WO2011092779A1 - ガスタービン燃焼器 - Google Patents

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  • the cowling 20 includes an annular cowling outer 20A and an annular cowling inner 20B.
  • the outer liner 9 is fixed to the cowling outer 20A, and the inner liner 10 is fixed to the cowling inner 20B.
  • the cowling outer 20 ⁇ / b> A has an integrally formed holding cylinder 29, and a fixing pin 30 inserted from the outside of the outer casing 3 is inserted into the holding cylinder 29.
  • the combustion cylinder 8 is fixed to the outer casing 3 by the fixing pin 30.
  • the purge holes 40 are formed at 10 to 30 locations at equal intervals in the circumferential direction on the circumference of the cylindrical portion 23b.
  • the purge holes 40 are formed in less than 10 locations, the compressed air CA is less likely to be uniformly introduced into the annular space 39 between the guide body 34 and the heat shield 23 in the circumferential direction.
  • the effect of pushing back the fuel F, the air-fuel mixture M, and the flame into the combustion chamber 11 is low.
  • the purge holes 40 are formed in more than 30 locations, the effect of preventing soot accumulation is hardly increased, but the processing work is increased and the cost is increased.
  • the purge hole 40 is preferably formed to have a diameter of about 1 ⁇ 0.3 mm.

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Abstract

 本発明に係るガスタービン燃焼器1は、燃焼室11に向かって燃料Fを噴射する燃料噴射弁13と、燃料噴射弁13の近傍において、圧縮機で生成された圧縮空気CAを取り込んで旋回させるスワーラ14と、スワーラ14から取り込んだ圧縮空気CAを燃焼室11に導く筒状のガイド体34と、ガイド体34よりも外周側に位置する円筒部23bを有するヒートシールド23と、を備えている。円筒部23bにはパージ孔40が形成されている。パージ孔40から空気を導入し、ガイド体34と円筒部23bとの間に形成された空間39に当該空気が供給されるように構成されている。

Description

ガスタービン燃焼器
 本発明は、ガスタービンや航空機用ジェットエンジンの燃焼器(以下、ガスタービン燃焼器という)に関するものである。
 この種のガスタービン燃焼器には、図7に示すアニュラー型の燃焼器が広く採用されている(非特許文献1参照)。アニュラー型燃焼器は、環状のアウタライナ9、環状のインナライナ10、およびこれらの上流側に位置するカウリング20によって形成された環状の燃焼筒8を有していることを特徴としており、この燃焼筒8の内部が燃焼室11として機能する。カウリング20の一部を構成する支持体21は、ヒートシールド23を介してスワーラ14を支持している。ヒートシールド23は、燃焼室11内の燃焼による熱から支持体21を守るものであり、また、スワーラ14は、安定した燃焼を行うために、燃焼用の圧縮空気CAに旋回を与えて燃焼室11に供給する装置である。また、燃料を噴射する燃料噴射弁13は、カウリング20の開口20aを貫通して、スワーラ14の内側に嵌め込まれている。
「ターボファンエンジンの高性能化技術」、八島聰著、防衛技術’92.8,Vol.12,No.8(ISSN 0285-0893),P31-40, 図8
 図7に示すように、上記のガスタービン燃焼器では、スワーラ14の後側端壁25、ヒートシールド23の円筒部23b、およびガイド体34により、それらの間に環状空間39が形成されている。この環状空間39は、下流側の燃焼室11に向けて開口していることから、燃料を含む混合気Mが停滞してしまい、煤60が堆積し易い。そして、この堆積した煤60が燃焼ガスで加熱されると、スワーラ14のガイド体34またはヒートシールド23の円筒部23bの一部に焼損が生じる場合がある。
 本発明は、上記の課題を解決するものであり、煤が堆積しにくいガスタービン燃焼器を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するために、本発明のガスタービン燃焼器は、燃焼室に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁の近傍において圧縮機で生成された圧縮空気を取り込んで旋回させるスワーラと、前記スワーラから取り込んだ圧縮空気と前記燃焼噴射弁から噴射される燃料の混合気とを前記燃焼室に導く筒状のガイド体と、前記ガイド体よりも外周側に位置する円筒部を有するヒートシールドと、を備え、前記円筒部にはパージ孔が形成されており、前記パージ孔から空気を導入し、前記ガイド体と前記円筒部との間に形成された空間に当該空気が供給されるように構成されている。
 かかる構成によれば、ガイド体と円筒部との間の空間にパージ孔から導入された空気が供給されるため、上記の空間に入り込もうとする燃料、混合気、および火炎を排除できる。そのため、ガイド体への煤の堆積を効果的に防止することができる。
 本発明において、前記パージ孔から導入した空気を斜め下流外方に導くガイド部をさらに備えることが好ましい。かかる構成によれば、ガイド体と円筒部との間の空間内に流入した空気は、ガイド部により斜め下流外方に導かれるので、当該空気が軸方向へ直線的に進むことによる弊害を軽減することができる。
 本発明において、前記ガイド部は、前記ガイド体の下流端に設けられるとともに下流側に向かって径が大きくなるように形成されたフレアであることが好ましい。かかる構成によれば、ガイド体を通過した混合気及びパージ孔から導入された空気がフレアに沿って流れる。その結果、軸心部分に適度な速度成分を有する逆流領域が形成されて、良好な保炎性を確保することができる。しかも、パージ孔から導入された空気によってガイド体を通過した混合気の燃焼器径方向外側への拡散が抑制されるため、ヒートシールドに混合気中の燃料が付着して燃料の液滴サイズが大きくなるのを阻止でき、燃焼性能の低下を抑制することができる。
 本発明において、前記パージ孔から導入される前記空気は、前記圧縮機で生成された圧縮空気であることが好ましい。また、前記パージ孔は前記円筒部の周上の10~30箇所に形成されていることが好ましい。パージ孔が10箇所未満の場合には、ガイド体とヒートシールドの円筒部との間の空間に圧縮空気が周方向に均一に導入されにくくなるので、この空間に入り込もうとする燃料、混合気、および火炎を燃焼室内に排除する効果が低い。また、パージ孔が30箇所を超えた場合には、煤の堆積を防止する効果が殆ど増大しない一方で、加工作業の増加によるコストアップを招く。
 本発明において、前記フレアは、前記ガイド体の中心軸に対して40~60゜傾斜するように構成されていることが好ましい。傾斜角度が40°未満の場合には、スワーラからの圧縮空気の旋回流を径方向に十分に広げて燃焼室内に送給できないので、十分な広がりを持った逆流領域を形成しにくくなる。一方、傾斜角度を60°よりも大きくすると、スワーラからの圧縮空気の流れがフレアの内面から剥離してしまい、所要の広がりを持った逆流領域を形成できない。したがって、傾斜角度を40~60°の範囲に設定すれば、スワーラからの圧縮空気の旋回流を適正な角度に広げながら燃焼室内に流入させて、良好な逆流領域を形成することができる。
 本発明のガスタービン燃焼器によれば、ガイド体とヒートシールドの円筒部との間の空間に入り込もうとする燃料、混合気、および火炎を、パージ孔から導入した空気によって排除し、ガイド体への煤の堆積を効果的に防止できる。
本発明の一実施形態に係るガスタービン燃焼器を示す概略縦断面図である。 図1のII-II線に沿った拡大断面図である。 図2の要部の拡大縦断面図である。 図2の要部を拡大した分解斜視図である。 (a),(b)は同上のガスタービン燃焼器の燃焼室内での圧縮空気の流動パターンおよび混合気の分散分布を示す縦断面図、(c),(d)は比較のために示した従来の燃焼器の圧縮空気の流動パターンおよび混合気の分散分布を示す縦断面図である。 空気流量と全体空燃比に対する吹き消え、着火および不着火の発生を実測した結果を示す特性図である。 従来のガスタービン燃焼器の要部を示す縦断面図である。
 以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るガスタービン燃焼器1の軸心に直交する方向における概略縦断面図である。この燃焼器1は、図示しない圧縮機から供給される圧縮空気と燃料を混合して混合気を生成し、この混合気をその内部で燃焼させるものである。燃焼器1における燃焼により発生した高温かつ高圧の燃焼ガスはタービンに送られて、タービンを駆動する。
 本実施形態の燃焼器1は、アニュラー型の燃焼器である。図1に示すように、燃焼器1において、アウタケーシング3とインナケーシング4によって環状のハウジング2が形成され、その内部にはアウタライナ9とインナライナ10によって環状の燃焼筒8が形成されている。燃焼筒8の内部には環状の内部空間が形成され、この内部空間が燃焼室11として機能する。燃焼室11内に燃料を噴射する燃料噴射装置12は、周方向に等間隔に並んで複数(例えば、14~20個)配置されている。各燃料噴射装置12は、燃料を噴射する燃料噴射弁13と半径流型のメインスワーラ14とを備えている。メインスワーラ14は、圧縮空気を旋回させて燃焼室11内に導入するものであり、燃料噴射弁13の外周を囲むように形成されている。また、燃焼器1の下部には2本の点火栓18が配置されている。
 図2に示すように、図示しない圧縮機から送給された圧縮空気CAが、環状のディフューザ19を介してハウジング2の環状の内部空間に導入される。カウリング20は、環状のカウリングアウタ20Aと環状のカウリングインナ20Bとにより構成されている。カウリングアウタ20Aにはアウタライナ9が固定されており、カウリングインナ20Bにはインナライナ10が固定されている。カウリングアウタ20Aは一体形成された保持筒体29を有しており、この保持筒体29にはアウタケーシング3の外側から挿通された固定ピン30が挿入されている。この固定ピン30により、燃焼筒8はアウタケーシング3に固定されている。
 カウリングアウタ20A下流側の端部とカウリングインナ20B下流側の端部とは、環状の支持体(以下、ドームという)21によって連結されている。このドーム21には、ドーム21を燃焼室11内の燃焼による熱から守るためのヒートシールド23が取り付けられている。
 燃料噴射装置12は、内部に燃料配管が通ったステム15を有している。このステム15の先端には燃料噴射弁13が設けられている。メインスワーラ14は、圧縮空気CAを径方向の外側から内側に導入する半径流型であり、保持プレート24を介してヒートシールド23に支持されている。この支持構造については後述する。燃料噴射装置12のステム15は、取付板28を介してアウタケーシング3に固定されている。また、燃料噴射弁13は、カウリング20の頂部におけるカウリングアウタ20Aとカウリングインナ20Bとの間に形成された開口20aを貫通し、メインスワーラ14の内側に嵌め込まれている。カウリング20の開口20aの周縁と燃料噴射弁13との間には環状の間隙が形成されており、その間隙から圧縮空気CAが燃焼筒8内に導入される。燃焼筒8の下流端部には、タービンの第1段ノズルTNが接続されている。
 図3で示すように、燃料噴射装置12の燃料噴射弁13は、中央部の軸流型のインナスワーラ31と外周側の軸流型のアウタスワーラ32とを有している。これらスワーラ31,32は、燃料噴射装置12の軸心C2を中心として配置されている。両スワーラ31,32の空気流路の間には、ステム15内の燃料配管から送給される燃料Fを燃焼室11内に導く環状の燃料流路33が設けられている。この燃料流路33の先端近傍には、複数の噴射孔33aが軸心C2を中心として環状に並んで形成されている。燃料Fは、この噴射孔33aから噴射されて燃料流路33の先端から燃焼室11内へフィルム状に供給される。この噴射孔33aから噴射された燃料Fは、内外のスワーラ31,32からの圧縮空気CAの旋回流によって小さな粒径に微粒化され、混合気Mとなって燃焼室11内に供給される。したがって、この燃料噴射装置12はエアブラスト式である。
 図4に示すように、ヒートシールド23は、メインスワーラ14の下流側に配置されている。ヒートシールド23は、燃料噴射装置12の軸心C2(図3)方向から見て台形状のシールド本体23aと、燃料噴射装置12の上流側へ突出する円筒部23bとが一体となって形成されている。この円筒部23bの内部空間が中央貫通孔27である。ヒートシールド23は、所定の間隙(例えば1mm)を存して環状に配置されている。ヒートシールド23の円筒部23bの外周面に形成された大径段部23cとドーム21には、保持孔21aの孔縁部が溶接されている。これにより、ヒートシールド23はドーム21に固定される。また、ヒートシールド23の円筒部23bの開口縁部に形成された小径段部23dには、リング状の保持プレート24の内周縁部が溶接されている。これにより、保持プレート24はヒートシールド23に固定される。
 また、メインスワーラ14の下流側に位置する後側端壁25には、筒状のガイド体34が一体的に形成されている。ガイド体34は、メインスワーラ14からの圧縮空気CAの旋回流を燃焼室11内へ導くためのものである。このガイド体34は、ヒートシールド23の円筒部23bの内周側であって、これと同心となるように配置されている。ガイド体34の下流端には、下流側に向かって燃料噴射弁13の径方向外方へ傾斜したフレア38が接続されている。つまり、フレア38は下流に向かってその径が大きくなるように形成されている。ガイド体34とフレア38は一体形成してもよい。メインスワーラ14からの圧縮空気CAの旋回流は、混合気Mの逆流領域のサイズや位置を決める大きな要素であるため、この旋回流を調整することにより燃焼領域S(図2)を設定することが可能である。
 また、メインスワーラ14の後側端壁25は、径方向外方へ突出する取付プレート26を有している。この取付プレート26は対向する2箇所に設けられており、それぞれにピン孔26aが形成されている。保持プレート24には、外周縁に開口した一対の凹所24aが形成されている。各凹所24aには取付ピン41が貫通しており、この取付ピン41はピン孔26aに嵌め込まれて固定されている。保持プレート24の凹所24aは取付ピン41の外径よりも大きな周方向幅を有している。したがって、メインスワーラ14は、保持プレート24に対し周方向および径方向に変位可能に支持されている。これにより、高温の燃焼ガスによる各部材の熱膨張率の差によって生じる、または組立によって生じるメインスワーラ14とヒートシールド23との位置ずれを吸収することができる。
 メインスワーラ14の下流側に位置する後側端壁25と、ヒートシールド23の円筒部23bと、その径方向内側のガイド体34とにより、環状空間39が形成されている。環状空間39は、燃料噴射装置12と同軸であり、下流側に開口している。円筒部23bのうちドーム21が固定されている位置よりも上流側には、パージ孔40が形成されている。このパージ孔40は、径方向外側から環状空間39内に圧縮空気CAを導入することができ、円筒部23bの周上に周方向に等間隔で複数形成されている。パージ孔40は円筒部23bを径方向に貫通して延びている。パージ孔40から環状空間39内に導入された圧縮空気CAは、環状空間39の下流端の出口39aから燃焼室11内へ流出する。これにより、環状空間39に入り込もうとする燃料F、混合気M、および火炎を燃焼室11内に押し戻すことができる。
 パージ孔40は、円筒部23bの周上に周方向に等間隔で10~30箇所形成されている。パージ孔40の形成が10箇所未満の場合には、ガイド体34とヒートシールド23との間の環状空間39に圧縮空気CAが周方向に均一に導入されにくくなるので、この環状空間39に入り込もうとする燃料F、混合気M、および火炎を燃焼室11内に押し戻す効果が低い。パージ孔40の形成が30箇所を越える場合には、煤の堆積を防止する効果が殆ど増大しない一方で、加工作業が増加してコストアップを招く。また、パージ孔40は直径1±0.3mm程度の大きさに形成するのが好ましい。さらに、パージ孔40から導入する圧縮空気CAの流量は、メインスワーラ14からの圧縮空気CAの流量の10±5%程度とし、その流量分だけメインスワーラ14からの流量を減少させるのが好ましい。この場合、燃焼室11内に導入される圧縮空気CAの総量がパージ孔40無しの場合と同一になるので、予め設定された燃焼性能をそのまま維持できる。
 上記構成によれば、従来の燃焼器において煤が堆積し易い空間、つまり環状空間39にパージ孔40から圧縮空気CAを導入し、環状空間39に入り込もうとする燃料Fや混合気M或いは火炎を燃焼室11内に押し戻すことができる。したがって、メインスワーラ14のガイド体34の外周面への煤の堆積、および堆積した煤が加熱されることによるメインスワーラ14の焼損の発生が効果的に抑制される。
 また、上述したフレア38は、主に2つの機能を有している。第1の機能は、パージ孔40から導入された圧縮空気CAの流れを径方向外側へ導く(偏向する)ガイド部としての機能である。つまり、図3に示すように、フレア38はその外周面とヒートシールド23との間に斜め下流外方に延びる流路を形成している。フレア38は、圧縮空気CAをこの流路に沿って流すことで、斜め下流外方に導くのである。なお、ヒートシールド23のうちフレア38に対向する部分は下流に向かって径方向外側に傾斜していることが望ましい。このように構成することで、上記の流路における抵抗を減らし、また、より安定した流れを燃焼室11内に供給することができる。
 第2の機能は、ガイド体34を通過した圧縮空気CAの流れを調整する機能である。つまり、ガイド体34を通過した旋回流である圧縮空気CAはフレア38の内周面に沿って流れるため、フレア38の傾斜角度等を調整することにより、これらの流れを調整することができる。旋回流の圧縮空気CAを調整することは、燃焼領域Sを設定する上で非常に重要であることは上述したとおりである。
 つぎに、燃焼室11内での圧縮空気CAの流動パターンと混合気Mの分散分布について、図5を参照しながら説明する。なお、効率が良く安定した燃焼を行うには、燃焼領域Sにおいて燃料分布に濃淡がなく、かつ混合気Mが燃焼領域Sに長く留まることが理想である。これをふまえ、以下、従来のガスタービン燃焼器、本実施形態であるパージ孔が形成されフレアを有するガスタービン燃焼器のそれぞれの場合について順に説明する。
 まず、従来のガスタービン燃焼器の場合、図5(c)に示すように、スワーラ14から供給された圧縮空気CAが、ヒートシールド23の内面23eに沿って燃焼室11内を燃料噴射装置12の径方向外側に向かって流れる。これにより軸心付近の広い範囲にわたって圧力が低下し、その結果、放出された圧縮空気CAが軸心付近の広い範囲に向かって大きな速度で流れることになる。つまり、全体としては、圧縮空気CAは、径方向外側に大きく広がりながら流れたのち、燃焼室11の軸心部分に向けて強く逆流する循環流P1を形成する。以上のような圧縮空気CAの流れにより、混合気Mは図5(d)に示すように分散する結果となる。つまり、燃料噴射弁13から供給された混合気Mは、循環流P1によって押し戻され、燃焼室11内における燃料噴射弁13の近傍箇所に多量に分布する結果となる。これにより、混合気Mは燃焼領域Sに十分到達しにくくなる場合がある。また、圧縮空気CAに導かれて混合気Mがヒートシールド23の内面23eに沿って流れ、混合気M中の燃料がヒートシールド23の内面23eに付着して液滴となる場合がある。ヒートシールド23の内面23eに付着した燃料が大きな液滴のまま燃焼室11の燃焼領域に供給されると、微粒化が十分に行われないため、着火性および安定燃焼性がさらに低下する。
 本実施形態に係るガスタービン燃焼器1の場合、図5(a)に示すように、環状空間39内に流入した圧縮空気CAは、フレア38の外周面に沿って燃焼室11内の斜め下流外方へ向け適度な広がりで流れる。また、この斜め下流外方へ流れる圧縮空気CAがメインスワーラ14からの圧縮空気CAおよび混合気Mを径方向の外側から包む形となって、メインスワーラ14からの圧縮空気CAおよび混合気Mが過度に広がるのを防止する。これにより、燃焼室11の軸心部分に適度な強さの逆流を持つ循環流P3が形成される。つまり、混合気Mが燃焼領域Sに適切な速度で供給されて、良好な保炎性を確保することができる。しかも、パージ孔から導入される圧縮空気CAがフレア38に沿って斜め下流外方に流れるため、ヒートシールド23の内面23eに混合気M中の燃料が付着しにくくなる。これにより、混合気M中の燃料Fの液滴サイズが大きくなるのを防止して燃焼性能の低下を抑制することができる。
 フレア38のガイド体34の軸心に対する傾斜角度は、40~60°の範囲に設定するのが好ましい。傾斜角度が40°未満の場合には、メインスワーラ14からの圧縮空気CAの旋回流を径方向に十分に広げて燃焼室11内に送給できないので、十分な広がりを持った逆流領域を形成しにくくなる。一方、傾斜角度を60°よりも大きくすると、メインスワーラ14からの圧縮空気CAの流れがフレア38の内面から剥離してしまい、所要の広がりを持った逆流領域を形成できない。フレア38の傾斜角度を45°に設定すると、最も高い燃焼効率を得ることができる圧縮空気CAの旋回流を形成することができる。なお、以上ではフレア38の内周面における傾斜角度と外周面における傾斜角度が同じであることを前提としているが、両者を異なるように構成しても良い。例えば、フレア38の厚みを下流に向かって大きくなるように構成すれば、内周面の傾斜角度は外周面の傾斜角度よりも小さくなる。
 以上のように、このガスタービン燃焼器1は、パージ孔40から環状空間39へ圧縮空気CAを導入することにより、煤の堆積や焼損の発生を防止できるだけでなく、燃料Fの液滴サイズが小さくなって燃焼性能が向上する。さらに、ガイド体34の下流端に設けたフレア38により、メインスワーラ14を通った圧縮空気CAの流れおよび燃料噴射弁13から噴射された燃料Fの分散分布を最適にコントロールすることができるので、着火性および安定燃焼性が著しく向上する。このことを、図6に示す実測結果により確認することができた。
 図6において、横軸は燃焼器1の空気流量、縦軸は燃焼器1全体の空燃比である。白丸印は火炎の吹き消えを、黒丸印は着火をそれぞれ示す。また、実線の特性曲線A,Bは本発明のガスタービン燃焼器1の実測結果である。×印は本発明のガスタービン燃焼器1の不着火を、△印は従来のガスタービン燃焼器の不着火をそれぞれ示す。
 本発明のガスタービン燃焼器1では、特性曲線AとCとの比較から明らかなように、火炎の吹き消えが発生する空燃比が従来の燃焼器に比べて相当に高い。また、特性曲線BとDとの比較から明らかなように、着火できる空燃比が従来の燃焼器に比べて相当に高い。また、×印と△印との比較から明らかなように、不着火が発生する空燃比が従来の燃焼器に比べて相当に高い。したがって、本発明のガスタービン燃焼器1は、高い空燃比、つまり少ない燃料Fでも確実に着火するとともに、空燃比が高くなっても火炎の吹き消えおよび不着火が発生しにくい。
 このように、本発明のガスタービン燃焼器1は、高い空燃比で安定燃焼させることができ、燃焼効率も向上することから、CO2 の発生が減少する。
 さらに、本発明のガスタービン燃焼器1は、実験により、燃焼器1内における圧力損失、燃焼筒8の出口温度分布、燃焼効率、スモーク量およびNOx排出量のいずれにおいても、図7の従来の燃焼器と同等であることが確認された。
 また、本発明のガスタービン燃焼器1は、同一または相当するものに同一の符号を付した図2と図7との比較から明らかなように、従来の燃焼器に対し、パージ孔40を形成し、かつガイド体34の下流端にフレア38を設けるだけの簡単な改良を行うだけで済む利点がある。
 なお、前記実施形態では、アニュラー型の燃焼器を例示して説明したが、本発明は逆流缶型の燃焼器にも適用することができる。また、本発明は、以上の実施形態で示した内容に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 ガスタービン燃焼器
8 燃焼筒
9 アウタライナ
10 インナライナ
11 燃焼室
12 燃料噴射装置
13 燃料噴射弁
14 メインスワーラ(スワーラ)
20 カウリング
20a 開口
21 ドーム(支持体)
23 ヒートシールド
23b 円筒部
34 ガイド体
38 フレア
39 環状空間
40 パージ孔
CA 圧縮空気
C2 燃料噴射装置の軸心
F 燃料
G 燃焼ガス
M 混合気
TN タービン 

Claims (6)

  1.  燃焼室に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、
     前記燃料噴射弁の近傍において、圧縮機で生成された圧縮空気を取り込んで旋回させるスワーラと、
     前記スワーラから取り込んだ圧縮空気と前記燃焼噴射弁から噴射される燃料の混合気とを前記燃焼室に導く筒状のガイド体と、
     前記ガイド体よりも外周側に位置する円筒部を有するヒートシールドと、を備え、
     前記円筒部にはパージ孔が形成されており、
     前記パージ孔から空気を導入し、前記ガイド体と前記円筒部との間に形成された空間に当該空気が供給されるように構成されている、ガスタービン燃焼器。
  2.  前記パージ孔から導入した空気を斜め下流外方に導くガイド部をさらに備える、請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
  3.  前記ガイド部は、前記ガイド体の下流端に設けられるとともに下流側に向かって径が大きくなるように形成されたフレアである、請求項2に記載のガスタービン燃焼器。
  4.  前記パージ孔から導入される前記空気は、前記圧縮機で生成された圧縮空気である、請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載のガスタービン燃焼器。
  5.  前記パージ孔は前記円筒部の周上の10~30箇所に形成されている、請求項1乃至4のうちいずれか一の項に記載のガスタービン燃焼器。
  6.  前記フレアは、前記ガイド体の中心軸に対して40~60゜傾斜するように構成されている、請求項3に記載のガスタービン燃焼器。
     
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