WO2010110203A1

WO2010110203A1 - パンツ型吸収性物品

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Publication number: WO2010110203A1
Application number: PCT/JP2010/054798
Authority: WO
Inventors: 純佐々木; 誉之佐藤
Original assignee: 花王株式会社
Priority date: 2009-03-23
Filing date: 2010-03-19
Publication date: 2010-09-30
Also published as: EA201171135A1; CN102325513B; EA020614B1; EP2412354A1; SG174270A1; KR20110139742A; EP2412354A4; MY152455A; CN102325513A; TW201043205A

Abstract

　腹側部の両側縁部（６ａ）と背側部の両側縁部（６ｂ）との重合部（７）を融着して形成された一対のサイドシール部（８）するパンツ型使い捨ておむつ（１）である。前記重合部（７）は、ウエスト開口部側の端部に、シートの積層枚数が、他の領域（７２，７３）よりも多いウエスト端部領域（７１）を有する。ウエスト端部領域（７１）における腹側部及び背側部それぞれのシートの積層構造が、腹側部及び背側部それぞれの重合部同士間にも延在している。サイドシール部（８）は、ウエスト端部領域（７１）が融着されて形成されたシール領域（８ａ１）における、長手方向の単位長さ当たりの肌側端部（８ｅ）における融着部８１の合計長さが、それより下方の領域（７２，７３）が融着されて形成されたシール領域（８ａ２，８ａ３）における同合計長さより小さい。

Description

パンツ型吸収性物品

　本発明は、使い捨ておむつ等のパンツ型吸収性物品に関する。

　従来、表面シート、裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型の吸収性物品が知られている。
　また、種々の目的から、サイドシール部に形成する融着部の形成パターンを工夫したものが種々提案されている。
　従来、表面シート、裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型の吸収性物品が知られている。
　また、種々の目的から、サイドシール部に形成する融着部の形成パターンを工夫したものが種々提案されている。

　例えば、本出願人は、良好な装着感や風合いを保持しながら良好なフィット性を発揮するパンツ型使い捨ておむつとして、ウエスト開口部の周縁部及びレッグ開口部の周縁部に位置するサイドシール部の融着部を、該サイドシール部の幅方向の略中央部に非溶着部を有する間歇接合部としたパンツ型使い捨ておむつを提案した（特許文献１参照）。

　また、特許文献２には、前部のシームパネルと背部のシームパネルとを接合することにより、ウエスト開口部と２つのレッグ開口部とを形成した、例えばおむつである衣類が記載されており、特許文献２には、そのような衣類のシームパネル同士を、多数の接合部の集合からなるクラスターを、複数設けて接合することが記載されている。

　また、本出願人は、接合部の強度が十分であり、風合いに優れ、引き剥がし性にも優れたパンツ型の吸収性物品として、サイドシール部が、実質的に腹側部側の面及び背側部側の面の両面から押圧されて接合されている強接合部、実質的に腹側部側の面及び背側部側の面の何れか片面から押圧されて接合されている弱接合部、及び実質的に腹側部側の面及び背側部側の面の何れの面からも押圧されていない非接合部を含むものを提案した（特許文献３参照）。

特開平１０－１３７２８７号公報特開２００２－３６９８４２号公報特開２００１－１２０５９５号公報

　しかし、特許文献１の使い捨ておむつにおいては、サイドシール部の幅方向の肌側端部に形成された融着部が、着用者のウエスト周りに違和感を与えたり、おむつを履いたり履かせる際に、融着部が、ウエスト周りや手、脚等における肌を刺激する恐れがある。
　ところで、着用者のウエスト周りは、周長が長く、またその周長が姿勢の変化や呼吸により変動するため、ウエスト周りに当接する部分のクッション性や柔らかさは、装着感に大きく影響する。しかし、特許文献２の衣類は、ウエスト周りの柔らかさや感触に対する配慮が不充分であり、また、前部のシームパネルのシームパネルの外（内）面に背部のシームパネルの内（外）面を重ねて両パネルを接合しているため、製造設備が複雑化する。
　また、特許文献３の使い捨ておむつにおいては、おむつを履いたり履かせる際、あるいは着用中に、ウエスト開口部の周縁部を上方から、もしくは側方（肌に対して垂直な方向）から押圧するような力が加わった際に、強接合部が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激する恐れがある。

　本発明は、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、
　前記重合部は、ウエスト開口部側の端部に、シートの積層枚数が、該重合部における他の領域よりも多いウエスト端部領域を有しており、前記重合部のウエスト端部領域における腹側部及び背側部それぞれのシートの積層構造が、腹側部の重合部同士間及び背側部の重合部同士間にも延在しており、前記サイドシール部は、前記ウエスト端部領域が融着されて形成されたシール領域における、長手方向の単位長さ当たりの、サイドシール部肌側端部における融着部の合計長さが、該ウエスト端部領域より下方の領域が融着されて形成されたシール領域における同合計長さよりも小さいパンツ型吸収性物品を提供するものである。

　また、本発明は、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、
　前記サイドシール部は、腹側部側の面から押圧されて形成された腹側シールパターンと、背側部側の面から押圧されて形成された背側シールパターンとが異なり、前記腹側又は背側シールパターンは、前記サイドシール部のウエスト開口部側の端部領域におけるシールパターンが、該サイドシール部の他の領域と異なり、前記サイドシール部は、前記端部領域における融着強度が、前記他の領域における融着強度よりも低いパンツ型吸収性物品を提供するものである。

図１は、本発明の第１実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。図２は、図１に示すパンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸張状態を示す図である。展開且つ伸長状態とは、サイドシール部を引き剥がして、パンツ型吸収性物品を展開状態とし、その展開状態の吸収性物品を、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法（弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ）となるまで拡げた状態をいう。図３（ａ）は、図２のＹ１－Ｙ１線拡大断面図であり、図３（ｂ）は、図２のＹ２－Ｙ２線拡大断面図であり、図３（ｃ）は、サイドシール部の拡大平面図である。図４は、本発明の他の実施形態におけるサイドシール部の拡大平面図（図３（ｃ）相当図）である。図５は、本発明の更に他の実施形態におけるサイドシール部の拡大平面図（図３（ｃ）相当図）である。図６は、図１に示すパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部を形成するエンボスロールの模式図である。図７は、本発明の更に他の実施形態におけるサイドシール部の拡大平面図である。図８は、本発明の更に他の実施形態におけるサイドシール部の拡大平面図である。図９は、本発明の更に他の実施形態におけるサイドシール部の拡大平面図である。図１０は、本発明の第２実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。図１１（ａ）は、図１０に示すパンツ型使い捨ておむつの、図３（ａ）に対応する断面図、図１１（ｂ）は、図１０に示すパンツ型使い捨ておむつの、図３（ｂ）に対応する断面図である。図１２（ａ）は、図１０に示すパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部における腹側シールパターンを示す図であり、図１２（ｂ）は、図１２（ａ）に示す腹側シールパターンを形成するシールロールの凸部を示す模式図であり、図１２（ｃ）は、図１０に示すパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部における背側シールパターンを示す図であり、図１２（ｄ）は、図１２（ｃ）に示す背側シールパターンを形成するシールロールの凸部を示す模式図であり、図１２（ｅ）は、図１０に示すパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部に形成される強接合部及び弱接合部の分布を示す図である。図１３は、図１２（ｅ）のＤ－Ｄ線断面図である。図１４は、サイドシール部を形成するシールロールの加圧部付近の拡大断面図である。図１５（ａ）は、本発明の更に他の実施形態のパンツ型使い捨ておむつにおける腹側又は背側シールパターンを示す図であり、図１５（ｂ）は、そのパンツ型使い捨ておむつにおける背側又は腹側シールパターンを示す図であり、図１５（ｃ）は、そのパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部に形成される強接合部の分布を示す図である。図１６（ａ）は、本発明の更に他の実施形態のパンツ型使い捨ておむつにおける腹側又は背側シールパターンを示す図であり、図１６（ｂ）は、そのパンツ型使い捨ておむつにおける背側又は背側シールパターンを示す図であり、図１６（ｃ）は、そのパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部に形成される強接合部の分布を示す図である。

　以下、本発明のパンツ型吸収性物品をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
　本発明の第１実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ１（以下、「おむつ１」ともいう。）は、腹側部Ａの両側縁部６ａ，６ａと背側部Ｂの両側縁部６ｂ，６ｂとを互いに重ね合わせた重合部７，７を融着して形成された一対のサイドシール部８，８を有している。重合部７，７は、それぞれ、腹側部Ａの肌当接面側の面と背側部Ｂの肌当接面側の面とを合掌状に重ね合わせてなり、それぞれ、着用状態におけるおむつ１の縦方向（上下方向）と同方向に長い形状を有している。腹側部Ａは、おむつ１の装着時に、装着者の腹側に配される部位であり、背側部Ｂは、装着者の背側に配される部位であり、股下部Ｃは、装着者の股間部に配される部位である。

　使い捨ておむつ１は、図１，図２に示すように、その長手方向（腹側部Ａから股下部Ｃを通って背側部Ｂに向かう方向）に延びる中心線ＣＬに対して左右対称である。従って、以下の説明では、主に、図１及び図２における左側の構成について説明するが、右側の構成も左右対称である以外は同様である。以下、おむつ１の長手方向（おむつ１を図２に示すように展開して伸長した状態において、前記中心線ＣＬと平行な方向）を「Ｙ方向」ともいう。

　重合部７は、ウエスト開口部ＷＯ側の端部に、シートの積層枚数が、該重合部７における他の領域７２，７３よりも多いウエスト端部領域７１を有している。また、重合部７のウエスト端部領域７１における腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれのシートの積層構造が、腹側部Ａの重合部同士間７１ａ及び背側部Ｂの重合部同士間７１ｂに延在している。そして、サイドシール部８は、ウエスト端部領域７１が融着されて形成されたシール領域８ａ１における、長手方向の単位長当たりの、サイドシール部肌側端部８ｅにおける融着部８１の合計長さが、該ウエスト端部領域７１より下方の領域７２，７３が融着されて形成されたシール領域８ａ２，８ａ３における同合計長さよりも小さい〔図３（ｃ）参照〕。

　本実施形態のおむつ１について、更に詳述する。
　本実施形態のおむつ１は、図２に示すように、液透過性の表面シート２と、液不透過性又は撥水性の裏面シート３と、両シート２，３間に介在する吸収体４とを有する実質的に縦長の吸収性本体５、及び吸収性本体５の裏面シート側（非肌当接面側）に位置して該吸収性本体５を固定している外包材６を備えている。

　おむつ１は、腹側部Ａの両側縁部６ａ，６ａと背側部Ｂの両側縁部６ｂ，６ｂとを互いに重ね合わせた重合部７，７を融着して、一対のサイドシール部８，８を形成することにより、図１に示す、ウエスト開口部ＷＯ及び一対のレッグ開口部ＬＯ，ＬＯを有するパンツ型の形態に形成されている。

　外包材６は、吸収性本体５の周縁部の外方全域に亘って延出しており、おむつの外面をなす外層シート６１と、外層シート６１の内面側に配されている内層シート６２と、外層シート６１及び内層シート６２が、それぞれ吸収性本体５より長手方向（Ｙ方向）の端部より外方部分において内層シート６２側に折り返されて生じた折り返し部６１ａ，６１ｂ及び６２ａ，６２ｂを有している。

　おむつ１においては、外包材６は、図２に示すように、その両側縁が、長手方向（Ｙ方向）中央部において、それぞれ内方に向かって凸の円弧状に湾曲しており、長手方向中央部が括れた形状を有している。また、外包材６は、図１～図３に示すように、おむつの外面をなす外層シート６１と、外層シート６１の内面側に配されている内層シート６２と、両シート６１，６２間に配設固定された、複数本のウエスト弾性部材６３、複数本のレッグ弾性部材６４及び複数本の胴回り部弾性部材６５とから形成されている。

　複数本のウエスト弾性部材６３は、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれのウエスト開口部ＷＯの周縁部に設けられている。各胴回り部弾性部材６３は、伸長状態で、おむつ１の幅方向に沿って配設固定されている。おむつ１の幅方向は、着用時における着用者のウエスト周りないし胴回りの周方向と同方向である。以下、おむつ１の幅方向（おむつ１を図２に示すように展開して伸長した状態において、前記中心線ＣＬと垂直な方向）を「Ｘ方向」ともいう。
　複数本のレッグ弾性部材６４は、図２に示すように、レッグ開口部ＬＯの周縁部に設けられており、各レッグ弾性部材６４は、伸長状態で、レッグ開口部ＬＯの周方向に沿って配設固定されている。
　複数本の胴回り部弾性部材６５は、図２に示すように、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれにおいて、ウエスト弾性部材６３の配置部位と股下部Ｃの端部との間に配されている。胴回り部弾性部材６５は、前記中心線ＣＬの左右両側に分割された状態で、それぞれおむつ１の幅方向に沿って配設固定されている。

　おむつ１における外層シート６１を構成するシート材は、腹側部Ａ及び背側部Ｂにおいて、図２，図３（ａ）、図３（ｂ）に示すように、外層シート６１と内層シート６２とによってウエスト弾性部材６３を挟持固定した部位よりも更に長手方向（Ｙ方向）外方に延出する長さを有し、その延出した部分が、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅにおいて、内層シート６２側に折り返されて折り返し部６１ａ，６１ｂを形成している。
　折り返し部６１ａは、図２及び図３（ａ）に示すように、その長手方向（Ｙ方向）の端縁６１ａ１が、吸収性本体５の長手方向（Ｙ方向）の腹側部Ａ側の端縁よりも股下部Ｃ寄りの位置まで延びている。同様に折り返し部６１ｂも、図２及び図３（ｂ）に示すように、その長手方向（Ｙ方向）の端縁６１ｂ１が、吸収性本体５の長手方向（Ｙ方向）の背側部Ｂ側の端縁よりも股下部Ｃ寄りの位置まで延びている。

　おむつ１における内層シート６２を構成するシート材は、腹側部Ａ及び背側部Ｂにおいて、図２，図３（ａ）、図３（ｂ）に示すように、外層シート６１と内層シート６２とによってウエスト弾性部材６３を挟持固定した部位よりも更に長手方向（Ｙ方向）外方に延出する長さを有し、その延出した部分が、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅにおいて、外層シート６１と一体的に、内層シート６２側に折り返されて折り返し部６２ａ，６２ｂを形成している。
　折り返し部６２ａは、図２及び図３（ａ）に示すように、その長手方向（Ｙ方向）の端縁６２ａ１が、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅと、吸収性本体５の腹側部Ａ側の端縁との間の中央部付近まで延びている。同様に折り返し部６２ｂも、図２及び図３（ｂ）に示すように、その長手方向（Ｙ方向）の端縁６２ｂ１が、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅと、吸収性本体５の背側部Ｂ側の端縁との間の中央部付近まで延びている。
　このように、折り返し部６２ａ，６２ｂの長手方向（Ｙ方向）の長さは、折り返し部６１ａ，６１ｂの長手方向（Ｙ方向）の長さよりも短く形成されている。

　腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれの幅方向の中央部においては、図２に示すように、内層シート６２と、外層シート６１の折り返し部６１ａとの間に、吸収性本体５の長手方向（Ｙ方向）の端部が挟持固定されている。また、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれの幅方向の全幅に亘って折り返し部６２ａ，６２ｂの長手方向（Ｙ方向）の長さは同じ（実質的に同じ）である。

　おむつ１においては、図３（ａ）に示すように、腹側部Ａの側縁部６ａは、長手方向（Ｙ方向）に、外層シート６１、内層シート６２、折り返し部６１ａ及び折り返し部６２ａが積層されたシートの積層枚数が４枚の領域６ａ１と、外層シート６１、内層シート６２及び折り返し部６１ａが積層されたシートの積層枚数が３枚の領域６ａ２と、外層シート６１及び内層シート６２が積層されたシートの積層枚数が２枚の領域６ａ３とを有している。腹側部Ｂの側縁部６ｂも同様であり、図３（ｂ）に示すように、長手方向（Ｙ方向）に、外層シート６１、内層シート６２、折り返し部６１ｂ及び折り返し部６２ｂが積層されたシートの積層枚数が４枚の領域６ｂ１と、外層シート６１、内層シート６２及び折り返し部６１ｂが積層されたシートの積層枚数が３枚の領域６ｂ２と、外層シート６１及び内層シート６２が積層されたシートの積層枚数が２枚の領域６ｂ３とを有している。

　そして、側縁部６ａと側縁部６ｂとを重ね合わせた重合部７は、領域６ａ１と領域６ｂ１とを重ね合わせたシートの積層枚数が８枚の領域７１と、領域６ａ２と領域６ｂ２とを重ね合わせたシートの積層枚数が６枚の領域７２と、領域６ａ３と領域６ｂ３とを重ね合わせたシートの積層枚数が４枚の領域７３を有している。おむつ１においては、前記領域７１が、ウエスト開口部ＷＯ側の端部に設けられており、該領域７１が、重合部７における他の領域７２，７３よりもシートの積層枚数が多いウエスト端部領域７１となっている。

　また、おむつ１においては、重合部７のウエスト端部領域７１における腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれのシートの積層構造が、図２に示すように、腹側部Ａの重合部同士間７１ａ及び背側部Ｂの重合部同士間７１ｂにも延在している。より具体的には、重合部７のウエスト端部領域７１を形成する腹側部Ａの側縁部６ａは、上述したように、外層シート６１、内層シート６２、折り返し部６１ａ及び折り返し部６２ａが積層された４層構造〔図３（ａ）の領域６ａ１参照〕を有し、この点は、中心線ＣＬの両側の側縁部６ａ，６ａにおいて共通であるが、それに加えて、腹側部Ａの側縁部６ａ，６ａ間に位置する、重合部７を形成しない部分７１ａにも、シートの積層状態が前記側縁部６ａ，６ａと同様である領域が連続して存在している。
　重合部７のウエスト端部領域７１を形成する背側部Ｂについても同様であり、背側部Ｂの側縁部６ｂは、上述したように、外層シート６１、内層シート６２、折り返し部６１ｂ及び折り返し部６２ｂが積層された４層構造〔図３（ｂ）の領域６ｂ１参照〕を有し、この点は、中心線ＣＬの両側の側縁部６ｂ，６ｂにおいて共通であるが、それに加えて、背側部Ｂの側縁部６ｂ，６ｂ間に位置する、重合部７を形成しない部分７１ｂにも、シートの積層状態が、前記側縁部６ｂ，６ｂと同様である領域が連続して存在している。

　シートの積層状態が同様とは、シート間の接合状態を問題とするものではなく、重合部における腹側部Ａを構成しているシート又は重合部における背側部Ｂを構成しているシートが、腹側部Ａ又は背側部Ｂの幅方向内方に延在し、それらのシートが重合部における腹側部Ａ又は背側部Ｂのシートの積層枚数と同数重ねられていれば良い。

　また、腹側部Ａ及び背側部Ｂの幅方向（Ｘ方向）の一部に、積層状態が異なる部分があっても良いが、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれの幅方向の重合部間の距離を１００％としたときに、５０％以上、より好ましくは７０％以上が重合部における各側縁部と同じ積層構造となっていることが好ましい。また、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれの幅方向（Ｘ方向）において、少なくとも、重合部と吸収性本体の側縁部（側縁部の長手方向の延長線を含む）との間の領域が、各側縁部と同じ積層構造となっていることが好ましい。
　本実施形態のおむつ１においては、吸収性本体５ないし該本体５を構成するシート材を除外すれば、重合部７の長手方向（Ｙ方向）の全域７１～７３について、同様の積層構造が、腹側部Ａ及び背側部Ｂの全幅に亘って連続して存在している。

　シートの積層枚数が他の領域７２，７３より多いウエスト端部領域７１は、ウエスト開口部ＷＯの周縁部に良好なクッション性ないし感触を与える観点から、サイドシール部８の長手方向に沿う方向（Ｙ方向）の長さＬ１が、３～３０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは５～２５ｍｍ、更に好ましくは１０～２０ｍｍである。

　また、外層シート６１を構成するシート材及び内層シート６２を構成するシート材は、本実施形態のおむつ１のように、両者を重ねた状態で、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅで一体的に折り曲げられていることが、ウエスト開口部ＷＯの周縁部に良好なクッション性ないし感触を与える観点から好ましい。また、ウエスト部弾性部材６３を、必要に応じて、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅとほぼ同位置に配設することが容易であるという利点もある。
　更に、端部領域においてはその良好な風合い、クッション性の観点から極力接着剤を使用しないことが望ましく、その領域に存在する接着剤の量は０～１０ｇ／ｍ²であることが好ましい。接着剤を用いない方法としては、外層シート、内層シートを弾性体の存在しない部位においてヒートシール、超音波シール等、熱によって部分的に融着させること等が挙げられる。

　おむつ１のサイドシール部８は、重合部７を融着することにより形成されている。
　おむつ１におけるサイドシール部８は、図３（ｃ）に示すように、シート積層枚数が８枚のウエスト端部領域７１が融着されて形成されたシール領域８ａ１と、シートの積層枚数が６枚の領域７２が融着されて形成されたシール領域８ａ２と、シートの積層枚数が４枚の領域７３が融着されて形成されたシール領域８ａ３とを有している。シール領域８ａ１、シール領域８ａ２及びシール領域８ａ３には、それぞれ、幅方向（Ｘ方向）に延在する複数本の融着部８１が形成されている。
　図３（ｃ）に示すように、シール領域８ａ１における融着部８１の幅ｄは、シール領域８ａ２及びシール領域８ａ３における融着部８１の幅と同じであるが、シール領域８ａ１の融着部８１のピッチＰは、シール領域８ａ２及びシール領域８ａ３における融着部８１のピッチＰ’よりも広くなっている。

　本実施形態のおむつ１においては、上記のパターンで融着部８１が形成されていることによって、シール領域８ａ１は、長手方向（Ｙ方向）の単位長さ当たりの、サイドシール部肌側端部８ｅにおける融着部８１の合計長さＤ１が、シール領域８ａ２，８ａ３における同合計長さＤ２，Ｄ３よりも小さくなっている（Ｄ１＜Ｄ２，Ｄ１＜Ｄ３）。

　ここで、サイドシール部肌側端部８ｅとは、サイドシール部８の幅方向（おむつ１においては該おむつ１の幅方向と同じ，Ｘ方向）における該サイドシール部８の両端部のうち、着用時に着用者の肌に近い側に位置する端部である。より具体的に言えば、サイドシール部８のＸ方向の両端部のうち、前記中心線ＣＬに近い方の端部である。

　例えば、図４に示すサイドシール部８のように、融着部８１のサイドシール部長手方向（Ｙ方向）の長さが、サイドシール部８の幅方向（Ｘ方向）の一端部と他端部とで異なる場合、着用者の肌に近い側（図４の右側）の端部における長手方向（Ｘ方向）の長さｄを、合計長さＤ１～Ｄ３の算出に用いる。
　また、図５に示すサイドシール部８のように、サイドシール部８の肌側端部８ｅに端部が達する融着部８１と、サイドシール部８の肌側端部８ｅに端部が達しない融着部８１ａとを有する場合、融着部８１ａは、サイドシール部肌側端部８ｅにおける長さを有しないものとして取り扱い、肌側端部８ｅに達する融着部８１の長さｄのみを用いて合計長さＤ１～Ｄ３を算出する。

　シール領域８ａ１（ウエスト端部領域７１が融着されて形成されたシール領域）における、サイドシール部肌側端部８ｅにおける融着部８１の前記合計長さＤ１〔サイドシール部の長手方向（Ｙ方向）の単位長さ当たりの合計長さ）〕は、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅから下方に１０ｍｍまでの範囲内に存する、個々の融着部８１の長手方向（Ｙ方向）の長さｄを測定し、それらの融着部８１の長さｄの合計を、前記１０ｍｍで除して求める。但し、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅからウエスト端部領域７１の下端までの距離Ｌ１が１０ｍｍに満たない場合は、ウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅから距離Ｌ１までの範囲内に存する、融着部８１の長手方向（Ｙ方向）の長さｄを合計し、その合計長さを、該Ｌ１で除して求める。

　シール領域８ａ２，８ａ３（ウエスト端部領域７１より下方の領域７２，７３が融着されて形成されたシール領域）における同合計長さ、即ち、サイドシール部肌側端部８ｅにおける融着部８１の合計長さＤ２，Ｄ３〔サイドシール部の長手方向（Ｙ方向）の単位長さ当たりの合計長さ）〕は、ウエスト端部領域７１よりも下方に位置する、長さ１０ｍｍの範囲内における、個々の融着部８１の長手方向（Ｙ方向）の長さｄを測定し、それらの融着部８１の長さｄの合計を前記１０ｍｍで除して求める。この長さ１０ｍｍの範囲の取り方は、シール領域８ａ２，８ａ３に存する、長手方向（Ｙ方向）に相隣接した２つの融着部１８同士間の中央位置を上端とし、そこから下方に１０ｍｍの範囲とすることが好ましい。下方は、レッグ開口部に向かう方向である。

　おむつ１においては、シール領域８ａ２及びシール領域８ａ３には、融着部８１が同様の態様で形成されており、シール領域８ａ２における前記合計長さＤ２と、シール領域８ａ３における前記合計長さＤ３とが同じであるが、シール領域８ａ２の前記合計長さＤ２が、シール領域８ａ３の前記合計長さＤ３より大きくても良いし、その逆であっても良い。但し、シール領域８ａ１の前記合計長さＤ１は、少なくとも、シール領域８ａ１に隣接してその下方に位置するシール領域８ａ２の前記合計長さＤ２より小さいことが好ましく、該合計長さＤ１は、前記合計長さＤ２及び前記合計長さＤ３のそれぞれより小さいことが好ましい。

　本実施形態において、シール領域８ａ１及びそれより下方に位置するシール領域（シール領域８ａ２及び８ａ３）における融着部８１の長さｄは、０．２～３ｍｍであることが好ましく、特に０．５～２．５ｍｍであることが好ましい。シール領域８ａ１における融着部の長さｄは、シール領域８ａ１より下方の領域８ａ２，８ａ３における融着部の長さｄに対する比（前者／後者）が、０．５～１．５、特に０．７～１．２であることが好ましい。
　また、シール領域８ａ１における融着部８１間のピッチＰ（長手方向に隣接する融着部それぞれの中央位置間の距離）は、０．５～４．０ｍｍ、特に０．７～３．０ｍｍであることが好ましく、シール領域８ａ２，８ａ３における融着部８１間の同ピッチＰ’は、１～５ｍｍ、特に１．５～４ｍｍであることが好ましい。シール領域８ａ１におけるピッチは、シール領域８ａ１より下方の領域８ａ２，８ａ３におけるピッチＰ’に対する比（前者／後者）が、１～４、特に２．０～３．５であることが好ましい。

　サイドシール部８の融着方法としては、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等が用いられ、おむつ１においては、サイドシール部８の形成に、図６に示すように、一対の超音波エンボスロール８０ａ，８０ｂが用いられている。
　具体的には、図３（ｃ）に示すサイドシール部８の形状に対応するように形成された凸部８０を備えたエンボスロール８０ａと、表面がフラットなフラットロール８０ｂとの間に、帯状のおむつ１の連続体を通し、側縁部６ａと側縁部６ｂとを重ね合わせた重合部７の位置で、凸部８０及びフラットロール８０ｂによってエンボスすることにより、サイドシール部８を形成する。凸部８０は、帯状のおむつ１の連続体の流れ方向と直交する方向と、図３（ｃ）に示すサイドシール部８の長手方向（Ｙ方向）とが対応するように、流れ方向と直交する方向に、シール領域８ａ１、シール領域８ａ２及びシール領域８ａ３それぞれの融着部８１に対応する小凸部を有している。そのため、一つのサイドシール部８を一回のエンボス加工により形成することができる。

　サイドシール部８における融着部８１は、凸部８０の小凸部によってエンボスされた部分であり、それによって、腹側部Ａの側縁部と背側部Ｂの側縁部の相対向面が融着された部分である。融着部８１は、通常、エンボス処理によりフィルム化しており、サイドシール部８において、腹側部Ａ又は背側部Ｂ側からの表面からの深さが最も深くなっている。サイドシール部８の幅は、Ｘ方向の距離が最大の融着部の幅である。尚、サイドシール部８が、胴回り部弾性部材６３等により、幅方向（Ｘ方向）等に収縮している場合には、伸張した状態で、融着部８１の長手方向の長さｄを測定する。

　サイドシール部８は、ウエスト端部領域７１における融着強度が、ウエスト端部領域７１より下方に位置する部分７２，７３の融着強度よりも低いことが好ましい。
　ウエスト端部領域７１における融着強度は、シール領域８ａ１の融着強度であり、シール領域８ａ１の融着強度が、シール領域８ａ２の融着強度及びシール領域８ａ３の融着強度の何れよりも低いことが好ましい。

　サイドシール部８の融着強度は、高い程、着用者の肌に硬さを感じさせ易くなる傾向がある。
　ウエスト端部領域７１における融着強度を、それより下方に位置する部分７２，７３の融着強度よりも低くすることにより、お腹周りの周長の変動が大きく、着用時の違和感を最も感じやすいウエスト端部領域の不具合を解消することができる。

　このような観点から、ウエスト端部領域７１における融着強度は、０．３～３Ｎ／５ｍｍ、特に０．３～４．０Ｎ／５ｍｍであることが好ましく、ウエスト端部領域７１より下方に位置する部分７２，７３の融着強度は２～６Ｎ／５ｍｍ、特に２．５～５．０Ｎ／５ｍｍであることが好ましく、前者と後者の比（前者／後者）は、０．２～０．９、特に０．３～０．６であることが好ましい。

＜融着強度の測定方法＞
　おむつ１からサイドシール部８をおむつ１の長手方向（Ｙ方向）に沿って切り取る。この切り取りの際には、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれにおける、サイドシール部８より中心線ＣＬ側に位置する部分が３０ｍｍ程度含まれるようにする。
　次に、切り取ったサイドシール部８をシール領域８ａ１、シール領域８ａ２及びシール領域８ａ３の部分で幅方向（Ｘ方向）にカットし、長手方向（Ｙ方向）のシール部８の長さがそれぞれ５ｍｍの、シール領域８ａ１のサンプル、シール領域８ａ２のサンプル及びシール領域８ａ３のサンプルを得る。
　各領域のシール強度を引張試験機〔商品名　オートグラフＡＧＳ５０Ａ　（株）島津製作所製〕にて測定する。この測定の際には、各サンプルにおける、サイドシール部８より中心線ＣＬ側に位置していた腹側部に由来する部分と背側部に由来する部分とを、それぞれチャックに挟んで、１８０度反対方向に引っ張る（Ｔ字剥離）。
　その際、引張速度（チャック間距離の拡大速度）３００ｍｍ／ｍｉｎで測定を行い、最大強度を求める。測定はｎ＝５回行い、その平均値にてその領域の融着強度とする。尚、各領域のシール部の長さが５ｍｍ取れない場合には、５ｍｍに近い最大の幅にて測定を行い、５ｍｍの幅に換算することにより融着強度を求める。
　サンプルのサイドシール部８を剥離させる際の剥離の進行方向は、サイドシール部８の幅方向と同方向（Ｘ方向）であるが、図４、５のように剥離の進行方向に沿って剥離強度が変化する場合、剥離強度が０．１Ｎに達した時点を測定開始点とし、測定開始からチャック間が５ｍｍ移動した時点で測定を終了し、その時の最大強度をもってそのサンプルの融着強度とする。

　吸収性本体５は、図２に示すように、液透過性の表面シート２、液不透過性又は撥水性の裏面シート３及び両シート２、３間に介在された液保持性の吸収体４を有しており、実質的に縦長である。吸収性本体５は、図２に示すように、外包材６の背側部Ｂから腹側部Ａに亘って配設されており、吸収性本体５の長手方向（Ｙ方向）両端部は、外包材６の長手方向（Ｙ方向）両端部よりも長手方向（Ｙ方向）内方に後退した位置にある。吸収性本体５は、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外包材６の内層シート６２に接合されている。

　吸収性本体５の長手方向（Ｙ方向）両側部には、図２に示すように、液抵抗性又は撥水性の素材で且つ通気性の素材から構成された側方カフス５１，５１が設けられている。各側方カフス５１の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材５２が長手方向（Ｙ方向）に伸長した状態で配設固定されている。側方カフス５１は、おむつの装着時に自由端部側が起立し、吸収性本体５の幅方向（Ｘ方向）への排泄物の流出を阻止することができる。側方カフス５１形成用シートは、吸収性本体５の幅方向（Ｘ方向）外方側の所定幅の部分が、非肌当接面側に巻き込まれて、固定されている。

　上述したおむつ１は、従来のパンツ型使い捨ておむつと同様にして着用することができる。
　おむつ１は、上述したように、ウエスト開口部ＷＯ側の端部に、シートの積層枚数が他の領域７２，７３よりも多いウエスト端部領域７１を有しており、ウエスト端部領域７１における腹側部及び背側部それぞれのシートの積層構造が、腹側部の重合部同士間７１ａ及び背側部の重合部７１ｂ同士間にも延在しているため、着用者のウエスト周り周囲全体に当接する部分のクッション性ないし感触が良好である。
　着用時において、特に乳幼児のウエスト端部領域に相当する部位は、おむつが当接される他の部位と比較して周長が大きく、また立ち／座りといった動作および食事の前後でその周長の変化も大きいため、おむつ自体の柔らかさの影響を最も受けやすい領域であり、その領域が柔らかいことがとても重要である。また、ウエスト端部領域は介護者（母親等）がおむつをはかせる際、手を入れて広げる部位でもあるため、その領域が柔らかいことは、着用者のみならず、介護者の肌への影響（触感）をも向上できるといった利点を有する。

　他方、一般的に重合部７を形成する部材数が多くなると、融着樹脂量がそれに伴い増加するため、その部分を強固に融着して熱による樹脂化がなされると、その部分における硬さが増大し、おむつ１を、履かせようとしてウエスト開口部を拡げた際や、装着時に、その硬くなった部分が、ウエスト周りや手、脚等における肌に当たり、刺激を与える恐れがある。
　おむつ１においては、ウエスト端部領域が融着されて形成されたシール領域７１における、長手方向の単位長さ当たりの、サイドシール部肌側端部８ｅにおける融着部８１の合計長さＤ１が、該ウエスト端部領域７１より下方の領域７２，７３が融着されて形成されたシール領域における同合計長さＤ２，Ｄ３よりも短くしてある。そのため、ウエスト端部領域７１にある程度の融着強度を維持しながら、サイドシール部８の硬くなった部分が着用者の肌に触れることを防止することができる。そのため、装着の際や装着中に、サイドシール部が着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者の肌への悪影響を与えることを防止することができる。

　本発明の第２実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ１０１（以下、「おむつ１０１」ともいう。）について説明する。第２実施形態のおむつ１０１については、主として、第１実施形態のおむつ１と異なる点について説明し、同様の点は、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点については、上述したおむつ１についての説明が適用される。

　第２実施形態のおむつ１０１は、上述したおむつ１と同様に、腹側部Ａの両側縁部６ａ，６ａと背側部Ｂの両側縁部６ｂ，６ｂとを互いに重ね合わせた重合部７，７を融着して形成された一対のサイドシール部１０８，１０８を有している。

　また、おむつ１０１においても、図１１（ａ）に示すように、腹側部Ａの側縁部６ａは、長手方向（Ｙ方向）に、外層シート６１、内層シート６２、折り返し部６１ａ及び折り返し部６２ａが積層されたシートの積層枚数が４枚の領域６ａ１と、外層シート６１、内層シート６２及び折り返し部６１ａが積層されたシートの積層枚数が３枚の領域６ａ２と、外層シート６１及び内層シート６２が積層されたシートの積層枚数が２枚の領域６ａ３とを有している。腹側部Ｂの側縁部６ｂも同様であり、図１１（ｂ）に示すように、長手方向（Ｙ方向）に、外層シート６１、内層シート６２、折り返し部６１ｂ及び折り返し部６２ｂが積層されたシートの積層枚数が４枚の領域６ｂ１と、外層シート６１、内層シート６２及び折り返し部６１ｂが積層されたシートの積層枚数が３枚の領域６ｂ２と、外層シート６１及び内層シート６２が積層されたシートの積層枚数が２枚の領域６ｂ３とを有している。

　おむつ１０１における重合部７は、領域６ａ１と領域６ｂ１とを重ね合わせたシートの積層枚数が８枚の領域７１と、領域６ａ２と領域６ｂ２とを重ね合わせたシートの積層枚数が６枚の領域７２と、領域６ａ３と領域６ｂ３とを重ね合わせたシートの積層枚数が４枚の領域７３を有している。
　おむつ１０１のサイドシール部１０８は、このような構成を有する重合部７を融着することにより形成されている。

　第２実施形態のおむつ１０１における重合部７の融着は、何れも凸部を有する２つのシールロール間で、該重合部７を加圧することにより行われる。
　おむつ１０１におけるサイドシール部１０８は、腹側部Ａ側の面に、図１２（ａ）に示す腹側シールパターン８ａを有し、腹側部Ｂ側の面に、図１２（ｃ）に示す背側シールパターン８ｂを有している。図１２（ａ）と図１２（ｃ）との対比から明らかなように、腹側シールパターン８ａと背側シールパターン８ｂとは異なっている。

　腹側シールパターン８ａは、図１２（ａ）及び図１３に示すように、サイドシール部１０８の幅方向（Ｘ方向）に延びる多数の横長凹部８３，８４からなる。多数の横長凹部８３，８４は、サイドシール部１０８の長手方向（Ｙ方向）に間欠的に多数形成されている。
　他方、背側シールパターン８ｂは、図１２（ｃ）及び図１３に示すように、サイドシール部１０８の長手方向（Ｙ方向）に延びる２本の縦長凹部８５からなる。２本の縦長凹部８５は、幅方向（Ｘ方向）に相互に離間して配置されていると共に、何れもサイドシール部１０８の幅方向の両端部、特に肌側端部８ｅから離間して配置されている。
　ここで、サイドシール部の肌側端部８ｅとは、サイドシール部１０８の幅方向（おむつ１０１においては該おむつ１０１の幅方向と同じ，Ｘ方向）における該サイドシール部１０８の両端部のうち、着用時に着用者の肌に近い側に位置する端部である。より具体的に言えば、サイドシール部１０８のＸ方向の両端部のうち、おむつの長手方向（腹側部Ａから股下部Ｃを通って背側部Ｂに向かう方向）に延びる中心線ＣＬに近い方の端部である。

　また、おむつ１０１における腹側シールパターン８ａは、図１２（ａ）に示すように、サイドシール部１０８のウエスト開口部側の端部領域１８１におけるシールパターンが、該サイドシール部１０８のそれより下方に位置する他の領域１８２とは異なっている。端部領域１８１におけるシールパターンが、サイドシール部１０８の他の領域１８２とは異なっているという表現には、端部領域１８１における横長凹部８３，８４の配置ピッチや長手方向の長さが他の領域１８２とは異なる場合の他、該他の領域１８２には、横長凹部８４が形成されている一方、端部領域１８１には、腹側部Ａ側からの加圧により形成された凹部が一つも形成されていない場合も含まれる。

　他方、おむつ１０１における背側シールパターン８ｂは、図１２（ｃ）に示すように、ウエスト開口部ＷＯ側の端部領域１８１におけるシールパターンと、該サイドシール部１０８の他の領域１８２におけるシールパターンが同じである。より具体的には、２本の縦長凹部８５が、端部領域１８１から他の領域１８２に亘って連続して形成されている。

　サイドシール部１０８の融着方法としては、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等が用いることができるが、おむつ１０１においては、サイドシール部１０８の形成に、図１４に示す、一対の超音波エンボスロール（シールロール）１８０ａ，１８０ｂが用いられている。
　図１４に示すように、エンボスロール１８０ａの周面に設けられたブロックの先端部には、２本の凸部８０ａ’が、それぞれロールの軸長方向に延びて形成されている。個々の凸部８０ａ’の先端部には、前述した横長凹部８３，８４に対応する形状の小凸部８３’，８４’〔図１２（ｂ）参照〕が、図１２（ａ）に示す腹側シールパターン８ａに対応するパターンで多数形成されている。小凸部８３’，８４’は、それぞれ、ロールの周方向に延びている。エンボスロール１８０ａ，１８０ｂそれぞれの軸長方向は、サイドシール部１０８の長手方向〔図１２（ａ），図１２（ｃ）及び図１２（ｄ）それぞれの上下方向）に対応している。

　エンボスロール１８０ｂの周面に設けられたブロックの先端部にも、２本の凸部８０ｂ’が、それぞれロールの軸長方向に延びて形成されている。個々の凸部８０ｂ’の先端部には、前述した縦長凹部８５に対応する形状の小凸部８５’〔図１２（ｄ）参照〕が、図１２（ｃ）に示す背側シールパターン８ｂに対応するパターンで、ロールの周方向に間隔を開けて２条形成されている。
　なお、エンボスロール１８０ａの２本の凸部８０ａ’と、エンボスロール１８０ｂの２本の凸部８０ｂ’は、帯状のおむつ１の連続体における相隣接する２つのおむつの側縁部を同時にエンボス加工するものであり、２つのおむつの相近接する側縁部にサイドシール部が形成された後に、おむつの連続体は、その２つのサイドシール部間で切断されて個々のおむつに分離される。

　おむつの連続体における、腹側部の側縁部６ａと背側部の側縁部６ｂとを重ね合わせた重合部７に対応する部分を、両エンボスロール１８０ａ，１８０ｂ間で加圧すると、エンボスロール１８０ａの小凸部８３’，８４’によって加圧された部分は、前述した横長凹部８３及び８４となると共に、サイドシール部１０８には、実質的に腹側部Ａ側の面側からのみ加圧されて側縁部６ａと側縁部６ｂとの間が弱く接合された弱接合部９１が形成される〔図１２（ｅ）及び図１３参照〕。
　また、エンボスロール１８０ｂの小凸部８５’によって加圧された部分は、前述した縦長凹部８５となると共に、サイドシール部１０８には、実質的に背側部Ｂ側の面側からのみ加圧されて側縁部６ａと側縁部６ｂとの間が弱く接合された弱接合部９２が形成される〔図１２（ｅ）及び図１３参照〕。
　他方、エンボスロール１８０ａの小凸部８３’又は８４’と、エンボスロール１８０ｂの小凸部８５’によって、腹側部Ａ側の面及び背側部Ｂ側の面の両面側から加圧された部分は、側縁部６ａと側縁部６ｂとの間が強く接合された強接合部９３となる。強接合部９３は、通常、エンボス処理により、シートの樹脂成分が溶融固化してフィルム化している。他方、弱接合部９１，９２は、弱い融着や、繊維同士の絡み合い等により弱く接合していることが好ましい。
　なお、腹側部Ａ側の面及び背側部Ｂ側の面の両面側から加圧された部分（強接合部９３）は、腹側シールパターンの一部を構成すると同時に、腹側シールパターンの一部を構成するものとする。なお、重合部７における、小凸部８３～８５の何れによっても加圧されない部分は、実質的に接合されていないか、弱接合部より弱く接合されている。

　第２実施形態のおむつ１０１においては、サイドシール部１０８における腹側シールパターン８ａと腹側シールパターン８ｂとを異ならせてあるため、両シールパターンの重なり部に生じる強接合部９３が、サイドシール部１０８の面方向に分散した状態に生じる。そのため、サイドシール部１０８が意図せずに剥離しないような接合強度を強接合部９３で確保しつつ、サイドシール部１０８の全体が硬くなることを防止することができる。
　しかも、第２実施形態のおむつ１０１においては、腹側シールパターン８ａにおけるウエスト開口部側の端部領域１８１におけるシールパターンを、該サイドシール部１０８の他の領域１８２とは異ならせてあるため、おむつ１０１を履いたり履かせる際、あるいは着用中に、ウエスト開口部の周縁部を上方から、もしくは側方（肌に対して垂直な方向）から押圧するような力が加わったときでも、サイドシール部の融着部（特に強接合部９３）が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激したりすることが効果的に防止される。

　また、第２実施形態のおむつ１０１においては、ウエスト開口部ＷＯ側の端部領域１８１に形成される横長凹部８３のピッチＰ１１を、他の領域１８２に形成される横長凹部８４のピッチＰ１２よりも大きくしてあり、それによって、端部領域１８１における融着強度を、他の領域１８２における融着強度よりも低くしてある。

　サイドシール部１０８の融着強度は、高い程、着用者の肌に硬さを感じさせ易くなる傾向がある。
　ウエスト開口部ＷＯ側の端部に位置する端部領域１８１における融着強度を、それより下方に位置する領域１８２における融着強度よりも低くすることにより、おむつ１０１を履いたり履かせる際、あるいは着用中に、サイドシール部のウエスト開口部側の端部領域が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激したりすることが一層効果的に防止される。

　ウエスト開口部側の端部領域１８１における融着強度は、０．３～３Ｎ／５ｍｍ、特に０．３～４．０Ｎ／５ｍｍであることが好ましく、それより下方に位置する他の領域１８２の融着強度は２～６Ｎ／５ｍｍ、特に２．５～５．０Ｎ／５ｍｍであることが好ましい。端部領域１８１の融着強度と他の領域１８２の融着強度との比（前者／後者）は、０．２～０．９、特に０．３～０．６であることが好ましい。

＜融着強度の測定方法＞
　おむつ１０１からサイドシール部１０８をおむつ１０１の長手方向（Ｙ方向）に沿って切り取る。この切り取りの際には、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれにおける、サイドシール部１０８より中心線ＣＬ側に位置する部分が３０ｍｍ程度含まれるようにする。
　次に、切り取ったサイドシール部１０８を、端部領域１８１及び他の領域１８２の部分で幅方向（Ｘ方向）にカットし、長手方向（Ｙ方向）のシール部１０８の長さがそれぞれ５ｍｍの、シール領域１８１のサンプル及びシール領域１８２のサンプルを得る。
　各領域のシール強度を引張試験機〔商品名　オートグラフＡＧＳ５０Ａ　（株）島津製作所製〕にて測定する。この測定の際には、各サンプルにおける、サイドシール部１０８より中心線ＣＬ側に位置していた腹側部に由来する部分と背側部に由来する部分とを、それぞれチャックに挟んで、１８０度反対方向に引っ張る（Ｔ字剥離）。
　その際、引張速度（チャック間距離の拡大速度）３００ｍｍ／ｍｉｎで測定を行い、最大強度を求める。測定はｎ＝５回行い、その平均値にてその領域の融着強度とする。尚、各領域のシール部の長さが５ｍｍ取れない場合には、５ｍｍに近い最大の幅にて測定を行い、５ｍｍの幅に換算することにより融着強度を求める。サンプルのサイドシール部１０８を剥離させる際の剥離の進行方向は、サイドシール部１０８の幅方向と同方向（Ｘ方向）である。

　また、おむつ１０１においては、腹側シールパターン８ａと背側シールパターン８ｂとの重なり部をサイドシール部１０８の肌側端部８ｅに存在させないことによって、上述した強接合部９３が肌側端部８ｅに存在しないようにしてある。そのため、サイドシール部１０８の硬くなった強接合部９３が着用者の肌に触れることを効果的に防止することができる。そのため、装着の際や装着中に、サイドシール部が着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者の肌へ悪影響を与えることを一層効果的に防止することができる。

　おむつ１０１における腹側シールパターン８ａにおいては、端部領域１８１における横長凹部８３は、サイドシール部８の長手方向（Ｘ方向）の長さｄ１（以下、長さｄ１という）が一定であり、それらの横長凹部８３が、同長手方向（Ｙ方向）に一定のピッチＰ１１で配置されている。他の領域１８２における横長凹部８４も、サイドシール部８の長手方向（Ｘ方向）の長さｄ１が一定であり、それらの横長凹部８４が、同長手方向（Ｙ方向）に一定のピッチＰ１２で配置されている。

　横長凹部８３，８４の長さｄ’は、０．３～３．５ｍｍ、特に０．５～３．０ｍｍであることが好ましい。横長凹部８３の長さｄ’と横長凹部８４の長さｄ’の比（前者／後者）は、０．２～０．８、特に０．３～０．５であることが好ましい。
　横長凹部８３の配置ピッチＰ１１は、０．５～３．０ｍｍ、特に１．０～２．５ｍｍであることが好ましく、横長凹部８４の配置ピッチＰ１２は、１．０～５．０ｍｍ、特に２．０～４．０ｍｍであることが好ましい。配置ピッチＰ１１と配置ピッチＰ１２との比（Ｐ１１／Ｐ１２）は、０．１～３．０、特に０．５～２．０であることが好ましい。
　また、腹側シールパターン８ｂの縦長凹部８５は、サイドシール部の幅方向の両端（横長凹部８３，８４のＸ方向の両端に同じ）からの離間距離が、１．０ｍｍ以上、特に２．０～５．０ｍｍであることが好ましい。

　また、腹側シールパターン８ａにおける、前記他の領域１８２とはシールパターンが異なる領域（端部領域１８１に位置する部分）は、サイドシール部１０８のウエスト開口部ＷＯ側の端部に、柔軟な領域を形成して、ウエスト開口部の周縁部を上方から、もしくは側方（肌に対して垂直な方向）から押圧するような力が加わった際に、強接合部が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激することを防止する観点から、サイドシール部１０８の長手方向に沿う方向（Ｙ方向）の長さＬ１１が、３～３０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは５～２５ｍｍ、更に好ましくは１０～２０ｍｍである。

　また、腹側シールパターン８ａにおける、前記他の領域１８２とはシールパターンが異なる領域（端部領域１８１に位置する部分）は、領域６ａ１と領域６ｂ１とを重ね合わせたシートの積層枚数が最大の領域７１に形成されている。
　一般的に重合部７を形成する部材数が多くなると、融着樹脂量がそれに伴い増加するため、その部分を強固に融着して熱による樹脂化がなされると、その部分における硬さが増大する。
　本実施形態のおむつ１０１においては、シートの積層枚数が最大の部分のサイドシール部８における、腹側シールパターン８ａのシールパターンを、それより下方に位置する部分のシールパターンとは異ならせてシールしてあるため、シートの積層枚数が多いことによるウエスト開口部の周縁部のクッション性や感触を良好にしつつ、サイドシール部による違和感や肌への刺激を効果的に防止することができる。

　シートの積層枚数が最大の部分７１は、ウエスト開口部ＷＯ側の端縁Ｗｅから下端（６２ａ１，６２ｂ１の位置）までの距離Ｌ１’が、３～３０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは５～２５ｍｍ、更に好ましくは１０～２０ｍｍである。
　着用時において、特に乳幼児のウエスト端部領域に相当する部位は、おむつが当接される他の部位と比較して周長が大きく、また立ち／座りといった動作および食事の前後でその周長の変化も大きいため、おむつ自体の柔らかさの影響を最も受けやすい領域であり、その領域が柔らかいことがとても重要である。また、ウエスト端部領域は介護者（母親等）がおむつをはかせる際、手を入れて広げる部位でもあるため、その領域が柔らかいことは、着用者のみならず、介護者の肌への影響（触感）をも向上できるといった利点を有する。
　更に、端部領域においてはその良好な風合い、クッション性の観点から極力接着剤を使用しないことが望ましく、その領域に存在する接着剤の量は０～１０ｇ／ｍ²であることが好ましい。接着剤を用いない方法としては、外層シート、内層シートを弾性体の存在しない部位においてヒートシール、超音波シール等、熱によって部分的に融着させること等が挙げられる。

　第２実施形態のおむつ１０１における、サイドシール部１０８のウエスト開口部側の端部領域１８１は、第１実施形態のおむつ１における、ウエスト端部領域７１が融着されて形成されたシール領域８ａ１に相当する。また、第２実施形態におけるサイドシール部１０８の、端部領域１８１より下方に位置する他の領域１８２は、第１実施形態におけるサイドシール８のシール領域８ａ２，８ａ３に相当する。第１実施形態のおむつ１におけるサイドシール部８を、第２実施形態のおむつ１０１のサイドシール部１０８や後述する図１５（ｃ）又は図１６（ｃ）に示すサイドシール部１０８と同様に、相互に異なる腹側シールパターン及び背側シールパターンを有するものとし、その腹側及び／又は背側シールパターンとして、シール領域８ａ１（端部領域１８１）と他のシール領域８ａ２，８ａ３（領域１８２）とでシールパターンが異なるものを設けることもできる。また、第１実施形態のおむつ１におけるサイドシール部８を、第２実施形態のおむつ１０１のサイドシール部１０８と同様に、シール領域８ａ１における融着強度が他の領域８ａ２，８ａ３における融着強度よりも低いものとすることもできる。更に第２実施形態のおむつ１０１の重合部７やサイドシール部１０８の他の構成を、第２実施形態のおむつ１の重合部７やサイドシール部８の構成に追加して具備させることもできる。

　上述したおむつ１，１０８の形成材料について説明する。
　重合部７を構成するシート状の部材の融着成分は、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステル等の汎用の樹脂からなることがコスト的にも好ましいが、重合部７を構成する部材の融着成分同士が同系列の成分であることが好ましい。おむつ１，１０８においては、重合部７を構成する部材は、外層シート６１（折り返し部６１ａを含む）及び内層シート６２（折り返し部６２ａを含む）である。従って、外層シート６１及び内層シート６２が、互いに同系列の成分であることが好ましい。外層シート６１及び内層シート６２を構成する融着成分がポリプロピレンの同系列の成分であるとは、例えば、ポリプロピレン単体のホモＰＰ繊維のみから形成された不織布シート、少量のエチレン等がプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれたランダムＰＰ繊維のみから形成された不織布シート、ホモＰＰ樹脂又はランダムＰＰ樹脂を５０％以上含むが、ホモＰＰ樹脂又はランダムＰＰ樹脂以外の熱可塑性樹脂（例えばポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂等）を混合した芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維から形成された不織布シート、ホモＰＰ繊維又はランダムＰＰ繊維を５０％以上含むが、ホモＰＰ繊維又はランダムＰＰ繊維以外の繊維（例えばレーヨン繊維、コットン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維等）を混綿した繊維から形成された不織布シート等が挙げられる。

　外層シート６１及び内層シート６２を構成する融着成分がポリエチレン又はポリエステルと同系列の成分であるとは、ポリプロピレンの同系列の成分と同様に解することができる。特に、ポリエチレンと同系列の成分であるとは、芯部がポリエステル樹脂で鞘部がポリエチレン樹脂からなる芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維、芯部がポリプロピレン樹脂で鞘部がポリエチレン樹脂からなる芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維を混綿した繊維から形成された不織布シート等が好ましい。また、特に、ポリエステルと同系列の成分であるとは、芯部がポリエステル樹脂で鞘部が低融点ポリエステル樹脂からなる芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維を混綿した繊維から形成された不織布シート等が好ましい。重合部７を構成する部材の融着成分が、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルと同系列の成分であると、融着成分の相溶性が良く、融着強度が良好であるため、より低温で融着することができる。従って、高温でエンボス処理をする必要がないため、エンボス処理された部分以外の部分が硬化することがなく、サイドシール部全体が柔らかくなり、肌触りが向上する。

　重合部７のウエスト端部領域７１を構成するシート、即ち、おむつ１においては、外層シート６１（折り返し部６１ａを含む）及び内層シート６２（折り返し部６２ａを含む）は、その総てが不織布であることが、柔らかさ、コストの観点から好ましい。
　また、重合部７のウエスト端部領域７１を構成するシートの合計坪量、即ち、おむつ１においては、外層シート６１及びその折り返し部６１ａの合計坪量（外層シート６１の坪量×２）と、内層シート６２及びその折り返し部６２ａの合計坪量（内層シート６２の坪量×２）との合計が、クッション性ないし感触の向上の観点から１２０ｇ／ｍ²以上であること、特に１３０ｇ／ｍ²以上であることが好ましい。前記合計坪量の上限値は、特に制限されないが、コストの観点からは、２００ｇ／ｍ²以下、特に１８０ｇ／ｍ²以下であることが好ましい。

　おむつ１０１においては、外層シート６１（折り返し部６１ａを含む）及び内層シート６２（折り返し部６２ａを含む）は、その総てが不織布であることが、柔らかさ、およびコストの観点から好ましい。
　また、サイドシール１０８の端部領域１８１を構成するシートの合計坪量、即ち、おむつ１０１においては、外層シート６１及びその折り返し部６１ａの合計坪量（外層シート６１の坪量×２）と、内層シート６２及びその折り返し部６２ａの合計坪量（内層シート６２の坪量×２）との合計は、クッション性ないし感触の向上の観点から１２０ｇ／ｍ²以上であること、特に１３０ｇ／ｍ²以上であることが好ましい。前記合計坪量の上限値は、特に制限されないが、コストの観点からは、２００ｇ／ｍ²以下、特に１８０ｇ／ｍ²以下であることが好ましい。

＜坪量の測定方法＞
　内層シート６２、外層シート６１を各３０ｍｍ×３０ｍｍの大きさに裁断し、一つのおむつから合計面積が各９００ｍｍ²の測定片を採取し、この測定片の重量を最小表示１ｍｇの電子天秤を用いて測定し坪量に換算することで求める。坪量の値は、ｎ＝５のおむつより測定片を採取した平均値である。尚、内層シート６２及び外層シート６１の各測定片は、サイドシール部８，１０８以外の部分から採取する。３０ｍｍ×３０ｍｍの大きさの測定片をとることが出来ない場合は、なるべく大きな面積になるようサンプリングを行い、その面積から坪量を換算する。内層シートおよび外層シートがホットメルト等の接着剤にて接合されている場合はクロロホルム等の有機溶媒にて接着剤を洗い流した後、十分に乾燥を行い、重量の測定を行うこととする。

　表面シート２、裏面シート３、吸収体４、側方カフス５１形成用シートとしては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート２としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート３としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体４としては、パルプ等の繊維材料の繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを担持させたものを、ティッシュペーパーや透水性の不織布等の被覆材で包んでなるもの等を用いることができる。側方カフス５１形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。

　側方カフス形成用の弾性部材５２、ウエスト弾性部材６３、レッグ弾性部材６４、胴回り部弾性部材６５としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン－ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン－ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル－エチレン等のポリエチレン－αオレフィン共重合体等からなる伸縮性の材料等を用いることができる。

　以上、本発明の第１及び第２実施形態であるおむつ１，１０８について主として説明したが、本発明のパンツ型吸収性物品は、上述のおむつ１，１０８に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。

　例えば、図７に示すように、ウエスト端部領域７１を融着して形成されたシール領域８ａ１における融着部８１のピッチＰを、シール領域８ａ２，８ａ３（ウエスト端部領域７１より下方の領域７２，７３が融着されて形成されたシール領域）におけるピッチＰ’と同一とする一方、シール領域８ａ１における融着部８１の長手方向（Ｙ方向）の長さｄを、シール領域８ａ２，８ａ３における融着部８１の長手方向（Ｙ方向）の長さｄ’よりも短くすることによって、シール領域８ａ１における融着部８１の前記合計長さＤ１を、シール領域８ａ２，８ａ３における前記合計長さＤ２，Ｄ３よりも短くすることもできる。

　この場合、シール領域８ａ１及びそれより下方に位置するシール領域（シール領域８ａ２及び８ａ３）における融着部８１のピッチＰ，Ｐ’は、０．５～５．０ｍｍ、特に１～３ｍｍであることが好ましい。他方、シール領域８ａ１における融着部の長さｄは、シール領域８ａ１より下方の領域８ａ２，８ａ３における融着部の長さｄ’に対する比（前者／後者）が、０．２～０．８、特に０．４～０．７であることが好ましい。

　また、図８に示すように、サイドシール部８に形成する融着部８１は、サイドシール部８の幅方向（Ｘ方向）に対して傾斜していても良い。傾斜の向きは、図８とは逆向きにしても良い。また、図９に示すように、サイドシール部８に形成する融着部は、サイドシール部８の幅方向（Ｘ方向）に延びる融着部８１と、サイドシール部８の長手方向（Ｙ方向）に延びる融着部８２とが、融着部８２がサイドシール部８の幅方向の端部に存在しないように、格子状に形成されていても良い。
　図８及び図９に示す実施形態によっても、ウエスト端部領域７１における融着部８１の前記合計長さＤ１を、ウエスト端部領域７１より下方に位置する領域７２，７３における融着部８１の前記合計長さＤ２，Ｄ３よりも短くすることによって、おむつ１におけるのと同様の効果が奏される。

　また、上述したおむつ１においては、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれのウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅにおいて、外層シート６１及び内層シート６２の両者が折り返されており、ウエスト端部領域７１は、合計８枚のシートの積層構造を有していたが、外層シート６１及び内層シート６２の何れか一方のみを折り返されて、合計６枚のシートの積層構造を有するウエスト端部領域が形成されていても良い。
　また、ウエスト端部領域７１の下方に、シートの積層枚数６枚の領域７２及びシートの積層枚数４枚の領域７３を形成するのに代えて、ウエスト端部領域７１の下方に、シートの積層枚数６枚の領域７２のみ、又はシートの積層枚数４枚の領域７３のみを形成することもできる。
　また、上述したおむつ１においては、図２及び図３に示すように、外層シート６１及び内層シート６２は、腹側部Ａと背側部Ｂとにおいて対称的に折り返して折り返し部６１ａ，６１ｂ又は６２ａ，６２ｂを形成しているが、腹側部Ａ及び背側部Ｂにおいて、折り返すシートが異なっていても良く、折り返し部の長さが異なっていても良い。

　サイドシール部８が、１回のエンボスにより形成されたものに限られず、例えば、サイドシール部８が、シール領域８ａ１に対応する凸部を備えたエンボスロール、シール領域８ａ２に対応する凸部を備えたエンボスロール、及びシール領域８ａ３に対応する凸部を備えたエンボスロールの３回のエンボスにより形成されていてもよい。

　例えば、上述したおむつ１０１においては、腹側部Ａ側の面に形成される腹側シールパターンが、図１２（ａ）に示す横長凹部からなるシールパターンであり、背側部Ｂ側の面に形成される背側シールパターンが、図１２（ｃ）に示す縦長凹部からなるシールパターンであったが、背側部Ｂ側の面に形成される背側シールパターンを、図１２（ａ）に示すパターンとし、腹側部Ａ側の面に形成される腹側シールパターンを、図１２（ｃ）に示すパターンとしても同様の効果が得られる。

　また、腹側シールパターン及び背側シールパターンの一方を、図１５（ａ）に示す横長凹部８３，８４からなるシールパターンとし、腹側シールパターン及び背側シールパターンの他方を、図１５（ｂ）に示す溝状傾斜凹部８６からなるシールパターンとすることもできる。これらのシールパターンの組み合わせによれば、図１５（ｃ）に示すサイドシール部８が形成されるが、該サイドシール部１０８においても、強接合部９３がサイドシール部の面方向に分散していると共に、ウエスト開口部側の端部領域１８１における強接合部９３の個数や面積が他の領域１８２より少なく、端部領域１８１の融着強度が他の領域１８２の融着強度よりも低い。図１５（ｃ）に示すサイドシール部によっても、ウエスト開口部の周縁部のクッション性や感触を良好に維持しつつ、サイドシール部による違和感や肌への刺激を効果的に防止することができる。

　また、腹側シールパターン及び背側シールパターンの一方を、図１６（ａ）に示す溝状傾斜凹部８７からなるシールパターンとし、腹側シールパターン及び背側シールパターンの他方を、図１６（ｂ）に示す溝状傾斜凹部８８からなるシールパターンとすることもできる。これらのシールパターンの組み合わせによれば、図１６（ｃ）に示すサイドシール部８が形成されるが、該サイドシール部１０８においても、強接合部９３がサイドシール部の面方向に分散していると共に、ウエスト開口部側の端部領域１８１における強接合部９３の個数や面積が他の領域１８２より少なく、端部領域１８１の融着強度が他の領域１８２の融着強度よりも低い。図１６（ｃ）に示すサイドシール部によっても、ウエスト開口部の周縁部のクッション性や感触を良好に維持しつつ、サイドシール部による違和感や肌への刺激を効果的に防止することができる。

　なお、図１６（ａ）に示すように、ウエスト開口部側の端部領域１８１に形成する溝状傾斜凹部や横長凹部の幅Ｗ１と、他の領域１８２に形成する溝状傾斜凹部や横長凹部の幅Ｗ２を異ならせる場合、幅Ｗ１と幅Ｗ２との比（Ｗ１／Ｗ２）は、例えば、０．２～０．８とすることができ、０．３～０．５とすることが好ましい。また、図１５（ｂ）、図１６（ａ）及び図１６（ｂ）中の幅Ｗ１は、それぞれ、上述したおむつ１０１の横長凹部８３の前記長さｄ’の好ましい寸法と同様の寸法とすることが好ましい。

　また、上述したおむつ１０１においては、腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれのウエスト開口部ＷＯの周縁端Ｗｅにおいて、外層シート６１及び内層シート６２の両者が折り返されていたが、外層シート６１及び内層シート６２の何れか一方のみが折り返されていても良い。
　また、端部領域１８１の下方に、端部領域１８１とはシールパターンが異なる一つの領域１８２を設けるのに代えて、端部領域１８１の下方に、端部領域１８１とはシールパターンが異なる２以上の領域１８２を設けても良い。この場合においても、端部領域１８１の融着強度を最大とする。
　また、上述したおむつ１０１においては、図１１に示すように、外層シート６１及び内層シート６２は、腹側部Ａと背側部Ｂとにおいて対称的に折り返して折り返し部６１ａ，６１ｂ又は６２ａ，６２ｂを形成しているが、腹側部Ａ及び背側部Ｂにおいて、折り返すシートが異なっていても良く、折り返し部の長さが異なっていても良い。

　本発明のパンツ型吸収性物品は、パンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型（ショーツ型も含む）の生理用ナプキン等の他のパンツ型吸収性物品であっても良い。

　上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。

　本発明のパンツ型吸収性物品は、サイドシール部による違和感や肌への刺激が生じにくく、またウエスト周りのクッション性ないし感触が良好であり、装着感に優れている。

Claims

　腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、
　前記重合部は、ウエスト開口部側の端部に、シートの積層枚数が、該重合部における他の領域よりも多いウエスト端部領域を有しており、
　前記重合部のウエスト端部領域における腹側部及び背側部それぞれのシートの積層構造が、腹側部の重合部同士間及び背側部の重合部同士間にも延在しており、
　前記サイドシール部は、前記ウエスト端部領域が融着されて形成されたシール領域における、長手方向の単位長さ当たりの、サイドシール部肌側端部における融着部の合計長さが、該ウエスト端部領域より下方の領域が融着されて形成されたシール領域における同合計長さよりも小さいパンツ型吸収性物品。
　前記パンツ型吸収性物品は、表面シート及び吸収体を有する縦長の吸収性本体、及び該吸収性本体の非肌当接面側に位置して該吸収性本体を固定している外包材を備えており、
　前記外包材は、前記パンツ型吸収性物品の外面をなす外層シートと、該外層シートの内面側に配されている内層シートとを有しており、
　前記重合部は、前記外包材で形成されている、請求項１記載のパンツ型吸収性物品。
　前記外層シート及び／又は前記内層シートは、前記吸収性本体の長手方向の端部より外方において該内層シート側に折り返された折り返し部を有しており、前記ウエスト端部領域は、前記重合部における、該外層シートの折り返し部及び／又は該内層シートの折り返し部を含む部分である、請求項２記載のパンツ型吸収性物品。
　前記サイドシール部は、前記ウエスト端部領域における融着強度が、前記ウエスト端部領域より下方に位置する部分の融着強度よりも低い請求項１～３の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
　前記サイドシール部は、腹側部側の面から押圧されて形成された腹側シールパターンと、背側部側の面から押圧されて形成された背側シールパターンとを有し、腹側シールパターンと背側シールパターンとが異なっており、
　前記腹側又は背側シールパターンは、前記サイドシール部のウエスト開口部側の端部領域におけるシールパターンが、該サイドシール部の他の領域と異なり、
　前記サイドシール部は、前記端部領域における融着強度が、前記他の領域における融着強度よりも低い請求項１～４の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
　前記腹側シールパターンと前記背側シールパターンとの重なり部が、前記サイドシール部の肌側端部に存在しない、請求項５記載のパンツ型吸収性物品。
　前記腹側又は背側シールパターンにおける、前記他の領域とはシールパターンが異なる領域は、前記重合部の中で最もシートの積層枚数が多い部分に形成されている、請求項５又は６に記載のパンツ型吸収性物品。