WO2010110241A1 - コンテンツ受信装置、コンテンツ配信装置、コンテンツ配信システム、コンテンツ受信方法およびプログラム - Google Patents

Abstract

　アクセス帯域が制限されている環境で、切り替え先のチャンネルを早く表示することのできる構成を提供する。コンテンツ受信装置は、ユーザの操作履歴に基づいて、次の選局候補となるチャンネルを推定する切替先候補チャンネル推定手段と、コンテンツ配信装置に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記次の選局候補となるチャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する制御情報生成・送受信手段と、前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号する第１、第２の信号処理手段と、ユーザから前記選局候補のチャンネルが選局された場合に、前記第１の信号処理手段のバッファが完了するまで、第２の信号処理手段から出力された信号を出力する切替制御手段と、を備える。

Description

コンテンツ受信装置、コンテンツ配信装置、コンテンツ配信システム、コンテンツ受信方法およびプログラム

　（関連出願についての記載）
　本発明は、日本国特許出願：特願２００９－０７０６３１号（２００９年　３月２３日出願）の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
　本発明は、コンテンツ受信装置、コンテンツ配信装置、コンテンツ配信システム、コンテンツ受信方法およびプログラムに関し、特に、受信した信号を所定量蓄積してから再生するコンテンツ受信装置、コンテンツ配信装置、コンテンツ配信システム、コンテンツ受信方法およびプログラムに関する。

　ストリーミング放送において、チャンネルを切り替える（ザッピングを行う）と、切り替え先の放送が表示されるまでに時間が掛かるということが知られており、例えば、特許文献１では、メインストリームを低ビットレート化した補助ストリームを記憶しておき、選局操作が行われたとき、メインストリームのバッファが完了するまでの間、補助ストリームの画像表示を行う構成が開示されている。

　また、特許文献２には、デジタル放送において切り替え先の放送をより早く表示するために、切り替えられる可能性の高いチャンネルを予測し、事前に受信・復調しておき、選局操作が行われたとき、事前に受信・復調しておいた信号を選択出力させる構成が開示されている。

　また、特許文献３には、複数のチューナーを有し、ユーザが欠かさず見ている番組や選局回数の回数などから、次に選局されるチャンネルを予測するチャンネル予測手段と、番組の視聴中に、前記複数のチューナーのうちの第２のチューナーで前記予測したチャンネルを選局するように制御する選局制御手段を有する構成が開示されている。

特開２００７－２１５０６９号公報 特開２００１－９４８９２号公報 特開２００８－２９４８６０号公報

　上記特許文献１～３の全開示内容はその引用をもって本書に繰込み記載する。
　以下に本発明による関連技術の分析を与える。
　特許文献１に記載されているとおり、サービス品質（ＱｏＳ）が保証されないネットワークを介したストリーミング放送では、映像信号自体の復号化処理等に加えて、通信量の変動を吸収し安定した再生を行うために、一定量の信号をバッファすることが必要となり、ユーザがチャンネルを切り替える都度上記バッファへの蓄積を始めるため、切り替え操作の後に何も表示されない時間がより長くなってしまう。もちろんアクセス帯域やバッファ領域が十分あれば、すべてのチャンネルを受信しバッファすることが可能であるが、チャンネル数の数やバッファすべき信号量を考えると現実的ではない。

　そこで特許文献１の実施例１では、切り替え操作後も、切り替え前のチャンネルを表示することにより、上記何も表示されない時間を解消するようにしているが、この方法では、切替操作後も切替前の番組が表示されてしまうことになり操作性が悪いとのイメージをもたれてしまう可能性がある。また、特許文献１の実施例２以下では、複数のメインストリーム放送局から送信されるメインストリームを低ビットレートの補助ストリームに変換してから送信する補助ストリーム送信装置を設け、受信機側で選局前に受信しておく構成が開示されている。特許文献１の段落０１１２に記載されているとおり、この構成では、限られたネットワーク帯域を如何にして有効に活用するかが問題となる。

　特に、ＩＰ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ　Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）網等のネットワークを経由してストリーム放送を受信する場合には、アクセス回線による帯域制限や、家庭や企業内の内部ネットワークにおける帯域制限も考慮しなければならない。例えば、アクセス回線の実効速度が１２Ｍｂｐｓであるとすると、８Ｍｂｐｓの転送ビットレートの信号は、１チャンネルしか受信できない。このため、無線放送により、すべてのチャンネルを電波で受信側に送る前提であり掛かる制限のない特許文献２、３の方法とは別の観点での配慮が必要となる。

　本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アクセス回線など通信帯域が限られた環境においても、切り替え先のチャンネルを早く表示することのできるコンテンツ受信装置、コンテンツ配信装置、コンテンツ受信方法およびプログラムに関する。

　本発明の第１の視点によれば、ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定する切替先候補推定手段と、送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する制御情報生成・送受信手段と、前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号する第１、第２の信号処理手段と、ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に、前記第１の信号処理手段のバッファが完了するまで、第２の信号処理手段から出力された信号を出力する切替制御手段と、を備えるコンテンツ受信装置が提供される。

　本発明の第２の視点によれば、上記したコンテンツ受信装置から要求に応じて、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで、選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号を送信するコンテンツ配信装置が提供される。

　本発明の第３の視点によれば、上記したコンテンツ受信装置とコンテンツ配信装置とを含んだコンテンツ配信システムが提供される。

　本発明の第４の視点によれば、ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定するステップと、送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求するステップと、前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号するステップと、ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に、前記第１の符号化レートで受信した信号のバッファが完了するまで、前記第２の符号化レートで送信された信号を出力するコンテンツ受信方法が提供される。

　本発明の第５の視点によれば、ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定する処理と、送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補となるチャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する処理と、前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号する処理と、ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に、前記第１の符号化レートで受信した信号のバッファが完了するまで、前記第２の符号化レートで送信された信号を出力する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。

　本発明によれば、アクセス帯域が限られた環境においても、切り替え先のチャンネルを早く表示することができる。その理由は、ユーザの操作履歴に基づいて予め選局候補を推定しておき、第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートの信号送信を要求し、受信しておき、チャンネル切替発生時に、選局された信号のバッファの完了を待たずに、前記第２の符号化レートで前もって受信しておいた信号を用いて表示を行うよう構成したことにある。

本発明の第１の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。 本発明の第１の実施形態に係るコンテンツ受信装置の動作を表したフローチャートである。 本発明の第１の実施形態に係るコンテンツ受信装置におけるチャンネル切替前後の受診信号の変化を表した図である。 本発明の第２の実施形態に係るコンテンツ受信装置におけるチャンネル切替前後の受診信号の変化を表した図である。 本発明の第３の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。 本発明の第４の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。 本発明の第５の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。 本発明の第１の実施形態の変形例を説明するためのフローチャートである。

　はじめに、本発明の概要について説明する。本発明に係るコンテンツ受信装置は、ユーザのチャンネルの切替履歴等から、今後の切替先になりそうなチャンネルを予想する推定する切替先候補推定手段と、送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記次の選局候補となるチャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する制御情報生成・送受信手段と、を備えている。一般に、コンテンツの情報量の時間的変動により、符号化レートは変動するが、ここで、符号化レートとは、変動した符号化レートの平均を指す。アクセス回線として、ＡＤＳＬ（Ａｓｙｎｃｈｒｏｎｏｕｓ　ｄｉｇｉｔａｌ　ｓｕｂｓｃｒｉｂｅｒ　Ｌｉｎｅ）やＦＴＴＨ（Ｆｉｂｅｒ　ｔｏ　ｔｈｅ　ｈｏｍｅ）を用いれば、受信機能だけでなく、送信機能を備えているので、それを利用する事ができる。

　前記切替先候補チャンネルは１つに限らず、ネットワークの伝送能力を超えない範囲で、複数のチャンネルを切替先候補としてもよい。例えば、ユーザのアクセス帯域が１６Ｍｂｐｓだとし、第１の符号化レートを８Ｍｂｐｓ、第２の符号化レートを２Ｍｂｐｓとする。第１の符号化レートで受信してそれを映像出力している時、切替先候補のチャンネルとして、第２の符号化レートの４つチャンネルを予めバッファすることができる。切替先候補の数は、２つや４つに固定する必要は無く、アクセス帯域の制限、ネットワークの負荷状況、第１の符号化レートや第２の符号化レートの値が所定値を超えたものだけを選択する等によって、可変として良い。

　なお、前記送信元となるコンテンツ配信装置は、コンテンツ受信装置からの要求に応じて、前記第１、第２の符号化レートの信号を配信することが可能となっているものとする。すなわち、コンテンツ配信装置は、コンテンツ受信装置からの要求を受けてから符号化を行っても良いし、すべてのチャンネルにおいて、複数の符号化を行っていても良い。

　そして、本発明に係るコンテンツ受信装置は、前記送信元から第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれバッファし、それぞれ復号する第１、第２の信号処理手段と、ユーザから前記選局候補のチャンネルが選局された場合に、前記第１の信号処理手段のバッファが完了するまで、第２の信号処理手段から出力された信号を出力する切替制御手段と、を備える。

　以上のように、ユーザが実際に選局したチャンネルが予想した切替先候補と一致した場合、低ビットレートであるがバッファへの蓄積が既に終わっているので、速やかに切替先のチャンネルの映像信号を表示することができる（チャンネルの切替時間の短縮）。また、前記予測した切替先候補のチャンネルを、より低ビットレートとすれば多数のチャンネルを予めバッファすることが可能になり、ユーザがザッピング（チャンネル切り替え）を行っても、高速に表示切替を行うことができる。特に、視聴候補となるチャンネル数の方がアクセス回線で同時に受信できるチャンネル数よりも大きい場合、すべてのチャンネルを同時に受信できないので、必要な帯域のみ使用するように、効率的にアクセス回線の帯域を使用する必要があるが、本発明を用いることにより、視聴中のコンテンツと、次の切替先候補のチャンネルのコンテンツのみ、アクセス回線を伝送されており、効率的にアクセス回線を使用し、かつ、高速に表示切替を行うことが出来る、という利点がある。

［第１の実施形態］
　続いて、本発明の第１の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図１は、本発明の第１の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。

　図１を参照すると、本発明の第１の実施形態に係るコンテンツ受信装置１００は、第１信号選択受信部１０１、第１信号蓄積部１０２、第１信号変換部１０３によって構成される第１の信号処理手段と、第２信号選択受信部１８１、第２信号蓄積部１８２、第２信号変換部１８３によって構成される第２の信号処理手段との２つの信号処理手段と、信号選択部１０４と、チャンネル操作受付部１５１と、切替制御部１５２と、切替先候補推定部１５３と、制御情報生成・送受信部１５４とを備えている。上記構成を備えたコンテンツ受信装置１００は、図示省略するテレビ受像機に接続されて、セットトップボックス（ＳＴＢ）として機能する。

　第１信号選択受信部１０１および第２信号選択受信部１８１は、信号送出元のＩＰ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ　ｐｒｏｔｏｃｏｌ）アドレスとＴＣＰ（Ｔｒａｎｓｍｉｓｓｉｏｎ　ｃｏｎｔｒｏｌ　ｐｒｏｔｏｃｏｌ）のポートとの組み合わせに対応付けられ、映像信号を受信し、映像信号に含まれる表示すべき時刻（ＰＴＳ）、デコードすべき時刻（ＤＴＳ）の情報を読み取り、その時刻になるまでデコード、表示をせず、それぞれ第１信号蓄積部１０２および第２信号蓄積部１８２にバッファしておく（溜め込んでおく）処理を行う。

　デコードすべき時刻（ＤＴＳ）になると、第１信号変換部１０３および第２信号変換部１８３は、バッファされた信号のデコードを行い、圧縮されているＭＰＥＧ（Ｍｏｔｉｏｎ　Ｐｉｃｔｕｒｅ　Ｅｘｐｅｒｔｓ　Ｇｒｏｕｐ）信号をベースバンド映像信号（ここでは、圧縮や変調をしていない映像信号の事を指す。）に変換する処理を行う。

　信号選択部１０４は、切替制御部１５２からの指示されたタイミングで、前記２つの信号処理手段を選択し、図示省略するテレビ受像機に映像信号を出力する。

　チャンネル操作受付部１５１は、ユーザのリモコン端末等から送信されたチャンネル切替コマンドを受信し、切替制御部１５２に出力する。

　切替制御部１５２は、チャンネル操作受付部１５１から入力されたチャンネル切替コマンドに基づいて、信号選択部１０４を制御するとともに、切替先候補推定部１５３および制御情報生成・送受信部１５４にユーザが選択したチャンネル情報を出力する。

　切替先候補推定部１５３は、上記のように切替制御部１５２を経由して入力されたチャンネル情報に基づき、次にユーザが切り替えるであろうチャンネルを推定し、制御情報生成・送受信部１５４に推定した切替先候補のチャンネルを入力する。例えば、ユーザが、ある時点で、チャンネル番号上昇キーを今まで押し続けていて、現在のチャンネルがチャンネル１であれば、次のチャンネルは、チャンネル２か、チャンネル３、４、５などのチャンネルであると推定できる。

　同様に、例えば、ユーザが、リモコン端末のチャンネルボタンを順番に押しているような場合には、次のチャンネルは、当該リモコン端末のチャンネルボタンの配列によって、押されたチャンネルボタンに隣接する１つまたは複数のチャンネルを推定することができる。また、上記ユーザの操作履歴と時刻情報とを用いて、ユーザが毎週、毎日の特定の時間帯に視聴している番組（周期的に視聴している番組）を割り出し、当該番組を切替先候補として推定するようにしてもよい。

　制御情報生成・送受信部１５４は、切替制御部１５２より入力されたチャンネル情報に基づいて、第１信号選択受信部１０１にて、第１のビットレートで、ユーザが選局したチャンネルの信号を受信することを要求する制御情報（制御メッセージ）を生成して送信元に送信する。また、制御情報生成・送受信部１５４は、切替先候補推定部１５３より入力された切替先候補のチャンネルに基づいて、第２信号選択受信部１８１にて、第２のビットレートで、ユーザが切り替えるであろうチャンネルの信号を受信することを要求する制御情報（制御メッセージ）を生成し、送信元に送信する。また、制御情報生成・送受信部１５４は、どのチャンネルに関して、配信要求を行ったか、どのチャンネルに関して、取り消し要求を送信するべきかを把握するための、状態メモリ領域を備え、ユーザの選択したチャンネルが変化し、以前に配信要求を送信していたチャンネルが、選局チャンネルにも切替先候補チャンネルにもなっていない状態になれば、前記信号の送信要求をキャンセルするメッセージを生成して送信する。
　具体的には、ＲＴＳＰ（リアルタイム・ストリーミング・プロトコル）を用いた場合、チャンネルが切り替えられて関係なくなったチャンネルに関して、未だ、ストリーミングを要求したままになっていれば、そのチャンネルの送り元にＴｅａｒｄｏｗｎという制御メッセージを送れば良い。
　また、ＳＩＰ（セッション・イニシエイション・プロトコル）を用いた場合、チャンネルが切り替えられたことを認識し、かつ、そのチャンネルが選局チャンネルでもなく、切替先候補のチャンネルでもなければ、セッションの確立途中であればＣａｎｃｅｌという制御メッセージ、セッション確立後であればＢＹＥという制御メッセージを、それぞれ送ればよい。

　第２のビットレートは、第１のビットレートより低いビットレートとする。コンテンツ受信装置が接続されたアクセス回線や、ホームネットワークの回線速度や利用率、予測するチャンネルの数等を総合的に考慮して決定される。例えば、アクセス帯域が１２Ｍｂｐｓで、第１のビットレートが８Ｍｂｐｓである場合、第２のビットレートを２Ｍｂｐｓとすれば、切替先候補として２チャンネル分の信号をバッファしておくことが可能となる。

　また、コンテンツ受信装置１００を構成するコンピュータに後記する処理を実行させるプログラムを用いて、当該コンピュータを上記した切替先候補推定部１５３、制御情報生成・送受信部１５４、第１、第２の信号処理手段、切替制御部１５２としてそれぞれ機能させることができる。

　続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図２は、本発明の第１の実施形態に係るコンテンツ受信装置の動作を表したフローチャートである。

　図２を参照すると、まず、チャンネル操作受付部１５１がユーザからチャンネル切替コマンドを受け付けると（ステップＳ２０１のＹｅｓ）、切替制御部１５２は、切替先候補推定部１５３および制御情報生成・送受信部１５４にチャンネル情報を出力する。上記により、ステップＳ２０２からＳ２０６までの処理と、ステップＳ２１２からＳ２１４の処理と、が並行して行われる。

　まず、制御情報生成・送受信部１５４は、第１信号選択受信部１０１にてユーザが選局したチャンネルの番組コンテンツの符号化レートとして、高い符号化レートである高ビットレート信号を受信することを要求する制御情報（制御メッセージ）を生成して送信元に送信し、ユーザが要求したチャンネルの受信を開始する（ステップＳ２０２）。また、現在他のチャンネルの高ビットレート信号を受信していた場合、制御情報生成・送受信部１５４は、送信元に対し、当該チャンネルの高ビットレート信号の配信要求を取り消すメッセージを送信する。

　一方、切替先候補推定部１５３は。切替制御部１５２から指示されたチャンネル情報に基づき、次にユーザが切り替えるであろう切替先候補のチャンネルを推定し、制御情報生成・送受信部１５４に推定した切替先候補のチャンネル情報を出力する（ステップＳ２１２）。

　制御情報生成・送受信部１５４は、第２信号選択受信部１８１にて、第２のビットレートで前記推定した切替先候補のチャンネルの信号（低ビットレート信号）を受信することを要求する制御情報（制御メッセージ）を生成して送信元に送信する（ステップＳ２１３）。また、現在、前記切替先候補にないチャンネルの低ビットレート信号を受信していた場合、制御情報生成・送受信部１５４は、送信元に対し、当該チャンネルの低ビットレート信号の配信要求を取り消すメッセージを送信する。

　以上により、ユーザの要求チャンネルと、切替先候補のチャンネルとの受信が開始する（ステップＳ２０２、ステップＳ２１４）。

　次に、切替制御部１５２は、前記推定した切替先候補のチャンネルと、ユーザが実際に選局したチャンネルが一致しているか否かを判定する（ステップＳ２０３）。ここで、前記推定した切替先候補のチャンネルと、ユーザが実際に選局したチャンネルが一致している場合、切替制御部１５２は、第２のビットレートで受信、バッファ済みの切替先のチャンネルの信号を選択するように、信号選択部１０４を制御する（ステップＳ２０４）。この時点で、第２のビットレートで受信、バッファ済みの映像信号がテレビ受像機に出力される。

　一方、前記推定した切替先候補のチャンネルと、ユーザが実際に選局したチャンネルが一致していない場合、切替制御部１５２は、低ビットレートで受信、バッファ済みの信号の出力は行わない。

　その後、切替制御部１５２は、第１のビットレートで受信した信号のバッファが完了しているか否かを確認する（ステップＳ２０５）。ここで、第１信号蓄積部１０２に十分な量のバッファが溜まったことを確認できたら（ステップＳ２０５のＹｅｓ）、切替制御部１５２は、バッファが完了した第１のビットレートで受信した、ユーザ要求チャンネルの信号を選択するように、信号選択部１０４を制御する（ステップＳ２０６）。ここで、「十分な」、とは、コーディングの際、コンテンツの情報量の時間的変化により、符号化ビットレートが変動したり、又、ネットワークのトラヒックの状況により、受信するビットレートが変動したりするが、その変動を吸収するに足りるバッファ量という意味である。その値は、通常、符号化方式や、使用するネットワークを決定すれば、定まる。

　上記本発明のコンテンツ受信装置におけるチャンネル切替前後の受信信号の変化について図３を参照して説明する。

　例えば、図３の上段に示すように、コンテンツ受信装置は、第１信号選択受信部１０１で高ビットレートのチャンネル１の信号を受信し、切替先候補としてチャンネル２、３を推定し、第２信号選択受信部１８１で低ビットレートの信号を受信している。

　上記状態において、チャンネル２を選局するチャンネル切替コマンドを受け付けた場合、図３の下段に示すように、第１信号選択受信部１０１で高ビットレートのチャンネル２の信号の受信を要求し、切替先候補として、チャンネル１、３（あるいは、チャンネル３、４でも良い。）を推定し、第２信号選択受信部１８１で低ビットレートの信号の受信を要求する。

　そして、上記チャンネル切替コマンドを受け付けてから、第１信号選択受信部１０１で高ビットレートで受信しているチャンネル２の信号のバッファが完了するまでの間、コンテンツ受信装置は、第２信号選択受信部１８１で受信しバッファしておいた低ビットレートのチャンネル２の信号を変換して出力する。

　以上のようにして本実施形態によれば、上記切替先候補の予測アルゴリズムに依存するが、ストリーミング放送におけるチャンネル切替時の待ち時間を短くすることが可能となる。
　特許文献１等の構成では、所謂ザッピングのように、次から次に連続的にチャンネルが切り替えられた場合、送信元へ、要求の取り消しメッセージが伝達されないため、送信元は、コンテンツの配信をしようと、コンテンツのデータを送り続け、ネットワークには、無駄なトラヒックが流れることになる。
　これに対し、本実施形態によれば、上記制御情報生成・送受信部１５４は、一度出した要求を取り消すメッセージを発行するため、無駄な送信要求をキャンセルして、ネットワークのリソースを無駄にすることを防ぐことができる。また、特許文献１等の構成では、上記要求が取り消された状態が継続し、送信元装置のリソースが消費され、最終的には、要求を受け付けることができない状態となってしまう可能性があるが、本実施形態では、送信元装置のリソースを無駄に使用することを避けられる、という効果もある。

　なお、上記の実施形態では、高低２つの符号化レートで信号の送信を要求するものとして説明したが、送信元から送信される信号の符号化方式としては、スケーラブル符号化方式（Ｓｃａｌａｂｌｅ　Ｖｉｄｅｏ　Ｃｏｄｉｎｇ）を好適に用いることができる。スケーラブル符号化方式は、例えば、ＩＴＵ－Ｔ勧告Ｈ．２６４にて規定されている。

　この場合も、ユーザの要求チャンネルを、高ビットレートで受信・蓄積し、切替先候補チャンネルを、低ビットレートで受信・蓄積すればよい。そして、ユーザの要求チャンネルが切替先候補チャンネルと一致すれば、バッファ済みの低ビットレートの信号を選択して出力すればよい。これにより、高ビットレートの信号のバッファが溜まるまでの時間を待たずに切り替えることができ、切り替え時間を短縮できる。

　そして、スケーラブル符号化方式の場合、上記チャンネル切替において、送信元は、符号化した信号のうち、低ビットレート用の信号のみをコンテンツ受信装置１００へ送出している状態から、同じセッションにて、徐々に符号化ビットレートを増やしていくことが可能となる。

　上記のようなスケーラブル符号化方式では、既に受信済みの低ビットレート信号を高ビットレートの信号の基本情報として活かすことができるため、バッファに溜まっている低ビットレートの信号を再送する必要がなく、高ビットレート再生に必要な情報と、低ビットレート再生に必要な情報の差分（上位レイヤ信号）を受信すれば良い。例えば、ユーザの要求チャンネルが切替先候補チャンネルと一致するたびに、第１（第２）の信号処理手段を切替先候補チャンネルの受信・蓄積に用い、第２（第１）の信号処理手段を要求チャンネルの受信・蓄積に用いるというように、第１の信号処理手段を入れ替える処理にて実現できる。このようにすれば、ネットワーク帯域を無駄に使用しないで済み、切り替え時間を短縮することもできるという利点がある。
　スケーラブル符号化方式の場合も、制御情報生成・送受信部１５４に、要求チャンネルが切り替わった際に、要求チャンネルでも切替先候補でもないチャンネルの配信要求を取り消す機能を備えることができる。この場合も、要求チャンネルと関係ない通信トラヒックが発生しないので、通信ネットワークをより有効に使用することができる。

［第２の実施形態］
　続いて、上記した第１の実施形態にザッピングモードを追加した本発明の第２の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。

　本実施形態は、上記した第１の実施形態と同様の構成にて実現できるため、以下、その相違点（ザッピングモード）について説明する。

　チャンネル切替コマンドが、ほぼ一定の間隔で入力された場合、切替制御部１５２は、その状態をザッピング状態とし、直前まで受信していたチャンネルを含めてすべて低ビットレートで受信するザッピングモードで信号を受信するよう制御情報生成・送受信部１５４に指示する。

　前記指示を受けた制御情報生成・送受信部１５４は、例えば、図４の上段の状態から図４の中段に示すように、６つのチャンネルの信号を低ビットレートで受信するよう制御情報を生成する。ザッピングモードを解除するまでの間、チャンネル切替コマンドの要求チャンネルと予想した切替先候補が一致した場合、切替制御部１５２は、既に受信している低ビットレートの信号を画面に表示するよう信号選択部１０４を切り替える。

　上記のように、本実施形態では、第１の実施形態よりも多数のチャンネルを受信することができるため、要求されたチャンネルがバッファ済みである可能性を高め、ザッピング時におけるチャンネル切替時間を短くすることができる、という利点がある。

　なお、所定時間以上チャンネル切替コマンドの入力が無かった場合は、切替制御部１５２は、上記ザッピングモードを終了し、制御情報生成・送受信部１５４に対し、選択されたチャンネルの高ビットレートの信号の送信要求を開始するよう指示する。

［第３の実施形態］
　続いて、切替先候補のチャンネルの推定に、電子番組情報を用いるようにした本発明の第３の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。

　図５は、本発明の第３の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。

　図５を参照すると、本発明の第３の実施形態に係るコンテンツ受信装置３００は、第１の実施形態の構成に加えて、電子番組情報を配信するサーバ等から電子番組情報を受信して保持する電子番組情報保持部３５５が追加されている。

　また、コンテンツ受信装置３００の切替先候補推定部３５３は、チャンネル操作受付部１５１が受け付けた過去のチャンネル切替操作の履歴と、電子番組情報保持部３５５に保持された電子番組情報から、ユーザが実際に視聴した番組を解析し、ユーザの視聴傾向を導出して、チャンネル切替先候補の推定に利用する。

　例えば、過去のチャンネル切替操作の履歴と、電子番組情報とを照合することにより、ユーザは報道番組（ニュース）をよく見ている、との解析結果が得られたものとする。この場合、切替先候補推定部３５３は、電子番組情報保持部３５５から、次のニュース番組を検索する。その結果、平日の１８時から報道番組（ニュース）が放送されていることが判明した場合、例えば、平日の１７：５５～１８：００の間に選局されるであろうチャンネルは、その報道番組（ニュース）となる可能性が高いので、その報道番組（ニュース）を切替先候補のチャンネルに含める。

　本実施形態によれば、ユーザの実際のコンテンツの視聴傾向に基づいて切替先候補のチャンネルを推定することが可能になる。例えば、上記した第１の実施形態で、チャンネル２の選局時に、ユーザの操作履歴から、チャンネル１、３を切替先候補としたが、特定の時間においては、チャンネル１、３でなく、電子番組情報から推定したチャンネル４、６を切替先候補とすることが可能となり、その場合におけるチャンネル切替の待ち時間を短縮することが可能になる。

［第４の実施形態］
　続いて、切替先候補のチャンネルの推定に、電子番組情報に加えてユーザの嗜好情報を用いるようにした本発明の第４の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。

　図６は、本発明の第４の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。

　図６を参照すると、本発明の第４の実施形態に係るコンテンツ受信装置４００は、図５に示した第３の実施形態の構成に加えて、嗜好情報保持部４５５が追加されている。

　嗜好情報保持部４５５は、ユーザから、例えば、「ゴルフ番組を見る」といった嗜好情報の入力を受け付けて保持する。嗜好情報の入力形態は、番組のジャンルや好きなタレントを指定するなどの任意の形態を採ることができる。

　コンテンツ受信装置４００の切替先候補推定部４５３は、チャンネル操作受付部１５１が受け付けた過去のチャンネル切替操作の履歴と、電子番組情報保持部３５５に保持された電子番組情報による切替先候補となるチャンネルの推定とともに、電子番組情報から、ユーザの嗜好情報に適用するチャンネルを選び出し、チャンネル切替先候補を推定する。

　例えば、ユーザが嗜好情報として「ゴルフ番組を見る」と入力し、電子番組情報によると土曜の１１時からゴルフ番組が放送される場合において、ユーザがそのゴルフ番組を選局する可能性が高いため、切替先候補推定部４５３は、当該ゴルフ番組を切替先候補に含める。

　本実施形態によれば、ユーザの嗜好に基づいて切替先候補のチャンネルを推定することが可能になる。例えば、上記した第１の実施形態で、チャンネル２の選局時に、ユーザの操作履歴から、チャンネル１、３を切替先候補としたが、特定の時間においては、チャンネル１、３でなく、電子番組情報から推定したゴルフ番組の放送が予定されているチャンネル５を切替先候補とすることが可能となり、その場合におけるチャンネル切替の待ち時間を短縮することが可能になる。

［第５の実施形態］
　図７は、本発明の第５の実施形態に係るコンテンツ受信装置の構成を表したブロック図である。上記した第１～第４実施形態においては、切替先候補推定部１５３、３５３、４５３をコンテンツ受信装置に含めるものとして説明したが、図７に示すように切替先候補推定部５５３をネットワークを介して外部に配置し、コンテンツ受信装置５００が外部の切替先候補推定部５５３と情報交換を行っても、本発明は支障なく実施可能である。その場合、制御情報生成・送受信部は、例えば、チャンネル操作受付部１５１から入力されたチャンネル番号をそのまま外部の切替先候補推定部５５３に送信する。外部の切替先候補推定部５５３は、その情報を受信すると、そのデータを用いて、次に受信するチャンネルを推定する。また、切替先候補推定部５５３は、送信元側に配置することができる、切替先候補推定部５５３からチャンネル番号を受け取った送信元は、コンテンツ受信装置５００に対し、指定されたチャンネルの配信を開始する。

　以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。

　例えば、上記した実施形態では、符号化レートは平均符号化レートであるものとして説明したが、最高符号化レートなど他の符号化レートの値を採用しても本発明は支障なく実施できる。

　図１の説明において、各ブロックの接続は、図１の接続に限定される訳ではない。例えば、信号蓄積部と信号変換部の位置が逆であっても本発明は支障なく実施できる。

　第１信号選択受信部の選択手段としてＩＰアドレスとＴＣＰ番号の組み合わせを変化させることにより実現するとしたが、放送電波を用いる場合は、受信する周波数を変化させることにより実現することができる。

　また、上記した実施形態では、コンテンツの信号を受信するアクセス回線としてＡＤＳＬ、ＦＴＴＨを用いるとして説明したが、本発明はそれに限定される訳ではない。例えば、アクセス回線として、ＷｉＭＡＸを用いる場合においても、上り回線のみ、ユーザ宅に接続されたインターネット回線を用いれば、本発明は支障なく実施できる。また、ケーブルテレビやその他の電波放送を用いる場合でも、使用可能帯域すべてを放送用途に用いずに、要求があったコンテンツのみを送信するような仕組みを含むシステムである場合は、本発明を適用することができる。

　また、上記した実施形態では、リモコン端末からの操作情報を用いて、切り替え先の推定を行うものとして説明したが、その他のユーザのチャンネル選択に関する操作履歴を用いて切り替え先の推定を行うことができる。例えば、リモコン端末でなくても、テレビ受像機やＳＴＢそのもののボタンを直接操作して切り替えた場合にも本発明を適用できることは自明である。

　第１の符号化レート、第２の符号化レートは、それぞれのチャンネル毎に定めていれば良く、チャンネル毎に、異なる第１の符号化レート、異なる第２の符号化レートであっても、本発明は支障なく実施できる。

　また、同一チャンネルであっても、第１の符号化ビットレート、第２の符号化ビットレートとして、ユーザの好みによって値を変化させるようにしても本発明は支障なく実施することができる。

　また、上記した実施形態では、第１の符号化レート、第２の符号化レートの信号を１つずつ受信できる例について説明したが、それぞれ、複数あっても、それらの間から出力する信号を選択する切替機能を持っていれば、本発明は支障なく実施できる。

　また、図１の信号選択部１０４をはじめとする各ブロックは、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても本発明は支障なく実施できる。例えば、信号選択部１０４の場合、ソフトウェアで出力するものを切り替えることもできるし、ハードウェアのスイッチを用いて切り替えることができる。

　また、上記した実施形態では、ストリーミングの場合について説明したが、例えば、ダウンロード型の場合においても、ダウンロードする際のビットレートを高ビットレートと低ビットレートの２種類を準備しておけば、本発明の実施は可能である。

　また例えば、図８に示すように、本発明の第１の実施形態の図２のステップＳ２０２の前に、「要求チャンネルの高ビットレート信号のバッファ完了？」という判断ステップ（図８のステップＳ２０７）を挿入することで、更に効率的に本発明を実施できる。要求チャンネルの高ビットレート信号のバッファが完了していれば（ステップＳ２０７の「Ｙｅｓ」）、低ビットレートの信号に切り替える必要がないので、図８のステップＳ２０６へ進み、要求チャンネルの高ビットレート信号を表示すれば良い。要求チャンネルの高ビットレート信号のバッファリングが完了していない場合（ステップＳ２０７の「Ｎｏ」）、ステップＳ２０２へ進み、第１の実施形態と同様の動作を行えばよい。このような変形を加えることにより、現在、高ビットレート信号で視聴中のチャンネルをユーザが選択した場合に、要求チャンネルの高ビットレート信号の受信要求というステップを省略することができ、本発明をより効率化することができる。

　本発明において、あるチャンネルの番組の配信を要求する際、そのメッセージに要求するＱｏＳ（Ｑｕａｌｉｔｙ　ｏｆ　Ｓｅｒｖｉｃｅ。通信帯域、遅延、パケットロスなど通信の質）情報を付加しても本発明を実施できることは自明である。そうして、ネットワーク側で、要求されたＱｏＳを保証する通信路を確保した上で、コンテンツの配信を受ければ、安定してコンテンツを再生することができる。ＱｏＳを確保する方法としては、例えば、ＩＰパケットにコンテンツ配信の優先度を高く付与し、ルータにおいて、ＩＰパケットに付与された優先度に基づき、優先的にルーティングを行うことや、ユーザからネットワーク側に送られてくる入り口のルータにおいて、ＩＰパケットをネットワーク側へ転送するかどうか、優先度を見て判断する等の方法を用いることにより実現可能である。

　なお、上記した実施形態においては、第１信号蓄積部、第２信号蓄積部としてＦＩＦＯ（ファースト・イン・ファースト・アウト）メモリを使用することを想定したが、本発明は、ＲＡＭ（ランダム・アクセス・メモリ）を用いても支障なく実施することができる。その場合、信号選択部は呼び出すメモリのアドレスを変化させることにより行う。

　また、ＱｏＳを確保するシグナリングとしてＩＥＴＦ（インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース）で規定された、ＳＩＰ(セッション・イニシエイション・プロトコル)を用いても良い。

　また上記した実施の形態では、信号選択部１０４を設けて、第１の符号化レートの信号、または、第２の符号化レートの信号を選択して、１つの映像信号を出力してそれを１つに表示装置で再生するものとして説明したが、次のような構成とすることもできる。

　図１の第１の符号化レートの信号に関する処理ブロックおよび第２の符号化レートの信号に関する処理ブロックが、それぞれ、第１の符号化レートの信号を再生できる第１の表示装置（図示省略）、第２の符号化レートの信号を再生できる第２の表示装置（図示省略）に接続され、各符号化レートの信号が出力される。例えば、第１の符号化レートの信号を再生できる第１の表示装置としては高精細大画面テレビ受像機、第２の符号化レートの信号を再生できる第２の表示装置としては映像再生機能を有する携帯端末が考えられる。第２の表示装置として携帯端末を用いた場合、視聴者は手元の携帯端末で第２の符号化レートの信号を受信・再生し、第１の表示装置のチャンネルを切り替えることができる構成が得られる。

　その際、第２の符号化レートの信号に関する処理ブロックのうち、例えば、第２信号蓄積部１８２、第２信号変換部１８３などを第２の表示装置として機能する携帯端末が有するものとしてもよいし、図１のとおりコンテンツ受信装置１００内部に持たせても良い。また、第２の符号化レートの信号に関する処理ブロックから第２の表示装置として機能する携帯端末への第２の符号化レートの信号の出力は、例えば、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）などの無線方式を用いるものとすることができる。また、チャンネル切替コマンドなどの制御信号も、上記映像信号と同様に、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）などにより、第２の表示装置（携帯端末）からコンテンツ受信装置１００へと伝達させるようにすることもできる。

　上記のような構成にて視聴者が、第２の表示装置（携帯端末）で視聴するチャンネルの切り替え操作を行うと、切替先候補推定部１５３は、当該チャンネル操作信号に基づいて、視聴者が視聴しそうな番組を推定し、それに対応する第１の符号化レートの信号の受信を開始する。視聴者の操作により切替先チャンネルが確定するまで、上記切替先チャンネルの推定と、第１の符号化レートで受信するチャンネルの前記推定したチャンネルへの切り替えが行われる。前記チャンネルの確定の判断方法としては、一定時間、チャンネルの切り替え操作がない場合をもって、チャンネルが確定したと判断しても良いし、別途設けたチャンネル決定ボタンの操作により、チャンネルが確定された、と判断しても良い。

　その後、確定したチャンネルが推定したチャンネルと一致したとき、既に再生に必要な信号が信号蓄積部１０２にバッファしてあるので、その分、切替時間を短縮できる。また、切り替える前に信号蓄積部１０２にバッファしていた、切り替え前のチャンネルの信号を削除すると、その分が表示されなくなるので、切り替え時間が早くなる。

　なお、第２の表示装置（携帯端末）でのチャンネル選択が確定するまでは、この間に第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）では、操作前のチャンネルを表示し続けても良い。

　以上説明した方法を用いることにより、第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）で再生するチャンネルが確定するまでは、携帯端末で第２の符号化レートの信号を切り替えてザッピングを行ない、切替先チャンネルが推定または確定できたら、第１の符号化レートで受信して切り替えるといった視聴スタイルを提供できる。つまり、視聴者は、第１の符号化レートで再生を行う第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）と、それよりも低ビットレートであるが切り替えの早い第２の表示装置（携帯端末）とのそれぞれを使い分けて、所望のチャンネルを視聴することができる。

　上記の実施形態は、更に、以下のような変更を加えることにより、第２の表示装置（携帯端末）で視聴・確認するチャンネルの切り替え後、第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）で表示が開始される時間を短縮することが可能となる。図１の第１信号選択受信部１０１、第１信号蓄積部１０２、第１信号変換部１０３と同じ構成をもう１系統準備し、第１の符号化レートの信号を受信・蓄積・信号変換する信号処理手段を計２つとする。そして、一方の信号処理手段を、第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）に映像信号を出力するために用い、もう一つの信号処理手段を推定チャンネルの受信・蓄積・信号変換するために用いる。そして、切替先のチャンネルを受信している信号処理手段の第１信号蓄積部へのバッファが完了するまでは、従前の信号処理手段から第１の符号化レートの信号の出力を続けるようにすれば、第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）に何も表示されない時間を短縮することができる。なお、その際、第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）の画面に「チャンネル切替準備中」といったメッセージを重畳表示することも好ましい。このようにすれば、視聴者に、第１の表示装置（高精細大画面テレビ受像機）が切替準備中であることを認識させることができ、故障と勘違いさせずに済む。

　以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。

　本発明の全開示（請求の範囲を含む）の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲（クレーム）の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合せないし選択が可能である。

　１００、３００、４００、５００　コンテンツ受信装置
　１０１　第１信号選択受信部
　１０２　第１信号蓄積部
　１０３　第１信号変換部
　１０４　信号選択部
　１５１　チャンネル操作受付部
　１５２　切替制御部
　１５３、３５３、４５３、５５３　切替先候補推定部
　１５４　制御情報生成・送受信部
　１８１　第２信号選択受信部
　１８２　第２信号蓄積部
　１８３　第２信号変換部
　３５５　電子番組情報保持部
　４５５　嗜好情報保持部

Claims (17)

1. 　ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定する切替先候補推定手段と、接続され、
   　送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する制御情報生成・送受信手段と、
   　前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号する第１、第２の信号処理手段と、
   　ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に、前記第１の信号処理手段のバッファが完了するまで、第２の信号処理手段から出力された信号を出力する切替制御手段と、
   　を備えるコンテンツ受信装置。
2. 　前記制御情報生成・送受信手段は、前記送信を要求したチャンネルが、前記選局されたチャンネルおよび前記切替先候補チャンネルのいずれにも該当しなくなった場合、前記信号の送信要求を取り消す機能を備える請求項１のコンテンツ受信装置。
3. 　所定の期間内に所定回数以上のチャンネル切替操作が行われた場合、前記切替制御手段は、前記制御情報生成・送受信手段に対し、ザッピングモードに遷移するよう指示し、
   　前記指示を受けた制御情報生成・送受信手段は、第１の符号化レートで信号の送信の要求を抑止し、選局候補チャンネルの数を増やして前記第２の符号化レートで信号の送信を要求する請求項１または２のコンテンツ受信装置。
4. 　前記切替制御手段は、前記ザッピングモード中に、所定期間以上特定のチャンネルが選択された状態が継続した場合に、前記ザッピングモードを終了し、前記制御情報生成・送受信手段に対し、選局されたチャンネルについて前記第１の符号化レートで送信を要求させる請求項３のコンテンツ受信装置。
5. 　前記切替先候補推定手段は、ユーザが、ユーザの操作履歴と時刻情報から、ユーザが周期的に視聴している番組を選局候補として推定する請求項１から４いずれか一のコンテンツ受信装置。
6. 　さらに、電子番組情報を保持する電子番組情報保持部を備え、
   　前記切替先候補推定手段は、前記ユーザの操作履歴と電子番組情報を照合して、ユーザが視聴したコンテンツを解析し、ユーザの視聴傾向を導出し、電子番組情報から前記ユーザの視聴傾向に適合する番組を選局候補として推定する請求項１から５いずれか一のコンテンツ受信装置。
7. 　さらに、電子番組情報を保持する電子番組情報保持部を備え、
   　前記切替先候補推定手段は、電子番組情報から、ユーザから予め指定された嗜好情報に適用する番組を選局候補として推定する請求項１から６いずれか一のコンテンツ受信装置。
8. 　ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定する切替先候補推定手段と、
   　送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する制御情報生成・送受信手段と、
   　前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号する第１、第２の信号処理手段と、
   　ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に第２の信号処理手段から出力された信号を出力する切替制御手段とを備え、　前記第１、第２の信号処理手段は、スケーラブル符号化方式（Ｓｃａｌａｂｌｅ　Ｖｉｄｅｏ　Ｃｏｄｉｎｇ）で符号化された信号を、第１、第２の符号化レートでそれぞれバッファし、
   　前記選局候補チャンネルが選局された場合に、前記切替制御手段は、前記第２の信号処理手段から出力された信号を出力するとともに、前記第２の信号処理手段にバッファされた信号の上位レイヤの信号を追加して要求するコンテンツ受信装置。
9. 　コンテンツ受信装置から要求に応じて、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで、選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号を送信するコンテンツ配信装置。
10. 　請求項８のコンテンツ受信装置からの要求に応じて、前記選局されたチャンネルと前記選局候補チャンネルの信号とを、前記スケーラブル符号化方式（Ｓｃａｌａｂｌｅ　Ｖｉｄｅｏ　Ｃｏｄｉｎｇ）で符号化して送信するコンテンツ配信装置。
11. 　請求項１から７いずれか一のコンテンツ受信装置と、請求項９のコンテンツ配信装置を含むコンテンツ配信システム。
12. 　請求項８のコンテンツ受信装置と、請求項１０のコンテンツ配信装置を含むコンテンツ配信システム。
13. 　ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定するステップと、
    　送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求するステップと、
    　前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号するステップと、
    　ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に、前記第１の符号化レートで受信した信号のバッファが完了するまで、前記第２の符号化レートで送信された信号を出力するコンテンツ受信方法。
14. 　ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定する処理と、
    　送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補となるチャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する処理と、
    　前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号する処理と、
    　ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に、前記第１の符号化レートで受信した信号のバッファが完了するまで、前記第２の符号化レートで送信された信号を出力する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
15. 　ユーザの操作履歴に基づいて、選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）を推定する切替先候補推定手段と、接続され、
    　送信元に対して、選局されたチャンネルについて第１の符号化レートで信号の送信を要求し、前記選局候補チャンネルについて前記第１の符号化レートより低ビットレートの第２の符号化レートで信号の送信を要求する制御情報生成・送受信手段と、
    　前記第１、第２の符号化レートで送信された信号をそれぞれ受信し、バッファし、復号する第１、第２の信号処理手段と、
    　ユーザから要求されたチャンネルが前記選局候補チャンネルの少なくとも一つと一致していた場合に、前記第１の信号処理手段のバッファが完了するまで、第２の信号処理手段から出力された信号を出力する切替制御手段と、
    　を備えるコンテンツ受信システム。
16. 　前記切替制御手段に代えて、
    　前記第１の信号処理手段から出力された信号の出力先となる第１の表示装置と、
    　前記第２の信号処理手段から出力された信号の出力先となる第２の表示装置と、を含み、
    　前記第２の表示装置は、さらに、ユーザからチャンネル操作を受け付けるチャンネル操作受付手段を備えている請求項１５のコンテンツ受信システム。
17. 　前記第１の符号化レートで送信された信号を出力するための第３の信号処理手段を有し、
    　前記第１、第３の信号処理手段には、前記選局候補となるチャンネル（選局候補チャンネル）と選局されたチャンネルの第１の符号化レートの信号が入力され、
    　前記切替制御手段は、前記第１、第３の信号処理手段のいずれか一方における前記第１の符号化レートで送信された信号のバッファが完了するまでは、他方の信号処理手段から前記第１の符号化レートの信号を出力する請求項１６のコンテンツ受信システム。

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