WO2012102094A1 - フィブリンゲル圧延装置 - Google Patents

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Abstract

 誰でも簡単にフィブリンゲルを傷つけずに均一に薄く圧延できる圧延装置を提供する。 フィブリンゲル圧延装置1は、柄部11と押圧用凸部12とを有した第1部材10と、柄部21と押圧用凸部に対応した形状を成す収容用凹部22とを有した第2部材20と、を備える。第1・第2部材は、押圧用凸部と収容用凹部との離間距離dを変更自在に調節してフィブリンゲル30を収容し圧延できるよう、互いに部分的に結合又は回転可能に支持されていることを特徴とする。また、フィブリンゲル30を圧延したときに離間距離dが1mm~2mmとなるように、凸部12と凹部22との間に形状差を設け、若しくは柄部11,21の少なくとも一方にストッパー部材を設けることが好ましい。また、収容用凹部22、押圧用凸部12、又は、これらの凹部及び凸部、の一部に多数の微小穴25等の滑り止め面が形成されていることが好ましい。

Description

フィブリンゲル圧延装置
 本発明は、再生治療用多血小板血漿から調整されたフィブリンゲルを圧縮して均一の薄さに延ばす圧延装置に関するものである。
 近年、患者の血液から調製した多血小板血漿(Platelet Rich Plasma:PRP)が、歯周病等の再生治療、人工インプラントの埋入や美容外科などの分野で適用され、高い治療成績を上げている。しかし、このPRPは液体状であるため、操作性に劣るとともに、ある部位の組織に留まりながら持続的に効果を引き出す能力に劣る。
 このため、現在までに、Choukrounらによって第二世代のPRPともいわれるゲル状の多血小板フィブリン(Platelet Rich Fibrin:PRF(なお、本明細書では「フィブリンゲル」とも呼ぶ。))の調製法が開発されている(非特許文献1を参照)。フィブリンゲルは、遠心分離機による遠心力と血漿が本来持つ凝固系を利用して作製されたゲル状のものである(図6(a)を参照)。このように、フィブリンゲルは遠心分離の回転数の調節のみでその成形状態が調製されるため、ウシのトロンビン(thrombin)などの動物由来成分やカルシウム(calcium)などの混入が無い上に、適度な柔軟性や付形性を有し、操作性にも優れている。
 日本においても血漿をゲル状化する装置が既に市販され、多くの医療機関に導入されており、最近の歯周病等の再生治療の主流になりつつある(非特許文献2を参照)。
 ところで、この調製したフィブリンゲルを移植する際には、(1)フィブリンゲルをスライスするか、又は(2)ガーゼ等で挟んで指で押し潰す方法が通常、採用されている。しかしながら、前者の方法ではゲル状のものを均一の厚みにスライスすることが非常に難しい。一方、後者の方法では、ガーゼがフィブリンゲルに含まれる増殖因子や栄養分(血漿成分)まで吸収してしまうとともに、フィブリンゲル表面に付着している血小板に損傷を与えてしまうといった欠点が指摘されている。
 本発明者らは早くからフィブリンゲルの研究に取り組んでいるが、前述の押し潰す方法としてガーゼを用いずに二枚のガラス板で押し潰す方法を試験的に採用し、前述のスライスする方法と当該押し潰す方法とを動物実験にて比較した場合に、当該押し潰す方法で作成されたフィブリンゲルにおいて有意な創傷治癒効果を発見している(非特許文献3を参照。なお、非特許文献3では押し潰しの為の具体的構成は開示されていない。)。しかしながら、フィブリンゲルを適切かつ効率的に押し潰すための専用器具については、入手可能な状態では無く、その器具の存在すら不明であった。
Dohan DM, Choukroun J, Diss A, Dohan SL, Dohan AJ, Mouhyi J, Gogly  B. Platelet-rich fibrin (PRF): a second-generation platelet concentrate.  Part I: Technological concepts and evolution. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod, 101: e37-44, 2006. 「供血用遠心分離機メディフュージ」の製品パンフレット(PDF),[online],コアフロント株式会社のホームページ、[平成23年1月28日検索],インターネット〈http://www.corefront.com/pdf/medifuge.pdf〉 中島 悠,川瀬 知之,奥田 一博,吉江 弘正,「多血小板フィブリン(PRF)の創傷治癒に及ぼす効果」,第53回秋季日本歯周病学会学術大会 プログラムおよび講演抄録集,特定非営利活動法人日本歯周病学会学術大会,Vol. 2010f (2010) pp.69
 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、誰でも簡単にフィブリンゲルを傷つけずに均一に薄く圧延できる圧延装置を提供することを目的とする。
 本発明者らは、鋭意検討の末、凹部及び前記凹部に対応する凸部を有する一対の部材(例えば、スプーン状の部材2枚)を利用して独特な構造に加工すれば、フィブリンゲルの圧延に適した専用器具を提供できることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち本発明は、例えば、以下の構成・特徴を備えるものである。
(態様1)
 柄部と、押圧用凸部と、を有した第1部材と、
 柄部と、前記押圧用凸部に対応した形状を成す収容用凹部と、を有した第2部材と、
 を備え、かつ、
 前記第1・第2部材は、前記押圧用凸部と前記収容用凹部との離間距離を変更自在に調節してフィブリンゲルを収容し圧延できるよう、互いに部分的に結合又は回転可能に支持されていることを特徴とするフィブリンゲル圧延装置。
(態様2)
 フィブリンゲルを圧延したときに前記離間距離が1mm~2mmとなるように、前記押圧用凸部の形状と前記収容用凹部の形状との間に形状差を設け、若しくは前記柄部の少なくとも一方にストッパー部材を設けたことを特徴とする態様1に記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様3)
 前記収容用凹部、前記押圧用凸部、又は、前記収容用凹部及び前記押圧用凸部、の一部に滑り止め面が形成されていることを特徴とする態様1又は2に記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様4)
 前記滑り止め面は多数の微小穴によって形成されていることを特徴とする態様3に記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様5)
 前記微小穴が貫通穴であることを特徴とする態様4に記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様6)
 前記微小穴は0.4mm~1.0mmの直径を有し、かつ、0.05~0.2個/mmの穴密度で設けられていることを特徴とする態様4又は5に記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様7)
 前記押圧用凸部と前記収容用凹部とは、匙状に形成されていることを特徴とする態様1~6のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様8)
 前記押圧用凸部と前記収容用凹部とが、前記離間距離を変更自在に保ちながら上下に重ね合わせられるよう、互いの前記柄部の他端にて結合されていることを特徴とする態様1~7のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様9)
 前記第1・第2部材は、紙、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合合成樹脂)、PE(ポリエチレン)、PS(スチロール)、PVC(塩化ビニール)、MA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、及びPC(ポリカーボネート)の少なくとも一つを含んだ部材であり、かつ、前記フィブリンゲル圧延装置がディスポーザブルであることを特徴とする態様1~8のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様10)
 前記第1・第2部材は、ステンレス、チタン、アルミニウム、PP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、及びPC(ポリカーボネート)の少なくとも一つを含んだ部材であり、前記フィブリンゲル圧延装置に対して滅菌処理又は超音波洗浄が可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
(態様11)
 前記フィブリンゲル圧延装置に滅菌処理が予め施されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
 本発明によれば、フィブリンゲルをスライスすることなく、以上のような構成の専用器具で圧縮してその密度を高めているため、移植後のフィブリンゲルの治癒速度つまり治癒効果(言い換えれば、移植されたフィブリンゲルが周囲の創傷部分を治癒する能力)を向上させることができる。また、従来のガーゼでの押し潰しで指摘されていたフィブリンゲルに含まれる増殖因子や血漿等の栄養分の喪失やフィブリンゲル表面に付着した血小板の損傷等の問題を引き起こすことなく、フィブリンゲルを傷めずに均一な厚みに延ばすことができる。
 また、本発明の好適な態様の圧延装置では、フィブリンゲルを圧延したときに(押圧用凸部と収容用凹部との間を閉じた状態にしたとき)、これらの凸部と凹部との離間距離(つまり隙間)が若干残る(1mm~2mm程度となる)ように凸部の形状と凹部の形状との間に形状差を設け、若しくは柄部の少なくとも一方にストッパー部材を設けた構成を採用するため、圧延時にフィブリンゲルからしみ出る水分(血漿成分)を装置側面から適切に排出することが可能となる。
 また、本発明の好適な態様の圧延装置では、収容用凹部、押圧用凸部、又はこれらの双方の部材、の一部に滑り止め面が形成されているために、フィブリンゲルを圧延する際に、採取時や圧延時にフィブリンゲルを適切に把持することが可能になる(滑り止めの効果)。
 特に、上述の滑り止め面を多数の微小穴で形成した好適な態様では、上記滑り止め効果に加えて、これらの微小穴を通してフィブリンゲルからしみ出る水分を適度に排出可能となるなどの別の有利な作用効果も実現される。
 また、本発明の好適な態様の圧延装置は、2枚のスプーン状部材を組み合せただけのシンプルな構成であるため、誰にでも簡単に操作し易いものである。また、このような構成であるため、生産コストを抑えられる。また、押圧用凸部と収容用凹部とが、離間距離を変更自在に保ちながら上下に重ね合わせられるよう、互いの柄部の他端にて結合されている構成を採用した構成では、フィブリンゲルの採取や圧延の操作が著しく容易になる。
 また、本発明の好適な態様の圧延装置は、第1・第2部材は、紙、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合合成樹脂)、PE(ポリエチレン)、PS(スチロール)、PVC(塩化ビニール)、MA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、及びPC(ポリカーボネート)の少なくとも一つを含んだ部材であるため、歯科医療分野等で主流となりつつあるディスポーザブル化にも本発明のフィブリンゲル圧延装置が対応となる。
 従来のガーゼは押し潰しの為に一旦使用されれば、通常、廃棄処分されるものであったが、本発明の好適な態様の圧延装置は、ステンレス、チタン、及び、アルミニウム、PP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、及びPC(ポリカーボネート)の少なくとも一つを含んだ部材であるため、洗浄や滅菌処理を施すことで何回も使用することができ、環境調和の面でも優れている。
 さらに、本発明の好適な態様によれば、フィブリンゲル圧延装置に滅菌処理が予め施されている構成を採用するため、手術等の業務の効率化をさらに促進することが可能になる。
実施例1のフィブリンゲル圧延装置の概略を示した斜視図である。 図2(a)に実施例1のフィブリンゲル圧延装置の平面図を示し、図2(b)に正面図を示し、図2(c)に底面図を示す。 実施例1のフィブリンゲル圧延装置の使用状態を説明した図であり、図3(a)に開放状態の装置の断面図を示し、図3(b)に圧縮状態の装置の断面図を示す。 実施例2のフィブリンゲル圧延装置の概略を示した斜視図である。 図5(a)に実施例2のフィブリンゲル圧延装置の平面図を示し、図5(b)に装置を開いた状態の断面図を示し、図5(c)に装置を閉じた断面図を示す。 圧延前後のフィブリンゲルを示した画像を示した図である。 本発明の装置により圧延されたフィブリンゲル(圧延PRF)を示した拡大画像(SEM画像)である。 通常のガーゼにより圧延されたフィブリンゲルを示したSEM画像である。 検証実験のマウス背部皮膚全層欠損モデルと、肉芽組織の厚さの経時変化と、を示した図である。 圧延PRFの血管形成活性効果を示した検証結果を示した図である。 圧延PRFを用いた歯周再生治療の手術時と手術後の歯槽骨部分を示した画像である。
 以下、添付の図面を参照しながら下記の具体的な実施形態に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何等限定されるものではない。
 (フィブリンゲル)
 本発明のフィブリンゲル圧延装置1にて圧延される対象であるフィブリンゲル30について、先ず、簡単に説明する。図6(a)は、圧延前のフィブリンゲル30を示す。このフィブリンゲル30は、図示のように、遠心分離機による遠心力と血漿が本来持つ凝固系を利用して作成されたゲル状のものである。フィブリンゲル30は遠心分離の回転数の調節のみでその成形状態が調製されるため、ウシのトロンビン(thrombin)などの動物由来成分やカルシウム(calcium)などの混入が無い上に、適度な柔軟性や付形性を有し、操作性にも優れている。
 フィブリンゲル30は、このように有利な特徴を有するため、歯周病等の再生医療や美容外科などの分野にてフィブリンゲル30を使用した治療が主流となりつつある。なお、フィブリンゲル30をゲル状にさせるための遠心分離機の一例として、コアフロント株式会社より商品名「メディフュージ」が市販されている(非特許文献2を参照)。
 フィブリンゲル30を移植する際には、上述したように、術者によってこれをスライスするか、又は、ガーゼで押し潰すことが一般的に行われている。上述したように、押し潰しの際にガーゼがフィブリンゲル30に含まれる増殖因子や栄養分(血漿成分)まで吸収してしまうとともに、フィブリンゲル表面に付着している血小板に損傷を与えてしまうといった欠点が指摘されている。
 (フィブリンゲル圧延装置の概略)
 図1は、実施例1のフィブリンゲル圧延装置1の概略を示した斜視図である。また、図2(a)に実施例1のフィブリンゲル圧延装置1の平面図を示し、図2(b)に正面図を示し、図2(c)に底面図を示す。また、図3は実施例1のフィブリンゲル圧延装置の使用状態を説明した図である。より具体的には、図3(a)は開放状態の装置の断面図を示し、図3(b)は圧縮状態の装置の断面図を示す。
 本発明のフィブリンゲル圧延装置1は、大まかにいえば、第1部材10と第2部材20(実施例1では、第1スプーン状部材10と第2スプーン状部材20)とから構成される。この第1スプーン状部材10は、柄部11と、柄部11の一端11aに連結された押圧用凸部12と、を有する。一方、第2スプーン状部材20も、同様に、柄部21と、柄部21の一端21aに連結された収容用凹部22と、を有する。
 さらに、これらの第1・第2スプーン部材10,20は、押圧用凸部12と収容用凹部22との離間距離dを変更自在に保ちながら上下に重ね合わせられるよう、互いの柄部11,21の他端11b,21bにて結合されていることを特徴とする。
 このように結合された柄部11,21の部分は、通常市販されているピンセットの掴み部に似た機能を発揮する。つまり、他端11b,21bを基点として、柄部11,21は互いに徐々に離れていくため、これらの柄部11,21の先にある凸部12,凹部22は、そのままの状態(力を掛けない開放した状態)で、所定の離間距離dを有する(図2(a))。なお、治療の現場で良く使用するフィブリンゲル30を収容用凹部22の内面23に適切に載置させるには、開放状態の離間距離dは10mm~50mm程度に設定されることが好ましい。なお、柄部11,21が対向する内側表面11d,21d同士は平坦な面であることが好ましく、これにより、第1・第2スプーン部材10,20を押し重ねた状態(閉じた状態)における離間距離dを極力小さくし、より均一な薄さでフィブリンゲル30を圧延することが可能になる。
 柄部11,21の結合は、該結合箇所を基点とした柄部11,21の弾性変形による上記離間距離dの伸縮性(言い換えれば、通常のピンセットと同様の腰)をフィブリンゲル圧延装置1に付与するため、フィブリンゲル30の採取、挟持、又は圧延が容易になる(図2(b)参照)。なお、柄部11,21の結合方法は、特に限定されないが、第1・第2スプーン部材10,20が金属製である場合には、溶接、ビス止め、リベット止め等が製作上好ましい。
 なお、収容用凹部22は、押圧用凸部12に対応した形状(湾曲形状)を有している。このような構成により、収容用凹部22の内面23にフィブリンゲル30を載置し、押圧用凸部12の裏面14を利用してフィブリンゲル30を圧縮した際に、裏面14と内面23との間の離間距離dが概ね面的に均一な距離となるため、フィブリンゲル30を均一な厚み(1~2mm程度)にして圧延することができる(図3(b)参照)。この機能をより効果的に発揮させるためには、第2スプーン状部材20の柄部21も、第1スプーン状部材10の柄部11とほぼ同様の寸法(特に、長さや断面形状)を有することがさらに好ましい。
 但し、第1・第2スプーン部材10,20を完全に押し重ねた状態にしても離間距離dがある程度の距離(例えば、1mm~2mm程度)残るように、凸部11の外面14の湾曲形状と凹部22の内面23の湾曲形状との間に僅かな形状差を設けるか、柄部11,21の少なくとも一方の一部に突起等のストッパー(図示せず)を設けることが好ましい。このように構成することにより、後述する本発明の装置1の圧延操作時に、凸部11と凹部22との隙間からフィブリンゲル30の余分な水分を適切に排出することが可能になる。
 また、凸部12及び凹部22とも、通常の食器で使用されるスプーンのように、平面視で楕円形又は円形を成すとともに、かつ、内面13,23の中央が最も深く凹んでいるように湾曲していることが好ましい。これにより、フィブリンゲル30が収容用凹部22の内面23に載置したり、フィブリンゲル30を圧延したりする際に内面23の中央に留めておくことができる。なお、第1・第2スプーン部材10,20の寸法は、通常の食器用スプーンよりも若干大きいことが好ましい。例えば、凸部12及び凹部22をともに楕円形で構成した場合、長径の寸法は60mm程度であり、柄部11,12の長さは110mm程度であり、第1・第2スプーン部材10,20の全長は180mm程度である。
 (滑り止め面)
 また、本発明の圧延装置1においては、収容用凹部22、押圧用凸部12、又は、これらの凹部22及び凸部12、の一部に滑り止め面が形成されていることが好ましい。この滑り止め面として、例えば、他の部分の面に比べて粗い表面粗さを有した面、連続した凹凸状又は波状の断面形状を有した面、多数の突起(図示せず)を設けた面、多数の微小穴25を穿孔した面などが挙げられる。なお、微小穴25は、貫通穴(図示の例では、収容用凹部22の内面23から外面24まで貫通した穴)でもよく非貫通穴であってもよい。この滑り止め面が設けられていることにより、採取時や圧延時にフィブリンゲル30を適切に把持すること(滑り止めの効果)などの有利な作用効果が実現される。なお、図面に示す実施例1及び2では、滑り止め面は収容用凹部22の一方にのみ形成されている。
 (微小穴)
 上記滑り止め面の形態としてさらに好ましくは、図示のように、収容用凹部22の一部(図示では、中央部分)に多数の微小穴(図示では、貫通穴)25が形成されていることが好ましい。これにより、上記の滑り止め効果の他に、フィブリンゲル30を圧延する際に、収容用凹部22に設けられた微小穴25を通してフィブリンゲル30の水分の一部を適度に排出可能となること、つまり、水分の一部をその自重により滴下させることができる。なお、これらの微小穴25は、ドリル加工や放電加工等の加工技術を用いて形成することができる。
 (微小穴の寸法)
 これらの微小穴25の直径φは、0.4mm~1.0mmの範囲にあることがさらに好ましい。直径φが0.4mm未満となると、上記の滑り止め効果やフィブリンゲルの水分排出効果(排水効果)が実現しにくくなるとともに、後述する洗浄の際にも微小穴25に付着した汚れが落ちにくくなるため、好ましくない。一方、直径φが1.0mmを超えると、圧延されたフィブリンゲル30に目立った跡が付くようになり、つまり圧延後の表面面が平坦になりにくくなるため、好ましくない。
 (微小穴の配置)
 なお、上記好ましい直径φを有した微小穴25を、図2(c)に示すように平面視で長径が約60mmの楕円形を成す凹部22の中央に設けると、合計50個~200個の微小穴25が形成されることになる。図示の例では、微小穴25は多数の列を成すように配置されており、各列の隣接する微小穴25同士のピッチは2mm程度であり、隣り合う列の微小穴25に対して千鳥状にオフセットされている。穴の密度(単位面積当たりに占める穴の個数)に換算すると、0.05~0.2個/mmが好ましい。このような形状及び配置にすることにより、局所的な圧力の増大を抑制しながら、フィブリンゲル30を適切に把持・圧延し、又は、その水分を排出することが可能となる。
 さらに、第1スプーン部材10の柄部11には、指当て部15が設けられていることが好ましい。この指当て部15に術者の親指等を沿えるとともに、他の指を第2スプーン部材20の柄部21にあてがうことにより、フィブリンゲル30の採取や圧延の際に必要な圧縮力や離間距離dを調整し易くなる。つまり、この指当て部15の設置により、フィブリンゲル圧延装置1の操作性が向上する。
 次に、図4及び図5を参照しながら、本発明のもう一つの実施例(実施例2)に係るフィブリンゲル圧延装置1について説明する。図4は、実施例2のフィブリンゲル圧延装置1の概略を示した斜視図である。図5(a)は実施例2のフィブリンゲル圧延装置1の平面図を示す。図5(b)は、図5(a)のA-A線に沿って破断した断面図であり、ピン40を中心に装置1を開いた状態を示す。図5(c)は、ピン40を中心に装置1を閉じた断面図を示す。なお、図4及び図5に示す実施例2の圧延装置1において、実施例1の装置1の構成要素に対応する構成要素には同様の符号を用いている。
 実施例2のフィブリンゲル圧延装置1は、実施例1と同様に、第1部材10と第2部材20とを備える。第1部材10は、柄部11と、フィブリンゲル30に接触してこれを押圧する外面14を有した押圧用凸部12とを備える。一方、第2部材20は、柄部21と、フィブリンゲル30に載置してこれを収容する内面23を有した収容用凹部22と、を有する。
 しかしながら、実施例2においては、柄部11,22の一端11a,21aは、フィブリンゲル30の把持・圧延を行う押圧用凸部12又は収容用凹部22の両側からさらに延びており、互いにピン40よって回転可能に支持されている。なお、図示のように、柄部11,21の外側表面11c,21cは平坦であることが好ましく、これにより、不使用時においても圧延装置1を安定した状態で保管することが可能になる。
 また、押圧用凸部12の外面14は、図5(b)に示すように外側表面11cを地面に固定した状態にすると、ピン40が挿通された端11aから離れる方向に押圧用凸部12の厚さが増すように徐々に傾斜していることが好ましい。これにより、図5(c)に示すようにフィブリンゲル30を収容用凹部22に収容して圧延する際には、収容用凹部22の内面23と、押圧用凸部12の外面14と、を略平行な状態におくことができるため、圧力をより均一にした状態でフィブリンゲル30を圧延でき、均一な薄い厚みを有したフィブリンゲル30を得ることができる。
 また、実施例2の圧延装置1も、実施例1と同様に、実施例1に記載の理由から収容用凹部22の底部中心に多数の微小穴25が形成されていることが好ましい。
 加えて、原材料コストの低減や装置1の軽量化のために、図4に示すように、第1・第2部材10,20の内側表面11d,21dは、内側の材料が削除されて外周壁のみが立設した凹部形状を有するようにしてもよい。また、同様の理由で、第2部材20には、抜き穴26が形成されていてもよい。
 (フィブリンゲル圧延装置の洗浄及び再利用)
 本発明のフィブリンゲル圧延装置1は、上述した実施例1及び2のように、互いに関連する部材を少なくとも2つ組み合せただけのシンプルな構造で実現されているため、オートクレーブ滅菌処理や超音波洗浄を適用することで、装置全体を簡単に洗浄して再利用することができる。第1・第2部材10,20は、このような洗浄に対して耐圧性、耐熱性、や耐腐食性のある材料、例えば、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属やPP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、PC(ポリカーボネート)の少なくとも一つの材料から作られていることが好ましい。
 (ディスポーザブル化に対応したフィブリンゲル圧延装置)
 一方、上述のような耐圧性、耐熱性や耐腐食性のある材料を用いずに本発明の装置1を作製することもできる。例えば、第1・第2部材10,20の材料に紙や上記耐熱性等の無いプラスチック(例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合合成樹脂)、PE(ポリエチレン)、PS(スチロール)、PVC(塩化ビニール)、MA(アクリル)、及びPET(ポリエチレンテレフタレート)の少なくとも一つ)を採用した場合は、一回きりの使い捨てになるが、医療分野においては、ディスポーザブル化が進んでおり、業務の効率化、感染防止の安全面、製造コスト等のメリットが挙げられる。また、再利用可能な樹脂として先に例示したPP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、PC(ポリカーボネート)等の耐熱性・耐薬品性の樹脂材料も、医療分野の現場では一回限りで使い捨てられることも多いため、ディスポーザブル仕様の場合でも使用可能である。
 さらに、第1・第2部材10,20は、フッ素樹脂又はポリメチルメタクリレート(PMMA)により被覆されていることが好ましい。なお、フッ素樹脂には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン‐テトラフルオロエチレンコポリマー)、FEP(パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー)、ECTFE(エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー)、ポリビニリデンフルオライド等が挙げられる。これにより、フィブリンゲル圧延装置1の使用する際に、血液等が付着しにくくなるといった効果が得られる。
 さらに、本発明の装置1(上述の再利用可能な装置やディスポ―ザブル用の装置のいずれでもよい。)に対して、滅菌処理を予め施しておいても良い。この事前滅菌処理は、本発明の装置1の使用前(直前)の洗浄や滅菌の必要を無くし、特にディスポ―ザブルの用途においては、手術等の業務の効率化を著しく促進するため、好ましい。
 事前滅菌処理として、エチレンオキサイドガス滅菌、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、過酸化水素ガス滅菌等が挙げられるが、滅菌処理の容易さの点からはガンマ線滅菌が好ましく、滅菌可能な材料や形状の制約が少ない点から、エチレンオキサイドガス滅菌、電子線滅菌が好ましい。特に、ほとんど全て材料に対して滅菌が可能である点でエチレンオキサイドガス滅菌が最も好ましい。エチレンオキサイドガス滅菌以外の滅菌処理の場合、材料の選択によって、変色・劣化・滅菌剤の吸着などの不具合が生じる場合がある。
 (フィブリンゲル圧延装置を用いたフィブリンゲルの圧延方法)
 次に、本発明のフィブリンゲル圧延装置の使用方法を例示する。ここでは、実施例1にて説明したフィブリンゲル圧延装置1の使用を前提とする。
 (1)先ず、採取した血液(約10ml)を含んだ真空採血管を直接、フィブリンゲル調製用の遠心分離機(例えば、メディフテュージ、製造販売元:コアフロント株式会社、製造元: Silfradent s.r.l., ITALY)に掛け、所定の時間、遠心分離処理を行う。
 (2)遠心分離処理の終了後、ゲル化したフィブリンゲル30を真空採血管からピンセット等で採取し、プラスチック製のシャーレ上に載置する。
 (3)その後、ハサミ等によりフィブリンゲルの一端に付着した赤血球凝集分画を切り取る。
 (4)この時点では、フィブリンゲル30はまだ十分な血漿成分を含んでおり、弾丸状若しくは鱈子状の形態をとっている(図6(a)を参照)。
 (5)フィブリンゲル圧延装置1によりフィブリンゲル30を圧延する。具体的には、装置の収容用凹部22にフィブリンゲルを載置し、その後、押圧用凸部12にてフィブリンゲル30を約10秒間、押圧する。なお、余分な血漿成分(水分)は、自重により微小穴25からも排出するが、排出量が十分ではない場合もあるため、装置1を傾けて、凸部12と凹部22との隙間から軽く水切りするようにして血漿成分を排出することが好ましい。
(圧延後のフィブリンゲルの状態)
 実施例1の装置1を用いて以上の圧延操作を実際に実行してみた。その結果、圧延前のフィブリンゲル30の重量は約1.5gだったのに対し、圧延後の重量は約0.3gとなった。すなわち、約1.2gの血漿成分(水分)がフィブリンゲル30から排出した計算になる。
 図6(b)は、圧延後のフィブリンゲルの全体を示す画像である。図6(b)に示すように、フィブリンゲル30を3つのセクション(それぞれA、B、及びCと命名)に分け、各セクションA,B,Cの表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影した。図中の破線の丸はSEMにより撮影したサンプリング部位を示す。
 図7の(a),(b),(c)は、図6(b)で示したセクションA、B、Cの各サンプリング部位での表面状態を示した拡大画像である。図7の(a)や(b)の画像にて観察された多数の小さな球状体31は血小板であり、この血小板より比較的大きな球状体32はリンパ球である。加えて、各図の至るところに網目状の組織33の存在が観察される。この網目状組織33は、フィブリンゲル30が生体内に移植され、細胞が侵入した際に、細胞が留まるための足場となり、組織再生を促す機能を発揮するため、非常に重要である。
 なお、比較実験として、同程度の大きさのフィブリンゲルを通常のガーゼによって圧延してみた。図8の(a),(b),(c)は、図6(b)で示したサンプリング部位と同様の部位でのSEM画像を示す。これらの図では、観察された血小板31やリンパ球32については、図7の場合に比べてこれらの数は著しく少なく、その形も変形してしまっている。また、上述の網目状組織33も大半が喪失している。若干残っている網目状組織33も観察されるが、ガーゼによる圧延が均一にならない証拠でもある。加えて、この網目状組織33は、図7の場合に比べて、より押し潰されたように見える。このように、ガーゼで圧延されたフィブリンゲル30は、生体内にて細胞滞留のための足場を構築できないため、組織再生を促す機能ひいては創傷治癒効果を十分に発揮し得ないものと考えられる。
 (創傷治癒効果の検証: マウス背部皮膚全層欠損モデル)
 本発明の装置1で圧延されたフィブリンゲル30(以下、単に圧延PRF又はPRFとも呼ぶ。)の創傷治癒効果を確認するために、マウスを使った動物実験を行った。具体的には、図9(a)に示すように、ICR系マウス(5週齢の雄)の背部の皮膚全層を欠損させ、2つの隣接した欠損部位(7mm×7mmのサイズの領域)を作製した。一方の欠損部位には10mm×10mmのサイズのフィブリンゲル(図中、PRF)を貼付した。他方の欠損部位には、PRFを貼付しなかった(本実験でCONTROLと呼ぶ。)。これらの部分を覆うように、サージカルフィルム(商品名:Tegaderm、製造元:3M)をマウス背部にあてがった。
 2つの欠損部位の断面画像(図示せず)を数日間観測したところ、PRFを貼付した欠損部位(つまりPRF周辺部)では、CONTROL(PRF未貼付)に比較してPCNA(Proliferating cell nuclear antigen)陽性細胞の顕著な増加が認められた。また,PRF周辺部だけでなくPRF内部(PRF自体)においてもPCNA陽性細胞の増加が観測された。また、図9(b)に、各欠損部位における肉芽組織の厚さの経時変化を示す。ここで、肉芽組織の厚さは組織再生の程度を示す。図9(b)に示すように、PRFを貼付した欠損部位の肉芽組織の厚さは、CONTROLの場合に比較して、時間が経過する程著しく増大することが認められた。上述のPCNA陽性細胞や肉芽組織の厚さの観測結果から、本発明の装置1によって圧延されたPRFはマウスに対して優れた創傷治癒効果を発揮するといえる。
 (血管新生効果の検証: CAM assay)
 本発明により提供された圧延PRFの血管新生効果を検証するため、CAM assay(chick chorioallantoic membrane assay、鶏卵漿尿膜法)を用いた。PRFを投与しないCAM(本実験ではCONTROLと呼ぶ。)では、産卵後14日目のCAMで既存の血管の成熟と微小血管の新生が確認されるとともに、CAM全体に血管が均一かつ網目状に走行していることが観測された。
 一方、産卵後11日目のCAMにPRFを投与した場合は、投与三日後(すなわち産卵後14日目)CAMには、多くの微小血管の新生が確認された。加えて、既存の血管がPRFの方に牽引され、その結果、PRFを中心として放射状に血管が走行することが観測された。
 また、グルタルアルデヒド固定(GA処理とも呼ぶ。)を施したPRF(つまり、PRFに含まれる増殖因子を失活させたモデル)を用意し、これを産卵後11日目のCAMに投与した。GA処理のPRFを投与した場合は、投与三日後(すなわち産卵後14日目)CAMでも、上述したような既存の血管の移動や微小血管の新生は確認されず、CONTROLの場合と類似の血管の走行が観測された。
 以下の表1は、産卵後14日目に観測されたCAM(CAM画像)上の平均血管数を示す。PRF投与した場合が、CONTROLの場合やPRF(GA処理)投与の場合よりも著しく(有意差をもつ程)多くの数の血管が観察された。この結果から、本発明の装置により圧延されたPRFは血管新生促進効果を提供するといえる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 (血管形成活性効果の検証: ヒト血管内皮細胞)
 所定幅を有したスクラッチ(細胞が剥離した部分)を形成したヒト血管内皮細胞を複数用意した。具体的には、これらのヒト血管内皮細胞を、試験用のセル(6-well Cell Culture Insert Companion Plate with lid,製造元:Becton, Dickinson and Company)内に満たされた培養液中に浸漬した。このうち一方のセルの培養液では、微細孔を有する膜(Cell Culture Inserts,製造元:Becton, Dickinson and Company)を介して内皮細胞の近くに圧延PRFを浸漬し、他方のセルの培養液には圧延PRFを浸漬せず(こちらの条件を本実験でCONTROLと呼ぶ。)、双方の培養液中の内皮細胞におけるスクラッチ(隙間)の幅の経時変化を観測した。
 図10に、これらの観測結果を示す。横軸は経過時間を示し、縦軸は正規化したスクラッチ幅(つまり、各測定値を最初(すなわちスクラッチ形成時)の幅で除した値)を示す。本発明によって提供された圧延PRFが近くに存在した細胞のスクラッチ幅は、CONTROLに比べて、より短時間で狭まっていくことが認められる。つまり、圧延PRFの浸漬は血管内皮細胞の這い出しを促進するといえる。従って、圧延PRFには、優れた血管形成効果も期待される。
 (歯周再生治療での実証)
 本発明によって提供された圧延PRFを実際の歯周再生治療に適用し、手術時及び術後の経過を確認してみた。手術においては、患者の歯槽骨欠損部を清浄な状態におき、この欠損部にセラミックスを充填してから、圧延PRFを被せた(図11(a)の符号30を参照)。この被覆部分にさらに歯肉を被せて縫合した。手術の1週間後及び1カ月後に縫合部を確認したが、傷口が開くことも無かった。また、移植したセラミックスを異物として吐き出すことも無かった。なお、図11(b)は1カ月後の状態を示す鏡像であり、符号Xは縫合部を示す。これらの結果は、圧延PRFには少なくとも軟組織の創傷治癒を促進する効果があることを示唆している。
 本発明のフィブリンゲル圧延装置1は、上述の実施例に基づいて詳細に説明したが、必ずしもこれに限定されない。例えば、実施例1のフィブリンゲル圧延装置1では、2つのスプーン状部材を組み合せて構成したが、より多くの(例えば、4つの)スプーン状部材を組み合せて構成してもよい。また、装置1の強度や剛性を高めるために、第1部材や第2部材の原材料として、ガラス繊維や炭素繊維を含んだ複合材料(一例として、ガラス繊維入りのPET(ポリエチレンテレフタレート))を用いても良い。
 以上のように、本発明のフィブリンゲル圧延装置1は、大変ユニークな発想を基に作られたフィブリンゲル30を圧延するための専用器具であり、発明者及び出願人が知る限りでは、再生医療等の分野において本発明のような専用器具は既に使用されることはおろか、提案すらされていない。
 上述したように、歯周病等の再生医療や美容外科などの分野にてフィブリンゲルを使用した治療が主流となりつつあるが、操作性良くフィブリンゲルを圧延する専用器具が存在していない。従って、本発明のフィブリンゲル圧延装置は、安心・安全な治療の発展に寄与するものであり、産業上の利用価値は非常に高い。
 1  フィブリンゲル圧延装置
 10  第1部材(第1スプーン状部材)
 11  柄部
 11a,11b  柄部の端部(一端,他端)
 11c,11d  柄部の外側表面,柄部の内側表面
 12  押圧用凸部
 13  押圧用凸部の内面
 14  押圧用凸部の外面
 15  指当て部
 20  第2部材(第2スプーン状部材)
 21  柄部
 21a,21b  柄部の端部(一端,他端)
 21c,21d  柄部の外側表面,柄部の内側表面
 22  収容用凹部
 23  収容用凹部の内面
 24  収容用凹部の外面
 25  微小穴
 26  抜き穴
 30  フィブリンゲル
 31  比較的小さな球状体(血小板)
 32  比較的大きな球状体(リンパ球)
 33  網目状組織
 40  ピン

Claims (11)

  1.  柄部と、押圧用凸部と、を有した第1部材と、
     柄部と、前記押圧用凸部に対応した形状を成す収容用凹部と、を有した第2部材と、
     を備え、かつ、
     前記第1・第2部材は、前記押圧用凸部と前記収容用凹部との離間距離を変更自在に調節してフィブリンゲルを収容し圧延できるよう、互いに部分的に結合又は回転可能に支持されていることを特徴とするフィブリンゲル圧延装置。
  2.  フィブリンゲルを圧延したときに前記離間距離が1mm~2mmとなるように、前記押圧用凸部の形状と前記収容用凹部の形状との間に形状差を設け、若しくは前記柄部の少なくとも一方にストッパー部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフィブリンゲル圧延装置。
  3.  前記収容用凹部、前記押圧用凸部、又は、前記収容用凹部及び前記押圧用凸部、の一部に滑り止め面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィブリンゲル圧延装置。
  4.  前記滑り止め面は多数の微小穴によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載のフィブリンゲル圧延装置。
  5.  前記微小穴が貫通穴であることを特徴とする請求項4に記載のフィブリンゲル圧延装置。
  6.  前記微小穴は0.4mm~1.0mmの直径を有し、かつ、0.05~0.2個/mmの穴密度で設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のフィブリンゲル圧延装置。
  7.  前記押圧用凸部と前記収容用凹部とは、匙状に形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
  8.  前記押圧用凸部と前記収容用凹部とが、前記離間距離を変更自在に保ちながら上下に重ね合わせられるよう、互いの前記柄部の他端にて結合されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
  9.  前記第1・第2部材は、紙、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合合成樹脂)、PE(ポリエチレン)、PS(スチロール)、PVC(塩化ビニール)、MA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、及びPC(ポリカーボネート)の少なくとも一つを含んだ部材であり、かつ、前記フィブリンゲル圧延装置がディスポーザブルであることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
  10.  前記第1・第2部材は、ステンレス、チタン、アルミニウム、PP(ポリプロピレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、及びPC(ポリカーボネート)の少なくとも一つを含んだ部材であり、前記フィブリンゲル圧延装置に対して滅菌処理又は超音波洗浄が可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
  11.  前記フィブリンゲル圧延装置に滅菌処理が予め施されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のフィブリンゲル圧延装置。
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