上述したように、複数の検索分野から一つの検索分野を選択して目的地を検索する場合、目的地を絞り込むために、さらに他の検索分野の検索キーの入力が必要となる場合がある。例えば、A町にあるラーメン店を検索する場合、運転者は先ず検索分野として住所を選択してA町を検索し、次に検索分野を施設ジャンルとしてA町内のラーメン店を検索することになる。そのため、検索の操作が面倒であり、目的地の設定に時間がかかるという不都合がある。
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、目的地の設定を容易且つ短時間で行うことができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、施設の情報を所定の検索分野に関連付けて構成された施設データベースにアクセス可能なデータベース部と、文字列を入力するための文字入力部と、前記文字入力部により入力された文字列を検索キーとして、前記施設データベースから目的地の候補となる施設を検索する施設検索部と、前記施設検索部により検索された施設の情報を表示する表示部とを備えたナビゲーション装置に関する。
そして、前記施設検索部は、前記文字入力部により第1文字列と第2文字列が入力されたときに、前記施設データベースを参照して、該第1文字列が属する検索分野と該第2文字列が属する検索分野とを認識し、前記第1文字列が属する検索分野である第1検索分野が複数特定されたときは、該複数の第1検索分野のいずれかと、前記第2文字列が属する検索分野である第2検索分野との組合せパターンを、優先順位を割り当てて設定して、前記各組み合わせパターンにより、前記第1検索分野での前記第1文字列を検索キーとした検索と、前記第2検索分野での前記第2文字列を検索キーとした検索とにより、目的地の候補となる施設を検索する候補施設検索処理を、前記各組合せパターンに割り当てられた優先順位に従って実行することを特徴とする。
本発明によれば、使用者は、検索分野を意識することなく、前記第1文字列及び前記第2文字列を入力することができ、この入力に応じて、前記施設検索部により目的地の候補となる施設が検索されて、その施設名称が前記表示部に表示される。そして、前記施設検索部による施設の検索は、前記第1文字列が属する前記第1検索分野と前記第2文字列が属する前記第2検索分野とを組合わせたパターンにより行われ、この組合わせパターンには優先順位が割り当てられている。
そして、前記施設検索部は、前記組合わせパターンの優先順位に従って前記候補施設検索処理を実行する。そのため、前記優先順位を、例えば、一般的に使用者が入力する可能性が高い検索分野(地域名、施設ジャンル等)を高くして設定することにより、使用者が希望する可能性が高い施設から先に検索させて、その名称を前記表示部に表示させることができる。
このように、本発明によれば、使用者による前記第1文字列及び前記第2文字列を入力するという1回の操作により、目的地の候補となる施設が優先順位をもって検索されて前記表示部に表示されるため、使用者は、目的地の選択操作を容易且つ短時間で行うことができる。
また、前記施設検索部は、前記組み合わせパターンのうち、割り当てられた優先順位が高いものから順に前記候補施設検索処理を実行し、目的地の候補となる施設が所定数以上検索されたときに、前記候補施設検索処理を終了することを特徴とする。
かかる本発明によれば、優先順位が低く、使用者に選択される可能性が低くなると想定される組合わせパターンによる前記候補施設検索処理の実行が禁止される。そのため、前記表示部に無駄な施設名称の表示がなされて使用者に煩わしさを与えることを防止することができる。
また、現在位置を検出する位置検出部をさらに備え、前記施設検索部は、前記各組合わせパターンについて、前記第1文字列を含む前記第1検索分野用の第1検索文字列を前記データベースから抽出すると共に、前記第2文字列を含む前記第2検索分野用の第2検索文字列を前記データベースから抽出して、該第1検索文字列と該第2検索文字列を項目要素とする検索項目を設定し、前記各検索項目に対して、対応する前記組合わせパターンに割当てられた優先順位を割当てると共に、項目要素の前記第1検索文字列又は前記第2検索文字列が地域に関する検索分野用であるときには、現在位置から、前記第1検索文字列又は前記第2検索文字列により特定される地域までの距離が短いほど、優先順位を高くする重み付けを行い、優先順位が高い検索項目から順に、前記候補施設検索処理を実行することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記施設検索部は、前記各組合わせパターンについて、前記第1検索文字列と第2検索文字列を項目要素とする検索項目を設定し、各検索項目に対して、対応する前記組合わせパターンに割当てられた優先順位を割当てる。そして、さらに、前記施設検索部は、前記第1検索文字列又は前記第2検索文字列が地域に関する検索分野(例えば、地名、駅名等)用であるときには、現在位置から前記第1検索文字列又は前記第2検索文字列により特定される地域までの距離が短いほど、優先順位を高くする重み付けを行い、優先順位が高い検索項目から順に、前記候補施設検索処理を実行する。この場合、使用者が目的地として選択する可能性が高いと想定される近距離に所在する施設を優先して検索することができるため、使用者の利便性を高めることができる。
また、前記検索分野には、施設名称、地域名、駅名、施設ジャンルのうちの、少なくとも2つが含まれていることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が入力する可能性が高いと想定される、施設名称、地域名、駅名、施設ジャンルを、検索分野とすることで、使用者の要望に沿った施設が検索されることを期待することができる。
本発明の実施の形態について、図1~図4を参照して説明する。図1を参照して、本実施の形態のナビゲーション装置は車両に搭載して使用され、ナビゲーション装置本体10と、リモコン20と、ディスプレイ30(本発明の表示部に相当する)と、記憶装置40とを備えている。
そして、車両の乗員がディスプレイ30を視認することによって、自車の位置や進路を確認できるようになっている。ディスプレイ30は、タッチスクリーンを有しており、乗員はこのタッチスクリーンに触れて目的地の設定等を行うことができる。また、乗員は、リモコン20を操作することによっても、目的地の設定等を行うことができる。なお、ディスプレイ30のタッチスクリーン及びリモコン20は、本発明の入力部に相当する。
ナビゲーション装置本体10は、マイクロコンピュータ11(以下、マイコン11という)やメモリ等により構成された電子ユニットである。ナビゲーション装置本体は、ディスプレイ30のタッチスクリーン及びリモコン20からのスイッチ操作信号を入力する入力インターフェース12、ディスプレイ30に駆動信号を出力するディスプレイ駆動部13、記憶装置40に記憶された施設データベース41及び地図データベース42等にアクセスして必要なデータを読み出すDBインターフェース14(本発明のデータベース部に相当する)、及び、GPS(Global Positioning System)衛星50から出力される航法電波を受信して自車両の位置を検出するGPSレシーバ15(本発明の位置検出部に相当する)を備えている。
マイコン11は、メモリ(図示しない)に保持されたナビゲーション装置用の制御プログラムを実行することにより、施設検索部11aとして機能する。施設検索部11aは、車両の乗員によるディスプレイ30のタッチスクリーン又はリモコン20の操作によって、文字列(目的地を検索するための文字列)が入力されたときに、この文字列を検索キーとして、施設データベース41から目的地の候補となる施設を検索する。
そして、施設検索部11aは、検索した施設の名称をディスプレイ30に表示して、乗員に目的地とする施設の選択を促し、施設が選択されたときには、選択された施設までの経路を地図データベース42を参照して検索し、検索した経路をディスプレイ30に表示する。
以下、図2に示したフローチャートに従って、施設検索部11aによる目的地の候補となる施設の検索処理(候補施設検索処理)について、図3及び図4に示した例を参照しつつ説明する。
施設検索部11aは、STEP1で複数の文字列の入力があったときにSTEP2に進み、入力された各文字列が属する検索分野を、施設データベース41を参照して認識する。本実施の形態では、検索分野として、「地名」、「駅名」、「施設名称」、「施設ジャンル」が設定されている。そして、施設データベース41に登録された各施設の情報は、これらの検索分野に分類されて記憶されている。
例えば、2つの文字列「青山」(第1文字列)と「ラーメン」(第2文字列)が入力された場合、第1文字列「青山」は「地名、駅名、施設名称」という3つの検索分野(本発明の第1検索分野に相当する)に属し、第2文字列「ラーメン」は「施設名称、施設ジャンル」という2つの検索分野(本発明の第2検索分野に相当する)に属している。
続くSTEP3で、施設検索部11aは、各文字列が属する検索分野の組合わせパターンを抽出する。「青山」と「ラーメン」の場合は、図3に示したように、パターン1(第1文字列-地名/第2文字列-施設ジャンル)、パターン2(第1文字列-駅名/第2文字列-施設ジャンル)、パターン3(第1文字列-施設名称/第2文字列-施設名称)、パターン4(第1文字列-地名/第2文字列-施設名称)、パターン5(第1文字列-駅名/第2文字列-施設名称)、パターン6(第1文字列-施設名称/第2文字列-施設ジャンル)、という6通りの検索分野の組合わせパターンが抽出される。
次のSTEP4で、施設検索部11aは、抽出した組合わせパターンの優先スコアを取得する。ここで、図3に示したように、各組合せパターンには、優先順位スコアM1~M6が予め割り当てられており、優先順位は、M6<M5<M4<M3<M2<M1の順に高くなる。
続くSTEP5で、施設検索部11aは、各組合せパターンの検索分野について、第1文字列を含む第1検索文字列と第2文字列を含む第2検索文字列を、施設データベース41から抽出する(第1検索文字列と第2検索文字列は、施設データベース4に登録された施設の情報に含まれている)。
そして、施設検索部11aは、抽出した第1検索文字列と第2検索文字列を項目要素とする検索項目を設定する。第1文字列「青山」と第2文字列「ラーメン」に対しては、図4に示したように、検索項目1(地名:第1検索文字列-南青山、施設ジャンル:第2検索文字列-ラーメン)、検索項目2(地名:第1検索文字列-北青山、施設ジャンル:第2検索文字列-ラーメン)、検索項目3(駅名:第1検索文字列-青山駅、施設ジャンル:第2検索文字列-ラーメン)、検索項目4(施設名称:第1検索文字列-青山、第2検索文字列-ラーメン)、検索項目5(地名:第1検索文字列-南青山、施設名称:第2検索文字列-ラーメン)、検索項目6(地名:第1検索文字列-北青山、施設名称:第2検索文字列-ラーメン)、検索項目7(駅名:第1検索文字列-青山駅、施設名称:第2検索文字列-ラーメン)という7通りの検索項目が設定される。
次に、施設検索部11aは、各検索項目に対して、対応する組合わせパターンに割当てられた優先スコアに、自車両の現在位置からの距離に応じた重み付けを行う。具体的には、第1検索文字列又は第2検索文字列が地域に関する検索分野用であるときに、施設検索部11aは、第1文字列又は第2文字列により特定される地域と自車両の現在位置との距離が短いほど高いスコアを、対応する組合わせパターンに割当てられたスコアに加算する。
図4の例では、地域の検索分野用(地名、駅名)として、第1検索文字列「南青山」(地名),「北青山」(地名),「青山駅」(駅名)が設定され、自車両と南青山間の距離がd1、自車両と北青山との距離がd2、自車両と青山駅間の距離がd3となっている。そして、d1<d2<d3の順に自車両との距離が長くなっているため、d1~d3に割当てられるスコアD1~D3がこの順と逆順に高くなっている(D3<D2<D1)。
そして、施設検索部11aは、第1検索文字列「南青山」,「北青山」,「青山駅」を検索要素とする検索項目1~3及び5~7に対して、自車両との距離に応じたスコアD1~D3を、対応する組合わせパターンに割当てられた優先スコアM1,M2,M4,M5に加算する。
これにより、図4に示したように、検索項目1に対しては優先スコアM1+D1、検索項目2に対しては優先スコアM1+D2、検索項目3に対しては優先スコアM2+D3、検索項目4に対しては優先スコアM3、検索項目5に対しては優先スコアM4+D1、検索項目6に対しては優先スコアM4+D2、検索項目7に対しては優先スコアM5+D3が設定される。
次のSTEP6で、施設検索部11aは、優先スコアが高い(優先順位が高い)検索項目から順に設定し、STEP7で、第1検索文字列による第1検索分野での検索と第2検索文字列による第2検索分野での検索を行って、施設データベース41から目的地の候補となる施設を検索する。続くSTEP8で、施設検索部11aは、検索された施設の数がトータル上限値N以上となったときに、STEP11に分岐する。
一方、STEP8で、検索された施設の数がトータル上限値N未満であるときにはSTEP9に進み、施設検索部11aは、現在の検索項目により検索された施設の数が、検索項目上限値M以上であるか否かを判断する。そして、現在の検索項目により検索された施設の数が、検索項目上限値M以上であるときはSTEP10に進み、検索項目上限値M未満であるときにはSTEP7に分岐して、現在の検索項目による検索を続行する。
STEP10で、施設検索部11aは、次の優先順位の検索項目の有無を判断する。そして、次の優先順位の検索項目があるときはSTEP6に分岐し、次の優先順位の検索項目による第1検索文字列と第2検索文字列を設定し、STEP7以下の処理を実行する。一方、STEP10で、次の優先順位の検索項目がないとき(全ての検索項目についての検索が終了したとき)はSTEP11に進む。
STEP11で、施設検索部11aは、優先順位が高い検索項目により検索された施設の名称から順に、ディスプレイ30に表示し、STEP12に進んで処理を終了する。表4の例で、表の下から上に行くに従って、優先スコアが高くなっている(優先順位が高くなっている)ときには、表の上から順に、検索項目1(優先スコアM1+D1)→検索項目2(優先スコアM1+D2)→検索項目3(M2+D3)→…の順に、各検索項目により検索された施設の名称がディスプレイ30に表示される。
ここで、図3に示した検索分野の各組合わせパターンに対する優先順位スコアの割り当ては、乗員により入力される可能性が高いと想定される検索分野について、優先スコアが高くなるように設定されている。そのため、第1文字列及び第2文字列の入力に対して、使用者の要求に適合する施設が検索される可能性を高めることができる。
さらに、図4に示したように、施設検索部11aは、各組合せパターンによる検索分野について、第1文字列を含む第1検索文字列と第2文字列を含む第2検索文字列を検索要素とする検索項目を設定し、地域に関する第1検索文字列又は第2検索文字列を含む検索項目に対しては、第1検索文字列又は第2文字列により特定される地域と自車両との距離が短いほど優先スコアを高くする重み付けをして、各検索項目の優先順位を決定している。そして、これにより、使用者が要求する可能性が高い、自車両から近い施設を優先して効率良く検索することができる。
なお、本実施の形態では、図2のSTEP8で、検索された施設数がトータル上限数N以上となったときに候補施設検索処理を終了し、また、STEP9で、各検索項目により検索された施設数が検索項目上限値M以上となったときに、次の優先順位の検索項目による検索に移行するようにしたが、これらの処理を行わずに、該当する全ての施設を検索するようにしてもよい。
また、図2のSTEP10で、検索分野の地域(地名、駅名による)と自車両との距離による優先順位の重み付けをおこなったが、この重み付けを行わない場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、入力される文字列による検索分野として、「地域名、駅名、施設名称、施設ジャンル」を示したが、他の検索分野を用いてもよく、或いはさらに検索分野を追加してもよい。
また、本実施の形態では、2つの文字列(第1文字列及び第2文字列)が入力された場合の施設検索について説明したが、3つ以上の文字列が入力された場合にも、各文字列が属する検索分野の組合わせパターンについて優先順位スコアを割り当てることにより、同様の施設検索が可能である。
また、本実施の形態では、車両に備えられたナビゲーション装置を示したが、歩行者が携帯するタイプのナビゲーション装置に対しても、本発明の適用が可能である。