WO2012121289A1 - 表面波プラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ源、およびそれに用いるマイクロ波導入機構 - Google Patents
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Abstract
チャンバ(1)と、チャンバ(1)内にガスを供給するガス供給機構(100)と、チャンバ内にマイクロ波導入機構(41)によりマイクロ波を導入してチャンバ(1)内に供給されたガスにより表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源(2)とを具備し、マイクロ波導入機構(41)は、導波路(44)と、表面波発生用アンテナ(81)を有するアンテナ部(43)とを備え、ガス供給機構(100)は、ガス供給源(101)と、ガス供給源(101)からのガスを導波路(44)の内側導体(53)の内部を通ってアンテナ部(43)の表面波発生用アンテナ(81)よりも先端側部分に供給するガス供給配管(102)と、アンテナ部(43)の表面波発生用アンテナ(81)よりも先端側部分に設けられ、ガス供給配管(102)からのガスを吐出する多数のガス吐出孔(106)を有するシャワーヘッドとを備える。
Description
本発明は、表面波プラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ源、およびそれに用いるマイクロ波導入機構に関する。
プラズマ処理は、半導体デバイスの製造に不可欠な技術であるが、近時、LSIの高集積化、高速化の要請からLSIを構成する半導体素子のデザインルールが益々微細化され、また、半導体ウエハが大型化されており、それにともなって、プラズマ処理装置においてもこのような微細化および大型化に対応するものが求められている。
このような要求に応えるものとして、高密度で低電子温度の表面波プラズマを均一に形成することができるRLSA(Radial Line Slot Antenna)マイクロ波プラズマ処理装置が注目されている(例えば特許文献1)。
RLSAマイクロ波プラズマ処理装置は、表面波プラズマ発生用アンテナとしてチャンバの上部に所定のパターンで複数のスロットが形成された平面アンテナ(Radial Line Slot Antenna)を設け、マイクロ波発生源から導かれたマイクロ波を、平面アンテナのスロットから放射させるとともに、その下に設けられた誘電体からなるマイクロ波透過板を介して真空に保持されたチャンバ内に放射し、このマイクロ波電界によりチャンバ内で表面波プラズマを生成し、これにより半導体ウエハ等の被処理基板を処理するものである。
また、特許文献2には、マイクロ波を複数に分配し、上述のような平面アンテナを有し、平面アンテナとスラグチューナを一体的に設けた複数のアンテナモジュールを介してマイクロ波をチャンバ内に導くマイクロ波プラズマ源、およびそのようなマイクロ波プラズマ源を有するマイクロ波プラズマ処理装置が開示されている。このようにアンテナとチューナを一体的に設けることにより、マイクロ波プラズマ源自体を著しくコンパクト化できる。
上記特許文献1および2に開示された技術では、チャンバの上部にマイクロ波プラズマ源があるため、プラズマ生成ガスや処理ガスをチャンバの側壁から供給している。
しかしながら、ガスをチャンバの側壁から供給する場合には、ガスが中心部に到達する割合が小さくなる傾向にある。特に、半導体ウエハの大型化にともないチャンバが大型化し、かつ処理の際のチャンバ圧力が小さい場合には、中心部に到達するガスの割合が極めて小さいものとなり、ガスを著しく過剰に供給せざるを得ない。また、ガスが均一に供給されないため処理の均一性が低くなってしまう。
したがって、本発明の目的は、チャンバ壁からガスを導入する際の不都合を回避することができる表面波プラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ源、およびそれに用いるマイクロ波導入機構を提供することにある。
本発明の第1の観点によれば、被処理基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給機構と、マイクロ波を生成するマイクロ波生成機構および生成されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を有し、前記チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスにより表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源とを具備し、前記チャンバ内の被処理基板に対して表面波プラズマにより処理を施す表面波プラズマ処理装置であって、前記マイクロ波導入機構は、筒状をなす外側導体とその中に同軸的に設けられた筒状をなす内側導体とを有しマイクロ波を伝送する導波路と、前記導波路を伝送されたマイクロ波を前記チャンバ内に放射して表面波プラズマを発生させるための表面波発生用アンテナを有するアンテナ部とを備え、前記ガス供給機構は、ガス供給源と、前記ガス供給源からのガスを前記導波路の前記内側導体の内部を通って前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に供給するガス供給配管と、前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に設けられ、前記ガス供給配管からのガスを吐出する多数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを備える表面波プラズマ処理装置が提供される。
前記マイクロ波プラズマ源は、前記マイクロ波導入機構を複数備え、各マイクロ波導入機構から前記チャンバ内に導入されたマイクロ波が空間合成される構成とすることができる。
前記アンテナ部は、前記表面波プラズマ発生用アンテナの先端側に設けられた誘電体部材を有し、前記シャワーヘッドは前記誘電体部材に形成されている構成とすることができる。
前記ガス供給源は、それぞれ独立して設けられた第1ガス供給源および第2ガス供給源を有し、前記ガス供給配管は、前記第1ガス供給源および第2ガス供給源からそれぞれ第1のガスおよび第2のガスを供給する第1ガス供給配管および第2ガス供給配管を有し、前記シャワーヘッドは、前記第1ガス供給配管からの第1のガスおよび前記第2ガス供給配管からの第2のガスをそれぞれ吐出する第1ガス吐出孔および第2ガス吐出孔を有する構成とすることができる。
前記マイクロ波生成機構はマイクロ波電源を備え、前記マイクロ波導入機構は、前記チャンバ内の負荷のインピーダンスを前記マイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナをさらに備え、前記チューナは、前記外側導体と前記内側導体の間に設けられ、前記内側導体の長手方向に沿って移動可能な、環状をなし、誘電体からなるスラグと、前記スラグを移動させる駆動機構とを有するものとすることができる。
前記駆動機構は、駆動力を与える駆動部と、駆動部からの駆動力を前記スラグに伝達する駆動伝達部と、前記スラグの移動をガイドする駆動ガイド部と、前記スラグを前記駆動伝達部に保持する保持部とを有し、前記駆動伝達部と、前記駆動ガイド部と、前記保持部が前記内側導体の内部に収容されている構成とすることができる。
本発明の第2の観点によれば、チャンバ内にマイクロ波を導入して表面波プラズマを形成するためのマイクロ波プラズマ源において、マイクロ波出力部から出力されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構であって、筒状をなす外側導体とその中に同軸的に設けられた筒状をなす内側導体とを有しマイクロ波を伝送する導波路と、前記導波路を伝送されたマイクロ波を前記チャンバ内に放射して表面波プラズマを発生させるための表面波発生用アンテナを有するアンテナ部と、表面波プラズマを生成するためのガスを前記導波路の前記内側導体の内部を通って前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に供給するガス供給配管と、前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に設けられ、前記ガス供給配管からのガスを吐出する多数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを備えるマイクロ波導入機構が提供される。
本発明の第3の観点によれば、マイクロ波を生成するマイクロ波生成機構および生成されたマイクロ波をチャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を有し、チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスの表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源であって、前記マイクロ波導入機構は、筒状をなす外側導体とその中に同軸的に設けられた筒状をなす内側導体とを有しマイクロ波を伝送する導波路と、前記導波路を伝送されたマイクロ波を前記チャンバ内に放射して表面波プラズマを発生させるための表面波発生用アンテナを有するアンテナ部と、表面波プラズマを生成するためのガスを前記導波路の前記内側導体の内部を通って前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に供給するガス供給配管と、前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に設けられ、前記ガス供給配管からのガスを吐出する多数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを備える、マイクロ波プラズマ源が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<表面波プラズマ処理装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る表面波プラズマ処理装置の概略構成を示す断面図であり、図2は図1の表面波プラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示す構成図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る表面波プラズマ処理装置の概略構成を示す断面図であり、図2は図1の表面波プラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示す構成図である。
表面波プラズマ処理装置10は、ウエハに対してプラズマ処理として例えば成膜処理、エッチング処理等を施すものであり、気密に構成されたアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属材料からなる略円筒状の接地されたチャンバ1と、チャンバ1内にマイクロ波プラズマを形成するためのマイクロ波プラズマ源2とを有している。チャンバ1の上部には開口部1aが形成されており、マイクロ波プラズマ源2はこの開口部1aからチャンバ1の内部に臨むように設けられている。
チャンバ1内には被処理基板であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ11が、チャンバ1の底部中央に絶縁部材12aを介して立設された筒状の支持部材12により支持された状態で設けられている。サセプタ11および支持部材12を構成する材料としては、表面をアルマイト処理(陽極酸化処理)したアルミニウム等が例示される。
また、図示はしていないが、サセプタ11には、ウエハWを静電吸着するための静電チャック、温度制御機構、ウエハWの裏面に熱伝達用のガスを供給するガス流路、およびウエハWを搬送するために昇降する昇降ピン等が設けられている。なお、エッチング処理装置として構成される場合には、ウエハW側にプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスをサセプタ11に印加する高周波電源(図示せず)を設けることが好ましい。
チャンバ1の底部には排気管15が接続されており、この排気管15には真空ポンプを含む排気装置16が接続されている。そしてこの排気装置16を作動させることによりチャンバ1内が排気され、チャンバ1内が所定の真空度まで高速に減圧することが可能となっている。また、チャンバ1の側壁には、ウエハWの搬入出を行うための搬入出口17と、この搬入出口17を開閉するゲートバルブ18とが設けられている。
マイクロ波プラズマ源2は、チャンバ1の上部に設けられた支持リング29により支持された天板85上に設けられている。支持リング29と天板85との間は気密にシールされている。
マイクロ波プラズマ源2は、複数経路に分配してマイクロ波を出力するマイクロ波出力部30と、マイクロ波出力部30から出力されたマイクロ波を伝送しチャンバ1内に放射するためのマイクロ波供給部40とを有している。また、マイクロ波プラズマ源2は、プラズマを生成するためのプラズマ生成ガスや、成膜処理やエッチング処理を行うための処理ガスを供給するためのガス供給機構100を有している。ガス供給機構100は、プラズマ生成ガスや処理ガスを供給するガス供給源101を有している。ガス供給機構100の詳細な構成は後述する。
プラズマ生成ガスとしては、Arガス等の希ガスを好適に用いることができる。また、処理ガスとしては、成膜処理やエッチング処理等、処理の内容に応じて種々のものを採用することができる。ガス供給機構100からチャンバ1内に導入されたプラズマガスは、マイクロ波プラズマ源2からチャンバ1内に導入されたマイクロ波によりプラズマ化され、このプラズマにより、同じくガス供給機構100からチャンバ1内に導入された処理ガスが励起され、処理ガスのプラズマが形成される。
図2に示すように、マイクロ波出力部30は、マイクロ波電源31と、マイクロ波発振器32と、発振されたマイクロ波を増幅するアンプ33と、増幅されたマイクロ波を複数に分配する分配器34とを有している。
マイクロ波発振器32は、所定周波数(例えば、915MHz)のマイクロ波を例えばPLL発振させる。分配器34では、マイクロ波の損失ができるだけ起こらないように、入力側と出力側のインピーダンス整合を取りながらアンプ33で増幅されたマイクロ波を分配する。なお、マイクロ波の周波数としては、915MHzの他に、700MHzから3GHzを用いることができる。
マイクロ波供給部40は、分配器34で分配されたマイクロ波を主に増幅する複数のアンプ部42と、複数のアンプ部42のそれぞれに接続されたマイクロ波導入機構41とを有している。マイクロ波導入機構41については、後で詳細に説明する。
アンプ部42は、位相器45と、可変ゲインアンプ46と、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47と、アイソレータ48とを有している。
位相器45は、マイクロ波の位相を変化させることができるように構成されており、これを調整することにより放射特性を変調させることができる。例えば、各アンテナモジュール毎に位相を調整することにより指向性を制御してプラズマ分布を変化させることや、後述するように隣り合うアンテナモジュールにおいて90°ずつ位相をずらすようにして円偏波を得ることができる。また、位相器45は、アンプ内の部品間の遅延特性を調整し、チューナ内での空間合成を目的として使用することができる。ただし、このような放射特性の変調やアンプ内の部品間の遅延特性の調整が不要な場合には位相器45は設ける必要はない。
可変ゲインアンプ46は、メインアンプ47へ入力するマイクロ波の電力レベルを調整し、個々のアンテナモジュールのばらつきを調整またはプラズマ強度調整のためのアンプである。可変ゲインアンプ46を各アンテナモジュール毎に変化させることによって、発生するプラズマに分布を生じさせることもできる。
ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47は、例えば、入力整合回路と、半導体増幅素子と、出力整合回路と、高Q共振回路とを有する構成とすることができる。
アイソレータ48は、マイクロ波導入機構41で反射してメインアンプ47に向かう反射マイクロ波を分離するものであり、サーキュレータとダミーロード(同軸終端器)とを有している。サーキュレータは、後述するマイクロ波導入機構41のアンテナ部43で反射したマイクロ波をダミーロードへ導き、ダミーロードはサーキュレータによって導かれた反射マイクロ波を熱に変換する。
表面波プラズマ処理装置10における各構成部は、マイクロプロセッサを備えた制御部110により制御されるようになっている。制御部110は表面波プラズマ処理装置10のプロセスシーケンスおよび制御パラメータであるプロセスレシピを記憶した記憶部や、入力手段およびディスプレイ等を備えており、選択されたプロセスレシピに従ってプラズマ処理装置を制御するようになっている。
<マイクロ波導入機構の構成>
次に、マイクロ波導入機構41について説明する。
図3はマイクロ波導入機構を示す縦断面図、図4は図3のAA′線による横断面図、図5は図3のBB′線による横断面図、図6はマイクロ波導入機構における内側導体を示す斜視図である。これらの図に示すように、マイクロ波導入機構41は、マイクロ波を伝送する同軸構造の導波路44と、導波路44を伝送されたマイクロ波をチャンバ1内に放射するアンテナ部43とを有している。そして、マイクロ波導入機構41からチャンバ1内に放射されたマイクロ波がチャンバ1内の空間で合成され、チャンバ1内で表面波プラズマが形成されるようになっている。
次に、マイクロ波導入機構41について説明する。
図3はマイクロ波導入機構を示す縦断面図、図4は図3のAA′線による横断面図、図5は図3のBB′線による横断面図、図6はマイクロ波導入機構における内側導体を示す斜視図である。これらの図に示すように、マイクロ波導入機構41は、マイクロ波を伝送する同軸構造の導波路44と、導波路44を伝送されたマイクロ波をチャンバ1内に放射するアンテナ部43とを有している。そして、マイクロ波導入機構41からチャンバ1内に放射されたマイクロ波がチャンバ1内の空間で合成され、チャンバ1内で表面波プラズマが形成されるようになっている。
導波路44は、筒状の外側導体52およびその中心に設けられた筒状の内側導体53が同軸状に配置されて構成されており、導波路44の先端にアンテナ部43が設けられている。導波路44は、内側導体53が給電側、外側導体52が接地側となっている。外側導体52および内側導体53の上端には反射板58が設けられている。
導波路44の基端側にはマイクロ波(電磁波)を給電する給電機構54が設けられている。給電機構54は、導波路44(外側導体52)の側面に設けられたマイクロ波電力を導入するためのマイクロ波電力導入ポート55を有している。マイクロ波電力導入ポート55には、アンプ部42から増幅されたマイクロ波を供給するための給電線として、内側導体56aおよび外側導体56bからなる同軸線路56が接続されている。そして、同軸線路56の内側導体56aの先端には、外側導体52の内部に向けて水平に伸びる給電アンテナ90が接続されている。
給電アンテナ90は、例えば、アルミニウム等の金属板を削り出し加工した後、テフロン(登録商標)等の誘電体部材の型にはめて形成される。反射板58から給電アンテナ90までの間には、反射波の実効波長を短くするためのテフロン(登録商標)等の誘電体からなる遅波材59が設けられている。なお、2.45GHz等の周波数の高いマイクロ波を用いた場合には、遅波材59は設けなくてもよい。このとき、給電アンテナ90から放射される電磁波を反射板58で反射させることで、最大の電磁波を同軸構造の導波路44内に伝送させる。その場合、給電アンテナ90から反射板58までの距離を約λg/4の半波長倍に設定する。ただし、周波数の低いマイクロ波では、径方向の制約のため、これに当てはまらない場合もある。その場合には、給電アンテナ90より発生させる電磁波の腹を給電アンテナ90ではなく、給電アンテナ90の下方に誘起させるように、給電アンテナの形状を最適化することが好ましい。
給電アンテナ90は、図4に示すように、マイクロ波電力導入ポート55において同軸線路56の内側導体56aに接続され、電磁波が供給される第1の極92および供給された電磁波を放射する第2の極93を有するアンテナ本体91と、アンテナ本体91の両側から、内側導体53の外側に沿って延び、リング状をなす反射部94とを有し、アンテナ本体91に入射された電磁波と反射部94で反射された電磁波とで定在波を形成するように構成されている。アンテナ本体91の第2の極93は内側導体53に接触している。
給電アンテナ90がマイクロ波(電磁波)を放射することにより、外側導体52と内側導体53との間の空間にマイクロ波電力が給電される。そして、給電機構54に供給されたマイクロ波電力がアンテナ部43に向かって伝播する。
導波路44にはチューナ60が設けられている。チューナ60は、チャンバ1内の負荷(プラズマ)のインピーダンスをマイクロ波出力部30におけるマイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるものであり、外側導体52と内側導体53との間の導波路44に沿って上下に移動する2つのスラグ61a,61bと、反射板58の外側(上側)に設けられたスラグ駆動部70とを有している。
これらスラグのうち、スラグ61aはスラグ駆動部70側に設けられ、スラグ61bはアンテナ部43側に設けられている。また、内側導体53の内部空間には、その長手方向に沿って例えば台形ネジが形成された螺棒からなるスラグ移動用の2本のスラグ移動軸64a,64bが設けられている。
スラグ61aは、図5に示すように円環状をなし、誘電体からなり、その内側に滑り性を有する樹脂からなる滑り部材63が嵌め込まれている。滑り部材63にはスラグ移動軸64aが螺合するねじ穴65aとスラグ移動軸64bが挿通される通し穴65bが設けられている。一方、スラグ61bは、スラグ61aと同様、ねじ穴65aと通し穴65bとを有しているが、スラグ61aとは逆に、ねじ穴65aはスラグ移動軸64bに螺合され、通し穴65bにはスラグ移動軸64aが挿通されるようになっている。これによりスラグ移動軸64aを回転させることによりスラグ61aが昇降移動し、スラグ移動軸64bを回転させることによりスラグ61bが昇降移動する。すなわち、スラグ移動軸64a,64bと滑り部材63とからなるねじ機構によりスラグ61a,61bが昇降移動される。
図6に示すように、内側導体53には長手方向に沿って等間隔に3つのスリット53aが形成されている。一方、滑り部材63は、これらスリット53aに対応するように3つの突出部63aが等間隔に設けられている。そして、これら突出部63aがスラグ61a,61bの内周に当接した状態で滑り部材63がスラグ61a,61bの内部に嵌め込まれる。滑り部材63の外周面は、内側導体53の内周面と遊びなく接触するようになっており、スラグ移動軸64a,64bが回転されることにより、滑り部材63が内側導体53を滑って昇降するようになっている。すなわち内側導体53の内周面がスラグ61a,61bの滑りガイドとして機能する。なお、スリット53aの幅は5mm以下とすることが好ましい。これにより、後述するように内側導体53の内部へ漏洩するマイクロ波電力を実質的になくすことができ、マイクロ波電力の放射効率を高く維持することができる。
滑り部材63を構成する樹脂材料としては、良好な滑り性を有し、加工が比較的容易な樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を好適なものとして挙げることができる。
上記スラグ移動軸64a,64bは、反射板58を貫通してスラグ駆動部70に延びている。スラグ移動軸64a,64bと反射板58との間にはベアリング(図示せず)が設けられている。また、内側導体53の下端には、導体からなる軸受け部67が設けられており、スラグ移動軸64a,64bの下端はこの軸受け部67に軸支されている。
スラグ駆動部70は筐体71を有し、スラグ移動軸64aおよび64bは筐体71内に延びており、スラグ移動軸64aおよび64bの上端には、それぞれ歯車72aおよび72bが取り付けられている。また、スラグ駆動部70には、スラグ移動軸64aを回転させるモータ73aと、スラグ移動軸64bを回転させるモータ73bが設けられている。モータ73aの軸には歯車74aが取り付けられ、モータ73bの軸には歯車74bが取り付けられており、歯車74aが歯車72aに噛合し、歯車74bが歯車72bに噛合するようになっている。したがって、モータ73aにより歯車74aおよび72aを介してスラグ移動軸64aが回転され、モータ73bにより歯車74bおよび72bを介してスラグ移動軸64bが回転される。なお、モータ73a,73bは例えばステッピングモータである。
なお、スラグ移動軸64bはスラグ移動軸64aよりも長く、より上方に達しており、したがって、歯車72aおよび72bの位置が上下にオフセットしており、モータ73aおよび73bも上下にオフセットしている。これにより、モータおよび歯車等の動力伝達機構のスペースを小さくすることができ、これらを収容する筐体71を外側導体52と同じ径にすることが可能となる。
モータ73aおよび73bの上には、これらの出力軸に直結するように、それぞれスラグ61aおよび61bの位置を検出するためのインクリメント型のエンコーダ75aおよび75bが設けられている。
スラグ61aおよび61bの位置は、スラグコントローラ68により制御される。具体的には、図示しないインピーダンス検出器により検出された入力端のインピーダンス値と、エンコーダ75aおよび75bにより検知されたスラグ61aおよび61bの位置情報に基づいて、スラグコントローラ68がモータ73aおよび73bに制御信号を送り、スラグ61aおよび61bの位置を制御することにより、インピーダンスを調整するようになっている。スラグコントローラ68は、終端が例えば50Ωになるようにインピーダンス整合を実行させる。2つのスラグのうち一方のみを動かすと、スミスチャートの原点を通る軌跡を描き、両方同時に動かすと位相のみが回転する。
アンテナ部43は、マイクロ波を放射するスロット81aを有し平面状をなす、表面波プラズマを発生するための表面波プラズマ発生用アンテナ81を有している。表面波プラズマ発生用アンテナは、銅やアルミニウム等の金属板からなる。また、アンテナ部43は、表面波プラズマ発生用アンテナ81の上面側および下面側にそれぞれ設けられた遅波材82および83を有している。遅波材82の中心には導体からなる円柱部材82aが貫通して軸受け部67と表面波プラズマ発生用アンテナ81とを接続している。したがって、内側導体53が軸受け部67および円柱部材82aを介して表面波プラズマ発生用アンテナ81に接続されている。なお、外側導体52の下端は表面波プラズマ発生用アンテナ81まで延びており、遅波材82の周囲は外側導体52で覆われている。また、表面波プラズマ発生用アンテナ81および遅波材83の周囲は被覆導体84で覆われている。
遅波材82、83は、真空よりも大きい誘電率を有しており、例えば、石英、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂により構成されており、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてアンテナを小さくする機能を有している。遅波材82は、その厚さによりマイクロ波の位相を調整することができ、表面波プラズマ発生用アンテナ81が定在波の「はら」になるようにその厚さを調整する。これにより、反射が最小で、表面波プラズマ発生用アンテナ81の放射エネルギーが最大となるようにすることができる。
また、アンテナ部43は上述した天板85に嵌め込まれており、図示しないOリング等のシール部材でシールされている。天板85は、例えば石英やセラミックス等の誘電体部材からなり、真空シール部材として機能する。そして、メインアンプ47で増幅されたマイクロ波が内側導体53と外側導体52の周壁の間を通って表面波プラズマ発生用アンテナ81から遅波材83を透過してチャンバ1内の空間に放射される。
本実施形態において、メインアンプ47と、チューナ60と、表面波プラズマ発生用アンテナ81とは近接配置している。そして、チューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とは1/2波長内に存在する集中定数回路を構成しており、かつ表面波プラズマ発生用アンテナ81、遅波材82、遅波材83は合成抵抗が50Ωに設定されているので、チューナ60はプラズマ負荷に対して直接チューニングしていることになり、効率良くプラズマへエネルギーを伝達することができる。
上述したガス供給機構100のガス供給源101には、ガス供給配管102が接続されており、ガス供給配管102は各マイクロ波導入機構41に対応するように分岐し、分岐したガス供給配管102が導波路44の上端の反射板58の側面から挿入され、反射板58の内部を通って内側導体53の内部まで延びている。一方、内側導体53の内部には、ガス供給配管102に接続され、長手方向に沿って表面波プラズマ発生用アンテナ81まで延びるガス供給配管103が設けられている。遅波材83の表面波プラズマ発生用アンテナ81の直下部分には円板状をなすガス拡散空間105が形成されており、ガス供給配管103は表面波プラズマ発生用アンテナ81を貫通してこのガス拡散空間105まで達している。また、遅波材83にはガス拡散空間105から下方に延びる多数のガス吐出孔106が形成されている。ガス吐出孔106はチャンバ1内に臨むように形成されており、ガス供給源101から供給されたプラズマ生成ガスおよび処理ガスが、ガス吐出孔106からチャンバ1内に吐出されるようになっている。すなわち、遅波材83の対応部分は、ガスを吐出するためのシャワーヘッドを構成している。なお、処理ガスとして腐食性のガスを用いるときは、表面波プラズマ発生用アンテナ81の表面にイットリアやアルマイト(陽極酸化アルミニウム)等の保護層を形成することが好ましい。
図5に示すように、上記滑り部材63には、ガス供給配管103が挿通される挿通孔104が形成されている。挿通孔104はガス供給配管103が接触しない程度の大きさの直径を有している。ただし、ガス供給配管103と挿通孔104の内周とが遊びなく接触するようになっていていてもよく、この場合には、ガス供給配管103を滑り部材63のガイド部材として機能させることができる。
<表面波プラズマ処理装置の動作>
次に、以上のように構成される表面波プラズマ処理装置10における動作について説明する。
次に、以上のように構成される表面波プラズマ処理装置10における動作について説明する。
まず、ウエハWをチャンバ1内に搬入し、サセプタ11上に載置する。そして、ガス供給機構100のガス供給源101からガス供給配管102,103、ガス拡散空間105およびガス吐出孔106を介してチャンバ1内にプラズマ生成ガス、例えばArガスを導入しつつ、マイクロ波プラズマ源2からマイクロ波をチャンバ1内に導入して表面波プラズマを生成する。
このようにして表面波プラズマを生成した後、プラズマ処理のための処理ガスが、ガス供給機構100のガス供給源101からガス供給配管102,103、ガス拡散空間105およびガス吐出孔106を介してチャンバ1内に導入される。処理ガスはチャンバ1内に生成されているプラズマにより励起されてプラズマ化し、この処理ガスのプラズマによりウエハWに所定のプラズマ処理が施される。
プラズマ処理としては成膜処理およびエッチング処理が例示される。プラズマ処理が成膜処理の場合には、処理ガスとして、反応により所定の膜が成膜されるものが用いられる。例えば、Ti膜を成膜する際には、TiCl4ガスとH2ガスが用いられ、TiN膜が成膜される場合にはTiCl4およびNH3ガスが用いられる。また、プラズマ処理がエッチング処理の場合には、エッチングガスとして例えばCF4ガスやCl2ガスが用いられる。そして、エッチング処理の際には、異方性の高いエッチングを行う観点から、サセプタ11に高周波電源を接続してウエハW側にプラズマ中のイオンを引きこむための高周波バイアスを印加することが好ましい。
上記表面波プラズマを生成するに際し、マイクロ波プラズマ源2では、マイクロ波出力部30のマイクロ波発振器32から発振されたマイクロ波電力はアンプ33で増幅された後、分配器34により複数に分配され、分配されたマイクロ波電力はマイクロ波供給部40へ導かれる。マイクロ波供給部40においては、このように複数に分配されたマイクロ波電力は、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47で個別に増幅され、マイクロ波導入機構41の導波路44に給電され、チューナ60でインピーダンスが自動整合され、電力反射が実質的にない状態で、アンテナ部43の表面波プラズマ発生用アンテナ81および遅波材83を介してチャンバ1内に放射されて空間合成される。
マイクロ波導入機構41の導波路44への給電は、同軸構造の導波路44の軸の延長線上にスラグ駆動部70が設けられているため、側面から行われる。すなわち、同軸線路56から伝播してきたマイクロ波(電磁波)が、導波路44の側面に設けられたマイクロ波電力導入ポート55において給電アンテナ90の第1の極92に到達すると、アンテナ本体91に沿ってマイクロ波(電磁波)が伝播して行き、アンテナ本体91の先端の第2の極93からマイクロ波(電磁波)を放射する。また、アンテナ本体91を伝播するマイクロ波(電磁波)が反射部94で反射し、それが入射波と合成されることにより定在波を発生させる。給電アンテナ90の配置位置で定在波が発生すると、内側導体53の外壁に沿って誘導磁界が生じ、それに誘導されて誘導電界が発生する。これらの連鎖作用により、マイクロ波(電磁波)が導波路44内を伝播し、アンテナ部43へ導かれる。
このとき、導波路44において、給電アンテナ90から放射されるマイクロ波(電磁波)を反射板58で反射させることで最大のマイクロ波(電磁波)電力を同軸構造の導波路44に伝送することができるが、その場合、反射波との合成を効果的に行うために給電アンテナ90から反射板58までの距離が約λg/4の半波長倍になるようにすることが好ましい。
このように複数に分配されたマイクロ波を、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47で個別に増幅し、表面波プラズマ発生用アンテナ81を用いて個別に放射した後にチャンバ1内で合成するので、大型のアイソレータや合成器が不要となる。
また、マイクロ波導入機構41は、アンテナ部43とチューナ60とが一体となっているので、極めてコンパクトである。このため、マイクロ波プラズマ源2自体をコンパクト化することができる。さらに、メインアンプ47、チューナ60および表面波プラズマ発生用アンテナ81が近接して設けられ、特にチューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とは集中定数回路として構成することができ、かつ表面波プラズマ発生用アンテナ81、遅波材82、遅波材83の合成抵抗を50Ωに設計することにより、チューナ60により高精度でプラズマ負荷をチューニングすることができる。また、チューナ60は2つのスラグ61a,61bを移動するだけでインピーダンス整合を行うことができるスラグチューナを構成しているのでコンパクトで低損失である。さらに、このようにチューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とが近接し、集中定数回路を構成してかつ共振器として機能することにより、表面波プラズマ発生用アンテナ81に至るまでのインピーダンス不整合を高精度で解消することができ、実質的に不整合部分をプラズマ空間とすることができるので、チューナ60により高精度のプラズマ制御が可能となる。
さらにまた、スラグを駆動させるための駆動伝達部、駆動ガイド部、保持部に相当するものを内側導体53の内部に設けたので、スラグ61a,61bの駆動機構を小型化することができ、マイクロ波導入機構41を小型化することができる。
本実施形態においては、プラズマ処理に用いるガスをチャンバ1の上方のマイクロ波プラズマ源2から供給するので、チャンバ壁からガスを導入する際のような、チャンバの中心部に到達するガスの割合が低い、ガスの均一性が低いといった不都合を回避することができ、ガスの消費効率を格段に高めることができ、かつ処理の均一性を高くすることができる。CVD成膜のような化学反応を種としたプラズマ処理を行う場合には、非常に高いガスの均一性が要求され、従来のようにガスをチャンバ壁から導入する手法では所望の均一性を得ることが困難であったが、本実施形態のようにチャンバ1の上方のマイクロ波プラズマ源2からガスを導入することにより、このような従来困難であった処理が可能となる。
従来は、この種のマイクロ波プラズマ源2からガスを供給することは行われていなかったが、本実施形態のように、マイクロ波導入機構41内の内側導体53の内部にガス供給配管103を設け、アンテナ部43の先端側の遅波材83にガス吐出孔106を設けて、ガスを吐出するようにしたので、配管スペースを新たに設けることなく、マイクロ波導入機構41のコンパクトさを保持したまま、チャンバ1の上方からチャンバ1内へのガス導入が可能となる。また、マイクロ波を放射する表面波プラズマ発生用アンテナ81直下の遅波材83にガス吐出孔106が設けられるので、放射されるマイクロ波の伝播経路と吐出されたガスの流れ方向が重なり、ガスを効率的にプラズマ化することができる。このとき、本実施形態では、マイクロ波導入機構41へマイクロ波を給電する給電機構54に近接してガス導入部が設けられているので、給電機構54とガス導入部をユニット化することにより、極めてメンテナンス性が高く、よりコンパクトなものとすることができる。
<他の実施形態>
次に、他の実施形態について説明する。
ここでは、CVD成膜等のように2種類のガスを反応させるような場合に、これらガスがチャンバ1内に吐出されるまでの間に反応してしまうことを防止できる構成について説明する。
次に、他の実施形態について説明する。
ここでは、CVD成膜等のように2種類のガスを反応させるような場合に、これらガスがチャンバ1内に吐出されるまでの間に反応してしまうことを防止できる構成について説明する。
図7は本発明の他の実施形態に係る表面波プラズマ処理装置に用いるマイクロ波導入機構の一部を示す縦断面図、図8は図7のマイクロ波導入機構を示す横断面図である。なお、図7においては、便宜上、スラグ61a、61bを移動するための機構は省略している。また、ガス供給機構以外の構成は先の実施形態と同様であるから同じものには同じ符号を付して説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態においては、マイクロ波プラズマ源2はガス供給機構100′を有し、このガス供給機構100′は第1ガス供給源101aと第2ガス供給源101bとを有する。第1ガス供給源101aは、プラズマ生成ガス、例えばArガスと、第1の処理ガスを供給するものであり、第2ガス供給源101bは、同じくプラズマ生成ガス、例えばArガスと、第2の処理ガスを供給するものである。第1の処理ガスと第2の処理ガスは、CVD成膜ガスのような化学反応を生じるものであり、例えば、第1の処理ガスがTiCl4であり、第2の処理ガスがNH3であって、これらによりTiN膜を成膜するものを挙げることができる。
第1ガス供給源101aにはガス供給配管102aが接続されており、ガス供給配管102aは導波路44の上端の反射板58の側面から挿入され、反射板58の内部を通って内側導体53の内部まで延びており、第2ガス供給源101bにはガス供給配管102bが接続されており、ガス供給配管102bは同じく導波路44の上端の反射板58の側面から挿入され、反射板58の内部を通って内側導体53の内部まで延びている。一方、内側導体53の内部には、ガス供給配管102aおよび102bにそれぞれ接続され、長手方向に沿って表面波プラズマ発生用アンテナ81まで延びるガス供給配管103aおよび103bが設けられている。マイクロ波導入機構41が複数存在するときには、第1ガス供給源101aに接続されるガス供給配管102aおよび第2ガス供給源101bに接続されるガス供給配管102bはそれぞれ分岐して各マイクロ波導入機構41に接続される。
図8に示すように、上記滑り部材63には、ガス供給配管103aおよび103bが挿通される挿通孔104aおよび104bが形成されている。挿通孔104aおよび104bはガス供給配管103aおよび103bが接触しない程度の大きさの直径を有している。
遅波材83の表面波プラズマ発生用アンテナ81の直下部分には円板状をなす第1のガス拡散空間105aが形成されており、遅波材83内部の第1のガス拡散空間105aの下方には第2のガス拡散空間105bが形成されている。そして、ガス供給配管103aは表面波プラズマ発生用アンテナ81を貫通してガス拡散空間105aまで達しており、ガス供給配管103bは表面波プラズマ発生用アンテナ81および第1のガス拡散空間105aを貫通して第2のガス拡散空間105bまで達している。また、遅波材83には、第1のガス拡散空間105aから下方に延びる多数の第1のガス吐出孔106aが形成されており、また、第2のガス拡散空間105bから下方に延びる多数の第2のガス吐出孔106bが形成されている。第1および第2のガス吐出孔106aおよび106bは、チャンバ1内に臨むように形成されている。したがって、第1ガス供給源101aから供給されたプラズマ生成ガスおよび第1の処理ガスは、ガス供給配管102a、103a、および第1のガス拡散空間105aを経て第1のガス吐出孔106aからチャンバ1内に吐出され、第2ガス供給源101bから供給されたプラズマ生成ガスおよび第2の処理ガスは、ガス供給配管102b、103b、および第2のガス拡散空間105bを経て第1のガス吐出孔106bからチャンバ1内に吐出されるようになっており、第1の処理ガスと第2の処理ガスとはチャンバ1内に吐出されるまで全く別個に供給されるポストミックスタイプのシャワーヘッドを構成している。
このため、第1の処理ガスと第2の処理ガスとがガス供給配管内や拡散空間内、ガス吐出孔内で接触して反応することが防止され、これらの中で副生成物の生成等が生じることを防止することができる。
<実施形態の効果>
以上の本発明の実施形態によれば、表面波プラズマ処理に用いるガスを、マイクロ波導入機構の内側導体の内部のガス供給配管を介してアンテナ部に設けられたシャワーヘッドからチャンバ内に供給するので、チャンバの上方からチャンバ内にガスを供給することができ、チャンバ壁からガスを導入する際のような、チャンバの中心部に到達するガスの割合が低い、ガスの均一性が低いといった不都合を回避することができる。また、マイクロ波導入機構内の内側導体の内部にガス供給配管を設け、アンテナ部の先端側にシャワーヘッドを設けて、ガスを吐出するようにしたので、配管スペースを新たに設けることなく、マイクロ波導入機構のコンパクトさを保持したまま、上方からのチャンバ内へのガス導入が可能となる。
以上の本発明の実施形態によれば、表面波プラズマ処理に用いるガスを、マイクロ波導入機構の内側導体の内部のガス供給配管を介してアンテナ部に設けられたシャワーヘッドからチャンバ内に供給するので、チャンバの上方からチャンバ内にガスを供給することができ、チャンバ壁からガスを導入する際のような、チャンバの中心部に到達するガスの割合が低い、ガスの均一性が低いといった不都合を回避することができる。また、マイクロ波導入機構内の内側導体の内部にガス供給配管を設け、アンテナ部の先端側にシャワーヘッドを設けて、ガスを吐出するようにしたので、配管スペースを新たに設けることなく、マイクロ波導入機構のコンパクトさを保持したまま、上方からのチャンバ内へのガス導入が可能となる。
<他の適用>
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の思想の範囲内において種々変形可能である。例えば、マイクロ波出力部30やマイクロ波供給部40の構成等は、上記実施形態に限定されるものではない。具体的には、アンテナから放射されるマイクロ波の指向性制御を行ったり円偏波にしたりする必要がない場合には、位相器は不要である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の思想の範囲内において種々変形可能である。例えば、マイクロ波出力部30やマイクロ波供給部40の構成等は、上記実施形態に限定されるものではない。具体的には、アンテナから放射されるマイクロ波の指向性制御を行ったり円偏波にしたりする必要がない場合には、位相器は不要である。
また、上記実施形態においては、プラズマ処理装置として成膜装置およびエッチング処理装置を例示したが、これに限らず、酸窒化膜処理、アッシング処理等の他のプラズマ処理にも用いることができる。また、上記実施形態においてプラズマ生成ガスおよび処理ガスとして挙げたものは例示に過ぎず、本発明の趣旨からはこれらは特に限定されるものではない。また、上記実施形態ではプラズマ生成ガスと処理ガスの両方を導入する例を示したが、処理ガスにプラズマ生成ガスの機能を持たせて処理ガスのみを導入するようにしてもよい。さらに、被処理基板は半導体ウエハに限定されず、LCD(液晶ディスプレイ)用基板に代表されるFPD(フラットパネルディスプレイ)基板や、セラミックス基板等の他の基板であってもよい。
Claims (13)
- 被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内にガスを供給するガス供給機構と、
マイクロ波を生成するマイクロ波生成機構および生成されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を有し、前記チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスにより表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源と
を具備し、
前記チャンバ内の被処理基板に対して表面波プラズマにより処理を施す表面波プラズマ処理装置であって、
前記マイクロ波導入機構は、
筒状をなす外側導体とその中に同軸的に設けられた筒状をなす内側導体とを有しマイクロ波を伝送する導波路と、
前記導波路を伝送されたマイクロ波を前記チャンバ内に放射して表面波プラズマを発生させるための表面波発生用アンテナを有するアンテナ部と
を備え、
前記ガス供給機構は、
ガス供給源と、
前記ガス供給源からのガスを前記導波路の前記内側導体の内部を通って前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に供給するガス供給配管と、
前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に設けられ、前記ガス供給配管からのガスを吐出する多数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
を備える、表面波プラズマ処理装置。 - 前記マイクロ波プラズマ源は、前記マイクロ波導入機構を複数備え、各マイクロ波導入機構から前記チャンバ内に導入されたマイクロ波が空間合成される、請求項1に記載の表面波プラズマ処理装置。
- 前記アンテナ部は、前記表面波プラズマ発生用アンテナの先端側に設けられた誘電体部材を有し、前記シャワーヘッドは前記誘電体部材に形成されている、請求項1に記載の表面波プラズマ処理装置。
- 前記ガス供給源は、それぞれ独立して設けられた第1ガス供給源および第2ガス供給源を有し、前記ガス供給配管は、前記第1ガス供給源および第2ガス供給源からそれぞれ第1のガスおよび第2のガスを供給する第1ガス供給配管および第2ガス供給配管を有し、前記シャワーヘッドは、前記第1ガス供給配管からの第1のガスおよび前記第2ガス供給配管からの第2のガスをそれぞれ吐出する第1ガス吐出孔および第2ガス吐出孔を有する、請求項1に記載の表面波プラズマ処理装置。
- 前記マイクロ波生成機構はマイクロ波電源を備え、前記マイクロ波導入機構は、前記チャンバ内の負荷のインピーダンスを前記マイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナをさらに備え、前記チューナは、前記外側導体と前記内側導体の間に設けられ、前記内側導体の長手方向に沿って移動可能な、環状をなし、誘電体からなるスラグと、前記スラグを移動させる駆動機構とを有する、請求項1に記載の表面波プラズマ処理装置。
- 前記駆動機構は、駆動力を与える駆動部と、駆動部からの駆動力を前記スラグに伝達する駆動伝達部と、前記スラグの移動をガイドする駆動ガイド部と、前記スラグを前記駆動伝達部に保持する保持部とを有し、
前記駆動伝達部と、前記駆動ガイド部と、前記保持部が前記内側導体の内部に収容されている、請求項5に記載の表面波プラズマ処理装置。 - チャンバ内にマイクロ波を導入して表面波プラズマを形成するためのマイクロ波プラズマ源において、マイクロ波出力部から出力されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構であって、
筒状をなす外側導体とその中に同軸的に設けられた筒状をなす内側導体とを有しマイクロ波を伝送する導波路と、
前記導波路を伝送されたマイクロ波を前記チャンバ内に放射して表面波プラズマを発生させるための表面波発生用アンテナを有するアンテナ部と、
表面波プラズマを生成するためのガスを前記導波路の前記内側導体の内部を通って前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に供給するガス供給配管と、
前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に設けられ、前記ガス供給配管からのガスを吐出する多数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
を備える、マイクロ波導入機構。 - 前記アンテナ部は、前記表面波プラズマ発生用アンテナの先端側に設けられた誘電体部材を有し、前記シャワーヘッドは前記誘電体部材に形成されている、請求項7に記載のマイクロ波導入機構。
- 前記ガス供給配管は、それぞれ第1のガスおよび第2のガスを供給する第1ガス供給配管および第2ガス供給配管を有し、前記シャワーヘッドは、前記第1ガス供給配管からの第1のガスおよび前記第2ガス供給配管からの第2のガスをそれぞれ吐出する第1ガス吐出孔および第2ガス吐出孔を有する、請求項7に記載のマイクロ波導入機構。
- 前記チャンバ内の負荷のインピーダンスを前記マイクロ波プラズマ源が有するマイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナをさらに備え、前記チューナは、前記外側導体と前記内側導体の間に設けられ、前記内側導体の長手方向に沿って移動可能な、環状をなし、誘電体からなるスラグと、前記スラグを移動させる駆動機構とを有する、請求項7に記載のマイクロ波導入機構。
- 前記駆動機構は、駆動力を与える駆動部と、駆動部からの駆動力を前記スラグに伝達する駆動伝達部と、前記スラグの移動をガイドする駆動ガイド部と、前記スラグを前記駆動伝達部に保持する保持部とを有し、
前記駆動伝達部と、前記駆動ガイド部と、前記保持部が前記内側導体の内部に収容されている、請求項10に記載のマイクロ波導入機構。 - マイクロ波を生成するマイクロ波生成機構および生成されたマイクロ波をチャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を有し、チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスの表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源であって、
前記マイクロ波導入機構は、
筒状をなす外側導体とその中に同軸的に設けられた筒状をなす内側導体とを有しマイクロ波を伝送する導波路と、
前記導波路を伝送されたマイクロ波を前記チャンバ内に放射して表面波プラズマを発生させるための表面波発生用アンテナを有するアンテナ部と、
表面波プラズマを生成するためのガスを前記導波路の前記内側導体の内部を通って前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に供給するガス供給配管と、
前記アンテナ部の前記表面波発生用アンテナよりも先端側部分に設けられ、前記ガス供給配管からのガスを吐出する多数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
を備える、マイクロ波プラズマ源。 - 前記マイクロ波導入機構を複数備え、各マイクロ波導入機構から前記チャンバ内に導入されたマイクロ波が空間合成される、請求項12に記載のマイクロ波プラズマ源。
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2012
- 2012-03-07 WO PCT/JP2012/055816 patent/WO2012121289A1/ja active Application Filing
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