WO2010047312A1 - 地熱発電設備のオンライン診断方法及びオンライン診断システム - Google Patents
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Abstract
Description
このため、通常運転時の経時的なスケール付着状況を定量的に表示・把握し、タービン翼のスケール除去作業やタービン翼の交換作業を行なう対策が特許文献1で提案されている。この特許文献1では、地下から噴出する天然蒸気が導かれる蒸気タービンのノズル板へのスケール・噴出物の付着量の増加に伴ってノズル出口圧力が経時的に低下してタービン出力が低下することをタービン運転中に監視することによりスケール付着状況を監視するようにしている。
そのため、このような事象の原因の特定と不具合発生時期を予測し、そのような事態を未然に防止または発生を遅らせる対策はもっぱら長年の経験と実績に基づく熟練した運転員の判断にゆだねられていた。
このように適宜データが得られない事や熟練運転員の養成と確保には多大な負担がかかっていたという未解決の課題がある。
しかも、地熱発電設備の大きな運転阻害要因として、気水分離器(以下、セパレータと称する)に供給する蒸気の性状変化があげられる。
さらに他の形態に係る地熱発電設備のオンライン診断方法は、前記蒸気性状自動測定装置からの非凝縮性ガス濃度のデータと前記蒸気タービン後段の復水器の運転データから抽気すべきガス量を演算し、その傾向からガス抽出機の運転状況を診断する。
他の形態に係る地熱発電設備のオンライン診断システムは、前記診断装置は、前記地熱発電設備の診断結果の表示及び当該診断結果の前記監視・制御装置への送信の少なくとも一方を行なうように構成されている。
また、シリカ濃度、塩素イオン濃度を監視し、シリカ濃度と塩素イオン濃度の少なくとも一方が管理上限値又は運転推奨値を超えている場合、塩素イオン濃度、蒸気流量及び熱水流量に基づいて演算された気水分離器の水分除去率が基準値以下の場合に気水分離器の性能診断結果を出力することにより、気水分離器の能力低下を警告することができる。
さらにまた、蒸気性状自動測定装置からの非凝縮性ガス濃度のデータと前記蒸気タービン後段の復水器の運転データから抽気すべきガス量を演算し、その傾向からガス抽出機の運転状況を診断することができる。
なおさらに、シリカ濃度、塩素イオン濃度及び酸導電率の一方が管理上限値を超える状態を監視することにより、複数の生産井の脈動であるか、合流条件の変化であるかを正確に診断することができる。
図1は本発明の一実施形態を示すシステム概略構成図、図2本発明を適用し得る地熱発電設備の系統図、図3はオンライン診断システムを示す機能ブロック図である。
図1において、10は地熱発電設備であって、この地熱発電設備10では、後述する気水分離器と蒸気タービンとの間の蒸気の性状を測定して分析データを出力する蒸気性状自動測定装置11が設置され、この蒸気性状自動測定装置11で測定され、出力された分析データが、地熱発電設備10の運転状態を監視すると共に制御する監視・制御装置12に伝送される。なお、蒸気性状自動測定装置11は測定装置11aと演算器11bとで構成されている。
この高圧セパレータ102で蒸気と熱水とに分離し、分離された蒸気が水スプレー装置103を介してスクラバー104に供給されて蒸気を洗浄してからミストを除去し、このスクラバー104から出力される蒸気が発電機Gを接続した蒸気タービン105の高圧側に供給される。
一方、低圧セパレータ106から排出される熱水は、ブライン再注入ポンプ109で加圧されて還元井110に供給されて地中に戻される。
冷水塔113で冷却された冷水は、復水器111の散水ヘッダ111aに戻されると共に、洗浄水ポンプ115を介して前述した各水スプレー装置101、103及び107に供給される。さらに、冷水塔113で冷却された冷水は、冷却水ポンプ116で加圧され、その一部が冷却器117で再冷却されて冷水塔113に戻され、残りがガス抽出システム120に供給される。
監視・制御装置12では、蒸気性状自動測定装置11から入力される分析データと後述するオンライン診断装置21から入力される診断結果とに基づいて、生産井PW1~PWnの噴出蒸気量を調整する二次流量調整弁PL1~PLnの流量、水スプレー装置101、103及び107でのスプレー量、エジェクター121の排出蒸気吸引量等を制御する。
すなわち、監視・制御装置12から受信した分析データ及び運転データはデータロガ23に各種データ毎に時系列的に蓄積されて格納されている。このデータロガ23に記憶されている各種蓄積データが選択的に蒸気性状評価部31、気水分離器評価部32、注水評価部33、蒸気タービンへのシリカ付着量評価部34、生産井脈動・合流条件評価部35及びガス抽出システム評価部36に供給される。
また、蒸気性状評価部31、気水分離器評価部32、注水評価部33、蒸気タービンへのシリカ付着量評価部34、生産井脈動・合流条件評価部35及びガス抽出システム評価部36から出力される診断結果や警報を含む診断情報が情報出力部40を構成する情報送信部42に供給される。この情報送信部42では、入力される診断情報を前述したネットワーク15を介して地熱発電設備10の監視・制御装置12に送信する。
この予兆を検知するには、先ず、プラント試運転時または、運転開始直後の前記分析データと前記運転データからなる多変数データより主成分分析法を適用し基準となる正常モデルを作成する。変数データ間の相関に着目し、統計量計算を行って、Q統計量及びホテリングのT2統計量を算出し、(1)正常時の変数間の相関から外れていたら異常と判定する(Q統計量)(2)正常時の変数間の相関に合っていても振幅(平均からの変動)が大きすぎれば異常と判定する(T2統計量)。
このとき、異常となったQ統計量又はT2統計量に対する寄与プロットを行なうことにより、異常の構成要因を解析することができる。すなわち、例えば図6(a)に示すように、変数1及び変数2の2変数で表される場合に、Q統計量が閾値を超えた場合には、▲で表される異常点のデータとこの異常点▲を通る相関軸からの垂線と相関軸との交点に存在する正常時のデータ●との差の内訳から異常の構成要因を算出することができる。この場合の構成要因は、統計学的な処理により図6(b)に示すように異常の構成要因となっている変数1、変数2、変数3・・・と、その影響度を算出することができる。この影響度の大きい変数を異常の要因として特定することができる。
ηW=[ (Fw×Cclw) /(Fw×Cclw+Fs×Ccls) ]×100 …………(1)
また、高圧セパレータ102で分離された熱水中の塩素イオン濃度(Cclw)は、地熱発電所毎の性状により異なるが、国内では一般に300~6000ppm程度である。このような高濃度塩素イオン分析計は現状では自動計測の信頼性に問題があり、手分析による計測を行う場合が多い。
一方、シリカ濃度又は塩素イオン濃度が管理上限値を超えている場合には、高圧セパレータ102の性能低下と判断して、水スプレー装置101、103及び107の注水量を水分除去率ηWが予め設定した管理上限値ηWu以上となるように設定し、「気水分離器単独で改善の可能性がある。気水分離器の水位を確認後、水スプレー実施を推奨」のガイダンス表示情報と現在の水分除去率ηWの表示データとで構成される性能低下表示情報を、情報出力部40を構成する情報表示部41に出力する。
上記の諸データが測定できれば、エジェクター121で抽気すべきガス量を演算することが可能である。
非凝縮性ガスと空気に飽和する蒸気量は、次式で求められる。
Fejt=[(Fncg+Fair)×[Ps/(Pt-Ps)] ] …………(2)
ここで、Fejt:非凝縮性ガスと空気に飽和する蒸気量(Nm3/h)、Fncg:非凝縮性ガス(Nm3/h)、Ps:エジェクター入口温度での水の蒸気圧(kPa)、Pt:エジェクター入口圧力(kPa)、Fair:空気量(Nm3/h)である。
Fncg(非凝縮性ガス量)+Fejt(非凝縮性ガスに飽和する蒸気量)+Fair(冷却水から放出される空気量)
となり、非凝縮性ガスに飽和する蒸気量Fejtと冷却水から放出される空気量Fairは計算可能である。また、空気量Fairはガス抽出装置出口に設置されている流量計の指示から前記の飽和する水分を除いた値と、非凝縮性ガス量の差から計算で求める事も可能であるし、また抽気ガスの酸素濃度を実測する事でも想定可能である。即ち、次式の計算で求められる。
Fair=(A×X1×0.01)/0.21 …………(3)
そして、算出した抽気すべきガス総量が設計値を超えているか否かを判定し、抽気すべきガス総量が設計値以下である場合には、エジェクター入口圧力Ptが設定値に達しているか否かを判定する。設定値に達していない場合には、「ガス抽出システムが正常に機能していません。」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力する。設定値に達している場合には、「ガス抽出システムは正常に機能している。」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力する。
このオンライン診断処理は、図7に示すように、先ず、ステップS1で、監視・制御装置12から分析データ及び運転データを受信したか否かを判定する。分析データ及び運転データを受信していないときにはこれらを受信するまで待機し、分析データ及び運転データを受信したときにはステップS2に移行する。
このステップS5では、高圧セパレータ102の前後の注水評価処理を実行し、次いでステップS6に移行して、蒸気タービン105のシリカ付着状態推定評価処理を実行してからステップS7に移行する。
ここで、ステップS3の逸脱予知診断処理は、前述した蒸気性状評価部31で実行する処理であって、図8に示すとおりである。
次いで、ステップS20に移行して、算出したQ統計量及びT2統計量の少なくとも一方が正常モデルのデータ存在範囲に基づいて個別に設定された管理上限値以上であるか否かを判定する。この判定結果が、管理上限値未満であるときにはステップS21に移行して、「地熱発電設備は正常である。」旨のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してからステップS4に移行する。また、判定結果がQ統計量及びT2統計量の少なくとも一方が管理上限値以上であるときにはステップS22に移行して、予兆警報情報を情報送信部42に出力すると共に、異常要因ガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してからステップS4に移行する。
また、ステップS5の気水分離器注水評価処理は、図10に示すとおりである。先ず、ステップS41で、シリカ濃度及び塩素イオン濃度を読込み、次いでステップS42に移行して、シリカ濃度及び塩素イオン濃度の少なくとも一方が管理上限値を超えているか否かを判定する。この判定結果が、シリカ濃度及び塩素イオン濃度の双方が管理上限値を超えていない場合にはステップS43に移行して、「セパレータは有効に機能している。注水不要」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してからステップS5に移行する。
このステップS47では、新たなシリカ濃度及び塩素イオン濃度を受信したか否かを判定する。シリカ濃度及び塩素イオン濃度を受信していないときには、これらを受信するまで待機し、新たなシリカ濃度及び塩素イオン濃度を受信したときには、ステップS48に移行して、再度新たなシリカ濃度及び塩素イオン濃度の少なくとも一方が管理上限値を超えているか否かを判定する。新たなシリカ濃度及び塩素イオン濃度の少なくとも一方が管理上限値を超えているときには、前記ステップS46に戻り、新たなシリカ濃度及び塩素イオン濃度の双方が管理上限値以下であるときにはステップS49に移行して、「注水実施でセパレータは有効に機能している。」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してから前記ステップS5に移行する。
また、ステップS55の判定結果が、推定したシリカ付着量が管理上限値を超えた場合には、ステップS57に移行して「蒸気タービンへのシリカ付着量は許容範囲外。」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してからステップS6に移行する。
なおさらに、ステップS8のガス抽出システム運転状況診断処理は、図13に示すとおりである。先ず、ステップS71で、非凝縮性ガス量比、抽気ガスエジェクター入口温度と圧力、並びに復水器111の冷却水の入口及び出口温度とを読込む。次いでステップS72に移行して、前記(2)式にしたがって、非凝縮性ガスに飽和する蒸気量Fejtを算出すると共に、冷却水から放出される空気量Fair及び非凝縮性ガス量Fncgを算出する。
次いでステップS74に移行して、抽気ガス総量Fallが予め設定した設計値Fallpを超えているか否かを判定する。抽気ガス総量Fallが設計値Fallpを超えてないときにはステップS75に移行して、抽気圧力が設定値に達していないか否かを判定する。この判定結果が、抽気圧力が設定値に達していないときにはステップS77に移行して、「ガス抽出システムが正常に機能していません。」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してから前記ステップS1に戻る。また、ステップS75の判定結果が抽気圧力が設定圧力に達しているときにはステップS76に移行して、「ガス抽出システムは正常に機能している。」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してから前記ステップS1に戻る。
さらに、ステップS81の判定結果が、蒸気量Fejtが設定値Fejtpを超えていない場合には、ステップS83に移行して、「非凝縮性ガス量が過大です。生産井のガス量が増加している可能性があります。」のガイダンス表示情報を情報表示部41に出力してから前記ステップS1に戻る。
ここで、ステップS3の処理及び図8の処理が蒸気性状評価部31に対応し、ステップS4の処理及び図9の処理が気水分離器評価部32に対応し、ステップS5の処理及び図10の処理が注水評価部33に対応し、ステップS6の処理及び図11の処理がシリカ付着量評価部34に対応し、ステップS7の処理及び図12の処理が生産井脈動・合流条件評価部35に対応し、ステップS8の処理及び図13の処理がガス抽出システム評価部36に対応している。
今、地熱発電設備10を新設した場合や、既存の地熱発電設備10に蒸気性状自動測定装置11及び診断装置21を新設した場合には、蒸気性状自動測定装置11及び診断装置21を稼働開始させた時点で、診断装置21の中央演算装置22で、図7に示す診断処理を実行する。この診断処理では、蒸気性状自動測定装置11から分析データ及び運転データを受信していないときには、これらを受信するまで待機し、分析データ及び運転データを受信すると、受信した分析データ及び運転データをデータロガ23に各種データ毎に時系列的に格納する(ステップS2)。
また、逸脱予知診断処理が終了すると、図9に示す気水分離器性能診断処理が実行される。この気水分離器性能診断処理では、シリカ濃度及び塩素イオン濃度が管理上限値を超えていない状態では、正常と判断されて、「セパレータは有効に機能している。水分除去率は99.99%」のガイダンス表示情報が情報表示部41に表示される。
さらに、シリカ濃度及び塩素イオン濃度の少なくとも一方が管理上限値を超えたときに、水分除去率ηWが基準値ηWs以上であるときには、セパレータ自体は正常であるので、セパレータは有効に機能している旨のガイダンス表示情報を情報表示部41に表示する。この場合には、蒸気タービンへの異物の付着等の他の要因による異常と判断することができる。
このとき、水スプレー装置101は高圧セパレータ102の入口側に配置されているので、生産井PW1~PWnからの蒸気をスプレー水で洗浄することにより、単位容積当りのミスト(微小水滴)の存在密度(個数)を増加させ、ミスト同士が接触合体(付着)する機会を増やし、蒸気中に浮遊する鉱物イオンを含むミストに更に水の粒を付着させ、粒径を大きくしてセパレータでの水分離効率を高める働きが期待できる。
vc=(Dp2×Δρ×r×ω2)/(18×μ) …………(4)
ここで、vc:粒子の遠心沈降速度(m/s)、Δρ:粒子(水)と連続層(水蒸気)の密度差(kg/m3)、Dp:粒子の直径(m)、ω:回転角速度(rad/s)、μ:連続層(蒸気)の粘度(Pa・s)、r:セパレータの半径(m)である。
Fm=Fs×ηfw×(1―ηsw/100)×Cmw …………(5)
ここで、Fm:セパレータ分離蒸気中の鉱物質の量(g/h)、Fs:蒸気流量(t/h)、Fw:熱水流量(t/h)、ηfw:セパレータ供給2相流の水分含有率(-)=Fw/(Fs+Fw)、ηsw:水分の除去率(%)、Cmw:熱水中の鉱物濃度(ppm)である。
例えば、100t/h,熱水含有率5%で熱水中の鉱物質2000wppm(g/t)の生産井蒸気をセパレータに供給し、そのときの熱水分離効率が99.92%であるとすると、セパレータ分離蒸気中に含まれる鉱物質は、
(100t/h)×(0.05)×(1-0.9992)×(2000g/t)=8g/h …………(6)
である。
[(100t/h)×(0.05+0.02)]×(1-0.9996)×[(2000g/t)×5/(5+2)]=4g/h ………(7)
と半減する。
この様にセパレータ分離蒸気中の飛沫同伴鉱物質が低減できる事は実績に基づく計算からも明らかである。
なお、上記実施形態においては、シリカ濃度と塩素イオン濃度との少なくとも一方が管理上限値を超えているか否かに基づいて各種処理を行なう場合について説明したが、これに限定されるものではなく、塩素イオン濃度に代えて酸導電率を適用することもできる。
さらにまた、上記実施形態では、分析データが管理上限値を超えているか否かで異常判断を行なうようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、管理上限値より小さい運転推奨値を超えているか否かで異常判断を行なうようにしてもよい。
Claims (8)
- 地熱発電設備の気水分離器から蒸気タービンに供給される蒸気の性状を測定する蒸気性状自動測定装置からの分析データと、前記地熱発電設備の運転データとをオンラインで受信し、これらの受信データに基づいて前記地熱発電設備の診断を行なう地熱発電設備のオンライン診断方法であって、
前記分析データとして、少なくともシリカ濃度、塩素イオン濃度及び酸導電率の一方を設定し、前記運転データとして、少なくとも前記気水分離器で分離された蒸気流量及び熱水流量を設定し、前記分析データ及び運転データをオンラインで収集し、収集した前記分析データ及び運転データと各データに対する管理上限値又は運転推奨値とに基づいて前記地熱発電設備の診断を行なうことを特徴とする地熱発電設備のオンライン診断方法。 - 地熱発電設備の気水分離器から蒸気タービンに供給される蒸気の性状を測定する蒸気性状自動測定装置からの分析データと、前記地熱発電設備の運転データとをオンラインで受信し、これらの受信データに基づいて前記地熱発電設備の診断を行なう地熱発電設備のオンライン診断方法であって、
前記分析データとして、少なくともシリカ濃度、塩素イオン濃度及び酸導電率の一方、非凝縮性ガス濃度、pHを設定し、前記運転データとして、少なくとも前記気水分離器で分離された蒸気流量及び熱水流量を設定し、前記分析データ及び前記運転データをデータ格納部に時系列的に蓄積記憶し、該データ格納部に蓄積記憶された前記シリカ濃度と塩素イオン濃度及び酸導電率の一方とが管理上限値又は運転推奨値に達していないと判断されている状態で、前記データ格納部に蓄積記憶されている前記分析データ及び前記運転データから多変量解析の方法である主成分分析法と統計量計算とに基づき前記分析データ及び前記運転データの管理上限値又は運転推奨値からの逸脱の予兆を検知することを特徴とする地熱発電設備のオンライン診断方法。 - 前記分析データとして、少なくともシリカ濃度、塩素イオン濃度を設定し、前記運転データとして、少なくとも前記気水分離器で分離された蒸気流量及び熱水流量を設定し、前記シリカ濃度と塩素イオン濃度を監視して管理上限値又は運転推奨値に対するレベルに応じた警報を前記地熱発電設備に出力し、前記シリカ濃度と塩素イオン濃度の少なくとも一方が前記管理上限値又は運転推奨値を超えている場合、前記塩素イオン濃度、前記蒸気流量及び前記熱水流量に基づいて演算された前記気水分離器の水分除去率が基準値以下の場合に気水分離器の性能診断結果を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の地熱発電設備のオンライン診断方法。
- 前記運転データは、少なくとも前記蒸気流量、熱水流量及び前記気水分離器の水位であり、前記水分除去率が基準値以下で、かつ前記気水分離器の水位が水位上限値を超えていない場合、前記気水分離器から前記蒸気タービンに供給される蒸気に対して水スプレーを行なうスプレー装置に対してスプレー開始指示を出力することを特徴とする請求項3に記載の地熱発電設備のオンライン診断方法。
- 前記シリカ濃度と前記蒸気流量から、前記蒸気タービンへ流入したシリカ積算量を演算し、演算したシリカ積算量と、これに密接な関係のあるタービン入口圧力、タービン出口圧力、タービン車室圧力を対比させその時系列的な傾向とにより前記蒸気タービンへのシリカ付着状態を推定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の地熱発電設備のオンライン診断方法。
- 前記蒸気性状自動測定装置からの非凝縮性ガス濃度のデータと前記蒸気タービン後段の復水器の運転データから抽気すべきガス量を演算し、その傾向からガス抽出機の運転状況を診断することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の地熱発電設備のオンライン診断方法。
- 地熱発電設備の気水分離器から蒸気タービンに供給される蒸気の性状を測定して分析データを出力する蒸気性状自動測定装置と、
前記地熱発電設備を監視しながら運転を制御する監視・制御装置と、
前記蒸気性状自動測定装置からの分析データと前記監視・制御装置からの前記地熱発電設備の運転データとに基づいて前記地熱発電設備の蒸気性状評価、気水分離器の評価、生産井の脈動及び合流の評価の少なくとも一つを行い、前記地熱発電設備の運転状態を診断する診断装置と
を有することを特徴とする地熱発電設備のオンライン診断システム。 - 前記診断装置は、前記地熱発電設備の診断結果の表示及び当該診断結果の前記監視・制御装置への送信の少なくとも一方を行なうように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の熱発電設備のオンライン診断システム。
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