150は処理をステップS416に進める。これに対し、ステップS410で確認したタイマ値が内部タイマ閾値A以下である場合には、制御部150は処理をステップS413に進める。
一方、ステップS413において、制御部150は、ステップS409で確認したRSRP測定値をRSRP閾値Bと比較する。ステップS409で確認したRSRP測定値がRSRP閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS409に戻す。これに対し、ステップS409で確認したRSRP測定値がRSRP閾値B以下である場合には、制御部150は処理をステップS414に進める。
ステップS414において、制御部150は、ステップS410で確認したタイマ値を内部タイマ閾値Bと比較する。ステップS410で確認したタイマ値が内部タイマ閾値Bを超えている場合には、制御部150は処理をステップS409に戻す。これに対し、ステップS410で確認したタイマ値が内部タイマ閾値B以下である場合には、RSRP測定値が急激に低下したことになるため、制御部150は処理をステップS415に進める。
ステップS415において、制御部150は、無効データ存在フラグを記憶する。
ステップS416において、制御部150は、測定収集を終了する。また、ステップS417において、制御部150は、測定データの記録を終了する。
ステップS418において、制御部150は、無効データ存在フラグの有無に応じて、無効な測定データの有無を確認する。無効データ存在フラグが有る場合、すなわち、無効な測定データが有る場合には、制御部150は処理をステップS419に進める。これに対し、無効データ存在フラグが無い場合、すなわち、無効な測定データが無い場合には、制御部150は処理をステップS401に戻す。
ステップS419において、制御部150は、測定収集終了時刻を記憶する。詳細には、制御部150は、時計機能を用いて測定収集終了時刻を取得し、取得した測定収集終了時刻を記憶する。
ステップS420において、制御部150は、記憶部140に記憶されている測定データのうち、ステップS406で記憶した測定収集開始時刻からステップS419で記憶した測定収集終了時刻までの期間において得られた測定データを削除する。なお、測定データを削除するタイミングは、アイドルモードからコネクテッドモードに移行する前であれば、どのタイミングであってもよい。
(4)実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、Logged MDTを行うよう設定された無線端末UEは、アイドルモードにおいて、RSRP測定値の急激な低下を検出すると、記憶部140に記憶されている測定データのうち、急激な低下を示したRSRPに対応する測定データを削除するよう制御する。
その結果、例えば無線端末UEがエレベータ内に移動してその扉が閉まる際にRSRPが急激に低下するというカバレッジ問題に関する測定データを、コネクテッドモードに移行した際にE-UTRAN10に報告しないで済むようになり、該カバレッジ問題をネットワーク最適化の対象外とすることができる。
従って、本実施形態に係る無線端末UEは、不適切なネットワーク最適化を誘発したり、負荷及びリソース消費量が増加したりすることを回避できる。
本実施形態では、内部タイマ閾値Bに対応する所定時間は、内部タイマ閾値Aに対応する一定時間よりも短い時間に設定されている。これにより、記録期間が終了する前にRSRP測定値の急激な低下を検出することができるため、測定収集を適切に中止することができる。
(5)変更例
上述した第4実施形態では、測定収集開始時刻及び測定収集終了時刻を記憶し、両時刻の間において得られた測定データを削除対象として特定していた。しかしながら、測定収集開始時刻及び測定収集終了時刻を記憶する場合に限らず、記憶部140に測定収集開始IDを記録した後、記憶部140に測定データを記録し、次いで記憶部140に測定収集終了IDを記録することによって、両IDの間の測定データを削除対象として特定してもよい。
上述した第4実施形態では、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回ってから測定収集を開始していたが、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回る以前の測定データもE-UTRAN10に報告する必要がある場合は、ステップS401以降であって且つステップS407以前において測定収集を行ってもよい。
上述した第4実施形態では、タイムアウト以前に受信信号状態が改善した場合には測定収集を中止していた。しかしながら、内部タイマ値が内部タイマ閾値Aを超える以前にRSRP測定値がRSRP閾値Aを上回った場合に、即座に測定収集を終了せずにタイムアウトとなるまで測定収集を継続してもよい。
上述した第4実施形態では、RSRP測定値がRSRP閾値Aを下回った時間からRSRP閾値Bを下回った時間までの時間差であるΔtを内部タイマ160を用いて取得し、Δtが内部タイマ閾値B以下であるか否かに応じて、RSRP測定値が急激に低下したか否かを判定していた。しかしながら、このような判定基準に限らず、ある一定時間におけるRSRP変化量から算出される変化の傾きを判定基準にしても良い。例えば、ある一定時間内でのRSRP測定値の低下量を取得し、該低下量を閾値と比較し、該低下量が該閾値を超えた場合にRSRP測定値が急激に低下したと判定してもよい。
上述した第4実施形態では、記録条件としてSCBWTTを使用していたが、SCBWTTに限らず、PeriodicやTransmit power headroom becomes less than threshold等の他の記録条件を使用してもよい。Periodicとは、周期的に記録を行うという記録条件であり、Transmit power headroom becomes less than thresholdとは、送信電力余裕が閾値を下回った際に記録を行うという記録条件である。
上述した第4実施形態では、3GPPで仕様が策定されているLTEに基づいて構成される移動通信システムを例に説明したが、LTEに限らず、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の他の移動通信システムに対して本発明を適用してもよい。
なお、日本国特許出願第2011-050585号(2011年3月8日出願)、第2011-050588号(2011年3月8日出願)、第2011-050611号(2011年3月8日出願)、第2011-050613号(2011年3月8日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。