明 細 書
病態モデル実験動物、病態モデル実験動物の作出方法及ぴ病態モデ ル実験動物の利用方法
技術分野
[0001] 本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis,以降「NASH 」と呼称する)の生ィヒ学的特徴及び/又は病理組織学的特徴を有する病態モデル実 験動物及ぴその作出方法並びに利用方法に関する。
背景技術
[0002] 脂肪肝に炎症が加わり、それが持続すると肝硬変まで進行することがある。この病 態は非飲酒歴者におレ、てもアルコール性脂肪性肝炎に類似した病状を示すことから 、 NASHの診断名を高血圧、糖尿病、高脂血症と並び新しい生活習慣病として俄に 注目されている。
[0003] NASHが単純脂肪肝と大きく異なる点は肝炎や肝線維ィ匕が存在することである。 NA SHの診断には、一般に、病理組織学的評価が必要 (非特許文献 2)で、この場合、肝 細胞の大滴性脂肪性変化、肝細胞の変性'壊死、門脈域のリンパ球浸潤が見られ、 その結果として小葉内に線維化を呈する特徴を有している。飲酒歴がないにも関わ らず、過剰栄養摂取が原因でアルコール性肝障害に類似した脂肪肝から脂肪性肝 炎になり、その進行により肝臓の線維化が進み、肝硬変への進展をたどる。肝硬変の 基本的病態は、進行性不可逆性の肝機能低下 {アルブミン、血液凝固因子 (プロトロ ンビンを含む)の産生障害から、腹水、出血傾向、肝性脳症が惹起 }と、門脈血流の 減少に伴う門脈圧亢進症 (この結果、食道静脈瘤、消化管出血、脾腫、肝性脳症な どが惹起)である。さらに一部がん化することが問題視される。
[0004] 脂肪肝に何らかの刺激が加わって脂肪性肝炎、肝の線維ィ匕さらに重症進行ィ匕によ り肝硬変へと進展するとされる。 NASHの発生機序として、脂肪肝は NASHの前段階と 考えられ、脂肪肝がまず生じ、そこに何らかのストレス力加わり脂肪性肝炎、さらによ り進んだ肝障害 (肝硬変)へと移行する (非特許文献 3)。すなわち、肝への脂肪沈着 により脂肪肝が生じる課程は NASHの第一段階であり、この脂肪肝に第二段階として
替え招紙 i )
(a)酸化ストレス (非特許文献 4、 5)、 (b)エンドトキシンによる炎症'性サイト力インの誘 導、(c) CYP2Elの発現'誘導 (非特許文献 6、 7)、 (d)ミトコンドリアの機能異常、など のさまざまな機序が相互に関連して NASHへと進展していくと推測される。ゆえに、 NA SHモデル実験動物の開発においても、脂肪肝にこれらのストレス負荷が必要となる。 ヒト該病態に即した病態モデル実験動物作成には、ヒトの生活習慣の中で NASH病 態へと進展させるストレス或いはそれに近似させたストレス負荷が望ま 、。
[0005] 食生活の欧米化すなわち高脂肪含量の食生活や運動不足による肥満人口の増加 と生活習慣病患者の増加に伴い、脂肪肝患者, NASH患者も増加することが想定さ れる。ゆえに、脂肪肝から肝炎、肝線維化及び肝硬変への進行性疾患である NASH 病態の解明と、新たに開発される NASH治療薬や重症化抑制薬及び Z又は NASH発 症リスク低減機能食品や重症化リスク低減機能食品及び Z又は NASH治療方法や重 症化予防法の確立が望まれて 、る。
[0006] 進行性疾患である NASH病態の解明と、新たに開発される NASH治療薬や重症化 抑制薬及び Z又は NASH発症リスク低減機能食品や重症化リスク低減機能食品及び Z又は NASH治療方法や重症化予防法の確立のためには、肝炎、肝線維化や肝硬 変の部位にどのような影響を及ぼすのかを確認することは極めて重要であり、このた めには病態進展に密接に関与する生活習慣病に分類される病態に対する生理機能 調節素材の作用をヒト NASH病態に即した該病態モデル実験動物を用いた長期間観 察が必要である。
[0007] しかし、 NASHの病態機序の解明と薬物治療のため、これまでに栄養学的知見に 基づき開発された病態モデルはいずれも単なる脂肪肝に過ぎない。すなわち、最近 、 NASHモデル動物として、メチォニン又はコリン欠乏飼料または高脂肪および高糖 質成分の飼料を与え開発された病態動物肝臓の病理組織学的特徴 (非特許文献 8、 9)はいずれも脂肪肝あるいは肝炎の段階に止まり、著しい線維化は認められないか 、あっても極めて軽微なもので、脂肪性肝炎力ゝら線維化への進行性が高い NASH病 態に近似するものではない。さらに高脂肪および高糖質成分の飼料を与え開発され た病態動物 (非特許文献 10)は脂肪肝の形成に約 8週間、脂肪性肝炎形成に約 16 週間に渡る長期間飼育を要する。
[0008] さらに、従来、肝炎、肝線維化、肝硬変の病態モデルは、四塩化炭素、チオアセト アミド、ジメチルニトロソァミンなどの慢性肝炎誘発剤又は肝硬変誘発剤投与による。 これらの肝障害機序は共通している。すなわち、これらはいずれも脂溶性物質であり 肝臓で代謝を受け高反応性代謝物へと代謝変換される。四塩ィ匕炭素を例に取ると、 肝での代謝の場所であるミクロノームに存在するチトクロム P-450酵素による代謝で C C1 ·遊離基に次いで CC1 00 ·遊離基が生成される機構で肝小葉中心部の壊死を
3 3
もたらす。従って、脂肪肝が基盤となる損傷による肝炎力 sもたらす病態とはその機構 及び発現する様相に本質的相違がある (非特許文献 11)。
[0009] 慢性肝炎及び Z又は肝硬変の病理組織学的特徴を維持するモデル哺乳動物を 作成するに当たり、チオアセトアミドを投与する方法 (特許文献 1)が公知であるが、コ スト、労力の面力 現実的ではなぐまた、該モデル動物作成可能な個体数にも限り 力 Sあり、再現性を高めることは技術的にも熟練を要する。
[0010] 通常の生活においてヒトは慢性肝炎誘発剤又は肝硬変誘発剤に暴露される可能 性は極めて低ぐそれらによる病態モデルは該 NASH病態に即した脂肪性肝炎、肝 線維化、肝硬変や肝がん病態モデルとは成り得ない。また、肝臓疾患治療のため、 例えば、抗酸化剤を利用する方法 (特許文献 2、 3)、酸素を用いる方法 (特許文献 4)、 L-ァラニンを用いる方法 (特許文献 5)が公知である力 該病態モデルのヒトとの近似 性は不十分であり、より改善された重症化予防剤、治療剤等のスクリーニング、開発 をはじめとする生活習慣病一般の助長機構解析に基づく治療法、治療剤開発の必 要性に鑑みて、これらの手法は不十分である。
[0011] 一方、ヒトにおける NASH発症リスクは脂肪肝症例の睡眠時無呼吸症候群において 上昇する (非特許文献 12参照)。非アルコール性脂肪肝動物へ人為的に血中低酸 素状態を与えることにより、ヒト症例の発症病態に近似させることが出来る(非特許文 献 13参照)。
[0012] 特許文献 1 :特開 2005— 160415号公報
[0013] 特許文献 2 :特開平 11一 199477号公報
[0014] 特許文献 3 :特表 2005— 510501号公報
[0015] 特許文献 4:特開 2006— 69911号公報
[0016] 特許文献 5 :特開 2006— 151937号公報
[0017] 非特許文献 1 : Ludwig J. et al., Mayo Clin. Proc, 55, 434-438 (1980)
[0018] 非特許文献 2 : Matteoni C.A. et al., Gastroenterology ,116,1413-1419 (1999)
[0019] 非特許文献 3 : Day C.P.and James O.W.,Gastroenterology,114, 842-845(1998) [0020] 非特許文献 4:西原利治 '他,日本消化器病学会雑誌, 99, 570-576(2002)
[0021] 非特許文献 5 : Reid A.E., Gastroenterology, 121, 710-723 (2001)
[0022] 非特許文献 6 :Weltman M.D. et al., Hepatology, 27, 128-133 (1998)
[0023] 非特許文献 7 : Leclercq LA. et al., J. Clin. Invest. 105, 1067-1075 (2000)
[0024] 非特許文献 8 : Zhang B.H., Weltman M et al., J. Gastroenterol. Hepatology, 14, 133- 137(1999)
[0025] 非特許文献 9 : Koppe S.W.P., Sahai A., et al., J. Hepatology, 41,592-598(2004) [0026] 非特許文献 10 : Fan J.G. et al., World J. Gastroenterol, 11, 5053-5056(2005)
[0027] 非特許文献 11 : Matsuoka, M., and Tsukamoto, H. Stimulation of hepatic lipocyte co llagen production by Kupffer cell-derived transforming growth factor beta: implicatio n for a pathogenetic role in alcoholic liver fibrogenesis. Hepatology. 11:599—605、 19 90)
非特許文献 12 :前田均,中島健雄,大西一男,細見慶和:男性閉塞性睡眠時無呼吸 症候群患者における非アルコール性肝機能異常の頻度とその悪ィ匕要因. 兵庫県医 師会医学雑誌 47卷 2号 Pagel 15-120 (2004)
特干文献 13 : Hatipoglu U. Rubinstein I.: Inflammation and obstructive sleep a pnea syndrome pathogenesis: a working hypothesis. Respiration. 70(6):665- 671 (200 3)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0028] このように、生活習慣病の一つである NASH病態モデル実験動物による被験素材の 有効性を長期間観察するためには、できるだけ簡便な作製方法を用いて、労力をか けず且つ迅速に所定の時期に必要数の上記病態モデル哺乳動物を供給できること が必要である。し力しながら、従来、ヒト NASH病態を再現する有用な病態モデル実験
動物及び作出方法は存在しな力つた。
[0029] 本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、生活習慣による 脂肪肝からヒト非アルコール性慢性肝炎及び Z又は肝線維化及び Z又は肝硬変を 再現する新規病態モデル実験動物及びその作出方法と新規病態モデル実験動物 の利用方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0030] 上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、メトヘモグロビン血症 の形成により血中酸素分圧が低水準に維持されること、及び、血中酸素分圧が低水 準に維持されることにより NASH病態モデル実験動物が作出されることを発見し、また は、 1)低酸素環境下で飼育することにより血中酸素分圧が低水準に維持されること、 及び、 2)脂肪肝動物の血中酸素分圧が低水準に維持されることにより NASH病態モ デル実験動物が作出されることを発見し、本発明に至ったものである。
[0031] 本発明の病態モデル実験動物 (ヒトを除く)は、生体内低酸素状態を形成させること により、または、低酸素環境下飼育に基づく生体内低酸素状態を形成させることによ り作出される非アルコール性脂肪性肝炎及び Z又は肝線維化及び Z又は肝硬変の 生化学的特徴及び/又は病理組織学的特徴を維持する。
[0032] 同様に、上記目的を達成するために、本発明の病態モデル実験動物の作出方法 は、生体内低酸素状態を形成させることにより、または、低酸素環境下飼育に基づく 生体内低酸素状態を形成させることにより、非アルコール性脂肪性肝炎及び Z又は 肝線維化及び Z又は肝硬変の生化学的特徴及び/又は病理組織学的特徴を維持 した病態モデル実験動物 (ヒトを除く)を作出する。
[0033] 本発明は従来、有用な病態モデル実験動物の存在しなかった NASH病態モデル実 験動物を提供する。該病態モデル実験動物はアルコール無投与にも関わらず脂肪 肝から進行する肝炎及び Z又は肝線維化及び Z又は肝硬変及び Z又は肝がんの 各進行段階も含む。
[0034] ヒトにおける NASH発症リスクが上昇する脂肪肝症例の睡眠時無呼吸症候群は、非 アルコール性脂肪肝動物へ人為的に血中低酸素状態を与えることにより、ヒト症例の 発症病態に近似させることが出来る。飼育条件により、非特許文献 1〜10に記載の
各構成を有する NASH病態の生化学的パラメータ変化および病理組織学的特徴を 安定に呈し維持する進行性の該病態モデル実験動物を作製することができる。該病 態は進行性の疾患であるため、肝硬変の基本的病態である進行性不可逆性の肝機 能低下、即ち、アルブミン、血液凝固因子 (プロトロンビンを含む)の産生障害から、 腹水、出血傾向、肝性脳症惹起等の症状や、門脈血流の減少に伴う門脈圧亢進症 、即ち、食道静脈瘤、消化管出血、脾腫、肝性脳症等の諸症状を伴い、呈することも ある。
[0035] 本発明においては、アルコールや慢性肝炎誘発剤又は肝硬変誘発剤は無投与に もかかわらず、直接的肝毒性を発揮しな 、亜硝酸塩及び Z又はヒドロキシルァミンを 投与することで、メトヘモグロビンを形成させ血中酸素分圧低下による生体内低酸素 状態を動物に与えながら飼育する工程を有することを特徴とする方法、及び、当該方 法により作製された NASH病態モデル実験動物を提供する。さら〖こ詳しくは、投与量 、投与回数及び投与期間を調節して血中低酸素状態の程度を調節して飼育するェ 程を有することを特徴とする方法、及び、当該方法により作製された NASH病態モデ ル実験動物により、該病態の進行過程の研究及び解明ゃ該病態の進行重症化予防 用および治療用薬剤、及びこれらのことに機能する生理活性物質のスクリーニングや 方法についての開発研究に有用なヒト NASH病態に近似させた該病態モデル実験動 物を提供する。
[0036] 飼育条件により、非特許文献 1〜3に記載の各構成を有する NASH病態の生化学的 パラメータ変化および病理組織学的特徴を安定に呈し維持する進行性の該病態モ デル実験動物を作製することができる。該病態は進行性の疾患であるため、肝硬変 の基本的病態である進行性不可逆性の肝機能低下、即ち、アルブミン、血液凝固因 子 (プロトロンビンを含む)の産生障害から、腹水、出血傾向、肝性脳症惹起等の症 状や、門脈血流の減少に伴う門脈圧亢進症、即ち、食道静脈瘤、消化管出血、脾腫 、肝性脳症等の諸症状を伴い、呈することもある。
[0037] 本発明にお 、ては、脂肪肝担持実験動物を用いた時、アルコールや慢性肝炎誘 発剤又は肝硬変誘発剤は無投与にもかかわらず、低酸素環境下における飼育により メトヘモグロビン血症を形成させ、最終的に血中酸素分圧低下による生体内低酸素
状態を動物に与えながら飼育する工程を有することを特徴とする方法、及び、当該方 法により作製された NASH病態モデル実験動物を提供する。さらに詳しくは酸素濃度 、すなわち、飼育する際の呼吸酸素濃度環境を調節して血中低酸素状態を維持す る工程を有することを特徴とする方法、及び、当該方法により作製された NASH病態 モデル実験動物により、該病態の進行過程の解明ゃ該病態の重症化予防用および 治療用薬剤、及びこれらのことに有効に機能する生理活性物質のスクリーニングや 方法についての開発研究に有用なヒト NASH病態に近似させた該病態モデル実験動 物を提供する。
[0038] アルコール無投与による該病態モデル実験動物は脂肪性肝炎及び Z又は肝線維 化及び Z又は肝硬変及び Z又は肝がんの各進行段階の特徴の少なくとも 1つ以上 を呈するものである。なお、肝硬変の基本的病態は先述の如く進行性不可逆性の肝 機能低下と、門脈血流の減少に伴う門脈圧亢進症であることは周知のことであり、本 発明の該病態モデルはこれら特徴の少なくとも 1つ以上をも呈することがある。
[0039] 本発明にお 、ては、出発供試材料として、脂肪肝に罹患した実験動物 (脂肪肝担 持実験動物)を用いてもよい。
[0040] ヒト NASH病態の基盤として脂肪肝が存在するので、脂肪肝担持動物を出発実験動 物とした。脂肪肝に罹患した実験動物は、例えば、メチォニン欠乏高脂肪食投与、コ リン欠乏高脂肪食を経口的に一定期間投与することによって作出できる〔Cheng Y.F. et al, Transplant., 71, 1221- 1225(2001)及び Dong H. et al., Gastroenterol, 11, 13 39-1344(2005)参照〕。本発明にお 、ては脂肪肝に罹患した実験動物の作出方法そ のものは制限されない。
[0041] 一般に、脂肪肝罹患実験動物は中性脂肪の肝臓への沈着、肝臓中の Triglyceride 含量、病理組織学的には肝細胞に大滴性脂肪性変化、生化学的には血漿中の肝 夹貧糸田月包 ft内酵素 (Α¾ Γ: Aspartate aminotransferase、 ALT: Alanine aminotransfera se)の変化、等々の確認により判別可能である。
[0042] 当該方法および当該病態モデル実験動物は、低酸素血症に伴う生活習慣病の助 長機構の研究'解析研究ゃ該病態の進行並びに重症化予防用および治療用薬剤、 及びこれらのことに機能する生理活性物質のスクリーニングや方法についての開発
研究にも有用な方法及び病態モデルを提供するものである。
[0043] 本発明において、該病態モデル実験動物作出のためには上記血中酸素分圧は 1 08ヘクトパスカル未満であると好適であるが、該血中酸素分圧は当該実験動物の飼 育環境中酸素濃度を少なくとも 180ヘクトパスカル以下に維持することにより達成でき る。なお、血中酸素分圧の下限やその持続時間は少なくとも実験動物の生命が存続 する範囲であることは当然であり、該血中酸素分圧を達成するに足る当該実験動物 の飼育環境中酸素濃度を維持することが必要であることは言うまでも無い。このように 、本発明は最終的に生体内低酸素状態を脂肪肝動物に形成させ、線維化に進展す る炎症を発生させる方法および病態モデル実験動物に関するものであり、さらに詳し くは、当該実験動物の飼育環境中酸素濃度及び飼育期間を任意に調節することに より最終的に生体内低酸素状態を脂肪肝動物に起こさせることによって NASH病態を 誘発させる方法および NASH病態モデル実験動物を提供する。
[0044] また、上記血中酸素分圧が 108ヘクトパスカル (hPa)未満であると好適である。なお 、血中酸素分圧の下限は実験動物の生命が存続する範囲であることは当然である。 このように、本発明は生体内低酸素状態を脂肪肝動物に形成させ、容易に線維化に 進展する炎症を惹起させる方法および NASH病態モデル実験動物に関するものであ り、さらに詳しくは、投与量、投与回数及び投与期間を任意に調節して生体内低酸 素状態を脂肪肝動物に起こさせることによって NASH病態を誘発させる方法および N ASH病態モデル実験動物に関する。
[0045] アルコール無投与により作出された該病態モデル実験動物は脂肪性肝炎及び Z 又は肝線維化及び Z又は肝硬変及び Z又は肝がんの各進行段階の特徴の少なくと も 1つ以上を呈するものである。なお、肝硬変の基本的病態は先述の如く進行性不 可逆性の肝機能低下と、門脈血流の減少に伴う門脈圧亢進症であることは周知のこ とであり、本発明の該病態モデルは当然ながらこれら特徴の少なくとも 1つ以上をも呈 することがある。
[0046] 本発明にお 、ては、出発供試材料として、脂肪肝に罹患した実験動物 (脂肪肝担 持実験動物)を用いる。
[0047] ヒト NASH病態の基盤として脂肪肝が存在するので、脂肪肝担持動物を出発実験動
物とした。脂肪肝に罹患した実験動物は、例えば、メチォニン欠乏高脂肪食投与、コ リン欠乏高脂肪食を経口的に一定期間投与することによって作出できる [Cheng Y.F. et al, Transplant., 71, 1221—1225(2001)、 Dong H. et al., Gastroenterol, 11, 1339— 1344(2005)]。本発明にお 、ては脂肪肝に罹患した実験動物の作出方法そのものは 制限されない。
[0048] 一般に、脂肪肝罹患実験動物は中性脂肪の肝臓への沈着、肝臓中の Triglyceride 含量の変化が見られ、病理組織学的には肝細胞に大滴性脂肪性変化、生化学的に は血漿中の月干実質細胞質内酵素(AST: Aspartate aminotransferase, ALT : Alanine aminotransferase)の変化を呈するため、これらのパラメーターの確認により判別可能 である。
[0049] 本発明においては、血中酸素分圧を 108hPa未満に維持するにあたり、対象 (脂肪 肝実験)動物に 70%未満のヘモグロビンをメト化してもよい。なお、一般に、 70%以 上のメトヘモグロビン血症の該実験動物は死に至るので、これを超えない範囲が望ま L 、が、本発明にお 、てはメトイ匕の割合自体は制限されな 、。
[0050] 正常赤血球では、メトヘモグロビンの産生とその還元とのバランスの上でメトへモグ ロビン濃度が一般に 1%以下に維持されている。したがってメトヘモグロビンの産生が 増える力、逆にその還元が障害されるとバランスが崩れてメトヘモグロビン血症となる 。メトヘモグロビン血症においては、血液中のヘモグロビン総量に対するメトへモグロ ビンの割合が 10%以上になると、酸素供給が不十分となり、チアノーゼ症状を引き起 こす。メトヘモグロビンは酸素と結合できず、酸素を全身に運ぶことができず、さらに、 酸素化ヘモグロビンが酸素とヘモグロビンへと解離する性質を変化させ、組織に到 達した酸素化ヘモグロビン力も酸素を離しに《して、酸素運搬障害による組織の酸 素欠乏症をきたす。
[0051] 本発明において、 70%未満のメトヘモグロビン血症を発症させるにあたり、低酸素 血症誘発剤となる亜硝酸塩又はヒドロキシルァミンは、容易に試薬関連メーカーから 入手することができる。また、一般に、メトヘモグロビン血症の状態は当該実験動物の 血液試料についてメト化ヘモグロビン量及び Z又はヘモグロビン量を測定することに より判別できる。
[0052] なお、水溶性物質である亜硝酸塩又はヒドロキシルァミンは、脂溶性の四塩化炭素 などとは異なり、肝臓ミクロノームのチトクロム P— 450酵素による代謝を受け高反応 性代謝物へと変換される物質ではなぐまた、チトクロム P— 450酵素による代謝基質 とはならず、酸化による高反応性代謝物を生じさせて細胞毒性を発揮し細胞を傷害 するものではな 、。両物質とも排泄に肝細胞による酸ィ匕代謝を要しな 、物質であるの で、肝臓への直接毒性は無視できるため、投与によりメトヘモグロビン血症を発症さ せ組織の酸素欠乏症を惹起させる材料として優れている。
[0053] 亜硝酸塩および Z又はヒドロキシルァミンともに合計投与量は 1日量として 10mg以 上 Zkg、但し、亜硝酸塩および Z又はヒドロキシルァミンの投与量として、 70%以上の メトヘモグロビン血症を発症させない範囲が望ましい。好ましくは、 30〜70mgZkg体 重である。投与に際しては、亜硝酸塩および Z又はヒドロキシルァミンの原体を生理 食塩液にて任意に希釈し、これを投与 (好ましくは腹腔内投与)することが出来る。投 与期間は 3〜16週間であるが、好ましくは 4〜12週間である。本発明においては、実 験動物の種類、投与濃度、量、投与部位により、目的に応じて任意に変更できる。
[0054] 本発明において用いる亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸塩類として亜硝酸アンモ 二ゥム、亜硝酸カリウム、 亜硝酸ナトリウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸セシウムなどが使 用可能である。亜硝酸エステル類としては、例えば、亜硝酸イソプチル、亜硝酸イソ ペンチル、亜硝酸ェチル、亜硝酸ブチル、亜硝酸プロピル、亜硝酸ペンチル、亜硝 酸メチルが利用可能であるが、亜硝酸として投与可能な分子形態である限り、特段の 制限はない。
[0055] 亜硝酸塩および Z又はヒドロキシルァミンの投与に当たっては、上記生理食塩水以 外に例えば油脂類、糖類、タンパク質類などに混合、希釈、安定化して与えても良い 。従って、本発明においては亜硝酸塩および/又はヒドロキシルァミンの乳化物、粉 末、錠剤、カプセル等の形態、剤型などは制限されず、任意に選択できる。
[0056] 経口投与、腹腔内投与、直腸内投与などの投与方法の別は本発明において限定 されない。該動物頸静脈からの採血により採取した血液中のメトヘモグロビン量は亜 硝酸塩とヒドロキシルァミンの投与量に正の相関を示し、一般に、動物頸動脈留置の 力-ユレーシヨン力 採取した動脈血の酸素分圧は該投与量に負の相関を示すが、
本発明にお!、ては制限されな 、。
[0057] 本発明は血中低酸素状態を脂肪肝動物に与え、 NASH病態を誘発させるものであ り、さらに詳しくは、投与量、投与回数及び投与期間を調節して低酸素状態を脂肪肝 動物に反復負荷を与えることによって進行状態や重症度を調節することができる。こ のような条件下で低酸素血症誘発剤を投与しながら実験動物^!司育することにより、 所望の病態モデル実験動物を作製することを可能とする。尚、前述の投与以外の飼 育方法は、該実験動物種に応じた公知のいずれかの飼育方法に従うことが出来る。
[0058] 本発明においては、血中酸素分圧を 108Pa未満に維持するにあたり、対象 (脂肪 肝実験)動物の飼育環境中酸素濃度を 180ヘクトパスカル以下に維持すると理解して も良い。
[0059] 吸気中の酸素分圧の低下により肺胞に至る酸素濃度も低下する。呼吸による酸素 供給が不十分となり、酸素化ヘモグロビン濃度が低下しチアノーゼ症状を引き起こす 。組織に到達する酸素化ヘモグロビンが低下することで組織の酸素欠乏症をきたす
[0060] 本発明において、低酸素血症誘発に必要な実験動物の飼育環境中の呼吸酸素濃 度を 180ヘクトパスカル以下に調整するための飼育設備は容易に関連メーカーから 入手することができる。また、一般に、組織への酸素供給不足状態は当該実験動物 の血液試料について定法に基づき酸素分圧及びヘモグロビン量を測定することによ り判別できる。
[0061] 本発明にお 、て、 NASH病態モデル実験動物は、 1)低酸素環境下で飼育すること により血中酸素分圧が低水準に維持すること、及び、 2)血中酸素分圧を低水準に維 持することにより作出されることは前述の通りであるが、該実験動物作出の過程にお いて直接又は間接的に機能する慢性肝炎誘発剤、肝硬変誘発剤、ヘモグロビンのメ ト化剤、並びに、低酸素血症誘発剤、生体内酸化促進剤など任意の物質を単独又 は混合して該実験動物に投与しすることにより、性質の異なる NASH病態モデル実験 動物を作出することが出来る。
[0062] 本発明は低酸素環境下で飼育することにより血中低酸素状態を脂肪肝動物に与え 、 NASH病態を誘発させるものであり、さら〖こ詳しくは、酸素濃度及び飼育期間を調節
して低酸素状態を脂肪肝動物に反復負荷を与えることによって病態の進行状態や重 症度を調節することができる。更に、このような条件下で慢性肝炎誘発剤、肝硬変誘 発剤、ヘモグロビンのメト化剤、低酸素血症誘発剤、並びに生体内酸化促進剤など 任意の物質を投与しながら実験動物を飼育することにより、所望の病態モデル実験 動物を作製することを可能とする。尚、前述の投与以外の飼育方法は、該実験動物 種に応じた公知の 、ずれかの飼育方法に従うことが出来る。
[0063] 該対象実験動物が NASH病態の特徴を有する力否かを判定する方法としては、例 えば、血漿中のヒアルロン酸濃度、 AST及び ALT活性、 ALP(Alkaline phosphatase)活 性、 Bilirubin濃度、 Cholinesterase活性及び albumin濃度、等々の血液生化学的検査 による推定診断及び肝生検或いは最終試料採取時に得る肝臓組織の大滴性脂肪 性変化、肝細胞の変性'壊死、門脈域のリンパ球浸潤、等々の観察を伴う病理組織 学的検査による確定診断を用いることも可能である。
[0064] 本発明にお 、て対象となる哺乳動物としては実験動物供給販売会社など力 商業 的に入手することの可能な医学研究用哺乳類実験動物が望ましい。
[0065] 本発明において対象となるげつ歯類動物としてマウス、ラット、モルモットおよびハム スターが挙げられる力 特にラットを好ましいものとして挙げることができる。より好まし くは Wistar系ラットが挙げられる。本発明にお 、て対象となる非げつ歯類哺乳動物と して、ゥサギ、ブタおよびィヌがあるが、ヒトと類似した心臓血管系や臓器'組織を持 つブタを更に好ましい材料として挙げることができる。より好ましくはミニブタおよびマ イクロブタを挙げることが出来る。
[0066] 本発明にお ヽて獲得された該病態モデル実験動物は非アルコール性脂肪性肝炎 及び Z又は肝線維化及び Z又は肝硬変の重症化予防剤並びに治療剤の開発に供 することが出来る。即ち、非アルコール性脂肪肝から、肝炎、肝線維化、肝硬変へと 重症化する過程で、その予防剤並びに治療剤として有効に機能する物質の開発に 本発明により得られた該病態モデル実験動物が利用できることは当然である。
[0067] 本発明にお ヽて獲得された病態モデル実験動物は肝炎及び Z又は肝線維化及 び Z又は肝硬変を指標とした生理活性物質のスクリーニングに供することが出来る。 即ち、簡便且つ低コストで動物実験が可能となるため、該病態に対して有効な生理
活性物質の効率的なスクリーニングを可能とする。
[0068] 上記事由により、本発明において獲得された病態モデル実験動物を低酸素血症に 伴う生活習慣病の助長機構の解析と治療薬および治療法の開発に利用できる。
[0069] また、本発明の病態モデル実験動物は、上記病態モデル実験動物を非アルコー ル性脂肪性肝炎及び Z又は肝硬変の重症化予防剤開発、治療剤開発に供する、あ るいは、上記病態モデル実験動物を非アルコール性脂肪性肝炎及び Z又は肝硬変 を指標とした生理活性物質のスクリーニングに供する、又は、上記病態モデル実験 動物を低酸素血症に伴う生活習慣病の発症機構の解析及び重症化予防剤開発並 びに治療剤開発及び治療法の開発に用いることを特徴とする。
[0070] 以上説明したように、本発明により、アルコール無投与による脂肪肝動物へ簡便な 処置を施し、ヒト NASH病態発症および進行機序に近似させた低酸素状態を負荷す る作製方法を用いて、 NASHの病理組織学的特徴および生化学的特徴を実質的に 安定に呈し維持するモデル動物を得ることが出来、労力をかけず且つ迅速に所定の 時期に必要頭数または匹数の上記 NASH病態モデル実験動物の供給を可能とする
[0071] 低酸素血症を惹起させる処置における投与量、投与回数及び投与期間を調節して 動物に与えることによって進行性の NASH病態の各進展度を有す病態モデル実験動 物の供給及び Z又はその作出方法の提供が可能にできる。また、低酸素血症を惹 起させる処置、即ち、低酸素環境下飼育に基づく生体内低酸素状態を形成させるに 際し、酸素濃度、飼育期間を調節することによって進行性の NASH病態の各進展度 を有する病態モデル実験動物の供給及び Z又はその作出方法の提供が可能になる 。ヒト NASH病態発症および進行機序に近似させた本発明の該病態モデル実験動物 により、脂肪肝から脂肪性肝炎、線維化や肝硬変への進行性疾患である該病態進 展機構の医学的解明を可能とする。
[0072] NASH治療薬や重症化抑制薬及び Z又は NASH発症リスク低減機能食品や重症化 リスク低減機能食品及び Z又は NASH治療方法や重症化予防法の新たな開発と確 立には、脂肪性肝炎、肝線維化や肝硬変の部位にどのような影響を及ぼすの力確 認することは極めて重要であり、上記被験素材の作用を長期間観察することが求めら
れる。本発明の NASH病態モデル実験動物により、重症化予防用および治療用薬剤 及び、及び生理活性物質のスクリーニング重症化進展阻止および治療に有効 '有用 な薬剤 ·素材'方法の開発研究実施並びにその高品質化、迅速化を可能とする。 発明の効果
[0073] 以上説明したように本発明によれば、生体内低酸素状態を形成させることにより非 アルコール性脂肪性肝炎及び z又は肝硬変の生化学的特徴及び/又は病理組織 学的特徴を維持した病態モデル実験動物を作出するようにした。これにより、 NASH の病理組織学的特徴および生化学的特徴を実質的に安定に呈し維持するモデル 動物を得ることが出来、労力をかけず且つ迅速に所定の時期に必要頭数または匹 数の上記 NASH病態モデル実験動物の供給を可能とする。
[0074] また、本発明によれば、低酸素環境下飼育により生体内低酸素状態を形成させ、 最終的に非アルコール性脂肪性肝炎及び Z又は肝硬変の生化学的特徴及び/又 は病理組織学的特徴を維持した病態モデル実験動物を作出するようにした。これに より、 NASHの病理組織学的特徴および生化学的特徴を実質的に安定に呈し維持す るモデル動物を得ることが出来、労力をかけず且つ迅速に所定の時期に必要頭数ま たは匹数の上記 NASH病態モデル実験動物の供給を可能とする。
発明を実施するための最良の形態
[0075] 以下、実施例によって本発明をさらに説明する。但し、下記の実施例は発明を例示 するためのものであり、本発明を 、かなる意味にぉ ヽても限定するものではな 、。 実施例
[0076] <非アルコール性脂肪肝担持実験動物の調製 >
脂肪肝担持実験動物の調製は下記手順によって実施した。
1)実験動物
Wistar系ラット(清水実験動物) 6週齢力も実験飼育を開始した。 12時間 (7:00-19:0 0)の明暗、 50〜60%湿度および 23°Cの環境下で自由摂餌'自由飲水の各条件に より飼育した。
[0077] 2)試験材料及び方法
非アルコール性脂肪肝動物の作製:
飼料は通常の MF飼料 (オリエンタル酵母)またはコリン欠乏高脂肪飼料 (8.000%ビ タミンフリーカゼイン, 37.950%ラード, 48.375%シユークロース, 4.000%ハーパーミネ ラル, 1.050%ビタミン混合, 0.625% L-シスチン w/w、 オリエンタル酵母、以下 CDHF 飼料と記載)を用い飼育した。
[0078] 肝臓への中性脂肪の沈着:
MF飼料または CDHF飼料のいずれかの給餌により 1ヶ月間飼育後、エーテル麻酔 下に開腹し摘出した肝臓中 Triglyceride含量 (mg/g肝湿重量)は、 MF飼育群で 12.1 ± 1.1、 CDHF飼育群で 45.0 ±5.0で、中性脂肪の肝臓への沈着が有意に (pく 0.01)惹 き起こされていることが判明した。
[0079] 病理組織学的特徴:
上述の給餌および処置後ラットから採取した肝臓にっ 、て、ホルマリン固定肝組織 のへマトキシリン ·ェォジン染色組織の光学顕微鏡観察により、 MF飼料給餌飼育に よるラット肝臓では規則正し 、肝細胞索列を有する正常肝組織が観察された。同期 間の CDHF給餌による飼育ラットの肝臓の大部分の肝細胞に大滴性脂肪性変化が 認められた。前項の中性脂肪沈着に関する検討と本項目の病理組織学的検討結果 力も非アルコール性脂肪肝動物の形成されることを確認した。
[0080] 生化学的特徴:
肝障害を反映する生化学的マーカー即ち肝実質細胞質内酵素 (AST: Aspartate aminotransferase、 ALT: Alanine aminotransferase の血中への逸脱:目 ij述の月干臓摘 出前に門脈力も採血した試料の血漿に関して AST (KU/mL)については、 MF飼育群 で 53.2±6.2、 CDHF飼料群で 66.2±8.1で有意に(p< 5%)上昇し、 ALT (KU/mL) については、 MF飼育群で 13.9± 1.6、 CDHF飼料群で 17.6±2.3で有意差は認められ なかった。
[0081] 血漿中ヒアルロン酸濃度の変化:
前述の肝臓摘出前に門脈力 採血した試料の血漿に関してヒアルロン酸濃度を測 定し肝線維化を検討した。ヒアルロン酸濃度 (ng/ml血漿)は、 MF飼料群で 87.9 ±7.1
、 CDHF飼料群で 89.9 ± 9.9で有意差は認められなかった。
[0082] 以上の生化学的検査および病理学的検査で、脂肪肝担持実験動物作製に必要な
期間を決定した。 CDHF飼料を用いた場合、 3週間から 5週間飼育により脂肪肝動物 が作製された。
[0083] 実施例 1)
亜硝酸ナトリウム投与による血中メトヘモグロビン形成と血中酸素分圧低下: MF飼 料または CDHF飼料にて各群 8匹を 1ヶ月間飼育後予備飼育後、各々を等分 2群に 分け 1群 4匹の 4群に分け予備飼育期間と同じ飼料による継続飼育を行うと共に、以 降、亜硝酸液ナトリウム液投与により惹起させたメトヘモグロビン血症による低酸素ス トレス負荷試験を開始した。即ち、 MF飼料または CDHF飼料給餌ラットへ 50 mg/kg/ 日亜硝酸液ナトリウムの生理的食塩液又は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を 施した。
[0084] 亜硝酸ナトリウム液投与後ラットから経時的に即ち 15、 30分、 1, 2, 3、 4、 5、 6時 間後に、予め頸動脈に留置した力-ユーレカ 採取した血液試料についてメトイ匕へ モグロビン量、以降メトヘモグロビン量の変動を追跡した。亜硝酸ナトリウム液 (pH7.4 )を 50mg/kgを腹腔内投与処置後 15分の時点で、血中メトヘモグロビン量は極大値 4.6- 5.5g/dlに到達し, 30分後に 4.30g/dl、 1時間後に 2.93g/dl、 2時間後に 1.70g/dl 、 3時間後に 1.0g/dl、 4時間後に 0.52g/dl、 5時間後に 0.22g/dl、 6時間以内に投与 前の水準即ち対照値 0.16g/dlに戻った。生理的食塩液のみの腹腔内投与では対照 値の水準で推移した。なお、全ヘモグロビン量は 15.4_16.6g/dlの範囲であった。
[0085] 前述の血液試料の動脈血液酸素分圧 (hPa)はメトヘモグロビン量と逆相関し、亜硝 酸ナトリウム液投与 15分後に極少値 60-66hPaに到達し, 30分後に 70.5、 1時間後に 8 2.7、 2時間後に 94.4、 3時間後に 100.7、 4時間後に 105.2、 5時間後に 107.7、 6時間後 に 108.3と推移し、 6時間以内に正常範囲に戻った。生理的食塩液のみの投与では 正常範囲の水準で推移した。
[0086] 動物への給餌と処置によるグループ分け:上述の動物の飼育に用いた飼料および 処置による群表記は以降、正常対照群: MF飼料 +生理食塩液腹腔内投与、 CDHF 群: CDHF飼料飼育 +生理食塩液腹腔内投与、 CDHF+亜硝酸群: CDHF飼料飼育 + 亜硝酸ナトリウムの生理食塩液腹腔内投与、対照 +亜硝酸群: MF飼料飼育 +亜硝酸 ナトリウムの生理食塩液腹腔内投与の各々により示す。
[0087] 脂肪肝担持又は正常肝担持 Wistar系雄性ラットへ、 1ヶ月間 50mg/kg/日亜硝酸ナ トリウムの生理的食塩液又は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を行い作出した 動物の病理組織学的及び生化学的マーカーの変化を挙げて説明する。定量的結果 は各群 4匹の平均値と標準誤差で表し、 1元分散分析 (ANOVA)後、群間の平均値 の比較に関しては Dunnett's testを用い、 CDHF+亜硝酸群と血中酸素濃度を低下さ せる処置を施さず同期間飼育した CDHF群との比較の統計的有意差のみを記述す る。
[0088] 脂肪肝の指標としての肝臓中 Triglyceride含量 (mg/g肝湿重量)は、 1ヶ月後にお ヽ て正常対照群: 13.2± 1.4、 対照 +亜硝酸群: 13.2±0.9、 CDHF群: 66.5±8.3 、 CDH F+亜硝酸群: 57.3 ± 7.1であった。
[0089] 肝臓の病理組織学的変化に関して、 1ヶ月間 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理 的食塩液又は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を行い作出した動物から摘出し た肝臓を 4 %ホルマリン-リン酸緩衝液で固定し、常法に従ってパラフィン切片を作製 し,へマトキシリン'ェォジン染色およびマッソン 'トリクローム染色を施して光学顕微 鏡下で観察したところ、 CDHF+亜硝酸群で肝細胞の大滴性脂肪性変化、肝細胞の 変性'壊死、門脈域のリンパ球浸潤が見られ、その結果として小葉内に線維化を呈し ており、 NASH病態に特徴的な脂肪性肝炎及び Z又は肝線維化の病理組織学的特 徴が観察された。 CDHF群では肝細胞の大滴性脂肪性変化、肝細胞の変性、門脈 域のリンパ球浸潤が軽度に見られたが、正常対照群と対照 +亜硝酸群には病理組織 学的な変化は認められない。
[0090] 別に群を設け、 2ヶ月間 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容量 の生理的食塩液の腹腔内投与を行ったラット肝臓の湿重量にっ 、て、正常対照群、 CDHF群および対照 +亜硝酸群には著変は認められな力つた力 これら 3群の肝臓 の湿重量の平均を 100%とすると、じ01"^+亜硝酸群は68± 16. 3%であり有意な(p < 5%)萎縮が惹起されており慢性肝疾患の終末像である肝硬変にまで進行した。 開腹時に腹水の貯留が観察された個体も観察された。
[0091] 2ヶ月間 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容量の生理的食塩 液の腹腔内投与を行ったラットの血漿中アンモニア濃度 ( μ g/dL)について、正常対
照群: 43.2± 14.2、 CDHF群: 66.7±20.5、 対照+亜硝酸群:55.1 ± 17.4、じ01"^+亜 硝酸群は 112.8±30.6、 であり有意な (p< 5%)上昇が惹起されていた。
[0092] 肝線維化の生化学的指標とした血漿中ヒアルロン酸濃度 (ng/ml血漿)は、 50mg/kg I日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を 行い 1ヶ月後採取した血漿を試料として検討した。正常対照群: 83.3±8.6、対照 +亜 硝酸群: 89.8±4.5、 CDHF群: 117.4± 12.5、じ0!~^+亜硝酸群:240.3±38.9で、有意 に (Pく 1%)上昇した。
[0093] 肝障害を反映する生化学的マーカーの変化に関して、肝実質細胞質内酵素の血 中への逸脱に関して、 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容量の 生理的食塩液の腹腔内投与を行い 1ヶ月後採取した血清を試料として検討した。 AS T (KU/mL)については、正常対照群: 49.8±8.1、対照 +亜硝酸群: 47.4±3.8、 CDHF 群: 112.6± 16.5、 CDHF+亜硝酸群: 237.2±63.7で有意に(ρ< 1%)上昇し、 ALT (K U/mL)については、対照群: 12.6± 1.5、対照 +亜硝酸群: 12.7± 1.9、 CDHF群: 20.9 ±5.5、 CDHF+亜硝酸群: 35.5±6.8で有意に(p< 5%)上昇した。
[0094] 肝 ·胆道系酵素 (ALP: Alkaline phosphatase, y - GTP: y -Glutamyl transpeptidase )の血中への逸脱に関して、 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容 量の生理的食塩液の腹腔内投与を行い 1ヶ月後採取した血清を試料として検討した 。 ALP(nmol p-nitrophenol produce/min/mL血漿)については正常対照群: 89.71士 3.6、対照 +亜硝酸群: 91.7±3.0、 CDHF群: 156.2±3.9、 CDHF+亜硝酸群: 192.1士 4.3で有意に (ρ< 1%)上昇し、 γ - GTP(IU/L血漿)については、正常対照群: 1.13 ±0.20、対照 +亜硝酸群: 0.89±0.17、 CDHF群: 1.12±0.12、じ0!~^+亜硝酸群:4.15 ± 1.44で有意に (ρ< 1%)上昇した。
[0095] 血清中 Bilirubin濃度 (mg/dL血清)は、 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩 液又は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を行い 1ヶ月後採取した血清を試料と して検討した。正常対照群、対照 +亜硝酸群、 CDHF群では検出限度以下であった 力 CDHF+亜硝酸群: 12.4 ± 3.5で検出限度以上にまで有意に (p < 1 %)上昇した。
[0096] 慢性肝疾患における肝予備能の指標である肝での蛋白合成能を示す血中 Choline sterase活'性 ( μ mol substrate hydrolyzed/ min/ mL血漿)と血清 albumin濃度 {mg/ mL
血清)に関して、 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容量の生理的 食塩液の腹腔内投与を行い 2ヶ月後採取した血漿を試料として検討した。 Cholineste rase活性は正常対照群: 2.59±0.24、対照 +亜硝酸群: 2.45 ±0.38、 CDHF群: 2.14士 0.29、 CDHF+亜硝酸群: 1.34±0.33で有意に(ρ< 1%)低下しており、血清 albumin 濃度は、正常対照群: 54.0±3.5、対照 +亜硝酸群: 53.0±5.1、 CDHF群: 40.3 ±6.0、 じ01"^+亜硝酸群:37.9±6.0であった。
[0097] 線維化に関与するとされ、また酸ィ匕的ストレスとも密接に関与するとされる非ヘム鉄 の含量に関して、 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容量の生理 的食塩液の腹腔内投与を行い 1ヶ月後採取した血清および肝臓を試料として検討し た。血清中濃度 g/dL)は正常対照群: 69.3 ±9.2、対照 +亜硝酸群: 72.1 ± 7.5、 C DHF群: 70.6±9.5、 CDHF+亜硝酸群: 118.7±8.2で有意に(p< 1%)上昇した、及 び肝臓中非ヘム鉄の含量 g/g肝湿重量)は正常対照群: 120.0±9.1、対照 +亜硝 酸群: 126.7±6.1、 CDHF群: 158.1 ± 19.3、 CDHF+亜硝酸群: 293.7± 18.7で有意(p < 1%)上昇した。
[0098] 生活習慣病の基盤となる慢性的カロリー摂取過多による代謝症候群の栄養状態で は、ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝からの活性酸素 ·遊離基の派生が推定され 、酸化的ストレス亢進が想定される。栄養代謝の主要臓器である肝臓の細胞に脂肪 沈着と酸素の供給不足がもたらされる条件設定の本申請病態モデルにおいてもこれ らの機転が炎症や肝の線維化さらには肝硬変への進展に重大な役割を果たすこと が想定される。
[0099] 50mg/kg/日亜硝酸ナトリウムの生理的食塩液又は等容量の生理的食塩液の腹腔 内投与を行い 1ヶ月後採取した肝臓力も分離調製したミトコンドリア分画を electron sp in resonance以降 ESR分光法分析用の試料として、ミトコンドリアでのエネルギー代謝 からの活性酸素'遊離基の発生量を検討した。即ち、 0.1% dodecyl maltoside, 5mM gl utamate, 5mM malate, lOOmM succinate, 500 g蛋白相当ミトコンドリア, 920mM 5,5 - dimethy卜 1- pyrroline- 1- oxide以降 DMPO, O.lmM NADH含有試料を 37。C5分間ィ ンキュペートし、活性酸素'遊離基と DMPOとのァダクトによる ESRシグナルを ESR分光 法分析で検出した。正常対照群、対照 +亜硝酸群や CDHF群では DMPOとヒドロキシ
ル遊離基とのスピンァダクトによる ESRシグナルは痕跡程度検出されるのみに止まる 程のミトコンドリア力も活性酸素 '遊離基の派生であった力 CDHF+亜硝酸群の肝ミト コンドリアによる ESR測定試料からは DMPOとヒドロキシル遊離基とのスピンァダクトに よる ESRシグナル強度は、他群の 3-5倍ほど増強しており、該 NASHモデルのミトコンド リアでのエネルギー代謝からの活性酸素 ·遊離基の発生が増大して 、た。
[0100] 実施例 2)脂肪肝担持実験動物の作製は実施例 1に準じて行った。
[0101] ヒドロキシルァミン液、以降ヒドロキシァミン液(pH 7.4)の投与後の血中メトへモグロ ビン形成と血中酸素分圧低下:
前述の MF飼料または CDHF飼料にて各群 4匹を 1ヶ月間飼育後予備飼育後、予備 飼育期間と同じ飼料による継続飼育を行うと共に、以降、ヒドロキシルァミン液投与に より惹起させたメトヘモグロビン血症による低酸素ストレス負荷を開始した。即ち、 MF 飼料または CDHF飼料給餌ラットへ 50 mg/kg/日ヒドロキシルァミンの生理的食塩液 による溶解後 PH7.4に調整液又は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を施した。
[0102] ラットに予め頸動脈に力-ユレーシヨンを施し留置したシリコンチューブから 15、 30分 、 1, 2, 3、 4、 5、 6時間の経時的に採取した血液試料についてメトイ匕ヘモグロビン量 、以降メトヘモグロビンの形成を追跡した。 50mg/kg/日ヒドロキシルァミン液腹腔内 投与 15分後に極大値 3.8-4.4g/dlに到達し, 30分後に 3.50g/dl、 1時間後に 2.42g/dl 、 2時間後に 1.38g/dl、 3時間後に 0.82g/dl、 4時間後に 0.42g/dl、 5時間後に 0.20g/d
1、 6時間以内に投与前の水準即ち対照値 0.15g/dlに戻った。生理的食塩液のみの 腹腔内投与では対照値の水準で推移した。なお、全ヘモグロビン量は 15.4-16.6g/dl の範囲であった。
[0103] この血液を試料として測定した動脈血液酸素分圧 (hPa)はメトヘモグロビン量と逆相 関し、ヒドロキシルァミン液投与 15分後に極少値 70-78hPaに到達し, 30分後に 79.6、 1 時間後に 88.9、 2時間後に 97.8、 3時間後に 102.6、 4時間後に 106.0、 5時間後に 108.
2、 6時間後に 109.3と推移し、 5時間以内に正常範囲に戻った。
[0104] 動物への給餌と処置によるグループ表記:
上述の MF飼料又は CDHF飼料にて飼育ラットへの 50 mg/kg/日ヒドロキシルァミン 液の腹腔内投与処置による群表記は以降、対照 +ヒドロキシルァミン群、 NASH-ヒドロ
キシルァミン群の各々により示す。なお、正常対照群および CDHF群は実施例 1の該 項に記した。
[0105] 脂肪肝担持又は正常肝担持 Wistar系雄性ラットへ、 1ヶ月間 50mg/kg/日亜硝酸ナ トリウムの生理的食塩液又は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を行い作出した 動物の病理組織学的及び生化学的マーカーの変化を挙げて説明する。定量的結果 は各群 4匹の平均値と標準誤差で表し、 1元分散分析(ANOVA)後、群間の平均値の 比較に関しては Dunnett's testを用い、 NASH-ヒドロキシルァミン群と血中酸素濃度を 低下させる処置を施さず同期間飼育した CDHF群との比較の統計的有意差のみを記 述する。
[0106] 脂肪肝の指標としての肝臓中 Triglyceride含量 (mg/g肝湿重量)は、 1ヶ月後にお ヽ て正常対照群: 13.2 ± 1.4、 対照 +ヒドロキシルァミン群: 13.6 ± 1.3、 CDHF群: 66.5士 8.3 、 NASH-ヒドロキシルァミン群: 63.3 ±9.0であった。
[0107] 肝臓の病理組織学的変化に関して、 1ヶ月間 50mg/kg/日ヒドロキシルアミン液又 は等容量の生理的食塩液の腹腔内投与を行い作出した動物から摘出した肝臓を 4 % ホルマリン-リン酸緩衝液で固定し、常法に従ってパラフィン切片を作製し,へマトキ シリン 'ェォジン染色およびマッソン 'トリクローム染色を施して光学顕微鏡下で観察し たところ、 NASH-ヒドロキシルァミン群で肝細胞の大滴性脂肪性変化、肝細胞の変性 '壊死、門脈域のリンパ球浸潤が見られ、その結果として小葉内に線維化を呈してお り、 NASH病態に特徴的な脂肪性肝炎及び Z又は肝線維化の病理組織学的特徴が 観察された。なお、肝線維化は CDHF+亜硝酸群に比し若干軽い状態であった。 CD HF群では肝細胞の大滴性脂肪性変化、肝細胞の変性、門脈域のリンパ球浸潤が軽 度に見られたが、正常対照群と対照 +ヒドロキシルァミン群には病理組織学的な変化 は認められない。
[0108] 生化学的な指標の変動に関しては、亜硝酸塩投与動物の変動と同様な傾向であ つた o
[0109] ミトコンドリアでのエネルギー代謝からの活性酸素 '遊離基の発生量は亜硝酸塩投 与動物の変動と同様な傾向であった。
[0110] 実施例 3)
低酸素環境下飼育と血中酸素分圧低下:通常空気中ケージ内環境で MF飼料また は CDHF飼料にて各群 8匹を 1ヶ月間予備飼育後、各々を等分 2群に分け 1群 4匹の 4群に分け予備飼育期間と同じ飼料による継続飼育を行うと共に、以降、通常空気中 での飼育ある!、は飼育ケージに混合気体を送気し低酸素環境を形成して、低酸素 状態に動物を暴露させて飼育した。即ち、 MF飼料または CDHF飼料給餌ラットを各 二群に分け、 MF飼料給餌群と CDHF飼料給餌群の各 1群は通常空気中ケージで飼 育を行った。また、別の MF飼料給餌群と CDHF飼料給餌群の各 1群に窒素、酸素お よび二酸ィ匕炭素を送気するケージで飼育し、下記組成(窒素 79.01%以上、酸素 20.95 %以下、二酸ィ匕炭素 0.04%以上)下で飼育した。
[0111] 予め頸動脈に留置した力-ユーレカ 採取した血液試料の動脈血液酸素分圧 (へ タトパスカル)は、組成(窒素 89.5%、酸素 10%、二酸化炭素 0.5%)の混合ガス送気によ る低酸素暴露 1時間ラットでは 65ヘクトパスカル、組成(窒素 82.5%、酸素 15%、二酸ィ匕 炭素 0.5%)の混合ガス送気による低酸素暴露 1時間ラットでは 53ヘクトパスカルへと変 化しており、通常空気中ケージで飼育した対照ラットの 102ヘクトパスカルに比較して 低下しており、与えた低酸素の程度に依存して動脈血中酸素分圧が低下した。
[0112] 窒素 94.5%、酸素 5%、二酸化炭素 0.5%の組成気体を 1回 2分間、 1時間あたり 10回で 毎日 6時間と 、う条件での低酸素状態に脂肪肝担持又は正常肝担持 Wistar系雄性 ラットを暴露させて 1?2ヶ月間飼育した。動物への給餌と低酸素暴露によるグループ 分け:上述の動物の飼育に用いた飼料および処置による群表記は以降、正常対照 群: MF飼料 +大気環境飼育、 CDHF群: CDHF飼料飼育 +大気環境飼育、 CDHF+低 酸素群: CDHF飼料飼育 +低酸素組成ガス環境下飼育、対照 +低酸素群: MF飼料飼 育 +低酸素組成ガス環境下飼育、の各々により示す。
[0113] 動物の病理組織学的及び生化学的マーカーの変化を挙げて説明する。定量的結 果は各群 4匹の平均値と標準誤差で表し、 1元分散分析 (ANOVA)後、群間の平均 値の比較に関しては Dunnett's testを用い、 CDHF+低酸素群と血中酸素濃度を低下 させる処置を施さず同期間飼育した CDHF群との比較の統計的有意差のみを記述す る。
[0114] 低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育期間 1力月後において、全へモグロ
ビン量 (g/dl)は、正常対照群 16.0± 1.9、対照 +低酸素群: 18.1 ±2.2、 CDHF群: 15.8 ±2.1、 CDHF+低酸素群: 17.7±2.3であった。
[0115] 脂肪肝の指標としての肝臓中 Triglyceride含量 (mg/g肝湿重量)は、 1ヶ月後にお ヽ て正常対照群: 13.2± 1.4、 対照 +低酸素群: 16.6±2.9、 CDHF群: 66.5±8.3、 CDH F+低酸素群: 76.1 ±9.2であった。
[0116] 肝臓の病理組織学的変化に関して、摘出肝臓を 4 %ホルマリン-リン酸緩衝液で固 定し、常法に従ってパラフィン切片を作製し,へマトキシリン'ェォジン染色およびマツ ソン'トリクローム染色を施して光学顕微鏡下で観察し、病理組織学的検査での肝障 害の程度に応じて、 A:著変なし?弱い変化、 B:—部に偽小葉 (線維化)形成、 C :明 瞭な偽小葉形成、 D:高度な障害 Z残存細胞が少ない、の 4段階にグレード付けした 。ヒトの慢性肝炎及び Z又は肝硬変の像に類似して ヽる C又は Dを示す標本を慢性 肝炎及び Z又は肝硬変の病理組織学的特徴を有すると判定した。 CDHF+低酸素群 において、低酸素暴露開始 1力月後摘出肝臓において、肝細胞の大滴性脂肪性変 ィ匕、肝細胞の変性'壊死、門脈域のリンパ球浸潤が見られ、その結果として小葉内に 線維化を呈しておりグレード Cの NASH病態に特徴的な脂肪性肝炎及び Z又は肝線 維化の病理組織学的特徴が観察された。 CDHF群では肝細胞の大滴性脂肪性変 ィ匕、肝細胞の変性、門脈域のリンパ球浸潤が軽度に見られる A?Bで、正常対照群と 対照 +低酸素群には病理組織学的な変化は認められな力つた。
[0117] 低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育期間 2力月後、ラット血漿中アンモ ユア濃度( g/dL)について、正常対照群: 43.2 ± 14.2、 CDHF群: 66.7±20.5、 対 照 +低酸素群: 45.3± 18.2、CDHF+低酸素群は 84.1 ±25.7であり上昇傾向が見られ た。
[0118] 低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育期間 1力月後、肝線維化の生化学 的指標とした血中ヒアルロン酸濃度 (ng/ml血漿)を採取した血漿を試料として検討し た。正常対照群: 83.3±8.6、対照 +低酸素群: 79.9 ±6.1、 CDHF群: 117.4± 12.5、 C DHF+低酸素群: 164.7 ±20.9で、有意に(p< 5%)上昇した。
[0119] 肝障害を反映する生化学的マーカーの変化に関して、肝実質細胞質内酵素の血 中への逸脱に関して、低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育を行い 1ヶ月
後採取した血清を試料として検討した。 AST (KU/mL)については、正常対照群: 49.8 ±8.1、対照 +低酸素群: 63.1 ±9.3、 CDHF群: 112.6± 16.5、 CDHF+低酸素群: 176. 7±37.1で有意に(p< 5%)上昇し、 ALT (KU/mL)については、対照群: 12.6± 1.5、 対照 +低酸素群: 14.3± 1.7、 CDHF群: 20.9±5.5、 CDHF+低酸素群: 27.6±4.1で 上昇傾向にあった。
[0120] 肝 ·胆道系酵素 (ALP: Alkaline phosphataseゝ y— GTP: y -Glutamyl transpeptidase )の血中への逸脱に関して、低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育を行い 1ヶ月後採取した血清を試料として検討した。 ALP(nmol p-nitrophenol produce/min/ mL血漿)については正常対照群: 89.71 ±3.6、対照 +低酸素群: 94.6±4.7、 CDHF 群: 156.2±3.9、 CDHF+低酸素群: 211.1 ± 14.3で有意に(ρ< 1%)上昇し、 γ - GTP (IU/L血漿)については、正常対照群: 1.13 ±0.20、対照 +低酸素群: 1.29 ±0.22、 C DHF群: 1.12±0.12、 CDHF+低酸素群: 3.37±0.90で有意に(ρ< 5%)上昇した。
[0121] 血清中 Bilirubin濃度は、低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育を行い 1 ヶ月後採取した血清を試料として検討した。正常対照群、対照 +低酸素群、 CDHF群 では検出限度以下であった力 CDHF+低酸素群: 7.7±2.4mg/dL血清で検出限度 以上にまで上昇した。
[0122] 慢性肝疾患における肝予備能の指標である肝での蛋白合成能を示す血清 albumin 濃度 (mg/mL血清)に関して、低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育を行 い 2ヶ月後採取した血漿を試料として検討した。正常対照群 : 54.0±3.5、対照 +低酸 素群: 50.0±4.3、 CDHF群: 40.3±6.0、 CDHF+低酸素群: 34.3±6.6で有意に(pく 5 %)低下した。
[0123] 線維化に関与するとされ、また酸ィ匕的ストレスとも密接に関与するとされる非ヘム鉄 の含量に関して、低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育を行い 1ヶ月後採 取した血清および肝臓を試料として検討した。血清中濃度( μ g/dL)は正常対照群: 69.3±9.2、対照 +低酸素群: 66.2±5.7、 CDHF群: 70.6±9.5、 CDHF+低酸素群: 78. 7±8.2であった。肝臓中非ヘム鉄の含量 g/g肝湿重量)は正常対照群: 120.0±9. 1、対照 +低酸素群: 117.9±7.1、 CDHF群: 158.1 ± 19.3、じ0!~^+低酸素群:217±20. 5で有意 (p< 5%)上昇した。
[0124] 生活習慣病の基盤となる慢性的カロリー摂取過多による代謝症候群の栄養状態で は、ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝からの活性酸素 ·遊離基の派生が推定され 、酸化的ストレス亢進が想定される。栄養代謝の主要臓器である肝臓の細胞に脂肪 沈着と酸素の供給不足がもたらされる条件設定の本申請病態モデルにおいてもこれ らの機転が炎症や肝の線維化さらには肝硬変への進展に重大な役割を果たすこと が想定される。
[0125] 低酸素暴露あるいは通常大気中飼育による飼育を行い 1ヶ月後採取した肝臓から 分離調製したミトコンドリア分画を electron spin resonance以降 ESR分光法分析用の 試料として、ミトコンドリアでのエネルギー代謝からの活性酸素 '遊離基の発生量を検 ^fした。良 P 、 0.1% aodecyl maltoside, 5mM glutamate, 5mM malate, lOOmM succina te, 500 ;z g蛋白相当ミトコンドリア, 920mM 5,5— dimethy卜 1— pyrroline— 1— oxide以降 D MPO, O. lmM NADH含有試料を 37°C5分間インキュベートし、活性酸素'遊離基と D MPOとのァダクトによる ESRシグナルを ESR分光法分析で検出した。正常対照群、対 照 +低酸素群や CDHF群では DMPOとヒドロキシル遊離基とのスピンァダクトによる ES Rシグナルは痕跡程度検出されるのみに止まる程のミトコンドリア力も活性酸素 '遊離 基の派生であった力 CDHF+低酸素群の肝ミトコンドリアによる ESR測定試料からは D MPOとヒドロキシル遊離基とのスピンァダクトによる ESRシグナル強度は、他群の 2-3 倍ほど増強しており、該 NASHモデルのミトコンドリアでのエネルギー代謝からの活性 酸素 ·遊離基の発生が増大して!/、た。
[0126] 実施例 4)
実験動物や飼育方法などの条件は実施例 3に準じ、脂肪肝担持実験動物の作製は 高脂肪飼料 (37.950%ラード, 48.375%シユークロース, 4.000%ハーパーミネラル, 1.0 50%ビタミン混合, 0.625% L-シスチン w/w、 オリエンタル酵母、以下高脂肪飼料と記 載)を用い、シユークロース添加水を与えて飼育した。 2力月以上飼育することで行つ た。
[0127] 肝臓への中性脂肪の沈着:
高脂肪飼料給餌により 3ヶ月間飼育後、エーテル麻酔下に開腹し摘出した肝臓中 Tri glyceride含量(mg/g肝湿重量)は、 MF飼育群で 12.1 ± 1.1、じ01"^飼育群で26.0±5.
2で、中性脂肪の肝臓への沈着が有意に (pく 0.05)惹き起こされていることが判明した 高脂肪食による脂肪肝担持実験動物へ、低酸素ストレスを実施例 1に準じ負荷する ことによつても、線維化を示す肝臓の病理組織学的変化や血液生化学的指標および ミトコンドリアでのエネルギー代謝からの活性酸素 '遊離基の発生増大が惹起され、 N ASHモデル動物が作成できた。