JP2002250271A - 地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム - Google Patents

地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム

Info

Publication number
JP2002250271A
JP2002250271A JP2001048366A JP2001048366A JP2002250271A JP 2002250271 A JP2002250271 A JP 2002250271A JP 2001048366 A JP2001048366 A JP 2001048366A JP 2001048366 A JP2001048366 A JP 2001048366A JP 2002250271 A JP2002250271 A JP 2002250271A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scale
turbine
nozzle
steam
steam turbine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001048366A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayoshi Tanioka
正義 谷岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Engineering Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Engineering Corp filed Critical Toshiba Engineering Corp
Priority to JP2001048366A priority Critical patent/JP2002250271A/ja
Publication of JP2002250271A publication Critical patent/JP2002250271A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/10Geothermal energy

Landscapes

  • Control Of Turbines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】地熱発電プラントにおける蒸気タービンの運転
中の監視強化を図る。 【解決手段】地下から噴出する天然蒸気を蒸気タービン
に導いて運転する地熱発電用蒸気タービンにおいて、タ
ービンノズル13のノズル板20へのスケール・噴出物
の付着量の増加に伴ってノズル出口圧力が経時的に低下
してタービン出力が低下することを、タービン運転中に
監視するスケール監視システム。監視要素として、予め
ノズルの前後圧力差とそのノズル板へのスケール・噴出
物の付着進捗度との関係に基づいて警報値又はトリップ
値を設定しておき、この警報値又はトリップ値を基準と
して蒸気タービン運転中におけるノズル板へのスケール
・噴出物の付着を監視し、かつ対応する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地熱発電用蒸気ター
ビンのスケール付着監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】地熱発電は近年の環境問題への対応か
ら、クリーンエネルギーとしてその重要性が再認識され
つつあり、今後とも世界的に開発の促進が期待されてい
る。
【0003】一方、その開発は地質調査、地震探査、テ
ストポーリングなどを始めとする基礎的な調査から本格
的蒸気・熱水生産井のボーリング、発電プラントの建設
に至るまでに多大な年月と費用が必要とされ、容易なも
のではない。さらに、開発地点の包蔵する地熱エネルギ
ー量から、単機出力容量も自ずから限界があり、現時点
において我が国では65MW、世界的にも110MWが
最大容量機となっている。このような背景から、地熱発
電プラントの発電コストは火力・原子力発電と比べて割
高なものとなっており、発電コストの引き下げを図るべ
く極力稼働率、出力を高く保つことが要請されている。
【0004】また、地熱発電設備は地熱特有の諸問題に
対処することも要請されている。具体的には「使用材料
の腐食(コロージョン)」や「応力腐食割れ」、「ドレ
ンアタックエロージョン」、あるいは「蒸気タービン羽
根・ノズル等の蒸気通路部へのスケール付着、蒸気・熱
水生産井からの噴出物の蒸気タービンヘの流入」などで
ある。
【0005】周知の通り、地熱発電プラントは地下から
噴出する天然蒸気をセパレータ(気水分離器)経由にて
そのまま蒸気タービンに導き運転する蒸気卓越型プラン
トと、熱水と蒸気の混合流体をセパレータにて蒸気と熱
水に分離して蒸気のみを蒸気タービンに導き運転する熱
水卓越型プラントがある。熱水卓越型プラントには、気
水分離器で単純に蒸気と熱水に分離して蒸気のみをター
ビンに導き発電するシングルフラッシュタイプと、セパ
レータにて分離した蒸気をタービンに導く他に、分離し
た熱水をさらにフラッシャー(減圧器)に導き、そのフ
ラッシュ蒸気についてもタービンに導き発電を行うダブ
ルフラッシュタイプとがある。
【0006】いずれの地熱発電プラントにおいても蒸気
中には多量のガス(通常、炭酸ガスが殆どであるが硫化
水素、塩素などの強い腐食性を持つガスもある)や、ス
ケール付着成分(炭酸カルシュウムCaCO、シリカ
SiOなどの不純物)が溶融しており、さらに地殻か
らの固形物(土砂や小さな岩石など)なども含まれてい
る。また、蒸気タービン入口の蒸気条件も湿り度1%前
後、圧力0.35〜0.6MPa、温度150〜165
℃程度と過熱度の少ない殆ど飽和に近いものとなってい
る。
【0007】このため地熱発電用蒸気タービンはこれら
の厳しい運転環境に配慮して、通常、腐食(コロージョ
ン)・エロージョン、応力腐食割れ等に強い使用材料の
選定や、羽根・ノズル等の機器構造上の配慮(例えば応
力腐食割れを防止するためにシャープなエッジ構造部分
をなくす等)あるいはドレンアタック防止構造の採用
(例えば蒸気通路部の外壁にドレンキャッチャーを取り
付ける)等の設計上の考慮がなされている。
【0008】しかしながら、運転中のノズル、羽根への
スケールの付着に関しては、スケールが付着した時の設
計上の強度的な考慮は行われてはいるが、避けることが
できない地熱特有の現象となっておりプラント運用上の
基本的な要件として監視・対応方法の改善が望まれてい
る。
【0009】即ち、スケールの付着は地熱蒸気タービン
の宿命ともいうべき特徴の一つであるが、運転中は、蒸
気タービンに導かれた地熱蒸気が各段落で仕事を行う過
程で蒸気圧力、温度が次第に低下し、これに伴い蒸気中
に溶融していたスケール付着成分(CaCO、SiO
など)が析出して、ノズル・羽根等に付着するもので
あり、避け難い現象である。このスケール付着量は通
常、運転時間の経過と共に次第に増加して行く。そして
一般的にはこのスケール付着量は運転時間と略比例して
増加するケースが多い。しかしながら天然蒸気による運
転であることから蒸気タービン入口の蒸気条件(流量、
圧力、温度)も変動しているため、必ずしもこれに当て
はまらない。
【0010】ノズルヘのスケールの付着量が増加すると
ノズルスロート部の面積が狭まり、計画蒸気流量が確保
できなくなることからタービンの出力は低下する。さら
にノズル・羽根に極端なスケールの付着が発生すると、
静止部(ノズル)と回転部(羽根)とが接触して所謂ラ
ビング現象を発生させる場合がある。このラビング現象
は承知の通り蒸気タービンに大振動の発生をもたらし、
運転の継続が困難となるものである。
【0011】また、スケールの付着に伴う翼前後の圧力
差(差圧)の増加は翼応力の増加をもたらし、翼折損等
の重大事故に発展する場合もあるので、多量のスケール
の付着は好ましくない。
【0012】従来、蒸気タービンの羽根、ノズルヘのス
ケール付着監視については特段の考慮はなされていな
い。運転員が時々各段落の圧力変動や発電機の出力低下
状況を指示計で確認する程度である。一般的には、ある
運転時間の経過を以って(運転間隔で)、スケールが多
量に付着したものと類推してタービンを停止し、予備ロ
ータ・ノズルヘの交換作業、または運転機のホーニング
装置によるスケール落とし、あるいはハンマー・タガネ
を用いた手作業によるスケール落とし作業を行ってい
る。
【0013】また、地熱発電用蒸気・熱水は一般に、地
下に多孔質の地層の割れ目(フラクチャー)などがあっ
て熱水の貯留層があり、かつ地層付近でそれを閉じ込め
る役目をなすキャップロック地層のある地熱地帯にボー
リングして、蒸気・熱水を取り出している事も知られて
いる。
【0014】蒸気・熱水の生産井は通常、地下500〜
2000m程度の深さまで掘削して、例えば先端部は6
インチ程度のスリットを有するケーシングパイプを挿入
して蒸気・熱水を取り出せるようにし、その上部には
8、11、16インチのケーシングパイプを接続して、
その周りをセメントグラウトで固定する構造が採用され
ている。
【0015】このセメントグラウトは地熱地帯特有のフ
ラクチャーを有する地質構造によって、希ではあるが時
折地層内に流出する。流出したセメントグラウトは、そ
のまま地層内に逸出するケースと、ケーシングパイプの
蒸気・熱水取り入れ部のスリットを通りセパレータ経由
で蒸気タービンに持ち込まれるケースとがある。蒸気タ
ービンに持ち込まれるケースは、地熱発電特有の突発的
トラブルの発生と位置づけることができるが、セパレー
タ、蒸気溜では容量的に処理しきれない噴出物の噴出を
見るケースがあり、それがそのまま蒸気タービンに持ち
込まれることがある。
【0016】蒸気タービンにセメントグラウト等の噴出
物が持ち込まれた場合には比較的短時間でノズル、羽根
に付着・堆積して、極端な場合にはノズルスロート部の
閉塞やノズル・羽根間の間隙を塞ぐような状態となる。
このような状態になるとセメントグラウト等の噴出物が
回転する羽根に接触して、羽根に急激にブレーキを掛け
るような格好となり、羽根に掛かるブレーキカ(応力)
によって羽根が変形したり、レーシングワイヤ、シュラ
ウド等の回転構造物が飛散・変形したり、さらにはこれ
に伴うノズル板の損傷等の大事故に発展する。
【0017】このようなケースでは初段ノズル前・後の
圧力差(差圧)は比較的短時間で上昇することとなる
が、運転員が常に圧力指示計の監視を行っている訳では
なく、見落とされることが往々にしてある。最終的な蒸
気タービンの保護は、回転部と静止部のへビィラビング
による振動大によって運転員のタービントリップ操作あ
るいは振動大インターロック保護装置によるトリップ動
作により行われることとなるが、タービンに大きな損傷
が発生してからの対応となり、1ステップ遅れた対応と
いうことができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、現状に
おける地熱発電プラントは、蒸気タービンの羽根・ノズ
ルヘのスケール付着については、運転継続時間(運転間
隔)からスケール付着量を予測して対応を図ること、ま
た通常運転中は運転員による間欠的な圧力指示計や発電
機出力指示計などを確認する監視方法がとられているこ
とから、通常運転中のスケール付着によるラビング振動
の発生と機器損傷に発展する可能性を有した状況にある
ことが判る。さらには蒸気・熱水生産井側で突発的に発
生するセメントグラウト等、地中からの噴出物の蒸気タ
ービンヘの流入についての監視も略無防備状態に近いと
言え、蒸気タービンの重大事故への発展が懸念されると
ころである。
【0019】本発明はかかる従来技術の不具合を解決す
べくなされたものであり、地熱発電用蒸気タービンの通
常運転中の監視の強化を図り、機器へのスケール付着状
況あるいは地中からの噴出物付着状況から、ラビング・
損傷のトラブルに発展することが予測される状況に至っ
た時に警報を発報して、運転員に知らしめ、蒸気タービ
ンの速やかな停止とそれに引き続く予備ロータ・ノズル
ヘの交換作業、あるいは運転機の羽根・ノズル等に付着
したスケール・噴出物除去作業の実施を促す監視システ
ムの提供を行うものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る発明では、地下から噴出する天然
蒸気を蒸気タービンに導いて運転する地熱発電用蒸気タ
ービンにおいて、タービンノズルのノズル板へのスケー
ル・噴出物の付着量の増加に伴ってノズル出口圧力が経
時的に低下してタービン出力が低下することを、タービ
ン運転中に監視するスケール監視システムであって、当
該監視要素として、予め前記ノズルの前後圧力差とその
ノズル板へのスケール・噴出物の付着進捗度との関係に
基づいて警報値又はトリップ値を設定しておき、この警
報値又はトリップ値を基準として蒸気タービン運転中に
おけるノズル板へのスケール・噴出物の付着を監視し、
かつ対応することを特徴とする地熱発電用蒸気タービン
のスケール付着監視システムを提供する。
【0021】請求項2に係る発明では、地下から噴出す
る天然蒸気を蒸気タービンに導いて運転する地熱発電用
蒸気タービンにおいて、タービンノズルのノズル板への
スケール・噴出物の付着量の増加に伴ってノズル出口圧
力が経時的に低下してタービン出力が低下することを、
タービン運転中に監視するスケール監視システムであっ
て、当該監視要素として、予め前記ノズルの前後圧力差
が一定時間内に高まった場合にノズル板へのスケール・
噴出物の付着による異常状態発生として報知するための
警報値又はトリップ値を設定しておき、この警報値又は
トリップ値を基準として蒸気タービン運転中におけるノ
ズル板へのスケール・噴出物の付着を監視し、かつ対応
することを特徴とする地熱発電用蒸気タービンのスケー
ル付着監視システムを提供する。
【0022】請求項3に係る発明では、地下から噴出す
る天然蒸気を蒸気タービンに導いて運転する地熱発電用
蒸気タービンにおいて、タービンノズルのノズル板への
スケール・噴出物の付着量の増加に伴ってノズル出口圧
力が経時的に低下してタービン出力が低下することを、
タービン運転中に監視するスケール監視システムであっ
て、当該監視要素として、予め前記ノズルの前後圧力差
とそのノズル板へのスケール・噴出物の付着進捗度との
関係に基づいて警報値またはトリップ値を設定するとと
もに、前記ノズルの前後圧力差が一定時間内に高まった
場合にノズル板へのスケール・噴出物の付着による異常
状態発生として報知するための警報値又はトリップ値を
設定しておき、これらの警報値またはトリップ値を基準
として蒸気タービン運転中におけるノズル板へのスケー
ル・噴出物の付着を監視し、かつ対応することを特徴と
する地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システ
ムを提供する。
【0023】請求項4に係る発明では、請求項1から3
までのいずれかに記載の地熱発電用蒸気タービンのスケ
ール付着監視システムにおいて、タービン運転中におけ
るタービン損傷及び内部効率低下を監視し、かつ対応す
る手段は、視覚的警報手段、聴覚的警報手段、運転制御
手段の少なくともいずれかであることを特徴とする地熱
発電用蒸気タービンのスケール付着監視システムを提供
する。
【0024】請求項5に係る発明では、請求項1から4
までのいずれかに記載の地熱発電用蒸気タービンのスケ
ール付着監視システムにおける監視要素、警報値、トリ
ップ値それらの図形処理データ、タービン運転中におけ
るタービン損傷及び内部効率低下を監視し、かつ対応す
る手段への指令データを格納したことを特徴とするフロ
ッピーディスク、光ディスクその他の記憶装置を提供す
る。
【0025】本発明に係る地熱発電用蒸気タービンのス
ケール付着監視システムの提供によって、地熱発電プラ
ントの稼働率向上に寄与できると共に、蒸気タービンの
重大事故の発生を未然に防止してプラントの安定的な運
転が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に従って詳細に説明する。
【0027】図1は代表的な地熱発電用蒸気タービンの
組立断面図である。なお、本組立断面図は蒸気卓越型プ
ラントにおける(20MW級の)蒸気タービンの例であ
り、4段落構成となっているが、本発明による実施形態
はタービンの形式に限定されることなく、あらゆる形式
においても適用することができる。
【0028】図1に示すように、本実施形態の蒸気ター
ビン1においてはケーシング2内に設けられたタービン
ロータ3が第1軸受4および第2軸受5によって支持さ
れている。そして、蒸気供給側に設けられた図示しない
主蒸気止め弁、蒸気加減弁を経た主蒸気aは、主蒸気管
6からタービン下部2ケ所のタービン入口7より高圧蒸
気室8に流入する。高圧蒸気室8はタービン上下全周に
リング形状となっており、この高圧蒸気室8の後流側に
はノズルリングとノズル板とで構成する初段ノズル9が
設置されている。この初段ノズル9のノズル板はタービ
ンロータ3の初段動翼10の回転平面に対して規定角度
(15〜25度程度)が得られるよう配列されており、
初段動翼10に主蒸気aを噴射して速度エネルギを与え
ている。
【0029】このような地熱発電用蒸気タービン1にお
いて、本実施形態では基本的に、初段ノズル9のノズル
板へのスケール・噴出物の付着量の増加に伴ってノズル
出口圧力が経時的に低下してタービン出力が低下するこ
とを、タービン運転中に監視できるようにしたものであ
る。即ち、監視要素として、予め初段ノズル9の前後圧
力差とそのノズル板へのスケール・噴出物の付着進捗度
との関係に基づいて警報値またはトリップ値を設定する
とともに、初段ノズル9の前後圧力差が一定時間内に高
まった場合にノズル板へのスケール・噴出物の付着によ
る異常状態発生として報知するための警報値又はトリッ
プ値を設定しておき、これらの警報値またはトリップ値
を基準として蒸気タービン1の運転中におけるノズル板
へのスケール・噴出物の付着を監視し、かつ対応するも
のである。
【0030】具体的に説明すると、本実施形態に用いる
初段ノズル前・後圧力については、タービン入口7の高
圧蒸気室8の圧力を初段ノズル前圧力とし、ノズル板出
口後の蒸気圧力(即ち初段動翼10前の蒸気圧力)を初
段ノズル後圧力としている。
【0031】そして、これらの初段ノズル前・後圧力を
検出するためにケーシング2に、新たに初段ノズル前圧
力検出管11と初段ノズル後圧力検出管12とが付設さ
れている。なお、これらに類する検出管が指示計器用と
して既に設置されているプラントにおいては、その検出
座を共用し分岐検出配管を新たに設置して、本監視シス
テム用としての検出装置を新規に設置することは可能で
ある。また圧力検出器が設置されている場合には、圧力
検出器の出力信号を本監視システム用として分岐・使用
することも可能である。
【0032】図2(a)〜(c)はノズル13の構造説
明図および流入スケールのノズル板への付着状態説明図
である。
【0033】図2(a)は4段ノズルを例示している。
この図2(a)に示すように、ノズル13は下半ノズル
14と上半ノズル15とからなり、第1段ノズル(初段
ノズル)9に続いて第2,第3,第4ノズル16,1
7,18と並んでいる。これら各段のノズルは初段ノズ
ル9に代表的に符号を付したように、ノズルリング19
とノズル板20とで構成される。
【0034】図2(b)はノズル板20の拡大図であ
り、図2(c)はノズル板20のノズルスロート部説明
図である。ノズルスロート部とは、ノズル蒸気通路部の
うちで最も狭い部分をいい、図2(c)に斜線で示した
部分をスロート面積と称する。
【0035】蒸気タービン運転中のノズル板20へのス
ケールの付着は通常、ノズル板20の背・腹側に全面的
に付着することが多く、各段落とも共通的に付着する。
特に温度低下の著しい段落においてスケールが多量に付
着する傾向が見られる。
【0036】スケール付着量は一般的には運転時間と略
比例して増加する傾向が多いが、地熱蒸気・熱水の噴出
状態(流量、圧力、温度)は変動しており、必ずしも比
例しない。スケール付着量の増加につれてノズルスロー
ト面積も次第に狭まり、これにより計画蒸気流量が流せ
なくなることから、タービンの出力は低下する。
【0037】ノズル板20へのスケールの付着と共に下
流側の動翼についてもスケールが付着するが、スケール
の付着量が多量となると、極端なケースではノズル13
と動翼(羽根)、即ち静止部と回転部が接触して所謂ラ
ビング現象を発生させる。本現象は蒸気タービン1に大
振動の発生をもたらし、場合によっては動翼他の損傷等
を招くことがある。従ってこの様な状態に至った時に
は、直ちに蒸気タービン1を停止させねばならない。
【0038】ノズル板20へのスケール付着量の増加に
つれてノズルスロート面積が次第に狭まる。これによっ
て運転中のノズル出口圧力も次第に低下する。この間ノ
ズル入口圧力は殆ど変化しない。即ちこの状態変化とし
てはノズル前・後圧力差(差圧)が次第に拡大して上昇
することとなる。本発明はこのような経時的な状態変化
を捕えることに着目した監視システムの提供を行い不測
のトラブルを未然に防止し、蒸気タービンの安全な運転
に寄与するものである。
【0039】蒸気・熱水生産井側で突発的に発生するセ
メントグラウト等の噴出物が蒸気タービン1に持ち込ま
れた場合には、ノズルスロート部を比較的短時間で閉塞
させる。またノズルスロート部を通過してノズル下流側
の動翼との間隙を閉塞させる場合もある。このようなケ
ースではノズル前・後圧力差(差圧)は急速に拡大・上
昇し、その状態で運転を継続した場合には前述して説明
した通り、機器の損傷を伴う大事故に発展する。
【0040】本実施形態では、このような短期的な状態
変化を捕らえることに着目した監視システムの提供を行
い、不測のトラブルを未然に防止して蒸気タービンの安
全な運転に寄与するものである。
【0041】図3は「初段ノズルスケール・噴出物付着
状況監視カーブ」を示すものであり、これが本発明に適
用し、地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視シス
テムにソフトウエアとして制作し、入力するものであ
る。監視カーブは2種類あり、双方についてソフトウエ
アとして制作して入力する。
【0042】図3(a)は「初段ノズル前・後圧力差
(差圧)−初段ノズルスケール・噴出物付着進捗度監視
カーブ」を示している。このカーブは、蒸気タービンの
運転に伴う初段ノズルヘのスケールおよび噴出物の付着
状態を監視することを目的としたものである。この図3
(a)のタテ軸は「初段ノズル前・後圧力差(差圧);
(Kpa)」を示し、上方向が高く、下方向が低い。ヨ
コ軸は「初段ノズルスケール・噴出物付着進捗度;
(%)」であり、右方向が「スケール・噴出物の付着量
大」を示す。
【0043】監視カーブでは各運転負荷(100%、7
5%、50%、25%)毎に「初段ノズルスケール・噴
出物付着進捗度」に対応する「初段ノズル前後圧力差
(差圧)」の関係を設定しており、それぞれの運転負荷
毎に「正常点;NO」、「警報点;AL」、「トリップ
点;TR」を設定する。
【0044】例えば、100%運転負荷においては、
「スケール・噴出物付着進捗度」が0%の状態にある
「初段ノズル前・後圧力差(差圧)NO1」を「正常点
NO」とする。初段ノズル9ヘのスケール・噴出物の付
着が進捗して、「スケール・噴出物付着進捗度」がX%
に相当するA点を「警報点」とし、この点の「初段ノズ
ル前・後圧力差(差圧)A1」を「警報設定値」として
警報を発報して運転員に異常を知らしめる。この「警報
設定値」の設定は例えばタービンの出力が異常に低下す
るスケール・噴出物の付着量における「初段ノズル前・
後圧力差(差圧)」として定めることができる。
【0045】ノズルヘのスケール・噴出物の付着がさら
に進捗して、「スケール・噴出物付着進捗度」がY%に
相当するB点を「トリップ点」とし、この点の「初段ノ
ズル前・後圧力差(差圧)T1」を「トリップ警報設定
値」として警報を発報して運転員に異常を知らしめ、タ
ービンを速やかに停止・開放・点検して予備ロータ・ノ
ズルヘの交換作業、あるいは運転機の羽根・ノズル等に
付着したスケール・噴出物の除去作業を行うことを促
す。
【0046】この「トリップ警報設定値」の設定は例え
ばラビング振動を発生させる恐れのあるスケール・噴出
物の付着量に若干余裕を持たせたスケール・噴出物の付
着量における「初段ノズル前・後圧力差(差圧)」とし
て定めることができる。
【0047】同様に他運転負荷についても、「正常点;
NO」、「警報点;AL」、「トリップ点:TR」の設
定を行う。75%、50%負荷についての記載は省略し
ているが25%負荷では「スケール・噴出物付着進捗
度」が0%;「正常点」はNO4の「初段ノズル前・後
圧力差(差圧)」とする。ノズルヘのスケール・噴出物
の付着が進捗して、「スケール・噴出物付着進捗度」が
X%に相当するG点を「警報点」とし、この点の「初段
ノズル前・後圧力差(差圧)A4」を「警報設定値」と
して警報を発報して運転員に異常を知らしめる。
【0048】初段ノズル9ヘのスケール・噴出物の付着
がさらに進捗して、「スケール・噴出物付着進捗度」が
Y%に相当するH点を「トリップ点」とし、この点に相
当する「初段ノズル前・後圧力差(差圧)T4」を「ト
リップ警報設定値」として警報を発報して運転員に異常
を知らしめ、タービンを速やかに停止・開放・点検して
引き続く作業を実施することを促すこととしている。
【0049】図3(b)は「初段ノズル前・後圧力差
(差圧)変化量監視カーブ」を示している。このカーブ
は、主に蒸気・熱水生産井側で突発的に発生するセメン
トグラウト等の噴出物が蒸気タービンに持ち込まれたこ
とを早期に検知する目的で設置するものである。この図
3(b)のタテ軸は「初段ノズル前・後圧力差(差
圧);Kpa」を示し、上方向が高く、下方向が低い。
ヨコ軸は「時間;Sec」である。即ち、単位時間当た
りの「初段ノズル前後圧力(差圧)の変化量」を監視す
るものであり、「Kpa/Sec」にて監視を行い、異
常事態の早期検出を行う。100%、75%、50%、
25%の各運転負荷毎に本監視カーブを設け、それぞれ
の各運転負荷において「初段ノズル前・後圧力差(差
圧)」の「正常点;N」、単位時間当たりにノズルに噴
出物が付着して「警報点;PAN1〜PAN4」に至っ
た時の「初段ノズル前・後圧力差(差圧)Q1〜Q4」
を警報設定値、単位時間当りにノズルに噴出物が付着し
て「トリップ点;PTR1〜PTR4」に至った時の初
段「ノズル前・後圧力差(差圧)R1〜R4」を「トリ
ップ警報設定値」として設定する。
【0050】なお、各運転負荷における「初段ノズル前
・後圧力差(差圧)」の「正常点:N」は、定常の運転
中におけるスケールの付着を考慮して基本的に「初段ノ
ズル前・後圧力差(差圧)」の急激な変化が発生する前
の現在運転負荷における「運転値」として設定する。即
ち現在の「運転圧力差(初段ノズル前・後圧力差(差
圧))」をベース値として単位時間当たりの「初段ノズ
ル前・後圧力差(差圧)」の変化量を監視するものであ
る。
【0051】前述した通り、蒸気・熱水生産井側で突発
的に発生するセメントグラウト等の噴出物が蒸気タービ
ン1に持ち込まれると、ノズルスロート部を比較的短時
聞で閉塞させるため、「初段ノズル前・後圧力差(差
圧)」は急速に上昇する。このような状態の変化は図3
(a)で説明した「初段ノズル前・後圧力差(差圧)−
初段ノズルスケール・噴出物付着進捗度監視カーブ」で
も捕えることは可能であるが、突発的に発生する緊急事
態を短時間で早期に把握することが可能な本監視カーブ
を設置することによって検出精度の向上を図るものであ
る。
【0052】なお、図3(a),(b)の説明におい
て、「警報点・トリップ点」を設定して警報を発報する
運転負荷の区分を便宜的に100%、75%、50%、
25%としているが、運転負荷の区分は任意に行うこと
ができ、かつ区分した運転負荷の中間におけるそれぞれ
の負荷における警報を発報する設定値は、便宜的に区分
した各運転負荷における設定値の延長線上に設定される
ことになることは言うまでもない。
【0053】図4は蒸気卓越型の代表的な地熱発電所の
系統図である。
【0054】タービンサイクルは復水を回収してボイラ
に戻す必要がないため、蒸気消費量の少ない単純復水サ
イクルとなっている。
【0055】蒸気生産井(孔口)21を出た蒸気は生産
井近傍に設置された孔口スチームセパレータ22におい
て熱水・湿分の分離、除去が行われる。この孔口セパレ
ータ22以降で点検・修理などを行う場合にはサイレン
サ入口弁24−1を開いて蒸気生産井出口止め弁23を
閉鎖し、サイレンサ24−2より大気中に蒸気を全量放
出する。各蒸気生産井21からの噴気蒸気は発電所近傍
に設置される蒸気溜25に集められる。蒸気溜25には
タービントリップ等の緊急時に蒸気管系の異常な圧力上
昇を防止するためバネ式逃し弁26、電動逃し弁27が
設置されている。通常、電動逃し弁27がプラント起動
・停止用として使用され、バネ式逃し弁26は圧力逃し
のための最終的なバックアップ用として機能する。
【0056】蒸気溜25を出た蒸気はタービン前スチー
ムセパレータ28において湿分の分離が行われる。湿り
度は通常、このタービン前スチームセパレータ28の入
口で7〜8%、出口で1%程度となっている。
【0057】タービン前スチームセパレータ28の出口
蒸気は主蒸気管29により主蒸気止め弁30、蒸気加減
弁31を経由して蒸気タービン1に導かれ、蒸気タービ
ン1を回転し、直結する発電機33にて機械エネルギを
電気エネルギに変換する。
【0058】蒸気タービン1にて仕事をした蒸気(排
気)は直接接触式復水器34において冷却水35aによ
り冷却され、封水槽35、温水ポンプ槽36、揚水ポン
プ37経由にて冷却塔38に戻される。冷却塔38にて
冷却された冷却水は冷却水ポンプ39にて汲み上げら
れ、再度直接接触式復水器34を始めとする冷却水の必
要なサイクル内の機器、油冷却器40、空気冷却器4
1、第1段エゼクタ用クーラ42、第2段エゼクタ用ク
ーラ43などに供給される。冷却水35が不足する場合
は河川水44をメイクアップ水として使用する。また冷
却塔38の余剰水はオーバフロー45としてサイクル外
に排出される。
【0059】なお、蒸気タービン1の排気圧力は直接接
触式復水器34に接続する第1段エゼクタ46、第2段
エゼクタ47により確保され、この作動蒸気は主蒸気管
29より分岐した主蒸気によっている。呼び水エゼクタ
48A、48Bは揚水ポンプ37、冷却水ポンプ39の
起動用として設置されており、この作動蒸気も主蒸気管
29より分岐した主蒸気が使用されている。スチームシ
ール用エゼクタ49の作動蒸気も主蒸気となっている。
【0060】図5は地熱発電用蒸気タービンのスケール
付着監視システムを示す系統構成図である。以下その構
成、機能について説明する。
【0061】本システムは図4にて説明した蒸気卓越型
の代表的な地熱発電所並びに図示していない熱水卓越型
の地熱発電所に設置して蒸気タービンの運転中の監視装
置として使用する。
【0062】蒸気タービン1には初段ノズル前圧力を検
出する圧力検出器50(PX−1)および初段ノズル後
圧力を検出する圧力検出器51(PX−2)を設置す
る。この圧力検出器50、51の出力信号50−1、5
1−1は電子計算機などで構成する地熱発電用蒸気ター
ビンのスケール付着監視装置52に入力せしめる。
【0063】一方、このスケール付着監視装置52には
図3(a)に示した「初段ノズル前・後圧力差(差圧)
−初段ノズルスケール・噴出物付着進捗度監視カーブ」
および図(b)に示した「初段ノズル前・後圧力差(差
圧)変化量監視カーブ」並びにそれぞれのカーブにおい
て警報を発報する「警報設定値」、「トリップ設定値」
を予めソフトウエアとして制作して入力せしめる。
【0064】このスケール付着監視装置52では制作し
入力せしめた前記監視カーブソフトウエア(警報設定
値、トリップ設定値を含む)によって次の機能1,2を
実行する。
【0065】(機能1)プラント状態信号、即ちスケー
ル付着監視装置52に入力している「初段ノズル前・後
圧力信号50−1、51−1」に応動して前記2種類の
それぞれの監視カーブを作成する。そして作成したそれ
ぞれの監視カーブを制御盤あるいはオペレータデスク等
54に設置された監視表示装置55、56に表示すべ
く、画面表示用信号53−1、53−2の出力を行い監
視カーブを表示する。一応、監視表示装置55には画面
表示信号53−1により図3(a)の監視カーブを、ま
た監視表示装置56には画面表示信号53−2により図
3(b)の監視カーブを表示させることとしているが、
表示装置への画面表示信号は任意に入れ替えることが可
能であることは言うまでもない。
【0066】(機能2)加えて、前記2種類の監視カー
ブのソフトウエアにおいて各々設定されている「警報設
定値」、「トリップ設定値」によって、入力しているプ
ラント状態信号50−1、51−1がその警報設定値状
態およびトリップ設定値状態に至った時には、それを判
断して監視表示装置55、56および警報表示装置5
7、58に警報表示信号53A−1、53−A2および
トリップ警報信号53B−1、53−B2の出力を行い
警報を表示する。併せてこの2種類の警報表示信号を制
御盤あるいはオペレータデスクに設置されているブザー
等の音響装置59に出力して音響装置59を鳴動させ
る。
【0067】この警報表示に関わるそれぞれのソフトウ
エアにおける機能の詳細を以下に説明する。
【0068】(A)まず、図3(a)に示した「初段ノ
ズル前・後圧力差(差圧)−初段ノズルスケール・噴出
物付着進捗度監視カーブ」のソフトウエアでは各運転負
荷毎に「正常点;NO」、「警報点;AL」、「トリッ
プ点;TR」に相当する「初段ノズル前後圧力差(差
圧)」の設定値が設定されている。例えば100%負荷
の運転において、運転時間の経過と共に初段ノズル9ヘ
のスケール付着量が増加、あるいは蒸気・熱水生産井か
らの噴出物が蒸気タービン1に持ち込まれ初段ノズル9
ヘの噴出物の付着量が増加して、付着進捗度がX%の警
報点に至った時、即ち100%負荷ではA点に相当する
「初段ノズル前・後圧力差(差圧)A1」の「警報設定
値」に至った時に、監視表示装置55と警報表示装置5
7に警報表示信号53A−1を出力して警報表示を行い
(例えば監視表示装置55では「ノズルスケール付着
大」というような赤字の点滅表示と監視カーブ上の警報
点の点滅表示を、また警報表示装置57でも「ノズルス
ケール付着大」と文字が記載された表示窓のランプを点
滅させる)、併せて本信号53A−1により制御盤ある
いはオペレータデスク等54に取り付けられているブザ
ー等の音響装置59を鳴動させ、運転員に注意を喚起す
る。
【0069】初段ノズルヘのスケール・噴出物の付着が
さらに増加して、「付着進捗度Y%」のトリップ警報
点、即ち(100%負荷では)B点に相当する「初段ノ
ズル前・後圧力差(差圧)T1」の「トリップ警報設定
値」に至った時に、監視表示装置55と警報表示装置5
8にトリップ警報表示信号53B−1を出力してトリッ
プ警報表示を行い(例えば監視表示装置55では「ノズ
ルスケール付着過大トリップ指示」というような赤字の
点滅表示と監視カーブ上のトリップ警報点の点滅表示
を、また警報表示装置58でも「ノズルスケール付着過
大トリップ指示」と文字が記載された表示窓のランプを
点滅させる)、併せて本信号53B−1により制御盤あ
るいはオペレータデスク等に取り付けられているブザー
等の音響装置59を鳴動させ、運転員に注意を喚起す
る。
【0070】(B)次に、図3(b)に示した「初段ノ
ズル前・後圧力差(差圧)変化量監視カーブ」のソフト
ウエアでは各運転負荷毎に「正常点;N」、「警報点;
PAN1〜PAN4」、「トリップ点;PTR1〜PT
R4」に相当する「初段ノズル前・後圧力差(差圧)」
の設定値が設定されている。
【0071】例えば100%運転負荷において蒸気・熱
水生産井からの噴出物が蒸気タービンに持ち込まれる
と、初段ノズル9のノズルスロート部を比較的短時間で
閉塞させることとなり、「初段ノズル前・後圧力差(差
圧)」は急速に上昇する。単位時間当り(例えば1Se
c)の「初段ノズル前・後圧力差(差圧)」の変化量が
大きく、「現在運転値;N点」より「PAN1点」に相
当する「初段ノズル前・後圧力差(差圧)Q1」の「警
報設定値」に至った時に、監視表示装置56と警報表示
装置57に警報表示信号53A−2を出力して警報表示
を行い(例えば監視表示装置56では「ノズルスケール
付着大」というような赤字の点滅表示と監視カーブ上の
警報点の点滅表示を、また警報表示装置57でも「ノズ
ルスケール付着大」と文字が記載された表示窓のランプ
を点滅させる。)、併せて本信号53A−2により制御
盤あるいはオペレータデスク等54に取り付けられてい
るブザー等の音響装置59を鳴動させ、運転員に注意を
喚起する。
【0072】単位時間(例えば1Sec)当りの「初段
ノズル前・後圧力差(差圧)」の変化量が「警報点PA
N」を越えてさらに大きく、「現在運転値;N点」より
「PTR1点」に相当する「初段ノズル前・後圧力差
(差圧)R1」の「トリップ警報設定値」に至った時
に、監視表示装置56と警報表示装置58に「トリップ
警報信号53B−2」を出力してトリップ警報表示を行
い(例えば監視表示装置56では「ノズルスケール付着
過大トリップ指示」というような赤字の点滅表示と監視
カーブ上のトリップ警報点の点滅表示を、また警報表示
装置58でも「ノズルスケール付着過大トリップ指示」
と文字が記載された表示窓のランプを点滅させる)、併
せて本信号53B−2により制御盤あるいはオペレータ
デスク等54に取り付けられているブザー等の音響装置
59を鳴動させ、運転員に注意を喚起する。
【0073】なお、図3(a)および図3(b)の監視
カーブにおける警報表示に関わるソフトウエアの説明に
おいて、それぞれの監視カーブソフトウエアからの「警
報点警報出力」、「トリップ警報点警報出力」を状態別
に区分して同一の警報表示装置を共用することとしてい
るが(即ち単純警報:ノズルスケール付着大は警報専用
の同一の警報表示装置57に、またプラントトリップに
繋がる「重大警報;ノズルスケール付着過大トリップ指
示」はトリップ指示警報専用の同一の警報表示装置58
に表示させることとしているが)、図3(a)および図
3(b)のそれぞれの監視カーブ毎に独立して警報表示
装置を設置してもよい。
【0074】以上説明した如く、本実施形態による地熱
発電用蒸気タービンのスケール付着監視システムの提供
によって、地熱発電プラントにおける蒸気タービンの運
転中の監視強化を図ることができる。特に蒸気・熱水生
産井側にて突発的に発生するセメントグラウトなどの噴
出物が蒸気タービンに持ち込まれたことを速やかに検知
することが可能となったことから、重大事故への発展を
未然に防止することができる。また通常運転中の経時的
なスケール付着状況を定量的に表示・把握できるため、
計画的な予備ロータ・ノズルヘの取り替え作業あるいは
運転機のスケール落とし作業の実施が可能となり、プラ
ントの効率的な運用に寄与すると共に重大事故への発展
を未然に防止することができる。
【0075】なお、以上の実施形態においては、監視要
素として、図3(a)に示した初段ノズル9の前後圧力
差とそのノズル板20へのスケール・噴出物の付着進捗
度との関係に基づく警報値またはトリップ値と、図3
(b)に示した初段ノズル9の前後圧力差が一定時間内
に高まった場合にノズル板20へのスケール・噴出物の
付着による異常状態発生として報知するための警報値又
はトリップ値とを共に用いたが、本発明ではこれに限ら
ず。上記図3(a)または(b)に示した基準のいずれ
か一方のみを用いた構成とすることもできる。
【0076】また、タービン運転中におけるタービン損
傷及び内部効率低下を監視し、かつ対応する手段は、視
覚的警報手段、聴覚的警報手段、運転制御手段の少なく
ともいずれかであればよい。
【0077】さらに本発明においては、上記システムに
おける監視要素、警報値、トリップ値それらの図形処理
データ、タービン運転中におけるタービン損傷及び内部
効率低下を監視し、かつ対応する手段への指令データを
フロッピーディスク、光ディスクその他の記憶装置に格
納し、複数のシステムで汎用できる構成とする事が可能
である。
【0078】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係る地熱発
電用蒸気タービンのスケール付着監視システムによれ
ば、地熱発電プラントにおける蒸気タービンの運転中の
監視強化を図ることができる。特に蒸気・熱水生産井側
にて突発的に発生するセメントグラウトなどの噴出物が
蒸気タービンに持ち込まれたことを速やかに検知するこ
とが可能となったことから、重大事故への発展を未然に
防止することができる。また通常運転中の経時的なスケ
ール付着状況を定量的に表示・把握できるため、計画的
な予備ロータ・ノズルヘの取り替え作業あるいは運転機
のスケール落とし作業の実施が可能となり、プラントの
効率的な運用に寄与すると共に重大事故への発展を未然
に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明するもので、地熱発
電用蒸気タービンの構成を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態を説明するもので、(a)
は、ノズル構成を示す分解斜視図、(b)はノズル板を
示す斜視図、(c)はノズルスローと部を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態を説明するもので、(a)
は「初段ノズル前・後圧力差(差圧)−初段ノズルスケ
ール・噴出物付着進捗度監視カーブ」を示す特性図、
(b)は「初段ノズル前・後圧力差(差圧)変化量監視
カーブ」を示す特性図。
【図4】本発明の一実施形態を説明するもので、地熱発
電プラントを示す系統図。
【図5】本発明の一実施形態を説明するもので、前記プ
ラントに適用した地熱発電用蒸気タービンスケール付着
監視システムを示す系統図。
【符号の説明】
a 主蒸気 1 蒸気タービン 2 ケーシング 3 タービンロータ 4 第1軸受 5 第2軸受 6 主蒸気管 7 タービン入口 8 高圧蒸気室 9 初段ノズル 10 初段動翼 11 初段ノズル前圧力検出管 12 初段ノズル後圧力検出管 13 ノズル 14 下半ノズル 15 上半ノズル 16,17,18 第2,第3,第4ノズル 19 ノズルリング 20 ノズル板 21 蒸気生産井(孔口) 22 孔口スチームセパレータ 23 蒸気生産井出口止め弁 24−1 サイレンサ入口弁 24−2 サイレンサ 25 蒸気溜 26 バネ式逃し弁 27 電動逃し弁 28 タービン前スチームセパレータ 29 主蒸気管 30 主蒸気止め弁 31 蒸気加減弁 33 発電機 34 直接接触式復水器 35a 冷却水 35 射水槽、 36 温水ポンプ槽 37 揚水ポンプ 38 冷却塔 39 冷却水ポンプ 40 油冷却器 41 空気冷却器 42 第1段エゼクタ用クーラ 43 第2段エゼクタ用クーラ 44 河川水 45 オーバフロー 46 第1段エゼクタ 47 第2段エゼクタ 48A、48B 呼び水エゼクタ 49 スチームシール用エゼクタ 50 圧力検出器 51 圧力検出器 52 スケール付着監視装置 53−1、53−2 画面表示用信号 53A−1、53−A2 警報表示信号 53B−1、53−B2 トリップ警報信号 54 オペレータデスク等 55 監視表示装置 56 監視表示装置 57、58 警報表示装置 59 音響装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地下から噴出する天然蒸気を蒸気タービ
    ンに導いて運転する地熱発電用蒸気タービンにおいて、
    タービンノズルのノズル板へのスケール・噴出物の付着
    量の増加に伴ってノズル出口圧力が経時的に低下してタ
    ービン出力が低下することを、タービン運転中に監視す
    るスケール監視システムであって、当該監視要素とし
    て、予め前記ノズルの前後圧力差とそのノズル板へのス
    ケール・噴出物の付着進捗度との関係に基づいて警報値
    又はトリップ値を設定しておき、この警報値又はトリッ
    プ値を基準として蒸気タービン運転中におけるノズル板
    へのスケール・噴出物の付着を監視し、かつ対応するこ
    とを特徴とする地熱発電用蒸気タービンのスケール付着
    監視システム。
  2. 【請求項2】 地下から噴出する天然蒸気を蒸気タービ
    ンに導いて運転する地熱発電用蒸気タービンにおいて、
    タービンノズルのノズル板へのスケール・噴出物の付着
    量の増加に伴ってノズル出口圧力が経時的に低下してタ
    ービン出力が低下することを、タービン運転中に監視す
    るスケール監視システムであって、当該監視要素とし
    て、予め前記ノズルの前後圧力差が一定時間内に高まっ
    た場合にノズル板へのスケール・噴出物の付着による異
    常状態発生として報知するための警報値又はトリップ値
    を設定しておき、この警報値又はトリップ値を基準とし
    て蒸気タービン運転中におけるノズル板へのスケール・
    噴出物の付着を監視し、かつ対応することを特徴とする
    地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム。
  3. 【請求項3】 地下から噴出する天然蒸気を蒸気タービ
    ンに導いて運転する地熱発電用蒸気タービンにおいて、
    タービンノズルのノズル板へのスケール・噴出物の付着
    量の増加に伴ってノズル出口圧力が経時的に低下してタ
    ービン出力が低下することを、タービン運転中に監視す
    るスケール監視システムであって、当該監視要素とし
    て、予め前記ノズルの前後圧力差とそのノズル板へのス
    ケール・噴出物の付着進捗度との関係に基づいて警報値
    またはトリップ値を設定するとともに、前記ノズルの前
    後圧力差が一定時間内に高まった場合にノズル板へのス
    ケール・噴出物の付着による異常状態発生として報知す
    るための警報値又はトリップ値を設定しておき、これら
    の警報値またはトリップ値を基準として蒸気タービン運
    転中におけるノズル板へのスケール・噴出物の付着を監
    視し、かつ対応することを特徴とする地熱発電用蒸気タ
    ービンのスケール付着監視システム。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
    地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システムに
    おいて、タービン運転中におけるタービン損傷及び内部
    効率低下を監視し、かつ対応する手段は、視覚的警報手
    段、聴覚的警報手段、運転制御手段の少なくともいずれ
    かであることを特徴とする地熱発電用蒸気タービンのス
    ケール付着監視システム。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれかに記載の
    地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システムに
    おける監視要素、警報値、トリップ値それらの図形処理
    データ、タービン運転中におけるタービン損傷及び内部
    効率低下を監視し、かつ対応する手段への指令データを
    格納したことを特徴とするフロッピー(登録商標)ディ
    スク、光ディスクその他の記憶装置。
JP2001048366A 2001-02-23 2001-02-23 地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム Pending JP2002250271A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001048366A JP2002250271A (ja) 2001-02-23 2001-02-23 地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001048366A JP2002250271A (ja) 2001-02-23 2001-02-23 地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002250271A true JP2002250271A (ja) 2002-09-06

Family

ID=18909647

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001048366A Pending JP2002250271A (ja) 2001-02-23 2001-02-23 地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002250271A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010047312A1 (ja) 2008-10-21 2010-04-29 富士電機システムズ株式会社 地熱発電設備のオンライン診断方法及びオンライン診断システム
JP2011027060A (ja) * 2009-07-28 2011-02-10 Fuji Electric Systems Co Ltd 地熱発電装置および地熱発電方法
JP2015078653A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 株式会社東芝 地熱タービン
JP2015114778A (ja) * 2013-12-10 2015-06-22 横河電機株式会社 プラント制御システム、制御装置、管理装置、及びプラント情報処理方法
JP5839030B2 (ja) * 2011-04-19 2016-01-06 富士電機株式会社 スケール抑制方法及び地熱発電装置
JP2018080673A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 株式会社東芝 タービン制御装置および地熱タービン発電設備

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010047312A1 (ja) 2008-10-21 2010-04-29 富士電機システムズ株式会社 地熱発電設備のオンライン診断方法及びオンライン診断システム
US8407027B2 (en) 2008-10-21 2013-03-26 Fuji Electric Systems Co., Ltd. Online diagnostic method and online diagnostic system for geothermal generation facility
JP2011027060A (ja) * 2009-07-28 2011-02-10 Fuji Electric Systems Co Ltd 地熱発電装置および地熱発電方法
JP5839030B2 (ja) * 2011-04-19 2016-01-06 富士電機株式会社 スケール抑制方法及び地熱発電装置
JP2015078653A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 株式会社東芝 地熱タービン
JP2015114778A (ja) * 2013-12-10 2015-06-22 横河電機株式会社 プラント制御システム、制御装置、管理装置、及びプラント情報処理方法
JP2018080673A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 株式会社東芝 タービン制御装置および地熱タービン発電設備

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104634687B (zh) 一种高压多相射流切割性能测试系统及方法
Schiavello et al. Pump Cavitation: various NPSHR criteria, NPSHA margins, impeller life expectancy
US7412320B2 (en) Detection of gas turbine airfoil failure
CN102606464B (zh) 一种轴流风机喘振和失速实时监测和预防方法
EP2647794B1 (en) CMC blade with pressurized internal cavity for erosion control and corresponding method
JP5010032B2 (ja) 地熱発電設備のオンライン診断方法
CN109190166A (zh) 一种叶片泵空化判定及状态评估方法及其系统
JP6334300B2 (ja) 直動式水力機械
JP2002250271A (ja) 地熱発電用蒸気タービンのスケール付着監視システム
Suhane Experimental study on centrifugal pump to determine the effect of radial clearance on pressure pulsations, vibrations and noise
Sloteman et al. Control of backflow at the inlets of centrifugal pumps and inducers
WO2013117271A1 (de) VERFAHREN ZUR VERMEIDUNG VON PUMPSTÖßEN IN EINEM VERDICHTER
JP5433601B2 (ja) ジェットポンプ及び沸騰水型原子炉
JP7244815B2 (ja) 流体取り込みシステム及び発電システム
JP2010019228A (ja) 回転機械の翼ランダム振動監視システム
Chiariotti et al. Erosion prediction of gas turbine compressor blades subjected to water washing process
Cooper et al. Elimination of cavitation-related instabilities and damage in high-energy pump impellers
Guida et al. New facility setup for the investigation of cooling flow, viscous and rotational effects on the interstage seal flow behavior of a gas turbine
JP2002250203A (ja) タービン損傷及び内部効率低下監視システム
JP2835465B2 (ja) 蒸気タービンの湿分予備分離器
Schiavello Cavitation and recirculation troubleshooting methodology
JP2000257449A (ja) ガスタービン装置
JP2005529280A (ja) ガスタービン設備を運転するための方法とガスタービン設備
Carp-Ciocardia et al. Experimental analysis of vibrations at a Pelton turbine
JP4523826B2 (ja) ガスタービン監視装置及びガスタービン監視システム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040319